説明

微小穿孔ポリマーフィルム、並びにその製造及び使用方法

本明細書においては、第1の所定距離(40a)だけ離れた対向する第1及び第2の表面と、第1及び第2の表面に垂直な複数の通路と、を含む微小穿孔ポリマーフィルムであって、通路の第1の開口部(20a〜c)が第1の表面と交わり、通路の第2の開口部(22a〜c)が第2の表面と交わり、第1の開口部の直径が第2の開口部の直径よりも大きく、第2の表面上の第2の開口部同士は第2の所定距離(50a)だけ離れ、第2の所定距離に対する第1の所定距離の比が少なくとも0.25であり、更に、第2の表面が少なくとも10%の開放領域を有する、微小穿孔ポリマーフィルムを開示する。こうした微小穿孔ポリマーフィルムを製造及び使用する方法についても記載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
高い開放領域の比率(%)及び高い穿孔密度を有する新規な微小穿孔ポリマーフィルムについて述べる。これらの微小穿孔ポリマーフィルムの製造及び使用方法について述べる。こうした微小穿孔ポリマーフィルムは、例えば、微粒子を濾過する目的で使用することが可能である。
【背景技術】
【0002】
穿孔ポリマーフィルムを製造するための様々な方法が知られている。従来、一般的に穿孔ポリマーフィルムは、高い開放領域の比率(%)又は高い厚さ対穴間隔比のいずれかを有するものが製造されてきたが、これらの両方を有するものはなかった。開放領域の比率(%)は、所定の流速を与えるために必要とされるフィルター媒体領域の量の相対的な尺度である。一般的に開放領域の比率(%)がより大きいと、より小さい面積でより大きな流速を与えることができることから好ましい。隣り合う穴同士の間の最短距離に対するフィルムの厚さの比は、微小穿孔ポリマーフィルムの物理的強度及び穿孔密度の相対的な尺度である。この比がより大きいと、近接して配置された穴を有する一方で、優れた強度及び耐久性を示すことから好ましい。
【0003】
例えば、米国特許第851,473号は、熱可塑性ポリマー材料を選択された局所領域において溶融すると同時に、ポリマー材料の他の領域を冷却してこれらの領域が溶融することは防止することによって熱可塑性ポリマー材料に穿孔するプロセスについて一般的に述べている。1/4ミル(6.4マイクロメートル)のポリマーフィルムを使用した場合、直径33ミル(838マイクロメートル)の穴を、1平方インチ当たり約237個の穴(1平方cm当たり約36.7個の穴)となるように作製することが可能であり、これは隣り合う穴同士の間の最短距離に対するフィルムの厚さの比が0.007、かつ開放領域が20%に相当する。2ミル(50.8マイクロメートル)のポリマーフィルムを使用した場合、直径250ミル(6350マイクロメートル)の穴を、1平方インチ当たり約8個の穴(1平方cm当たり1.2個の穴)となるように作製することが可能であり、これは隣り合う穴同士の間の最短距離に対するフィルムの厚さの比が0.015、かつ開放領域が39%に相当する。
【0004】
米国特許第1,073,605号(ローリー(Rowley))は、凹部を含む薄い熱可塑性フィルムに穿孔するプロセスについて述べている。凹部を含む面を下にしたフィルムを、冷却した円筒体の周囲に通過させながら、他方の面を火炎の熱に曝露する。冷却された円筒体がフィルムを冷却すると同時に、凹部の底が熱によって選択的に溶融されることにより、フィルムに穿孔される。この特許は、0.100インチ(2540マイクロメートル)のポリマーフィルムの厚さ、及び1/64インチ(396マイクロメートル)の直径を有する、1平方インチ当たり400個の凹部を開示しており、これは隣り合う穴同士の間の最短距離に対するフィルムの厚さの比が2.6、かつ開放領域が8%に相当する。
【0005】
米国特許第3,560,601号(ジョンソン(Johnson)ら)は、布地で裏打ちされたポリ塩化ビニル材料に穿孔するプロセスであって、最初に材料をエンボス加工して材料に凹部を形成し、次いで材料を加熱空気に接触させて各凹部の底に残った薄肉の部分を除去することにより、材料に穿孔するプロセスについて述べている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
高い開放領域率(%)を実現するために、正確な形状を有し、かつ高密度で配置された穿孔を有するポリマーフィルムを製造するための低コストのプロセスが望まれている。本明細書において開示されるプロセスの新規な特徴として流体の使用があり、これにより、熱処理の際にエンボス加工ポリマーフィルムの冷却が促進されることで、高密度で配置され、かつ正確な形状を有する穿孔を有するフィルムの製造が可能になるものと考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様では、微小穿孔ポリマーフィルムを形成するための方法であって、対向する第1及び第2の表面と、その間の複数のキャビティとを含むポリマーフィルムであって、複数のキャビティが第1の表面に開口し、第1の表面と交わるキャビティ面を含む、ポリマーフィルムを与える工程と、支持表面と第1の表面との間に流体を与える工程と、第2の表面を熱処理に曝露して、ポリマーフィルムの複数のキャビティを覆う領域に穿孔する工程と、を含む方法を開示する。
【0008】
本方法の一実施形態では、気体の層が、複数のキャビティの少なくとも一部のキャビティの頂点から流体を隔離する。
【0009】
本方法の一実施形態では、支持表面はテクスチャー化又はコーティングされた表面を含む。
【0010】
一態様では、微小穿孔ポリマーフィルムを形成するための方法であって、対向する第1及び第2の表面と、その間の複数のキャビティとを含むポリマーフィルムであって、複数のキャビティが第1の表面に開口し、第1の表面と交わるキャビティ面を含む、ポリマーフィルムを与える工程と、支持表面と第1の表面との間に流体を与える工程と、第2の表面を熱処理に曝露して、ポリマーフィルムの複数のキャビティを覆う領域に穿孔する工程と、を含む方法によって製造される物品を開示する。
【0011】
別の態様では、(i)第1の所定距離だけ離れた対向する第1及び第2の表面と、(ii)第1及び第2の表面に垂直な複数の通路と、を含む微小穿孔ポリマーフィルムであって、各通路の第1の開口部が第1の表面と交わり、各通路の第2の開口部が第2の表面と交わり、第1の開口部の直径が第2の開口部の直径よりも大きく、第2の表面上の第2の開口部同士は第2の所定距離だけ離れ、第2の所定距離に対する第1の所定距離の比が少なくとも0.25であり、更に、第2の表面が少なくとも10%の開放領域を有する、微小穿孔ポリマーフィルムを開示する。
【0012】
一実施形態では、微小穿孔ポリマーフィルムはポリオレフィンである。
【0013】
別の態様では、(i)対向する第1及び第2の表面と、(ii)第1及び第2の表面に垂直な複数の通路と、を含む微小穿孔ポリマーフィルムであって、各通路の第1の開口部が第1の表面と交わり、各通路の第2の開口部が第2の表面と交わり、第1の開口部の直径が第2の開口部の直径よりも大きく、第2の表面が少なくとも20%の開放領域を有し、更に第2の表面が1平方インチ当たり少なくとも6,000個の開口部(1平方cm当たり930個の開口部)を含む、微小穿孔ポリマーフィルムを開示する。
【0014】
別の態様では、本明細書において開示される微小穿孔ポリマーフィルムと、その微小穿孔ポリマーフィルムの少なくとも一部にわたって延びる第2の透過性材料とを含む多層フィルター装置を開示する。
【0015】
別の態様では、微粒子を濾過するための方法であって、(a)第1の所定距離だけ離れた対向する第1及び第2の表面と、(ii)第1及び第2の表面に垂直な複数の通路と、を含む微小穿孔ポリマーフィルムであって、各通路の第1の開口部が第1の表面と交わり、各通路の第2の開口部が第2の表面と交わり、第1の開口部の直径が第2の開口部の直径よりも大きく、第2の表面上の第2の開口部同士は第2の所定距離だけ離れ、第2の所定距離に対する第1の所定距離の比が少なくとも0.25であり、更に、第2の表面が少なくとも10%の開放領域を有する、微小穿孔ポリマーフィルムを与える工程と、(b)微粒子を含む混合物を与える工程と、(c)混合物を微小穿孔ポリマーフィルムと接触させて、混合物を濾過する工程と、を含む方法を開示する。
【0016】
上記の概要は、各実施形態を説明することを目的とするものではない。本開示の1又は複数の実施形態の詳細について以下の説明文においても記載する。他の特徴、目的、及び利点は、説明文及び「特許請求の範囲」から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1a】本開示の例示的な一実施形態に基づく微小穿孔ポリマーフィルム10の概略断面図。
【図1b】本開示の例示的な一実施形態に基づく微小穿孔ポリマーフィルム10の概略平面図。
【図2】本開示の例示的な一実施形態に基づくエンボス加工ポリマーフィルム200の概略断面図。
【図3】本開示の微小穿孔ポリマーフィルムの製造に適した例示的な装置の概略図。
【図4a】比較例Aに基づく微小穿孔ポリマーフィルムの代表的な部分の平面写真図。
【図4b】比較例Aに基づく微小穿孔ポリマーフィルムの代表的な部分の平面写真図。
【図5】実施例1に基づく微小穿孔ポリマーフィルムの第2の表面の代表的な部分の平面写真図。
【図6】実施例2に基づくエンボス加工ポリマーフィルムの代表的な部分の断面写真図。
【図7】実施例2に基づく微小穿孔ポリマーフィルムの第2の表面の一部の拡大平面写真図。
【図8a】実施例2に基づく微小穿孔ポリマーフィルムの第1の表面の代表的な部分の更なる拡大平面写真図。
【図8b】実施例2に基づく微小穿孔ポリマーフィルムの第2の表面の代表的な部分の更なる拡大平面写真図。
【図8c】実施例2に基づく微小穿孔ポリマーフィルムの断面写真図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書において使用するところの用語、
「a」、「an」、及び「the」は互換可能に使用され、1又はそれよりも多くを意味する。
【0019】
「及び/又は」は、記載される事例の一方又は両方が起こりうることを示すために使用され、例えば、A及び/又はBは、(A及びB)と(A又はB)とを含む。
【0020】
本明細書においては更に、端点によって表わされる範囲には、その範囲内に含まれるすべての数値が含まれる(例えば、1〜10には、1.4、1.9、2.33、5.75、9.98などが含まれる)。
【0021】
本明細書においては更に、「少なくとも2」の記載には、2以上のすべての数値が含まれる(例えば、少なくとも4、少なくとも6、少なくとも8、少なくとも10、少なくとも25、少なくとも50、少なくとも100など)。
【0022】
本明細書においては更に、「少なくとも1」の記載には、1以上のすべての数値が含まれる(例えば、少なくとも2、少なくとも4、少なくとも6、少なくとも8、少なくとも10、少なくとも25、少なくとも50、少なくとも100など)。
【0023】
本説明文は、厚みがあり、かつ高い穿孔密度及び高い開放領域率(%)を有する微小穿孔ポリマーフィルム、並びに熱処理を用いてポリマーフィルムに穿孔するための方法の実施形態を提供するものである。厚みのあるポリマーフィルムが得られる物品に強度を与える一方で、高い開放領域率(%)によってこれらの微小穿孔ポリマーフィルムを微粒子の濾過又は音響効果などの高スループット用途に使用することが可能である。
【0024】
微小穿孔ポリマーフィルム
本開示に基づく微小穿孔フィルムは、例えばポリマー材料などの様々な材料から形成することができる。多くの種類のポリマー材料の使用が可能であるが、微小穿孔フィルムを製造する特に有利な方法では熱可塑性材料を使用する。
【0025】
本開示の微小穿孔フィルムは、図1a及び1bを参照することで理解が可能である。図1aは、本開示の微小穿孔フィルムの一実施形態の断面図を示す。微小穿孔ポリマーフィルム10は、第1の表面及び反対側の第2の表面に垂直な通路20A、20B及び20C(まとめて複数の通路20)を含む。図1aに示されるように、微小穿孔ポリマーフィルム10は、第1の表面14及び第2の表面16を含む。複数の通路のそれぞれの通路(例えば22A)は、第1の表面14と交わる第1の開口部(例えば12A)、及び第2の表面16と交わる第2の開口部(例えば22A)を含み、貫通開口部を形成している。図1bは、第2の開口部22A、22B、22C...22n(まとめて複数の開口部22)を示す第2の表面16の平面図を示す。
【0026】
開口部の形状及び寸法に特に制限はない。通路の開口部は、楕円形、丸形、円形、卵形、三角形、四角形、六角形、八角形などであってよい。一実施形態では、第1の表面と交わる通路の開口部(例えば第1の開口部12A)は、第2の表面と交わる同じ通路の開口部(例えば第2の開口部22A)と異なるサイズ及び/又は形状である。非円形の開口部について、直径という用語は本明細書においては、非円形の断面と同じ面積を有する円の直径のことを指して用いられる。第1の開口部の直径は、少なくとも100、200、又は更には500マイクロメートル、最大で100、200、500、又は更には2000マイクロメートルであってよい。第2の開口部の直径は、少なくとも50、100、200、又は更には500マイクロメートル、最大で100、200、500、又は更には1000マイクロメートルであってよい。処理によって第1の開口部の直径(例えば12A)は、第2の表面(すなわち熱処理された表面)上の第2の開口部の直径(例えば22A)の直径よりも大きくなりうる。
【0027】
通路の形状及び寸法にも特に制限はなく、成形加工及び処理条件(例えば、フィルムの張力及び熱処理への曝露)によって影響されうる。いくつかの実施形態では、複数の通路は、第1及び第2の表面にほぼ垂直である(すなわち、通路はフィルムの処理のために最大で2、5、10、15、又は更には20°軸から外れる)。複数の通路のそれぞれの通路は、例えば円筒状又は幾何的角柱(例えば、六角柱、正四角柱など)などの任意の形状を有しうる。通路の形状は、熱処理プロセスのためにわずかに歪む場合もある。一実施形態では、通路はテーパ状である。
【0028】
一実施形態では、微小穿孔ポリマーフィルムは、1平方インチ当たり少なくとも1000、2000、4000、5000、6000、7000、8000、10000、又は更には25000個の通路(1平方cm当たり155、310、620、775、930、1085、1240、1550、又は更には3876個の通路)を含む。微小穿孔ポリマーフィルムの複数の通路は、規則的であっても不規則であってもよい。例えば、穿孔の密度を高めるために、正方形の配列を用いるか、あるいは互い違いの配列(例えば六角形の配列)を用いることができる。開口部のサイズ、形状及び/又は間隔は、必要に応じて微小穿孔ポリマーフィルムにわたって変化してもよい。
【0029】
通路の密度及び開口部の直径を考慮すると、本開示の微小穿孔ポリマーフィルムは少なくとも8、10、15、20、22、25、30、35、40、50、又は更には60%の開放領域を含む。本明細書において使用するところの開放領域とは、第2の表面を基準としたものであり、第2の表面の与えられた領域について、第2の開口部によって占められる領域の総和として定義される。
【0030】
一実施形態では、微小穿孔ポリマーフィルムは、75〜500マイクロメートルのフィルム厚さを有する。フィルム厚さは、微小穿孔ポリマーフィルムの第1の表面と第2の表面との間の最大距離として測定される。図1において、フィルム厚さ40aは、微小穿孔ポリマーフィルム10の第1の表面と第2の表面との間の距離である。本明細書においては、この距離は「第1の所定距離」と呼ばれ、微小穿孔ポリマーフィルムの第1の表面と第2の表面との間の最大の距離である。一般的に第1の所定距離は、少なくとも50、60、70、75、80、又は更には100マイクロメートル、最大で100、150、200、300、400、500、750、又は更には800マイクロメートルである。
【0031】
一実施形態では、第2の表面上の第2の開口部は、図1bで距離50aとして表される、少なくとも20、25、30、40、50、60、75、又は更には100マイクロメートル、最大で75、80、90、100、125、150、175、200、300、400、又は更には500マイクロメートルの所定の距離だけ間隔を隔てている。本明細書においては、この距離は「第2の所定距離」と呼ばれ、第2の表面上の隣り合う開口部間の最小の距離である。
【0032】
一実施形態では、第2の所定距離に対する第1の所定距離の比は、0.25、0.5、1、2、3、又は更には3.5よりも大きい。
【0033】
微小穿孔ポリマーフィルムの製造
本開示の微小穿孔ポリマーフィルムは、エンボス加工ポリマーフィルム(すなわち、キャビティを含むポリマーフィルム)を、熱処理プロセスに曝露してポリマーフィルムに穿孔することによって形成される。本開示をより深く理解するうえで、本開示において使用される例示的なエンボス加工ポリマーフィルムの1つの断面図を図2に示す。エンボス加工ポリマーフィルム200は、キャビティ220A、220B、及び220C(まとめて複数のキャビティ220)を含む。各キャビティは、キャビティ面(例えば、210、211、及び212)を含む。各キャビティは、第1の表面240及び反対側の第2の表面260に垂直である。図2に示されるように、スキン280A、280B、及び280C(まとめて複数のスキン280)は、各キャビティの底部(又は頂点)と第2の表面260との間に位置するポリマー材料の小さい膜(すなわち、スキン)を指す。第2の表面260が熱処理プロセスに曝露される際、スキン又はその一部が溶融、収縮及び/又は燃焼して、貫通開口部又は通路が形成される(例えば、図1aで微小穿孔ポリマーフィルム10に示される通路20A)。注:図1a、1b及び2は正確な縮尺で描かれたものではなく、あくまで説明を目的としたものである。
【0034】
エンボス加工ポリマーフィルムの熱処理の従来の方法では、エンボス加工ポリマーを支持表面に(スキン側を外側にして)巻きつけ、フィルムの外側を熱処理に曝露する。熱処理によってポリマーの最外層を加熱すると、スキンが除去される。理論によって制約されることを望むものではないが、スキンが溶融し、溶融したポリマーが収縮して、ポリマーに貫通開口部が形成されると考えられる。支持表面は一般的に平滑な冷却ローラーであり、これを使用してポリマーフィルムが熱処理に曝露される際にポリマーフィルムを冷却状態に保つことによって、ポリマーフィルムの温度を正確に制御する。
【0035】
本開示においては、高い開放領域の比率(%)及び/又はポリマーフィルムの厚さのため、例えば米国特許出願公開第2005/0104245号(ウッド(Wood)ら)に開示されるように本方法を適用した場合、得られるポリマーフィルムは下記比較例Aに示されるように、制御不能に溶融することが示された。
【0036】
出願人らは、本明細書において開示される微小穿孔ポリマーフィルムの製造において、冷却ロールは、熱処理プロセスの際にポリマーフィルムの適切な冷却効果を与えないことを発見した。出願人らは、エンボス加工ポリマーフィルムと支持表面(例えば冷却ロール)との間に流体を加えることにより、高度に制御された穿孔を有する微小穿孔ポリマーフィルムが得られることを見出したものである。
【0037】
理論によって制約されることを望むものではないが、熱処理の間に、ポリマーフィルムの強度及び寸法的一体性が維持されるだけの充分な量のポリマーフィルムを冷却状態に維持しながら、スキンの溶融状態の平衡を保つようにポリマーフィルムの温度を充分に制御することは不可能であると考えられる。エンボス加工ポリマーフィルムのパターニング(例えば、互いに狭い間隔をおいて配置された大きな直径の開口部)のために、いくつかの実施形態では、支持表面(例えば冷却ロール)と直接的に接触するのはポリマー材料の30、25、20、10、又は更には5%未満である。流体は熱伝達物質として機能すると考えられ、ポリマーフィルムの最外層以外の部分を充分に低温に保つ働きをすることにより、エンボス加工ポリマーフィルムが熱処理工程に曝露される際に溶融状態が制御されない部分がなくなる。流体の適用のされ方を制御することにより、エンボス加工ポリマーフィルムの第1の表面を流体で実質的にコーティングする一方で、流体と各キャビティの頂点との間にガス(例えば空気)の層を閉じ込めることができる。このガス状層が低温の下側層からスキンを断熱し、スキンの制御された溶融を可能にするものと考えられる。
【0038】
以下に、本開示に基づく微小穿孔ポリマーフィルムを形成するためのプロセスについて述べる。
【0039】
一実施形態において、微小穿孔ポリマーフィルムを製造するためのプロセスは、ポリマー材料を形成する工程と、その形成されたポリマー材料を金型と接触させる工程と、金型上でポリマー材料を硬化させる工程と、エンボス加工ポリマーフィルムを金型から取り出す工程と、スキンを除去する工程と、を含む。
【0040】
ポリマー材料の形成工程
ポリマー材料の形成工程には、ポリマー、及び使用される場合には添加剤の種類を選択することが含まれる。一般的にポリマー材料には、例えばポリエチレン又はポリプロピレンなどのポリオレフィン、及びそれらの組み合わせが含まれる。コポリマー(少なくとも2種類の異なる共重合したモノマーからなるポリマーであり、ターポリマー(3種類の異なるモノマーからなる)、テトラポリマー(4種類の異なるモノマーからなる)などを含む)及びそのブレンドを使用することもできる。例示的なコポリマーの1つには、プロピレンエチレンコポリマーがある。
【0041】
添加剤の種類及び量は変わりうるものであり、一般的に微小穿孔ポリマーフィルムの所望の性質(例えば、音吸収性又は濾過性)、並びに例えば、色、印刷性、接着性、耐煙発生性、及び難加熱/燃焼性などのフィルムの他の特性を考慮して選択される。例えば、色コード(すなわち、特定の色が特定の穿孔サイズに対応したもの)を作成し、製造プロセスの際にポリマーフィルムに着色剤を添加することによって、特定の穿孔サイズを示すことができる。ポリマー材料の曲げ剛性及び/又は表面密度を高めるような添加剤をポリマー材料に添加してもよい。
【0042】
ポリマーの種類及びフィルムの特定の物理的特性(例えば、厚さ、曲げ剛性、表面密度、開口部の直径、開口部の間隔、及び/又は開口部の形状)は変わりうる。一般的に、ポリマーフィルムはフィルム全体にわたってほぼ均一な厚さを有する。すなわち、フィルムは、微小穿孔を形成しかつ/又は薄いスキンを除去するプロセスによって生じうる、微小穿孔の近傍に存在しうる変動、及び下記に述べる製造プロセスにおける自然な変動を除けば、均一な厚さを有する。
【0043】
形成されたポリマー材料と金型との接触工程
ポリマー材料は、例えば突起を有する金型のように、ポリマー材料にキャビティを形成するような形状に形成かつ配置された形成部を有する金型と接触させることができる。ポリマー材料に形成されるキャビティは、微小穿孔ポリマーフィルムの所望の性質(例えば、濾過性及び音吸収性)を与える。ポリマー材料は、例えば押出しエンボス加工又は圧縮成形を含むエンボス加工などの多くの異なる技術を使用して、金型と接触させることができる。ポリマー材料は溶融押出し品の形態としてこれを金型と接触させるか、又は予備成形されたフィルムの形態としてこれを加熱して金型と接触させることができる。一般的にポリマー材料は、最初にポリマー材料をその軟化点、融点又はポリマーガラス転移温度よりも高い温度に加熱することによってエンボス加工可能な状態とする。この後、ポリマー材料が概ね一致する金型とポリマー材料を接触させる。
【0044】
金型は一般的に、形成部(例えば突起)がそこから延出するベース面を含む。突起の形状及び表面に特に制限はないが、突起を設計する際には以下の点を考慮することができる。第1に、突起の形状は機械加工の容易性によって制限されうる点である。第2に、突起の形状を、エンボス加工ポリマーフィルムの取り出しを容易とするように設計することができる点である。例えば、得られるエンボス加工ポリマーフィルムが金型から確実に取り出されるように、少なくとも0.5°よりも大きい適切な抜き勾配を突起の設計に組み込むことができる。このことは、設計にほとんど真っ直ぐな壁を有する突起が含まれている場合に特に重要である。第3に、得られる微小穿孔ポリマーフィルムがその目的とする用途(例えば、粒子の濾過、音響効果など)において効果的なものとなるように突起を設計することができる点である。
【0045】
突起は、例えば、フライス加工、切削、研削、化学的エッチング、電極放電加工、電気化学エッチング、レーザーアブレーション、集束イオンビーム加工又はこれらの組み合わせなどの当該技術分野では周知の技術を使用して機械加工することができる。
【0046】
金型はエンボス加工されるポリマーフィルムのネガ型であるため、金型上の形成部の形状、寸法、及び配置は、エンボス加工されるポリマー材料に形成しようとするキャビティ及びこれに続く微小穿孔ポリマーフィルムの通路の所望の性質を考慮して適当に選択される。
【0047】
一実施形態では、金型上の突起は所望のフィルム厚さに一致した高さを有し、テーパ状のキャビティを与えるように最も広い直径から最も狭い直径へとテーパする縁部を有する。
【0048】
金型上でポリマー材料を硬化させる工程、及びエンボス加工ポリマーフィルムを金型から取り出す工程
流動性のポリマー材料を金型と接触させた後、ポリマー材料を硬化させて、金型と一致した形成部を有する硬化ポリマーフィルムを形成する。ポリマー材料は通常、金型と接触している間に硬化する。硬化後、硬化したポリマーフィルムは金型から取り出される。得られたエンボス加工されたフィルムは、複数のキャビティを含む。
【0049】
使用されるエンボス加工プロセス及び製造条件に応じ、キャビティは金型の突起と同じポジ複製ではない場合がある。例えば、図3に示されるようなロールプロセスではポリマーフィルムが引っ張られるため、キャビティ及び各キャビティ間の距離はわずかに伸ばされうる。突起同士が近接している場合、また、ライン速度及び溶融温度によっては、ポリマーフィルムは金型に完全に一致して形成されず、各突起間にポリマー材料によって完全には充填されない谷間が生じる。これにより、図6に開示されるような微小穿孔ポリマーフィルムの非平面的な第1の表面が生じうる。
【0050】
一般的に、各キャビティの底(又は頂点)を覆うか又は部分的に塞ぐようにしてスキンが残りうる。ポリマーフィルムに通路を形成するには、通常、硬化したポリマーフィルムに熱処理を行うことによってスキンを除去する。熱処理プロセス後には、複数のキャビティが複数の通路(又は貫通開口部)となることから、キャビティのサイズ、形状、及び間隔は上記の通路について述べたものと概ね同様である。
【0051】
スキンの除去工程
本開示に基づけば、熱処理プロセスを用いてスキンを除去することによって微小穿孔ポリマーフィルムが形成される。スキン除去は、例えば、強制空気処理、高温空気処理、火炎処理、放射熱処理(赤外線など)、コロナ処理、プラズマ処理、超音波、レーザー、又はこれらの組み合わせなどの多くの異なる熱処理を用いて行うことができる。
【0052】
こうした熱処理を用いて、最初の数個のポリマー層を、ポリマーが容易に流動する温度に加熱する。溶融したスキンのポリマーは破裂して収縮することにより、ポリマーフィルムに貫通開口部又は通路が形成される。熱処理は一般的に、より大きな厚さ(例えば約300マイクロメートルよりも大きい厚さ)を有し、単位面積当たりの開口部の比率(%)がより低い(例えば3%未満)ポリマーフィルムにおいて効果的に機能する。本開示は、熱処理プロセスの際にポリマーフィルムの温度を制御することによって、高い開放領域の比率(%)及び高い開口部密度を有する微小穿孔ポリマーフィルムを製造するための方法を提供する。
【0053】
本開示においては、ポリマーフィルムと支持表面との間に流体を与える。理論に束縛されることを望むものではないが、この流体が、エンボス加工ポリマーフィルムと支持表面との間で密着したヒートシンク及び熱伝達経路として機能するものと考えられる。流体と接触したポリマー材料は、スキン層が熱源に曝露される際にもその軟化温度以下に維持されるため、ポリマーフィルムの強度及び寸法的一体性が維持される。更なる利点としては、流体の潜在的な蒸発により、エンボス加工ポリマーフィルムのキャビティ内部の圧力が上昇し、フィルムへの穿孔を促進しうることがある。
【0054】
本開示の流体には、不燃性のものが含まれる。例示的な流体としては、水及びフッ素化溶媒が挙げられる。
【0055】
熱処理に先立って、エンボス加工ポリマーフィルムに流体を適用するための様々な実施形態が考えられる。例えば、シリンジポンプ及びニードルダイを使用して流体を適用することが可能であるが、流体を適用する他の方法の使用も可能である。流体は、エンボス加工ポリマーフィルムに、又は熱処理プロセスの際にポリマーフィルムを支持し、一般的には冷却する支持表面に直接適用することができる。
【0056】
一実施形態では、支持表面は平滑である(すなわち、目立った表面パターンはない)。
【0057】
流体が支持表面に直接適用される場合、また、流体の組成に応じて、濡れ性を高めるために支持表面を改質することができる。一実施形態では、テクスチャー化されたパターンを支持表面にエッチング又は彫刻することができる。例えば、米国特許出願第12/362048号(アーネス(Ehnes)ら)に開示される方法を参照されたい。支持表面上の細かい溝の毛管力によって流体が均一な厚さの薄い膜として保持されることにより、微小穿孔ポリマーフィルム全体にわたって一貫性のないスキンの除去に結びつく、流体の液滴化を防止する。支持表面のテクスチャーとは、テクスチャーの任意の2つの寸法(長さ、幅及び/又は深さ)が、100、75、50、20又は更には10マイクロメートル以下の長さであることを意味する。一実施形態では、テクスチャー化された支持表面の表面の30%未満、又は更には20%未満が平坦(すなわち、テクスチャー化されていない)である。
【0058】
別の実施形態では、支持表面を、例えば表面エネルギーの高いコーティング又は仕上げで被覆することにより、流体による濡れ性を高めることができる。
【0059】
更に別の実施形態では、更なる平坦なフィルム(又は二次フィルム)を、熱処理に先立って支持表面とエンボス加工ポリマーフィルムとの間に導入することができる。流体は、エンボス加工ポリマーフィルムと接触させる前に二次フィルムの上面に適用することができる。更に、流体で飽和させた繊維ウェブを、熱処理に先立って支持表面とエンボス加工ポリマーフィルムとの間に導入することができる。繊維ウェブは、その性質上、紙ベース、不織布又は織布であってよい。更なるコーティング法を用いて、フィルムの裏面又は冷却ロールの表面に流体をコーティングしてもよい。こうした方法には、ロールコーティング、カーテンコーティング、接触ダイ、スプレーコーティング、封入ドクターブレード又はスポンジ型のトランスファーコーティング法が含まれる。
【0060】
流体を制御することにより、スキンの溶融及び除去を制御することができる。例えば、流体の小さい液滴がエンボス加工ポリマーフィルムの第1の表面上にスプレーされる場合、熱処理の際にスキンが除去されない可能性がある。エンボス加工ポリマーフィルムのキャビティが、ヒートシンクとして機能しうる流体によって完全に充填される場合、熱処理の際にスキンが充分に高温とならず、したがってキャビティ又はキャビティの一部が通路として開かなくなる。
【0061】
スキンを除去するために火炎処理などの熱除去処理を使用する場合、熱エネルギーがフィルムのスキンを有する側から通常加えられるのに対して、ヒートシンクとして機能する金属表面(例えばロール)は、バルク部分から熱を奪うように反対側の表面に対して与えることが可能であり、これによりフィルムのバルク部分は熱除去処理に際して変形しない。熱エネルギー処理の際に、開口部が開きやすくなるように、熱エネルギー処理の間及び/又はその後にフィルムを張力下に維持してもよい。これは例えば、フィルムの一方の側面に陽圧又は真空を作用させることによって行うことができる。
【0062】
熱置換処理のための各種のバーナーが、例えば、フリン・バーナー社(Flynn Burner Corporation)(ニューヨーク州ニューロシェル)、エアロジェン社(Aerogen Company,Ltd.)(英国、アルトン)、及びシャーマン・トリーターズ社(Sherman Treaters Ltd.)(英国、テーム)から市販されている。好ましいバーナーの1つとして、フリン・バーナー社(Flynn Burner Corporation)より850シリーズとして販売される、8口を有する、32インチ(81.3cm)の実際の長さが27インチ(68.6cm)の長さにデッケル(deckled)され、ステンレス鋼のデッケルされた(deckled)リボンが鋳鉄ハウジング内に取付けられたものがある。リボンバーナーがポリマーフィルムの火炎穿孔には最も好ましいが、ドリル穿孔ポート又はスロット設計を有するバーナーなどの他の種類のバーナーの使用も可能である。通常、本開示の火炎穿孔プロセスにおいて使用される火炎に供給される前に、燃料に酸化剤が混合される。
【0063】
図3は、本開示の一実施形態に基づいて微小穿孔ポリマーフィルムを形成するための例示的な押出しエンボス加工システムの概略図を示す。
【0064】
例示的な押出しエンボス加工システム120は、ポリマーフィルム124が押し出される押出しダイ122を一般的に含む。押出しダイ122は、概ね平坦な外表面を有する第1のロール128(バックアップロール)、及びその外表面に柱状要素を有する第2のロール130(金型ロール)を含むニップロールシステム126と流体連通している。ポリマーフィルム124は、一般的に第1のロール128と第2のロール130との間を流れ、柱状要素に形状一致し、硬化することによってエンボス加工ポリマーフィルム132を形成する。一実施形態では、第2のロール130に対してより均一な圧力を与えるために、ポリマーフィルム124と第1のロール128との間に犠牲ポリマーフィルムを配する。
【0065】
いくつかの実施形態では、エンボス加工ポリマーフィルム132は、一時的な保管用にニップロールシステム126から保管ビン134に移動する。保管ビン134は、例えばエンボス加工ポリマーフィルムが巻回される巻回ロールであってよい。また、保管ビン134は、エンボス加工ポリマーフィルム132の切断シートを保管するシートビンであってもよい。
【0066】
しかしながら図3に示されるように、例示的システム120は、エンボス加工ポリマーフィルム上のキャビティを覆うスキンを除去して微小穿孔ポリマーフィルム144を形成するための除去処理システム136を含む。この場合、除去処理システム136は、ニップロールシステム126と保管ビン134との間のライン上に設けられる。また、除去処理システム136は、保管されたエンボス加工ポリマーフィルムが保管ビン134から、除去処理システム136を有する別の組み立てラインに移動されるようなライン外システムであってもよい。ロールに基づくプロセスは大幅なコスト削減を可能とするものであるが、ニップロールシステムではなく、シート状の金型システムを使用した段階的なプロセスを代わりに用いることもできる。
【0067】
図3に更に示されるように、バッキングロール138が除去処理システムに対向して設けられる。バッキングロール138の支持表面140は、例示的システム120の周囲の周囲温度に対して温度制御されることが好ましい。バッキングロール138の支持表面140は、当該技術分野では周知の任意の手段によって温度制御することができる。例えば、バッキングロール138の支持表面140は、バッキングロール138の中空シャフトを通じて冷却水を供給することによって冷却することができる。
【0068】
一実施形態では、支持表面140は平滑である(すなわち、形成部をいっさい含まない)。別の実施形態では、支持表面140は支持表面140上のテクスチャーパターンを含む。テクスチャーパターンは、支持表面140に沿った複数の細かい溝又は凹みであってよい。また、許容されるテクスチャーパターンを形成するために、アブレーション又はドリル加工などの他の適当な手段を使用することもできる。本明細書において述べられる方法の好ましい実施形態では、エンボス加工ポリマーフィルム132と支持表面140との間に流体を配する。支持表面に流体を適用する方法は、流体アプリケータ142から圧送される流体の圧力、速度、又は速さに応じて当業者が変更することができる。
【0069】
本開示の一実施形態では、支持表面は20℃、15℃、10℃又は更には5℃に冷却される。
【0070】
装置は、米国特許出願公開第2005/0073070号(ゲッチェル(Getschel)ら)に述べられるような酸素濃縮火炎を含むように改変することもできる。
【0071】
応用例
上記に述べた微小穿孔ポリマーフィルム及び処理方法によれば多くの利点が与えられる。従来の繊維質材料及び穿孔シート材料と比較して、上記の微小穿孔ポリマーフィルムは比較的低コストで形成することができ、より広範な用途が可能である。柱状要素成形の使用によって、高いアスペクト比の開口部を形成する比較的低コストの方法が提供される。柱状要素成形の使用により、フィルムに穿孔を形成する他の方法と比較して、顕著な品質上の利点も与えられる。例えば、柱状要素成形は、例えば、機械的パンチング、ドリル加工、又はボーリング法と比較して、発生する破片又は粒子状物質が大幅に少ない。上記のプロセスはまた、連続的な処理が可能であり、従来の処理方法と比較して大幅なコスト削減が可能である。更に、本明細書において開示される方法を使用することで、異なる形状の開口部及び厳密に制御された形成部のサイズを有する微小穿孔ポリマーフィルムの製造が可能となる。
【0072】
本開示のこうした微小穿孔ポリマーフィルムは、例えば濾過又は音響効果などの様々な用途で使用することができる。一実施形態では、本開示の微小穿孔ポリマーフィルムを液体又は気体の濾過に使用することができる。例えば、微粒子を含む混合物を本明細書において開示される微小穿孔ポリマーフィルムと接触させ、微小穿孔ポリマーフィルムを使用してこの混合物を濾過することができる。
【0073】
一実施形態では、本開示に基づく微小穿孔ポリマーフィルムを国際特許出願公開第2006/055138号(ジョセフ(Joseph)ら)、及び米国特許出願公開第2006/0049099号(チャン(Chang))に開示される種類の塗料噴霧器においてフィルターとして使用することができる。
【0074】
例えば、本開示に基づく微小穿孔ポリマーフィルムは、フィルターを通じる流通路として機能しうる通路又は開口部を含む。開口部よりも大きな試料中の物体の通過は遮断される。微粒子の濾過に本開示の微小穿孔ポリマーフィルムを使用することの新規な特徴として、流体の流通路の形状を最適化し、形成部のサイズを正確に制御できる点がある。これらの特徴によって、圧力低下を最小に抑える一方で、通過可能な粒子のサイズを正確に限定する優れたフィルターが得られる。
【0075】
例えば、円形の開口部はフィルターを挟んだ圧力低下を最小に抑えるうえで優れている(同じ開放領域率(%)、厚さなどと仮定する)。円形は外周の長さが最小であり、したがって開口部は流体接触面積に対する表面の量が最小となる。これにより、流体中のせん断応力は接触面積に比例することから、圧力低下は最小となる。したがって粒径の制御と同様に、開口部を可能な限り円形とすることが好ましい。
【0076】
高い流速及び他の物理的に過酷な用途において使用される微小穿孔ポリマーフィルムは、破裂、断裂、及び他の高応力による破損の態様に耐えうるだけの強度を有する必要がある。本開示の高度に穿孔されたポリマーフィルムにおける適当な物理的強度の実現を、強化又は増強することができる。向上した物理的特性を有するいくつかの実施形態には、優れた耐化学性及び耐水性とともに適当な物理的強度を与える樹脂システムの選択が含まれる。更に、包埋繊維、強化リブ、又は担体布地を使用することもできる。包埋繊維は、溶融した押出品内部に組み込むことによって、押出しされたフィルムに構造的支持を与える繊維である。強化リブは、押出しされたフィルム内に一定間隔で組み込まれる幅広かつ/又は肉厚の支持部材である。担体布地は、微小穿孔フィルムに接着することができる支持布地である。支持布地中の繊維の間隔は、濾過性能を妨害しないように開口部よりも大幅に大きくするとよい。布地は、押出し工程又はその後にラミネート処理によって接着することができる。
【0077】
一実施形態では、本明細書において開示される微小穿孔ポリマーフィルム、及び微小穿孔ポリマーフィルムの少なくとも一部にわたって延びる第2の透過性材料を含む多層フィルター装置がある。第2の透過性材料は最も大きな物質を捕捉する。これにより、より大きな物質によって第1の層である微小穿孔ポリマーフィルムが速やかに目詰まりすることが防止されるために、フィルターの寿命が延びる。この実施形態は、各層間に1以上の間隔を設けることによって促進されうる。このような間隔は、微小穿孔ポリマーフィルム又は第2のポリマーフィルムの少なくとも一方と一体に形成される複数のスペーサーによって形成することができる。これらの間隔は、隣接層間に流体が流れる間隙を形成する。これにより、大きな物質によって外側の開口部が目詰まりした場合でも、目詰まりした領域の下の濾過層に流体が到達することが可能である。これによりフィルター寿命が延び、性能が向上しうる。一実施形態では、第2の透過性材料は第2の微小穿孔ポリマーフィルムである。
【0078】
多層構造の別の変形例は、不織布型の材料の外側層、及び本明細書において開示される微小穿孔ポリマーフィルムを含む。不織布型の材料は、下側の濾過層を通る流体の流れをほとんど遮断することなく大きなゼラチン状の物質を効果的に捕捉する。
【0079】
本開示の項目
下記に本開示の異なる実施形態について述べる。
【0080】
項目1.微小穿孔ポリマーフィルムを形成するための方法であって、
対向する第1及び第2の表面と、その間の複数のキャビティと、を含むポリマーフィルムであって、前記複数のキャビティが前記第1の表面に開口し、前記第1の表面と交わるキャビティ面を含む、ポリマーフィルムを与える工程と、
支持表面と前記第1の表面との間に流体を与える工程と、
前記第2の表面を熱処理に曝露して、前記ポリマーフィルムの前記複数のキャビティを覆う領域に穿孔する工程と、を含む、方法。
【0081】
項目2.気体の層が、前記複数のキャビティの少なくとも一部の前記キャビティの頂点から前記流体を隔離する、項目1に記載の方法。
【0082】
項目3.前記流体が水である、項目1又は2に記載の方法。
【0083】
項目4.前記支持表面が冷却ローラーである、項目1〜3のいずれか1つに記載の方法。
【0084】
項目5.前記熱処理が、火炎、高温空気、放射熱、及びこれらの組み合わせのいずれかである、項目1〜4のいずれか1つに記載の方法。
【0085】
項目6.前記支持表面が、テクスチャー、コーティング、及びこれらの組み合わせの少なくとも1つを含む、項目1〜5のいずれか1つに記載の方法。
【0086】
項目7.物品が、液体又は気体用の微粒子フィルターである、項目1〜6のいずれか1つに記載の方法によって製造される物品。
【0087】
項目8.(i)第1の所定距離だけ離れた対向する第1及び第2の表面と、(ii)前記第1及び第2の表面に垂直な複数の通路と、を含む微小穿孔ポリマーフィルムであって、各通路の第1の開口部が前記第1の表面と交わり、各通路の第2の開口部が前記第2の表面と交わり、前記第1の開口部の直径が前記第2の開口部の直径よりも大きく、前記第2の表面上の第2の開口部同士は第2の所定距離だけ離れ、前記第2の所定距離に対する前記第1の所定距離の比が少なくとも0.25であり、更に、
前記第2の表面が少なくとも10%の開放領域を有する、微小穿孔ポリマーフィルム。
【0088】
項目9.前記対向する第1及び第2の表面間の距離が、少なくとも75マイクロメートルである、項目8に記載の微小穿孔ポリマーフィルム。
【0089】
項目10.前記微小穿孔ポリマーフィルムが、ポリオレフィンから選択される、項目8又は9に記載の微小穿孔ポリマーフィルム。
【0090】
項目11.前記通路が、テーパ状の壁を有する、項目8〜10のいずれか1つに記載の微小穿孔ポリマーフィルム。
【0091】
項目12.前記第2の開口部の形状が、楕円形又は丸形である、項目8〜11のいずれか1つに記載の微小穿孔ポリマーフィルム。
【0092】
項目13.前記第2の開口部の直径が、500マイクロメートル未満である、項目8〜12のいずれか1つに記載の微小穿孔ポリマーフィルム。
【0093】
項目14.少なくとも一方の主面に沿って延びる包埋繊維又は一体形成リブの少なくとも一方を更に含む、項目8〜13のいずれか1つに記載の微小穿孔ポリマーフィルム。
【0094】
項目15.前記第2の所定距離が、少なくとも75マイクロメートルである、項目8〜14のいずれか1つに記載の微小穿孔ポリマーフィルム。
【0095】
項目16.
(i)対向する第1及び第2の表面と、(ii)前記第1及び第2の表面に垂直な複数の通路と、を含む微小穿孔ポリマーフィルムであって、各通路の第1の開口部が前記第1の表面と交わり、各通路の第2の開口部が前記第2の表面と交わり、前記第1の開口部の直径が前記第2の開口部の直径よりも大きく、前記第2の表面が少なくとも20%の開放領域を有し、更に前記第2の表面が1平方インチ当たり少なくとも6,000個の開口部(1平方cm当たり930個の開口部)を含む、微小穿孔ポリマーフィルム。
【0096】
項目17.
(a)項目8〜16のいずれか1つに記載の微小穿孔ポリマーフィルムと、
(b)前記微小穿孔ポリマーフィルムの少なくとも一部にわたって延びる第2の透過性材料と、を含む多層フィルター装置。
【0097】
項目18.複数のスペーサーが、前記微小穿孔ポリマーフィルム又は前記第2の透過性材料の少なくとも一方と一体に形成される、項目17に記載の多層フィルター装置。
【0098】
項目19.微粒子を濾過するための方法であって、
(a)項目8〜16のいずれか1つに記載の微小穿孔ポリマーフィルムを与える工程と、
(b)微粒子を含む混合物を与える工程と、
(c)前記混合物を前記微小穿孔ポリマーフィルムと接触させて、前記混合物を濾過する工程と、を含む、方法。
【0099】
項目20.前記混合物が塗料である、項目19の微粒子を濾過するための方法。
【実施例】
【0100】
本開示の利点及び実施形態を、以下の実施例によって更に例示するが、これらの実施例において記載される特定の材料及びその量並びに他の条件及び詳細は、本開示を不要に限定するものとして解釈すべきではない。これらの実施例では、全ての比率、割合及び比は、特に断らないかぎり重量に基づいたものである。材料はすべて、特に断らないか又は明らかでないかぎり、例えばシグマ・アルドリッチ社(Sigma-Aldrich Corporation)(ミズーリ州セントルイス)より市販されるか、又は当業者には周知のものである。
【0101】
以下の実施例では以下の略記を用いる。cm=センチメートル、°F=華氏、℃=摂氏、rpm=回転/分、m=メートル、min=分、N=ニュートン、lbf=重量ポンド、μm=マイクロメートル、hr=時間、s=秒、mm=ミリメートル、及びmL=ミリリットル。
【0102】
方法
押出し及びエンボス加工プロセス
トータル・ペトロケミカル・ユー・エス・エー社(Total Petrochemical USA, Inc.)(テキサス州ポートアーサー)より「POLYPROPYLENE 3868」の商品名で販売される、メルトフローインデックス(MFI)が35のポリプロピレンホモポリマーを、キャストフィルム押出ダイ(508マイクロメートル(20ミル)の公称ダイギャップを有する幅30.48cm(12インチ)のもの)を備える6.35cm(2.5インチ)の単軸押出成形機(DS−25、デイビス・スタンダード社(Davis-Standard,LLC)、コネチカット州ポーカタック)を使用して押出した。
【0103】
溶融ポリマー樹脂(すなわち、押出品)を、金型ロールとバックアップロールからなる縦に配置された2個のロールのニップ内に供給した。直径30.48cm(12インチ)の金型ロールは、約10°の正の側壁角度を有する、切頭六角形の配列パターンに構成された六角形の柱状要素を有する。各柱状要素の高さは約250μmであり、末端の幅(すなわち、六角柱の上部にわたった、対向する辺の間の距離)が225マイクロメートル、通路幅(すなわち、金型の上部における1個の六角柱の縁部とそれに最も近い隣の六角柱との間の距離)が150マイクロメートルであった。直径30.48cm(12インチ)のバックアップロールは、アメリカン・ローラー社(American Roller Company)(コネチカット州ウォーターベリー)より販売される、0.635cm(0.25インチ)、デュロメータにより測定した硬さ(ショアA硬さ)が80のゴム被覆「SS100」型を有していた。75マイクロメートル(3ミル)のポリエステルテレフタレート(PET)犠牲フィルムを、バックアップロールと溶融ポリマー樹脂との間に供給し、ポリマーフィルムのエンボス加工及び硬化後に取り出した。ポリマーフィルムは、金型の柱状要素が接触した位置にキャビティを含む金型のポジであった。金型ロールとバックアップロールとの間のニップ力のため、各キャビティの底とエンボス加工ポリマーフィルムの第2の表面との間に薄いフィルム(すなわち、スキン)が残った。
【0104】
押出しプロセスの条件を表1に示す。
【0105】
【表1】

【0106】
火炎処理プロセス
エンボス加工ポリマーフィルムを、スキン側が外側になるようにして直径30.48cm(12インチ)の単一の平滑な水冷された冷却ロールの周囲に巻回した。冷却ロールの温度を21℃(70°F)に制御した。エンボス加工されたフィルムを、プロパンを燃料とする、フリン・バーナー社(Flynn Burner Corporation)(ニューヨーク州ニューロシェル)より販売される、8口のアルミニウムバーナー(30.48cm(12インチ))Extruded Aluminum 861 Series Ribbon Burnerに曝露した。バーナーとフィルムとの隙間は20.3mmであり、エネルギー出力は、12.2m/分(40フィート/分)のライン速度で288.5ワット時/cm(2500英熱量/時/インチ)であった。
【0107】
比較例Aは、上記の火炎処理プロセスに従って調製した。得られたポリマーフィルムは、図4a及び4bに示されるように完全に破損、すなわち、ポリマーフィルムのほぼ全体の領域にわたって制御不能な溶融及び泡立ちを示した。エンボス加工されたフィルムが火炎処理の際に冷却ロールによって充分に冷却されず、フィルムの相当部分に明らかな通路(又は貫通開口部)がいっさい形成されることなくフィルムが大規模かつ制御不能に溶融したものと考えられる。
【0108】
実施例1は、火炎処理の際に冷却ロールとエンボス加工ポリマーフィルムとの間に脱イオン水を使用した以外は比較例Aに述べたのと同様にして調製した。脱イオン水は、エンボス加工フィルムが冷却ロールと接触する前に、ウェブの約2フィート(61.0cm)上流でエンボス加工フィルムの第1の主面に適用した。脱イオン水は、米国特許第5,115,972号(マイヤー(Maier)ら)に述べられるようなシリンジポンプ及び水噴霧ダイによって適用した。脱イオン水は、空気圧が103,400N/m(15psi)(103.4kPa)で流速が37mL/分の19個のノズルを使用して23cm(9インチ)のスパンで噴霧した。火炎処理の後、得られたポリマーフィルムは寸法的によく保存されていたが、スキンの除去状態については変動性が認められた。多くのキャビティが完全に開放し、きれいな貫通開口部を形成していたが、一部のキャビティは部分的にのみ開放しているかあるいはまったく開放していなかった。代表的なフィルムを図5に示す。
【0109】
実施例2は、冷却ロールの表面及び脱イオン水を適用する位置に変更を加えた以外は実施例1に述べたのと同様にして調製した。平滑な水冷された冷却ロールを、米国特許出願第12/362048号(アーネス(Ehnes)ら)に述べられるような、ピッチが62マイクロメートル、高さが30マイクロメートル、一辺のバイアス角度が10°、及び先端部の角度が90°の角錐からなる彫刻パターンを有する水冷された冷却ロールに置き換えた。ノズルは図3に示されるように火炎と反対側に配置し、冷却ロールがエンボス加工フィルムに接触する前に冷却ロール上に脱イオン水を直接適用する。図6に、エンボス加工ポリマーフィルムの断面図を示す。表面640は、金型と接触するポリマーフィルムの第1の表面である。処理条件により、ポリマーフィルムは金型を完全には充填しておらず、「ワッフル型」の表面となっている。図では、2個の充填されたキャビティ(620A及び620B)、及びキャビティを分離する3個のポリマー部分(630A、630B、及び630C)が認められる。図6を注意深く見ると、キャビティ620A及び620Bの底にそれぞれ薄いスキン(680A及び680B)が示されている。
【0110】
火炎処理後、得られた微小穿孔ポリマーフィルムは、フィルムの一体性を保ちつつ、均一なキャビティの開口部を示した。代表的なフィルムを図7及び図8a〜8cに示す。図7は、微小穿孔ポリマーフィルムの一部の第2の表面の平面図である。図8aは、微小穿孔ポリマーフィルムの第1の表面の更なる拡大平面図である。各通路はテーパ状であり、より大きな直径の第1の開口部が六角形であるのに対して、より小さな直径の第2の開口部は楕円形となっている。図8bは、微小穿孔ポリマーフィルムの第2の表面の更なる拡大平面図であり、複数の通路の第2の開口部のみが認められる。図8bには、第2の表面上の隣り合う開口部間の最小距離(第2の所定距離)である50Bが更に示されている。図8Cは、微小穿孔ポリマーフィルムの断面図である。表面860は、熱処理に曝露したポリマーフィルムの第2の表面である。スキンが除去されており、通路(又は貫通開口部)が形成されている。図8cでは、2個の充填されたキャビティ(820A及び820B)、及びキャビティを分離する3個のポリマー部分(830A、830B、及び830C)が認められる。図6と図8Cを比較すると、熱処理の結果、通路に対するキャビティの形状の相違、及びキャビティを分離するポリマー部分の変化が認められる。
【0111】
微小穿孔ポリマーフィルムの第1の表面と第2の表面との間の距離(すなわち第1の所定距離、例えば図8cの距離40B)は、マイクロメータ(テスティング・マシンズ社(Testing Machines, Inc.)(ニューヨーク州ロンコンコマ)より販売される型番49−70−01−001)を使用して測定したところ、229マイクロメートル(9ミル)であった。第2の表面上の2個の隣り合う第2の開口部の間の最小距離(すなわち第2の所定距離、例えば図8bの距離50B)は、ベンチトップ型顕微鏡(TM−1000、日立ハイテク社(Hitachi High-Technologies America, Inc.)(カリフォルニア州プレザントン))を使用して測定したところ、140マイクロメートル(5.5ミル)であった。実施例2における第2の所定距離に対する第1の所定距離の比は、1.63と計算された。穴密度は1平方インチ当たり982個の穴/cm(6336個の穴)であり、開放領域は32%であった。
【0112】
実施例3は、ポリマーをダウ・プラスチックス社(Dow Plastics)(ミシガン州ミッドランド)より「ENGAGE 8401」の商品名で入手される25%のポリプロピレンホモポリマーと75%のポリオレフィンエラストマー(エチレンオクテンコポリマー)とのブレンドとし、表2に示されるプロセス条件を用いた点を除いて実施例2に述べたのと同様に調製した。得られた微小穿孔ポリマーフィルムは均一な開口部を示した。
【0113】
【表2】

【0114】
本開示の範囲及び趣旨から逸脱することなく、本開示の予測可能な改変及び変更は当業者にとっては自明であろう。本開示は、説明を目的として本願に記載される実施形態に限定されるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微小穿孔ポリマーフィルムを形成するための方法であって、
対向する第1及び第2の表面と、その間の複数のキャビティと、を含むポリマーフィルムであって、前記複数のキャビティが前記第1の表面に開口し、前記第1の表面と交わるキャビティ面を含む、ポリマーフィルムを与える工程と、
支持表面と前記第1の表面との間に流体を与える工程と、
前記第2の表面を熱処理に曝露して、前記ポリマーフィルムの前記複数のキャビティを覆う領域に穿孔する工程と、を含む、方法。
【請求項2】
気体の層が、前記複数のキャビティの少なくとも一部の前記キャビティの頂点から前記流体を隔離する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記流体が水である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記支持表面が冷却ローラーである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記熱処理が、火炎、高温空気、放射熱、及びこれらの組み合わせのいずれかである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記支持表面が、テクスチャー、コーティング、及びこれらの組み合わせの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
物品が、液体又は気体用の微粒子フィルターである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法によって製造される物品。
【請求項8】
(i)第1の所定距離だけ離れた対向する第1及び第2の表面と、(ii)前記第1及び第2の表面に垂直な複数の通路と、を含む微小穿孔ポリマーフィルムであって、各通路の第1の開口部が前記第1の表面と交わり、各通路の第2の開口部が前記第2の表面と交わり、前記第1の開口部の直径が前記第2の開口部の直径よりも大きく、前記第2の表面上の前記第2の開口部同士は第2の所定距離だけ離れ、前記第2の所定距離に対する前記第1の所定距離の比が少なくとも0.25であり、更に、
前記第2の表面が少なくとも10%の開放領域を有する、微小穿孔ポリマーフィルム。
【請求項9】
前記対向する第1及び第2の表面間の距離が、少なくとも75マイクロメートルである、請求項8に記載の微小穿孔ポリマーフィルム。
【請求項10】
前記微小穿孔ポリマーフィルムが、ポリオレフィンから選択される、請求項8に記載の微小穿孔ポリマーフィルム。
【請求項11】
前記通路が、テーパ状の壁を有する、請求項8に記載の微小穿孔ポリマーフィルム。
【請求項12】
前記第2の開口部の形状が、楕円形又は丸形である、請求項8に記載の微小穿孔ポリマーフィルム。
【請求項13】
前記第2の開口部の直径が、500マイクロメートル未満である、請求項8に記載の微小穿孔ポリマーフィルム。
【請求項14】
少なくとも一方の主面に沿って延びる包埋繊維又は一体形成リブの少なくとも一方を更に含む、請求項8に記載の微小穿孔ポリマーフィルム。
【請求項15】
前記第2の所定距離が、少なくとも75マイクロメートルである、請求項8に記載の微小穿孔ポリマーフィルム。
【請求項16】
(i)対向する第1及び第2の表面と、(ii)前記第1及び第2の表面に垂直な複数の通路と、を含む微小穿孔ポリマーフィルムであって、各通路の第1の開口部が前記第1の表面と交わり、各通路の第2の開口部が前記第2の表面と交わり、前記第1の開口部の直径が前記第2の開口部の直径よりも大きく、前記第2の表面が少なくとも20%の開放領域を有し、更に前記第2の表面が1平方インチ当たり少なくとも6,000個の開口部(1平方cm当たり930個の開口部)を含む、微小穿孔ポリマーフィルム。
【請求項17】
(a)請求項8〜16のいずれか一項に記載の微小穿孔ポリマーフィルムと、
(b)前記微小穿孔ポリマーフィルムの少なくとも一部にわたって延びる第2の透過性材料と、を含む多層フィルター装置。
【請求項18】
複数のスペーサーが、前記微小穿孔ポリマーフィルム又は前記第2の透過性材料の少なくとも一方と一体に形成される、請求項17に記載の多層フィルター装置。
【請求項19】
微粒子を濾過するための方法であって、
(a)請求項8〜16のいずれか一項に記載の微小穿孔ポリマーフィルムを与える工程と、
(b)微粒子を含む混合物を与える工程と、
(c)前記混合物を前記微小穿孔ポリマーフィルムと接触させて、前記混合物を濾過する工程と、を含む、方法。
【請求項20】
前記混合物が塗料である、請求項19に記載の微粒子を濾過するための方法。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8a】
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【図8b】
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【図8c】
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【公表番号】特表2013−513472(P2013−513472A)
【公表日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543338(P2012−543338)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【国際出願番号】PCT/US2010/060160
【国際公開番号】WO2011/081894
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】