往復動コンベア式移動床におけるレール床の支持構造
【課題】 往復動コンベア式移動床の組立工数の低減と部品点数の削減とを達成してその大幅なコストダウンを図り、その上、移動床の重量軽減と、その嵩高の縮小とを可能とした。
【解決手段】 床フレーム4の複数本の横根太4j上に、複数のベアリング40を、直接移動しないように設け、それらのベアリング40上に、往復動コンベア式移動床Fを構成する複数本のレール床10をそれぞれスライド可能に支持させた。
【解決手段】 床フレーム4の複数本の横根太4j上に、複数のベアリング40を、直接移動しないように設け、それらのベアリング40上に、往復動コンベア式移動床Fを構成する複数本のレール床10をそれぞれスライド可能に支持させた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、往復動コンベア式移動床におけるレール床の支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、床フレームに、多数本の細長いレール床を一平面上に前後に移動可能に並列配置し、隣り合う3本のレール床を一つのユニットとし、荷物を積み降ろしするときは、3本のレール床を同時に一方に動かして荷物を1ストローク分移動させ、つぎのストロークで3本のレール床を1本ずつ他方に動かし(荷物は移動しない)、つぎに、再び3本のレール床を同時に一方に動かして荷物を1ストローク分移動させ、この繰り返しで複数のレール床上の荷物を積み降ろしするようにした往復動コンベア式移動床が既に知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】実公平3−57553号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、一般に、このような往復動コンベア式移動床においては、図15に示すように、荷箱の床フレームの横根太に、これとクロスする方向(床フレームの前後方向)に複数本のサブデッキ(ガイド部材)をタッピングスクリュウーで固定し、それらのサブデッキ上に複数のベアリングを嵌込み、それらのベアリング上に複数本のレール床をスライド可能に支持するようにしている。
【0004】
ところが、かかる従来の往復動コンベア式移動床では、横根太に複数本のサブデッキを固定するので、該移動床の部品点数が多くなるばかりでなく、組立工数が増して大幅なコスト高を招く上に、移動床の重量増により荷箱全体の重量が増すなどの問題がある。
【0005】
本発明はかかる実情に鑑みてなされたもので、サブデッキの省略を可能にして前記問題を解決できるようにした、新規な往復動コンベア式移動床におけるレール床の支持構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的達成のため、本請求項1記載の発明は、床フレーム上に、多数本の細長いレール床を一平面上に前後に移動可能に並列配置し、隣り合う少なくとも3本のレール床を一つのレールユニットとし、それらのレール床上の荷物を積み降ろしするときは、それらのレール床を同時に一方に動かして荷物を1ストローク分一方に移動させ、つぎのストロークで少なくとも3本のレール床を1本ずつ荷物下を他方にスライドさせ、つぎに、再び少なくとも3本のレール床を同時に一方に動かしてその上の荷物を1ストローク分移動させ、この繰り返しで複数のレール床上の荷物を積み降ろしするようにした往復動コンベア式移動床において、
前記床フレームの複数本の横根太上に、複数のベアリングを、直接移動しないように設け、それらのベアリング上に複数本のレール床をそれぞれスライド可能に支持させたことを特徴としている。
【0007】
また、前記目的達成のため、本請求項2記載の発明は、前記請求項1記載のものにおいて、前記ベアリングは硬質合成樹脂製であって、前記横根太に、固定具を用いずに直接係止されることを特徴としている。
【0008】
さらに、前記目的達成のため、本請求項3記載の発明は、前記請求項1、または2記載のものにおいて、前記レール床はアルミ合金製であって、前記硬質合成樹脂製の複数のベアリング上を、無給油でスライド可能としたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本請求項1記載の発明によれば、床フレームの複数本の横根太上に、複数のベアリングを、直接移動しないように設け、それらのベアリング上に複数本のレール床をそれぞれスライド可能に支持させたので、従来のサブデッキが不要となり、組立工数の低減と部品点数の削減とを達成して移動床の大幅なコストダウンを図ることができ、その上、移動床の重量軽減をも図ることができる。
【0010】
また、本請求項2記載の発明によれば、硬質合成樹脂製ベアリングの横根太への組付作業が一層容易となる。
【0011】
さらに、本請求項3記載の発明によれば、レール床は、常に円滑なスライドが保障され、給油をしないで済むことから、ノンメンテナンスとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に例示した本発明の実施例に基づいて以下に具体的に説明する。
【0013】
以下に図1〜14を参照して、本発明の一実施例について説明するに、図1は、本発明にかかる往復動コンベア式移動床の駆動装置を備えた荷役車両の側面図、図2は、その荷役車両の斜視図、図3は、図2の3矢視の平面図、図4は、図3の4−4線に沿う断面図、図5は、図3の5−5線に沿う拡大断面図、図6は、図4の6矢視の駆動装置の斜視図、図7は、図4の7−7線に沿う拡大断面図、図8は、図7の8−8線に沿う駆動装置の後面図、図9は、駆動装置の部品交換を行う際の手順を示す図、図10、11は、油圧装置の作動を示す油圧回路図、図12は、図5の仮想線囲い部分の拡大図、図13は、図12の13−13線に沿う拡大断面図、図14は、図13の14−14線に沿う断面図である。
【0014】
図1,2において、荷役車両のシャシフレームS上には、荷箱Vが搭載され、この荷箱Vの後面には、後部扉1により開閉される出入口2が開口される。荷箱Vの底面には、その全域にわたり、本発明にかかる往復動コンベア式移動床Fが装備され、この往復動コンベア式移動床Fの作動により、荷箱V内への荷物の積み降ろしが行われる。
【0015】
図3〜5において、シャシフレームSと一体のメインフレーム3上には、荷箱Vの床フレーム4が、複数のブラケット5を介して固定されている。この床フレーム4は、左右縦フレーム4l,4lと、その前後の横フレーム4t,4tとより方形状に形成され、左右縦フレーム4l,4l間には、複数の横根太4j…が横架固定される。複数の横根太4j…は、間隔をあけて平行に配設されてそれらの上面は同一平面とされており、それらの横根太4j…上面には、その長手方向(横方向)に間隔をあけて多数の硬質合成樹脂製のベアリング40(後に詳述する)が一体に嵌着されている。多数のベアリング40は、図3に示すように、床フレーム4の前後方向に縦列配置されると共にその横方向に横列配置されており、縦列される複数のベアリング40上には、複数本(24本)のアルミ合金製の帯状の細長いレール床10…(後に詳述する)が、その長手方向にスライド移動可能に係合されている。複数本のレール床10…は、相互に隙間のないように並列されていてコンベア式の移動床Fを構成している。
【0016】
図3,4に示すように、床フレーム4の前後の横フレーム4t,4tには、それぞれ複数の前後部案内ブロック6…、7…が固定されており、複数のレール床よりなる移動床Fの前後端縁は、これらの前、後案内ブロック6…、7…に嵌合されている。
【0017】
図5に示すように、複数本(24本)のレール床10…は、任意の隣り合う3本、すなわち第1,第2および第3のレール床10(1) ,10(2) および10(3) が一つのレールユニット10LUを構成しており、コンベア式移動床Fは、複数組(8組)のレールユニット10LUよりなる。各組に一つずつある、第1のレール床10(1) 同士、第2のレール床10(2) 同士および第3のレール床10(3) 同士は、それぞれ第1グループG(1) 、第2のグループG(2) および第3のグループG(3) に構成されていて、第1、第2および第3のグループのレール床10は、それぞれ、第1、第2および第3のクロスドライブ121 ,122 ,123 を介して以下に述べる駆動装置Dにより、常に同調駆動するようにされる。
【0018】
図3に示すように、第1、第2および第3のクロスドライブ121 ,122 ,123 は、互いに平行で、移動床Fを横切る方向の延びており、第1のクロスドライブ121 には、それと一体の複数の取付片13を介して第1のグループG(1) のレール床10…(第1のレール床10(1) 群)が、また、第2のクロスドライブ122 には、それと一体の複数の取付片13を介して第2のグループG(2) のレール床10…(第2のレール床10(2) 群)が、さらに、第3のクロスドライブ123 には、それと一体の複数の取付片13を介して第3のグループG3 のレール床10…(第3のレール床10(3) 群)が、それぞれ固定される。
【0019】
つぎに、前記第1、第2および第3のグループG(1) 、G(2) 、G(3) のレール床10…を駆動する、本発明にかかる往復動コンベア式移動床の駆動装置Dの構造を、主に図6〜8を参照して説明するに、レール床10群よりなる移動床F下において、床フレーム4の中間部に、前記駆動装置Dが配設されており、この駆動装置Dは、移動床Fの前後方向に沿って平行に配置される3本の駆動シリンダ、すなわち第1、第2および第3の油圧シリンダ161 ,162 ,163 を備えている。これらの油圧シリンダ161 ,162 ,163 は、後述する横根太4jに取り付けられたセンタフレームCFに支持される。
【0020】
図6,7に示すように、第1、第2および第3の油圧シリンダ161 ,162 ,163 はいずれも同じ構造であって、シリンダチューブ18の外端には、それぞれ各別のシリンダボトム部191 ,192 ,193 がそれぞれ固定され、また、それらの内端には、それぞれ接続フランジ21・・が固定され、これらの接続フランジ21・・に共用の1個のシリンダヘッド部20がボルト・ナット22をもって着脱自在に取り付けられる。このシリンダヘッド部20は後述する横根太4jに取り付けられたセンタフレームCFに支持される。第1、第2および第3の油圧シリンダ161 ,162 ,163 の各シリンダチューブ18・・内にはピストン24・・が摺動自在に嵌合され、これらのピストン24・・に結合されるシリンダロッド25・・は、共用のシリンダヘッド部20を貫通して外部に延長されており、それらのシリンダロッド25・・の自由端は、後述する横根太4jに取り付けられたセンタフレームCFに固定される支持部材26に摺動自在に嵌合支持されている。第1の油圧シリンダ161 のシリンダロッド25の中間部は、取付片151 を介して第1のクロスドライブ121 に、第2の油圧シリンダ162 のシリンダロッド25の中間部は、取付片152 を介して第2のクロスドライブ122 に、さらに第3の油圧シリンダ16のシリンダロッド25の中間部は、取付片153 を介して第3のクロスドライブ123 にそれぞれ固定されている。
【0021】
図10、11に示すように、前記第1、2および3の油圧シリンダ161 ,162 および163 は、コントロールバルブCVおよびスイッチングバルブSVを備えた油圧回路COに接続されて、それらのバルブの切換制御により、順次にシーケンス作動あるいは同調作動するようにされている。前記スイッチングバルブSVは、前記シリンダヘッド部20の延長部に支持され、また、前記コントロールバルブCVは、床フレーム4の適所に支持される。
【0022】
しかして、前記油圧回路COは従来公知のものであるので、図10、11を参照してその構成を簡単に説明すれば、第1、2および3の油圧シリンダ161 ,162 ,163 は、油圧回路COを経て油圧ポンプPおよび油溜Tに接続され、その油圧回路COに、スイッチングバルブSVおよびコントロールバルブCVが接続される。第1の油圧シリンダ161 には、ピストン24の前進限により開弁されるチェックバルブ30が、第2のシリンダ162 には、ピストン24の前進限およびピストン後退限により開弁されるチェックバルブ31,32が、さらに第3のシリンダ163 には、後退限により開弁されるチェックバルブ33がそれぞれ設けられる。
【0023】
(1) 第1の油圧シリンダ161 の伸長
図10(a)に示すように、第1〜第3油圧シリンダ161 ,162 ,163 のピストン24・・がいずれも後退限にある状態から、油圧ポンプPを作動すれば、第1の油圧シリンダ161 のみが伸長する(チェックバルブ32,33はピストン24の後退限によりいずれも開弁)。
【0024】
(2) 第2、3の油圧シリンダ162 ,163 の伸長
図10(b)に示すように、第1の油圧シリンダ161 のピストン24が前進限に達すると、チェックバルブ30が開弁する。そうすると、第1の油圧シリンダ161 と第2の油圧シリンダ162 のヘッド側の油路が連通状態となり、第2の油圧シリンダ162 のロッド室側の油は油溜Tに戻ることが可能になるため、チェックバルブ32あるいは33を経て第1の油圧シリンダ162 のボトム側に供給される圧油の作用により第2の油圧シリンダ162 が伸長する。つぎに、第2の油圧シリンダ162 のピストン24が前進限に達すると、チェックバルブ31が開弁する。そうすると、第2の油圧シリンダ162 と第3の油圧シリンダ163 のヘッド側の油路が連通状態となり、第3の油圧シリンダ163 のロッド室側の油は油溜Tに戻ることが可能になるため、チェックバルブ33あるいは油圧ホースhを経て第3の油圧シリンダ163 のボトム側に供給される圧油の作用により第3の油圧シリンダ163 が伸長する。
【0025】
(3) 第1、2、第3油圧シリンダ161 ,162 ,163 の伸長
図11(c)に示すように、第1、2、第3油圧シリンダ161 ,162 ,163 のいずれも前進限に達する。
【0026】
前記(1) 〜(3) により、第1〜3の油圧シリンダ161 ,162 ,163 に、第1〜3のクロスドライブ121 ,122 ,123 を介して連結される第1〜第3のグループG(1) 、G(2) 、G(3) のレール床10は、順次に1ストローク分だけシーケンス作動されて、同じ位置に達してそこに停止する。
【0027】
(4) 図11(c)の状態から、同図(d)に示すように、スイッチングバルブSVを下側に切り換えれば、第1〜第3の油圧シリンダ161 ,162 ,163 は、同時に収縮し、第1〜第3のグループG(1) 、G(2) 、G(3) のレール床10…は同時に後退して、それらの上の荷物を荷箱後方(排出方向)へ油圧シリンダ収縮分だけ、すなわち1ストローク分だけ移動させる。以上(1) 〜(4) の作動を繰り返すことにより、荷物の排出がなされる。
【0028】
また、スイッチングバルブSVを上側に、コントロールバルブCVを下側に切り換えれば、第1〜第3油圧シリンダ161 ,162 ,163 は同時に伸長して、第1〜第3のグループG(1) 、G(2) 、G(3) のレール床…は同時に前進して、それらの上の荷物を荷箱前方(積込方向)へ前進させることができる。そして、この状態からスイッチングバルブSVを下側に切り換えれば、第3〜第1の油圧シリンダ163 ,162 ,161 は順次に収縮して、第3〜第1のグループG(1) 、G(2) 、G(3) のレール床10…は順次に後退(荷物は移動しない)する。再びスイッチングバルブSVを上側に切り換えれば、第1〜第3油圧シリンダ161 ,162 ,163 は同時に伸長して荷物を前方に前進させる。以上の繰り返しにより、荷物の積込がなされる。
【0029】
さらに、スイッチングバルブSVを上側に、またコントロールバルブCVを中間(中正)位置に切り換えれば、第1〜第3油圧シリンダ161 ,162 ,163 を全収縮、あるいはそれらの収縮途中で停止させることができ、スイッチングバルブSVを下側に、またコントロールバルブCVを中間(中正)位置に切り換えれば、第1〜第3油圧シリンダ161 ,162 ,163 を全伸長、あるいはそれらの伸長途中で停止させる。
【0030】
ところで、この本実施例によれば、第1〜第3の油圧シリンダ161 ,162 ,163 の消耗部品の交換、たとえばピストン24のピストンパッキン23の交換作業をきわめて容易に行うことができるものであり、以下に、図9を参照してその作業過程について説明する。
【0031】
(1) 図9(1) に示すように、第1〜第3の油圧シリンダ161 ,162 ,163 のシリンダチューブ18の各シリンダボトム部191 ,192 ,193 に接続されている油圧回路COの2本の油圧ホースhを取り外す。
【0032】
(2) 図9(2) に示すように、共用のシリンダヘッド部20と、シリンダチューブ18とを結合しているボルト・ナット22を取り外して、それらを分離する。
【0033】
(3) 図9(3) に示すように、シリンダチューブ18・・を、ピストンロッド25およびピストン24から抜き取り、ピストンパッキン23などの消耗部品の交換を行う。
【0034】
また、第1〜第3の油圧シリンダ161 ,162 ,163 の組付は、前記(1) 〜(3) の手順を逆に行う。
【0035】
以上のように、第1〜第3の油圧シリンダ161 ,162 ,163 のシリンダチューブ18・・は、共用のシリンダボトム部には連結されていないので、いずれか1本の油圧シリンダのピストンパッキン23を交換する場合にも、共用のシリンダボトム部からすべてのシリンダチューブ18…を取り外す作業がなくなり、消耗部品の交換を行う際の、取り外し部品の点数が少なくなり、その作業を容易に短時間で行うことが可能になる。また、取り外し部品点数が少ないことから、部品の交換作業時に、油漏れ量も少なくなり、その作業性が大幅に改善される。特に、この実施例のように、駆動装置Dが移動床Fの下に架装されていて、作業者が、荷箱Vの下に潜って前記作業を行う場合のように、作業性の悪い場合に、その効果が顕著に顕れる。
【0036】
つぎに、図3〜5に、図12〜14を参照して、往復動コンベア式移動床Fおよびその支持構造について詳しく説明する。
【0037】
移動床Fを構成する複数のレール床10…は、床フレーム4の横根太4j上に多数のベアリング40を介してその長手方向にスライド可能に支持される。多数のベアリング40は、いずれも同じ構造であって、横根太4j上に固着具を用いずに、一体的に嵌着支持されるように構成されている。各ベアリング40は、硬質の合成樹脂製であって、図12〜14に示すように、長方形の板状をなすスライド部40Sと、その下面に一体に延長される嵌着部40Eとを有して、幅方向T字状をなすブロック体により構成され、スライド部40Sの上面には、その上をレール床10がスムーズにスライドできるように平坦なスライド面41が形成されており、また、前記嵌着部40Eの長手方向の中間部には、断面チャンネル状の嵌着溝42が形成されている。また、このベアリング40の裏面は、その全域に亘り格子状の凹凸面43に形成されていて、その強度低下を招くことなく、その材料の節減と、軽量化が図られている。
【0038】
図12に示すように、多数のベアリング40は、前記床フレーム4の横根太4jの上面に、その全長にわたり間隔をあけて移動しないように支持される。すなわち、各ベアリング40の下面の嵌着溝42は、床フレーム4の横根太4jの上面に弾発係合されて、妄りに移動しないようにされる。また、ベアリング40のスライド部40Sには、そのスライド部40Sを抱持するようにレール床10のスライド溝10Gがその長手方向の沿ってスライド可能に嵌合される。
【0039】
移動床Fを構成する、各レール床10は、アルミ合金により細長い帯状に形成されており、その下面にスライド溝10Gが、その上面に受部10Sが形成されている。スライド溝10Gは、縦列される複数のベアリング40のスライド部40Sにスライド自在に嵌合され、また、前記受部10Sは断面凹状に形成されて、その一側縁には、立上壁10Wが起立形成され、その他側縁には係合雄部10Mが突設されている。立上壁10Wの上面には、平坦な荷受面が形成され、その下面に係合雌部10Fが形成される。
【0040】
図12に示すように、互いに隣接するレール床10,10の一方の係合雌部10Fと、それらの他方の係合雄部10Mとは、合成樹脂製のスライダ9を介してスライド自在に係合される。また、最外側のレール床10の係合雄部10Mは、床フレーム4に固定した固定レール8の係合雌部8Fにスライダ9を介してスライド可能に係合される。
【0041】
かくして、一平面上に並列される複数本の帯状レール床10…は、それらの隣接するもの同士が、それらの長手方向に相互にスライド自在に接続され、また、各レール床10は、前述したように床フレーム4の横根太4jに直接嵌合される複数のベアリング40…上をそれぞれ自在にスライド可能である。
【0042】
以上の実施例により明らかなように、床フレーム4の複数本の横根太4j…上には、複数のベアリング40…が、直接移動しないように係合され、それらのベアリング40…上に複数本のレール床10…がそれぞれスライド可能に支持されるので、従来のサブデッキ(図15参照)が不要となり、移動床Fの組立工数の低減と部品点数の削減とが可能になる。
【0043】
また、硬質合成樹脂製ベアリング40…は、横根太4jへ直接係合させるだけで、固定具を何ら必要とすることなく、ベアリング40…の横根太4jへの組付作業がきわめて容易となり、さらに、各レール床10は、常に円滑なスライドが保障され、給油をしないで済むことから、ノンメンテナンスとすることができる。
【0044】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はその実施例に限定されることなく、本発明の範囲内で種々の実施例が可能である。
【0045】
たとえば、前記実施例では、3本のレール床により、レールユニットを構成しているが、4本以上のレール床により、レールユニットを構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明にかかる往復動コンベア式移動床の駆動装置を備えた荷役車両の側面図
【図2】荷役車両の斜視図
【図3】図2の3矢視の平面図
【図4】図3の4−4線に沿う断面図
【図5】図3の5−5線に沿う拡大断面図
【図6】図4の6矢視の駆動装置の斜視図
【図7】図4の7−7線に沿う拡大断面図
【図8】図7の8−8線に沿う駆動装置の後面図
【図9】駆動装置の部品交換を行う際の手順を示す図
【図10】油圧装置の作動を示す油圧回路図
【図11】油圧装置の作動を示す油圧回路図
【図12】図5の仮想線囲い部分の拡大図
【図13】図12の13−13線に沿う拡大断面図
【図14】図14は、図13の14−14線に沿う断面図
【図15】従来の往復動コンベア式移動床の断面図
【符号の説明】
【0047】
4・・・・・・・・・・・・・・・・床フレーム
4j・・・・・・・・・・・・・・・横根太(床フレーム4の)
10・・・・・・・・・・・・・・・レール床
10(1) ,10(2) ,10(3) ・・・レール床(レールユニットの)
10LU・・・・・・・・・・・・・レールユニット
40・・・・・・・・・・・・・・・ベアリング
【技術分野】
【0001】
本発明は、往復動コンベア式移動床におけるレール床の支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、床フレームに、多数本の細長いレール床を一平面上に前後に移動可能に並列配置し、隣り合う3本のレール床を一つのユニットとし、荷物を積み降ろしするときは、3本のレール床を同時に一方に動かして荷物を1ストローク分移動させ、つぎのストロークで3本のレール床を1本ずつ他方に動かし(荷物は移動しない)、つぎに、再び3本のレール床を同時に一方に動かして荷物を1ストローク分移動させ、この繰り返しで複数のレール床上の荷物を積み降ろしするようにした往復動コンベア式移動床が既に知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】実公平3−57553号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、一般に、このような往復動コンベア式移動床においては、図15に示すように、荷箱の床フレームの横根太に、これとクロスする方向(床フレームの前後方向)に複数本のサブデッキ(ガイド部材)をタッピングスクリュウーで固定し、それらのサブデッキ上に複数のベアリングを嵌込み、それらのベアリング上に複数本のレール床をスライド可能に支持するようにしている。
【0004】
ところが、かかる従来の往復動コンベア式移動床では、横根太に複数本のサブデッキを固定するので、該移動床の部品点数が多くなるばかりでなく、組立工数が増して大幅なコスト高を招く上に、移動床の重量増により荷箱全体の重量が増すなどの問題がある。
【0005】
本発明はかかる実情に鑑みてなされたもので、サブデッキの省略を可能にして前記問題を解決できるようにした、新規な往復動コンベア式移動床におけるレール床の支持構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的達成のため、本請求項1記載の発明は、床フレーム上に、多数本の細長いレール床を一平面上に前後に移動可能に並列配置し、隣り合う少なくとも3本のレール床を一つのレールユニットとし、それらのレール床上の荷物を積み降ろしするときは、それらのレール床を同時に一方に動かして荷物を1ストローク分一方に移動させ、つぎのストロークで少なくとも3本のレール床を1本ずつ荷物下を他方にスライドさせ、つぎに、再び少なくとも3本のレール床を同時に一方に動かしてその上の荷物を1ストローク分移動させ、この繰り返しで複数のレール床上の荷物を積み降ろしするようにした往復動コンベア式移動床において、
前記床フレームの複数本の横根太上に、複数のベアリングを、直接移動しないように設け、それらのベアリング上に複数本のレール床をそれぞれスライド可能に支持させたことを特徴としている。
【0007】
また、前記目的達成のため、本請求項2記載の発明は、前記請求項1記載のものにおいて、前記ベアリングは硬質合成樹脂製であって、前記横根太に、固定具を用いずに直接係止されることを特徴としている。
【0008】
さらに、前記目的達成のため、本請求項3記載の発明は、前記請求項1、または2記載のものにおいて、前記レール床はアルミ合金製であって、前記硬質合成樹脂製の複数のベアリング上を、無給油でスライド可能としたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本請求項1記載の発明によれば、床フレームの複数本の横根太上に、複数のベアリングを、直接移動しないように設け、それらのベアリング上に複数本のレール床をそれぞれスライド可能に支持させたので、従来のサブデッキが不要となり、組立工数の低減と部品点数の削減とを達成して移動床の大幅なコストダウンを図ることができ、その上、移動床の重量軽減をも図ることができる。
【0010】
また、本請求項2記載の発明によれば、硬質合成樹脂製ベアリングの横根太への組付作業が一層容易となる。
【0011】
さらに、本請求項3記載の発明によれば、レール床は、常に円滑なスライドが保障され、給油をしないで済むことから、ノンメンテナンスとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に例示した本発明の実施例に基づいて以下に具体的に説明する。
【0013】
以下に図1〜14を参照して、本発明の一実施例について説明するに、図1は、本発明にかかる往復動コンベア式移動床の駆動装置を備えた荷役車両の側面図、図2は、その荷役車両の斜視図、図3は、図2の3矢視の平面図、図4は、図3の4−4線に沿う断面図、図5は、図3の5−5線に沿う拡大断面図、図6は、図4の6矢視の駆動装置の斜視図、図7は、図4の7−7線に沿う拡大断面図、図8は、図7の8−8線に沿う駆動装置の後面図、図9は、駆動装置の部品交換を行う際の手順を示す図、図10、11は、油圧装置の作動を示す油圧回路図、図12は、図5の仮想線囲い部分の拡大図、図13は、図12の13−13線に沿う拡大断面図、図14は、図13の14−14線に沿う断面図である。
【0014】
図1,2において、荷役車両のシャシフレームS上には、荷箱Vが搭載され、この荷箱Vの後面には、後部扉1により開閉される出入口2が開口される。荷箱Vの底面には、その全域にわたり、本発明にかかる往復動コンベア式移動床Fが装備され、この往復動コンベア式移動床Fの作動により、荷箱V内への荷物の積み降ろしが行われる。
【0015】
図3〜5において、シャシフレームSと一体のメインフレーム3上には、荷箱Vの床フレーム4が、複数のブラケット5を介して固定されている。この床フレーム4は、左右縦フレーム4l,4lと、その前後の横フレーム4t,4tとより方形状に形成され、左右縦フレーム4l,4l間には、複数の横根太4j…が横架固定される。複数の横根太4j…は、間隔をあけて平行に配設されてそれらの上面は同一平面とされており、それらの横根太4j…上面には、その長手方向(横方向)に間隔をあけて多数の硬質合成樹脂製のベアリング40(後に詳述する)が一体に嵌着されている。多数のベアリング40は、図3に示すように、床フレーム4の前後方向に縦列配置されると共にその横方向に横列配置されており、縦列される複数のベアリング40上には、複数本(24本)のアルミ合金製の帯状の細長いレール床10…(後に詳述する)が、その長手方向にスライド移動可能に係合されている。複数本のレール床10…は、相互に隙間のないように並列されていてコンベア式の移動床Fを構成している。
【0016】
図3,4に示すように、床フレーム4の前後の横フレーム4t,4tには、それぞれ複数の前後部案内ブロック6…、7…が固定されており、複数のレール床よりなる移動床Fの前後端縁は、これらの前、後案内ブロック6…、7…に嵌合されている。
【0017】
図5に示すように、複数本(24本)のレール床10…は、任意の隣り合う3本、すなわち第1,第2および第3のレール床10(1) ,10(2) および10(3) が一つのレールユニット10LUを構成しており、コンベア式移動床Fは、複数組(8組)のレールユニット10LUよりなる。各組に一つずつある、第1のレール床10(1) 同士、第2のレール床10(2) 同士および第3のレール床10(3) 同士は、それぞれ第1グループG(1) 、第2のグループG(2) および第3のグループG(3) に構成されていて、第1、第2および第3のグループのレール床10は、それぞれ、第1、第2および第3のクロスドライブ121 ,122 ,123 を介して以下に述べる駆動装置Dにより、常に同調駆動するようにされる。
【0018】
図3に示すように、第1、第2および第3のクロスドライブ121 ,122 ,123 は、互いに平行で、移動床Fを横切る方向の延びており、第1のクロスドライブ121 には、それと一体の複数の取付片13を介して第1のグループG(1) のレール床10…(第1のレール床10(1) 群)が、また、第2のクロスドライブ122 には、それと一体の複数の取付片13を介して第2のグループG(2) のレール床10…(第2のレール床10(2) 群)が、さらに、第3のクロスドライブ123 には、それと一体の複数の取付片13を介して第3のグループG3 のレール床10…(第3のレール床10(3) 群)が、それぞれ固定される。
【0019】
つぎに、前記第1、第2および第3のグループG(1) 、G(2) 、G(3) のレール床10…を駆動する、本発明にかかる往復動コンベア式移動床の駆動装置Dの構造を、主に図6〜8を参照して説明するに、レール床10群よりなる移動床F下において、床フレーム4の中間部に、前記駆動装置Dが配設されており、この駆動装置Dは、移動床Fの前後方向に沿って平行に配置される3本の駆動シリンダ、すなわち第1、第2および第3の油圧シリンダ161 ,162 ,163 を備えている。これらの油圧シリンダ161 ,162 ,163 は、後述する横根太4jに取り付けられたセンタフレームCFに支持される。
【0020】
図6,7に示すように、第1、第2および第3の油圧シリンダ161 ,162 ,163 はいずれも同じ構造であって、シリンダチューブ18の外端には、それぞれ各別のシリンダボトム部191 ,192 ,193 がそれぞれ固定され、また、それらの内端には、それぞれ接続フランジ21・・が固定され、これらの接続フランジ21・・に共用の1個のシリンダヘッド部20がボルト・ナット22をもって着脱自在に取り付けられる。このシリンダヘッド部20は後述する横根太4jに取り付けられたセンタフレームCFに支持される。第1、第2および第3の油圧シリンダ161 ,162 ,163 の各シリンダチューブ18・・内にはピストン24・・が摺動自在に嵌合され、これらのピストン24・・に結合されるシリンダロッド25・・は、共用のシリンダヘッド部20を貫通して外部に延長されており、それらのシリンダロッド25・・の自由端は、後述する横根太4jに取り付けられたセンタフレームCFに固定される支持部材26に摺動自在に嵌合支持されている。第1の油圧シリンダ161 のシリンダロッド25の中間部は、取付片151 を介して第1のクロスドライブ121 に、第2の油圧シリンダ162 のシリンダロッド25の中間部は、取付片152 を介して第2のクロスドライブ122 に、さらに第3の油圧シリンダ16のシリンダロッド25の中間部は、取付片153 を介して第3のクロスドライブ123 にそれぞれ固定されている。
【0021】
図10、11に示すように、前記第1、2および3の油圧シリンダ161 ,162 および163 は、コントロールバルブCVおよびスイッチングバルブSVを備えた油圧回路COに接続されて、それらのバルブの切換制御により、順次にシーケンス作動あるいは同調作動するようにされている。前記スイッチングバルブSVは、前記シリンダヘッド部20の延長部に支持され、また、前記コントロールバルブCVは、床フレーム4の適所に支持される。
【0022】
しかして、前記油圧回路COは従来公知のものであるので、図10、11を参照してその構成を簡単に説明すれば、第1、2および3の油圧シリンダ161 ,162 ,163 は、油圧回路COを経て油圧ポンプPおよび油溜Tに接続され、その油圧回路COに、スイッチングバルブSVおよびコントロールバルブCVが接続される。第1の油圧シリンダ161 には、ピストン24の前進限により開弁されるチェックバルブ30が、第2のシリンダ162 には、ピストン24の前進限およびピストン後退限により開弁されるチェックバルブ31,32が、さらに第3のシリンダ163 には、後退限により開弁されるチェックバルブ33がそれぞれ設けられる。
【0023】
(1) 第1の油圧シリンダ161 の伸長
図10(a)に示すように、第1〜第3油圧シリンダ161 ,162 ,163 のピストン24・・がいずれも後退限にある状態から、油圧ポンプPを作動すれば、第1の油圧シリンダ161 のみが伸長する(チェックバルブ32,33はピストン24の後退限によりいずれも開弁)。
【0024】
(2) 第2、3の油圧シリンダ162 ,163 の伸長
図10(b)に示すように、第1の油圧シリンダ161 のピストン24が前進限に達すると、チェックバルブ30が開弁する。そうすると、第1の油圧シリンダ161 と第2の油圧シリンダ162 のヘッド側の油路が連通状態となり、第2の油圧シリンダ162 のロッド室側の油は油溜Tに戻ることが可能になるため、チェックバルブ32あるいは33を経て第1の油圧シリンダ162 のボトム側に供給される圧油の作用により第2の油圧シリンダ162 が伸長する。つぎに、第2の油圧シリンダ162 のピストン24が前進限に達すると、チェックバルブ31が開弁する。そうすると、第2の油圧シリンダ162 と第3の油圧シリンダ163 のヘッド側の油路が連通状態となり、第3の油圧シリンダ163 のロッド室側の油は油溜Tに戻ることが可能になるため、チェックバルブ33あるいは油圧ホースhを経て第3の油圧シリンダ163 のボトム側に供給される圧油の作用により第3の油圧シリンダ163 が伸長する。
【0025】
(3) 第1、2、第3油圧シリンダ161 ,162 ,163 の伸長
図11(c)に示すように、第1、2、第3油圧シリンダ161 ,162 ,163 のいずれも前進限に達する。
【0026】
前記(1) 〜(3) により、第1〜3の油圧シリンダ161 ,162 ,163 に、第1〜3のクロスドライブ121 ,122 ,123 を介して連結される第1〜第3のグループG(1) 、G(2) 、G(3) のレール床10は、順次に1ストローク分だけシーケンス作動されて、同じ位置に達してそこに停止する。
【0027】
(4) 図11(c)の状態から、同図(d)に示すように、スイッチングバルブSVを下側に切り換えれば、第1〜第3の油圧シリンダ161 ,162 ,163 は、同時に収縮し、第1〜第3のグループG(1) 、G(2) 、G(3) のレール床10…は同時に後退して、それらの上の荷物を荷箱後方(排出方向)へ油圧シリンダ収縮分だけ、すなわち1ストローク分だけ移動させる。以上(1) 〜(4) の作動を繰り返すことにより、荷物の排出がなされる。
【0028】
また、スイッチングバルブSVを上側に、コントロールバルブCVを下側に切り換えれば、第1〜第3油圧シリンダ161 ,162 ,163 は同時に伸長して、第1〜第3のグループG(1) 、G(2) 、G(3) のレール床…は同時に前進して、それらの上の荷物を荷箱前方(積込方向)へ前進させることができる。そして、この状態からスイッチングバルブSVを下側に切り換えれば、第3〜第1の油圧シリンダ163 ,162 ,161 は順次に収縮して、第3〜第1のグループG(1) 、G(2) 、G(3) のレール床10…は順次に後退(荷物は移動しない)する。再びスイッチングバルブSVを上側に切り換えれば、第1〜第3油圧シリンダ161 ,162 ,163 は同時に伸長して荷物を前方に前進させる。以上の繰り返しにより、荷物の積込がなされる。
【0029】
さらに、スイッチングバルブSVを上側に、またコントロールバルブCVを中間(中正)位置に切り換えれば、第1〜第3油圧シリンダ161 ,162 ,163 を全収縮、あるいはそれらの収縮途中で停止させることができ、スイッチングバルブSVを下側に、またコントロールバルブCVを中間(中正)位置に切り換えれば、第1〜第3油圧シリンダ161 ,162 ,163 を全伸長、あるいはそれらの伸長途中で停止させる。
【0030】
ところで、この本実施例によれば、第1〜第3の油圧シリンダ161 ,162 ,163 の消耗部品の交換、たとえばピストン24のピストンパッキン23の交換作業をきわめて容易に行うことができるものであり、以下に、図9を参照してその作業過程について説明する。
【0031】
(1) 図9(1) に示すように、第1〜第3の油圧シリンダ161 ,162 ,163 のシリンダチューブ18の各シリンダボトム部191 ,192 ,193 に接続されている油圧回路COの2本の油圧ホースhを取り外す。
【0032】
(2) 図9(2) に示すように、共用のシリンダヘッド部20と、シリンダチューブ18とを結合しているボルト・ナット22を取り外して、それらを分離する。
【0033】
(3) 図9(3) に示すように、シリンダチューブ18・・を、ピストンロッド25およびピストン24から抜き取り、ピストンパッキン23などの消耗部品の交換を行う。
【0034】
また、第1〜第3の油圧シリンダ161 ,162 ,163 の組付は、前記(1) 〜(3) の手順を逆に行う。
【0035】
以上のように、第1〜第3の油圧シリンダ161 ,162 ,163 のシリンダチューブ18・・は、共用のシリンダボトム部には連結されていないので、いずれか1本の油圧シリンダのピストンパッキン23を交換する場合にも、共用のシリンダボトム部からすべてのシリンダチューブ18…を取り外す作業がなくなり、消耗部品の交換を行う際の、取り外し部品の点数が少なくなり、その作業を容易に短時間で行うことが可能になる。また、取り外し部品点数が少ないことから、部品の交換作業時に、油漏れ量も少なくなり、その作業性が大幅に改善される。特に、この実施例のように、駆動装置Dが移動床Fの下に架装されていて、作業者が、荷箱Vの下に潜って前記作業を行う場合のように、作業性の悪い場合に、その効果が顕著に顕れる。
【0036】
つぎに、図3〜5に、図12〜14を参照して、往復動コンベア式移動床Fおよびその支持構造について詳しく説明する。
【0037】
移動床Fを構成する複数のレール床10…は、床フレーム4の横根太4j上に多数のベアリング40を介してその長手方向にスライド可能に支持される。多数のベアリング40は、いずれも同じ構造であって、横根太4j上に固着具を用いずに、一体的に嵌着支持されるように構成されている。各ベアリング40は、硬質の合成樹脂製であって、図12〜14に示すように、長方形の板状をなすスライド部40Sと、その下面に一体に延長される嵌着部40Eとを有して、幅方向T字状をなすブロック体により構成され、スライド部40Sの上面には、その上をレール床10がスムーズにスライドできるように平坦なスライド面41が形成されており、また、前記嵌着部40Eの長手方向の中間部には、断面チャンネル状の嵌着溝42が形成されている。また、このベアリング40の裏面は、その全域に亘り格子状の凹凸面43に形成されていて、その強度低下を招くことなく、その材料の節減と、軽量化が図られている。
【0038】
図12に示すように、多数のベアリング40は、前記床フレーム4の横根太4jの上面に、その全長にわたり間隔をあけて移動しないように支持される。すなわち、各ベアリング40の下面の嵌着溝42は、床フレーム4の横根太4jの上面に弾発係合されて、妄りに移動しないようにされる。また、ベアリング40のスライド部40Sには、そのスライド部40Sを抱持するようにレール床10のスライド溝10Gがその長手方向の沿ってスライド可能に嵌合される。
【0039】
移動床Fを構成する、各レール床10は、アルミ合金により細長い帯状に形成されており、その下面にスライド溝10Gが、その上面に受部10Sが形成されている。スライド溝10Gは、縦列される複数のベアリング40のスライド部40Sにスライド自在に嵌合され、また、前記受部10Sは断面凹状に形成されて、その一側縁には、立上壁10Wが起立形成され、その他側縁には係合雄部10Mが突設されている。立上壁10Wの上面には、平坦な荷受面が形成され、その下面に係合雌部10Fが形成される。
【0040】
図12に示すように、互いに隣接するレール床10,10の一方の係合雌部10Fと、それらの他方の係合雄部10Mとは、合成樹脂製のスライダ9を介してスライド自在に係合される。また、最外側のレール床10の係合雄部10Mは、床フレーム4に固定した固定レール8の係合雌部8Fにスライダ9を介してスライド可能に係合される。
【0041】
かくして、一平面上に並列される複数本の帯状レール床10…は、それらの隣接するもの同士が、それらの長手方向に相互にスライド自在に接続され、また、各レール床10は、前述したように床フレーム4の横根太4jに直接嵌合される複数のベアリング40…上をそれぞれ自在にスライド可能である。
【0042】
以上の実施例により明らかなように、床フレーム4の複数本の横根太4j…上には、複数のベアリング40…が、直接移動しないように係合され、それらのベアリング40…上に複数本のレール床10…がそれぞれスライド可能に支持されるので、従来のサブデッキ(図15参照)が不要となり、移動床Fの組立工数の低減と部品点数の削減とが可能になる。
【0043】
また、硬質合成樹脂製ベアリング40…は、横根太4jへ直接係合させるだけで、固定具を何ら必要とすることなく、ベアリング40…の横根太4jへの組付作業がきわめて容易となり、さらに、各レール床10は、常に円滑なスライドが保障され、給油をしないで済むことから、ノンメンテナンスとすることができる。
【0044】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はその実施例に限定されることなく、本発明の範囲内で種々の実施例が可能である。
【0045】
たとえば、前記実施例では、3本のレール床により、レールユニットを構成しているが、4本以上のレール床により、レールユニットを構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明にかかる往復動コンベア式移動床の駆動装置を備えた荷役車両の側面図
【図2】荷役車両の斜視図
【図3】図2の3矢視の平面図
【図4】図3の4−4線に沿う断面図
【図5】図3の5−5線に沿う拡大断面図
【図6】図4の6矢視の駆動装置の斜視図
【図7】図4の7−7線に沿う拡大断面図
【図8】図7の8−8線に沿う駆動装置の後面図
【図9】駆動装置の部品交換を行う際の手順を示す図
【図10】油圧装置の作動を示す油圧回路図
【図11】油圧装置の作動を示す油圧回路図
【図12】図5の仮想線囲い部分の拡大図
【図13】図12の13−13線に沿う拡大断面図
【図14】図14は、図13の14−14線に沿う断面図
【図15】従来の往復動コンベア式移動床の断面図
【符号の説明】
【0047】
4・・・・・・・・・・・・・・・・床フレーム
4j・・・・・・・・・・・・・・・横根太(床フレーム4の)
10・・・・・・・・・・・・・・・レール床
10(1) ,10(2) ,10(3) ・・・レール床(レールユニットの)
10LU・・・・・・・・・・・・・レールユニット
40・・・・・・・・・・・・・・・ベアリング
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床フレーム(4)上に、多数本の細長いレール床(10)を一平面上に前後に移動可能に並列配置し、隣り合う少なくとも3本のレール床(10(1) ,10(2) ,10(3) )を一つのレールユニット(10LU )とし、それらのレール床(10(1) ,10(2) ,10(3) )上の荷物を積み降ろしするときは、それらのレール床(10(1) ,10(2) ,10(3) )を同時に一方に動かして荷物を1ストローク分一方に移動させ、つぎのストロークで少なくとも3本のレール床(10(1) ,10(2) ,10(3) )を1本ずつ荷物下を他方にスライドさせ、つぎに、再び少なくとも3本のレール床(10(1) ,10(2) ,10(3) )を同時に一方に動かしてその上の荷物を1ストローク分移動させ、この繰り返しで複数のレール床(10)上の荷物を積み降ろしするようにした往復動コンベア式移動床において、
前記床フレーム(4)の複数本の横根太(4j)上に、複数のベアリング(40)を、直接移動しないように設け、それらのベアリング(40)上に複数本のレール床(10)をそれぞれスライド可能に支持させたことを特徴とする、往復動コンベア式移動床におけるレール床の支持構造。
【請求項2】
前記ベアリング(40)は硬質合成樹脂製であって、前記横根太(4j)に、固定具を用いずに直接係止されることを特徴とする、前記請求項1記載の往復動コンベア式移動床におけるレール床の支持構造。
【請求項3】
前記レール床(10)はアルミ合金製であって、前記硬質合成樹脂製の複数のベアリング(40)上を、無給油でスライド可能としたことを特徴とする、前記請求項1、また2記載の往復動コンベア式移動床におけるレール床の支持構造。
【請求項1】
床フレーム(4)上に、多数本の細長いレール床(10)を一平面上に前後に移動可能に並列配置し、隣り合う少なくとも3本のレール床(10(1) ,10(2) ,10(3) )を一つのレールユニット(10LU )とし、それらのレール床(10(1) ,10(2) ,10(3) )上の荷物を積み降ろしするときは、それらのレール床(10(1) ,10(2) ,10(3) )を同時に一方に動かして荷物を1ストローク分一方に移動させ、つぎのストロークで少なくとも3本のレール床(10(1) ,10(2) ,10(3) )を1本ずつ荷物下を他方にスライドさせ、つぎに、再び少なくとも3本のレール床(10(1) ,10(2) ,10(3) )を同時に一方に動かしてその上の荷物を1ストローク分移動させ、この繰り返しで複数のレール床(10)上の荷物を積み降ろしするようにした往復動コンベア式移動床において、
前記床フレーム(4)の複数本の横根太(4j)上に、複数のベアリング(40)を、直接移動しないように設け、それらのベアリング(40)上に複数本のレール床(10)をそれぞれスライド可能に支持させたことを特徴とする、往復動コンベア式移動床におけるレール床の支持構造。
【請求項2】
前記ベアリング(40)は硬質合成樹脂製であって、前記横根太(4j)に、固定具を用いずに直接係止されることを特徴とする、前記請求項1記載の往復動コンベア式移動床におけるレール床の支持構造。
【請求項3】
前記レール床(10)はアルミ合金製であって、前記硬質合成樹脂製の複数のベアリング(40)上を、無給油でスライド可能としたことを特徴とする、前記請求項1、また2記載の往復動コンベア式移動床におけるレール床の支持構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2006−117371(P2006−117371A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−306799(P2004−306799)
【出願日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)
【Fターム(参考)】
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