説明

微細化装置

【解決課題】簡単な装置構成で液微粒子を微細化できる微細化装置を提供することを目的とする。
【課題解決手段】微細化装置は、噴霧手段と、液面を形成し、当該液面で前記噴霧手段から噴霧された液微粒子を跳ね返えすことで、当該液微粒子を微細化する液面微細化手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、噴霧装置から噴霧された液微粒子を微細化する微細化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療機器(例えば、吸入機)、半導体(成膜技術)、スプレードライヤー(セラミック新素材)、燃焼用バーナー等の分野において、製品目的に応じた微粒子の平均粒子径、噴霧量が要望されている。しかしながら、現状の霧化技術として、気液混合式(二流体式)、超音波式、超高圧式(100MPa〜300MPa)、蒸発式等があるが、製品目的に応じた微粒子の平均粒子径および噴霧量を満足させるためには、いずれも装置コストが高くなり、小型化も困難であった。
【0003】
気液混合式として、微粒子ミストを生成するための噴霧ノズル装置が知られている(特許文献1)。この噴霧ノズル装置は、第1ノズル部と第2ノズル部を有し、第1ノズル部からの噴霧液と第2ノズル部からの噴霧液とを衝突させて、微粒子ミストを形成することができる。しかしながら、2流体ノズル部を2つ備えるため、コスト高であり、小型化にも適していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−126587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、簡単な装置構成で液微粒子を微細化できる微細化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の微細化装置は、噴霧手段と、液面を形成し、当該液面で前記噴霧手段から噴霧された液微粒子を跳ね返えすことで、当該液微粒子を微細化する液面微細化手段とを有する。
【0007】
この構成によれば、噴霧手段から噴霧された液微粒子を液面微細化手段の液面で跳ね返えすことで、当該液微粒子を好適に微細化することができる。微細化のメカニズムは以下の通りである。液微粒子を例えば、液面へ噴霧することで、重力加速度も加わり、質量の大きい微粒子(粒子径が大きい微粒子)は、液面と接触しやすい傾向にあり、液面と接触した大きい粒子径の微粒子は、そのまま液と混じり合うと考えられ、一方、質量の小さい微粒子(粒子径が小さい微粒子)は、液面と接触する前に浮遊して、例えば、開口部等の低圧方向へ移動したり、液面に接触しても液と混じり合わずに低圧方向に移動する傾向にあると考えられる。すなわち、粒子径の大きい液微粒子を排除することで、液微粒子全体の平均粒子径を小さくし、液微粒子を微細化することができる。
【0008】
噴霧手段としては、例えば、一流体ノズル装置、二流体ノズル装置、超音波装置、超高圧噴霧装置、蒸発式噴霧装置等が挙げられる。液面微細化手段は、液面を構成する液を溜めておく貯留部を少なくとも備える。液は、液体であれば特に制限されず、例えば、水、液微粒子の供給液等が挙げられる。液面は1つでもよく、2つ以上でもよい。液面の面積は、液微粒子の噴射面積に応じて設定できる。
【0009】
また、液面微細化手段は、液の貯留部と、貯留部から上方に延設された壁部とを有し、壁部に貫通開口部を形成してあってもよく、噴霧手段から噴霧された液微粒子が、当該壁部の上方開口部から入り、液微粒子が液面で跳ね返って、貫通開口部から外部へ流出するように構成できる。
【0010】
噴霧手段から噴霧される液微粒子が液面と接触(または衝突)する角度は、特に制限されないが、例えば、液微粒子が液面に対し垂直に接触するあるいは斜めから接触することが挙げられる。かかる場合、上記液面微細化手段の壁部が液面に対して、垂直に形成されていてもよく、液面に対して、傾斜して形成されていてもよい。
【0011】
また、上記発明の一実施形態として、前記噴霧手段から噴霧された液微粒子が液面に達するまでに、当該液微粒子を微細化する第1微細化手段を、さらに有することが好ましい。
【0012】
この構成によれば、第1微細化手段で液微粒子を微細化し、次いで、液面微細化手段で液微粒子を微細化できるため、液微粒子をさらに微細化できる。第1微細化手段は、例えば、筒状バッフル、筒部と筒部の一方が裾広がりのフレア部(縦スリット入り)とを有するバッフル等が挙げられる。第1微細化手段は、上記液面微細化手段の壁部の内側に配置されてもよい。
【0013】
また、上記発明の一実施形態として、前記液面微細化手段による微細化処理後に、液微粒子をさらに微細化する第2微細化手段をさらに有する構成がある。
【0014】
この構成によれば、液面微細化手段で液微粒子を微細化し、さらに、第2微細化手段で液微粒子を微細化できる。また、第1微細化手段の微細化も組み込むことで、三段階の微細化を施した液微粒子を得ることができる。第2微細化手段は、例えば、筒状バッフル、筒状部と筒状部の一方が裾広がりのフレア部(縦スリット入り)とを有するバッフル等が挙げられる。第2微細化手段は、上記貫通開口部の近傍に配置されてもよく、貫通開口部に連設するようにして配置されてもよい。
【0015】
また、上記発明の一実施形態として、前記微細化装置は、前記噴霧手段から噴霧された液微粒子が噴霧供給される微細化室を有し、当該微細化室に装置本体外へ通じる開口部が形成され、当該微細化室の下方に前記液面微細化手段が設けられる構成である。
【0016】
この構成によれば、噴霧手段から液面に向かって噴霧された液微粒子を微細化室の液面微細化手段で微細化し、微細化室の例えば側面または上方部に形成された開口部から微細化された液微粒子を放出することができる。開口部は、壁部の貫通部として構成されてもよく、この開口部に連設して壁部から突設する放出用管(例えば、直管、エルボ状管等)を設けることができる。微細化室は、液面に接触するように構成してもよく、液面より高い位置に配置されていてもよい。また、微細化室は、上記液面微細化手段の壁部に連設されていてもよい。微細化室に開口部が形成されている場合、上記壁部の貫通開口部は、なくてもよく、あってもよい。上記第2微細化手段が、当該微細化室の開口部の近傍に配置されてもよく、当該開口部に連設するようにして配置されてもよい。
【0017】
また、上記発明の一実施形態として、前記噴霧手段の噴霧部近傍に、前記液微粒子の噴霧方向に沿って、気体を供給する気体供給手段を、さらに有する構成がある。気体供給手段から供給された気体は、噴霧手段から噴霧された液微粒子の進行方向を規定し、液微粒子の搬送手段として機能させることができる。
【0018】
また、気体供給手段による気体の作用によって、噴霧手段から噴霧される液微粒子の噴霧量を増減調整することができる。気体供給手段は、例えば、気体を加圧噴射させることで、それがない構成よりも、噴霧手段から噴霧される液微粒子の噴霧量を結果的に増加させることができる。気体としては、例えば、空気、清浄空気(クリーンエア)、窒素、不活性ガス、燃料混合エア、酸素等が挙げられ、使用目的に応じて適宜設定可能である。
【0019】
また、上記発明の一実施形態として、前記噴霧手段が二流体ノズルであって、当該二流体ノズルが前記液面に対向配置され、当該液面に向かって液微粒子を噴霧する構成である。
【0020】
また、上記発明の一実施形態として、前記液面微細化手段の液面を構成する液が、前記二流体ノズルに供給される供給液である。この構成によれば、別々の液を準備する必要がなく、また、液同士のコンタミの問題も生じない。液面微細化手段の液を二流体ノズルに供給する場合、液面の高さが変動する。この場合、液微粒子の跳ね返りによる微細化の影響が実質的にない範囲で、二流体ノズルに液供給を行ってもよい。また、液面高さを一定に維持するように、あるいは高さ変動が許容できる範囲内で、液面微細化手段に液を供給できるように液供給手段、液面高さ検出手段等を設置しておくことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】二流体ノズルの先端部分の一例の断面模式図である。
【図2】微細化装置の一例を示す図である。
【図3】微細化装置の一例を示す図である。
【図4】微細化装置の一例を示す図である。
【図5】微細化装置の一例を示す図である。
【図6】微細化装置の一例を示す図である。
【図7】微細化装置の一例を示す図である。
【図8】実験例7の粒度分布を示す図である。
【図9】実験例8の粒度分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本実施形態の微細化装置は、噴霧手段として、二流体ノズルを例にして説明する。二流体ノズルとしては、通常の二流体ノズルを制限なく用いることができ、以下で説明する二流体ノズルに限定されないのは当然である。二流体ノズルは、液をエアによって微細化する一次微細化機能を実現している。
【0023】
二流体ノズルの一例について図1を参照しながら説明する。図1(b)は、二流体ノズル1の噴霧部の断面図であり、図1(a)は、内ノズル12の断面図である。内ノズル12は、内ノズルの天面12c(台錘形状の天面)を形成し、その中央部分に内オリフィス12a(内オリフィス径:φd2)が形成され、内オリフィス12aは内流通部12b(第1流通路に相当する)と通じている。内ノズル12の外壁の4箇所に凸部12dが形成され、この凸部12dが外ノズル11の内壁と当接することで外流通部11b(第2流通路に相当する)を形成する。外オリフィス11aと内オリフィス12aは同軸上に形成されるように、外ノズル11の内部に内ノズル12が組み込まれており、天面12cと、それに対向した外ノズルの内壁部とは、所定間隔L1の隙間が形成される。天面12cの外径としては、例えば、外オリフィス径(φd1)よりも大きいことが好ましく、特に制限されないが例えば、0.2mm〜5.0mmの範囲が例示される。
【0024】
内オリフィスおよび第1流通路を流通する「第1流体」を気体にした場合、外オリフィスおよび第2流通路を流通する「第2流体」は液体である(この場合を、「内エア方式」という。)。また、この逆のパターンとして、内オリフィスおよび第1流通路を流通する「第1流体」を液体にした場合、外オリフィスおよび第2流通路を流通する「第2流体」は気体である(この場合を、「外エア方式」という。)。本発明では、特に制限されず、いずれのパターンでも液微粒子を噴霧できるが、内エア方式の場合、低圧の気体供給圧(例えば、10kPa〜100kPa以下)の場合においても外エア方式より平均粒子径の小さい液微粒子を噴霧でき、噴霧される液微粒子の粒子径範囲(最大、最小、偏差)を好適に調整可能である。
【0025】
上記二流体ノズルの構成部材としては、公知の部材を用いることができ、例えば、金属製、プラスチック製、ゴム製、それらが混在したもので構成できる。
【0026】
二流体ノズルに供給される「気体」は、特に制限されず、例えば、空気、清浄空気、高酸素濃度空気、不活性ガス等の気体が挙げられる。また、二流体ノズルに供給される「液体」は、特に制限されないが、例えば、水、イオン化水、化粧水等の化粧薬液、医薬液、殺菌液、除菌液等の薬液、塗料、燃料油、コーティング剤、溶剤、樹脂等が挙げられる。
【0027】
二流体ノズルに供給される気体の供給圧力は、特に制限されないが、例えば、10kPa〜500kPaの範囲が挙げられる。液体の供給圧力は、フリー、例えば、液体の供給圧力等の外的作用がない状態でもよく、液体に圧力をかけてもよい。また、外エア方式および内エア方式の両方が可能である。なお、気体供給圧力を低圧にできるため、二流体ノズルの気体送給に必要な駆動源(例えば、コンプレッサー、エアポンプ、電源、圧縮空気ボンベ、手動の空気送給機構)を小型化できる。
【0028】
(液面微細化手段)
図2を用いて液面微細化手段2を説明する。液面微細化手段2は、液21を溜めて、液面211を形成する貯留部20を有する。二流体ノズル1から噴霧された液微粒子100は、液面211で跳ね返る(符号101参照)。液微粒子100は、液面211の方向に噴霧され、かつ液面211で跳ね返ることで、液微粒子中の粒子径の大きい粒子の数を減少させることができ、その結果として液微粒子を微細化することができる。液面211で跳ね返った液微粒子は、例えば、跳ね返る位置に配管等を設置し、エア送風手段または吸引手段等で配管を通じて目的地に搬送させることができる。
【0029】
図3は、図2とは別の液面微細化手段の一例である。図3の液面微細化手段2の貯留部20aは、二流体ノズル1が着脱自在に取り付け可能であり、また、液面上方に、液微粒子102の出口となる出口部22を有している。出口部22は、上方に限定されず、貯留部20aの側面に形成されていてもよい。出口部22に液微粒子102を任意の目的地に送るための経路となる配管が連設されていてもよい。貯留部20aの形状は、図2、3の形状に限定されず、本発明の目的を実現できる形状であれば特に問わない。貯留部20aには、内部空気圧を調整するための貯留部20aの壁面を貫通する貫通穴(不図示)が形成されていてもよい。この貫通穴の開口面積を可変に構成していてもよい。また、貫通穴を二流体ノズル1の噴霧口の近傍に形成し、貫通穴から気体を供給するように構成できる。気体を供給する手段は、例えば、送風装置、コンプレッサー等で構成できる。
【0030】
二流体ノズル1の噴霧口から液面211までの距離(D1)は、特に制限されないが、例えば、20mm〜1000mmの範囲が挙げられ、平均粒子径制御の観点から30mm〜500mmの範囲が好ましく、30mm〜300mmの範囲がより好ましく、30mm〜200mmの範囲がさらに好ましい。
【0031】
また、液21を二流体ノズル1の内ノズルまで吸い上げて、液微粒子の供給液に構成してもよい。液21は、例えば、液面211より低い位置の貯留部20a、20の壁面から二流体ノズル1の液供給部までに配置された配管(不図示)等で、吸い上げることができる。液体供給圧を零にして、気体噴霧による負圧作用で液21を吸い上げるように構成できる。
【0032】
(第1微細化手段)
図4に示す第1微細化手段は、二流体ノズル1の噴霧部から液面211の方へ延びる筒状バッフル3である。筒状バッフル3の下端から液面211まで所定の間隔31が形成され、所定の間隔31から微細化された液微粒子を開口部(不図示)に導くことができる。「筒状」は、その断面が真円、楕円でもよく、多角形断面の筒状も含む概念である。また、筒状バッフル3には、内部空気圧を調整するための筒状バッフル3の壁面を貫通する貫通穴(不図示)が形成されていてもよい。この貫通穴の開口面積を可変に構成していてもよい。また、貫通穴を二流体ノズル1の噴霧口の近傍に形成し、貫通穴から気体を供給するように構成できる。気体を供給する手段は、例えば、送風装置、コンプレッサー等で構成できる。
【0033】
筒状バッフル3は、二流体ノズル1から噴霧された液微粒子を微細化し、噴霧された液微粒子を下方へ効率よく案内でき、かつ、大きい粒子径の微粒子(飛沫)を筒状バッフル3の壁面に接触させて液滴に成長させることもできる。そして、液微粒子が液面211で跳ね返り、小さい粒子径の微粒子は、間隔31の隙間から外部に放出され、開口部(低圧方向)に導かれる。「所定の間隔31」の距離D2は、特に制限されないが、二流体ノズルの噴霧口から液面211までの距離D1にも依存するが、例えば、0.5mm〜50mmの範囲が例示される。
【0034】
図5に示す第1微細化手段は、二流体ノズル1の噴霧部から液21内へ延びる筒状バッフル4である。筒状バッフル4は、側壁上方に開口部41を有し、開口部41から微細化された液微粒子が筒状バッフル4の外へ流出する。「筒状」は、その断面が真円、楕円でもよく、多角形断面の筒状も含む概念である。また、筒状バッフル4には、内部空気圧を調整するための筒状バッフル4の壁面を貫通する貫通穴(不図示)が形成されていてもよい。この貫通穴の開口面積を可変に構成していてもよい。また、貫通穴を二流体ノズル1の噴霧口の近傍に形成し、貫通穴から気体を供給するように構成できる。気体を供給する手段は、例えば、送風装置、コンプレッサー等で構成できる。
【0035】
筒状バッフル4は、二流体ノズル1から噴霧された液微粒子を微細化し、噴霧された液微粒子を下方へ効率よく案内でき、かつ、大きい粒子径の微粒子(飛沫)を筒状バッフル4の壁面に接触させて液滴に成長させることもできる。そして、液微粒子が液面211で跳ね返り、小さい粒子径の微粒子は、開口部41(低圧方向)に導かれる。開口部41が上方にあることで、粒子径の小さい微粒子が多く放出される傾向にある。
【0036】
また、他の第1微細化手段として、上記筒状バッフル3の下部をフレア状に開いた形状に構成でき、さらに、このフレア状部分に縦スリットを形成することもできる。噴霧された液微粒子は、バッフルに接触し、大きい粒子径の液微粒子は液滴に成長し、貯留部20に落下する。
【0037】
(微細化室)
図6に示す微細化室6は、二流体ノズル1から垂直下方に噴霧された液微粒子を液面211へ案内する筒状案内部61と、当該筒状案内部61の側面に外部へ通じる筒状開口部62を有し、当該微細化室6の下端は、液面微細化手段2の液21内に配置される。液面211で跳ね返った液微粒子は、筒状開口部62から流出する。筒状開口部62の開口中心軸の方向は、図6では斜め上方向であるが、特にこれに制限されず、筒状案内部61の開口中心軸に対して垂直方向でもよく、斜め下方でもよい。当該筒状案内部61は、上記の第1微細化手段としの機能も兼ねることができる。
【0038】
また、図7に示す別の微細化室7は、二流体ノズル1から斜め下方に噴霧された液微粒子を液面211へ案内する筒状案内部71と、当該液面211で跳ね返った液微粒子が外部へ流出する筒状開口部72を有し、当該微細化室7の下端は、液面微細化手段2の液21内に配置される。筒状開口部72の開口中心軸の方向は、図7では垂直方向であるが、特にこれに限定されず、斜め方向に傾いていてもよい。当該筒状案内部71は、上記の第1微細化手段としての機能も兼ねることができる。
【0039】
(第2微細化手段)
また、上記の筒状開口部62、72に連設して、液微粒子をさらに微細化する第2微細化手段を有する構成が可能である。例えば、第2微細化手段は、その長手方向が曲がったエルボ形状で構成できる。このエルボ形状によって壁面接触が起こりやすく微細化が促進される。
【0040】
(実験例1)
図1の二流体ノズルを用い、図2の液面微細化手段として容器を用い、この容器に水を入れて液面を形成した。二流体ノズルの噴霧口から液面までの垂直距離(D1)を、50mm〜300mmの間で変えた場合における跳ね返り液微粒子量(リターンフォッグ量(RF量):f[ml/min])、その平均粒子径(目視)について評価した。二流体ノズルは、内エア方式で、水、空気を用い以下の条件で噴霧した。なお、二流体ノズルから噴霧された液微粒子の噴霧量を一次噴霧量(Qw)とする。結果を表1に示す。
二流体ノズル:図1(b)のL1=0.195mm、
外オリフィス径(φd1)=0.4mm、
内オリフィス径(φd2)=0.24mm、
二流体ノズル噴霧口(外オリフィス出口)から液面までの距離(D1)=50、100、150、200、250、300mm、
空気圧力(Pa)=0.1MPa(空気供給駆動源はコンプレッサー)、
水圧=0、
空気流量(Qa)=0.80NL/min、
二流体ノズルの一次噴霧量(Qw)=4.44ml/min(この値になるように調整)、
一次噴霧の平均粒子径(目視観察)=35μm。
【0041】
【表1】

【0042】
(実験例2)
空気圧力(Pa)=0.05MPa、空気流量(Qa)=0.57NL/min、一次噴霧量(Qw)=3.98ml/minに設定したこと以外は、実験例1と同様である。なお、一次噴霧の平均粒子径(目視観察)=35μmである。結果を表2に示す。
【0043】
【表2】

【0044】
(実験例3)
空気圧力(Pa)=0.20MPa、空気流量(Qa)=1.19NL/min、一次噴霧量(Qw)=8.02ml/minに設定したこと以外は、実験例1と同様である。なお、一次噴霧の平均粒子径(目視観察)=35μmである。結果を表3に示す。
【0045】
【表3】

【0046】
上記実験例1〜3の結果から、二流体ノズルの噴霧口から液面までの距離D1が小さいほど、目視観察による液微粒子の平均粒子径が小さい傾向であり、リターンフォッグ量(RF量)も小さくなる傾向であることを確認できた。
【0047】
(実験例4)
実験例4では、図6の微細化室を用いて、二流体ノズルを垂直下方に噴霧させた。微細化室の下端を液内に入れて噴霧させた場合と、下端と液面との間を50mmの隙間を設けた場合の2条件で行った。二流体ノズルの条件は実験例1と同じとし、空気圧力(Pa)=0.1MPa、空気流量(Qa)=0.80NL/min、二流体ノズルの一次噴霧量(Qw)=4.44ml/minとした。二流体ノズル噴霧口(外オリフィス出口)から液面までの垂直の距離(高さ)(D1)=200mmとした。なお、一次噴霧の平均粒子径(目視観察)=35μmである。結果を表4に示す。
【0048】
【表4】

【0049】
(実験例5)
実験例5では、図7の微細化室を用いて、二流体ノズルを斜め45℃の下方へ噴霧させた。微細化室の下端を液内に入れて噴霧させた場合と、下端と液面との間を50mmの隙間を設けた場合の2条件で行った。二流体ノズルの条件は実験例4と同じとし、空気圧力(Pa)=0.1MPa、空気流量(Qa)=0.80NL/min、二流体ノズルの一次噴霧量(Qw)=4.44ml/minとした。二流体ノズル噴霧口(外オリフィス出口)から液面までの高さの距離(D1)=200mmとした。なお、一次噴霧の平均粒子径(目視観察)=35μmである。結果を表5に示す。
【0050】
【表5】

【0051】
上記実験例4,5の結果から、上記の条件である場合、垂直噴霧の方が、斜め45°の下方噴霧よりも、目視観察による液微粒子の平均粒子径が小さい傾向であるものの、リターンフォッグ量(RF量)も小さくなる傾向であることが分かる。これは、粒子径の大きい液微粒子の残存量の違いが両者の結果に表れているものと考えられ、斜め45°の下方噴霧の方が、粒子径の大きい粒子が多く含まれていると推察される。
【0052】
(実験例6)
図1の二流体ノズルを用い、図2の液面微細化手段として容器を用い、この容器に水を入れて液面を形成した。二流体ノズルの噴霧口から液面までの垂直距離(D1)を200mmとして、二流体ノズルから噴霧される一次噴霧(Qw)の平均粒子径と、液面で跳ね返った液微粒子の(リターンフォッグ(RF))の平均粒子径を評価した。評価方法は、一次噴霧の液微粒子と跳ね返り後の液微粒子を、20mm×15mmサイズの感水紙(Syngenta社製)で受け、液による斑点面積、斑点の平均直径、斑点総数から、液微粒子の平均粒子径を算術した(以下、感水紙評価法という)。予め分かっている粒子径の液微粒子を測定しておき、それとの比較で相対的に算術できる。
【0053】
二流体ノズルは、内エア方式で、水、空気を用い以下の条件で噴霧した。
二流体ノズル:図1(b)のL1=0.195mm、
外オリフィス径(φd1)=0.4mm、
内オリフィス径(φd2)=0.24mm、
空気圧力(Pa)=0.2MPa(空気供給駆動源はコンプレッサー)、
空気流量(Qa)=36.0NL/min、
水圧=0.38MPa、
二流体ノズルの一次噴霧量(Qw)=55ml/min(この値になるように調整)。
【0054】
一次噴霧(Qw)とリターンフォッグ(RF)の粒度分布を図8に示す。一次噴霧(Qw)の算術平均粒子径は33.6μm、MMD(Mass Median Diameter)は62.7μmであった。これに対し、リターンフォッグ(RF)のRF量が8ml/min、RF率が14.5%で、算術平均粒子径が22.6μm、MMDが38.0μmであった。
【0055】
(実験例7)
実験例7では、二流体ノズルの条件を以下にして、他は、実験例6と同じ条件とした。
二流体ノズル:図1(b)のL1=1.0mm、
外オリフィス径(φd1)=3.0mm、
内オリフィス径(φd2)=2.5mm、
空気圧力(Pa)=0.2MPa(空気供給駆動源はコンプレッサー)、
空気流量(Qa)=80NL/min、
水圧=0.15MPa、
二流体ノズルの一次噴霧量(Qw)=160ml/min(この値になるように調整)。
【0056】
一次噴霧(Qw)とリターンフォッグ(RF)の粒度分布を図9に示す。一次噴霧(Qw)の算術平均粒子径は27.5μm、MMD(Mass Median Diameter)は37.8μmであった。これに対し、リターンフォッグ(RF)のRF量が56ml/min、RF率が35.0%で、算術平均粒子径が24.5μm、MMDが36.1μmであった。
【0057】
実験例6、7の結果から、リターンフォッグ(RF)の方が一次噴霧(Qw)よりも、液微粒子の粒子径範囲が狭まり、粒子径の小さい液微粒子の数が増加する傾向であることを確認できた。
【符号の説明】
【0058】
1 二流体ノズル
2 液面微細化手段
6、7 微細化室
211 液面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
噴霧手段と、
液面を形成し、当該液面で前記噴霧手段から噴霧された液微粒子を跳ね返えすことで、当該液微粒子を微細化する液面微細化手段と、を有する微細化装置。
【請求項2】
前記噴霧手段から噴霧された液微粒子が前記液面に達するまでに、当該液微粒子を微細化する第1微細化手段を、さらに有する請求項1に記載の微細化装置。
【請求項3】
前記微細化装置は、前記噴霧手段から噴霧された液微粒子が噴霧供給される微細化室をさらに有し、
当該微細化室に装置本体外へ通じる開口部が形成され、当該微細化室の下方に前記液面微細化手段が設けられる、請求項1または2に記載の微細化装置。
【請求項4】
前記噴霧手段が二流体ノズルであって、当該二流体ノズルが前記液面に対向配置され、当該液面に向かって液微粒子を噴霧する、請求項1から3のいずれか1項に記載の微細化装置。
【請求項5】
前記液面微細化手段の液面を構成する液が、前記二流体ノズルに供給される供給液である、請求項4に記載の微細化装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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