説明

強制循環型太陽熱温水器

【課題】循環装置による熱媒の単位時間当りの循環量を変更することにより、太陽光の受光量が多い場合において、放熱損失と集熱性能の低下を回避するとともに、太陽光の受光量が少ない場合において、熱媒による貯湯タンクにおける熱吸収を回避できる強制循環型太陽熱温水器を提供することを課題とする。
【解決手段】
本発明の強制循環型太陽熱温水器1は、太陽熱により熱媒を加熱する集熱板2と、熱媒Nにより加熱される水を貯める貯湯タンク4と、集熱板2と貯湯タンク4との間で熱媒Nを循環させる循環ポンプ6と、循環ポンプ6の稼働及び停止と、循環ポンプ6が熱媒Nを循環させる単位時間当りにおける量である瞬間熱媒循環量とを制御する制御部9と、を備え、循環ポンプ6による瞬間熱媒循環量が変更することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、強制循環型太陽熱温水器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、貯湯タンク内の水を加熱する温水器として、集熱板が受けた太陽熱を利用して熱媒を加熱し、その加熱された熱媒を貯湯タンク内に循環させて、貯湯タンク内の水を加熱する太陽熱温水器が広く知られている。
また、従来の太陽熱温水器において、集熱板と貯湯タンクとの間で熱媒を循環させる方法に関し、自然循環型と強制循環型との2種類があり、その一つである強制循環型は、屋根上に設置された集熱板と地面に設置された貯湯タンクの間で、循環ポンプなどの循環装置により強制的に循環させる方法である。
【0003】
そして、従来技術の強制循環型太陽熱温水器に関し、下記特許文献に開示されるように、集熱板内にある熱媒の温度と貯湯タンク内の水の温度を検出する温度検出器がそれぞれ設けられており、貯湯タンク内の水の温度に比べ、集熱板内にある熱媒の温度が所定の温度分だけ高い場合に、循環ポンプを稼働させて、熱媒の循環を行っていた。
【0004】
また、循環ポンプの稼働により循環する熱媒の単位時間当りの量は、集熱板が熱媒を加熱する単位時間当りの加熱量と、貯湯タンクにおいて熱媒が放熱できる放熱量との相関関係が最も良い効率となる循環量となるように予め設定されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−044952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の強制循環型太陽熱温水器によれば、循環ポンプの稼働により循環する熱媒の単位時間当りの量が予め設定されていたため、以下のような問題が生じていた。
【0007】
例えば、太陽が南中にあり、一日において最も太陽から集熱量が多い時間帯においては、集熱板の受光量が多く、熱媒を加熱できる熱量も多い。よって、集熱板内においては、加熱されて循環可能な熱媒の量も増加することとなる。
しかしながら、従来の強制循環型太陽熱温水器によれば、熱媒の単位時間当りの循環量が一定であったため、循環されずに集熱板内に滞留し、放熱してしまうという問題があった。さらに、熱媒が集熱板に滞留していることにより、集熱板による集熱性能が低下するという問題があった。
【0008】
一方で、従来の強制循環型太陽熱温水器によれば、例えば、太陽が南中を過ぎ、集熱板の受光量が減少した場合、熱媒を加熱できる熱量が少なくなる。よって、予め設定された単位時間当りの循環量で熱媒を循環させることができないため、循環装置を停止させることとなる。
ここで、循環装置の停止により、熱媒が集熱板と貯湯タンクと間を循環するための接続配管内にある熱媒が外気により冷やされてしまい、貯湯タンク内の水温よりも低くなることがあった。そのため、循環装置を再稼働した場合に、温度が低下した熱媒が貯湯タンクの加熱された水から熱量を奪ってしまうという問題があった。
【0009】
そこで、本発明は、前記問題に鑑みて創案された発明であって、循環装置による熱媒の単位時間当りの循環量を変更することにより、太陽光の受光量が多い場合において、放熱損失と集熱性能の低下を回避するとともに、太陽光の受光量が少ない場合において、熱媒による貯湯タンクにおける熱吸収を回避できる強制循環型太陽熱温水器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の強制循環型太陽熱温水器は、太陽熱により熱媒を加熱する集熱板と、前記熱媒により加熱される水を貯める貯湯タンクと、前記集熱板と前記貯湯タンクとの間で前記熱媒を循環させる循環装置と、前記循環装置の稼働及び停止と、前記循環装置が熱媒を循環させる単位時間当りにおける量である瞬間熱媒循環量とを制御する制御部と、を備え、前記循環装置による前記瞬間熱媒循環量が変更されることを特徴とする。
【0011】
請求項1に記載の強制循環型太陽熱温水器によれば、制御部が、集熱板と貯湯タンクとの間で循環する単位時間当りの熱媒量を変更させることができる。よって、多くの太陽熱が集熱板に集熱したとしても、瞬間熱媒循環量を増加させることにより、循環可能にも関わらず集熱板に滞留する熱媒を減少させることができる。そして、集熱板に滞留する熱媒が減少することにより、放熱の減少化、及び、集熱板の集熱性能の低下の低減化を図ることができる。
一方で、太陽熱の減少により集熱板内の熱媒を加熱する熱量が減少した場合には、瞬間熱媒循環量を減少させる。これによれば、循環装置を停止させることないため、接続配管内の熱媒の温度低下を抑止することができ、温度が低下した熱媒が貯湯タンクにおける熱吸収を回避することができる。
【0012】
また、請求項2に記載の強制循環型太陽熱温水器は、前記集熱板内の熱媒の温度を検出する熱媒温度検出器と、前記貯湯タンクに貯水された水の温度を検出する水温検出器と、をさらに備え、前記制御部は、前記循環装置を稼働又は停止させるとともに、前記循環装置の前記瞬間熱媒循環量を変更させる循環装置制御部と、前記熱媒温度検出器により検出された熱媒の温度から、前記水温検出器により検出された水温の温度を差し引いて、前記熱媒と貯湯タンクの水温との温度差である差温値を算出する算出部と、前記循環装置停止時において、前記算出部が算出した差温値と所定値である第1差温値を比較して、前記差温値が第1差温値以上の場合に、所定の単位時間当りの循環量である第1循環量を循環させるように、前記循環装置制御部に制御信号を送信する稼働判断部と、前記循環装置稼働中において、前記算出部が算出した差温値に基づいて、前記差温値により前記集熱板に熱量がない場合に、循環装置が停止するように前記循環装置制御部に制御信号を送信する停止判断部と、前記循環装置稼働中において、前記差温値と前記第1差温値よりも大きい第2差温値とを比較し、前記差温値が第2差温値よりも大きい場合に、前記第1循環量よりも所定の単位時間当りの循環量が多い第2循環量を循環させ、一方で、前記差温値と前記第1差温値よりも小さい第3差温値とを比較し、前記差温値が第3差温値よりも小さい場合には、前記第1循環量よりも所定の単位時間当りの循環量が少ない第3循環量を循環させるように、制御信号を前記循環装置制御部に送信する循環量変更部と、前記第1循環量、前記第2循環量、前記第3循環量と、前記第1差温値、前記第2差温値、前記第3差温値とを記憶する記憶部とを備え、前記循環装置制御部が前記循環量変更部から送信される制御信号に対応して、前記循環装置の前記瞬間熱媒循環量を変更することを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載の強制循環型太陽熱温水器によれば、差温値が第1差温値以上の場合、つまり、熱媒が貯湯タンク内の水を加熱可能な場合に、循環装置制御部が循環装置を稼働させる。
よって、貯湯タンクには、貯湯タンク内の水よりも第1差温高い熱媒が第1循環量分循環されて、貯湯タンク内の水を加熱することができる。
なお、ここでいう「第1循環量」とは、集熱板が熱媒を加熱する単位時間当りの加熱量と、貯湯タンクにおいて熱媒が放熱できる放熱量との相関関係が最も良い効率となる循環量を示す。また、「第1差温値」とは、第1循環量により熱媒の循環させた場合に必要とされる貯湯タンク内の水と集熱板内の熱媒との温度差である。
【0014】
また、請求項2の強制循環型太陽熱温水器によれば、稼働中において、差温値が第2差温値よりも大きい場合、第1循環量よりも多い第2循環量を循環させる。
ここで、熱媒が第2差温値よりも大きい場合とは、集熱板に集熱する熱量が多く、集熱板が集熱板内にある熱媒を加熱する加熱速度に比べて、熱媒の循環量である第1循環量が少ない場合である。
従って、第1循環量よりも多い第2循環量を循環させることにより、熱媒が循環されずに集熱板内に滞留し、放熱してしまうという問題を回避できる。また、さらに、熱媒が集熱板に滞留していることもないため、集熱板による集熱性能が低下するという問題も回避することができる。
【0015】
一方で、請求項2の強制循環型太陽熱温水器によれば、稼働中において、差温値が第3差温値よりも小さい場合、第1循環量よりも少ない第3循環量を循環させる。
ここで、差温値が第3差温値よりも小さい場合とは、集熱板に集熱する熱量が少なく、集熱板が集熱板にある熱媒を加熱する加熱速度に比べて、熱媒の循環量である第1循環量が多い場合である。
従って、第1循環量よりも少ない第3循環量を循環させることにより、第1循環量を循環する場合に比べて、熱媒が集熱板に滞留する時間が長くすることができる。
また、第1循環量よりも少ないものの、熱媒が循環しているため、熱媒接続配管内に留まり外気により冷やされて、貯湯タンク内の水温以下に低下することを回避できるため、熱媒が貯湯タンク内の水の熱吸収をするという問題を回避することができる。
【0016】
また、請求項3に記載の強制循環型太陽熱温水器は、前記貯湯タンク内に流入する熱媒の温度を検出する流入用温度検出部と、前記貯湯タンク内で放熱した熱媒の温度を検出する流出用温度検出部と、を備え、前記記憶部は、前記貯湯タンクに流入した熱媒が放熱する所定の放熱量である標準放熱量が記録されており、さらに、前記制御部は、前記循環装置の稼働中に、前記流入用温度検出部により検出された熱媒の温度から、前記流出用温度検出部により検出された熱媒の温度を差し引き、貯湯タンクにおける放熱量である放熱値を算出する放熱値算出部と、前記放熱値算出部により算出された放熱値と前記記憶部に記録された標準放熱値とを比較し、前記放熱値が標準放熱値よりも小さい場合に、前記瞬間熱媒循環量を減少させるように、前記循環装置制御部に制御信号を送信する第2循環量変化部を備えることを特徴とする。
【0017】
請求項3に記載の強制循環型太陽熱温水器によれば、放熱値算出部が、放熱値と標準放熱値とを比較する。そして、第2循環量変化部が、放熱値が標準放熱値よりも低いと判断した場合、つまり、放熱効率が低い場合には、瞬間熱媒循環量を減少させるように、循環装置制御部に制御信号を送るため、循環装置による瞬間熱媒循環量が減少し、貯湯タンク内での放熱効率を高めることが可能となる。
【0018】
また、請求項4に記載の前記強制循環型太陽熱温水器は、前記太陽熱により加熱された前記集熱板の温度を検出する集熱板温度検出部を備え、前記記憶部は、循環装置が稼働中における集熱板の温度と集熱板内の熱媒の温度との所定の温度差である標準温度差値が記録されており、前記制御部は、集熱板温度検出部により検出された前記集熱板の温度から、前記流出用温度検出部により検出された熱媒の温度を差し引いて、集熱板から熱媒に伝導していない残留熱量である残留熱量値を算出する残留熱量値算出部と、前残留熱量算出部が算出した残留熱量値と前記記憶部に記憶された標準温度差とを比較して、前記残留熱量値が前記標準温度差よりも大きい場合に、前記瞬間熱媒循環量を減少させるように、前記循環装置制御部に制御信号を送信する第3循環量変化部を備えることを特徴とする。
【0019】
請求項4に記載の強制循環型太陽光温水器によれば、残留熱量値算出部が集熱板から熱媒に伝導していない残留熱量値を算出する。
そして、その算出された残留熱量値と標準的な集熱板の温度と集熱板内の熱媒の温度差である標準温度差と比較し、残留熱量値が標準温度差よりも大きいか否かを判断する。
ここで、残留熱量値が標準温度差よりも大きい場合とは、集熱板に熱用があるにも関わらず、熱媒の方に伝導していない場合である。
よって、第3循環残留熱量値が標準温度差よりも大きいと判断した場合に、瞬間熱媒循環量を減少させるように、循環装置制御部に制御信号を送信し、瞬間熱媒循環量を減少させるため、熱媒が集熱板内に滞留する時間が長くなり、集熱板から熱媒への熱伝達効率を高めることが可能となる。
【0020】
また、請求項5に記載の強制循環型太陽光温水器は、前記循環装置が、供給される電力の大きさに比例して回転数が変化する循環ポンプであり、前記制御部は、太陽光を受けて電力に変換し、前記電力を循環ポンプに供給する太陽電池であることを特徴とする。
【0021】
請求項5に記載の強制循環型太陽光温水器によれば、循環ポンプの回転数、つまり、瞬間熱媒循環量は、太陽電池の受光量に対応することとなるため、受光量が多い場合には、瞬間熱媒循環量が多くなり、一方で、受光量が少ない場合には、瞬間熱媒循環量が少なくなる。
よって、集熱板の集熱量も多い場合には、瞬間熱媒循環量が多いため、循環可能な熱媒が集熱板に滞留して放熱するという問題を回避することができるとともに、集熱板による集熱性能が低下するという問題も回避することができる。
一方で、集熱板の集熱量も少ない場合には、少ないもの熱媒が循環しているため、熱媒接続配管内に留まり外気により冷やされて、貯湯タンク内の水温以下に低下することを防止でき、熱媒が貯湯タンク内の水の熱吸収をするという問題を回避することができる。
【発明の効果】
【0022】
以上、本発明によれば、太陽光の受光量が多い場合において、放熱損失と集熱性能の低下を回避するとともに、太陽光の受光量が少ない場合において、熱媒による貯湯タンクにおける熱吸収を回避できる強制循環型太陽熱温水器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1実施形態に係る強制循環型太陽熱温水器を示す全体図である。
【図2】第1実施形態の制御部の構成を示す構成図である。
【図3】第1実施形態の強制循環型太陽熱温水器の運転方法を示すフローチャートである。
【図4】変更例における強制循環型太陽熱温水器を示す全体図である。
【図5】変更例の制御部の構成を示す構成図である。
【図6】第2実施形態の強制循環型太陽熱温水器を示す全体図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、第1実施形態に係る強制循環型太陽熱温水器1について、図面を適宜参照しながら説明する。
第1実施形態に係る強制循環型太陽熱温水器1は、図1に示すように、集熱板2と、熱交換器3を備えた貯湯タンク4と、接続配管5a、5bと、循環ポンプ6と、集熱板2内に設けられた熱媒温度検出器7と、貯湯タンク4内に設けられた水温検出器8と、循環ポンプ6の稼働を制御する制御部9とを備えてなる。
【0025】
集熱板2は、パネル状の箱体であり、接続配管5bから流入した熱媒Nが滞留するとともに、接続配管5aから熱媒Nが流出可能となっている。また、集熱板2は、住宅の屋根など太陽光を受光し易い箇所に設置されており、太陽熱により集熱板2内の熱媒Nを加熱する。なお、本発明の集熱板2については特に限定されるものでなく、例えば、集熱板2が真空のガラス管により構成されてもよい。これによれば、真空のガラス管の内部にあり、加熱された熱媒の熱が放熱し難いという利点がある。なお、本発明においては、熱媒Nについても特に限定されるものでなく、不凍液や水などの流体であればよい。
【0026】
貯湯タンク4は、タンク状の密閉容器であり、容器内の下部側に熱交換器3が設けられている。そして、貯湯タンク4に貯められた水は、熱交換器3内に流入した熱媒Nに加熱されて、貯湯タンク4内の上部側に移動する。また、貯湯タンク4は、上部側に給湯用配管10が設けられており、必要に応じて、住宅内の浴槽等に給湯される。一方で、貯湯タンク4は、下部側に給水用配管11が配設されており、給湯用配管10を介して、給湯された量と同等の量の給水が可能となっている。
【0027】
接続配管5aは、集熱板2の上部側と、貯湯タンク4に設けられた熱交換器3とを接続する配管である。また、接続配管5aには、集熱板2により加熱された熱媒Nを貯湯タンク4内に流入するための循環ポンプ6が設けられている。
一方で、接続配管5bは、貯湯タンク4に設けられた熱交換器3と、集熱板2の下部側とを接続する配管であって、熱交換器3で放熱した熱媒Nを貯湯タンク4内に流入されるための配管である。これにより、熱媒Nが集熱板2と熱交換器3と接続配管5a、5bとを循環する循環路が形成される。
【0028】
循環ポンプ6は、稼働することにより、接続配管5a、5bを介して、集熱板2にある熱媒と貯湯タンク4内にある熱媒とを循環させるための装置である。
また、本実施形態の循環ポンプ6は、回転数を制御可能なサーボモータを備えており、このサーボモータの回転数を制御することにより、循環させる熱媒Nの単位時間当りの量(以後、「瞬間熱媒循環量」と称する。)を制御することができる。なお、本実施形態において、循環装置として循環ポンプ6を用いているが、開閉することにより循環量を変更可能なバルブなどであってもよい。
【0029】
熱媒温度検出器7は、集熱板2内であって上部側に設けられており、集熱板2内の加熱された熱媒Nの温度Tを検出する。一方、水温検出器8は、貯湯タンク4の下部側に設けられ、貯湯タンク4内に貯水された水の温度Tを検出する。
また、熱媒温度検出器7と水温検出器8は、常時温度を検出しており、検出した温度データを制御部9に送信する。
【0030】
制御部9は、熱媒Nの温度Tから貯湯タンク4内の水の水温Tを差し引いて差温値ΔTを算出する算出部12と、算出された差温値ΔTに基づいて循環ポンプ6を稼働させるか否かを判断する稼働判断部13と、算出された差温値ΔTに基づいて稼働している循環ポンプ6を停止させるか否かを判断する停止判断部14と、算出された差温値ΔTから、瞬間熱媒循環量を変更するか否かを判断する循環量変更部15と、循環ポンプ6の稼働及び停止と循環ポンプ6の瞬間熱媒循環量の変更を行なう循環ポンプ制御部16と、差温値T等とそれに対応する瞬間熱媒循環量とを記憶する記憶部17と、を備えている。
ここで、稼働判断部13は、循環ポンプ6が停止している場合に機能し、停止判断部14と循環量変更部15は、循環ポンプ6が稼働中に機能する。一方で、算出部12と循環ポンプ制御部16は、循環ポンプの稼働及び停止に関わらず、常時機能する。
なお、制御部9を構成する各機能は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read-Only Memory)、プログラム等によって実現される。
【0031】
稼働判断部13は、循環ポンプ6の停止中において、算出部12により算出された差温値ΔTと、記憶部17に記録された所定値である第1差温値Tとの比較を行ない、瞬間熱媒循環量を所定量である第1循環量として、循環ポンプ6を稼働するか否かを決定する。
ここで、所定量である「第1循環量」とは、集熱板2における加熱と貯湯タンク4における放熱との相関関係において、最も効率良い熱交換ができる単位時間当りの循環量であり、用いられる集熱板2の集熱率や熱交換器3の熱交換率により相対的に決定されるものである。
また、所定値である「第1差温値」とは、前述する第1循環量、つまり、最も効率良い熱交換ができる単位時間当りの循環量で熱媒Nを循環させた場合に、必要とされる貯湯タンク4内の水と集熱板2内の熱媒との温度差の値である。
よって、稼働判断部13は、差温値ΔTが第1差温値T以上を示した場合には、瞬間熱媒循環量を第1循環量として循環できると判断し、循環ポンプ制御部16に、第1循環量で循環ポンプ6を稼働させるように制御信号を送信する。
なお、本実施形態においては、「第1差温値」を40℃とし、「第1循環量」を6L/minとして説明する。
【0032】
また、停止判断部14は、循環ポンプ6の稼働中において、差温値ΔTが「0」を示しているか否かを判断し、循環ポンプ6の稼働を停止させるか否かを決定する。
ここで、差温値ΔTが「0」を示す場合とは、貯湯タンク4内の水と集熱板2内の熱媒Nとの温度差がなく、集熱板2内の熱媒Nが貯湯タンク4の水を加熱する熱量を有していない場合である。
よって、停止判断部14は、差温値ΔTが「0」を示していると判断した場合には、循環ポンプ制御部16に、循環ポンプ6を停止するように制御信号を送信する。
【0033】
循環量変更部15は、循環ポンプ6の稼働中において、算出部12により算出された差温値ΔTが、所定値である第3差温値T以上であり、かつ、所定値である第2差温値T未満の範囲内にあるかを判断する。
【0034】
ここで、所定値である「第2差温値T」とは、前記する第1差温値Tに比べて高く設定された値である。よって、差温値ΔTが第2差温値Tを超える場合とは、集熱板2に集熱する熱量が増加し、第1差温値Tの場合に比べて、循環できる熱媒Nの量が多い場合である。
従って、循環量変更部15は、循環ポンプ6の稼働中に、差温値ΔTが第2差温値Tを超える値を示した場合、集熱板2内に循環できる熱媒Nの量が多いと判断し、循環ポンプ制御部16に、第2循環量で循環ポンプ6を稼働させるように制御信号を送信する。
なお、第2循環量とは、熱媒Nの単位時間当りの循環量であって、第1循環量に比べて循環量が多く設定されている。なお、本実施形態では、「第2差温値」を60℃とし、「第2循環量」を10L/minとして説明する。
【0035】
一方で、所定値である「第3差温値T」とは、前記する第1差温値Tに比べて低く設定された値である(但し、0を超える値)。よって、差温値ΔTが第3差温値Tよりも低い場合とは、集熱板2に集熱する熱量が低下しており、熱媒Nの温度が低く、循環できる熱媒Nの量が少ない場合である。
従って、循環量変更部15は、循環ポンプ6の稼働中に、差温値ΔTが第3差温値Tよりも低い値を示した場合には、循環できる熱媒Nの量が少ないと判断し、循環ポンプ制御部16に、第3循環量で循環ポンプ6を稼働させるように制御信号を送信する。なお、第3循環量とは、第1循環量よりも熱媒Nの単位時間当りの循環量が少ない量とする。また、本実施形態において、「第3差温値」を30℃とし、「第3循環量」を1L/minとして説明する。
【0036】
循環ポンプ制御部16は、稼働判断部13と停止判断部14と循環量変更部15から送信される制御信号に対応して、循環ポンプ6の稼働及び停止を制御するとともに、熱媒Nの単位時間当りの循環量が、第1循環量〜第3循環量のいずれかとなるように、循環ポンプ6の回転数の制御をおこなう。
また、記憶部17は、第1循環量(6L/min)、第2循環量(10L/min)、第3循環量(1L/min)と、第1差温値(40℃)、第2差温値(60℃)、第3差温値(30℃)とを記憶している。
【0037】
次に、本実施形態における強制循環型太陽熱温水器1の運転方法について、図面を参照して説明する。
【0038】
本実施形態の強制循環型太陽熱温水器1は、図1に示すように、常時、熱媒Nの温度Tと、貯湯タンク4内の水の水温Tとを検出しているとともに、検出された温度Tと水温Tが制御部9に送信されており、この温度Tと水温Tを基に循環ポンプ6の運転が以下のように制御される(スタート)。
【0039】
まず、循環ポンプ6の停止時において、算出部12が温度Tから水温Tを差し引いて差温値ΔTを算出する(ステップ1)
【0040】
次に、稼働判断部13により、差温値ΔTが第1差温値を超えているか否かを判断する(ステップ2)。
具体的に、夜などの太陽光が集熱板2に照射されておらず、集熱板2に熱媒Nを加熱する太陽熱が確保されていない場合、例えば、集熱板2内にある熱媒Nの温度Tが15℃、貯湯タンク4内の水温Tが7℃を示し、差温値ΔTが8℃となる。
よって、このような場合には、差温値ΔTが第1差温値Tは、第1差温値である40℃を超えないため、循環ポンプ6を稼働させることなく待機となる(「No」の場合)。
【0041】
一方で、太陽光が集熱板2に照射され、例えば、熱媒Nの温度Tが55℃となり、貯湯タンク4内の水温Tが10℃を示した場合、算出部12により算出される差温値ΔTが45℃となる。
よって、このような場合には、差温値Tが第1差温値T(40℃)を超えるため(「Yes」の場合)、稼働判断部13は、循環ポンプ制御部16に、循環ポンプ6を稼働させるように制御信号を送信する(ステップ3)。
【0042】
そして、循環ポンプ制御部16が、循環量が第1循環量である6L/minとなるように循環ポンプ6を稼働させるため、温度Tが55℃の熱媒Nが熱交換器3側に流入して、貯湯タンク4に貯水された水温Tが10℃の水を加熱することとなる。
【0043】
また、循環ポンプ6の稼働中においては、算出部12により温度Tと水温Tとから算出された差温値ΔTに基づいて、停止判断部14と循環量変更部15が以下のように制御する。
【0044】
まず、循環量変更部15は、差温値ΔTが第3差温値T以上第2差温値T未満であるか判断される(ステップ4)。
ここで、例えば、熱媒Nの温度Tが58℃、貯湯タンク4内の水温Tが11℃などの場合、差温値ΔTは47℃となるが、この場合、差温値ΔTの47℃は、第3差温値Tである30℃以上であり、かつ、第2差温値Tである60℃未満に該当し(Yesの「T>ΔT≧T」の場合)、瞬間熱媒循環量が、第1循環量である6L/minに維持される(ステップ5)。
【0045】
また、南中など日照量が多い時間帯など、例えば、熱媒Nの温度Tが73℃、貯湯タンク4内の水温Tが11℃を示したとする。
この場合、差温値ΔTが62℃と算出されるため、循環量変更部15は、差温値ΔTである62℃が第2差温値Tである60℃を超えると判断し(Noの「ΔT≧T」の場合)、循環ポンプ制御部16に、熱媒Nの瞬間熱媒循環量が第2循環量である10L/minとなるように、制御信号を送信する。
よって、循環ポンプ制御部16が、熱媒Nの循環量が第2循環量となるように、循環ポンプ6の回転数を増やし、瞬間熱媒循環量が10L/minとなり、熱媒Nの瞬間熱媒循環量が増加する(ステップ6)。
【0046】
一方で、夕方頃の日照量が少ない時間帯など、例えば、熱媒Nの温度Tが41℃、貯湯タンク4内の水温Tが12℃を示したとする。
この場合、差温値ΔTが29℃と算出されるため、循環量変更部15は、差温値ΔTが第3差温値Tである30℃よりも低いと判断し(Noの「T>ΔT」の場合)、熱媒Nの瞬間熱媒循環量を減らすべく、循環ポンプ制御部16に、熱媒Nの瞬間熱媒循環量が第3循環量(1L/min)となるように、制御信号を送信する。
よって、循環ポンプ制御部16が、熱媒Nの循環量が1L/minとなるように、循環ポンプ6の回転数を減らし、瞬間熱媒循環量が第3循環量の1L/minとなる(ステップ7)。
【0047】
また、夜となり日照が全くない時間帯など、例えば、熱媒Nの温度Tが11℃、貯湯タンク4内の水温Tが11℃を示したとする。
この場合、差温値ΔTが0℃と算出され、停止判断部14は、算出部12から送信された差温値ΔTが「0」であるか否かを判断する。
ここで、差温値ΔTが「0」であると停止判断部14が判断した場合には、停止判断部14は、循環ポンプ制御部16に循環ポンプ6の稼働を停止するように制御信号を送信し、循環ポンプ6が停止する(エンド)。
一方で、差温値ΔTが「0」ではないと停止判断部14が判断した場合に、停止判断部14は、集熱板2内の熱媒Nに未だ熱量があるとして、そのまま循環ポンプ6の稼働を継続させる。
【0048】
以上、第1実施形態の強制循環型太陽熱温水器1について説明したが、このような強制循環型太陽熱温水器1は、熱媒Nの温度Tから貯湯タンク4内の水の水温Tを差し引いて得られる差温値ΔTに基づいて、熱媒Nの瞬間熱媒循環量を変更している。
よって、例えば、太陽が南中にあり、集熱板2内で加熱されて循環可能な熱媒Nの量が多い場合に、制御部9が熱媒Nの瞬間熱媒循環量を増加させるため、熱媒Nが循環されずに集熱板2内に滞留し、放熱してしまうという問題がない。また、熱媒Nが集熱板2に滞留しているおそれもないため、集熱板2による集熱性能が低下するというおそれもない。
【0049】
一方で、例えば、太陽が南中を過ぎ、日照量が減少した場合など、予め設定された瞬間熱媒循環量で循環させることができなくなったとしても、強制循環型太陽熱温水器1によれば、制御部9が熱媒Nの瞬間熱媒循環量を減少させるため、接続配管内にある熱媒Nが外気により冷やされて、貯湯タンク4内の熱を吸収するという問題を回避することができる。
【0050】
なお、本発明の強制循環型太陽熱温水器は、第1実施形態に示した強制循環型太陽熱温水器に限るものではない。
本実施形態の循環量変更部15においては、瞬間熱媒循環量を変更するために、算出部12により算出された差温値ΔTを所定値の第2差温値Tと第3差温値Tの2つと比較していたが、これに限定されない。
たとえば、第1差温値Tが40℃、第2差温値Tが60℃、第3差温値Tが30℃のほかに、第4差温値Tが50℃、第5差温値Tが35℃などに設定し、差温値ΔTと比較するための基準を増やす。そして、これにあわせて、第4差温値Tに対応する瞬間熱媒循環量を8L/minとし、第5差温値Tに対応する瞬間熱媒循環量を3L/minと設定する。
この変形例の循環量変更部によれば、熱媒Nの循環量を、差温値ΔTに対応した、より適切な瞬間熱媒循環量とすることが可能となる。
【0051】
そのほかに、例えば、変形例として、図4に示すように、第1実施形態で示した強制循環型太陽熱温水器1が備える構成のほかに、さらに、貯湯タンク4内に流入する熱媒Nの温度SINを検出する流入用温度検出部20と、貯湯タンク4内で放熱して流出する熱媒Nの温度SOUTを検出する流出用温度検出部21と、太陽熱により加熱された集熱板2の温度Tを検出する集熱板用温度検出部22とを備えている強制循環型太陽熱温水器1aであってもよい。
また、変形例である強制循環型太陽熱温水器1aの制御部9aは、図5に示すように、第1実施形態で示した強制循環型太陽熱温水器1の制御部9が備える構成のほかに、放熱値算出部23と、第2循環量変更部24と、残留熱量算出部25と、第3循環量変更部26と、タイマ部27を備えているとする。
【0052】
ここで、放熱値算出部23は、熱媒Nの温度SINから熱媒Nの温度SOUTを差し引いて放熱値Sの算出を行なう。なお、算出された放熱値Sとは、熱媒Nが熱交換器3を介して、貯湯タンク4内の水に放熱した熱量を指す。
第2循環量変更部24は、貯湯タンク4内に流入した熱媒Nにおける放熱量である放熱値Sと、所定の放熱量である標準放熱量Sとを比較して、放熱値Sが標準放熱量Sを下回っていないかを判断する。なお、標準放熱量Sは、記憶部17に記憶されているものとする。
ここで、放熱値Sが標準放熱量Sを下回っている場合とは、熱媒Nの瞬間熱媒循環量が多く、熱交換器3における放熱効率が低い場合である。
よって、第2循環量変更部24は、放熱値Sが標準放熱量Sを下回っていると判断した場合には、瞬間熱媒循環量が少なくなるように制御信号を循環ポンプ制御部16に送信する。
これによれば、循環ポンプ6による瞬間熱媒循環量が減少し、熱媒Nの放熱効率を高めることが可能となる。
【0053】
また、残留熱量算出部25は、集熱板用温度検出部22により検出された集熱板2の温度Tから、熱媒温度検出器7により検出された集熱板2内の熱媒Nの温度Tを差し引いて、集熱板2から熱媒Nに伝導していない残留熱量Hの算出を行なう。
第3循環量変更部26は、残留熱量Hと、記憶部17に記憶された標準温度差Hとを比較する。なお、標準温度差Hとは、循環ポンプ6が稼動中において、集熱板2の温度とその集熱板2内にある熱媒Nの温度と差の平均値であって、集熱板2や熱媒Nの熱伝達速度により決定されるものである。
そして、その結果、残留熱量Hが標準温度差Hよりも大きい場合には、第3循環量変更部26は、瞬間熱媒循環量が少なくなるように制御信号を循環ポンプ制御部16に送信する。ここで、残留熱量Hが標準温度差Hよりも大きい場合とは、集熱板2上に太陽熱による熱量が介在しているにも関わらず、熱媒Nに伝達していない場合である。
よって、第3循環量変更部26の制御信号により、循環ポンプ制御部16が循環ポンプ6の瞬間熱媒循環量が減少すれば、熱媒Nの集熱板2に滞留する時間が長くなり、集熱板2から熱媒Nへの熱伝達効率を高めることが可能となる。
【0054】
また、タイマ部27は、循環ポンプ6の稼働開始時点からの時間を計測するものであり、かつ、循環量変更部15と第2循環量変更部24と第3循環量変更部26のそれぞれの処理開始時の制御を行う。
具体的には、例えば、循環ポンプ6の稼働開始時点から、30分経過毎に循環量変更部15を開始させる。また、循環量変更部15の処理開始時から10分後に、第2循環量変更部24の処理を開始させるとともに、第2循環量変更部24の処理開始時から10分後に第3循環量変更部26の処理を開始させる。
これによれば、循環量変更部15と第2循環量変更部24と第3循環量変更部26のそれぞれが、同時に処理を開始することを回避でき、循環ポンプ制御部16に送信される制御信号が重複することがない。
【0055】
次に、本発明の第2実施形態における強制循環型太陽熱温水器1bについて説明する。
第2実施形態における強制循環型太陽熱温水器1bは、図6に示すように、集熱板2と、熱交換器3を備えた貯湯タンク4と、接続配管5a、5bと、循環ポンプ6bと、太陽電池30とを備えている。
なお、以下、第2実施形態の強制循環型太陽熱温水器1bについて説明するが、強制循環型太陽熱温水器1bの構成である、集熱板2、熱交換器3、貯湯タンク4、接続配管5a、5bは、第1実施形態における強制循環型太陽熱温水器1の構成を同一構成であるため、説明を省略する。
【0056】
循環ポンプ6bは、供給される電力の大きさにより回転数が変化するモータを備えており、このモータが回転することにより、熱媒Nが集熱板2と貯湯タンク4内を循環することができる。
【0057】
太陽電池30は、太陽光エネルギーから電力に変換する電力機器であり、照射される太陽光エネルギーが大きいほど、変換される電力量も大きい。また、太陽電池30によって変換された電力は、循環ポンプ6が稼働する際の電力として、供給される。
【0058】
つぎに、第2実施形態の強制循環型太陽熱温水器1bの運転方法について説明する。
本実施形態の循環ポンプ6の稼働及び停止は、太陽電池30から供給される電力による。つまり、太陽電池30により受光した太陽光が電力に変換されれば、その変換された電力量により循環ポンプ6が稼働することとなり、一方で、太陽電池30が全く受光しない場合には、電力は供給されず、循環ポンプ6は稼働しない。
【0059】
また、その循環ポンプ6が稼働する際の回転数は、供給される電力量に比例することとなる。よって、太陽電池30が受光する受光量が多い場合には、供給される電力量が多くなるため、循環ポンプ6の回転数が増加して、熱媒Nの単位時間当りの循環量である瞬間熱媒循環量も大きくなる。
【0060】
一方で、太陽電池30が受光する受光量が少ない場合には、供給される電力量が少なくなるため、循環ポンプ6の回転数が減少して、熱媒Nの単位時間当りの循環量である瞬間熱媒循環量も少なくなる。
【0061】
以上、第2実施形態の強制循環型太陽熱温水器1bについて説明したが、この強制循環型太陽熱温水器1bによれば、太陽が南中にある場合、集熱板2の集熱量は多く、かつ、太陽電池30が変換する電力量も多い。
よって、循環ポンプ6による瞬間熱媒循環量も大きいため、集熱板2に滞留する熱媒Nも少なくなるため、循環可能な熱媒Nが集熱板2に滞留して放熱するという問題を回避することができるとともに、集熱板2による集熱性能が低下するという問題も回避することができる。
【0062】
また、この強制循環型太陽熱温水器1bによれば、太陽が南中を過ぎ、集熱板2の受光量が減少した場合、集熱板2の集熱量も減少し、また、太陽電池30が変換する電力量も減少するため、循環ポンプ6による瞬間熱媒循環量も少なくなる。
これによれば、少ない循環量ではあるものの熱媒Nが循環しているため、熱媒Nが接続配管5a内に留まり外気により冷やされて、貯湯タンク4内の水温以下に低下することを防止でき、熱媒Nが貯湯タンク4内の水の熱吸収をするという問題を回避することができる。
【符号の説明】
【0063】
1、1a、1b 強制循環型太陽熱温水器
2 集熱板
3 熱交換器
4 貯湯タンク
5a、5b 接続配管
6、 循環ポンプ
7 熱媒温度検出器
8 水温検出器
9、9a 制御部
10 給湯用配管
11 給水用配管
12 算出部
13 稼働判断部
14 停止判断部
15 循環量変更部
16 循環ポンプ制御部
17 記憶部
20 流入用温度検出部
21 流出用温度検出部
22 集熱板用温度検出部
23 放熱値算出部
24 第2循環量変更部
25 残留熱量算出部
26 第3循環量変更部
27 タイマ部
30 太陽電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽熱により熱媒を加熱する集熱板と、
前記熱媒により加熱される水を貯める貯湯タンクと、
前記集熱板と前記貯湯タンクとの間で前記熱媒を循環させる循環装置と、
前記循環装置の稼働及び停止と、前記循環装置が熱媒を循環させる単位時間当りにおける量である瞬間熱媒循環量とを制御する制御部と、を備え、
前記循環装置による前記瞬間熱媒循環量が変更されることを特徴とする強制循環型太陽熱温水器。
【請求項2】
前記強制循環型太陽熱温水器は、
前記集熱板内の熱媒の温度を検出する熱媒温度検出器と、
前記貯湯タンクに貯水された水の温度を検出する水温検出器と、をさらに備え、
前記制御部は、
前記循環装置を稼働又は停止させるとともに、前記循環装置の前記瞬間熱媒循環量を変更させる循環装置制御部と、
前記熱媒温度検出器により検出された熱媒の温度から、前記水温検出器により検出された水温の温度を差し引いて、前記熱媒と貯湯タンクの水温との温度差である差温値を算出する算出部と、
前記循環装置停止時において、前記算出部が算出した差温値と所定値である第1差温値を比較して、前記差温値が第1差温値以上の場合に、所定の単位時間当りの循環量である第1循環量を循環させるように、前記循環装置制御部に制御信号を送信する稼働判断部と、
前記循環装置稼働中において、前記算出部が算出した差温値に基づいて、前記差温値により前記集熱板に熱量がない場合に、循環装置が停止するように前記循環装置制御部に制御信号を送信する停止判断部と、
前記循環装置稼働中において、前記差温値と前記第1差温値よりも大きい第2差温値とを比較し、前記差温値が第2差温値よりも大きい場合に、前記第1循環量よりも所定の単位時間当りの循環量が多い第2循環量を循環させ、一方で、前記差温値と前記第1差温値よりも小さい第3差温値とを比較し、前記差温値が第3差温値よりも小さい場合には、前記第1循環量よりも所定の単位時間当りの循環量が少ない第3循環量を循環させるように、制御信号を前記循環装置制御部に送信する循環量変更部と、
前記第1循環量、前記第2循環量、前記第3循環量と、前記第1差温値、前記第2差温値、前記第3差温値とを記憶する記憶部とを備え、
前記循環装置制御部が前記循環量変更部から送信される制御信号に対応して、前記循環装置の前記瞬間熱媒循環量を変更することを特徴とする請求項1に記載の強制循環型太陽熱温水器。
【請求項3】
前記強制循環型太陽熱温水器は、
前記貯湯タンク内に流入する熱媒の温度を検出する流入用温度検出部と、
前記貯湯タンク内で放熱した熱媒の温度を検出する流出用温度検出部と、を備え、
前記記憶部は、
前記貯湯タンクに流入した熱媒が放熱する所定の放熱量である標準放熱量が記録されており、
さらに、前記制御部は、
前記循環装置の稼働中に、前記流入用温度検出部により検出された熱媒の温度から、前記流出用温度検出部により検出された熱媒の温度を差し引き、貯湯タンクにおける放熱量である放熱値を算出する放熱値算出部と、
前記放熱値算出部により算出された放熱値と前記記憶部に記録された標準放熱値とを比較し、前記放熱値が標準放熱値よりも小さい場合に、前記瞬間熱媒循環量を減少させるように、前記循環装置制御部に制御信号を送信する第2循環量変化部を備えることを特徴とする請求項2に記載の強制循環型太陽熱温水器。
【請求項4】
前記強制循環型太陽熱温水器は、
前記太陽熱により加熱された前記集熱板の温度を検出する集熱板温度検出部を備え、
前記記憶部は、循環装置が稼働中における集熱板の温度と集熱板内の熱媒の温度との所定の温度差である標準温度差値が記録されており、
前記制御部は、
集熱板温度検出部により検出された前記集熱板の温度から、前記流出用温度検出部により検出された熱媒の温度を差し引いて、集熱板から熱媒に伝導していない残留熱量である残留熱量値を算出する残留熱量値算出部と、
前残留熱量算出部が算出した残留熱量値と前記記憶部に記憶された標準温度差とを比較して、前記残留熱量値が前記標準温度差よりも大きい場合に、前記瞬間熱媒循環量を減少させるように、前記循環装置制御部に制御信号を送信する第3循環量変化部を備えることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の強制循環型太陽熱温水器。
【請求項5】
前記循環装置は、供給される電力の大きさに比例して回転数が変化する循環ポンプであり、
前記制御部は、太陽光を受けて電力に変換し、前記電力を循環ポンプに供給する太陽電池であることを特徴とする請求項1に記載の強制循環型太陽熱温水器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−68369(P2013−68369A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−207544(P2011−207544)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(592093899)長府工産株式会社 (3)