説明

微細気泡発生装置

【課題】配管内部に旋回流を発生させるスパイラル部材を内蔵させ、旋回空間を挟んで小穴を中心に備えたノズルを備え、前記ノズル先端から微細気液混合流体(マイクロバブル、ナノバブル)を吐出する微細気泡発生装置を提供する。
【解決手段】液圧発生部10に接続した配管1の一部分に着脱可能に設けられ、配管1内部に旋回流を発生させるスパイラル部材3を内蔵させ、次に旋回空間部4を設け、続いて小穴5aを中心に設けたノズル5を設けてなり、前記ノズル5先端からマイクロバブル、ナノバブルなどの微細気液混合流体36を吐出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体中に微細気泡発生させる装置に掛かり、特に管内の液体を旋回させ、旋回流により生じる剪断力によって微細気泡を発生させる装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体中に微細気泡を発生のため、円錐形にされた内部空間を備え、前記内部空間に気体を含む液体を導入して旋回流を起こさせ、旋回流により生じる剪断力によって気体を微細化する微細気泡発生装置が提案されていた。
【0003】
従来技術1は、例えば微細気泡発生装置は、一連の特許文献特開2000−447、特開2003−181259、特開2003−205228、特開2010−155243などが開示されている。
【0004】
これらの微細気泡発生装置は、円錐形のスペースを有する容器本体と、同スペースの内壁円周面の一部にその接線方向に開設された加圧液体導入口と、前記円錐形のスペース底部に開設された気体導入孔と、前記円錐形スペースの頂部に開設された旋回気液導出口とから構成されてなることを特徴とするものであった。
具体的には、5に本発明装置の原理説明図を示すごとく、まず装置容器内に円錐形のスペース100を設け、また同スペースの内壁円周面の一部にその接線方向に加圧液体導入口50を開設し、また前記円錐形のスペース底部300の中央部に気体導入孔80を開設し、さらに前記円錐形スペースの頂部付近には旋回気液導出口101を設けて微細気泡発生装置を構成する。そこで、前記装置本体を又は少なくとも旋回気液導出口101を液体中に埋設させ、前記加圧液体導入口50から円錐形スペース100内に加圧液体を圧送することにより、その内部に旋回流が生成し、円錐管軸上に負圧部分が形成される。この負圧によって、前記気体導入孔80から気体が吸い込まれ、圧力が最も低い管軸上を気体が通過することによって、細い旋回気体空洞部60が形成される。
この円錐形スペース100では旋回流が入り口(加圧液体導入口)50から出口(旋回気液導出口)101へ向かって形成され、スペース100の断面縮小にしたがって、旋回気液導出口101に向かうほど、旋回流速と出口に向かう流速とが同時に増加する。また、この旋回に伴って、液体と気体の比重差から、液体には遠心力、気体には向心力が同時に働き、そのために液体部と気体部の分離が可能となり、気体が糸状で出口101まで続き、そこから噴出されるが、その噴出と同時に周囲の液体(水)によって、その旋回が急激に弱められ、その前後で、急激な旋回速度差が発生する。この旋回速度差の発生によって、糸状の気体空洞部60が連続的に安定して切断され、その結果として大量の微細気泡、例えば直径10〜20μmの微細気泡が同出口101付近で発生し、器外の液体中へ放出されるのである。
【0005】
また、従来技術2の例としては、特許第4129290号に示すように、先行技術1の例とは異なり、円筒状の内周面を有する筒状部材を備えた容器であり、前記筒状部材の一端を閉じるように設定される第1端壁部材と、前記筒状部材の他端を閉じるように設定される第2端壁部材と、前記筒状部材、前記第1端壁部材、及び、前記第2端壁部材によって画定される流体旋回室と、前記筒状部材の軸線方向の中心位置よりも第2端壁部材寄りの位置に前記筒状部材を貫通するように設けられ、気液混合流体を前記流体旋回室内に、その接線方向で導入する1つの流体導入孔と、前記筒状部材の内周面の中心軸線に沿って前記第2端壁部材を貫通する流体吐出孔と、を備える気体旋回剪断装置を有し、前記筒状部材の内周面が鏡面仕上げとされ、前記筒状部材の内周面に開口した前記流体導入孔に周方向で対応する当前記内周面の部分に、前記内周面の軸線方向で相互に間隔をあけて設けられた、幅及び深さが1mm以下の複数の環状溝を有する。
この装置は、具体的には図6に示すように、気液混合流体を作るための渦流ポンプ12と、該渦流ポンプで作られた気液混合流体を受け入れて該気液混合流体中に含まれる気体を微細化するための気体旋回剪断装置14と、該気体旋回剪断装置によって気体が微細化された流体を分散排出するための分散器16とを有している。分散器16は、液体貯留槽36内の液体内に浸漬されており、微細化された気泡を該液体貯留槽36内の液体L内に分散放出するようになっている。また、液体貯留槽36の液体はパイプ38を介してポンプ12に供給されるようになっている。
【先行技術文献】
【0006】
【特許文献1】 特開2000−447
【特許文献2】 特開2003−181259
【特許文献3】 特開2003−205228
【特許文献4】 特開2010−155243
【特許文献5】 特許第4129290号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の微細気泡発生装置は、前述した通り円錐形のスペースを有する容器本体と、同スペースの底部付近の内壁円周面の一部にその接線方向に開設された加圧液体導入口と、前記円錐形のスペース底部に開設された気体導入孔と、前記円錐形スペースの頂部に開設された旋回気液導出口とから構成されている。
そのため、装置に必ずポンプが必要となり、旋回流の強さおよび流量を調整することが困難であった。また、家庭用浴室の水道水を直接利用するには、円錐形のスペースを必要としているので、スペースをとり、使い勝手が悪いものだった。
本発明の目的は、配管内部に旋回流を発生させるスパイラル部材を内蔵させ、旋回空間を挟んで小穴を中心に備えたノズルを備え、前記ノズル先端から微細気液混合流体(マイクロバブル、ナノバブル)を吐出する微細気泡発生装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第一の微細気泡発生装置(30)は、液圧発生部(10)に接続した配管(11)の一部分に着脱可能に設けられ、配管(11)内部に旋回流を発生させるスパイラル部材(13)を内蔵させ、次に旋回空間部(14)を設け、続いて小穴(15a)を中心に設けたノズル(15)を設け、ノズル(15)先端から微細気液混合流体(マイクロバブル、ナノバブル)を吐出することを特徴とする。
液圧発生部(10)から送られた液体は、微細気泡発生装置(30)のスパイラル部材(13)で液体の流れは旋回し、旋回空間部(14)で旋回流を発生させ、中心部の糸状の細い気体旋回空洞部とその周辺の液体旋回流体がノズル(15a)から噴出される。同時に周囲の液体によって、その旋回が急激に弱められ、その前後で、急激な旋回速度差が発生する。この旋回速度差の発生によって、旋回流中心部の糸状の気体空洞部(30)が連続的に安定して切断され、その結果として大量の微小気泡、例えば直径10〜20μmの微細気泡がノズル(15a)の先端から微細気液混合流体(マイクロバブル、ナノバブル)を吐出する。この微細気泡発生装置は、所定の長さのパイプの両端にネジ部を形成して、着脱可能に設けられ、材料は、各種プラスチック、各種金属などが使用される。スパイラル部材は、棒状部材を螺旋状溝(一条または二条)を切削するか、または、短冊状の板材を上部と下部を挟持しながら捩じりパイプに接合することにより得ることができる。短冊状の板材、小穴を中心に設けたノズルは、各種プラスチック、各種金属などが使用される。
本発明の第二の微細気泡発生装置(30)は、前記液圧発生部(10)に水道水を利用し、前記水道水内の気体と、水圧を利用したことを特徴とする。これ以外はすべて第一の発明の記載内容と同様の原理に基づく作用、効果である。
本発明の第三の微細気泡発生装置(30)は、前記液圧発生部(10)にポンプ(12)を用い、前記渦流ポンプに液体を蓄えるケーシング(30)と、前記ケーシング(20)内で回転するインペラー(22)と、前記ケーシング(20)の周壁に形成された液体入口と、前記ケーシング(20)の周壁に形成された気体入口と、前記ケーシング(20)の周壁に設けられ、前記インペラー(22)の回転により吸引された液体と気体とが混合されて形成された気液混合流体を吐出する流体出口(28)とを有し、前記渦流ポンプ(12)の流体出口が、前記微細気泡発生装置(30)に接続されているポンプ(12)を有することを特徴とする。これ以外はすべて第一の発明の記載内容と同様の原理に基づく作用、効果である。ポンプ(12)は、渦巻きポンプ、タービンポンプ、インペラポンプなど液体を加圧できるものならが良い。
本発明の第四の微細気泡発生装置(30)は、前記液圧発生部(10)に前記ポンプ(12)による液圧を利用し、前記配管(11)の旋回空間部(4)とノズルの間にオゾンガス、酸素、ガスなど気体を供給する通路を設けたこと特徴とする。
これ以外はすべて第一の発明の記載内容と同様の原理に基づく作用、効果である。
【発明の効果】
本発明の微細気泡発生装置は、配管内部に旋回流を発生させるスパイラル部材を内蔵させ、旋回空間を挟んで小穴を中心に備えたノズルを備えるだけなので、装置および配管の配列が直線状に設計できる。
本発明の微細気泡発生装置に水道水圧を利用した場合には、配管内部に旋回流を発生させるスパイラル部材を内蔵させ、旋回空間を挟んで小穴を中心に備えたノズルを備えるだけでマイクロバブル、ナノバブルを発生することができる。
本発明の微細気泡発生装置にポンプによる水圧を利用した場合には、配管内部に旋回流を発生させるスパイラル部材を内蔵させ、旋回空間を挟んで小穴を中心に備えたノズルを備え、このノズルにオゾンガス、酸素、ガスなどを供給すれば、多彩な機能を演出したマイクロバブル、ナノバブルを発生することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】は、実施例1の微細気泡発生装置を示す概略図である。
【図2】は、実施例2の微細気泡発生装置を示す概略図である。
【図3】は、実施例3の微細気泡発生装置を示す概略図である。
【図4】は、実施例4の微細気泡発生装置を示す概略図である。
【図5】は、従来技術1を示す説明図である。
【図6】は、従来技術2を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0011】
微細気泡発生装置は、図1に示すように液圧発生部10に接続した配管1の一部分に着脱可能に設けられ、配管1と微細気泡発生装置30は、ネジ部(図示省略)を介して着脱自在に螺合している。微細気泡発生装置30は、パイプ12内にスパイラル部材13を接合し、次に旋回空間部14を設け、続いて小穴15aを中心に設けたノズル15を設けている。
したがって、液圧発生部10から送られた液体は、微細気泡発生装置30のスパイラル部材3で液体は旋回し、旋回空間部4で旋回流を発生させ、中心部の糸状の細い気体旋回空洞部とその周辺の液体旋回流体がノズル5aから噴出される。同時に周囲の液体によって、その旋回が急激に弱められ、その前後で、急激な旋回速度差が発生する。この旋回速度差の発生によって、旋回流中心部の糸状の気体空洞部35が連続的に安定して切断され、その結果として大量の微小気泡、例えば直径10〜20μmの微細気泡がノズル5aの先端から微細気液混合流体(マイクロバブル、ナノバブル)36を吐出する。
【実施例2】
本実施例の微細気泡発生装置30は、図2の概略図に示す。液圧発生部10に公共の水道水または、渦巻きポンプから吐出される気体を含んだ圧力水を利用し、微細気泡がノズル5aの先端から微細気液混合流体(マイクロバブル、ナノバブル)36を吐出することができる。これ以外はすべて実施例1の記載内容と同様の原理に基づく作用、効果である。
【実施例3】
本実施例の微細気泡発生装置30は、図3の概略図に示す。液圧発生部10には、図6と同様の渦流ポンプ12を用い、同図においてハウジング20と、該ハウジング20内に収納されて回転駆動されるインペラー22とを有する。ハウジング20には、パイプ38に接続されて、液体貯留槽36内の液体を当該パイプ内に吸引するための液体吸引孔24と、該液体吸引孔に連通されて、液体吸引孔24内を流れる液体内に気体が吸引されるようにする気体吸引孔26と、ハウジング内に吸引された液体及び気体がインペラー22の回転により混合されて形成された気液混合流体を吐出する吐出孔28が設けられている。吐出孔28から吐出される気液混合流体は、図3に示す概略図のように、微細気泡発生装置30に導入され、実施例1と同様にノズル15aから微細気液混合流体(マイクロバブル、ナノバブル)36を吐出する。微細気泡発生装置30はすべて実施例1の記載内容と同様の原理に基づく作用、効果である。
【実施例4】
本実施例の微細気泡発生装置30は、前記液圧発生部10に前記渦巻ポンプ12による液圧を利用し、ノズル5aの前部すなわち圧力開放部にオゾンガス、酸素、ガスなど気体を供給する気体吸引孔27に通路18を設けたこと特徴とする。
これにより、流れオゾンガス、酸素、ガスなど気体を巻き込んだ微細気液混合流体(マイクロバブル、ナノバブル)3を吐出する。微細気泡発生装置30はすべて実施例1の記載内容と同様の原理に基づく作用、効果である。
【産業上の利用可能性】
【0012】
本発明は、空気、酸素ガス等の気体を水道水、河川水、その他の液体等に効率的に溶解して、水質浄化、水環境を蘇生するため、微細気泡を簡潔な構造で効率よく生成することができる微細気泡発生装置の提供するものである。
【符号の説明】
1 配管
2 パイプ
3 スパイラル部材
4 旋回空間部
5 ノズル
5a 小穴
10 液圧発生部
18 通路
27 気体吸流量制御弁
28 気体吸引路
30 微細気泡発生装置
35 気体空洞部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液圧発生部に接続した配管の一部分に着脱可能に設けられ、配管内部に旋回流を発生させるスパイラル部材を内蔵させ、次に旋回空間部を設け、続いて小穴を中心に設けたノズルを設け、前記ノズル先端からマイクロバブル、ナノバブルなどの微細気泡を発生することを特徴とする微細気泡発生装置。
【請求項2】
前記液圧発生部に水道水を利用し、前記水道水内の気体と、水圧を利用したことを特徴とする請求項1に記載の微細気泡発生装置。
【請求項3】
前記液圧発生部に渦流ポンプを用い、前記渦流ポンプに液体を蓄えるケーシングと、前記ケーシング内で回転するインペラーと、前記ケーシングの周壁に形成された液体入口と、前記ケーシングの周壁に形成された気体入口と、前記ケーシングの周壁に設けられ、前記インペラーの回転により吸引された液体と気体とが混合されて形成された気液混合流体を吐出する流体出口とを有し、前記渦流ポンプの流体出口が、前記気体旋回剪断装置の流体導入孔に接続されている渦流ポンプを有することを特徴とする請求項1に記載の微細気泡発生装置。
【請求項4】
前記液圧発生部に前記ポンプによる液圧を利用し、前記配管の旋回空間部とノズルの間にオゾンガス、酸素、ガスなど気体を供給する通路を設け、前記液体と前記気体とが混合されて形成された気液混合流体を吐出し、マイクロバブル、ナノバブルを発生すること特徴とする請求項1に記載のの微細気泡発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−91153(P2012−91153A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−253270(P2010−253270)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【出願人】(592055370)
【Fターム(参考)】