説明

待機電力遮断部付コンセント及び待機電力遮断スイッチ

【課題】電力における省エネルギーにおいて、その効果を大きくするために、部屋や建物の単位で不使用時の電気機器の待機電力まとめて遮断するとともに、それが行動として容易にできやすい環境にすることにより、節電の習慣化を促進する。
【解決手段】本発明は配電盤からコンセントまでの間にスイッチを設けたコンセント部を、通常のコンセントに組み合わせ、一体化させることにより簡素で違和感のない構造とし、配電盤とコンセントまでの間にスイッチを設けた電気回路でコンセント部に差し込んだ電気機器について部屋や建物などの空間単位で不使用時に待機電力をまとめて遮断し節電することを主要な特徴とする待機電力省エネルギー用スイッチ付きコンセント。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人の行動する空間の単位で不必要な電気機器の配線を遮断して、それにより待機電力を低減することにより省エネルギーに寄与する電気回路を構成する待機電力遮断部付コンセント及びそのスイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、待機電力を低減するための装置や配線に関して、コンセント自体に開閉機が内蔵されており、省エネルギー操作用スイッチにて、省エネ操作の信号を送り、伝送ユニットで情報を識別し、対応したコンセントの内蔵開閉器をオフ状態にし、当該コンセントに接続された電気機器の通電を遮断するものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、配電盤からの配線により繋がった室内のスイッチを設けることにより、室内単位でコンセントに繋がれた電気機器の通電を制御する配線方法(例えば、特許文献2参照)。各コンセントに対して1対1で通電の遮断を行えるスイッチのついた電源タップ(例えば、非特許文献3参照)。通常のコンセントに別途取り付ける通電遮断可能なタイプのコンセントなどがあった(例えば、非特許文献4参照)。
【特許文献1】特開2000−134827
【特許文献2】特開2002−315136
【非特許文献3】実願2000−4354
【非特許文献4】実登3052374号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複雑化する電気機器と、人間の行動レベルまで考察した場合、いままでの発明及び考案の待機電力の低減効果が必ずしも高いとはいえない。それは、電気機器毎の待機電力を使用都度意識し、遮断するという煩わしさのための遮断機能の不使用、待機電力節減に関する機器が美感上、机の下など使いにくい場所に配置されることが多く、その遮断機能を十分に果たせない。また、使用する部屋や電気機器の状況により相当個数の購入の必要があり、加えて待機電力節電機能の使用・不使用に関する行動面からの煩わしさから、習慣化するに至らないという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明である待機電力省エネルギー用電気回路は、待機電力遮断コンセント部2a、通常コンセント部2bを一体化した待機電力遮断部付コンセント1、待機電力開閉スイッチ6aから構成されており、使用する電気機器の性質に応じてその電源プラグを、予め待機電力遮断コンセント部2aか通常コンセント部2bのいずれかに分類して差し込むことを行い、部屋や建物など使用する空間の単位で、待機電力の不必要な電気機器の通電をまとめて遮断することを特徴とする。
【0006】
通常コンセント部2bは配電盤8より、通常配線5により直接配線されて常時通電されているが、待機電力遮断コンセント部2aは配電盤8からの待機電力遮断配線4の途中に待機電力開閉スイッチ6aを設け、これにより待機電力遮断コンセント部2aに接続された電気機器の電源を、不必要時にはまとめて遮断する(図4)。
【0007】
待機電力遮断コンセント部2aと通常コンセント部2bは、各々1体のコンセント1個又は複数個を縦方向又は横方向に配置して待機電力遮断部付コンセント1を構成し、必要に応じてそれぞれ文字、マーク、色調、又は図8に示す一点鎖線の如く、お互いの設置高さに高低を設けて、両コンセント部の識別を明確にする(図1、図8)。
【0008】
また、待機電力遮断用電気プラグ又は通常の電気プラグの待機電力遮断コンセント部2a、通常コンセント部2bへの誤接続を確実に防止するため、通常の電気プラグの刃は平板形等幅であるが、待機電力遮断コンセント部2aと待機電力遮断用電気プラグの刃及び待機電力遮断コンセント部プラグ刃受穴18を刃の幅の異なる物(図9)、刃の形状の異なる物(図10)、刃が円柱状の物(図11)等として構成しても良い(図9、図10、図11)。
【0009】
人間の使用空間である部屋、オフィス又は建物等の空間単位で、配電盤8からのコンセントへの配線途中に遮断スイッチが必要な場合は、特別な場合を除いて、照明スイッチ6bがある。該照明スイッチ6bと本発明である待機電力開閉スイッチ6aの設置場所は、各々近接した異なる場所に設ける。又は照明スイッチ6bと待機電力開閉スイッチ6aと一体型として、待機電力照明開閉操作一体型スイッチ盤12にて各々の異なる開閉方向としても良い(図7)。
【発明の効果】
【0010】
部屋や建物などの使用する空間単位で、通電遮断コンセントへ差し込んだ不必要な待機電力を一括で遮断することができ、電気機器全般に影響することから、使用電力全体における待機電力低減効果が大きい。
【0011】
部屋の照明スイッチを開閉する感覚で待機電力開閉スイッチを開閉できることから、手軽に待機電力の低減を行うことができるため、習慣化しやすい。つまり各電気機器の特長と待機電力を確認する習慣又は通常通電と待機電力遮断型通電を分類実行する習慣が日々の動作に組み込まれることにより、電力を中心とした省エネルギー活動への習慣化が醸成できる。
【0012】
通常のコンセントと一体化しているので、通常のコンセントと同様に構造物の壁面に取り付けられることから居住空間の美観を損ねず、ユーザーにとって違和感がない。待機電力遮断コンセント部は、文字、マーク、色調、高さの高低により通常コンセント部と識別し、また電気プラグの片方の刃をL字型とした異形プラグ刃、異なった幅のプラグ刃、円柱形プラグ刃、それぞれに対応した待機電力遮断コンセント部プラグ刃受穴で構成して、誤接続を完全に防止することができる。
【0013】
待機電力遮断スイッチ部を通常のスイッチ部と文字、マーク、色調、開閉方向を異にすることで差別化することにより、スイッチ操作の誤操作を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
待機電力遮断部付コンセント1は通常のコンセントの機能を持つ、通常コンセント部2bと、待機電力を遮断する機能を持つ待機電力遮断コンセント部2aからなる。使用各電気機器の電気プラグを、その性質を把握して、それぞれのコンセント部に差し込む(図1、図2)。
【0015】
待機電力遮断部付コンセント1の背面には、電力線3をつなぐことができ、通常コンセント部2bからは従来どおりの通常配線5、待機電力遮断コンセント部2aからは待機電力を遮断する機能を持つ待機電力遮断配線4へと配線される(図3、図4)。
【0016】
部屋9は配電盤8を経由した配線により送電可能状態となっている。待機電力遮断部付コンセント1は部屋9の壁面または床面または天井面に取り付けられている。通常コンセント部2bからの電力線3は従来どおりの通常配線5の経路で配電盤8へ接続されており、また同様に、照明7は照明スイッチ6bを経由して配電盤8に接続されている。待機電力遮断コンセント部2aの電力線3は待機電力遮断配線4により待機電力開閉スイッチ6aを中継して配電盤8に接続されている。部屋9を使用しない時、待機電力開閉スイッチ6aにより回路を遮断状態にし、待機電力を節電する。部屋9を使用する場合、待機電力開閉スイッチ6aにより回路を通電状態にする。尚、部屋9を使用する場合でも、待機電力遮断コンセント部2aに接続した電気機器を使用する必要のない場合は待機電力開閉スイッチ6aにより回路を遮断状態にし、待機電力を節電することができる(図4)。
【0017】
待機電力遮断部付コンセント1の待機電力遮断コンセント部2a、通常コンセント部2bは近接した位置に配設されるため、誤接続の可能性があり、このため待機電力遮断コンセント部2aと通常コンセント部2bにマーク、文字、色調により、又はコンセント差込口の高低段差を図8の一点鎖線の如く設けることにより識別できるようにしても良い(図8)。
【0018】
待機電力開閉スイッチ6aと照明スイッチ6bを一体型とした待機電力照明開閉操作一体型スイッチ盤12を構成する場合には、該待機電力開閉スイッチ6aと該照明スイッチ6bをマーク、文字、色調により、又はスイッチの開閉方向を各々異なる方向にすることにより識別できるようにしても良い(図7)。
【0019】
待機電力遮断用電気プラグ又は通常の電気プラグの待機電力遮断コンセント部2a、通常コンセント部2bへの誤接続を確実に防止するため通常の電気プラグの刃は平板形等幅であるのに対して待機電力用電気プラグ19の2本の刃はその幅に差を設け(以下「異幅プラグ刃」という)、待機電力遮断コンセント部2aの待機電力遮断コンセント部プラグ刃受穴18を、前記異幅プラグ刃20aに対応させて受け口を合致させた異幅プラグ刃受穴18aとして誤接続を防ぐ(図9)。
【0020】
又は、待機電力遮断用電気プラグ19の2本の刃の一方をL字型とした異形プラグ刃20b、それに対応した異形プラグ刃受穴18b、2枚の刃を円柱形状にした円柱形プラグ刃20cとそれに対応した円柱形プラグ刃受穴18cより構成される待機電力遮断部付コンセント1及び電気プラグ19により誤接続を完全に防止する(図10、図11)。
【0021】
待機電力開閉スイッチ6aと照明スイッチ6bを独立して配設する場合、近接した位置に設置されることが多く、このため両方のスイッチの区別が困難な場合は、マーク、文字、色調により、又はスイッチの開閉方向を各々異なる方向にすることにより識別できるようにしても良い。
【実施例1】
【0022】
電気機器に対し待機電力の必要性を予め考慮し、それぞれの電気プラグを待機電力遮断部付コンセント1の通常コンセント部2bと待機電力遮断コンセント部2aのどちらかに差し込む。部屋を使用しない時には通電が必要しない可能性の高い携帯電話充電器10a、テレビ10b、プリンター10e、パソコン10fの電気プラグは待機電力遮断コンセント部2aに差し込み、また、部屋を使用しない時でも通電が必要とする可能性の高い、録画機器10c、衛星放送受信チューナー10d、固定電話10g、モデム10hの電気プラグは通常コンセント部2bに差し込んだ。部屋を使用しない時は、待機電力開閉スイッチ6aにより回路を遮断状態にし、待機電力遮断コンセント部2aに接続した電気機器の待機電力を節電した。エアコン11のように負荷電力が高く、配線が別に規定されているようなものがあれば、待機電力開閉スイッチ6aを複数用意した。習慣付け易くするため待機電力開閉スイッチ6aの付設位置は、部屋の入り口近辺に敷設されている照明スイッチ6bの近くに配設し、また、待機電力開閉スイッチ6aのスイッチタイプは照明スイッチ6bと混同しないために、それぞれが別タイプのスイッチを用いた(図5)。
【実施例2】
【0023】
一定規模のオフィスになるとたくさんの電気機器を使用することが多いが、オフィスには電話6台(内1台は集中電話)、パソコン6台(内1台はマスターマシン)、サーバ1台、プリンター1台、ファックス機能付きコピー機1台がある場合、常に電力を必要とする、集中電話13、マスターパソコン14、サーバ15、ファックス機能付きコピー機16は、通常コンセント部2bに電気プラグを接続しており、部屋が不使用時には通電の必要のない電話13a〜電話13e、パソコン14a〜14e、プリンター17は待機電力遮断コンセント部2aに電気プラグを接続した。勤務終了後、オフィスの最終退出者はオフィスの出入り口近辺に取り付けられた待機電力開閉スイッチ6aにより回路を遮断状態にし、待機電力遮断部コンセント2aに接続された電気機器の待機電力を節電した。勤務開始前、オフィスへの最初の入室者は待機電力開閉スイッチ6aにより回路を通電状態にした(図6)。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は、今後新築、増改築する家やマンション・オフィスビル・工場に本発明を使用することは建造物単位での節電になることから、省エネルギーの寄与度は相当大きいと考えられる。参考値として、日本では年間平均120万件以上の新規住宅施工が発生しており、新規住宅に対する当発明の採用状況によっては、相当量の省エネルギー効果があるものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】待機電力遮断部付コンセントの正面図
【図2】待機電力遮断部付コンセントの側面図
【図3】待機電力遮断部付コンセントおよび配線の一部を表した斜視図
【図4】本発明の配線図
【図5】本発明の部屋での使用例
【図6】本発明のオフィスでの使用例
【図7】待機電力照明開閉操作一体型スイッチ盤
【図8】待機電力遮断コンセントと通常コンセントを凹凸により識別した状態図
【図9】異幅プラグ刃及び異幅プラグ刃受穴正面図及び斜視図
【図10】異形プラグ刃及び異形プラグ刃受穴正面図及び斜視図
【図11】円柱形プラグ刃及び円柱形プラグ刃受穴正面図及び斜視図
【符号の説明】
【0026】
1 待機電力遮断部付コンセント
2a 待機電力遮断コンセント部
2b 通常コンセント部
3 電力線
4 待機電力遮断配線
5 通常配線
6a 待機電力開閉スイッチ
6b 照明スイッチ
7 照明
8 配電盤
9 部屋
10a 携帯電話充電器
10b テレビ
10c 録画機器
10d 衛星放送受信チューナー
10e プリンター
10f パソコン
10g 固定電話
10h モデム
11 エアコン
12 待機電力照明開閉操作一体型スイッチ盤
13 集中電話
13a 電話
13b 電話
13c 電話
13d 電話
13e 電話
14 マスターパソコン
14a パソコン
14b パソコン
14c パソコン
14d パソコン
14e パソコン
15 サーバ
16 ファックス機能付きコピー機
17 プリンター
18 待機電力遮断コンセント部プラグ刃受穴
18a 異幅プラグ刃受穴
18b 異形プラグ刃受穴
18c 円柱形プラグ刃受穴
19 電気プラグ
20a 異幅プラグ刃
20b 異形プラグ刃
20c 円柱形プラグ刃

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配電盤とコンセントとの間に部屋単位などの空間単位で不必要な待機電力を一括して遮断する待機電力開閉スイッチを設けた電気回路において、待機電力遮断コンセント部を通常コンセント部と組合せて一体化したことを特徴とする待機電力遮断部付コンセント。
【請求項2】
配電盤とコンセントとの間に部屋単位などの空間単位で不必要な待機電力を一括して遮断する待機電力開閉スイッチを設けた電気回路において、待機電力遮断スイッチ部を通常のスイッチ部と組合せて一体化したことを特徴とする請求項1に記載の待機電力遮断スイッチ。
【請求項3】
前記待機電力遮断コンセント部と通常コンセント部に高低差を設けて待機電力遮断コンセント部を識別しやすくしたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の待機電力遮断部付コンセント。
【請求項4】
文字、マーク、色調などによって、前記待機電力遮断コンセント部を通常コンセント部と差別化したことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の待機電力遮断部付コンセント。
【請求項5】
前記待機電力遮断コンセント部の電気プラグ刃受穴を、片側L字型、片側長尺平板形、円柱状等としたことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の待機電力遮断部付コンセント。
【請求項6】
文字、マーク、色調、開閉方向を異にすることによって、前記待機電力遮断スイッチ部を通常のスイッチ部と差別化したことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の待機電力遮断スイッチ。
【請求項7】
前記請求項1ないし6のいずれかに記載の待機電力遮断部付コンセント及び待機電力遮断スイッチにより構成される電気回路によって、待機電力を不必要な場合に遮断して省電力をはかることを特徴とする待機電力遮断方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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