説明

微細気泡発生装置

【課題】気体溶解液を減圧させるオリフィス部と減圧した気体溶解液を衝突させて微細気泡を発生させる衝突部とを備えた微細気泡発生装置の吐出ノズルにおいて、オリフィス部及び衝突部の組み立てを容易に行うことができるとともに、気泡径のバラツキの少ない微細気泡を発生させることのできる構成を得る。
【解決手段】衝突部(13)の外周縁部を、有底筒状のオリフィス部(12)の開口端部と接続して一体化することにより、空気溶解水から微細気泡を発生させて吐出する吐出部材(11)を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細気泡を含んだ液体を浴槽等に供給する微細気泡発生装置の吐出ノズルに関し、特に、上記吐出ノズルの組立作業性向上の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来より、気体が液体に溶け込んだ気体溶解液を減圧して微細気泡を発生させ、該微細気泡を浴槽内に放出させることにより、該微細気泡による人体への温浴効果等を狙った微細気泡発生装置が知られている。
【0003】
具体的には、上記微細気泡発生装置は、浴槽内の水(液体)を吸入するための吸込部と、その水に空気(気体)を導入するための空気導入部と、該空気の混入された水を加圧圧出するための加圧ポンプと、空気を水に溶解させて空気溶解水(気体溶解液)にするための気体溶解器と、該空気溶解水から微細気泡を発生させて浴槽内に吐出させるための吐出ノズルとを備えている。
【0004】
上記微細気泡発生装置は、吸込部から吸入した浴槽内の水を、空気導入部で導入される空気とともに加圧ポンプで圧出し、気液混合流体として気体溶解器へ送り出す。そして、上記微細気泡発生装置は、上記気体溶解器内において、上記気液混合流体中で空気を水に溶解させて空気溶解水とした後、該空気溶解水を吐出ノズルへ送り、該吐出ノズルで減圧等して空気溶解水から微細気泡を発生させ、浴槽に吐出するように構成されている。
【0005】
上記吐出ノズルの具体的な構成としては、例えば特許文献1に開示される吐出ノズルのような構成が考えられている。この特許文献1に開示されている吐出ノズルでは、内部に流路が形成された略円筒状のノズルケーシング内に、上記流路の断面積を小さくするためのオリフィス穴が形成された円板状のオリフィス部(減圧手段)と、該オリフィス部の下流側に所定距離、離間した位置に配置される円板状の衝突部(抵抗体)とが設けられている。また、上記吐出ノズルには、衝突部の外周側とノズルケーシングの内壁との間に水を流すための隙間が形成されている。これにより、空気溶解水は、上記オリフィス部を通過した後に上記衝突部に衝突して内部に微細気泡が発生し、上記衝突部の径方向外方に形成された上記隙間を流れて浴槽内に吐出される。
【0006】
なお、上記衝突部は、上記ノズルケーシングに対して筒軸方向に移動可能に構成された可動手段と一体化されていて、該可動手段の移動に応じて上記オリフィス部との間の距離を変えられるようになっている。
【特許文献1】特開平5−38354号広報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記特許文献1のような構成を有する吐出ノズルでは、オリフィス部と衝突部とが別々の部材であるため、ノズルケーシング内にこれらの部材を別々に組み付ける必要がある。
【0008】
さらに、上述のように、ノズルケーシング内に上記オリフィス部及び上記衝突部を組み付ける構成では、それらの部材をノズルケーシング内に組み付ける際に、該オリフィス部と衝突部との隙間の間隔のバラツキが大きくなりやすく、該オリフィス部と衝突部とを平行に配置するのも難しい。そうすると、上記隙間の間隔、すなわち、上記オリフィス部を通過して上記衝突部に衝突した後に放射状に流れる空気溶解水の流路の流路断面積、にもバラツキが生じ、上記吐出ノズルから吐出される微細気泡の気泡径のバラツキも多くなってしまう。
【0009】
本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、気体溶解液を減圧させるオリフィス部と減圧した気体溶解液を衝突させて微細気泡を小型化させる衝突部とを備えた微細気泡発生装置の吐出ノズルにおいて、オリフィス部及び衝突部の組み立てを容易に行うことができるとともに、気泡径のバラツキの少ない微細気泡を発生させることのできる構成を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係る吐出ノズル(10)では、該吐出ノズル(10)内の流路の断面積を絞って気体溶解液を減圧させるためのオリフィス部(12,24,33)と、該オリフィス部(12,24,33)で減圧した気体溶解液を衝突させて微細気泡を小径化させる衝突部(13)とを接続して一体化した。
【0011】
具体的には、第1の発明は、気体が液体中に加圧溶解された気体溶解液を減圧して微細気泡を吐出するように、内部に流路が形成された吐出ノズル(10)を有する微細気泡発生装置を対象とする。
【0012】
そして、上記吐出ノズル(10)は、上記流路の流路断面積を小さくするためのオリフィス孔(12a,24c,33b)が形成されたオリフィス部(12,24,33)と、上記オリフィス孔(12a,24c,33b)から流出する気体溶解液が衝突して該気体溶解液内で微細気泡を小径化するように、上記オリフィス孔(12a,24c,33b)の流路出口側に設けられた衝突部(13)とを備え、上記オリフィス部(12,24,33)及び衝突部(13)は、互いに接続されて一体化されることにより、上記微細気泡を吐出する吐出部材(11,21,31)を構成しているものとする。
【0013】
以上の構成により、オリフィス部(12,24,33)と衝突部(13)とは一体化されるため、該オリフィス部(12,24,33)と衝突部(13)とを別々にノズルケーシングに組み付ける必要がなくなる。
【0014】
しかも、上述のように、オリフィス部(12,24,33)と衝突部(13)とは一体されていて、両者の相対的な位置関係は一定に保たれているため、両者を所定の距離、離間した状態で精度良く平行に保持することができる。これにより、気体溶解液は、上記オリフィス孔(12a,24c,33b)を通過した後、上記衝突部(13)と衝突して、精度良く平行に保たれた上記オリフィス部(12,24,33)と上記衝突部(13)との間を流れる。すなわち、上述の構成により、オリフィス部(12,24,33)を通過して衝突部(13)に衝突した後に放射状に流れる気体溶解液の流量のバラツキが少なくなり、上記吐出ノズル(10)から吐出される微細気泡の気泡径のバラツキを少なくすることができる。
【0015】
上述の構成において、上記吐出部材(11,21,31)は、上記衝突部(13)の周縁部と上記オリフィス部(12,24,33)の周縁部との間に上記微細気泡を含んだ気体溶解液の導出口(13a)が形成されるように、上記衝突部(13)の周縁部の一部が上記オリフィス部(12,24,33)の周縁部と接続されているものとする(第2の発明)。
【0016】
これにより、衝突部(13)とオリフィス部(12,24,33)とを容易に一体化して吐出部材(11,21,31)を構成することができ、第1の発明の構成を簡単な構成によって実現することができる。しかも、上述の構成により、上記衝突部(13)の周縁部とオリフィス部(12,24,33)の周縁部との間を接続部(17,23)によって接続しつつ、上記導出口(13a)も形成できるため、該導出口(13a)を別途、設ける必要がなく、構造の簡素化及び製造作業の軽減を図れる。
【0017】
また、上記オリフィス部(12,24,33)は、略有底筒状に形成されているとともに、その底部に上記オリフィス孔(12a,24c,33b)が設けられていて、上記衝突部(13)の周縁部は、上記導出口(13a)が上記オリフィス部(12,24,33)の筒軸方向に向かって開口するように、該オリフィス部(12,24,33)の開口側の周縁部と接続されているのが好ましい(第3の発明)。
【0018】
これにより、衝突部(13)の周縁部と有底筒状のオリフィス部(12,24,33)の開口側の周縁部とが近くなって、両者を容易に接続することができるため、上記衝突部(13)及びオリフィス部(12,24,33)をより容易に一体化することができる。しかも、オリフィス部(12,24,33)の底部に形成されたオリフィス孔(12a,24c,33b)と衝突部(13)とを離間させる構造を容易に実現できるため、上記オリフィス孔(12a,24c,33b)から流出した気体溶解液を衝突部(13)に衝突させる構成を容易に実現することができる。さらに、上記導出口(13a)は、上記有底筒状のオリフィス部(12,24,33)の筒軸方向に向かって開口するように形成されるため、微細気泡を含んだ空気溶解水を一定の方向に向けて効率良く吐出する構成を容易に実現できる。
【0019】
また、上記吐出ノズル(10)は、上記オリフィス孔(12a,24c,33b)の入口側流路(15b)を形成するための通路(15c)が内部に形成された入口側部材(15)と、上記導出口(13a)の出口側流路を形成するための通路(16b)が内部に形成された出口側部材(16)とを備え、上記入口側部材(15)及び上記出口側部材(16)は、上記吐出部材(11,21,31)を挟持した状態で、互いに係合可能に構成されているものとする(第4の発明)。
【0020】
このように、入口側部材(15)と出口側部材(16)との間に吐出部材(11,21,31)を挟持した状態で、該入口側部材(15)及び出口側部材(16)を係合することで、気体溶解液中に微細気泡を発生させる吐出部材(11,21,31)の入口側に入口側流路(15b)が構成されるとともに、該吐出部材(11,21,31)の出口側に出口側流路(16b)が構成される。したがって、簡単な構成によって、吐出部材(11,21,31)の入口側流路(15b)及び出口側流路(16b)を有する吐出ノズル(10)を構成することができる。
【0021】
上述の構成において、上記入口側部材(15)及び上記出口側部材(16)は、それぞれ円筒状の部材からなり、一方の部材(16)の外周面上に他方の部材(15)の内周面が係合するように、該一方の部材(16)の外径が他方の部材(15)の内径と同等になるよう形成されているとともに、該一方の部材(16)の外周面上及び他方の部材(15)の内周面上に互いに螺合可能なネジ部(15a,16a)が形成されているものとする(第5の発明)。
【0022】
これにより、上記入口側部材(15)及び上記出口側部材(16)は、上記吐出部材(11,21,31)を間に挟み込んだ状態で、双方に形成されているネジ部(15a,16a)を螺合することにより、容易に且つ確実に係合することができる。したがって、上記吐出ノズル(10)を容易に且つ確実に組み立てることができる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、第1の発明によれば、微細気泡発生装置(1)の吐出ノズル(10)において、オリフィス部(12,24,33)と衝突部(13)とを一体化して吐出部材(11,21,31)としたため、吐出ノズル(10)の組み立てを容易に行うことができるとともに、上記オリフィス部(12,24,33)と上記衝突部(13)との相対的な位置関係を一定に保つことができ、上記吐出ノズル(10)から吐出される微細気泡の気泡径のバラツキを少なくすることができる。
【0024】
第2の発明によれば、上記衝突部(13)の周縁部の一部とオリフィス部(12,24,33)の周縁部とを接続して、該衝突部(13)の周縁部とオリフィス部(12,24,33)の周縁部との間に導出口(13a)を設けたため、第1の発明の構成を簡単な構成により実現できるとともに、導出口(13a)を容易に形成することができる。
【0025】
第3の発明によれば、上記衝突部(13)の周縁部と、底部にオリフィス孔(12a,24c,33b)が設けられた有底筒状のオリフィス部(12,24,33)の開口側の周縁部とを接続するようにしたため、上記衝突部(13)及びオリフィス部(12a,24c,33b)をより容易に一体化することができる。さらに、衝突部(13)をオリフィス部(12a,24c,33b)から離間させた構造を容易に実現できるとともに、微細気泡を含んだ空気溶解水を一定の方向に向けて吐出する構成を容易に実現できる。
【0026】
第4の発明によれば、上記吐出部材(11,21,31)を、吐出ノズル(10)内の流路を形成する入口側部材(15)と出口側部材(16)との間で挟持した状態で、該入口側部材(15)及び出口側部材(16)を係合する構成としたため、吐出ノズル(10)を容易に組み立てることができる。
【0027】
第5の発明によれば、上記入口側部材(15)及び出口側部材(16)をネジ部(15a,16a)で螺合する構成としたため、吐出ノズル(10)を容易に且つ確実に組み立てることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的な例示に過ぎず、本発明、その適用あるいはその用途を制限することを意図するものではない。
【0029】
−微細気泡発生装置の構成−
図1に本発明の実施形態に係る吐出ノズル(10)を有する微細気泡発生装置(1)の概略構成を示す。
【0030】
この微細気泡発生装置(1)は、人体への温浴効果等を狙って浴槽(4)内に微細気泡を供給するためのものであり、該浴槽(4)内の水(液体)を吸入するための吸込部(3)と、吸入した水の中に空気(気体)を導入するための空気導入部(5)と、水及び空気からなる気液混合流体を加圧するための加圧ポンプ(6)と、水に対する空気の溶解を促進させて空気溶解水(気体溶解液)を生成するための気体溶解器(7)と、該空気溶解水から微細気泡を発生させるとともに、該微細気泡を浴槽(4)内へ向かって吐出するための吐出ノズル(10)と、を備えている。そして、これらの吸込部(3)、空気導入部(5)、加圧ポンプ(6)、気体溶解器(7)及び吐出ノズル(10)を配管(2)によって接続することで、上記微細気泡発生装置(1)内には、上記浴槽(4)内の水を循環させる循環流路が形成されている。
【0031】
すなわち、上記微細気泡発生装置(1)は、吸込部(3)から吸い込んだ浴槽(4)内の水に空気導入部(5)で空気を導入し、それらの水及び空気からなる気液混合流体を加圧ポンプ(6)によって気体溶解器(7)へ圧出した後、該気体溶解器(7)内において空気を水に溶解させて上記気液混合流体を空気溶解水とする。また、上記微細気泡発生装置(1)は、気体溶解器(7)において、空気溶解水内で溶解されずに残った余剰空気を取り除いた後、空気溶解水を吐出ノズル(10)へ送り出すように構成されている。このようにして送り出された空気溶解水は、上記吐出ノズル(10)で減圧等されて内部に微細気泡が発生した状態で浴槽(4)内に吐出される。
【0032】
上記空気導入部(5)は、その内部を浴槽(4)から吸入された水が流れるように構成されているとともに、その水に吸入管(8b)を介して外部から吸い込んだ空気を混入するように構成されている。なお、上記吸入管(8b)上には、空気導入部(5)へ導入される空気の流量を調整するための吸気量調整弁(8c)と、上記空気導入部(5)内の空気が上記吸入管(8b)の上流側へ逆流するのを防止するための逆止弁(8d)とが設けられている。
【0033】
さらに、上記吸入管(8b)上には、オゾンを発生させるためのオゾン発生機構(9a)が設けられている。このオゾン発生機構(9a)は、上記微細気泡発生装置(1)の運転が停止する前に、吸気フィルタ(9b)を介して吸気した空気中にオゾンを生成するように構成されている。上記オゾン発生機構(9a)で発生したオゾンは、上記空気導入部(5)へ導入され、空気とともに水に混合され、気液混合流体として加圧ポンプ(6)によって気体溶解器(7)へ圧送される。これにより、微細気泡発生装置(1)が停止して上記気体溶解器(7)内に水が残留した場合であっても、上記オゾンによって残留水は除菌される。なお、上記微細気泡発生装置(1)の運転時は、上記オゾン発生機構(9a)は作動しないため、空気導入部(5)にはオゾンの含まれていない空気が導入される。
【0034】
上記加圧ポンプ(6)は、浴槽(4)の水を循環流路内で循環させるための加圧手段であって、上記空気導入部(5)で空気が導入された水を加圧し、気液混合流体として加圧した状態で気体溶解器(7)へ送り出すように構成されている。
【0035】
上記気体溶解器(7)は、有底筒状のタンク(7b)内で、上記加圧ポンプ(6)から圧送された気液混合流体中での水に対する空気の溶解を促進するとともに、その上部に設けられた排気弁(7a)から未溶解の余剰空気を排出するように構成されている。なお、上記排気弁(7a)から排出される余剰空気は、吸入管(8b)に一端側で接続された排気管(8a)の他端側から、上記排気管(8a)及び吸入管(8b)を介して空気導入部(5)へ導入されるようになっている。
【0036】
上記吐出ノズル(10)は、具体的な構成については後述するが、上記気体溶解器(7)から排出された空気溶解水を減圧等して、該空気溶解水から微細気泡を発生させて浴槽(4)内へ吐出するように構成されている。
【0037】
なお、上記吐出ノズル(10)から浴槽(4)内へ吐出された水は、再び上記吸込部(3)から吸い込まれて、上記循環流路を循環することになる。
【0038】
−吐出ノズルの構成−
以下で、上記吐出ノズル(10)の構成について図2及び図3に基づいて詳細に説明する。
【0039】
上記吐出ノズル(10)は、気体溶解器(7)から送出された空気溶解水を減圧等して上記空気溶解水に微細気泡を発生させる概略円柱状の吐出部材(11)と、該吐出部材(11)の入口側流路(15b)を形成するための有底円筒状の入口側部材(15)と、上記吐出部材(11)の出口側流路(16b)を形成するための円筒状の出口側部材(16)と、を備えている。すなわち、上記吐出ノズル(10)は、吐出部材(11)が入口側部材(15)と出口側部材(16)との間に配置されてなるもので、上記入口側部材(15)の入口側流路(15b)を介して上記吐出部材(11)に導入された空気溶解水に、該吐出部材(11)内で微細気泡を発生させて、該空気溶解水を微細気泡とともに上記出口側部材(16)の出口側流路(16b)を介して吐出するように構成されている。
【0040】
上記入口側部材(15)は、例えば樹脂や金属等の材料からなる有底円筒状の部材であって、平面視で底部の中央部分には、上記入口側流路(15b)を構成する貫通穴(15c)(通路)が形成されている。また、上記入口側部材(15)は、その内側に上記吐出部材(11)を収納した状態で、円筒状の出口側部材(16)に係合可能に構成されている。具体的には、有底円筒状の上記入口側部材(15)は、その内径が、円筒状の上記出口側部材(16)の外径と同等になるように形成されているとともに、内周面上に、該出口側部材(16)の外周面上に形成されたネジ部(16a)と螺合可能なネジ部(15a)が形成されている。
【0041】
上記出口側部材(16)も、例えば樹脂や金属等の材料からなる円筒状の部材であって、その内部が上記出口側流路(16b)(通路)を構成している。また、上記出口側部材(16)の外周面上には、上記入口側部材(15)のネジ部(15a)と螺合可能なネジ部(16a)が形成されている。
【0042】
すなわち、上記入口側部材(15)及び出口側部材(16)は、上記吐出部材(11)に対して該吐出部材(11)の軸線方向に空気溶解水を流すように、互いに係合可能に構成されている。つまり、上記入口側部材(15)及び出口側部材(16)は、該入口側部材(15)の底部に形成されている貫通穴(15c)と該出口側部材(16)内の出口側流路(16b)とが同じ方向に延びるように、互いに接続されている。なお、詳しくは後述するように、上記吐出部材(11)は、その入口側のオリフィス孔(12a)が上記貫通穴(15c)の内方に向かって開口し、該吐出部材(11)の出口側の導出口(13a)が上記出口側流路(16b)の内方に向かって開口するように、上記入口側部材(15)と出口側部材(16)との間に配置されている。
【0043】
以上の構成により、上記入口側部材(15)と出口側部材(16)との間に、上記吐出部材(11)を挟み込んだ状態で、該入口側部材(15)及び出口側部材(16)のネジ部(15a,16a)を螺合することができ、該入口側部材(15)、吐出部材(11)及び出口側部材(16)の3つの部材を容易に一体化することができる。
【0044】
しかも、上述のような構成にすることで、上記入口側部材(15)及び出口側部材(16)によって、吐出部材(11)に対して入口側流路(15b)及び出口側流路(16b)を容易に形成することができる。
【0045】
上記吐出部材(11)は、図3に示すように、流路断面積を小さくするためのオリフィス孔(12a)が形成されたオリフィス部(12)と、該オリフィス部(12)のオリフィス孔(12a)から流出した空気溶解水が衝突する衝突部(13)とを備えている。詳しくは、上記吐出部材(11)は、概略円柱状の外形を有していて、底部にオリフィス孔(12a)が形成された有底円筒状の上記オリフィス部(12)の開口部分に、その開口部分の内径よりも外径の小さい円板状の上記衝突部(13)が取り付けられてなる。
【0046】
上記オリフィス部(12)は、その外径が上記出口側部材(16)の外径と同等で且つ上記入口側部材(15)の内径と同等になるように形成されているとともに、内径は、上記出口側部材(16)の内径と同等になるように形成されている。また、上記オリフィス部(12)の底部には、平面視で中央部分に該底部を貫通するようにオリフィス孔(12a)が形成されている。このオリフィス孔(12a)は、上記オリフィス部(12)の底部の厚み方向中央部から該底部の表面に向かって徐々に径が大きくなるように設けられている。すなわち、上記オリフィス孔(12a)は、その内部で流路断面積をさらに絞るように形成されている。
【0047】
上記衝突部(13)は、略円板状に形成されていて、その厚みが上記オリフィス部(12)の側壁の高さよりも小さくなるように形成されている。上記衝突部(13)は、その外周縁部(周縁部)で上記オリフィス部(12)の開口端部(周縁部)に接続されている。具体的には、上記衝突部(13)は、有底円筒状の上記オリフィス部(12)の開口部に対し、円板表面が該開口部の端面と略面一になるとともに上記オリフィス孔(12a)が平面視で中央部分に位置するように配置されていて、その状態で、径方向外方に延びる4つの接続部(17)によって上記オリフィス部(12)の開口端部に接続されている。これらの接続部(17)は、略円板状の衝突部(13)の外周縁部から有底円筒状のオリフィス部(12)の開口端部へ向かって延びる略矩形状に形成されていて、該衝突部(13)とオリフィス部(12)とを、平面視で略90度の等間隔の位置で接続するように設けられている。なお、上記接続部(17)は、上記オリフィス部(12)の開口端部と溶接によって接続されている。
【0048】
これにより、上記衝突部(13)は、有底筒状の上記オリフィス部(12)の底部に対して該オリフィス部(12)の筒軸方向に所定距離、離間した位置に配置された状態で該オリフィス部(12)に接続される。また、上記吐出部材(11)には、その端面に、上記オリフィス部(12)、衝突部(13)及び接続部(17)によって、平面視で上記オリフィス孔(12a)から均等な距離の位置に扇状の4つの導出口(13a)が形成される。
【0049】
上述のような吐出部材(11)の構成において、上記オリフィス部(12)のオリフィス孔(12a)へ流入する空気溶解水は、該オリフィス孔(12a)を通過する際に減圧された後、上記衝突部(13)に衝突して、衝突水噴流と呼ばれる膜状の流れとなり、該衝突部(13)とオリフィス部(12)の底部との間の隙間(18)内を径方向外方へ放射状に流れる。その際に、発生する空気溶解水の流れの乱れによって、該空気溶解水内の微細気泡が小型化する。その後、微細気泡を含んだ空気溶解水は、上記吐出部材(11)の端面に形成された4つの導出口(13a)から流出する。
【0050】
したがって、上述のような構成によって、空気溶解水を減圧するためのオリフィス部(12)と、減圧した空気溶解水を衝突させて微細気泡を発生させるための衝突部(13)とを一体化した吐出部材(11)を得ることができ、これにより、従来のようにオリフィス部と衝突部とを別々に組み付ける必要がなくなるので、その分、製造時の組立作業の簡素化を図ることができ、作業性の向上を図れる。
【0051】
しかも、上述のように、オリフィス部(12)と衝突部(13)とを一体化することで、両者の隙間(18)の間隔を該衝突部(13)の全面に亘って確実に均一にすることができる。これにより、上記隙間(18)内を径方向外方へ放射状に流れる空気溶解水の流れを均一にすることができ、該空気溶解水中に均一な微細気泡を発生させることができる。
【0052】
さらに、上記4つの導出口(13a)は、概略円柱状の吐出部材(11)の端面に、平面視でオリフィス孔(12a)から均等な距離の位置に設けられているため、微細気泡を含んだ気体溶解水は、上記各導出口(13a)から均等な流量で上記吐出部材(11)の軸線方向に吐出される。これにより、上記吐出部材(11)の隙間(18)内では、衝突部(13)に衝突した空気溶解水が上記各導出口(13a)まで流れる距離が均一になるため、該空気溶解水中により均一な微細気泡を発生させることができる。しかも、上記空気溶解水は、上記吐出部材(11)の軸線方向に吐出されるため、該吐出部材(11)の出口側に形成された出口側流路(16b)をそのまま軸線方向に流れて、浴槽(4)内に効率良く吐出される。
【0053】
なお、上記図2及び図3に示すように、吐出部材(11)のオリフィス部(12)の開口端面には、出口側部材(16)の開口端面に形成された環状の突条部(16c)と嵌合する環状の溝部(11a)が形成されている。
【0054】
−実施形態の効果−
以上より、この実施形態によれば、空気溶解水を減圧するためのオリフィス孔(12a)が形成されたオリフィス部(12)と、該オリフィス孔(12a)を通過した空気溶解水を衝突させて微細気泡を発生させるための衝突部(13)とを一体化して吐出部材(11)としたため、オリフィス部や衝突部を別々に組み付ける必要がなくなり、吐出ノズルの組立を容易に行うことができる。しかも、上述のように、オリフィス部(12)と衝突部(13)とを一体化することで、両者の間隔を均一にすることができ、吐出部材(11)から吐出される微細気泡の気泡径のバラツキを少なくすることができる。
【0055】
また、上記吐出部材(11)は、有底円筒状のオリフィス部(12)の開口端部と、該オリフィス部(12)の開口部よりも外径の小さい円板状の衝突部(13)の外周縁部とが接続部(17)によって接続されて一体化されているため、上記オリフィス部(12)及び衝突部(13)の一体化を簡単な構成によって実現できるとともに、浴槽(4)内の一定方向に向かって微細気泡を吐出する吐出ノズル(10)を容易に得ることができる。
【0056】
また、上記入口側部材(15)と出口側部材(16)との間に吐出部材(11)を挟持した状態で、該入口側部材(15)及び出口側部材(16)を螺合させることにより、上記吐出ノズル(10)を組み立てることができるため、吐出ノズル(10)を容易且つ確実に組み立てることができる。
【0057】
−実施形態の変形例1−
図4に、上記実施形態の変形例1に係る吐出部材(21)の概略構成を示す。この吐出部材(21)は、衝突部(13)とオリフィス部(24)との接続構造が上記実施形態とは異なるだけなので、以下の説明では、異なる部分についてのみ説明する。
【0058】
具体的には、円板状の衝突部(13)は、その外周側に位置する環状の平板部材からなる取付部(22)と接続部(23)を介して接続されている。すなわち、上記衝突部(13)の外周縁部から径方向外方へ延びる接続部(23)は、上記取付部(22)の内周側に溶接によって接続されている。
【0059】
上記取付部(22)は、概略有底円筒状のオリフィス部(24)の開口端面上にOリング(25)を介して取り付けられている。具体的には、上記取付部(22)のオリフィス部(24)との取付面及び該オリフィス部(24)の開口端面には、該取付部(22)とオリフィス部(24)とを組み合わせた状態で上記Oリング(25)を収容するための環状空間を形成するように、それぞれ、環状の溝部(22a,24a)が形成されている。そして、上記取付部(22)は、上記オリフィス部(24)に対して嵌合によって接続されている。
【0060】
このように、上記Oリング(25)を介して取付部(22)とオリフィス部(24)とを嵌合によって接続することで、該取付部(22)とオリフィス部(24)との隙間から空気溶解水が外部へ漏れ出すのを確実に防止することができるとともに、上記取付部(22)を上記オリフィス部(24)から取り外して上記衝突部(13)と上記オリフィス部(24)とを離間することにより、両者の間に挟まったゴミ等を簡単に除去することができる。
【0061】
なお、この変形例では、上記図4に示すように、上記オリフィス部(24)の開口端面が段状に形成されているため、該オリフィス部(24)に上記取付部(22)を取り付けた状態で該取付部(22)の径方向外方に、出口側部材(16)の開口端面に形成された環状の凸部(16c)と嵌合するように、環状の溝部(24b)が形成されている。また、上記図4において、符号24cは、オリフィス孔である。
【0062】
−実施形態の変形例2−
図5に、上記実施形態の変形例2に係る吐出部材(31)の概略構成を示す。この吐出部材(31)は、上記変形例1と同様、衝突部(13)とオリフィス部(33)との接続構造が異なるだけなので、以下の説明では、異なる部分についてのみ説明する。
【0063】
具体的には、円板状の衝突部(13)と接続部(23)を介して接続される取付部(32)が、該衝突部(13)や接続部(23)よりも肉厚に形成されていて、概略有底筒状のオリフィス部(33)の底部に取り付けられている。
【0064】
詳しくは、上記取付部(32)は、上記オリフィス部(33)の側壁と同等の高さとなるような肉厚に形成されている。そして、上記変形例1と同様、上記取付部(32)のオリフィス部(33)の底部との取付面及び該オリフィス部(33)の取り付け部分には、該取付部(32)とオリフィス部(33)とを組み合わせた状態でOリング(25)を収容するための環状空間を形成するように、それぞれ、環状の溝部(32a,33a)が形成されている。
【0065】
上述のような構成によっても、上記取付部(32)とオリフィス部(33)との隙間から空気溶解水が外部へ漏れ出すのを確実に防止することができる。
【0066】
なお、上記図5において、符号33bは、オリフィス孔である。
【0067】
(その他の実施形態)
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0068】
上記実施形態では、有底筒状のオリフィス部(12)と円板状の衝突部(13)とを一体化することにより吐出部材(11)を構成しているが、この限りではなく、互いに接続して一体化できるような形状であれば、オリフィス部及び衝突部の形状はどのような形状であってもよい。例えば、オリフィス部の形状が円板状であって、衝突部の形状が有底円筒状であってもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、上記吐出部材(11)の導出口(13a)は、上記衝突部(13)の外周縁部の一部から延びるように形成された接続部(17)と、上記有底筒状のオリフィス部(12)の開口端部とを接続することにより、該衝突部(13)、オリフィス部(12)及び接続部(17)によって区画形成されているが、この限りでなく、オリフィス孔を通過して衝突部と衝突した空気溶解水が導出されるような構成であれば、吐出部材のどの位置に設けてもよいし、どのような大きさや形状であってもよい。例えば、衝突部に貫通孔を設けて、該貫通孔を導出口としてもよい。
【0070】
また、上記実施形態では、上記オリフィス孔(12a)は、オリフィス部(12)の底部の厚み方向中央部分に向かって徐々に径が小さくなるように形成されているが、この限りでなく、流路断面積を小さくして、該オリフィス孔を通過する空気溶解水を減圧するような構成であれば、どのような大きさや形状であってもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、入口側部材(15)と出口側部材(16)とで吐出部材(11)を挟持した状態で、該入口側部材(15)と出口側部材(16)とが螺合するように構成されているが、この限りでなく、入口側部材と出口側部材とが吐出部材を挟持した状態で係合するような構成であれば、どのような構成であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0072】
以上説明したように、本発明の構成により、微細気泡を浴槽内に吐出するための吐出ノズルにおいて、組立作業の作業性の向上を図れるとともに微細気泡の均一化を図れるため、微細気泡発生装置の吐出ノズルの構造として特に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の実施形態に係る微細気泡発生装置の概略構成を示す図である。
【図2】吐出ノズルの概略構成を示す、(A)正面図、(B)(A)におけるIIb−IIb線断面図、である。
【図3】吐出部材の概略構成を示す、(A)正面図、(B)(A)におけるIIIb−IIIb線断面図、である。
【図4】変形例1に係る吐出部材の図3相当図である。
【図5】変形例2に係る吐出部材の図3相当図である。
【符号の説明】
【0074】
1 微細気泡発生装置
10 吐出ノズル
11,21,31 吐出部材
12,24,33 オリフィス部
12a,24c,33b オリフィス孔
13 衝突部
13a 導出口
15 入口側部材
15a ネジ部
15b 入口側流路
15c 貫通穴(通路)
16 出口側部材
16a ネジ部
16b 出口側流路(通路)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体が液体中に加圧溶解された気体溶解液を減圧して微細気泡を吐出するように、内部に流路が形成された吐出ノズル(10)を有する微細気泡発生装置であって、
上記吐出ノズル(10)は、
上記流路の流路断面積を小さくするためのオリフィス孔(12a,24c,33b)が形成されたオリフィス部(12,24,33)と、
上記オリフィス孔(12a,24c,33b)から流出する気体溶解液が衝突して該気体溶解液内で微細気泡を小径化するように、上記オリフィス孔(12a,24c,33b)の流路出口側に設けられた衝突部(13)とを備え、
上記オリフィス部(12,24,33)及び衝突部(13)は、互いに接続されて一体化されることにより、上記微細気泡を吐出する吐出部材(11,21,31)を構成していることを特徴とする微細気泡発生装置。
【請求項2】
請求項1に記載の微細気泡発生装置において、
上記吐出部材(11,21,31)は、上記衝突部(13)の周縁部と上記オリフィス部(12,24,33)の周縁部との間に上記微細気泡を含んだ気体溶解液の導出口(13a)が形成されるように、上記衝突部(13)の周縁部の一部が上記オリフィス部(12,24,33)の周縁部と接続されていることを特徴とする微細気泡発生装置。
【請求項3】
請求項2に記載の微細気泡発生装置において、
上記オリフィス部(12,24,33)は、略有底筒状に形成されているとともに、その底部に上記オリフィス孔(12a,24c,33b)が設けられていて、
上記衝突部(13)の周縁部は、上記導出口(13a)が上記オリフィス部(12,24,33)の筒軸方向に向かって開口するように、該オリフィス部(12,24,33)の開口側の周縁部と接続されていることを特徴とする微細気泡発生装置。
【請求項4】
請求項2,3に記載の微細気泡発生装置において、
上記吐出ノズル(10)は、
上記オリフィス孔(12a,24c,33b)の入口側流路(15b)を形成するための通路(15c)が内部に形成された入口側部材(15)と、
上記導出口(13a)の出口側流路を形成するための通路(16b)が内部に形成された出口側部材(16)とを備え、
上記入口側部材(15)及び上記出口側部材(16)は、上記吐出部材(11,21,31)を挟持した状態で、互いに係合可能に構成されていることを特徴とする微細気泡発生装置。
【請求項5】
請求項4に記載の微細気泡発生装置において、
上記入口側部材(15)及び上記出口側部材(16)は、それぞれ円筒状の部材からなり、一方の部材(16)の外周面上に他方の部材(15)の内周面が係合するように、該一方の部材(16)の外径が他方の部材(15)の内径と同等になるよう形成されているとともに、該一方の部材(16)の外周面上及び他方の部材(15)の内周面上に互いに螺合可能なネジ部(15a,16a)が形成されていることを特徴とする微細気泡発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−155191(P2010−155191A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−334274(P2008−334274)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】