説明

強磁性絶縁電線及びワイヤーハーネス

【課題】電線をテープ巻等の結束材を使用せずに束ねることが可能であり、クランプ等の他の部材なしに車両等への取り付けが可能である絶縁電線及びワイヤーハーネスを提供する。
【解決手段】導体2が、最大エネルギー積〔(BH)max〕が2kJ/m以上の永久磁石からなり、磁石化した強磁性絶縁電線11を用いて、該強磁性体絶縁電線11自身の磁力により、複数本の強磁性絶縁電線11を束ねてワイヤーハーネス10を構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、強磁性絶縁電線及びワイヤーハーネスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両に用いられるワイヤーハーネス100は、図11に示すように、複数の電線101を組み合わせて、電線101を束ねて構成されている。このワイヤーハーネス100に用いられる電線101は、一般に、銅線やアルミニウム等の導体102の周囲が、樹脂皮膜等の絶縁体103により被覆されているものである。
【0003】
上記ワイヤーハーネス100の電線を束ねるためには、例えばテープ等の結束材104を用いて、電線101の周囲を巻まわしている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
またワイヤーハーネス100を車両等の所定の位置に組み付ける場合、図12(a)に示すように、クランプ110等の取り付け部材を使用してワイヤーハーネス100を車両111に固定している(例えば特許文献2参照)。
【0005】
またワイヤーハーネス100は、図12(b)に示すように、ホットメルト接着剤112を使用して、車両111に接着して固定する場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−217357号公報
【特許文献2】特開平10−201058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来、ワイヤーハーネス100を製造する場合、製造工程では電線を束ねるために、テープ等の結束材(拘束部材ということもある)104が必要となる。また、ワイヤーハーネス製造工程では、テープ等を巻く作業が必要であり、作業に手間がかかるという問題があった。
【0008】
また従来、ワイヤーハーネス100を車両111に組み付ける工程では、クランプ110やホットメルト接着剤112等の、ワイヤーハーネス100以外の取り付け部材が必要となる。また、クランプ110を使用する場合は、クランプ110の車両111等への取り付け作業が必要であり、取り付けに手間がかかるという問題があった。また、ホットメルト接着剤112を使用する場合は、ホットメルト接着剤を塗る作業が必要であり、作業に手間がかかり、ホットメルト接着剤塗布装置等が必要となるという問題があった。
【0009】
本発明は、上記従来技術の問題点を解決しようとするものであり、電線をテープ巻等の結束材を使用せずに束ねることが可能であり、クランプ等の他の部材なしに車両等への取り付けが可能である絶縁電線及びワイヤーハーネスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明の強磁性絶縁電線は、少なくとも導体又は補助線材が強磁性体からなることを要旨とするものである。
【0011】
上記強磁性絶縁電線において、前記強磁性体が、比透磁率(μ)が2以上の高透磁率材料を用いることができる。
【0012】
上記強磁性絶縁電線において、前記強磁性体が、最大エネルギー積〔(BH)max〕が2kJ/m以上の永久磁石を用いることができる。
【0013】
上記強磁性絶縁電線は、導体が複数の素線の集合体からなり、前記素線が強磁性体からなるように構成することができる。
【0014】
上記強磁性絶縁電線は、導体が複数の素線の集合体からなり、前記複数の素線が、強磁性体からなる素線と非強磁性体からなる素線の組み合わせとなるように構成することができる。
【0015】
本発明のワイヤーハーネスは、少なくとも導体又は補助線材が、最大エネルギー積〔(BH)max〕が2kJ/m以上の永久磁石からなる強磁性絶縁電線を用いて、複数本の強磁性絶縁電線が束ねられているものであることを要旨とするものである。
【0016】
上記ワイヤーハーネスにおいて、少なくとも導体又は補助線材が、比透磁率(μ)が2以上の高透磁率材料からなる強磁性絶縁電線を、前記永久磁石からなる強磁性絶縁電線と組み合わせて、複数本の強磁性絶縁電線が束ねられているものであるように構成することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の強磁性絶縁電線は、少なくとも導体、又は補助線材のいずれか一つが強磁性体からなるように構成されているので、強磁性体に永久磁石を用いた場合、磁石化した電線とすることができ、それ自体で複数の電線を束ねることができる。また強磁性体に高透磁率材料を用いた場合は、上記の磁石化した電線に吸引されるようにすることができる。
【0018】
本発明のワイヤーハーネスは、少なくとも導体又は補助線材が、最大エネルギー積〔(BH)max〕が2kJ/m以上の永久磁石からなる強磁性絶縁電線を用いて、複数本の強磁性絶縁電線が束ねられているものであるから、強磁性絶縁電線どうしが吸引しあうことで自発的に束ねられた状態とすることができる。
【0019】
本発明のワイヤーハーネスは、従来のワイヤーハーネスのように、テープや接着剤等の結束材や、ホットメルト接着剤塗布装置等が不要であり、部品点数を削減することができる。
【0020】
更に本発明のワイヤーハーネスは、複数の強磁性絶縁電線どうしが吸引しあうので、結束材を用いて絶縁電線をひと纏めにする手間が省けるため、ハーネス組立工数を低減することができる。
【0021】
更に本発明のワイヤーハーネスは、車両等に配索する場合、永久磁石化したワイヤーハーネスを車体等に直接接合して固定することができるので、接着剤やクランプ等の取り付け作業が不要となるので、ハーネス配索作業の工数を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の強磁性絶縁電線の一例を示す断面図である。
【図2】本発明の強磁性絶縁電線の態様を示す断面図である。
【図3】(a)、(b)は本発明の強磁性絶縁電線の態様を示す断面図である。
【図4】(a)、(b)は本発明の強磁性絶縁電線の他の態様を示す断面図である。
【図5】本発明のワイヤーハーネスの態様を示す断面図である。
【図6】本発明のワイヤーハーネスの態様を示す断面図である。
【図7】本発明のワイヤーハーネスの態様を示す断面図である。
【図8】本発明のワイヤーハーネスの態様を示す断面図である。
【図9】本発明のワイヤーハーネスの態様を示す断面図である。
【図10】本発明のワイヤーハーネスの使用例を示す断面図である。
【図11】従来のワイヤーハーネスを示す断面図である。
【図12】(a)、(b)は従来のワイヤーハーネスの使用例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施例について図面を用いて詳細に説明する。図1は本発明の絶縁電線の一例を示す断面図である。図1に示す強磁性絶縁電線1は、導電性を有する強磁性体からなる導体2が、絶縁体3により被覆されているものである。
【0024】
図1に示す強磁性絶縁電線1は、導体2が単線から構成されている。強磁性絶縁電線1は、導体2が複数の素線の集合体により構成されていてもよい。図2、図3(a)、(b)は強磁性電線の他の態様を示す断面図である。図2の強磁性絶縁電線は、導体2が複数(7本)の素線21から構成されていて、7本の素線21は、全て強磁性体からなる素線21である。
【0025】
図3(a)の強磁性絶縁電線1は、導体2が7本の素線の集合体から構成されている。この導体2の7本の素線のうち、3本が強磁性体からなる素線21であり、他の3本は非強磁性体からなる素線22である。このように強磁性体からなる導体2は、強磁性体からなる素線21と非強磁性体からなる素線22の集合体から構成することができる。
【0026】
また図3(b)の強磁性絶縁電線1は、導体2が7本の素線の集合体から構成されている。この導体2の7本の素線のうち、中心の素線21が強磁性体からなり、その周囲の6本の素線22が非強磁性体から構成されているものである。
【0027】
図2、図3(a)、(b)に示すように、強磁性絶縁電線1は、導体2が複数の素線から構成される場合、複数の素線の本数は特に限定されない。また素線の集合体は、単なる集合体、あるいは撚り線からなる集合体のいずれでもよい。
【0028】
導体2の強磁性体(又は強磁性体からなる素線21等に用いられる強磁性体も含む)は、強い磁気作用を有する材料が用いられる。強磁性体の具体的な材料としては、導電性を有し、それ自身同士や、他の強磁性体を吸い寄せることができる永久磁石、或いは永久磁石に吸い寄せられる高透磁率材料等を用いることができる。これらの材料としては、鉄、ニッケル、コバルト、又はこれらの金属を含む合金等が挙げられる。
【0029】
また非強磁性体からなる素線22は、常磁性体、反磁性体等の強磁性体以外の導体であれば、用いることができる。
【0030】
また導体2は、比抵抗が、1μΩm以下であることが好ましい。更に好ましい導体2の比抵抗は、0.5μΩm以下である。
【0031】
導体2の材料として永久磁石を用いた強磁性絶縁電線1(磁石化した強磁性絶縁電線ということもある)は、その電線自体が磁石化するため、後述するワイヤーハーネスとして用いた場合に、他の高透磁率材料を導体として用いた絶縁電線を吸い寄せて一体化することができる。
【0032】
導体2の材料に用いられる上記永久磁石は、最大エネルギー積〔(BH)max〕が、2kJ/m以上である高保持力材料が用いられる。更に好ましい導体の最大エネルギー積は3kJ/m以上である。
【0033】
このような最大エネルギー積が〔(BH)max〕が、2kJ/m以上の高保持力材料としては、マルテンサイト鋼、Fe−Cr−Co、アルニコ、ストロンチウムフェライト(SrO・6Fe)、バリウムフェライト(BaO・6Fe)等のフェライト、サマリウムコバルト(SmCo17)等の希土類コバルト、ネオジウム鉄、サマリウム鉄窒素等の希土類鉄等が挙げられる。
【0034】
導体2の材料として高透磁率材料を用いた強磁性絶縁電線1は、上記の磁石化した強磁性絶縁電線に吸引される。以下、高透磁率材料を用いた強磁性絶縁電線を、磁石に吸引される強磁性絶縁電線ということもある。導体2の材料に用いられる高透磁率材料は、比透磁率(μ)が2以上である。更に好ましい導体2の高透磁率材料は、比透磁率(μ)が10以上である。尚、比透磁率μは、下記式(1)で表わされる、材料の透磁率μと真空の透磁率μとの比である。
μ=μ/μ ・・・(1)
【0035】
このような比透磁率(μ)が2以上である導体2の高透磁率材料としては、電磁軟鉄、Fe−Si、Fe−Al、Fe−Co−V、Fe−Si−Al等の鉄及び鉄系合金、Fe−Ni、Fe−Ni−Mn、Fe−Ni−Mo、Fe−Ni−Cr−Cu、Fe−Ni−Nb等のパーマロイ系合金、Mn−Zn系、Ni−Zn系、Cu−Zn系等のフェライト化合物、Fe−B−Si−C、Fe−B−Si等のアモルファス化合物等が挙げられる。
【0036】
上記態様の強磁性絶縁電線1は、導体2に強磁性体を用いて構成したものである。本発明の強磁性絶縁電線1は、絶縁体3は非強磁性体を用いても、強磁性体を用いてもいずれでもよい。
【0037】
絶縁体3に強磁性体を用いる場合、絶縁体3は絶縁性を有するボンド磁石、プラスチック磁石、ゴム磁石等を用いることができる。これらは、最大エネルギー積〔(BH)max〕が、2kJ/m以上である高保持力材料の磁性粉末をゴム又はプラスチック等のバインダー樹脂中に分散したものである。上記磁性粉末としては、導体2の最大エネルギー積〔(BH)max〕が、2kJ/m以上である永久磁石の材料として例示したものを用いることができる。
【0038】
また絶縁体3に強磁性体を用いる場合、絶縁体3は、比透磁率(μ)が2以上の高透磁率材料の粉末をゴム、プラスチック等のバインダー樹脂中に練り込んで分散したもの等を用いることができる。上記高透磁率材料の粉末は、導体2の比透磁率(μ)が2以上の高透磁率材料として例示したものを用いることができる。
【0039】
また絶縁体3の上記バインダー樹脂としては、例えば、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、PPS樹脂、合成ゴム、ポリエチレン、ポリプロピレン、EVA、EMA、EEA、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー、PET、PBT、PVC、PVDF、PVDC、塩素化ポリエチレン、ポリオレフィンエラストマー、スチレン系エラストマー等が挙げられる。
【0040】
また絶縁体3に非強磁性体を用いる場合は、通常の絶縁電線の絶縁体として用いられる樹脂が用いられる。このような樹脂としては、上記のバインダー樹脂が挙げられる。
【0041】
図4(a)〜(b)は本発明の強磁性絶縁電線の他の態様を示す断面図である。本発明の強磁性絶縁電線1は、図4(a)、(b)に示すように、導体2と補助線材4を絶縁体3により被覆して構成してもよい。補助線材4は、同図(a)に示すように、導体2とは並列に配置して絶縁体3に被覆されるように形成することができる。また、補助線材4は、同図(b)に示すように、導体2の中心に配置して、複数の導体2が該補助線材4の周囲を囲むように配置してもよい。
【0042】
補助線材4としては、例えば、SUS線等からなる電線補強用のテンションメンバや、強磁性体を用いて電線に強磁性を付与するための強磁性線材等を用いることができる。このような補助線材4を用いて本発明の強磁性絶縁電線1を構成する場合、少なくとも導体2、絶縁体3、補助線材4のいずれか一つが、強磁性体により構成されていればよい。すなわち、強磁性絶縁電線1は、導体2のみ、絶縁体3のみ、補助線材4のみ、導体2及び補助線材4の組み合わせのいずれかを強磁性体により構成することができる。
【0043】
尚、導体2が非磁性体から構成される場合は、アルミニウム、銅、それらの合金等の通常の電線導体を用いることができる。
【0044】
補助線材4を強磁性体により構成する場合、補助線材4の材料に比透磁率(μ)が2以上の高透磁率材料を用いることで、磁石に吸引される強磁性絶縁電線1を構成することができる。また補助線材4に、最大エネルギー積〔(BH)max〕が、2kJ/m以上である永久磁石を用いることで、磁石化した強磁性絶縁電線1を構成することができる。
【0045】
補助線材4に永久磁石を用いる場合、補助線材4に高透磁率材料を用いる場合は、上記した導体2で例示した材料が用いられる。尚、補助線材4は導体2や絶縁材3の材料とは異なり、導電性や絶縁性のない高透磁率材料、永久磁石等でも制限なく使用できる。
【0046】
以下、本発明のワイヤーハーネスについて説明する。図5〜図9は、本発明のワイヤーハーネスの態様を示す断面図である。図5に示すワイヤーハーネス10は、強磁性絶縁電線11を2本組み合わせて、2本の絶縁電線が束ねられているものである。2本の強磁性電線11、11は、最大エネルギー積〔(BH)max〕が、2kJ/m以上である永久磁石からなる導体2aが非強磁性体の絶縁体3で被覆されて磁石化している強磁性電線である。
【0047】
図5に示すワイヤーハーネス10は、強磁性絶縁電線11が磁石化しているから、互いが引き合い、束ねる際にテープ等の拘束材を使用する必要がない。またワイヤーハーネス10を作製する際に、テープ巻等の拘束材を装着する作業も不要である。
【0048】
図6に示すワイヤーハーネス10は、2本の強磁性絶縁電線から構成されている。一方の絶縁電線は、最大エネルギー積〔(BH)max〕が、2kJ/m以上の導体2aが絶縁体3で被覆されて磁石化した強磁性絶縁電線11である。他方の絶縁電線は、比透磁率(μ)が2以上の導体2bが被覆されて、磁石に吸引される強磁性絶縁電線12である。2本の絶縁電線11、12は、磁石化した強磁性絶縁電線11に、磁石に吸引される強磁性絶縁電線12が磁化して吸引されるので、拘束材を使用せずに、二本の強磁性絶縁電線11、12を束ねることができる。
【0049】
図7に示すワイヤーハーネス10は、上記の磁石化した強磁性絶縁電線11を2本と、上記の磁石に吸引される強磁性絶縁電線12を1本組み合わせて構成したものである。
【0050】
図8に示すワイヤーハーネス10は、上記の磁石化した強磁性絶縁電線11を22本組み合わせて構成したものである。磁石化した強磁性絶縁電線11同士が磁力で引き合い、一体化している。本発明のワイヤーハーネス10は、このように磁石化した強磁性絶縁電線11を3本以上組み合わせて構成してもよい。
【0051】
図9に示すワイヤーハーネス10は、上記の磁石化した強磁性絶縁電線11を11本と、上記の磁石に吸引される強磁性絶縁電線12を11本組み合わせて、合計22本の強磁性絶縁電線により構成したものである。本発明のワイヤーハーネス10は、このように2本以上の磁石化した強磁性電線11と、2本以上の磁石に吸引される強磁性絶縁電線12を組み合わせて構成してもよい。
【0052】
図10は本発明のワイヤーハーネスの使用例を示す断面図である。図8に示すワイヤーハーネス10は、最大エネルギー積が2kJ/m以上の導体2aを絶縁体で被覆した強磁性絶縁電線11を22本束ねたものである。このワイヤーハーネス10は、強磁性絶縁電線11自体の磁力により束ねられているものである。ワイヤーハーネス10は、鉄板等により形成されている自動車の車体20に、磁力により固定される。このようにワイヤーハーネス10は、それ自体の磁力により車体に固定することができる。そのため従来のワイヤーハーネスのように、クランプ、ホットメルト接着剤、両面テープ等のワイヤーハーネスを固定するための固定部材が不要である。
【0053】
この場合、ワイヤーハーネス10は、図9に示すように磁石化した強磁性絶縁電線11と磁石に吸引される強磁性絶縁電線12からなるものを用いてもよい。また、車体20等のワイヤーハーネスを固定するための所定の位置に、磁石を配置して貼り付けておけば、その位置にワイヤーハーネス10を固定することが容易である。
【0054】
本発明のワイヤーハーネスは、自動車用ワイヤーハーネスとして好適に用いることができる。
【実施例】
【0055】
以下、本発明の実施例、比較例を示す。本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0056】
実施例1
導体の素線の一部がFe−Cr−Co磁石により構成したポリエチレン被覆電線を22本用いて図10に示すようにワイヤーハーネスを構成した。上記電線の最大エネルギー積〔(BH)max〕は3kJ/mであった。このワイヤーハーネスは磁力により結束されていて、その電線結束性は良好であった。
【0057】
比較例1
実施例1のポリエチレン被覆電線の導体を銅線に変えた絶縁電線を準備した。上記電線の最大エネルギー積〔(BH)max〕は0.5kJ/m未満であった。この電線を用いて実施例1と同様にしてワイヤーハーネスを構成しようとしたが、ワイヤーハーネスだけでは結束することができず、電線結束性は不良であった。
【符号の説明】
【0058】
1 強磁性絶縁電線
2 強磁性体からなる導体
2a 最大エネルギー積〔(BH)max〕が2kJ/m以上の導体
2b 比透磁率(μ)が2以上の導体
3 絶縁体
10 ワイヤーハーネス
11 磁石化した強磁性絶縁電線
12 磁石に吸引される強磁性絶縁電線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも導体又は補助線材が強磁性体からなることを特徴とする強磁性絶縁電線。
【請求項2】
前記強磁性体が、比透磁率(μ)が2以上の高透磁率材料を用いたことを特徴とする請求項1記載の強磁性絶縁電線。
【請求項3】
前記強磁性体が、最大エネルギー積〔(BH)max〕が2kJ/m以上の永久磁石を用いたことを特徴とする請求項1記載の強磁性絶縁電線。
【請求項4】
導体が複数の素線の集合体からなり、前記素線が強磁性体からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の強磁性絶縁電線。
【請求項5】
導体が複数の素線の集合体からなり、前記複数の素線が、強磁性体からなる素線と非強磁性体からなる素線の組み合わせであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の強磁性絶縁電線。
【請求項6】
少なくとも導体又は補助線材が、最大エネルギー積〔(BH)max〕が2kJ/m以上の永久磁石からなる強磁性絶縁電線を用いて、複数本の強磁性絶縁電線が束ねられているものであることを特徴とするワイヤーハーネス。
【請求項7】
少なくとも導体又は補助線材が、比透磁率(μ)が2以上の高透磁率材料からなる強磁性絶縁電線を、前記永久磁石からなる強磁性絶縁電線と組み合わせて、複数本の強磁性絶縁電線が束ねられているものであることを特徴とする請求項6記載のワイヤーハーネス。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−234636(P2012−234636A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−100569(P2011−100569)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】