説明

弾性接触装置及び弾性接触装置を用いる電気機器

【課題】機構が簡単で、弾性素子の弾力を強化し、組立時間が軽減できる接触装置を提供すること。
【解決手段】本発明の弾性接触装置は一つの弾性素子と一つの接触素子を含み、前記接触素子と前記弾性素子とは電気的に接続され、前記弾性素子は第1固定部、及び、第1固定部と第2固定部間に連結される弾性部を含んでいて、前記弾性部は前記第2固定部の主平面の投影は略コ字形状をしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接触装置及び接触装置を用いる電気機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的な電気機器、例えば、携帯電話、ノートパソコンなどの電気機器は電源との接続、データの輸出/輸入、或は地面と接地する時に他の電気機器との接続が必要になる。
【0003】
前記電気機器の間の電気的な接続は高い安全性と操作性が要求される。つまり、複雑な組み付けと分離、ガタツキ接続、及び多くの接触抵抗が生じないことがよい。
【0004】
前記の目的を達成するために、前記電気機器は弾性接触装置を使って、弾性変形により生じた弾力を利用して前記電気機器間でガタツキ接続が生じないようにする。
【0005】
従来技術では、スプリングを弾性接触装置の弾性発生素子としていた。図1に示すように、電気機器2は複数の弾性接触装置20を含んでいる。弾性接触装置20は接触素子202とスプリング204を含んでいる。スプリング204の一つの端部は電気機器2内の電子回路24に固定され、ほかの端部は接触素子202に固定される。接触素子202はスプリング204を介して電気機器2内の電子回路24に接続されている。前記電気機器2が外の電気機器(図示せず)と接続されない時に、接触素子202は電気機器2のケース22の外まで延在する。電気機器2と外の電気機器が接続される時に、スプリング204は接続圧力の作用で変形して弾力を生じ、接触素子202と外の電気機器の導電接触点が安定な接触を保持するようにする。前記技術により良好な弾性効果を得ることができるが、前記弾性接触装置20の機構が複雑になるとともに、弾性接触装置20の組立及びそれを電気機器2に固定するのにより長い時間がかかるために大規模な生産に不利である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は機構が簡単な弾性接触装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の弾性接触装置は、一つの弾性素子と一つの接触素子を有し、前記接触素子は弾性素子と電気的に連結し、前記弾性素子は第1固定部、第2固定部、及び、第1固定部
を第2固定部に連結する弾性部を含み、前記弾性部の前記第2固定部主要面での投影は略コ字形状に形成される。
【0008】
本発明の電気機器は一つの弾性素子と接触素子を有し、前記接触素子は前記弾性素子と電気的に接続され、前記弾性素子は第1固定部、第2固定部、及び、第1固定部と第2固定部を連結する弾性部を含み、前記弾性部の前記第2固定部の主要面の投影は略コ字形状に形成される。
【発明の効果】
【0009】
従来の技術と比べて、上記弾性接触装置の弾性素子は機構が簡単であり、且つ前記弾性接触素子に形成された第2固定部を介して弾性接触装置を電気機器に固定することによって、組立に掛かる時間を軽減して生産コストを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図2は本発明の最良の実施形態による弾性接触装置42の斜視図である。前記弾性接触装置42は接触素子421と弾性素子422を含んでいる。接続素子421は円柱形状導体をしており、その一方の端部はリベットを介して弾性素子422に固定され、その他方の端部は切頭円錐台形状部421aを形成して相応の電気機器と接触することができる。前記弾性素子422は導電性薄片からなり、順に第1固定部422a、第1弾性部422b、第2弾性部422c、第3弾性部422d及び第2固定部422eを有する。
【0011】
弾性素子422は第2固定部422eを介して弾性接触装置42を用いる電気機器42に固定される。第2固定部422eの一側辺が垂直に延在して第3弾性部422dを形成する。第2弾性部422cはアーチ形に形成される。第2弾性部422cは第3弾性部422と連結した一方の端部から第2固定部422eの上方向に漸次延在して第1弾性部422bと接続される。湾曲形状の第1弾性部422bの曲がった二つの端部が、それぞれ、第1固定部422a及び第1弾性部422bと接続される。第1弾性部422bの第2弾性部422cと接続された一方の端部は上方向に延在して第1固定部422aと接続される。第1弾性部422bの主平面は第2弾性部422cの主平面及び第2固定部422eの主平面に対してそれぞれ一定の角度を形成する。第1固定部422aは、接触素子421を固定するのに用いられ、且つ弾性変形をしない状況で第2固定部422eと平行になっている。前記各固定部と各弾性部間は曲げ可能に接続されることによって、弾性素子全体が上向きの螺旋状機構を構成する。
【0012】
第2固定部422eには一つの固定孔423と一つの位置決め孔424が形成される。固定孔422は弾性素子422を電気機器に固定するのに使われる。位置決め孔424は前記電気機器の突起と係合して弾性素子422の回動を防止し、これによって、接触素子421と外の電気機器の接触点との間の連結不良を免れることができる。勿論、多数の固定孔と位置決め孔を形成して弾性素子を安定させることもできる。
【0013】
第1固定部422aが接触素子421の圧力を受ける時、第1弾性部422b、第2弾性部422c及び第3弾性部422dは協動して元の位置から離すような弾性変形を生じさせる。該弾性変形による弾力は接触素子421と外の電気機器の接触点との間の良好な接触を保持することができる。
【0014】
図3に示すように第1固定部422aの中心線Laの第2固定部422e主平面の投影La´と、第2固定部422eの中心線Leの投影線Le´(LeとLe´は重なる)は交差する。第1弾性部422bの中心線Lbの投影線、第2弾性部422cの中心線Lcの投影線及び第3弾性部422dの中心線Ldの投影線を連結して一つの弧線を形成することになる。前記各弾性部の第2固定部422eの主平面の投影は、コ字形状を形成するように構成される。
【0015】
図4に示すように、弾性接触装置52は接触素子521と弾性素子522を含んでいる。弾性素子522は順に相互に連結する第1固定部522a、第1弾性部522b、第2弾性部522c、第3弾性部522d及び第2固定部522eに分かれている。第1固定部522aの中心線の直線部分LAの第2固定部522e主平面の投影線LA´と第2固定部522e中心線LEの投影線LE´(LEとLE´は重なる)は平行である。前記各弾性部の第2固定部522eの主平面の投影は、コ字形状を形成するように構成される。
【0016】
上述の実施形態において、第1固定部422a、522aの中心線は第2固定部422e、522eの主平面の投影と、第2固定部422e、522eの中心線の投影線と重ならなく、即ち二つの投影線は相互に交差あるいは平行である。第1弾性部422b、522b、第2弾性部422c、522c及び第3弾性部422d、522dからなる弾性変形体は、それぞれ、3次元座標系の三つの座標軸の方向に沿って延在することになる。弾性素子422、522が接触素子421、521から作用力を受ける時に、該作用力が、それぞれ、三つの座標軸の方向に沿った分力に分解されることで、弾性素子422、522が良好な弾性を有するように確保できる。
【0017】
上述の実施状態において、弾性素子422、522は三つの弾性部を有するが、実際の弾性の要求と弾性素子422、522の高さを考えて、例えば、二つ、四つ及び五つなどの弾性部を形成することができる。同様に、湾曲形状も適切に変更することができる。弾性接触装置42、52の弾性素子422、522の弾性部間はアーチ形で接続することができる。そうすると、各弾性部間の境界は明瞭ではなくなり、各弾性部は一体形成するように構成される。
【0018】
本発明による弾性接触装置は、各種の接触装置を介して電気接続を実現する電気機器に広く使うことができる。次にはノートパソコンとドッキングステーションとの電気接続を挙げて例として本発明を説明する。
【0019】
ノートパソコンは、携帯が便利であるのと同時に部分的な機能及び使用の快適性を失うことになる。例えば、薄いノートパソコンは光ディスクドライバーがなく、或は少量の拡張インターフェイスを形成するように構成される。そこで、ドッキングステーションはノートパソコンの機能を拡張することができる。ドッキングステーションは、インターフェイスとスロットを介して、例えば、光ディスクドライバー、ディスクドライバー或はインターフェイスを拡張して大画面モニターと連結し、プリンター、USB(Universal Sial Bus)などの外部装置と電気的に接続することができる。従って、薄いノートパソコン自身の携帯設備或はインターフェイスが少ない欠点を解決した。
【0020】
図5は本発明の実施例に係わるノートパソコン3とドッキングステーション4の分解斜視図である。ノートパソコン3の連結装置31はドッキングステーション4の第2連結装置41と電気的に接続することができる。第1連結装置31の複数の金属端子311はノートパソコン3内の電子回路と連結する。第2連結装置41の複数のピン411はドッキングステーション4内の電子回路(図示せず)に電気的に接続される。第1連結装置31と第2連結装置41との電気的な接続により、ピン411と金属端子311とは電気的に接続されてデータ伝送を実現することができる。
【0021】
ノートパソコン3とドッキングステーション4間の安定したデータ伝送を実現し、干渉を軽減するように、ノートパソコン3とドッキングステーション4間の電磁干渉(Eelectro Magnetic Interference,EMI)を減少させなければならない。EMIを軽減するための有効方法はEMIに良好な接地通道を形成することでEMIを地面に接地することである。EMIに抵抗する能力を強化するために、ノートパソコン3は複数の接地端子32を含んでいる。前記接地端子32はノートパソコン3内の電子回路と電気的に連結し、接地端子32は導体材料で形成される。ドッキングステーション4は前記接地端子32と相応的な複数の弾性接触装置42を含む。ノートパソコン3とドッキングステーション4とが正確に連結された時、弾性接触装置42と接地端子32とは電気的な接続を実現する。接地端子32と弾性接触装置42との安定した接続はEMIに有効に抵抗しながらもデータ伝送を安定して行うことができる。
【0022】
図6は本発明の実施例に係わる弾性接触装置42のドッキングステーション内での組付け図であり、図7は図6のVI部分の局部拡大図である。弾性接触装置42は螺子43を介して接地薄片44に固定され、接地薄片44はドッキングステーション4の接地電子回路(図示せず)と電気的に接続されることによって、EMIを地面に接地させ、EMIに有効な干抵抗能力を実現する。
【0023】
ノートパソコン3とドッキングステーション4が正確に連結された時、ノートパソコン3の圧力作用で弾性接触装置42が弾性変形を生じて弾力が生じ、接触素子421と接地端子32との安定した接続を保持するようにする。こうして、ノートパソコン3とドッキングステーション4が正常に作動する時に、有効な接地装置があることでEMIの不良影響を軽減し、ノートパソコン3とドッキングステーション4とは安定して作動することができる。ノートパソコン3とドッキングステーション4との脱着時の圧力作用がなくなったため、接触素子421は弾力の作用で元の位置に復帰する。
【0024】
弾性接触装置42の材料は、例えば、銅、アルミニウム、鉄等の金属でもよく、良好な導電性及び弾性を有する合金或は他の材料でもよい。且つ、接触素子421と接触端子32に対して鍍金処理をすることで、接触素子421と接地素子32が良好な耐磨耗性及び、より小さな接触抵抗を有するように形成することがある。前記弾性接触装置42が軽便で材料を節約するために、接触素子421は中空管状構造でもよい。
【0025】
弾性接触装置42は一体成型の一つの素子でもよく、簡単な組立、例えば、リベット付き等を通じて形成してもよい。弾性接触装置42には固定孔423が形成されるから、電気機器の中での位置決めと固定が容易である。本発明の弾性接触装置42は良好な弾性を有するのと同時に機構が簡単で、組立に掛かる時間を節約することができる。
【0026】
上述実施形態において、ノートパソコンのドッキングステーションを例として本発明の弾性接触装置に関して詳細に説明した。該弾性接触装置は他の電気機器に広く使われ、且つ接地の功能だけではないことを理解することは容易である。例えば、携帯電話及びそれと相応的な充電器には前記弾性接触装置を介して充電することもできる。該携帯電話の外部に設けられた導電端子は携帯電話の中の電子回路と電気的に接続され、充電器に設けた相応的な弾性接触装置は充電器内の充電電子回路と電気的に接続されるように構成される。こうして、前記携帯電話と前記充電器が正確に接続された時、前記弾性接触装置と前記導電端子が接触して携帯電話の充電を実現することができる。同様に、前記弾性接触装置もメモリカードリーダに使われ、該弾性接触装置がメモリカードの金属接触点と接触することでメモリカードのデータを読み出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】従来技術に係る弾性接触装置の分解図である。
【図2】本発明の実施例の弾性接触装置の斜視図である。
【図3】本発明の実施例の弾性接触装置の弾性素子の中心線の投影図である。
【図4】本発明のほかの実施例の弾性接触装置の斜視図である。
【図5】本発明の実施例の弾性接触装置を有するノートパソコンとドッキングステーションの分解斜視図である。
【図6】本発明の実施例のドッキングステーションの弾性接触装置の透視図である。
【図7】本発明の実施例のドッキングステーション内の弾性接触装置の局部拡大図である。
【符号の説明】
【0028】
3 ノートパソコン
4 ドッキングステーション
31 第1連結装置
311 金属端子
32 接地端子
41 第2連結装置
411 ピン
42 弾性接触装置
421 接触素子
421a 切頭円錐台形状部
422 弾性素子
422a 第1固定部
422b 第1弾性部
422c 第2弾性部
422d 第3弾性部
422e 第2固定部
423 固定孔
424 位置決め孔
43 螺子
44 接地薄片
52 弾性接触装置
521 接触素子
522 弾性素子
522a 第1固定部
522b 第1弾性部
522c 第2弾性部
522d 第3弾性部
522e 第2固定部
La 中心線
La´ 投影
Lb 中心線
Lc 中心線
Ld 中心線
Le´ 投影線
LA 直線部分
LA´ 投影線
LE 中心線
LE´ 投影線



【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つの弾性素子と一つの接触素子を含み、前記接触素子と前記弾性素子とは電気的に接続され、前記弾性素子は第1固定部、第2固定部及び前記第1固定部と前記第2固定部との間を連結する弾性部を含む弾性接触装置において、
前記弾性部は前記第2固定部の主平面の投影は略コ字形状をしていることを特徴とする弾性接触装置。
【請求項2】
前記第1固定部の中心線は第2固定部の主要面の投影が第2固定部の中心線と相交わらないことを特徴とする、請求項1に記載の弾性接触装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の弾性接触装置を有することを特徴とする電気機器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−87921(P2007−87921A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−47146(P2006−47146)
【出願日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(503023069)鴻富錦精密工業(深▲セン▼)有限公司 (399)
【出願人】(500080546)鴻海精密工業股▲ふん▼有限公司 (1,018)