説明

微生物検出方法、微生物検出装置、およびこれを用いたスラリー供給装置

【課題】流動する液体中の微生物と微生物以外の固形物を判別することにより、微生物の存在を検出することができる微生物検出方法、微生物検出装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の微生物検出装置は、管体内を流動する被測定液に、第1の波長の光を照射する発光部204と、第1の波長の光の微生物による透過量と微生物以外の固形物による透過量を検出する受光部205と、被測定液に、第2の波長の光を照射する発光部(204)と、第2の波長の光の微生物以外の固形物の透過量を検出する受光部(205)と、第1の波長の光の照射による微生物と微生物以外の固形物の透過量と、第2の波長の光の照射による微生物以外の固形物の透過量との差を演算する演算手段206を備え、演算手段206で演算した前記透過量の差によって微生物の存在を検出することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微生物粒と微生物粒以外の固形物粒が混在して流動する被測定液体おいて、微生物粒以外の固形物粒を識別して微生物を検出する微生物検出方法、微生物検出装置、およびこれを用いたスラリー供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
微生物粒と微生物粒以外の固形物粒が混在して流動する被測定液体をとして、特に半導体製造における半導体基板表面の平面加工を行う場合の化学機械研磨(Chemical・Mechanical・Polishing:CMP)装置へ供給する複数の研磨原液の混合液であるスラリーが挙げられる。近年、半導体装置の高集積化、高性能化のための微細加工技術としてのCMP法は、成分の異なる複数の研磨原液を混合させた混合研磨液(以下、スラリーと称す)と被研磨体との間の化学的作用および砥粒の機械的作用とを複合化させた研磨方法であり、半導体製造装置プロセス、特に多層配線形成工程における層間絶縁膜の平坦化、金属プラグ形成、埋め込み金属配線形において必要不可欠な工程となっている。
【0003】
このCMPに用いられている研磨装置として、表面に研磨布が貼付された円盤状の研磨定盤と、研磨すべきウエハの一面を保持して研磨布にウエハの他面を当接させる複数のウエハ保持ヘッドと、これらウエハ保持ヘッドを研磨定盤に対し相対回転させるヘッド駆動機構とを具備し、研磨布とウエハとの間に砥粒を含むスラリーを供給することにより研磨を行う。
【0004】
スラリーは通常、金属酸化物等の砥粒分散液(機械的研磨成分)、過酸化水素等の酸化剤あるいはKOH等のアルカリからなる化学的研磨成分、分散助剤、pH調整剤、希釈液等を含有している。CMP法においては、スラリーの成分の異なる砥粒分散液、過酸化水素等の複数の研磨原液の混合比率および供給量の精度維持、凝集や沈降を防止することが極めて重要となっている。また研磨レートの安定化、平坦化の精度向上のためには、平坦化工程に供給されるスラリー中の砥粒の粒度径ないしは粒度分布が安定していること、他の不純物、異物の混入防止も重要な要素である。分散助剤等としては、界面活性剤や有機酸等の有機物が使用されることが多い。ここで酸化剤等の化学的研磨成分の濃度が安定していることも平坦化の精度向上のためには、重要な要素である。
【0005】
また、砥粒分散液、スラリーのpHは中性よりとなっていることから、好気性微生物の繁殖を十分に許容する組成となっている。スラリーの作成およびスラリーの研磨装置への供給動作を連続して行うことになるが、特に砥粒分散液中に好気性微生物が存在することが避けられない現状にある。このため時間経過とともに、砥粒分散液の供給ライン、および成分の異なる砥粒分散液、過酸化水素等の複数の研磨原液の混合後のスラリーの研磨装置への供給ラインの内壁部に、微生物が付着して繁殖し部分的に塊状の状態となることが確認されている。特に、砥粒分散液の供給ライン、スラリーの供給ラインの屈曲部において、局部的に好気性微生物の付着、増殖、塊状化が多くなる傾向にある。さらに各々の供給ラインの配管にPFA(ペルフルオロアルキルコポリマー)等の樹脂材料を用いた場合に、前記傾向がより顕著になる。
【0006】
前記したように、砥粒分散液の供給ラインの内壁部に微生物が付着して繁殖し部分的に塊状の状態となった場合、砥粒分散液の供給ラインの流路抵抗が増加し、砥粒分散液の供給量の減少を生じる。さらに砥粒分散液と過酸化水素水等との混合比率が変動して所定の成分比率に制御することが困難になる。
【0007】
さらに、流量計を用いている場合には、微生物の付着による流量計測の精度が低下し、所定の成分比に制御することが困難になる。また混合器を用いた場合、その混合促進部材および内壁部に微生物が付着して繁殖し、混合器での均一な混合ができない。またスラリーの供給ラインの内壁部に微生物が付着して増殖した場合には、スラリーの流れに対して流路抵抗が増加し、研磨装置へのスラリーの供給量の減少を生じ、供給量の精度を維持することができない。
【0008】
前記砥粒分散液の供給ライン、スラリーの供給ラインにおける微生物の付着、繁殖は、スラリー供給装置の使用時間とともに増加し、特に供給ラインの屈曲部において流路を閉塞する状態にまでなる恐れがある。このため、さらに所定混合比率への制御、研磨装置へのスラリーの供給量の一定化が困難になる。また微生物の付着、繁殖により微生物の塊状物の一部が小片、粒状物となって剥離し、これが研磨装置に異物となって到達した場合には、ウエハの研磨性能に重大な悪影響を与えることなる。
【0009】
好気性微生物による前記したような課題を解決するために、従来、砥粒分散液中へ殺菌剤を添加することも行われているが、好気性微生物を皆無にすることができない状況にある。このため、スラリー供給装置に砥粒分散液の供給ライン、スラリーの供給ラインの一部に、加熱、冷却部手段等の微生物汚染防止手段を備えた下記のものが知られている。
【0010】
CMPスラリー用材料を含む研磨用流体を研磨装置に供給するための装置であって、第1の研磨用流体を貯留する第1の貯留手段と、第2の研磨用流体を貯留する第2の貯留手段と、前記第1の研磨用流体と前記第2の研磨用流体とを混合する手段と、前記第1の貯留手段、前記第2の貯留手段、これらのいずれかの貯留手段から前記混合手段への前記各研磨用流体の送液用配管、及び混合されて得られる研磨用流体の送液用配管のうちいずれかの部位に設けられる、研磨用流体の冷却、マイクロ波照射による加熱、細胞障害性の電磁波及び/または音波の照射による微生物汚染防止手段を備えたものである(例えば、特許文献1)。
【0011】
また、研磨液における所定粒径以上の砥粒の発生をインラインで管理する研磨液の製造装置であって、一定の砥粒濃度の研磨液を調製する調製槽と、調製された研磨液を循環させる研磨液循環装置とを備えている。そして、研磨液循環装置の管路の流量調整可能なバイパス管路には、前記所定粒径以上の粒径の砥粒を検出し且つその数を計測する光遮断方式の研磨液監視用のパーティクル検出器が設けられている(例えば、特許文献2)。
【特許文献1】特開2003−197576号公報
【特許文献2】特開2002−154056号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、前記した特許文献1に記載されたものは、研磨用流体中の微生物の存在の有無に関わらず、微生物汚染防止手段を常に駆動するものである。このため研磨用流体中に微生物が存在しない場合であっても微生物汚染防止手段を駆動することになり、省エネルギー性に課題があり、また、研磨用流体中の微生物の存在の有無および微生物の繁殖傾向、微生物汚染防止手段の駆動による実際の効果を、連続的、迅速に把握、確認することができない。
【0013】
また、前記した特許文献2に記載されたものは、調製された研磨液中の固形物である所定粒径以上の砥粒の検出は可能であるが、研磨液中に存在する微生物を検出することができない。このため前記したような微生物の存在による研磨装置への悪影響を防止することができない課題を有していた。
【0014】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、流動する液体中の微生物と微生物以外の固形物を判別することにより、微生物の存在を検出することができる微生物検出方法、微生物検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記従来の課題を解決するために、本発明の微生物検出方法は、流動する被測定液体中に第1および第2の異なる波長の光を照射し、前記第1の波長における光の透過量と、前記第2の波長における光の透過量との差によって、微生物の存在を検出することを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明の微生物検出装置は、管体内を流動する被測定液に、第1の波長の光を照射する発光部と、前記第1の波長の光の微生物による透過量と微生物以外の固形物による透過量を検出する受光部と、前記被測定液に、第2の波長の光を照射する発光部と、前記第2の波長の光の微生物以外の固形物の透過量を検出する受光部と、前記第1の波長の光の照射による微生物と微生物以外の固形物の透過量と、前記第2の波長の光の照射による微生物以外の固形物の透過量との差を演算する演算手段を備え、前記演算手段で演算した前記透過量の差によって微生物の存在を検出することを特徴とするものである。
【0017】
また、本発明のスラリー供給装置は、研磨原液の供給ラインから前記複数の研磨原液の混合液であるスラリーの研磨装置への供給ラインに至るいずれかの部位の微生物を検出する前記に記載の微生物検出装置を備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明の微生物検出方法、微生物検出装置によれば、流動する液体中の微生物と微生物以外の固形物を判別することにより、微生物の存在を検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
第1の発明は、流動する被測定液体中に第1および第2の異なる波長の光を照射し、前記第1の波長における光の透過量と、前記第2の波長における光の透過量との差によって、微生物の存在を検出することを特徴とする微生物検出方法としたものである。
【0020】
これによって、流動する液体中の微生物と微生物以外の固形物を判別することにより、微生物の存在を検出することができる。
【0021】
第2の発明は、管体内を流動する被測定液に、第1の波長の光を照射する発光部と、前記第1の波長の光の微生物による透過量と微生物以外の固形物による透過量を検出する受光部と、前記被測定液に、第2の波長の光を照射する発光部と、前記第2の波長の光の微生物以外の固形物の透過量を検出する受光部と、前記第1の波長の光の照射による微生物と微生物以外の固形物の透過量と、前記第2の波長の光の照射による微生物以外の固形物の透過量との差を演算する演算手段を備え、前記演算手段で演算した前記透過量の差によって微生物の存在を検出することを特徴とする微生物検出装置としたものである。
【0022】
これによって、流動する液体中の微生物と微生物以外の固形物を判別することにより、微生物の存在を検出することができる。
【0023】
第3の発明は、第2の発明において、透過量は、流動する所定量の被測定液における積算値であることを特徴とする微生物検出装置としたものである。
【0024】
これによって、微生物が微量であってもこれを精度よく検出することができる。
【0025】
第4の発明は、第2または第3の発明において、スペクトルアナライザーで第1の波長の光および第2の波長の光の透過量を測定することを特徴とする微生物検出装置としたものである。
【0026】
これによって、各々の光の透過量を連続的に精度よく計測することができる。
【0027】
第5の発明は、第2〜第4のいずれかの発明において、第1の波長の光を紫外線とし、第2の波長の光を赤外線とした記載の微生物検出装置としたものである。
【0028】
これによって、微生物と微生物以外の固形物を確実に識別することができる。
【0029】
第6の発明は、第2〜第5の発明のいずれかにおいて、微生物の存在を報知する報知手段を備えたことを特徴とする微生物検出装置としたものである。
【0030】
これによって、常に被測定液における微生物の存在を把握し、これに対応した迅速な処置を実施することができる。
【0031】
第7の発明は、研磨原液の供給ラインから前記複数の研磨原液の混合液であるスラリーの研磨装置への供給ラインに至るいずれかの部位の微生物を検出する請求項2〜6のいずれか1項に記載の微生物検出装置を備えたことを特徴とするスラリー供給装置としたものである。
【0032】
これによって、微生物検出装置により微生物を検出したときに、研磨装置へ悪影響を及ぼさないよう迅速に対応することができる。したがって、研磨装置において常に安定した研磨を維持することができる。
【0033】
第8の発明は、第7の発明において、研磨原液の供給ラインから前記複数の研磨原液の混合液であるスラリーの研磨装置への供給ラインに至る複数の部位に、微生物検出装置を備えたことを特徴とするスラリー供給装置としたものである。
【0034】
これによって、研磨原液の供給ラインから前記複数の研磨原液の混合液であるスラリーの研磨装置への供給ラインにおいて、微生物の存在する部位または繁殖部位を特定することができる。
【0035】
第9の発明は、第7の発明において、研磨原液の供給ラインから前記複数の研磨原液の混合液であるスラリーの研磨装置への供給ラインに至る複数の部位から、前記研磨原液またはスラリーを微生物検出装置に導出させることを特徴とするスラリー供給装置としたものである。
【0036】
これによって、研磨原液の供給ラインから前記複数の研磨原液の混合液であるスラリーの研磨装置への供給ラインにおいて、微生物検出手段の数を削減して微生物の存在する部位または繁殖部位を特定することができる。
【0037】
第10の発明は、第7〜第9のいずれかの発明において、研磨原液の供給ラインから前記複数の研磨原液の混合液であるスラリーの研磨装置への供給ラインに至る少なくとも一部の部位に、微生物を殺菌する殺菌手段を備え、微生物検出装置による微生物数の検出に基づき、前記殺菌手段を駆動することを特徴とするスラリー供給装置としたものである。
【0038】
これによって、研磨装置への微生物の吐出を防止するとともに、微生物の繁殖による研磨用流体の供給路における流路抵抗の増加による流量変化を防止し、混合比率の安定化を図ることができる。また研磨装置へのスラリー供給量の精度の向上と安定化を図ることができる。
【0039】
第11の発明は、第7〜第10のいずれかの発明において、研磨原液の供給ラインから前記複数の研磨原液の混合液であるスラリーの研磨装置への供給ラインに至る少なくとも一部の部位を洗浄する洗浄手段を備え、微生物検出装置による微生物数の検出値に基づき、前記研磨原液の供給ラインから前記複数の研磨原液の混合液であるスラリーの研磨装置への供給ラインに至る少なくとも一部の部位を洗浄することを特徴とするスラリー供給装置としたものである。
【0040】
これによって、微生物の繁殖による研磨用流体の供給路における流路抵抗の増加による流量変化を防止し、混合比率の安定化を図ることができる。また研磨装置へのスラリー供給量の精度の向上と安定化を図ることができる。
【0041】
第12の発明は、11の発明において、研磨原液の供給ラインから前記複数の研磨原液の混合研磨原液であるスラリーの研磨装置に至る供給ラインの少なくとも一部に、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)液を供給して排出後、過酸化水素水を供給して排出することを特徴とするスラリー供給装置としたものである。
【0042】
これによって、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)液による付着、繁殖した微生物の細胞を溶解させ、さらにTMAH液と過酸化水素水との反応による微生物の剥離を促進させて、確実に除去、洗浄することができる。したがって、微生物の繁殖による研磨用流体の供給路における流路抵抗の増加による流量変化を防止し、混合比率の安定化を図ることができる。また研磨装置へのスラリー供給量の精度の向上と安定化を図ることができる。
【0043】
第13の発明は、第12の発明において、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液を供給し、所定時間供給ラインに滞留させることを特徴とするスラリー供給装置。
【0044】
これによって、供給ラインの屈曲部においても内壁に付着、繁殖し、一部が塊状となった微生物に、有機の強アルカリ物質であるテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド液が十分に接触、浸透し、より確実に微生物の細胞を溶解、殺菌することができる。
【0045】
第14の発明は、第12または13の発明において、過酸化水素水を供給し、所定時間供給ラインに滞留させることを特徴とするスラリー供給装置。
【0046】
これによって、供給ラインの内壁および微生物に付着残留する強アルカリ物質であるテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド液と過酸化水素水が反応して発砲し、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド液によって溶解した微生物の、内壁からの剥離および供給ラインの内壁の殺菌をより促進することができる。
【実施例】
【0047】
(実施例1)
以下、本発明の微生物検出方法、微生物検出装置とこれを用いた実施例1のスラリー供給装置を図1〜図10を参照しながら説明する。図1は本発明のスラリー供給装置の基本構成図、図2は図1中の微生物検出装置の基本構成図、図3は微生物検出装置の受光部からの出力信号(光透過量)の例を示すグラフ、図4は純水供給による砥粒分散液を排出する洗浄時の第1ステップの状態を示すスラリー供給装置の構成図、図5はTMAH液を供給する洗浄時の第2ステップの状態を示すスラリー供給装置の構成図、図6は窒素ガス供給によるTMAH液を排出する洗浄時の第3ステップの状態を示すスラリー供給装置の構成図、図7は過酸化水素水を供給する洗浄時の第4ステップの状態を示すスラリー供給装置の構成図、図8は純水供給による過酸化水素水を排出する洗浄時の第5ステップの状態を示すスラリー供給装置の構成図、図9は窒素ガス供給による純水を排出する洗浄時の第6ステップの状態を示すスラリー供給装置の構成図である。図10は本発明の他のスラリー供給装置の基本構成図である。
【0048】
図1において、先ずスラリー供給装置の基本的な構成を説明する。砥粒分散液容器1内に所定量の研磨原液である砥粒分散液2を貯留し、窒素ガス供給ライン3から開閉弁4を介して窒素ガスを砥粒分散液容器1内の砥粒分散液2の上面を加圧する。砥粒分散液容器1内に砥粒分散液供給管6を設け、砥粒分散液供給ライン7に連通している。また窒素ガス供給ライン3および砥粒分散液供給ライン7は、着脱部材5に固定し、砥粒分散液容器1と着脱自在に構成されている。なお砥粒分散液2は、シリカ、セリア、アルミナ、ジルコニア、二酸化マンガン等のいずれかの砥粒微粒子を含むスラリー用の研磨原液である。なお砥粒分散液供給管6は、砥粒分散液供給ライン7と一体として構成してもよい。
【0049】
砥粒分散液供給ライン7の開閉弁8、三方切換弁10を介して混合貯留容器11に砥粒分散液2を供給する。なお砥粒分散液供給ライン7は実装状態においては、複数の屈曲箇所9有してして設置される。混合貯留容器11内に砥粒分散液2、後述する過酸化水素水、純水の混合研磨液であるスラリー12を貯留する。
【0050】
過酸化水素水容器13内に研磨原液である過酸化水素水(H22)14を貯留し、窒素ガス供給ライン15から開閉弁16を介して窒素ガスを過酸化水素水容器13内の過酸化水素水14の上面を加圧する。過酸化水素水容器13内に供給管18を設け、過酸化水素水供給ライン19に連通している。また窒素ガス供給ライン15および過酸化水素水供給ライン19は着脱部材17に固定し、過酸化水素水容器13と着脱自在に構成されている。過酸化水素水供給ライン19の開閉弁20を介して混合貯留容器11に過酸化水素水14を供給する。
【0051】
純水供給ライン21から純水分岐ライン22、開閉弁23を介して希釈用の研磨原液である純水を混合貯留容器11に供給する。混合貯留容器11には循環ライン24が構成され、ポンプ25の駆動により混合貯留容器11内で混合を促進させるとともに、砥粒の沈降を防止する。
【0052】
混合貯留容器11からスラリー供給ライン26、開閉弁27を介してスラリー12をスラリー混合貯留容器28に落差圧により供給し、スラリー29を所定量貯留する。スラリー混合貯留容器28には循環ライン30が構成され、ポンプ31の駆動によりスラリー混合貯留容器28で混合を促進させるとともに、砥粒の沈降を防止する。循環ライン30に接続したスラリー供給ライン32、35、ポンプ33、36の駆動により研磨装置34、37にスラリー29を供給する。
【0053】
テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド液39(Tetra methyl ammonium hydroxide、以下、TMAH液と称す)をTMAH液容器38内に所定量貯留し、TMAH液容器38内に開口したTMAH液供給ライン40は、三方切換弁41、開閉弁42、三方切換弁43、洗浄液供給ライン44を経て三方切換弁10に接続している。TMAH液39は、有機の強アルカリ物質で、TMAH原液を超純水により25パーセント濃度に希釈調整したものを用いる。
【0054】
窒素ガス供給ライン45から開閉弁46を介して窒素ガスをTMAH液容器38内のTMAH液39の上面を加圧する。窒素ガス供給ライン45から分岐した分岐ライン47は開閉弁48を介してTMAH液供給ライン40に接続している。
【0055】
過酸化水素水容器49内に過酸化水素水50を所定量貯留し、過酸化水素水容器49内に開口した過酸化水素水供給ライン51は、三方切換弁41に接続されている。窒素ガス供給ライン52から開閉弁53を介して窒素ガスを過酸化水素水容器49内の過酸化水素水50の上面を加圧する。窒素ガス供給ライン52から分岐した分岐ライン54は開閉弁55を介して過酸化水素水供給ライン51に接続している。
【0056】
純水供給ライン21から分岐した分岐ライン56は開閉弁57を介して純水を三方切換弁10に接続している。
【0057】
また、図1の基本構成において、砥粒分散液供給ライン7、循環ライン24、30の各々に微生物検出装置200、および微生物検出装置200の下流側に位置して殺菌手段300を設けているものでる。
【0058】
図2(a)、(b)は微生物検出装置200の基本構成を示すもので図2(a)は微生物検出装置200の一部断面構成図、 図2(b)は 図2(a)のA−A線における断面図である。光を透過する透明な石英ガラス等からなり、管路201aを構成した断面が四角形状の管体201の両端に接続部材202を設け、さらに接続部材202の両端に検出ライン203を接続している。管体201の一方側に発光部204を設け、管体201を挟んで発光部204と対向する他方側に受光部205を設けている。微生物検出装置200の各々は、砥粒分散液供給ライン7、循環ライン24、30の各々から分岐した検出ライン203によって構成したバイパス流路に位置している。
【0059】
発光部204は、紫外線および赤外線の光源(図示なし)を有し、この第1の波長である紫外線および第2の波長である赤外線を含む異なる波長の光を、管体201、受光部205に向けて照射する。前記紫外線および赤外線の光は、管体201の管長方向に集光レンズ(図示なし)により所定の幅を有した扁平な帯状の光束を形成させて照射する。また管路201aの全体に照射できるように構成している。発光部204に有する紫外線の光源としては、例えば微生物が紫外線エネルギーをよく吸収する253.7nm近傍の波長の紫外線を発光する水銀ランプ、赤外線の光源としては例えばハロゲンランプを用いる。
【0060】
受光部205としては、スペクトルアナライザーを用い、これにより発光部204から照射された紫外線と赤外線の波長を識別し、管路201a内を流動する研磨源液または複数の研磨源液を混合したスラリー中における紫外線と赤外線の光の透過量を検出するものである。なお、発光部204は、紫外線と赤外線の各々所定範囲の波長の光を照射し、受光部205のスペクトルアナライザーで、微生物が紫外線エネルギーをよく吸収する253.7nm近傍の波長の紫外線を選択し、この透過量を検出してもい。
【0061】
また、演算手段206、制御器207、報知手段208を備えているもので、受光部205からの光の透過量の出力信号は、演算手段206に入力され、さらに演算手段206での演算結果は制御器207に入力されて報知手段208、殺菌手段300を駆動制御する。報知手段208としては、微生物の存在の有無を画面、音声等により警報を報知するものであ。
【0062】
次に、図1によりスラリーの作成および研磨装置34、37への供給動作について説明する。スラリー混合貯留容器11が空量の状態において、砥粒分散液容器1内の研磨原液である砥粒分散液2の上面に開閉弁4を開として窒素ガス供給ライン3から窒素ガスの所定圧力を加え、これによってスラリー中の混合比率に相当する量の砥粒分散液2を、砥粒分散液供給管6、開とした開閉弁8、三方切換弁10を介して砥粒分散液供給ライン7からスラリー混合貯留容器11内に供給する。
【0063】
また、開閉弁4を閉とした後、過酸化水素水容器13内の研磨原液である過酸化水素水14の上面に開閉弁16を開として窒素ガス供給ライン15から窒素ガスの所定圧力を加え、これによってスラリー中の混合比率に相当する量の過酸化水素水14を、開とした開閉弁20を介して過酸化水素水供給ライン19からスラリー混合貯留容器11内に供給する。さらに開閉弁16を閉とした後、開閉弁23を開として純水供給ライン21、純水分岐ライン22からスラリー中の混合比率に相当する量の希釈用研磨原液である純水をスラリー混合貯留容器11内に供給する。前記各々の研磨原液をスラリー混合貯留容器11内に供給し、循環ライン24のポンプ25を駆動し、スラリー混合貯留容器11内での流動、攪拌により均一に混合されたスラリー12として所定量貯留する。
【0064】
スラリー混合貯留容器11内に所定量貯留したスラリー12は、開閉弁27を開としてスラリー供給ライン26からスラリー混合貯留容器28に供給する。スラリー混合貯留容器28内のスラリー29はポンプ31の駆動により循環ライン30を循環し、さらにポンプ33、36の駆動によりスラリー供給ライン32、35から研磨装置34、37に供給される。
【0065】
スラリー混合貯留容器28内のスラリー29の減少により開閉弁27を開閉制御して補充する。
【0066】
さらに、スラリー混合貯留容器11内のスラリー12が空量となったときに、前記した動作を繰り返してスラリー混合貯留容器11内にスラリー12を貯留する。
【0067】
スラリーの作成および研磨装置34、37への供給動作中に、前記したように、砥粒分散液供給ライン7、循環ライン24、30の各々に設けた微生物検出手段200により砥粒分散液2またはスラリー12、29中の微生物を検出する。
【0068】
ここで、砥粒分散液供給ライン7に微生物検出装置200を設けた例において、微生物検出装置200の基本的な動作を説明する。図3に示すグラフにおいて、横軸は経過時間、縦軸は受光部205が検出する透過量の変化の例を示す。縦軸の受光部205が検出する紫外線および赤外線の透過量は、図中のt0からt6における各所定時間ごとに積算したものである。即ちt0〜t1、t1〜t2、t2〜t3、t3〜t4、t4〜t5、t5〜t6の各時間経過における紫外線および赤外線の透過量を積算したものである。
【0069】
紫外線および赤外線の各々の積算した透過量は、砥粒の含有割合および各々の光の照射量を略一定として、管路201aの流路断面積、砥粒分散液の流速、積算する時間等を、砥粒、微生物の識別に最適な所定条件に設定する。
【0070】
砥粒分散液供給ライン7において分岐した検出ライン203から砥粒分散液が微生物検出装置200の管路201a内に供給されここを流動する。ここで、発光部204から管路201a内を流動する砥粒分散液に紫外線および赤外線を照射する。砥粒分散液に固形物である砥粒を含有し、微生物は存在しない状態において、砥粒分散液中の砥粒に当たった紫外線および赤外線は、ともに砥粒に吸収されず反射し、砥粒分散液中に照射した紫外線および赤外線の受光部205に達する透過量が、砥粒を含まないときの透過量に比較して減少する。この状態は、図3中のA(微生物なし)で示すもので、t0〜t1およびt1〜t2間における第1波長である紫外線および第2波長である赤外線の積算した透過量を示す。
【0071】
砥粒分散液に砥粒を含有し、微生物が存在する状態を図3中のB(微生物有)で示すもので、t2〜t3、t3〜t4、t4〜t5、t5〜t6間の各々における第1波長である紫外線および第2波長である赤外線の積算した透過量を示す。
【0072】
第2波長である赤外線は、砥粒分散液に微生物が存在しても、微生物粒を赤外線が透過する。これによって受光部205に達する赤外線の積算した透過量は、微生物が存在しない状態と同一の値を示すことなる。
【0073】
これに対して、第1波長である紫外線は、砥粒分散液中の砥粒に吸収されず反射して減衰し、さらに微生物に吸収されて減衰する。これによって受光部205に達する紫外線の積算した透過量は、微生物が存在しない状態に対して減少することになる。したがって、図3中のB(微生物有)で示す状態においては、積算した赤外線の透過量と紫外線の積算した透過量の差が、図3中のA(微生物なし)で示す状態に対して拡大する。また、この差は砥粒分散液中に存在する微生物の量が多くなるとより拡大する。前記透過量の差は、演算手段206で演算する。
【0074】
以上のように、本発明の微生物検出装置は、管体201内を流動する被測定液である砥粒分散液に、第1波長である紫外線の光を照射する発光部204と、第1波長である紫外線の光の微生物による透過量と微生物以外の固形物である砥粒による透過量を検出する受光部205と、さらに、被測定液である砥粒分散液に第2波長である赤外線の光を照射する発光部204と、第2波長である赤外線の光の微生物以外の固形物である砥粒の透過量を検出する受光部205と、第1波長である紫外線の光の照射による微生物と微生物以外の固形物である砥粒の透過量と、第2波長である赤外線の光の照射による微生物以外の固形物である砥粒の透過量との差を演算する演算手段206を備えており、前記演算手段で演算した前記透過量の差によって微生物の存在を検出するものである。
【0075】
すなわち、流動する被測定液である砥粒分散液に、第1波長である紫外線および第2波長である赤外線の異なる波長の光を照射し、第1波長である紫外線における光の透過量と、第2波長である赤外線における光の透過量との差によって、微生物の存在をスラリー供給装置のオンライン状態で連続的に検出することができる。
【0076】
また、各々の波長の透過量は、流動する所定量の被測定液における積算値とすることによって、微生物が微量であってもこれを精度よく検出することができる。
【0077】
また、スペクトルアナライザーで第1の波長の光および第2の波長の光の透過量を測定することによって、各々の光の透過量を連続的に精度よく計測することができる。
【0078】
さらに、第1の波長の光を紫外線とし、第2の波長の光を赤外線としたことによって、微生物と微生物以外の固形物を確実に識別することができる。
【0079】
また、微生物の存在を報知する報知手段を備えたことによって、常に被測定液における微生物の存在を把握し、これに対応した迅速な処置を実施することができる。
【0080】
また、研磨原液の供給ラインから前記複数の研磨原液の混合液であるスラリーの研磨装置への供給ラインに至るいずれかの部位の微生物を検出することによって、微生物検出装置により微生物を検出したときに、研磨装置へ悪影響を及ぼさないよう迅速に対応することができる。したがって、研磨装置において常に安定した研磨を維持することができる。
【0081】
また、研磨原液の供給ラインから前記複数の研磨原液の混合液であるスラリーの研磨装置への供給ラインに至る複数の部位に、微生物検出装置を備えたことによって、研磨原液の供給ラインから前記複数の研磨原液の混合液であるスラリーの研磨装置への供給ラインにおいて、微生物の存在する部位または繁殖部位を特定することができる。
【0082】
循環ライン24、30から各々分岐して設けた供給ライン203に位置した微生物検出装置200には、スラリー混合貯留容器11内のスラリー(混合研磨液)12、またはスラリー混合貯留容器28内のスラリー(混合研磨液)29が、供給ライン203を介して流動する。前記砥粒分散液供給ライン7に設けた例における微生物検出装置200の基本的な動作と同様に、複数の研磨源液の混合液であるスラリー中の微生物も検出することができる。
【0083】
なお、微生物検出装置200を設けた部位は、前記構成に限定されるものではなく、例えば、スラリー供給ライン26、32、35の各々にも設けてもよい。
【0084】
また、受光部205を、スペクトルアナライザーとしたが、これに限定するものではなく、紫外線と赤外線を個別に受光する素子をも用いてもよい。さらに第2の波長の光は、微生物に吸収されず透過し、砥粒に吸収されず反射して減衰する特性を有する波長の光であればよく、赤外線に限定するものではない。
【0085】
また、発光部204は紫外線と赤外線の光源を、研磨源液または研磨源液の混合液であるスラリーの流れ方向に所定距離離れて位置させるとともに、受光部205を発光部204に対向して位置させてもよい。この場合には管体201内を流動する同一の研磨原液または研磨原液の混合液であるスラリー中における光の透過量を計測する。これは紫外線と赤外線の光源間の距離、研磨原液またはスラリーの流動速度に応じて、紫外線と赤外線の検出開始のタイミングを設定することによって行う。
【0086】
また、実施例においては、第1波長である紫外線および第2波長である赤外線の透過量を積算した差として演算するようにしたが、受光部205であるスペクトルアナライザーによって、管体201内を流動する同一の研磨源液または研磨源液の混合液であるスラリー中における各々の波長光の透過量を、常に連続してリアルタイムに計測し透過量の差を演算するようにしてもよい。
【0087】
次に、殺菌手段300の動作について説明する。微生物検出装置200によって微生物が検出されない場合は、これを報知手段208にて報知する。また無駄な紫外線の照射によって電力浪費をさけるため、殺菌手段300には制御器207から紫外線照射の指示は与えられず、通常のスラリー供給装置の運転を継続する。微生物の存在が検出された場合には、これを報知手段208にて報知するとともに、制御手段207からの指示により殺菌手段300を駆動する。さらに微生物検出装置200の下流側に設けた殺菌手段300により、ここを通過する砥粒分散液2に紫外線を照射し、微生物を死滅させる。これにより、殺菌手段300の下流域への微生物の流動を防止することができる。
【0088】
また、殺菌手段300は、細菌類のみならず広く微生物の増加を抑制、または微生物を死滅させる機能を有するもので、粒粒分散液2または混合研磨液であるスラリー中に紫外線を、その強度を調節しながら照射するものである。殺菌手段300は、紫外線の照射に限らず、例えば所定温度への加温等の他の手段であってもよい。
【0089】
微生物検出装置200の所定範囲の微生物の検出レベルに応じて、殺菌手段300での微生物を死滅させるに必要な紫外線の照射量を変化させることによって、微生物数が変動しても微生物を死滅させることができる。また、砥粒分散液供給ライン7に設けた殺菌手段300による微生物の死滅効果は、循環ライン24、30の各々に設けた微生物検出装置200による微生物の検出により確認することができる。
【0090】
また、循環ライン24、30の各々に設けた微生物検出装置200によりスラリー12、29中の微生物を検出した場合には、これを報知手段208にて報知する。さらに微生物検出手段200の下流側に設けた殺菌手段300により、ここを通過するスラリー12、29に紫外線を照射し、微生物を死滅させる。また、循環ライン24に設けた殺菌手段300による微生物の死滅効果は、循環ライン30に設けた微生物検出装置200による微生物の検出により確認することができる。
【0091】
殺菌手段300を微生物検出装置200の下流側に設けたが、殺菌手段300を挟んでこの近傍の下流側、上流側に複数の微生物検出装置200を設けてもよい。この場合には、上流側の微生物検出装置200のより微生物を検出し、殺菌手段300を経た後の前記下流側の微生物検出装置200により、殺菌手段300による殺菌効果を確認することができる。
【0092】
なお、実施例1にいては、微生物検出装置200を、研磨原液の供給ラインから前記複数の研磨原液の混合液であるスラリーの研磨装置への供給ラインに至る部位に複数設けたが、一つであってもよい。例えば最も微生物の混入または繁殖のしやすい部位を特定できればここに微生物検出装置200を設ければよい。また研磨装置34、37の直前の上流側に位置する循環ライン30に微生物検出装置200を設けてもよい。
【0093】
以上のように、本発明の実施例においては、研磨原液の供給ラインから前記複数の研磨原液の混合液であるスラリーの研磨装置への供給ラインに至るいずれかの部位に、微生物を検出する微生物検出装置200を備えたものである。
【0094】
これによって、研磨原液の供給ラインから前記複数の研磨原液の混合液であるスラリーの供給ライン中の微生物を常に連続的に検出することができ、微生物検出装置200により微生物を検出した場合には、研磨装置の停止、微生物を死滅させる殺菌手段の駆動、微生物の除去を行う洗浄等の迅速な対応を可能とするものである。したがって、安定した研磨を行うことを可能としたスラリー供給装置を提供することができる。
【0095】
また、研磨原液の供給ラインから前記複数の研磨原液の混合液であるスラリーの研磨装置への供給ラインに至る複数の部位に、微生物検出装置200を備えることによって、研磨原液の供給ラインから前記複数の研磨原液の混合液であるスラリーの研磨装置への供給ラインにおいて、微生物の存在する部位または繁殖部位を特定することができる。
【0096】
さらに、報知手段208を備えることによって、常に研磨原液の供給ラインから前記複数の研磨原液の混合液であるスラリーの研磨装置への供給ラインにおける、微生物の存在とそのレベルを、常時、確実に把握し、これに対応した迅速な処置を実施することができる。
【0097】
また、研磨原液の供給ラインから前記複数の研磨原液の混合液であるスラリーの研磨装置への供給ラインに至る少なくとも一部の部位に、微生物を殺菌する殺菌手段を備え、
微生物検出装置による微生物の検出に基づき、前記殺菌手段を駆動する。
【0098】
これによって、研磨装置への微生物の吐出を防止してウエハの研磨を安定化させるとともに、微生物の繁殖による研磨用流体の供給路における流路抵抗の増加による流量変化を防止し、混合比率の安定化を図ることができる。また研磨装置へのスラリー供給量の精度の向上と安定化を図ることができる。
【0099】
スラリー供給装置を連続して運転していく過程において、微生物の継続した検出および増加傾向を、微生物検出装置200により検出する場合がある。これは研磨原液の供給ラインから前記複数の研磨原液の混合液であるスラリーの研磨装置への供給ラインに至るいずれかの部位において、微生物が付着、繁殖している可能性がある。
【0100】
微生物が付着、繁殖した場合には、複数の研磨原液の混合比率の変動、または研磨装置へのスラリー供給量が変化し、研磨装置における研磨性能に悪影響を与える恐れがある。
このため付着、繁殖した微生物を取り除く必要が生じる。
【0101】
このため、微生物検出装置200により微生物の継続した検出または増加傾向が検出されたとき、付着、繁殖した微生物を取り除く洗浄を行う。この洗浄手段および洗浄時の各ステップを砥粒分散液供給ライン7の微生物を除去する場合を例として、図4〜図9を用いて順に説明する。
【0102】
なお、微生物の除去、洗浄動作は、スラリー混合貯留容器11内に、スラリー12を作成した後、スラリー混合貯留容器11内のスラリー12が空量となるまでの時間内に行うもので、研磨装置34、37へのスラリー12、29の供給は継続した状態となっている。
【0103】
図4は、純水供給による砥粒分散液供給ライン7内の砥粒分散液2を排出する状態である洗浄時の第1ステップの状態を示すもので、図4において、図1と同一箇所は同一番号を付し説明を省略する。図1と異なるところは、砥粒分散液容器1を着脱部材5の部分において切り離して移動させ、砥粒分散液供給管6から排出される砥粒分散液2を受ける受け容器58を位置させた構成としたものである。なお図中の実線矢印は純水の流れを示す。
【0104】
純水供給ライン21から分岐ライン56、開とした開閉弁57、三方切換弁43、10を介して、純水を砥粒分散液供給ライン7内に供給する。純水は砥粒分散液供給ライン7を開とした開閉弁8、砥粒分散液供給管6を流れ、これによって砥粒分散液供給ライン7内の砥粒分散液2を受け容器58に排出するとともに、砥粒分散液供給ライン7、砥粒分散液供給管6内を純水によって一旦洗浄するする。砥粒分散液供給ライン7、砥粒分散液供給管6内が純水に置換され、さらに純水を所定量受け容器58に流出させた段階で、開閉弁57を閉として純水の供給を停止する。このとき、関連する流路の開閉弁42は閉とし、三方切換弁43、10の各々は、図中の実線矢印に示す方向に流路を制御しているものである。
【0105】
図5は、砥粒分散液供給ライン7内へTMAH液39を供給する洗浄時の第2ステップの状態を示すもので、図3において、図1、4と同一箇所は同一番号を付し説明を省略する。図1、4と異なるところは、砥粒分散液供給管6から排出されるTMAH液を受ける受け容器59を位置させた構成としたものである。なお図中の実線矢印はTMAH液の流れを、また破線矢印は窒素ガスの流れを示す。
【0106】
前記したように、TMAH液容器38内にTMAH液39を所定量貯留し、TMAH液容器38内に開口したTMAH液供給ライン40は、三方切換弁41、開閉弁42、三方切換弁43、洗浄液供給ライン44を経て三方切換弁10に接続されている。このとき、開閉弁8は開とし、TMAH液39の流路に関連する開閉弁48、57は閉とし、三方切換弁41、43、10の各々は、図中の実線矢印に示す方向に流路を制御しているものである。
【0107】
窒素ガス供給ライン45から開閉弁46を開として、窒素ガスの供給圧力をTMAH液容器38内のTMAH液39の上面に加える。TMAH液容器38内のTMAH液39は、TMAH液供給ライン40に押し出され、三方切換弁41、開とした開閉弁42、三方切換弁43、洗浄液供給ライン44、三方切換弁10を介して、砥粒分散液供給ライン7、砥粒分散液供給管6に流れる。これによって、砥粒分散液供給ライン7、砥粒分散液供給管6内の純水は、押し出され、TMAH液39に置換される。純水およびTMAH液39は、砥粒分散液供給管6から受け容器59に流出する。
【0108】
砥粒分散液供給ライン7、砥粒分散液供給管6内がTMAH液39に置換された段階で、開閉弁46、42を閉として、TMAH液39の供給を停止するとともに、砥粒分散液供給ライン7、砥粒分散液供給管6内にTMAH液を所定時間(例えば5〜10分間)滞留保持する。このとき、砥粒分散液供給ライン7、砥粒分散液供給管6の内壁に付着、繁殖した微生物に有機の強アルカリ物質であるTMAH液が接触している過程で、微生物の細胞を溶解、殺菌する。これによって、屈曲部を有する供給ラインの内壁に付着、繁殖し、一部が塊状となった微生物に、有機の強アルカリ物質であるTMAH液85が十分に接触、浸透し、より確実に微生物の細胞を溶解、殺菌することができる。またTMAH液の供給によるpHのアルカリ側への変化で、微生物がマイナス帯電し、樹脂材料からなる粒分散液供給ライン7、砥粒分散液供給管6の内壁との電気的反発作用による微生物の物理的剥離も生じる。なお、TMAH液39は、特に限定はしないが、濃度を25パーセントに超純水により希釈調整して用いる。半導体工場で現像液の主流として使用されているもので、半導体製造設備全体として共用することができる。
【0109】
前記したように、砥粒分散液供給ライン7内、砥粒分散液供給管6内からの砥粒分散液2の排出および純水による洗浄を行うことによって、砥粒分散液供給ライン7、砥粒分散液供給管6の内壁および内壁に付着、繁殖した微生物の表面から砥粒分散液2の成分が除去され、TMAH液39が直接、微生物に接触、浸透し、より短時間で微生物の細胞を溶解、殺菌することができる。
【0110】
なお、砥粒分散液供給ライン7内、砥粒分散液供給管6内の純水を、TMAH液39を供給して押し出し、TMAH液39に置換するようにしたが、窒素ガス供給による砥粒分散液供給ライン7内、砥粒分散液供給管6内の純水を排出させた後、TMAH液供給してもよい。
【0111】
図6は、窒素ガス供給による砥粒分散液供給ライン7内のTMAH液39を排出する洗浄時の第3ステップの状態を示すもので、図4において、図1、5と同一箇所は同一番号を付し説明を省略する。なお図中の破線矢印は窒素ガスの流れを示す。砥粒分散液供給ライン7、砥粒分散液供給管6内に所定時間、TMAH液を滞留保持させた後、開閉弁46、開閉弁57を閉状態、開閉弁42、開閉弁48、開閉弁8を開状態とする。また三方切換弁41、43、10は、図4に示す窒素ガスの流れ方向に流路を制御しているものである。窒素ガスを窒素ガス供給ライン45から分岐ライン47、開閉弁48、三方切換弁41、開閉弁42、三方切換弁43、三方切換弁10、洗浄液供給ライン44を介して、砥粒分散液供給ライン7内、砥粒分散液供給管6内に供給する。これによって、洗浄液供給ライン44、砥粒分散液供給ライン7、砥粒分散液供給管6内に滞留したTMAH液39を、開閉弁8を介して受け容器59に排出する。
【0112】
図7は、砥粒分散液供給ライン7内へ過酸化水素水を供給する洗浄時の第4ステップの状態を示すもので、図5において、図1、6と同一箇所は同一番号を付し説明を省略する。図1、6と異なるところは、砥粒分散液供給管6から排出される過酸化水素水を受ける受け容器60を位置させた構成としたものである。なお図中の実線矢印は過酸化水素水の流れを、また破線矢印は窒素ガスの流れを示す。
【0113】
前記したように、過酸化水素水容器49内に過酸化水素水(H22)50を所定量貯留し、過酸化水素水容器49内に開口した過酸化水素水供給ライン51は、三方切換弁41、開閉弁42、三方切換弁43、洗浄液供給ライン44を経て三方切換弁10に接続されている。このとき、開閉弁8は開とし、過酸化水素水50の流路に関連する開閉弁55、57は閉とし、三方切換弁41、43、10の各々は、図中の実線矢印に示す方向に流路を制御しているものである。
【0114】
窒素ガス供給ライン52から開閉弁53を開として、窒素ガスの供給圧力を過酸化水素水容器49内の過酸化水素水50の上面に加える。過酸化水素水容器49内の過酸化水素水50は、過酸化水素水供給ライン51に押し出され、三方切換弁41、開とした開閉弁42、三方切換弁43、洗浄液供給ライン44、三方切換弁10を介して、砥粒分散液供給ライン7、砥粒分散液供給管6に流れる。さらに開閉弁8を介して砥粒分散液供給管6から受け容器60に流出する。
【0115】
砥粒分散液供給ライン7、砥粒分散液供給管6内が過酸化水素水50に満たされた段階で、開閉弁53、42を閉として、過酸化水素水50の供給を停止するとともに、砥粒分散液供給ライン7、砥粒分散液供給管6内に過酸化水素水50を所定時間(例えば5〜10分間)滞留保持する。
【0116】
このとき、砥粒分散液供給ライン7、砥粒分散液供給管6内の内壁、微生物に付着残留する強アルカリ物質であるTMAH液39と過酸化水素水50が反応して発砲し、これによってTMAH液によって溶解した微生物の、砥粒分散液供給ライン7、砥粒分散液供給管6の内壁からの剥離および供給ラインの内壁の殺菌をより促進することができる。
【0117】
なお、過酸化水素水50は半導体工場で使用されているもので、半導体製造設備全体として共用することができる。
【0118】
図8は、純水供給による砥粒分散液供給ライン7内の過酸化水素水50を排出する状態である洗浄時の第5ステップの状態を示すもので、図8において、図1、7と同一箇所は同一番号を付し説明を省略する。なお図中の実線矢印は純水の流れを示す。
【0119】
純水供給ライン21から分岐ライン56、開とした開閉弁57、三方切換弁43、10を介して、純水を砥粒分散液供給ライン7、砥粒分散液供給管6内に供給する。純水は砥粒分散液供給ライン7を、開とした開閉弁8、砥粒分散液供給管6を流れ、これによって砥粒分散液供給ライン7内の過酸化水素水50を受け容器60に排出するとともに、砥粒分散液供給ライン7、砥粒分散液供給管6内を純水によって洗浄する。砥粒分散液供給ライン7、砥粒分散液供給管6内から純水を所定量受け容器60に流出させた段階で、開閉弁57を閉として純水の供給を停止する。このとき、関連する流路の開閉弁42は閉とし、三方切換弁43、10の各々は、図中の実線矢印に示す方向に流路を制御しているものである。これによって砥粒分散液供給ライン7、砥粒分散液供給管6の内壁に付着していた微生物は、過酸化水素水50、純水とともに受け容器60に排出する。
【0120】
図9は、窒素ガス供給による砥粒分散液供給ライン7内の純水を排出する洗浄時の第6ステップの状態を示すもので、図7において、図1、8と同一箇所は同一番号を付し説明を省略する。なお図中の破線矢印は窒素ガスの流れを示す。
【0121】
砥粒分散液供給ライン7、砥粒分散液供給管6内の過酸化水素水50を排出し、純水により洗浄した後、開閉弁46、開閉弁57を閉状態、開閉弁42、開閉弁48、開閉弁8を開状態とする。また三方切換弁41、43、10は、図7に示す窒素ガスの流れ方向に流路を制御しているものである。窒素ガスを窒素ガス供給ライン45から分岐ライン47、開閉弁48、三方切換弁41、開閉弁42、三方切換弁43、三方切換弁10、洗浄液供給ライン44を介して、砥粒分散液供給ライン7内、砥粒分散液供給管6内に供給する。これによって、洗浄液供給ライン44、砥粒分散液供給ライン7、砥粒分散液供給管6内の純水を、開閉弁8を介して受け容器60に排出する。
【0122】
前記した第1〜第6ステップにより微生物の除去、洗浄動作を終了する。再び砥粒分散液2を貯留する砥粒分散液容器1を着脱部材5に装着し、図1に示す状態として、スラリーの作成に入るものである。
【0123】
なお、実施例において、スラリー供給装置を構成する各々の開閉弁、三方切換弁、ポンプは、制御器(図示なし)によって個々に制御するものである。また砥粒分散液2、過酸化水素水14、50、TMAH液39を、窒素ガスにより加圧する手段にて供給するようにしたが、ポンプ、落差圧力等による供給手段であってもよい。さらに、スラリー用の研磨原液の数、成分、およびスラリー供給装置の構成は一例であってこれに限定されるものではない。また洗浄ステップにおいてTMAH液39、過酸化水素水50、純水、窒素ガスを、砥粒分散液2の流れと反対方向(逆方向)から砥粒分散液供給管6、砥粒分散液供給ライン7に供給して流すようにしたが、同方向であってもよい。砥粒分散液容器1は、砥粒分散液2が空量となった時点で、砥粒分散液2が入った新規の砥粒分散液容器1と着脱部材5を介して交換する。したがって洗浄時、砥粒分散液2、TMAH液39、過酸化水素水50、純水を受ける容器58、59、60も、砥粒分散液容器1と同様に着脱部材5を介して交換することによって全体の構成をより簡略させることができるので、TMAH液39、過酸化水素水50、純水、窒素ガスを、砥粒分散液62の流れと反対方向(逆方向)から砥粒分散液供給管6、砥粒分散液供給ライン7に供給して流すことが好ましい。
【0124】
また、実施例においては、砥粒分散液供給ライン7内に付着した微生物の除去、洗浄を行う例として説明したが、研磨原液の供給ラインから前記複数の研磨原液の混合液であるスラリーの研磨装置への供給ラインに至る少なくとも一部の部位である、スラリー供給ライン26、32、32、35、および循環ライン24、30、スラリー混合貯留容器11、スラリー混合貯留容器28の各々の部位、経路においても、前記第1〜第6ステップの基本的な微生物の除去、洗浄動作を同様に実施することができる。
【0125】
以上のように、研磨原液の供給ラインから前記複数の研磨原液の混合液であるスラリーの研磨装置への供給ラインに至る少なくとも一部の部位に、TMAH液39を供給して排出後、過酸化水素水50を供給して排出することを特徴とするスラリー供給装置の洗浄方法、およびこの洗浄方法を用いたスラリー供給装置としたものである。
【0126】
これによって、TMAH液による付着、繁殖した微生物を溶解させ、さらにTMAH液と過酸化水素水との反応による微生物の剥離を促進させて、確実に除去、洗浄することができる。したがって、微生物の繁殖による研磨用流体の供給路における流路抵抗の増加による流量変化を防止し、混合比率の安定化を図ることができる。また研磨装置へのスラリー供給量の精度の向上と安定化を図ることができる。
【0127】
また、TMAH液を供給し、所定時間供給ラインに滞留させることによって、供給ラインの屈曲部においても内壁に付着、繁殖し、一部が塊状となった微生物に、有機の強アルカリ物質であるTMAH液が十分に接触、浸透し、より確実に微生物の細胞を溶解、殺菌することができる。
【0128】
また、過酸化水素水を供給し、所定時間供給ラインに滞留させることによって、供給ラインの内壁および微生物に付着残留する強アルカリ物質であるテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド液と過酸化水素水が反応して発砲し、TMAH液によって溶解した微生物の、内壁からの剥離および供給ラインの内壁の殺菌をより促進することができる。
【0129】
スラリー混合貯留容器11内に、スラリー12を作成していく時間経過とともに、前記したように砥粒分散液供給管6、砥粒分散液供給ライン7に微生物が付着、繁殖していく。このため
砥粒分散液供給ライン7に付着、繁殖した微生物の除去、洗浄を、複数の研磨原液の混合比率が研磨装置における研磨性能に悪影響を与えない許容範囲内の所定期間ごとに行ってもよい。
【0130】
また、微生物の除去、洗浄動作は、砥粒分散液供給管6、砥粒分散液供給ライン7の上流側と下流側の圧力を検出(図示なし)し、これにより微生物の付着、繁殖による流路抵抗が所定値以上、増加したことによって微生物の除去、洗浄動作を実施する時期を判別してもよい。この場合には、微生物の除去、洗浄の必要時期をより確実に把握することができる。
【0131】
次に、図10にて実施例1の他の構成を説明する。これは一つの微生物検出装置200に、研磨原液の供給ラインから前記複数の研磨原液の混合液であるスラリーの研磨装置への供給ラインに至る複数の部位から、前記研磨原液またはスラリーを微生物検出装置200に導出させて微生物を検出するものである。図1と同一符号は同一箇所を示し説明を省略する。
【0132】
砥粒分散液供給ライン7から分岐した検出ライン7aを切換弁400接続し、さらに切換弁400と微生物検出装置200を接続している。殺菌手段300は検出ライン209が分岐した砥粒分散液供給ライン7の下流側に設けている。
【0133】
また、循環ライン24から分岐した検出ライン24aを切換弁400接続し、さらに切換弁400と微生物検出装置200を接続している。殺菌手段300は検出ライン209が分岐した循環ライン24の下流側に設けている。
【0134】
さらに、循環ライン30から分岐した検出ライン30aを切換弁400接続し、さらに切換弁400と微生物検出装置200を接続している。殺菌手段300は検出ライン209が分岐した循環ライン30の下流側に設けている。
【0135】
前記した構成において、切換弁400により流路を切り換えて、砥粒分散液供給ライン7からの砥粒分散液2、循環ライン24からのスラリー12、循環ライン30からのスラリー29を順次微生物検出装置200に導出させる。微生物検出装置200および殺菌手段300の動作は前記した例と同様であり説明を省略する。
【0136】
これによって、研磨原液の供給ラインから前記複数の研磨原液の混合液であるスラリーの研磨装置への供給ラインにおいて、微生物検出手段の数を削減して微生物の存在する部位または繁殖部位を特定することができる。
【0137】
(実施例2)
以下、本発明の実施例2のスラリー供給装置を図11〜図18を参照しながら説明する。
【0138】
実施例1と基本的に異なるところは、スラリーを所定量貯留する容器を備えないで、複数の研磨原液をできるだけ研磨装置の直前において混合し、研磨装置へ供給するものである。図11は本発明のスラリー供給装置の基本構成図、図12は純水供給による砥粒分散液を排出する洗浄時の第1ステップの状態を示すスラリー供給装置の構成図、図13はTMAH液を供給する洗浄時の第2ステップの状態を示すスラリー供給装置の構成図、図14は窒素ガス供給によるTMAH液を排出する洗浄時の第3ステップの状態を示すスラリー供給装置の構成図、図15は過酸化水素水を供給する洗浄時の第4ステップの状態を示すスラリー供給装置の構成図、図16は純水供給による過酸化水素水を排出する洗浄時の第5ステップの状態を示すスラリー供給装置の構成図、図17は窒素ガス供給による純水を排出する洗浄時の第6ステップの状態を示すスラリー供給装置の構成図、図18は実施例1の他の構成を示す図である。
【0139】
図11において、先ず基本的な構成を説明する。砥粒分散液容器61内に所定量の砥粒分散液62を貯留し、窒素ガス供給ライン63から開閉弁64を介して窒素ガスを砥粒分散液容器61内の砥粒分散液62の上面を加圧する。砥粒分散液容器61内に供給管66を設け、砥粒分散液供給ライン67に連通している。また窒素ガス供給ライン63および砥粒分散液供給ライン67は、着脱部材65に固定し、砥粒分散液容器61と着脱自在に構成されている。
【0140】
砥粒分散液供給ライン67の開閉弁69、流量計68を介して混合器70に砥粒分散液62を供給する。なお砥粒分散液供給ライン67は実装状態においては、複数の屈曲箇所有してして設置されるものである。混合器70内に砥粒分散液62、後述する過酸化水素水、必要に応じて純水を供給し、これらを混合促進して混合研磨液であるスラリーを作成する。
【0141】
過酸化水素水容器71内に過酸化水素水72を貯留し、窒素ガス供給ライン73から開閉弁74を介して窒素ガスを過酸化水素水容器71内の過酸化水素水72の上面を加圧する。過酸化水素水容器71内に供給管76を設け、過酸化水素水供給ライン77に連通している。また窒素ガス供給ライン73および過酸化水素水供給ライン77は着脱部材75に固定し、過酸化水素水容器71と着脱自在に構成されている。過酸化水素水供給ライン77の開閉弁79を介して混合器70に過酸化水素水72を供給する。
【0142】
混合器70からスラリー供給ライン80、三方切換弁81を介して混合後のスラリーをスラリー吐出ライン82を介して研磨部88に供給する。
【0143】
TMAH液85をTMAH液容器84内に所定量貯留し、TMAH液容器84内に開口したTMAH液供給ライン90は、三方切換弁91、三方切換弁92、洗浄液供給ライン93を経て三方切換弁81に接続されている。窒素ガス供給ライン86から開閉弁87を介して窒素ガスをTMAH液容器84内のTMAH液85の上面を加圧する。窒素ガス供給ライン86から分岐した分岐ライン88は開閉弁89を介してTMAH液供給ライン90に接続されている。
【0144】
過酸化水素水容器94内に過酸化水素水95を所定量貯留し、過酸化水素水容器94内に開口した過酸化水素水供給ライン96は、三方切換弁91に接続されている。窒素ガス供給ライン97から開閉弁98を介して窒素ガスを過酸化水素水容器94内の過酸化水素水95の上面を加圧する。窒素ガス供給ライン97から分岐した分岐ライン99は開閉弁100を介して過酸化水素水供給ライン96に接続され、三方切換弁91、三方切換弁92を介して洗浄液供給ライン93接続されている。純水供給ラインから分岐した分岐ライン99は、開閉弁102を介して三方切換弁10に接続されている。
【0145】
スラリー供給ライン80の三方切換弁81と研磨装置83に至るスラリー供給ライン80に微生物検出装置200を設け、この微生物検出装置200の下流側に殺菌手段300を設けている。微生物検出装置200、殺菌手段300は、前記実施例1で用いたものと同様であり説明を省略する。
【0146】
次に、スラリーの作成および研磨部83への供給動作について説明する。粒分散液容器61内の砥粒分散液62の上面に開閉弁64を開として窒素ガス供給ライン63から窒素ガスの所定圧力をかけ、これによってスラリー中の混合割合に相当する量の砥粒分散液62を、開とした開閉弁69として砥粒分散液供給ライン67から混合器70内に供給する。
【0147】
また、砥粒分散液62の供給開始と同時に、過酸化水素水容器71内の過酸化水素水72の上面に開閉弁74を開として窒素ガス供給ライン73から窒素ガスの所定圧力をかけ、これによってスラリー中の混合割合に相当する量の過酸化水素水72を、開とした開閉弁20を介して過酸化水素水供給ライン77から混合器70内に供給する。前記砥粒分散液62、過酸化水素水72を混合器70内で均一に混合し、混合研磨液であるスラリーとして三方切換弁81を介してスラリー供給ライン80、スラリー吐出ライン82から研磨部83に供給する。砥粒分散液62および過酸化水素水の混合割合は、各々の流量計68、76で計測管理し、所定の成分比に制御する。
【0148】
スラリーの作成および研磨装置83への供給動作中に、前記したように、スラリー供給ライン80から分岐した検出ライン203から微生物検出装置200にスラリーを供給し、これによりスラリー中の微生物を検出する。
【0149】
次に、殺菌手段300とこの動作について説明する。微生物検出装置200によって微生物が検出されない場合は、これを報知手段208aにて報知する。また無駄な紫外線の照射によって電力浪費をさけるため、殺菌手段300には制御器207から紫外線照射の指示は与えられず、通常のスラリー供給装置の運転を継続する。また、微生物の存在が検出された場合には、これを報知手段208aにて報知するとともに、制御手段207からの指示により殺菌手段300が動作する。さらに微生物検出装置200の下流側に設けた殺菌手段300により、ここを通過する砥粒分散液2に紫外線を照射し、微生物を死滅させる。これにより、殺菌手段300の下流域への微生物の流動を防止することができる。
【0150】
殺菌手段300を微生物検出装置200の下流側に設けたが、殺菌手段300を挟んでこの近傍の下流側、上流側に複数の微生物検出装置200を設けてもよい。この場合には、上流側の微生物検出装置200のより微生物を検出し、殺菌手段300を経た後の前記下流側の微生物検出装置200により、殺菌手段300による殺菌効果を確認することができる。
【0151】
なお、実施例2にいては、微生物検出装置200を、前記複数の研磨原液の混合液であるスラリーの研磨装置への供給ラインに至る部位に一つ設けたが、スラリー供給ライン80および砥粒分散液供給ライン67の複数個所に設けてもよい。
【0152】
実施例1で説明したと同様に、微生物検出装置200により微生物の継続した検出または増加傾向が検出されたとき、付着、繁殖した微生物を取り除く洗浄を行う。この洗浄手段および洗浄時の各ステップを図12〜図17を用いて順に説明する。
【0153】
図12は、純水供給による砥粒分散液供給ライン7内の砥粒分散液2を排出する状態である洗浄時の第1ステップの状態を示すもので、図12において、図11と同一箇所は同一番号を付し説明を省略する。図11と異なるところは、砥粒分散液容器61を着脱部材65の部分において切り離して移動させ、供給管66から排出される砥粒分散液62を受ける受け容器103を位置させた構成としたものである。なお図中の実線矢印は純水の流れを示す。
【0154】
純水供給ライン101から、開とした開閉弁102、三方切換弁92、81を介して、純水をスラリー供給ライン80、砥粒分散液供給ライン67内に供給する。純水はスラリー供給ライン80、混合器70、砥粒分散液供給ライン67、開とした開閉弁69、流量計68、砥粒分散液供給管6へと流れ、これによって砥粒分散液2を受け容器103に排出するとともに、純水によって一旦洗浄するする。さらに純水を所定量受け容器103に流出させた段階で、開閉弁102を閉として純水の供給を停止する。このとき、関連する流路の三方切換弁92、81の各々は、図中の実線矢印に示す方向に流路を制御しているものである。
【0155】
図13は、スラリー供給ライン80、砥粒分散液供給ライン67内へTMAH液85を供給する洗浄時の第2ステップの状態を示すもので、図13において、図11、12と同一箇所は同一番号を付し説明を省略する。図11、12と異なるところは、供給管66から排出されるTMAH液を受ける受け容器104を位置させた構成としたものである。なお図中の実線矢印はTMAH液の流れを、また破線矢印は窒素ガスの流れを示す。
【0156】
前記したように、TMAH液容器84内にTMAH液85を所定量貯留し、TMAH液容器84内に開口したTMAH液供給ライン90は、三方切換弁91、92、洗浄液供給ライン93を経て三方切換弁81に接続されている。このとき、開閉弁69は開とし、TMAH液85の流路に関連する開閉弁89は閉とし、三方切換弁91、92、81の各々は、図中の実線矢印に示す方向に流路を制御しているものである。
【0157】
窒素ガス供給ライン86から開閉弁87を開として、窒素ガスの供給圧力をTMAH液容器84内のTMAH液85の上面に加える。TMAH液容器84内のTMAH液85は、TMAH液供給ライン90に押し出され、三方切換弁91、92、洗浄液供給ライン93、三方切換弁81を介して、スラリー供給ライン80、砥粒分散液供給ライン67、供給管66に流れる。これによってスラリー供給ライン80、砥粒分散液供給ライン67、砥粒分散液供給管6内の純水は、押し出され、TMAH液85に置換される。純水およびTMAH液85は、供給管66から受け容器104に流出する。
【0158】
スラリー供給ライン80、砥粒分散液供給ライン67、供給管66内がTMAH液85に置換された段階で、開閉弁87を閉として、TMAH液85の供給を停止するとともに、スラリー供給ライン80、砥粒分散液供給ライン67、供給管66内にTMAH液85を所定時間(例えば5〜10分間)滞留保持する。このとき、スラリー供給ライン80、砥粒分散液供給ライン67、供給管66の内壁に付着、繁殖した微生物に有機の強アルカリ物質であるTMAH液85が接触している過程で、微生物の細胞を溶解、殺菌する。これによって、屈曲部を有する供給ラインの内壁に付着、繁殖し、一部が塊状となった微生物に、有機の強アルカリ物質であるTMAH液85が十分に接触、浸透し、より確実に微生物の細胞を溶解、殺菌することができる。またTMAH液の供給によるpHのアルカリ側への変化で、微生物がマイナス帯電し、砥樹脂材料からなるスラリー供給ライン80、粒分散液供給ライン67、供給管66の内壁との電気的反発作用による微生物の物理的剥離も生じる。なお、TMAH液85は、特に限定はしないが、濃度を25パーセントに超純水により希釈調整して用いる。半導体工場で現像液の主流として使用されているもので、半導体製造設備全体として共用することができる。
【0159】
前記したように、砥粒分散液供給ライン7内、砥粒分散液供給管6内からの砥粒分散液2の排出および純水による洗浄を行うことによって、砥粒分散液供給ライン7、砥粒分散液供給管6の内壁および内壁に付着、繁殖した微生物の表面から砥粒分散液2の成分が除去され、TMAH液39が直接、微生物に接触、浸透し、より短時間で微生物の細胞を溶解、殺菌することができる。
【0160】
なお、スラリー供給ライン80、砥粒分散液供給ライン67内、供給管66内の純水を、TMAH液85を供給して押し出し、TMAH液85に置換するようにしたが、窒素ガス供給によるスラリー供給ライン80、砥粒分散液供給ライン67内、供給管66内の純水を排出させた後、TMAH液85供給してもよい。
【0161】
図14は、窒素ガス供給によるスラリー供給ライン80、砥粒分散液供給ライン67内のTMAH液85を排出する洗浄時の第3ステップの状態を示すもので、図13において、図10、11と同一箇所は同一番号を付し説明を省略する。なお図中の破線矢印は窒素ガスの流れを示す。スラリー供給ライン80、砥粒分散液供給ライン67、供給管66内に所定時間、TMAH液85を滞留保持させた後、開閉弁87を閉状態、開閉弁89、開閉弁69を開状態とする。また三方切換弁91、92、81は、図12に示す窒素ガスの流れ方向に流路を制御しているものである。窒素ガスを窒素ガス供給ライン86から開閉弁89、三方切換弁91、92、81、洗浄液供給ライン93を介して、スラリー供給ライン80、砥粒分散液供給ライン67内、供給管66内に供給する。これによって、洗浄液供給ライン93、スラリー供給ライン80、砥粒分散液供給ライン67、供給管66内に滞留したTMAH液85を、開閉弁69、流量計68を介して受け容器104に排出する。
【0162】
図15は、スラリー供給ライン80、砥粒分散液供給ライン67内へ過酸化水素水を供給する洗浄時の第4ステップの状態を示すもので、図15において、図11、14と同一箇所は同一番号を付し説明を省略する。図11、15と異なるところは、供給管66から排出される過酸化水素水を受ける受け容器105を位置させた構成としたものである。なお図中の実線矢印は過酸化水素水の流れを、また破線矢印は窒素ガスの流れを示す。
【0163】
前記したように、過酸化水素水容器94内に過酸化水素水(H22)95を所定量貯留し、過酸化水素水容器94内に開口した過酸化水素水供給ライン96は、三方切換弁91、92、洗浄液供給ライン93を経て三方切換弁81に接続されている。このとき、開閉弁69は開とし、過酸化水素水95の流路に関連する開閉弁100は閉とし、三方切換弁91、92、81の各々は、図中の実線矢印に示す方向に流路を制御しているものである。
【0164】
窒素ガス供給ライン97から開閉弁98を開として、窒素ガスの供給圧力を過酸化水素水容器94内の過酸化水素水95の上面に加える。過酸化水素水容器94内の過酸化水素水95は、過酸化水素水供給ライン96に押し出され、三方切換弁91、92、洗浄液供給ライン93、三方切換弁81を介して、スラリー供給ライン80、砥粒分散液供給ライン67、供給管66に流れる。さらに開閉弁69、流量計68を介して供給管66から受け容器105に流出する。
【0165】
スラリー供給ライン80、砥粒分散液供給ライン67、供給管66内が過酸化水素水95に満たされた段階で、開閉弁98を閉として、過酸化水素水95の供給を停止するとともに、スラリー供給ライン80、砥粒分散液供給ライン67、供給管66内に過酸化水素水95を所定時間(例えば5〜10分間)滞留保持する。このとき、スラリー供給ライン80、砥粒分散液供給ライン67、供給管66の内壁、微生物に付着残留する強アルカリ物質であるTMAH液85と過酸化水素水95が反応して発砲し、これによってTMAH液85によって溶解した微生物の、スラリー供給ライン80、砥粒分散液供給ライン67、供給管66の内壁からの剥離および供給ラインの内壁の殺菌をより促進することができる。
【0166】
図16は、純水供給によるスラリー供給ライン80、砥粒分散液供給ライン67内の過酸化水素水95を排出する状態である洗浄時の第5ステップの状態を示すもので、図16において、図11、15と同一箇所は同一番号を付し説明を省略する。なお図中の実線矢印は純水の流れを示す。
【0167】
純水供給ライン101から開とした開閉弁102、三方切換弁92、洗浄液供給ライン93を介して、純水をスラリー供給ライン80、砥粒分散液供給ライン67、供給管66内に供給する。純水は純水をスラリー供給ライン80、砥粒分散液供給ライン67を、開とした開閉弁69、流量計68、供給管66を流れ、受け容器105に排出するとともに、砥粒分散液供給ライン7、砥粒分散液供給管6内を純水によって洗浄する。供給管66内から純水を所定量受け容器105に流出させた段階で、開閉弁102を閉として純水の供給を停止する。このとき、関連する三方切換弁92、81の各々は、図中の実線矢印に示す方向に流路を制御しているものである。これによって、スラリー供給ライン80、砥粒分散液供給ライン67、供給管66の内壁に付着していた微生物は、過酸化水素水95、純水とともに受け容器105に排出する。
【0168】
図17は、窒素ガス供給によるスラリー供給ライン80、砥粒分散液供給ライン67、供給管66内の純水を排出する洗浄時の第6ステップの状態を示すもので、図17において、図11、16と同一箇所は同一番号を付し説明を省略する。なお図中の破線矢印は窒素ガスの流れを示す。
【0169】
スラリー供給ライン80、砥粒分散液供給ライン67、供給管66内の過酸化水素水95を排出し、純水により洗浄した後、開閉弁87を閉状態、開閉弁69を開状態とする。また三方切換弁91、92、81は、図16に示す窒素ガスの流れ方向に流路を制御しているものである。窒素ガスを窒素ガス供給ライン86から分岐ライン88、開閉弁89、三方切換弁91、92、81、洗浄液供給ライン93を介して、スラリー供給ライン80、砥粒分散液供給ライン67、供給管66内に供給する。これによって純水を、受け容器105に排出する。
【0170】
前記した第1〜第6ステップにより微生物の除去、洗浄動作を終了する。再び砥粒分散液62を貯留する砥粒分散液容器61を着脱部材65に装着し、図11に示す状態として、スラリーの作成、研磨装置83への供給動作に入るものである。
【0171】
なお、実施例において、スラリー供給装置を構成する各々の開閉弁、三方切換弁、ポンプは、制御器(図示なし)によって個々に制御するものである。また砥粒分散液62、過酸化水素水72、95、TMAH液85を、窒素ガスにより加圧する手段にて供給するようにしたが、ポンプ、落差圧力等による供給手段であってもよい。さらに、スラリー用の研磨原液の数、成分、およびスラリー供給装置の構成は一例であってこれに限定されるものではない。またスラリー供給ライン80、砥粒分散液供給ライン67、供給管66とともに、混合器70、流量計68も同時に洗浄できるものである。
【0172】
また、実施例2においては、スラリー供給ライン80、砥粒分散液供給ライン67、供給管66内に付着した微生物の除去、洗浄を行う例として説明したが、研磨原液の供給ラインから前記複数の研磨原液の混合液であるスラリーの研磨装置への供給ラインに至る少なくとも一部の部位である、スラリー供給ライン80、砥粒分散液供給ライン67、および混合器70の各々の部位、経路においても、前記第1〜第6ステップの基本的な微生物の除去、洗浄動作を個別に実施してもよい。
【0173】
また、スラリー供給ライン80に設けた三方切換弁81からTMAH液39、過酸化水素水50、純水、窒素ガスを供給するようにしたが、スラリー供給ライン80の研磨装置83へのスラリーの吐出口から供給するようにしてもよい。さらに洗浄ステップにおいてTMAH液85、過酸化水素水95、純水、窒素ガスを、スラリー、砥粒分散液62の流れと反対方向(逆方向)からスラリー供給ライン80、砥粒分散液供給ライン7、供給管66に供給して流すようにしたが、同方向であってもよい。砥粒分散液容器61は、砥粒分散液62が空量となった時点で、砥粒分散液62が入った新規の砥粒分散液容器61と着脱部材65を介して交換する。したがって洗浄時、砥粒分散液62、TMAH液85、過酸化水素水95、純水を受ける容器103、104、105も、砥粒分散液容器61と同様に着脱部材65を介して交換することによって全体の構成をより簡略させることができるので、TMAH液85、過酸化水素水95、純水、窒素ガスを、砥粒分散液62、スラリーの流れと反対方向(逆方向)からスラリー供給ライン80、砥粒分散液供給ライン67、供給管66に供給して流すことが好ましい。
【0174】
また、実施例2においては、洗浄時に研磨装置83を停止して行うことになるが、スラリー供給装置または研磨装置83の定期的なメンテナンス時に洗浄を実施すればよい。他に一つの研磨層装置83に対して二つのスラリー供給装置を備えることによって、研磨層装置83を停止させずに洗浄を行うこともできる。
【0175】
次に、図18にて実施例2の他の構成を説明する。これは一つの微生物検出装置200に、研磨原液の供給ラインから前記複数の研磨原液の混合液であるスラリーの研磨装置への供給ラインに至る複数の部位から、前記研磨原液またはスラリーを微生物検出装置200に導出させて微生物を検出するもので、この構成、動作を図18にて説明する。図11と同一符号は同一箇所を示し説明を省略する。
【0176】
砥粒分散液供給ライン67から分岐した検出ライン67aを切換弁400に接続し、さらに検出ライン203を介して切換弁400と微生物検出装置200を接続している。殺菌手段300は検出ライン67aが分岐した砥粒分散液供給ライン67の下流側に設けている。
【0177】
また、スラリー吐出ライン82から分岐した検出ライン82aを切換弁400接続し、さらに検出ライン203を介して切換弁400と微生物検出装置200を接続している。殺菌手段300は検出ライン82aが分岐した循環ライン24の下流側に設けている。
【0178】
前記した構成において、切換弁400により流路を切り換えて、砥粒分散液供給ライン67からの砥粒分散液62、スラリー吐出ライン82からのスラリーを順次微生物検出装置200に導出させる。微生物検出装置200のおよび殺菌手段300の動作は前記した例と同様であり説明を省略する。
【0179】
これによって、研磨原液の供給ラインから前記複数の研磨原液の混合液であるスラリーの研磨装置への供給ラインにおいて、微生物検出装置の数を削減して微生物の存在する部位または繁殖部位を特定することができる。以上のように、実施例2においても、実施例1と同様の効果が得られるものである。
【0180】
なお、実施例1、2においては、微生物検出装置をスラリー供給装置に用いた例として説明したが、これに限定するものではなく、微生物と微生物以外の固形粒が存在する被測定液において微生物を検出することが必要な様々な分野に適用することができるものである。例えば環境分野における汚泥処理装置、食品分野における洗浄液の分析等が挙げられる。
【産業上の利用可能性】
【0181】
被測定液中の微生物の検出を必要とする広範囲の装置の用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0182】
【図1】本発明実施例1のスラリー供給装置の基本構成図
【図2】微生物検出手段の基本構成図
【図3】微生物検出装置の受光部からの出力信号の例を示すグラフ
【図4】純水供給による砥粒分散液を排出する洗浄時の第1ステップの状態を示すスラリー供給装置の構成図
【図5】TMAH液を供給する洗浄時の第2ステップの状態を示すスラリー供給装置の構成図
【図6】窒素ガス供給によるTMAH液を排出する洗浄時の第3ステップの状態を示すスラリー供給装置の構成図
【図7】過酸化水素水を供給する洗浄時の第4ステップの状態を示すスラリー供給装置の構成図
【図8】純水供給による過酸化水素水を排出する洗浄時の第5ステップの状態を示すスラリー供給装置の構成図
【図9】窒素ガス供給による純水を排出する洗浄時の第6ステップの状態を示すスラリー供給装置の構成図
【図10】実施例1の他の構成を示す図
【図11】本発明実施例2のスラリー供給装置の基本構成図
【図12】純水供給による砥粒分散液を排出する洗浄時の第1ステップの状態を示すスラリー供給装置の構成図
【図13】TMAH液を供給する洗浄時の第2ステップの状態を示すスラリー供給装置の構成図
【図14】窒素ガス供給によるTMAH液を排出する洗浄時の第3ステップの状態を示すスラリー供給装置の構成図
【図15】過酸化水素水を供給する洗浄時の第4ステップの状態を示すスラリー供給装置の構成図
【図16】純水供給による過酸化水素水を排出する洗浄時の第5ステップの状態を示すスラリー供給装置の構成図
【図17】窒素ガス供給による純水を排出する洗浄時の第6ステップの状態を示すスラリー供給装置の構成図
【図18】実施例2の他の構成を示す図
【符号の説明】
【0183】
1 砥粒分散液容器
2 砥粒分散液
3 窒素ガス供給ライン
4 開閉弁
5 着脱部材
6 砥粒分散液供給管
7 砥粒分散液供給ライン
7a 検出ライン
8 開閉弁
9 屈曲部
10 三方切換弁
11 スラリー混合貯留容器
12 スラリー(混合研磨液)
13 過酸化水素水容器
14 過酸化水素水
15 窒素ガス供給ライン
16 開閉弁
17 着脱部材
18 供給管
19 過酸化水素水供給ライン
20 開閉弁
21 純水供給ライン
22 純水分岐ライン
23 開閉弁
24 循環ライン
24a 検出ライン
25 ポンプ
26 スラリー供給ライン
27 開閉弁
28 スラリー混合貯留容器
29 スラリー
30 循環ライン
30a 検出ライン
31 ポンプ
32 スラリー供給ライン
33 ポンプ
34 研磨装置
35 スラリー供給ライン
36 ポンプ
37 研磨装置
38 TMAH液容器
39 TMAH液
40 TMAH液供給ライン
41 三方切換弁
42 開閉弁
43 三方切換弁
44 洗浄液供給ライン
45 窒素ガス供給ライン
46 開閉弁
47 分岐ライン
48 開閉弁
49 過酸化水素水容器
50 過酸化水素水
51 過酸化水素水供給ライン
52 窒素ガス供給ライン
53 開閉弁
54 分岐ライン
55 開閉弁
56 分岐ライン
57 開閉弁
58 受け容器
59 受け容器
60 受け容器
61 砥粒分散液容器
62 砥粒分散液
63 窒素ガス供給ライン
64 開閉弁
65 着脱部材
66 供給管(砥粒分散液供給ライン)
67 砥粒分散液供給ライン
68 流量計
69 開閉弁
70 混合器
71 過酸化水素水容器
72 過酸化水素水
73 窒素ガス供給ライン
74 開閉弁
75 着脱部材
76 供給管
77 過酸化水素水供給ライン
78 流量計
79 開閉弁
80 スラリー供給ライン
81 三方切換弁
82 スラリー吐出ライン
83 研磨装置
84 TMAH液容器
85 TMAH液
86 窒素ガス供給ライン
87 開閉弁
88 分岐ライン
89 開閉弁
90 供給管
91 三方切換弁
92 三方切換弁
93 洗浄液供給ライン
94 過酸化水素水容器
95 過酸化水素水
96 過酸化水素水供給ライン
97 窒素ガス供給ライン
98 開閉弁
99 分岐ライン
100 開閉弁
101 純水供給ライン
102 開閉弁
103 受け容器
104 受け容器
105 受け容器
200 微生物検出装置
201 管体
201a 管路
202 接続部材
203 検出ライン
204 発光部
205 受光部
206 演算手段
207 制御器
208 報知手段
300 殺菌手段
400 切換弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動する被測定液体中に第1および第2の異なる波長の光を照射し、前記第1の波長における光の透過量と、前記第2の波長における光の透過量との差によって、微生物の存在を検出することを特徴とする微生物検出方法。
【請求項2】
管体内を流動する被測定液に、第1の波長の光を照射する発光部と、前記第1の波長の光の微生物による透過量と微生物以外の固形物による透過量を検出する受光部と、前記被測定液に、第2の波長の光を照射する発光部と、前記第2の波長の光の微生物以外の固形物の透過量を検出する受光部と、前記第1の波長の光の照射による微生物と微生物以外の固形物の透過量と、前記第2の波長の光の照射による微生物以外の固形物の透過量との差を演算する演算手段を備え、前記演算手段で演算した前記透過量の差によって微生物の存在を検出することを特徴とする微生物検出装置。
【請求項3】
透過量は、流動する所定量の被測定液における積算値であることを特徴とする請求項2に記載の微生物検出装置。
【請求項4】
スペクトルアナライザーで第1の波長の光および第2の波長の光の透過量を測定することを特徴とする請求項2または3に記載の微生物検出装置。
【請求項5】
第1の波長の光を紫外線とし、第2の波長の光を赤外線とした請求項2〜4のいずれか1項に記載の微生物検出装置。
【請求項6】
微生物の存在を報知する報知手段を備えたことを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の微生物検出装置。
【請求項7】
研磨原液の供給ラインから前記複数の研磨原液の混合液であるスラリーの研磨装置への供給ラインに至るいずれかの部位の微生物を検出する請求項2〜6のいずれか1項に記載の微生物検出装置を備えたことを特徴とするスラリー供給装置。
【請求項8】
研磨原液の供給ラインから前記複数の研磨原液の混合液であるスラリーの研磨装置への供給ラインに至る複数の部位に、微生物検出装置を備えたことを特徴とする請求項7に記載のスラリー供給装置。
【請求項9】
研磨原液の供給ラインから前記複数の研磨原液の混合液であるスラリーの研磨装置への供給ラインに至る複数の部位から、前記研磨原液またはスラリーを微生物検出装置に導出させることを特徴とする請求項7に記載のスラリー供給装置。
【請求項10】
研磨原液の供給ラインから前記複数の研磨原液の混合液であるスラリーの研磨装置への供給ラインに至る少なくとも一部の部位に、微生物を殺菌する殺菌手段を備え、微生物検出装置による微生物数の検出に基づき、前記殺菌手段を駆動することを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載のスラリー供給装置。
【請求項11】
研磨原液の供給ラインから前記複数の研磨原液の混合液であるスラリーの研磨装置への供給ラインに至る少なくとも一部の部位を洗浄する洗浄手段を備え、微生物検出装置による微生物数の検出値に基づき、前記研磨原液の供給ラインから前記複数の研磨原液の混合液であるスラリーの研磨装置への供給ラインに至る少なくとも一部の部位を洗浄することを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項に記載のスラリー供給装置。
【請求項12】
研磨原液の供給ラインから前記複数の研磨原液の混合研磨原液であるスラリーの研磨装置に至る供給ラインの少なくとも一部に、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)液を供給して排出後、過酸化水素水を供給して排出することを特徴とする請求項11に記載のスラリー供給装置。
【請求項13】
テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液を供給し、所定時間供給ラインに滞留させることを特徴とする請求項12に記載のスラリー供給装置。
【請求項14】
過酸化水素水を供給し、所定時間供給ラインに滞留させることを特徴とする請求項12または13に記載のスラリー供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−284813(P2009−284813A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−140368(P2008−140368)
【出願日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】