説明

微細気泡発生装置

【課題】吐出口より噴射吐出する微細気泡の大きさを安定させて、適当な大きさの微細気泡を多量に含んでいる白濁した気液溶解流体を安定して浴水等に供給することができる微細気泡発生装置を提供することを課題とするものである。
【解決手段】微細気泡発生装置100は、液体中に気体が加圧溶解された気液溶解流体を圧力開放して微細気泡を生成する微細気泡生成手段30と、前記微細気泡を噴射吐出させる吐出口3とを備えており、微細気泡生成手段30は、気体を液体へ溶解させて微細気泡を含んだ気液溶解流体を生成する気体溶解部8と、気体溶解部8で生成された微細気泡を粉砕してより小さい微細気泡を生成する微細気泡粉砕部であるベンチュリ管12とを有し、ベンチュリ管12と吐出口3との間に、吐出口3側へ行くにしたがって圧力を低下させる減圧部13を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、液体中に気体を溶解させた後に液体から気体を分離析出して微細気泡を発生させる微細気泡発生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、特開平06−205812号公報に示されるように、液体に気体を一旦溶解させてその後液中から気体を析出させて微細気泡を発生させる微細気泡発生装置には、液体が流れる流路に、液体に気体を混入させて気体混合液体を得る気体混入部と、気体混合液体を加圧して流路に流すポンプと、内部に液層と気層とを有すると共に気体混合液体が供給されて気体を液体に溶解させて気液溶解流体を得る気液溶解タンクと、気液溶解流体中の気体を析出させて微細気泡を発生させる微細気泡発生部とを設けたものがある。
【特許文献1】特開平06−205812号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来例である微細気泡発生装置においては、吐出口より微細気泡を含んだ気液溶解流体を噴射吐出させており、適当な大きさの多量の微細気泡を含むことによって、噴射吐出する気液溶解流体を白濁したものとすることができる。しかし、気液溶解流体が吐出口より噴射吐出する際に、急激に減圧されることで微細気泡の大きさが安定しないことより、適当な大きさの微細気泡を多量に含んでいる白濁した気液溶解流体が安定して浴水等に供給されないという問題があった。
【0004】
本願発明は、上記背景技術に鑑みて発明されたものであり、その目的は、吐出口より噴射吐出する微細気泡の大きさを安定させて、適当な大きさの微細気泡を多量に含んでいる白濁した気液溶解流体を安定して浴水等に供給することができる微細気泡発生装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本願請求項1記載の発明では、液体中に気体が加圧溶解された気液溶解流体を圧力開放して微細気泡を生成する微細気泡生成手段と、前記微細気泡を噴射吐出させる吐出口とを備える微細気泡発生装置において、微細気泡生成手段は、気体を液体に溶解させて微細気泡を含んだ気液溶解流体を生成する気体溶解部と、気体溶解部で生成された微細気泡を粉砕してより小さい微細気泡を生成する微細気泡粉砕部とを有し、微細気泡生成手段と吐出口との間に、吐出口側へ行くにしたがって圧力を低下させる減圧部を備えたことを特徴としている。
【0006】
本願請求項2記載の発明では、上記請求項1記載の微細気泡発生装置において、減圧部は、内径が微細気泡生成手段側の基端部から吐出口側の終端部へ向かって大きくなるように内周面が段形状に形成されていることを特徴としている。
【0007】
本願請求項3記載の発明では、上記請求項1記載の微細気泡発生装置において、減圧部は、内径が微細気泡生成手段側の基端部から吐出口側の終端部へ向かって大きくなるように内周面が傾斜して形成されていることを特徴としている。
【0008】
本願請求項4記載の発明では、上記請求項1乃至3のいずれか一項に記載の微細気泡発生装置において、微細気泡粉砕部は、ベンチュリ管で構成されたものであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本願請求項1記載の発明の微細気泡発生装置においては、微細気泡生成手段は、気体溶解部と微細気泡粉砕部とを有しているので、より小さい径の微細気泡を多量に効率よく生成することができる。さらに、微細気泡生成手段と吐出口との間に、吐出口側へ行くにしたがって圧力を低下させる減圧部を備えたことによって、微細気泡を噴出吐出するまでに、気液溶解流体への圧力を徐々に減圧することができる。このことによって、吐出口より微細気泡を噴出吐出するまでに、微細気泡生成手段で生成した多量の小さい径の微細気泡を白濁に適した径まで成長させ、吐出口より噴射吐出する微細気泡の大きさを安定させることができるので、適当な大きさの微細気泡を多量に含んでいる白濁した気液溶解流体を安定して浴水等に供給することができる。
【0010】
本願請求項2記載の発明の微細気泡発生装置においては、特に、減圧部の内周面を吐出口側の終端部へ向かって内径が大きくなるような段形状に形成することによって、複数の異なる内径を有する連続した管を構成することができる。このことによって、気液溶解流体に対する圧力を逐次適正な圧力とすることができるので、微細気泡を白濁に適した径まで成長させることができる。
【0011】
本願請求項3記載の発明の微細気泡発生装置においては、特に、減圧部の内周面を吐出口側の終端部へ向かって内径が大きくなるように傾斜して形成することによって、気液溶解流体に対する圧力を、線型性を持って減少させることができる。このことによって、急激な減圧をより低減することができるので、微細気泡を白濁に適した径まで成長させることができる。
【0012】
本願請求項4記載の発明の微細気泡発生装置においては、特に、微細気泡粉砕部は、ベンチュリ管で構成されているので、内径が小さくなった部分で気液溶解流体の流速及び圧力を変化させることができる。このことによって、気液溶解流体中の気泡を粉砕することができるので、容易に微細気泡をより小さくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1〜図5は、本願発明の第1の実施形態である微細気泡発生装置を示している。微細気泡発生装置100は、液体中に気体が加圧溶解された気液溶解流体を圧力開放して微細気泡を生成する微細気泡生成手段30と、前記微細気泡を噴射吐出させる吐出口3とを備えており、微細気泡生成手段30は、気体を液体に溶解させて微細気泡を含んだ気液溶解流体を生成する気体溶解部8と、気体溶解部8で生成された微細気泡を粉砕してより小さい微細気泡を生成する微細気泡粉砕部であるベンチュリ管12とを有し、微細気泡生成手段30と吐出口3との間に、吐出口3側へ行くにしたがって圧力を低下させる減圧部13を備えている。また、減圧部13は、内径が微細気泡生成手段30側の基端部13aから吐出口3側の終端部13bへ向かって大きくなるように内周面が段形状に形成されている。また、ベンチュリ管12は、中央部分が狭小部となっている上流部12aと複数の狭小部を有する下流部12bとで構成されている。
【0014】
以下、この実施形態の微細気泡発生装置をより具体的詳細に説明する。図1は、浴槽1内の浴水中に微細気泡を発生させる微細気泡発生装置の基本構成図であり、浴槽1の内側面に吸込口2と吐出口3とが設けられ、浴槽1のフランジ部に空気吸込口4が設けられている。
【0015】
吸込口2は、接続管5を介してポンプ6の吸い込み側に接続され、ポンプ6の吐出側は流入管7を介して微細気泡生成手段30の気体溶解部8の吸込側にある噴射口9に接続されている。気体溶解部8の吐出側の流出口10は、流出管11を介して微細気泡生成手段30のベンチュリ管12の一端に接続され、ベンチュリ管12の他端は減圧部13を介して浴槽1の側面に設置された吐出口3に接続されている。また、空気吸込口4は、ポンプ6と気体溶解部8との間の流入管7に接続管14を介して接続され、接続管14には、逆止弁15が設けられている。
【0016】
そして、気体が溶解した湯水が吐出口3より浴槽1内の浴水中に吐出されると、浴水中で溶解気体が析出して微細気泡が発生するようになる。
【0017】
気体溶解部8は、図2および図3に詳細に示すように、断面円形の直筒状をした側壁部21と、この側壁部21の両側の端部を閉塞する端壁部22とからなる筒状体23で構成されて、長手方向すなわち略円筒状をした側壁部21の中心軸イ(図2の一点鎖線参照)が水平方向ロ(図2の矢印参照)に対して10〜45度の傾斜角度θで傾斜する姿勢で配置されている。
【0018】
この傾斜姿勢の筒状体23は、上方側の端部が上流端Aになるとともに、下方側の端部が下流端Bとなり、上流端A側に気液混合流体を筒状体23内に噴射するための噴射口9が形成されるとともに、下流端B側に液体を筒状体23内から流出する流出口10が形成されている。
【0019】
筒状体23内には、溶質となる例えば空気等の気体と、溶媒となる例えば水等の液体とが貯留されるもので、略円筒状をした側壁部21の上下方向の略中央付近には気体と液体との界面24が位置し、界面24より上流端A側の部分は、気体が貯留される気体貯留部25になるとともに、界面24より下流端B側の部分は、液体が貯留される液体貯留部26となる。
【0020】
噴射口9は、気体貯留部25の内壁面(界面24より上流端A側の側壁部21または端壁部22の内壁面)か、あるいは界面24より若干下側の液体貯留部26の内壁面(界面24より下流端B側の側壁部21の内壁面)に形成され、流出口10は、液体貯留部26の端部付近の内壁面(界面24より下流端B側の側壁部21または端壁部22の内壁面)に形成される。
【0021】
筒状体23の側壁部21には、弁(図示せず)を設けた空気抜き口27が形成してあり、この空気抜き口27の位置が気体貯留部25に貯留される気体と液体貯留部26に貯留される液体の界面24のレベルとなる。
【0022】
次に、気体溶解部8の作用を説明する。筒状体23の下側にある噴射口9から、筒状体23内に貯留されているのと同じ液体および気体が噴射されると、噴射口9と対向する側壁部21の上側の内壁面に衝突し、この内壁面で跳ね返って界面24にて液体貯留部26に貯留されている液体に衝突して攪拌される。また、液体貯留部26に貯留されている液体は、気液混合流体が界面24に衝突して攪拌される他に、噴射口9から筒状体23内に噴射される気液混合流体によっても攪拌される。
【0023】
このように、気液混合流体の側壁部21の内壁面との衝突や界面24での衝突による攪拌、噴射される際の液体の攪拌等により、筒状体23内に貯留している気体および液体、気液混合流体中の気体および液体が混合され、気体の液体への溶解が促進される。すなわち、混合攪拌によるせん断により、液体に混合している気泡(気体)が細分化されて、液体と接する総表面積が大きくなるので、気体の液体への溶解が促進される。
【0024】
気体の溶解が進行した液体は筒状体23の液体貯留部26に貯留されるが、貯留されている液体には未溶解の気泡も数多く混合し、このような気泡は上方に行くほど密に存在しており、液体貯留部26の下端部近傍では気泡はあまり存在せず、大きな気泡は殆ど存在しない。そして、気体の溶解が進行して大きな気泡が殆ど存在しない液体貯留部26の下端部の液体が筒状体23の下側にある流出口10から筒状体23外に流出されるようになる。
【0025】
図4は、ベンチュリ管12の断面図である。ベンチュリ管12は、中央部分に1個の狭小部を有する上流部12aと複数個(図4の例では5個)の狭小部を有する下流部12bとの2段構成となっている。このように、下流部12bにおいて狭小部を並列で複数個を設けることにより、上流部12aで気液溶解流体中の気泡を粉砕してある程度小さな微細気泡とした後に、下流部12bでより小さく微細気泡化させることができるので、より小さい微細気泡を大量に発生させることができる。
【0026】
図5に示すように、減圧部13は、微細気泡生成手段30と吐出口3との間に構成されている。減圧部13は、内径が微細気泡生成手段30側の基端部13aから吐出口3側の終端部13bへ向かって大きくなるように内周面が段形状に形成されている。すなわち、複数の異なる内径の管が連続して構成されている。微細気泡生成手段30より流れてくる微細気泡を大量に含んだ気液溶解流体が、内径が順次大きくなる管を流れていくことによって、気液溶解流体へ加えられている圧力が順次低下していく。図5で示した例では、3つの異なる内径の管が連続して減圧部13を示したが、これに限定されるものではなく、段の数は、微細気泡の大きさや量によって増減してもよい。
【0027】
したがって、微細気泡生成手段30は、気体溶解部8とベンチュリ管12とを有しているので、より小さい径の微細気泡を多量に効率よく生成することができる。さらに、微細気泡生成手段30と吐出口3との間に、吐出口3側へ行くにしたがって圧力を低下させる減圧部13を備えたことによって、微細気泡を噴出吐出するまでに、気液溶解流体への圧力を徐々に減圧することができる。このことによって、吐出口3より微細気泡を噴出吐出するまでに、微細気泡生成手段30で生成した多量の小さい径の微細気泡を白濁に適した径まで成長させ、吐出口3より噴射吐出する微細気泡の大きさを安定させることができるので、適当な大きさの微細気泡を多量に含んでいる白濁した気液溶解流体を安定して浴槽1に供給することができる。なお、白濁に適した微細気泡の径は、5〜30μm(平均20μm程度)の数十μmオーダーである。
【0028】
また、減圧部13の内周面を吐出口3側の終端部13bへ向かって内径が大きくなるような段形状に形成することによって、複数の異なる内径を有する連続した管を構成することができる。このことによって、気液溶解流体に対する圧力を逐次適正な圧力とすることができるので、微細気泡を白濁に適した径まで成長させることができる。
【0029】
また、ベンチュリ管12を用いることによって、ベンチュリ管12の内径が小さくなった部分で気液溶解流体の流速及び圧力を変化させることができる。このことによって、気液溶解流体中の微細気泡を粉砕することができるので、容易に微細気泡をより小さくすることができる。
【0030】
図6は、本願発明の第2の実施形態である微細気泡発生装置を示している。ここでは、上記第1の実施形態と相違する事項についてのみ説明し、その他の事項(構成、作用効果等)については、上記第1の実施形態と同様であるのでその説明を省略する。
【0031】
図6に示すように、減圧部13は、微細気泡生成手段30と吐出口3との間に構成されている。減圧部13は、内径が微細気泡生成手段30側の基端部13aから吐出口3側の終端部13bへ向かって大きくなるように内周面が傾斜して形成されている。すなわち、減圧部13は、末広がり状の管を形成している。微細気泡生成手段30より流れてくる微細気泡を大量に含んだ気液溶解流体が、内径が順次大きくなる末広がり状の管を流れていくことによって、気液溶解流体へ加えられている圧力が線型性を持って順次低下していく。
【0032】
したがって、減圧部13の内周面を吐出口3側の終端部13bへ向かって内径が大きくなるように傾斜して形成することによって、気液溶解流体に対する圧力を、線型性を持って減少させることができる。このことによって、急激な減圧をより低減することができるので、微細気泡を白濁に適した径まで成長させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本願発明の第1の実施形態である微細気泡発生装置を備えた浴槽装置の基本構成図である。
【図2】同微細気泡発生装置における気体溶解部の斜視図である。
【図3】同微細気泡発生装置における気体溶解部を示し、(a)は断面図、(b)は(a)のI−I概略断面図である。
【図4】同微細気泡発生装置におけるベンチュリ管の断面図である。
【図5】同微細気泡発生装置における減圧部の断面図である。
【図6】本願発明の第2の実施形態である微細気泡発生装置における減圧部の断面図である。
【符号の説明】
【0034】
1 浴槽
2 吸込口
3 吐出口
8 気体溶解部
12 ベンチュリ管(微細気泡粉砕部)
13 減圧部
30 微細気泡生成手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体中に気体が加圧溶解された気液溶解流体を圧力開放して微細気泡を生成する微細気泡生成手段と、前記微細気泡を噴射吐出させる吐出口とを備える微細気泡発生装置において、微細気泡生成手段は、気体を液体に溶解させて微細気泡を含んだ気液溶解流体を生成する気体溶解部と、気体溶解部で生成された微細気泡を粉砕してより小さい微細気泡を生成する微細気泡粉砕部とを有し、微細気泡生成手段と吐出口との間に、吐出口側へ行くにしたがって圧力を低下させる減圧部を備えたことを特徴とする微細気泡発生装置。
【請求項2】
減圧部は、内径が微細気泡生成手段側の基端部から吐出口側の終端部へ向かって大きくなるように内周面が段形状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の微細気泡発生装置。
【請求項3】
減圧部は、内径が微細気泡生成手段側の基端部から吐出口側の終端部へ向かって大きくなるように内周面が傾斜して形成されていることを特徴とする請求項1記載の微細気泡発生装置。
【請求項4】
微細気泡粉砕部は、ベンチュリ管で構成されたものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の微細気泡発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−178779(P2008−178779A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−13367(P2007−13367)
【出願日】平成19年1月24日(2007.1.24)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】