説明

引戸の引手

【課題】 見栄えが良く、しかも操作が容易な引戸の引手を提供する。
【解決手段】 引戸の戸先框1の、戸枠3と接合する面とは反対側の取付面4に、横断面が略L字形で縦長の手掛け部材9を、その一方の平板部11の側端縁付近を通る鉛直な回動軸12の回りを回動可能に支承すると共に、クリック装置17により、他方の平板部13が障子14に垂直な角度位置と、障子14に平行で取付面4に垂直な角度位置をとることができるように規制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、引戸の引手(以下単に引手という)に係り、特に、見栄えが良く、操作が容易な引手に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば日本家屋の襖等の引手は、通常、円形の浅い凹陥部を形成した金具である。
【0003】
また、後記特許文献1に記載された引手は、例えば縦長の浅い凹陥部に引戸錠の施解錠操作を行う摘みを上下方向に案内したものである。
【特許文献1】特願2004−245818
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来の引手は、要するに浅い凹陥部に手指を掛けるものであるから、手指が引戸から外れ易い。
【0005】
また、何時も室内外に引手であることを隠さずに存在しているので、見慣れているとは言っても、必ずしも見栄えの良いものではない。
【0006】
そこで、この発明は、見栄えが良く、しかも操作が容易な引手を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、請求項1に記載された発明は、引戸の戸先框の、戸枠と接合する面とは反対側の取付面に、横断面が略L字形で縦長の手掛け部材を、その一方の平板部の側端縁付近を通る鉛直な回動軸の回りを回動可能に支承すると共に、クリック装置により、他方の平板部が障子に垂直な角度位置と、障子に平行で取付面に垂直な角度位置をとることができるように規制したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
上記のように構成された請求項1に記載の発明による引手は、他方の平板部が障子に垂直な角度位置にあるときこの他方の平板部が手指が掛かる部材となり、この他方の平板部の幅は自由に設計することができるから、手掛かり部が大きくなって引戸の開閉操作が容易になる。
【0009】
また、他方の平板部が障子に垂直な角度位置にあるときには、室内側からは他方の平板部が正面に見えて他の部材は見えないから、見栄えが良い。
【0010】
更にまた、構造が簡単である、等種々の効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
断面略L字形の縦長の手掛け部材を、その一方の平板部の側端縁付近を通る鉛直な回動軸の回りを回動可能に支承すると共に、クリック装置により、他方の平板部が障子に垂直な角度位置と、障子に平行で取付面に垂直な角度位置をとることができるように規制したから、手掛けとなる他方の平板部を起こしたり取付面に垂直になるようにしたので、見栄えが良く、しかも操作性が良い引手を構成できた。
【実施例1】
【0012】
以下、この発明の一実施例を図面を参照して説明する。
なお、この実施例は、戸先框を室内側に突出させて、この突出部にカマ錠を装着した引戸に本発明を適用したものである。
【0013】
図1及び図4において符号1は引戸の戸先框を示し、この戸先框1は室内側(図1で左側)に少し突出し、この突出部分にカマ錠2を装着してある(図1、図2及び図4参照)。
【0014】
また、戸先框の上記突出部分の戸枠3(図4参照)とは反対側の面は取付面4(図1、図2及び図4参照)となっており、この取付面4の一部に上記カマ錠2の室内側の操作部5が装着されている。
【0015】
図示の実施例における操作部5は、例えば、取付面4の上下方向におけるほぼ中央に装着された縦長の深溝付のブロック体で、その深溝の底面部において上下方向に移動可能に案内された施解錠摘み6を備えている。
【0016】
そして、この施解錠摘み6を例えば上方に押し上げることにより、図4に示すように、カマ錠2からカマ7を戸枠3側に振り出し、戸枠に装着されたストライク8に係止させて引戸を戸枠3に錠止する(図1参照)。
【0017】
図示の実施例では、本発明による引手は上記操作部5の下方に装着されている。
すなわち、図1及び図2に示すように、この引手は横断面形状が略L字形の手掛け部材9を備え、この手掛け部材9の一方の平板部11の側端縁付近を、鉛直な回動軸12、12の回りを回動可能に支承されている。
【0018】
上記一方の平板部11に一体に、かつ直角に接続されている他方の平板部13の幅は、図1に示すように、一方の平板部11が障子に対し垂直な関係角度をとるとき、他方の平板部13の自由側端縁が取付面4に当接するように設定されている。
【0019】
なお、上記回動軸12は、図2に示すように、夫々一方の平板部の側端縁付近に形成された付番しない軸穴及び軸受部15に形成されたこれも付番しない軸穴の接合面を跨るように配設され、軸ばね16の弾力により軸受部15方向に付勢されて、回動軸12が軸受部15の軸穴から抜け出ないように抜け止めが施されている。
【0020】
また、図1に示すように、手掛け部材9は、クリック装置17により、他方の平板部13が障子14に垂直な角度位置と、障子に平行で取付面4に垂直な角度位置をとることができるように規制されている。
【0021】
上記のように構成されたこの発明の一実施例による引手は、図1に実線で示すように他方の平板部13が障子14に対し平行な角度位置をとるときには、手掛け部材9がクリック装置17を内側に抱持する態様でその外側だけを室内側に見せることになるので、あたかも前記操作部5の下方に例えば同じ幅のブロック体が接続されたように見え、見栄えが良いことは前記し通りである(す3参照)。
【0022】
一方、図1に鎖線で示すように、或いは図2で手掛け部材の上半分で示すように、手掛け部材9が開き他方の平板部13が障子に対し垂直な角度位置をとるときには、他方の平板部13が引戸を開閉するための手掛けとなり、この他方の平板部13の幅は自由に設定でき大きくすることかできるので、引戸の開閉操作が容易になることも前記した通りである。
【実施例2】
【0023】
図示の実施例では、戸先框1を室内側に突出させ、この突出部にカマ錠を装着すると共に、この突出部に取付面4を設けるものとしたが、戸先框に突出部を形成しない場合でも、戸先框の戸枠と接合する面とは反対側の面を室内側に延長させることは可能であり、この延長部を取付面とすれば、戸先框に突出部を設けない引戸にもこの発明を適用できる(図示せず)。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明の一実施例による引手を装着した引戸の水平面による一部断面図。
【図2】この発明の一実施例による引手を装着した戸先框の側面図。
【図3】この発明の一実施例による引手を装着した戸先框の背面図。
【図4】カマ錠とストライクとの作用を説明するための戸先框の側面図。
【符号の説明】
【0025】
1 戸先框
2 カマ錠
3 戸枠
4 取付面
5 操作部
6 施解錠摘み
7 カマ
8 ストライク
9 手掛け部材
11 一方の平板部
12 回動軸
13 他方の平板部
14 障子
15 軸受部
16 軸ばね
17 クリック装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
引戸の戸先框の、戸枠と接合する面とは反対側の取付面に、横断面が略L字形で縦長の手掛け部材を、その一方の平板部の側端縁付近を通る鉛直な回動軸の回りを回動可能に支承すると共に、クリック装置により、他方の平板部が障子に垂直な角度位置と、障子に平行で取付面に垂直な角度位置をとることができるように規制したことを特徴とする引戸の引手。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−25154(P2008−25154A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−197100(P2006−197100)
【出願日】平成18年7月19日(2006.7.19)
【出願人】(390037028)美和ロック株式会社 (868)