説明

往復動ポンプ

【課題】作動流体が外部へ流出することを防止できる往復動ポンプを提供することを課題とする。
【解決手段】往復動部材1が往復動するシリンダ部2のその一部を構成するように第1マニホルド4と第2マニホルド5とを跨いで連通管14を配置し、この連通管14より半径方向外側の第1、第2マニホルド4,5の連結面13a,13bに、2次Oリング24を配置することで、第1マニホルド4と連通管14の外周との間の第1のOリング15及び第2マニホルド5と連通管14の外周との間の第2のOリング16の少なくとも一方から漏洩した作動液体を塞き止め外部へ流出することを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、往復動ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、往復動部材が駆動部の駆動に従いシリンダ部内を往復動することにより、当該シリンダ部内の先端側に形成されたポンプ室で例えば水等の流体のポンプ作用を行う往復動ポンプが知られている(例えば、特許文献1,2参照)。この特許文献1,2記載の往復動ポンプでは、吸水口を備えた吸水マニホルドと、吐出口を備えた吐出マニホルドとを有し、筒状に構成されてシリンダ部の一部を構成するように吸水及び吐出マニホルドに跨って配置された連通管と、連通管の吐出マニホルド側の外周と吐出マニホルドとの間に配置された第1のOリングと、連通管の吸水マニホルド側の外周と吸水マニホルドとの間に配置された第2のOリングとを備えることにより、ポンプ室の高圧流体の外部への漏洩の防止を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−328956号公報
【特許文献2】特開2005−282516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ポンプの大型化に伴いマニホルドの全長が長くなると、圧力振動による部品の変位やクリアランスが大きくなるためOリングの密閉性が低下し、マニホルド同士の連結面から流体が流出する虞がある。具体的には、第1のOリング又は第2のOリングから連結面を伝って液体が外部へ流出する。例えば流体が毒性である場合や特殊用途の高価流体等である場合には、ポンプ外部への流体の流出は好ましくない。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するために成されたものであり、作動流体が外部へ流出することを防止できる往復動ポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による往復動ポンプ(100)は、往復動部材(1)がシリンダ部(2)内を往復動することで、当該シリンダ部(2)の先端側に形成されたポンプ室(3)でポンプ作用を行う往復動ポンプ(100)であって、ポンプ室(3)を有する第1マニホルド(4)とポンプ室(3)に連通するシリンダ部(2)を有し第1マニホルド(4)に連結された第2マニホルド(5)とを備えると共に、筒状に構成されてシリンダ部(2)の一部を構成するように第1マニホルド(4)と第2マニホルド(5)とに跨って配置された連通管(14)と、連通管(14)の第1マニホルド(4)側の外周と第1マニホルド(4)との間に配置された第1のOリング(15)と、連通管(14)の第2マニホルド(5)側の外周と第2マニホルド(5)との間に配置された第2のOリング(16)とを具備した往復動ポンプ(100)において、連通管(14)より半径方向外側で、第1マニホルド(4)と第2マニホルド(5)との連結面(13a,13b)同士の間に2次Oリング(24)を備えたことを特徴とする。
【0007】
このような往復動ポンプ(100)によれば、連通管(14)より半径方向外側の第1、第2マニホルド(4,5)の連結面(13a,13b)に2次Oリング(24)が設けられているため、第1及び第2のOリング(15,16)の少なくとも一方から流体が漏洩しても、連結面(13a,13b)を伝って外部へと向かおうとする漏洩液体は、2次Oリング(24)によって塞き止められる。このため、作動流体が外部へ流出することが防止される。
【0008】
また、第1及び第2のOリング(15,16)の少なくとも一方から漏洩した漏洩流体を、2次Oリング(24)より上流から、ポンプ室(3)よりも低圧状態のマニホルド内領域(22,23)に戻すための逃がし通路(25)を備えることが好ましい。このような構成を採用した場合、第1及び第2のOリング(15,16)の少なくとも一方から漏洩した漏洩流体は、2次Oリング(24)より上流で逃がし通路(25)によって低圧状態のマニホルド内領域(22,23)に戻される。このため、作動流体が外部へ流出することが一層防止される。
【0009】
また、逃がし通路(25)は、第1マニホルド(4)及び第2マニホルド(5)の少なくとも一方に設けることができる。
【0010】
また、筒状に構成されてポンプ室(3)側の先端面(32)が第1のOリング(15)と第2のOリング(16)との間に位置するように連通管(14)に外挿されることで第2マニホルド(31,35)の先端側内周部を構成するベンケース(30,34)を有する構成とすることができる。
【0011】
また、本発明による往復動ポンプ(150)は、往復動部材(1)がシリンダ部(2)内を往復動することで、シリンダ部(2)の先端側に形成されたポンプ室(3)でポンプ作用を行う往復動ポンプ(150)であって、ポンプ室(3)を有する第1マニホルド(39)とポンプ室(3)に連通するシリンダ部(2)を有し第1マニホルド(39)に連結された第2マニホルド(40)とを備えると共に、筒状に構成されてシリンダ部(2)の一部を構成するように第1マニホルド(39)と第2マニホルド(40)とに跨って配置された1次連通管(37)と、1次連通管(37)の第1マニホルド(39)側の外周と第1マニホルド(39)との間に配置された第1のOリング(15)とを具備した往復動ポンプ(150)において、筒状に構成されてポンプ室(3)側の先端面(38a)が第1のOリング(15)の後側に位置するように1次連通管(37)に外挿されると共に第2マニホルド(40)の先端側内周部を構成するように第1マニホルド(39)と第2マニホルド(40)とに跨って配置された2次連通管(38)を有し、2次連通管(38)の第1マニホルド(39)側の外周と第1マニホルド(39)との間に第3のOリング(41)と、2次連通管(38)の第2マニホルド(40)側の外周と第2マニホルド(40)との間に第4のOリング(42)とが配置されており、第1のOリング(15)よりも後側の1次連通管(37)の外周と第1マニホルド(39)及び第2マニホルド(40)との間の隙間は、ポンプ室(3)よりも低圧状態のマニホルド内領域(22,23)と連通していることを特徴とする。
【0012】
このような往復動ポンプ(150)によれば、ポンプ室(3)側の先端面(38a)が第1のOリング(15)の後側に位置するように1次連通管(37)に外挿されて第1、第2マニホルド(39,40)の連結面(13a,13b)を跨ぐように配置された2次連通管(38)に第3のOリング(41)及び第4のOリング(42)が設けられているため、第1のOリング(15)から流体が漏洩しても、外部へ向かおうとする漏洩液体は、第3のOリング(41)及び第4のOリング(42)によって塞き止められる。また、第1のOリング(15)よりも後側の1次連通管(37)の外周と第1マニホルド(39)及び第2マニホルド(40)との間の隙間は、ポンプ室(3)よりも低圧状態のマニホルド内領域(22,23)と連通しているので、上記漏洩液体は、上記隙間を通して低圧状態のマニホルド内領域(22,23)に戻される。このように、作動流体が外部へ流出することが防止される。
【発明の効果】
【0013】
このように本発明によれば、漏洩流体がポンプ外部へ流出することを防止できる往復動ポンプを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態に係る往復動ポンプを示す縦断面図である。
【図2】図1の要部を拡大して示す縦断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る往復動ポンプの要部を拡大して示す縦断面図である。
【図4】本発明の第3実施形態に係る往復動ポンプの要部を拡大して示す縦断面図である。
【図5】本発明の第4実施形態に係る往復動ポンプの要部を拡大して示す縦断面図である。
【図6】本発明の第5実施形態に係る往復動ポンプの要部を拡大して示す縦断面図である。
【図7】本発明の第6実施形態に係る往復動ポンプの要部を拡大して示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第1実施形態]
以下、本発明に係る往復動ポンプの好適な実施形態について添付図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る往復動ポンプを示す縦断面図、図2は、図1の要部を拡大して示す縦断面図である。なお、図1に示す往復動部材1の中心線Aから上側部分は、往復動部材1が上死点の場合を示し、下側部分は、往復動部材1が下死点の場合を示す。
【0016】
図1及び図2に示すように、往復動ポンプ100は、往復動部材1を構成するプランジャ1a及びプランジャロッド1bがシリンダ部2内を往復動することで、当該シリンダ部2の先端側に形成されたポンプ室3でポンプ作用を行う往復動ポンプ100である。この往復動ポンプ100は、ポンプ室3を有する第1マニホルド4と、ポンプ室3に連通するシリンダ部2を有し第1マニホルド4に連結された第2マニホルド5と、第2マニホルド5に連結されたクランクケース6とにより外形が構成されている。そして、シリンダ部2は、第1マニホルド4と、この第1マニホルド4に連結された第2マニホルド5とに亘って連続して形成され、ここでは、第1マニホルド4が吐出マニホルドとされ、第2マニホルド5が吸水マニホルドとされている。なお、この往復動ポンプ100は、シリンダ部2及びプランジャ1aが図の紙面垂直方向に複数個並設して成る多連式ポンプである。
【0017】
第1マニホルド4には、上述のようにシリンダ部2の内部と連通するポンプ室3が形成されて、このポンプ室3の図示下部は、第2マニホルド5に形成された吸入口7と連通され、ポンプ室3と吸入口7との間に吸入弁8が配置されている。また、ポンプ室3の図示上部は、第1マニホルド4に形成された吐出口9と連通され、ポンプ室3と吐出口9との間に吐出弁10が配置されている。なお、図1及び図2に示すように、吸入弁8及び吐出弁10は、第1マニホルド4にボルト11によって連結されたプラグ12により栓をされた状態で、第1マニホルド4に各々装着されている。
【0018】
第1マニホルド4と第2マニホルド5とは、連結面13a,13b同士を突き合わせた状態でボルト等によって連結されている。また、第1マニホルド4と第2マニホルド5とは、連通管14を介して接続されている。連通管14は、筒状に構成されてシリンダ部2の一部を構成するように第1マニホルド4と第2マニホルド5とに跨って配置されている。この連通管14には、第1マニホルド4側の外周と第1マニホルド4との間に第1のOリング15が配置されると共に、第2マニホルド5側の外周と第2マニホルド5との間に第2のOリング16が配置されている。すなわち、第1及び第2のOリング15,16は、第1マニホルド4と第2マニホルド5との連結面13a,13bを間に挟むように配置されている。これにより、第1及び第2マニホルド4,5は、連通管14によって液密に連結されている。
【0019】
一方、図1に示すように、クランクケース6の内部には、往復動部材1の駆動部を構成するクランクシャフト17、クランクシャフト17に連結したコンロッド18及びピストンピン19が配置され、クランクシャフト17が回転することによってコンロッド18及びピストンピン19を介して、往復動部材1がシリンダ部2内を図示左右方向に往復動し、シリンダ部2内の先端側に形成されたポンプ室3が加圧/減圧される。
【0020】
具体的には、図1の中心線Aよりも下側に示すように、往復動部材1がクランクシャフト17側に向かって移動すると、ポンプ室3が減圧され、第1マニホルド4に設けられた吸入弁8の弁体8a及び吐出弁10の弁体10aが各々開及び閉となり、作動液体は、第2マニホルド5に設けられた吸入口7から吸入弁8の流路を通ってポンプ室3へ吸入され、一方、図1の中心線Aよりも上側に示すように、往復動部材1がクランクシャフト17と反対側に向かって移動すると、ポンプ室3が加圧され、吸入弁8の弁体8a及び吐出弁10の弁体10aが各々閉及び開となり、ポンプ室3の作動流体は吐出弁10の流路を通って、第1マニホルド4に設けられた吐出口9へ吐出され、作動液体を吸入し吐出するポンプ作用を行う構成とされている。
【0021】
また、シリンダ部2にあっては、往復動する往復動部材1(プランジャ1a)との間を作動流体が伝ってポンプ室3からクランクケース6側へ漏洩するのを防止するための環状の高圧シール20及び低圧シール21が、往復動部材1の外周面に液密に摺接するように、ポンプ室3からこの順に設けられている。これらの高圧シール20及び低圧シール21は、例えば合成ゴム等を備える環状体であり、高圧シール20は、連通管14によってクランクケース6側に押圧されることで固定されている。
【0022】
また、第2マニホルド5内の往復動部材1を囲撓する空間であって、高圧シール20と低圧シール21との間の環状の領域(マニホルド内領域)22には、吸入口7から吸入された作動流体の一部が吸入管(マニホルド内領域)23を通して供給され、この冷却領域22によって、往復動する往復動部材1が冷却される構成とされている。従って、高圧シール20及び低圧シール21は、冷却領域22の作動液体のポンプ室3側及びクランクケース6側への漏洩を防止する。なお、冷却領域22及び吸入管23側は、高圧シール20、低圧シール21及び吸入弁8によってポンプ室3よりも低圧状態となっている。
【0023】
ここで、特に本実施形態においては、第1マニホルド4と第2マニホルド5との連結面13a,13b同士の間に、2次Oリング24が設けられている。具体的には、第2マニホルド5には、連通管14の半径方向外側において、連結面13bに2次Oリング24を収容する収容溝24aが形成されており、2次Oリング24は、その収容溝24aに収容されることにより連結面13a,13b同士の間を液密に封止する。
【0024】
また、特に本実施形態においては、吸入管23側と連通管14との間に、逃がし通路25が配設されている。この逃がし通路25は、第1及び第2のOリング15,16の少なくとも一方からの漏洩液体を2次Oリング24より上流で吸入管23側へ戻すものであり、第2マニホルド5内において、第2のOリング16よりもポンプ室3側の連通管14の外周面部分と吸入管23側とを連通している。
【0025】
このような往復動ポンプ100にあって、連通管14の両端面を伝って第1、第2のOリング15,16に向かいその第1及び第2のOリング15,16の少なくとも一方から漏洩し、第1マニホルド4と第2マニホルド5との連結面13a,13bを伝って外部へと向かう漏洩液体は、2次Oリング24により、塞き止められ外部への流出が阻止される。
【0026】
さらに、第1及び第2のOリング15,16の少なくとも一方から漏洩した漏洩液体は、第2マニホルド5に設けられた逃がし通路25により、低圧状態の吸入管23側に戻される。
【0027】
このように、本実施形態にあっては、連通管14より半径方向外側の第1、第2マニホルド4,5の連結面13a,13bに2次Oリング24が設けられているため、第1及び第2のOリング15,16の少なくとも一方から流体が漏洩しても、連結面13a,13bを伝って外部へと向かおうとする漏洩液体は、2次Oリング24によって塞き止められる。このため、作動流体が外部へ流出することが防止される。
【0028】
また、第1及び第2のOリング15,16の少なくとも一方から漏洩した漏洩流体を、2次Oリング24より上流から、ポンプ室3よりも低圧状態の吸入管23に戻すための逃がし通路25が配設されているため、第1及び第2のOリング15,16の少なくとも一方から漏洩した漏洩流体は、2次Oリング24より上流位置で逃がし通路25によって低圧状態の吸入管23側に戻される。このため、作動流体が外部へ流出することが一層防止される。
【0029】
また、逃がし通路25によって漏洩液体を低圧状態の吸入管23側に戻すことにより、高圧流体による2次Oリング24への影響が低減するので、2次Oリング24の負荷を軽減することができる。このため、作動流体をポンプ内部に密閉することを長時間可能にするという効果もある。
【0030】
[第2実施形態]
図3は、本発明の第2実施形態に係る往復動ポンプの要部を拡大して示す縦断面図であり、先の実施形態と同様な要素には同一符号を付し、ここでの説明は省略する。
【0031】
この実施形態での往復動ポンプ110は、第1実施形態における逃がし通路25に代えて別の逃がし通路26を有する第2マニホルド27を備えていることを特徴としている。具体的には、逃がし通路26は、第2マニホルド27の図示下部(吸入管23側)において、2次Oリング24と連通管14との間でシリンダ部2の軸線方向とほぼ平行になると共に、第2マニホルド27の連結面13bと吸入管23側とを連通するように配設されている。
【0032】
この逃がし通路26を備える往復動ポンプ110にあっても、先の実施形態と同様に、第1及び第2のOリング15,16の少なくとも一方からの漏洩液体は、2次Oリング24より上流から低圧状態の吸入管23へ戻されるため、先の往復動ポンプ100とほぼ同様な効果(当該逃がし通路26の効果及び2次Oリング24の効果)を得ることができることはいうまでもない。なお、この逃がし通路26を設けることに伴って、第1マニホルド4と第2マ二ホルド27の連結面13a,13b同士の間に配置される2次Oリング24及びこれを収容する収容溝24aが、先の実施形態よりも連通管14の半径方向外側に形成されている。
【0033】
[第3実施形態]
図4は、本発明の第3実施形態に係る往復動ポンプの要部を拡大して示す縦断面図であり、先の実施形態と同様な要素には同一符号を付し、ここでの説明は省略する。
【0034】
この実施形態での往復動ポンプ120は、先の実施形態における逃がし通路25,26に代えて別の逃がし通路28を有する第1マニホルド29を備えていることを特徴としている。具体的には、逃がし通路28は、第1マニホルド29における第1のOリング15よりもクランクケース6側の連通管14の外周面部分と第1マニホルド29内の吸入弁8に連通する吸入管23側とを連通するように配設されている。
【0035】
この逃がし通路28を備える往復動ポンプ120にあっても、先の実施形態と同様に、第1及び第2のOリング15,16の少なくとも一方からの漏洩液体は、2次Oリング24より上流から低圧状態の吸入管23側へ戻されるため、先の往復動ポンプ100,110とほぼ同様な効果(当該逃がし通路28の効果及び2次Oリング24の効果)を得ることができることはいうまでもない。
【0036】
[第4実施形態]
図5は、本発明の第4実施形態に係る往復動ポンプの要部を拡大して示す縦断面図であり、先の実施形態と同様な要素には同一符号を付し、ここでの説明は省略する。
【0037】
この実施形態での往復動ポンプ130は、ベンケース30を有する第2マニホルド31を備えたことを特徴としている。このベンケース30は、第2マニホルド31内において、筒状に構成されてそのポンプ室3側の先端面32が第1のOリング15と第2のOリング16との間に位置するように連通管14及び高圧シール20に外挿されることで第2マニホルド31の先端側内周部を構成している。そして、このようにベンケース30が配置されることで、ベンケース30よりクランクケース6側の拡径された領域が冷却領域22とされている。なお、このベンケース30を設けることに伴って、2次Oリング24及びこれを収容する収容溝24aがベンケース30より半径方向外側に形成されている。
【0038】
また、ベンケース30には、漏洩液体を冷却領域22へ戻すための逃がし通路33が配設されている。この逃がし通路33は、ベンケース30の図示下部(冷却管23側)において、シリンダ部2の軸線方向とほぼ平行になると共に、ベンケース30の先端面32と冷却領域22とを連通するように配設されている。
【0039】
この逃がし通路33を備える往復動ポンプ130にあっても、先の実施形態と同様に、第1及び第2のOリング15,16の少なくとも一方からの漏洩液体は、2次Oリング24より上流から低圧状態の冷却領域22へ戻されるため、先の往復動ポンプ100,110,120とほぼ同様な効果(当該逃がし通路33の効果及び2次Oリング24の効果)を得ることができることはいうまでもない。
【0040】
なお、本実施形態の往復動ポンプ130では、ベンケース30に積極的に逃し通路33を設けて漏洩液体を逃がしているが、この逃し通路33を設けない場合であっても、ベンケース33の外周側と第2マニホルド31との間の隙間が低圧状態の吸入管23と連通しているので、逃し通路33と同様に作用する。
【0041】
[第5実施形態]
図6は、本発明の第5実施形態に係る往復動ポンプの要部を拡大して示す縦断面図であり、先の実施形態と同様な要素には同一符号を付し、ここでの説明は省略する。
【0042】
この実施形態の往復動ポンプ140では、第4実施形態におけるベンケース30に代えて別のベンケース34を有する第2マニホルド35を備えること特徴としている。このベンケース34にあっては、逃がし通路33より半径方向外側に収容溝24bが形成され、この収容溝24bに2次Oリング24が配置されている。なお、ベンケース34の外周と第2マニホルド35との間には、Oリング36が配置されている。
【0043】
このベンケース34を備える往復動ポンプ140にあっても、先の実施形態と同様に、第1及び第2のOリング15,16の少なくとも一方からの漏洩液体は、ベンケース34と第1マニホルド4との間の2次Oリング24で塞き止められるため、先の往復動ポンプ100,110,120,130とほぼ同様な効果(当該2次Oリング24の効果及び逃し通路33の効果)を得ることができることはいうまでもない。
【0044】
[第6実施形態]
図7は、本発明の第6実施形態に係る往復動ポンプの要部を拡大して示す縦断面図であり、先の実施形態と同様な要素には同一符号を付し、ここでの説明は省略する。
【0045】
この実施形態の往復動ポンプ150では、1次連通管37(連通管14に相当)及び2次連通管38を備えている。1次連通管37は、筒状に構成されてシリンダ部2の一部を構成すると共に、高圧シール20に外挿されるように第1マニホルド39と第2マニホルド40とに跨って配置されている。この1次連通管37には、第1マニホルド39側の外周と第1マニホルド39との間に第1のOリング15が配置されている。高圧シール20は、1次連通管37によってクランクケース6側に押圧されることで固定されている。
【0046】
2次連通管38は、筒状に構成されてポンプ室3側の先端面38aが第1のOリング15の後側に位置するように1次連通管37に外挿されると共に第2マニホルド40の先端側内周部を構成するように第1マニホルド39と第2マニホルド40とに跨って配置されている。すなわち、1次連通管37と2次連通管38とは、半径方向に対して同心円上の二重構造となっている。この2次連通管38には、第1マニホルド39側の外周と第1マニホルド39との間に第3のOリング41が配置されると共に、第2マニホルド40側の外周と第2マニホルド40との間に第4のOリング42が配置されている。すなわち、第3及び第4のOリング41,42は、第1マニホルド39と第2マニホルド40との連結面13a,13bを間に挟むように配置されている。これにより、第1及び第2マニホルド39,40は、1次連通管37及び2次連通管38によって液密に連結されている。
【0047】
また、1次連通管37の第2マニホルド40側の外周と第1マニホルド39及び第2マニホルド40との間の隙間は、低圧状態の吸入管23と連通している。これにより、2次連通管38の第3のOリング41と第4のOリング42とにより密閉されている領域は、低圧状態の吸入管23と領域を共有している。従って、第3及び第4のOリング41,42は、ポンプ室3よりも低圧状態が維持されている。
【0048】
この1次連通管37及び2次連通管38を備える往復動ポンプ150にあっては、ポンプ室3側の先端面38aが第1のOリング15の後側に位置するように1次連通管37に外挿されて第1、第2マニホルド39,40の連結面13a,13bを跨ぐように配置された2次連通管38に第3のOリング41及び第4のOリング42が設けられているため、第1のOリング15から流体が漏洩しても、外部へ向かおうとする漏洩液体は、第3のOリング41及び第4のOリング42によって塞き止められる。また、第1のOリング15よりも後側の1次連通管37の外周と第1マニホルド39及び第2マニホルド40との間の隙間は、ポンプ室3よりも低圧状態の吸入管23と連通しているので、上記漏洩液体は、上記隙間を通して低圧状態の吸入管23に戻される。このように、作動流体が外部へ流出することが防止される。
【0049】
また、上述のように、漏洩液体は、上記隙間を通して低圧状態の吸入管23に戻されるため、漏洩液体を吸入管23に逃がすための逃し通路を形成しなくてもよく、その結果、加工を容易化することができ、加工コストの低減を図ることができるといった効果もある。
【0050】
なお、作動液体が毒性である場合や特殊用途の高価流体等である場合には、外部への漏洩が環境への影響やコストなどの観点から好ましくない。また、漏洩した液体により、ボルト等の腐食等が懸念される。これに対して、本実施形態の往復動ポンプ150では、作動液体が外部へ流出することが防止されるので、上記の問題を回避することができる。
【0051】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、上記各実施形態においては、逃がし通路が1つしか配設されていないが、各実施形態の構成を組み合わせて複数配設してよく、また、それに合わせて、2次Oリング24の配置位置を変更してよく、要は、2次Oリング24は、連通管14より半径方向外側でマニホルド同士の間に配置されていればよく、また逃がし通路は、第1及び第2のOリング15,16の少なくとも一方から漏洩した流体を低圧状態のマニホルド内領域に戻せればよい。また、2次Oリング24を収容する収容溝は、上記位置ではなく対向する部材側に設けられてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1…往復動部材、2…シリンダ部、3…ポンプ室、4,29,39…第1マニホルド、5,27,31,35,40…第2マニホルド、13a,13b…連結面、14…連通管、15…第1のOリング、16…第2のOリング、17…2次Oリング、22…冷却領域(マニホルド内領域)、23…吸入管(マニホルド内領域)、25,26,28,33…逃がし通路、30,34…ベンケース、32…先端面、37…1次連通管、38…2次連通管、38a…先端面、41…第3のOリング、42…第4のOリング、100,110,120,130,140,150…往復動ポンプ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
往復動部材(1)がシリンダ部(2)内を往復動することで、当該シリンダ部(2)の先端側に形成されたポンプ室(3)でポンプ作用を行う往復動ポンプ(100)であって、前記ポンプ室(3)を有する第1マニホルド(4)と前記ポンプ室(3)に連通するシリンダ部(2)を有し前記第1マニホルド(4)に連結された第2マニホルド(5)とを備えると共に、筒状に構成されて前記シリンダ部(2)の一部を構成するように前記第1マニホルド(4)と前記第2マニホルド(5)とに跨って配置された連通管(14)と、前記連通管(14)の前記第1マニホルド(4)側の外周と前記第1マニホルド(4)との間に配置された第1のOリング(15)と、前記連通管(14)の前記第2マニホルド(5)側の外周と前記第2マニホルド(5)との間に配置された第2のOリング(16)とを具備した往復動ポンプ(100)において、
前記連通管(14)より半径方向外側で、前記第1マニホルド(4)と前記第2マニホルド(5)との連結面(13a,13b)同士の間に2次Oリング(24)を備えたことを特徴とする往復動ポンプ。
【請求項2】
前記第1及び第2のOリング(15,16)の少なくとも一方から漏洩した漏洩流体を、前記2次Oリング(24)より上流から、前記ポンプ室(3)よりも低圧状態のマニホルド内領域(22,23)に戻すための逃がし通路(25)を備えたことを特徴とする請求項1記載の往復動ポンプ。
【請求項3】
前記逃がし通路(25)は、前記第1マニホルド(4)及び前記第2マニホルド(5)の少なくとも一方に設けられていることを特徴とする請求項2記載の往復動ポンプ。
【請求項4】
筒状に構成されて前記ポンプ室(3)側の先端面(32)が前記第1のOリング(15)と前記第2のOリング(16)との間に位置するように前記連通管(14)に外挿されることで前記第2マニホルド(31,35)の先端側内周部を構成するベンケース(30,34)を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の往復動ポンプ。
【請求項5】
往復動部材(1)がシリンダ部(2)内を往復動することで、当該シリンダ部(2)の先端側に形成されたポンプ室(3)でポンプ作用を行う往復動ポンプ(150)であって、前記ポンプ室(3)を有する第1マニホルド(39)と前記ポンプ室(3)に連通するシリンダ部(2)を有し前記第1マニホルド(39)に連結された第2マニホルド(40)とを備えると共に、筒状に構成されて前記シリンダ部(2)の一部を構成するように前記第1マニホルド(39)と前記第2マニホルド(40)とに跨って配置された1次連通管(37)と、前記1次連通管(37)の前記第1マニホルド(39)側の外周と前記第1マニホルド(39)との間に配置された第1のOリング(15)とを具備した往復動ポンプ(150)において、
筒状に構成されて前記ポンプ室(3)側の先端面(38a)が前記第1のOリング(15)の後側に位置するように前記1次連通管(37)に外挿されると共に前記第2マニホルド(40)の先端側内周部を構成するように前記第1マニホルド(39)と前記第2マニホルド(40)とに跨って配置された2次連通管(38)を有し、
前記2次連通管(38)の前記第1マニホルド(39)側の外周と前記第1マニホルド(39)との間に第3のOリング(41)と、2次連通管(38)の前記第2マニホルド(40)側の外周と前記第2マニホルド(40)との間に第4のOリング(42)とが配置されており、
前記第1のOリング(15)よりも後側の前記1次連通管(37)の外周と前記第1マニホルド(39)及び第2マニホルド(40)との間の隙間は、前記ポンプ室(3)よりも低圧状態のマニホルド内領域(22,23)と連通していることを特徴とする往復動ポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−53861(P2010−53861A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−177976(P2009−177976)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(000141174)株式会社丸山製作所 (134)
【Fターム(参考)】