径方向磁場発生用磁気回路及び磁気記録媒体
【課題】磁気ディスク装置の製造に関して、複数の基板の同時成膜工程や同時熱処理工程などにおいて必要な径方向磁場を発生させ、基板全体に径方向に向いた放射状磁場を発生することができる磁気回路を提供する。
【解決手段】処理対象となるリング状基板の配置面の両側に設けられた一対のリング状永久磁石を備え、該リング状基板が配置された際に該配置面において該リング状基板の径方向に磁場を発生させる磁気回路ユニットを少なくとも二つ、全ての磁気回路ユニットのリング状基板の配置面が同一平面となるように組み合わせてなり、上記一対のリング状永久磁石が、隣り合う磁気回路ユニットに近い部分と遠い部分で異なる体積を持つ形状である径方向磁場発生用磁気回路を提供する。また、この径方向磁場発生用磁気回路を用いて得られた磁気記録媒体を提供する。
【解決手段】処理対象となるリング状基板の配置面の両側に設けられた一対のリング状永久磁石を備え、該リング状基板が配置された際に該配置面において該リング状基板の径方向に磁場を発生させる磁気回路ユニットを少なくとも二つ、全ての磁気回路ユニットのリング状基板の配置面が同一平面となるように組み合わせてなり、上記一対のリング状永久磁石が、隣り合う磁気回路ユニットに近い部分と遠い部分で異なる体積を持つ形状である径方向磁場発生用磁気回路を提供する。また、この径方向磁場発生用磁気回路を用いて得られた磁気記録媒体を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気ディスク装置の製造に関して、基板の成膜工程や熱処理工程などにおいて必要な径方向磁場を発生させる磁気回路を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
磁気ディスク装置における情報記録として、記録媒体のトラックに対して水平方向に磁化する水平磁気記録方式が広く用いられている。この方式では記録膜に対して水平方向に磁化された微小磁石が隣接する微小磁石との間で互いに反磁界を及ぼす関係にあるため、記録密度が上がり微小磁石が小さくなるにつれて磁化が減磁したり消磁する現象が起きて、記録信号が読み出せなくなる。このような水平記録方式の高密度記録の限界を解決する方法として、垂直記録方式が提案されている。垂直記録方式の記録媒体は、例えば高透磁率の軟磁性膜上に垂直方向に磁化した記録用の硬磁性膜を積層した2層構造のものである。この高透磁率の軟磁性膜は、信号記録時に磁気ヘッドからの記録磁界を水平方向に通して磁気ヘッド側に還流させる磁気回路としての機能を担い、記録磁界の強度を強めて記録・再生の効率を向上させる役割を果たしているため、より高透磁率であることが望まれる。また、記録媒体や磁気ヘッドの周囲に浮遊磁界が存在すると、その浮遊磁界が磁気ヘッドの磁極部に集中されて、その集中磁界によって軟磁性膜の磁壁が移動して再生出力や記録磁化が変化することがあった。
【0003】
この問題を解決する方法の一つとして、軟磁性膜の形成された基板に対して周方向または径方向の磁気異方性を与えることが提案されている。磁気異方性をもつ軟磁性膜は透磁率が向上して記録書き込み時の磁気効率が良くなる。さらに、この磁気異方性を与えるための磁場発生源として図15のように基板111と軟磁性膜(下地膜)113の間に硬磁性膜(下地膜)112を成膜した3層膜構造等の上に硬磁性膜(記録膜)114を設けた記録媒体110が提案されている。この下地膜としての硬磁性膜112は径方向に磁化されており、軟磁性膜113には常に径方向の磁界が印加される事になるため、前記の浮遊磁界による磁壁の移動が抑制され、再生出力の変化や記録磁化の消磁などの問題を解決することができる。
【0004】
この他にも種々の問題を解決するためにさらなる多層構造の媒体構成を持つ方法が採用されたり、また水平記録方式においても高密度化における前記問題を解決するための多層構造が提案されているが、これら多層膜では基板に対して周方向や径方向に一様に磁化させる工程が必要な場合が増えている。
【0005】
以上のように、磁気ディスクの媒体基板の製造工程において、軟磁性膜や硬磁性膜に周方向または径方向の磁場を印加して成膜することの有効性や、成膜後の熱処理工程中に前記方向の磁場を基板に与えることの有効性が提案されている。基板への成膜は主にスパッタリング法やめっき法で行われるが、それぞれに適した磁場発生用磁気回路が必要である。
【0006】
基板に対して径方向や周方向に磁場を与える場合、これらの磁場方向が基板面と平行にならなければならない。基板面に対して印加磁場の方向が傾いていると、硬磁性膜の磁化方向が同様に傾き、また軟磁性膜の磁気異方性の方向も一様でなくなるため、高密度な記録・再生を実現する上で不利となる。
【0007】
この課題を解決し基板に径方向磁場を印加する方法は、特許文献1に提案されている。図16に示すように、リング状基板111を含む平面を配置面(X−Xを通り、基板の中心軸123に垂直な面)とし、この配置面に対して対称な位置に対称な形状である一対のリング状永久磁石121を設置する。各リング状永久磁石121の中心は、リング状基板の中心軸123上にくるように配置されている。各リング状永久磁石の磁化方向124は配置面に対して垂直で、配置面に対して対称となっている。このように永久磁石を配置にすると、永久磁石は、全体として磁力線125で模式的に示す磁場を形成し、磁力線125は配置面上では放射状、すなわち径方向に向く。さらに磁石が基板に対して対称な位置にあるため、基板上での磁力線の向きが完全に基板に対して平行となる。
しかしながら、この方法では基板1枚での処理には対応できるが、複数枚の基板を処理するには問題が生じる。例えば2枚の基板を同時に処理する場合、特許文献1で示した磁気回路の2つを各リング状基板の配置面が同一平面となるように並べて使用すると一方の磁気回路による磁場が他方の基板にまで及ぶために図17のように基板上の磁場が正しく径方向に向かなくなってしまう。図17から分かるように隣接する磁気回路に近い領域において磁場の向きが径方向から大きく外れている。
【0008】
最近では、1インチもしくはそれ以下の直径の小口径基板が用いられるようになり、その数はますます増えると予想される。一方でこれらの小口径基板にはコストダウンと量産性アップが切望されており、そのためにも一度に複数枚の基板を処理できることが必要となってきている。
【特許文献1】特開2005−209326号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
磁気ディスクの媒体基板の製造工程において、複数の基板を同時に処理する場合に、円形基板上に形成される軟磁性膜および硬磁性膜に印加する磁場の向きが、基板の径方向かつ基板面に対して平行となる磁場発生源としての磁気回路及び該磁気回路を用いることによって得られた磁気記録媒体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、処理対象となるリング状基板の配置面の両側に設けられた一対のリング状永久磁石を備えてなる磁気回路ユニットで、該リング状基板が配置された際に該配置面において該リング状基板の径方向に磁場を発生させる磁気回路ユニットを少なくとも二つ、全ての磁気回路ユニットのリング状基板の配置面が同一平面となるように組み合わせてなり、上記一対のリング状永久磁石が、隣り合う磁気回路ユニットに近い部分と遠い部分で異なる体積を持つ形状である径方向磁場発生用磁気回路を提供する。
リング状永久磁石は、一体化されている磁石を用いてもよいが、好ましくは、二以上のセグメント磁石を組み合わせたものであり、隣り合う磁気回路ユニットに近いセグメント磁石は、他のセグメント磁石よりも小さい体積を持つ。また、リング状永久磁石は、好ましくは、隣り合う磁気回路ユニットに近い部分で小さく、遠い部分で大きくなる形状である。リング状永久磁石は、好ましくは、隣り合う磁気回路ユニットに最も近い部分に空隙を有する形状でもよい。一対のリング状永久磁石は、好ましくは、リング状基板の配置面に対して互いに対称な位置に設けられ、配置面に対して対称な形状と磁化方向を有しているとよい。リング状永久磁石は、リング状基板の配置面に対して垂直な磁化方向を有するか、または配置面に対して垂直な方向から傾きを持つ磁化方向を有してよい。
また、本発明は、処理対象となるリング状基板の配置面の外側に設けられた一対のリング状永久磁石を備えてなる磁気回路ユニットで、該リング状基板が配置された際に該配置面において該リング状基板の径方向に磁場を発生させる磁気回路ユニットを少なくとも二つ、全ての磁気回路ユニットのリング状基板の配置面が同一平面となるように組み合わせてなり、隣り合う磁気回路ユニットの隣り合うリング状永久磁石の中心同士を結ぶ線から±θ(式中、θは0<θ<90度)の角度の範囲の各リング状磁石の体積が、同一リング状永久磁石の180度±θの角度の範囲の同一永久磁石の体積よりも小さくなる径方向磁場発生用磁気回路を提供する。
本発明は、この径方向磁場発生用磁気回路を用いて得られた磁気記録媒体も提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、磁気ディスク装置の製造に関して、複数の基板の同時成膜工程や同時熱処理工程などにおいて必要な径方向磁場を発生させる磁気回路を提供するものであり、基板全体に径方向に向いた放射状磁場を発生することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図18は、各リング状基板の配置面が同一平面となるように並べて、図16の磁気回路ユニット2つを使用するときに、隣接する磁気回路からの磁場がどのように影響しているかを示したものである。図17で見たように右側に位置する隣接磁気回路ユニットに近い領域で磁場の向きが右方向に傾いている。これは本来の径方向磁場に右向きの磁場が重ね合わさった結果である。つまり隣接磁気回路ユニットからは右向きの磁場が作用していることになる。図18で説明すると、隣接磁気回路ユニットからは図のような磁力線125が発生しており、その結果、基板上には右向きの磁場ベクトル126が印加される。印加された磁場の大きさは隣接磁気回路ユニットに近いほど大きく、その結果、合計の磁場は隣接磁気回路ユニットに近いほど傾きが大きくなる傾向にある。
【0013】
上記のように隣接磁気回路ユニットの影響は基板上に右向きの磁場を与えることが分かるが、同時に図18の領域Pに示した部分も同じように右向きの磁場を発生していることが、図16の磁力線の様子から分かる。この領域Pによる磁場もまた領域Pに近いほど強く隣接磁気回路ユニットが及ぼす磁場と同様な磁場分布である。当然のことながら左右の基板には全く同じ磁場を与えないと、性能の異なる基板になってしまうので、2つの磁気回路は鏡面対称形になることを基本としている。これらを総合して考えた結果、領域Pと、領域Pと鏡面対称関係にある領域Qの磁力を同じ量だけ弱くすれば、左側の基板において右側に傾いていた磁場を補正して正しい径方向に向かせることができると同時に右側の基板でも鏡面対称の磁場となるため同じように正しく径方向に向かせることができる。正確な径方向磁場を形成するには、磁石をいくつかの領域に分けてそれぞれに異なる磁力を与えることにより、径方向磁場分布が得られると考えた。
【0014】
磁力を下げる方法はいくつか考えられるが、ひとつは磁石体積を減らす方法であり、他には磁力の弱い磁石つまり残留磁化Brの低い磁石を使用することが考えられる。ここでは磁石体積を減らして径方向磁場を得る方法を詳細に示すこととする。
【0015】
本発明の径方向磁場発生用磁気回路の一例を図1に示す。図1では磁気回路を平面的に見たとき、2つの磁気回路ユニットを、各リング状基板の配置面(X−Xを通り、基板の中心軸23と33に垂直な面)が同一平面上となるように組み合わせた磁気回路を示す。基板11と12に径方向磁場を発生させるための一対のリング状永久磁石21(21Aと21B)と一対のリング状永久磁石31(31Aと31B)が各基板を挟むように配置されている。図1では、基板の上方の永久磁石にAを付し、同下方にBを付した。2枚の基板に全く同じ磁場分布を与えるために、リング状永久磁石21と31は、配置面に垂直で各磁気回路ユニットを画定する対称面σ1に対して鏡面対称の形状を有している。また、当然のことながら、基板上で正しく径方向の磁場を発生させるためには、配置面に垂直で対称面σ1に垂直な対称面σ2に対しても磁場は対称になり、リング状永久磁石は対称面σ2に対して鏡面対称の形状となる。また、配置面に対してリング状永久磁石(磁気回路)を対称にすることで配置面と同じ平面に置かれた基板上の磁場は必ず基板面に平行となすことができる。その場合、磁石の磁化方向は、配置面に対して対称となるようにする。
【0016】
2つの磁気回路ユニットを組み合わせる場合、隣り合うリング状永久磁石中心同士の距離は、処理対象となるリング状基板の大きさ、磁石特性により変化するが、1つの磁気回路の外径の3倍以下、外径の長さより大きいことが好ましい。体積変化させる対象物は、隣り合う磁石ユニットの中心同士の距離が外径の3倍以下になるユニットの少なくとも1つを有する領域を調整するものである。
リング状永久磁石21と31の固定具41は、スパッタの場合、リング状永久磁石間から基板へのスパッタ粒子の通りを妨げない態様の非磁性体であれば特に限定されないが、図2に示すように、壁等に固定されたプレート(非磁性)が挙げられる。このプレートは、リング状永久磁石の基板への必要な露出を妨げないように穴部を有し、このプレートの上に磁気回路を設置することができる。図2は二つのリング状永久磁石を示すが、三つ以上のリング状永久磁石については、磁石の個数と対応するように穴部の数を増やせばよい。
リング状基板11と12の固定具51は、基板を磁気回路から遮蔽しない態様の非磁性体であれば特に限定しないが、例えば、図2に示すように、壁等に固定された、基板を挟み込む支持部を有する非磁性の固定具が好ましい。図2は二つのリング状基板を示すが、三つ以上のリング基板については、基板の個数と対応するように支持部数を増やせばよい。基板の取り出しと移動が可能なように、移動支持機能を持たせることが好ましい。
磁気回路ユニットは、独立して、リング状永久磁石固定具と基板固定具を設置できる支持棒をそれぞれ備え、所望の数の磁気回路ユニットの支持棒を用いて繋げることにより、簡易に複数の基板を処理できる磁場回路とすることもできる。
【0017】
また、図1ではリング状永久磁石には領域Aが存在し、領域A以外もセグメント磁石で形成されている。図1は、同じ磁気回路ユニットにおいて領域Aと対向(180o反対)する磁石体積が異なっていることを示す。体積を変化させる領域は1つ以上であればいくつでも構わないが少なくとも、リング状永久磁石のうち、隣り合う磁気回路ユニットに近い部分の磁石の体積を、残りの磁石よりも変化させることが基本である。さらに、図1の領域では磁石高さを減らすことで体積を減らしているが、外径または内径を変えて体積を変えても構わない。
【0018】
また、図3に示すように、隣り合うリング状永久磁石の中心を結ぶ線から±θ(式中、θは0<θ<90度)の角度の範囲の各リング状磁石の体積が、同一リング状永久磁石の180度±θの角度の範囲の同一永久磁石の体積よりも小さくなることが好ましい。リング状永久磁石が二以上のセグメント磁石を組み合わせたものであるとき、例えば、一つのセグメント磁石とリング状磁石の中心を結ぶ扇形の中心角2θとすると、このセグメント磁石の体積が、リング状磁石の中心を回転軸として180度回転した中心角2θの扇形に含まれるセグメント磁石部分の体積よりも小さくなることが好ましい。
なお、各磁気回路ユニットは、各リング状基板の配置面が同一平面となるように組み合わせる。隣り合うとは、前記したように、外径の3倍以下の距離に位置する磁石ユニットで隣り合うことを意味するものであり、好ましくは、回転対称軸を有し、その回転方向で隣り合うことを意味し、その回転軸上にリング基板の配置面を有するときは、これに隣り合う配置はその配置面の中心から放射状に位置する配置面を意味する。
【0019】
図4に示すように、隣り合う磁石の体積変化は、体積のない領域を有する形状、つまりリング状磁石の一部が途切れている形状であっても構わない。また、磁石は、穴を開けたり、スリットを入れた形状にしても構わない。
この磁石のない空隙は、そのままでもよいが、Al、SUS、樹脂等の非磁性または磁性体を挿入しても構わない。さらに、体積変化のある磁石部(凹凸部)に対して、磁気回路としての安定性のためにも、Al、SUS、樹脂などの非磁性体または磁性体を配置させてもよい。
【0020】
本発明のリング状永久磁石の構成は、一体化された磁石またはセグメント磁石(分割された永久磁石片)で構成させればよいが、体積を変化させた一体化磁石は製造上非常に困難なのでそれぞれの体積・特性を変化させたものを用いることが好ましい。セグメント磁石は、各領域の体積をどれだけ減らせば基板上で径方向磁場が得られるかは、磁石の内径・外径・高さや残留磁化の値、また対称に置かれた磁石間の距離等によって異なるので、基板の大きさやリング状永久磁石が配置できる空間などによってリング状永久磁石の内径・外径等を選択する。
体積量の増減については、隣接する磁気回路ユニットの影響を受けない磁石(隣接する磁気回路ユニットから遠く離れた磁石)を基準として、20%以上100%未満でコントロールする。
【0021】
図5と図11は、図1左の基板上に0deg.〜180deg.で示した7つのラインに対応した位置での磁場の傾きを、各ライン上に傾きが一致した場合をゼロ度として示している。横軸のrは、基板上のリングの中心からの径方向の距離を示す。従来の隣り合う磁気回路ユニットに近い部分と遠い部分で磁石体積を変化させない磁石形状の場合は、図5のように7つの評価ライン上の磁場が大きく傾いている。唯一0deg.上の磁場は傾きがゼロであるが、これは磁石が0deg.ラインに対して対称形なためである。一方、磁石体積を変化させた場合は図11のように各ライン上の磁場傾きは、ほぼゼロとなっており正しく径方向を向いていることが分かる。
【0022】
また、特許文献1で示したような基板中心穴への磁石挿入、分割磁石を並べることによるリング形状磁石の構成などは本発明と併用することができる。
【0023】
永久磁石ユニットの磁化方向は、基板に対して垂直に限らず、基板に対して垂直からある程度の傾きを持たせても良い。
磁化方向に傾きがあっても、配置面に対して対称形であれば、配置面では半径方向の磁場のみ発生させることができるためである。磁化方向に傾きを与えることにより径方向磁場の強さを上げることができる場合がある。これは、配置面に形成される磁力線の傾きが、配置面に対してより平行になることに基づく。
図6は、配置面に対して垂直で該配置面とは逆方向の垂直磁化方向を零として、この垂直磁化方向から各磁気回路ユニットの外向きへの磁化方向の傾きをtで示す。傾きtは、特に限定されるものではないが、0≦t<90°または180≦t<270°とすることが好ましく、0≦t≦60°または180≦t<240°とすることがさらに好ましい。
【0024】
本発明では複数の磁気回路ユニットで構成することが望ましく、2個以上の磁気回路ユニットを並列または、磁気回路ユニットが3個以上の場合も同じ考え方(隣接する磁石セグメントの体積を小さくする)で径方向磁場を作ることができる。
図7は、リング状基板の配置面が同一平面となり、平面に垂直な回転対称軸を有するように組み合わせられた4個の磁気回路ユニットを有する磁気回路を示す。上述の磁気回路ユニット2個の場合と同様な考え方から、2個の磁気回路ユニットは、対称面σ1とσ2に対して対称形であり、その磁石を、両対称面が交差する、各基板の中心軸に平行な軸を中心として90度回転して4つの磁石を形成することにより、各基板には同じ磁場分布を形成することができる。
隣り合うリング状永久磁石間の距離は、3個以上の磁気回路ユニットを組み合わせた場合も、2個の磁気回路ユニットを組み合わせた場合と同様である。
図8は、リング状基板の配置面が同一平面となり、平面に垂直な回転対称軸を有するように組み合わせられた3個の磁気回路ユニットを有する磁気回路を示す。図8は、回転対称軸と1個のリング基板の配置面の中心を重ねるように配置させ、残りの2個のリング基板の配置面を回転対称軸のまわりに互い180度回転させた位置に配置させたものを示す。また、図示しないが、3個のリング基板を正三角形の頂点に配置する態様、すなわち、3個のリング基板を回転対称軸のまわりに120度回転させた位置に配置させた態様としてもよい。
図9は、リング状基板の配置面が同一平面となり、4個の磁気回路ユニットを有する磁気回路を示す。図9は、図7と異なり、4個のリング基板を回転対称軸のまわりに90度回転させた位置に配置させたものではなく、楕円を描くように4個を90度ごと配置したものである。リング基板の配置面は、磁石を減らす量を調節できれば規則的に配置する必要はないが、規則的に配置するほうが径方向磁場発生用磁気回路全体をコンパクトにすることができる。また、磁気回路ユニット間の各空隙も同一となるように規則的に配置すれば、磁石量の調整も容易となり好ましい。
図10は、リング状基板の配置面が同一平面となり、平面に垂直な回転対称軸を有するように組み合わせられた7個の磁気回路ユニットを有する磁気回路を示す。図10は、回転対称軸と1個のリング基板の配置面の中心を重ねるように配置させ、残りの6個のリング基板の配置面を回転対称軸のまわりに60度回転させた位置に配置させたものを示す。
【0025】
本発明の磁気回路に用いるリング状永久磁石については、特に限定するものではなく、永久磁石例えば、Nd系、Sm系の希土類磁石、アルニコ系磁石、フェライト系磁石のいずれの磁石であっても好ましい。
リング状永久磁石の外径は、処理対象となるリング状基板の外径よりも大きいものを用い、それぞれのリングの中心軸が同一となるように設置される。
【0026】
磁気回路で磁場を形成させるリング状基板は、ガラス系、Al系、Si系等のいずれの基板でもよい。本発明にいうリング状基板は、図面で特定されている場合以外は、基板自体、または基板上に軟磁性もしくは硬磁性の薄膜を形成させる表面処理を施したものを意味する。
基板自体を磁気回路内に配置して、スパッタ装置等と併用して周方向には実質的に磁場を発生させず、径方向に磁場を発生させることで、基板上に磁性材料の薄膜の形成処理または加工処理を好適に行うことができる。また、軟磁性もしくは硬磁石の薄膜を形成させた基板を磁気回路内に配置して磁場を発生させることができる。さらに、該磁気回路内で熱処理する場合にも同様で磁気回路内で基板に好ましくは100〜500℃の熱をかけることができる。
このようにして得られた薄膜を有する基板は磁気記録媒体に応用することができるものである。
【実施例】
【0027】
以下、本発明を実施例に基づき説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
図1に示したような基板2枚に径方向磁場を発生する磁気回路を用いた。永久磁石は、Nd−Fe−B系焼結磁石(信越化学社製N32Z、Br=1.12T、Hcj=2480kA/m)を使用した。各磁石の寸法は、内径38mm、外径46mm、高さ8mmであった。2つ磁気回路の中心間距離は48mmであり、磁石の磁化方向は基板面に対して垂直とした。また、隣接磁気回路に近い領域(2θ:内角60°)の磁石高さを3mm、4mm、5mmとした。なお、隣接領域の磁石は、隣接領域に対向する磁石(2θ:内角60°、高さ8mm)とは対称位置に配置されていた。
このときの、図1で示した基板の7つのライン上の磁場の傾き(ガウスメータ測定)を図11(磁石高さ4mm)、図12(磁石高さ3mm)、図13(磁石高さ5mm)に示した。図11〜13は、外径21.6mm、内径6mmのSiリング状基板を用い、横軸を基板中心からの距離、縦軸を径方向からの周方向への傾き角としている。図11から分かるように、磁石高さ4mmのとき、基板上では径方向からの周方向への傾き角が2度以下に抑えられており、本発明の効果が示されている。なお、径方向からの傾き角は、リング状基板平面における径方向からの周方向への傾き角と、リング状基板平面から上下方向における径方向からの軸方向への傾き角に分離することができる。本発明によれば、基板全体に径方向に向いた放射状磁場を発生させることができ、径方向からの周方向への傾き角と、径方向からの軸方向への傾き角のいずれの角度も、好ましくは20度以下、より好ましくは10度以下、更に好ましくは5度以下、特に好ましくは2度以下であり、できるだけ零度に近づけることがよい。
【0028】
実施例2
基板4枚配置のケースを示す。内径38mm、外径44mm、高さ8mmのNd−Fe−B系焼結磁石(前出)を用いて図7のように磁気回路を配置し、磁気回路中心間距離を48mm、磁石の磁化方向は基板面に対して垂直とした。そして隣接磁気回路に近い部分の磁石高さを4mmとした。このとき基板面上に発生する磁場は、図12のようになり、径方向から周方向への傾き角をかなり小さく抑えられることが分かった。
【0029】
このように、本発明の磁気回路では、複数の基板全域においても径方向に向いた磁場を発生することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の磁気回路の一例を示す断面図であり、後段は前段のX−X方向の断面図を示す。
【図2】本発明の磁気回路の一例を示す断面図であり、後段は前段のX−X方向の断面図を示す。
【図3】隣り合うリング状永久磁石の中心を結ぶ線から±θの角度の範囲の永久磁石と、同一リング状永久磁石の180度±θの角度の範囲の永久磁石を示す。
【図4】切り欠き部を有するリング状永久磁石ユニットを用いた磁気回路を示す。
【図5】従来の磁石体積を変化させない磁石形状の場合の7つの評価ライン上の磁場の傾き角を示す。
【図6】傾き角tを示した磁気回路を示す。
【図7】4個の磁気回路ユニットを有する磁気回路を示す。
【図8】3個の磁気回路ユニットを有する磁気回路を示す。
【図9】4個の磁気回路ユニットを有する磁気回路を示す。
【図10】7個の磁気回路ユニットを有する磁気回路を示す。
【図11】実施例1で得られた磁気回路を用いて、磁石の高さ4mmのときの基板中心からの距離と径方向からの傾き角との関係を示す。
【図12】実施例1で得られた磁気回路を用いて、磁石の高さ3mmのときの基板中心からの距離と径方向からの傾き角との関係を示す。
【図13】実施例1で得られた磁気回路を用いて、磁石の高さ5mmのときの基板中心からの距離と径方向からの傾き角との関係を示す。
【図14】実施例2で得られた磁気回路を用いて基板中心からの距離と径方向からの傾き角との関係を示す。
【図15】記録媒体の断面図である。
【図16】基板に径方向磁場を印加する公知の方法を示す。
【図17】公知の磁気回路を2つ並べて使用したときに、基板上の磁場が正しく径方向に向かなくなることを示す図である。
【図18】隣接する磁気回路からの磁場の影響を示す図である。
【符号の説明】
【0031】
11,12,111 リング状基板
21A,21B,31A,31B,121 リング状永久磁石
23,33 中心軸
24 磁化方向
41 固定具
51 固定具
125 磁力線
126 磁場ベクトル
110 磁気媒体
112 硬磁性膜(下地膜)
113 軟磁性膜(下地膜)
114 硬磁性膜(記録膜)
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気ディスク装置の製造に関して、基板の成膜工程や熱処理工程などにおいて必要な径方向磁場を発生させる磁気回路を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
磁気ディスク装置における情報記録として、記録媒体のトラックに対して水平方向に磁化する水平磁気記録方式が広く用いられている。この方式では記録膜に対して水平方向に磁化された微小磁石が隣接する微小磁石との間で互いに反磁界を及ぼす関係にあるため、記録密度が上がり微小磁石が小さくなるにつれて磁化が減磁したり消磁する現象が起きて、記録信号が読み出せなくなる。このような水平記録方式の高密度記録の限界を解決する方法として、垂直記録方式が提案されている。垂直記録方式の記録媒体は、例えば高透磁率の軟磁性膜上に垂直方向に磁化した記録用の硬磁性膜を積層した2層構造のものである。この高透磁率の軟磁性膜は、信号記録時に磁気ヘッドからの記録磁界を水平方向に通して磁気ヘッド側に還流させる磁気回路としての機能を担い、記録磁界の強度を強めて記録・再生の効率を向上させる役割を果たしているため、より高透磁率であることが望まれる。また、記録媒体や磁気ヘッドの周囲に浮遊磁界が存在すると、その浮遊磁界が磁気ヘッドの磁極部に集中されて、その集中磁界によって軟磁性膜の磁壁が移動して再生出力や記録磁化が変化することがあった。
【0003】
この問題を解決する方法の一つとして、軟磁性膜の形成された基板に対して周方向または径方向の磁気異方性を与えることが提案されている。磁気異方性をもつ軟磁性膜は透磁率が向上して記録書き込み時の磁気効率が良くなる。さらに、この磁気異方性を与えるための磁場発生源として図15のように基板111と軟磁性膜(下地膜)113の間に硬磁性膜(下地膜)112を成膜した3層膜構造等の上に硬磁性膜(記録膜)114を設けた記録媒体110が提案されている。この下地膜としての硬磁性膜112は径方向に磁化されており、軟磁性膜113には常に径方向の磁界が印加される事になるため、前記の浮遊磁界による磁壁の移動が抑制され、再生出力の変化や記録磁化の消磁などの問題を解決することができる。
【0004】
この他にも種々の問題を解決するためにさらなる多層構造の媒体構成を持つ方法が採用されたり、また水平記録方式においても高密度化における前記問題を解決するための多層構造が提案されているが、これら多層膜では基板に対して周方向や径方向に一様に磁化させる工程が必要な場合が増えている。
【0005】
以上のように、磁気ディスクの媒体基板の製造工程において、軟磁性膜や硬磁性膜に周方向または径方向の磁場を印加して成膜することの有効性や、成膜後の熱処理工程中に前記方向の磁場を基板に与えることの有効性が提案されている。基板への成膜は主にスパッタリング法やめっき法で行われるが、それぞれに適した磁場発生用磁気回路が必要である。
【0006】
基板に対して径方向や周方向に磁場を与える場合、これらの磁場方向が基板面と平行にならなければならない。基板面に対して印加磁場の方向が傾いていると、硬磁性膜の磁化方向が同様に傾き、また軟磁性膜の磁気異方性の方向も一様でなくなるため、高密度な記録・再生を実現する上で不利となる。
【0007】
この課題を解決し基板に径方向磁場を印加する方法は、特許文献1に提案されている。図16に示すように、リング状基板111を含む平面を配置面(X−Xを通り、基板の中心軸123に垂直な面)とし、この配置面に対して対称な位置に対称な形状である一対のリング状永久磁石121を設置する。各リング状永久磁石121の中心は、リング状基板の中心軸123上にくるように配置されている。各リング状永久磁石の磁化方向124は配置面に対して垂直で、配置面に対して対称となっている。このように永久磁石を配置にすると、永久磁石は、全体として磁力線125で模式的に示す磁場を形成し、磁力線125は配置面上では放射状、すなわち径方向に向く。さらに磁石が基板に対して対称な位置にあるため、基板上での磁力線の向きが完全に基板に対して平行となる。
しかしながら、この方法では基板1枚での処理には対応できるが、複数枚の基板を処理するには問題が生じる。例えば2枚の基板を同時に処理する場合、特許文献1で示した磁気回路の2つを各リング状基板の配置面が同一平面となるように並べて使用すると一方の磁気回路による磁場が他方の基板にまで及ぶために図17のように基板上の磁場が正しく径方向に向かなくなってしまう。図17から分かるように隣接する磁気回路に近い領域において磁場の向きが径方向から大きく外れている。
【0008】
最近では、1インチもしくはそれ以下の直径の小口径基板が用いられるようになり、その数はますます増えると予想される。一方でこれらの小口径基板にはコストダウンと量産性アップが切望されており、そのためにも一度に複数枚の基板を処理できることが必要となってきている。
【特許文献1】特開2005−209326号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
磁気ディスクの媒体基板の製造工程において、複数の基板を同時に処理する場合に、円形基板上に形成される軟磁性膜および硬磁性膜に印加する磁場の向きが、基板の径方向かつ基板面に対して平行となる磁場発生源としての磁気回路及び該磁気回路を用いることによって得られた磁気記録媒体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、処理対象となるリング状基板の配置面の両側に設けられた一対のリング状永久磁石を備えてなる磁気回路ユニットで、該リング状基板が配置された際に該配置面において該リング状基板の径方向に磁場を発生させる磁気回路ユニットを少なくとも二つ、全ての磁気回路ユニットのリング状基板の配置面が同一平面となるように組み合わせてなり、上記一対のリング状永久磁石が、隣り合う磁気回路ユニットに近い部分と遠い部分で異なる体積を持つ形状である径方向磁場発生用磁気回路を提供する。
リング状永久磁石は、一体化されている磁石を用いてもよいが、好ましくは、二以上のセグメント磁石を組み合わせたものであり、隣り合う磁気回路ユニットに近いセグメント磁石は、他のセグメント磁石よりも小さい体積を持つ。また、リング状永久磁石は、好ましくは、隣り合う磁気回路ユニットに近い部分で小さく、遠い部分で大きくなる形状である。リング状永久磁石は、好ましくは、隣り合う磁気回路ユニットに最も近い部分に空隙を有する形状でもよい。一対のリング状永久磁石は、好ましくは、リング状基板の配置面に対して互いに対称な位置に設けられ、配置面に対して対称な形状と磁化方向を有しているとよい。リング状永久磁石は、リング状基板の配置面に対して垂直な磁化方向を有するか、または配置面に対して垂直な方向から傾きを持つ磁化方向を有してよい。
また、本発明は、処理対象となるリング状基板の配置面の外側に設けられた一対のリング状永久磁石を備えてなる磁気回路ユニットで、該リング状基板が配置された際に該配置面において該リング状基板の径方向に磁場を発生させる磁気回路ユニットを少なくとも二つ、全ての磁気回路ユニットのリング状基板の配置面が同一平面となるように組み合わせてなり、隣り合う磁気回路ユニットの隣り合うリング状永久磁石の中心同士を結ぶ線から±θ(式中、θは0<θ<90度)の角度の範囲の各リング状磁石の体積が、同一リング状永久磁石の180度±θの角度の範囲の同一永久磁石の体積よりも小さくなる径方向磁場発生用磁気回路を提供する。
本発明は、この径方向磁場発生用磁気回路を用いて得られた磁気記録媒体も提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、磁気ディスク装置の製造に関して、複数の基板の同時成膜工程や同時熱処理工程などにおいて必要な径方向磁場を発生させる磁気回路を提供するものであり、基板全体に径方向に向いた放射状磁場を発生することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図18は、各リング状基板の配置面が同一平面となるように並べて、図16の磁気回路ユニット2つを使用するときに、隣接する磁気回路からの磁場がどのように影響しているかを示したものである。図17で見たように右側に位置する隣接磁気回路ユニットに近い領域で磁場の向きが右方向に傾いている。これは本来の径方向磁場に右向きの磁場が重ね合わさった結果である。つまり隣接磁気回路ユニットからは右向きの磁場が作用していることになる。図18で説明すると、隣接磁気回路ユニットからは図のような磁力線125が発生しており、その結果、基板上には右向きの磁場ベクトル126が印加される。印加された磁場の大きさは隣接磁気回路ユニットに近いほど大きく、その結果、合計の磁場は隣接磁気回路ユニットに近いほど傾きが大きくなる傾向にある。
【0013】
上記のように隣接磁気回路ユニットの影響は基板上に右向きの磁場を与えることが分かるが、同時に図18の領域Pに示した部分も同じように右向きの磁場を発生していることが、図16の磁力線の様子から分かる。この領域Pによる磁場もまた領域Pに近いほど強く隣接磁気回路ユニットが及ぼす磁場と同様な磁場分布である。当然のことながら左右の基板には全く同じ磁場を与えないと、性能の異なる基板になってしまうので、2つの磁気回路は鏡面対称形になることを基本としている。これらを総合して考えた結果、領域Pと、領域Pと鏡面対称関係にある領域Qの磁力を同じ量だけ弱くすれば、左側の基板において右側に傾いていた磁場を補正して正しい径方向に向かせることができると同時に右側の基板でも鏡面対称の磁場となるため同じように正しく径方向に向かせることができる。正確な径方向磁場を形成するには、磁石をいくつかの領域に分けてそれぞれに異なる磁力を与えることにより、径方向磁場分布が得られると考えた。
【0014】
磁力を下げる方法はいくつか考えられるが、ひとつは磁石体積を減らす方法であり、他には磁力の弱い磁石つまり残留磁化Brの低い磁石を使用することが考えられる。ここでは磁石体積を減らして径方向磁場を得る方法を詳細に示すこととする。
【0015】
本発明の径方向磁場発生用磁気回路の一例を図1に示す。図1では磁気回路を平面的に見たとき、2つの磁気回路ユニットを、各リング状基板の配置面(X−Xを通り、基板の中心軸23と33に垂直な面)が同一平面上となるように組み合わせた磁気回路を示す。基板11と12に径方向磁場を発生させるための一対のリング状永久磁石21(21Aと21B)と一対のリング状永久磁石31(31Aと31B)が各基板を挟むように配置されている。図1では、基板の上方の永久磁石にAを付し、同下方にBを付した。2枚の基板に全く同じ磁場分布を与えるために、リング状永久磁石21と31は、配置面に垂直で各磁気回路ユニットを画定する対称面σ1に対して鏡面対称の形状を有している。また、当然のことながら、基板上で正しく径方向の磁場を発生させるためには、配置面に垂直で対称面σ1に垂直な対称面σ2に対しても磁場は対称になり、リング状永久磁石は対称面σ2に対して鏡面対称の形状となる。また、配置面に対してリング状永久磁石(磁気回路)を対称にすることで配置面と同じ平面に置かれた基板上の磁場は必ず基板面に平行となすことができる。その場合、磁石の磁化方向は、配置面に対して対称となるようにする。
【0016】
2つの磁気回路ユニットを組み合わせる場合、隣り合うリング状永久磁石中心同士の距離は、処理対象となるリング状基板の大きさ、磁石特性により変化するが、1つの磁気回路の外径の3倍以下、外径の長さより大きいことが好ましい。体積変化させる対象物は、隣り合う磁石ユニットの中心同士の距離が外径の3倍以下になるユニットの少なくとも1つを有する領域を調整するものである。
リング状永久磁石21と31の固定具41は、スパッタの場合、リング状永久磁石間から基板へのスパッタ粒子の通りを妨げない態様の非磁性体であれば特に限定されないが、図2に示すように、壁等に固定されたプレート(非磁性)が挙げられる。このプレートは、リング状永久磁石の基板への必要な露出を妨げないように穴部を有し、このプレートの上に磁気回路を設置することができる。図2は二つのリング状永久磁石を示すが、三つ以上のリング状永久磁石については、磁石の個数と対応するように穴部の数を増やせばよい。
リング状基板11と12の固定具51は、基板を磁気回路から遮蔽しない態様の非磁性体であれば特に限定しないが、例えば、図2に示すように、壁等に固定された、基板を挟み込む支持部を有する非磁性の固定具が好ましい。図2は二つのリング状基板を示すが、三つ以上のリング基板については、基板の個数と対応するように支持部数を増やせばよい。基板の取り出しと移動が可能なように、移動支持機能を持たせることが好ましい。
磁気回路ユニットは、独立して、リング状永久磁石固定具と基板固定具を設置できる支持棒をそれぞれ備え、所望の数の磁気回路ユニットの支持棒を用いて繋げることにより、簡易に複数の基板を処理できる磁場回路とすることもできる。
【0017】
また、図1ではリング状永久磁石には領域Aが存在し、領域A以外もセグメント磁石で形成されている。図1は、同じ磁気回路ユニットにおいて領域Aと対向(180o反対)する磁石体積が異なっていることを示す。体積を変化させる領域は1つ以上であればいくつでも構わないが少なくとも、リング状永久磁石のうち、隣り合う磁気回路ユニットに近い部分の磁石の体積を、残りの磁石よりも変化させることが基本である。さらに、図1の領域では磁石高さを減らすことで体積を減らしているが、外径または内径を変えて体積を変えても構わない。
【0018】
また、図3に示すように、隣り合うリング状永久磁石の中心を結ぶ線から±θ(式中、θは0<θ<90度)の角度の範囲の各リング状磁石の体積が、同一リング状永久磁石の180度±θの角度の範囲の同一永久磁石の体積よりも小さくなることが好ましい。リング状永久磁石が二以上のセグメント磁石を組み合わせたものであるとき、例えば、一つのセグメント磁石とリング状磁石の中心を結ぶ扇形の中心角2θとすると、このセグメント磁石の体積が、リング状磁石の中心を回転軸として180度回転した中心角2θの扇形に含まれるセグメント磁石部分の体積よりも小さくなることが好ましい。
なお、各磁気回路ユニットは、各リング状基板の配置面が同一平面となるように組み合わせる。隣り合うとは、前記したように、外径の3倍以下の距離に位置する磁石ユニットで隣り合うことを意味するものであり、好ましくは、回転対称軸を有し、その回転方向で隣り合うことを意味し、その回転軸上にリング基板の配置面を有するときは、これに隣り合う配置はその配置面の中心から放射状に位置する配置面を意味する。
【0019】
図4に示すように、隣り合う磁石の体積変化は、体積のない領域を有する形状、つまりリング状磁石の一部が途切れている形状であっても構わない。また、磁石は、穴を開けたり、スリットを入れた形状にしても構わない。
この磁石のない空隙は、そのままでもよいが、Al、SUS、樹脂等の非磁性または磁性体を挿入しても構わない。さらに、体積変化のある磁石部(凹凸部)に対して、磁気回路としての安定性のためにも、Al、SUS、樹脂などの非磁性体または磁性体を配置させてもよい。
【0020】
本発明のリング状永久磁石の構成は、一体化された磁石またはセグメント磁石(分割された永久磁石片)で構成させればよいが、体積を変化させた一体化磁石は製造上非常に困難なのでそれぞれの体積・特性を変化させたものを用いることが好ましい。セグメント磁石は、各領域の体積をどれだけ減らせば基板上で径方向磁場が得られるかは、磁石の内径・外径・高さや残留磁化の値、また対称に置かれた磁石間の距離等によって異なるので、基板の大きさやリング状永久磁石が配置できる空間などによってリング状永久磁石の内径・外径等を選択する。
体積量の増減については、隣接する磁気回路ユニットの影響を受けない磁石(隣接する磁気回路ユニットから遠く離れた磁石)を基準として、20%以上100%未満でコントロールする。
【0021】
図5と図11は、図1左の基板上に0deg.〜180deg.で示した7つのラインに対応した位置での磁場の傾きを、各ライン上に傾きが一致した場合をゼロ度として示している。横軸のrは、基板上のリングの中心からの径方向の距離を示す。従来の隣り合う磁気回路ユニットに近い部分と遠い部分で磁石体積を変化させない磁石形状の場合は、図5のように7つの評価ライン上の磁場が大きく傾いている。唯一0deg.上の磁場は傾きがゼロであるが、これは磁石が0deg.ラインに対して対称形なためである。一方、磁石体積を変化させた場合は図11のように各ライン上の磁場傾きは、ほぼゼロとなっており正しく径方向を向いていることが分かる。
【0022】
また、特許文献1で示したような基板中心穴への磁石挿入、分割磁石を並べることによるリング形状磁石の構成などは本発明と併用することができる。
【0023】
永久磁石ユニットの磁化方向は、基板に対して垂直に限らず、基板に対して垂直からある程度の傾きを持たせても良い。
磁化方向に傾きがあっても、配置面に対して対称形であれば、配置面では半径方向の磁場のみ発生させることができるためである。磁化方向に傾きを与えることにより径方向磁場の強さを上げることができる場合がある。これは、配置面に形成される磁力線の傾きが、配置面に対してより平行になることに基づく。
図6は、配置面に対して垂直で該配置面とは逆方向の垂直磁化方向を零として、この垂直磁化方向から各磁気回路ユニットの外向きへの磁化方向の傾きをtで示す。傾きtは、特に限定されるものではないが、0≦t<90°または180≦t<270°とすることが好ましく、0≦t≦60°または180≦t<240°とすることがさらに好ましい。
【0024】
本発明では複数の磁気回路ユニットで構成することが望ましく、2個以上の磁気回路ユニットを並列または、磁気回路ユニットが3個以上の場合も同じ考え方(隣接する磁石セグメントの体積を小さくする)で径方向磁場を作ることができる。
図7は、リング状基板の配置面が同一平面となり、平面に垂直な回転対称軸を有するように組み合わせられた4個の磁気回路ユニットを有する磁気回路を示す。上述の磁気回路ユニット2個の場合と同様な考え方から、2個の磁気回路ユニットは、対称面σ1とσ2に対して対称形であり、その磁石を、両対称面が交差する、各基板の中心軸に平行な軸を中心として90度回転して4つの磁石を形成することにより、各基板には同じ磁場分布を形成することができる。
隣り合うリング状永久磁石間の距離は、3個以上の磁気回路ユニットを組み合わせた場合も、2個の磁気回路ユニットを組み合わせた場合と同様である。
図8は、リング状基板の配置面が同一平面となり、平面に垂直な回転対称軸を有するように組み合わせられた3個の磁気回路ユニットを有する磁気回路を示す。図8は、回転対称軸と1個のリング基板の配置面の中心を重ねるように配置させ、残りの2個のリング基板の配置面を回転対称軸のまわりに互い180度回転させた位置に配置させたものを示す。また、図示しないが、3個のリング基板を正三角形の頂点に配置する態様、すなわち、3個のリング基板を回転対称軸のまわりに120度回転させた位置に配置させた態様としてもよい。
図9は、リング状基板の配置面が同一平面となり、4個の磁気回路ユニットを有する磁気回路を示す。図9は、図7と異なり、4個のリング基板を回転対称軸のまわりに90度回転させた位置に配置させたものではなく、楕円を描くように4個を90度ごと配置したものである。リング基板の配置面は、磁石を減らす量を調節できれば規則的に配置する必要はないが、規則的に配置するほうが径方向磁場発生用磁気回路全体をコンパクトにすることができる。また、磁気回路ユニット間の各空隙も同一となるように規則的に配置すれば、磁石量の調整も容易となり好ましい。
図10は、リング状基板の配置面が同一平面となり、平面に垂直な回転対称軸を有するように組み合わせられた7個の磁気回路ユニットを有する磁気回路を示す。図10は、回転対称軸と1個のリング基板の配置面の中心を重ねるように配置させ、残りの6個のリング基板の配置面を回転対称軸のまわりに60度回転させた位置に配置させたものを示す。
【0025】
本発明の磁気回路に用いるリング状永久磁石については、特に限定するものではなく、永久磁石例えば、Nd系、Sm系の希土類磁石、アルニコ系磁石、フェライト系磁石のいずれの磁石であっても好ましい。
リング状永久磁石の外径は、処理対象となるリング状基板の外径よりも大きいものを用い、それぞれのリングの中心軸が同一となるように設置される。
【0026】
磁気回路で磁場を形成させるリング状基板は、ガラス系、Al系、Si系等のいずれの基板でもよい。本発明にいうリング状基板は、図面で特定されている場合以外は、基板自体、または基板上に軟磁性もしくは硬磁性の薄膜を形成させる表面処理を施したものを意味する。
基板自体を磁気回路内に配置して、スパッタ装置等と併用して周方向には実質的に磁場を発生させず、径方向に磁場を発生させることで、基板上に磁性材料の薄膜の形成処理または加工処理を好適に行うことができる。また、軟磁性もしくは硬磁石の薄膜を形成させた基板を磁気回路内に配置して磁場を発生させることができる。さらに、該磁気回路内で熱処理する場合にも同様で磁気回路内で基板に好ましくは100〜500℃の熱をかけることができる。
このようにして得られた薄膜を有する基板は磁気記録媒体に応用することができるものである。
【実施例】
【0027】
以下、本発明を実施例に基づき説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
図1に示したような基板2枚に径方向磁場を発生する磁気回路を用いた。永久磁石は、Nd−Fe−B系焼結磁石(信越化学社製N32Z、Br=1.12T、Hcj=2480kA/m)を使用した。各磁石の寸法は、内径38mm、外径46mm、高さ8mmであった。2つ磁気回路の中心間距離は48mmであり、磁石の磁化方向は基板面に対して垂直とした。また、隣接磁気回路に近い領域(2θ:内角60°)の磁石高さを3mm、4mm、5mmとした。なお、隣接領域の磁石は、隣接領域に対向する磁石(2θ:内角60°、高さ8mm)とは対称位置に配置されていた。
このときの、図1で示した基板の7つのライン上の磁場の傾き(ガウスメータ測定)を図11(磁石高さ4mm)、図12(磁石高さ3mm)、図13(磁石高さ5mm)に示した。図11〜13は、外径21.6mm、内径6mmのSiリング状基板を用い、横軸を基板中心からの距離、縦軸を径方向からの周方向への傾き角としている。図11から分かるように、磁石高さ4mmのとき、基板上では径方向からの周方向への傾き角が2度以下に抑えられており、本発明の効果が示されている。なお、径方向からの傾き角は、リング状基板平面における径方向からの周方向への傾き角と、リング状基板平面から上下方向における径方向からの軸方向への傾き角に分離することができる。本発明によれば、基板全体に径方向に向いた放射状磁場を発生させることができ、径方向からの周方向への傾き角と、径方向からの軸方向への傾き角のいずれの角度も、好ましくは20度以下、より好ましくは10度以下、更に好ましくは5度以下、特に好ましくは2度以下であり、できるだけ零度に近づけることがよい。
【0028】
実施例2
基板4枚配置のケースを示す。内径38mm、外径44mm、高さ8mmのNd−Fe−B系焼結磁石(前出)を用いて図7のように磁気回路を配置し、磁気回路中心間距離を48mm、磁石の磁化方向は基板面に対して垂直とした。そして隣接磁気回路に近い部分の磁石高さを4mmとした。このとき基板面上に発生する磁場は、図12のようになり、径方向から周方向への傾き角をかなり小さく抑えられることが分かった。
【0029】
このように、本発明の磁気回路では、複数の基板全域においても径方向に向いた磁場を発生することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の磁気回路の一例を示す断面図であり、後段は前段のX−X方向の断面図を示す。
【図2】本発明の磁気回路の一例を示す断面図であり、後段は前段のX−X方向の断面図を示す。
【図3】隣り合うリング状永久磁石の中心を結ぶ線から±θの角度の範囲の永久磁石と、同一リング状永久磁石の180度±θの角度の範囲の永久磁石を示す。
【図4】切り欠き部を有するリング状永久磁石ユニットを用いた磁気回路を示す。
【図5】従来の磁石体積を変化させない磁石形状の場合の7つの評価ライン上の磁場の傾き角を示す。
【図6】傾き角tを示した磁気回路を示す。
【図7】4個の磁気回路ユニットを有する磁気回路を示す。
【図8】3個の磁気回路ユニットを有する磁気回路を示す。
【図9】4個の磁気回路ユニットを有する磁気回路を示す。
【図10】7個の磁気回路ユニットを有する磁気回路を示す。
【図11】実施例1で得られた磁気回路を用いて、磁石の高さ4mmのときの基板中心からの距離と径方向からの傾き角との関係を示す。
【図12】実施例1で得られた磁気回路を用いて、磁石の高さ3mmのときの基板中心からの距離と径方向からの傾き角との関係を示す。
【図13】実施例1で得られた磁気回路を用いて、磁石の高さ5mmのときの基板中心からの距離と径方向からの傾き角との関係を示す。
【図14】実施例2で得られた磁気回路を用いて基板中心からの距離と径方向からの傾き角との関係を示す。
【図15】記録媒体の断面図である。
【図16】基板に径方向磁場を印加する公知の方法を示す。
【図17】公知の磁気回路を2つ並べて使用したときに、基板上の磁場が正しく径方向に向かなくなることを示す図である。
【図18】隣接する磁気回路からの磁場の影響を示す図である。
【符号の説明】
【0031】
11,12,111 リング状基板
21A,21B,31A,31B,121 リング状永久磁石
23,33 中心軸
24 磁化方向
41 固定具
51 固定具
125 磁力線
126 磁場ベクトル
110 磁気媒体
112 硬磁性膜(下地膜)
113 軟磁性膜(下地膜)
114 硬磁性膜(記録膜)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象となるリング状基板の配置面の両側に設けられた一対のリング状永久磁石を備え、該リング状基板が配置された際に該配置面において該リング状基板の径方向に磁場を発生させる磁気回路ユニットを少なくとも二つ、全ての磁気回路ユニットのリング状基板の配置面が同一平面となるように組み合わせてなり、上記一対のリング状永久磁石が、隣り合う磁気回路ユニットに近い部分と遠い部分で異なる体積を持つ形状である径方向磁場発生用磁気回路。
【請求項2】
上記リング状永久磁石が、二以上のセグメント磁石を組み合わせたものであり、上記隣り合う磁気回路ユニットに近いセグメント磁石は、他のセグメント磁石よりも小さい体積を持つ請求項1に記載の径方向磁場発生用磁気回路。
【請求項3】
上記リング状永久磁石が、上記隣り合う磁気回路ユニットに近い部分で小さく、遠い部分で大きくなる形状である請求項1又は請求項2に記載の径方向磁場発生用磁気回路。
【請求項4】
上記リング状永久磁石が、上記隣り合う磁気回路ユニットに最も近い部分に空隙を有する形状である請求項1〜3のいずれかに記載の径方向磁場発生用磁気回路。
【請求項5】
上記一対のリング状永久磁石が、上記リング状基板の配置面に対して互いに対称な位置に設けられ、該配置面に対して対称な形状と磁化方向を有する請求項1〜4のいずれかに記載の径方向磁場発生用磁気回路。
【請求項6】
上記リング状永久磁石が、上記リング状基板の配置面に対して垂直な磁化方向を有するか、または該配置面に対して垂直な方向から傾きを持つ磁化方向を有する請求項5に記載の径方向磁場発生用磁気回路。
【請求項7】
処理対象となるリング状基板の配置面の両側に設けられた一対のリング状永久磁石を備え、該リング状基板が配置された際に該配置面において該リング状基板の径方向に磁場を発生させる磁気回路ユニットを少なくとも二つ、全ての磁気回路ユニットのリング状基板の配置面が同一平面となるように組み合わせてなり、隣り合う磁気回路ユニットの隣り合うリング状永久磁石の中心同士を結ぶ線から±θ(式中、θは0<θ<90度)の角度の範囲の各リング状磁石の体積が、同一リング状永久磁石の180度±θの角度の範囲の同一永久磁石の体積よりも小さくなる径方向磁場発生用磁気回路。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の径方向磁場発生用磁気回路を用いて得られた磁気記録媒体。
【請求項1】
処理対象となるリング状基板の配置面の両側に設けられた一対のリング状永久磁石を備え、該リング状基板が配置された際に該配置面において該リング状基板の径方向に磁場を発生させる磁気回路ユニットを少なくとも二つ、全ての磁気回路ユニットのリング状基板の配置面が同一平面となるように組み合わせてなり、上記一対のリング状永久磁石が、隣り合う磁気回路ユニットに近い部分と遠い部分で異なる体積を持つ形状である径方向磁場発生用磁気回路。
【請求項2】
上記リング状永久磁石が、二以上のセグメント磁石を組み合わせたものであり、上記隣り合う磁気回路ユニットに近いセグメント磁石は、他のセグメント磁石よりも小さい体積を持つ請求項1に記載の径方向磁場発生用磁気回路。
【請求項3】
上記リング状永久磁石が、上記隣り合う磁気回路ユニットに近い部分で小さく、遠い部分で大きくなる形状である請求項1又は請求項2に記載の径方向磁場発生用磁気回路。
【請求項4】
上記リング状永久磁石が、上記隣り合う磁気回路ユニットに最も近い部分に空隙を有する形状である請求項1〜3のいずれかに記載の径方向磁場発生用磁気回路。
【請求項5】
上記一対のリング状永久磁石が、上記リング状基板の配置面に対して互いに対称な位置に設けられ、該配置面に対して対称な形状と磁化方向を有する請求項1〜4のいずれかに記載の径方向磁場発生用磁気回路。
【請求項6】
上記リング状永久磁石が、上記リング状基板の配置面に対して垂直な磁化方向を有するか、または該配置面に対して垂直な方向から傾きを持つ磁化方向を有する請求項5に記載の径方向磁場発生用磁気回路。
【請求項7】
処理対象となるリング状基板の配置面の両側に設けられた一対のリング状永久磁石を備え、該リング状基板が配置された際に該配置面において該リング状基板の径方向に磁場を発生させる磁気回路ユニットを少なくとも二つ、全ての磁気回路ユニットのリング状基板の配置面が同一平面となるように組み合わせてなり、隣り合う磁気回路ユニットの隣り合うリング状永久磁石の中心同士を結ぶ線から±θ(式中、θは0<θ<90度)の角度の範囲の各リング状磁石の体積が、同一リング状永久磁石の180度±θの角度の範囲の同一永久磁石の体積よりも小さくなる径方向磁場発生用磁気回路。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の径方向磁場発生用磁気回路を用いて得られた磁気記録媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2008−10540(P2008−10540A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−177812(P2006−177812)
【出願日】平成18年6月28日(2006.6.28)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月28日(2006.6.28)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]