説明

微生物溶液およびそれに関連するプロセス

ヒトに対して有害な細菌および微生物を実質的に排除するために鶏肉および食肉を処理するための抗菌性組成物が開示される。この組成物には、脂肪族ヘテロアリール塩、脂肪族ベンジルアルキルアンモニウム塩、二脂肪族ジアルキルアンモニウム塩、テトラアルキルアンモニウム塩、および/またはトリクロロメラミンの様々な組み合わせが含まれる。1つの実施形態において、本発明は、脂肪族ヘテロアリール塩、トリクロロメラミン、脂肪族ベンジルアルキルアンモニウム塩、二脂肪族ジアルキルアンモニウム塩、およびテトラアルキルアンモニウム塩からなる群より選択される任意の2つの成分が含まれている抗微生物組成物を提供し、ここで、列挙された成分のうちの2つが存在する場合には、他の列挙された成分は存在しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本出願は、国際出願番号PCT/US2004/006599(2004年3月5日出願)の部分継続出願である。出願PCT/US2004/006599は、米国仮特許出願第60/451,678号(2003年3月5日出願)および米国仮特許出願第60/507,949号(2003年10月3日出願)に対する優先権を主張する。国際出願PCT/US2004/006599ならびに米国仮特許出願第60/451,678号および同第60/507,949号は、各々、その全体が本明細書中で参考として援用される。
【0002】
(分野)
開示される内容は、一般に、微生物の増殖もしくは生存を減少させるかまたは防ぐための組成物と方法に関する。さらに具体的には、開示される内容は、病原性微生物を排除するために食肉および鶏肉を処理するための組成物と方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
食品媒介性の疾病の予防は、食品産業、公的機関、および監督官庁にとって一番の関心事となっている。疾病対策予防センター(Center for Disease Control and Prevention)(CDC)は、米国において健康に対する食品媒介性の疾患の影響をより良く定量化するための評価を行った(Meadら、Food−Related Illness and Death in the United States,Centers for Disease Control and Prevention,Atlanta,Georgia,USA,2003)。この報告では、食品媒介性の疾患によって、米国において毎年、およそ7600万件の疾病、325,000件の入院、および5,000件の死亡が生じていると推定された。既知の病原体が、推定された1400万件の疾病、60,000件の入院、および1,800件の死亡の原因となっている。3種類の病原体(Salmonella、Listeria、およびToxoplasma)が、毎年1,500件の死亡についての原因となっており、これは、既知の病原体によって引き起こされる死亡件数のうちの75%以上である。一方、未知の病原体が、残りの6200万件の疾病、265,000件の入院、および3,200件の死亡の原因となっている。公衆衛生に関する懸念がある他の食品媒介性微生物としては、Aeromonas hydrophila、Arcobacter butzleri、Bacillus cereus、Campylobacter jejuni、Escherichia coli、およびStaphylococcus aureusが挙げられる。食品医薬品局の食品安全応用栄養センターの所長(Director)であるFred R.Shankは、米国連邦会議の前に、米国における食品媒介性の疾病についての一年間のコストが77億$から230億$の間であると証言した。
【0004】
Salmonellaは、致命的な結果の可能性があるより一般的な腸の感染症の1つである。CDCは、毎年、およそ40,000件のサルモネラ中毒の症例が米国において報告されていることを報告している。多くの軽症の症例は診断されないかまたは報告されないことの理由から、実際の感染数はおそらくははるかに多い。サルモネラ中毒は、冬期の間よりも暖かい時期により一般的である。そして、重症の感染に最もかかりやすいのは低年齢の小児、高齢者、および免疫力が低下している人である。およそ600人が、毎年急性サルモネラ中毒で死亡すると推定される。
【0005】
Salmonellaおよび多くの他の微生物は、鶏肉、食肉、および他の食物組織に付着することができ、すすぐだけでは微生物を除去することを困難にしている。結果として、放射線照射、化学的処理、および物理的処理を含む処理が、食物の微生物汚染の問題に取り組むために使用されている。例えば、リン酸三ナトリウムは、Salmonella typhimuriumを排除するための鶏肉加工に使用されている。しかし、複数の実験によって、Salmonellaの処理に対するリン酸三ナトリウムの有効性についての矛盾する結果がもたらされている。
【0006】
多くの処理に伴う共通する問題は、それらが1つのタイプの微生物に対しては有効であっても、他の微生物に対しては有効ではない場合があることである。例えば、特許文献1には、四級アンモニウム化合物(「QAC」)の水溶液が含まれている組成物が開示されている。しかし、ハロゲン化アルキルピリジニウム(例えば、塩化セチルピリジニウム(「CPC」)および臭化セチルピリジニウム(「CPB」))が含まれているQACは、Salmonellaを除去することにおいては有効であるが、他のタイプの微生物を除去することにおいては有効ではないことが報告されている。CPCでの処理には、食肉または鶏肉を大量のCPCと長時間接触させることが必要であることもまた明らかにされている。これにより、CPCを除去するために、コストのかかる下流での処理工程が必要となる。通常、この処理は、噴霧し、そして有毒廃棄物と同様に取り除くことによって、産物を回収することによって行われる。
【0007】
特許文献2にはまた、病原性毒素を産生するEscherichiaの付着を阻害し、そしてそのような大腸菌の混入を除去するための、QACが含まれている組成物が開示されている。この特許文献2には、水溶液中のアルキルピリミジニウム、テトラアルキルアンモニウム、およびアルキル脂環式アンモニウム塩からなる群より選択されるQACが含まれている組成物が開示される。
【0008】
他の処理方法には、塩素溶液で、またはリン酸三ナトリウムの溶液での処理が含まれる。塩素溶液は、病原性微生物の全てを排除することにおいて有効ではないことが明らかにされている。また、塩素が溶液または水に添加される場合は、塩素の効力は、塩素イオンのモル濃度でしか良好ではない。塩素イオン濃度は、例えば、新生酸素とのイオン性相互作用により、急速に低下し得る。リン酸三ナトリウムは、鶏肉の内側および外側が消毒される場合の再処理段階で使用されている。しかし、このプロセスには、リン酸三ナトリウムを除去するために廃棄前に再処理器の水を濾過することが必要である。使用されるなお他の一般的な抗微生物組成物は、いくつかの表面に対しては有効であるが、それらの毒性が原因で食物の表面に対しては使用できない。
【特許文献1】米国特許第5,366,983号明細書
【特許文献2】米国特許第5,855,940号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
現在、広範囲の微生物に対して有効であり、そして食物の表面に対して安全に使用することができる有効な抗微生物組成物は知られていない。したがって、広範囲の微生物を排除するために鶏肉および食肉のような汚染された食物を処理するための抗微生物組成物と方法が必要である。さらに、他の表面(例えば、床、冷却装置、机、受け皿など)に対しては効果的に使用することができる抗微生物組成物もまた必要である。本明細書中に開示される抗微生物組成物と方法とは、これらの需要および他の需要を満たす。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の要旨)
本明細書中で具体的に挙げられ、そして広く記載される開示される材料、化合物、組成物、および方法の目的にしたがって、開示される内容は、1つの態様においては、そのような組成物を調製し、使用するための組成物と方法に関する。別の例においては、鶏肉および食肉上の微生物(例えば、食品媒介性微生物)を減少させる、防ぐ、または排除するための抗微生物組成物、およびそのような組成物を使用するための方法が、本明細書中で開示される。
【0011】
以下に記載される利点は、添付の特許請求の範囲において具体的に指摘された要素および組み合わせによって実現され、そして得られるであろう。上記の一般的記載、および以下の詳細な記載の両方が例であり、そして例に過ぎず、そして限定ではないことが理解される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(詳細な説明)
本明細書中に記載される材料、組成物、物品(article)、デバイス、および方法は、開示される本発明の内容の特異的な態様についての以下の詳細な記載、およびその中に含まれる方法と実施例、ならびに、図面およびそれらについての先および以下の記載を参照することによってより容易に理解されるであろう。
【0013】
本発明の材料、組成物、物品、デバイス、および方法が開示され、記載される前に、以下に記載される態様はそのような特異的な合成方法または特異的な試薬には限定されず、もちろん、変化し得ることが理解される。本明細書中で使用される専門用語は、特定の態様を記載する目的のためだけに使用され、そして限定とは意図されないこともまた理解される。
【0014】
また、本明細書全体を通じて、様々な刊行物が参照される。これらの刊行物の開示は、それらの全体が、開示されるその内容が属する分野の状態をより完全に記載するために、引用により本出願の中に組み入れられる。開示される参考文献はまた、参考文献が頼る文中で議論され、その文中に含まれる材料について、個別に、かつ具体的に、引用により本明細書中に組み入れられる。
【0015】
一般的な定義
本明細書中、および以下の特許請求の範囲においては、多数の用語について言及される。これらは以下の意味を有すると定義されるものとする。
【0016】
明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合は、単数形「a」、「an」、および「the」には、状況が他に明確に示されない限りは、複数形についての言及も含まれる。したがって、例えば、「化合物(a compound)」との言及には、2つ以上のそのような化合物の混合物が含まれ、「薬剤(an agent)」との言及には、2つ以上のそのような薬剤の混合物が含まれ、「組成物(the composition)」との言及には、2つ以上のそのような組成物の混合物が含まれるなどである。
【0017】
明細書および特許請求の範囲全体を通じて、用語「含む(comprise)」およびこの用語のバリエーション(例えば、「含まれている(comprising)」および「含む(comprises)」)は、「〜が含まれるがそれらに限定はされない」を意味し、そして、例えば、他の添加物、成分、整数、または工程を排除するようには意図されない。
【0018】
「状況に応じた」または「状況に応じて」は、続いて記載される事象または状況が起こる場合も、また起こらない場合もあること、そしてその記載には、その事象または状況が起こる場合と、起こらない場合が含まれることを意味する。
【0019】
範囲は、「約」1つの特定の値から、および/または「約」別の特定の値までとして本明細書中で表現することができる。そのような範囲が表現される場合には、別の実施形態には、1つの特定の値から、および/または他の特定の値までが含まれる。同様に、値が先行する「約」を使用して近似として表される場合には、特定の値は別の実施形態を形成すると理解されるであろう。個々の範囲の終点は、他の終点に関していずれも有意であり、そして他の終点とは無関係であることがさらに理解されるであろう。本明細書中では多数の値が開示されること、そして個々の値はまた、その値自体に加えて特定の値が、「約」としても本明細書中に開示されることも理解される。例えば、値「10」が開示される場合には、「約10」もまた開示される。値がその値「未満であるかまたはそれに等しい」と開示される場合には、当業者によって適切に理解されるように、「その値より大きいかそれに等しい」、および値の間の可能な範囲もまた、開示されることも理解される。例えば、値「10」が開示される場合には、「10未満または10に等しい」、さらには、「10より大きいまたは10に等しい」もまた開示される。明細書全体を通じて、データは、多数の様々な形式で提供されること、そしてこのデータは、終点と開始点、およびデータ点の任意の組み合わせについての範囲を示すことも理解される。例えば、特定のデータ点「10」と特定のデータ点「15」が開示される場合には、10および15よりも大きい、10および15より大きいかまたは10および15に等しい、10および15よりも小さい、10および15よりも小さいかまたは10および15に等しい、ならびに、10および15に等しいが、10と15との間に加えて、開示されることが理解される。また、2つの特定の単位の間の個々の単位もまた開示されることが理解される。例えば、10および15が開示される場合には、11、12、13、および14もまた開示される。
【0020】
明細書および特許請求の範囲の中での、組成物または物品中の特定の要素または成分の重量部についての言及は、それについての重量部が表される組成物または物品の中でのその要素または成分と、任意の他の要素または成分との間での重量の関係を示す。したがって、成分Xが2重量部、そして成分Yが5重量部含まれている化合物においては、さらに別の成分が化合物の中に含まれているかどうかにはかかわらず、XとYは、2:5の重量比を示し、そしてそのような比で存在する。
【0021】
それとは反対に、成分の重量%は、具体的に記載されない限りは、その成分が含まれている処方物または組成物の全重量をベースとする。
【0022】
「減少させる」またはこの用語の他の形態(例えば、「減少している」または「減少」)によっては、事象または特性(例えば、微生物の増殖または生存)が少なくなることが意味される。これは、通常は、いくつかの標準的な値または期待される値に関係し、言い換えると、相対的であると理解されるが、言及される標準的な値または相対的な値は必ずしも必要ではない。例えば、「細菌の集団を減少させる」は、標準または対照と比較して、細菌の量が少なくなることを意味する。
【0023】
「防ぐ(prevent)」またはこの用語の他の形態(例えば、「妨げる(preventing)」または「阻止(prevention)」)によっては、特定の事象もしくは特性を停止させること、特定の事象もしくは特性の発症または進行を安定化させるかまたは遅らせること、あるいは、特定の事象もしくは特性が起こるであろう機会を最少にすることが意味される。「防ぐ」には、これは通常は、例えば、減少させるよりも絶対的であるので、対照との比較は必要はない。本明細書中で使用される場合は、減少させることはできるが防ぐことはできない場合があり、減少させることができ、また防ぐこともできる場合もある。同様に、防ぐことはできるが減少させることができない場合があり、また、防ぐことができ、減少させることもできる場合もある。減少させる、または防ぐが使用される場合には、他に具体的に示されない限りは、他の用語の使用もまた、明確に開示されることが理解される。
【0024】
「処理する」またはこの用語の他の形態(例えば、「処理される」または「処理」)によっては、特定の特性もしくは事象(例えば、微生物の増殖もしくは生存)を減少させる、防ぐ、阻害する、崩壊させる、または排除するために、組成物が与えられること、あるいは、そのための方法が実行されることが意味される。
【0025】
「抗微生物」によっては、任意の濃度で微生物の増殖または生存を処理する(例えば、減少させる、防ぐ、阻害する、崩壊させる、または排除する)能力が意味される。
【0026】
化学的定義
本明細書中で使用される場合は、用語「置換される」は、有機化合物の全ての許容される置換基が含まれるように意図される。広範な態様においては、許容される置換基には、有機化合物の非環式および環式、分岐および非分岐、炭素環式および複素環式、ならびに芳香族および非芳香族置換基が含まれる。例示的な置換基としては、例えば、以下に記載される置換基が挙げられる。許容される置換基は、適切な有機化合物について1つである場合も、またそれ以上である場合もあり、そして同じである場合も、また異なる場合もある。この開示の目的については、ヘテロ原子(例えば、窒素および酸素)は、ヘテロ原子の原子価を満たす、水素置換基、および/または本明細書中に記載される有機化合物の任意の許容される置換基を有し得る。この開示は、有機化合物の許容される置換基によって、任意の様式で限定されるようには意図されない。また、用語「置換」または「〜で置換される」には、そのような置換が、置換された原子および置換基の許容される原子価にしたがうこと、および置換によって安定な化合物(例えば、再配置、環化、放出などによる変換を自発的に受けることはない化合物)を生じるという暗黙の条件が含まれる。また、本明細書中で使用される場合には、「置換」または「〜で置換される」は、1つの置換基が別の置換基と縮合される立体配置を含むようにも意味される。例えば、アリール基で置換されたアルキル基(または、逆)は、アリール基が1つのσ結合によってアルキル基に結合させられること、そして、アリール基とアルキル基が縮合させられる(例えば、アルキル基の2つの炭素がアリール基の2つの炭素と共通していること)もまた意味し得る。
【0027】
「A」、「A」、「A」、および「A」は、様々な特異的置換基を示すための一般的な記号として本明細書中で使用される。これらの記号は、任意の置換基であり得(本明細書中に開示されるものに限定はされない)、そしてこれらは、1つの文において特定の置換基として定義されても、別の文において、それらをいくつかの他の置環基としては定義することができないことを意味するものではない。
【0028】
用語「アルキル」は、本明細書中で使用される場合には、1個から40個の炭素原子の分岐または非分岐の飽和炭化水素基であり、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、へプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、エイコシル、テトラコシルなどである。アルキル基はまた、置換されているものであっても、未置換のものであってもよい。アルキル基は、以下に記載されるように、アルキル、ハロゲン化アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルデヒド、アミノ、カルボン酸、エステル、エーテル、ハロゲン化物、ヒドロキシ、ケトン、スルホ−オキソ、スルホニルアミノ、ニトロ、シリル、またはチオールを含む(しかし、これらに限定はされない)1つ以上の基で置換することができる。
【0029】
明細書全体を通じて、「アルキル」は、一般的には、未置換のアルキル基および置換されたアルキル基の両方を意味するように使用される。しかし、置換されたアルキル基はまた、アルキル基上の特異的な置換基(単数または複数)を特定することによって、本明細書中で具体的に言及される。例えば、用語「ハロゲン化アルキル」は、1つ以上のハロゲン化物(例えば、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素)で置換されるアルキル基を具体的に意味する。「アルキル」が1つの文において使用され、そして「ハロゲン化アルキル」のような特定の用語が別の文において使用される場合には、用語「アルキル」は、「ハロゲン化アルキル」などの特異的な用語を意味しないことを暗に意味するようには意味されない。
【0030】
この慣例は、本明細書中に記載される他の基についても使用される。すなわち、「ヘテロアリール」のような用語は未置換のヘテロアリールおよび置換されたヘテロアリール部分の両方を意味するが、加えて、置換された部分は、本明細書中で具体的に特定され得る:例えば、特定の置換されたヘテロアリールは、例えば、「ヘテロアリールアルキル」と呼ぶことができる。同様に、置換されたアルケニルは、例えば、「ハロゲン化アルケニル」などであり得る。重ねて、一般的用語(例えば、「ヘテロアリール」)および特異的用語(例えば、「アルキルヘテロアリール))の使用の慣例は、一般的用語に特異的用語が含まれないことを暗に意味するようには意味されない。
【0031】
用語「アルケニル」は、本明細書中で使用される場合には、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合が含まれている構造式を有している、2個から40個の炭素原子の炭化水素基である。非対称構造(例えば、(A)C=C(A)は、E異性体とZ異性体の両方が含まれるように意図される。これは、本明細書中の構造式において推定され、ここでは非対称アルケンが存在するか、または、結合記号C=Cによって明確に示すことができる。アルケニル基は、アルキル、ハロゲン化アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルデヒド、アミノ、カルボン酸、エステル、エーテル、ハロゲン化物、ヒドロキシ、ケトン、スルホ−オキソ、スルホニルアミノ、ニトロ、シリル、またはチオールが含まれるがこれらに限定はされない1つ以上の基で置換することができる。
【0032】
用語「アルキニル」は、本明細書中で使用される場合は、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合が含まれている構造式を有している、2個から40個の炭素原子の炭化水素基である。アルキニル基は、アルキル、ハロゲン化アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルデヒド、アミノ、カルボン酸、エステル、エーテル、ハロゲン化物、ヒドロキシ、ケトン、スルホ−オキソ、スルホニルアミノ、ニトロ、シリル、またはチオールが含まれるがこれらに限定はされない1つ以上の基で置換することができる。
【0033】
用語「脂肪族」は、本明細書中で使用される場合は、非芳香族炭化水素基を意味し、そしてこれには、分岐および未分岐のアルキル、アルケニル、またはアルキニル基が含まれる。
【0034】
用語「アリール」は、本明細書中で使用される場合は、ベンゼン、ベンジル、ナフタレン、フェニル、ビフェニル、フェノキシベンゼンなどが含まれるがこれらに限定はされない、任意の炭素をベースとする芳香族基を含む基である。用語「アリール」にはまた、「ヘテロアリール」が含まれ、これは、芳香族基の環の中に少なくとも1つのヘテロ原子が取り込まれている芳香族環を含む基として定義される。ヘテロ原子の例としては、窒素、酸素、イオウ、およびリンが含まれるが、これらに限定はされない。同様に、用語「非ヘテロアリール」(これは、用語「アリール」にも含まれる)は、ヘテロ原子が含まれていない芳香族基を含む基を定義する。アリール基は、置換されていても、未置換であってもよい。アリール基は、本明細書中に記載されるように、アルキル、ハロゲン化アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルデヒド、アミノ、カルボン酸、エステル、エーテル、ハロゲン化物、ヒドロキシ、ケトン、スルホ−オキソ、スルホニルアミノ、またはチオールが含まれるがこれらに限定はされない1つ以上の基で置換することができる。用語「ビアリール」は特異的なタイプのアリール基であり、そしてアリールの定義に含まれる。ビアリールは、ナフタレンのような、縮合させられた環構造によって互いに結合させられたか、または、ビフェニルのような、1つ以上の炭素−炭素結合によって結合させられた、2つのアリール基を意味する。
【0035】
用語「シクロアルキル」は、本明細書中で使用される場合は、少なくとも3個の炭素原子から構成される、非芳香族炭素をベースとする環である。シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられるが、これらに限定はされない。用語「ヘテロシクロアルキル」は上記で定義されたようなシクロアルキル基であり、ここでは、環の炭素原子のうちの少なくとも1つは、ヘテロ原子(例えば、窒素、酸素、イオウ、またはリンであるが、これらに限定はされない)で置換されている。シクロアルキル基およびヘテロシクロアルキル基は置換されていても、また未置換であってもよい。シクロアルキル基およびヘテロシクロアルキル基は、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルデヒド、アミノ、カルボン酸、エステル、エーテル、ハロゲン化物、ヒドロキシ、ケトン、スルホ−オキソ、スルホニルアミノ、ニトロ、シリル、またはチオールが含まれるがこれらに限定はされない1つ以上の基で置換することができる。
【0036】
用語「シクロアルケニル」は、本明細書中で使用される場合は、少なくとも3個の炭素原子から構成されており、そして少なくとも1つの二重結合(例えば、C=C)が含まれている、非芳香族炭素をベースとする環である。シクロアルケニル基の例としては、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニルなどが挙げられるが、これらに限定はされない。用語「ヘテロシクロアルケニル」は、上記で定義されたシクロアルケニル基の1つのタイプであり、これは、用語「シクロアルケニル」の意味に含まれる。ここでは、環の炭素原子のうちの少なくとも1つが、ヘテロ原子(例えば、窒素、酸素、イオウ、またはリンであるが、これらに限定はされない)で置換されている。シクロアルケニル基およびヘテロシクロアルケニル基は置換されている場合も、また未置換である場合もある。シクロアルケニル基およびヘテロシクロアルケニル基は、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルデヒド、アミノ、カルボン酸、エステル、エーテル、ハロゲン化物、ヒドロキシ、ケトン、スルホ−オキソ、スルホニルアミノ、ニトロ、シリル、またはチオールが含まれるがこれらに限定はされない1つ以上の基で置換することができる。
【0037】
用語「環式基」は、アリール基(例えば、ヘテロアリール、またはビアリール)、非アリール基(すなわち、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル、およびヘテロシクロアルケニル基)のいずれか、またはそれらの両方を意味するように本明細書中で使用される。環式基は、置換されていてもまたは未置換であってもいずれであってもよい1つ以上の環システムを有している。環式基には、1つ以上のアリール基、1つ以上の非アリール基、または1つ以上のアリール基と1つ以上の非アリール基が含まれ得る。
【0038】
用語「アミン」または「アミノ」は、本明細書中で使用される場合は、以下の式によって表される:
【0039】
【化1】

式中、A、A、およびAはそれぞれ、互いに独立して、上記に記載される水素、アルキル、ハロゲン化アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、またはヘテロシクロアルケニル基であり得る。また、A、A、およびA置換基のうちの任意のものは存在しない場合があり、そして、残りの置換基のうちの任意のものは、多価の基であり得る(すなわち、Nとの1つ以上の結合を形成する)。
【0040】
用語「アンモニウム」または「四級アンモニウム」は、以下の式で表される:
【0041】
【化2】

式中、A、A、A、およびAはそれぞれ、互いに独立して、上記に記載される水素、アルキル、ハロゲン化アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、またはヘテロシクロアルケニル基であり得る。また、A、A、A、およびA置換基のうちの任意のものは存在しない場合があり、そして、残りの置換基のうちの任意のものは、多価の基であり得る。
【0042】
用語「ハロゲン化物」は、本明細書中で使用される場合は、ハロゲンフッ素、塩素、臭素、およびヨウ素を意味する。
【0043】
「X」、「R」、「R」、および「R」(式中、nはいくつかの整数である)は、本明細書中で使用される場合は、独立して、上記に列挙された基のうちの2つ以上を有することができる。例えば、Rが直鎖のアルキル基である場合には、アルキル基の水素原子のうちの1つは、状況に応じてヒドロキシル基(OH)、アルコキシ基、ハロゲン化物などで置換することができる。選択される基に応じて、第1の基は第2の基の中に取り込ませることができ、またあるいは、第1の基は第2の基にぶら下げる(すなわち、結合させる)かもしくは融合させることができる。
【0044】
反対であると明確に記載されない限りは、実線としてだけで示され、くさびまたは点線としては示されない化学結合を有している式は、それぞれの可能な異性体(例えば、それぞれの鏡像異性体およびジアステレオマー)、ならびに異性体の混合物(例えば、ラセミ混合物または非ラセミ(scalemic)混合物を意図する。
【0045】
例が以下の説明および実施例、ならびに図面およびそれらについての先の記載と以下の記載に説明される、開示される材料、化合物、組成物、成分、デバイス、物品、および方法についての特異的な態様についての言及が、本明細書中で詳細に行われるであろう

【0046】
組成物
1つの態様においては、抗微生物組成物が本明細書中で開示される。開示される抗微生物組成物は、鶏肉および食肉組織、さらには、他の食物を様々な微生物に対して処理するために使用することができる。
【0047】
使用することができる材料および成分は、開示される組成物と組み合わせて使用することができるか、開示される組成物の調製において使用することができるか、または開示される組成物の製品であり、そして複数の方法が本明細書中に開示される。そして、これらの材料の組み合わせ、サブセット、相互作用、グループなどが開示される場合には、これらの化合物の個々の様々な個別の組み合わせおよび集団的な組み合わせ、ならびに順列の特定の言及は明確には開示されない場合があるものの、それぞれが本明細書中で具体的に意図され、記載されることが理解される。例えば、1つの分子が開示され、そして多数の置換基に対して行うことができる多数の改変が議論される場合には、可能である個々のかつあらゆる組み合わせおよび順列が、反対であると明確に示されない限りは具体的に意図される。別の例においては、組成物が開示され、そして組成物中の多数の成分に対して行うことができる多数の改変が議論される場合には、可能である個々の、そしてあらゆる組み合わせおよび順列が、反対であると明確に示されない限りは具体的に意図される。したがって、置換基または成分A、B、およびCの1つのクラスが開示され、さらに、置換基または成分D、E、およびFの1つのクラスが開示され、そして組み合わせ分子または組み合わせ組成物A−Dの例が開示される場合には、それぞれが個別に記載されていない場合でもなお、それぞれが個別に、そして一括して意図される。したがって、本実施例においては、組み合わせA−E、A−F、B−D、B−E、B−F、C−D、C−E、およびC−Fのそれぞれが具体的に意図され、そして、A、B、およびC、そしてD、E、およびFの開示と、組み合わせ例A−Dの開示から開示されると見なされるべきである。同様に、これらの任意のサブセットまたは組み合わせもまた具体的に意図され、そして開示される。したがって、例えば、A−E、B−F、およびC−Eのサブグループが具体的に意図され、そしてA、B、およびCと、D、E、およびFと、組み合わせ例A−Dの開示から開示されると見なされるべきである。この概念は、開示される組成物を作製し、そして使用する方法の工程が含まれる(しかし、これらに限定はされない)本開示の全ての態様に適用される。したがって、行うことができる様々なさらなる工程が存在する場合には、これらのさらなる工程のそれぞれは、開示される方法の任意の特異的な実施形態または複数の実施形態の組み合わせを用いて行うことができること、そして個々のそのような組み合わせが具体的に意図され、そして開示されると見なされるべきであることが理解される。
【0048】
開示される抗微生物組成物には、いくつかの態様においては、脂肪族ヘテロアリール塩、トリクロロメラミン、脂肪族ベンジルアルキルアンモニウム塩、二脂肪族ジアルキルアンモニウム塩、およびテトラアルキルアンモニウム塩からなる群より選択される任意の2つの成分が含まれ得る。ここでは、列挙された成分のうちの2つが存在する場合には、他の列挙された成分は存在しない。例えば、開示される抗微生物組成物には、脂肪族ヘテロアリールアンモニウム塩とトリクロロメラミンが含まれ得、そして他の列挙された成分(すなわち、脂肪族ベンジルアルキルアンモニウム塩、二脂肪族ジアルキルアンモニウム塩、およびテトラアルキルアンモニウム塩)は含まれ得ない。別の例においては、開示される抗微生物組成物にトリクロロメラミンと脂肪族ベンジルアルキルアンモニウム塩が含まれ得、そして他の列挙された成分(すなわち、脂肪族ヘテロアリール塩、二脂肪族ジアルキルアンモニウム塩、およびテトラアルキルアンモニウム塩)は含まれ得ない。なお別の例においては、開示される抗微生物組成物には、脂肪族ベンジルアルキルアンモニウム塩とテトラアルキルアンモニウム塩が含まれ得、そして他の列挙された成分(すなわち、脂肪族ヘテロアリール塩、トリクロロメラミン、脂肪族ベンジルアルキルアンモニウム塩、二脂肪族ジアルキルアンモニウム塩、およびテトラアルキルアンモニウム塩)は含まれ得ない。
【0049】
さらなる態様においては、脂肪族ヘテロアリール塩、トリクロロメラミンと、脂肪族ベンジルアルキルアンモニウム塩、二脂肪族ジアルキルアンモニウム塩、およびテトラアルキルアンモニウム塩からなる群より選択されるアンモニウム塩が含まれている抗微生物組成物が、本明細書中に開示される。ここでは、アンモニウム塩が脂肪族ベンジルアンモニウム塩である場合には、組成物には、二脂肪族ジアルキルアンモニウム塩またはテトラアルキルアンモニウム塩は含まれない。ここでは、アンモニウム塩が二脂肪族ジアルキルアンモニウム塩である場合には、組成物には、脂肪族ベンジルアンモニウム塩またはテトラアルキルアンモニウム塩は含まれない。そしてここでは、アンモニウム塩がテトラアルキルアンモニウム塩である場合には、組成物には、脂肪族ベンジルアンモニウム塩または二脂肪族ジアルキルアンモニウム塩は含まれない。例えば、開示される抗微生物組成物には、脂肪族ヘテロアリール塩、トリクロロメラミン、および脂肪族ベンジルアルキルアンモニウム塩(例えば、ハロゲン化アルキルピリジニウム、トリクロロメラミン、およびハロゲン化アルキルベンジルアルキルアンモニウム)が含まれ得る。別の例においては、開示される抗微生物組成物には、脂肪族ヘテロアリール塩、トリクロロメラミン、および二脂肪族ジアルキルアンモニウム塩が含まれ得る。さらなる例においては、開示される抗微生物組成物には、脂肪族ヘテロアリール塩、トリクロロメラミン、およびテトラアルキルアンモニウム塩が含まれ得る。
【0050】
1つの他の例においては、開示される組成物には、ハロゲン化セチルピリジニウム、ハロゲン化ベンズアルキルアンモニウム、トリクロロメラミン、および水は含まれない。
【0051】
脂肪族ヘテロアリール塩
開示される抗微生物組成物には、脂肪族ヘテロアリール塩(例えば、1つ以上の脂肪族ヘテロアリール塩)が含まれ得る。脂肪族ヘテロアリール塩は、本明細書中で定義されるように、ヘテロアリール部分に結合させられた脂肪族部分と、対イオンとが含まれている化合物である。1つ以上のタイプの脂肪族ヘテロアリール塩を、本明細書中に開示される抗微生物組成物において使用することができる。
【0052】
脂肪族部分
開示される抗微生物組成物の脂肪族ヘテロアリール塩成分においては、脂肪族部分は、本明細書中に記載されるように、任意のアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、またはシクロアルケニル基であり得る。一般的には、脂肪族部分には、少なくとも10個、少なくとも12個、少なくとも14個、少なくとも16個、少なくとも18個、または少なくとも20個の炭素原子が含まれ得る。他の例においては、脂肪族部分には、一定の範囲の炭素原子数を有している脂肪族基の混合物が含まれ得る。例えば、脂肪族部分には、10個から40個、12個から38個、14個から36個、16個から34個、18個から32個、14個から18個、または20個から30個の炭素原子が含まれ得る。いくつかの特異的な例においては、脂肪族部分には、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、35個、36個、37個、38個、39個、40個、41個、42個、43個、44個、または45個の炭素原子が含まれ得る。この場合、記載される値のうちの任意のものが、適切である場合には、上部の終点または下部の終点を形成することができる。開示される脂肪族ヘテロアリール塩において使用することができる特異的な脂肪族部分の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定はされない:デシル、ドデシル(ラウリル)、テトラデシル(ミリスチル)、ヘキサデシル(パルミチルまたはセチル)、オクタデシル(ステアリル)、エイコシル(アラキジル)、およびリノレニル基(これらには、それらの分岐している誘導体およびそれらの任意の混合物が含まれる)。脂肪族ヘテロアリール塩においては、脂肪族部分は、ヘテロアリール部分の中のヘテロ原子に結合させられる。
【0053】
ヘテロアリール部分
開示される抗微生物組成物の脂肪族ヘテロアリール塩成分においては、ヘテロアリール部分は、本明細書中に記載される任意のヘテロアリール部分であり得る。例えば、ヘテロアリール部分は、1つ以上のヘテロ原子を有しているアリール基でありえる。脂肪族ヘテロアリール塩において使用することができる特異的なヘテロアリール部分の例としては、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、インダゾール、イミダゾール、オキサゾール、トリアゾール、チアゾール、プリン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、キノオキサリン、フェナジンなど(これらには、それらの置換された誘導体およびそれらの混合物が含まれる)が挙げられるが、これらに限定はされない。
【0054】
脂肪族ヘテロアリール塩においては、ヘテロアリール部分のヘテロ原子は、脂肪族部分に結合させられる。ヘテロ原子が窒素である場合は、これは、四級アンモニウム種を形成する。
【0055】
対イオン
開示される脂肪族ヘテロアリール塩においては、対イオンは、塩の残りの脂肪族ヘテロアリール部分として反対の電荷を有している任意のイオンであり得る。例えば、ヘテロアリール部分のヘテロ原子が脂肪族部分に結合させられて、正電荷を有している四級アンモニウム部分が形成させられる場合には、対イオンは負電荷を有している部分であり得る。同様に、脂肪族ヘテロアリール部分が負電荷を有している場合には、対イオンは正電荷を有することができる。開示される脂肪族ヘテロアリール塩においては、1つ以上の異なるタイプの対イオンが存在し得る。
【0056】
いくつかの特異的な例においては、対イオンはハロゲン化物、例えば、フッ化物、塩化物、臭化物、またはヨウ化物であり得る。他の例においては、脂肪族ヘテロアリール塩に適している対イオンとしては、硫化物、硫酸塩、亜硫酸塩、リン化物、リン酸塩、亜リン酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、次亜塩素酸塩、亜塩素酸塩、過塩素酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、水酸化物など(それらの混合物が含まれる)を挙げることができるが、これらに限定はされない。
【0057】
特異的な例
1つの例においては、脂肪族ヘテロアリール塩は、上記に開示されたヘテロアリール部分のうちの任意のものと組み合わせられた、上記に開示された脂肪族部分のうちの任意のものを有し得る。いくつかの特異的な例においては、脂肪族ヘテロアリール塩は、アルキルピリジニウム塩、アルキルキノリニウム塩、アルキルイミダゾリニウム塩、またはそれらの任意の混合物であり得る。他の例においては、脂肪族ヘテロアリール塩は、アルケニルピラゾリニウム塩、アルケニルピラジニウム塩、アルケニルキノリニウム塩、またはそれらの任意の混合物であり得る。これらの特異的な例についての対イオンは、ハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、または本明細書中に開示される任意の他の対イオンであり得る。他の態様においては、アルキルピリジニウム塩の特異的な例としては、ハロゲン化アルキルピリジニウム(例えば、ハロゲン化セチルピリジニウム(例えば、塩化セチルピリジニウム、臭化セチルピリジニウム、またはそれらの混合物)、ハロゲン化ラウリルピリジニウム(例えば、塩化ラウリルピリジニウム、臭化ラウリルピリジニウム、またはそれらの混合物)、ハロゲン化ミリスチルピリジニウム(例えば、塩化ミリスチルピリジニウム、臭化ミリスチルピリジニウム、またはそれらの混合物)、ハロゲン化ステアリルピリジニウム(例えば、塩化ステアリルピリジニウム、臭化ステアリルピリジニウム、またはそれらの混合物)、およびハロゲン化アラキジルピリジニウム(塩化アラキジルピリジニウム、臭化アラキジルピリジニウム、またはそれらの混合物)であるが、これらに限定はされない)が挙げられる。特異的な例においては、脂肪族ヘテロアリール塩には、塩化セチルピリジニウム、臭化セチルピリジニウム、またはそれらの混合物が含まれ得る。
【0058】

本明細書中に開示される脂肪族ヘテロアリール塩は、当該分野で公知の方法によって調製することができ、また、市販の供給業者から得ることもできる。脂肪族ヘテロアリール塩は、抗微生物組成物の全重量に基づいて、約20重量%未満、約15重量%未満、約10重量%未満、約8重量%未満、約6重量%未満、約5重量%未満、約4重量%未満、約3重量%未満、約2重量%未満、約1重量%未満、または約0.5重量%未満の量で、本明細書中に開示される抗微生物組成物中に存在し得る。別の例においては、脂肪族ヘテロアリール塩は、抗微生物組成物の全重量に基づいて、約0.5重量%を超える、約1重量%を超える、約2重量%を超える、約3重量%を超える、約4重量%を超える、約5重量%を超える、約6重量%を超える、約8重量%を超える、約10重量%を超える、約15重量%を超える、または約20重量%を超える量で、本明細書中に開示される抗微生物組成物中に存在し得る。なお別の例においては、脂肪族ヘテロアリール塩は、抗微生物組成物の全重量に基づいて、約0.5から約20重量%、約1から約15重量%、約2から約10重量%、約3から約8重量%、約3.5から約8重量%、約4から約6重量%、約6から約8重量%、または約7.5重量%の量で、本明細書中に開示される抗微生物組成物中に存在し得る。なお別の例においては、脂肪族ヘテロアリール塩は、抗微生物組成物の全重量に基づいて、約
【0059】
【化3−1】

【0060】
【化3−2】

または20.0重量%の量で、本明細書中に開示される抗微生物組成物中に存在し得る。そして記載される値のうちの任意のものが、適切である場合には上部の終点または下部の終点を形成し得る。
【0061】
さらなる態様においては、本明細書中に開示される抗微生物組成物には、約20重量部未満、約15重量部未満、約10重量部未満、約8重量部未満、約6重量部未満、約5重量部未満、約4重量部未満、約3重量部未満、約2重量部未満、約1重量部未満、または約0.5重量部未満の脂肪族ヘテロアリール塩が含まれ得る。別の例においては、本明細書中に開示される抗微生物組成物には、約0.5重量部を越える、約1重量部を越える、約2重量部を越える、約3重量部を越える、約4重量部を越える、約5重量部を越える、約6重量部を越える、約8重量部を越える、約10重量部を越える、約15重量部を越える、または約20重量部を越える脂肪族ヘテロアリール塩が含まれ得る。なお別の例においては、本明細書中に開示される抗微生物組成物には、約0.5から約20重量部、約1から約15重量部、約2から約10重量部、約3から約8重量部、約3.5から約8重量部、約4から約6重量部、約6から約8重量部、または約7.5重量部の脂肪族ヘテロアリール塩が含まれ得る。なお別の例においては、本明細書中に開示される抗微生物組成物には、約
【0062】
【化4】

または20.0重量部の脂肪族ヘテロアリールが含まれ得る。ここでは、記載される値のうちの任意のものが、適切である場合には上部の終点または下部の終点を形成し得る。
【0063】
なおさらに、脂肪族ヘテロアリール塩は、トリクロロメラミン、脂肪族ベンジルアルキルアンモニウム塩、二脂肪族ジアルキルアンモニウム塩、またはテトラアルキルアンモニウム塩について以下に開示される任意の量で、本明細書中に開示される抗微生物組成物中に存在し得る。
【0064】
トリクロロメラミン
開示される抗微生物組成物にはトリクロロメラミンが含まれ得る。トリクロロメラミン(すなわち、N,N,N−トリクロロ−2,4,6−トリアミノ−s−トリアジン)は、当該分野で公知の方法によって調製することができ、また市販の供給業者から得ることもできる。トリクロロメラミンは、脂肪族ベンジルアルキルアンモニウム塩について上記に記載されたように、任意の量で本明細書中に開示される抗微生物組成物中に存在し得る。例えば、トリクロロメラミンは、抗微生物組成物の全重量に基づいて、約1.0重量%未満、約0.75重量%未満、約0.5重量%未満、約0.25重量%未満、約0.10重量%未満、約0.075重量%未満、約0.05重量%未満、約0.025重量%未満、約0.01重量%未満、約0.0075重量%未満、約0.005重量%未満、約0.0025重量%未満、または約0.001重量%未満の量で存在し得る。別の例においては、トリクロロメラミンは、抗微生物組成物の全重量に基づいて、約0.001重量%を超える、約0.0025重量%を超える、約0.005重量%を超える、約0.0075重量%を超える、約0.01重量%を超える、約0.025重量%を超える、約0.05重量%を超える、約0.075重量%を超える、約0.1重量%を超える、約0.25重量%を超える、約0.5重量%を超える、約0.75重量%を超える、または約1.0重量%を超える量で、本明細書中に開示される抗微生物組成物中に存在し得る。なお別の例においては、トリクロロメラミンは、抗微生物組成物の全重量に基づいて、約0.001から約1.0重量%、約0.0025から約0.75重量%、約0.005から約0.5重量%、約0.005から約0.1重量%、約0.0075から約0.25重量%、約0.01から約0.1重量%、約0.025から約0.075重量%、約0.005から約0.1重量%、約0.005から約0.02重量%、約0.005から約0.01重量%、または約0.01重量%の量で、本明細書中に開示される抗微生物組成物中に存在し得る。なおさらに、トリクロロメラミンは、抗微生物組成物の全重量に基づいて、約0.001から約0.1重量%、約0.005から約0.075重量%、約0.0075から約0.05重量%、または約0.01から約0.02重量%の量で存在し得る。なお別の例においては、トリクロロメラミンは、抗微生物組成物の全重量に基づいて、約
【0065】
【化5−1】

【0066】
【化5−2】

または1重量%の量で、本明細書中に開示される抗微生物組成物中に存在し得る。ここでは、記載される値のうちの任意のものが、適切である場合には上部の終点または下部の終点を形成し得る。
【0067】
別の例においては、開示される抗微生物組成物には、約1.0重量部未満、約0.75重量部未満、約0.5重量部未満、約0.25重量部未満、約0.10重量部未満、約0.075重量部未満、約0.05重量部未満、約0.025重量部未満、約0.01重量部未満、約0.0075重量部未満、約0.005重量部未満、約0.0025重量部未満、または約0.001重量部未満のトリクロロメラミンが含まれ得る。なお別の例においては、本明細書中に開示される抗微生物組成物には、約0.001重量部を超える、約0.0025重量部を超える、約0.005重量部を超える、約0.0075重量部を超える、約0.01重量部を超える、約0.025重量部を超える、約0.05重量部を超える、約0.075重量部を超える、約0.1重量部を超える、約0.25重量部を超える、約0.5重量部を超える、約0.75重量部を超える、または約1.0重量部を超えるトリクロロメラミンが含まれ得る。なお別の例においては、本明細書中に開示される抗微生物組成物には、約0.001から約1.0重量部、約0.0025から約0.75重量部、約0.005から約0.5重量部、約0.005から約0.1重量部、約0.0075から約0.25重量部、約0.01から約0.1重量部、約0.025から約0.075重量部、約0.005から約0.1重量部、約0.005から約0.02重量部、約0.005から約0.01重量部、または約0.01重量部のトリクロロメラミンが含まれ得る。なおさらに、トリクロロメラミンは、約0.001から約0.1重量部、約0.005から約0.075重量部、約0.0075から約0.05重量部、または約0.01から約0.02重量部のトリクロロメラミンの量で存在し得る。なお別の例においては、本明細書中に開示される抗微生物組成物には、約
【0068】
【化6−1】

【0069】
【化6−2】

または1重量部のトリクロロメラミンが含まれ得る。ここでは、記載される値のうちの任意のものが、適切である場合には上部の終点または下部の終点を形成し得る。
【0070】
なおさらに、トリクロロメラミンは、脂肪族ヘテロアリール塩について上記に開示された任意の量、または脂肪族ベンジルアルキルアンモニウム塩、二脂肪族ジアルキルアンモニウム塩、もしくはテトラアルキルアンモニウム塩について以下に開示される任意の量で、本明細書中に開示される抗微生物組成物中に存在し得る。
【0071】
脂肪族ベンジルアルキルアンモニウム塩
開示される抗微生物組成物には、脂肪族ベンジルアルキルアンモニウム塩が含まれ得る。脂肪族ベンジルアルキルアンモニウム塩は、本明細書中で定義されるように、ベンジルアルキルアミン部分の窒素原子に結合させられた脂肪族部分と対イオンとが含まれている化合物である。脂肪族部分と対イオンは上記に記載されたとおりであり得る。ベンジルアルキルアミン部分はベンジルアミンであり得、ここでは、上記に記載されたように、アミンはアルキル基または環式アルキル基に結合させられている。1つ以上のタイプの脂肪族ベンジルアルキルアンモニウム塩を、本明細書中に開示される抗微生物組成物において使用することができる。本明細書中での使用に適している脂肪族ベンジルアルキルアンモニウム塩は当該分野で公知の方法によって調製することができ、また、市販の供給業者から得ることもできる。
【0072】
1つの例においては、脂肪族ベンジルアルキルアンモニウム塩は以下の式によって表すことができる:
【0073】
【化7】

式中、Rは上記に記載された脂肪族基であり、RとRは、互いに独立して、本明細書中に記載されるアルキル基または環式アルキル基であり、そしてXは、本明細書中に記載される対イオンである。いくつかの例においては、「R」置換基の1つ以上は、長鎖のアルキル基(例えば、炭素原子の数は6より大きい)であり得る。他の例においては、「R」置換基の1つ以上は、短鎖のアルキル基(例えば、炭素原子の数は6以下である)である。なお他の例においては、「R」置換基のうちの1つは、長鎖のアルキル基であり、そして他の2つの「R」置換基は短鎖のアルキル基である。
【0074】
特異的な例
1つの例においては、脂肪族ベンジルアルキルアンモニウム塩は、上記に開示された任意のベンジルアルキルアミン部分のうちの任意のものに対して結合させられた、上記に開示された脂肪族部分のうちの任意のものを有し得る。いくつかの特異的な例においては、脂肪族ベンジルアルキルアンモニウム塩の式中のRは、10個から40個の炭素原子の脂肪族基、例えば、デシル、ドデシル(ラウリル)、テトラデシル(ミリスチル)、ヘキサデシル(パルミチルまたはセチル)、オクタデシル(ステアリル)、またはエイコシル(アラキジル)基であり得、そしてRとRはそれぞれ、互いに独立して、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、またはヘキシル基であり得る。
【0075】
別の例においては、脂肪族ベンジルアルキルアンモニウム塩には、ハロゲン化アルキルジメチルベンジルアンモニウム(例えば、塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム、臭化アルキルジメチルベンジルアンモニウム、またはそれらの混合物)が含まれ得るが、これらに限定はされない。ハロゲン化アルキルジメチルベンジルアンモニウムの特異的な例としては、ハロゲン化セチルジメチルベンジルアンモニウム(例えば、塩化セチルジメチルベンジルアンモニウム、臭化セチルジメチルベンジルアンモニウム、またはそれらの混合物)、ハロゲン化ラウリルジメチルベンジルアンモニウム(例えば、塩化ラウリルジメチルベンジルアンモニウム、臭化ラウリルジメチルベンジルアンモニウム、またはそれらの混合物)、ハロゲン化ミリスチルジメチルベンジルアンモニウム(例えば、塩化ミリスチルジメチルベンジルアンモニウム、臭化ミリスチルジメチルベンジルアンモニウム、またはそれらの混合物)、ハロゲン化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム(例えば、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、臭化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、またはそれらの混合物)、およびハロゲン化アラキジルジメチルベンジルアンモニウム(例えば、塩化アラキジルジメチルベンジルアンモニウム、臭化アラキジルジメチルベンジルアンモニウム、またはそれらの混合物)が挙げられるが、これらに限定はされない。
【0076】
なお別の例においては、脂肪族ベンジルアルキルアンモニウム塩には、ハロゲン化アルキルメチルエチルベンジルアンモニウムが含まれ得るが、これに限定はされない。ハロゲン化アルキルメチルエチルベンジルアンモニウムの特異的な例としては、ハロゲン化セチルメチルエチルベンジルアンモニウム(例えば、塩化セチルメチルエチルベンジルアンモニウム、臭化セチルメチルエチルベンジルアンモニウム、またはそれらの混合物)、ハロゲン化ラウリルメチルエチルベンジルアンモニウム(例えば、塩化ラウリルメチルエチルベンジルアンモニウム、臭化ラウリルメチルエチルベンジルアンモニウム、またはそれらの混合物)、ハロゲン化ミリスチルメチルエチルベンジルアンモニウム(例えば、塩化ミリスチルメチルエチルベンジルアンモニウム、臭化ミリスチルメチルエチルベンジルアンモニウム、またはそれらの混合物)、ハロゲン化ステアリルメチルエチルベンジルアンモニウム(例えば、塩化ステアリルメチルエチルベンジルアンモニウム、臭化ステアリルメチルエチルベンジルアンモニウム、またはそれらの混合物)、およびハロゲン化アラキジルメチルエチルベンジルアンモニウム(例えば、塩化アラキジルメチルエチルベンジルアンモニウム、臭化アラキジルメチルエチルベンジルアンモニウム、またはそれらの混合物)が挙げられるが、これらに限定はされない。
【0077】

本明細書中に開示される脂肪族ベンジルアルキルアンモニウム塩は、当該分野で公知の方法によって調製することができ、また、市販の供給業者から得ることもできる。脂肪族ベンジルアルキルアンモニウム塩は、抗微生物組成物の全重量に基づいて、約1.0重量%未満、約0.75重量%未満、約0.5重量%未満、約0.25重量%未満、約0.10重量%未満、約0.075重量%未満、約0.05重量%未満、約0.025重量%未満、約0.01重量%未満、約0.0075重量%未満、約0.005重量%未満、約0.0025重量%未満、または約0.001重量%未満の量で、開示される抗微生物組成物中に存在し得る。別の例においては、脂肪族ベンジルアルキルアンモニウム塩は、抗微生物組成物の全重量に基づいて、約0.001重量%を超える、約0.0025重量%を超える、約0.005重量%を超える、約0.0075重量%を超える、約0.01重量%を超える、約0.025重量%を超える、約0.05重量%を超える、約0.075重量%を超える、約0.1重量%を超える、約0.25重量%を超える、約0.5重量%を超える、約0.75重量%を超える、または約1.0重量%を超える量で、本明細書中に開示される抗微生物組成物中に存在し得る。なお別の例においては、脂肪族ベンジルアルキルアンモニウム塩は、抗微生物組成物の全重量に基づいて、約0.001から約1.0重量%、約0.0025から約0.75重量%、約0.005から約0.5重量%、約0.005から約0.1重量%、約0.0075から約0.25重量%、約0.01から約0.1重量%、約0025から約0.075重量%、約0.005から約0.1重量%、約0.005から約0.02重量%、約0.005から約0.01重量%、または約0.01重量%の量で、本明細書中に開示される抗微生物組成物中に存在し得る。なおさらに、脂肪族ベンジルアルキルアンモニウム塩は、抗微生物組成物の全重量に基づいて、約0.001から約0.1重量%、約0.005から約0.075重量%、約0.0075から約0.05重量%、または約0.01から約0.02重量%の量で存在し得る。なお別の例においては、脂肪族ベンジルアルキルアンモニウム塩は、抗微生物組成物の全重量に基づいて、約
【0078】
【化8−1】

【0079】
【化8−2】

または1重量%の量で、本明細書中に開示される抗微生物組成物中に存在し得る。ここでは、記載される値のうちの任意のものが、適切である場合には上部の終点または下部の終点を形成し得る。
【0080】
別の例においては、開示される抗微生物組成物には、約1.0重量部未満、約0.75重量部未満、約0.5重量部未満、約0.25重量部未満、約0.10重量部未満、約0.075重量部未満、約0.05重量部未満、約0.025重量部未満、約0.01重量部未満、約0.0075重量部未満、約0.005重量部未満、約0.0025重量部未満、または約0.001重量部未満の脂肪族ベンジルアルキルアンモニウム塩が含まれ得る。別の例においては、本明細書中に開示される抗微生物組成物には、約0.001重量部を超える、約0.0025重量部を超える、約0.005重量部を超える、約0.0075重量部を超える、約0.01重量部を超える、約0.025重量部を超える、約0.05重量部を超える、約0.075重量部を超える、約0.1重量部を超える、約0.25重量部を超える、約0.5重量部を超える、約0.75重量部を超える、または約1.0重量部を超える脂肪族ベンジルアルキルアンモニウム塩が含まれ得る。なお別の例においては、本明細書中に開示される抗微生物組成物には、約0.001から約1.0重量部、約0.0025から約0.75重量部、約0.005から約0.5重量部、約0.005から約0.1重量部、約0.0075から約0.25重量部、約0.01から約0.1重量部、約0.025から約0.075重量部、約0.005から約0.1重量部、約0.005から約0.02重量部、約0.005から約0.1重量部、約0.005から約0.02重量部、約0.005から約0.01重量部、または約0.01重量部の脂肪族ベンジルアルキルアンモニウム塩が含まれ得る。なおさらに、脂肪族ベンジルアルキルアンモニウム塩は、約0.001から約0.1重量部、約0.005から約0.075重量部、約0.0075から約0.05重量部、または約0.01から約0.02重量部の量で存在し得る。なお別の態様においては、本明細書中に開示される抗微生物組成物には、約
【0081】
【化9−1】

【0082】
【化9−2】

または1重量部の脂肪族ベンジルアルキルアンモニウム塩が含まれ得る。ここでは、記載される値のうちの任意のものが、適切である場合には上部の終点または下部の終点を形成し得る。
【0083】
なおさらに、脂肪族ベンジルアルキルアンモニウム塩は、脂肪族ヘテロアリール塩もしくはトリクロロメラミンについて上記に開示された任意の量で、または二脂肪族ジアルキルアンモニウム塩もしくはテトラアルキルアンモニウム塩について以下に開示される任意の量で、本明細書中に開示される抗微生物組成物中に存在し得る。
【0084】
二脂肪族ジアルキルアンモニウム塩
開示される抗微生物組成物には、二脂肪族ジアルキルアンモニウム塩が含まれ得る。二脂肪族ジアルキルアンモニウム塩は、本明細書中で定義されるように、窒素原子に結合させられた2つの脂肪族部分と2つのアルキル部分、そして対イオンが含まれている化合物である。脂肪族部分は同じであっても、また異なっていてもよく、そして上記に記載される任意の脂肪族基であり得る。アルキル部分は同じであっても、また異なっていてもよく、上記に記載される任意のアルキル基であり得る。対イオンもまた、上記に記載されるとおりであり得る。開示される二脂肪族ジアルキルアンモニウム塩においては、2つの脂肪族部分は、10個を超える炭素原子を有し得、そして2つのアルキル部分は10個未満の炭素原子を有し得る。あるいは、2つの脂肪族部分は10個未満の炭素原子を有し得、そして2つのアルキル部分は10個を越える炭素原子を有し得る。二脂肪族ジアルキルアンモニウム塩の1つ以上のタイプを、本明細書中に開示される抗微生物組成物において使用することができる。
【0085】
いくつかの特異的な例においては、二脂肪族ジアルキルアンモニウム塩は、塩化もしくは臭化ジドデシルジメチルアンモニウム、塩化もしくは臭化ジテトラデシルジメチルアンモニウム、塩化もしくは臭化ジヘキサデシルジメチルアンモニウムなど(それらの組み合わせが含まれる)であり得る。
【0086】

本明細書中に開示される二脂肪族ジアルキルアンモニウム塩は当該分野で公知の方法によって調製することができ、また、市販の供給業者から得ることもできる。二脂肪族ジアルキルアンモニウム塩は、抗微生物組成物の全重量に基づいて、約1.0重量%未満、約0.75重量%未満、約0.5重量%未満、約0.25重量%未満、約0.10重量%未満、約0.075重量%未満、約0.05重量%未満、約0.025重量%未満、約0.01重量%未満、約0.0075重量%未満、約0.005重量%未満、約0.0025重量%未満、または約0.001重量%未満の量で、開示される抗微生物組成物中に存在し得る。別の例においては、二脂肪族ジアルキルアンモニウム塩は、抗微生物組成物の全重量に基づいて、約0.001重量%を超える、約0.0025重量%を超える、約0.005重量%を超える、約0.0075重量%を超える、約0.01重量%を超える、約0.025重量%を超える、約0.05重量%を超える、約0.075重量%を超える、約0.1重量%を超える、約0.25重量%を超える、約0.5重量%を超える、約0.75重量%を超える、または約1.0重量%を超える量で、本明細書中に開示される抗微生物組成物中に存在し得る。なお別の例においては、二脂肪族ジアルキルアンモニウム塩は、抗微生物組成物の全重量に基づいて、約0.001から約1.0重量%、約0.0025から約0.75重量%、約0.005から約0.5重量%、約0.005から約0.1重量%、約0.0075から約0.25重量%、約0.01から約0.1重量%、約0.025から約0.075重量%、約0.005から約0.1重量%、約0.005から約0.02重量%、約0.005から約0.01重量%、または約0.01重量%の量で、本明細書中に開示される抗微生物組成物中に存在し得る。なおさらに、二脂肪族ジアルキルアンモニウム塩は、抗微生物組成物の全重量に基づいて、約0.001から約0.1重量%、約0.005から約0.075重量%、約0.0075から約0.05重量%、または約0.01から約0.02重量%の量で存在し得る。なお別の例においては、二脂肪族ジアルキルアンモニウム塩は、抗微生物組成物の全重量に基づいて、約
【0087】
【化10】

または1重量%の量で、本明細書中に開示される抗微生物組成物中に存在し得る。ここでは、記載される値のうちの任意のものが、適切である場合には上部の終点または下部の終点を形成し得る。
【0088】
別の例においては、開示される抗微生物組成物には、約1.0重量部未満、約0.75重量部未満、約0.5重量部未満、約0.25重量部未満、約0.10重量部未満、約0.075重量部未満、約0.05重量部未満、約0.025重量部未満、約0.01重量部未満、約0.0075重量部未満、約0.005重量部未満、約0.0025重量部未満、または約0.001重量部未満の二脂肪族ジアルキルアンモニウム塩が含まれ得る。別の例においては、本明細書中に開示される抗微生物組成物には、約0.001重量部を超える、約0.0025重量部を超える、約0.005重量部を超える、約0.0075重量部を超える、約0.01重量部を超える、約0.025重量部を超える、約0.05重量部を超える、約0.075重量部を超える、約0.1重量部を超える、約0.25重量部を超える、約0.5重量部を超える、約0.75重量部を超える、または約1.0重量部を超える二脂肪族ジアルキルアンモニウム塩が含まれ得る。なお別の例においては、本明細書中に開示される抗微生物組成物には、約0.001から約1.0重量部、約0.0025から約0.75重量部、約0.005から約0.5重量部、約0.005から約0.1重量部、約0.0075から約0.25重量部、約0.01から約0.1重量部、約0.025から約0.075重量部、約0.005から約0.1重量部、約0.005から約0.02重量部、約0.005から約0.01重量部、または約0.01重量部の二脂肪族ジアルキルアンモニウム塩が含まれ得る。なおさらに、二脂肪族ジアルキルアンモニウム塩は、約0.001から約0.1重量部、約0.005から約0.075重量部、約0.0075から約0.05重量部、または約0.01から約0.02重量部の量で存在し得る。なお別の例においては、本明細書中に開示される抗微生物組成物には、約
【0089】
【化11】

または1重量部の二脂肪族ジアルキルアンモニウム塩が含まれ得る。ここでは、記載される値のうちの任意のものが、適切である場合には上部の終点または下部の終点を形成し得る。
【0090】
なおさらに、二脂肪族ジアルキルアンモニウム塩は、脂肪族ヘテロアリール塩、トリクロロメラミン、もしくは脂肪族ベンジルアルキルアンモニウム塩について上記に開示された任意の量で、またはテトラアルキルアンモニウム塩について以下に開示される任意の量で、本明細書中に開示される抗微生物組成物中に存在し得る。
【0091】
テトラアルキルアンモニウム塩
開示される抗微生物組成物には、テトラアルキルアンモニウム塩が含まれ得る。適切なテトラアルキルアンモニウム塩には、本明細書中に開示されるような4個のアルキル部分と、これもまた本明細書中に開示される対イオンが含まれる。1つの例においては、テトラアルキルアンモニウム塩には、1つの長鎖のアルキル部分(例えば、10個を超える炭素原子の長さ)と3個の短鎖のアルキル部分(例えば、10個未満の炭素原子の長さ)が含まれ得る。
【0092】
開示される抗微生物組成物に含まれ得るテトラアルキルアンモニウム塩のいくつかの特異的な例としては、ハロゲン化セチルトリメチルアンモニウム(例えば、塩化物もしくは臭化物)、ハロゲン化ラウリルトリメチルアンモニウム(例えば、塩化物もしくは臭化物)、ハロゲン化ミリスチルトリメチルアンモニウム(例えば、塩化物もしくは臭化物)、ハロゲン化ステアリルトリメチルアンモニウム(例えば、塩化物もしくは臭化物)、ハロゲン化アラキジルトリメチルアンモニウム(例えば、塩化物もしくは臭化物)、またはそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定はされない。他の例としては、臭化セチルジメチルエチルアンモニウム、塩化ラウリルジメチルエチルアンモニウム、臭化ラウリルジメチルエチルアンモニウム、塩化ミリスチルジメチルエチルアンモニウム、臭化ミリスチルジメチルエチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルエチルアンモニウム、臭化ステアリルジメチルエチルアンモニウム、塩化アラキジルジメチルエチルアンモニウム、臭化アラキジルジメチルエチルアンモニウム、またはそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定はされない。
【0093】

本明細書中に開示されるテトラアルキルアンモニウム塩は、当該分野で公知の方法によって調製することができ、また、市販の供給業者から得ることもできる。テトラアルキルアンモニウム塩は、抗微生物組成物の全重量に基づいて、約1.0重量%未満、約0.75重量%未満、約0.5重量%未満、約0.25重量%未満、約0.10重量%未満、約0.075重量%未満、約0.05重量%未満、約0.025重量%未満、約0.01重量%未満、約0.0075重量%未満、約0.005重量%未満、約0.0025重量%未満、または約0.001重量%未満の量で、開示される抗微生物組成物中に存在し得る。別の例においては、テトラアルキルアンモニウム塩は、抗微生物組成物の全重量に基づいて、約0.001重量%を超える、約0.0025重量%を超える、約0.005重量%を超える、約0.0075重量%を超える、約0.01重量%を超える、約0.025重量%を超える、約0.05重量%を超える、約0.075重量%を超える、約0.1重量%を超える、約0.25重量%を超える、約0.5重量%を超える、約0.75重量%を超える、または約1.0重量%を超える量で、本明細書中に開示される抗微生物組成物中に存在し得る。なお別の例においては、テトラアルキルアンモニウム塩は、抗微生物組成物の全重量に基づいて、約0.001から約1.0重量%、約0.0025から約0.75重量%、約0.005から約0.5重量%、約0.005から約0.1重量%、約0.0075から約0.25重量%、約0.01から約0.1重量%、約0.025から約0.075重量%、約0.005から約0.1重量%、約0.005から約0.02重量%、約0.005から約0.01重量%、または約0.01重量%の量で、本明細書中に開示される抗微生物組成物中に存在し得る。なおさらに、テトラアルキルアンモニウム塩は、抗微生物組成物の全重量に基づいて、約0.001から約0.1重量%、約0.005から約0.075重量%、約0.0075から約0.05重量%、または約0.01から約0.02重量%の量で存在し得る。なお別の例においては、テトラアルキルアンモニウム塩は、抗微生物組成物の全重量に基づいて、約
【0094】
【化12】

または1重量%の量で、本明細書中に開示される抗微生物組成物中に存在し得る。ここでは、記載される値のうちの任意のものが、適切である場合には上部の終点または下部の終点を形成し得る。
【0095】
別の例においては、開示される抗微生物組成物には、約1.0重量部未満、約0.75重量部未満、約0.5重量部未満、約0.25重量部未満、約0.10重量部未満、約0.075重量部未満、約0.05重量部未満、約0.025重量部未満、約0.01重量部未満、約0.0075重量部未満、約0.005重量部未満、約0.0025重量部未満、または約0.001重量部未満のテトラアルキルアンモニウム塩が含まれ得る。別の例においては、本明細書中に開示される抗微生物組成物には、約0.001重量部を超える、約0.0025重量部を超える、約0.005重量部を超える、約0.0075重量部を超える、約0.01重量部を超える、約0.025重量部を超える、約0.05重量部を超える、約0.075重量部を超える、約0.1重量部を超える、約0.25重量部を超える、約0.5重量部を超える、約0.75重量部を超える、または約1.0重量部を超えるテトラアルキルアンモニウム塩が含まれ得る。なお別の例においては、本明細書中に開示される抗微生物組成物には、約0.001から約1.0重量部、約0.0025から約0.75重量部、約0.005から約0.5重量部、約0.005から約0.1重量部、約0.0075から約0.25重量部、約0.01から約0.1重量部、約0.025から約0.075重量部、約0.005から約0.1重量部、約0.005から約0.02重量部、約0.005から約0.01重量部、または約0.01重量部のテトラアルキルアンモニウム塩が含まれ得る。なおさらに、テトラアルキルアンモニウム塩は、約0.001から約0.1重量部、約0.005から約0.075重量部、約0.0075から約0.05重量部、または約0.01から約0.02重量部の量で存在し得る。なお別の例においては、本明細書中に開示される抗微生物組成物には、約
【0096】
【化13】

または1重量部のテトラアルキルアンモニウム塩が含まれ得る。ここでは、記載される値のうちの任意のものが、適切である場合には上部の終点または下部の終点を形成し得る。
【0097】
なおさらに、テトラアルキルアンモニウム塩は、脂肪族ヘテロアリール塩、トリクロロメラミン、脂肪族ベンジルアルキルアンモニウム塩、または二脂肪族ジアルキルアンモニウム塩について上記に開示された任意の量で、本明細書中に開示される抗微生物組成物中に存在し得る。
【0098】
さらに別の成分
上記に開示された組成物に加えて、開示される抗微生物組成物は、水溶液の形態とすることができ、したがって、水が開示される組成物の別の成分であり得る。また、開示される抗微生物組成物には、状況に応じて、1つ以上のさらに別の成分(例えば、担体、アジュバント、可溶化剤、懸濁化剤、希釈剤、界面活性剤、他の抗微生物剤、保存剤、増量剤、および組織に付着し、そして/または浸潤する抗微生物組成物の粘性、チクソトロピー、または能力に影響を及ぼすように意図された添加物)が含まれ得る。1つの例においては、1つ以上のさらに別の組成物が消費者に許容されることが所望され得る。「消費者に許容される」によっては、消費されても、生物学的または別の方法で望ましくないものではない材料が意味される。例えば、食物および飲料の中で、それらに対して使用された場合に許容され、そして個体(例えば、ヒト、ペット、家畜など)によって、選択された有効成分とともに消費され得て、有意な望ましくない生物学的効果を生じることはないか、またはその中に含まれる組成物の他の成分のいずれとも有害な様式で相互作用することのない物質である。例えば、消費者に許容される物質は、安全であると一般的に認識されている(GRAS)任意の化合物であり得る。これらのさらに別の成分は当該分野で公知の方法によって調製することができ、また、市販の供給業者から得ることもできる。
【0099】
1つの例においては、適切なさらに別の成分としては、より良好な細胞への浸潤については界面活性剤(例えば、Triton X−100(すなわち、ポリエチレングリコールP−1,1,3,3−テトラメチルブチルフェニルエーテル))が挙げられる。
【0100】
担体
他の例においては、本明細書中に開示される抗微生物組成物には、さらに、担体が含まれ得る。用語「担体」は、本明細書中に開示される化合物もしくは組成物と組み合わせられた場合に、その意図される用途もしくは目的についての化合物もしくは組成物の調製、保存、投与、送達、有効性、選択性、または任意の他の特徴を助けるかあるいは促進する化合物、組成物、物質、または構造を意味する。例えば、担体は、有効成分のあらゆる分解を最少にするように、そしてあらゆる副作用を最少にするように選択することができる。適切な水性および非水性の担体、希釈剤、溶媒の例としては、水、エタノール、ポリオール(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロールなど)、植物油、およびそれらの適切な混合物が挙げられる。
【0101】
アジュバント
さらなる例においては、本明細書中に開示される抗微生物組成物にはまた、アジュバント(例えば、保存剤、湿潤剤、乳化剤、懸濁化剤、および分散剤)も含まれ得る。他の微生物の作用の阻止は、様々な抗真菌剤(例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸など)によって行うことができる。界面活性剤、結合剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、およびアカシア)、保湿剤(例えば、グリセロール)、湿潤剤(例えば、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロール)、吸収剤(例えば、カオリンおよびベントナイト)、ならびに潤滑剤(例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体のポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、またはそれらの混合物)を含めることもまた、所望される場合がある。
【0102】
可溶化剤および懸濁化剤
適切な懸濁化剤としては、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキしエチレンソルビトール、およびソルビタンエステル、微結晶セルロース、メタヒドロキシル化アルミニウム、ベントナイト、寒天−寒天、およびトラガカント、またはこれらの物質の混合物などを挙げることができる。
【0103】
開示される抗微生物組成物にはまた、可溶化剤および乳化剤(例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、カルボン酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(具体的には、ナタネ油、ラッカセイ油、トウモロコシ胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、およびソルビタンの脂肪酸エステル、またはこれらの物質の混合物なども含めることができる。
【0104】
さらに別の四級アンモニウム塩
1つの態様においては、開示される抗微生物組成物には、1つ以上のさらに別の四級アンモニウム塩が含まれ得る。開示される抗微生物組成物において使用することができる他のさらに別の四級アンモニウム塩としては、他の脂肪族ヘテロアリール塩(例えば、ハロゲン化アルキルピリジニウム、ハロゲン化アルキルキノリニウム、ハロゲン化アルキルインドリニウムなど)、脂肪族複素環塩(例えば、アルキルピペリジニウム塩または脂肪族ヘテロシクロアルケニル塩のような脂肪族ヘテロシクロアルキル塩)、脂肪族ベンジルアルキルアンモニウム塩、二脂肪族ジアルキルアンモニウム塩、およびテトラアルキルアンモニム塩、およびクロラミン−Tが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0105】

本明細書中に開示されるさらに別の成分は、トリクロロメラミン、脂肪族ベンジルアルキルアンモニム塩、二脂肪族ジアルキルアンモニウム塩、および/またはテトラアルキルアンモニウム塩について上記に記載されたような任意の量で、開示される抗微生物組成物中に存在し得る。例えば、1つ以上のさらに別の成分は、抗微生物組成物の全重量に基づいて、約0.001から約0.1重量%、約0.005から約0.075重量%、約0.0075から約0.05重量%、約0.01から約0.02重量%、約0.005から約0.1重量%、約0.005から約0.02重量%、約0.005から約0.01重量%、または約0.01重量%の量で存在し得る。別の例においては、開示される抗微生物組成物には、約0.001から約0.1重量部、約0.005から約0.075重量部、約0.0075から約0.05重量部、約0.01から約0.02重量部、約0.005から約0.1重量部、約0.005から約0.02重量部、約0.005から約0.01重量部、または約0.01重量部の1つ以上のさらに別の成分が含まれ得る。
【0106】
例示的な組成物
1つの態様においては、脂肪族ヘテロアリール塩、トリクロロメラミン、脂肪族ベンジルアルキルアンモニウム塩、二脂肪族ジアルキルアンモニウム塩、およびテトラアルキルアンモニウム塩からなる群より選択される任意の2つの成分が含まれている抗微生物組成物が本明細書中で開示される。ここでは、列挙された成分のうちの2つが存在する場合には、他の列挙された成分は存在しない。例えば、脂肪族ヘテロアリール塩、トリクロロメラミン、脂肪族ベンジルアルキルアンモニウム塩、二脂肪族ジアルキルアンモニウム塩、およびテトラアルキルアンモニウム塩からなる群より選択される任意の2つの成分(例えば、脂肪族ヘテロアリール塩およびトリクロロメラミン)から原則として構成される抗微生物組成物が本明細書中に開示される。「〜から原則として構成される」は、組成物の基本的な特性および新規の特性を変化させる成分を排除するように本明細書中で使用される。これによってはまた、他の担体、アジュバント、安定剤、および懸濁化剤、ならびに本明細書中に記載されるさらに別の成分以外の、他の列挙された成分が組成物から排除されることが意味される。組成物にはまた、水も含まれ得る。
【0107】
1つの例においては、抗微生物組成物には、脂肪族ベンジルアルキルアンモニム塩、二脂肪族ジアルキルアンモニウム塩、および/またはテトラアルキルアンモニウム塩は含まれない。別の例においては、抗微生物組成物には、トリクロロメラミン、二脂肪族ジアルキルアンモニウム塩、および/またはテトラアルキルアンモニウム塩は含まれない。別の例においては、抗微生物組成物には、トリクロロメラミン、脂肪族ベンジルアルキルアンモニウム塩、および/またはテトラアルキルアンモニウム塩は含まれない。別の例においては、抗微生物組成物には、トリクロロメラミン、脂肪族ベンジルアルキルアンモニウム塩、および/または二脂肪族ジアルキルアンモニウム塩は含まれない。別の例においては、抗微生物組成物には、脂肪族ヘテロアリール塩、二脂肪族ジアルキルアンモニウム塩、および/またはテトラアルキルアンモニウム塩は含まれない。別の例においては、抗微生物組成物には、脂肪族ヘテロアリール塩、脂肪族ベンジルアルキルアンモニウム塩、および/またはテトラアルキルアンモニウム塩は含まれない。別の例においては、抗微生物組成物には、脂肪族ヘテロアリール塩、脂肪族ベンジルアルキルアンモニウム塩、および/または二脂肪族ジアルキルアンモニウム塩は含まれない。別の例においては、抗微生物組成物には、脂肪族ヘテロアリール塩、トリクロロメラミン、および/またはテトラアルキルアンモニウム塩は含まれない。別の例においては、抗微生物組成物には、脂肪族ヘテロアリール塩、トリクロロメラミン、および/または二脂肪族ジアルキルアンモニウム塩は含まれない。別の例においては、抗微生物組成物には、脂肪族ヘテロアリール塩、トリクロロメラミン、および/または脂肪族ベンジルアルキルアンモニウム塩は含まれない。
【0108】
開示される組成物においては、脂肪族ヘテロアリール塩は、本明細書中に開示される任意の脂肪族ヘテロアリール塩(例えば、ハロゲン化アルキルピリジニウム)であり得る。そのようなハロゲン化アルキルピリジニウムには、塩化セチルピリジニウム、臭化セチルピリジニウム、またはそれらの混合物が含まれ得る。脂肪族ベンジルアルキルアンモニウム塩は、本明細書中に開示される任意の脂肪族ベンジルアルキルアンモニウム塩(例えば、塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム、臭化アルキルジメチルベンジルアンモニウム、またはそれらの混合物)であり得る。
【0109】
組成物には、上記に開示された任意の量の脂肪族ヘテロアリール塩が含まれ得る。例えば、脂肪族ヘテロアリール塩は、約3.5から約8重量部の量で存在し得る。組成物には、上記に開示された任意の量の、トリクロロメラミン、脂肪族ベンジルアルキルアンモニウム塩、二脂肪族ジアルキルアンモニウム塩、および/またはテトラアルキルアンモニウム塩が含まれ得る。例えば、トリクロロメラミンは、約0.005から約0.02重量部の量で存在し得る。
【0110】
別の例においては、脂肪族ヘテロアリール塩、トリクロロメラミンと、脂肪族ベンジルアルキルアンモニウム塩、二脂肪族ジアルキルアンモニウム塩、およびテトラアルキルアンモニウム塩からなる群より選択されるアンモニウム塩が含まれている抗微生物組成物が、本明細書中に開示される。これらの組成物においては、アンモニウム塩が脂肪族ベンジルアンモニウム塩である場合には、組成物には、二脂肪族ジアルキルアンモニム塩またはテトラアルキルアンモニウム塩は含まれない。あるいは、アンモニウム塩が二脂肪族ジアルキルアンモニウム塩である場合には、組成物には、脂肪族ベンジルアンモニウム塩またはテトラアルキルアンモニウム塩は含まれない。また、アンモニウム塩がテトラアルキルアンモニウム塩である場合には、組成物には脂肪族ベンジルアンモニウム塩または二脂肪族ジアルキルアンモニウム塩は含まれない。脂肪族ヘテロアリール塩、トリクロロメラミンと、脂肪族ベンジルアルキルアンモニウム塩、二脂肪族ジアルキルアンモニウム塩、およびテトラアルキルアンモニウム塩からなる群より選択されるアンモニウム塩から原則として構成される組成物もまた開示される。これらの組成物にはさらに水が含まれ得ることもまた意図される。
【0111】
これらの組成物においては、脂肪族ヘテロアリール塩は上記に開示されたとおりであり得る。例えば、これには、本明細書中に開示されるハロゲン化アルキルピリジニウム(例えば、塩化セチルピリジニウム、臭化セチルピリジニウム、またはそれらの混合物)が含まれ得る。アンモニウム塩が脂肪族ベンジルアルキルアンモニウム塩である場合には、これは、本明細書中に開示される任意の脂肪族ベンジルアルキルアンモニウム塩(例えば、ハロゲン化アルキルジメチルアンモニウム、ハロゲン化アルキルジメチルベンジルアンモニウム、またはそれらの混合物)であり得る。アンモニウム塩が二脂肪族ジアルキルアンモニウム塩である場合には、これは、本明細書中に開示される任意の二脂肪族ジアルキルアンモニウム塩(例えば、ハロゲン化ジドデシルジメチルアンモニウム、ハロゲン化ジテトラデシルジメチルアンモニウム、ハロゲン化ジヘキサデシルジメチルアンモニウム、またはそれらの混合物)であり得る。アンモニウム塩がテトラアルキルアンモニウム塩である場合は、これは、本明細書中に開示される任意のテトラアルキルアンモニウム塩(例えば、ハロゲン化セチルトリメチルアンモニウム、ハロゲン化ラウリルトリメチルアンモニウム、ハロゲン化ミリスチルトリメチルアンモニウム、ハロゲン化ステアリルトリメチルアンモニウム、ハロゲン化アラキジルトリメチルアンモニウム、またはそれらの混合物)であり得る。
【0112】
これらの成分の量は先に記載された量であり得る。例えば、脂肪族ヘテロアリール塩は、約3.5から約8重量部の量で存在し得、トリクロロメラミンは約0.005から約0.02重量部の量で存在し得、そしてアンモニウム塩は、約0.005から約0.1重量部の量で存在し得る。
【0113】
1つの例においては、脂肪族ヘテロアリール塩、トリクロロメラミン、脂肪族ベンジルアルキルアンモニウム塩が含まれている抗微生物組成物が、本明細書中で開示される。別の例においては、脂肪族ヘテロアリール塩、トリクロロメラミン、脂肪族ベンジルアルキルアンモニウム塩、および水が含まれている抗微生物組成物が、本明細書中で開示される。例えば、適切な抗微生物組成物には、約3.5から約8重量%(または約3.5から約8重量部)の量の脂肪族ヘテロアリール塩が含まれ得る。別の例においては、抗微生物組成物には、約0.005から約0.1重量%(または約0.005から約0.1重量部)の量の脂肪族ベンジルアルキルアンモニウム塩が含まれ得る。別の例においては、抗微生物組成物には、約0.005から約0.02重量%(または約0.005から約0.02重量部)の量のトリクロロメラミンが含まれ得る。そして、別の例においては、抗微生物組成物には、状況に応じて、さらに別の成分が、約0.005から約0.02重量%(または約0.005から約0.02重量部)の量で含まれ得る。
【0114】
これらの組成物の特異的な例には、約3.5から約8重量部の量で存在する脂肪族ヘテロアリール塩(例えば、塩化セチルピリジニウム)、約0.005から約0.02重量部の量で存在するトリクロロメラミン、約0.005から約0.02重量部の量で存在する脂肪族ベンジルアルキルアンモニウム塩(例えば、塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム)が含まれている組成物が含まれる。1つの例においては、組成物には、二脂肪族ジアルキルアンモニウム塩またはテトラアルキルアンモニウム塩は含まれない。
【0115】
別の例には、約3.5から約8重量部の量で存在する脂肪族ヘテロアリール塩(例えば、塩化セチルピリジニウム)、約0.005から約0.02重量部の量で存在するトリクロロメラミン、および約0.005から約0.1重量部の量で存在する脂肪族ベンジルアルキルアンモニウム塩(例えば、塩化アルキルメチルエチルベンジルアンモニウム)が含まれている組成物が含まれる。1つの例においては、組成物には、二脂肪族ジアルキルアンモニウム塩またはテトラアルキルアンモニウム塩は含まれない。
【0116】
なお別の例には、約3.5から約8重量部の量で存在する脂肪族ヘテロアリール塩(例えば、塩化セチルピリジニウム)、約0.005から約0.02重量部の量で存在するトリクロロメラミン、および約0.005から約0.1重量部の量で存在する二脂肪族ジアルキルアンモニウム塩(例えば、塩化ジドデシルジメチルアンモニウム)が含まれている組成物が含まれる。1つの例においては、組成物には、脂肪族ベンジルアルキルアンモニウム塩またはテトラアルキルアンモニウム塩は含まれない。
【0117】
さらなる例には、約3.5から約8重量部の量で存在する脂肪族ヘテロアリール塩(例えば、塩化セチルピリジニウム)、約0.005から約0.02重量部の量で存在するトリクロロメラミン、および約0.005から約0.1重量部の量で存在するテトラアルキルアンモニウム塩(例えば、塩化セチルジメチルアンモニウム)が含まれている組成物が含まれる。1つの例においては、組成物には、二脂肪族ジアルキルアンモニウム塩または脂肪族ベンジルアルキルアンモニウム塩は含まれない。
【0118】
別の例においては、ハロゲン化アルキルピリジニウム(例えば、ハロゲン化セチルピリジニウム)、ハロゲン化アルキルベンジルアルキルアンモニウム、およびトリクロロメラミンが含まれている抗微生物組成物が、本明細書中で開示される。例えば、適切な抗微生物組成物には、約3.5から約8重量%(または約3.5から約8重量部)の量のハロゲン化アルキルピリジニウム、約0.005から約0.1重量%(または約0.005から約0.1重量部)の量のハロゲン化アルキルベンジルアルキルアンモニウム(例えば、塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム、および/または塩化アルキルメチルエチルベンジルアンモニウム)、約0.005から約0.02重量%(または約0.005から約0.02重量部)の量のトリクロロメラミンと、残りの量の水分が含まれ得る。別の適切な例には、先の組成物の臭化物塩の使用が含まれる。
【0119】
なお別の例においては、適切な抗微生物組成物には、7.5重量%(約7.5重量部)のハロゲン化アルキルピリジニウム(例えば、塩化セチルピリジニウム(および/または臭化セチルピリジニウム))、0.01重量%(または0.01重量部)のハロゲン化脂肪族ベンジルアルキルアンモニウム(例えば、塩化セチルジメチルベンジルアンモニウムおよび/または臭化セチルジメチルベンジルアンモニウム)、0.01重量%(または0.01重量部)のトリクロロメラミンと、残りの量の水分が含まれ得る。
【0120】
なお別の例においては、少なくとも2つの四級アンモニウム塩、ハロゲン化アンモニウム、トリクロロメラミン、および水の組み合わせの有効量が含まれている水性組成物が開示される。少なくとも2つの四級アンモニウム塩の組み合わせは、塩化セチルピリジニウム、N−塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム、および塩化アルキルジメチルエチルベンジルアンモニウムからなる群より選択される。少なくとも2つの四級アンモニウム塩の組み合わせは、約6.02から8.02重量パーセントの量で存在する。
【0121】
さらなる例においては、脂肪族ヘテロアリール塩とトリクロロメラミンが含まれている組成物が、本明細書中に開示される。これらの成分の量は、上記に記載されているとおりであり得る。
【0122】
なおさらに、適切な抗微生物組成物には、脂肪族ヘテロアリール塩、トリクロロメラミン、およびテトラアルキルアンモニウム塩が含まれ得る。組成物中のこれらの成分の量は、上記に記載されたとおりであり得る。
【0123】
1つの他の例においては、開示される組成物には、ハロゲン化セチルピリジニウム、ハロゲン化ベンズアルキルアンモニウム、トリクロロメラミン、および水は含まれない。
【0124】
形態
以下で議論されるような、意図される使用形式に応じて、本明細書中に開示される抗微生物組成物は、固体、半固体、液体、またはゲルの形態、例えば、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、液剤、懸濁化剤、分散剤、またはエマルジョンの形態であり得る。また、本明細書中に開示される組成物は、希釈に適している形態であり得る。すなわち、組成物は、適切な溶媒(例えば、水)で所望される濃度に希釈することができる、水性または非水性のストック溶液、濃縮物、濃縮された溶液、分散液、エマルジョン、または懸濁液の形態であり得る。同様に、組成物は、溶媒を用いて再構成させるか、または溶媒と混合し、所望される濃度になるように希釈して、溶液もしくは分散液、エマルジョン、または懸濁液を形成させることができる、粉末、ペースト、クリーム、または固体の形態であり得る。1つの例においては、開示される抗微生物組成物は、溶液(例えば、水溶液)の形態であり得る。
【0125】
開示される抗微生物組成物は、濃縮された場合、または特定の点まで水で希釈された場合にも、等しく有効であることが明らかにされている。例えば、開示される抗微生物組成物は、1部の抗微生物組成物に対して、約1から約400部の範囲の水で希釈することができ、なおも効果的に能力を発揮することが明らかにされている。いくつかの特異的な例においては、本明細書中に開示される抗微生物組成物は、抗微生物組成物に対して約
【0126】
【化14】

または400:1部の水の割合で、水で希釈することができる。これらの割合もまた、適切である場合には、範囲の上部の終点および下部の終点とすることができる。
【0127】
開示される抗微生物組成物は、脂肪族ヘテロアリール塩成分に基づいて、約15ppmから約500ppm、または約20ppmから約200ppmで、溶液中に存在する場合にもなお有効であり得る。例えば、開示される抗微生物組成物は、脂肪族ヘテロアリール塩成分に基づいて、約
【0128】
【化15】

ppm、またはそれ以上で、溶液中に存在し得る。ここでは、記載される値のうちの任意のものが、適切である場合には上部の終点または下部の終点を形成し得る。いくつかの特定の態様においては、開示される組成物は、約100ppm、またはそれ未満(例えば、50ppmまたはそれ未満)の濃度で有効であり得る。
【0129】
作製方法
本明細書中に開示される特定の材料、化合物、組成物、および成分は、市販によって入手することができるか、または当業者に一般的に公知の技術を使用して容易に合成することができる。例えば、開示される化合物および組成物の調製に使用される出発物質および試薬は、市販の供給業者(例えば、Aldrich Chemical Co.,(Milwaukee,Wis.)、Acros Organics(Morris Plains,N.J.)、Fisher Scientific(Pittsburgh,Pa)、またはSigma(St.Louis,Mo.)のいずれかから入手することができるか、あるいは、参考文献(例えば、Fieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis,Volumess 1−17(John Wiley and Sons,1991);Rodd’s Chemistry of Carbon Compounds,Volumes 1−5、および補遣(Elsevier Science Publishers,1989);Organic Reactions,Volumes 1−40(John Wiley and Sons,1991);March’s Advanced Organic Chemistry,(John Wiley and Sons,4th Edition);ならびに、Larock’s Comprehensive Organic Transformations(VCH Publishers Inc.,1989)に示されている手順にしたがって、当業者に公知の方法によって調製される。あるいは、本明細書中に開示される抗微生物組成物に使用される成分は、市販の供給業者から購入することができる。
【0130】
開示される抗微生物組成物は、脂肪族ヘテロアリール塩、トリクロロメラミン、脂肪族ベンジルアルキルアンモニウム塩、二脂肪族ジアルキルアンモニウム塩、およびテトラアルキルアンモニウム塩からなる群より選択される任意の2つの成分を、任意の順序で混合することによって調製することができる。別の例においては、開示される抗微生物組成物は、脂肪族ヘテロアリール塩、トリクロロメラミンと、脂肪族ベンジルアルキルアンモニウム塩、二脂肪族ジアルキルアンモニウム塩、およびテトラアルキルアンモニウム塩からなる群より選択される1つのアンモニウム塩を、任意の順序で混合することによって調製することができる。また、そのような方法によって調製される抗微生物組成物も開示される。得られる組成物はまた、本明細書中に記載されるように希釈することもできる。
【0131】
処理することができる微生物
本明細書中に開示されるように、抗微生物組成物は、微生物の増殖または生存を減少させる、阻害する、防ぐ、破壊させる、分解する、崩壊させる、排除させるなどのために様々な表面を処理するために使用することができる。「微生物」によっては、単細胞生物または多細胞生物が意味され、これには、同じタイプの1種類以上の生物または生物の混合物が含まれ得る。本明細書中に開示される組成物および方法によって処理することができる微生物は、グラム陽性細菌またはグラム陰性細菌であり得る。このような細菌は、病原性細菌、指示菌、および/または腐敗性細菌であり得る。1つの態様においては、本明細書中に開示される抗微生物組成物は、食物の表面上の食品媒介性微生物を処理するために使用することができる。
【0132】
本明細書中に開示される組成物および方法によって処理することができるグラム陽性細菌としては以下を挙げることができるが、これらに限定はされない:
【0133】
【化16】


【0134】
本明細書中に開示される組成物および方法によって処理することができるグラム陰性細菌としては以下を挙げることができるが、これらに限定はされない:
【0135】
【化17】

【0136】
【化18】


【0137】
グラム陽性細菌、グラム陰性細菌、病原性細菌、指示菌、および腐敗性細菌の上記例は、公衆衛生に影響を与える全ての細菌、ならびにグラム試験に反応しない(non−Gram test responsive)細菌を含む大きな集団を限定するようには意図されないが、それらの典型であるように意図される。微生物の他の種の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定はされない:
【0138】
【化19】

【0139】
【化20】


【0140】
開示される抗微生物組成物は、他の微生物(例えば、寄生虫)を処理するために使用することができる。処理することができる寄生虫の例としては以下が挙げられるが、これらに限定はされない:
【0141】
【化21】


【0142】
開示される抗微生物組成物はまた、以下のような(これらに限定はされない)真菌種を処理するためにも使用することができる:
【0143】
【化22】


【0144】
特異的な例においては、開示される抗微生物組成物は、
【0145】
【化23】

を処理するために使用することができる。
【0146】
使用
開示される抗微生物組成物は、1つの態様においては、表面(例えば、鶏肉、食肉、干しブドウ、敷料(litter)、または食品接触表面、食品加工装置の表面)を、有効量の開示される抗微生物と接触させることによって、その表面上の微生物を処理するために使用することができる。本明細書中で提供される場合は、用語組成物の「有効量」によっては、所望される結果(例えば、微生物の増殖もしくは生存の減少または阻止)を提供するために十分な組成物の量が意味される。以下に指摘されるように、必要とされる正確な量は、接触させられる表面のタイプ、処理される微生物のタイプ、加工設備の大きさ(例えば、煮沸消毒器または冷却器の容量)、使用形式(例えば、電気スプレーまたは浸漬)、使用される特定の組成物などに応じて、個々の用途について変化し得る。したがって、正確な「有効量」を特定することは不可能である。しかし、適切な有効量は、当業者であれば日常的に行われる実験だけを使用して決定することができる。
【0147】
正確な量を特定することは不可能ではあるが、開示される抗微生物組成物は、上記に記載されるような割合できちんと使用することができ、また、そのような割合になるように希釈することもできる。また、水溶液を形成するように希釈される場合には、開示される抗微生物組成物の量は、存在する場合には、脂肪族ヘテロアリール塩成分に基づいて、あるいは、存在する場合には、成分であるトリクロロメラミン、脂肪族ベンジルアルキルアンモニウム塩、二脂肪族ジアルキルアンモニウム塩、またはテトラアルキルアンモニウム塩のうちの1つに基づいて、開示される抗微生物組成物のうちの約
【0148】
【化24】

または600ppmを有している溶液と、ある点で、表面が接触させられるであろうように使用することができる。ここでは、記載される値のうちの任意のものが、適切である場合には、上部の終点または下部の終点を形成することができる。
【0149】
さらに、水溶液を形成するように希釈される場合は、開示される抗微生物組成物の量は、脂肪族ヘテロアリール塩成分に基づいて、開示される抗微生物組成物のうちの約200ppm未満、約100ppm未満、約50ppm未満を有している溶液と、ある点で、表面が接触させられるであろうように使用することができる。例えば、表面は、存在する場合には、脂肪族ヘテロアリール塩成分に基づいて、あるいは、存在する場合には、成分であるトリクロロメラミン、脂肪族ベンジルアルキルアンモニウム塩、二脂肪族ジアルキルアンモニウム塩、またはテトラアルキルアンモニウム塩のうちの1つに基づいて、開示される抗微生物組成物の約10から約100、約50から約200ppmと接触させられ得る。
【0150】
別の例においては、開示される抗微生物組成物は、鶏肉加工の間に鶏肉上の微生物を処理するために使用することができる。図1は、鶏肉加工の間に行われる複数の加工工程を示しているフローチャートである。図1に関して、コンベヤー100は、加工プラントの様々な工程を通じて鶏肉を搬送するために使用される。工程101では、持ち込まれた生きた鳥が、工程105において自動化されたコンベヤーベルトに載せられる。工程110では、生きた鳥に電流が当てられる。この段階はスタニング(stunning)としても知られている。鳥は、その頭部(主に、とさか)が、スタナー(stunner)(これを通じて電流がサージされる)の底の生理食塩水に接触すると電流が流される。この電気衝撃は、鳥に永久的な損傷を与えるほどまたは死滅させるほど十分な激しいものではないが、鳥は動かなくなり、そして、鳥の体を自動的な屠殺を可能にするに十分なほどに弛緩させる。鳥はなおも逆さまにぶら下げられ、そしてスタニングが原因で首が伸びきり、鳥はこのプロセスの工程115で自動丸のこ刃によって血抜きされる。
【0151】
血液が鶏肉から除去された後、工程120では、鳥は循環させられた温水(約128から約134°F;約53から約57℃)の大きなタンクの中に約2分間沈められて、羽が緩められる。このプロセスは、「煮沸消毒(scalding)」と呼ばれる。鳥の羽と皮膚は、水がしみこませられる煮沸消毒プロセスによりはずれる。このプロセスでは、細菌の交差汚染が特に起こりやすい。なぜなら、鳥は、同じ浴に浸されるからである。次はピッキング(picking)プロセス125であり、そして頭部の除去130が行われる。その後、鳥はフックカッター工程135で空中コンベヤーシステムから切り落とされる。
【0152】
米国農務省(「USDA」)は、新しい水または回収水の4分の1を、煮沸消毒用タンクに入れられるそれぞれの鳥について加えるように要求している。したがって、煮沸消毒用タンクからは水が連続して流出させられる。1つの態様(図2を参照のこと)においては、煮沸消毒用タンクは、煮沸消毒タンクの中での病原性細菌の交差汚染を減少させるために、完全な強度よりもわずかに低い強度(例えば、502ppm)の抗微生物溶液を含む下流にある噴霧システムからの濯ぎ水(rinsate)で、再び満たされる。各起動日には、煮沸消毒タンクは、完全な強度の開示される組成物を含む新鮮な水で最初に満たした後に、処理を行うことができる。これによって、噴霧システムの濯ぎ水のリサイクルプロセスの前に、煮沸消毒タンクを通過させる鳥の処理を確実にすることができる。
【0153】
重ねて図1に関して、工程135では尾腺が除去され、工程140では、ベンティング機器(venting machine)によって鳥の孔(vent)または肛門の周囲を切り取ることができ、結腸からあらゆる残っている可能性のある糞便物質を約2インチ取り出すことができる。塩素処理された水の噴霧が、あらゆる可能性のある糞便物質が鳥の外側の皮膚を汚染してしまわないように、この機器に対して利用される。次の機器はエビセレーター(eviscerator)(工程145)である。ここでは、体孔の外側に内部の臓器を引っ張り出すためのスプーン様のデバイスが使用される。この機器には、通常、あらゆる腸の内容物が鳥の外表面と接触しないように、塩素処理された水が噴霧される。この機器は、屠体(carcass)から腸または「内臓」を完全には取り除くことはできないが、鳥の背部分の上に「内臓パッケージ(viscera package)」をゆったりとかける。ここで、内臓パッケージは、可能性のある疾患についてUSDAの検査員によって調べられ得る。USDA検査員が内臓パッケージを含む鳥全体を調べ後、内臓は屠体から除去され、尾腺、頭部、および頸部がすでに入っているものと同じ、あら(offal)トラフに入れられる。
【0154】
いくつかのプラントでは、砂嚢、心臓、および肝臓が、人間が食べるために鳥から取り出される(工程150)。しかし、大部分の加工業者は、現在は、消費市場よりも動物飼料の分野でこれらの製品についてより多くの支払いを受けられるという理由から、食用ではない材料を残すプラントの一部としている。内臓をトラフまたは「あらのライン(offal line)に入れた(工程155)後、肺は体孔から吸い上げられ、その後、臓物のラインに入れられる。肢から拘束ラインにぶら下げられたこの完全に内臓が取り出された屠体は、一般的には、WOG(臓物を含まない全枝肉)と呼ばれる。次の2つの工程は、クロッパー(cropper)160とネックブレーカー(neck breaker)165である。
【0155】
USDA検査および内臓の除去の後、屠体の内側と外側が徹底的に洗浄される(工程170)。屠体は、頭上コンベヤーシステムをなおも移動しながら、少なくとも1回「内部/外部鳥洗浄装置(inside/outside bird washer)」を通過させられる。
【0156】
このシステムは、屠体の自動洗浄のために設計されたステンレス鋼製のキャビネットから構成される。数ガロンの水が使用され、それぞれの個々の屠体の内側と外側が洗われる。これらの洗浄キャビネットで使用される水は全て、あらのラインに送られる。したがって、使用済みの洗浄水、エビセレーション機械の濯ぎに連続して使用された水、手やナイフの洗浄消毒に使用された水、および必要に応じて新しい水も、あらトラフに食用ではない材料を移動させるために利用され、そして廃棄物の流れに蓄積される。
【0157】
図2は、本明細書中に開示される物質の1つの態様にしたがう加工方法を示しているフローチャートである。図2に関して、本明細書中に開示される抗微生物組成物は、段階170で鶏肉に適用することができる。この適用は、通常、ぶら下げられた鶏肉に噴霧することによって行われる。噴霧プロセスには、鶏肉の外側と内側が含まれ得る。噴霧プロセスの間に、予め決定された量の抗微生物組成物が屠体に噴霧される。図2に示されるように、その後、流出液が回収され、再利用のために煮沸消毒器に供給され;したがって、抗微生物組成物は、新しい水とともに、屠体の方向にむかって逆流で提供される。その後、これらは、煮沸消毒器の中で再利用される場合も、また、廃棄物の流れに加えられる場合もある。必要に応じて、さらに別の抗微生物組成物を、所望されるレベルの濃度となるように、再利用される流れ200に加えることができる。濃度は用途に応じて様々であり得るが、水に対する開示される組成物の約200から約600ppmの濃度が有効であり得ることが明らかにされている。
【0158】
別の例においては、煮沸消毒器の中の開示される抗微生物組成物に対する鶏肉の最初の曝露が含まれる(120)。冷却器の直前に配置された抗微生物剤の噴霧由来の濾過された濯ぎ水(rinse−water)は、約450から約600ppmの濃度で煮沸消毒器に入れられる新しい水に加えることができる(最初の煮沸消毒タンクの水を完全な強度の開示される抗微生物組成物で活性化させることができる起動時を除く)。この水は、その後、屠体の上を通過させられ得、そして流出口で煮沸消毒器を出る(ここで、屠体は煮沸消毒器に入る)。したがって、煮沸消毒工程の間に、屠体は、最大約450から約600ppmの開示される抗微生物組成物に曝され得る。その後、屠体は、加工ラインを下流へと、そしてエビセレーション、クロッピング、および内部/外部の鳥の洗浄を通って、そして最終的には、所望される濃度の開示される抗微生物組成物を再び適用することができる噴霧キャビネットを通過して移動させ続けることができる。その後、鳥を、開示される抗微生物組成物(例えば、屠体1ポンドあたり約0.2グラムの抗微生物溶液)の適用のために、通常のライン速度で噴霧キャビネットを通過させることができる。別々の研究室によって行われた試験は、いずれの曝露点の後にも、本明細書中に開示される抗微生物組成物は約30ppm未満しか屠体の上に残留していなかったことを示していた。すなわち、開示される抗微生物組成物の大部分はキャビネットから流れ出て、濾過され、煮沸消毒器に移動し、煮沸消毒器の中の屠体を通り、そして廃棄物の流れに送られる。物質収支の計算は、開示される抗微生物組成物のうちの約99.9%が廃棄物の流れに送られるであろうと計算する。
【0159】
なお別の態様においては、雫受け(drip tray)を適用システムの一部として含めることができる。鳥が冷却器タンクに向かうそれらの進路上にある噴霧キャビネットを出ると、これらはこの雫受けの上を通過させることができる。これにより、濡れた屠体から滴り落ちる抗微生物組成物が含まれているあらゆる液体が集められる。この雫受けは、噴霧キャビネットを出た後の最初の数分に屠体が移動する距離、または通常は、冷却器までの距離の約半分に延ばすことができる。この雫受けに落ちた液体は、抗微生物噴霧キャビネットから流れ出た液体と一緒にすることができ、そして、煮沸消毒器に戻して再利用することができる。冷却器までの距離の残り(すなわち、噴霧キャビネットからの移動時間の後半)については、屠体から滴り落ちる全ての液体は、プラントの既存の床上あら回収システムに送ることができ、最終的には、あらの一部として回収されるであろう。
【0160】
上記に示されるように、開示される抗微生物組成物での処理後、屠体は、プロセスの冷却相へと頭上のラインを介して移動させることができる。これらは、拘束ラインからプレ冷却器と呼ばれる巨大な水タンクへと自動的に下ろされる。この水タンクは、通常、約55°F(約13℃)で維持されており、屠体はプレ冷却期の中に約15分間留められる。この時間の間に、屠体は約4から約5%、さらに水分を吸収する。プレ冷却期の中の水は、高い冷却能力と水分の吸収のための水の移動を助けるために、活発にエアレーションさせることができる。このエアレーションプロセスは、プレ冷却器の水の中に存在している大量の油脂と一緒に、冷却水の上部に浮遊する綿状の物質を形成する。この物質は、通常、「冷却による浮きかす(chiller skimming)」と呼ばれ、プレ冷却水から持続的に除去され、そしてあらトラフに送られる。
【0161】
プレ冷却タンクから、屠体は冷却タンク(図1に工程175として示される)に移動させられる。このタンクは大きく、プレ冷却器よりも冷たく、通常は、約32から約34°F(約0から約1℃)である。屠体は、このタンクの中に約45分間留め置かれ、冷却器の中でさらに約3から4%、それらの水分含有量が増大させられる。USDAは、鳥の屠体については全部で8%、さらに水分を増やすことができる。水の一定速度でのエアレーションは、冷却水の中に存在している油脂と共に、多量の冷却による浮きかすを形成する。プレ冷却器の場合と同様に、この物質は臓物トラフに送られる。冷却後、屠体は、プラントの他の領域への運搬のための別の拘束ラインに吊り下げられる。これらは、屠体をまるごとパッケージングするステーション(whole carcass packging station)(工程185)に移動させられて分割もしくは脱骨される場合も、また、これらはさらなる加工および調理のための別のプラント(工程190)に運ばれる場合もある。
【0162】
鶏肉加工環境における抗微生物溶液についての廃棄物の流れは以下に説明される。記載されるように、噴霧溶液中に存在している抗微生物組成物の大部分は、煮沸消毒器に送られ得、そして煮沸消毒器を通過させられた後、廃棄物の流れおよびあらへと運ばれ得る。所望される濃度を得るためには、さらに別の抗微生物溶液を、噴霧キャビネットから回収した濯ぎ水に、煮沸消毒器への導入の前に加えることができる。計算に基づいて、その意図される用途の結果として環境に入れることができる抗微生物溶液の最大濃度は、水の中に残っているか、または煮沸消毒器を通過させられた後の有機物質と一緒にされた量、および噴霧後の屠体から滴り落ちるかまたは冷却の間に屠体から濯がれる全ての残留物の量に限られるであろう(この量は、約502ppmの抗微生物溶液が屠体上に残留していると計算されている)。
【0163】
静電噴霧
1つの態様においては、抗微生物溶液は、静電コーティングによって使用することができる。静電噴霧の使用により、実質的にあらゆる表面をコーティングすることができ、これには、最小限の物質の量だけが必要である。静電噴霧は20年以上前に開発され、そして生の作物に殺虫剤を適用するために使用されている。Law(Embedded−electrode electrostatic induction spray charging nozzle:theoretical and engineering design.Transact of the ASAE,12:1096−1104,1978、これは、その静電噴霧についての教示について引用により本明細書中に組み入れられる)は、噴霧空気を使用した静電噴霧充電システム(electrostatic spray−charging system)を開発した。これは、従来の適用方法よりも7倍多い噴霧堆積(spray deposition)を得るために使用されている。後者の実験においては、Lawらにより、析出の1.6から24倍の増大が報告されている(Law and Lane,Electrostatic deposition of pesticide spray onto foliar targets of varying morphology.Transact of the ASAE,24:1441−1448,1981、これはその静電噴霧についての教示について引用により本明細書中に組み入れられる)。
【0164】
Herzogらは、綿の木に対する昆虫の管理が、半分の量の殺虫剤しか使用しないことによって、従来の噴霧による適用と同等、またはそれよりも優れていたことを明らかにしている(Herzogら、Evaluation of an Electrostatic spray application system for control of insect pests in cotton.J Econ Entomol,6:637−640,1983、これはその静電噴霧についての教示について引用により本明細書中に組み入れられる)。
【0165】
研究室での実験においては、ニワトリの屠体への噴霧のための従来法には、有効であるためには約5ozs.(約148mL)の殺菌剤が必要であり、一方、静電噴霧を使用した場合には、約0.3ozs.(約9mL)しか一般的に必要でないことが示されている。もちろん、本明細書中に開示される抗微生物組成物の量は、処理される表面面積、組成物の濃度などに応じて様々であろう。開示される抗微生物組成物の量は、当業者であれば決定することができる。
【0166】
本明細書中に記載されるように、静電噴霧を使用する開示される抗微生物組成物の適用によっては、微生物の増殖および生存を阻止するために必要な生成物の堆積(deposition)を有意に増大させることができ、そして必要な生成物の量を有意に減少させることができる。開示される抗微生物組成物の適用は、再処理段階の後で、またはその代わりに行うことができる。静電噴霧は、空気噴霧誘導充電ノズル(air−atomizing induction charge nozzle)によって行うことができる。これによっては、空気と液体を別々にノズルに入れることができる。空気は高速でノズルを通じて移動し、そしてノズルの先端で液体と交わって、噴霧液滴の形成を生じる。液滴は、一般的には、約30から約40マイクロメートルの直径である。必要な空気圧は、約30から約40PSI(約2から約3atm)であり、一方、液体の圧力は、約15PSI(約1atm)未満である。噴霧が霧化されると、液滴は特有の埋め込まれた誘導電極を通過する。誘導電極は、個々の液滴上に電荷を誘導する。再充電することができるバッテリーによって電極の充電が提供される。負電荷を有している液滴は、乱気流の力によって標的表面に進ませられる。標的表面(例えば、鶏肉)は、自然な状態で正電荷を有している。噴霧液滴上の帯電は負である。標的表面上の正電荷は、表面の上部、下部、側部に噴霧液滴を引き付けて、360度の包み込みをもたらす。一旦、液体が止められると、空気圧サイフォンによって全ての残っている噴霧が吸い上げられる。空気はノズルの通路にきれいなまま残され、これによってメンテナンスを減らすことができる。
【0167】
さらに別の使用
任意の表面を、本明細書中に開示される方法および組成物によって処理することができる。このように、本明細書中に開示される抗微生物組成物は、鶏肉加工以外の用途に有効であることが明らかにされている。例えば、本明細書中に開示される組成物は、敷料を処理するために有効であることが明らかにされている。開示される組成物は、これは製紙工場で作製される場合には、敷料に添加することができる。これは、紙の加工ラインに載せたまま、静電噴霧によって適用することができる。これは、敷料として使用される適切な大きさになるように切断される前に、紙の両面に適用することができる。
【0168】
本明細書中に開示される抗微生物組成物の別の適切な用途は、干しブドウの生産においての用途である。典型的な干しブドウの作業プラントの中では、ブドウが大気中の基体上に載せられ、ブドウは乾燥のための外気に曝される。これもまた外気に曝される基体は、様々な空中を浮遊している微生物に汚染されている可能性がある。基体を継続して使用する場合には、基体がブドウを汚染してしまう可能性がある。開示される組成物で基体を処理することにより、交差汚染の問題を(排除することはできなくても)減少させることができることが明らかにされている。干しブドウの作業プラントの中では、ブドウは、それらが乾燥して干しブドウとなるまで、ブドウの木の場所に近い場所で、紙の基体の上に載せられる。気候によって引き起こされる露点の変化によって水分が発生すると、かび(mold)や白カビ(mildew)が増殖し始める。本明細書中に開示される組成物は、紙の上に封止剤として使用されるので、カビや白カビの増殖を防ぐことができる。開示される組成物は、噴霧または浸漬によって適用することができる。
【0169】
開示される抗微生物組成物についてのさらに他の使用例としては、他の食肉、魚、野菜、および果実の処理が挙げられる。
【0170】
開示される抗微生物組成物によって処理することができるさらに別の表面としては、食品加工装置の表面(例えば、タンク、コンベヤー、床、配水管、冷却装置、冷凍庫、装置の表面、壁、バルブ、ベルト、管、接続部、割れ目、それらの組み合わせなど)が挙げられるが、これらに限定はされない。表面は、金属(例えば、アルミニウム、スチール、ステンレス鋼、クロム、チタン、鉄、それらの合金など)であり得る。表面はまた、プラスチック(例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ(メト)アクリレート、アクリロニトリル、ブタジエン、ABS、アクリロニトリル、ブタジエンなど)、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレートなど)、およびポリアミド(例えば、ナイロン)、それらの組み合わせなど)でもあり得る。表面はまた、れんが、タイル、セラミック、磁器、木、ビニル、リノリウム、またはカーペット、それらの組み合わせなどでもあり得る。表面はまた、他の態様においては、食品(例えば、牛肉、鶏肉、豚肉、野菜、果実、海産物、それらの組み合わせなど)でもあり得る。
【0171】
表面(例えば、鶏肉、食品加工装置の表面など)、および本明細書中に開示される抗微生物組成物が含まれているシステムもまた、開示される。
【0172】
従来の処理方法と比較すると、開示される組成物および方法は、処理プロセスがより早く、そして腐食性が低い点で特に有効であることが明らかにされている。加えて、少量の抗微生物組成物が使用されるので、このプロセスはさらに有効である。ほとんどの場合には、開示される抗微生物組成物には、それらの適用、除去、再利用、または廃棄には複雑な装置は必要はない。以下の限定ではない実施例では、開示される組成物および方法の、従来の抗微生物溶液およびプロセスを上回る利点がさらに説明される。
【実施例】
【0173】
以下の実施例は、開示される発明の内容にしたがう方法と結果を説明するために以下に示される。これらの実施例は、本明細書中に開示される発明の内容の全ての態様を含むように意図されるのではなく、むしろ、代表的な方法と結果を説明するように意図される。これらの実施例は、当業者に明らかである本発明の均等物およびバリエーションを排除するようには意図されない。
【0174】
数値に関する正確さ(例えば、量、温度など)を確保するために多くの努力がなされているが、ある程度の誤差や偏差が伴うはずである。他の場所に明記されない限りは、部は重量部であり、温度は℃であるかまたは室温であり、そして圧力は大気圧、もしくはほぼ大気圧である。反応条件(例えば、成分濃度、所望される溶媒、溶媒混合物、温度、圧力)、ならびに、記載されるプロセスによって得られる生成物の純度および収量を最適化するために使用することができる他の反応範囲および条件には、多数のバリエーションや組み合わせが存在する。そのようなプロセスの条件を最適化するためには、合理的かつ慣用的な実験しか必要ではないだろう。
【0175】
(実施例1)
本明細書中に開示される抗微生物組成物の効果を、ブロイラーであるニワトリの鶏肉に付随する病原性細菌の集団、指示菌細菌の集団、および腐敗性細菌の集団について実験した。煮沸消毒用水を商業用の鶏肉の煮沸消毒器の流出末端(入口末端)から回収した。水を、実験の間の干渉を避けるために、全ての細菌と細菌胞子の集団を排除するためにオートクレーブした。オートクレーブした煮沸消毒用水を化学的に評価し、元の煮沸消毒用水と比較して、元の煮沸消毒用水とオートクレーブした煮沸消毒用水の中の有機物質が同様であることを確実にした。
【0176】
試験溶液(実施例においては抗微生物組成物と互換的に呼ばれる)を調製した。試験溶液には、塩化セチルピリジニウム(7.5重量部)、塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム(0.1重量部)、トリクロロメラミン(0.1重量部)、塩化セチルトリメチルアンモニウム(0.1重量部)、および水(92.2重量部)を含めた。次に、対照溶液を、塩化セチルピリジニウム(7.5重量部)および水(92.5重量部)を混合することによって調製した。同じ溶液を実施例1〜5において使用した。
【0177】
試験管のセットを、滅菌のポリスチレン製の試験管に9mLのオートクレーブした(滅菌した)煮沸消毒用水を添加することによって準備した。1つのセットは、9mLのオートクレーブした煮沸消毒用水を試験管に添加することによって、対照として準備した。別のセットは、9mLのオートクレーブした煮沸消毒用水と上記で特定した1mLの試験溶液を添加することによって準備した。病原性細菌は、Salmonella typhimurium(「ST」)、Listeria monocytogenes(「LM」)、およびStaphylococcus aureus(「SA」)である。指示菌は、Escherichia coli(「EC」)であり、そして腐敗性細菌は、Pseudomonas fluorscens(「PF」)およびShewanella putrefaciens(「SP」)である。これらの微生物は、Brian Heart注入培養液中で一晩、25℃で24時間増殖させた。個々の細菌を、煮沸消毒器を真似て、2分間、それぞれオートクレーブした煮沸消毒用水の組み合わせに曝した。曝露時間の後、1mLの懸濁液を9mLのBrian Heart注入培養液に入れ、ボルテックスした。1mLのこの混合液をBactometerモジュールにいれ、細菌の増殖を測定した。結果を図3〜6に提供する。
【0178】
図3から、本明細書中に開示される抗微生物組成物は、煮沸消毒用水の適用と組み合わせて使用された場合には、Salmonella、Listeria、Staphylococcus、およびShewanellaの集団を減少させることについて有効であったことを見ることができる。その際、Escherichia coliとPseudomonas fluorscensについては実質的な減少が見られた。比較として、対照の溶液によっては、上記の微生物のいずれについてもずっと少ない量が排除された。
【0179】
図4は、本明細書中に開示される溶液、および塩化セチルピリジニウムだけの溶液に曝した際の、細菌コロニーの減少を比較して示しているグラフである。Salmonella typhimurium、Listeria monocytogenes、Staphylococcus aureus、およびEscherichia coliについて、コロニー形成単位を試験した。図4にはLog10CFUを伴っては示していないが、Pseudomonasもまた、10CFU/mL未満に低下した。
【0180】
図5は、対照溶液と比較した試験溶液の効果を示しているグラフである。図5から、24時間の期間全体にわたって、Salmonella typhimurium、Listeria monocytogenes、Staphylococcus aureus、およびShewanella putrefaciensは完全に排除され、一方、E.coliおよびPseudomonas fluorscensは、対照溶液で処理した試料と比較して実質的に減少したことを見ることができる。
【0181】
図6は、試験溶液および対照溶液に対して曝露した場合の、細菌コロニーの減少を比較して示しているグラフである。図6は図4と同様であり、抗微生物試験溶液で処理した場合にはほぼ排除された全ての微生物についてのコロニー形成単位を示す。したがって、抗微生物溶液は、煮沸消毒用水の適用と組み合わせて試験した、全ての病原性細菌、指示菌、および腐敗性細菌を排除することにおいて有効であった。このデータはまた、極めて高濃度の細菌に対するこの試験溶液の有効性も示している。
【0182】
(実施例2)
実施例2は、鶏肉に付随する病原性細菌の集団、指示菌の集団、および腐敗性細菌の集団に対する様々な濃度の抗微生物溶液の効果を測定するために行った。この目的を達成するために、煮沸消毒用水を商業用の鶏肉の煮沸消毒器の流出末端(入口末端)から回収した。水を、実験の間の干渉を避けるために、全ての細菌と細菌胞子の集団を排除するためにオートクレーブした。
【0183】
オートクレーブした煮沸消毒用水を化学的に評価し、元の煮沸消毒用水と比較して、元の煮沸消毒用水とオートクレーブした煮沸消毒用水の中の要求される有機物質が同様であることを確実にした。
【0184】
実施例1と同じ抗微生物組成物を、脱イオン水で、約1:100、1:150、1:200、1:300、および1:400(組成物対水)の割合で希釈した。
【0185】
試験管のセットを、滅菌のポリスチレン製の試験管に9mLのオートクレーブした(滅菌した)煮沸消毒用水を添加することによって、対照として準備した。1つのセットは、9mLのオートクレーブした煮沸消毒用水を試験管に添加することによって、対照として準備した。1つのセットは、9mLのオートクレーブした煮沸消毒用水と1mLの各抗微生物溶液を添加することによって準備した。先の実施例で用いた対照溶液には、水中の塩化セチルピリジニウム溶液を含めた。
【0186】
病原性細菌であるSalmonella typhimurium、Listeria monocytogenes、Staphylococcus aureus、指示菌であるEscherichia coli、ならびに、腐敗性細菌であるPseudomonas fluorscensおよびShewanella putrefaciensを、Brian Heart注入培養液中で一晩、25℃で24時間増殖させた。個々の細菌を、煮沸消毒器を真似て、2分間、個々のオートクレーブした煮沸消毒用水の組み合わせに曝した。曝露時間の後、1mLの懸濁液を9mLのBrian Heart注入培養液に入れ、ボルテックスした。1mLのこの混合液をBactometerモジュールのウェルに入れ、細菌の増殖を測定した。結果を表1〜7に示す。
【0187】
上記に開示した抗微生物試験溶液は、特に、1:150の濃度またはそれ未満で煮沸消毒用水の適用を伴って使用した場合に、Salmonella、Pseudomonas、およびShewanellaの集団を排除することにおいて有効であることが明らかになった。表1は、対照溶液と比較した、様々な濃度での抗微生物溶液の効果を比較して示しているグラフである。表1から、細菌の排除が、約1:100に希釈した溶液について極めて高いことを見ることができる。表1はまた、対照溶液と比較したSalmonella typhimuriumに対する試験溶液の比較による効果も示している。表1においてはまた、約1:100および1:150に希釈した試験溶液が、コロニー形成単位を低下させることにおいて極めて有効であることも見ることができる。
【0188】
(表1:Salmonella typhimuriumに対する様々な濃度の試験溶液の効果)
【0189】
【表1】

Listeriaに対する抗微生物溶液の効果を表2に示す。本発明の例示的な実施形態にしたがう試験溶液によって、水で約1:400に希釈した溶液を含む全ての濃度で、ListeriaおよびStaphylococcusの集団が完全に排除されたことを見ることができる。表2はまた、コロニー形成単位が全ての濃度で抗微生物溶液によって実質的に排除されたことも示している。
【0190】
(表2:Listeria monocytogenesに対する様々な濃度の試験溶液の効果)
【0191】
【表2】

表3は、E.coliに対する抗微生物試験溶液の様々な希釈物の比較による効果を示す。示すように、試験溶液は、約1:100の希釈でE.coliの集団を排除することができた。約1:150(またはそれ未満)の希釈では、試験溶液は、E.coliを除く試験した全ての種を排除することができた。E.coliは病原性ではないので、必ずしも煮沸消毒器で排除される必要はない。代わりに、これは、プロセスの後のほうで排除することができる。この理由から、約1:150の水での希釈が煮沸消毒器に適していることが明らかである。
【0192】
(表3:Escherichia coliに対する様々な濃度の試験溶液の効果)
【0193】
【表3】

表4は、Staphylococcus aureusに対する様々な濃度の試験溶液の比較による効果を示す。
【0194】
(表4:Staphylococcus aureusに対する様々な濃度の試験溶液の効果)
【0195】
【表4】

表5および6は、Pseudomonas fluorescensおよびShewanella putrefaciensに対する様々な濃度の試験溶液の効果を比較によって示す。
【0196】
(表5:Pseudomonas fluorescensに対する様々な濃度の試験溶液の効果)
【0197】
【表5】

(表6:Shewanella putrefaciensに対する様々な濃度の試験溶液の効果)
【0198】
【表6】

最後に、表7には、1:150の希釈で、Campylobacter jejuniのコロニー形成単位を排除することについての抗微生物溶液の効果を比較によって示す。これらの結果により、本明細書中に開示される抗微生物試験溶液が、微生物を処理することについて、従来の組成物よりも優れていることを確認した。
【0199】
(表7:1:150の希釈でのCampylobacter jejuniに対する試験溶液の効果)
【0200】
【表7】

(実施例3)
食品接触表面に付着したブロイラーであるニワトリの屠体に付随する病原性細菌の集団、指示菌の集団、および腐敗性細菌の集団に対する抗微生物試験溶液の効果を実験した。
【0201】
病原性細菌であるSalmonella typhimurium、Listeria monocytogenes、Staphylococcus aureus、指示菌であるEscherichia coli、ならびに、腐敗性細菌であるPseudomonas fluorscensおよびShewanella putrefaciensを、Brian Heart注入培養液中で一晩、25℃で24時間増殖させた。5個の滅菌のTEFLON(登録商標)クーポンを0.200mLの各病原性細菌、指示菌、または腐敗性細菌種でコーティングした(全部で30クーポン)。細菌を接種したものを、4時間、クーポンの表面で乾燥させた。それぞれのクーポンに、1:100濃度の試験溶液を使用して10秒間(3回に分けた噴霧)噴霧した。それぞれのクーポンを30mLのこの溶液で完全にコーティングした。殺菌剤の残りまたは湿り気は見られなかった。曝露時間のあと、それぞれのクーポンを100mLの滅菌の1%緩衝化ペプトン培養液中でリンスした。その後、1mLのこの混合物を9mLのBrian Heart注入培養液に入れ、次いで、1mLのこの混合液を、細菌の増殖を測定するためにBactometerモジュールのウェルに入れた。
【0202】
上記で開示した対照溶液を準備した。加えて、本明細書中で開示した抗微生物溶液を試験目的のために調製した。対照溶液と平衡(balance)でコーティングしたクーポンのサンプルを、曝露された抗菌溶液によってコーティングした。両方の適用において、静電コーティング技術を使用して、クーポンの基体の表面全体を粘着によってコーティングした。
【0203】
結果を図7に示す。図7から、試験溶液は、食品接触表面上のSalmonella、Listeria、Staphylococcus、E.coli、およびPseudomonasの集団を排除することにおいて極めて有効であったことを見ることができる。この方法は、加工操作前または後の食品接触表面の処理および消毒に有効である。
【0204】
(実施例4)
ブロイラーの鶏肉に付着したSalmonella typhimuriumおよびE.coliに対する、煮沸消毒用水の噴霧およびその中への浸漬を使用して適用した抗微生物組成物の効果を実験した。この実験については、鶏肉試料を、プロセスの煮沸消毒工程の前に選択した。対照試料は水で処理し、そして試験試料を抗微生物溶液で処理した。全ての試料を、ベースラインを確立するために、Salmonellaで処理した。次に、2つの異なる煮沸消毒用の浴を準備し、一方には煮沸消毒用の水を含め、そして他方には抗微生物溶液で処理した煮沸消毒用水を含めた。対照試料は水とともに噴霧して、洗浄工程170をシミュレーションした(図1)。試験試料を、煮沸消毒用水に抗微生物溶液を含め、そして噴霧器に1:150希釈で抗微生物溶液を含めたことを除き、同じ様式で処理した。試験は3回繰り返し(Reps.1−3)、試料のSalmonella含有量を記録した。図8では、水で処理した対照試料中のSalmonella含有量と、希釈した抗微生物溶液で処理した試験試料中のSalmonella含有量を比較する。
【0205】
試料を、ベースラインを確立するためにE.coliおよびColiformで処理したことを除いて、概説した手順を繰り返した。ここでは、対照と試験試料の1つのセットだけを試験し、結果を図9に示す。図9については、E.coliおよびColiformのコロニー形成単位が、対照試料と比較して試験試料において実質的に低下したことを見ることができる。
【0206】
(実施例5)
以下の実験を、シミュレーションした処理後のブロイラーであるニワトリの屠体上に残留している抗微生物組成物の量を評価するために行った。
【0207】
実験I(ライン内での再処理のシミュレーション)−4匹のブロイラーであるニワトリの屠体を、最寄りの小売業者の店舗から購入した。屠体のうちの2つは、3〜5秒間水で濯いだ。これは、自動によるライン内での再処理の直前に加工プラントの中で行った。その後、屠体には、150:1に希釈した実施例1にしたがって調製した抗微生物溶液を噴霧した(ライン内の噴霧装置を使用したデリューション(delusion)をシミュレーションするために)。屠体を2分間留めて、ライン内での再処理および冷却後の浸漬時間をシミュレーションした。その後、屠体を60分間冷却水の中に入れて、冷却をシミュレーションした。冷却プロセスの間は、屠体を定期的に攪拌して、エアレーションをシミュレーションした。さらに、水を、30分後の新しい水と完全に交換して、商業的な状況をシミュレーションした。ここでは、その後、屠体を、350°F(177℃)で約45分間調理した。
【0208】
実験II(ライン内での再処理および煮沸消毒のシミュレーション)−2つの屠体を、150:1に希釈した実施例1にしたがって調製した抗微生物溶液が含まれている130°F(54℃)の水の中に2分間浸して、商業的な煮沸消毒条件をシミュレーションした。屠体を、煮沸消毒器とライン内の再処理システムの間のリンス噴霧(rinse spray)をシミュレーションするために、3〜5秒間濯いだ。その後、屠体には、抗微生物溶液を噴霧した(ライン内の噴霧装置を使用したデリューションをシミュレーションするために)。屠体を2分間留めて、ライン内での再処理および冷却後の浸漬時間をシミュレーションした。その後、屠体を60分間冷却水の中に入れて、冷却をシミュレーションした。冷却プロセスの間は、屠体を定期的に攪拌して、エアレーションをシミュレーションした。さらに、水を、30分後の新しい水と完全に交換して、商業的な状況をシミュレーションした。その後、屠体を、350°F(177℃)で約45分間調理した。
【0209】
調理後、その後の工程はそれぞれの実験にしたがった。50グラムの皮膚を各屠体から回収した。皮膚試料をブレンダーに別々にいれ、200mLの脱イオン水を加えた。皮膚を8分間、高速で混ぜ合わせた。300mLの新しい脱イオン水を混ぜ合わせた混合物に加えて、さらに5分間混ぜ合わせた。150mLの混ぜ合わせた混合物を試料瓶に入れ、試験および評価のために別々の研究室に送った。
【0210】
150:1の濃度の抗微生物溶液で処理した完全に調理したニワトリについての個々の研究室での評価は、最大でもわずか0.02ppbしか皮膚試料から回収されなかったことを示していた。実験I(ライン内での再処理のシミュレーション)において2つの屠体について発見された残留は、1つの屠体について0.02ppbであった。実験II(ライン内での再処理および煮沸消毒のシミュレーション)において2つの屠体について発見された残留は、1つの屠体について0.01ppbであった。ライン内での再処理および煮沸消毒について、およびライン内での再処理についてのシミュレーションした商業的条件を使用して処理した屠体から回収された残留している抗微生物溶液の量はそれほど重要ではない量であったので、これらの条件下での提案した組成物の使用は人体に及ぼす影響はないであろうと結論付けた。
【0211】
45〜60分間の冷却プロセスにおいてそれらの浸水の前に開示される抗微生物組成物で処理したニワトリに対して行った個別の試験から、ニワトリに付着している多数の病原体を実質的に減少させることが非常にうまくいったことがわかる。冷却器から出した後の微生物試験の結果と比較した、冷却水へのニワトリの投入前に行った微生物試験では、病原体のレベルの1ログを超える減少が存在していた。言い換えると、開示される抗微生物組成物は、これが冷水に容易に溶解し、さらに、温水または熱水にも容易に溶解するので、冷却器に添加することができる。
【0212】
1つの態様においては、抗微生物組成物中での様々な成分の組み合わせは相乗作用し、より有効な組成物となる。結果として、はるかに低い割合の塩化セチルピリジニウムを鶏肉と接触させても、なおもはるかに優れた細菌の排除が得られる。さらに、塩化セチルピリジニウムの従来の組成物はグラム陰性細菌に対しては効果が低い。本明細書中に開示される抗微生物組成物は、グラム陰性細菌に対して優れた効果を有していることが明らかである。
【0213】
(実施例6)
様々な組成物の有効性を、E.coli、Salmonella typhimurium、およびListeria monocytogenesに対していくつかの濃度で試験した。具体的には、ストック溶液を、成分である塩化セチルピリジニウム(成分「A」)、塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム(成分「B」)、塩化セチルトリメチルアンモニウム(成分「C」)、およびトリクロロメラミン(成分「D」)の様々な組み合わせから調製した。その後、様々なストック溶液を脱イオン水で希釈して、1%v/v(すなわち、10,000ppm)の溶液、0.0502%v/v(すなわち、502ppm)の溶液、および0.0015%v/v(すなわち、15ppm)の溶液を形成させた。脱イオン水の対照溶液もまた調製した。その後、様々な希釈溶液を、E.coli、Salmonella、およびListeriaを接種した寒天プレートに接触させ、35℃で48時間インキュベートした。それぞれの試験は3連で行った。CFUおよびlog10CFUに関する結果を表8〜10に示す。
【0214】
1%の濃度では、様々な組成物の全てが100%の増殖阻害を生じた(すなわち、0CFUまたは増殖なし)。
【0215】
(表8:E.coli、Salmonella、およびListeriaに対する1%の組成物)
【0216】
【表8】

(表9:E.coli、Salmonella、およびListeriaに対する502ppmの組成物)
【0217】
【表9−1】

【0218】
【表9−2】

(表10:E.coli、Salmonella、およびListeriaに対する15ppmの組成物)
【0219】
【表10−1】

【0220】
【表10−2】

本明細書中に提供される例示的な実施形態は鶏肉加工ラインに関するが、開示される発明を、一般に、本発明の精神から逸脱することなく、食肉の処理に適用できることが理解されるであろう。
【0221】
例示的な実施形態の成分はそれらの代表的な重量パーセントで示されているが、割合は、言うまでもなく、それぞれの成分のモルパーセントまたは容積パーセントを含むように変更される場合もあることもまた、当業者に理解されるであろう。
【0222】
様々な変更およびバリエーションを、本発明の範囲または精神から逸脱することなく本発明において行うことができることは当業者に明らかであろう。本発明の他の実施形態は、本明細書中に開示される本発明の明細書および実施を考慮して、当業者に明らかであろう。明細書および実施例は単なる例示と見なされ、本発明の真の範囲および精神は以下の特許請求の範囲によって示されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0223】
本明細書中に組み入れられ、そしてその一部を構成する添付の図面は、以下に記載されるいくつかの態様を説明する。
【図1】図1は、鶏肉加工において行われる工程を示しているフローチャートである。
【図2】図2は、開示される発明の内容の1つの態様にしたがう鶏肉加工方法を示しているフローチャートである。
【0224】
以下の図においては、「ST」はSalmonella typhimuriumを意味し、「LM」はListeria monocytogenesを意味し、「SA」はStaphylococcus aureusを意味し、「EC」はEscherichia coliを意味し、「PF」はPseudomonas fluorscensを意味し、そして「SP」はShewanella putrefaciensを意味する。また、本明細書中に開示される抗微生物組成物は、「試験溶液(Test Solution)」として示され、そして対照溶液は「対照(Control)」と示される。
【図3】図3は、本明細書中に開示される抗微生物組成物と対照溶液の、病原性細菌単離物および腐敗性細菌単離物に対する効果を示しているグラフである。結果は、検出時間(時間)に関して示される。24時間の検出時間は、試験溶液に対する曝露後には増殖は起こらなかったことを意味する。
【図4】図4は、本明細書中に開示される抗微生物組成物または対照溶液に曝露させられた場合に、示した細菌コロニーの減少(log10コロニー形成単位)を示しているグラフである。
【図5】図5は、本明細書中に開示される抗微生物組成物および対照溶液の、示した細菌単離物に対する効果を示しているグラフである。結果は、検出時間(時間)に関して示される。24時間の検出時間は、試験溶液に対する曝露後には増殖は起こらなかったことを意味する。
【図6】図6は、本明細書中に開示される抗微生物組成物または対照溶液に曝露させられた場合に、示した細菌コロニーの減少(log10コロニー形成単位)を示しているグラフである。
【図7】図7は、食物の接触表面に付着させた示した細菌単離物を処理するために使用された場合の、本明細書中に開示される抗微生物組成物および対照溶液の効果を示しているグラフである。結果は、検出時間(時間)に関して示される。24時間の検出時間は、試験溶液に対する曝露後には増殖は起こらなかったことを意味する。
【図8】図8は、水で処理された対照試料中、および本明細書中に開示される希釈された抗微生物組成物で処理された試料中のSalmonella含有量(log10コロニー形成単位)を比較しているグラフである。
【図9】図9は、水で処理された対照試料中、および本明細書中に開示される希釈された抗微生物組成物で処理された試料中のE.coliまたはE.coliforms微生物の含有量(log10コロニー形成単位)を比較しているグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂肪族ヘテロアリール塩、トリクロロメラミン、脂肪族ベンジルアルキルアンモニウム塩、二脂肪族ジアルキルアンモニウム塩、およびテトラアルキルアンモニウム塩からなる群より選択される任意の2つの成分が含まれている抗微生物組成物であって、ここでは、列挙された成分のうちの2つが存在する場合には、他の列挙された成分は存在しない、抗微生物組成物。
【請求項2】
さらに水が含まれている、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記脂肪族ヘテロアリール塩が存在し、そしてこれにはハロゲン化アルキルピリジニウムが含まれる、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記ハロゲン化アルキルピリジニウムに、塩化セチルピリジニウム、臭化セチルピリジニウム、またはそれらの混合物が含まれる、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記脂肪族ベンジルアルキルアンモニム塩が存在し、そしてこれには、塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム、臭化アルキルメチルエチルベンジルアンモニウム、またはそれらの混合物が含まれる、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記トリクロロメラミンが存在し、前記脂肪族ヘテロアリール塩が存在し、そしてこれには、塩化セチルピリジニウムが含まれる、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記トリクロロメラミンが存在し、前記脂肪族ベンジルアルキルアンモニウム塩が存在し、そしてこれには、塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウムが含まれる、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記脂肪族ベンジルアルキルアンモニム塩が存在し、そしてこれには塩化アルキルジメチルベンジル塩化アンモニウムが含まれ、そして、前記テトラアルキルアンモニウムが存在し、そしてこれには塩化セチルトリメチルアンモニウムが含まれる、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
抗微生物組成物を作製するための方法であって:脂肪族ヘテロアリール塩、トリクロロメラミン、脂肪族ベンジルアルキルアンモニウム塩、二脂肪族ジアルキルアンモニウム塩、およびテトラアルキルアンモニウム塩からなる群より選択される任意の2つの成分を、任意の順序で混合する工程が含まれる、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法によって調製された組成物。
【請求項11】
a.脂肪族ヘテロアリール塩;
b.トリクロロメラミン;および
c.脂肪族ベンジルアルキルアンモニウム塩、二脂肪族ジアルキルアンモニウム塩、およびテトラアルキルアンモニウム塩からなる群より選択されるアンモニウム塩
が含まれている抗微生物組成物であって、
ここでは、該アンモニム塩が脂肪族ベンジルアンモニウム塩である場合には、該組成物には、二脂肪族ジアルキルアンモニウム塩またはテトラアルキルアンモニウム塩は含まれず、
ここでは、該アンモニム塩が二脂肪族ジアルキルアンモニウム塩である場合には、該組成物には、脂肪族ベンジルアンモニウム塩またはテトラアルキルアンモニウム塩は含まれず、
ここでは、該アンモニム塩がテトラアルキルアンモニウム塩である場合には、該組成物には、脂肪族ベンジルアンモニウム塩または二脂肪族ジアルキルアンモニウム塩は含まれない、抗微生物組成物。
【請求項12】
さらに水が含まれている、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記脂肪族ヘテロアリール塩にハロゲン化アルキルピリジニウムが含まれる、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
前記ハロゲン化アルキルピリジニウムに、塩化セチルピリジニウム、臭化セチルピリジニウム、またはそれらの混合物が含まれる、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記アンモニム塩が脂肪族ベンジルアルキルアンモニウム塩であり、そしてこれには、ハロゲン化アルキルジメチルベンジルアンモニウム、ハロゲン化アルキルメチルエチルベンジルアンモニウム、またはそれらの混合物が含まれる、請求項11に記載の組成物。
【請求項16】
前記アンモニウム塩が二脂肪族ジアルキルアンモニウム塩であり、そしてこれには、ハロゲン化ジドデシルジメチルアンモニウム、ハロゲン化ジテトラデシルジメチルアンモニウム、ハロゲン化ジヘキサデシルジメチルアンモニウム、またはそれらの混合物が含まれる、請求項11に記載の組成物。
【請求項17】
前記アンモニウム塩がテトラアルキルアンモニウム塩であり、そしてこれにはハロゲン化セチルトリメチルアンモニウム、ハロゲン化ラウリルトリメチルアンモニウム、ハロゲン化ミリスチルトリメチルアンモニウム、ハロゲン化ステアリルトリメチルアンモニウム、ハロゲン化アラキジルトリメチルアンモニウム、またはそれらの混合物が含まれる、請求項11に記載の組成物。
【請求項18】
抗微生物組成物を作製するための方法であって:脂肪族ヘテロアリール塩と、トリクロロメラミンと、脂肪族ベンジルアルキルアンモニウム塩、二脂肪族ジアルキルアンモニウム塩、およびテトラアルキルアンモニウム塩からなる群より選択される1つのアンモニウム塩とを、任意の順序で混合する工程が含まれる、方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法によって調製された組成物。
【請求項20】
表面上の微生物を処理するための方法であって、前記表面を有効量の請求項1に記載の組成物と接触させる工程が含まれる、方法。
【請求項21】
前記表面が、鶏肉、食肉、干しブドウ、敷料、または食品接触表面、あるいは食品加工装置の表面である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記微生物に、
【数1】

が含まれる、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
表面上の微生物を処理するための方法であって、前記表面を有効量の請求項11に記載の組成物と接触させる工程が含まれる、方法。
【請求項24】
前記表面が、鶏肉、食肉、干しブドウ、敷料、または食品接触表面、あるいは食品加工装置の表面である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記微生物に、
【数2】

が含まれる、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
鶏肉加工の間に鶏肉上の微生物を処理する方法であって、鶏肉加工の間に鶏肉を有効量の請求項1に記載の組成物と接触させる工程が含まれる、方法。
【請求項27】
前記鶏肉との接触が、鶏肉への前記組成物の噴霧によって行われる、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記鶏肉との接触が、静電コーティングによって行われる、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記鶏肉との接触が、鶏肉加工の洗浄段階で行われる、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記鶏肉との接触が、煮沸消毒器への前記組成物の添加によって行われる、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
前記鶏肉との接触が、冷却器への前記組成物の添加によって行われる、請求項26に記載の方法。
【請求項32】
鶏肉加工の間に鶏肉上の微生物を処理する方法であって、鶏肉加工の間に鶏肉を有効量の請求項11に記載の組成物と接触させる工程が含まれる、方法。
【請求項33】
前記鶏肉との接触が、鶏肉への前記組成物の噴霧によって行われる、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記鶏肉との接触が、静電コーティングによって行われる、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記鶏肉との接触が、鶏肉加工の洗浄段階で行われる、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記鶏肉との接触が、煮沸消毒器への前記組成物の添加によって行われる、請求項32に記載の方法。
【請求項37】
前記鶏肉との接触が、冷却器への前記組成物の添加によって行われる、請求項32に記載の方法。
【請求項38】
少なくとも2種類の四級アンモニウム塩、ハロゲン化アンモニウム、トリクロロメラミン、および水の組み合わせの有効量が含まれている、水性組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2009−506771(P2009−506771A)
【公表日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−528995(P2008−528995)
【出願日】平成17年9月3日(2005.9.3)
【国際出願番号】PCT/US2005/031563
【国際公開番号】WO2007/030104
【国際公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【出願人】(505332152)ビオコート エンタープライジズ, インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】