説明

弾性連結体付きサポーター

【課題】サポーターの下肢への圧迫や衝撃緩衝機能と足関節の背屈位保持機能を同時に作用させ、各競技スポーツにおいて、ジャンプ力向上、ステップ時のスムーズな体重移動などの運動能力を高め、運動中の怪我を起き難くする。又、膝の変形や脊椎の退行性変性などに起因する高齢者の、歩行中の膝折れやつまずき転倒を起き難くする運動用具を提供する。
【解決手段】下肢用のサポーター1に、プラスチックなどある程度の硬さと強度をもつ素材のパッド2,3を取り付ける等種々の方法で、張力の起点としての耐性を強化する加工を施し、張力の起点とする。この起点部にゴムバンドなど種々の弾性連結体5を、又、その先端に連結フック6を取り付ける。この、連結フックを、各競技の練習や試合中に、又は、歩行中に転びやすい高齢者などが歩く時に、各種スポーツシューズの靴紐、あるいは靴に取り付けた連結紐に掛ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種々の競技スポーツの運動能力を向上、又、運動中の怪我の発生を起き難くし、膝や脊椎の変形などが原因で歩行中につまずいて転倒し易い高齢者などの歩行中の転倒を防止する運動用品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、本発明のように競技スポーツの能力向上や、競技中の怪我防止、あるいは、膝の障害等でつまずきやすくなった高齢者の歩行補助を目的に、下肢サポーターの圧迫機能と、足関節の背屈位保持機能を組み合わせた装具の発明はなされていなかった。
又、本発明は本発明者が出願中の、特願2002−258285、のつまずき転倒防止目的の履物開発に伴う患者モニターや試使用の結果検証から得た、高齢者のつまずき転倒と競技中のフットワークのメカニズムを運動工学の見地から解明し、その論拠に基づいて成されたもので、従来このような視点に立った発明はなかった。
【考案が解決しようとする課題】
【0003】
(イ)従来、膝の障害者用の、あるいはスポーツ対応の下肢用サポーターとして種々の加 工がなされたものが、開発されてきたが、それらは下肢の保温、関節の安定と運動 時の打撲の保護などを目的とするものであった。本発明は、これら従来のサポータ ー機能に足関節の背屈位保持作用を取り入れ、高齢による変形などにより、膝や腰 を曲げて歩行する人のつまずきを防止、又、バレーボールなどフットワークが必用 なスポーツの運動能力を高め、同時に運動中の怪我を起き難くする為になされたも のである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
下腿用や膝上までのサポーター(1)(7)にプラスチック等、ある程度の硬さを持つパッド(2)(3)を下腿の前後に取り付け、必要に応じて締め付けベルト(4)で補強固定して張力の起点とする。この起点部にゴムバンドや引きバネ等の弾性連結体(5)の先に連結フック(6)を設け、スポーツシューズの靴紐や一般の靴に取り付けた連結紐に引っ掛ける。これを歩行時に膝が曲がりつまずく歩行困難者や転倒し易い高齢者などの歩行中、又は、フットワークやジャンプなどを行う種々の競技の試合や練習中等に使用させる。
【作用】
【0005】
歩行中や運動中に、パッド取り付等の加工を施したサポーターが激しい運動に耐え得る張力の起点となって、連結体の張力が履物に伝わり足関節を背屈位に保つ作用と、筋肉や膝関節にサポーターの圧迫作用が同時に作用する。
これにより、膝関節の変形に起因し高齢者のつまずき転倒の一因である、膝を折った状態ですり足歩行になりつまずき易くなった人が歩く時に、送り足の足関節が自然に背屈位を保つように、また、軸足には圧迫作用が働いて筋肉の収縮と膝関節の安定力を補助し、つまずきや膝折れ現象による転倒を起き難くする作用を発揮する。
この作用については、考案者が営む接骨院に於いて約50人の高齢者などにモニターを実施し、膝のぐらつき、つまずきの恐怖感が解消され歩き易く、歩くスピードが速くなることが確認された。
又、バスケットボールやバレボールなどでのジャンプの踏み込みや、レシーブの反応動作を行う時、体重移動に伴う足関節の低背屈の切り替えの一動作が省略されるため、一連の動作が行い易く、反応が速くなるなど、競技能力が向上するように作用する。
運動時の怪我の予防作用として、疲労してもフットワーク中に足がもつれての転倒を防ぎ、ジャンプ着地での足関節の内返が起き難く足関節捻挫を予防する。
この作用に関しては、考案者が所属する室内ビーチボールバレーでの試し使用により、長時間のプレーでもずれることなく踏み込みアタック動作が通常より円滑に行え、ジャンプ力が数センチ高くなる。疲労しても、速い足の動きが持続するなど明らかな競技能力の向上が、又、フライングや回転レシーブ等も容易に行え、足がもつれないため安心感を持って競技出来ることが確認された。
運動時の安定性と快適な使用感を得るために種々の仕様の試作品を作成して試した結果、一般普及のサポーターに弾性連結体を取り付けただけでは、サポーターが壊れ易く、使用中に簡単にずれることが、又、弾性連結体の張力がふくらはぎ後面に集中して痛みを引き起こすことが分かったが、前後に硬めのパッドを設けた結果、圧力が分散されてサポーターの早い消耗や運動中のずれを防ぎ、ふくらはぎの痛みを解消することが、又、面で圧力が掛かり適度な緊迫感が安心感を与える作用があることが確認された。
【実施例】
【0006】
以下本発明の実施例について説明する
種々の下肢用サポーター(1)(7)にプラスチック等、ある程度の硬い性質のパッド(2)(3)を前後に取り付け締め付けベルト(4)で補強固定するなどして張力の起点とする。この起点部にゴムバンドや引きバネ等の連結体(5)を取り付け、その先に連結フック(6)を設け、スポーツシューズの靴紐や一般の靴に取り付けた連結紐等に引っ掛ける。以上の構成よりなる運動用具を作成し、歩行困難者や転倒し易い高齢者などの歩行中、又は、フットワークステップやジャンプなどを行う競技スポーツ中に使用させる。
【考案の効果】
【0007】
本発明は以上のような構造であるから、従来のサポーターを履くように着脱が簡単で、膝が変形して膝を曲げたまま歩くため歩行中に膝折れしてよろめく、あるいは、脊椎の退行性変性などによる坐骨神経の圧迫に起因して足首の背屈不全の為、小さな段差でもつまずき易い高齢者などの転倒を起き難くする。又、階段の昇降時のつつかかりも起き難くする。
更には、靴紐のついた一般普及の各種運動シューズと組み合わせて使用可能で、激しい運動中にもずれず、競技能力を向上させ、運動中の怪我を起き難くする。
尚、発明の効果については、本発明開発に伴う試し使用やモニターで確認の経緯を経ており、今後、学術的にメカニズムの解明がなされ、更に進む余地が大きい事から、例えば雪道での歩行に応用など、本発明品が普及するにつれ、産業上多くの分野で効果が実証され活用される可能性が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】下腿サポーター仕様の外側からの側面図である
【図2】膝サポーター仕様の外側からの側面図である
【符号の説明】
1 下腿サポーター
2 前面パッド
3 後面パッド
4 締め付けベルト
5 弾性連結体
6 連結フック
7 膝サポーター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下腿用や膝用など、各種仕様の下肢サポーター(1)(7)に、プラスチックパッド(2)(3)や締め付けベルト(4)を取り付ける等、種々の方法で張力の起点としての耐性を補強する加工を施し、ゴムバンドや、引きバネ等の種々の弾性連結体(5)を取り付け、各種の靴の靴紐等に連結する。
以上の構成よりなる運動用具

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−212398(P2006−212398A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−63027(P2005−63027)
【出願日】平成17年2月7日(2005.2.7)
【出願人】(595044328)
【Fターム(参考)】