説明

後方投影スクリーンおよびその製造方法

光吸収性層(13)、ならびに前表面(22)および後表面(25)を有する透明層(11)を備える光透過性フィルタであって、この前表面は、光透過性層(13)に包埋されている。本発明の1つの実施形態において、上記光透過性フィルタは、光学的に透明な適合性コーティングを備え、このコーティングは、透明層の微細構造を有する第二の表面を覆い、上記光フィルタの透過率を増加させ、そして/または上記光フィルタを通る光の分布を改変する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2003年3月12日の日付の仮特許出願番号60/454,197の利益を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、後方投影スクリーンおよび光フィルタに関し、具体的には、微細構造を備えて製造されるこれらの後方投影スクリーンおよび光フィルタに関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
後方投影スクリーンは、このスクリーンの後方からの画像を、このスクリーンの反対側にいる観察者へと透過する。この画像は、スクリーンまたはフィルタによって透過される光の量、あるいはスループットによって、影響を受ける。一般に、スクリーンおよびフィルタは、このスクリーンまたはフィルタを通って透過する光の量に対する制限によって、制限されている。増加した光スループットを提供し、そしてまた、改善されたコントラストを提供する構築物を有することが望ましい。
【0004】
投影された画像の線明度が増加すると、ピクセルの数は、従来の数である数万から、100万ピクセルを超える数へと増加している。その結果として、投影スクリーンにおけるレンズのより微細な構造もまた、要求されている。
【0005】
具体的に言えば、現在の投影スクリーンのレンズ構造体を、3つの次元のうちの2つにおいて、0.36mm以下の値まで減少させる必要がある。
【0006】
一般に、後方投影スクリーンは、乏しい角度性に悩まされている。角度性とは、観察者が、スクリーン表面に対しておよそ垂直な角度以外の角度の範囲において、スクリーンまたはフィルタから良好な画像を見る能力を記載するために使用される用語である。この観察者がこのスクリーンまたはフィルタの側方に移動するにつれて、またはこのスクリーンまたはフィルタより高くまたは低く移動するにつれて、画像の明度および/または画質が低下する。角度明度は、対称または非対称であり得、そして画像の明度および/または角度明度が、意図された観察条件に最もよく適合するようにあつらえられ得る、スクリーンおよびフィルタを有することが望ましい。
【0007】
代表的に、観察者が最も位置しやすい領域に光を方向付けることによって、そのスクリーンの輝度の角度依存性を制御することは、有利である。例えば、後方投影ディスプレイがデータモニタである場合、観察者は、代表的に、このディスプレイに対して中心に位置し、そしてこのディスプレイから約1〜3フィート以内に位置する。この観察者の眼は、このスクリーンの中心に対して垂直な線より上方に位置するが、この観察者は、代表的に、このスクリーンより1フィートまたは2フィート上方までに長い距離から、このスクリーンを見ない。さらに、プライバシーまたはセキュリティの理由により、このスクリーンに対する垂直に対して、30度以上の角度において、このスクリーンから発する輝度を低下させることが望ましくあり得る。これによって、このスクリーンの軸から遠く離れた位置の、そしておそらく、このスクリーンの内容を見る権限を有さない人が、このスクリーン上の情報を見る可能性が低下する。
【0008】
高い解像度、高いコントラスト、および大きいゲインを有する後方投影スクリーンを提供することが、一般に望ましい。
【0009】
米国特許第4,431,266号(Mori)は、第一の表面および第二の表面を有する透明材料のプレートから構成される、光学反射器に関する。同じ大きさのセグメントレンズ要素が、このプレートの第一の表面および第二の凹面上に配置され、そしてこのプレートと一体的に形成される。第一の表面上のセグメントレンズ要素は、第二の表面上に配置されたセグメントレンズ要素に面する関係で位置する。
【0010】
米国特許第4,490,010号(Honda)は、スクリーンの前面および後面上の凸レンズのアレイから構成される、後方投影スクリーンに関する。突出部または隆起部分が提供され、これらは、前方凸レンズを囲み、そしてこのレンズの前方に延び、そして光マスキングストリップまたは層が、この突出部または隆起部分を覆って形成される。
【0011】
米国特許第5,066,09号(Yoshida)は、光がスクリーンの入射面の側から連続的に伝達される、1つ以上のシート部材を備える、後方投影スクリーン画像表示デバイスに関し、最後に、シート部材は、その基材としての透明材料、およびこの基材の出現の面の側に提供された光拡散層を備える。この光拡散器自体は、さらに増強されたコントラストを得る目的で、着色され得る。
【0012】
米国特許第5,870,224号(Saitoh)は、放射線硬化性樹脂を含有する円筒形レンズ部品が、透明支持体の片面に形成され、そして少なくとも光拡散層および光遮断ストライプが、このシートの反対側に位置する平坦な表面上に形成される、平面シートに関する。0.3mm以下の微細なピッチを有する円筒形レンズ部品が、得られ得る。
【0013】
米国特許第5,933,276号(Magee)は、シートの前表面および後表面に形成された、楕円形断面の凸レンズおよび凹レンズを備える、プラスチック材料から形成された、複数の透明な指向性観察シートに関する。
【0014】
米国特許第5,563,738号および同第5,781,344号(Vance)は、低い反射率を有する光透過性フィルタおよび光分散性フィルタに関する。この多層光フィルタは、光学層を基本的な屈折性光フィルタに付加して、光フィルタのゲイン、コントラストおよび周囲の光の拒絶の調節を可能にする。
【0015】
米国特許第6,076,933号(DiLoretら)は、透明なビーズの後表面上に光透過性材料の適合性層を付加した、Vanceによって記載される元と類似の光透過フィルタおよび分散フィルタを記載する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0016】
(発明の要旨)
本発明は、光透過性フィルタに関し、このフィルタは、以下を備える:(a)光吸収性材料の層であって、この層は、前表面および後表面を有する、層、ならびに(b)微細構造を有する第一の表面および微細構造を有する第二の表面を有する透明層であって、この第一表面の微細構造は、光吸収性層内に包埋されており、そして光吸収性層を通して光を透過させるための経路を提供し、そして光吸収性材料を実質的に充填された、微細構造の間の中間領域を形成する露出した表面を有し、そして第二の表面の微細構造は、第一の表面の微細構造と光学的に整列して、この経路を透過する光を制御する、透明層。
【0017】
本発明の1つの実施形態において、上記光透過性フィルタは、光学的に透明な適合性コーティングを備え、このコーティングは、透明層の微細構造を有する第二の表面を覆い、上記光フィルタの透過率を増加させ、そして/または上記光フィルタを通る光の分布を改変する。上記光透過性フィルタはまた、光吸収性層の前表面に接着された、クリア支持層を備え得る。
【0018】
本発明の光透過性フィルタは、改善された光スループットおよび改善された角度性を有する。角度輝度は、対称または非対称であり得、そして画像輝度および/または角度輝度が、意図される観察条件に最もよく適合するようにあつらえられ得る、スクリーンおよびフィルタを有することが望ましい。
【0019】
本発明は、さらに、光透過性フィルタを作製する方法に関し、この方法は、以下の工程を包含する:(1)第一の微細構造を有する表面および第二の微細構造を有する表面を有する透明フィルムを提供する工程であって、この第一の表面の微細構造が、これらの微細構造の間に中間領域を形成し、そして第一の表面の微細構造は、第二の表面の微細構造と光学的に整列している、工程;(2)第一の表面および第二の表面を有する光吸収性材料の層を提供する工程;ならびに(3)透明フィルムの第一の表面の微細構造を、光吸収性材料に、光吸収性層を通る光経路を形成するために充分な深さまで包埋させる工程であって、これらの微細構造の間の中間領域が、光吸収性材料で実質的に充填されている、工程。
【0020】
別の局面において、本発明は、光透過性フィルタを作製する方法に関し、この方法は、以下の工程を包含する:(1)第一の表面および第二の表面、ならびに第一の表面上の微細構造を有する、第一の透明フィルムを提供する工程;(2)微細構造を有する第一の表面および第二の表面を有する、第二の透明フィルムを提供する工程;(3)第一の表面および第二の表面を有する、光吸収性材料の層を提供する工程;(4)第一の透明フィルムの第一の表面の微細構造を、光吸収性層に、光吸収性層を通る光経路を形成するために充分な深さまで包埋する工程;ならびに(5)第一の透明フィルムの第二の表面を、第二の透明フィルムの第二の表面に積層する工程であって、これによって、第一の透明フィルムの微細構造が、第二の透明フィルムの微細構造と光学的に整列する、工程。
【0021】
以下に記載されるプロセス工程および構造は、完全な光透過性フィルタを製造するための完全なプロセス流れを形成しないことが、理解されるべきである。本発明は、当該分野において現在使用されている製造技術と組み合わせて実施され得、そして共通して実施されるプロセス工程が、本発明を理解するために必要である程度にのみ含まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
本明細諸および特許請求の範囲において、用語「微細構造」とは、ポリマーフィルム上の微細構造をいう。本明細書中で使用される場合、用語「微細構造」とは、その特徴の少なくとも2つの次元が微視的である特徴の構成を意味する。これらの特徴の局所的な図および/または断面図は、微視的でなければならない。光透過性フィルタの機能は、この微細構造の形態に依存し、この微細構造は、正の特徴および負の特徴からなり得る。
【0023】
本明細書中において使用される場合、用語「微視的」とは、その形状を決定するための任意の観察面から観察される場合に、裸眼に対する光学的補助を必要とするために十分に小さい寸法の特徴をいう。1つの基準が、Modem Optic Engineering,W.J.Smith,McGraw−Hill,1966,104−105頁に見出され、これによれば、視力の鋭さは、「認識され得る最も小さい特徴の角度サイズの観点で規定および測定される」。正常な視力の鋭さは、最も小さい認識可能な文字が、網膜の円弧の5分の角度高さに対する場合であるとみなされる。250mm(10インチ)の代表的な作業距離において、これは、この物体に対して0.36mm(0.0145インチ)の横方向寸法を生じる。
【0024】
この微細構造は、高さ、長さおよび幅を有する、一連の特徴を含む。1つの実施形態において、これらの微細構造は、独立して、約2.5〜約360ミクロン、または約10〜約300ミクロン、または約15〜約500ミクロン、または約20〜約250ミクロン、または約25〜約200ミクロン、または約25〜約125ミクロンの幅寸法を有する。1つの実施形態において、これらの微細構造は、約15〜約35ミクロンの平均高さを有し、そして幅が約50〜約360ミクロンである。この高さはこの微細構造の頂点から、この微細構造の最も深い凹部まで測定される。
【0025】
この微細構造は、当業者に公知の多くの種々の方法によって、作製され得る。微細構造を形成する得に有用な方法は、米国特許第4,486,363号、同第4,601,861号、同第5,156,863号、ならびに特許出願公開番号U.S.2003/0102591およびU.S.2001/0009172(これらの開示は、本明細書中に参考として援用される)に詳述されている。利用され得る別の方法は、キャスティングおよび硬化の方法であり、この方法において、重合性組成物が、基材と、微細構造の反転である構造物を有する成型工具との間に適用される。この組成物は、UV照射の下で重合され、次いで、この工具から分離される。
【0026】
上記のように、光透過性フィルタは、以下を備える:(a)光吸収性材料の層であって、前表面および後表面を有する、層、ならびに(b)微細構造を有する第一の表面および微細構造を有する第二の表面を有する透明層であって、この第一の表面の微細構造は、光吸収性層に包埋されており、そして露出した表面を有し、光吸収性層を通る光の透過のための経路を提供し、そして光吸収性材料で実質的に充填された微細構造の間の中間領域を形成し、そして第二の表面の微細構造は、この経路を通って透過される光を制御するように、第一の表面の微細構造と光学的に整列される。本明細書中において使用される場合、「光学的に整列される」とは、透明層の微細構造を有する第二の(例えば、後)表面に当たる光が、この透明層の第一の表面の微細構造によって提供される光吸収性層を通る経路内に集束されることを意味する。
【0027】
この光吸収性層は、多数の目的を果たし、これらの目的としては、光フィルタの反射率を低下させること、後表面からフィルタ内の微細構造の間の中間領域を通り、観察者へと透過される光の量を減少させること、およびこのフィルタのコントラストを増強することが挙げられる。この層は、一般に、透明層の第一の表面の微細構造を包埋するために十分な厚さを有する、この微細構造の包埋は、この微細構造が、光吸収性層を通る光トンネルを形成する、露出した表面を有するようにである。個々の微細構造の間の中間領域は、光吸収性材料で実質的に充填されるか、または完全に充填される。本明細書中において使用される場合、用語「実質的に」とは、中間領域の面積の大部分(すなわち、50%より多く)が充填されることを意味する。1つの実施形態において、この領域は、全領域の少なくとも60%、または少なくとも75%、または少なくとも90%まで充填される。これらの微細構造は、光吸収性層から突出して、光吸収性層を通る光の透過率のための経路を提供する。
【0028】
光吸収性層は、実質的に不透明な任意の材料であり得、そして透明層の第一の表面の透明な微細構造に包埋されて、不透明層を通る光のトンネルを形成し得る。この光吸収性層は、この透明な微細構造がこの光吸収性層に対して押される場合に曲がるために十分に従順な材料(例えば、部分的もしくは不完全に架橋したウレタン、感圧性接着剤、または熱の添加を伴い、熱可塑性ポリマー)であり得る。この光吸収性材料はまた、微細構造の周りを形成し得る材料(例えば、アスファルトまたは接着剤(有色感圧性接着剤))であり得る。
【0029】
代表的に、光吸収性層は、1種以上の顔料の組み合わせ(通常、カーボンブラック、または他の着色剤)、および1種以上のポリマー(例えば、ポリオレフィン、ポリアクリレート、ポリ酢酸ビニル(例えば、ポリビニルブチラール(例えば、Solutiaから入手可能なButvar樹脂))、ポリウレタン、ポリエステルまたはポリビニルカルボキシレート)を含有する。このポリオレフィンは、C2〜12オレフィン(例えば、エチレン、プロピレン、およびブチレン)のホモポリマーおよびコポリマーであり得る。ポリアクリレート(ポリメタクリレートを含む)は、C2〜12アクリレートモノマーまたはC2〜12メタクリレートモノマー(例えば、アクリル酸またはメタクリル酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル、ヘキシルエステル、またはオクチルエステル)のホモポリマーまたはコポリマーであり得る。本明細書および特許請求の範囲におけるこの箇所および他の箇所において、ペンダント基についての用語は、その基の全ての異性体形態を含むように意味する。例えば、用語オクチルの使用は、n−オクチル基、イソオクチル基、および2−エチルヘキシル基を網羅することが意図される。ポリビニルカルボキシレートは、C1〜12ビニルカルボキシレート(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルおよび酪酸ビニル)のホモポリマーまたはコポリマーを包含する。有用な市販のポリアクリレートの例としては、ICI製のAcrylic HI−7およびRohm & Haas製のAcrylic MI−7が挙げられる。光吸収性層は、約2重量%〜約10重量%の顔料および/または着色剤を含有し得る。
【0030】
あるいは、光吸収性層は、感光性フィルムであり得、この場合、その光学密度は、化学線作用を有する光への曝露によって変化し得る。周囲の光条件に応答してその吸収を自動的に調節する、フォトクロミック材料もまた、使用され得る。フィルムおよびポリマー系の材料に加えて、光吸収性は、ワイヤメッシュまたは穿孔された金属シートもしくはポリマーシート、あるいはワイヤメッシュとポリマーとの組み合わせであり得る。
【0031】
1つの実施形態において、光吸収性層の前表面は、フィルタの頑丈さを改善するために、光学的にクリアな支持層によって支持され得る。この光学的にクリアな支持層は、ガラスまたはポリマーであり得る。この支持層は、包埋プロセスの間の、透明な微細構造を有する層によって付与される圧力に抵抗しなければならない。この支持層は、接着剤、積層、または同時押出成型の結果として、光吸収性層に接着され得る。この支持層は、光吸収性層に対する支持ポリオレフィン(例えば、メタロセン触媒から得られるポリオレフィン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニリデンジクロリド、セロファン、酢酸セルロース、ポリビニリデンジフルオリド、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、およびポリビニルカルボキシレート))を提供するために十分な強度を有し、そして光学的にクリアな特徴を有する、任意の材料であり得る。支持層の例としては、ガラス、ポリアクリル、ポリカーボネート、ポリウレタン(例えば、2部分ポリウレタン)、およびポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート)が挙げられる。
【0032】
1つの実施形態において、支持層の主要な表面のうちの少なくとも1つは、支持層から出る光を光学的に散乱させるために、テクスチャー加工されるかまたはランダムに艶消しされる。例えば、光吸収性と接触する支持層の表面は、テクスチャー加工される。あるいは、支持層の外側表面が、テクスチャー加工され得る。
【0033】
上記のように、光透過性フィルタは、第一の表面および第二の表面に微細構造を有する透明層を備える。この第一の表面の微細構造は、この透明層の第二の表面の微細構造とは別に形成され得る。あるいは、第一の表面および第二の表面の微細構造は、同時に形成され得る。
【0034】
この透明層は、代表的に、約10から約500ミクロン、または約15から約375ミクロン、または約25〜約250ミクロンの厚さを有する。この厚さは、第一の表面の微細構造の最高地点または頂点から、第二の表面の微細構造の最高地点または頂点まで測定される。
【0035】
この透明層は、代表的に、微細構造を形成することが可能な任意の光学的にクリアなポリマーから構成される。光学的にクリアなポリマーとしては、光吸収性層に関して上に記載されたポリマーが挙げられる。1つの実施形態において、この透明層は、ポリオレフィン(例えば、メタロセン触媒から得られる光学的にクリアなポリオレフィン)、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート)、ポリビニリデンジクロリド、セロファン、酢酸セルロース、ポリビニリデンジフルオリド、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、およびポリビニルカルボキシレートから形成される。1つの実施形態において、この透明層は、ポリカーボネート、ポリオメチルメタクリレート、またはウレタンから形成される。
【0036】
第一の表面上の微細構造は、光吸収性層に包埋されて、光吸収性層を通る光のための経路を形成する。このような経路を提供する任意の微細構造が使用され得るが、但し、光のスループットは、後方投影フィルタおよび/またはスクリーンのために十分である。微細構造としては、円柱、円錐、角錐、矩形、半球、正方形、六角形、隆起、および/またはこれらの2つ以上の組み合わせが挙げられる。円錐および角錐は、切頭形であり得る。1つの実施形態において、微細構造は、その最も狭い領域が、透明層の表面から外向きに延びた状態で使用されて、点または線のセグメントの光経路を形成する。
【0037】
円柱形または矩形の構造体が、その長い辺を下にして配置されて、透明層に対して平行に延びる寸法の最も長い部分から、線セグメントの光経路を形成し得ることが、理解されるべきである。例えば、小型テントまたは組み立て住宅のような微細構造が、線セグメントである光経路を形成する。この実施形態において、微細構造の長さは、この微細構造の幅の約0.5〜約50倍、または約1〜約35倍、または約1.5〜約10倍、または約1〜約5倍である。本明細諸および特許請求の範囲のこの箇所および他の箇所において、範囲および費の限定は、組み合わせられ得る。微細構造が、線セグメントの光経路を作製する場合、この微細構造は、平行な光経路を形成し得るか、または他の角度(ワッフルパターンを作製する特定の角度)の光経路を形成し得ることが、理解されるべきである。
【0038】
1つの実施形態において、透明層の微細構造は、艶消し仕上げまたはテクスチャー加工された仕上げを有する。この微細構造はまた、微細構造の表面に、粒子艶消しを含み得る。テクスチャー加工または艶消しでの仕上げは、斑点形成を減少させることを補助する。
【0039】
本発明の1つの実施形態において、フィルタは、光学的にクリアな、実質的に均一な適合性層を、透明層の第二の(例えば、後)表面の微細構造上に備える。この層は、代表的に、微細構造の長さの約10%〜約90%、またはこの微細構造の約20%〜約80%、または約30%〜約70%の厚さを有する。この層は、光透過性フィルタのために必要とされる光学的透明性を有する、任意のポリマーを含み得る。代表的に、これらのポリマーは、ポリオレフィン(例えば、メタロセン触媒から得られる光学的にクリアなポリオレフィン);ポリアクリレート;ポリメタ黒レート;ポリカーボネート;ポリウレタン;ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート);ポリビニリデンジクロリド;セロファン;酢酸セルロース;ポリビニリデンジフルオリド;ポリ塩化ビニル;ポリビニルブチラールおよびポリビニルカルボキシレートである。
【0040】
この光フィルタは、透明層への適合性コーティングの接着を改善するためのタイ層を有し得る。このタイ層は、この接着を改善する任意の材料であり得る。別の実施形態において、この透明層および光吸収性層は、接着を改善するように処理され得る。適切なタイ層の樹脂の例としては、Elf Atochemから入手可能な「Platamid」、DuPontから入手可能な「CXA」、およびChemplexから入手可能な「Plexar」が挙げられる。
【0041】
1つの実施形態において、光学的にクリアな材料の適合された層の後表面は、斑点形成の減少を生じる、テクスチャー加工された仕上げを有する。このテクスチャー加工された仕上げは、反射された光を、最小の効果で、全光透過に散乱させ、これによって、斑点形成を減少させる。1つの実施形態において、このテクスチャー加工された仕上げは、艶消し仕上げであり得るか、またはこの仕上げは、断面が光吸収材料の表面に対して平行にとられる場合に、非常に小さい円、楕円、ひし形、正方形、矩形、三角形、多角形、線、もしくは不規則な形状から作製される断面を有する三次元パターンを備え得る。適合された層の後表面上にテクスチャー加工された仕上げを形成するために使用され得る、表面にテクスチャー加工された仕上げを作製するためのいくつかの手順および技術が、当業者に公知である。例えば、光学的にクリアな材料の適合性層の後表面が、テクスチャー加工されえ、その後、テクスチャー加工された仕上げまたは艶消し仕上げを有するフィルムまたは紙と接触させることによって、微細構造に適合され得る。フィルムと適合性層との表面が圧力によって接合される場合に、このフィルム上の仕上げは、適合性層の表面に複製される。あるいは、例えば、リリースライナー上に堆積された適合性層の所望の表面は、加熱されたローラ(このうちの少なくとも1つは、テクスチャー加工された表面を有する)にこの構築物を通過させることによって、テクスチャー加工され得る。別の方法において、このテクスチャー加工は、キャスティングシートのポリマーコーティングされた表面の面上に、テクスチャー加工された表面を最初に印刷することによって、適合された層の後表面上に付与され得る。この印刷は、通常の印刷技術(例えば、フレキソグラフィー(Flexo)およびロトグラビア(gravure))を使用してなされ得る。熱および圧力が、このテクスチャーをポリマーコーティングされたキャスティングシートの面にプレスするために使用され、その結果、この印刷の頂部は、ポリマーコーティングされた表面と実質的に同一面にある。次いで、この適合性層は、テクスチャー加工された表面上に、例えば、積層によって適用され、これによって、適合性層の後表面上に、テクスチャー加工または印刷された表面を複製する。
【0042】
光フィルタは、光透過性層であるさらなる層を、その前表面または後表面のいずれかに備えて、この光フィルタを通る光をさらに制御し得る。このようなさらなる層としては、例えば、平面レンズ、バレルレンズおよびフレネルレンズが挙げられる。
【0043】
本発明は、図を参照することによって、さらに理解され得る。図1は、光フィルタの中間構成の1つの実施形態の断面図である。構築物10は、光吸収性層13に包埋された微細構造12を有する、透明層11を有する。光学的にクリアな支持層14が、必要に応じて、光吸収性層13の前表面に接着される。中間領域16が、ここの微細構造の間に形成され、そして光吸収性材料で実質的に充填される。光吸収性層13を通る光透過のための経路17が、透明層の微細構造12によって提供される。
【0044】
図2は、本発明の光フィルタの1つの実施形態を図示する。光フィルタ20は、その前表面に微細構造22を融資、そしてその後表面に微細構造25を有する、透明層21を有する。前表面の微細構造22は、光吸収性層23に包埋される。中間領域26は、個々の微細構造の間に形成される。光学的にクリアな支持層24が、必要に応じて、光吸収性層23の前表面に接着される。光吸収性層23を通る光透過のための経路27が、微細構造22によって提供される。微細構造25および22は、透明層21を同時にかまたは順番に微細エンボス加工することによって、作製され得る。あるいは、微細構造22は、第一の透明層に形成され得、次いで、微細構造25を有する第二の透明層に積層され得る。得られる積層体は、透明層21を含む。積層は、光吸収性層23への微細構造22の包埋の前または後に行われ得る。微細構造25は、微細構造22と光学的に整列されて、経路27を通って通過される光を制御する。微細構造25は、微細構造22と同じかまたは異なる寸法を有し得る。
【0045】
図3は、前表面にさらなるレンズを備える、光フィルタの実施形態を示す。光フィルタ30は、前表面に微細構造32を有し、そして後表面に微細構造35を有する、透明層31を有する。前表面の微細構造32は、光吸収性層33に包埋される。支持するために、層34は、図示される円形の外形の断面を有する円柱形レンズ36を接着される。この断面に対する他の形状もまた、可能である。円柱形レンズ層36は、露出される表面37が、図示されるものより平坦であるか、またはより細長いかのいずれかであるように、選択的に形成され得る。より平坦な露出表面37、およびその逆に、より細長い露出表面37は、露出表面37の頂点からより離して、光を分散させる傾向がある。
【0046】
図4は、光フィルタ40が、その前表面に微細構造42を有し、そしてその後表面に微細構造45を有する、透明層41を有する実施形態を図示する。前表面の微細構造42は、光吸収性層43に包埋される。光学的にクリアな支持層44が、必要に応じて、光吸収性層43の前表面に接着される。微細構造45は、半球の形状である。微細構造45は、必要に応じて、テクスチャー加工された仕上げを有し得る。
【0047】
図5は、光フィルタ50が、その前表面に微細構造52を有し、そしてその後表面に微細構造55を有する、透明層51を有する別の実施形態を図示する。前表面の微細構造52は、光吸収性層53に包埋される。光学的にクリアな支持層44が、必要に応じて、光吸収性層53の前表面に接着される。微細構造45は、円柱または「組み立て住宅」の形状である。微細構造55は、必要に応じて、テクスチャー加工された仕上げを有し得る。
【0048】
図6は、光フィルタ60が、その前表面に微細構造62を有し、そしてその後表面に微細構造65を有する、透明層61を有する、なお別の実施形態を図示する。前表面の円錐形の微細構造62は、光吸収性層63に包埋される。光学的にクリアな支持層64が、必要に応じて、光吸収性層63の前表面に接着される。
【0049】
図7は、光フィルタ70が、その前表面に微細構造72を有し、そしてその後表面に微細構造75を有する、透明層71を有する、なお別の実施形態を図示する。前表面の円柱形の微細構造72は、光吸収性層73に包埋される。光学的にクリアな支持層74が、必要に応じて、光吸収性層73の前表面に接着される。光学的にクリアな支持層74が、必要に応じて、光吸収性層73の前表面に接着される。
【0050】
光透過性フィルタを作製する方法は、熱積層により得る。透明層の微細構造が、光吸収性層上に、熱および圧力を用いてプレスされて、光経路を形成する。この微細凹増は、光吸収性層内に延び、そして代表的に、この光吸収性層を通る。積層温度および圧力は、種々の層において使用される材料(ポリマー)に依存し、そして一般に、積層は、約175°F(799℃)〜約400°F(204℃)、または約250°F(121℃)〜約350°F(177℃)の温度で行われる。積層圧力は、代表的に、約50psi〜約150psi、または約75〜約125psiである。
【0051】
1つの実施形態において、本発明は、光透過性フィルタを調製する方法に関し、この方法は、以下の工程を包含する:(1)第一の微細構造を有する表面および第二の微細構造を有する表面を有する透明フィルムを提供する工程であって、この第一の表面の微細構造が、これらの微細構造の間に中間領域を形成し、そして第一の表面の微細構造は、第二の表面の微細構造と光学的に整列している、工程;(2)第一の表面および第二の表面を有する光吸収性材料の層を提供する工程;ならびに(3)透明フィルムの第一の表面の微細構造を、光吸収性材料に、光吸収性層を通る光経路を形成するために充分な深さまで包埋させる工程であって、これらの微細構造の間の中間領域が、光吸収性材料で実質的に充填されている、工程。1つの実施形態において、透明層の第二の表面は、更なるレンズ構造体(例えば、フレネルレンズが挙げられる)によって覆われ得る。1つの実施形態において、この方法は、光学的にクリアな支持層を、光吸収性の第一の表面に接着する工程をさらに包含する。
【0052】
別の実施形態において、本発明は、光透過性フィルタを調製する方法に関し、この方法は、以下の工程を包含する:(1)第一の表面および第二の表面、ならびに第一の表面上の微細構造を有する、第一の透明フィルムを提供する工程;(2)微細構造を有する第一の表面および第二の表面を有する、第二の透明フィルムを提供する工程;(3)第一の表面および第二の表面を有する、光吸収性材料の層を提供する工程;(4)第一の透明フィルムの第一の表面の微細構造を、光吸収性層に、光吸収性層を通る光経路を形成するために充分な深さまで包埋する工程;ならびに(5)第一の透明フィルムの第二の表面を、第二の透明フィルムの第二の表面に積層する工程であって、これによって、第一の透明フィルムの微細構造が、第二の透明フィルムの微細構造と光学的に整列する、工程。積層する工程は、微細構造を包埋する工程の前または後に行われ得る。
【0053】
図8a〜fは、光フィルタを作製する方法の実施形態の断面図である。図面にわたって、同じ構造体は、同じ番号を与えられる。透明層801が、エンボス加工されて、複数の微細構造802を形成する。透明フィルタ801が、成型層803および支持層804を備える保護支持体にプレスされる。成型層803は、透明層801に熱積層され、そして微細構造802が、成型層803に包埋され、これによって、微細構造表面が、引き続く処理工程による損傷から保護される。1つの実施形態において、透明層のVicat軟化点が、成型層803のVicat軟化点より高いことが望ましい。この成型層は、適切なVicat軟化点を有する任意の熱可塑性ポリマーであり得る。この成型層が、透明層801と類似の性質のポリマーから構成される場合、シリコーンリリースライナーの層(例えば、感圧性接着剤ライナーのために使用される層)が、この層の分離の容易さを増強するために使用され得る。1つの実施形態において、成型層803は、ポリオレフィン(例えば、低密度、中密度、および高密度のポリメチレン、プロピレンまたはこれらの混合物)から構成される。成型層の低いVicat軟化点は、この微細構造の表面に一致させるための軟化および/または融解による光フィルタの製造の間、この微細構造を保護することを補助する。調製の圧力および温度の下で、これらの微細構造は、成型層にプレスされる。
【0054】
図8bは、透明層801の微細構造802が、成型層803にプレスされることを図示する。図8cにおいて、透明層801の第二の表面がエンボス加工されて、第二の複数の微細構造805を形成する。第二の複数の微細構造は、第一の複数の微細構造802と同じかまたは異なる大きさであり得る。図得8dは、クリアな支持層807上への光吸収性材料806の構築物からの、光フィルタの形成を図示する。微細構造805は、光吸収性材料806にプレスされて、光経路を形成する。図8eは、クリアな支持層807上の光吸収性材料806に包埋された微細構造805を有する、熱積層された構造体を図示する。微細構造802を有する光透過性層801は、支持層804上の成型層803に積層されたままである。図8fは、支持体804上の成型層803を除去して光フィルタを残すことによって、光フィルタを作製する最終工程を図示する。
【0055】
図9a〜fは、光フィルタが透明層の後表面の微細構造上に適合性コーティングを備える、本発明の実施形態を図示する。透明層901は、エンボス加工されて、複数の微細構造902を形成する。透明フィルタ901は、成型層903および支持層904を備える、保護支持体にプレスされる。成型層903上に、層908がコーティングされ、この層は、適合性コーティングの組成を含む。上に適合性コーティング908を有する成型層903は、透明層901に熱積層され、そして微細構造902が、成型層903に包埋される。これによって、微細構造を有する表面が、引き続く処理工程の間に損傷されることから保護される。
【0056】
図9bは、透明層901の微細構造902が成型層903にプレスされることを図示する。適合性層908は、微細構造の形状に適合する。図9cにおいて、透明層901の第二の表面が、エンボス加工されて、第二の複数の微細構造905を形成する。この第二の複数の微細構造は、第一の複数の微細構造902と同じかまたは異なる大きさであり得る。図9dは、クリアな支持層907上の光吸収性材料906の構築物からの、光フィルタの形成を図示する。微細構造905は、光吸収性材料906に、光吸収性材料906を通る光経路を形成するために十分な深さまでプレスされる。図9eは、クリアな支持層907上の光吸収製材料906に包埋された微細構造905を有する、熱積層された構造体を図示する。微細構造902を有する光透過性層901は、成型層903に積層されたままであり、適合性層908は、微細構造902に接着されている。図9fにおいて、支持層904および成型層903は、この構築物から除去される。この構築物の残りの部分は、光フィルタを構成する。
【0057】
以下は、本発明の光フィルタの調製の実施例である。これらの実施例は、説明であり、そして本発明の範囲を限定するとは解釈されない。実施例ならびに本明細書および特許請求の範囲の他の箇所において他に示されない限り、温度は、℃であり、部および百分率は、重量により、そして圧力は、大気圧またはその近くである。
【実施例】
【0058】
(実施例1)
衝撃修飾されたアクリル(例えば、Ineos Acrylic製のCP−927)の透明層の前面を、熱および圧力を用いて微細エンボス加工し、約75ミクロンの直径を有する半球を形成する。この透明層の後面を、同時に、同じ直径の逆の半球(この半球が細長いことを除く)で微細エンボス加工する。細長い半球を含む表面を、熱および圧力を使用して、ポリエチレンテレフタレート上の低密度ポリエチレンコーティングの層からなる保護基材に積層する。前表面を、Morton International GmbHから市販されている熱可塑性ウレタンS−9815−03(10%の微細に分散したカーボンブラックを含有する)の不透明な層に積層し、その結果、各半球の頂点が、この層を通ってちょうど突出し、この透明層を通る光トンネルを形成する。この保護層を除去し、そしてこの構築物を、光学接着剤を使用して、細長い半球が露出されるように、ガラスのシートに積層する。
【0059】
(実施例2)
ポリカーボネートの透明層の前面を、熱および圧力を用いて微細エンボス加工して、約75ミクロンの直径を有する半球を形成する。この前表面を、Morton International GmbHから市販されている熱可塑性ウレタンS−9815−03(10%の微細に分散したカーボンブラックを含有する)の不透明な層に積層し、その結果、各半球の頂点が、この層を通ってちょうど突出し、この透明層を通る光トンネルを形成する。この構築物を、光学接着剤を使用して、ガラスのシートに積層する。半球を形成するように微細エンボス加工された表面を有するポリメチルメタクリレートの別の透明層を、このポリカーボネート層の後面に、光学接着剤を使用して、このポリメチルメタクリレート層の半球が露出するように、積層する。
【0060】
本発明を、その好ましい実施形態に関して説明したが、本発明の種々の改変が、本明細書を読む際に、当業者に明らかになることが、理解されるべきである。従って、本明細書中に開示される本発明は、添付の特許請求の範囲の範囲に入るような改変を網羅することが意図されることが、理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】図1は、クリア支持層と接触した、第一の微細構造を有する表面を図示する、本発明の光透過性フィルタの中間の断面図である。
【図2】図2は、第一の微細構造を有する表面および第二の微細構造を有する表面を有する、本発明の光透過性フィルタの断面図である。
【図3】図3は、クリア支持層の前表面にレンズを備える、本発明の光透過性フィルタの断面図である。
【図4】図4は、第二の表面の微細構造が平面レンズを形成している、光透過性フィルタの三次元図である。
【図5】図5は、第二の表面の微細構造がバレルレンズを形成している、光透過性フィルタの三次元図である。
【図6】図6は、第一の表面の微細構造が円錐形構造体である、光透過性フィルタの断面図である。
【図7】図7は、第一の表面の微細構造が円柱形構造体である、光透過性フィルタの断面図である。
【図8】図8a〜8fは、光透過性フィルタを作製する1つの実施形態の断面図である。
【図9】図9a〜9fは、第二の微細構造を有する表面上に、光学的にクリアな適合性コーティングを有する、光透過性フィルタを作製する1つの実施形態の断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性フィルタであって、以下:
(a)光吸収性材料の層であって、該層は、前表面および後表面を有する、層、ならびに
(b)微細構造を有する第一の表面および微細構造を有する第二の表面を有する、透明層であって、該第一の表面の微細構造が、該光吸収性層に包埋されており、そして露出した表面を有し、該露出した表面は、該光吸収性を通して光を透過するための経路を提供し、そして該光吸収性材料を実質的に充填された該微細構造の間の中間領域を形成し、そして該第二の表面の微細構造は、該第一の表面の微細構造と光学的に整列して、該経路を通って透過される光を制御する、透明層、
を備える、光透過性フィルタ。
【請求項2】
前記光吸収性層が、ポリマー材料および少なくとも1種の顔料または着色料を含む、請求項1に記載のフィルタ。
【請求項3】
前記光吸収性層が、ポリアクリレート、ポリウレタン、またはポリビニルアセタール、および少なくとも1種の顔料または着色料を含む、請求項1に記載のフィルタ。
【請求項4】
前記透明層が、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリウレタンまたはこれらの2つ以上の混合物を含む、請求項1に記載のフィルタ。
【請求項5】
前記透明層が、ポリアクリレートを含む、請求項1に記載のフィルタ。
【請求項6】
前記第一の表面の微細構造が、約250ミクロンまでの高さを有する、請求項1に記載のフィルタ。
【請求項7】
前記第一の表面の微細構造が、約25〜約125ミクロンの高さを有する、請求項1に記載のフィルタ。
【請求項8】
前記透明層の前記第一の表面が、平面レンズ、バレルレンズ、またはこれらの組み合わせで覆われている、請求項1に記載のフィルタ。
【請求項9】
前記第一の表面の微細構造が、円柱、切頭円錐、角錐、矩形、半球、正方形、六角形、隆起、および/またはこれらの2つ以上の組み合わせを含む、請求項1に記載のフィルタ。
【請求項10】
前記透明層の前記第二の層が、フレネルレンズで覆われている、請求項1に記載のフィルタ。
【請求項11】
前記透明層が、多層フィルムを含む、請求項1に記載のフィルタ。
【請求項12】
前記第二の表面の微細構造が、約300ミクロンまでの高さを有する、請求項1に記載のフィルタ。
【請求項13】
前記第二の表面の微細構造が、前記第一の表面の微細構造と同じ寸法を有する、請求項1に記載のフィルタ。
【請求項14】
前記第二の表面の微細構造が、半球を含む、請求項1に記載のフィルタ。
【請求項15】
前表面および後表面を有する、光学的にクリアな支持層をさらに備え、該後表面が、前記光吸収性層の前記前表面に接着されている、請求項1に記載のフィルタ。
【請求項16】
前記クリアな支持層が、ガラス、または光学的にクリアなポリマーフィルムを含む、請求項15に記載のフィルタ。
【請求項17】
前記クリアな支持層が、ポリエステル、ポリウレタンまたはポリアクリレートを含む、請求項15に記載のフィルタ。
【請求項18】
前記クリアな支持層の前表面が、平面レンズ、バレルレンズ、またはこれらの組み合わせで覆われている、請求項15に記載のフィルタ。
【請求項19】
前記微細構造を有する第二の表面が、テクスチャー加工された仕上げを有する、請求項1に記載のフィルタ。
【請求項20】
光学的にクリアな、実質的に均一な適合性層をさらに備え、該適合性層が、前表面および後表面を有し、該前表面が、前記透明層の前記微細構造を有する第二の表面を覆っている、請求項1に記載のフィルタ。
【請求項21】
前記適合性層が、約2.5ミクロンから約270ミクロンの平均厚さを有する、請求項20に記載のフィルタ。
【請求項22】
前記適合性層が、ポリビニルブチラール、ポリウレタンまたはポリエステルを含む、請求項20に記載のフィルタ。
【請求項23】
前記適合性層の後表面が、テクスチャー加工された仕上げを有する、請求項20に記載のフィルタ。
【請求項24】
光透過性フィルタを作製する方法であって、以下の工程:
(1)第一の微細構造を有する表面および第二の微細構造を有する表面を有する、透明フィルムを提供する工程であって、該第一の表面の微細構造が、該微細構造の間の中間領域を形成しており、そして該第一の表面の微細構造が、該第二の表面の微細構造と光学的に整列されている、工程;
(2)第一の表面および第二の表面を有する、光吸収性材料の層を提供する工程;ならびに
(3)該透明フィルムの第一の表面の微細構造を、該光吸収性材料に、前記光吸収性層を通る光の経路を形成するために充分な深さまで包埋する工程であって、該微細構造の間の中間領域が、該光吸収性材料を実質的に充填されている、工程、
を包含する、方法。
【請求項25】
前記第一の表面の微細構造が、約250ミクロンまでの高さを有する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記第一の表面の微細構造が、円柱、切頭円錐または切頭角錐、矩形、半球、正方形、六角形、隆起、および/あるいはこれらの2つ以上の組み合わせを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記透明層の第二の表面が、フレネルレンズで覆われている、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記第二の表面の微細構造が、約300ミクロンまでの高さを有する、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
前記第二の表面の微細構造が、前記第一の表面の微細構造と同じ寸法を有する、請求項24に記載の方法。
【請求項30】
前記第二の表面の微細構造が、半球を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項31】
光学的にクリアな支持層を、前記光吸収性層の第一の表面に接着する工程をさらに包含する、請求項24に記載の方法。
【請求項32】
前記クリアな支持層が、ガラス、または光学的にクリアなポリマーフィルムを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
適合性コーティングを、前記透明層の第二の表面の微細構造に適用する工程をさらに包含する、請求項24に記載の方法。
【請求項34】
光透過性フィルタを作製する方法であって、以下の工程:
(1)第一の表面および第二の表面、ならびに該第一の表面上の微細構造を有する、第一の透明フィルムを提供する工程;
(2)微細構造を有する第一の表面および第二の表面を有する、第二の透明フィルムを提供する工程;
(3)第一の表面および第二の表面を有する、光吸収性材料の層を提供する工程;
(4)該第一の透明フィルムの第一の表面の微細構造を、該光吸収性層内に、該光吸収性層を通る光の経路を形成するために充分な深さまで包埋する工程;ならびに
(5)該第一の透明フィルムの第二の表面を、該第二の透明フィルムの第二の表面に積層する工程であって、その結果、該第一の透明フィルムの微細構造が、該第二の透明フィルムの微細構造と光学的に整列する、工程、
を包含する、方法。
【請求項35】
前記積層する工程が、前記微細構造を包埋する工程の前に実施される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記積層する工程が、前記微細構造を包埋する工程に引き続いて実施される、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記第一の透明フィルムの微細構造が、約250ミクロンの高さを有する、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
前記第一の透明フィルムの微細構造が、円柱、切頭円錐または切頭角錐、矩形、半球、正方形、六角形、隆起、および/あるいはこれらの2つ以上の組み合わせを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記第二の透明フィルムの微細構造が、約300ミクロンまでの高さを有する、請求項34に記載の方法。
【請求項40】
前記両方のフィルムの微細構造が、実質的に同じ寸法である、請求項34に記載の方法。
【請求項41】
前記第二の透明フィルムの微細構造が、半球を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項42】
光学的にクリアな支持層を、前記光吸収性層の第一の表面に接着する工程をさらに包含する、請求項34に記載の方法。
【請求項43】
前記クリアな支持層が、ガラス、または光学的にクリアなポリマーフィルムを含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
適合性コーティングを、前記第二の透明層の微細構造に適用する工程をさらに包含する、請求項34に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2006−520017(P2006−520017A)
【公表日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−507126(P2006−507126)
【出願日】平成16年3月12日(2004.3.12)
【国際出願番号】PCT/US2004/007615
【国際公開番号】WO2004/081650
【国際公開日】平成16年9月23日(2004.9.23)
【出願人】(594177391)エーブリー デニソン コーポレイション (26)
【氏名又は名称原語表記】Avery Dennison Corporation
【Fターム(参考)】