説明

微細構造シート

【課題】導光板の端面から光を入射した場合、光偏向要素に含まれる平滑面に形成された微細な凹凸と楕円半球状の光学的構造体とにより光が干渉し、スジ状若しくは点状の外観不良が発生するのを低減できる導光板を得ることができる微細構造シートを提供する。
【解決手段】樹脂シートの一方の面に直線畝状の単位光学的構造体が平行に並んで連続的に配置され、前記樹脂シートの他方の面に楕円半球状の単位光学的構造体が間隙を有して配置され、前記楕円半球状の単位光学的構造体間に平滑面が配置され、前記平滑面の算術平均粗さRaが前記楕円半球状の単位光学的構造体の高さの10000分の1以上、285分の1以下の範囲内であることを特徴とする微細構造シートとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は微細構造シートに関するものであり、特に照明光路制御に使用される導光体に使用される微細構造シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近の大型液晶テレビやフラットディスプレイパネル等においては主に、直下型方式の照明装置と、エッジライト方式の照明装置とが採用されている。直下型方式の照明装置では、光源として複数の冷陰極管やLED(Light Emitting Diode)がパネルの背面に規則的に配置される。液晶パネル等の画像表示素子と光源との間には、光散乱性の強い拡散板が用いられ、光源としての冷陰極管やLEDが視認されないようにしている。
【0003】
一方、エッジライト方式の照明装置では、複数の冷陰極管やLEDが導光板と呼ばれる透光性の板の端面に配置される。一般的に、導光板の射出面(つまり、画像表示素子と対向する面)の逆側の面(つまり、光偏向面)には、前記導光板の端面から入射する入射光を効率良く射出面へと導く光偏向要素が形成される。現在、光偏向面に形成される光偏向要素としては白色のインキがドット状に印刷されたものが一般的である(例えば特許文献1を参照)。ところが、白色ドットに入射した光はほぼ無指向に拡散反射されるため、導光板の射出面側への光取出し効率は低い。また、白色インキによる光吸収も無視することはできない。
【0004】
そこで最近では、マイクロレンズをインクジェット法によって導光板の光偏向面に形成する方法や、レーザーアブレーション法によって光偏向要素を形成する方法等が提案されている。上記方法により形成された導光板は、白色インキを用いた場合とは違い、導光板を形成する樹脂と導光板の周囲にある空気との屈折率差による反射、屈折、透過を利用しているため、光吸収はほとんど生じない。そのため、白色インキを用いた場合と比べて、光取出し効率の高い導光板を得ることができる。
【0005】
しかしながら、上記のインクジェット法やレーザーアブレーション法による光偏向要素の形成は、白色インキの印刷と同様、導光板を平板成形した後に別工程で形成されるため、製造工程数が減る訳ではない。むしろ、白色インキの印刷工程よりもタクトタイムが長く、また、設備のイニシャルコストが高いなど、高コスト化するといった問題がある。
そこで、導光板を射出成形法や押出成形法により成形し、光偏向要素を押出時にダイレクトに賦形する方法も提案されている(例えば特許文献2を参照)。これらの方法であれば、導光板の成形と同時に光偏向要素も形成されるため、工程数が減り、低コスト化が実現できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平1−241590号公報
【特許文献2】特開2000−89033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、射出成形法で導光板を製造する場合、サイズが大きくなるほど射出成形機には高い圧力が必要となるため、携帯電話やノートパソコン等に用いられる比較的小型の導光板の製造には適しているものの、テレビ等の大型の導光板への適用は難しい。
一方で押出成形法は、大型の導光板の製造に適した方法ではあるが、円筒状のロール金型を用いた、いわゆる“Roll to Roll”での成形が基本であるため、以下に示すような課題がある。
【0008】
例えば、楕円半球状の光学的構造体と平滑面とで構成される光偏向要素を押出成形法により形成する場合には、前記光学的構造体を形成するための凸部(または凹部)と、前記平滑面を形成するための平滑曲面とが形成されたロール金型を用いるのが一般的である。
ここで、ロール金型に形成された平滑曲面は、ロール金型の円筒度あるいは真円度を鑑みながら、高い平滑度で加工される必要がある。ところが、高い平滑度で表面加工することは非常に困難であるため、この平滑曲面に微細な凹凸が形成される場合がある。そして、この微細な凹凸は、押出成形法を用いて光偏向要素を形成する際に光偏向要素の平滑面に転写されることがある。このため、導光板の端面から光を入射した場合、光偏向要素の平滑面に形成された微細な凹凸と楕円半球状の光学的構造体とにより光が干渉し、スジ状若しくは点状の外観不良が発生するという問題があり、品質の向上が求められている。
【0009】
そこで、本発明は前記の問題に鑑み、導光板の端面から光を入射した場合、光偏向要素に含まれる平滑面に形成された微細な凹凸と楕円半球状の光学的構造体とにより光が干渉し、スジ状若しくは点状の外観不良が発生するのを低減できる導光板を得ることができる微細構造シートを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様は、樹脂シートの一方の面に直線畝状の単位光学的構造体が平行に並んで連続的に配置され、前記樹脂シートの他方の面に楕円半球状の単位光学的構造体が間隙を有して配置され、前記楕円半球状の単位光学的構造体間に平滑面が配置され、前記平滑面の算術平均粗さRaが前記楕円半球状の単位光学的構造体の高さの10000分の1以上、285分の1以下の範囲内であることを特徴とする微細構造シートである。
【0011】
上記態様によれば、楕円半球状の単位光学的構造体の高さと平滑な面の算術平均粗さRaとを調整し、外観品質の良好な微細構造シートを得ることができる。
また、本発明の別の態様は、前記平滑面の算術平均粗さRaは、0μm以上、0.08μm以下の範囲内であることが好ましい。
また、本発明の別の態様は、前記直線畝状の単位光学的構造体の延伸方向と平面視で直交する方向における断面の輪郭は、円弧形状であることが好ましい。
【0012】
また、本発明の別の態様は、前記直線畝状の単位光学的構造体の延伸方向と平面視で直交する方向における断面の輪郭は、多角形状であることが好ましい。
また、本発明の別の態様は、前記楕円半球状の単位光学的構造体は、前記樹脂シートの他方の面に対して凸状に形成されていることが好ましい。
また、本発明の別の態様は、前記楕円半球状の単位光学的構造体は、前記樹脂シートの他方の面に対して凹状に形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
上記態様の微細構造シートによれば、樹脂シートの一方の面に直線畝状の単位光学的構造体が連続的に配置され、前記樹脂シートの他方の面に楕円半球状の単位光学的構造体が間隙を有して配置され、前記楕円半球状の単位光学的構造体間には平滑面が配置されている。さらに、前記平滑面の算術平均粗さRaは、前記楕円半球状の単位光学的構造体の高さの10000分の1以上、285分の1以下の範囲内となっている。このため、導光板の端面から光を入射した場合、光偏向要素に含まれる平滑面に形成された微細な凹凸と楕円半球状の光学的構造体とにより光が干渉するのを低減できるので、スジ状若しくは点状の外観不良が発生するのを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第一実施形態に係る微細構造シートを示す図。
【図2】微細構造シートの製造装置を示す図。
【図3】直線畝状の単位光学的構造体を形成するためロール金型を示す図。
【図4】楕円半球状の単位光学的構造体及び平滑面を形成するためのロール金型を示す図。
【図5】液晶表示装置を示す図。
【図6】微細構造シートの評価結果を示す図。
【図7】第二実施形態に係る微細構造シートを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第一実施形態]
以下、本発明の第一実施形態に係る微細構造シート及びその製造方法について、図1〜図5を参照しながら説明する。次いで、微細構造シートの評価結果について、図6を参照しながら説明する。
<微細構造シート>
図1は、本発明の第一実施形態に係る微細構造シート5aの全体を示す図である。図1に示すように、微細構造シート5aの一方の面1aには、直線畝状の単位光学的構造体2が連続的に配置されている。そして、それぞれの直線畝状の単位光学的構造体2の延伸方向は一定の方向に揃っている。さらに、直線畝状の単位光学的構造体2の延伸方向と平面視で直交する方向における断面の輪郭は、例えば円弧形状または多角形状となっている。
【0016】
また、微細構造シート5aの他方の面1bには、楕円半球状の単位光学的構造体3が間隙を有して配置されている。そして、楕円半球状の単位光学的構造体3間には、平滑面4が形成されており、この平滑面4の算術平均粗さRaは、楕円半球状の単位光学的構造体3の高さの10000分の1以上、285分の1以下の範囲内である。さらには、0μm以上、0.08μm以下の範囲内である。
【0017】
また、楕円半球状の単位光学的構造体3は、微細構造シート5aの他方の面1bに対して凸状または凹状に形成されている。
また、楕円半球状の単位光学的構造体3は、その長手方向を直線畝状の単位光学的構造体2の延伸方向と平面視で直交するようにして形成されている。
なお、本実施形態では、直線畝状の単位光学的構造体2の高さをH1と表記し、直線畝状の単位光学的構造体2の幅をP1と表記する。同様に、楕円半球状の単位光学的構造体3の高さをH2と表記し、楕円半球状の単位光学的構造体2の幅をP2と表記する。
【0018】
<微細構造シートの製造方法>
次に、微細構造シート5aの製造方法について、図2を参照して説明する。図2は、押出形成法を用いた微細構造シート5aの製造装置6を示しており、この製造装置6は直線畝状の単位光学的構造体2を形成するためのロール金型10a(図3を参照)と、楕円半球状の単位光学的構造体3及び平滑面4を形成するためのロール金型10b(図4を参照)と、樹脂をシート状に成型するためのダイ7とを含んでいる。
【0019】
まず、ダイ7で帝人化成(株)製の熱可塑性ポリカーボネート樹脂を配合して溶融し、ダイ7に設けられた間隙からこの溶融した樹脂を押し出すことによってシート状に成形した熱可塑性ポリカーボネート樹脂(以下、樹脂シートともいう。)21を得た。
次に、この樹脂シート21をロール金型10aとロール金型10bとで両側から一定の圧力で押圧することで、図1に示した微細構造シート5aを得た。
以下、微細構造シート5aの製造装置6に用いるロール金型10aとロール金型10b及びそれらの作製方法について説明する。
【0020】
(ロール金型10a及びその作製方法)
ロール金型10aは、図3に示すように、円筒部材の円周を取り囲むように(つまり、円筒部材の円周方向に)直線畝状の単位光学的構造体2に対応する溝10cが複数形成された形状をしている。そして、それぞれの溝10cは隣接して形成されている。さらに、この溝10cの延伸方向はロール金型10aの軸方向に沿って直線状に形成されており、且つそれぞれの溝10cの延伸方向は揃っている。
【0021】
上記のロール金型10aは、鉄心に切削用銅メッキを施したロールに切削加工を実施することで得た。具体的には、まず、切削用銅メッキが施されたメッキロールを旋盤機へ取り付け、次に直線畝状の単位光学的構造体2に相当する形状を先端に有するダイヤモンドバイトを取り付ける。そして、メッキロールの軸方向に沿うようにして溝加工をすることにより、軸方向に沿った直線畝状の単位光学的構造体2に対応する溝10cを得た。溝加工毎に所定の角度でメッキロールを回転させることでロール金型10aの全面に連続して形成された溝10cを得た(図3を参照)。
上記の工程により、押出形成法で直線畝状の単位光学的構造体2を形成できるロール金型10aを得た。
【0022】
(ロール金型10b及びその作製方法)
ロール金型10bは、図4に示すように、円筒部材の円周を取り囲むように楕円半球状の単位光学的構造体3に対応する凸部(または凹部)10dが複数形成され、且つそれぞれの凸部(または凹部)10dが一定の間隔を有して形成されている。そして、この凸部(または凹部)10d間には、図1に示された平滑面4を形成するための平滑曲面10eが形成されている。
【0023】
上記のロール金型10bは、鉄心に切削用銅メッキを施したロールに研磨及び腐食を実施することで得た。具体的には、後述する実施例1から4に対応する加工用銅メッキが施された各メッキロールを砥石研磨機にセットし、メッキロールの表面を研磨加工により平滑にする。次に、平滑にされたロールにラッカーを塗布し、所定の位置にレーザーを照射することにより、ラッカーを除去し、エッチング液に浸漬しラッカーが除去された箇所の銅を腐食させ、腐食後に全てのラッカーを洗浄除去することで、ロール金型10b全面に楕円半球状の単位光学的構造体3に対応する凸部(または凹部)10dと平滑曲面10eとを得た。なお、凸部(または凹部)10dは、平滑曲面10eの幅が光源側に近い方を広く、遠ざかるに従い狭くなるように配置されている。
ここで、上述したように研磨加工の研磨砥石の種類や加工方向をメッキロールの軸方向及び円周方向に変更することで、平滑曲面10eの算術平均粗さRaを変化させた。但し、平滑曲面10eを得る加工方法は、砥石研磨加工に限ったものでは無く、バフ研磨や旋盤加工でも良い。また、凸部(または凹部)10dの形成は、腐食に限らず、切削加工でも良い。
【0024】
上記の工程により、押出形成法で楕円半球状の単位光学的構造体3及び平滑面4を形成できるロール金型10bを得た。
上述したように、本実施形態においては、押出形成法に用いる版として、ロール金型10a、10bを用いた場合について説明したが、本発明はこれに限ったものではない。例えば、ロール金型10a、10bから転写された樹脂シートを版として用いても良い。
【0025】
<微細構造シートの評価方法及びその結果>
微細構造シートの評価は、図5に示す液晶表示装置20を用いて評価した。液晶表示装置20は、反射フィルム18、導光板19、拡散フィルム15、プリズムフィルム14、プリズムフィルム13、液晶パネル12とを含んでおり、それらが順次積層するようにして配置されている。また、光源ランプ16は、導光板19の一方の端部に配置されている。
微細構造シートの評価する際、後述する実施例1〜6及び比較例1〜4に対応する様々なタイプの微細構造シートから作成された導光板19を液晶表示装置20に設置し、目視により微細構造シートのムラや欠陥の様子を観察した。導光板19の配置方向は、光源ランプ16の並びに対して直線畝状の単位光学的構造体2の延伸方向が平行となるようにした。
【0026】
直線畝状の単位光学的構造体2の形状は、実施例1〜3と実施例5、比較例1〜3では、幅P1が150μm、高さH1が50μmの非球面形状とした。また、実施例6では、下底幅P1が150μm、上底幅が100μm、高さH1が50μmの四角形状とした。
楕円半球状の単位光学的構造体3の形状は、実施例1〜4、比較例1〜4では、幅P2が100μm、高さH2が20μmの楕円半球形状とした。
また、楕円半球状の単位光学的構造体3は、実施例1〜4及び実施例6、比較例1〜4では、微細構造シート5の他方の面1bに対して凹状に配置され、実施例5では、凸状に配置された。
【0027】
以下、図6を参照しながら微細構造シートの評価結果について説明する。
比較例1〜3は、平滑面4の算術平均粗さRaが楕円半球状の単位光学的構造体3の高さH2の285分の1より大きくした微細構造シートである。図6に示すように、比較例1〜3の微細構造シートは、上述の評価方法によって、スジ状若しくは点状の外観不良が確認された。これは、楕円半球状の単位光学的構造体3の形状と平滑面4の形状とが干渉したことにより、スジ状若しくは点状の不良として発現したと考えられる。
【0028】
比較例4は、算術平均粗さRaを大きくした微細構造シートである。比較例4の微細構造シートは、上述の評価方法によって、ムラ状の外観不良が確認された。これは、平滑面4の表面粗さが大きいことにより、平滑面4の透過光が不均一となり、ムラ状の不良として発現したと考えられる。
なお、平滑面4の算術平均粗さRaが楕円半球状の単位光学的構造体3の高さH2の10000分の1より小さい場合には、スジ状若しくは点状の不良が発現した。
【0029】
これは、平滑面4の算術平均粗さRaを「A」とし、レンズ高さ(つまり、楕円半球状の単位光学的構造体3の高さH2)を「B」とした場合に、
Lim(A→0)A/B
であるので、Aが0に近づくと、拡散効果が無くなり、迷光が増え、光学特性を悪化させるからである。また、Bが大きくなると、レンズ高さが大きくなり特性を満たさなくなる、若しくはレンズスジが視認され隠蔽性が悪化するからである。
【0030】
上記の通り、樹脂シートの一方の面1aに直線畝状の単位光学的構造体2が平行に並んで連続的に配置され、樹脂シートの他方の面1bに楕円半球状の単位光学的構造体3が間隙を有して配置され、楕円半球状の単位光学的構造体3間に平滑面4が配置され、算術平均粗さRaが楕円半球状の単位光学的構造体3の高さH2の10000分の1以上285分の1以下、且つ、算術平均粗さRaが0μm以上0.08μm以下の条件を満たすことで、外観不良の無い微細構造シートを製造ができることが分かった。
【0031】
また、直線畝状の単位光学的構造体2の延伸方向と直交する方向における断面の輪郭が、円弧形状、多角形形状を問わず、算術平均粗さRaと楕円半球状の単位光学的構造体3の高さH2との関係を満たすことで、外観不良の無い微細構造シートを製造できることが分かった。
なお、図6の「外観欠陥評価結果」の欄に示された“×”はスジ状若しくは点状の外観不良が確認されたことを示し、“○”は外観不良が無いことを示す。
【0032】
[第二実施形態]
<微細構造シート>
図7は、本発明の第二実施形態に係る微細構造シート5bを示す図である。微細構造シート5bは、直線畝状の単位光学的構造体2が形成された樹脂シート9と、楕円半球状の単位光学的構造体3及び平滑面4が形成された樹脂シート8と、樹脂シート8と樹脂シート9とを接着させる接着層11とを含んで構成されている。つまり、樹脂シート8と樹脂シート9と接着層11とにより、一枚の微細構造シート5bが形成されている。このように、微細構造シート5bは図1に示した第一実施形態に係る微細構造シート5aと概ね同じ構造である。
【0033】
しかしながら、図1に示した微細構造シート5aがロール金型10aとロール金型10bとを用いて一体的に押出形成されているのに対して、図7に示した微細構造シート5bは、樹脂シート8と樹脂シート9とを接着層11を用いて貼り合わせて形成されている点で微細構造シート5aと異なっている。そこで、この異なる点のみを説明し、その他の部分については説明を省略する。
【0034】
樹脂シート9は、透明基材の上に塗布した紫外線硬化型樹脂にロール金型10aを押圧し、且つ紫外線を基材側より照射することで、紫外線硬化型樹脂に直線畝状の単位光学的構造体2を形成し、その後、透明基材を剥離することで得る。
樹脂シート8も、樹脂シート9と概ね同様の方法で得られ、透明基材の上に塗布した紫外線硬化型樹脂にロール金型10bを押圧し、且つ紫外線を基材側より照射することで、紫外線硬化型樹脂に楕円半球状の単位光学的構造体3及び平滑面4を形成し、その後、透明基材を剥離することで得る。
【0035】
こうして製造された樹脂シート8と樹脂シート9とを粘着層11を介して張り合わせることで図6に示した微細構造シート5bを得る。
上記方法とは別に、例えば一方の面に直線畝状の単位光学的構造体2を予め形成した樹脂シート9を押出形成法により製造し、楕円半球状の単位光学的構造体3を紫外線硬化型樹脂に形成することで樹脂シート8を製造し、その後、樹脂シート8と樹脂シート9とを貼り合わせて微細構造シート5bとしても良い。この場合であっても、微細構造シート5bを得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、例えばエッジライト方式の照明装置に用いることができる。
【符号の説明】
【0037】
1a 直線畝状の単位光学的構造体が配置された面
1b 楕円半球状の単位光学的構造体が配置された面
2 直線畝状の単位光学的構造体
3 楕円半球状の単位光学的構造体
4 平滑面
5a 微細構造シート
5b 微細構造シート
6 微細構造シートの製造装置
7 ダイ
8 楕円半球状の単位光学的構造体と平滑面とが形成された樹脂シート
9 直線畝状の単位光学的構造体が形成された樹脂シート
10a 直線畝状の単位光学的構造体を形成するためのロール金型
10b 楕円半球状の単位光学的構造体及び平滑面を形成するためのロール金型
10c 直線畝状の単位光学的構造体を形状するための溝
10d 直線畝状の単位光学的構造体を形状するための凸部(または凹部)
10e 平滑曲面
11 粘着層
12 液晶パネル
13 プリズムフィルム
14 プリズムフィルム
15 拡散フィルム
16 光源ランプ
17 ランプリフレクター
18 反射フィルム
19 導光板
20 液晶表示装置
21 樹脂シート
H1 直線畝状の単位光学的構造体の高さ
H2 楕円半球状の単位光学的構造体の高さ
P1 直線畝状の単位光学的構造体の幅
P2 楕円半球状の単位光学的構造体の幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂シートの一方の面に直線畝状の単位光学的構造体が平行に並んで連続的に配置され、
前記樹脂シートの他方の面に楕円半球状の単位光学的構造体が間隙を有して配置され、
前記楕円半球状の単位光学的構造体間に平滑面が配置され、
前記平滑面の算術平均粗さRaが前記楕円半球状の単位光学的構造体の高さの10000分の1以上、285分の1以下の範囲内であることを特徴とする微細構造シート。
【請求項2】
前記平滑面の算術平均粗さRaは、0μm以上、0.08μm以下の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の微細構造シート。
【請求項3】
前記直線畝状の単位光学的構造体の延伸方向と平面視で直交する方向における断面の輪郭は、円弧形状であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の微細構造シート。
【請求項4】
前記直線畝状の単位光学的構造体の延伸方向と平面視で直交する方向における断面の輪郭は、多角形状であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の微細構造シート。
【請求項5】
前記楕円半球状の単位光学的構造体は、前記樹脂シートの他方の面に対して凸状に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載の微細構造シート。
【請求項6】
前記楕円半球状の単位光学的構造体は、前記樹脂シートの他方の面に対して凹状に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載の微細構造シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−77389(P2013−77389A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215177(P2011−215177)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】