説明

引留クランプのジャンパー線接続部の切断装置

【課題】縦横の切り込みを入れる刃を容易に交換できる引留クランプのジャンパー線接続部の切断工具を提供すること。
【解決手段】 引留クランプCに切り込みを入れる切断工具3は、取付金具から引留クランプCと平行に延びるガイドレール4を介してジャンパー線接続部に配置する。切断工具3は、ガイド体11によりガイドレール4に移動可能に支持する。ガイド体11に固定した可搬式油圧プレス12の対向部に固定刃ユニット14と可動刃ユニット15を装着する。各ユニット14,15は、横切り刃18、中間片19、縦切り刃20に回転軸17を貫通させて一体に連結し、フレーム13に固定した取付部材16に移動可能に支持させる。縦切り刃20又は横切り刃18の一方を、取付部材16の溝16a内に出没する係合ピン21により、所定の切り込み動作位置に固定すれば、他方を退避位置で刃先を突き合わせないように反転できるので切り込み動作を妨げない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
送電線の新旧線を交換する際、旧線による新線のけん引・延線作業に先立って、旧線の前後端の引留クランプが金車を円滑に通過するために、引留クランプのジャンパー線接続部を切除する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
数径間にまたがる旧線を新線に交換する場合は、旧線の終端に新線を接続し、旧線の始端にパイロットワイヤをつないで金車上をけん引する。旧線の始端及び後端の引留クランプは、鋼心線に圧縮接続する鋼クランプと、この鋼クランプ及びアルミより線に被挿して圧縮接続するアルミスリーブとから構成されている。アルミスリーブには、隣接する系間の電線相互を連係するジャンパー線を接続するために羽子板状のジャンパー線接続部が側方に張り出すように形成されている。このジャンパー線接続部が金車の通過を妨げる。このため従来は特許文献1に記載の切断工具によりジャンパー線接続部を切断した後旧線の終端に新線を接続することが行われている。この切断工具は、引留クランプにおけるジャンパー線接続部が形成されたアルミスリーブに切込みを入れる直線刃工具と、アルミスリーブに円弧形切込みを入れる円弧刃工具とを用意する。可搬式油圧プレスの上下ダイス部にまず前者を装着して直線切込みを入れ、次に前者を取り外して後者を装着して環状切込みを入れ、切除部分を手作業ではぎ取る。
【特許文献1】特開平9−135511号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の切断工具では、引留クランプの軸線方向の切り込みを入れる直線刃から半径方向に切り込みを入れる円弧刃に装着し直す煩わしい交換作業がある。また、軸線方向への切り込みは工具を徐々にずらして数回に分けて延長していくため、少なくとも最初に切り込みを入れる位置に目印を付けておかなければならないし、目印線への刃の位置合わせが容易でなく、高所での作業に手間がかかり、操作性に難があるという問題がある。
そこで、本発明は、容易に縦横の切り込みを入れる刃を交換でき、切断作業を効率化し、また切り込みを入れる位置への刃の位置決めが容易な引留クランプのジャンパー線接続部の切断装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、第1の発明は、引留クランプのアルミスリーブC2に側方へ張り出すように形成されたジャンパー線接続部を切断除去するための切断装置において、可搬式油圧プレス12の油圧駆動により、アルミスリーブC2に軸線方向の切り込みを入れる対向一対の直線状横切り刃18と、同じく直交方向の切り込みを入れる対向一対の円弧状縦切り刃20とを備え、これら縦切り刃20及び横切り刃18は、回転軸17を中心に回転可能に支持し、刃先を突き合わせる切込み動作位置から刃先が対向しない退避位置に変位させることにより、いずれも一方の切り込み動作を他方が妨げることなく配置できるように構成した。
第2の発明においては、油圧プレス機12に取付部材16を設けて、これに縦切り刃20及び横切り刃18を係合させ、これらを圧縮方向と直交する方向に移動可能に支持させ、所定の切込み動作位置で固定して、切込み動作を行う刃を択一的に選択できるように構成した。
第3の発明においては、縦切り刃20と横切り刃18との間に回転軸17で中間片19を回転可能に支持し、また取付部材16に縦切り刃20、横切り刃18及び中間片19を切り込みと直交する方向に移動可能に嵌合させると共に、取付部材16の対応位置に中間片19から突出した係止突起19bの移動を規制する係止溝16dを設け、取付部材16から縦切り刃20、横切り刃18及び中間片19が抜け落るのを防止するように構成した。
第4の発明においては、引留クランプCに着脱可能な取付金具2を設け、この取付金具2に引留クランプCに沿ってガイドレール4を支持し、このガイドレール4により切断工具3を引留クランプCと平行に移動可能にガイドするように切断装置1を構成した。
第5の発明においては、ガイドレール4に直交方向に延びて取付金具2を移動可能にガイドする直交レール5を設け、油圧プレス機12の圧縮による縦切り刃20又は横切り刃18の移動に伴なって、取付金具2がガイドレール4に対して相対移動できるように構成した。
第6の発明においては、取付金具2には、引留クランプCを受け入れるように対向し、一側を開閉可能に蝶着され、引留クランプCの断面形状に対応する内面を有する把持部材7a,7bと、これら相互間を引き寄せて閉鎖状態を保持するロックハンドル8と、先端が引留クランプの外周に当接するように把持部材7a,7bに締め込み可能に螺合するボルト10とを具備させた。
第7の発明においては、油圧プレス機12に、引留クランプCへの横切り刃18の切り込みと直交する方向に回転可能に枢着され、先端部を引留クランプC上に当接させるために長さ調整可能な位置決め部材25を備え、引留クランプCに対して横切り刃18の切り込み位置を合わせた状態で引留クランプCに当てがうことにより切り込みと直交方向について横切り刃18を固定でき、また切り込みを延長するための引留クランプCに沿った横切り刃18の移動に伴う位置決め部材25の移動が引留クランプC上の突出部に妨げられないようにした。
【発明の効果】
【0005】
本発明のおいては、引留クランプに長さ方向の切り込みを入れる横切り刃と半径方向に切り込みを入れる縦切り刃とを取り外すことなく、極めて簡単に交換することができるので、高所での切り込み作業を一人で簡単に効率よく遂行することができる。また、一旦切り込みを入れる位置を決定したら、切り込みを延長するために刃の位置をずらしてもガイドレールにより適正な切り込み位置にガイドされるので、横切り刃の位置決め作業の負担を省くことができる。さらに、横切り刃を切り込みを入れる位置に合わせたら位置決め部材により簡易に固定でき、正確な位置に切り込みを入れることができ、その後の引留クランプ上の移動を妨げることがないという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1及び図6(A)に示すように、切断装置1を取り付ける引留クランプCは、鋼心アルミより線の鋼心線を鋼クランプC1の中心孔へ挿入圧着し、さらにアルミスリーブC2を鋼クランプC1上に圧着したものである。アルミスリーブC2にはジャンパー線を接続するための羽子板状のジャンパー線接続部が側方(図中下方)に張り出すように形成されている。引留クランプCに切込みを入れる切断装置1は、引留クランプC上に固定するための一端側の取付金具2と、引留クランプCに切り込みを入れる他端側の本体3と、両者間に渡るガイドレール4とを備えている。
【0007】
図1,図2に示すように、ガイドレール4は断面略凸状の長尺を成し、その一端に直交方向に断面略C字状の短尺の直交レール5が結合している。取付金具2は、直交レール5に溝方向にスライド可能に嵌合し支持されるガイド部材6と、ガイド部材6と一体に所定範囲を移動して引留クランプC上に装着可能な把持体7とを備えている。ガイド部材6は直交レール5の溝5aに嵌合する鍔付き突条6aを有する。
【0008】
把持体7はガイド部材6の下部に固定され、一方の側部で蝶着された開閉可能な上下に対向する一対の把持部材7a,7bで構成されている。把持部材7a,7bの内部に引留クランプCを受け入れる空間を備え、軸線方向両端部には、ダイス9a,9bが嵌合している。このダイス9a,9bには上下からボルト10が螺合し、引留クランプCに先端が当接するようになっている。ダイス9a,9bは、引留クランプCの外形に対応した六角形状を形成する内周面を備えている。把持体7の蝶着部は、径の異なる二種類の引留クランプCに対応するように、把持部材7a,7bの相互間隔を変更可能な遊びを有する。
【0009】
把持体7の開閉側中央部には、ロックハンドル8が設けられている。ロックハンドル8は、一方の把持部材7bに枢軸8aで上下に往復回動自在に軸支されている。このハンドル8の上端部にはフック部8bが延びており、把持部材7aの引っ掛け軸8cに掛け留めることができる。フック部8bを引っ掛け軸8cに掛けてハンドル8を下方へ回転させると、把持部材7a,7bが引き寄せられるので、把持部材7bに固定されたストッパ片8dにボルト留めすれば引留クランプC上に取付金具2を固定できる。
【0010】
図3,図4に示すように、本体3は、ガイドレール4の鍔部4aに長手方向にスライド可能に嵌合し支持される断面略C字状のガイド体11と、可搬式油圧プレス機12とを備えている。ガイド体11の下部には油圧プレス機12のフレーム13がボルト留めされ固着されている。フレーム13は略C字状を成し、対向部には取付部材16を介して一方に固定刃ユニット14が装着され、他方に可動刃ユニット15が装着される。
【0011】
取付部材16は、図3,図5に示すように、開口が狭く形成された横方向の嵌合溝16aを有する断面略C字状を成し、上部にフレーム13の溝13a内に突出するガイド突起16bを有し、また背部にフレーム13の一方の対向部又は後記するラム23に挿入される固定突起16cを有する。取付部材16には先端部が溝16a内に出没して、使用する刃を択一的に固定するように係合ピン21が螺合する。取付部材16の内側面の上下方向ほぼ中央には横方向に向かうガイド溝16dが刻設されている。この係止溝16dの一端部には通孔16eが穿設されている。
【0012】
固定刃ユニット14は、回転軸17と、横切り刃18と、中間片19と、縦切り刃20とを具備する。横切り刃18、中間片19及び縦切り刃20は回転軸17が貫通して一体に連結され、取付部材16の嵌合溝16a内にスライド可能に嵌合する。
【0013】
横切り刃18は、取付部材16の溝16aに係合する凸状係合部18aに直線状刃先を有する刃頭部18bが連続している。凸状係合部18aの中央部には回転軸17を回転自在に貫通させる貫通孔18cが設けられている。また、横切り刃18の背部には係合ピン21により固定するための係合凹部18dが設けられている。
【0014】
中間片19は断面略凸状を成し、溝16aに係合する係合部19aの中央部に回転軸17を回転自在に貫通させる貫通孔19bが設けられている。中間片19は、常時取付部材16の嵌合溝16aに嵌合する。中間片19の背部には取付部材16と嵌合した状態で係止溝16d内に突出する係止突起となる係止ねじ19cが螺合する。この係止ねじ19cは、中間片19を取付部材16に嵌合させてから取付部材16の通孔16eを通して螺号させ、図3に示すように、先端が回転軸17に当接する。
【0015】
縦切り刃20は、溝14cに係合する凸状係合部20aから半円弧状刃先を有する刃頭部20bが連続している。凸状係合部20aの中央部には回転軸17を回転自在に貫通させる貫通孔20dが設けられている。また、縦切り刃20の背部には取付部材16の嵌合溝16aに沿って移動したとき所定位置で係合ピン21により固定するための係合凹部20dが設けられている。
【0016】
可動刃ユニット15は、固定刃ユニット14とほぼ同様にして、回転軸17と、横切り刃18と、中間片19と、縦切り刃20とを具備する。図3に示すように、可動刃ユニット15における横切り刃18及び縦切り刃20には係合凹部18d,20dが底部に設けられ、取付部材16を下方から貫通する係合ピン21に係止される。
【0017】
油圧プレス機12は、図3に示すように、フレーム13に油圧シリンダ22が一体に形成されており、可動刃ユニット15を油圧駆動するためのラム23が摺動可能に嵌合している。ラム23の一端部には可動刃ユニット15の取付部材16が固定される。油圧シリンダ22の両端部には、図示しない油圧ポンプが接続され、油圧制御によりラム23を図中左右方向に移動させて横・縦切り刃18,20を接近・離間動作させる。
【0018】
この引留クランプのジャンパー線接続部の切断装置においては、ガイドレール4の端部に配置した切断工具3の横切り刃18を引留クランプCのジャンパー線接続部C2側の先端部に合わせて、取付金具5を引留クランプC上に取り付ける。取付金具2においては、先ず、把持体7を開放しておき、把持部材7a,7bで引留クランプCを上下に挟み込むように把持体7を引留クランプCに覆わせ、フック部8bを把持部材7aの引っ掛け軸8cに掛けてからハンドル8を下方に回転させ、ストッパ8dにボルト留めする。次に、把持部材7a,7bに挿通したボルト10で引留クランプCを確実に固定する。このとき、ボルト10で引留クランプCを固定するし、把持体7の把持部材7a,7bの間隔を変更可能であるから、径寸法の異なる二種の引留クランプCに対応できる。
【0019】
本体3は、ガイドレール4上にガイド体11をスライドさせることにより切り込みを入れる位置を調整する。図6(A)乃至(C)に示すように、切断工具3は、油圧プレス機12を油圧駆動し、固定刃ユニット14に対して可動刃ユニット15を接近・離間動作させることにより横切り刃18,18で引留クランプCを両側から圧し、アルミスリーブC2に直線上の切り込みを入れる。このとき、固定刃ユニット14又は可動刃ユニット15の一方の横切り刃18又は縦切り刃20のみが引留クランプCに接触すると、引留クランプCに対して切断工具3と共にガイドレール4が相対移動するが、これに伴って取付金具2が直交レール5を溝5a方向にスライドするので、切り込み位置がずれたり、引留クランプCに無理な曲げ力が生じることがない。横切り刃18,18がアルミスリーブC2に食い込んで鋼クランプC1に接触すると、急上昇する油圧変化により、図示しない切替スイッチが動作し、油圧プレス12の圧縮動作を反転させて可動刃ユニット15が後退する。このようにしてアルミスリーブC2に切込みを入れ、切断工具3をガイドレール4上で取付金具2側へ移動させ、同様にして切り込みを延ばし、これを必要回数繰り返して、切り込みをジャンパー線接続部を過ぎる位置まで延長する。
【0020】
横切り刃18による横方向の切り込み後、図6(A)乃至(C)に示すように、縦切り刃20により縦方向の切り込みを入れるために、固定刃ユニット14及び可動刃ユニット15の縦切り刃20をセットする。図4の二点鎖線で示すように、軸18を中心に縦切り刃20を180°反転させ、横切り刃18に係止している係合ピン21を引っ込めて、回転軸17で一体となった横切り刃18、中間片19、縦切り刃20を取付部材16の嵌合溝16a内で移動させ、縦切り刃20に係合ピン21で係止してこの位置で縦切り刃20を固定し、軸18を中心に横切り刃18を180°反転させる。このとき、中間片19の係止ねじ19cが取付部材16の係止溝16dの両端で移動が規制されるので、回転軸17により一体となった横切り刃18、中間片19及び縦切り刃20が取付部材16から抜け落ちることがない。横方向の切り込みのほぼ先端部に縦切り刃20を位置合わせしてから、先と同様にして油圧プレス機12で油圧駆動することにより、縦切り刃20,20が引留クランプCを上下から圧し、アルミスリーブC2に縦方向の切り込みを入れる。縦切り刃20が突き当たると鋼クランプSのほぼ外周面に沿い、アルミ層にほぼ輪状の切り込みを入れる。アルミスリーブC2に食い込んで縦切り刃20が突き当たると、急上昇する油圧変化により、切替スイッチが動作し、油圧プレス12の圧縮動作を反転させて可動刃ユニット15が後退する。アルミスリーブC2のジャンパー線接続部は縦横の切り込みにより、手作業で引留クランプCからジャンパー線接続部を容易にはぎとることができる。
【0021】
他の実施形態を図7乃至図9に示す。なお、これらの図において、先の実施形態のものと同一の構成部分には同一の符号を付して説明を省略する。本体3のフレーム13には取っ手24が設けられている。取っ手24は棒状材によりフレーム13に沿ってほぼ平行方向の矩形に屈曲形成され、前後に延出するように一対設けられ、フレーム13の中間部でボルト止めされている。フレーム13には、使用時に引留クランプCに当接させることにより横切り刃の切り込み位置を保持するための位置決め部材25が設けられている。この位置決め部材25は、フレーム13上にねじ止めされる取付片26と、この取付片26に蝶番28を介して上下方向に回転可能に連結される伸縮片27とを備えている。伸縮片27は、蝶番28に固着された上部片27aに対して長手方向の長孔27cの範囲でこれを貫通する調整ねじ27dにより結合される下部片27bを備えている。伸縮片27は、引留クランプCに直交方向に当接するように、下部片27bの上部片27aに対する結合位置を調整ねじ27dにより変更することにより長さ調整可能になっている。
【0022】
この位置決め部材25は、引留クランプCへの横切り刃18の切り込み位置を決定してから伸縮片27を引留クランプCに当接させて調整ねじ27dを締め込み固定する。この状態で引留クランプCに下部片27bを押し当てれば、引留クランプCの所定位置に横切り刃18を保持でき、油圧プレス機12の駆動により横切り刃18,18で切り込みを入れることができる。この後、切り込みを延長するために横切り刃18,18をアルミスリーブC2に沿って延長方向にずらしても、位置決め部材25の伸縮片27が取付片26に対して蝶番28により自由に回転するので、アルミスリーブC2の大径部が伸縮片27接触してもその相対変位を難なく許容する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る切断装置の正面図である。
【図2】切断装置の側面図である。
【図3】本体の一部を切り欠いた正面図である。
【図4】本体の底面図である。
【図5】固定刃ユニットの分解斜視図である。
【図6】ジャンパー線接続部の切除作業の過程を示す説明図である。
【図7】他の実施形態の本体の正面図である。
【図8】他の実施形態の本体の側面図である。
【図9】位置決め部材の斜視図である。
【符号の説明】
【0024】
1 切断装置
2 取付金具
3 本体
4 ガイドレール
5 直交レール
6 ガイド部材
7 把持体
7a 把持部材
7b 把持部材
8 ハンドル
10 ボルト
11 ガイド体
12 油圧プレス機
14 固定刃ユニット
15 可動刃ユニット
16 取付部材
16d 係止溝
17 回転軸
18 横切り刃
19 中間片
19c 係止ねじ
20 縦切り刃
21 係合ピン
22 油圧シリンダ
23 ラム
25 位置決め部材
C 引留クランプ
C1 鋼クランプ
C2 アルミスリーブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼心アルミより線を引き留め、隣接する径間の相互を連係するジャンパー線を接続するために側方へ張り出すようにアルミスリーブに形成されたジャンパー線接続部を有する引留クランプのジャンパー線接続部を切断除去するための切断工具であって、
可搬式油圧プレス機に装着されて、油圧駆動によりアルミスリーブに軸線方向の切り込みを入れる対向一対の直線状横切り刃及び直交方向の切り込みを入れる対向一対の円弧状縦切り刃を備えるものにおいて、
前記縦切り刃及び横切り刃は、刃先を突き合わせる切込み動作位置から刃先が対向しない退避位置に、回転軸を中心に回転可能に支持され、いずれも一方の刃の切り込み動作を他方が妨げることなく配置できることを特徴とする引留クランプのジャンパー線接続部の切断装置。
【請求項2】
前記油圧プレス機に前記縦切り刃及び横切り刃を切り込みと直交する方向に移動可能に支持し、所定の前記切込み動作位置で択一的に係合する取付部材を備え、切込み動作を行う刃を選択できることを特徴とする請求項1に記載の引留クランプのジャンパー線接続部の切断装置。
【請求項3】
前記縦切り刃と横切り刃との間には前記回転軸を中心に回転可能に中間片が支持され、
前記取付部材には前記縦切り刃、横切り刃及び中間片が切り込みと直交する方向に移動可能に嵌合すると共に、中間片から突出した係止突起の移動を規制する係止溝を有し、取付部材から縦切り刃、横切り刃及び中間片の脱落を防止することを特徴とする請求項2に記載の引留クランプのジャンパー線接続部の切断装置。
【請求項4】
前記引留クランプに着脱可能な取付金具と、
この取付金具に引留クランプに沿って支持され、前記油圧プレス機を引留クランプと平行に移動可能にガイドするガイドレールとを具備することを特徴とする請求項1から3に記載の引留クランプのジャンパー線接続部の切断装置。
【請求項5】
前記ガイドレールには直交方向に延びて前記取付金具を移動可能にガイドする直交レールが設けられ、前記油圧プレスの圧縮駆動による前記縦切り刃又は横切り刃の切り込み動作に伴なって、前記取付金具がガイドレールに対して相対移動できることを特徴とする請求項4に記載の引留クランプのジャンパー線接続部の切断装置。
【請求項6】
前記取付金具は、前記引留クランプを受け入れるように対向し、一側を開閉可能に蝶着され、引留クランプの断面形状に対応する内面を備えた一対の把持部材と、
把持部材の相互間を引き寄せて閉鎖状態を保持するロックハンドルと、
先端が引留クランプの外周に当接するように把持部材に螺合するボルトとを具備することを特徴とする請求項5に記載の引留クランプのジャンパー線接続部の切断装置。
【請求項7】
前記油圧プレス機に、引留クランプへの横切り刃の切り込みと直交する方向に回転可能に枢着され、先端部を引留クランプ上に当接させるために長さ調整可能な位置決め部材を備え、引留クランプに対して横切り刃の切り込み位置を合わせた状態で引留クランプに当てがうことにより、切り込みと直交する方向について横切り刃を位置決めする一方、切り込みを延長するための引留クランプに沿った横切り刃の移動に伴う位置決め部材の移動が引留クランプ上の突出部に妨げられないことを特徴とする請求項1から3に記載の引留クランプのジャンパー線接続部の切断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−109801(P2008−109801A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−291364(P2006−291364)
【出願日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(591045541)岳南建設株式会社 (6)
【出願人】(592049542)株式会社ヒメノ (2)
【出願人】(391036921)川北電気工業株式会社 (4)
【出願人】(000001890)三和テッキ株式会社 (134)