説明

強化された安全確保機能がある貨幣単位体受入機

硬貨あるいは紙幣のような貨幣単位体のための受入機によって、貨幣単位体の感知ずみ特性に左右される貨幣単位体パラメータ信号(x1)が作られる。記憶部(12)によって、特定の金種の貨幣単位体に関するパラメータ信号の値の標準受入範囲に対応するウィンドウデータ(NAW)と、制限的受入ウィンドウ(RAW)とがもたらされる。プロセッサ(11)によって、パラメータ信号(x1)の出現値が不正貨幣単位体を表示する時が決定され、次いで、その後の感知ずみ貨幣単位体について、パラメータ信号(x1)の値が制限的受入範囲(RAW)と比較される。このRAWの範囲は、硬貨あるいは紙幣のような貨幣単位体のための受入機がその貨幣単位体の感知ずみ特性に依存して貨幣単位体パラメータ信号(x1)を作るまで、使用される。記憶部(12)によって、特定の金種の貨幣単位体に関するパラメータ信号の値の標準受入範囲に対応するウィンドウデータ(NAW)と、制限的受入ウィンドウ(RAW)とがもたらされる。プロセッサ(11)によって、パラメータ信号(x1)の出現値が不正貨幣単位体を表示する時が決定され、次いで、その後の感知ずみ貨幣単位体について、パラメータ信号(x1)の値が制限的受入範囲(RAW)と比較される。このRAWの範囲は、n枚の連続状真正硬貨が挿入されるまで、あるいは時間tが経過するまで、使用される。不正な試みの後に、nの値およびtの値は、詐欺師がn枚の真正硬貨を挿入したり時間tの経過を待ったりすることができないように、また、別の不正硬貨挿入を試みることができないように、増大される。さらに、集束拒絶ウィンドウ(FRW)によって、怪しげに近いパラメータ信号が含まれていて偽造組の一部を形成するかもしれない硬貨が拒絶される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、硬貨や紙幣のような貨幣単位体(money items, items of money)の受入機に関するものであり、また、多金種受入機への特定の用途があるがそれに限定されない貨幣単位体受入機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
硬貨・紙幣受入機はよく知られている。硬貨受入機の1つの例は英国特許出願第2169429号明細書に記載されている。この受入機には、検査中の硬貨の材料および金属含有量の指標である硬貨パラメータ信号を作成するために、センサコイルによって硬貨についての一連の誘導検査が行われる硬貨監視ステーションを硬貨が通過する硬貨流下通路が含まれている。硬貨パラメータ信号は、ディジタル化されて、検査硬貨の受入可能性の有無を判定するためにマイクロコントローラによって記憶ずみ硬貨データと比較される。硬貨が受入可能であると判定されると、マイクロコントローラによって受入ゲートが作動して、硬貨は受入通路へ導かれる。そうでないときには、受入ゲートは非作動状態のままであり、硬貨は拒絶通路へ導かれる。
【0003】
紙幣検認機では、センサによって紙幣の特徴が検出される。例えば、光学的検出器を用いると、適切なセンサで検出することのできる紙幣の幾何学的寸法、透過あるいは反射における光源に対するそのスペクトル感度、あるいは磁気転写インクの存在を検出することができる。このように作成されたパラメータ信号は、ディジタル化されて、先に説明した従来技術の硬貨受入機に類似した方法で記憶値と比較される。紙幣の受入可能性は比較の結果に基づいて判定される。
【0004】
同じ金種のいくつかの硬貨あるいは紙幣が受入機を通過すると、硬貨あるいは紙幣のパラメータデータの連続値が作り出される。これらの信号値の分布をグラフとしてプロットすると、その結果は、中央に最高点があり両側に最低点がある釣鐘曲線である。このグラフの形状は、必ずしもそうではないが典型的にはガウス曲線である。
【0005】
この分布によれば、特定金種の硬貨あるいは紙幣のような貨幣単位体については、対応しているパラメータ信号の確度の高い値はたいてい、いずれかの側へ減少する蓋然性のある釣鐘曲線の最高点にあることが示されている。従来技術の硬貨・紙幣検認機では、データは、特定金種についてのパラメータ信号の許容範囲に対応している記憶部に記憶される。そうして、検認機によって、検査中の硬貨あるいは紙幣についての値が記憶データと比較されて、真正性が判定される。このデータは、上限値および下限値の項目で、あるいは平均値および標準偏差として、その平均値についての所定数の標準偏差が含まれるようにウィンドウを規定することができる。記憶されたウィンドウを狭くすることによって、真正の貨幣単位体と偽物の貨幣単位体との間に増大した識別能がもたらされる。しかしながら、そのウィンドウを狭くし過ぎると、不都合なことに真正貨幣単位体の拒絶率が増大する。従って、ウィンドウの幅は、これら2つの因子の間における妥協案として選択される。硬貨検認機あるいは紙幣検認機を欺こうとする試みには、記憶ずみ受入ウィンドウの内部に入るパラメータ信号を受入機に作成させる偽造硬貨あるいは偽造紙幣の製造が含まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
米国特許第5355989号公報には、検査することで作り出された硬貨パラメータ信号が、関係する硬貨についての低受入確率領域に対応している真正硬貨についての標準ウィンドウ領域に入るときに、真正硬貨についての第1の標準受入ウィンドウを使用することから第2の狭小ウィンドウへ切り換わる硬貨受入機が記載されている。不正硬貨のグループにはすべて類似した性質があり、それらによって、検認機には標準ウィンドウの内部にあるパラメータ信号が作り出されるが、これらのパラメータ信号には、真正硬貨に関連したウィンドウの高確率ピーク領域に集中することなく、代わりに、標準ウィンドウの内部における釣鐘曲線分布の低確率最低部領域に集中する値が常に備わっている。パラメータ信号がこの低確率領域の内部に入ると、次に検査される硬貨のためには第2の狭小ウィンドウが使用される。次の硬貨がその狭小ウィンドウの中に入るパラメータを有していると、それは真正硬貨であるが、そうでないときには、それは拒絶すべき偽物である。このような取り組みは、受入機が受け入れるように設計されている外貨セットの高額金種に対応しているが正確には同じでない性質のある外貨セットからの特に低額金種の硬貨の使用によって行われる不正行為を防止することを意図するものである。外国の金種の硬貨がそれら自体のほぼガウス分布のパラメータ信号を示すということと、この分布の低確率領域すなわち最低部領域が、受入機が受け入れるように設計された真正硬貨についての分布の対応領域に一部重なるときには、低額金種の値の外国硬貨が真正硬貨として時々受け入れられることは、わかるであろう。
【0007】
しかしながら、米国特許第5355989号に関しては、かなりの問題が未解決である。開示された構成では、真正硬貨が挿入されると、そのシステムは、第2の狭小ウィンドウから第1の標準受入ウィンドウへ切換復帰する。挿入された次の硬貨が外国流通硬貨であって、標準受入ウィンドウの内部にパラメータ信号を有しているときには、その硬貨は、システムが次の検査用硬貨のために第2の狭小ウィンドウへ切り換わるが、受け入れられる。検査された次の硬貨が真正硬貨であれば、その硬貨は受け入れられて、システムは第1のウィンドウへ切換復帰する。この米国特許は、それらのウィンドウの間で切り換えを行う前に硬貨のグループを数える可能性を考慮に入れている。従って、このシステムについては、かなりの数の外国流通硬貨の受入性を、それらの硬貨を個々に番号付けされているかあるいは等しい番号の付けられているn個の硬貨と交互にすることで、取得することができる。さらに別の不利益は、それらのシステムがきわめて低速のものであることであるが、その理由は、外国硬貨がすべて受入性を実現するというわけではなく、詐欺師が外国硬貨を使用することを試みているときに、それらは第1の広い受入ウィンドウの外側に出てしまう結果として何度か拒絶されるからである。しかしながら、従来の検認機は、不正な試みを考慮に入れておらず、そのため、不正硬貨が現実に受け入れられるときに反応するだけであろう。
【0008】
国際特許出願00/48138号には、これらの問題を克服するための構成が開示されている。1つの実施形態では、標準受入ウィンドウの外側に存在する2つの安全確保防壁範囲が導入されている。これらの安全確保防壁範囲は、不正硬貨についての分布のピークと概ね整合することができる。不正硬貨によって標準受入ウィンドウの外側にパラメータ信号が作られるとしても、そのパラメータはこれらの防壁の内部にあるべきものであり、不正な試みの存在が検知され、硬貨が拒絶され、また、受入機がより狭小な受入ウィンドウへ切り換わって不正のおそれが減少する。
【0009】
加えて、国際特許出願00/48138号には、不正な試みのおそれのあるときに、システムが、連続して出現するパラメータ信号を所定時間についてのより狭小なウィンドウと比較し、次いで標準受入ウィンドウへ戻るように作動可能である、ことが開示されている。そのようなわけで、外国硬貨の後に規定数の真正硬貨を単に直接挿入することは、システムが標準受入ウィンドウへ戻ることにならず、ある時間が経過するにちがいない。
【0010】
国際特許出願00/48138号に開示されたいっそう複雑な構成にもかかわらず、その明細書に記載された貨幣単位体受入機には不足することがいくつかある。忍耐強い詐欺師は、標準受入ウィンドウが再開される前に、不正の試みを繰り返して、挿入すべき真正硬貨の数、あるいは経過する時間量を決定するであろう。また、特によくできた偽造貨幣単位体は、より狭小な受入ウィンドウの中であっても狭小ピークのあるガウス出力を作る貨幣受入機の中へ挿入されるときに、作られるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は、これらの問題点を克服しようとするものである。この発明の第1の観点によれば、貨幣単位体の感知ずみ特性の関数としての貨幣単位体パラメータ信号を作るための信号源と、特定金種の貨幣単位体に関する前記パラメータ信号の値の標準受入範囲に対応しているデータをもたらすための記憶部であって、前記範囲は、パラメータ信号の値が前記特定金種の感知ずみ貨幣単位体の出現の相対的に高い確率と相対的に低い確率とに対応する相対的に高い受入確率領域と相対的に低い受入確率領域とからなる記憶部と、第1貨幣単位体に対応しているパラメータ信号の出現値が所定値関係を採択する時を決定し、それに応じて、第2貨幣単位体に対応しているパラメータ信号の次の出現値を、標準受入範囲に照らして制限的受入範囲に対応しているデータと比較し、さらに、パラメータ信号の第2の出現値が前記制限的受入範囲の内部に納まるときに第2貨幣単位体の受入性に対応している出力値をもたらすように作動可能なプロセッサ構成体とを備えてなり、前記プロセッサは、パラメータ信号の次の出現値を前記制限的受入範囲と比較し、それらの第1数が受入可能な貨幣単位体に対応しているときには標準受入範囲へ戻るように作動可能なものであり、ここで、そのプロセッサは、標準受入範囲へ戻った後に、かつ、前記所定値関係を採択する次の貨幣単位体パラメータ信号に応じて、パラメータ信号の次の出現値を前記制限的受入範囲と比較し、かつ、それらの第2数が受入可能な貨幣単位体に対応しているときには標準受入範囲へ戻るように作動可能なものであり、前記第2数は前記第1数と異なっている貨幣単位体受入機が提供される。
【0012】
この貨幣単位体受入機は、前記第2数が前記第1数よりも大きいように構成することができ、また、そのプロセッサは、前記第1数を所定量だけ増加させて前記第2数を定義するように作動可能なものでもよい。さらにまた、計数器は、前記第1数を計数してその後に前記第2数を計数するように作動可能なものであってもよく、また、このプロセッサは、計数器によって計数された総数を、所定の安全確保時間帯の間に貨幣単位体パラメータ信号が出現しなかった場合に初期設定計数値にリセットするように作動可能なものであってもよい。
【0013】
前記所定値関係は、貨幣単位体パラメータ信号の出現値が低い受入確率範囲の内部における値を有しているとき、あるいは、貨幣単位体パラメータ信号の出現値が標準受入範囲の外側にある所定の安全確保防壁範囲の内部における値を有しているときに発生するであろう。
【0014】
このプロセッサは、貨幣単位体パラメータ信号の出現値を、前記所定値関係を有している貨幣単位体パラメータ信号の出現に続く第1所定時間帯について前記制限的受入範囲と比較し、次いで標準受入範囲に戻り、標準受入範囲に戻った後に、貨幣単位体パラメータ信号の出現値を、前記所定値関係を採択している貨幣単位体パラメータ信号の出現に続く、第1時間帯よりも大きい第2所定時間帯について前記制限的受入範囲と比較し、次いで標準受入範囲に戻るように作動可能なものであってもよい。
【0015】
この発明の第2の観点によれば、貨幣単位体の感知ずみ特性の関数としての貨幣単位体パラメータ信号を作るための信号源と、特定金種の貨幣単位体に関する前記パラメータ信号の値の標準受入範囲に対応しているデータをもたらすための記憶部であって、前記範囲は、パラメータ信号の値が前記特定金種の感知ずみ貨幣単位体の出現の相対的に高い確率と相対的に低い確率とに対応する相対的に高い受入確率領域と相対的に低い受入確率領域とからなる記憶部と、第1貨幣単位体に対応しているパラメータ信号の出現が第1所定値関係を採択する時を決定し、それに応じて、第2貨幣単位体に対応しているパラメータ信号の次の出現値を、標準受入範囲に照らして制限的受入範囲に対応しているデータと比較し、さらに、パラメータ信号の第2の出現値が前記制限的受入範囲の内部に納まるときに第2貨幣単位体の受入性に対応している出力値をもたらすように作動可能なプロセッサ構成体とを備えてなり、前記プロセッサ構成体は、第1貨幣単位体に対応しているパラメータ信号の出現が特定金種の貨幣単位体についての低い受入確率領域の内部における値の範囲がある第2所定値関係を採択する時を決定し、第2貨幣単位体に対応しているパラメータ信号の次の出現値を前記制限的受入範囲の内部における内部安全確保範囲に対応しているデータと比較し、さらに、パラメータ信号の第2の出現値が前記内部安全確保範囲の外側にあるときに第2貨幣単位体の受入性に対応している出力値をもたらすようにさらに作動可能なものである貨幣単位体受入機が提供される。
【0016】
このプロセッサ構成体は、第1貨幣単位体パラメータ信号が前記第2所定値関係を採択する時を決定し、それに応じて、パラメータ信号の次の出現値を前記内部安全確保範囲と比較し、それらの第1数が受入可能な貨幣単位体に対応しているときには、値の内部安全確保範囲との比較を中断し、値の内部安全確保範囲との比較を中断した後に、かつ、前記第2所定値関係の次の出現値を採択する次の貨幣単位体パラメータ信号に応じて、パラメータ信号の次の出現値を前記内部安全確保範囲と比較し、第1数とは異なるそれらの第2数が受入可能な貨幣単位体に対応しているときには、値の内部安全確保範囲との比較を再び中断するように、さらに作動可能なものであってもよい。
【0017】
第2の観点の貨幣単位体受入機は、第2数が第1数よりも大きいように構成することができ、また、そのプロセッサは、前記第1数を所定量だけ増加させて前記第2数を定義するように作動可能なものでもよい。さらにまた、計数器は、前記第1数を計数してその後に前記第2数を計数するように作動可能なものであってもよく、また、このプロセッサは、計数器によって計数された総数を、所定の安全確保時間帯に貨幣単位体パラメータ信号が出現しなかった場合に初期設定計数値にリセットするように作動可能なものであってもよい。
【0018】
第2所定値関係は、貨幣単位体パラメータ信号の出現値が特定金種の貨幣単位体についての低い受入確率範囲の内部における値を有しているときに発生するであろう。
【0019】
このプロセッサは、貨幣単位体パラメータ信号の出現値を、前記第2所定値関係を有している貨幣単位体パラメータ信号の出現に続く第1所定時間帯について前記内部安全確保範囲と比較し、次いで内部安全確保範囲との比較を中断し、内部安全確保範囲との比較を中断した後に、貨幣単位体パラメータ信号の出現値を、前記第2所定値関係を採択している貨幣単位体パラメータ信号の出現に続く、第1時間帯よりも大きい第2所定時間帯について前記内部安全確保範囲と比較するように作動可能なものであってもよい。
【0020】
この発明の第3の観点によれば、検査中の貨幣単位体の感知ずみ特性の関数としての貨幣単位体パラメータ信号を作るための信号源と、特定金種の貨幣単位体に関するパラメータ信号の値の受入範囲に対応しているデータをもたらすための記憶部と、パラメータ信号の出現値が貨幣単位体を受け入れるための受入範囲の内部に納まる時を決定するプロセッサ構成体とを備えてなり、このプロセッサ構成体は、前記受入範囲の内部に、かつ、先の貨幣単位体に対応しているパラメータ信号の先の出現値に左右される配置で、集束拒絶ウィンドウをもたらし、さらに、その対応しているパラメータ信号がその集束拒絶ウィンドウの内部に納まるときに、検査中の貨幣単位体の拒絶に対応している出力値をもたらすように作動可能なものである貨幣単位体受入機が提供される。集束拒絶ウィンドウは、先の貨幣単位体に対応している少なくとも2つのパラメータ信号の平均に及ぶ。
【0021】
このプロセッサは、貨幣単位体パラメータ信号の出現値を、所定数の連続出現値が前記ウィンドウの外側に外れる値を有するまで集束拒絶ウィンドウと比較するように作動可能なものであってもよい。
【0022】
この信号源は、それぞれが相異なる感知ずみ貨幣単位体特性の関数としての複数の個別貨幣単位体パラメータ信号を作るように作動可能なものであってもよく、この記憶部は、値の標準受入範囲についてのデータと、パラメータ信号の値の任意の集束拒絶範囲あるいは他の範囲についてのデータとを、これらの相異なる特性のそれぞれについて個別にもたらすように構成されていてもよい。
【0023】
この発明には、不正硬貨を検知するための対応方法がさらに含まれる。
【0024】
この発明による受入機は、硬貨、紙幣あるいは他の貨幣単位体が使用されるように構成されていてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
この発明をいっそう充分に理解するために、その実施形態が、添付図面を参照して例示として説明される。
【0026】
硬貨受入機の概要
図1には、硬貨とともに使用するための、この発明による受入機の全体構成が図示されている。この硬貨受入機は、複本位制硬貨、例えば、ユーロ硬貨セットおよび複本位制2.00ポンド硬貨が含まれるイギリス硬貨セットが含まれる、相異なる金種のいくつかの硬貨を検認することができるものである。この受入機には本体1が含まれ、本体1には硬貨流下通路2があり、この硬貨流下通路2に沿って、検査中の硬貨が入口3から硬貨監視ステーション4を経てゲート5へ向かって落下する。検査は、それぞれの硬貨が監視ステーション4を通過するように、それぞれの硬貨について行われる。検査の結果が真正硬貨の存在を表示すると、ゲート5は開かれて、その硬貨は受入通路6へ進むことができるが、そうでないときには、ゲートは閉じられたままであり、硬貨は拒絶通路7へ向きが変えられる。硬貨8が受入機を通過する硬貨通路は、破線9によって模式的に示されている。
【0027】
硬貨監視ステーション4には4つの硬貨感知コイルユニットS1,S2,S3,S4が含まれており、これらは、硬貨との電磁結合を作り出すために通電される。また、受入通路6には、ゲート5の下流側にコイルユニットPSが設けられており、これは、受入可能と判定された硬貨が実際に受入通路6を通過したかどうかを検出するために承認センサとして作用する。
【0028】
これらのコイルは、図2に模式的に示された駆動・インターフェイス回路10によって、相異なる周波数で通電される。これらのコイルによって、検査中の硬貨の中には渦電流が誘発される。4つのコイルと硬貨との間の相異なる電磁結合によって、硬貨は実質的に独自に特徴付けられる。駆動・インターフェイス回路10によって、硬貨とコイルユニットS1,S2,S3,S4との間における相異なる電磁結合の関数として、対応するディジタル型硬貨パラメータデータ信号、すなわちx1,x2,x3,x4が作り出される。コイルユニットPSについて対応する信号が作り出される。コイルSには、検査中の硬貨における個々の弦領域の誘導特性を検出するために、その硬貨の直径に比べて小さい直径がある。改善された識別能は、硬貨に対向するコイルS1のようなコイルユニットSの面積Aを、監視される硬貨の面における個々の領域の誘導特性を妨げない72mm2よりも小さくすることによって達成することができる。
【0029】
硬貨の真偽を判定するために、検査中の硬貨によって作り出された硬貨パラメータ信号は、記憶部12へ接続されたマイクロコントローラ11へ送られる。マイクロコントローラ11は、検査中の硬貨から得られた硬貨パラメータ信号x1,……x4を処理して、その結果を記憶部12の中に保持された対応記憶値と比較する。記憶値は、上限値および下限値のあるウィンドウの項目で保持されている。そして、処理されたデータが特定金種の真正硬貨に関連した対応ウィンドウの内部に納まるときには、硬貨は受入可能であると表示されるが、そうでないときには硬貨は拒絶される。受入可能であれば、ライン13に信号がもたらされて、硬貨を受入通路6へ送ることができるように、図1に示されたゲート5を操作する駆動回路14へ送られる。そうでないときには、ゲート5は開かれず、硬貨は拒絶通路7へ進む。
【0030】
マイクロコントローラ11は、硬貨受入機が特定の通貨セットの2つ以上を受け入れるかあるいは拒絶することができるように、処理したデータを、異なる金種の硬貨について適している、相異なるいくつかの組の作動ウィンドウデータと比較する。硬貨が受け入れられると、受入通路6に沿ったその移動は受入後承認センサコイルユニットPSによって検出され、また、ユニット10は、対応データをマイクロコントローラ11へ送り、次いで、受け入れた硬貨に属する通過承認度を表示する出力をライン15にもたらす。
【0031】
センサコイルユニットSにはそれぞれ、個々の振動性回路に接続された1つ以上のインダクターコイルが含まれており、コイル駆動・インターフェイス回路10には、データをマイクロコントローラ11へもたらすように、コイルユニットからの連続的な出力値を走査するためのマルチプレクサが含まれている。それぞれの回路は典型的には50〜150kHzの範囲にある振動数で振動し、また、回路素子は、それぞれのセンサコイルS1〜S4がそれらの間におけるクロスカップリングを防止するために自然共振振動数を有するように、選択される。
【0032】
硬貨がセンサコイルユニットS1を通過すると、そのインピーダンスは、100ミリ秒までの時間を超える硬貨の存在によって変更される。その結果、コイルにおける振動の振幅は、硬貨が通過する時間にわたって修正されるとともに、振動の振動数は変更される。硬貨によって作り出された変調に起因する振幅および振動数の変化は、硬貨の特性を表示する硬貨パラメータ信号x1,……x4を作り出すために使用される。
【0033】
処理回路
図3aには、同一金種のいくつかの硬貨がこの検認機を通過したときに作られた、1つのパラメータの値x1についての釣鐘型分布曲線20が図示されている。パラメータ値x1の出現値の大部分はピーク値xpで出現し、また、ほぼ釣鐘型の分布はこのピーク値の周りで出現する、ということがわかる。この分布は、同一金種のある数、例えば100枚の硬貨を検認機に通過させてx1の対応値を記録することによって、決定することができる。記憶部12には、検認機によって受け入れられる硬貨の各金種に関するパラメータx1の許容値のウィンドウに対応しているデータが記憶される。図3aには、この明細書で標準受入ウィンドウNAWと称される1つのウィンドウが示されており、このウィンドウは上部ウィンドウ限界値w1と下部ウィンドウ限界値w2との間に延びている。記憶部12に記憶されたデータは、上部ウィンドウ限界値w1自体と下部ウィンドウ限界値w2自体とを含んでいてもよく、あるいは、平均値について所定数の標準偏差として記憶されたデータからマイクロコントローラ11がウィンドウNAWを規定することができるように、平均値および標準偏差を含んでいてもよい。
【0034】
図3aのグラフは異なった方法で考慮することもできる。標準受入ウィンドウ(NAW)に対応する真正金種の硬貨については、パラメータx1の最も出現しそうな値がピーク値xpであり、最も出現しそうにない値が上部ウィンドウ限界値w1と下部ウィンドウ限界値w2とで出現する。許容値xfについては一方のウィンドウ限界値w1の近くで出現することができるのに対して、図3aに示された確率分布によって、考慮される真正硬貨についてそのような多くの値xfが出現しそうにないということが明らかになる。いくつかの値xfが出現すると、このことは、xfにあるいはその周りにピーク値がある破線で示されたような不正分布23の存在をいっそう表示する可能性がある。このような特性は、真正硬貨と、同じデザインで製造されて、標準受入ウィンドウNAWの内部に存在する硬貨パラメータ値xfを作る一組の不正硬貨あるいは外国硬貨とをこの発明に従って識別するために用いられる。この発明によれば、2つ以上のパラメータ値xfの出現は、普通ではなく、不正硬貨の出現を表わしやすい、とみなされる。図3aに示された制限的受入ウィンドウRAWはこのような状況を検出する際に使用されるが、これについてはこれから説明される。
【0035】
図3aに示されたように、上部安全域USMおよび下部安全域LSMが、真正硬貨に対応しているパラメータ値の出現の相対的に低い確率の領域の中に規定されている。パラメータ信号x1の出現については、破線21と破線22との間における、相対的に低い真正値の出現の確率がある上部安全域USMおよび下部安全域LSMの中よりも相対的に高い確率の領域の間で出現することがはるかに起こりやすいということは、分布曲線20からわかるであろう。図2に示されたマイクロコントローラ11によってLSMかあるいはUSMかのいずれか一方における値xfの存在が検出されると、それはその後、標準受入ウィンドウNAWから、記憶部12に記憶されたデータに基づいた、図3aに示されたように標準受入ウィンドウよりも狭い制限的受入ウィンドウRAWへ変化する。実際には、RAWは、破線21と破線22との間における高い確率の領域に対応しているが、LSMおよびUSMと非連続である異なった値を用いることができる。もし、検査中の次の硬貨によって作られたパラメータ信号x1のその次の出現値が先の値xfに近い例えばUSMにおいて出現すると、次の硬貨は、それが制限的受入ウィンドウRAWの外側にあり、分布20の真正硬貨形成部よりも不正硬貨分布23の不正硬貨形成部の存在をいっそう表示する傾向にあるので、拒絶されるであろう。
【0036】
検査中の第1の硬貨が標準受入ウィンドウNAWの上部安全域USMかあるいは下部安全域LSMかのいずれかの内部におけるパラメータ信号xfを表わすと、その硬貨は真正硬貨として(他の検出パラメータが申し分のないものであると仮定して)受け入れられるが、受入機はその後、次の硬貨のために制限的受入ウィンドウRAWに切り換えられる。パラメータ値xfのある第1の硬貨の出現値によって、硬貨数パラメータnを計数するマイクロコントローラ11における計数器を備えていてもよいフラッグが設定される。受入機は、計数器によって設定された所定数の硬貨n_maxについての制限的受入ウィンドウを引き続いて使用し、制限的受入ウィンドウRAWの内部に存在するパラメータ信号x1のある硬貨の数が連続して出現するまで、フラッグによって設定が維持される。その数は、硬貨データの分布と、その分布20の範囲に合法的に納まる真正硬貨の確率とに左右される。これは硬貨によって相違するが、典型的には、硬貨の6枚あるいは8枚の挿入であってよく、または少なくとも1枚あるいは多くとも20枚である。
【0037】
計数の終了に先立ち、別の硬貨によって制限的受入ウィンドウの外側に値x1が作られると、フラッグはリセットされて計数が再び開始される。そうでないときには、このシステムは、RAWの内部にパラメータ信号のあるn_max硬貨が計数された後に標準受入ウィンドウNAWへ戻る。
【0038】
しかしながら、これまでに記載されたシステムには、詐欺師が、硬貨受入機の中で真正硬貨を使用して、計数器の中へ取り込まれた数n_maxを見い出し、次いでその後に、その硬貨パラメータ信号が標準受入ウィンドウNAWの内部に納まると受け入れられる不正硬貨を挿入するおそれがある。この発明によれば、詐欺師が計数器によって使用されるn_maxの最新値を決定することができないように、計数値n_maxは、システムが標準受入ウィンドウへ戻るたびに、例えば増加するように変化する。プロセッサは、使用中のn_maxの値が初期設定値にリセットされた後に安全確保時間帯を設定する安全確保タイマールーチンtimer_secureを設定する。安全確保時間帯の後に詐欺師が諦めて去って行くと仮定すると、n_maxの値をリセットすることは安全である。
【0039】
加えて、図3aに示されたように、上部ウィンドウ限界値w1の上方と下部ウィンドウ限界値w2の下方とにそれぞれ、上部安全確保防壁USBと下部安全確保防壁LSBとが配置されている。ある硬貨によって、上部安全確保防壁USBか下部安全確保防壁LSBかのいずれかの内部に存在するパラメータ信号x1が作られると、先に説明した処理が実行されて、受入機が標準受入ウィンドウNAWから制限的受入ウィンドウRAWへ切り換わる。この処理は、不正分布23のような分布の一部を形成する不正のおそれのある硬貨を拒絶するために、実行される。例えば、真正分布20に類似した近い分布であって、分布23を有している外国金種の硬貨を発見することができるであろう。詐欺師は、受入機を通して同じ金種の一組の外国硬貨を送り込むことによって、検認機を欺こうと試みることがある。この発明に係る先に説明した構成では、一番目の外国硬貨は受け入れられるであろうが、その後に続くものは拒絶されるであろう。
【0040】
この受入機には、マイクロコントローラ11によって作動される時間パラメータのあるルーチンを備え、制限的受入ウィンドウRAWが採択された後の時間帯t_maxの後に時間切れになり、かつ、時間帯t_maxの後に標準受入ウィンドウNAWへ受入機を戻すタイマーがさらに含まれていてもよい。詐欺師は、不正硬貨を挿入し、その後に制限的受入ウィンドウRAWの使用に切り換わる硬貨受入機によってその硬貨を受け入れさせようとすることがある。詐欺師が次いで、2〜3回試みた後に諦めて立ち去ると、その後、タイマーが善良なユーザーのために時間切れになり、そのユーザーは標準受入ウィンドウNAWに基づいて受入機を使用する。しかしながら、システムがRAWからNAWへ戻った後に詐欺師が時間帯t_maxを確認するおそれはある。この発明によれば、時間帯t_maxは、詐欺師を抑止するためにシステムがNAWの使用にもどったときに増加される。t_maxの値が初期設定値にリセットされた後に安全確保時間帯を設定するために、安全確保タイマールーチンtimer_secureを使用することができる。安全確保時間帯の後に詐欺師が諦めて立ち去ると仮定すると、t_maxの値をリセットすることは安全である。
【0041】
マイクロコントローラ11に従うルーチンの一部の例が、図4にいっそう詳しく示されている。ステップS0で、このシステムは初期化される。前記計数器は、その作動パラメータnが初期化されるように、すなわちn=0となるように設定される。この計数器についての初期設定最大値n_max(Def)もまた、この場合には5に設定される。さらに、前記タイマーには、t_maxからゼロまで変化することができ、時間切れ状態を表示する作動パラメータtが備わっている。ステップS0で、tが初期化され、すなわちt=0となり、また、初期設定最大値t_max(Def)が、この場合は30に設定される。さらにまた、t_maxおよびn_maxが増加した後に時間帯が戻されて、それらの初期設定値が初期化され、すなわちTimer_secure=0になる。
【0042】
ステップS1では、パラメータ信号の連続値x11,x12,……x1Nが示されている。パラメータ信号のこれらの出現値は、相次ぐ硬貨を次々に検査する受入機に応じて作られる。パラメータ信号の連続状出現値は、これから説明するようなルーチンの残余によって次々に検査される。
【0043】
ステップS2では、t_maxおよびn_maxは、先に述べたようにそれらの初期設定値に、この場合にはTimer_secure=0に設定される。このことは、受入機の初期化で、また、Timer_secureに関連した時間が経過し、従ってt_maxおよびn_maxへの増加分がリセットされたときに起きる。
【0044】
第1の硬貨に関連して作られたパラメータ信号の第1出現値x11を考慮に入れて、ステップS3では、タイマーが作動しているかを調べるために検査が実行される。もしも、タイマーが作動していないときには、t=0である。このことは、前記制限的受入ウィンドウの外側に硬貨が外れたために充分に長い時間帯t_maxが経過したことを意味し、相対的に広い標準受入ウィンドウNAWを使用することが安全であることを表わしている。
【0045】
ステップS4では、フラッグ計数器の状態が調べられる。フラッグパラメータn=0であれば、このことは、フラッグが設定されていないことと、従って標準受入ウィンドウNAWを使用することが安全であることとを意味している。しかしながら、フラッグ計数器が設定されていて一方でタイマーが作動していると、その条件は、先に受け入れた硬貨によってフラッグ計数器が起動されて一方でタイマーが作動していることを表示しているため、標準受入ウィンドウを使用することは安全ではない。その結果、x11の値は制限的受入ウィンドウRAWと比較する必要がある。これはステップS5で実行される。x11の値が制限的受入ウィンドウRAWの内部に納まるときには、その硬貨はステップS8で受け入れられるが、そうでないときにはステップS7で拒絶される。
【0046】
先に述べたように、タイマーあるいは計数器フラッグが0に設定されているときには、標準受入ウィンドウNAWを使用することは安全である。この検査はステップS6で実行され、その硬貨は、ステップS8で受け入れられるかあるいはステップS7で拒絶される。
【0047】
パラメータ値を受入ウィンドウの一方と比較するのに加えて、パラメータ値の各出現値が、上部安全域、下部安全域、上部安全防壁および下部安全防壁と比較される。これらの検査はステップS9およびステップS10で行われる。パラメータ値信号x11がこれらの安全防壁あるいは安全域USB,USM,LSB,LSMのどれかの内部に納まるときには、そのことは、そのフラッグを設定する必要があることとタイマーtを作動状態に設定すべきであることとを表わしている。これらの取り組みはステップS12で実行されて、計数パラメータnが所定の最大値n_maxに設定される。n_maxは、標準受入ウィンドウへ戻るために相対的に狭い制限的受入ウィンドウRAWを使用するときに真正であることを見い出す必要のある相次ぐ硬貨の数に対応している整数である、ことがわかるであろう。タイマー間隔の値tは、そのタイマーが値t=0になるまで作動する時間帯に対応するt_maxに設定される。従って、これによって、受入機が制限的受入ウィンドウRAWを使用する時間帯の後に標準状態に戻り、標準受入ウィンドウNAWを使用するために切り換えられた後に、時間が設定される(ステップS3)。
【0048】
パラメータ信号の値x11がステップS9,S10によって検査された前記の領域あるいは防壁のどれかに納まらないときには、このことは、硬貨が受け入れられると仮定して、パラメータ信号x11が制限的受入ウィンドウRAWの内部に納まるということを表わしている。この状況では、計数器パラメータnは、すでにゼロでないときには、減少させる必要がある。このことは、以下に説明される他のステップに加えて、ステップS11で起きる。
【0049】
計数パラメータnが値1になると、n_maxの値およびt_maxの値は、次に起きる不正な試みによって真正な挿入の数と標準受入ウィンドウへ戻る前の経過時間とが増大するように、増大される。従って、パラメータn_maxの値およびt_maxは、ステップS11で、例えばそれぞれ2%および20%増大される。加えて、Timer_secureタイマーが値TS_maxに設定される。この時間TS_maxが経過すると、n_maxおよびt_maxは、先に説明したように、ステップS2で、これらのそれぞれの初期設定値n_max(Def)およびt_max(Def)へ戻る。
【0050】
パラメータ信号の第1出現値x11が上部安全域USMの内部に納まる状況を考える。この状況では、前記ルーチンは、その値が標準受入ウィンドウNAWと比較されるステップS3およびS4〜S6を通過するように、t=0およびn=0である。x11の値がウィンドウNAWの内部に納まるので、その硬貨はステップS8で受け入れられる。
【0051】
加えて、ステップS9で、x11の値が上部安全域USMの内部にあることが見い出される。その結果、ステップS12で、フラッグ計数器パラメータnがn_maxに設定されるとともに、タイマーパラメータtがt_maxに設定される。
【0052】
第2の硬貨が入れられると、硬貨パラメータ信号x1の第2出現値、すなわちx12が作られる。ステップS3では、タイマーはそのときt≠0に設定されているので、処理はステップS4へ移る。パラメータn≠0であり、その結果、x12の値はステップS5で制限的受入ウィンドウRAWと比較される。この値は受け入れられるかあるいは拒絶される。それが受け入れられてステップS9およびステップS10で検査された領域および防壁の外側に外れると仮定すると、計数器パラメータnはステップS11で減少される。タイマーtは、この時間においてゼロへ向かって作動する。
【0053】
この処理は、RAWの内部に納まる硬貨によって、タイマーtが0になるかあるいは計数器フラッグnが0になるまで計数器フラッグが減少するように、パラメータx1のその後の出現値とともに続けられる。受入機はその後、標準受入ウィンドウNAWの使用へ戻る。しかしながら、計数器フラッグnが1になると、n_maxの値およびt_maxの値は、ステップS11でそれぞれ7および36になるように増大される。Timer_secureタイマーもまた、TS_maxに設定される。別の硬貨が時間TS_maxの内部で制限的受入ウィンドウの外側に外れると、ステップS12でnおよびtにそれぞれ適用されたn_maxの値およびt_maxの値は、ここではそれぞれ7および36であろう。TS_maxが経過すると、これらは、ステップS2で、それぞれ5および30の初期設定値へ戻るであろう。
【0054】
この発明をいっそう充分に理解するために、詐欺師による硬貨挿入の数に応じてマイクロコントローラによって実行された処理の説明が、図4を参照してこれから与えられる。
【0055】
硬貨受入機の第1の使用が含まれる状況を考える。このシステムはまず、ステップS0で初期化される。初期設定値n_max(Def)およびt_max(Def)はそれぞれ5および30に設定され、nおよびtはそれぞれ0に設定される。その後、第1の不正硬貨が挿入され、パラメータ値x11が決定されてステップS1の一部としてのプロセッサへ送られる。これによって、システムが起動されてステップS2へ移り、timer_secure=0であるので、n_maxがn_max(Def)、すなわち5に設定され、また、t_maxがt_max(Def)、すなわち30に設定される。
【0056】
ステップS3での照会は、t=0であるので肯定的な結論へ戻り、従って、第1の不正硬貨パラメータは、ステップS5で標準受入ウィンドウと比較される。この第1不正硬貨パラメータはNAWの内側に納まることもあり、納まらないこともあるが、この場合には、納まるであろうと推測される。従って、その硬貨はステップS8で受け入れられるであろう。
【0057】
ステップS9およびステップS10での照会は、基本的にはS3のそれと同時に起動される。不正硬貨パラメータx11が、この場合に最も可能性の高い、制限的受入ウィンドウの外側に外れると仮定すると、x11は上部安全域USMあるいは下部安全域LSMの内部に納まるであろう。そして、ステップS10は肯定的な値に戻り、nおよびtは、ステップS12でそれぞれn_maxおよびt_max、すなわち5および30に設定される。
【0058】
詐欺師は、受け入れられる1枚の硬貨を現在まで持っていた。しかしながら、詐欺師は、他の硬貨受入機についての先の不正な試みから、ある数の真正硬貨が挿入されるまで制限的受入ウィンドウが適用されることを知っている。この数を決定するために、彼は、不正硬貨に続くたびに、だんだん大きくなる真正硬貨の群を次々に挿入するとともに、不正硬貨が受け入れられるまで待つ。図4によれば、第1の真正硬貨は結果として次のような処理ステップになる。
【0059】
真正硬貨が受け入れられると、パラメータx12が決定されてステップS1でプロセッサへ送られる。ステップS2のIFステートメントが、timer_secure=0であるので再び真正であり、従って、n_maxおよびt_maxはそれらの初期設定値に再び設定される。ステップS3およびステップS4の照会は、t≠0かつn≠0であるので否定的な応答へ戻る。その結果、真正硬貨パラメータx12が制限的受入ウィンドウと比較される。パラメータx12はRAWの内側に納まり、真正硬貨の大部分は受け入れられる。従って、パラメータx12は、USB,LSB,LSMあるいはUSMの内部に納まらない。ステップS9およびステップS10は否定的な応答へ戻り、プロセッサはステップS11へ移動する。変数n=5が0よりも大きいので、nはn=4に減少される。S11の次のIFステートメントはn≠1であるので真正でなく、そこで、この処理は停止されるとともに、システムは次の硬貨挿入を待ち受ける。
【0060】
詐欺師はここで、その機械についてのn_max値が5であると推測して、4枚以上の真正硬貨を挿入するかもしれない。それぞれは、nが0になるまでそれぞれの時間を減少する、先に説明された第1真正硬貨として与えられるのと同じ処理ステップになるであろう。しかしながら、5枚の真正硬貨の挿入について、4枚目の真正硬貨はステップS11でいくつかの付加事象をも引き起こす。4枚目の硬貨パラメータの処理がステップS11に達すると、nはn=2からn=1へ減少される。そして、このことはステップS11の第2IFステートメントが真正である結果となる。従って、n_maxはn_max+2、すなわち7になり、t_maxは1.2t_max、すなわち36になる。そして、Timer_secureは、図4において指定されていないTS_maxに設定されるが、t_maxよりも大きい値に設定することができる。
【0061】
さて、5枚の真正硬貨が挿入されると、詐欺師は別の不正硬貨を試みることを決定するかも知れない。不正硬貨が挿入されると、パラメータx17が決定されてステップS1でプロセッサへ送られる。ステップS2のIFステートメントが、timer_secure≠0であるので偽物であり、従って、n_maxおよびt_maxはそれらの増大値である7および36にそれぞれ維持される。ステップS3の照会は、tがまだt>0であるので否定的な応答へ戻るが、ステップS4の照会はここで、n=0であるので肯定的な応答へ戻るであろう。その結果、不正硬貨パラメータx17が標準受入ウィンドウと比較される。パラメータx17は、不正硬貨に由来するものであるが、ステップS8で受け入れられる場合にこのウィンドウの内側に納まるであろう。パラメータx17はLSMあるいはUSMの内側に納まりがちであり、従って、ステップS10は肯定的な応答へ戻るとともに、プロセッサはその後、ステップS12へ移るであろう。ステップS12では、nは増大した値7であるn_maxへ、tは増大した値36であるt_maxに設定される。
【0062】
詐欺師はここで、この硬貨受入機について先に獲得した知識を用いて、すでに述べたようにその組み合わせが受け入れられることを期待して、さらに5枚の真正硬貨に続いて不正硬貨を挿入するであろう。しかしながら、ここではnが増大値7に設定されているので、制限的受入ウィンドウはまだ作動しており、従って、不正硬貨は十中八九、拒絶される。これによって、従来の経験から標準受入ウィンドウの使用が再開されることを知って、立ち去ることと標準時間tが経過するまで待つこととをここで決定することのできる詐欺師は混乱する。しかしながら、この時間もまた増大しており、詐欺師による次の不正硬貨も拒絶されるであろう。さらにまた、この不正な試みによって、n_maxおよびt_maxの値はさらに増大するであろう。timer_secure時間が経過するまでには、詐欺師は、この硬貨受入機を欺こうとの試みを諦めてしまうことがきわめて多く、また、この段階で、n_maxおよびt_maxの初期設定値の使用を再開することができる。
【0063】
このように、先に説明した処理は1つの硬貨パラメータ信号x1Nに関連している。しかしながら、先に説明したように、この例では相異なる4つのパラメータ信号x1〜x4が作られ、また、実際には、相異なる14の個別パラメータ信号を処理することができる。図4に従って実行されるルーチンは、先に説明したように、それぞれのパラメータ信号が他とは独立に処理される、それぞれがそれ自体の標準受入ウィンドウおよび制限的受入ウィンドウを有しているそれぞれの個別硬貨パラメータ信号について達成することができる。この代わりに、処理を簡単にするために、そのそれぞれのUSB,LSB,LSMあるいはUSMの内部に納まる1つのパラメータ信号の出現は、すべての硬貨パラメータ信号に対する個別の制限的受入ウィンドウの使用を同時に起動することができる。
【0064】
他の修正が可能である。図4に示されたルーチンでは、計数器フラッグが第1所定数n_maxから下方へ時間測定される。典型的には、n_maxは4以上20以下の範囲にある。n≠0であるときには、制限的受入ウィンドウRAWが使用される(ステップS4)。しかしながら、n=0であるとき、すなわち4枚から20枚までの真正硬貨が検知されるときには、標準ウィンドウNAWが使用される。そして、単一の不正硬貨の出現によって、RAWの使用が再起動されるであろう(ステップS9,S10およびS12)。しかしながら、必要であれば、不正硬貨の出現の異なった所定数pを使用して、n=n_maxにリセットし、それによってRAWの使用を再起動することができる。不正硬貨の所定数pは、所定数nよりも小さくなるように選択され、それによってシステムの感度が改善される。好ましくは、この数pは、不正硬貨の感度を最大限にするためには、図4を参照して説明されたように1であるが、いくつかの場合には、システムの減衰をもたらすために、より大きいpの値が望ましい。
【0065】
別の修正では、ルーチンは、ある環境では不正硬貨を表わす標準受入ウィンドウNAW自体のきわめて狭い部分の内部に納まる硬貨パラメータ信号に応じて、NAWからRAWへ切り換えることができる。
【0066】
図3bには、図3aと同様に、同一金種のいくつかの硬貨がこの検認機を通過したときに作られた、1つのパラメータの値x1についての釣鐘型分布曲線20が図示されている。この場合もやはり、パラメータ値x1の出現値の大部分はピーク値xpで出現する。標準受入ウィンドウNAWおよび制限的受入ウィンドウRAWもまた図示されている。制限的受入ウィンドウRAWの内側には、上部内側安全確保帯域UISBと下部内側安全確保帯域LISBとが導入された。曲線RFは、この検認機を通過した多くの偽造硬貨によって作られたパラメータ値x1の分布を表わしている。この曲線にはRAWの内部に存在する相対的に鋭いピークがある。いくつかの連続したパラメータ値xFが、少ない回数の硬貨挿入の内部で出現し、かつ、これらの帯域UISBあるいはLISBの1つの内部にあるときには、このことは、これらの帯域の1つに中心があるピークのあるRFのような分布に属しているような不正硬貨の存在を表示する傾向が強い。こういう訳で、内側安全確保帯域UISBあるいはLISBのいずれか一方の内部におけるパラメータの検知に続いて、これらの帯域の内部におけるパラメータのあるさらに別の硬貨は、これらの帯域の内部に納まらないある数n2_maxの硬貨が挿入されるまで拒絶されるであろう。計数値n2のある計数器は、値n2_maxを取り込むことができるとともに、UISBおよびLISBの外側に外れるそれぞれの硬貨パラメータに続いて減少させることができる。計数器が0になると、UISBおよびLISBの内部における受け入れを再開することができる。
【0067】
詐欺師が、UISBあるいはLISBの内部に納まらない真正硬貨を使用して、計数器n2の中へ取り込まれた数n2_maxを見い出し、次いで、その後にその硬貨パラメータ信号が内側安全確保帯域に納まると受け入れられる不正硬貨を硬貨受入機の中に挿入するおそれはある。この発明によれば、計数値n2_maxは、システムがUISBおよびLISBの内部における受入値に戻るたびに例えば増大するように変えられて、詐欺師が計数器によって使用されるn2_maxの最新値を決定することができないようにされる。このプロセッサによれば、使用中にn2_maxの値が初期設定値にリセットされた後に安全確保時間帯を設定する安全確保タイマールーチンtimer_secure2が設定される。この安全確保時間帯の後に詐欺師が諦めて立ち去るであろうということと、n2_maxの値を初期設定値n2_max(Def)にリセットすることが安全であるということとは推測される。
【0068】
この受入機には、マイクロコントローラ11によって作動する時間パラメータのあるルーチンが備わっているタイマーであって、UISBおよびLISBの内部における受入値が無効にされた後に時間帯t2_maxが時間切れになり、次いで受入機が有効化された受入値へ戻るタイマーがさらに含まれていてもよい。詐欺師は、UISBおよびLISBの内部に納まる不正硬貨を挿入して、その後にUISBおよびLISBを無効にする硬貨受入機にそれを受け入れさせるかもしれない。詐欺師が2〜3回の試みの後に諦めて立ち去ると、そのタイマーは、善良なユーザーがやって来てUISBおよびLISBの再開使用でその受入機を使用するために、時間切れになる。しかしながら、システムが無効化された帯域から有効化された内側安全確保帯域へ戻った後に、詐欺師が時間帯t2_maxを確認するおそれはある。この発明によれば、時間帯t2_maxは、システムがUISBおよびLISBの内部における有効化受入値へ戻ると、詐欺師を思いとどまらせるように増大される。t2_maxの値が初期設定値へリセットされた後に、安全確保タイマールーチンtimer_secure2を使用して安全確保時間帯を設定することができる。安全確保時間帯の後に、詐欺師は諦めて立ち去るであろうということと、t2_maxの値を初期設定値t2_max(Def)にリセットすることが安全であるということとは推測される。
【0069】
上部内側安全確保帯域と下部内側安全確保帯域とに関してマイクロコントローラ11に従うルーチンの一部の例が、図5にいっそう詳しく示されている。このルーチンは、UISBおよびLISBの性質を、付加的な安全確保特性として、標準の貨幣単位体受入機の中にすでに存在しているそれらの特性にもたらすために、図4のルーチンとともにマイクロコントローラに従うことができる。
【0070】
ステップS13で、このシステムは初期化される。前記計数器は、その作動パラメータn2が初期化されるように、すなわちn2=0になるように設定される。この計数器についての初期設定最大値n2_max(Def)もまた、この場合には5に設定される。さらに、前記タイマーには、t2_maxからゼロへ変化することができ、時間切れ状態を表示する作動パラメータt2が備わっている。ステップS13で、t2は初期化され、すなわちt2=0に設定され、また、初期設定最大値t2_max(Def)は、この場合には30に設定される。さらにまた、増大していたt2_maxおよびn2_maxがそれらの初期設定値へ戻った後に、前記時間帯は、初期化され、すなわちtimer_secure2=0になる。
【0071】
ステップS14では、パラメータ信号の連続値x11,x12,……x1Nが示されている。パラメータ信号のこれらの出現値は、次から次へと連続する硬貨を検査する受入機に応じて作られたものである。このようなパラメータ信号の連続出現値は、以下に説明されるルーチンの残り部分によって次から次へと検査される。
【0072】
ステップS15で、t2_maxおよびn2_maxは、先に説明したように、timer_secure2=0である場合に、それらの初期設定値に設定される。このことは、受入機の初期化段階で、また、timer_secure2に関連した時間が経過し、従ってn2_maxおよびt2_maxへの任意の増大がリセットされたときに起こる。
【0073】
一番目の硬貨に応じて作られたパラメータ信号の第1出現値x11について考慮する。ステップS20で、タイマーが作動しているかどうかを判断するために、検査が実施される。もしタイマーが作動していないときには、t2=0である。これは、硬貨がUISBあるいはLISBの中に納まるため、充分に長い時間が経過したことを意味し、これらの帯域の内部における受け入れを可能にすることは安全であることを示している。次いで、このルーチンのこの部分は終わり、マイクロコントローラは、図5の下部での下向き矢印によって示されたように、別のルーチンへ移動する。
【0074】
t2≠0であるときには、ステップS21で、フラッグ計数器n2の状態が確かめられる。フラッグパラメータn2=0であれば、これは、そのフラッグが設定されていないことと、UISBあるいはLISBの内部における受け入れを可能にすることが安全であることとを意味している。しかしながら、フラッグ計数器が設定されていてタイマーが作動しているときには、その状態が、先に受け入れられた硬貨によってフラッグ計数器が起動され、一方でタイマーが作動している、ことを表示しているため、UISBおよびLISBの内部における受け入れを可能にすることは安全ではない。その結果、ステップS22で実施される検査でUISBあるいはLISBの内部に納まる値x11に関連した硬貨はステップS23で拒絶されるであろう。
【0075】
パラメータ値のそれぞれの出現値は、ステップS16およびステップS17で、上部内側安全確保帯域および下部内側安全確保帯域と再び比較される。パラメータ値信号x11がLISBあるいはUISBの内部に納まるときには、このことは、前記フラッグn2を設定する必要があることと、タイマーt2を作動状態に設定すべきであることとを表わしている。これらの取り組みはステップS19で実施されて、計数パラメータn2が所定の最大値n2_maxに設定される。n2_maxは、UISBおよびLISBの内部における受け入れを再開することができる前にUISBおよびLISBの外側であることをわかる必要がある連続硬貨パラメータの数に対応する整数である、ことがわかるであろう。タイマー間隔の値t2は、タイマーが値t2=0に達するまで作動する時間帯に対応するt2_maxに設定される。従って、これによって、受入機が標準状態に戻り、UISBおよびLISBの内部における受入値へ切換復帰した(ステップS20)後に、時間が設定される。
【0076】
パラメータ信号の値x11がステップS16およびステップS17によって検査されたときにUISBあるいはLISBの内部に納まらないときには、このことは、パラメータ信号x11がRAWの外縁の中におけるパラメータ値のある不正な組の一部であることはほとんどないことを表わしている。この状況では、計数器パラメータn2は、それがすでに0でないときには、減少させる必要がある。このことは、以下に説明される他のいくつかのステップに加えて、ステップS18で起きる。
【0077】
計数パラメータn2が値1に達すると、n2_maxの値およびt2_maxの値は、次に起きる不正な試みが真正の挿入(UISBおよびLISBの外側に外れるもの)とUISBおよびLISBの内部における受入値に戻る前に経過する時間との増大数を有するように、増大される。従って、パラメータn2_maxおよびパラメータt2_maxは例えば、ステップS18でそれぞれ2%および20%増大される。加えて、Timer_secure2タイマーは値TS2_maxに設定される。この時間TS2_maxが経過すると、n2_maxおよびt2_maxは、先に説明したように、ステップS15で、それぞれの初期設定値n2_max(def)およびt2_max(def)へ戻る。
【0078】
このシステムがステップS13で初期化されて、S14で硬貨パラメータ信号の第1出現値x11が出現する状況について考慮する。S15でTimer_secure2=0に当てはまると、n2_maxおよびt2_maxは、それらの初期値、すなわち、それぞれ5および30に設定される。x11が上部内側安全確保帯域UISBの内部に納まると仮定する。まず、ルーチンがS20へ移る。ここで、検査t2=0が真実の応答へ戻ると、この特定のルーチンは終了する。
【0079】
加えて、x11の値がS16およびS17で検査される。このパラメータはステップS17で上部内側安全確保帯域UISBの内部にあることがわかる。その結果、ステップS19で、フラッグ計数器パラメータn2がn2_maxに設定され、タイマーパラメータt2がt2_maxに設定される。
【0080】
二番目の硬貨が入れられると、硬貨パラメータ信号x1の第2出現値、すなわちx12が作られる。ステップS20でタイマーがt2≠0に設定されていると、処理はステップS21へ移る。パラメータn2≠0であれば、S22でx12の値が帯域UISBおよび帯域LISBと比較される。その値が拒絶されるものであるときには、パラメータはこれらの帯域のいずれかの内部に納まる。それが受け入れられ、従ってステップS16およびステップS17で検査されてこれらの帯域の外側に外れると仮定すると、ステップS18で計数器パラメータn2が減少される。タイマーt2は、この時間がゼロになるまで作動される。
【0081】
この処理は、UISB帯域あるいはLISB帯域の外側に外れる硬貨が、タイマーt2=0になるかあるいは計数器フラッグn2=0になるまで計数器フラッグを減少させるように、パラメータx1のその後の出現値について続けられる。その間に、S19で、UISBあるいはLISBの内部に納まるパラメータがn2およびt2からn2_maxおよびt2_maxにリセットされる。n2=0あるいはt2=0であれば、この受入機はUISBおよびLISBの内部における受入値に戻る。しかしながら、計数器フラッグn2が1に達すると、ステップS18で、n2_maxおよびt2_maxの値は増大されて、それぞれ7および36になる。Timer_secure2タイマーもまた、TS2_maxに設定される。別の硬貨が時間TS2_max内にUISBあるいはLISBの内側に納まるときには、ステップS19でn2およびt2にそれぞれ適用されたn2_maxおよびt2_maxの値はここでは、それぞれ7および36であろう。TS2_maxが経過し、Timer_secure=0であれば、これらは、S15でそれぞれ5および30の初期設定値へ戻るであろう。
【0082】
このように、先に説明した処理は硬貨パラメータ信号x1Nの1つに関するものである。しかしながら、先に説明したように、この例では相異なる4つのパラメータ信号x1〜x4が作られ、また、実際には、相異なる14の個別パラメータ信号を処理することができる。図5に従って実行されるルーチンは、先に説明したように、他とは独立に処理される、それぞれがそれ自体の上部内側安全確保帯域および下部内側安全確保帯域を有しているそれぞれの個別硬貨パラメータ信号について達成することができる。この代わりに、処理を簡単にするために、そのそれぞれのUSIBあるいはLSIBの内部に納まる1つのパラメータ信号の出現は、すべての硬貨パラメータ信号に対する個別の安全確保帯域の受け入れを同時に無効にすることができる。
【0083】
他の修正が可能である。図5に示されたルーチンでは、計数器フラッグn2が第1所定数n2_maxから下方へ時間測定される。典型的には、n2_maxは4以上20以下の範囲にある。n2≠0であるときには、USIBおよびLSIBの内部に納まるパラメータが拒絶される(ステップS21)。しかしながら、n2=0であるとき、すなわち4枚から20枚までの真正硬貨が検知されるときには、USIBおよびLSIBの内部における受け入れが再開される。そして、USIBあるいはLSIBの内部に納まる単一の不正硬貨の出現によって、USIBおよびLSIBの内部における拒絶が再起動されるであろう(ステップS16,S17およびS19)。しかしながら、必要であれば、不正硬貨の出現の異なった所定数pを使用して、n2=n2_maxにリセットし、それによってUSIBおよびLSIBの内部における受け入れを再起動することができる。不正硬貨の所定数pは、所定数n2よりも小さくなるように選択され、それによってシステムの感度が改善される。好ましくは、この数pは、不正硬貨の感度を最大限にするためには、図5を参照して説明されたように1であるが、いくつかの場合には、システムの減衰をもたらすために、より大きいpの値であってもよい。
【0084】
USM,LSM,USB,LSB,UISBおよびLISBの強化された安全確保特性に加えて、偽造硬貨からの不正行為のおそれを最小限にするために、さらに別のシステムが適用される。先に説明したように、図3bに示された曲線RFは、この検認機を通過した多くの偽造硬貨によって作られたパラメータ値x1の分布を表わしている。この曲線にはRAWの内部に存在する相対的に鋭いピークがある。いくつかの連続したパラメータ値xFが、少ない回数の硬貨挿入の内部で出現し、かつ、それらを分離する小さい限界部分があるときには、このことは、RFに属しているような不正硬貨の存在を表示する傾向が強い。この発明によれば、図3bに示されたような集束拒絶ウィンドウ(FRW)が、そのような状況を検知した際の標準受入ウィンドウに加えて、適用されるが、これについては以下で説明される。
【0085】
集束拒絶ウィンドウFRWは、真正硬貨と、同じデザインで製造されて、制限的受入ウィンドウRAWの内部に存在する硬貨パラメータ値RFを作る一組の不正硬貨とをこの発明に従って識別するために用いられる。このFRWは、RAWと比較して相対的に狭いウィンドウであるように算出される。この発明の好ましい実施形態では、集束拒絶ウィンドウの範囲は、2つのパラメータ信号の平均値に集中しており、また、その平均値の例えば±5%に限界がある。前記硬貨に関連した先のパラメータの小さい限界部分の内部におけるパラメータ値のある一番目の硬貨の出現によって、マイクロコントローラ11の中に計数器(作動パラメータnFRWがある)があってもよいフラッグが設定される。この受入機は、計数器によって設定された硬貨挿入の所定数に対してFRWを使用し続けるとともに、フラッグは、FRWの外側に存在するパラメータ信号x1の備わっている硬貨の数が連続して出現するまで、設定値のままである。この数は、硬貨データの分布とFRWの内部に合法的に納まる真正硬貨の確率とに左右される。これは硬貨によって相違するが、典型的には、硬貨の6枚あるいは8枚の挿入であってよく、または少なくとも1枚あるいは多くとも20枚である。
【0086】
集束拒絶ウィンドウに関してマイクロコントローラ11に従うルーチンの一部の例が、図6にいっそう詳しく示されている。このルーチンは、図4のルーチンに従うものであってもよく、図5のルーチンに従うものであってもよく、図4および図5のルーチンに従うものであってもよい。このように、FRWの性質が、付加的な安全確保特性として、この貨幣単位体受入機の中にすでに存在しているそれらの特性にもたらされる。
【0087】
図6によれば、ステップS24でこのシステムは初期化される。前記計数器は、その作動パラメータnFRWが初期化されるように、すなわちnFRW=0になるように、設定される。この計数器は、FRWの使用が終了する前に行われる必要のある、FRWの内部に納まらない連続的硬貨挿入の数を計数する。
【0088】
ステップS25には、パラメータ信号の連続値x11,x12,……x1Nが示されている。これらのパラメータ信号の出現値は、N枚の連続する硬貨を次から次に検査するこの受入機に応じて作られる。これらのパラメータ信号の出現値は、これから説明されるルーチンの残り部分によって次から次に検査される。
【0089】
ステップS26で、マイクロコントローラが、計数フラッグnFRWの状態を判定することによって、集束拒絶ウィンドウが作動しているかどうかが判定される。値nFRWが0よりも大きいとき、すなわち集束拒絶ウィンドウが作動しているときには、S27でパラメータ値x1Nが集束拒絶ウィンドウと比較される。このパラメータ値がFRWの内部に納まるときには、S29でその硬貨は拒絶され、S33で計数器は事前設定最大値nFRWmaxにリセットされる。
【0090】
S26で、値nFRW=0であるときには、集束拒絶ウィンドウが作動していないと推測され、S28で、マイクロコントローラは、そのパラメータが制限的受入ウィンドウRAWの内部に納まるかどうかを判定する。納まるときには、S30で新たなFRWを実施する必要があるかどうかが決定される。図の例では、硬貨2に関連した硬貨パラメータ値x12と硬貨1に関連した硬貨パラメータ値x11との差が決定される。しかしながら、この発明に係る別の好ましい実施形態では、この差は、最新の硬貨に関連したパラメータと、示されたように単に直接先行する硬貨に加えていくつかの数の先行する硬貨に関連したパラメータとの間で決定されるであろう。この差が小さい限界部分Eよりも小さいときには、S32でFRWが作り出される。この例では、FRWはx11およびx12の平均値で集中された範囲であると決定されるが、これは、必要であれば、より大きい範囲あるいはより小さい範囲として、また、平均値からの偏差で算出することができる。S33で計数器nFRWがnFRWmaxに設定される。
【0091】
S30で硬貨パラメータが小さい限界部分Eの内部に納まらないとき、あるいはS28でそのパラメータがRAWの内側に納まらないときには、S31で計数器nFRWが減少される。
【0092】
硬貨パラメータ信号の第1出現値x11の限界部分Eの内部に納まる硬貨パラメータ信号x12が備わっている受入機の中に二番目の硬貨が挿入される状況について考慮する。この状況では、nFRW=0であり、ルーチンはステップS28へ移り、そこで、この値が制限的受入ウィンドウRAWと比較される。x12の値がそのウィンドウの内部に納まるときには、S30でx11とx12との差の限界部分が決定される。これがEよりも小さいと仮定すると、S32でFRWが算出され、S33でフラッグ計数器パラメータnFRWがnFRWmaxに設定される。
【0093】
三番目の硬貨が入れられると、硬貨パラメータ信号x1の第3出現値、すなわちx13が作られる。ステップS26で計数器がnFRW≠0に設定され、この処理がS27へ移る。このパラメータがFRWの内部に納まると、S29でその硬貨は拒絶され、S33で計数器はリセットされる。このパラメータがFRWの内部に納まらないときには、その硬貨は、S28から正常な硬貨として検査され、必要であればステップS30の結果に従って、計数器が減少されるかあるいは新たなFRWが実施されるようになる。
【0094】
この処理は、パラメータx1のその後の出現値について、計数器のフラッグがnFRW=0になり、その箇所でFRWの使用が終了するまで続けられる。
【0095】
この発明をいっそう充分に理解するために、詐欺師による硬貨挿入の数に応じてマイクロコントローラによって実施された処理の説明が、図6を参照しながら、これから与えられる。
【0096】
この効果受入機の第1使用が含まれている状況について考慮する。そのシステムは基本的にステップS24で初期化される。これには、図6に示されたように、計数器nFRWがnFRW=0に設定されることが含まれていてもよい。詐欺師によって一番目の硬貨が挿入されると、ステップS25で、パラメータ値x11が作られてこのプロセッサへ送られる。このパラメータ信号の受信によってプロセッサが起動されてステップS26へ移り、そして、FRWが目下、使用されているかどうかの質問が行われる。nFRW=0であるときには、S26の照会は肯定的な結論に戻り、プロセッサはステップS28へ移る。詐欺師によって挿入された不正硬貨は制限的受入ウィンドウRAWの内部にある分布RFに属していると推測され、従って、照会S28は肯定的な結論に戻り、プロセッサはステップS30へ移る。S30で、パラメータx11は先行する硬貨挿入に関連したパラメータと比較されるであろう。しかしながら、先行する硬貨が存在しないときには、システムはS31へ移るであろう。S31のIFステートメントはnFRW=0であるときには偽のものであり、従って、プロセッサルーチンは停止されて、システムは次の硬貨挿入を待ち受ける。
【0097】
詐欺師はここで、分布RFの二番目の不正硬貨を挿入するかもしれない。S25で、プロセッサがこの不正硬貨に関連したパラメータx12を受信する。ステップS26での照会はnFRW=0であるので肯定的な結論に戻り、x12がRAWの内部にあるのでS28の照会が行われる。ステップS30で、x12とx11との差が決定されて値Eと比較される。この値Eは、図6に示されたように、FRWの幅の半分に等しい値に、あるいはこの値Eによって分離されかつ真正硬貨によって作られた2つのパラメータを有していることに関連した確率に左右される別の値に設定することができる。x12がx11からEの分離箇所の内部に納まると仮定すると、S30の照会は肯定的な結論に戻り、プロセッサはステップS32へ移る。S32で、FRWが作り出されるが、それは、この例では初めの2つのパラメータ信号x11およびx12の平均値に設定され、範囲Eがこの平均値のいずれかの側に広がっている。S33で、計数器nFRWは4〜20であってよい所定の最大値nFRWmaxに設定され、このルーチンは、停止して、次の硬貨挿入を待ち受ける。
【0098】
詐欺師によって挿入された、分布RFの三番目の不正硬貨については、ステップS25で、この不正硬貨に関連したパラメータx12がプロセッサによって受信されることになる。ステップS26での照会は、nFRW≠0であるので、ここで否定的な応答へ戻る。ステップS27の照会では、パラメータx13がFRWの内部にあるかどうかが調べられる。x13が分布RFに属しているときには、これはおそらく真のものであると思われ、従って、肯定的な応答へ戻る。これは、ステップS29で硬貨が拒絶され、ステップS33で計数器の値nFRWがnFRWmaxにリセットされる結果になる。分布RFのさらに別の不正硬貨は、このFRWの外側に外れるパラメータ信号が含まれたある数nFRWmaxの硬貨が連続的に挿入されるまで、同様に拒絶されるであろう。
【0099】
図6は、1つの集束拒絶ウィンドウFRWと1つの計数パラメータnFRWとの使用に関するものであるが、関連した計数パラメータをそれぞれが有する複数の集束拒絶ウィンドウにも等しく実行することができ、その場合には、システムは、RFのような2つ以上の不正硬貨組が含まれる状況に取り組むことができる。
【0100】
このように、先に説明した処理は硬貨パラメータ信号x1Nの1つに関するものである。しかしながら、先に説明したように、この例では相異なる4つの硬貨パラメータ信号x1〜x4が作られ、また、実際には、相異なる14の個別パラメータ信号を処理することができる。図6に従って実行されるルーチンは、先に説明したように、それぞれのパラメータ信号が他とは独立に処理される、それぞれがそれ自体の標準受入ウィンドウおよび制限的受入ウィンドウを有しているそれぞれの個別硬貨パラメータ信号について達成することができる。
【0101】
他の修正が可能である。図6に示されたルーチンでは、計数器フラッグが第1所定数nFRWmaxから下方へ時間測定される。典型的には、nFRWmaxは4以上20以下の範囲にある。nFRW≠0であるときには、集束受入ウィンドウFRWが使用される(ステップS3)。しかしながら、nFRW=0であるとき、すなわち4枚から20枚までの真正硬貨が検知されるときには、FRWの使用は外される。そして、先行する硬貨のパラメータ信号の小さい限界部分の内部に納まるパラメータ信号が含まれた単一の不正硬貨の出現によって、FRWの使用が再起動されるであろう(ステップS30)。しかしながら、必要であれば、不正硬貨の出現の異なった所定数pを使用して、nFRW=nFRWmaxにリセットし、それによってFRWの使用を再起動することができる。不正硬貨の出現の所定数pは、所定数nFRWよりも小さくなるように選択され、それによってシステムの感度が改善される。好ましくは、この数pは、不正硬貨の感度を最大限にするためには、図6を参照して説明されたように1であるが、いくつかの場合には、システムの減衰をもたらすために、より大きいpの値が望ましい。
【0102】
紙幣受入機
先に説明したルーチンは紙幣受入機にも適用することができ、1つの例が図7に示されている。検査される紙幣30は、上方に一組の紙幣センサが配置された感知用プラテン33を通り過ぎるように従動ローラ31,32の間に挿入される。これらのセンサは、紙幣の長さ、幅あるいは厚さを感知するための光学センサや、スペクトル反応を解析するために紙幣からの反射光を検知するためのセンサからなっている。代わりに、その光は紙幣を透過して感知することができる。紙幣における1つ以上の所定部分を個々に測定することもできる。さらに、米国特許第4864238号に記載されたように、磁気転写インクの存在を検知することができる。センサS1〜S4は駆動・インターフェイス回路10によって駆動、処理されて、個々のパラメータ信号x1,x2,x3,x4が作られる。これらのパラメータ信号は、硬貨受入機についての図1および図2に関して説明された対応信号に類似しているが、異なるパラメータの標示が紙幣に関するものであってもよい。従って、得られる信号は、先に説明されたルーチンによって処理することができる。これらのパラメータ信号は、記憶されたウィンドウ値が含まれている記憶部12に接続されたマイクロコントローラ11へ伝えられる。これらのパラメータ信号は、図4、図5および図6を参照して先に説明された方法で、受入可能な紙幣に対応する記憶ウィンドウと比較され、受入可能な紙幣が検知されると、ゲート34を作動させるゲートドライバー14へ通じるライン13に出力がもたらされる。その紙幣が受入可能なものであることがわかると、その紙幣は貯蔵部35へ送られるが、そうでないときには、拒絶通路36の中へ送られて、この受入機の外へ排出される。
【0103】
このように、この発明によれば、すべてが同じデザインによって作られ、紙幣の受入可能な金種についての標準受入ウィンドウの内部に個々に納まるであろう一組の不正紙幣を挿入する詐欺師を識別するために安全確保性が増大した紙幣受入機が提供される。
【0104】
この発明は硬貨受入機および紙幣受入機に関して例示的に説明してきたが、この発明は、硬貨の代わりにときどき使用される代用硬貨および、クレジットカードやデビットカードが含まれるがこれらに限定されない帰属可能な貨幣価値を有している他のシート状部材に適用することができる、ということは理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】図1は、この発明に係る硬貨受入機の概略ブロック図である。
【図2】図2は、図1に示された受入機の回路の概略ブロック図である。
【図3】図3aは、図1の受入機によって作られた硬貨パラメータ信号の分布曲線であって、偽造硬貨あるいは外国硬貨によって作られる可能性のある分布を図示している。 図3bは、図1の受入機によって作られた硬貨パラメータ信号の分布曲線であって、一組の特定金種の真正硬貨と一組の偽造硬貨とによって作られる可能性のある分布を図示している。
【図4】図4は、マイクロコントローラ11によって実行された処理ステップの概略フローチャートである。
【図5】図5は、上側内部安全確保範囲UISBおよび下側内部安全確保範囲LISBに関してマイクロコントローラ11によって実行されたさらに別の処理ステップの概略フローチャートである。
【図6】図6は、集束拒絶ウィンドウFRWに関してマイクロコントローラ11によって実行されたさらに別の処理ステップの概略フローチャートである。
【図7】図7は、この発明に係る紙幣受入機の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貨幣単位体の感知ずみ特性の関数としての貨幣単位体パラメータ信号を作るための信号源と、特定金種の貨幣単位体に関する前記パラメータ信号の値の標準受入範囲に対応しているデータをもたらすための記憶部であって、前記範囲は、パラメータ信号の値が前記特定金種の感知ずみ貨幣単位体の出現の相対的に高い確率と相対的に低い確率とに対応する相対的に高い受入確率領域と相対的に低い受入確率領域とからなる記憶部と、第1貨幣単位体に対応しているパラメータ信号の出現値が所定値関係を採択する時を決定し、それに応じて、第2貨幣単位体に対応しているパラメータ信号の次の出現値を、標準受入範囲に照らして制限的受入範囲に対応しているデータと比較し、さらに、パラメータ信号の第2の出現値が前記制限的受入範囲の内部に納まるときに第2貨幣単位体の受入性に対応している出力値をもたらすように作動可能なプロセッサ構成体とを備えてなり、前記プロセッサは、パラメータ信号の次の出現値を前記制限的受入範囲と比較し、それらの第1数が受入可能な貨幣単位体に対応しているときには標準受入範囲へ戻るように作動可能なものであり、
ここで、そのプロセッサは、標準受入範囲へ戻った後に、かつ、前記所定値関係を採択する次の貨幣単位体パラメータ信号に応じて、パラメータ信号の次の出現値を前記制限的受入範囲と比較し、かつ、それらの第2数が受入可能な貨幣単位体に対応しているときには標準受入範囲へ戻るように作動可能なものであり、前記第2数は前記第1数と異なっている貨幣単位体受入機。
【請求項2】
第2数が第1数よりも大きい請求項1に記載の受入機。
【請求項3】
プロセッサは、前記第1数を所定量だけ増加させて前記第2数を定義するように作動可能なものである請求項1または2に記載の受入機。
【請求項4】
前記第1数を計数してその後に前記第2数を計数するように作動可能な計数器を含んでいる請求項1〜3のいずれか1つに記載の受入機。
【請求項5】
プロセッサは、計数器によって計数された総数を、所定の安全確保時間帯の間に貨幣単位体パラメータ信号が出現しなかった場合に初期設定計数値にリセットするように作動可能なものである請求項4に記載の受入機。
【請求項6】
前記所定値関係は、貨幣単位体パラメータ信号の出現値が低い受入確率範囲の内部における値を有しているときに発生する請求項1〜5のいずれか1つに記載の受入機。
【請求項7】
前記所定値関係は、貨幣単位体パラメータ信号の出現値が標準受入範囲の外側にある所定の安全確保防壁範囲の内部における値を有しているときに発生する請求項1〜6のいずれか1つに記載の受入機。
【請求項8】
プロセッサは、貨幣単位体パラメータ信号の出現値を、前記所定値関係を有している貨幣単位体パラメータ信号の出現に続く第1所定時間帯について前記制限的受入範囲と比較し、次いで標準受入範囲に戻るように作動可能なものである請求項1〜7のいずれか1つに記載の受入機。
【請求項9】
プロセッサは、標準受入範囲に戻った後に、貨幣単位体パラメータ信号の出現値を、前記所定値関係を採択している貨幣単位体パラメータ信号の出現に続く、第1時間帯よりも大きい第2所定時間帯について前記制限的受入範囲と比較し、次いで標準受入範囲に戻るように作動可能なものである請求項1〜8のいずれか1つに記載の受入機。
【請求項10】
プロセッサは、第2時間帯を第1時間帯の所定百分率増分として定義するように作動可能なものである請求項9に記載の受入機。
【請求項11】
前記第1時間帯および前記第2時間帯を計時するように作動可能なタイマーを含んでいる請求項9または10に記載の受入機。
【請求項12】
プロセッサは、所定の安全確保時間帯の間に貨幣単位体パラメータ信号が出現しなかった場合に、タイマーによって計時された時間帯を初期設定値にリセットするように作動可能なものである請求項9または10に記載の受入機。
【請求項13】
貨幣単位体の感知ずみ特性の関数としての貨幣単位体パラメータ信号を作るための信号源と、特定金種の貨幣単位体に関する前記パラメータ信号の値の標準受入範囲に対応しているデータをもたらすための記憶部であって、前記範囲は、パラメータ信号の値が前記特定金種の感知ずみ貨幣単位体の出現の相対的に高い確率と相対的に低い確率とに対応する相対的に高い受入確率領域と相対的に低い受入確率領域とからなる記憶部と、第1貨幣単位体に対応しているパラメータ信号の出現が第1所定値関係を採択する時を決定し、それに応じて、第2貨幣単位体に対応しているパラメータ信号の次の出現値を、標準受入範囲に照らして制限的受入範囲に対応しているデータと比較し、さらに、パラメータ信号の第2の出現値が前記制限的受入範囲の内部に納まるときに第2貨幣単位体の受入性に対応している出力値をもたらすように作動可能なプロセッサ構成体とを備えてなり、前記プロセッサ構成体は、第1貨幣単位体に対応しているパラメータ信号の出現が特定金種の貨幣単位体についての低い受入確率領域の内部における値の範囲がある第2所定値関係を採択する時を決定し、第2貨幣単位体に対応しているパラメータ信号の次の出現値を前記制限的受入範囲の内部における内部安全確保範囲に対応しているデータと比較し、さらに、パラメータ信号の第2の出現値が前記内部安全確保範囲の外側にあるときに第2貨幣単位体の受入性に対応している出力値をもたらすようにさらに作動可能なものである貨幣単位体受入機。
【請求項14】
前記プロセッサ構成体は、第1貨幣単位体パラメータ信号が前記第2所定値関係を採択する時を決定し、それに応じて、パラメータ信号の次の出現値を前記内部安全確保範囲と比較し、それらの第1数が受入可能な貨幣単位体に対応しているときには、値の内部安全確保範囲との比較を中断し、値の内部安全確保範囲との比較を中断した後に、かつ、前記第2所定値関係の次の出現値を採択する次の貨幣単位体パラメータ信号に応じて、パラメータ信号の次の出現値を前記内部安全確保範囲と比較し、第1数とは異なるそれらの第2数が受入可能な貨幣単位体に対応しているときには、値の内部安全確保範囲との比較を再び中断するように、さらに作動可能なものである請求項13に記載の受入機。
【請求項15】
第2数が第1数よりも大きい請求項14に記載の受入機。
【請求項16】
プロセッサは、前記第1数を所定量だけ増加させて前記第2数を定義するように作動可能なものである請求項14または15に記載の受入機。
【請求項17】
前記第1数を計数してその後に前記第2数を計数するように作動可能な計数器を含んでいる請求項14、15または16に記載の受入機。
【請求項18】
プロセッサは、計数器によって計数された総数を、所定の安全確保時間帯の間に貨幣単位体パラメータ信号が出現しなかった場合に初期設定計数値にリセットするように作動可能なものである請求項17に記載の受入機。
【請求項19】
前記第2所定値関係は、貨幣単位体パラメータ信号の出現値が、特定金種の貨幣単位体についての前記の高い受入確率領域の内部における値の前記範囲の内部における値を有しているときに発生する請求項13〜18のいずれか1つに記載の受入機。
【請求項20】
プロセッサは、貨幣単位体パラメータ信号の出現値を、前記第2所定値関係を有している貨幣単位体パラメータ信号の出現に続く第1所定時間帯について前記内部安全確保範囲と比較し、次いで値の内部安全確保範囲との比較を中断するように作動可能である請求項13〜19のいずれか1つに記載の受入機。
【請求項21】
プロセッサは、値の内部安全確保範囲との比較を中断した後に、貨幣単位体パラメータ信号の出現値を、前記第2所定値関係を採択している貨幣単位体パラメータ信号の出現に続く、第1時間帯よりも大きい第2所定時間帯について前記内部安全確保範囲と比較し、次いで値の範囲の内部安全確保範囲との比較を中断するように作動可能なものである請求項20に記載の受入機。
【請求項22】
プロセッサは、第2時間帯を第1時間帯の所定百分率増分として定義するように作動可能なものである請求項21に記載の受入機。
【請求項23】
前記第1時間帯および前記第2時間帯を計時するように作動可能なタイマーを含んでいる請求項21または22に記載の受入機。
【請求項24】
プロセッサは、所定の安全確保時間帯の間に貨幣単位体パラメータ信号が出現しなかった場合に、タイマーによって計時された時間帯を初期設定値にリセットするように作動可能なものである請求項21または22に記載の受入機。
【請求項25】
貨幣単位体の感知ずみ特性の関数としての貨幣単位体パラメータ信号を作るステップと、特定金種の貨幣単位体に関する前記パラメータ信号の値の標準受入範囲に対応しているデータをもたらすステップであって、前記範囲は、パラメータ信号の値が前記特定金種の感知ずみ貨幣単位体の出現の相対的に高い確率と相対的に低い確率とに対応する相対的に高い受入確率領域と相対的に低い受入確率領域とからなるステップと、第1貨幣単位体に対応しているパラメータ信号の出現値が所定値関係を採択する時を決定し、それに応じて、第2貨幣単位体に対応しているパラメータ信号の次の出現値を、標準受入範囲に照らして制限的受入範囲に対応しているデータと比較するステップと、パラメータ信号の第2の出現値が前記制限的受入範囲の内部に納まるときに第2貨幣単位体の受入性に対応している出力値をもたらすステップと、パラメータ信号の次の出現値を前記制限的受入範囲と比較し、それらの第1数が受入可能な貨幣単位体に対応しているときには標準受入範囲へ戻るステップと、標準受入範囲へ戻った後に、かつ、前記所定値関係を採択する次の貨幣単位体パラメータ信号に応じて、パラメータ信号の次の出現値を前記制限的受入範囲と比較するステップと、それらの第2数が受入可能な貨幣単位体に対応しているときには標準受入範囲へ戻るステップとを備えてなり、前記第2数は前記第1数と異なっている貨幣単位体の受入方法。
【請求項26】
検査中の貨幣単位体の感知ずみ特性の関数としての貨幣単位体パラメータ信号を作るための信号源と、特定金種の貨幣単位体に関するパラメータ信号の値の受入範囲に対応しているデータをもたらすための記憶部と、パラメータ信号の出現値が貨幣単位体を受け入れるための受入範囲の内部に納まる時を決定するプロセッサ構成体とを備えてなり、このプロセッサ構成体は、前記受入範囲の内部に、かつ、先の貨幣単位体に対応しているパラメータ信号の先の出現値に左右される配置で、集束拒絶ウィンドウをもたらし、さらに、その対応しているパラメータ信号がその集束拒絶ウィンドウの内部に納まるときに、検査中の貨幣単位体の拒絶に対応している出力値をもたらすように作動可能なものである貨幣単位体受入機。
【請求項27】
集束拒絶ウィンドウは、先の貨幣単位体に対応している少なくとも2つのパラメータ信号の平均に及ぶ請求項26に記載の受入機。
【請求項28】
プロセッサは、貨幣単位体パラメータ信号の出現値を、所定数の連続出現値が前記ウィンドウの外側に外れる値を有するまで集束拒絶ウィンドウと比較するように作動可能なものである請求項26または27に記載の受入機。
【請求項29】
記憶部によってもたらされた受入範囲データは、特定金種の貨幣単位体に関するパラメータ信号の値の標準受入範囲に対応しているデータからなり、前記範囲は、パラメータ信号の値が前記特定金種の感知ずみ貨幣単位体の出現の相対的に高い確率と相対的に低い確率とに対応する相対的に高い受入確率領域と相対的に低い受入確率領域とからなり、プロセッサ構成体は、第1貨幣単位体に対応しているパラメータ信号の出現が第1所定値関係を採択する時を決定し、それに応じて、第2貨幣単位体に対応しているパラメータ信号の次の出現値を、標準受入範囲に照らして制限的受入範囲に対応しているデータと比較し、さらに、パラメータ信号の第2の出現値が前記制限的受入範囲の内部に納まるときに第2貨幣単位体の受入性に対応している出力値をもたらすように作動可能なものであり、前記プロセッサは、パラメータ信号の次の出現値を前記制限的受入範囲と比較し、それらの第1数が受入可能な貨幣単位体に対応しているときには標準受入範囲へ戻るように作動可能なものである請求項26、27または28に記載の受入機。
【請求項30】
プロセッサは、標準受入範囲へ戻った後に、かつ、前記所定値関係を採択する次の貨幣単位体パラメータ信号に応じて、パラメータ信号の次の出現値を前記制限的受入範囲と比較し、かつ、それらの第2数が受入可能な貨幣単位体に対応しているときには標準受入範囲へ戻るように作動可能なものであり、前記第2数は前記第1数と異なっている請求項29に記載の受入機。
【請求項31】
信号源は、それぞれが相異なる感知ずみ貨幣単位体特性の関数としての複数の個別貨幣単位体パラメータ信号を作るように作動可能なものであり、記憶部は、値の標準受入範囲についてのデータと、パラメータ信号の値の任意の集束拒絶範囲あるいは他の範囲についてのデータとを、これらの相異なる特性のそれぞれについて個別にもたらすように構成されている請求項1〜30のいずれか1つに記載の受入機。
【請求項32】
信号源は、貨幣単位体の特性を感知するためのセンサからなっている請求項1〜31のいずれか1つに記載の受入機。
【請求項33】
センサは、硬貨からなる貨幣単位体の特性を感知するように作動可能なものである請求項31に記載の受入機。
【請求項34】
センサは、硬貨の誘導特性を感知するためのインダクターからなっている請求項32に記載の受入機。
【請求項35】
センサは、紙幣からなる貨幣単位体の特性を感知するように作動可能なものである請求項31に記載の受入機。
【請求項36】
検査中の貨幣単位体の感知ずみ特性の関数としての貨幣単位体パラメータ信号を作るステップと、特定金種の貨幣単位体に関するパラメータ信号の値の受入範囲に対応しているデータをもたらすステップと、パラメータ信号の出現値が貨幣単位体を受け入れるための受入範囲の内部に納まる時を決定するステップと、前記受入範囲の内部に、かつ、先の貨幣単位体に対応しているパラメータ信号の先の出現値に左右される配置で、集束拒絶ウィンドウをもたらすステップと、その対応しているパラメータ信号がその集束拒絶ウィンドウの内部に納まるときに、検査中の貨幣単位体の拒絶に対応している出力値をもたらすステップとを備えてなる貨幣単位体の受入方法。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2006−516343(P2006−516343A)
【公表日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−500191(P2006−500191)
【出願日】平成16年1月9日(2004.1.9)
【国際出願番号】PCT/GB2004/000070
【国際公開番号】WO2004/063995
【国際公開日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(505257305)マネー コントロールズ リミテッド (6)
【氏名又は名称原語表記】MONEY CONTROLS LIMITED
【住所又は居所原語表記】Coin House,New Coin Street,Royton,Oldham,Lancashire OL2 6JZ,UNITED KINGDOM
【Fターム(参考)】