説明

微細加工チャネルデバイス上の試料成分の高分解能分離装置および方法

【課題】分離チャネルを備える試料成分分離装置の、曲り部分を通る試料の通過に起因するバンド広帯化を低減する。
【解決手段】分離チャネル50の曲り部分56、62は、分離チャネル50の実質的に直線である部分58、60、64の対応する試料移送特性とは異なる試料移送特性を有するように、構築及び配置される。

【発明の詳細な説明】
【関連出願のクロスリファレンス】
【0001】
本出願は、引用して本明細書に組み込まれた1997年11月7日出願の米国特許出願第08/965,738号、発明の名称「微細加工キャピラリ・アレイ電気泳動デバイスおよび方法」に関連する。
【連邦政府後援の研究に関する供述】
【0002】
本発明は、米国エネルギー省(U. S. Department of Energy)が裁定した認可番号FG0391ER61125、および国立保健研究所(National Institutes of Health)が裁定した認可番号HG01399の下で政府支援によりなされた。政府は本発明における一定の権利を有する。
【技術分野】
【0003】
本発明は、微細加工チャネルデバイス上の試料成分の高分解能を分離する装置および方法といった、試料成分分離装置および方法に関する。
【背景技術】
【0004】
試料成分分離技術(例えば、キャピラリ電気泳動法)は、遺伝子マップ作成、多形性検出、遺伝子配列解明、および疾病診断等の多くの診断および遺伝子同定処置に使用可能であり、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、タンパク質、または他の低分子検体をその物理的および化学的性質に準じて分離する。キャピラリ電気泳動法の試料成分分離技術に従うと、緩衝剤を充填したリザーバへ接続されるキャピラリ(つまりチャネル)内へ分子が移送される。これらのキャピラリは、微細加工技術によって平面(普通にはガラス)基板上にも形成できる。チャネルの両端間に電界を印加することにより分子を泳動させる。試料はチャネルの高電位端に導入され、電界の影響を受けて低電位端へ向けて移動するのが普通である。チャネルを通って泳動した後に、分離された試料成分は、適切な検出器によって検出される。
【発明の概要】
【0005】
一局面で、本発明は、曲り部分を通る試料の通過に起因するバンド広帯化を低減するよう構成された少なくともひとつの曲り部分を有する分離チャネルを備える試料成分分離装置を特徴とする。
【0006】
別の局面で、本発明は、少なくともひとつの実質的に直線である部分と、少なくともひとつの曲り部分とを有する分離チャネルを備え、曲り部分は曲り部分での試料移送特性を持ち、該試料移送特性が対応する直線部分の試料移送特性とは異なる、試料成分分離装置を特徴とする。
【0007】
実施の形態は以下の特徴のひとつ以上を含む。
【0008】
分離チャネルは電気泳動分離を遂行するよう構成できる。曲り部分は曲っている面において実効チャネル幅を有することができ、それは実質的に直線である部分の実効チャネル幅より小さい。チャネルの広い実質的に直線である部分を狭い曲り部分へ結合するよう、テーパを付けた遷移部分を設けることができる。狭い曲り部分から広い実質的に直線である部分へ増大する実効チャネル幅を有する遷移領域を設けてもよい。遷移部分の実効チャネル幅での増大は、実質的に直線でも、階段状でも、あるいは曲線であってもよい。遷移部分は湾曲路を画成してもよい。
【0009】
曲り部分は内側壁および外側壁を有する。曲り部分の内側壁近くの試料成分の速度は、曲り部分の外側壁近くの同じ試料の異なる成分の速度より低くてよい。曲り部分はひとつ以上の試料移送障害物を含んでよい。試料移送障害物は、曲り部分の外側壁に近接する試料分子の移送に比べて、曲り部分の内側壁に近接する試料分子の移送を遅らせるように配置してよい。複数の試料移送障害物は、外側壁近くの領域よりも内側壁近くの領域において高い密度で、分離チャネルの曲り部分に配置してよい。試料移送障害物の密度は、好ましくは外側壁から内側壁の方向に沿って増大する。
【0010】
更に別の局面で、本発明は、試料成分分離装置を製作する方法を特徴としており、前記方法は:基板に陰極リザーバを形成するステップと;基板に陽極リザーバを形成するステップと;実質的に直線である部分および少なくともひとつの曲り部分を有する試料移送路を、陰極リザーバと陽極リザーバ間に画成する分離チャネルを基板に形成するステップであって、曲り部分が試料移送特性を持ち、該試料移送特性が試料移送路の実質的に直線である部分の試料移送特性とは異なる、分離チャネル形成ステップと、を含む。
【0011】
別の局面で、本発明は、電気泳動法によって試料を分離する方法を特徴としており、前記方法は:キャピラリアレイ電気泳動基板における試料リザーバ内へ試料を置くステップと;基板に画成される分離チャネルの一部分内へ試料の一部を注入するステップと;実質的に直線である部分と少なくともひとつの曲り部分とを有する試料移送路を、陰極リザーバと陽極リザーバ間で基板に画成する分離チャネルに沿って試料を駆動するように、基板での陰極リザーバと陽極リザーバ間に作動電圧を印加するステップであって、曲り部分が試料移送特性を持ち、該試料移送特性が試料移送路の実質的に直線である部分の試料移送特性とは異なる、作動電圧印加ステップと、を含む。
【0012】
本発明の利点の中には以下がある。
【0013】
分離チャネルにおける曲りを通る試料の通過に起因するバンド広帯化を低減することによって、本発明は、全体占有面積が小さい高分解能試料成分分離装置を提供する。例えば、高分解能分離を提供する長い分離チャネルを、比較的小さな基板上に設けることができる。この特徴は、10cm以上の分離チャネル長を必要とする技術であるDNA配列解明にとって殊に有利である。その上、本発明は、チャネルおよびリザーバ配置が小面積上で最適化できるようにする。本発明は、単一基板上への多数の微細加工キャピラリの好都合な配置も可能にする。
【0014】
本発明は、キャピラリ電気泳動法、自由帯域電気泳動法、ミセル動電クロマトグラフ分析法、通常の電気クロマトグラフ分析法、および等電点電気泳動法を遂行する分離装置を含む、全てのタイプの微細加工分離装置に適用できる。本発明を実行可能な用途として、DNA配列解明、タンパク質分離、アミノ酸分離、DNA断片の大きさ解明、PCR断片の大きさ解明、免疫アッセイ、SNPタイプ解明、遺伝子発現マップ化、または、引用文献中の電気泳動法またはキャピラリクロマトグラフ分析法またはキャピラリ電気クロマトグラフ分析法によって分離された他の検体が含まれる。生来分離指向のいずれのデバイスも、本発明により可能となった長いチャネル長から利益を得ることになろう。
【0015】
他の特徴および利点は、特許請求の範囲および図面を含む以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】試料分離装置の斜視線図である。
【図2】2つの曲り区分および3つの直線区分を持つ試料成分分離装置のチャネルおよびリザーバ配置の平面線図である。
【図3A】異なる曲り形状寸法を持つ別の試料成分分離装置のチャネルおよびリザーバ配置の平面線図である。
【図3B】図3Aの実施形態の、指示分離チャネルの曲り部分の平面線図である。
【図4A】試料成分分離作動中の異なる時間で示した、実質的に同じ実効チャネル幅を持つ直線部分と曲り部分とを有する分離チャネルの平面線図である。
【図4B】試料成分分離作動中の異なる時間で示した、実質的に同じ実効チャネル幅を持つ直線部分と曲り部分とを有する分離チャネルの平面線図である。
【図4C】試料成分分離作動中の異なる時間で示した、実質的に同じ実効チャネル幅を持つ直線部分と曲り部分とを有する分離チャネルの平面線図である。
【図5】分離チャネルの曲り部分の一部分の平面線図である。
【図6A】試料成分分離作動中の異なる時間で示した、直線部分と、直線部分の実効チャネル幅より小さい実効チャネル幅を持つ曲り部分とを有する分離チャネルの平面線図である。
【図6B】試料成分分離作動中の異なる時間で示した、直線部分と、直線部分の実効チャネル幅より小さい実効チャネル幅を持つ曲り部分とを有する分離チャネルの平面線図である。
【図6C】試料成分分離作動中の異なる時間で示した、直線部分と、直線部分の実効チャネル幅より小さい実効チャネル幅を持つ曲り部分とを有する分離チャネルの平面線図である。
【図7A】異なった分離チャネル曲り部分の平面線図である。
【図7B】異なった分離チャネル曲り部分の平面線図である。
【図7C】異なった分離チャネル曲り部分の平面線図である。
【図7D】異なった分離チャネル曲り部分の平面線図である。
【図7E】異なった分離チャネル曲り部分の平面線図である。
【図7F】異なった分離チャネル曲り部分の平面線図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1を参照すると、引用して本明細書に組込まれたSimpson他の「微細加工96標本のキャピラリーアレイ電気泳動マイクロプレートを用いた高スループット遺伝子分析」、Proc. Natl. Acad. Sci., USA, vol. 95, p. 2256-2261 (March 1998)で記載されるように、試料成分分離装置10(例えば、キャピラリ電気泳動デバイス)は分離装置12と検出装置14を含む。分離装置12は、ひとつ以上の分離チャネルを持つ基板16と、ひとつ以上の分離チャネルにバイアスをかける電極装置18とを含む。検出装置14のひとつの実施の形態は、光ビーム22を生成するための光源20(例えば、波長488nmで動作する連続波アルゴンイオンレーザー、または周波数532nmで動作する2倍周波数Nd:YAGレーザー)を含み、光ビーム22は、分離装置12を通って泳動する試料の蛍光放射を誘起するよう選定される。光ビーム22は励起フィルタ24を通過してミラー26に至り、ミラーは、光ビーム22をビーム拡大器28へ向ける。ダイクロイック・ビームスプリッタ30は光ビーム22をガルボスキャナ(galvo-scanner)32へ向け、このスキャナは共焦点レンズアセンブリ34の口径にわたってビームを走査する。ビームは、例えば約5ミクロンのスポットサイズで分離装置12上に焦点を結び、分離装置12の分離チャネルを横切って走査される。分離装置12を通って泳動する試料から放射された蛍光は、共焦点レンズアセンブリ34により集められ、集められた蛍光の波長に対して実質的に透明なダイクロイック・ビームスプリッタ30へ向けられる。例えば約545〜620nmの範囲で動作する放射フィルタ36は、集められた蛍光をレンズ38へ向け、光が検出器42(例えば光電子増倍管)で検出される前に、このレンズがピンホール開口40を通る蛍光を焦点合わせする。
【0018】
図2を参照すると、ひとつの実施の形態において、分離装置12は陰極リザーバ52と陽極リザーバ54間に結合される分離チャネル50を含む。分離チャネル50は、直線部分58、60間に結合される第1曲り部分56と、直線部分60、64間に結合される第2曲り部分62とを有する。試料リザーバ66および廃棄物リザーバ68は、交点72で分離チャネル50と交差する注入チャネル70によって分離チャネル50へ結合される。動作時に電極装置18は、注入電圧(例えば、300ボルト)を試料リザーバ66と廃棄物リザーバ68に印加する。この期間中に、電極装置18はバイアス電圧(例えば、100ボルト)を陰極リザーバ52と陽極リザーバ54に印加して、分離チャネル50内への試料拡散を低減する。試料リザーバ66からの流体が交点72に到達してから、電極装置18は、陰極リザーバ52と陽極リザーバ54間に分離電圧(例えば、1,000ボルト)を印加して、試料を分離チャネル50内へ引込む。適切にサイズ取りされた(例えば長さ100ミクロン)試料(注入プラグ)が分離チャネル50内へ引込まれた後に、電極装置18は逆バイアス電圧(例えば、200ボルト)を試料リザーバ66と廃棄物リザーバ68に印加して、余分な試料を交点72から除去する。この実施の形態において、検出装置14は、試料移送路に沿う3ヶ所(A、B、及びC)で分離チャネル50に交差する走査線74に沿い分離チャネル50を横切って、光ビーム22を走査できる。
【0019】
図3Aを参照すると、別の実施形態での分離装置12は、それぞれの陰極リザーバ96〜110と共通の陽極リザーバ112間に結合される複数の分離チャネル80〜94を含む。各分離チャネル80〜94は、直線部分間に結合される第1と第2の曲り部分とを含む。分離チャネル84が急激な90°曲り部分を含むのに対し、他の分離チャネル80、82、および86〜94は湾曲した曲り部分を含む。また、分離チャネル88の曲り部分の曲率半径は他の分離チャネルの曲り部分の曲率半径より大きく、分離チャネル90の曲り部分の曲率半径は他の分離チャネルの曲り部分の曲率半径より小さいことに注意されたい。各分離チャネル80〜94は、それぞれの試料リザーバ114〜128およびそれぞれの廃棄物リザーバ130〜144へ結合される。試料は、図2の実施形態に関連した上記バイアス技術を利用して、分離チャネル80〜94内へ注入してもよい。この実施の形態においては、引用して本明細書に組込まれた1998年1月29日出願の米国特許出願第09/015,198号、発明の名称「キャピラリアレイの検出用回転式共焦点スキャナ」に記載の回転式共焦点検出装置が、陽極リザーバ112を中心とする円形走査路146に沿って(例えば、半径約1cm、走査レート約10Hzで)光ビーム22を走査できる。走査路146は各分離チャネル80〜94を異なる3ヶ所で横断するので、検出装置14は、各走査周期中に各チャネルから3つのデータ点を収集することができる。
【0020】
上で説明した実施の形態では、電極装置18によって印加される分離電圧の結果、試料が分離チャネルに沿って移送される。試料が分離チャネルに沿って泳動するのに従い、試料成分は、それらの物理的および化学的性質での差異に基づき物理的に分離された状態になる。分離量およびそれに由来する装置分解能は、試料が分離チャネルに沿って移行する距離と共に高まる。曲り部分は、試料移送路を増やすのに使用される一方、分離装置12の全体占有面積を比較的小さく維持する。曲り部分の使用は、分離チャネルおよび種々のリザーバの配置最適化における自由度も提供する。後に詳細に説明するように、曲り部分は、そこを通る試料の通過に起因するバンド広帯化を低減するよう構成される。
【0021】
本明細書で使用される場合、用語「曲り部分」とは一般的に、試料がその「曲り部分」に入る直前に「直線部分」を通って移行していた方向とは異なった方向に沿っている試料移送路を画成する、分離チャネルの一部のことである。曲り部分は、x°の方向の変更に対応する全体的試料移送路を画成することができ、ここで0°<x<360°である。曲り部分によって画成される試料移送路は、方向の急激な変更(例えば、分離チャネル84の90°曲り部分)に対応可能である一方、方向の緩やかな変更(例えば、分離チャネル80、82、および86〜90の180°曲り部分)に対応することもできる。各曲り部分は、内側壁および外側壁によって特徴付けられ、ここで、曲り部分の終端で内側壁および外側壁に直交する線に沿って位置する部位間で測定する場合、外側壁に沿う試料移送路は内側壁に沿う試料移送路より大きい。例えば、図3Bに示すように、分離チャネル84の90°曲り部分の内側壁148は無限小に短い長さを有するのに対し、対応する外側壁150はセグメント152および153の長さに等しい長さを持つ。同様に、分離チャネル88の180°曲り部分154に対して、陽極112に近接する内側壁は、陰極104に近接する外側壁に対応する試料移送路より短い試料移送路に対応する。他の曲り部分も同様である。例えば、図7D(後に検討する)を参照すると、曲り部分229と230は、湾曲した試料移送路を一緒に画成する湾曲した内部壁および外部壁を持つことができる。代替として、図7E(後に検討する)に示すように、曲り部分231は、実質的に直線である内部壁233と湾曲した外部壁235を持つことができ、ここで、外部壁235に沿い画成される試料移送路の方向は、試料が直線部分237を通り移行していた方向とは異なる。従って、外部壁235に沿って画成される試料移送路は、内部壁233に沿って画成される試料移送路より大きい。
【0022】
上で言及し、以下で詳細に説明するように、分離チャネル曲り部分は、曲り部分を通る試料の通過に起因するバンド広帯化を低減するよう構成される。バンド広帯化は、曲り部分の内側壁と外側壁に沿って画成される分離路の差の結果として、少なくともその一部が、生じる。試料バンドの分子が同じ速度で曲り部分を通り移行することを想定する場合、曲り部分の内側壁近くの分子は、外側壁近くの分子より迅速に曲りを完了することになる。試料バンドの分子が通り抜ける曲り長さの差異から結果として生じる電界の不均等性もある。バンドの速度(v)は、所定のバンドに対して実質的に不変であるその移動度(μE)と、曲り部分内側の電界の大きさ(E)との積である:
【数1】


電界が外側壁近くより内側壁近くで大きいので、曲り部分の軸に垂直な電界強度勾配もバンド広帯化効果に寄与する。従って、内側壁近くの分子は曲り部分を通り移行する距離が短いだけでなく、曲り部分をより迅速に移動する。加えて、流体の流れがチャネルに導入される、キャピラリ電気クロマトグラフ分析法または他のクロマトグラフ分析法準拠の分離技術に対して、曲り部分の内側壁に沿う経路は、外側壁に沿う経路よりも低い流れ抵抗を有する。
【0023】
図4A〜4Cに示すように、これら要因の最終的結果は、試料バンドが、特に横方向の拡散の後に、広帯化されたバンドとして検出装置14へ出現する傾斜した配向で曲り部分から出てくることである。注入プラグ160が分離チャネルの直線部分162を通り泳動するのに従い、注入プラグ160の構成要素分子はバンド164〜166に分離し、バンドは検出装置14によって時間推移で3つの明確な蛍光ピーク167〜169(図4A)として検出される。バンド164〜166が直線部分162を通って移行する際に、それらは分離チャネルの壁に対し実質的に直交したままである。図4Bを参照すると、上記理由により、バンド164〜166は、曲り部分174の半径方向特性に対して傾斜状態になる(すなわち、各バンドは曲り部分の壁と直角でなく鋭角に交差する)。バンド164〜166が曲り部分174を出て、直線部分176へ入る際に(図4C)、それらは著しく傾斜される。チャネルを横切る拡散が生じた後に、ピーク167〜169は広帯化され、融合されて、それによって、試料成分分離装置10の分解能を低下させる。
【0024】
図5を参照すると、曲り部分を通るバンドの通過によって生じるバンド幅の変化は、所定の曲り部分を特徴付け得る幾つかのパラメータの面から説明できる。以下の検討において、円形曲り部分180は、特性チャネル幅(2r)と、曲率の特性半径(R)と、特性半径(Ri)を持つ内側壁182と、特性半径(Ro)を持つ外側壁184とを有する。試料移送路の内側壁に沿う長さ(Linside)および外側壁に沿う長さ(Loutside)は:
【数2】


【数3】


で与えられ、ここでθはラジアンで表わされる曲り部分の角度である。式(1)と、電界の大きさ(E)が印加電圧(V)および試料路長(L)の商で与えられる事実とに基づき、内側壁182に沿う試料バンドの速度(vinside)および外側壁184に沿う速度(voutside)は、最も単純な解釈として:
【数4】


【数5】


で与えられる。試料バンドが曲り部分180を通って移行するのに要する時間は、路長およびバンド速度の商で与えられる。従って、式(4)および(5)に基づき、内側壁182に沿う経路を通り抜けるのに要する時間(tinside)と外側壁に沿う経路を通り抜けるのに要する時間(toutside)は:
【数6】


【数7】


で与えられる。式(6)および(7)に基づき、試料バンドが内側壁182および外側壁184を通り抜ける時間の差異(Δt)は:
【数8】


で与えられる。最後に、曲りを通る試料の通過に起因するバンド幅での変化(Δw)は、Δt(式(8)で与えられる)と、曲り部分180の中心を通る経路に沿うバンド成分移行に対応すると想定されるバンドの平均速度(vaverage)との積によって与えられる:
【数9】


従って、所定の曲り角度θに対して、曲り部分を通る試料の通過により生じるバンド広帯化は、曲り部分を通る実効チャネル幅(2r)を減らすことによって低減できる。
【0025】
従って、曲り部分を通る試料の通過に起因するバンド広帯化を低減するために、曲り部分は、対応する直線部分の試料移送特性と異なる試料移送特性を有するよう構成され編成できる。例えば、曲り部分を、分離チャネルの直線部分の実効チャネル幅より小さい実効チャネル幅で構成してもよい。実際の曲り部分のチャネル幅は、直線部分のチャネル幅より小さくしてよい;曲り部分の実効チャネル幅は、チャネルの曲り部分にひとつ以上の試料移送障害物を置くことによって縮小できる。代替として、曲り部分を通る試料の泳動は、バンド広帯化を低減するよう制御できる。例えば、試料移送障害物を、所定のバンドの試料成分が実質的に同じレートで曲り部分を通って移行するよう構成することができ、それによってバンドの配向は曲り部分の半径方向特性に沿い実質的に整列されたままである。曲り部分の他の試料移送特性を、曲り部分を通る試料の通過に起因するバンド広帯化を低減するよう適応させてもよい。
【0026】
曲りによって導入されるバンドの広帯化は、図2の実施の形態に示すように、第1曲りの直後に反対方向の第2曲りが導入される場合にも低減できる。しかし、この構成の効用は、検体の拡散定数およびバンドの大きさに依存する。詳細には、当初のバンドが曲り容積に比して非常に大きい場合、この構成は殆どバンド広帯化を示さないことが見込まれる。バンド容積が曲り容積に比して小さく、曲り間の中間にある直線区分を通る通過中に横方向拡散が著しい場合、第2曲りはバンド広帯化効果を著しくは低減しないであろう。他方、バンド容積が曲り容積に比して小さく、曲り間の中間にある直線区分を通る通過中に横方向拡散が微々たる場合、第2曲りは、第1曲りによって導入されたバンド広帯化を低減する傾向となろう。
【0027】
図6A〜6Cに示すように、この新規の手法は、直線部分192、194の幅より小さいチャネル幅を有する曲り部分190を持つ分離チャネル188を設けることによって実施できる。注入プラグ196が分離チャネル188の直線部分192を通って泳動するのに従い、注入プラグ196の構成要素分子は、バンド198〜200に分離し、バンドは検出装置14によって時間推移で3つの明確な蛍光ピーク202〜204(図6A)として検出される。バンド198〜200が直線部分192を通って移行する際に、それらの配向は分離チャネルの壁に対して実質的に直交したままである。図6Bを参照すると、バンド198〜200は曲り部分190の内側壁および外側壁に対して僅かに傾斜した状態になる(すなわち、各バンドは鋭角で曲り部分の壁と交差する)とはいえ、傾斜の度合は、広いチャネル幅を有する曲り部分174(図4A〜4C)を通る通過に起因する傾斜の度合より著しく少ない。バンド198〜200が曲り部分190から出て直線部分194に入る(図6C)際に、それらは著しく傾斜されることはない。結果は、検出装置14によって検出される蛍光ピーク202〜204が僅かに広帯化されるだけである。実際、ピーク202〜204の分解能は、曲り部分を通るバンドによって通り抜けられる追加の泳動距離ゆえに、および新規の曲り設計が分解能を低下しなかったゆえに、バンド198〜200が曲り部分190へ入る前の分解能より大きい。従って、狭いチャネル幅の曲り部分の使用は、試料成分分離装置10の分解能を改善することとなる。
【0028】
図6A〜6Cの実施の形態では、直線部分192、194は(テーパ部分210、212以前に)約138ミクロンのチャネル幅を有することができ、曲り部分190は(テーパ部分210、212後に)約33ミクロンのチャネル幅を持つことができる。テーパ部分210、212の長さは約200ミクロンとすることができる。
【0029】
狭いチャネル幅の曲り部分の別の利点は、バンド積重ね効果に関連する。狭い曲りに入ると、バンドおよびバンド間の間隔は長さが増大することになる。バンドが曲り部分に沿って移行するのに従い、バンドは、試料拡散によって幾らかの広帯化を経ることになる。しかし、曲り部分を抜け出ると、バンドは元の幅に縮小され、曲り部分を通るバンドの通過に起因する広帯化も低減されることになる。この検討では、添字「s」は分離チャネルの直線部分における注入プラグのパラメータを表し、添字「t」は曲り部分における注入プラグのパラメータを表す。直線部分におけるプラグの容積は、曲り部分におけるプラグの容積と同じである。従って:
【数10】


分離チャネルの高さ(h)は、直線部分においてと曲り部分においてとで同一であると仮定する、しかし、これは本発明のために必要である限定的仮定ではない。曲り部分の幅(wt)が、直線部分の幅(ws)の割合(δ;0<δ<1)へ縮小すると仮定した場合(すなわち、wt=δws)、プラグの長さは比例して増大することになり:
【数11】


プラグが曲り部分を通って移行する際に、プラグはまた、曲りを通る通過中に起こる上記で検討した広帯化効果の結果として延長(Δl)もされる。従って、曲りにおけるプラグの全長(ltotal)は:
【数12】


で与えられる。曲り部分を通り抜けた後に、プラグは、チャネル幅wsを持つ別の直線部分へ入ることができる。プラグ容積は保存されるので、プラグ長は、同じ割合(δ)だけ減少する。従って、第2直線部分におけるプラグ長(ls')は:
【数13】


で与えられる。従って、曲り部分を通るプラグの通過に起因する追加の延長(Δl)は、曲り部分のチャネル幅が分離チャネルの直線部分のチャネル幅に比して縮小されるのと同じ割合(δ)だけ縮小される。すなわち、このように、狭い幅の曲り部分の使用は、曲り部分を通る試料の通過に起因するバンド広帯化を更に低減する。
【0030】
図6A〜6Cに戻り、そして図7Aを参照すると、曲り部分196は、遷移部分210、212によって直線部分192、194へ結合され、遷移部分は分離チャネルの直線部分から曲り部分へのチャネル幅の線形縮小で特徴付けられる。この設計において、チャネル幅は曲りに入る前で縮小され、チャネルは曲りの後で広げられる。この変形は、幅を急激に変更するのでなく漏斗形様式で緩やかに、チャネルへテーパを付けることによって達成される。
【0031】
図7B〜7Dに示すように、曲り部分から直線部分への他の遷移も可能である。図7Bの実施の形態は、曲り部分220と直線部分222、224との間に急激な遷移を採用する(すなわち、遷移部分は無い)。この実施の形態での急激な遷移に起因する試料泳動パターンの歪は、渦巻または他の分解能低減特徴を誘導するかもしれないことが注目される。図7Cを参照すると、別の実施の形態で、遷移部分226、228には実質的に段がつけられている。図7Dに示すように、遷移部分229、230は湾曲させることができ、曲り部分を形成する湾曲路を画成する内部壁および外部壁を持つことができる。図7Eを参照すると、代替の実施の形態で、曲り部分231は、実質的に直線内部壁233および湾曲外部壁235から形成してもよい。曲り部分231の幅は、曲り部分231を通る試料の通過に起因するバンド広帯化を低減するよう狭められる。
【0032】
図7Fを参照すると、更に別の実施の形態で、曲り236を具現化する内側壁近くでの試料速度が外側壁238近くでの試料速度より低くなるように、ポスト232(試料移送障害物)のアレイが曲り部分234に置かれている。図示のように、試料移送障害物の密度は、半径方向240に沿い外側壁238から内側壁236へ増大する。ポスト232は、合計経路長および電界強度での半径依存の差異が補正されるように、曲り部分234の内側に置くことができる。例えば、ポスト232は、曲り部分234を通り抜ける試料バンドが、外側壁238および内側壁236に対して曲り部分238の半径方向特性に沿って配向されたままであるように置くことができ、その結果、試料バンドは、曲り部分234の終端へ結合される直線部分に対して実質的に直交する配向で曲り部分234から出てくる。事実上、ポスト232は内側壁236に沿う試料の移動度を低減し、それにより、内側壁236に沿うバンド成分移行は外側壁238に沿って移行するバンド成分と実質的に同じ半径方向速度である。電気泳動法の場合の考え方は、曲りの周りの小半径路および大半径路に対する経路長および抵抗が同じになるようにポストを設定することである。クロマトグラフ分析法の場合の考え方は、小半径路および大半径路に対する流体流動抵抗を同じに保つことである。
【0033】
上で説明した分離チャネルは、引用して本明細書に組込まれた1997年11月7日出願の米国特許出願第08/965,738号に記載の製造方法に従い基板16上に形成できる。例えば、ひとつの実施の形態で、直径378インチで、厚さ1mmの粉砕ホウ素フロート(mashed borofloat)ガラスプレートを49%HFで2分間化学エッチングして、深さ14ミクロンの分離チャネルを生成してよい。湿式エッチング用のパターン形成が標準のフォトリソグラフィ技術を用いて達成される。次に第2上部プレートが、エッチングされたプレートへ接合され、チャネルを形成する。孔が上部プレートに形成され、流体アクセスを提供する。これらデバイスは、試料の電気泳動に適切なプラスチックまたは他のポリマー構造で、同等に製造つまりモールド成形することができる。また、電気泳動に適するよう、デバイスの表面を好適な誘電体またはポリマーで被覆または処理することで、半導体製造で使用されるシリコンウェーハや他の材料からデバイスを形成可能である。
【0034】
他の実施の形態は特許請求の範囲に含まれる。
【0035】
例えば、本明細書に説明した新規の曲り手法は、米国特許出願第08/965,738号に記載のキャピラリアレイ電気泳動法(CAE)の実施の形態のいずれにも適用できる。
【符号の説明】
【0036】
10:試料成分分離装置、12:分離装置、14:検出装置、16:基板、18:電極装置、20:光源、22:光ビーム、24:励起フィルタ、26:ミラー、28:ビーム拡大器、30:ダイクロイック・ビームスプリッタ、32:ガルボスキャナ、34:共焦点レンズアセンブリ、36:放射フィルタ、38:レンズ、42:検出器、50,188:分離チャネル、52,96,98,100,102,104,106,108,110:陰極リザーバ、54,112:陽極リザーバ、56:第1曲り部分、58,60,162,176,192,194,222,224,237:直線部分、62:第2曲り部分、66,114,116,118,120,122,124,126,128:試料リザーバ、68,130,132,134,136,138,140,142,144:廃棄物リザーバ、70:注入チャネル、72:交点、74:走査線、80,82,84,86,88,90,92,94:分離チャネル、146:円形走査路、152:セグメント、180:円形曲り部分、148,182,236:内側壁、150,184,238:外側壁、154,174,190,220,231,234,238:曲り部分、160,196:注入プラグ、164,165,166,198,199,200:バンド、167,168,169,202,203,204:蛍光ピーク、210,212:テーパ部分、210,212,226,228,229,230:遷移部分、232:ポスト、233:直線内部壁、235:外部壁、240:半径方向。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
曲り部分を通る試料の通過に起因するバンド広帯化を低減するよう構成される少なくともひとつの前記曲り部分を有する分離チャネルを備える、試料成分分離装置。
【請求項2】
前記分離チャネルは電気泳動分離を遂行するよう構成される、請求項1の装置。
【請求項3】
前記曲り部分はひとつ以上の試料移送障害物を含む、請求項1の装置。
【請求項4】
前記曲り部分は曲っている面において実効チャネル幅を有し、前記実効チャネル幅は実質的に直線である部分の実効チャネル幅より小さい、請求項1の装置。
【請求項5】
前記曲り部分はひとつ以上の試料移送障害物を含む、請求項4の装置。
【請求項6】
更に、前記実質的に直線である部分と前記曲り部分とを結合する遷移部分を備え、前記遷移部分は前記狭い曲り部分から前記広い直線部分に向けて増大する実効チャネル幅を有する、請求項4の装置。
【請求項7】
前記遷移部分の実効チャネル幅の増大は、実質的に線形である、請求項6の装置。
【請求項8】
前記遷移部分の実効チャネル幅の増大は、階段状である、請求項6の装置。
【請求項9】
前記遷移部分は湾曲路を画成する、請求項6の装置。
【請求項10】
少なくともひとつの実質的に直線である部分と少なくともひとつの曲り部分とを有する分離チャネルを備え、前記曲り部分は、前記実質的に直線である部分の対応する試料移送特性とは異なる試料移送特性を有する、試料成分分離装置。
【請求項11】
前記分離チャネルは、電気泳動分離を遂行するよう構成される、請求項10の装置。
【請求項12】
前記曲り部分はひとつ以上の試料移送障害物を含む、請求項10の装置。
【請求項13】
前記曲り部分は曲っている面において実効チャネル幅を有し、前記実効チャネル幅は前記実質的に直線である部分の実効チャネル幅より小さい、請求項10の装置。
【請求項14】
前記曲り部分は、ひとつ以上の試料移送障害物を含む、請求項13の装置。
【請求項15】
更に、前記実質的に直線である部分と前記曲り部分とを結合する遷移部分を備え、前記遷移部分は前記狭い曲り部分から前記広い直線部分に向けて増大する実効チャネル幅を有する、請求項13の装置。
【請求項16】
前記遷移部分の実効チャネル幅の増大は、実質的に線形である、請求項15の装置。
【請求項17】
前記遷移部分の実効チャネル幅の増大は、階段状である、請求項15の装置。
【請求項18】
前記遷移部分は、湾曲路を画成する、請求項15の装置。
【請求項19】
前記曲り部分は内側壁および外側壁を有し、前記曲り部分の前記内側壁近くでの試料の成分の速度は、前記曲り部分の前記外側壁近くでの同じ試料の異なる成分の速度より低い、請求項10の装置。
【請求項20】
前記曲り部分は内側壁および外側壁を有し、更に、外側壁近くの領域よりも内側壁近くの領域において高い密度で、前記分離チャネルの前記曲り部分に配設される複数の試料移送障害物を備える、請求項10の装置。
【請求項21】
前記試料移送障害物の密度は、前記外側壁から前記内側壁への方向に沿って増大する、請求項20の装置。
【請求項22】
試料成分分離装置であって、前記装置は:
陰極リザーバと;
陽極リザーバと;
少なくともひとつの実質的に直線である部分と少なくともひとつの曲り部分とを有する試料移送路を、前記陰極リザーバと前記陽極リザーバ間に画成する分離チャネルであって、前記曲り部分は、前記試料移送路の前記直線部分の試料移送特性とは異なる試料移送特性を有する、分離チャネルと、
を備える、試料成分分離装置。
【請求項23】
前記分離チャネルは電気泳動分離を遂行するよう構成される、請求項22の装置。
【請求項24】
前記曲り部分は、前記直線部分の実効チャネル幅より小さい実効チャネル幅を有する、請求項22の装置。
【請求項25】
更に、前記直線部分と前記曲り部分とを結合する遷移部分を備え、前記遷移部分は前記狭い曲り部分から前記広い直線部分に向けて増大する実効チャネル幅を有する、請求項24の装置。
【請求項26】
前記遷移部分の実効チャネル幅の増大は、実質的に線形である、請求項25の装置。
【請求項27】
前記遷移部分の実効チャネル幅の増大は、階段状である、請求項25の装置。
【請求項28】
前記遷移部分は、試料成分の拡散を低減するよう設計される、請求項25の装置。
【請求項29】
前記曲り部分は内側壁および外側壁を有し、前記曲り部分は、前記曲り部分の前記外側壁に近接する試料分子の移送に比べて前記曲り部分の前記内側壁に近接する試料分子の移送を遅らせるよう配設されるひとつ以上の試料移送障害物を含む、請求項22の装置。
【請求項30】
更に、複数の分離チャネルを備え、その各々が、連係する陰極リザーバと前記陽極リザーバ間に、少なくともひとつの曲り部分を有する試料移送路を画成する、請求項22の装置。
【請求項31】
試料成分分離装置であって、前記装置は:
陰極リザーバ手段と;
陽極リザーバ手段と;
曲り部分手段を通る電気泳動試料の通過に起因するバンド広帯化を低減する前記曲り部分手段を有する分離チャネル手段と;
前記分離チャネルへ結合される試料リザーバ手段と;
前記分離チャネルへ結合される廃棄物リザーバ手段と、
を備える、試料成分分離装置。
【請求項32】
試料成分分離装置を製作する方法であって、前記方法は:
基板に陰極リザーバを形成するステップと;
前記基板に陽極リザーバを形成するステップと;
実質的に直線である部分と少なくともひとつの曲り部分とを有する試料移送路を、前記陰極リザーバと前記陽極リザーバ間に画成する分離チャネルを前記基板に形成するステップであって、前記曲り部分は、前記試料移送路の前記実質的に直線である部分の試料移送特性とは異なる試料移送特性を有する、分離チャネル形成ステップと、
を含む方法。
【請求項33】
前記曲り部分は、前記試料移送路の前記実質的に直線である部分の実効チャネル幅より小さい実効チャネル幅を有する、請求項32の方法。
【請求項34】
前記曲り部分は内側壁および外側壁を有し、前記曲り部分は、前記曲り部分の前記外側壁に近接する試料分子の移送に比べて前記曲り部分の前記内側壁に近接する試料分子の移送を遅らせるよう配設される試料移送障害物を含む、請求項32の方法。
【請求項35】
更に、複数の分離チャネルを備え、その各々が、連係する陰極リザーバと陽極リザーバ間に、少なくともひとつの曲り部分を有する試料移送路を画成する、請求項32の方法。
【請求項36】
電気泳動法によって試料を分離する方法であって、前記方法は:
キャピラリ電気泳動基板における試料リザーバ内へ試料を置くステップと;
分離チャネルの一部分内へ前記試料の一部分を注入するステップと;
実質的に直線である部分と少なくともひとつの曲り部分とを有する試料移送路を、陰極リザーバと陽極リザーバ間で、前記基板に画成する前記分離チャネルに沿って前記試料を駆動するように、前記基板の前記陰極リザーバと前記陽極リザーバ間に作動電圧を印加するステップであって、前記曲り部分は、前記試料移送路の前記実質的に直線である部分の試料移送特性とは異なる試料移送特性を有する、印加ステップと、
を含む方法。
【請求項37】
前記曲り部分は曲っている面において実効チャネル幅を有し、前記実効チャネル幅は前記直線部分の実効チャネル幅より小さい、請求項36の方法。
【請求項38】
前記曲り部分は内側壁および外側壁を有し、前記曲り部分は、前記曲り部分の前記外側壁に近接する試料分子の移送に比べて前記曲り部分の前記内側壁に近接する試料分子の移送を遅らせるよう配設される試料移送障害物を含む、請求項36の方法。
【請求項39】
更に、複数の分離チャネルを備え、その各々が、連係する陰極リザーバと陽極リザーバ間に、少なくともひとつの曲り部分を有する試料移送路を画成する、請求項36の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図7F】
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【公開番号】特開2012−137495(P2012−137495A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−45701(P2012−45701)
【出願日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【分割の表示】特願2000−598845(P2000−598845)の分割
【原出願日】平成12年1月11日(2000.1.11)
【出願人】(592130699)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア (364)
【氏名又は名称原語表記】The Regents of The University of California