説明

弾性リングを備えた再係止可能な蓋を有する容器

本発明は、容器(1)に関し、この容器(1)は、上部開口(7)を定める周囲上縁(6)を有し、外向き突出部(8)が設けられた金属容器本体(2)、および弾性リング(12)が設けられた金属カバーを備えた蓋(3)を備えており、ここで、前記リング(12)は、自由下縁(23)を有する係止部分(21)を備え、環状の折曲げ線(24)によって分離された2つの環状部分(25、26)に分離されており、その下方部分(26)は、前記折曲げ線(24)の周りに2つの安定位置の間で折り曲げ可能であり、前記リング(12)の係止部分(21)は、前記外向き突出部(8)の下に係合し、前記下方部分(26)の内面の周りに、互いに対して間隔を隔てて配置された複数のビード(28)を備え、前記リングの下方自由縁(23)から間隔を隔てて延びる平面による前記係止手段、およびリングの前記係止部分(21)の周りに、互いに対して間隔を隔てて配置された、前記リングの下方自由縁(23)から間隔を隔てて延びる複数の開口部(29)を備え、前記開口部(29)は、前記係止部分(21)を通って、その前記上方部分および前記下方部分(25、26)の高さの少なくとも一部分に亘って延びている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再係止可能な蓋を有する容器に関し、特に、例えば化学薬品/溶剤である液体の貯蔵のための容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
溶剤を含有する幾つかの化学薬品または他の液体は、容器の材料に対する溶剤の溶解作用による漏洩を防止するため、金属で形成された容器または缶(換言すれば、蓋および容器本体)内に貯蔵されるべきである。
【0003】
しかしながら、全体が金属の容器を開けることは通常困難である。このケースでは概ね、蓋を引き起こすため、容器本体と蓋の間に差し込むことが可能な先のとがった器具(例えば、スクリュードライバー)が必要である。
【0004】
更に、この容器を閉めるには、容器本体の開口上に蓋を確りと押圧するため、比較的大きな圧力が必要である。
製品、例えばペイントの容器をいったん開けた後、容器蓋で再シール可能であることが,需要者に高く要求されている。特に、大容量の缶の場合、通常、容器内の製品は、1回では使用しきれない。従って、缶は、後に使用するための残量内容物を保存するために再シールが必要である。
【0005】
従来技術から、容器のための非プラスチック製再係止可能な蓋を提供することは公知であり、この蓋の着脱は、いかなる種類のツールも必要なく容易である。この再係止可能な蓋は、例えば、国際公開第01/044069号公報または国際公開第03/062081号公報に開示されている。
特に、国際公開第03/062081号公報は、閉じられるべき上部開口を取り囲むカール部分で終わっている側壁を有する容器本体に適合した再閉鎖可能な蓋について記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第01/044069号公報
【特許文献2】国際公開第03/062081号公報
【0007】
前記蓋は、少なくとも前記開口を覆うことを意図した非プラスチック部品、および前記カバーの境界に取り付けられた非金属リングを備えている。
弾性リングは、第1に、カバーの周囲境界に取り付けられた取付部品、および第2に、下方に突出した係止部分を備え、前記リング係止部分は、環状の折曲げ線によって分離された2つの環状部分、すなわち前記折曲げ線の上方および下方にそれぞれ配置された上方部分および下方部分に分割されている。
前記下方部分は、前記蓋を容器本体上に係止するため、前記カール部分の下側に係合した係止手段を備えた内面を備え、前記下方部分は、2つの安定位置(係止位置および上方に折り曲げられた非係止位置)の間で折曲げ線の周りに折り曲げ可能である。
【0008】
しかしながら、前記2つの位置の間のこの弾性リングのマニュアル操作は、特にその剛性の特性のために、しばしばそう容易ではない。
更に、上記金属カバー/弾性リング組立体の鋳型内製造方法の場合、それは、通常、大量生産を許容しないシステムによるツール−パート測定を引き起こす。
【0009】
確かに、金属カバー/弾性リング組立体は、一つの蓋を他の蓋上へ配して、幾つかの蓋を積み重ね可能とする品質を保つため、金属蓋の最小部中心部深さまたは最小核部深さを必要とする。
成形中心部は、リングの成形工程中、カバー中心部と成形リングの領域との間で移動可能でなければならない。リングを成形した後は、この成形中心部は、垂直方向上方に引き上げられなければならない。しかしながら、内側輪郭におけるリングは、ビードを示しているので、それは不可能である。
【0010】
更に、カバー中心部および成形リングの間の分けることのできない大変に小さな間隔により、個々に摺動する中心部スライスを使用することができない。これらは、確りとしていないツール部品を導くであろう。必然的に、リングのための要求された製造許容値および持続的大量生産は、この理由に基づき実現化されないであろう。
【0011】
したがって、容器本体を効率よくシールするのに適しており、容器本体から手で容易に取り外しができ、また容器本体に手で容易に再シール可能な再係止可能な蓋が必要とされる。
好ましくは、この蓋はまた、大量生産、特に鋳型内生産でシンプルに製造できなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、このニーズに適合した容器を提供することを意図している。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明による容器は、国際公開第03/062081号公報に開示されたタイプのものであって、すなわち(i)下端における底部エレメント、上端において上部開口を定める周囲上縁、および一片の外向き突出部が設けられた側壁を有する金属容器本体、および(ii)前記容器本体の上部開口を閉じるのに適した金属カバーが設けられた再係止可能な蓋を備え、その周縁境界部は弾性リングを備えており、ここで、前記弾性リングは、先ず、前記カバーの周縁境界部で留められる留め部品、次いで、下方に突出した係止部分を備えており、前記リング係止部分は、下方自由縁を有し、環状の折曲げ線によって分離された2つの環状部分、すなわち前記折曲げ線の上方および下方にそれぞれ配置された上方部分および下方部分に分割されており、前記下方部分は、前記蓋を容器本体上に係止するため、容器本体の前記外向き突出部の下側に係合した係止手段を備えた内面を備え、前記下方部分は、2つの安定位置(係止位置および上方に折り曲げられた非係止位置)の間で折曲げ線の周りに折り曲げ可能である。
【0014】
前記本発明によれば、弾性リングの前記係止部分は、
−前記下方部分の内面の周りに、互いに対して間隔を隔てて配置された複数のビードを備え、前記リングの下方自由縁から間隔を隔てて延びる平面による前記係止手段、および
−前記係止部分の周りに、互いに対して間隔を隔てて配置された、前記リングの下方自由縁から間隔を隔てて延びる複数の開口部を備え、
前記開口部は、前記係止部分を通って、その前記上方部分および前記下方部分の高さの少なくとも一部分に亘って延びている。
【0015】
用語「リング」は、円環状形態と同時に非円環状形態も含むと理解すべきである。従って、本発明は、円環状、卵形状、六角形状、正方形状、長方形状または他の多角形状断面の容器(蓋および容器本体)のためのカバー閉鎖体を意図している。
【0016】
容器本体の側壁の上縁における、あるいは容器本体の側壁の上縁に隣接した容器本体の外向き突出部は、外向きカール、外向き折曲げ部、外向きロール、外向きビードまたは同様のもの、または弾性リングのビードが効率よく係合し、また載置できる下面または張り出し部を提供するいかなる他の半径方向に向かう構造であってよい。
【0017】
本発明は、共に効率よく永久結合される2つの構成部品から構成されている蓋を提供する。この2つの構成部品は、金属製カバーおよび弾性リングである。従って、使用するためには、蓋は単一部品であることが効率的である。
弾性リングは、押圧フィッティングにより金属製カバーに確りと取り付けられるか、または金属製カバー上に鋳型により成形されてもよい。弾性リングは、金属製カバーに取り付けられ、そして継ぎ合わされてもよく、これにより前記リングは、対向して配置された2つのフランジの間に継ぎ合わされ、またはそれに接着されるか、カバーにインジェクション・モールディングされるか、またはこれらの取付方法のいかなる組み合わせよりカバーに取り付けられても良い。もしくは、リングは、カバー上に係合されてもよい。この場合、リングは、カバーに固定されるか、または離脱可能に取り付けられるかのいずれかとする。
【0018】
各ビードは、外向き突出部の下部に着座し、そして容器本体の上縁と着座係合する金属製カバーの境界を折り曲げる上面を有する。
弾性リングは、側壁突出部の下方で係合するゴムで形成してよい。
有利には、弾性リングは、カバーおよび容器本体の全周に沿って連続的に延びている。
弾性リングの形状は、容器(すなわち、円柱形、卵形、楕円形または多角形状)と同じである。
【0019】
本発明の他の利点および好ましい特性は、組み合わせまたは単独で採用され得、以下に特定される:
−開口部とビードは一対で配置され、前記開口部は、前記開口部の下方境界が協働するビードの上面に相当するようにして、前記ビード上に直接配置され、前記一対物は、リングの係止部分の周りに互いから間隔を隔てて配置され、特に、この実施形態は、成形製造方法、好ましくは、鋳型内製造方法が特に興味深く、
−開口部は、一方で、リングの係止部分の上方部分の全高さに亘って、他方で、リングの係止部分の下方部分の高さ一部分に亘って延び、
−リングの係止部分の上方部分は筒形状で、リングの係止部分の下方部分は頂部から底部に向かって外方に延びる錐台形状であり、
−各ビードは、金属製カバーに向かって延びる上向きのスロープを備えた上面を有するタブ形状をしており、この場合、各ビードは、好ましくは、平坦形状の上面、および外向きに延びる湾曲した形状の下面を有し、
−各ビードの下面は、半径方向、または少なくともおおよそ半径方向に延びる少なくとも1つのリブを備えており、この場合、有利には、各ビードの下面は、互いから間隔を隔て、半径方向、または少なくともおおよそ半径方向に延びる少なくとも2つのリブを備えており、
−金属製カバーは、フランジを持つ周縁境界部を備えており、このフランジは、(i)容器本体の側壁の上方周囲縁を覆うことを意図した内側部品、および(ii)前記側壁の上方周囲縁まで外方に延び、前記リングの取付部品に留められるように意図された外側部品を有し、
−前記開口部は、総合して、リングの係止部分の周囲の30〜80%に相当し、
−容器本体の外向き突出部は、錐台形状で、前記本体の側壁の頂部から底部に下方向および外方向に直接向かっている。
【0020】
更に、カバーは、その側壁によって形作られた容器本体の内面と係合可能な壁部分を備えていてもよく、前記壁部分およびリングは、前記側壁の上縁および外向き突出部を受けるための、下向きに開放する周囲キャビティまたはチャンネルを形作っている。
壁部分は、外側に向かって傾斜していてもよく、これによって、容器本体の側壁の前記壁部分および内面は、互いに対して摩擦により係合していてもよく、その結果、蓋は、弾性リングが係止位置にないときにでさえ、容器本体の開口の位置に保持される。
【0021】
他の実施形態においては、カバーは、容器本体の側壁に実質的に直交して延び、容器本体内に延びていない平坦なカバー面を備えていてもよく、これにより、前記壁部分は、無くともよい。その場合、蓋は、容器本体に弾性リングによってのみ係止されてもよい。
【0022】
容器の確りとした閉鎖体を提供するため、コンパウンド(密封した、あるいは確りとした閉鎖体を提供する材料)は、カバーと容器本体の間に配置されてもよい。このコンパウンドは、例えば、ゴムバンド、またはゴムバンド上にシリコーンをスプレーしたバンド、エラストマーのバンド、ソフトポリマーのバンドまたは合成ゴム複合体のバンドであってよい。
このコンパウンドは、容器本体の側壁とカバーの周囲壁部分、すなわち容器本体の側壁または壁部分内のひだ状部の内部との間に配置されてもよい。
【0023】
本発明はまた、上に規定した再係止可能な蓋の製造方法に関し、ここで、弾性リングは、金属製カバー上に成形により現場で形成され、また、ビードは、成形ツール部品を介して形成され、この成形ツール部品は、その外側からその中心に向かって摺動し、前記ツール部品は、中心部領域を金属製カバーのコアまで閉鎖し、そしてビードの上面と開口部の両者を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明はまた、添付図面に従い、いかなる限定もされることなく、特定の実施形態の以下の説明により開示される。
【図1】本発明による容器を、再係止可能な蓋が容器本体上に丁度配置された状態を断面で示す。この図においては、上方部分のみを示す。
【図2】図1に示した蓋の側面図である。
【図3】図2に示した蓋の一部の拡大図である。
【図4】図1〜3の蓋を装着した弾性リングの内面を、協働する金属製カバーを省いて示した部分図である。
【図5】本発明の蓋を装着するのに適した弾性リングの他の実施形態の底面図である。
【図6】および
【図7】それぞれ、再閉鎖可能な蓋が容器本体に組み込まれ、そして弾性リングが係止位置および非係止位置で操作される、図1の容器の一部を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1に示された容器1は、(i)金属で形成された容器本体2、および再係止可能タイプの蓋3(“再閉鎖可能タイプ”の蓋と称することもある)を備えている。
ここでは、容器本体2は筒形状のものであり、それは缶タイプまたはペールタイプのものである。
【0026】
この容器本体2は、側壁5(その上方部分のみを示す)を備えており、この側壁は、下端における底要素(図示せず)、および上端において、上部開口7を規定する周囲縁6を備えている。
容器本体2の側壁5は、側壁5の前記上縁6で終わるカールにより形成された一体型外向き突出部8を備えている。この終縁カール8は、適宜な冶金方法、例えば折り曲げによって得られる。
【0027】
ここで、外向き突出部8は、いかなる限定も有さず、三角形形状の断面を備えている。
従って、外向き突出部8は、特に、側壁5の頂部および底部の方向に下方向および外方向に向かう錐台形状の傾斜部分8aを備えている。前記傾斜部分8aは、(i)側壁の上縁6にまた対応する上端8a’、および(ii)前記傾斜部分8aおよび対向側壁5の間に延びる錐台形状の上向き部分8bにより長くされた下端8a”を有している。
【0028】
または、容器本体2の外向き突出部8は、例えば、正方形形状またはいかなる他の適した形状とすることができる。
外向き突出部8は、側壁の上縁6の全周に沿って連続的に延びている。
【0029】
しかし、代替として、前記外向き突出部8は、2つ、3つ、4つまたはそれ以上の個々の突出部または突出部の部分から構成されていてもよく、これらの突出部または突出部の部分は、角度セクターにより1つが他から取り外されるようになっている。
【0030】
一方、図1、図6および図7にまた示されているように、再係止可能な蓋3は、容器本体2の上部開口7を閉鎖するのに適した金属製カバー10を備えており、その周縁境界部11は、容器本体2の外向き突出部8と協働することを意図した弾性リング12(“プラスチックリング”、 “プラスチックスカート”または“弾性スカート”と称することもある)を備えている。
【0031】
金属製カバー10は、ここでは平坦形状の中央壁部分を備え、その周縁境界部11は、筒形状の上方壁部分13を備え、この上方壁部分13は、容器本体2の側壁5の内面の上方部分と係合するのに適している。前記壁部分13は、その上方端において外向きフランジ14により延長されている。
【0032】
外向きフランジ14は、ここでは、側壁の上縁6上に着座することを意図した下向きに開口したチャンネルを規定するように湾曲された内方部分15、および、ここでは、インジェクション・モールディングよる弾性リング12を受けるように形作られた外方部分16を備えている。
外向きフランジ14の内方部分15は、ここでは、容器本体2の側壁2の上縁6に確りとフィットし、密閉閉鎖をもたらすシールコンパウンドを備えている。
上記したように、弾性リング12は、製造方法の機能で特に選択された適切な方法により、金属製カバー10の周縁境界部11に、確りと固定されるか、あるいは留められる。
【0033】
図2〜4に示されているように、弾性リング12は、
−金属製カバーの周縁境界部11に取り付けられた取付上方部分20、および
−金属製カバー10の下面において下向きに突出し、金属製カバーの境界部11の上部壁部分13に面した下部係止部分21
の2つの主要部分を備えている。
【0034】
その結果、金属製カバー10の上部壁部分13および前記弾性リング12は、協働して、側壁の上縁6および外向き突出部8(図6および7に示す)を受けるのに適した、下向きに開口したキャビティまたはチャンネルを規定する。
リング12の留め部分20は、チャンネル22(図4に示す)を備え、金属製カバーの外向きフランジ14の外方部分16は、金属製カバー10の弾性リング12に取り付けられるようにして係合される。
【0035】
リング12の係止部分21は、下部自由端23により境界が定められており、環状折曲げ線24により分けられた2つの環状部分、すなわち前記折曲げ線24の上下にそれぞれ配置された上方環状部分25および下方環状部分26に分割されている。
図6および7に従い後述されるように、下方部分26は、折曲げ線24の周りに2つの安定位置、すなわち、下方係止位置および上方折曲げ非係止位置の間で折曲げられる。
【0036】
折曲げ線24は、ここでは、安定した折曲げ特性を確保するため、厚さが減じられた線からなる。
この実施形態においては、弾性リングの係止部分21の上方部分25は、筒形状であり、そして前記弾性リングの係止部分21の下方部分26は、頂部から底部に外方に延びる錐台形状である。
錐台形状または錐形状の下方部分26は、殆どの産業上の充填作業中および閉鎖作業中、側壁の突出部8の方向を支持する。
最初に開けた後は、下方部分26は、蓋3の操作を容易にし、容器を手により容易に閉じることができるようにするため、僅かに広がるのが有利である。
【0037】
更に、弾性リングの係止部分21は、
−前記下方部分26の内面の周りに、互いに対して間隔を隔てて配置された複数のビード28(図4には、これらビード28のうち2つのビードを示す)、および
−前記係止部分21の周りに、互いに対して間隔を隔てて配置された複数の開口部29を備えている。
【0038】
前記開口部29のそれぞれは、弾性リングの下方自由縁23から間隔を隔てて延びている。特に、前記開口部29は、それぞれ折曲げ線24における係止部分21を通って、上方部分25の高さの少なくとも一部およびその下方部分26の高さの少なくとも一部に亘って延びている。
【0039】
この実施形態において、開口部29は、それぞれ、一方では、弾性リングの係止部分21の上方部分25の全高さに亘って、そして、他方では、弾性リングの前記係止部分21の下方部分26の高さの一部に亘って延びている。
例えば、開口部29のそれぞれは、下方部分26の高さの10%〜70%に亘って延びる。
【0040】
開口部29のそれぞれは、2つの側部境界部29aおよび2つの横断境界部(すなわち上方境界部29bおよび下方境界部29c)を有する、ここでは、平行四辺形形状(すなわち、長方形形状または正方形形状)の閉鎖した、または連続した境界部を備えている。
【0041】
更に、下方部分26のビード28は、容器本体2の外向き突出部8の下部に係合する係合手段を構成し、これによって、蓋3を前記容器本体2上に係止し、あるいは再係止し、そして金属製カバーのフランジ14を側壁の上縁6上に密閉係合した状態(図6および7に従い後述する)に保持する。
図4に示したように、前記ビード28は、折曲げ線24の下方で,互いに対して間隔を隔てた状態で、弾性リングの下方自由縁23から間隔を隔てて延びる平面内に放射状に配置されており、該平面は、前記リング12の軸と直交して延びている。
【0042】
この実施形態においては、各ビード28は、(i)容器本体2の外向き突出部8の下方に着座するようになっている上面28a、および(ii)ここでは、前記外向き突出部8に亘り摺動することのできる斜面タイプの面を構成するのに適した下面28bを備えているタブ形状のものである。
【0043】
上面28aは、ここでは、平坦形状のスロープを有しており、このスロープは、その外側から内側に向かって上方に、かつ金属製カバーのフランジ14に向かって延びる。
この上面28aは、側壁の突出部8に最良の方法でマッチするように、特にその下端8a”の下に着座するように、設計されている。
下面28bは、金属製カバーのフランジ14の外側からその内側に向かって上方に延びる湾曲形状をしている。
【0044】
図4に示されているように、開口部29およびビード28は、カップル(他の用語ではペア)で配置されており、すなわち、前記開口部29の下部境界部29cが協働するビード28の上面28aに合致するように、各開口部29は前記ビード28の一つの上に直接配置されている。
前記カップル28,29は、互いに対して間隔を隔てて、ここでは、弾性リングの係止部分21の全周に亘って配置されている。
【0045】
図示された実施形態において、開口部29の幅(すなわち、2つの側部境界部29aの間の間隔)は、協働するビード28の幅と同一、またはほぼ同一である。
前記開口部29およびビード28は、共に、弾性リングの係止部分21の周囲の長さまたは周辺の30%〜80%に相当する。
前記開口部29およびビード28は、ここでは、通常、または少なくともほぼ通常、弾性リングの係止部分21の周辺に亘って配置されている。従って、開口部29/ビード28のカップルは、角度セクターの形で、絶えず、または少なくともおおよそ絶えず互いにから取り外される。
【0046】
代替の実施形態において、開口部29/ビード28のカップルは、前記弾性リングの係止部分21の長さのいくらかの適宜な部分において再編することができる。
図5に示した他の実施形態によれば、各ビード28の下面28bは、2つの側部リブ30を備える。
これらのリブ30は、放射状に、またはほとんど放射状に延び、互いに対して間隔を隔てて配置されている。
これらのリブ30の機能は、協働するビード28を明確に強化し、またビードの下面28bの斜面作用を明確に改善することである。
【0047】
弾性リング12は、金属製カバー6とは別個に例えばインジェクション・モールディングにより形成することができ、そして2つのピースは、例えばプレス・フィッティングにより組み立てられる。
もしくは、弾性リング12は、現場で、成形により金属製カバー6上に成形してもよく、この製造方法は、上記のように、また以下のように“鋳型内方法”と称することもある。
前記現場製造方法において、弾性リング12の下方部分26におけるビード28は、成形ツール部品を通して成形するのが有利であり、これらの成形ツール部品は、その外側から中心に向かって摺動する。これらの成形ツール部品は、金属製カバーの中心部領域をそのコアまで閉鎖し、ビード28の上面28aおよび開口部29の両者を形成する。
この弾性リング12の鋳型内方法は、大量生産において、および指令された品質の生産性において証明されている。
更に、ビードの、サイズ、形状および強度の変更は、容易になし得る。
【0048】
実施においては、容器本体2から蓋3を取り外すときは、弾性リング12の下方部分26は、非係止位置(図6および7に示す)に上向きに折り曲げられ/振られ得、次いで、蓋3は、容器本体2から持ち上げて離され得る。
【0049】
容器本体2に対しての蓋3のフィッティング/リフィッティングの方法は、例えば、容器を用いる人により蓋を下方へ押圧する従来の方法を備えていてもよい。
再係止可能な蓋3をフィッティング/リフィッティングするときは、弾性リング12の下方部分26は、最初に係止位置(図1〜4による)に下方向に振られ/折り曲げられ、次いで、係止手段28が容器本体2の外向き突出部8に係合する(図6に示した)まで、蓋3が下方向に摺動される。
この場合、錐台状下方部分26の内面およびビード28の下面28bは、外向き突出部8、次いで前記外向き突出部8の下方の最終“スナップ”を通過するとき、弾性リングの下方部分26の弾性伸張を生じるカムとして作用する。
これは、いかなる適合も必要なく、標準的な充填具で行うことができる。
【0050】
蓋3で容器本体2を閉鎖する前の係止位置におけるリング12の下方部分26を前もって配置する代わりに、蓋3が、容器本体2の開口7に適切に配置され、次いで、単に、弾性リング12の下方部分26が下方向に振られ/折り曲げられ係止位置に配置されてもよい。
【0051】
代替の実施形態において、ビード28/開口部29の前記カップルは、折り曲げられなく、そして前記2つの安定した位置(係止位置および非係止位置)を取ることのない弾性リング12上に配置され得る。
【0052】
この容器は、蓋がタイトで係止可能な閉鎖体を提供して、食料品、溶剤、化学薬品、ペイントを収容し得、しかしながら、勿論容器本体と蓋とがまた他の物品のために使用できる。
【0053】
更に、この蓋は、側壁の突出部を有する公知の容器に適用可能である。蓋が、従来の製造装置を用いることによって、前記容器上にフィット可能であるとき、前記蓋は、容器の製造とは別個に(容器本体との組み合わせでなく)、あるいは消費財(例えば、食料品、溶剤、化学薬品、ペイント)の製造毎に販売できる。
【符号の説明】
【0054】
1 容器
2 容器本体
3 蓋
5 側壁
6 周囲上縁
7 上部開口
8 突出部
10 金属製カバー
11 周縁境界部
12 弾性リング
20 留め部品
21 リング係止部分
23 下方自由縁
24 折曲げ線
25 環状部分
26 環状部分
28 係止手段
29 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)下端における底部エレメント、上端において上部開口(7)を定める周囲上縁(6)、および一片の外向き突出部(8)が設けられた側壁(5)を有する金属容器本体(2)、および(ii)前記容器本体の上部開口(7)を閉じるのに適した金属カバー(10)が設けられた再係止可能な蓋(3)を備え、その周縁境界部(11)は弾性リング(12)を備えており、ここで、前記弾性リング(12)は、先ず、前記カバーの周縁境界部(11)で留められる留め部品(20)、次いで、下方に突出した係止部分(21)を備えており、前記リング係止部分(21)は、下方自由縁(23)を有し、環状の折曲げ線(24)によって分離された2つの環状部分(25、26)、すなわち前記折曲げ線(24)の上方および下方にそれぞれ配置された上方部分(25)および下方部分(26)に分割されており、前記下方部分(26)は、前記蓋(3)を容器本体(2)上に係止するため、容器本体(2)の前記外向き突出部(8)の下側に係合した係止手段(28)を備えた内面を備え、前記下方部分は、前記折曲げ線(24)の周りに係止位置および上方に折り曲げられた非係止位置の2つの安定位置の間で折り曲げ可能である容器において、
弾性リング(12)の前記係止部分(21)は、
−前記下方部分(26)の内面の周りに、互いに対して間隔を隔てて配置された複数のビード(28)を備え、前記リングの下方自由縁(23)から間隔を隔てて延びる平面による前記係止手段、および
−前記係止部分(21)の周りに、互いに対して間隔を隔てて配置された、前記リングの下方自由縁(23)から間隔を隔てて延びる複数の開口部(29)を備え、
前記開口部(29)は、前記係止部分(21)を通って、その前記上方部分および前記下方部分(25、26)の高さの少なくとも一部分に亘って延びている
ことを特徴とする容器。
【請求項2】
開口部(29)とビード(28)は一対で配置され、前記開口部(29)は、前記ビード(28)上に直接配置され、前記開口部(29)の下方境界(29c)が、協働するビード(28)の上面に相当し、前記一対物(28、29)は、リングの係止部分(21)の周りに互いから間隔を隔てて配置されていることを特徴とする請求項1の容器。
【請求項3】
開口部(29)は、一方で、リングの係止部分(21)の上方部分(25)の全高さに亘って、他方で、リングの係止部分(21)の下方部分(26)の高さの一部分に亘って延びていることを特徴とする請求項1または2の容器。
【請求項4】
リングの係止部分(21)の上方部分(25)は筒形状で、リングの係止部分(21)の下方部分(26)は頂部から底部に向かって外方に延びる錐台形状であることを特徴とする請求項1から3のいずれかの容器。
【請求項5】
各ビード(28)は、金属製カバー(6)に向かって延びる上向きのスロープを備えた上面(28a)を有するタブ形状をしていることを特徴とする請求項1から4のいずれかの容器。
【請求項6】
各ビード(28)は、平坦形状の上面(28a)、および上向きに延びる湾曲した形状の下面(28b)を有していることを特徴とする請求項5の容器。
【請求項7】
各ビード(28)の下面(28b)は、半径方向、または少なくともおおよそ半径方向に延びる少なくとも1つのリブ(30)を備えていることを特徴とする請求項1から6のいずれかの容器。
【請求項8】
各ビード(28)の下面(28b)は、互いに対して間隔を隔てて、半径方向、または少なくともおおよそ半径方向に延びる少なくとも2つの横方向リブ(30)を備えていることを特徴とする請求項7の容器。
【請求項9】
金属製カバー(10)は、フランジ(14)を持つ周縁境界部(11)を備えており、このフランジは、(i)容器本体の側壁(5)の上方周囲縁(6)を覆うことを意図した内側部品(15)、および(ii)前記側壁(5)の上方周囲縁(6)まで外方に延び、前記リングの取付部品(20)に留められるように意図された外側部品(16)を有していることを特徴とする請求項1から8のいずれかの容器。
【請求項10】
開口部(29)は、総合して、リングの係止部分(21)の周囲の30〜80%に相当することを特徴とする請求項1から9のいずれかの容器。
【請求項11】
容器本体(2)の外向き突出部(8)は、容器本体の側壁(5)の頂部から底部に下向きおよび外向きに方向付けられた錐台形状のものであることを特徴とする請求項1から10のいずれかの容器。
【請求項12】
請求項1から11のいずれかによる再係止可能な蓋(3)。
【請求項13】
請求項12による再係止可能な蓋(3)の製造方法であって、弾性リング(12)は、金属製カバー(6)上に成形により現場で形成され、また、ビード(28)は、成形ツール部品を介して形成され、この成形ツール部品は、その外側からその中心に向かって摺動し、前記ツール部品は、中心部領域を金属製カバー(6)のコアまで閉鎖し、そしてビード(28)の上面(28a)と開口部(29)の両者を形成することを特徴とする製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−512830(P2013−512830A)
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−542413(P2012−542413)
【出願日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際出願番号】PCT/EP2010/065878
【国際公開番号】WO2011/069734
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(312004709)
【Fターム(参考)】