説明

引込み可能なケーブルを有するコンピュータ物理的安全装置

端部にロック装置/ヘッドを有するケーブルを含む装置。ケーブルは、ハウジングに結合され、格納および携帯が容易になるようにハウジング内に引き込むことができる。ロック装置は、ハウジングと同一平面を形成するようにコンパートメント内に格納される。ロックと一緒にキーを使用する場合、好ましくは、装置を使用しないときにキーをハウジング内に格納することができる。




【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概してロック装置に関し、具体的には、引込み可能なケーブルを含むロック装置に関する。なお本出願は、2003年7月23日に出願され、COMPUTER PHYSICAL SECURITY DEVICE WITH RETRACTABLE CABLEという名称を有し、すべての目的について、本明細書に全文が記載された場合と同様に参照として本明細書に組み入れられる、米国特許仮出願第60/489,692号に対する優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
ユーザは、多数の異なる携帯電子装置を有することがある。たとえば、携帯電子装置としては、ラップトップ・コンピュータ、ポータブル・デジタル・アシスタンス(PDA)、デスクトップ・コンピュータ、フラット・スクリーンTV、Blackberry装置、Goodlink装置、デジタルカメラ、携帯音楽プレーヤー(たとえば、IPOD)などがある。これらの装置は通常、小形であるが非常に高価である。電子装置は、注意していないと容易に盗まれてしまい、また高価であるために盗まれる可能性が高い。したがって、これらの装置の盗難を防ぐために安全装置が開発されている。
【0003】
安全装置はケーブルまたはテザーを含むことが多い。ケーブルまたはテザーは通常、安全装置を静止(stationary)物体に固定するために、静止物体の周りに巡らされる。ケーブルは、使用されないときは輪状にして容易に格納することができる。一般に、ユーザはケーブルを輪状にするが、輪状にされたケーブルは、かなりの大きさを有し、ばらけたり、他の装置に絡まったりすることが多い。さらに、輪状にされたケーブルは、かさばり持ち運びにくいことがある。
【0004】
したがって、改良された安全装置が必要である。
【発明の開示】
【0005】
発明の概要
本発明は概して、引込み可能なケーブルを含む安全装置に関する。一態様では、安全装置は、携帯電子装置をロックするのに用いられる。安全装置は、ロック装置と、ロック装置に連結されたケーブルと、引込み機構を含むハウジングとを含む。引込み機構は、ロック装置がハウジングから延ばされるようにケーブルを延ばすのを可能にするように構成される。ケーブルは、静止物体の周りに巡らされ、次いで、ロック装置を携帯電子装置に取り付けることができる。次いで携帯電子装置が固定される。ロック装置は、携帯電子装置からロック解除し取り外すことができる。この場合、引込み機構は、ケーブルをハウジングに引き込むように構成される。したがって、ロック装置も引き込まれる。一態様では、ロックは、ハウジングの外面と同一平面を形成するように引き込むかまたはハウジングの外面内に引き込むことができる。
【0006】
一態様では、携帯電子装置用の安全装置が提供される。安全装置は、ロック装置と、ロック装置に連結されたケーブルと、引込み機構を含むハウジングとを含み、ロック装置がハウジングから延びて、携帯電子装置の盗難を防止するような様式で携帯電子装置に取り付けられうるようにケーブルが延ばされるように、引込み機構が構成され、引込み機構はさらに、ケーブルをハウジングに引き込むように構成される。
【0007】
他の態様では、携帯電子装置を固定するシステムが提供される。システムは、スロットを含む携帯電子装置と、ロック装置、ロック装置に連結されたケーブル、引込み機構を含むハウジングを含む安全装置とを含み、ロック装置がハウジングから延びて、携帯電子装置の盗難を防止するような様式で携帯電子装置に取り付けられうるようにケーブルが延ばされるように、引込み機構が構成され、引込み機構はさらに、ケーブルをハウジングに引き込むように構成される。
【0008】
他の態様では、携帯電子装置をロックする方法が提供される。この方法は、ハウジングに引き込むことのできるケーブルおよびハウジング装置を含むハウジングを含む安全装置を設ける段階と、ロック装置およびケーブルを安全装置のハウジングから延ばす段階と、ロック装置を携帯電子装置に取り付ける段階と、ロック装置をロックし、携帯電子装置の盗難を防止する段階と、ロック装置をロック解除する段階と、ロック装置およびケーブルをハウジングに引き込む段階とを含む。
【0009】
本明細書の残りの部分および添付の図面を参照することによって本明細書に開示された本発明の性質および利点をさらに理解することができる。
【0010】
発明の詳細な説明
図1Aおよび1Bは、本発明の一態様による安全装置100の様々な図を示している。示されるように、安全装置100は、ハウジング102とロック装置104とを含んでいる。一態様では、ハウジング102は、プラスチックや金属などの頑丈な材料で作られる。当業者には、他の材料を使用できることが理解されよう。一態様では、ハウジング102は、壊れにくい材料で作られている。この材料が壊れにくくする必要があるのは、以下に説明するように、ハウジング102を、携帯電子装置を固定する際に使用できるからである。
【0011】
一態様では、ハウジング102は、非常に薄い構成を有する。たとえば、長さLは最大で13cmであってよく、幅Wは最大で10cmであってよく、厚さTは最大で7.25cmであってよい。さらに、安全装置100の重量は約3.75ポンドである。3つの寸法について説明したが、当業者には、ハウジング102の他の寸法も理解されよう。
【0012】
一態様では、ロック装置104は携帯電子装置に取り付けられるように構成されている。携帯電子装置には、ラップトップ・コンピュータ、PDA、Blackberry装置、携帯電話、デジタルカメラ、平面型モニタ、テレビ、携帯音楽プレーヤーなどが含まれる。当業者には、使用できる他の携帯電子装置が理解されよう。携帯電子装置は主として移動可能であっても、静止していてもよい。たとえば、携帯電話は、動かせるという点で主として移動可能である。フラット・スクリーン・テレビは、頻繁には動かされないので主として静止している。しかし、テレビは移動させることができ、したがって、安全装置100を用いて盗難を防止することが必要になる場合がある。
【0013】
一態様では、ロック装置104は、セキュリティ・スロット(好ましくは、寸法が約3 mm x約7 mmであり、概ね矩形である)を用いる携帯電子装置に取り付けられるように構成されている。携帯電子装置は、ロック装置104が挿入されるセキュリティ・スロットを含んでいる。この場合、ロック装置104はセキュリティ・スロットをロックする。装置104を携帯電子装置にロックするプロセスについて以下に詳しく説明する。
【0014】
図1Aおよび1Bに示されているようにロック装置104はハウジング102に密閉されている。したがって、安全装置100は、ロック装置104が使用されていないときは小形構造を形成する。一態様では、ロック装置104はハウジング102の外面と同一平面を形成してよい。したがって、ロック装置104はハウジング102内に存在する。
【0015】
図2は、安全装置100の一態様の他の図である。安全装置100は、ロック装置104がハウジング102から延ばされた状態で示されている。ロック装置104はケーブル202に結合され、ケーブル202はハウジング102に結合されている。引込み機構(図示せず)は、ハウジング102に含まれ、ケーブル202に結合されている。
【0016】
一態様では、ケーブル202は強度の高い材料で作ることができる。たとえば、ケーブル202は、スチール、他の任意の金属、または他の任意の材料で形成することができる(たとえば、KevlarTM繊維またはポリpフェニレンテレフタミド繊維で作られたケーブル)。さらに、ケーブル202は、PVCケーブル・コーティングなどのケーブル・コーティングを含んでよい。ケーブル202の直径は、PVCコーティングがない場合は1.5mmであってよく、PVCコーティングがある場合は2.5mmであってよい。ケーブル202は、一態様では、少なくとも200ポンドの引張り力に耐えることができる。ケーブル202は、可変長であってよいが、一態様では長さが4フィートであってよい。これらの特性について述べたが、ケーブル202が他の特性を有してよく、たとえば、ケーブル202が異なる厚さを有してよいことが理解されよう。
【0017】
示されるように、ロック装置104とケーブル202はハウジング102から延ばされている。一態様では、押されたときにケーブル202とロック装置104を延ばすのを可能にするようなボタンを設けることができる。ボタンを放すと、ケーブルがロックされ、もはや延ばせなくなる。ボタンを再び押すと、ケーブル202とロック装置104をハウジング102に引き込むことができる。当業者には、各装置を使用してケーブル202を延ばし引込む他の方法が理解されよう。たとえば、ボタンは、ケーブル202を延ばすのを可能にし、ケーブル202を引き込ませる任意の解放機構であってよい。一態様では、ケーブル202を延ばすのを可能にする位置まで滑り、ケーブル202を引き込ませる位置まで滑る滑り可能なボタンを設けることができる。
【0018】
ケーブル202とロック装置104は、ハウジング102から延ばされたときに、物体204に周りに巡らせることができる。一態様では、物体204は静止物体であってよい。この場合、ロック装置104とケーブル202をハウジング102内のコンパートメント208を通すことができる。ロック装置104は、携帯電子装置206に取り付けられロックされる。一態様では、キー210、組合せ、または他のロック機構を使用してロック装置104をロック(またはロック解除)することができる。
【0019】
ロック装置104とケーブル202を完全静止物体204の周りに巡らせ、コンパートメント208を通過させることによって、ロック装置104を携帯装置206にしっかりと取り付けることができる。ユーザが携帯装置206を移動させようとした場合、安全装置100が携帯装置206の移動を制限する。したがって、ユーザは、携帯装置206がロックされている領域から携帯装置206を取り出すことはできない。ロック装置104をコンパートメント208を通過させることについて説明したが、携帯電子装置206を固定する他の方法を使用できることが認識されよう。たとえば、ハウジング102上の第2のループを、ロック装置104がこのループを通過するように設けることができる。さらに、ロック装置104が通過するようなループをケーブル202上に設けることができる。
【0020】
図3A、3B、および3Cは、本発明の一態様による安全装置100の様々な図を示している。示されるように、ロック装置104とケーブル202は引込み位置にある。
【0021】
ロック装置104とケーブル202は、様々な方法によってハウジング102に引き込むことができる。たとえば、押されるかまたは放されたときに、引込み機構にロック装置104とケーブル202をハウジング102に引込ませるボタンを設けることができる。さらに、引込み機構は、ケーブル202が静止位置にあるときにケーブル202をわずかに引くことによって、ケーブル202とロック装置104をハウジング102に引き込むように作動させることができる。
【0022】
示されるように、ロック装置102とケーブル202はハウジング102内に密閉されている。一態様では、ケーブル202はハウジング102内の引込み機構の周りに巻かれる。したがって、ケーブル202はハウジング102にコンパクトに格納される。
【0023】
ロック装置104はさらにハウジング102内に存在する。一態様では、ロック装置104はハウジング102の外面と実質的に同一平面を形成する。さらに、安全装置100にカバー302を含めることができる。カバー302は開閉可能である。
【0024】
カバー302を閉じると、カバー302がハウジング102を密閉し、したがって、ロック装置104がハウジング102内に完全に密閉される。図3Cは、カバー302が閉じられた安全装置100の態様を示している。示されるように、安全装置100は非常に小形である。
【0025】
カバー302は、安全装置100に含まれるように示されているが、カバー302を安全装置100に含めなくてもよいことが理解されよう。ロック装置104とケーブル202は、カバーなしでハウジング102内に配置することができる。たとえば、図2は、カバー302のない安全装置100を示している。
【0026】
図4は、本発明の一態様による安全装置100の分解図を示している。ハウジング102は、クラムシェル構成で形成することができ、第1の外側カバー406と第2の外側カバー414とを含んでいる。さらに、カバー302とロゴ領域402を外側ハウジング406または414に取り付けることができる。外側ハウジング406および/または414は、プラスチックや金属のような頑丈な材料で作ることができる。
【0027】
引込み装置407は、ロータ408と、コイリング装置410と、ベース412とを含んでいる。各部品は引込み機構407内に示されているが、引込み機構407が他の部品を含んでよく、あるいは異なる形態であってもよいことが理解されよう。引込み機構407は、ケーブル202とロック装置104をハウジング102に引き込むように構成されている。さらに、引込み機構407は、ケーブル202とロック装置104をハウジング102から延ばすのを可能にする。
【0028】
動作時には、ケーブル202がベース412の周りに巻かれる。ロータ408とコイリング装置410が旋回され、それによってケーブル202がベース412の周りに引込まれるようなばねを含めることができる。
【0029】
安全装置100の組立ては、ケーブル202を引込み機構407に結合する段階を含んでよい。一態様では、ケーブル202の第1の端部418をベース412に取り付けることができる。次いで、第2の端部420をロック装置104に結合することができる。第1の端部418をベース412に取り付け、第2の端部420をロック装置104に取り付けるのに任意の種類の接着剤を使用することができる。
【0030】
次いで、ロータ408とコイリング装置410とベース412互いに結合して引込み機構407を形成する。第2の外側ハウジング414は、引込み機構407に結合されるように構成されたペグ422を含んでよい。ペグ422は、ロータ408、コイリング装置410、およびベース412に形成された開口部を通過するように構成されている。ペグ422は、引込み機構407がペグ422の周りを回転するのを可能にする。ペグ422が、引込み機構407をハウジング102内に保持することのできる任意の種類の装置のような他の形態であってよいことが理解されよう。
【0031】
次いで、第1の外側ハウジング406と第2の外側ハウジング414を結合する。一態様では、クリップ416を使用して第1の外側ハウジング406と第2の外側ハウジング414を固定する。次いで、外側カバー302とロゴ領域402を第1の外側ハウジング406に結合することができる。一態様では、ねじを使用してカバー302とロゴ領域402を第1の外側ハウジング406に取り付けることができる。さらに、にかわなどの接着剤を使用することができる。さらに、キーまたは他の部材をハウジング102内に格納できるような格納領域をハウジング102に設けることができる。
【0032】
ばね・引込み機構407は、ロック装置104とケーブル202をハウジング102に完全に引き込むのに十分な強度を有している。さらに、ロック装置104とケーブル202は、ハウジング102から引き出されずに少なくとも200ポンドの引張り力に耐えることができる。
【0033】
引込み機構407は少なくとも1000サイクルに耐えるように構成することができる。1サイクルは、ケーブルを全長にわたって延ばし、カバー302を開き、ケーブルを装置に通し、ケーブル202を外し、ケーブル202を引き込むことであってよい。1000サイクルと述べたが、引込み機構407が任意のサイクル数に耐えてよいことが理解されよう。
【0034】
図5A〜5Eは、本発明の一態様による安全装置100を使用して携帯装置206を固定する方法を示している。図5Aに示されているように、ケーブル202をハウジング102から延ばす。次いで、ロック装置104とケーブル202を物体204の周りを巡らせる。この場合、物体204はテーブルであり、具体的にはテーブルの脚である。しかし、ロック装置104とケーブル202は、テーブルの下に送り、テーブル、椅子、またはほとんど動かせない他の任意の物体の穴を通過させるなど、他の装置の周りを巡らせることができる。
【0035】
次いで、ロック装置104とケーブル202をコンパートメント208に通す。一態様では、コンパートメント208は、使用されていないときにロック装置104を格納していたコンパートメントである。一態様では、カバー302を開き、ロック装置104とケーブル202をコンパートメントに挿入するのを可能にする。他の態様では、安全装置100はカバーを含んでいない。
【0036】
図5Bでは、ロック装置104が携帯装置206のスロット15に挿入されている。ロック装置104は、スロット15に挿入されるように構成されたスピンドル504を含んでいる。ロック装置104のスロット15へのロックについて以下に詳しく説明する。示されるように、キー210はロック装置104に挿入されている。この位置は、ロック装置104のロック解除位置である。
【0037】
図5Cは、携帯装置106にロックされたときのロック装置104を示している。一態様では、ロック装置104をスロット15に挿入する。次いで、キー210を旋回させる。キー210をある量旋回させると、T字形横材などの横材504がスロット15とずれる。横材504を携帯装置106とずらすことによって、ロック装置104を携帯電子装置206から取り外すのが防止される。横材504を、元の位置に戻さないかぎりスロット15から取り外せなくなるように旋回させる。したがって、ロック装置104のスロット15からの取外しが制限される。本発明の態様で使用するのに適した他の種類のロック装置について以下に説明する。
【0038】
図5Dでは、キー210がロック装置104から取り外されている。ロック装置104をキー210を使用せずに携帯装置206から取り外すことはできない。
【0039】
図5Eは、ロック装置104を携帯装置206に取り付けた状態を示している。示されるように、ケーブル202が、コンパートメント208を通して物体204の周りに巡らされ、携帯装置206に取り付けられている。ユーザが携帯装置206を移動させようとした場合、移動はケーブル202によって制限される。したがって、安全装置100を使用して携帯装置206の盗難を防止することができる。
【0040】
したがって、安全装置100は、引込み可能な携帯セキュリティ・ロックを構成する。ケーブルは、引込みが容易であり、セキュリティを確保しつつ持運びおよび移動を可能にする。ハウジングは、ロック機構の一部を形成することができ、したがって、2つの機能を実行する。この小形ロック構成は、携帯装置向けに構成され、他のポートを妨害することはない。ロック装置はさらに、携帯電子装置206のスロット502に取り付けられたときに優れたロック強度を実現する。
【0041】
ここではロック装置104の様々な態様を説明する。ロック装置104は多くの形態で構成することができる。適切なロック装置28が図7および図6の分解図に示されている。ロック装置28は、組み合わされるとハウジングを形成する中空のシェル90とノーズ・ピース92とを含んでいる。シェル90は、中空の円筒形内部空洞94を有すると共に、開口を有する一体的なプレート96を一端に有している。ピン98がノーズ・ピース92の開口(図示せず)に挿入され、シェル90のスロット102に係合している。ピン98は、許可なしで取付け機構を取り外そうとしたときに単にピンがはずれ、ノーズ・ピース92が、保護すべき構成部材へのロック装置の取付けに影響を与えずに自由に回転するように、ノーズ・ピース92にトルクがかけられたときにはずれるように構成されている。スロット102は、軸方向に細長く、したがって、シェル90とノーズ・ピース92との間の軸方向への移動は限られている。ノーズ・ピース92の前端部に、中央開口95を有するプレート93が設けられている。
【0042】
円筒形のカラー106は、シェル90の外側部分を形成し、プレート96およびノーズ・ピース92の後面108によって横方向に形成されるスロットを占有する。カラー106は、ケーブル32の一端を受け入れるようになっている開口112を含む一体的なタブ110を有している。ケーブル32は、あき端を形成するようにタブ110に挿入され、取り外せないように取り付けられる。
【0043】
スピンドル114は、シェル90内の円筒形ロック118内に受け入れられるようになっている円筒形部分116を有している。円筒形ロック118は、前部シリンダ119と後部シリンダ120とを含んでいる。ブラント・ピンまたは押しねじ121が、シェル90の開口125および後部シリンダ120の対応する開口123に挿入され、前部シリンダをシェル90に対して回転しないようにロックしている。これに対して、ピンまたは押しねじ127が、前部シリンダ119の比較的小さな開口129と、スピンドル114の円筒形部分116のスロット133の幅広部131に係合している。したがって、前部シリンダ119はスピンドル114に対して回転しないように固定されている。
【0044】
従来の円筒形のロックと同様に、通常、複数のピンが前部シリンダ119と後部シリンダ120との間に界面を形成しており、それによって、シリンダ同士が回転しないようにロックされ、したがって、ロック・シェル90とスピンドル114との相対的な回転が防止される。しかし、キー210を、シェル90の開口を有するプレート96を通して挿入し、前部シリンダ119に係合させることができる。正しいキー210は、シリンダ119とシリンダ120との間を通過するピンを押し下げ、したがって、このようなピンはシリンダ同士の間の界面を形成せず、シリンダ同士が互いに回転するのを可能にするように配置されたボスを有している。このように、スピンドル114は、適切なキー210が挿入され回転させられたときにのみシェル90に対して回転することができる。
【0045】
スピンドル114は、シャフト122を含むと共に、シャフトの自由端の所に横材124も含んでいる。当接機構126は、ノーズ・ピース92内に嵌るようになっている当接プレート128と、開口95を通して外側に延びるようになっている一対のピン130とを有している。ばね132が、当接プレート128とノーズ・ピース92との間に配置され、スピンドル114の円筒部116と当接プレートを後方に偏らせている。当接プレート126は、横材124が開口プレートを貫通して延びるのを可能にする細長い開口134を有している。プラスチック・ブッシング136がプレート93の表面に固定され、したがって、この機構が、それが取り付けられた機器を傷つけることはない。
【0046】
ロック装置28が機器の外壁137に挿入された状態が図8Aおよび8Bに示されている。壁136はスロット138を有している。横材124の周囲寸法と、ピン130とシャフト122の組合せの周囲寸法は、横材が、概ね矩形であり、真っ直ぐな側面と半円形の端部を有するような寸法である。好ましい態様では、横材124の長い寸法は6.75mmであり、一方、短い寸法は2.75mmであり、それぞれ、スロット138の対応する寸法よりもわずかに小さい。ピン130とシャフト122の周囲寸法はさらに、スロット138の内部寸法に厳密に一致している。横材124と同様に、シャフト122内のピン130の長い寸法は6.75mmであり、短い寸法は2.75mmである。簡単に言えば、ロック装置28は、ロック装置12と同じスロットに嵌るように構成されている。
【0047】
図8Aに示されているように、横材124はピン30に揃っており、したがって、横材をスロット138に挿入することができる。横材を完全に挿入すると、スロット内の空間はピン130およびシャフト122によってほぼ占有される。必要に応じて、プレート96を押し下げてスピンドル114の円筒部をばね132に押し付けることができる。横材124をスロット138に完全に挿入した後、ロック機構11B(図7参照)に係合しているキー140を使用してスピンドルを90°回転させ、横材124とスロット138をずらすことができる。
【0048】
動作時には、ロック装置12とロック装置28の両方を、特別に構成されたスロット72、138を有するコンピュータまたはその他の機器に取り付ける。まず、横材54、124をピン60、130に揃え、横材をスロットに挿入できるようにする。次いで、スピンドル46、114をハウジングに対して回転させ、横材54、124をスロットに対してずらす。この状態で、ケーブルを第1の態様の合わされたスロット16、48に通すか、または第2の態様のキー140を使用することによってスピンドルをロックする。いずれの場合も、適切なキー24、140を有していない者がロック装置を取り外すことは極めて困難である。許可なしでコンピュータ構成部材からロック装置を取り外そうとすると、たいていの場合コンピュータ・ハウジングが著しく損傷し、コンピュータを再販売するのが難しくなり、盗難の可能性が大幅に低くなる。
【0049】
ロック装置104の他の態様はさらに、米国特許第6,006,557号および米国特許第5,202,989号に記載されている。さらに、他の例、すなわち米国特許第6,321,579号では、ロック装置104はタブおよびフック・アームを含んでよい。タブおよびフック・アームはスロットに挿入されるように構成される。フック・アームは、スロットに挿入された後、スロットの内面をつかまえるようにピボット運動させることができる。したがって、ロック装置は、スロット内に固定され、取り外すことはできない。他のロック装置は米国特許第6,591,642号に記載されている。このロック装置は、携帯電子装置のセキュリティ・スロットに挿入されるL字形フックを含んでいる。この場合、ユーザは、装置の端部の所のボタンまたはシリンダを押してボルトを押し出して、セキュリティ・スロットにフックを挿入し、それによってロック装置を携帯電子装置に固定する。
【0050】
ロック装置をロック解除する場合、フック・アームを反対方向にピボット運動させ、フック・アームをスロットの内面から分離する。次いで、ロック装置を取り外すことができる。
【0051】
本発明の各態様はいくつかの利点を有する。第1に、本発明の各態様は、携帯装置用の安全装置を格納する適切な方法をユーザに提供する。これは、旅行中であり、長いケーブルをばらしてカバンまたはスーツケースに混然としまいこむことを望まないユーザに特に有用である。第2に、本発明の各態様は、いくつかの問題に対処する単一の解決策を提供する。たとえば、上記に示したように、ハウジングは、安全装置用のケーブル・ロック装置を格納するのに使用すると共に、安全装置を使用して携帯装置をロックするときに安全装置の一部として使用することができる。本発明の各態様では、ケーブルおよびロック装置の格納用とロック機能の実行用の別々の装置は必要とされない。したがって、本発明の各態様は、携帯装置をロックするコンパクトで効率的な方法をユーザに提供する。
【0052】
すべての上記の特許、特許出願、および文献は、すべての目的について、それらが本明細書に存在する場合と同様に参照として全体的に本明細書に組み入れられる。
【0053】
上記の説明は例示的なものであり制限的なものではない。当業者には、本開示を検討したときに、本発明の多数の変形態様が明らかになろう。したがって、本発明の範囲は、上記の説明を参照して判定すべきではなく、特許請求の範囲をその全範囲および均等物と一緒に参照して判定すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】図1Aおよび図1Bは、本発明の一態様による安全装置の様々な図である。
【図2】安全装置の一態様の他の図である。
【図3】図3A、図3B、および図3Cは、本発明の一態様による安全装置の様々な図である。
【図4】本発明の一態様による安全装置の分解図である。
【図5】図5A〜図5Eは、本発明の一態様による安全装置を用いる携帯装置を固定する方法を示す図である。
【図6】本発明の一態様によるロック装置の様々な図である。
【図7】本発明の一態様によるロック装置の様々な図である。
【図8】本発明の一態様によるロック装置の様々な図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロック装置;
ロック装置に連結されたケーブル;および
引込み機構を含むハウジング
を含む、携帯電子装置用の安全装置であって、
ロック装置がハウジングから延びて、携帯電子装置の盗難を防止するような様式で携帯電子装置に取り付けられうるようにケーブルが延ばされるように、引込み機構が構成され、
引込み機構がさらに、ケーブルをハウジングに引き込むように構成された、安全装置。
【請求項2】
ロック装置が、ケーブルがハウジングに引き込まれたときにハウジングと実質的に同一平面を形成する、請求項1記載の安全装置。
【請求項3】
ロック装置が、ケーブルがハウジング内に引き込まれたときにハウジング内に位置する、請求項1記載の安全装置。
【請求項4】
ケーブルが、引込み機構によってハウジング内に巻かれる、請求項1記載の安全装置。
【請求項5】
ケーブルが、ロック装置が使用されていないときにハウジング内に引き込まれる、請求項1記載の安全装置。
【請求項6】
ロック装置を携帯電子装置にロックするのに使用できるキーをさらに含む、請求項1記載の安全装置。
【請求項7】
ハウジング内にキー・コンパートメントをさらに含む、請求項6記載の安全装置であって、キー・コンパートメント内にキーが嵌められる、安全装置。
【請求項8】
ハウジングがコンパートメントを含み、かつ、ロック装置およびケーブルが、ロック装置を携帯電子装置にロックする際にコンパートメントを通って輪になることができる、請求項1記載の安全装置。
【請求項9】
コンパートメントが、ロック装置およびケーブルがハウジング内に引き込まれたときにロック装置を格納するのに使用される、請求項8記載の安全装置。
【請求項10】
ハウジング内にキー・コンパートメントをさらに含む、請求項1記載のシステム装置であって、キー・コンパートメント内にキーが嵌められる、システム装置。
【請求項11】
ロック装置が、ラップトップ・コンピュータ、デスクトップ・コンピュータ、ポータブル・デジタル・アシスタント(PDA)、Blackberry装置、携帯電話、デジタルカメラ、平面型モニタ、テレビ、および携帯音楽プレーヤーのうちの少なくとも1つをロックするように構成される、請求項1記載の安全装置。
【請求項12】
ロック装置は、携帯電子装置のスロットをロックするように構成される、請求項1記載の安全装置。
【請求項13】
ハウジングが、最大で13cm、10cm、7.25cmの寸法(長さ、幅、厚さ)を含む、請求項1記載の安全装置。
【請求項14】
スロットを含む携帯電子装置;
ロック装置、ロック装置に連結されたケーブル、および引込み機構を含むハウジングを含む安全装置
を含む、携帯電子装置を固定するためのシステムであって、
ロック装置がハウジングから延びて、携帯電子装置の盗難を防止するような様式で携帯電子装置のスロットに取り付けられうるようにケーブルが延ばされるように、引込み機構が構成され、
引込み機構がさらに、ケーブルをハウジングに引き込むように構成された、システム。
【請求項15】
ロック装置をロックするように構成されたキーをさらに含む、請求項14記載のシステム。
【請求項16】
ハウジング内にキー・コンパートメントをさらに含む請求項15記載のシステムであって、キーがキー・コンパートメント内に嵌められる、システム。
【請求項17】
静止(stationary)物体をさらに含む、請求項14記載のシステムであって、ケーブルが、携帯電子装置の盗難を防止するような様式で静止物体の周りに巡らされる、システム。
【請求項18】
ロック装置が、ケーブルがハウジングに引き込まれたときにハウジングと実質的に同一平面を形成する、請求項14記載のシステム。
【請求項19】
ロック装置が、ケーブルがハウジング内に引き込まれたときにハウジング内に位置する、請求項14記載のシステム。
【請求項20】
ケーブルが、ロック装置が使用されていないときにハウジング内に引き込まれる、請求項14記載のシステム。
【請求項21】
ハウジングがコンパートメントを含み、かつ、ロック装置およびケーブルが、ロック装置を携帯電子装置にロックする際にコンパートメントを通って輪になることができる、請求項21記載のシステム。
【請求項22】
コンパートメントが、ロック装置およびケーブルがハウジング内に引き込まれたときにロック装置を格納するのに使用される、請求項21記載の安全装置。
【請求項23】
携帯電子装置が、ラップトップ・コンピュータ、デスクトップ・コンピュータ、ポータブル・デジタル・アシスタント(PDA)、Blackberry装置、携帯電話、デジタルカメラ、平面型モニタ、テレビ、および携帯音楽プレーヤーのうちの少なくとも1つを含む、請求項14記載のシステム。
【請求項24】
ハウジングが、最大で13cm、10cm、7.25cmの寸法(長さ、幅、厚さ)を含む、請求項14記載のシステム。
【請求項25】
以下の段階を含む、携帯電子装置をロックする方法:
ハウジングに引き込むことのできるケーブルおよびロック装置を含むハウジングを含む安全装置を設ける段階と、
ロック装置およびケーブルを安全装置のハウジングから延ばす段階;
ロック装置を携帯電子装置に取り付ける段階;
ロック装置をロックする段階であって、携帯電子装置の盗難を防止する段階;
ロック装置をロック解除する段階;ならびに
ロック装置およびケーブルをハウジングに引き込む段階。
【請求項26】
ロック装置が、ハウジングと実質的に同一平面を形成するように引き込まれる、請求項25記載の方法。
【請求項27】
ロック装置が、完全にハウジング内に入るように引き込まれる、請求項26記載の方法。
【請求項28】
ハウジング内に存在するキー・コンパートメント内にキーを配置する段階をさらに含む、請求項25記載の方法。
【請求項29】
ロック装置およびケーブルを、静止物体の周りに巡らす段階をさらに含む、請求項25記載の方法。
【請求項30】
ロック装置を携帯電子装置に取り付ける前に、ロック装置およびケーブルを、ハウジング内のコンパートメントを通過させる段階をさらに含む、請求項29記載の方法。
【請求項31】
携帯電子装置が、ラップトップ・コンピュータ、デスクトップ・コンピュータ、ポータブル・デジタル・アシスタント(PDA)、Blackberry装置、携帯電話、デジタルカメラ、平面型モニタ、テレビ、および携帯音楽プレーヤーのうちの少なくとも1つを含む、請求項25記載の方法。
【請求項32】
ハウジングが、最大で13cm、10cm、7.25cmの寸法(長さ、幅、厚さ)を含む、請求項25記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2006−528392(P2006−528392A)
【公表日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−521237(P2006−521237)
【出願日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【国際出願番号】PCT/US2004/023593
【国際公開番号】WO2005/010303
【国際公開日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(506024319)アコ ブランズ インコーポレーティッド (1)