説明

往診用キャリーバッグ及びカート

【課題】訪問(往診)診療において、往診先での電源(コンセント)探しの煩わしさをなくし、更には、災害時における災害現場での治療に必要な照明及び治療機器の電源を確保する。
【解決手段】往診用診療機器を収容したキャリーバッグ10と、キャリーバッグ10を搭載して運搬するキャスタ付のカート20とから成り、カート20は、キャスタ21の回転によって発電される発電機を備え、キャリーバッグ10は、前記発電機によって発生された電力を蓄電するための二次電池30を有する。キャリーバッグ運搬時、キャスタ21の回転によって発生される発電機出力により、二次電池30を充電し、往診先にて、該二次電池30を電源として治療機器を駆動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、診療機器を収容した往診用のキャリーバッグ或いは該キャリーバッグを搭載して運搬するカートのキャスタ(脚輪)の回転を利用して発電し、発電した電力をキャリーバッグに配設した二次電池に蓄電し、往診先での電源(コンセント)探しの煩わしさを無くし、更には、災害時等、商用電源が使用できない場合等においても診療可能としたものである。
【背景技術】
【0002】
高齢化の時代を迎え、訪問(往診)診療の要請が高まっている。訪問診療をするには、訪問先での診療を行うための種々の診療機具を持参しなければならず、そのため、これら診療機具をバッグ内に収容し、該バッグをキャスタ(脚輪)付のカートに搭載して運搬するか、或いは、キャスタ付のバッグに収容して運搬するようにしている。
【0003】
特に、訪問診療で歯科治療を行う場合、歯科治療は歯牙(骨)の切削を伴う治療がほとんどであるため、持参する診療機具として、電気駆動される機具は必須であり、そのため、診療先で商用電源(コンセント)を探さなければならないが、コンセントの位置が診療位置から遠く離れていたり、家具の陰に隠れたりして、電源の確保が必ずしも容易ではなかった。
【0004】
更には、災害時等において屋外等で診療しなければならない場合、商用電源が使用できない場合があり、このような場合においては、歯科治療に限らず、治療に必要な照明が得られなかったり、治療に必要な電動機器が使用できなくなり、災害現場での緊急の治療に対応できなくなる恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述のごとき実情に鑑みてなされたもので、特に、訪問(往診)診療において、往診先での電源(コンセント)探しの煩わしさをなくし、更には、災害時における災害現場での治療に必要な照明及び治療機器の電源を確保することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、往診用診療機器を収容したキャリーバッグと、該キャリーバッグを搭載して運搬するキャスタ付のカートとから成り、前記カートは、前記キャスタの回転によって発電される発電機を備え、前記キャリーバッグは、前記発電機によって発生された電力を蓄電するための二次電池を有することを特徴としたものである。
【0007】
請求項2の発明は、往診用診療機器を収容したキャスタ付のキャリーバッグであって、該キャリーバッグは、キャスタの回転によって発電される発電機と、該発電機によって発生された電力を蓄電するための二次電池を有することを特徴としたものである。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記二次電池は商用電源によっても蓄電可能であることを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、訪問診療(往診)を行う際、往診に必要な治療器具を収容したキャリーバッグ、或いは、該キャリーバッグを搭載するカートのキャスタ(脚輪)の回転によって発電機を設け、該発電機によって発電された電力を前記キャリーバッグ或いはカートに設けられた二次電池に充電し、該二次電池の電源を訪問(往診)先での診療機器駆動用の電源或いは照明用の電源として使用可能としたので、往診先での電源(コンセント)探しの煩わしさをなくし、更には、災害時等、災害地での商用電源が無い場所においても、診療を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明による往診用キャリーバッグ及び該キャリーバッグを搭載して運搬するカートを示す図である。
【図2】キャリーバッグ或いはカートに設けられたキャスタ(脚輪)と発電機との関係を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明によるキャリーバッグ10(図1(B))と、キャリーバッグ10を搭載して運搬するカート20(図1(A))を示し、図1(A)においては、カート20にキャリーバッグ10を搭載した状態を破線にて示す。キャリーバッグ10内には、往診先で診療を行うのに必要な種々の治療機具が収納されており、該キャリーバッグ10としては、周知のように、搬送用のキャスタ(脚輪)が付いていないものと、キャスタ(11)付のものとがある。キャスタ付のものは、必ずしも、カート20に搭載して運搬する必要はないが、キャスタが付いていないものは、図示のように、キャスタ21付のカート20に搭載して運搬するのが一般的である。
【0012】
本発明は、上述のごときキャスタ付のキャリーバッグ或いはカートにおいて、キャスタ21(11)の回転によって発電される発電機を設けておき、該発電機によって発生された電力によって、キャリーバッグ10に配設された二次電池30或いはカート20に配設された二次電池(図示せず)を充電する。図1(B)において、31は二次電池30に前記発電機からの交流電源或いは商用交流電源を接続するためのコンセントで、該コンセント31を通して供給された交流電源は、図示しない電圧調整器等によって直流電源に変換された後、該二次電池30に供給される。
【0013】
図2は、カート20(又はキャリーバッグ10)に設けられたキャスタ(脚輪)21(11)と発電機との関係を説明するための図であるが、同図は、キャリーバッグ10にキャスタ11を設けた場合の該キャスタ11と発電機との関係を( )内参照番号にて示す。
【0014】
図2において、キャスタ21,21(11,11)は軸22(12)によって連結され、該軸22(12)は、キャスタ21(11)の回転と共に回転される。該回転軸22(12)には、歯車23(13)が一体的に取り付けられており、軸22(12)は歯車23(13)の両端側において、支持アーム27,27(17,17)によって回転自在に取り付けられている。この支持アーム27(17)には、軸22(12)と平行に軸24(14)が回転自在に取り付けられており、軸22(12)の回転が歯車23(13)及び歯車25(15)を介して該軸24(14)に伝達されるようになっている(歯数比によって軸24(14)の回転数が増大される)。なお、アーム27,27(17,17)は単一の回転支持軸28(18)に一体的に連結され、これによってカート又はキャリーバッグは所望の方向に向けて運搬可能となっている。
【0015】
回転軸24(14)は、周方向に複数の永久磁石が配設されたローター(回転子)と、該ローターの周囲に巻回された複数のコイルとからなるステータ(固定子)とから構成される周知の発電機26(16)が取り付けられており、カート20(又はキャリーバッグ10)移動時、キャスタ21(又は11)が回転すると、該キャスタ21(又は11)の回転軸22(又は12)の回転が歯車23,25(又は13,15)を介して回転軸24(又は14)に伝達され、発電機26(又は16)のステータコイルに電圧を発生させる。この発生電圧にて、カート又はキャリーバッグ10内に設けられた二次電池30を充電する。
【0016】
キャリーバッグ10は、図1(B)に示すように、コンセント31を有し、該コンセント31に、発電機26(16)の出力プラグ29(19)が接続され、該発電機の発生電力が、図示しない、電圧調整手段等を介して二次電池30に充電される。カート20に二次電池を設けておくと、例えば、災害地等において商用電源が使用できない場合、カート20のみを移動させて発電させ、その発生電力をカートに設けられている二次電池に充電して使用することが可能となる。
【0017】
上述のように、本発明によると、キャリーバッグ或いはキャリーバッグを搭載して運搬するカートに発電機を取り付け、キャリーバッグ又はキャリーバッグをカートにて運搬時、該発電機によって発生された電力を用いて、キャリーバッグに設けられた二次電池を充電するようにしたので、往診先等で商用電源のコンセントを探す煩わしさをなくし、更には、災害地において商用電源が使用できないような場合においても、運搬途中において、或いは、往診先にて発電させて、該発電された電力を用いて診療を行うことができる。
【符号の説明】
【0018】
10…往診用キャリーバッグ、20…カート、21(11)…キャスタ、22(12),24(14)…回転軸、23(13),25(15)…歯車、26(16)…発電機、27(17)…支持アーム、28(18)…回転支持軸。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
往診用診療機器を収容したキャリーバッグと、該キャリーバッグを搭載して運搬するキャスタ付のカートとから成り、前記カートは、前記キャスタの回転によって発電される発電機を備え、前記キャリーバッグは、前記発電機によって発生された電力を蓄電するための二次電池を有することを特徴とする往診キャリーバッグ用カート。
【請求項2】
往診用診療機器を収容したキャスタ付のキャリーバッグであって、該キャリーバッグは、キャスタの回転によって発電される発電機と、該発電機によって発生された電力を蓄電するための二次電池を有することを特徴とする往診用キャリーバッグ。
【請求項3】
前記二次電池は商用電源によっても蓄電可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の往診用キャリーバッグ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−152486(P2012−152486A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−16067(P2011−16067)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(000150671)株式会社長田中央研究所 (194)
【Fターム(参考)】