説明

微小共振器及び通信装置

【課題】 振動子の中心周波数のばらつきを低減する微小共振器を提供するものである。
【解決手段】 ビーム長によって共振周波数f1,f2が異なる複数のビーム型の振動子素子25,26を有し、 内側から外側に向ってビーム長が大きくなる順に前記複数の振動子素子25,26が配置されて成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電駆動するビーム型振動子からなる微小共振器、及びこの微小共振器をフィルタとして備えた通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロマシン(MEMS:Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いて作製された微小振動子が知られている。半導体プロセスを用いて作製された微小振動子は、デバイスの占有面積が小さいこと、高Q値を実現できること、他の半導体デバイスとの集積化が可能であること、という特長により、無線通信デバイスの中でも高周波フィルタとしての利用がミシガン大学を始めとする研究機関から提案されている(非特許文献1参照)。
【0003】
図18に、上述の高周波フィルタを構成する微小振動子、すなわち静電駆動のビーム型振動子の概略を示す。この振動子1は、半導体基板2上に絶縁膜3を介して例えば多結晶シリコンによる入力側配線層7と出力電極4が形成され、この出力電極4に対向して空間5を挟んで振動板となる電極、所謂ビーム(梁)6が形成されて成る。ビーム6は両端のアンカー部(支持部)8(8A,8)にて支持されるようにブリッジ状に跨いで入力側配線層7に接続される。ビーム6は入力電極となる。入力側配線層7より入力端子t1が、出力電極4より出力端子t2が夫々導出される。この振動子1は、ビーム6と接地間に直流バイアス電圧(以下、DCバイアス電圧という)V1が印加された状態で、入力端子t1を通じて高周波信号S1が供給される。すなわち、入力端子t1からDCバイアス電圧V1と高周波信号S1が供給されると、長さで決まる固有振動数を有するビーム6が、出力電極4とビーム6間に生じる静電力で振動する。この振動によって、出力電極4とビーム6との間の容量の時間変化とDCバイアス電圧に応じた高周波信号が出力電極4(従って、出力端子t2)から出力される。高周波フィルタではビーム6の固有振動数(固有周波数)に対応した信号が出力される。
【0004】
【非特許文献1】C.T.-Nguyen,Micromechanicalcomponents for miniaturized low-power communications(invited plenary),proceedings,1999 IEEEMTT-S International Microwave Symposium RF MEMS Worksh′op,June,18,1999,pp,48-77
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
先行技術として静電駆動のビーム型振動子の他の構成を図17に示す。この振動子11は、例えば半導体基板12上に絶縁膜13を介して入力電極14及び出力電極15が形成され、この入力電極14及び出力電極15に対向して空間16を挟んで振動板となる電極、いわゆるビーム(梁)17が形成されて成る。ビーム17は、入出力電極14、15をブリッジ状に跨ぎ、入出力電極14、15の外側に配置した配線層18に接続されるように、両端をアンカー部(支持部)19(19A,19B)で一体に支持される。入力電極14から入力端子t1が導出され、入力端子t1を通じて高周波信号S1が入力される、出力電極15から出力端子t2が導出される。ビーム17には所要のDCバイアス電圧V1が印加される。
【0006】
この振動子11では、入力電極14に高周波信号S1が入力されると、DCバイアス電圧V1が印加されたビーム17と入力電圧14間に生じる静電力でビーム17が共振し、出力電極15から目的周波数の高周波信号が出力される。この微小振動子11によれば、入出力電極14及び15の対向面積が小さく且つ入出力電極14及び15間の間隔を大きくとれるので、図18の振動子1に比べて入出力電極間の寄生容量Coが小さくなる。したがって、入出力電極14、15間の寄生容量C0を直接通過する信号、つまりノイズ成分が小さくなり、出力信号のSN比が向上する。
【0007】
ところで、単体の振動子ではインピーダンスが高く、実用レベルに達していないのが現状である。インピーダンスを低くするために、振動子の並列化技術が提案されている。この振動子の並列化は、例えば図17の微小振動子11を用いた場合、微小振動子11を複数配置し、各微小振動子11の入力電極14同士、出力電極15同士を共通接続して構成される。入力電極14及び出力電極15を共通として、複数のビーム17を配置して並列化することも可能である。両者を組み合わせた構成とすることもできる。しかし、各振動子素子の中心周波数のばらつきは特性に大きく影響を与えている。この中心周波数のばらつきは、製造に際してのビーム長のばらつきが大きく影響している。
【0008】
一方、ビーム型振動子による共振器を使ってフィルタ回路を形成する場合、2つ以上の異なる共振周波数の共振器が必要となる。この複数の共振器に対して、同じ電源を使って各ビームにDCバイアス電圧を印加する場合、共振周波数の低い共振器の特性が最大のところで使用すると、周波数の高い共振器では、まだ最大の出力を出すことが出来ない。共に最大の出力を出すためには、DC電源が2つ以上必要となる。
【0009】
すなわち、共振周波数の高い振動子素子はビーム長が小さく、共振周波数の低い振動子素子はビーム長が大きい。機械的にビーム長が大きいビームは撓み易く、ビーム長の小さいビームは撓み難い。このため、DCバイアス電圧を印加してビームが下部電圧に接触するときのDCバイアス電圧(以下、プルイン(pull−in)電圧という)が異なり、ビーム長の大きい振動子素子のプルイン電圧が低く、ビーム長の小さい振動子素子のプルイン電圧が高くなることになる。このことから、共に最大の出力を出すためには、DC電源が2つ以上必要になる。
【0010】
共振周波数の異なるビーム型振動子による複数の共振器を使ってフィルタ回路を形成する場合、共にプルイン電圧が同じになるように調整して共通のDC電源でそれぞれの共振周波数の異なる共振器を駆動できることが望まれる。
【0011】
本発明は、上述の点に鑑み、振動子の中心周波数のばらつきを低減する微小共振器を提供するものである。併せて、異なる共振周波数の振動子を共通のDC電源で駆動可能にして共に最大の特性が得られるようにした微小共振器を提供するものである。
本発明は、この微小共振器を信号フィルタとして備えた通信装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る微小共振器は、ビーム長によって共振周波数が異なる複数のビーム型の振動子素子を有し、内側から外側に向ってビーム長が大きくなる順に複数の振動子素子が配置されて成ることを特徴とする。
【0013】
本発明の好ましい形成は、ビーム長が小さい第1の振動子素子が内側に配置され、第1の振動子素子を囲むように外側に向ってビーム長が大きい順に他の振動子素子が配置された構成とする。
本発明の好ましい形態は、ビーム長が小さい第1の振動子素子が内側に配置され、第1の振動子素子を挟んで外側に向ってビーム長が大きい順に他の振動子素子が配置された構成とする。
【0014】
本発明は、上記微小共振器において、同じ共振周波数の複数の振動子素子が並列接続されて振動子群として形成された構成とすることができる。
【0015】
本発明は、上記微小共振器において、共振周波数が異なる複数の振動子素子の夫々のプルイン電圧を制御可能にする構成要素の大きさが制御され、複数の振動子素子のビームに同じ直流バイアス電圧が印加された構成とすることができる。
【0016】
前記構成要素として、ビームに対向する下部電極の面積を制御することができる。
前記構成要素として、初期のビームと下部電極との間の空間距離を制御することができる。
【0017】
本発明に係る通信装置は、送信信号及び/又は受信信号の帯域制限を行うフィルタを備えた通信装置において、フィルタとして、上述したいずれかの微小共振器によるフィルタが用いられて成ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る微小共振器によれば、内側から外側に向ってビーム長が大きくなる順に共振周波数の異なる複数の振動子素子を配置するので、ビーム長の加工ばらつきが相対的に低減することができ、中心周波数のばらつきが低減された微小共振器が得られる。すなわち、ビームの加工ばらつきはビーム長にかかわらず同じであるので、ビーム長の小さいビームに比べて、ビーム長が大きいビームほど設計寸法に対する加工ばらつきの比率が小さくなる。本発明のレイアウトによって、各振動子素子の中心周波数のばらつきが低減する。
【0019】
振動子素子のレイアウトとして、ビーム長が小さい第1の振動子素子を内側に配置し、第1の振動子素子を囲むように外側に向ってビーム長が大きい順に他の振動子素子を配置することにより、ビーム長の加工ばらつきを相対的に低減することができ、中心周波数のばらつきが抑制された微小共振器が得られる。
【0020】
振動子素子のレイアウトとして、ビーム長の小さい第1の振動子素子を内側に配置し、この第1の振動子素子を挟んで外側に向ってビーム長の大きい順に振動子素子を配置することにより、ビーム長の加工ばらつきを相対的に低減することができ、周波数信号のばらつきが抑制された微小共振器が得られる。すなわち、ビーム長方向のばらつきの影響は大きいが、ビーム幅方向のばらつきの影響は無視できる。このため、振動子素子のビームの配列が同じ向きとなるように配置した場合、ビーム幅方向の周辺部では振動子素子の配置が省略できる。
【0021】
共振周波数が異なる複数の振動子素子の夫々のプルイン電圧を制御可能にする構成要素の大きさを制御することにより、上記複数の振動子素子のプルイン電圧を同じにでき、これによって、共振周波数の異なる振動子素子共に、最大の出力を出すことができる。また、複数の振動子素子のビームに同じ直流バイアス電圧を印加できることにより、単一電源から直流バイアス電圧を各ビームに供給することができ、電源の節減と共に、構成の簡略化を図ることができる。
【0022】
前記構成要素として、ビームに対向する下部電極の面積を制御することにより、共振周波数の異なる振動子素子のプルイン電圧を同じにすることができる。
前記構成要素として、初期のビームと下部電極との間の空間距離を制御することにより、共振周波数の異なる振動子素子のプルイン電圧を同じにすることができる。
【0023】
本発明に係る通信装置によれば、帯域フィルタに本発明の微小共振器によるフィルタが用いることにより、優れたフィルタ特性が得られ、信頼性の高い通信装置を提供することができる。また、単一DC電源を用いることができるので、電源の節減と共に、構成の簡略化を図った信頼性の高い通信装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0025】
図1に、本発明の微小共振器をラダー型フィルタに適用した実施の形態を示す。なお、本実施の形態で対象とする微小共振器は、マイクロスケール、ナノスケールの素子である。以下の実施の形態においても同様である。
ラダー型フィルタ21は、図4の等価回路に示すように、高周波信号線路22をマイクロストリップ線路で構成し、その信号線路23の入力端子IN及び出力端子OUT間に直列に並列化された複数の振動子素子(振動子群)で構成された共振周波数f1の直列振動子(共振器1)25が接続され、この直列振動子25の出力側とグランド(GND)線路24間に同様に並列化された複数の振動子素子(振動子群)で構成された共振周波数f2のシャント振動子(共振器2)26が接続されて成る。この場合、直列振動子25の共振周波数f1は、シャント振動子26の共振周波数f2より高い(f1>f2)である。
【0026】
ここで、直列振動子25及びシャント振動子26に用いられる振動子素子の一例を図3A,Bに示す。この振動子素子31は、静電駆動するビーム型振動子により構成される。すなわち、この振動子素子31は、前述と同様に例えばシリコン半導体基板32上に絶縁膜33を介して下部電極の入力電極34及び出力電極35が形成され、この入力電極34及び出力電極35に対向して空間36を挟んで振動板となるビーム(梁)37が形成されて成る。ビーム37は、入出力電極34、35をブリッジ状に跨ぎ、入出力電極34、35の外側に配置し 配線層38に接続されるように、両端をアンカー部(支持部)39(39A,39B)で一体に支持される。半導体基板32の裏面には絶縁膜41を介してグランド配線24となる導電層42が形成される。
【0027】
本実施の形態に係るラダー型フィルタ21は、図1及び図2(要部の詳細図)に示すように、平面のレイアウトとして見たとき、内側に共振周波数f1の直列振動子25を配置し、この直列振動子25を囲むように外側に共振周波数f2のシャント振動子26を配置して構成される。
【0028】
共振周波数が低い振動子素子は、そのビーム37のビーム長を大きくして形成される。共振周波数が高い振動子素子は、そのビーム37のビーム長を小さくして形成される。従って、高い共振周波数f1の直列振動子25を構成する振動子素子31は、そのビーム長が小さく形成され、低い共振周波数f2のシャント振動子26を構成する振動子素子31は、そのビーム長が大きく形成されることになる。
【0029】
本例の各直列振動子25及びシャント振動子26を構成する振動子素子31は、図2に示すように、ビーム長が縦方向に向くように配列される。
【0030】
本実施の形態のラダー型フィルタ21によれば、ビーム長の大きい振動子素子31で構成されるシャント振動子26を、ビーム長の小さい振動子素子31で構成される直列振動子35を囲むように周辺に配置したことにより、ビーム37の加工ばらつきが相対的に低減することができる。すなわち、加工ばらつきの主因はアンカー部の位置のばらつきである。このばらつきは、リソグラフィ工程での露光に起因し、振動子素子が隣接して配置する内側と周囲に振動子素子が形成されない外側での露光時の反射光の影響で周辺でのパターンずれが大きくなり、中央側に比べて周辺側がばらつき易い傾向となる。ビーム長の加工ばらつきは、ビームの長さにかかわらず同じ寸法だけばらつくので、ビーム長の小さい方が設計寸法に対して加工ばらつきの影響が大きく、ビーム長が大きい程設計寸法に対する加工ばらつきに影響が小さい。従って、ビーム長の大きい振動子素子を周辺側に配置することで、長いビームはアンカー部のばらつきの影響が少なくなり、ビームの加工ばらつきの影響が低減し、狙い通りの共振周波数設計が可能になり、高精度のラダー型フィルタを提供することができる。
【0031】
因みに、図5にラダー型のフィルタの比較例を示す。このラダー型フィルタ55は、中央側に並列化された複数の振動子素子(振動子群)31で構成された共振周波数f2のシャント振動子26を配置し、このシャント振動子26の外側に並列化された複数の振動子素子(振動子群)31で構成された共振周波数f1の直列振動子(振動子群)26を配置して構成される。この比較例では、ビーム長の小さい振動子素子31からなる直列振動子25が外側に配列したレイアウトを採るため、直列振動子25のビーム37の加工ばらつきが大きくなり、共振周波数f1の変動が大きくなり、高精度のラダー型フィルタが得にくいことになる。
【0032】
次に、図6に、本発明に係る微小共振器の他の実施の形態を示す。1種類の共振周波数を有する振動子群では共振特性のQ値が高い。本実施の形態の微小共振器は、共振特性のQ値を下げて所望の通過帯域幅を得るために、2種類以上の複数の共振周波数を有する共振器素体(振動子群)により形成される。本実施の形態に係る微小共振器61は、レイアウトとして図6に示すように、中央部(内側)に並列化された複数の振動子素子(振動子群)で構成された最も高い共振周波数f1の第1の共振器素体62を配置し、この第1の共振器素体61を囲むように並列化された複数の振動子素子(振動子群)で構成された、第1の共振器素体61より低い共振周波数f2の第2の共振器素体63を配置し、さらに第2の共振器素体63を囲むように並列化された複数の振動子素子(振動子群)で構成された、第2の共振器素体62より低い共振周波数f3の第3の共振器素体64を配置して構成される。共振周波数の関係はf1>f2>f3である。
【0033】
振動子素子は前述と同様の振動子素子31で形成することができる。各共振器素体62〜64を構成する各振動子群は、前述の図2で示すと同様に、各振動子素子のビーム長が縦方向に向くように配置される。図6は模式的に表しており、振動子素子のビームにDCバイアス電圧が印加され、下部電極である入力電極より入力端子INが導出され、下部電極である出力電極より出力端子OUTが導出される。
【0034】
本実施の形態に係る微小共振器61によれば、内側にビーム長の小さい振動子素子からなる高い共振周波数f1の第1の共振器素体62を配置し、この第1の共振器素体62を囲むように外側に向ってビーム長が順に大きくなる共振周波数f2、f3の第2、第3の共振器素体63、64を配置して構成することにより、前述と同様の理由でビームの加工ばらつきが相対的に低減し、狙い通りの共振周波数設計が可能になり、Q値を下げて所望の通過帯域幅の共振特性を有する高精度の微小共振器61を提供することができる。
【0035】
図7は、本発明に係る微小共振器の他の実施の形態を示す。本実施の形態も、共振特性のQ値を下げて所望の通過帯域幅を得るために、2種類以上の複数の共振周波数を有する共振器素体により形成される。
【0036】
ここで、振動子群の各振動子素子が前述の図2で示したと同様に、ビーム長が縦方向の向くように配置される場合、図6において、左右両側の振動子素子では横方向がビーム幅方向となる。ビーム幅方向の加工ばらつきはビームの共振周波数にあまり影響せず、無視できる。つまり、図7に示すように、左右両側に配置される共振器素体は省略が可能になる。
【0037】
即ち、図7の本実施の形態に係る微小共振器66は、中央部(内側)に並列化された複数の振動子素子(振動子群)で構成された最も高い共振周波数f1の第1の共振器素体62を配置し、この第1の共振器素体61を挟んで図において上下外側に並列化された複数の振動子素子(振動子群)で構成された、第1の共振器素体61より低い共振周波数f2の第2の共振器素体63を配置し、さらに第2の共振器素体63を挟んで上した外側に並列化された複数の振動子素子(振動子群)で構成された、第2の共振器素体62より低い共振周波数f3の第3の共振器素体64を配置して構成される。第1の共振器素体62の図において左右外側には第2、第3の共振器素体63、64を配置しない。共振周波数の関係はf1>f2>f3である。
【0038】
本実施の形態に係る微小共振器66においても、前述と同様に、ビームの加工ばらつきが相対的に低減し、Q値を下げて所望の通過帯域幅の共振特性を有する高精度の微小共振器61を提供することができる。
【0039】
次に、図8〜図9を用いて上述の実施の形態の製造方法の一例を説明する。同図は振動子素子31の製造を代表して示す。
【0040】
先ず、図8Aに示すように、シリコン半導体基板32にシリコン酸化膜(SiO2 )331、及びシリコン窒化膜(SiN)332を減圧CVD法により成膜し、絶縁膜33を形成する。
【0041】
次に、図8Bに示すように、絶縁膜33上に例えばリン(P)を含有したポリシリコン膜を形成した後に、リソグラフィ技術とエッチング技術を用いて、ポリシリコン膜をパターニングし、下部電極となる入力電極34、出力電極35及び両側の配線層38を形成する。
【0042】
次に、図8Cに示すように、下部電極の入力電極34、出力電極35、配線層38を含む表面に犠牲層71、例えばシリコン酸化膜(SiO2 )を減圧CVD法により形成する。その後、リソグラフィ技術及びドライエッチング技術を用いて、犠牲層71の配線層38に対応する部分にコンタクト孔72を形成する。
【0043】
次に、図9Dに示すように、例えば減圧CVD法によりポリシリコン膜を形成し、リソグラフィ技術及びドライエッチング技術を用いて、ポリシリコン膜をパターニングし、ビーム37及びコンタクト孔72を通じて配線層38に接続するアンカー部39A,39Bを形成する。ビーム37のビーム長は共振周波数に応じて設定する。
【0044】
次に、図9Eに示すように、DHF溶液などの犠牲層のエッチング溶液により、犠牲層71のシリコン酸化膜を選択的に除去し、ビーム37と下部電極の入力電極34及び出力電極35間に空間36を形成する。
【0045】
次に、図9Fに示すように、導電性膜、例えばAl−Cu,Al−Siなどのスパッタ膜を形成した後、リソグラフィ技術及びエッチング技術を用いて、導電性膜をパターニングし、配線層38上に導電性の良い配線層79を形成する。また、図示しないが、必要に応じて半導体基板32の裏面に絶縁膜を介してグランド(GND)配線となる導電層を形成する。このようにして、振動子素子31を得る。
【0046】
一方、上述した2つ以上の共振周波数の振動子群、共振器素体、すなわち共振周波数が異なる複数の振動子群、或いは共振器素体が必要な微小共振器では、プルイン電圧を同じにして同じ電源からそれぞれ異なる共振周波数の振動子群あるいは共振器素体の振動子素子のビームにDCバイアス電圧を印加して、共に最大の出力が得られることが望まれる。
【0047】
次に、これを可能にした本発明の微小共振器の他の実施の形態を説明する。
本実施の形態に係る微小共振器は、ビーム長によって共振周波数を異にした複数の振動子素子がそれぞれプルイン電圧を同じにするように調整した構造を有し、この複数の振動子素子のビームにそれぞれ同じDCバイアス電圧を印加するように構成される。
【0048】
図10、図11に、夫々この本実施の形態に係る微小共振器の具体的な例を示す。
図10に示す本実施の形態に係る微小共振器81は、シリコン半導体基板32上にシリコン酸化膜331及びシリコン窒化膜332からなる絶縁膜33を形成した基体75上に、夫々短いビーム長L1のビーム371を有して高い共振周波数の第1の振動子素子76と、長いビーム長L2のビーム372を有して低い共振周波数の第2の振動子素子77とが形成されて成る。第1の振動子素子76では、基体75上に下部電圧である入力電極341と出力電極351が形成され、配線層38に接続するようにアンカー部39A,39Bを介して所要の空間361を挟んで入出力電極341、351に対向するビーム371が支持される。第2の振動子素子77では、基体75上に下部電圧である入力電極342と出力電極352が形成され、配線層38に接続するようにアンカー部39A,39Bを介して所要の空間362を挟んで入出力電極342、352に対向するビーム372が支持される。
【0049】
そして、本実施の形態においては、特に、第1の振動子素子76の入力電極341及び出力電極351の面積、図では電極幅で表すと、電極幅w1を、第2の振動子素子77の入力電極342及び出力電極352の面積、図では電極幅で表すと、電極幅w2より大きく設定して構成される。第1の振動子素子76の空間361の距離d1と、第2の振動子素子77の空間362の距離d2は同じに設定される(d1=d2)。
【0050】
本実施の形態に係る微小共振器81によれば、第1の振動子素子76では、入出力電極341、351の面積(幅w1)を大きくしたので、短いビーム長L1でありながら、ビーム371と入出力電極341、351との対向面積が大きくなり、ビーム371にDCバイアス電圧を印加して行ったときに、ビーム371に強い静電力が作用し、プルイン電圧を小さくできる。一方、第2の振動子素子77では、逆に入出力電極342、352の面積(幅w2)を小さくしたので、長いビーム長L2でありながら、ビーム372と入出力電極342、352との対向面積が小さくなり、ビーム372にDCバイアス電圧を印加して行ったときに、ビーム372に弱い静電力が作用し、プルイン電圧を大きくできる。従って、両者の振動子素子76及び77の入出力電極の幅w1,w2を適切に制御して電極面積を制御することにより、第1及び第2の振動子素子76及び7のプルイン電圧を同じ電圧に揃えることができる。これにより、単一電源で両振動子素子76、77のビーム371、372に対して同じDCバイアス電圧を印加して、共に最大の出力を出す、すなわち最大の特性を得ることができる。
【0051】
図11に示す本実施の形態に係る微小共振器83は、図10と同様に、シリコン半導体基板32上にシリコン酸化膜331及びシリコン窒化膜332からなる絶縁膜33を形成した基体75上に、夫々短いビーム長L1のビーム371を有して高い共振周波数の第1の振動子素子76と、長いビーム長L2のビーム372を有して低い共振周波数の第2の振動子素子77とが形成されて成る。第1の振動子素子76では、基体75上に下部電圧である入力電極341と出力電極351が形成され、配線層38に接続するようにアンカー部39A,39Bを介して所要の空間361を挟んで入出力電極341、351に対向するビーム371が支持される。第2の振動子素子77では、基体75上に下部電圧である入力電極342と出力電極352が形成され、配線層38に接続するようにアンカー部39A,39Bを介して所要の空間362を挟んで入出力電極342、352に対向するビーム372が支持される。
【0052】
そして、本実施の形態においては、特に、第1の振動子素子76の空間361の間隔d1が、第2の振動子素子77の空間362の間隔d2より小さくなるように設定して構成される。第1の振動子素子76の入出力電極341、351と、第2の振動子素子77の入出力電極342、352の面積、図では電極幅で表すと、夫々の電極幅w1,w2は同じに設定される(w1=w2)。
【0053】
本実施の形態に係る微小共振器83によれば、第1の振動子素子76では、入出力電極341、351とビーム371間の空間距離d1を小さくしたので、短いビーム長L1でありながら、ビーム371にDCバイアス電圧を印加して行ったときに、ビーム371にかかる静電力が強く作用し、プルイン電圧を小さくできる。一方、第2の振動子素の77においては、逆に入出力電極342、352とビーム372間の空間距離d2を大きくしたので、長いビーム長L2でありながら、ビーム372にDCバイアス電圧を印加して行ったときに、ビーム372にかかる静電力が弱く作用し、プルイン電圧を大きくできる。従って、両者の振動子素子76及び77の空間距離d1,d2を適切に制御することにより、第1及び第2の振動子素子76及び7のプルイン電圧を同じに揃えることができる。これにより、単一電源で両振動子素子76、77のビーム371、372に対して同じDCバイアス電圧を印加して、共に最大の出力を出すことができる。
【0054】
上述の微小共振器81、83の構成を前述の図1のラダー型フィルタ21、微小共振器61、66に適用することにより、単一電源で共振周波数の異なる振動子素子に対して同じDCバイアス電圧を印加して、共に最大の出力を出す、即ち共に最大の特性を得ることができる。
【0055】
因みに、図12の比較例を説明する。この比較例の微小共振器78では、シリコン半導体基板32上にシリコン酸化膜331及びシリコン窒化膜332からなる絶縁膜33を形成した基体75上に、夫々短いビーム長L1のビーム371を有して高い共振周波数の振動子素子76と、長いビーム長L2のビーム372を有して低い共振周波数の振動子素子77とが形成されて成る。各振動子素子76、77の夫々の下部電圧である入力電極341、342及び出力電極351、352とビーム371、372とに間の空間の距離d01、d02は互いに同じであり、且つ夫々の入出力電極341、351と入出力電極342、352との面積も同じである。
この微小共振器78においては、夫々の振動子素子76及び77のビーム長L1,L2が異なるのみで、他の構成が全く同じであるため、プルイン電圧が異なる。従って、最大の出力を得るためには、ビーム371、372に印加する夫々異なるDCバイアス電圧は、個別の電源から供給されることになり、単一電源からの供給では短いビーム長L1の振動子素子76の特性が最適にならない。
【0056】
次に、図13〜図15を用いて図11の微小共振器83の製造に適用した一実施の形態の製造方法を説明する。
【0057】
先ず、図13Aに示すように、シリコン半導体基板32にシリコン酸化膜(SiO2 )331、及びシリコン窒化膜(SiN)332を減圧CVD法により成膜し、絶縁膜33を形成する。
【0058】
次に、図13Bに示すように、絶縁膜33上に例えばリン(P)を含有したポリシリコン膜を形成した後に、リソグラフィ技術とドライエッチング技術を用いて、ポリシリコン膜をパターニングし、下部電極となる入力電極341、342、出力電極351、352及び共通の配線層38、両側の配線層38を形成する。
【0059】
次に、図13Cに示すように、下部電極の入力電極341、342、出力電極351、352、配線層38を含む表面に犠牲層71、例えばシリコン酸化膜(SiO2 )を減圧CVD法により形成する。その後、リソグラフィ技術及びドライエッチング技術を用いて、第1の振動子素子を形成する領域の犠牲層71を選択的に除去する。このとき、第1の振動子素子側では犠牲層71が下部電極である入出力電極341、351及び配線層38の表面と同じ高さまで除去される。一方、第2の振動子素子側では犠牲層71が下部電極の入出力電極342、352、配線層38の表面上に所望の厚さが形成される。
【0060】
次に、図14Dに示すように、再度、犠牲層71、例えばシリコン酸化膜(SiO2 )を減圧CVD法で全面上に形成する。その後、リソグラフィ技術及びドライエッチング技術を用いて、第1の振動子素子側では入出力電極341、351上に厚さd1の犠牲層71を残し、第2の振動子素子側では入出力電極341、351上に厚さd1より大きい厚さd2の犠牲層91を残す。同時に、夫々の振動子素子側に配線層38に達するコンタクト孔72を形成する。
【0061】
次に、図14Eに示すように、例えば減圧CVD法によりポリシリコン膜を形成し、リソグラフィ技術及びドライエッチング技術を用いて、ポリシリコン膜をパターニングし、夫々ビーム371、372及びコンタクト孔72を通じて配線層38に接続するアンカー部39A,39Bを形成する。ビーム371、372のビーム長L1,L2は共振周波数に応じて設定する。
【0062】
次に、図15Fに示すように、DHF溶液などの犠牲71層のエッチング溶液により、犠牲層71のシリコン酸化膜を選択的に除去し、ビーム371及び372と下部電極の入出力電極341、351及び342、352間に空間距離d1及びd2の空間361、362を形成する。
【0063】
次に、図15Gに示すように、導電性膜、例えばAl−Cu,Al−Siなどのスパッタ膜を形成した後、リソグラフィ技術及びエッチング技術を用いて、導電性膜をパターニングし、配線層38上に導電性の良い配線層79を形成する。また、図示しないが、必要に応じて半導体基板32の裏面に絶縁膜を介してグランド(GND)配線となる導電層を形成する。このようにして、微小共振器83を得る。
【0064】
なお、図示しないが、図10の微小共振器81は、入出力電極のパターニング時に、第1及び第2の振動子素子側の電極幅を異ならし、以後は第1及び第2の振動子素子側共に、同じ条件で各膜を成膜し、犠牲層を選択的に除去することにより、製造することできる。
【0065】
本発明に係る他の実施の形態においては、上述のラダー型フィルタ21、微小共振器61、66などを用いて、信号フィルタ、ミキサー、共振器、及びそれらが含まれるSiP(システム・イン・パッケージ)デバイスモジュール、SoC(システム・オン・チップ)デバイスモジュール等の半導体装置を構成することができる。
本実施の形態の半導体装置によれば、優れた特性を有するフィルタを備えるので、信頼性に高い半導体装置を提供することができる。
【0066】
上述した実施の形態の微小共振器を用いたラダー型フィルタ21、微小共振器61、66は、高周波(RF)フィルタ、中間周波(IF)フィルタ等の帯域信号フィルタとして用いることができる。
【0067】
本発明は、上述した実施の形態の微小共振器によるフィルタを用いて構成される携帯電話機、無線LAN機器、無線トランシーバ、テレビチューナ、ラジオチューナ等の、電磁波を利用して通信する通信装置を提供することができる。
【0068】
次に、上述した本発明の実施の形態のフィルタを適用した通信装置の構成例を、図16を参照して説明する。
まず送信系の構成について説明すると、Iチャンネルの送信データとQチャンネルの送信データを、それぞれデジタル/アナログ変換器(DAC)201I及び201Qに供給してアナログ信号に変換する。変換された各チャンネルの信号は、バンド・パス・フィルタ202I及び202Qに供給して、送信信号の帯域以外の信号成分を除去し、バンド・パス・フィルタ202I及び202Qの出力を、変調器210に供給する。
【0069】
変調器210では、各チャンネルごとにバッファアンプ211I及び211Qを介してミキサ212I及び212Qに供給して、送信用のPLL(phase-locked loop)回路203から供給される送信周波数に対応した周波数信号を混合して変調し、両混合信号を加算器214で加算して1系統の送信信号とする。この場合、ミキサ212Iに供給する周波数信号は、移相器213で信号位相を90°シフトさせてあり、Iチャンネルの信号とQチャンネルの信号とが直交変調されるようにしてある。
【0070】
加算器214の出力は、バッファアンプ215を介して電力増幅器204に供給し、所定の送信電力となるように増幅する。電力増幅器204で増幅された信号は、送受信切換器205と高周波フィルタ206を介してアンテナ207に供給し、アンテナ207から無線送信させる。高周波フィルタ206は、この通信装置で送信及び受信する周波数帯域以外の信号成分を除去するバンド・パス・フィルタである。
【0071】
受信系の構成としては、アンテナ207で受信した信号を、高周波フィルタ206及び送受信切換器205を介して高周波部220に供給する。高周波部220では、受信信号を低ノイズアンプ(LNA)221で増幅した後、バンド・パス・フィルタ222に供給して、受信周波数帯域以外の信号成分を除去し、除去された信号をバッファアンプ223を介してミキサ224に供給する。そして、チャンネル選択用PLL回路251から供給される周波数信号を混合して、所定の送信チャンネルの信号を中間周波信号とし、その中間周波信号をバッファアンプ225を介して中間周波回路230に供給する。
【0072】
中間周波回路230では、供給される中間周波信号をバッファアンプ231を介してバンド・パス・フィルタ232に供給して、中間周波信号の帯域以外の信号成分を除去し、除去された信号を自動ゲイン調整回路(AGC回路)233に供給して、ほぼ一定のゲインの信号とする。自動ゲイン調整回路233でゲイン調整された中間周波信号は、バッファアンプ234を介して復調器240に供給する。
【0073】
復調器240では、供給される中間周波信号をバッファアンプ241を介してミキサ242I及び242Qに供給して、中間周波用PLL回路252から供給される周波数信号を混合して、受信したIチャンネルの信号成分とQチャンネルの信号成分を復調する。この場合、I信号用のミキサ242Iには、移相器243で信号位相を90°シフトさせた周波数信号を供給するようにしてあり、直交変調されたIチャンネルの信号成分とQチャンネルの信号成分を復調する。
【0074】
復調されたIチャンネルとQチャンネルの信号は、それぞれバッファアンプ244I及び244Qを介してバンド・パス・フィルタ253I及び253Qに供給して、Iチャンネル及びQチャンネルの信号以外の信号成分を除去し、除去された信号をアナログ/デジタル変換器(ADC)254I及び254Qに供給してサンプリングしてデジタルデータ化し、Iチャンネルの受信データ及びQチャンネルの受信データを得る。
【0075】
ここまで説明した構成において、各バンド・パス・フィルタ202I,202Q,206,222,232,253I,253Qの一部又は全てとして、上述した実施の形態の構成のフィルタを適用して帯域制限することが可能である。
【0076】
本発明の通信装置によれば、雑音の少ない優れた特性を有するフィルタを用いるので、信頼性の高い通信装置を提供することができる。
【0077】
図16の例では、各フィルタをバンド・パス・フィルタとして構成したが、所定の周波数よりも下の周波数帯域だけを通過させるロー・パス・フィルタや、所定の周波数よりも上の周波数帯域だけを通過させるハイ・パス・フィルタとして構成して、それらのフィルタに上述した各実施の形態の構成のフィルタを適用してもよい。また、図16の例では、無線送信及び無線受信を行う通信装置としたが、有線の伝送路を介して送信及び受信を行う通信装置が備えるフィルタに適用してもよく、さらに送信処理だけを行う通信装置や受信処理だけを行う通信装置が備えるフィルタに、上述した実施の形態の構成のフィルタを適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明に係る微小共振器をラダー型フィルタに適用した実施の形態を示す概略構成図(レイアウト図)である。
【図2】図1の実施の形態の要部の詳細図である。
【図3】A,B 本実施の形態で用いた振動子素子の構成図である。
【図4】ラダー型フィルタの等価回路図である。
【図5】比較例に係るラダー型フィルタの概略図(レイアウト図)である。
【図6】本発明に係る微小共振器の他の実施の形態を示す概略構成図(レイアウト図)である。
【図7】本発明に係る微小共振器の他の実施の形態を示す概略構成図(レイアウト図)である。
【図8】A〜C 本実施の形態の製造方法の一例を振動子素子の製造に代表示す製造工程図(その1)である。
【図9】D〜F 本実施の形態の製造方法の一例を振動子素子の製造に代表示す製造工程図(その2)である。
【図10】本発明に係る微小共振器の他の実施の形態を示す断面図である。
【図11】本発明に係る微小共振器のさらに他の実施の形態を示す断面図である。
【図12】比較例に係る微小共振器の断面図である。
【図13】A〜C 図11の実施の形態に係る微小共振器の製造方法の例を示す製造工程図(その1)である。
【図14】D〜E 図11の実施の形態に係る微小共振器の製造方法の例を示す製造工程図(その2)である。
【図15】F〜G 図11の実施の形態に係る微小共振器の製造方法の例を示す製造工程図(その3)である。
【図16】本発明に係る通信装置の実施の形態を示す回路図である。
【図17】先行技術の静電駆動のビーム型振動子の概略図である。
【図18】従来の静電駆動のビーム型振動子の概略図である。
【符号の説明】
【0079】
21・・ラダー型フィルタ、22・・高周波信号線路、23・・信号線路、24・・GND線路、25・・直列振動子、26・・シャント振動子、31・・振動子素子、32・・シリコン半導体基板、33・・絶縁膜、34・・入力電極、35・・出力電極、36・・空間、37・・ビーム(梁)、38・・配線層、39A,39B・・アンカー部、61、66・・微小共振器、62、63、64・・第1、第2、第3の共振器素体、222、232、253I,253Q、202I、202Q・・フィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビーム長によって共振周波数が異なる複数のビーム型の振動子素子を有し、
内側から外側に向ってビーム長が大きくなる順に前記複数の振動子素子が配置されて成る
ことを特徴とする微小共振器。
【請求項2】
ビーム長が小さい第1の振動子素子が内側に配置され、
前記第1の振動子素子を囲むように外側に向ってビーム長が大きい順に前記他の振動子素子が配置されて成る
ことを特徴とする請求項1記載の微小共振器。
【請求項3】
ビーム長が小さい第1の振動子素子が内側に配置され、
前記第1の振動子素子を挟んで外側に向ってビーム長が大きい順に前記他の振動子素子が配置されて成る
ことを特徴とする請求項1記載の微小共振器。
【請求項4】
同じ共振周波数の複数の振動子素子が並列接続されて振動子群として形成されて成る
ことを特徴とする請求項1、2又は3記載の微小共振器。
【請求項5】
前記共振器周波数が異なる複数の振動子素子は、プルイン電圧が同じになるように調整された構成を有し、同じ直流バイアス電圧が印加されて成る
ことを特徴とする請求項1記載の微小共振器。
【請求項6】
前記複数の振動子素子におけるビームに対向する下部電極の面積がそれぞれ異なる面積に設定されて、前記プルイン電圧が同じになるように調整されて成る
ことを特徴とする請求項5記載の微小共振器。
【請求項7】
前記複数の振動子素子における初期の前記ビームと下部電極との間の空間距離がそれぞれ異なる空間距離に設定されて、前記プルイン電圧が同じになるように調整されて成る
ことを特徴とする請求項5記載の微小共振器。
【請求項8】
送信信号及び/又は受信信号の帯域制限を行うフィルタを備えた通信装置において、
前記フィルタとして、請求項1から請求項7のいずれかに記載の微小共振器によるフィルタが用いられて成る
ことを特徴とする通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2006−203578(P2006−203578A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−13303(P2005−13303)
【出願日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)