説明

弾球遊技機用遊技盤

【課題】段差が生じ難い複数の部材から構成される弾球遊技機用遊技盤を提供する。
【解決手段】弾球遊技機用遊技盤1は、遊技機本体10aに対して取付けられる裏板3と、弾球が落下する遊技領域において裏板3の表面に対して全体的に積層されかつ相互に隣接する複数の表板4,5を有する。1つの裏板3が全体的に複数の表板裏側を支持する。そのため複数の表板4,5の間に生じ得る段差と傾斜角度差を裏板によって抑制する。また複数の表板4,5は、全体的に裏板3によって支持されるために部分的に連結される従来の分割板に比べて安定良く接続されかつ簡易に同一平面上に設置され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機などの弾球遊技機に設けられる遊技盤に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機の遊技盤は、例えば同一平面上に並べられる複数の分割板を有する。分割板の端面には、互いに嵌合される凹部と凸部(特許文献1参照)、あるいは積層される連結片(特許文献2参照)が形成される。あるいは分割板は、他の分割板の表側に延出する延出部材と、延出部材から裏側へ延出して他の分割板に形成された孔に嵌合するピンを有する。これにより複数の分割板が連結される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−168988号公報
【特許文献2】特開2010−99224号公報
【特許文献3】特開2003−290457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし遊技盤の表面は、弾球が落下するために段差あるいは傾斜がないことが好ましい。ところが複数の分割板を同一平面上に並べる場合には、複数の分割板間に段差が生じ易い。あるいは複数の分割板の傾斜角度に相違が生じて傾斜角度差が生じ易い。そのため段差と傾斜角度差が生じ難い複数の部材から構成される遊技盤が従来必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために本発明は、各請求項に記載の通りの構成を備える弾球遊技機用遊技盤であることを特徴とする。一つの特徴によると弾球遊技機用遊技盤は、遊技機本体に対して取付けられる裏板と、弾球が落下する遊技領域において裏板の表面に対して全体的に積層されかつ相互に隣接する複数の表板を有する。
【0006】
したがって複数の表板は、1つの裏板によって全体的に裏側が支持される。そのため複数の表板の間に生じ得る段差と傾斜角度差が裏板によって抑制され得る。また複数の表板は、全体的に裏板によって支持されるために部分的に連結される従来の分割板に比べて安定良く接続されかつ簡易に同一平面上に設置され得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】弾球遊技機の斜視図である。
【図2】前枠が開き位置の場合における弾球遊技機の斜視図である。
【図3】弾球遊技機の分解斜視図である。
【図4】遊技盤の表側からの分解斜視図である。
【図5】遊技盤の裏側からの分解斜視図である。
【図6】遊技盤の表側からの斜視図である。
【図7】遊技盤の裏側からの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一つの実施の形態を図1〜7にしたがって説明する。弾球遊技機10は、図1,2に示すようにパチンコ機であって、遊技機本体10aと遊技盤1を有する。遊技機本体10aは、外枠11と前枠12と中枠13を有する。外枠11は、矩形状であって中央に開口部を有し、開口部に中枠13が開閉可能に設置される。
【0009】
前枠12は、図1,2に示すように略板状であって、一端部が外枠11の一端部に回転可能に連結される。前枠12は、外枠11の前側において中枠13を覆う図1の閉じ位置と、中枠13の表側を開放する開き位置との間を回転する。前枠12の表側下部には、皿ユニット14とハンドル装置15が取付けられる。前枠12の中央には、開口部が形成され、開口部にガラス板12aが装着される。
【0010】
中枠13は、図2,3に示すように一端部(図2,3の左端部)が外枠11の一端部に回転可能に連結される。中枠13は、外枠11の開口部を覆う閉じ位置と、開口部を開く開き位置との間で回転する。中枠13の表側には、遊技盤1が装着される。遊技盤1は、前枠12によって覆われ、前枠12に設けられたガラス板12aを通して遊技者によって視認され得る。
【0011】
遊技盤1は、図4〜7に示すように基準ベース2と裏板3と複数の表板4,5を有する。基準ベース2は、樹脂製でかつ枠状の本体部2aを有する。本体部2aの中央に開口窓2bが形成され、開口窓2bに裏板3と表板4,5が設置される。本体部2aは、遊技領域の外側においてねじなどの取付具によって中枠13に脱着可能に取付けられる(図3参照)。遊技領域では、遊技盤1とガラス板12aの間において弾球が落下する。
【0012】
裏板3は、樹脂製であって、図4,5に示すように外側領域3aと内側領域3bと第二内側領域3cを一体に有する。外側領域3aは、遊技領域の外側に位置し、基準ベース2に対して表側から脱着可能に取付けられる。第二内側領域3cは、遊技領域内に位置し、基準ベース2に対して表側から脱着可能に取付けられる。外側領域3aと第二内側領域3cは、それぞれ表側板部3a1,3c1と側部3a2,3c2を有する。表側板部3a1,3c1は、平面形状であって、同一面上に位置する。側部3a2,3c2は、表側板部3a1,3c1の外周縁から裏側へ延出し、表側板部3a1,3c1の全周に形成される。
【0013】
内側領域3bは、図4,5に示すように底板部3b1と補強部3b2を有する。底板部3b1は、平面形状であって、側部3a2の後側端縁の近傍から遊技領域中心へ延出する。底板部3b1は、表側板部3a1,3c1と略平行で、表側板部3a1,3c1よりも裏側に位置する。
【0014】
補強部3b2は、図4,5に示すように底板部3b1の遊技領域中心側の端縁から裏側へ延出する。補強部3b2の端部は、側部3a2,3c2の端部と連結される。底板部3b1の外周縁は、側部3a2,3c2と補強部3b2によって補強される。裏板3の中央には、開口窓3dが形成され、開口窓3dに図示省略の表示装置等が設けられる。
【0015】
第一表板4と第二表板5は、図4,5に示すように樹脂製でかつ板状の本体部4a,5aを有する。第一表板4と第二表板5は、略三日月形状であって、裏板3の底板部3b1の表側に設置される。第一表板4は、底板部3b1の上側領域と同形状である。第二表板5は、底板部3b1の下側領域と同形状である。第一表板4と第二表板5の厚みは、表側板部3a1,3c1と底板部3b1の距離と略同じである。したがって第一表板4と第二表板5の表面と表側板部3a1,3c1の表面は、略面一になる。
【0016】
第一表板4と第二表板5の一端縁は、図5に示すように外側領域3aの側部3a2に隣接しかつ当接される。第一表板4と第二表板5の一端部は、第二内側領域3cの端縁に隣接しかつ当接される。
【0017】
第一表板4と第二表板5は、図5に示すようにねじなどの取付具によって裏板3に脱着可能に取付けられる外側取付部4b,5bと内側取付部4c,5cを有する。外側取付部4b,5bは、本体部4a,5aの遊技領域の外側端縁に位置する。内側取付部4c,5cは、遊技領域の中心寄りの内側端縁に位置する。第一表板4と第二表板5には、図示省略の釘、入賞口、役物が装着される。第一表板4と第二表板5の位置と大きさは、障害釘、入賞口、役物の配置等で決定される。
【0018】
以上のように遊技盤1は、図2に示すように遊技機本体10aに対して取付けられる裏板3と、弾球が落下する遊技領域において裏板3の表面に対して全体的に積層されかつ相互に隣接する複数の表板4,5を有する。
【0019】
したがって複数の表板4,5は、1つの裏板3によって全体的に裏側が支持される。そのため複数の表板4,5の間に生じ得る段差と傾斜角度差が裏板3によって抑制され得る。また複数の表板4,5は、全体的に裏板3によって支持されるために部分的に連結される従来の分割板に比べて安定良く接続されかつ簡易に同一平面上に設置され得る。
【0020】
遊技盤1は、図3に示すように遊技機本体10aに取付けられる基準ベース2を有する。基準ベース2に対して裏板3が表側から脱着可能に取付けられる。したがって裏板3に取付けられる表板4,5と表板4,5に取付けられる釘、役物等は、裏板3とともに遊技機本体10aに対して表側から脱着され得る。そのため裏板3が遊技機本体10aに対して裏側から脱着される場合に比べて釘等に邪魔されることなく、裏板3等が遊技機本体10aに対して容易に脱着され得る。また遊技機10の機種変更の際には、基準ベース2を再利用し得る。そのため遊技盤1は汎用性に優れ得る。
【0021】
基準ベース2は、図3に示すように環状でかつ遊技領域の外側に位置し、かつ遊技領域において裏板3によって少なくとも一部が覆われる開口窓2bを有する。したがって基準ベース2が遊技領域の外側を構成し、裏板3が遊技領域内を構成するために、基準ベース2と裏板3が一体に構成される場合等に比べて基準ベース2と裏板3を小さくし得る。かくして基準ベース2と裏板3は、大きくなることで生じ得る反りを小さくすることができる。
【0022】
表板4,5は、図5に示すように表板4,5の遊技領域の中心側縁を裏板3に取付ける内側取付部4c,5cと、表板4,5の遊技領域の外側縁を裏板3に取付ける外側取付部4b,5bを有する。したがって表板4,5は、両縁が裏板3に取付けられるために、一縁のみが裏板3に取付けられることで他縁が裏板3から浮くという現象を抑制し得る。これにより複数の表板4,5の間に生じ得る段差と傾斜角度差を小さくし得る。
【0023】
裏板3と表板4,5が樹脂製である。したがって裏板3と表板4,5は、積層される関係であるために一体に形成される場合に比べて各厚みが薄くなる。そのため厚みの厚い部品を樹脂によって成形して冷却工程において生じ得る反りを小さくし得る。これにより遊技盤1の表面が確実に平面形状にされ得る。
【0024】
裏板3は、図4に示すように遊技領域の外側に位置する外側領域3aと、遊技領域内に位置する内側領域3bを有する。外側領域3aは、表側板部3a1と、表側板部3a1の外周縁から裏側へ起立する側部3a2を有する。内側領域3bは、側部3a2から遊技領域の中心側へ延出する底板部3b1と、底板部3b1の外周縁から裏側へ起立する補強部3b2を有する。底板部3b1の表側に表板4,5が設置されかつ表板4,5が側部3a2に隣接される。
【0025】
したがって表側板部3a1は、側部3a2によって補強され、底板部3b1は、側部3a2と補強部3b2によって補強される。表板4,5は、側部3a2によって位置決めされて底板部3b1の表側に設置され得る。
【0026】
第一表板4と第二表板5は、図4,5に示すように略三日月形状である。したがって穴を形成するためのルータ加工が少なく、製造コストが安価になる。またルータ加工が少なくなることで捨てる材料が少なくなり、材料費を抑制し得る。第一表板4と第二表板5は、裏板3に比べて小さい。したがって第一表板4と第二表板5は、比較的小さな成形機で成形され得る。
【0027】
本発明は、上記実施の形態に限定されず、以下の形態等であっても良い。例えば、図1に示す基準ベース2は、中枠13と別部材でも良いし、中枠13の一部材として形成されても良い。基準ベース2は、環状でも良いし、他の形状でも良い。
【0028】
表板4,5は、裏板3の表側に全領域が設置されても良いし、略全領域(例えば90%以上)が裏板3の表側に設置されても良い。
【0029】
裏板3は、基準ベース2に表側から取付けられても良いし、裏側から取付けられても良い。
【0030】
基準ベース2は、樹脂製でも良いし、木製あるいは金属製でも良い。裏板3と表板4,5は、樹脂製でも良いし、木製でも良い。
【0031】
裏板3と表板4,5は、樹脂製であって不透明でも良いし、透明または半透明でも良い。表板4,5が透明または半透明の場合は、表板4,5を通して裏板3の色等を視認でき、これにより遊技盤1の美感が向上する。
【0032】
裏板3の表側に2つの表板4,5が装着されても良いし、3つ以上の表板が装着されても良い。
【0033】
弾球遊技機10は、パチンコ機でも良いし、遊技球を発射して遊技を行う他の遊技機、例えば雀球遊技機、スマートボール遊技機、アレンジボール遊技機等でも良い。
【符号の説明】
【0034】
1 遊技盤
2 基準ベース
2b 開口窓
3 裏板
3a 外側領域
3a1,3c1 表側板部
3a2,3c2 側部
3b 内側領域
3b1 底板部
3b2 補強部
4 第一表板
4b,5b 外側取付部
4c,5c 内側取付部
5 第二表板
10 弾球遊技機
10a 遊技機本体
11 外枠
12 前枠
13 中枠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾球遊技機用遊技盤であって、
遊技機本体に対して取付けられる裏板と、弾球が落下する遊技領域において前記裏板の表面に対して全体的に積層されかつ相互に隣接する複数の表板を有する弾球遊技機用遊技盤。
【請求項2】
請求項1に記載の弾球遊技機用遊技盤であって、
前記遊技機本体に取付けられる基準ベースを有し、前記基準ベースに対して前記裏板が表側から脱着可能に取付けられる弾球遊技機用遊技盤。
【請求項3】
請求項2に記載の弾球遊技機用遊技盤であって、
前記基準ベースは、環状でかつ前記遊技領域の外側に位置し、かつ前記遊技領域において前記裏板によって少なくとも一部が覆われる開口窓を有する弾球遊技機用遊技盤。
【請求項4】
請求項3に記載の弾球遊技機用遊技盤であって、
前記表板は、前記表板の前記遊技領域の中心側縁を前記裏板に取付ける内側取付部と、前記表板の前記遊技領域の外側縁を前記裏板に取付ける外側取付部を有する弾球遊技機用遊技盤。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載の弾球遊技機用遊技盤であって、
前記裏板と前記表板が樹脂製である弾球遊技機用遊技盤。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つに記載の弾球遊技機用遊技盤であって、
前記裏板は、前記遊技領域の外側に位置する外側領域と、前記遊技領域内に位置する内側領域を有し、
前記外側領域は、表側板部と、該表側板部の外周縁から裏側へ起立する側部を有し、
前記内側領域は、前記側部から前記遊技領域の中心側へ延出する底板部と、前記底板部の外周縁から裏側へ起立する補強部を有し、
前記底板部の表側に前記表板が設置されかつ前記表板が前記側部に隣接される弾球遊技機用遊技盤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−9698(P2013−9698A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−135071(P2011−135071)
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(390005120)株式会社森創 (89)
【Fターム(参考)】