説明

後処理方法及び後処理装置

【課題】筋付け処理された用紙に別の後処理を施す場合に正確な用紙の位置制御を実行することを可能にする。
【解決手段】用紙の位置を制御する位置制御部材と、前記位置制御部材による制御状態を制御する制御部301と、を備えた後処理装置300における後処理の際に、前記用紙に筋が付されている場合と前記用紙に前記筋が付されていない場合とで、前記筋と直交する方向の前記用紙の位置を変更するよう制御する。ここで、前記位置制御部材は、前記用紙の端部から該用紙の位置を整えて整合させる整合部材であり、前記用紙に筋が付されている場合と前記用紙に前記筋が付されていない場合とで、前記筋と平行な前記用紙端部を前記整合部材で整合する際の位置を変更するよう制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を形成した用紙の後処理装置内での位置制御に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置において各種の後処理装置を接続することで、さまざまな製本処理が可能になり、印刷装置として使用することができる。
【0003】
たとえば、用紙の中央で用紙を中折りにした用紙束として、その束の折り目部分にステープル処理をして中綴じ製本が可能である。また、中綴じした用紙束の背の部分にローラ等で圧力を掛け、角の折り目をつけて背表紙部分を作り、無線綴じに似た状態にする角背処理が可能である。
【0004】
また、このような折り目をつける前処理として、折り目をつける予定の位置に、クリーサー(creaser)と呼ばれる筋付け装置を用いて筋付け処理を施して筋を付けることも行われる。そして、筋付け処理の後に折り処理を実行することで、複数枚の用紙を纏めた状態で折り処理を行っても、折り目が膨らむことを防止できる利点がある。
【0005】
なお、このような筋付け処理については、以下の特許文献に提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−105316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
筋付けした場合、筋の位置では曲面による凸部(盛り上がり部)が形成されるため、この筋と直交する方向の用紙長が僅かながら短くなり、縮んでいるように見える状態になる。このため、筋付け処理の次に、折り処理やステープル処理を行うと、用紙の位置制御が対処できず、筋の位置と折りやステープルの位置が若干ずれるという問題が発生する。また、筋を複数本付けた場合には、更にそのずれが大きくなる場合もある。
【0008】
しかしながら、上記の特許文献1では、筋付け処理とその後の処理との間で用紙の位置制御に関しては何ら対策がとられていなかった。
【0009】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、筋付け処理された用紙に別の後処理を施す場合に正確な用紙の位置制御を実行することが可能な後処理方法及び後処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、前記した課題を解決する本発明は、以下の通りである。
【0011】
(1)第1の発明では、用紙の位置を制御する位置制御部材と、前記位置制御部材による制御状態を制御する制御部と、を備えた後処理装置における後処理の際に、前記用紙に筋が付されている場合と前記用紙に前記筋が付されていない場合とで、前記筋と直交する方向の前記用紙の位置を変更するよう制御する、ことを特徴とする。
【0012】
(2)第2の発明では、上記(1)において、前記位置制御部材は、前記用紙の端部から該用紙の位置を整えて整合させる整合部材であり、前記用紙に筋が付されている場合と前記用紙に前記筋が付されていない場合とで、前記筋と平行な前記用紙端部を前記整合部材で整合する際の位置を変更するよう制御する、ことを特徴とする。
【0013】
(3)第2の発明では、上記(1)〜(2)において、前記用紙に筋が付されている場合には、紙種に応じて前記位置制御部材により制御される位置を変更するよう制御する、ことを特徴とする。
【0014】
(4)第3の発明では、上記(1)〜(3)において、前記用紙の位置制御の後に別処理を施す場合に、前記別処理の施工位置と用紙端部との間に存在する筋の本数に応じて、前記位置制御部材により制御される位置を変更するよう制御する、ことを特徴とする。
【0015】
(5)第5の発明では、上記(1)〜(4)において、前記用紙の位置制御の後に別処理を施す場合に、前記別処理の施工位置と前記筋と平行する一方の端部との間に前記筋が存在しない場合には、前記一方の端部側では前記位置制御部材により制御される位置を前記筋が存在しない場合と同様に制御する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、以下のような効果が得られる。
【0017】
この発明では、後処理装置における後処理の際に、用紙に筋が付されている場合と用紙に筋が付されていない場合とで、筋と直交する方向の用紙の位置を変更するように、位置制御部材を制御しているため、筋付け処理された用紙に別の後処理を施す場合に正確な用紙の位置制御を実行することが可能になる。
【0018】
なお、位置制御部材は、用紙の端部から該用紙の位置を整えて整合させる整合部材であり、用紙に筋が付されている場合と用紙に筋が付されていない場合とで、筋と平行な用紙端部を整合部材で整合する際の位置を変更するよう制御することで、筋付け処理された用紙に別の後処理を施す場合に、筋による用紙の短縮量に応じて正確な用紙の位置制御を実行することが可能になる。
【0019】
また、用紙に筋が付されている場合には、紙種に応じて位置制御部材により制御される位置を変更するよう制御することで、紙種に応じて異なる短縮量となる場合であっても、筋付け処理された用紙に別の後処理を施す場合に、紙種が変わっても、正確な用紙の位置制御を実行することが可能になる。
【0020】
また、用紙の位置制御としての整合の後に別処理を施す場合に、別処理の施工位置と用紙端部との間に存在する筋の本数に応じて、位置制御部材により制御される位置を変更するよう制御することで、筋の本数にかかわらず、筋付け処理された用紙に別の後処理を施す場合に正確な用紙の位置制御を実行することが可能になる。
【0021】
また、用紙の位置制御としての整合の後に別処理を施す場合に、別処理の施工位置と筋と平行する一方の端部との間に筋が存在しない場合には、一方の端部側では位置制御部材により制御される位置を筋が存在しない場合と同様に制御することで、ステープルやパンチのように端部からの距離のみで制御する場合にも、正確な用紙の位置制御が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態の後処理装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態の後処理装置の構成を示す構成図である。
【図3】本発明の実施形態の後処理装置の主要部の構成を示す構成図である。
【図4】本発明の実施形態の後処理装置の主要部の構成を示す構成図である。
【図5】本発明の実施形態の後処理装置の主要部の構成を示す構成図である。
【図6】本発明の実施形態の後処理装置の主要部の構成を示す構成図である。
【図7】本発明の実施形態の後処理装置の動作を示す説明図である。
【図8】本発明の実施形態の後処理装置の主要部の構成を示す構成図である。
【図9】本発明の実施形態の後処理装置の動作を示す説明図である。
【図10】本発明の実施形態の後処理装置の動作を示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施形態の後処理装置の動作を示すフローチャートである。
【図12】本発明の実施形態の後処理装置の動作を示すフローチャートである。
【図13】本発明の実施形態の後処理装置の動作を示す説明図である。
【図14】本発明の実施形態の後処理装置の動作を示すフローチャートである。
【図15】本発明の実施形態の後処理装置の動作を示すフローチャートである。
【図16】本発明の実施形態の後処理装置の動作を示すフローチャートである。
【図17】本発明の実施形態の後処理装置の動作を示すフローチャートである。
【図18】本発明の実施形態の後処理装置の主要部の構成を示す構成図である。
【図19】本発明の実施形態の後処理装置の動作を示す説明図である。
【図20】本発明の実施形態の後処理装置の動作を示すフローチャートである。
【図21】本発明の実施形態の後処理装置の動作を示すフローチャートである。
【図22】本発明の実施形態の後処理装置の動作を示すフローチャートである。
【図23】本発明の実施形態の後処理装置の動作を示すフローチャートである。
【図24】本発明の実施形態の後処理装置の動作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態(以下、実施形態)を詳細に説明する。
【0024】
〔画像形成システムの構成〕
図1と図2とを参照して、本実施の形態に係る後処理装置を備える画像形成システムの構成について説明する。図1と図2とに示すように、この画像形成システムは、画像形成装置100と、後処理装置300と、後処理装置400と、を有している。なお、画像形成装置100と後処理装置300との間に別な装置が存在していても良いし、後処理装置400は存在していなくとも良い。
【0025】
画像形成装置100は、画像形成装置100内の各部を制御すると共に後処理装置としてシステム全体を制御する制御部101と、接続されている他の装置と通信するための通信部102と、操作者による操作入力に応じた操作入力信号を制御部101に通知すると共に画像形成装置100の状態表示とを行う操作表示部103と、制御プログラム及び各種設定データを記憶すると共に制御プログラムのワークエリアとして使用される記憶部104と、収容されている用紙を給紙する給紙部105と、給紙され画像形成される用紙を所定速度で搬送する搬送部107と、原稿をスキャンして画像データを生成する原稿読込部120と、画像形成する際のイメージデータや各種データを記憶する記憶部130と、画像形成に必要な各種画像処理を実行する画像処理部140と、画像形成命令とイメージデータとに基づいて画像形成(印刷)を実行する画像形成部150と、を備えて構成されている。なお、画像形成装置100で画像形成された用紙は、後段の後処理装置300に向けて搬出される。
【0026】
後処理装置300は、画像形成装置100の後段に接続されており、後処理装置300内の各部を制御する制御部301と、画像形成装置100と通信するための通信部302と、制御プログラム及び各種設定データを記憶すると共に制御プログラムのワークエリアとして使用される記憶部304と、後処理された用紙束を排出させる排出経路を選択する排出経路選択部305と、用紙を所定速度で搬送する搬送部307と、用紙全体として折ることなく筋を付ける筋付け部310と、筋付け処理後の用紙を次の後処理のために整合により位置制御する位置制御部としての整合部320と、用紙を中折り又は3つ折りに折る折り部330と、後処理のために用紙を重ね合わせて用紙束とする重ね合わせ部340と、折り部330で折られた用紙に後処理として中綴じを施す中綴じ部350と、中綴じ用の折り目が形成された用紙束の背折り部を平坦にする角背処理を施す角背処理部360と、中綴じされた用紙束の小口部分を断裁する断裁部370と、を備えて構成される。
【0027】
後処理装置400は、後処理装置300の後段に接続されており、後処理装置400内の各部を制御する制御部401と、画像形成装置100や後処理装置300と通信するための通信部402と、制御プログラム及び各種設定データを記憶すると共に制御プログラムのワークエリアとして使用される記憶部404と、後処理された用紙束を排出させる排出経路を選択する排出経路選択部405と、用紙を所定速度で搬送する搬送部410と、用紙束を平綴じ処理を施す平綴じ部420と、メイントレイを排出先として用紙を排出するメイントレイ排出部440と、サブトレイを排出先として用紙を排出するサブトレイ排出部450と、を備えて構成される。
【0028】
なお、図2の斜視図では、画像形成システムの主要部の構成を模式的に示している。画像形成装置100内の画像形成部150で画像形成されてから、図2のX方向に搬送されてきた用紙を、後処理装置400で後処理する場合には、後処理装置300でもそのままX方向に搬送する。
【0029】
一方、後処理装置300において後処理を実行する場合は、図2のように、筋付け部310でY方向の筋を付けた後に、折り部330においてY方向を稜線として中折りし、Y方向に搬送しつつ、重ね合わせ部340と中綴じ部350とで重ね合わせてから中綴じを実行し、さらに、Y方向に搬送して角背処理部360により背表紙の部分を平坦にする角背処理を施すことで、後処理の実行効率が高まり、画像形成システムとして生産性を高めることが可能になる。
【0030】
また、図1と図2における、画像形成装置100、後処理装置300、後処理装置400の接続は画像形成システムの一例であって、このような接続や搬送方向に限定されるものではない。
【0031】
〔基本動作〕
図3と図4は、クリーサーと呼ばれる筋付け部310の基本構成をXZ平面にて示す断面構成図である。
【0032】
ここで、筋付け部310で筋付け処理を実行する場合には、画像形成装置100から筋付け部310に搬送されてくる用紙は反転搬送路307Rに引き込まれ、搬送ローラ307R11,307R12,307R21,307R22による挟持搬送制御、あるいは、先端ストッパ3251による停止位置制御、または、挟持搬送制御と停止位置制御の両方により、用紙が所定位置に規制された状態で停止する(図3)。なお、図示されない通紙センサを併用して用紙の位置決めを行ってももよい。
【0033】
この後、筋付けナイフ駆動部311により駆動され、Y方向に伸びた筋付けナイフ312が、同様にY方向に伸びた凹部を有する筋付け台313に向かって、−X方向に伸長することで、筋付けナイフ312の先端と筋付け台313の凹部との間に用紙が挟持される。この動作により、Y方向を長手方向とする筋が形成される(図4)。なお、この筋付け処理では、用紙全体としては平面状態を保っているため、折り処理による折り目とは異なり、平面上の用紙に筋が形成される。
【0034】
また、この筋付け処理の際に、搬送ローラ307R11,307R12,307R21,307R22による挟持搬送制御、あるいは、先端ストッパ3251の停止位置制御、または、挟持搬送制御と停止位置制御の両方により、用紙上の所望の位置に1本若しくは複数本の筋を付すことができる。また、このようにして筋が付された用紙は、搬送ローラ307R11,307R12,307R21,307R22の逆転による挟持搬送制御によって、反転搬送路307Rを戻って折り部330に向かって搬送される。
【0035】
図5−図6は後処理装置300における折り部330の基本構成をXZ平面にて示す断面構成図である。ここで、図5のように、筋付け部310から折り部330に搬送されてくる用紙は、搬送ローラ3311,3312、搬送ローラ3321,3322によって折り部330内を所定速度で搬送される。
【0036】
そして、折り部330で折りを実行する場合には、図6(1)のように、整合制御部3212により駆動される位置制御部材としての整合部材3211を整合待機位置まで駆動し、この整合部材3211により用紙先端が所定位置に規制された状態で停止する。その後、整合制御部3222により駆動される位置制御部材としての整合部材3221を、図6(2)のように整合位置まで移動させて、この整合部材3221により用紙後端が所定位置に整合された状態で停止する。
【0037】
なお、この図6の場合には用紙の中心を中折りする場合を想定しており、図7の平面図に示すように整合部材3211で所定の整合量x1、整合部材3221で所定の整合量x2の整合を行うことで、用紙中心と整合中心とが合致した状態になる。
【0038】
この後、折りナイフ駆動部3351により駆動される折りナイフ3350が折りローラ3341,3342間でZ方向に伸長することで、折りローラ3341,3342間に用紙が挟持されて、折り目が形成される。
【0039】
なお、この際、折りローラ3341,3342は回動自在な状態にされている。そして、折りナイフ3350がタイマで設定された一定時間だけ上昇した後に停止し、駆動ローラ3343によって折りローラ3342が用紙と折りナイフ3350とを戻す方向に駆動される。なお、この折り部330により、中綴じ用に用紙の中央に折り目を付ける中折りのほか、用紙の2カ所に折り目を付ける三つ折りも実行可能である。
【0040】
なお、図2−図4では、筋付け部310が反転搬送路307中に設けられていたが、これに限定されるものではない。例えば、搬送経路中のいずれかの位置に筋付け部310を配置して、用紙を搬送する搬送経路中で搬送ローラの一時停止や正転/反転の微調整により用紙の位置決めを行って、筋付け処理を実行することも可能である。
【0041】
〔前提となる問題〕
ところで、筋付けした場合、筋の位置では曲面による凸部(盛り上がり部)が形成されるため、平面部において、この筋と直交する方向の用紙長が僅かながら短くなり、縮んでいるように見える状態になる。
【0042】
図8ではY方向に筋付けされることでX方向に僅かに短くなった状態の用紙が折り部330に搬送されてきた状態を示している。ここでは、Y方向を長手方向とする筋が、X−Y平面の用紙に付されているため、Y方向と直交するX方向に用紙が短くなった状態になる。
【0043】
この図8の状態を図9の平面図に示す。なお、図8と図9では、用紙の平面部における短縮具合を考慮せずに、図6と図7の場合と同じように整合部材3211で所定の整合量x1、整合部材3221で所定の整合量x2の整合を行うようにしている。
【0044】
この図8と図9の場合、筋付け部310で筋が付された用紙中心と、整合部320により整合された整合中心とが一致していないため、折り部330で正しい位置である用紙中心に折り目を付すことができない。
【0045】
なお、ここでは、筋付け処理の後の折り処理の場合を例示したが、筋付け処理の後にステープル処理やパンチ処理を行う場合にも同様な問題が発生する。
【0046】
〔実施形態の動作〕
以下、図10以降のフローチャートや各種説明図を参照して、本実施形態の動作についての説明を行う。ここでは、図1と図2の接続状態の画像形成システムにおける後処理装置300で、筋付け処理と折り処理とを実行する場合を中心にして説明する。
【0047】
画像形成が開始されると、後処理装置300の制御部301は制御部101からの後処理モード情報を受けて折り制御を開始する。
【0048】
ここで、制御部301は、整合待機位置移動制御として、図6(1)のように、位置制御部材としての整合部材3211を整合制御部3212により整合待機位置まで駆動して、この整合部材3211により用紙先端を所定位置に規制された状態で停止させる(図10中のステップS101)。
【0049】
なお、搬送方向の用紙先端側の整合部材3211は用紙を停止させるための整合待機位置を決めるものであり、用紙到着より先に整合待機位置で待機している。一方、後述する搬送方向の用紙後端側の整合部材3221は、用紙到着後に、先端の整合部材3211に対して用紙を突き当てるように整合動作を行うものである。
【0050】
〔用紙先端側の整合待機位置移動制御〕
以下、この整合待機位置移動制御(図10中のステップS101)を図11のフローチャートを用いて説明する。まず、制御部301は、折り制御の対象となる用紙に筋付けが選択されているかを判断し(図11中のステップS201)、折り制御の対象となる用紙に筋付けが選択されている場合には(図11中のステップS201でYES)、筋中央基準の後処理であるかを判断する(図11中のステップS202)。ここで、筋中央基準の後処理とは、筋に平行する方向の用紙両端から、通常(筋選択無し)時とは異なる整合制御が必要な後処理を意味する。
【0051】
ここで、筋付け選択されていない用紙の後処理である場合には(図11中のステップS201でNO)、筋付けなしの通常の整合待機位置を求めて、整合部材3211を整合待機位置まで移動させる(図11中のステップS203)。
【0052】
また、筋付け選択あり用紙の後処理であり(図11中のステップS201でYES)、筋中央基準の後処理である場合には(図11中のステップS202でYES)、筋条件に応じた整合待機位置を求めて、整合部材3211を整合待機位置まで移動させる(図11中のステップS204)。
【0053】
なお、筋付け選択あり用紙の後処理であり(図11中のステップS201でYES)、筋中央基準の後処理でない場合には(図11中のステップS202でNO)、すなわち、ステープルやパンチ等の片側基準の後処理の場合は、その後処理位置と整合端部位置との間に短縮の原因となる筋が無いため、筋付けなしの通常の整合待機位置を求めて、整合部材3211を整合待機位置まで移動させる(図11中のステップS203)。
【0054】
ここで、筋付け選択されていない用紙の後処理であり(図11中のステップS201でNO)、筋付けなしの通常の整合待機位置への整合部材3211の移動(図11中のステップS203)について、図12を参照して説明する。なお、筋付け選択あり用紙で(図11中のステップS201でYES)、筋中央基準の後処理でない場合(図11中のステップS202でNO)における、通常の整合待機位置への整合部材3211の移動(図11中のステップS203)についても、図12を参照して説明する。
【0055】
制御部301は、制御部101からの後処理モード情報を参照して用紙サイズを取得する(図12中のステップS2031)。制御部301は、後処理モード情報から筋の方向の情報も取得して、筋と直交する方向の用紙サイズを取得する。さらに、制御部301は、整合部材3211について初期位置から整合待機位置までの移動量x1を算出する(図12中のステップS2032)。なお、整合部材3211の初期位置とは、図6に示すように、用紙の搬送時に邪魔にならぬように待避している位置(ホームポジション)を意味する。そして、制御部301は、算出された移動量x1に基づいて、整合部材3211を初期位置から整合待機位置まで移動させる(図12中のステップS2033、図6(1)、図7(1)、図13(1)、図11中のステップS203)。なお、図13では、後処理として整合待機位置に近い側でステープルST1,ST2を予定しており、その後処理位置と整合待機位置との間に、短縮の原因となる筋が無いため、通常と同じ整合待機位置となる。
【0056】
一方、筋付け選択あり用紙で(図11中のステップS201でYES)、筋中央基準の後処理である場合(図11中のステップS202でYES)における、筋条件に応じた整合待機位置への整合部材3211の移動(図11中のステップS204)について、図14を参照して説明する。
【0057】
制御部301は、制御部101からの後処理モード情報を参照して用紙サイズを取得する(図14中のステップS2041)。制御部301は、後処理モード情報から筋の方向の情報も取得して、筋と直交する方向の用紙サイズを取得する。さらに、制御部301は、筋本数や紙種などを参照して筋に起因する用紙の短縮量を算出する(図14中のステップS2042)。
【0058】
なお、この実施形態において、短縮量とは、筋により用紙に曲面が生じたことで、用紙の平面部において筋と直交する方向の用紙長が短くなっており、この短くなる量を意味している。
【0059】
また、この短縮量の算出(図14中のステップS2042)については、図15のフローチャートを参照して説明する。まず、制御部301は、後処理モード情報を参照して、用紙内に付される筋の本数を取得する(図15中のステップS401)。また、制御部301は、後処理モード情報あるいは画像形成情報を参照して、処理対象の用紙の紙種を取得する(図15中のステップS402)。そして、制御部301は、筋本数と紙種とから、当該用紙の短縮量を決定する(図15中のステップS403)。
【0060】
この短縮量の決定処理(図15中のステップS403)としては、当該用紙が通常厚の普通紙であれば(図16中のステップS4031で「普通紙(通常厚)」)、例えば、筋1本あたり短縮量を0.5mmとして(図16中のステップS4032)、この短縮量に筋本数を乗じて用紙1枚における短縮量を決定する(図16中のステップS4035)。また、当該用紙が厚紙であれば(図16中のステップS4031で「厚紙」)、例えば、筋1本あたり短縮量を1.0mmとして(図16中のステップS4033)、この短縮量に筋本数を乗じて用紙1枚における短縮量を決定する(図16中のステップS4035)。また、当該用紙が薄紙であれば(図16中のステップS4031で「薄紙」)、例えば、筋1本あたり短縮量を0.2mmとして(図16中のステップS4034)、この短縮量に筋本数を乗じて用紙1枚における短縮量を決定する(図16中のステップS4035)。なお、厚紙、普通紙、薄紙は相対的なものであり、使用環境で自由に定めることが可能である。また、筋1本あたりの短縮量についても、使用する用紙に応じて任意に定めることができる。
【0061】
以上が短縮量算出(図14中のステップS2042)であり、制御部301は、整合部材3211について初期位置から整合待機位置までの筋中央基準の移動量x1’を算出する(図14中のステップS2043)。
【0062】
なお、この筋中央基準の移動量算出(図14中のステップS2043)については、図17のフローチャートを参照して説明する。まず、制御部301は、図12中のステップS2032と同様に、整合部材3211について初期位置から整合待機位置までの通常の移動量x1を算出する(図17中のステップS501)。そして、制御部301は、図15中のステップS403において筋本数と紙種とから決定した当該用紙の短縮量を用いて、待機移動量+(短縮量決定/2)を、中央基準の移動量x1’として算出する(図17中のステップS502)。
【0063】
そして、制御部301は、算出された筋中央基準の移動量x1’に基づいて、整合部材3211を初期位置から整合待機位置まで移動させる(図14中のステップS2044、図18(1)、図19(1)、図11中のステップS204)。
【0064】
以上の説明が、図10中のステップS101における用紙先端側の制御部301による整合待機位置移動制御である。
【0065】
〔筋付け処理〕
以上のようにして整合部材3211を所定の位置で待機させた状態にして、用紙が搬送されてきたことが不図示の通紙センサで検知されると(図10中のステップS102でYES)、制御部301は、後処理として筋付けが選択されていれば(図10中のステップS103でYES)、筋付け部310を駆動して図4で説明したように用紙の所定位置に所定本数の筋を付すようにする(図10中のステップS104)。なお、後処理として筋付けが選択されていなければ(図10中のステップS103でNO)、筋付けをせずに次の処理に進む。
【0066】
〔用紙後端側の整合動作制御〕
制御部301は、折り部整合動作として、図6(2)のように、位置制御部材としての整合部材3221を整合制御部3222により整合位置まで駆動して、先端が所定待機位置の整合部材3211で規制された状態の用紙の後端を、この整合部材3221により押し込むように動作させることで、用紙が所定位置になるように制御する(図10中のステップS105)。すなわち、搬送方向の用紙後端側の整合部材3221は、用紙到着後において、先端の整合部材3211に対して用紙を突き当てるように用紙後端側から整合動作を行うものである。
【0067】
以下、この整合動作制御(図10中のステップS105)を図20のフローチャートを用いて説明する。まず、制御部301は、折り制御の対象となる用紙に筋付けが選択されているかを判断し(図20中のステップS301)、折り制御の対象となる用紙に筋付けが選択されている場合には(図20中のステップS301でYES)、筋中央基準の後処理であるかを判断する(図20中のステップS302)。ここで、筋中央基準の後処理とは、筋に平行する方向の用紙両端から、通常(筋選択無し)時とは異なる整合制御が必要な後処理を意味する。
【0068】
ここで、筋付け選択されていない用紙の後処理である場合には(図20中のステップS301でNO)、筋付けなしの通常の整合位置を求めて、整合部材3221を整合動作させる(図20中のステップS303)。
【0069】
また、筋付け選択あり用紙の後処理であり(図20中のステップS301でYES)、筋中央基準の後処理である場合には(図20中のステップS302でYES)、筋条件に応じた整合位置を求めて、整合部材3221を整合動作させる(図20中のステップS304)。
【0070】
なお、筋付け選択あり用紙の後処理であり(図20中のステップS301でYES)、筋中央基準の後処理でない場合には(図20中のステップS302でNO)、すなわち、ステープルやパンチ等の片側基準の後処理の場合は、片側基準の整合位置を求めて、整合部材3221を整合動作させる(図20中のステップS305)。
【0071】
ここで、筋付け選択されていない用紙の後処理であり(図20中のステップS301でNO)、筋付けなしの整合部材3221の通常の整合動作(図20中のステップS303)について、図21を参照して説明する。
【0072】
制御部301は、制御部101からの後処理モード情報を参照して筋と直交する方向の用紙サイズを取得する(図21中のステップS3031)。さらに、制御部301は、整合部材3221について初期位置から整合位置までの移動量x2を算出する(図21中のステップS3032)。なお、整合部材3221の初期位置とは、図6に示すように、用紙の搬送時に邪魔にならぬように待避している位置(ホームポジション)を意味する。そして、制御部301は、算出された移動量x2に基づいて、整合部材3221を初期位置から移動させて整合動作を行う(図21中のステップS3033、図6(2)、図7(2)、図20中のステップS303)。
【0073】
一方、筋付け選択あり用紙で(図20中のステップS301でYES)、筋中央基準の後処理である場合(図20中のステップS302でYES)における、筋中央基準の整合部材3221の整合動作(図20中のステップS304)について、図22を参照して説明する。
【0074】
制御部301は、制御部101からの後処理モード情報を参照して筋と直交する方向の用紙サイズを取得する(図22中のステップS3041)。さらに、制御部301は、筋本数や紙種などを参照して筋に起因する用紙の短縮量を算出する(図22中のステップS3042)。なお、この短縮量の算出については、図15と図16のフローチャートを参照して既に説明した通りである。また、制御部301は、図21ステップS3032と同様に、整合部材3221について初期位置から整合位置までの移動量x2を算出する(図22中のステップS3043)。そして、以上のように算出した短縮量を用いて、制御部301は、整合部材3221について初期位置から整合位置までの筋中央基準の移動量x2’を、整合移動量x2+(短縮量/2)として算出する(図22中のステップS3044)。そして、制御部301は、算出された筋中央基準の整合移動量x2’に基づいて、整合部材3221を初期位置から移動させて整合動作を行う(図22中のステップS3044、図18(2)、図19(2)、図20中のステップS304)。
【0075】
また、筋付け選択あり用紙で(図20中のステップS301でYES)、筋中央基準の後処理でない場合(図20中のステップS302でNO)における、すなわち、ステープルやパンチ等の片側基準の後処理の場合の、片側基準の整合動作(図20中のステップS305)について、図23を参照して説明する。
【0076】
制御部301は、制御部101からの後処理モード情報を参照して筋と直交する方向の用紙サイズを取得する(図23中のステップS3051)。さらに、制御部301は、筋本数や紙種などを参照して筋に起因する用紙の短縮量を算出する(図23中のステップS3052)。なお、この短縮量の算出については、図15と図16のフローチャートを参照して既に説明した通りである。また、制御部301は、図21ステップS3032と同様に、整合部材3221について初期位置から整合位置までの移動量x2を算出する(図23中のステップS3053)。そして、以上のように算出した短縮量を用いて、制御部301は、整合部材3221について初期位置から整合位置までの筋中央基準の移動量x2”を、整合移動量x2+短縮量として算出する(図23中のステップS3054)。そして、制御部301は、算出された筋中央基準の整合移動量x2”に基づいて、整合部材3221を初期位置から移動させて整合動作を行う(図23中のステップS3054、図13(2)、図20中のステップS305)。この場合、先端の整合待機位置側でステープル処理をしていたため、後端の整合位置側で短縮量分の位置補正をしている。
【0077】
以上の説明が、図10中のステップS105における用紙降誕側の整合動作に関する制御部310による制御である。
【0078】
〔折り処理〕
以上のようにして筋の有無に応じた先端待機位置と後端整合位置とを制御した用紙に対して、制御部301は、折り部330によって折り処理を実行させる(図10中のステップS106)。
【0079】
この実施形態では、用紙に筋が付されている場合と用紙に筋が付されていない場合とで、筋と直交する方向の用紙の位置を変更するように、位置制御部材としての整合部材3211と3221とを制御しているため、筋付け処理された用紙に対して位置ずれなく折り処理を施すことが可能になる。
【0080】
〔その他の実施形態(1)〕
ステープル処理やパンチ処理などの片側基準の処理の具体例として示した図13では、後処理として搬送方向先端側(整合待機位置側)でステープルST1,ST2を予定している。そのため、短縮の原因となる筋がステープル位置よりも後端側にあるため、先端側では通常と同じ整合待機位置、後端の整合位置側で短縮量分の位置補正をしている。
【0081】
一方、図24のように、片側基準の処理の他の例として、後処理として搬送方向後端側(整合位置側)でステープルST1,ST2を予定している場合には、短縮の原因となる筋がステープル位置よりも先端側にあるため、先端側では短縮量分の位置補正x1”(x1+短縮量)をして、後端側では通常と同じ整合量x2と制御すればよい。
【0082】
〔その他の実施形態(2)〕
また、以上の具体例では、整合部材3211と3221とは待避位置から筋の有無に応じた移動量で整合待機や整合動作を行うようにしていたが、これに限定されるものではない。たとえば、筋の有無に応じて待避位置を変更し、整合待機や整合動作時の移動量を一定としても良い。いずれにしても、筋の有無に応じて筋と直交する方向の用紙の位置を適正に制御することにより、各種後処理を位置ずれなく行うことが可能になる。
【0083】
〔その他の実施形態(3)〕
また、以上の実施形態では、X方向に画像形成された用紙を搬送している画像形成システムにおいて、中折りや中綴じの用紙をY方向に搬送するとしていたが、これに限定されるものではなく、中折りや中綴じの用紙をX方向に搬送してもよいし、また、X〜Yの中間の方向に搬送してもよい。
【符号の説明】
【0084】
100 画像形成装置
101 制御部
102 通信部
103 操作表示部
104 記憶部
105 給紙部
107 搬送部
120 原稿読込部
130 記憶部
140 画像処理部
150 画像形成部
300 後処理装置
301 制御部
302 通信部
307 搬送部
310 筋付け部
320 整合部
330 折り部
340 重ね合わせ部
350 中綴じ部
360 角背処理部
370 断裁部
400 後処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙の位置を制御する位置制御部材と、
前記位置制御部材による制御状態を制御する制御部と、を備えた後処理装置における後処理方法であって、
前記用紙に筋が付されている場合と前記用紙に前記筋が付されていない場合とで、前記筋と直交する方向の前記用紙の位置を変更するよう制御する、
ことを特徴とする後処理方法。
【請求項2】
前記位置制御部材は、前記用紙の端部から該用紙の位置を整えて整合させる整合部材であり、
前記用紙に筋が付されている場合と前記用紙に前記筋が付されていない場合とで、前記筋と平行な前記用紙端部を前記整合部材で整合する際の位置を変更するよう制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の後処理方法。
【請求項3】
前記用紙に筋が付されている場合には、紙種に応じて前記位置制御部材により制御される位置を変更するよう制御する、
ことを特徴とする請求項1−2に記載の後処理方法。
【請求項4】
前記用紙の位置制御の後に別処理を施す場合に、前記別処理の施工位置と用紙端部との間に存在する筋の本数に応じて、前記位置制御部材により制御される位置を変更するよう制御する、
ことを特徴とする請求項1−3のいずれか一項に記載の後処理方法。
【請求項5】
前記用紙の位置制御の後に別処理を施す場合に、前記別処理の施工位置と前記筋と平行する一方の端部との間に前記筋が存在しない場合には、前記一方の端部側では前記位置制御部材により制御される位置を前記筋が存在しない場合と同様に制御する、
ことを特徴とする請求項1−4のいずれか一項に記載の後処理方法。
【請求項6】
用紙の位置を制御する位置制御部材と、
前記位置制御部材による制御状態を制御する制御部と、
を備えた後処理装置であって、
前記制御部は、前記用紙に筋が付されている場合と前記用紙に前記筋が付されていない場合とで、前記筋と平行な前記用紙端部を前記位置制御部材で位置制御する際の位置を変更するよう制御する、
ことを特徴とする後処理装置。
【請求項7】
前記位置制御部材は、前記用紙の端部から該用紙の位置を整えて整合させる整合部材であり、
前記用紙に筋が付されている場合と前記用紙に前記筋が付されていない場合とで、前記筋と平行な前記用紙端部を前記整合部材で整合する際の位置を変更するよう制御する、
ことを特徴とする請求項6に記載の後処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記用紙に筋が付されている場合には、紙種に応じて前記位置制御部材により制御される位置を変更するよう制御する、
ことを特徴とする請求項6−7に記載の後処理装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記用紙の位置制御の後に別処理を施す場合に、前記別処理の施工位置と用紙端部との間に存在する筋の本数に応じて、前記位置制御部材により制御される位置を変更するよう制御する、
ことを特徴とする請求項6−8のいずれか一項に記載の後処理装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記用紙の位置制御の後に別処理を施す場合に、前記別処理の施工位置と前記筋と平行する一方の端部との間に前記筋が存在しない場合には、前記一方の端部側では前記位置制御部材により制御される位置を前記筋が存在しない場合と同様に制御する、
ことを特徴とする請求項6−9のいずれか一項に記載の後処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2013−112505(P2013−112505A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262534(P2011−262534)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】