説明

微細複製形態を有する接着剤ならびにこれを製造する方法およびこれを使用する方法

【課題】接着界面で流体を流出させるための微細溝を接着剤表面に形成すること。
【解決手段】接着面の表面形態を制御する方法であって、接着剤層と支持基材との問に接着界面が確立されると、接着面の表面形態がその接着剤と前記支持基材との間の接着界面の性能を制御するように、微細エンボスパターンを接着剤層に接触させて、微細複製接着面を形成するステップを含む方法を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細溝の制御された表面形態面を有する接着剤と、それらを製造する方法と、それらを使用する方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
感圧接着剤は2つの材料の結合作業に有用である。接着剤と材料との界面は結合された材料の性能に極めて重要である。どちらかの界面の接着性がなくなると、その材料は使用されなくなることがある。
最高性能を要求する接着界面の一例は、基材に接着されたイメージグラフィックスを表示し、基材に接着させるために接着剤層が追加されたバッキング材料である耐久性フィルムである。大型のイメージグラフィックフィルムと基材との接着性には、フィルムと基材との間に空気が取り込まれるという問題が生じる。壁紙を貼ろうとしたことがある者はだれでも、接着剤付きフィルムの下に取り込まれた空気を容易に除去できないときに欲求不満感が生じることを納得することができる。この問題の最も普通の解決法はフィルムを除去し、再度適用するか、またはフィルムに小さい穴を開けて入り込んだ空気を出すことである。同一フィルムを基材に多数回接着しようとすると、感圧接着剤の性能を損ねるか、または基材上のフィルムが不均一または接着不良となる可能性が増大する。フィルムに小さい穴を開けることはその外観を損なう。気泡の除去も労働集約的である。
【0003】
従来の方法は、感圧接着剤の特殊な表面形状の構成物に注目することにより、イメージグラフィックスフィルムと基材との容易な接着を取り扱っている。イメージグラフィックス用の市販の優れた感圧接着剤が米国ミネソタ州セントポールの3M社によりイメージグラフィックフィルムとして購入可能である。このような利用性を有する感圧接着剤は種々の特許に開示されている。このような材料について記載している特許の代表的な例には、米国特許第5,296,277号および同第5,362,516号(両特許共にウィルソン(Wilson)ら)ならびに同第5,141,790号(カルホーン(Calhoun)ら)が含まれる。これらの特許は、接着剤と剥離ライナーとの界面から接着剤の表面形態がどのように構築されるかについて開示している。接着剤表面の主要な表面形態的特徴は、接触領域と識別される接着剤表面から突き出た別個の突起である。
【0004】
接着剤に表面形態を与える別の方法は、接着剤に一時的な表面形態を形成する隆起または窪みを剥離ライナーまたは転写ライナーに形成することである。例えば、英国特許明細書第1,511,060号は、熱および圧力と特殊な表面形態を有する剥離ライナーを適用するかまたは特殊な表面形態を有する剥離ライナー上に接着剤をコーティングし、剥離ライナーを除去して不浸透性バッキング上に形成される感熱感圧接着剤について開示している。次いで、望ましい基材への接着剤の結合は、接着剤層を基材に接着させる加熱ステップおよび加圧ステップも必要とする。このステップはまた、最終製品の外観を改善するために必要である。接着剤層とバッキングとの接着を生じさせ、次いで最終的な基材への接着を生じさせるこのような複雑な手順により、大型のグラフィックスおよび他の産業用途へのこの構成物の利用性を非常に小さくしている。さらに、非粘着性接着剤表面に効果的な一時的表面形態を形成するために使用される窪みの深さは少なくとも45μmであり、ただし、窪みの幅は少なくとも130μmである。
【0005】
接着剤表面に形成される一時的な表面形態の別の例は米国特許第5,344,681号および同第5,449,540号(両特許共にカルホーン(Calhoun)ら)に開示されている。セグメント化された感圧接着剤転写テープは、転写前に接着剤が横方向に流動するのを防ぐが、転写後には流動して、連続的な接着層を形成することができるように設計されている。小さな接着剤セグメントは厚さが制御可能である。接着剤転写テープは、テープをその両表面が接触するようにテープ自体の回りに巻き取られてから、解きほぐされた場合、接着剤が一方の面から他方に転写するように、1つの面が一連の窪みを有し、他の面が比較的滑らかである2つの対向面を有する担体と、接着剤を含まない領域により周囲を囲まれた窪みに存在する感圧接着剤とを有する。好ましくは、窪みはエンボス加工によって形成され、間隔をおいて配置される。好ましくは、窪みは断面が卵形、円形、多角形または矩形である。好ましくは、接着剤はアクリル樹脂またはゴム樹脂で、感圧性である。
【0006】
接着剤表面に形成される一時的な表面形態の別の例は米国特許第5,268,228号(オール(Orr))に開示されている。両面接着剤被覆テープはテープの一方の面または両面に細かい溝を有し、排気を容易にして非接触領域を最小にしている。テープの溝は、2つの被接着面が正常位置に存在すると、溝がかなりまたは完全に消失するほど十分に細かい。実施例1は、下層の接着剤表面に深さ70〜150ミクロンの溝を配置した保護シートの刻み線について記載する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
望ましい表面形態を有する接着剤は、1つの材料を他の材料に接着する分野、特に、リベット、シーム等が介在する大型の平坦面を有する支持基材上の大型のグラフィックスに生じる問題を解決する3つの制限的な条件に直面する。
(1)特に、バッキング材料、接着剤および/または基材が流体不浸透性である場合には、溝のない接着剤は、接着剤と基材との間の界面のX−Y次元内に、流体を流出させる効果的な経路を提供しない。しかし、溝が大きすぎる場合には、流体流出通路は同じ流体または他の流体の受動的な流入の通路にもなるだろう。
(2)バッキング材料および特に外側の画像形成可能面は選択した接着剤の表面形態によって有害な影響を受けないので、接着剤の溝のサイズを限定しないし、また、構成方法を限定しない。バッキング材料は画像形成および他の審美的な理由のために平坦で均一な面を必要とする。バッキングと接着剤の積層物中に大きい溝を形成することは、バッキング材料の平坦で均一な面を破壊する。また、接着剤の表面形態が大きすぎると、最終的な基材上でのバッキング材料の外観に望ましくない起伏や他の欠陥を形成することになる。このような起伏や他の欠陥により、イメージグラフィックはほとんどの市場で受け入れられなくなる。
(3)実際に基材に接触する接着剤の領域および接着剤の保持力(すなわち、せん断および剥離接着性)がバッキング材料と基材との接着性能に影響を与える。保持力が弱すぎるか、もしくは接着剤接触領域が小さすぎる場合、または両方の場合、接着剤の性能は十分ではなくなる。微細球または他の大型の階段型面パターンを使用して、一時的または永久的に基材の接着面領域を減少させてきた。こうすることにより接着剤の保持力または接着剤の接触領域に影響を与えることができる。表面特徴のサイズが増加すると、表面形態中に空気通過溝が形成されるが、効果的な永久接着を提供するには不十分な接着界面が残存する。
【0008】
大型のグラフィックスに関連する気泡および流体流出の問題を理解するのは容易であるが、予備マスキングなしの適用速度が経済上または製造上の点から考えて重要である場合には、これらの問題はまた小型のグラフィックスおよびデカルコマニアにも存在する。
流体流出の問題は、接着剤と接触する2つの材料がどちらかの材料または両方の材料を通してのZ軸方向の流出を完全に阻止する場合には常にさらにより重要である。さらに、金属板などのように、材料が可撓性でないだけでなく、流体不浸透性である場合には、適用時に流体流出のための通路が形成できない。
【0009】
当技術分野は、列挙した3つの制限条件内で感圧接着剤と2つの材料との界面の接着性を制御する異なる方法を必要としている。実際、当技術分野は、接着剤表面の幾何構造を工作して、特定の性能が要求される任意の接着界面に接着剤表面の制御された表面形態を提供することを必要としている。
本発明の場合、その特定の性能は接着界面のX−Y方向の流体流出の提供を含むが、画像形成のために平坦で均一であることを維持しなければならないバッキング材料の望ましい外観に有害な影響を与えず、好ましくは使用時に適合可能である。さらに、流体流出は、接着界面を維持するための接着剤による接着強度と調和しなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、接着剤層と支持基材との間に接着界面が確立されると、接着剤表面の表面形態がその接着剤と支持基材との接着界面の性能を制御するように、微細エンボスパターンを接着剤層に接触させるステップと、微細複製面を形成するステップとを含む、接着剤表面の表面形態を制御する手段を提供する。
「接着剤」は、支持基材に適用するときに感圧接着特性を有する任意の形態の接着剤を意味する。感圧テープ審議会(Pressure Sensitive Tape Council)によって識別されるように、感圧接着剤は、指または手で押さえる以上の圧力を必要とすることなく、単に接触させるだけで、種々の異なる面との強固な接着を必要とする。
【0011】
本発明の別の態様は、キャスティング技法、コーティング技法または圧縮技法などの任意の接触技法による微細複製によって形成された微細複製された(microreplicated)接着剤表面を提供する。微細複製は、(1)微細エンボスパターンを有する工具を使用してキャスティングする、(2)微細エンボスパターンを有する剥離ライナーへ接着剤を被覆する、または(3)ニップロールに通過させて微細エンボスパターンを有する剥離ライナーに感圧接着剤を押し付ける、の少なくともいずれかによって達成することができる。望ましいエンボス処理用表面形態は、一部には、工具材料および望ましい表面形態の特徴に応じて選択された、多数の周知の技法の任意の技法により工具に形成することができる。例示的な技法としてはエッチング(例えば、化学的エッチング、機械的エッチングまたはレーザー研磨などの研磨手段または反応イオンエッチング等による)、フォトリソグラフィー、ステレオリソグラフィー、微細機械加工、ローレット切り(例えば、切削用ローレット切りまたは酸増強型ローレット切り)、スコアリングまたは切削等が挙げられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
微細複製された表面形態は感圧接着剤の少なくとも一方の主要面に残存し、必要に応じて、当業者が望むように、接着剤の両対向主要面に残存し、同じ方法または異なる方法で界面の特性に影響を与えることができる。
微細エンボスライナーを使用する場合には、ライナーは剥離ライナー(例えば、接着剤のための剥離可能な貯蔵ライナーまたは1つの位置から別の位置へ接着剤を移動するための転写ライナー)であっても、またはテープのバッキングの微細エンボス面がテープが解きほぐされるとき露出される接着剤の表面を微細複製するように、ライナーとしても作用する、自己巻き取りロールのテープバッキングであってもよい。
「微細エンボス」は、連続接着剤において、面の平面寸法の最大差が約45μmより小さい有効三次元パターンを有するライナーまたはキャスティング工具の表面形態を意味する。パターンは相互接続していても、連続的に平行であってもよい。
「相互接続」は、微細エンボスパターンの少なくとも2つの三次元的特徴が交差して、接着剤表面にこのような三次元的特徴の逆の交差の微細複製形成を生ずることを意味する。
「微細複製された接着剤」は、少なくとも一方の主要な実質的に連続な面に、接着剤が接着され、少なくとも約35%の接触領域を有する微細エンボスパターンの、本質的ではあるが必ずしも完璧ではない、逆である表面形態を有する接着剤を意味する。
「パターン」は、それらに限定することなく、ユークリッド(Euclidian)の幾何学的配置およびフラクタル配置を含むいかなる幾何学的配置理論も使用することができる任意のエンボス成形を意味する。
【0013】
必要に応じて、微細エンボスパターンは多重であってもよい。「多重」は、2つ以上のエンボスパターンがライナーに重ねられて種々の深さまたは高さの複雑なエンボスパターンを形成し、種々の深さまたは高さの複雑なパターンを有する微細複製された接着剤を形成することを意味する。
本発明の別の態様は、本発明の微細複製された接着剤を有する物品である。
本発明の微細複製された接着剤を製造するために使用される微細エンボスライナー、工具またはニップロールは、多重の微細エンボスパターン、多重のエンボスおよび利用可能な種々の材料を考慮すると、多数の微細複製組み合わせを提供することができる。
【0014】
本発明の微細複製された接着剤の特徴は、微細エンボスパターンが、目的の使用中に微細複製された接着剤表面に有効期間の間保持されるということである。微細複製の保持は、選択した感圧接着剤のレオロジーおよび適用条件に応じて数分から数年の範囲であってもよい。流体の流出は限定された時間の間だけ望まれることがある。
本発明は、感圧接着剤に三次元的表面形態を提供するだけでなく、感圧接着剤の通常では見られない特性のために、それらの流動特性を工作することができる。従って、本発明はまた、感圧接着剤の効果的な使用および第四の次元を制御する基材適用技法、すなわち、基材適用後、接着面がどれくらい長く三次元構造を残存するかを含む。表面形態は永久的である必要はない。例えば、十分な流体流出が完了後、接着界面の任意の部分を破壊することが望ましいことがある。
【0015】
微細複製された接着剤の表面形態の別の特徴は、大型のイメージグラフィックスからの空気の流出、プラスチック材料からの可塑剤の移動経路および接着剤表面のZ軸ではなく接着界面のX−Y方向の流体の輸送を必要とする他の用途などの、望ましい用途のための接着剤表面の加工を制御する能力である。言い換えると、必要に応じて、接着界面の空気力学を加工することができる。
多重の微細エンボスパターンを使用する場合、微細複製された接着剤の別の特徴は、米国特許第5,296,277号および同第5,362,516号(両特許共にウィルソン(Wilson)ら)ならびに同第5,141,790号(カルホーン(Calhoun)ら)および国際公開公報第US96/1687号に開示されているものと同じ配置などの、複雑な接着剤用途の表面形態の異なる深さの窪みに導入される材料の種類を制御する能力である。
【0016】
本発明の利点は、別の材料に転写または接着された場合に、制御された期間の間特定目的の用途に役立つ加工接着面を形成することである。
本発明の別の利点は、その接着剤を基材に接着するバッキング材料の外観に有害な影響を与えることなく、効果的に流体を流出させる感圧接着剤である。
本発明の別の利点は、気体、取り込まれた空気、可塑剤または水分などの流体を、接着剤の特定の組成物または配合物とは関係なく、接着剤表面の平面から排出する接着剤表面の能力である。
【0017】
本発明の別の利点は、接着剤の対向する主要面の各々に、同じまたは異なる接着剤表面形態を形成することである。例えば、一方の接着界面は一方の加工表面形態から可塑剤を移動させ、対向する主要面は第2の加工表面形態により流体を流動させるだろう。
本発明の別の利点は、望ましい時に流体の制御された流出を可能にして、除去を容易にする、表面の特性を変更する、追加の改善処置を提供する等などの、接着界面に影響を与える接着剤表面の能力である。
他の特徴および利点は、以下の図面に関連して記載される本発明の実施態様により明らかになる。
【0018】
本発明の実施態様
図1は、ライナーに形成することができる複雑な表面形態の一例を示す。この走査型電子顕微鏡写真は、1つのパターン24のエンボスと必要に応じた第2のパターン26のエンボスを有する表面22を有するライナー20を示す。同時係属出願の国際出願番号第 (カルホーン(Calhoun)ら(弁護士名簿番号52773PCT3A)に開示される技法により、複数の必要に応じたパターンを追加することができる。
図1を注意深く観察すると、比較的平坦なランド部27、すなわちライナー20の最初の表面22より窪んだ大きい区画とエンボス工程中にランド部27からの材料の移動により形成された一連の隆起部28の両方を有するパターン24を示す。パターン26は一連の窪み29を形成する。
【0019】
多重のエンボスパターンが望ましい場合には、製造工程はエンボス順序を逆にし、必要なパターンを最後にする。二重エンボスライナー20の製造は実際には、先ず第2のエンボスパターン26を形成し、次に必要な第1のエンボスパターンを2番目に形成することを必要とする。米国特許第5,296,277号(ウィルソン(Wilson)ら)に開示されるように、2つのエンボスパターンを製造する時間の間に、ガラスビーズなどの望ましい材料を必要に応じた第2のエンボスパターン26に組込むことができる。
得られた多重の微細エンボスライナー20は総面積「T」、パターン24のエンボス加工中に形成されたランド27の第1の面積「A」およびパターン24のエンボス加工中に形成された隆起部28の面積「B」およびランド部27と隆起部28の両者に存在する窪み29の面積「C」を有する。図2は、1つの窪み29が隆起部28にどのように存在することができるかを示す。従って、T=A+Bであり、面積Cの全てが面積AもしくはB、またはその両者に存在する。
【0020】
パターン24および26は、パターンを互いに重ねることを認める当技術分野の要件により異なってもよい。例えば、図1では、ランド部27は不連続である。その理由は、パターン24を成形するための工具の別個の突起が互いに交差しないからである。同様に、窪み29は不連続である。その理由は、パターン26を形成するための工具の別個の突起が互いに交差しないからである。
パターン24の結果は互いに分離したランド27を形成し、パターン26の結果は互いに別個の窪み29を形成する。相互接続した隆起部28は、別個のランド部のエンボス加工の副産物である。
【0021】
言い換えると、工具の表面形態は、微細複製された接着剤の最終的な表面形態の逆の像であり、ライナー20は工具の像を微細複製接着剤に転写するための逆の像として作用する。従って、ライナー20のエンボス加工工具の表面形態は、本質的に、微細複製された接着剤の表面形態である。
パターン24および26により形成される接着剤の実施態様に関し、表面22に対するランド部27(Tに対するA)の面積の割合は約35%〜約99%の範囲であってもよい。望ましくは、この割合は約50%〜約98%の範囲であってもよい。好ましくは、この割合は約60%〜約97%の範囲であってもよい。さらに好ましくは、この割合は約70%〜約96%の範囲であってもよい。最も好ましくは、Tに対するAの割合は約85%〜約95%の範囲であってもよく、支持基材との接着性に有害な影響を与えることなく、適当な流体の流出を提供する。言い換えると、Tに対するAの割合は、本質的に、支持基材上の微細複製された接着剤の接触面積を決定する。表面22に対する交差隆起部28(Tに対するB)のそれぞれの面積割合は、それぞれその残りである。
【0022】
表面22に対する窪み29(Tに対するC)の面積割合は約1%〜約70%の範囲であってもよい。好ましくは、この割合は約2%〜約25%の範囲であってもよい。最も好ましくは、Tに対するCの割合は、最終的な接着剤の接着強度に対する接着剤の再配置性との均衡のために、約3%〜約15%の範囲であってもよい。
ライナー20に対して表されるこれらの割合は、微細複製された接着剤の逆の表面形態でほぼ同じ割合を生ずる。しかし、米国特許第5,296,277号(ウィルソン(Wilson)ら)に記載されているように、それらのペグの平坦な接着面が重要である。従って、所定の容量の窪み29を形成する場合、または幾何学的配置を使用してこれらの窪みを達成する場合には、本発明は窪み29の面積に関するこれらの割合によって限定されない。言い換えると、窪み29は、上記に表す面積割合内において、当業者に望まれる任意の均一な幾何学的配置をとってもよい。
【0023】
ランド部27を形成するパターン24のエンボスは材料を移動させて隆起部28を形成する。大きい陸の塊が移動することによって山脈が形成されるように、隆起部28は表面22から生ずる。ランド部のエンボスの深さは数マイクロメーターの深さをもたらすにすぎないが、隆起部は表面22から約3〜約45μm、好ましくは約5〜約30μm、最も好ましくは約6〜約20μmの範囲の高さまで生ずる。
必要に応じたパターン26のエンボスの深さは約4〜約200マイクロ、好ましくは約8〜約100μm、最も好ましくは約10〜約30μmの範囲であってもよい。パターン26のエンボスはパターン24のエンボスより以前に生じるので、本明細書で同定する深さは両エンボスの累積効果で、必ずしもエンボス工具の高さではない。
さらに、エンボス化されるライナー20の粘弾性のために、必要とされるエンボス工具のサイズが望ましいエンボス深さを越えることがあることは当業者に明らかである。
【0024】
パターン24、パターン26またはそれらの任意の組み合わせのいずれかのエンボスの「側壁」は、一定の曲率半径からパターン24またはパターン26内の少なくとも2面の多角形状までの範囲の、望ましい任意の形状であってもよい。断面のエンボスの形状の限定的でない例としては、曲線、矩形、台形、三角形、二峰性等が挙げられる。米国特許第5,296,277号(ウィルソン(Wilson)ら)は、微細複製された接着剤にペグを提供するために、窪み29を形成する場合に考慮されるべき変数のいくつかについて記載している。
パターン24、パターン26またはそれらの任意の組み合わせのいずれかのエンボスの幅は必要に応じて異なってもよい。例えば、図1では、ランド部27およびくぼみ29を形成するエンボスの幅は面積22に対して比較均一である。しかし、パターンは流体流出のために表面22では異なってもよいが、分水域の支流形状のようではない。
【0025】
例えば、流体流出のための微細溝を作成するために、粘弾性が平衡に達した後で、約200μmより小さく、好ましくは約50〜120μmの最終幅を有する隆起部28を形成するパターン24を有するライナー20を使用することができるだろう。図1の隆起部28は幅が約100μmである。
ライナー20の表面形態形成の精度は、種々の加工技法を使用して達成することができる。機械工具業界は、当業者が望む任意のパターンを有する工具を作成することができる。ユークリッドパターンは任意の工程数でエンボス用突起のサイズ、形状および深さの任意のパターンを用いて形成することができる。
工具は、エンボス工程を使用することがいかに望ましいかに応じて、平面のプレスから円筒形のドラムから他の曲線形状までの範囲であってもよい。
【0026】
工具の供給源の非限定的な例は、フォトリソグラフィー用の印刷版および胴、高精度の彫刻版および胴、レーザー加工版および胴等の市販の供給源を含む。
図3は、図1に見られるライナー20から製造された微細複製接着剤層30の走査型電子顕微鏡写真を示す。
接着剤層30は、パターン24および26によって生じた表面22の表面形態の逆を本質的に複製する表面形態を有する表面32を有する。工具からライナーへ、ライナーから接着剤へ表面形態の転写がどのように進行するかを上記に説明したように、図1および図3は転写中の表面形態の本質的な複製の写真による証明を提供している。従って、ライナー20の表面形態は、微細エンボスライナー20の窪みを満たす接着剤層30の表面32の得られる表面形態を決定することができる。
【0027】
表面32は、本質的に隆起部28に対応する一連の相互接続した微細溝37と本質的に窪み29に対応する必要に応じた一連のペグ39の表面形態特徴を有する。微細溝とペグの持続時間は選択した接着剤の化学的性質と適用条件とに依存する。
層30は、ライナー20の隆起部28の高さより大きい任意の厚さで被覆することができる。望ましくは、厚さは少なくとも約5μmであってもよい。好ましくは、垂直な支持基材にイメージグラフィックを適用する場合、厚さは少なくとも約20μm〜約50μmの範囲であってもよい。
表面32の表面形態を達成するために、接着剤は種々の従来の接着剤組成物から選択することができる。
【0028】
接着剤の非限定的な例は、感圧接着剤、適用時に感圧性であるホットメルトまたは熱活性化接着剤、例えば米国特許第4,994,322号(デルガド(Delgado)ら)、米国特許第4,968,562号(デルガド(Delgado))、欧州特許第0 570 515号、欧州特許第0 617 708号に開示されている感圧接着剤、米国特許第5,296,277号および同第5,362,516号(両特許ともにウィルソン(Wilson)ら)および同第5,141,790号(カルホーン(Calhoun)ら)ならびに国際出願番号第US96/1687(ケラー(Keller)ら)に開示されている感圧接着剤およびサタス(Satas)ら著、感圧接着剤ハンドブック(Handbook of Pressure Sensitive Adhesives)、第2版(ファン ノストランド レインホールド(von Nostrand Reinhold)、ニューヨーク、1989年)に開示されている任意の他の種類の感圧接着剤を含む。
接着剤の化学的性質およびポリマー物理的特性を使用して、本発明の3次元的微細複製接着剤の第4次元、すなわち持続時間を制御することができる。接着剤のクリープコンプライアンスなどのレオロジーを理解することは、適用後にいかに速く制御するか、または微細溝37が閉じる場合の助力となり得る。
【0029】
接着剤層30をライナー20の表面22の全てまたは一部に被覆することができる。表面の残りの部分に、別の接着剤組成物を被覆してもよいし、またはフィルムに微細複製接着剤パターンを形成するために露出させたままでもよい。接着剤のパターン被覆は国際公開公報第96/15715(ヤシス(Yasis)ら)に見出すことができる。
例えば、所定のフィルムに異なるレオロジー特性を持たせることを望む場合には、微細溝37の所定の部分がいかに速く閉じるかを制御するため、同心円状など、接着剤層をパターン被覆することができるだろう。支流−川パラダイムでは、表面32の相対的内側に被覆した接着剤層パターンはより速く流動して、微細溝を閉じ、流体を流入させるが、表面32の相対的周辺部の微細溝は接着界面の内側から周辺部方向に流体を「排出」し続けることを可能にする。
【0030】
接着剤が多重のエンボスパターンの1つ(または複数)を充填するために使用される場合には、接着剤以外の他の材料を多重のエンボスパターンの別の1つを充填するために使用することができる。例えば、非接着性の隆起部を窪み29に形成してもよいし、または異なる接着剤組成物を窪み29に充填してもよい。パターン24をエンボスする前にパターン26をエンボスするので、パターン26のエンボス化の後で、パターン24のエンボス化の前に、非接着材料または異なる接着剤組成物を窪み29に導入する。次いで、層30を表面22の上に被覆し、非接着性隆起部39を有する接着剤の層30を形成する。
非接着性隆起部は、ライナー20の表面形態的特徴を利用することができ、性能の観点で接着剤および望ましい接着剤の用途に適合できる任意の材料から構成することができる。非接着性材料の限定的でない例はカルホーン(Calhoun)らおよびウィルソン(Wilson)らの特許に開示されている材料を含む。このような隆起部39を使用する目的もこれらの特許に見出すことができる。
【0031】
ライナー20は、接着剤との使用が当業者に周知で、微細エンボス加工ができるいかなる剥離ライナーまたは転写ライナーであってもよい。ライナーの限定的でない例は、ミネソタ州セントポールの3M社製の種々の市販の材料およびイリノイ州オークブルックのレクサム リリース コーポレーション(Rexam Release Corporation)またはイリノイ州ウェストチェスターのダウベルト コーテッド プロダクツ(Daubert Coated Products)などの他の製造業者のライナー製品を含む。このようなライナーは、一般に、市販のシリコーン剥離被覆を有するポリエチレン被覆紙、市販のシリコーン剥離被覆を有するポリエチレン被覆ポリ(エチレンテレフタレート)フィルムまたはこのようなフィルムを製造する間にパターンでエンボス化し、その後市販のシリコーン剥離被覆を被覆することができるキャスティングポリプロピレンフィルムである。別の有用なライナーはカルホーン(Calhoun)らおよびウィルソン(Wilson)らの特許において識別されている。
任意のフィルムを、ライナー20の表面形態によって形成された接着剤の主要面に対向する接着剤の主要面に接触させることができる。接着剤30の表面形態がライナーパターン24および必要に応じて、パターン26から微細複製された後で、フィルムが接着剤に積層されるので、露出した主要面の外観は、使用中に微細複製された接着剤の表面形態によって有害な影響を受けない。その利点を用いると、電子記録、インクジェット、スクリーンプリント、フレキソ印刷、電子切削または他の画像形成もしくはグラフィック技法を含む任意の商業的技法を使用してフィルムを画像形成することができる。
【0032】
または、同じライナー20または異なるライナー20を使用して接着剤層30の両方の主要面を微細複製して、使用中に2つの異なる接着界面において同じまたは異なる接着性能特性を提供することができる。
例えば、異なる種類の流体の流出が異なる接着界面から望まれることがある。すなわち、一方の界面では気体の流出が望まれ、他方では液体の流出が望まれることがある。
別の例は、接着剤の表面形態を使用してフィルムに特にパターンを形成してそのパターンを得るために、フィルムと接着剤との界面に接着剤の表面形態を形成することである。
【0033】
さらに別の可能な実施態様は、同じまたは異なる表面形態を有する同じまたは異なる接着剤を使用し、フィルムと支持基材とを接着する前に2つ以上の接着剤を積層することである。決定した異なる接着剤の化学的性質を用いることにより、フィルムまたは支持基材に対する接着剤積層物の接着剤による接着強度に影響を与えることなく、接着剤−接着剤界面のX−Y次元に通過溝を提供することができる。
本発明の接着剤表面との接触に有用なフィルムの限定的ではない例には、3M社製の登録商標Controltac、国際出願番号第US96/19683号に開示されているフィルム、箔、金属板、セラミック板、ポリマーシート、振動減衰材料、反射シート、再帰反射シート、上面被覆材料、産業用テープバッキング、低アレルギー性テープバッキングおよびこれらの組み合わせが含まれる。
【0034】
発明の有用性
予期しないことに、イメージグラフィックフィルムは本発明の微細複製された接着剤表面によって改善される。本発明の接着剤表面を有するイメージグラフィックフィルムを使用して、接着剤のレオロジー(クリープコンプライアンス、弾性率等)により所定の時間で流体を確実に流出させることができる。
例えば、当業者は、(a)好適な接着剤を選択し、(b)本発明により表面形態を形成し、(c)適当に、接着剤を支持基材に適用することによって、接着界面において流体の流出を制御するが、流体の流入を最小にすることができる。こうすることによって設置中に空気を排出させるが、その後は、接着剤と支持基材との界面を閉じる。
【0035】
または、当業者は、異なるレオロジーを有する接着剤を選択して、最初の接着後から長い時間の間、接着剤表面の表面形態を維持して、同じまたは異なる支持基材への多数回の再接着を可能にするか、または流体を流出させるのに利用することができる経路を最大にする。
イメージグラフィックフィルムの設置を容易にするために、ライナー20上に深さが異なるパターンの2つの異なる種類の接着剤を有するイメージグラフィックフィルムを製造することができる。このような構成物は、上記のカルホーン(Calhoun)およびウィルソン(Wilson)の特許に記載されている製品の代替物となるが、同様に機能することができる。
本発明の接着面は、製造費用を削減し、接着中の労働費用を削減し、また接着界面の問題に必要な維持を最小にすることにより、経済的な価値を改善する。
【0036】
低温では、接着剤が基材面を「濡らす」のに時間がかかるので、接着剤と基材との接着の不完全さが問題になるような低温での用途に本発明の接着剤表面は耐えることができる。接着剤の接触程度は、おそらく空気を取り込みながら、経時的に変化することができる。本発明の微細複製された接着剤表面が提供する微細溝がない場合には、流体は流出することができない。
通常、波頭の動きを使用して壁画またはグラフィックスを支持基材に適用する。驚くべきことに、本発明の接着剤の微細溝は接着剤によりグラフィックスを基材に適用する際に流体の流出を促進するだけでなく、残存するエアポケットに流体を流出させる経路を提供するための一過的な高圧を伴う適用過程に耐えるので、これらのグラフィックスは本発明の接着剤表面形態から利点を得る。
さらに別の特徴、利点および実施態様は実施例に記載されている。
【実施例】
【0037】
試料の分析
ライナーおよび接着剤試料は、JSM−6400(日本電子株式会社(JEO)、東京、日本)走査型電子顕微鏡、JENA JENAVERT(ジェナ(Jena)、ドイツ)入射光線顕微鏡付き光学顕微鏡もしくはバウシュ アンド ローム(Bausch and Lomb)立体顕微鏡(バウシュ&ローム(Bausch& Lomb)、ロチェスター、ニューヨーク)またはWYKO RST表面プロファイラー(WYKO社(WYKO Corp.)、タクソン、アリゾナ州)を使用した干渉計測定法を使用して評価した。サートロニック(Surtronic)3Pスタイラスプロファイロメーター(ランクト テイラー−ホブソン社(Rankd Taylor−Hobson,Inc.)レイチェスター、英国)も使用していくつかのライナーを評価した。
【0038】
試験
剥離試験:接着性試験はASTM方法D3330(1992年)および感圧テープ審議会方法(Pressure Sensitive Tape Coucil method)PSTC−1(1989年)の改良法であった。苛性エッチング処理し、酸性スマット除去後のアルミニウム試験パネル(6061 T6、Q−パネル社(Q−Panel Co.)、フェニックス、アリゾナ州)およびペイントしたアルミニウム試験パネル(フルーハーフ(Fruehauf)社、インディアナポリス、インディアナ州)をデュポン(DuPont)「PrepSol」で清浄し、乾燥させた。ライナー上に感圧接着剤およびフィルムが存在する試料を幅2.54センチメーターの帯に切断した。剥離ライナーを除去し、約2.5センチメーター/秒の速度のPA−1ハンドアプリケーター(Hand Applicator)ミネソタマイニングアンドマニュファクチャリングカンパニー(Minesota Mining and Manufacturing Company(3M))、ミネソタ州セントポール)、または40psiゲージ圧力および約2.5cm/秒のバンキッシャー(Vanquisher)ロールラミネーター(ストートン マシーン アンド マニュファクチャリング社(Stoughton Machine and Manufacturing Co.,Inc.)、ウィスコンシン州ストートン)のどちらかを使用して帯をパネルに適用した。幅2.54センチメーターの登録商標3M Scotchcalフィルムシリーズ3650接着フィルムのバッキングストリップを見当を合わせて各試料の帯に積層した。バッキングフィルムは、試料フィルムおよび感圧接着剤が剥離戻し試験中に過剰に引き伸ばされるのを防いだ。22℃および相対湿度50%の一定温度および湿度の部屋に24時間放置した後、または66℃で7日に次いで一定温度および湿度の下で24時間平衡させたのち、ロイド(Lloyd)500引張り試験装置(ロイド インスツルメンツ(Lloyd Instruments)、セゲンスワース ファレンハム、英国)を使用して、クロスヘッド速度30.5センチメーター/分で180°剥離戻しとして測定した。
【0039】
クリープコンプライアンス試験:感圧接着剤を1枚のポリエステルフィルムシートに被覆し、66℃において一定重量になるまで乾燥して(少なくとも約20分)、試験試料の約1/2の厚さの試料を得、被覆した構成物を2枚重ねることによって、厚さ48ミクロンの2枚のポリ(エチレンテレフタレート)フィルムの間に感圧接着剤層(厚さ約125ミクロン)を挟んだサンドイッチ構成物を調製した。このサンドイッチ構成物から試験片を切断し、はさみ尺を使用し、ポリエステルフィルムの厚さを引いて、感圧接着剤層の平均厚さ(h)を測定した。同じサイズの2枚の試験片をダイカットし、平行平板クリープコンプライアンスレオメーターに配置し、中心平板の各面に1枚存在させ、各々の露出面に外側平板を接触させた。中心平板の一方の端を、平板の移動(材料の流動による)を測定して、その移動に対応する電気信号を記録計に出力する線形可変変換器に接続した。平行な平板を水平に並べて配置し、次いで、2枚の外側の平板を、挟んだ層を約10%押し付けるように、しっかり固定した。フックを中心平板の反対側の端に取り付け、可撓性ワイヤーをフックから水平に伸ばして、次いで滑車を通して下に伸ばし、外側の平板は固定した位置に保持した。好適な重量(試料をその厚さを越えない距離まで変形して測定するのに十分な重量)をワイヤーの自由端に取り付け、次いで記録計の計測を開始した。これらの実施例では、応力(f)を発揮するために使用した重量は500gであった。記録計から時間(t)と移動(X、すなわち歪み)を読んだ。次いで、所定の温度におけるクリープコンプライアンスを等式:
(t)=2AX/hf
(式中、tは測定値が得られた時間であり、Aは感圧接着剤試料の1つの面の面積であり、hは接着剤の集合体の厚さであり、Xは時間tにおける移動距離であり(ここで、Xはhより小さい)、fは中央の平板に接続したワイヤーに取り付けた集合体による力である)により算出した。Aがcm2で表され、Xがcmで、fがダインで表される場合、コンプライアンス値J(t)はcm2/ダインで与えられる。例として、3分のときに算出されたクリープコンプライアンスJ値を本明細書においてJ(3分)と示す。時間t経過後に重りを外して、感圧接着剤を緩和すなわち回復させる。若干の追加時間t緩和後に、再度コンプライアンスを測定する。例として、重りを3分間適用してから外し、さらに3分後にコンプライアンスを測定した場合には、緩和後のJ値は本明細書においてJ(3分+3分緩和)と示す。試験条件下での回復のパーセントも算出できる:回復率%=100%×[J(t)−J(t+t緩和)]/J(t)
【0040】
位置決め性のための滑り試験:水平のガラス板を40〜43℃に加熱し、メチルエチルケトン(MEK)で清浄した。約2.5cm×7.5cmの試験試料(すなわち、示したバッキングに感圧接着剤を適用したもの)を、感圧接着剤が約10秒間横になるように、ガラス板の上に平らに垂らした。試料の端を持ち上げて、横方向に引っ張った。試験の判定は以下のようである:
【0041】
1 試料は自由に滑る
2 若干の抵抗があるが、試料は容易に滑る
3 ガラス板に接着したためかなりの抵抗を伴って試料は滑るが、損傷することなく持ち上げることができた
4 試料はガラス板に貼り付き、損傷することなく再接着することができなかった
【0042】
高温適用/再適用試験:水平のガラス板を40〜43℃に加熱し、メチルエチルケトン(MEK)で清浄した。約2.5cm×7.5cmの試験試料(すなわち、示したバッキングに感圧接着剤を適用したもの)を、感圧接着剤が約10秒間横になるように、ガラス板の上に平らに垂らし、端を約500gの「力」が加わるように指で押しつけ、端(端から約0.5cm内側まで)を均一にガラス板に接触させた。次いで、PSAが剥離しないように、また全てのエアポケットが試料の端から移動しないように、試料の周囲付近および試料の中心に向かって指で押しつけた。このようにして適用した使用を次いで取り込まれた気泡の有無について評価した。帯状試料を台からゆっくり剥離し、同じ手順で再度適用した。3度めの再適用も実施した。試験の判定は以下のようである:
「不良」 1度めの適用後に試料は気泡の取り込みを示した(検出可能な空気放出性を示さない)
「中」 1度めの適用後に試料は気泡を示さなかったが、2度めまたは3度めの再適用後には気泡を示した。
「良好」 3回の適用および最適用のいずれの後でも気泡が観察されなかった(1度めの適用では空気放出性を示し、以降の再適用では空気放出性の維持を示す)。また、「良好」と判定された試料の感圧接着剤層の微細溝は1度めおよび2度めの剥離ステップの後でも存在していた。
【0043】
低温適用試験:SCPM−3(3M)プレマスクテープを用いて試験試料をプレマスクした。約5cm×23cmの帯状試料をプレマスクしたフィルム試料から切断した。試料およびフルーハーフ(Fruehauf)ペイント試験パネルを試験温度において少なくとも20分間状態調整した。適用中一定の角度45度および約1.5m/分の速度に維持したPA−1ハンドアプリケーター(Hand Applicator)を1回通過させて、帯状試料を試験パネルに適用した。スクィージーの上部に固定した2kg、4kgまたは6kgの質量によって、一定の適応力を供給した。速やかに、180度の角度および約1.5m/分の剥離速度でプレマスクを適用後の帯状試料から除去した。試験パネルと適用したフィルムを次いで66℃において5分間加熱して気泡を形成させた。気泡のサイズと程度を1〜10のスケールで判定した。1は気泡なしで、10はフィルム試料の接着の完全な剥離である。試料の外観も判定する。5〜6以下の判定は特に良好で、質量は2kgであり、4kgでは3〜4、6kgでは1〜3である。
【0044】
へこみパネル試験:先端径が2.5cmの半球形のドロップハンマーを使用して厚さ0.7mmのアルミニウム試験パネルに円形のへこみを作った。へこみはパネル平面で直径約2.8cmで、深さは約0.6cmであった。試験対象の7.5cm×7.5cmの試験試料をへこみの中心部に配置し、パネルに平坦に適用し、へこみの上にぴんとはった。保護スリーブ付きのPA−1ハンドアプリケーター(SA−1、3M社製)を使用して、約1kgの質量を使用して試料をパネルに押しつけた。次いで、フィルムを親指で窪んだへこみに押しつけた。少なくとも3kgの質量を適用した。試料がへこみに適合して窪んだパネルのへこみに均一に接触する能力を以下のように判定した:
0 試料は、取り込まれた空気のためにへこみにほとんど適合しなかった
1 試料は約50%の程度までへこみに押しつけられた
2 試料は押しつけられてへこみのほとんどに適合し、わずかな気泡が残った
3 試料は押しつけられゆっくり(5秒より長くかかって)、完全にへこみに適合した
4 試料は速やかに(5秒より短く)、完全に押しつけられてへこみに適合した
【0045】
リベットパネル試験:試験試料を手作業でリベット付きフルーハーフ(Fruehauf)平板パネルの直径12mm×高さ2.5mmの丸型リベットの上に、リベットの中心から3.8cmの試料の端から開始して押しつけた。両手の親指を使用して、円形に動かして周辺にかかる親指の圧力(各親指が約750g)がフィルムの下に大きいエアポケットを取り込むように押しつけた。次いで、エアポケットの端からリベットの方に向かってフィルムを押しつけ、常にリベットの両側に親指を置き、交互の方向に半円径に動かし、径を小さくして、親指をポケットの端に維持する(各親指が約750g)。フィルムを破裂させないように力を小さくする。この手順によって、試料の下に形成された大きいエアポケットを、感圧接着剤を剥離することによって、フィルムの下の試料の端に押しやられるのを確実に防いだ。エアポケットを消失させて、リベットの2mm以内までフィルムを適合させるために必要な時間を測定した。5分間のフィルム作業後に大きいエアポケットが残っていた場合には、エアポケットの直径を測定した。最良の空気消失性を有する試料は、一般に、フィルムをリベットに適合させるのに約30〜60秒もかからなかった。最も不良な試料は5分間の作業の適用後に、約35mm(以上)のエアポケットを取り込んでいた。
【0046】
空気排出試験:直径4.4cmの円形の試験試料をゴムローラーを4回通過させて(具体的な実施例に示される内容)アクリルパネルに適用した。試料をパネルの直径6.4mmの穴の上に中心を合わせて配置した。空気送り込みステージでは、試料を上側にして、窪んだチャンバーの上に穴を中心にして固定して、パネルをガスケットに密封した。5分後、ステージをエアライン(総容量45cm3)に接続し、システムに接続した圧力ゲージで測定したとき、最初は50インチ(127cm)水柱まで加圧した。弁によってシステムを閉じ、圧力が25インチ(63.5cm)水柱に低下する時間を測定した。微細溝を有しない感圧接着剤層を有するフィルムに代表されるものなどの最も不良の試料は数日経過しても空気の排出を示さなかった。接着性が低い感圧接着剤では、試料がパネルからあまり剥離しないように最初の圧力を調整しなければならない。
【0047】
リベット/波型パネル試験:直径12mm×高さ2.5mmの4つの丸型リベットを有する10cm×30.5cmペイントアルミニウムフルーハーフ(FrueHauf)波型パネルに試料を手で適用した。試料はパネルの実質的な部分を覆うのに十分な大きさであった。空気を取り込まないで試料を谷およびリベットに適合させて押しつけられる容易さの程度を評価した。
【0048】
実施例
感圧接着剤溶液1
アクリル感圧接着剤溶液(米国特許第5,296,277号に接着剤溶液1と記載され、18.8phrの樹脂、アリゾナケミカル社(Arizona Chemical Co.)製の登録商標Nirez2019で改良)を調製した。この溶液から調製した感圧接着剤の平均21℃、3分のクリープコンプライアンス、J(3分)は0.53cm2/ダインで、21℃緩和クリープコンプライアンス、J(3分+3分緩和)は0.08cm2/ダインであった。
感圧接着剤溶液2
イソオクチルアクリレート−アクリル酸(98:2)コポリマーを、固形分約28%の酢酸エチルおよびヘプタン溶液として調製した。この溶液から調製した感圧接着剤の平均21℃、3分のクリープコンプライアンス、J(3分)は1.64cm2/ダインで、21℃緩和クリープコンプライアンス、J(3分+3分緩和)は0.52cm2/ダインであった。
【0049】
感圧接着剤溶液3
アクリル感圧接着剤溶液(米国特許第5,296,277号に接着剤溶液2として記載され、1部の架橋剤溶液を含有する)を、固形分約25%で調製した。
感圧接着剤溶液4
クラトン(Kraton)1107樹脂(20部およびシェルケミカルズカンパニー(Shell Chemicals Company)製、イリノイ州ウェストブルック)、エスコレツ(Escorez)1310LC(20部)およびトルエン(60部)を合わせた。この溶液から調製した感圧接着剤の平均21℃、3分のクリープコンプライアンス、J(3分)は0.11cm2/ダインで、21℃緩和クリープコンプライアンス、J(3分+3分緩和)は0.004cm2/ダインであった。
【0050】
感圧接着剤溶液5
ラテックスアクリル感圧接着剤(米国特許第4,629,663号の実施例1に記載される)を固形分約54%で調製した。
感圧接着剤溶液6
ラテックス感圧接着剤(米国特許第5,196,246号の手順により調製し、約72乾燥重量%のアクリル感圧接着剤成分を含有する)を調製した。この溶液から調製した感圧接着剤の平均21℃、3分のクリープコンプライアンス、J(3分)は0.63cm2/ダインで、21℃緩和クリープコンプライアンス、J(3分+3分緩和)は0.08cm2/ダインであった。
【0051】
感圧接着剤樹脂7
感圧接着剤1と同様であるが、架橋剤を添加しない感圧接着剤をホットメルト被覆用の固形分100%の樹脂として溶液から単離した。
感圧接着剤溶液8
感圧接着剤溶液(アルキルアクリレート成分が2−メチルブチルアクリレートであり、1.8部の架橋剤溶液が添加されるように改良した、米国特許第5,296,277号の接着剤溶液2)を固形分約35〜40%で調製した。
【0052】
感圧接着剤溶液9
5phrのピカル(Pycal)94(アイ シー アイ アメリカズ(ICI Americas)社製、デラウェアー州ウィルミントン)を添加することによって、感圧接着剤溶液1(100phr)を改良した。
感圧接着剤溶液10
イソオクチルアクリレート−アクリル酸(94:6)コポリマーを固形分約45%の酢酸エチルおよびヘプタン溶液として調製した。この溶液100部に20部のフォラル(Foral)85(ヘルクルズ社(Hercules Inc.)製、デラウェアー州ウィルミントン)、7.5部のヘルコリン(Hercolyn)−D(ヘルクルズ社(Hercules Inc.)製)および7.5部のピカル(Pycal)94(アイ シー アイ アメリカズ(ICI Americas)社製)をブレンドした。組み合わせた溶液100部に1.5部の5%架橋剤(米国特許第5,296,277号に記載される)のトルエン溶液を添加した。
【0053】
実施例1〜4
97ミクロンのポリ(エチレンテレフタレート)であるコアと、背面層になし地仕上げをした21〜22ミクロンのポリエチレンと、前面に光沢仕上げをした21〜22ミクロンのポリエチレンと、光沢面のシリコーン剥離被覆の4層からなる剥離ライナーを、85デュロメーター、直径15cmのシリコーンゴムロールと直径15cmの彫刻金属ロールとの間に剥離ライナーを通過させることによって、光沢面に微細エンボス化した。金属ロールの彫刻パターンは相互接続する窪み線(微細溝)で、正方形の格子を形成し、微細溝はロールの円周方向に対して45度の角度をなす。公称金属ロール溝の寸法は以下の表に記載する。シリコーンゴムロールおよび彫刻ロールをロールを通って循環する油で加熱した。油加熱器の設定温度は以下の表に示す。ロールは、エアシリンダーにより約22N/mmニップ力で引き合わせた。剥離ライナーを約1.6cm/秒でこの配列を通過させた。こうすることにより、剥離ライナーの光沢シリコーン被覆面に連続する盛り上がった相互接続する微細隆起部(および盛り上がった隆起の間の本質的に平坦なランド領域)パターンが形成された。相互接続部も盛り上がっていた。隆起部は曲がった上部と基面との隅肉接続部を有した。平均隆起寸法を以下の表に記載する。隆起部は、彫刻パターンと同じ間隔で配置された。上記のように微細エンボス化した同様のライナーを、ビーム径約1ミクロン、400×400ミクロン面積でラスター化した、パルス25keV Ga+一次イオンビームを使用した飛行時間法による二次イオン質量分析法(TOF−SIMS)を用いて、分析した。微細エンボス隆起部領域および領域外のライナーに均一なシリコーンの分布が示された。
【0054】
感圧接着剤溶液を各微細エンボス剥離ライナーに被覆して、66℃において10分間乾燥し、厚さ約32ミクロンの接着剤フィルムを形成した。隆起部で微細エンボス化しなかった同様のライナーを使用して、対照試料を調製した。これらの露出接着面を室温において、登録商標3M Controlac Plusグラフィックマーキングフィルムシリーズ180−10に使用されるものと同じ、厚さ46ミクロンの可塑化、白色可撓性で形態適合可能なビニル(PVC)フィルムに積層した。積層は、ゲージ圧力200kPa(30psi)および約2.5cm/秒の速度でバンキッシャー(Vanquisher)ロールラミネーター(ストートン マシーン アンド マニュファクチャリング社(Stoughton Machine and Manufacturing Co.)、ウィスコンシン州ストートン)を使用して、本質的に平坦な構成物を得た。剥離ライナーを除去後、露出した感圧接着剤の表面は連続くぼみ微細溝および相互接続部(除去した剥離ライナーの微細隆起部に対応する)を有した。平均の溝寸法を以下の表に記載する。結果は、溝により、フィルムを基材に適用中または適用後に、気泡および大きいエアポケットが手により容易に押し出されることを示した。従って、フィルムは対照フィルムよりずっと早く適用することができると同時に、適用した記録フィルムの均一な外観を保持した。試料は基材によく接着し、望ましくない端部の持ち上がりの徴候を示さなかった。微細溝を持たない対照試料は適用にさらなる注意を必要とし、気泡および不均一な外観のグラフィックが生じた。適用した対照フィルムの下に取り込まれた気泡は押し出されなかった。
【0055】
【表1】

【0056】
実施例5
実施例1〜3の一般的な手順により、ライナーを微細エンボス化して、実施例1〜3と同様であるが、幅約165ミクロン、高さ25〜30ミクロン、隆起部間隔2.5mmの隆起部寸法(幅75ミクロン、深さ50ミクロン、溝間隔2.5mmの公称の溝寸法を有する直径15cmの彫刻ロールによる)を有する一連の隆起部を得た。油加熱器の設定温度は、シリコーンロールが113℃で、彫刻ロールが107℃であった。ロールは、エアシリンダーにより約22N/mmニップ力で引き合わせた。剥離ライナーを約1.6cm/秒でこの配列に通過させた。感圧接着剤溶液7を218℃においてライナーにホットメルト被覆して、公称厚さ35ミクロンの感圧接着剤層を得た。分析は、熱押出成形感圧接着剤は隆起部の間のランドを満たし、隆起部周囲および上にもよく形態適合したことを示した。46ミクロンの可塑化白色PVCフィルム(実施例1〜4に記載)をライナーの露出感圧接着剤層に積層した。このフィルム構成物は高温適用試験の判定が「良好」であり、へこみパネル試験の判定が4(優れている)であった。
【0057】
実施例6〜8
約68g/m2の基本重量のポリプロピレンフィルムを溝を有する冷却した金属ロールに流延微細エンボス化して、隆起部の間に本質的に平坦な正方形または菱型の平面領域を形成する、相互接続する2組の平行な隆起部を得た。微細エンボス面はシリコーン被覆して、剥離性を与えた。感圧接着剤溶液5を隆起部を有する剥離ライナーに被覆して、66℃で乾燥し、厚さ約64ミクロンの感圧接着剤層を得た。示した形態適合可能なフィルムを積層した後に、空気排出試験によって感圧接着剤フィルムを評価した。以下の表に要約した結果から、望ましい空気排出特性により、グラフィックフィルムを適用中または適用後に、大小の気泡を押し出すことができることを明らかにした。試料をガラス板に適用し、室温において数日後、感圧接着剤層は窪んだ溝領域のガラスに十分に接触しなかった(すなわち、溝が開いたままであった)。試料は、基材から除去されて、再適用されたとき、空気排出特性を示した。
【0058】
【表2】

【0059】
実施例9〜33
実施例1〜4に記載した剥離ライナーを光沢のあるシリコーン被覆面の小さい穴で微細エンボス化し、米国特許第5,362,516号に記載されている手順により、穴に細かいガラスビーズを充填した。穴は直径約70ミクロン、深さ18〜19ミクロンで、300ミクロンの間隔の正方形格子状であった。剥離ライナーを85デュロメーターのシリコーンゴムロールと彫刻金属ロールの間を通過させて、第2のエンボスパターンを剥離ライナーに重ねた。彫刻パターンは、幅約80ミクロン、深さ24ミクロンの寸法を有する窪んだ線(微細溝)であった。溝は1.3mmの間隔があり、正方形の格子を形成しており、溝はロールの円周方向に対して45度の角度を成して配向していた。油加熱器の設定温度は、シリコーンロールが110℃で、彫刻ロールが104℃であった。ロールは、エアシリンダーによる約22N/mmニップ力で引き合わせた。剥離ライナーを約1.6cm/秒でこの配列に通過させた。こうすることにより、剥離ライナーの光沢シリコーン被覆面に連続する相互接続隆起部パターンが形成された。隆起部の形状は実施例1〜3に記載した隆起部と同様であった。隆起部の平均寸法は、幅約85ミクロン、高さ18〜19ミクロンで、彫刻パターンと同じ間隔で配置されていた。隆起部の相互接続部は平均高さ16〜19ミクロンであった。このパターンを第1の微細エンボスパターンに重ね、個々の穴が隆起部の上部まで存在するかまたは隆起部の側面で剪断変形した以外は、第1のパターンを大きく変化させなかった(図1および2参照)。実施例1〜4のように、ライナーを飛行時間法による二次イオン質量分析法(TOF−SIMS)で分析した。微細エンボス隆起部領域および領域外のライナーに均一なシリコーンの分布が示された。
【0060】
示した感圧接着剤を二重微細エンボス剥離ライナーに被覆し、次いで66℃において10分間乾燥して、連続した粘性の強力な感圧接着剤層を形成した。乾燥したPSA層のおおよその厚さは、PSA1が30ミクロン、PSA2が28ミクロン、PSA4が36ミクロン、PSA6が23ミクロンであった。2重微細エンボス剥離ライナーの接着フィルムの露出面を、実施例1〜3に記載したように、ロールラミネーターを使用して本質的に非透過性の可撓性フィルムに積層した。フィルムは、実施例1〜3に記載した46ミクロンの可塑化白色PVC、厚さ100ミクロンの可塑化白色PVC、厚さ48ミクロンの透明なポリ(エチレンテレフタレート)、厚さ100ミクロンのポリエチレンフィルムおよび不浸透性の厚さ15ミクロンのアルミ箔を有した。このフィルムは種々の程度の形態適合性を有した。ポリエステルおよびアルミニウムフィルムはへこみパネル試験で評価したとき、十分な延伸性を示さなかった。感圧接着剤は、幅約80ミクロン、深さ約15〜18ミクロンの平均測定溝寸法およびライナーの穴に対応する高さ8〜12ミクロンのガラスビーズの突出した小山の均一な配列を有した。2種類の対照を比較のために使用した。1種の対照は「穴だけライナー」から調製し(すなわち、このライナー材料は第1のエンボスの充填された穴だけを有するが、第2の微細エンボス隆起部は持たない):第2の種類の対照は第1のエンボス穴を持たない「隆起部だけのライナー」から調製した実施例1〜3の構成物であった。
【0061】
得られたフィルム/感圧接着剤積層物を位置決めのための滑り試験、高温適用/再適用試験、へこみパネル試験およびリベットパネル試験で評価した。剥離試験は代表的な試料について実施し、使用した感圧接着剤が示す接着性の範囲(中程度から高度)を示した。66℃において7日経過後に取り出した試料を、微細溝の有無について調査した。結果(表3)は、2重微細エンボスライナーで作成した構成物は、ガラスビーズの突出する小山のない「隆起部だけのライナー」から調製した対照試料(滑り試験判定4−不良)より容易に位置決め可能であった(滑り試験の判定1〜3で示される)ことを示す。結果はまた、「穴だけのライナー」から調製した対照試料の空気排出特性が最小であることに対して、微細溝形成試料の横方向(X−Y次元)の空気排出特性を示す。
【0062】
試料は、指の圧力によって、またはPA−1ハンドアプリケーターで平坦な基材に適用された。微細溝形成感圧接着剤層を有する試料は特別の適用技術を必要とせず、容易に適用され、見た目には気泡が取り込まれていない均一に接着されたグラフィックフィルムが得られた。フィルムを屈曲させることによって故意に形成されたいかなる気泡も適用中または適用後に容易に押し出された。エアポケットの排除は、フィルムの膨らみとしてエアポケットが試料の端に押しやられること(すなわち、ポケットが移動する隣接領域の感圧接着剤の剥離を必要とする)を必要としない。結果はまた、空気の排出は横(X−Y次元)方向であり、フィルムを通ってz−軸方向に空気を通過させること、または基材からグラフィックフィルムを持ち上げることを必要としないことを示す。全ての試料は基材によく接着し、望ましくない端の持ち上がりの徴候を示さなかった。比較すると、「穴だけのライナー」から調製した対照試料は、多数の気泡の取り込みを防ぐための多大な注意を払う必要があった。「穴だけのライナー」から調製した対照試料の下に取り込まれた気泡およびポケットはグラフィックフィルムを持ち上げたり、感圧接着剤を剥離することによって、フィルムの下の気泡を試料の端まで押しやったりしなければ押し出されなかった。後者の工程は、感圧接着剤の多数では実施が困難であった。
【0063】
実施例9および対照例10の試料に空気排出試験を実施した。実施例9は139秒必要であったが、対照例10は5.26×105秒(6日より長い)経過してもあまり圧力の低下を示さなかった。
実施例14の7.5cm×7.5cm四方の試料に高温適用/再適用試験を実施した。適用した試料をステージから剥離し、7回反復適用を実施し、各回、気泡を取り込むことなく、優れた均一な適用が観察された。実施例27の感圧接着剤バッキングフィルムに同様に30回反復適用を実施し、同様に優れた結果が得られた。
実施例9の積層構成物のフィルム面の表面プロフィール(高さ約18〜19ミクロンの微細隆起部を有するライナーを使用)は、実施例10の表面プロフィール(ライナーに微細隆起部のない第1の種類の対照)と比較したとき、薄い形態適合可能なビニルフィルムを介して認識することができるエンボスパターンの徴候を示さなかった。両構成物のフィルム面の表面形態は、最低点から最高点まで約2ミクロン異なった。
【0064】
【表3】

【0065】
【表4】

【0066】
【表5】

【0067】
実施例34〜42
溝の寸法またはパターンを工作する異なる彫刻ロールおよびエンボス条件を使用して、実施例9の手順により、フィルム構成物を調製した。実施例34〜41に使用したエンボスロールの彫刻溝パターンは実施例9のように配向させた正方形の格子であり、実施例42では、正方形の代わりに「蜂の巣」配列の相互接続した一連の六角形であった。後者の間隔は六角形の平行な辺の間で測定した。微細エンボスライナーの隆起部は彫刻ロールの溝と同じ間隔を有した。被覆および積層工程は、感圧接着剤溶液1は実施例9と同じで、感圧接着剤溶液7は実施例5と同じであった。
【0068】
【表6】

【0069】
実施例43〜49
紙(約114ミクロン)、背面になし地仕上げしたポリエチレン(約25ミクロン)、前面に光沢仕上げしたポリエチレン(約25ミクロン)と、光沢面のシリコーン被覆からなる剥離ライナーを小さい穴で微細エンボス化し、米国特許第5,362,516号に記載されているように、穴にガラスビーズを充填した。穴は直径約100ミクロン、深さ22ミクロンで、300ミクロンの間隔をおいた正方形の格子状であった。次いで、実施例43は微細エンボス化せず、連続隆起部を有しなかったことを除いて、実施例1〜3の方法によりライナーをエンボス化した。実施例45、46および49のライナーは実施例1〜3と同様の隆起部形状を有し、間隔および配向は以下の表5に示す。実施例44、47および48のライナーは二峰性の隆起部を有し、隆起部の中心の溝は、隆起部の両端で最も高い隆起部ほど深くなかった。実施例43〜48では、感圧接着剤溶液1をライナーに被覆して、66℃で乾燥し、キャスティングし、可塑化した白色の46ミクロンのPVCフィルムに積層した。実施例49では、感圧接着剤溶液3を使用した。顕微鏡は、ライナーの除去後に露出した感圧接着剤層に滑り特徴を与える突出する小山と窪んだ交差する溝の両方を明らかに示した。実施例44、47および48は二峰性の溝を示し、より深い窪みに隣接する浅い中心部を有する。記録された平均溝幅は外側の端の間の距離を合わせたものを含み、溝の深さは溝の最も深い谷から測定された。結果を以下の表に要約する。
【0070】
【表7】

【0071】
【表8】

【0072】
実施例50〜58
実施例9および44の一般的手順により、2重微細エンボス化ポリエチレン被覆ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)またはシリコーン剥離被覆を有するポリエチレン被覆紙のいずれかから製造した剥離ライナーを使用して、積層フィルム構成物を調製した。感圧接着剤およびフィルムは実施例9と同じであった。ライナーの2組の交差する平行の隆起部および感圧接着剤の対応する微細溝のパターンおよび配向を以下の表に示す。得られた感圧接着剤層の溝の寸法は、剥離ライナーをエンボス化するために使用した彫刻板の溝寸法を変更することによって、またはエンボス化条件(温度および圧力)を変更することによって、変更することができる。評価の結果を以下の表に示す。
【0073】
【表9】

【0074】
実施例59〜66
実施例9の微細隆起ライナーに、表7に見られる異なる厚さで、実施例9のように、感圧接着剤溶液1を被覆し、厚さ46ミクロンの可塑化白色PVCフィルムに積層した。接着剤の厚さにかかわらず、全て良好な接着特性を示した。驚くべきことに、接着剤の厚さにかかわらず、流体流出のための微細溝は残存した。
【0075】
【表10】

【0076】
実施例67
実施例9、13、18、21,24、27、29および32のライナー/感圧接着剤/フィルム構成物から試料を切断した。ガラス板をクリーナーで清浄し、水ですすぎ、紙タオルで乾燥した。第1の組のフィルム試料の試験片(7.5cm×7.5cm)を切断し、微細隆起剥離ライナーから剥離し、1235g、40デュロメーター、幅7.5cmのゴムローラーを使用してガラスに被覆した。ガラスと接触しない「溝」の幅をガラスを介した顕微鏡調査により測定した。溝の幅、溝の間隔および最初の溝が依然として開口している推定の割合からガラス界面での総試料接触領域に対して開口している溝が占める面積割合を算出した。接着試料を有するガラス板パネルを22℃、相対湿度50%の部屋または66℃のオーブンに配置した。示した滞在時間の後、ほとんどが開口性および連続性を維持しているかどうかを知るために溝を調べ、溝のおおよその面積を算出した。これらの実施例では、算出した面積割合が約5%以下まで低下したとき、個々の溝は無作為に閉鎖する傾向があり、面積被覆率を測定することが困難になる。0%の算出値は、本質的に溝が残っていないことを示す。
【0077】
【表11】

【0078】
実施例68
実施例9、13、18、21、24、29および32のライナー/感圧接着剤/フィルム構成物から試料を切断した(46ミクロンのPVCまたは48ミクロンのPETフィルムを使用)。試験片に高温適用/再適用試験およびすべり試験を実施し、最初の結果として記録した。微細隆起ライナーを除去し、200kPa(30psi)および約2.5cm/秒の速度においてバンキッシャー(Vanquisher)ロールラミネーターを使用して、フィルム試料を比較的滑らかなシリコーン被覆紙剥離ライナーに積層した。微細隆起ライナーを保持する対照試料も実施例18および24で評価した。試料を66℃のオーブンに1週間配置してから、オーブンから取り出して室温に平衡にさせた。剥離ライナーを除去し、本質的に連続した相互接続微細溝の存在について感圧接着剤を調査した。次いで、試料にすべり試験および高温適用試験を実施した。
【0079】
【表12】

【0080】
実施例69〜72
感圧接着剤溶液9および感圧接着剤10を各々実施例9で記載した微細隆起剥離ライナーに別々に被覆し、66℃にて10分間乾燥し、厚さ37ミクロンおよび32ミクロンの対応する感圧接着剤層を得た。46ミクロンの可塑化白色PVCフィルムを露出した感圧接着剤面に積層した。充填した第1のエンボス穴だけを有する実施例10のライナーを使用して対照試料を同様に調製した。以下の表のデータは、対照試料に対して本発明の実施例の改善された適用性を示す。
【0081】
【表13】

【0082】
実施例73
実施例1〜3に記載するように、一連の微細隆起部を用いて第1のエンボス穴を有しない剥離ライナーを調製した。微細隆起部は1.27mmの間隔をおいて配置され、幅約110ミクロン、高さ約15ミクロンであった。微細隆起ライナーに感圧接着剤溶液8を被覆し、66℃で10分間乾燥して厚さ33ミクロンの層を得、感圧接着剤層の露出面に50ミクロンの赤い半透明のビニルフィルム(登録商標Scotchcal半透明フィルムシリーズ3630−33に使用されるものなど)を積層することによって、半透明のグラフィックマーキング構成物を調製した。実施例4のライナーを使用して対照を調製した。得られた構成物を剥離ライナーから剥離し、PA−1ハンドアプリケーターを用いて透明なポリカーボネートパネルに適用した。対照試料は気泡を有し、特にフィルム面から照明しながら、ポリカーボネート面から見ると不均一に見える。本発明の試料は均一に見え、目で見たところ許容できる。試料を93℃のオーブンに5分配置した。本発明の試料に変化は見られなかったが、対照試料はより多数の気泡を示した。ポリカーボネートの他の試料を66℃のオーブンに3日間配置した。また、本発明の試料は均一に見えたが、対照試料は大きい気泡を示した。
【0083】
実施例74
実施例18〜23のフィルム構成物を2.5cm×7.5cmの試料片に切断した。各試料片を40℃の清浄なガラス製のホットプレートに引っ張らないようにするが、均一に垂らし、周辺(端から約0.5cm内側まで)をガラス板に均一に接触させるように、約500gの「力」の指で端を押さえた。(これは高温適用/再適用試験の容易をするために使用する手順と同じ手順であった。)次いで、さらに適用圧力を加えないで、各試料をホットプレート上に放置した。感圧接着剤層がガラス板を濡らして試料の残りを接触させた。感圧接着剤層に微細溝のない対照試料では大きい気泡が取り込まれ、試料がガラス板に均一且つ平坦に接着するのを妨げた。感圧接着剤層に微細溝を有する試料は、10分もかからない滞在時間後にガラス板を平坦に濡らし、均一に接着した。
【0084】
実施例75〜77
それぞれ、実施例38、39および10の方法により試料を調製した。2.54cm×18cmの帯状の材料を試料から切断し、帯状試料の長い寸法は試料の機械方向に対応する。約7.6cmのライナーを帯状試料から除去し、3M PA−1ハンドアプリケーターを使用して接着面を硬い基材に適用した。この適用技法は、イメージグラフィックスを適用するための実際の分野の技法のより代表的なものである。基材はアロダイン(Alodine)Alフルーハーフ(Fruehauf)白色ペイントAL、登録商標3M Controlac Plusグラフィックマーキングフィルムシリーズ180−10をAlにのせたものおよび登録商標3M 9720UVインキを登録商標3M Controlac Plusグラフィックマーキングフィルムシリーズ180−10をAlにのせたものにプリントしたものであった。データを表11に示す。結果は、微細溝PSA試料および対照試料で本質的に同じ剥離接着性が得られたことを示す。
【0085】
【表14】

【0086】
実施例78〜83
実施例78、79および80では、被覆ライナーに積層したフィルムが登録商標3M Scotchlite反射シートシリーズ580に使用される反射シートであったことを除いて、それぞれ実施例38、39および10により試料を調製した。実施例81、82および83では、使用したフィルムは登録商標3M Scotchlite反射シートシリーズ690に使用される反射シートであった。各反射構成物の試料を、2部系ウレタンペイントでペイントした直後のアルミニウムパネルに接着した。ペイントを意図的に硬化不足にした。フィルム付きのペイントしたパネルをエージングさせ、一晩硬化させて、ウレタンペイントにCO2を放出させた。24時間後、フィルム構成物の下に形成した気泡の数を計数した。優れた結果は気泡0であるだろう。データを以下の表に示す。脱ガス試験結果は、微細溝を有する感圧接着剤層を有する試料は優れた結果を与えたが、対照試料は気泡形成を示したことを示す。
【0087】
【表15】

【0088】
実施例84
実施例9のフィルム構成物に低温適用試験を実施した。比較のために、微細溝のない対照を試験した。本発明のフィルムは、マーキングの外観を損なうことなく、低温で適用することができる。データを表13に要約する。
【0089】
【表16】

【0090】
実施例85
実施例48の12.7cm×3.8cm試料を、ガソリンを入れ、密封した500mlの登録商標Nalgeneポリエチレン瓶(ニュージャージー州ロチェスターのナルゲ(Nalge))に適用した。2週間後、ガソリン脱ガス気泡は試料の下に形成されなかったが、登録商標3M Controltac Plusシリーズ180フィルムの対照試料(感圧接着剤層に窪んだ溝を持たない)の下には大きい気泡が生じた。実施例71および72の試料(50cm×75cm)を同様に試験した。3日後、実施例71の試料はわずかに1つの大きい気泡と数個の小さい気泡を示したが、実施例72の対照試料は多数の大きい気泡を示した。
【0091】
実施例86〜89
次の4つの実施例は、種々の画像形成方法における本発明の製品の用途の多様性を示す。
実施例86
登録商標Scotchprint高温積層方法を使用して実施例36の試料をプリントした。予備プリントした登録商標3M Scotchprint8601転写媒体をプリント面のビニルフィルム上に配置した。微細エンボスライナー、接着剤、46ミクロンビニルフィルムおよびプリント後のシリコーン紙のサンドイッチ構成物を登録商標Scotchprint型番「C」ホットラミネーター(3M社(3M Co.))を介して供給した。ラミネーターの条件は、温度96℃、ゲージ圧440kPaおよび供給速度1cm/秒であった。ラミネーターを通過したら、シリコーン紙を剥離して、カラー画像をビニルフィルムに接着させた。その後のWYCO RSTデータは感圧接着剤層の微細溝は公称幅80ミクロン、平均深さ14ミクロンであることを示した。このデータは、高温積層方法は微細溝の形状および寸法をあまり変更しなかったことを示している。画像形成されたビニルフィルム構成物は高温適用/再適用試験の判定が「良好」であった。さらに、微細溝は画像形成されたグラフィックの転写工程および審美性に有害な影響を与えなかった。
【0092】
実施例87
実施例9の感圧接着剤をバッキングとしたグラフィックフィルム(約25cm×30cm)を、登録商標3M Scotchcal UVスクリーンプリント用インキシリーズ9700を用いた390メッシュスクリーンを使用してスクリーンプリントし、アメリカン ウルトラバイオレット社(American Ultraviolet Co.)露光装置(ニュージャージー州ミューレーヒル)を用いて0.168J/cm2で焦点硬化し、オーバープリントクリアでスクリーンプリントし、再度硬化した。得られた画像形成されたグラフィックは、優れた外観を示した。画像記録試料を評価し、優れた適用性を示した。滑り試験の判定は2で、高温適用/再適用試験の判定は「良好」で、へこみパネル試験判定は4で、リベットパネル試験は25秒しかかからなかった。
実施例88
登録商標3M Scotchprint8501クリアインクジェットフィルムとして同じインクジェットレセプタコーティングを有する58ミクロンの白色PETインクジェット画像形成フィルムを使用した以外は、実施例9の手順によりこの実施例を調製した。この構成物を、「ベスト」および「クリアフィルムモード」の設定を有するヒューレットパッカード(Hewlett Packard)デザインジェット755CMインクジェットプリンターで画像形成した。許容可能なカラー画像が形成された。フィルムを評価して、高温適用/再適用試験の判定は「良好」で、滑り試験の判定は3であった。
【0093】
実施例89
平型ナイフカッターで実施例9の感圧接着グラフィックフィルムから文字(高さ3および4cm)を切り出した。ナイフが剥離ライナーの表面にわずかに食い込むように重量を設定した。文字の周囲の領域(ウィード(weed))を簡単に除去した。プレスペーステープ(Prespace tape)(登録商標3M SCPS−2)を手でフィルム文字のいくつかに積層した。ライナーを除去し、プレスペーステープを接着したフィルム文字を、プラスチックスクイージーを用いないで手で透明で滑らかなポリカーボネートパネルに適用した。(この工程は通常は適用が不良となる。)プレスペーステープを剥離し、文字を手で押しつけて、文字の下に観察できるほどの気泡が取り込まれることなく、均一な適用が得られた。通常、適用不良の結果を生ずる工程において、文字をプレスペーステープを使用しないで適用した。この場合も、パネルに対する感圧接着剤の均一な接触が達成され、適用したマーキングは均一に適用されていた。また、パネルを66℃のオーブンに2時間配置した後に、気泡は形成されなかった。
【0094】
実施例90
実施例1〜3の一般的な手順を使用して、ロールの円周方向に対して平行に配向された平行で非交差90度V型の溝(1.3mm間隔)の彫刻パターンを有する金属ロールでポリコートPET剥離ライナーをエンボス化した。これにより、幅約80ミクロン、高さ17ミクロンの三角形の隆起を有する剥離ライナーが得られた。実施例1〜3に記載したように、感圧接着剤1をライナーに被覆し、46ミクロンの白色可塑化PVCに積層し、滑らかなフィルム構成物を得た。ライナーを除去した後、感圧接着剤層は幅約85ミクロン、深さ17ミクロンの平行なV型の溝を有した。このフィルム構成物の評価は、微細溝が帯状試料の横方向または長さ方向に配向されている場合には、すべり試験判定が4、高温適用/再適用試験判定が「良好」で、へこみ試験の判定は3、リベットパネル試験時間は85秒であった。へこみパネル試験中、石鹸溶液を使用の辺縁付近に適用した。円形のへこみに微細溝で結合した試料の2カ所の端に空気の排出を示す細かい泡が形成された。
【0095】
実施例91
実施例90の手順を反復したが、微細エンボス剥離ライナーは、充填した第1の微細エンボス穴を有する実施例43〜49に記載するポリコート紙ライナーであった。測定した感圧接着剤の微細溝は幅約86ミクロン、深さ18ミクロンで、突出する柱は高さ約14ミクロンであった。このようなフィルム構成物の評価は、微細溝が帯状試料の横方向に配向された場合には、すべり試験の判定が1、高温適用/再適用試験の判定が「良好」で、微細溝が帯状試料の長さ方向に配向された場合には、判定は「中」で、へこみパネル試験の判定は3、リベットパネル試験時間は90秒であった。
【0096】
実施例92
第1のエンボス穴がガラスビーズで充填されていないことを除いて、実施例44の微細エンボス化剥離ライナーと同様のポリコート紙剥離ライナーを微細エンボス化して、1.3mm間隔、幅100ミクロン、高さ17ミクロン、ロールの円周方向に対して45度に配向された正方形格子配列の連続交差微細隆起を得た。実施例44の手順によりフィルム構成物をこのライナーから調製した。驚くべきことに、分析から、感圧接着剤の窪んだ微細溝と突出するペグの両方が示された。試料は室温で位置決め性を示し、すべり試験の判定は3であった。高温適用/再適用試験の判定は「良好」で、へこみパネル試験の判定は3〜4で、リベットパネル試験時間は20秒であった。
【0097】
実施例93
13ミクロンの可撓性ポリエチレンフィルム(3M製登録商標Tegadermテープのバッキング)を2重微細エンボス剥離ライナー上の感圧接着剤層に積層した以外は、実施例9に記載したようにフィルム構成物を調製した。ライナーに微細隆起を持たない対照試料(感圧接着剤に微細溝がない)を同じフィルムを使用して調製した。5cm×5cmの試料を人間の背中の皮膚に接着した。精力的な発汗運動が終了した後、5分後の水の蓄積性について試料を調査し、1〜5のスケールで判定し、1が最良であった。微細溝を有する感圧接着剤試料は判定が2であった。対照試料は判定が5であり、感圧接着剤層と皮膚との間に水泡を示した。
【0098】
実施例94〜96
登録商標Highlandブランド3365ボックスシール用テープ(3M製ゴム樹脂PSAを有するポリプロピレンフィルム)を、室温でショアA硬度が85デュロメーターのゴムロールと滑らかな金属バックアップロールを有するロールラミネーターを温度約93℃、ニップ力16N/mm、速度1メーター/分で使用して、実施例9の2重微細エンボス微細隆起剥離ライナーに積層した。同様に、微細隆起のない2種類の対照剥離ライナーにテープを積層した。1つの対照は充填された第1のエンボス穴だけを有する同じライナー材料を有し(実施例95)、もう1つの対照は第1のエンボス穴をもたない(実施例96)。結果を以下の表に示す。
【0099】
【表17】

【0100】
実施例97
登録商標3M Controltac Plusグラフィックマーキングフィルム試料をフィルム面を下にしてガラス板に配置した。米国特許第5,268,228号(オール(Orr))の実施例1に大まかに記載される方法で、木製の筆をライナー面に押しつけて、約1.6mm間隔の2組の交差する平行な線(正方形格子配列)を描いた。積層物のフィルム面は目に見える突出した隆起を示した。室温で試料をガラス板に適用し、高温適用/再適用試験と同様の方法で適用した。気泡が試料に取り込まれ、多数の溝が閉じた。室温で16時間放置後さらに多数の気泡が形成した。
【0101】
実施例98〜100
90部のイソオクチルアクリレート、10部のアクリル酸、0.05部のヘキサンジオールジアクリレート、0.30部のチバガイギー(Ciba Geigy)(ニューヨーク州ホーソー)社製のイルガキュア(Irgacure)651光開始剤および4部のポリ(オクタデシルアクリレート)からなり、1996年6月3日に提出された米国特許出願番号第08/660,219号(シルバー(Silver)ら)に開示されている方法によって、滑らかな剥離ライナーと50ミクロンのPETフィルムバッキングの間で調製され、硬化された形状記憶感圧接着剤を使用して、実施例98を作成し、バッキングに約120ミクロンの形状記憶感圧接着剤を有するテープを作成した。
【0102】
滑らかな剥離ライナーをテープから除去し、実施例39のエンボス化した剥離を使用して、65℃のトップロールと25℃のボトムロールを有するWG36ラミネーター(ロバート エル グレイグ社(Robert L.Greig Co.)、ウィスコンシン州ストートン)で室温のエンボス剥離ライナーに暖かい接着剤を押し付けることによって、接着剤の自由面をエンボス化した。テープをトップロールに90°巻き付け、エンボスライナーはどちらのロールにも巻き付けなかった。操作中の空気圧は80psi(550kPa)に設定した。テープの調査は、接着面の微細溝パターンと剥離ライナーのパターンに対応する表面の柱を示した。寸法は測定しなかった。高温適用/再適用試験は、速やかに実施したとき、「中」の判定であった。試料を約40〜43℃まで10分間加熱するとエンボス表面形態が消失し、高温適用/再適用試験の判定は「不良」であった。25℃で試験した試料は判定か「良好」であった。すべり試験の判定は2〜3であった。
実施例73のエンボス剥離ライナーを使用した以外は、実施例99は実施例98と同じであった。すべり試験の判定が4であった以外は、試験結果は実施例98と同じであった。
【0103】
不織布(登録商標3M Microporeテープに使用され、シリコーン剥離被覆してある)を微細エンボス化工具として使用した以外は、実施例100は実施例98と同じであった。剥離被覆した不織布は接着剤表面に微細溝のランダムパターンを作成した。試料は、25℃で実施したとき、高温適用/再適用試験の判定が「良好」であった。しかし、40〜43℃に加熱すると、微細溝は消失し、高温適用/再適用試験の判定は「不良」であった。このような熱形態の接着剤は、接着剤の表面形態が第4の次元、すなわち時間の影響によってどのように制御されるかを示す。
【0104】
実施例101
実施例1〜3の一般的な手順を使用して、高さ約4〜6ミクロン、幅54ミクロン、1.3mm間隔の三角形の隆起の平行な配列を有する、シリコーン被覆ポリコートPETおよびポリコート紙剥離ライナーを調製した。これらのライナーを登録商標3M Scotchcal熱活性化半透明フィルムシリーズ825の接着剤面に配置し、95℃、30cm/分および1.7N/cmニップ力で高温ニップラミネーターを通過させた。得られた微細溝材料および微細溝のない対照材料のシート(約30cm×60cm)を接着剤面を下にして、46℃の高温積層用真空アプリケーターベッドの登録商標3M Panaflex基材シリーズ945 GPSに配置し、真空ダイアフラムを閉めた。5分の真空サイクル後、温度を93℃に上昇させ2分間維持した。対照フィルムは、試料の下から空気を除去する前の最初の適用中に基材に接着されることになる粘性フィルムの端によるかなりの量の空気の取り込みを示した。微細溝を有する試料は空気の取り込みは示さず、基材に適用したフィルムの外観は空気放出溝が存在することにより認識できるほどに変更されなかった。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】図1は、本発明の接着面を製造するために使用した二重微細エンボスライナーの走査型電子顕微鏡写真である。
【図2】図2は、図1の二重微細エンボスライナーの図1より高倍率の走査型電子顕微鏡写真である。
【図3】図3は、本発明の微細複製接着面の走査型電子顕微鏡写真である。
【図4】図4は、図3の微細複製接着面の図3より高倍率の走査型電子顕微鏡写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着剤表面の表面形態を制御する方法であって、
接着剤層と支持基材との間に接着界面が確立されると、接着剤表面の表面形態がその接着剤と前記支持基材との間の接着界面の性能を制御するように、微細エンボスパターンを接着剤層に接触させて、微細複製された接着剤表面を形成するステップ
を含む方法。
【請求項2】
接触ステップが、キャスティング技法、コーティング技法および圧縮技法からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記キャスティング技法が微細エンボスパターンを有する工具を使用することを含み、前記コーティング技法が微細エンボスパターンを有する剥離ライナーに接着剤を被覆するステップを含み、前記圧縮技法がニップロールを通過させて剥離ライナーに感圧接着剤を押し付けるステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記工具の前記エンボスパターンがエッチング、フォトリソグラフィ、ステレオリソグラフィ、微細機械加工、ローレット切り、スコアリングまたは切削によって形成される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記微細エンボスパターンが剥離ライナーまたはテープバッキングに存在する、請求項1乃至4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記微細エンボスパターンが多重の微細エンボスパターンである、請求項1乃至5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記接着剤のレオロジーが有効期間の間前記微細複製された接着剤表面を維持する、請求項1乃至6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記微細複製された接着剤表面を前記支持基材に接触させて、前記接着面と前記支持基材との界面からの流体の流出を制御するステップをさらに含む、請求項1乃至7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
異なる種類の材料を前記多重の微細エンボスパターンの深さがことなる窪みに導入する、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
微細複製された接着剤表面が相互接続した接着剤層を有する物品。
【請求項11】
前記微細複製された接着剤表面が深さまたは高さが変化する複雑なパターンを有する、請求項10に記載の物品。
【請求項12】
異なる種類の材料が前記微細複製された接着剤表面に存在する、請求項10または11に記載の物品。
【請求項13】
前記接着剤のレオロジーが有効期間の間前記微細複製された接着剤表面を維持する、請求項10乃至12のいずれかに記載の物品。
【請求項14】
支持基材と、前記支持基材と前記微細複製された接着剤表面との界面とをさらに有し、前記微細複製された接着剤表面が前記界面からの流体の流出を制御する、請求項10乃至13のいずれかに記載の物品。
【請求項15】
微細エンボスパターンを有する剥離ライナーを使用する方法であって、
(a)前記微細エンボスパターンを接着剤層に接触させるステップと、
(b)微細複製された接着剤表面を形成するステップと
を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−285684(P2008−285684A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−196850(P2008−196850)
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【分割の表示】特願平10−529967の分割
【原出願日】平成9年5月30日(1997.5.30)
【出願人】(590000422)スリーエム カンパニー (144)
【Fターム(参考)】