説明

心不全における突然死のマーカー

【課題】心不全における突然死について患者を診断、スクリーニング又はモニタリングする方法及びキットを提供すること。
【解決手段】 哺乳類対象における心不全での突然死のスクリーニング、診断、又は予後判定、哺乳類対象における心不全での突然死の判断、心不全での突然死のリスクのある哺乳類対象の同定、又は切迫した心不全での突然死を経験している哺乳類対象へ施された療法の効果のモニタリングの方法は、哺乳類対象から得た体液試料中のC反応性蛋白質(CRP)、ミエロペルオキシダーゼ(MPO)、好中球総数、白血球総数及びBNPのレベルを測定することを含む。哺乳類対象の心臓の健康のモニタリングの方法も更に含まれる。このような方法を実行するためのキット及び装置も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本発明は、心不全における突然死について患者を診断、スクリーニング又はモニタリングする方法及びキットに関する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
心不全は、西欧社会の一般人口の1.5〜2%が罹患している慢性の進行性疾患である。心不全の有病率及び発症率は、高齢化する人口のために上昇している。心不全は、心臓が効率的に血液を全身へ送出するのに十分な強度を持たない場合に生じる。心臓血管系疾患は、増え続ける保健医療の負担となっている。米国だけでも、500万人以上がうっ血性心不全(CHF)に罹患している。心不全患者は、心不全での突然死を経験する高リスクのある患者である。心不全における突然の予想されない死亡は、米国成人において毎年約340,000件の死亡例を生じている。心不全における突然の予想されない死亡は、過去に心臓疾患と診断されたか又は診断されていないヒトにおける、突然の、心機能の不意の喪失である。死亡の時期及び様式は予想外である。これは、症状出現後、瞬時に又は短時間で生じる。突然死に至る患者の最も一般的な理由は、心臓血管系疾患、特に冠動脈心疾患である。心不全における予期しない急死(SUD)は、心筋の変性、又は高血圧患者における心臓肥大によっても生じる。SUDは、不整脈を引き起こし得る様々な心臓への投薬治療によっても生じることがある。特にいわゆる「抗不整脈薬」は、通常処方される用量であっても、時には致命的心室不整脈をもたらすことがある(「催不整脈」作用)。更にカリウム及びマグネシウムの血中レベルの有意な変化(例えば利尿薬の使用による)も、生命を脅かす不整脈及びSUDを引き起こすことがある。他のSUDの原因は、Wolff-Parkinson-White症候群などの疾患に起因した電気的異常、血管異常及び快楽のための薬物乱用を含む。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
(概要)
一般に、哺乳類対象からの試料中のマーカーレベル、例えばC反応性蛋白質(CRP)もしくは好中球総数、又は白血球総数は、哺乳類対象における心臓の健康状態のモニタリングに使用することができる。CRPは、MPOのような第二マーカーと併用することができる。CRPは、BNPのような第三マーカーと併用してもよい。心臓の健康状態は、心不全での突然死のスクリーニング、診断、又は予後判定、又は心不全での突然死の判定、又は心不全での突然死のリスクのある哺乳類対象の同定、又は切迫した心不全での突然死を経験している哺乳類対象に施された療法の効果のモニタリングにより、測定することができる。心不全での突然死は、予期しない急死を含む。本願明細書に説明された方法は、病院又はその他の保健医療施設又は家庭又は他の地域の場所において使用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
ひとつの態様において、哺乳類対象における心不全での突然死をスクリーニング又は診断し、心不全での突然死を判断し、心不全での突然死のリスクのある哺乳類対象を同定し、又は切迫した心不全での突然死を経験している哺乳類対象に施された療法の効果をモニタリングする方法は、哺乳類対象由来の試料中の第一マーカーのレベルを測定し、ここで第一マーカーは、C反応性蛋白質又は好中球総数であること、及び第一マーカーのレベルを心臓の健康状態と関連付けることを含む。この試料は、血液又は血漿であることができる。この方法は、心不全での突然死のリスクを評価することを含む。この方法は、心不全での炎症レベルを判定することを含む。更にリスクの評価は、第一マーカーのレベルを、第一マーカーの閾値レベルと比較することを含む。第一マーカーのレベルと心臓の健康状態との関連付けは、対象へ施された療法の作用のモニタリングを含むことができる。この方法は、第一マーカーのレベルを、心不全での突然死のリスクが存在しないことの指標である第一マーカーのレベルと比較することを含む、第一マーカーのレベルと心臓の健康状態との関連付けを含んでも良い。この方法は同じく、試料を、第一マーカーに結合する抗体と接触することを含む。この抗体は、モノクローナル抗体であることができる。この方法は更に、第二マーカーのレベルを測定し、及び第二マーカーのレベルを心臓の健康状態と関連付けることを含んでもよく;この第二マーカーは、第一マーカーとは異なる。
【0005】
本方法は、心不全での突然死のリスクの評価を含む、第二マーカーのレベルと心臓の健康状態への関連付けを含むことができる。この方法は、心不全での突然死のリスクを評価するために、第二マーカーのレベルを、第二マーカーの閾値レベルと比較することを含むことができる。この方法は、第二マーカーのレベルの、心不全での突然死のリスクが存在しないことの指標である第二マーカーのレベルとの比較を含むことができる。第一マーカーは、C反応性蛋白質であり、及び第二マーカーは、好中球総数又は白血球総数であることができる。好中球総数は、標準のフローサイトメトリーにより得ることができる。第二マーカーは、ミエロペルオキシダーゼであることができる。
【0006】
本方法は、試料を、第二マーカーと結合する抗体と接触することを含むことができる。この抗体は、モノクローナル抗体である。この方法は更に、心拍数の変動性を測定する工程を含むことができる。心拍数の変動性は、NN(normal to normal)間隔の標準偏差(SDNN)及びトライアンギュラーインデックスにより計算される。NN間隔の標準偏差は、心不全での突然死が存在しないことの指標であるNN間隔の標準偏差と比較することができる。該トライアンギュラーインデックスは、心不全での突然死が存在しないことの指標であるトライアンギュラーインデックス値と比較することができる。
【0007】
本方法は更に、第三マーカーのレベルを測定し、及び第三マーカーのレベルを心臓の健康状態と関連付ける工程を含むことができ;この第三マーカーは、第一マーカー及び第二マーカーとは異なる。この方法は、心不全での突然死のリスクの評価を含む、第三マーカーのレベルの心臓の健康状態への関連付けを含むことができる。この方法は、第三マーカーのレベルを、進行性心不全からの死亡リスクの指標である第三マーカーのレベルと比較することを含む、第三マーカーのレベルと心臓の健康状態との関連付けも含むことができる。この方法は、心不全の突然死のリスクを評価するために、第三マーカーのレベルを、第三マーカーの閾値レベルと比較することを含むことができる。この方法は、第三マーカーのレベルを、心不全での突然死のリスクが存在しないことの指標である第三マーカーのレベルと比較することを含む、第三マーカーのレベルと心臓の健康状態との関連付けを含むことができる。第三マーカーは、ナトリウム利尿ペプチドである。ナトリウム利尿ペプチドは、脳性ナトリウム利尿ペプチド又はN-末端プロ脳性ナトリウム利尿ペプチドであることができる。
【0008】
本方法は、試料を、第三マーカーと結合する抗体と接触することを含む、第三マーカーのレベルと心臓の健康状態との関連付けを含むことができる。この抗体は、モノクローナル抗体であることができる。このような方法を実行するためのキットも提供される。
【0009】
更なる態様において、哺乳類対象における心不全での突然死のスクリーニングもしくは診断、心不全での突然死の判断、心不全での突然死のリスクのある哺乳類対象の同定、又は切迫した心不全での突然死を経験している哺乳類対象へ施された療法の効果のモニタリングのための方法は、哺乳類対象由来の試料中の第一マーカーのレベルを測定し、ここで第一マーカーは好中球総数であること、及び第一マーカーのレベルを心臓の健康の状態と関連付けることを含む。
【0010】
更なる態様において、哺乳類対象における心不全での突然死のスクリーニング、診断もしくは予後判定、心不全での突然死の判断、心不全での突然死のリスクのある哺乳類対象の同定、又は切迫した心不全での突然死を経験している哺乳類対象へ施された療法の効果のモニタリングのためのキットは、試料を該哺乳類対象から採取し、及びC反応性蛋白質レベルを心臓の健康状態と関連付けるための使用説明書、並びに試料中のC反応性蛋白質レベルを測定するための1種以上の試薬を備えることができる。試料は、血液又は血漿であることができる。このキットは、心不全での突然死のリスクを評価することを含む、C反応性蛋白質レベルを心臓の健康状態との関連付けるための使用説明書を備えることができる。このキットは、第一マーカーと特異的に結合する抗体を含むことができる。この抗体は、モノクローナル抗体である。
【0011】
このキットは、心臓の健康の状態の指標である第二マーカーのレベルを測定するための、1種以上の試薬を備えることができる。第二マーカーは、ミエロペルオキシダーゼである。このキットは、第二マーカーに特異的に結合する抗体を含むことができる。この抗体は、モノクローナル抗体である。第二マーカーは、好中球総数又は白血球総数であることができる。このキットは、心拍数を測定及びモニタリングするために構成された検出器を備える装置を含むことができる。この装置は、患者へ出力を提供するように構成されている。
【0012】
このキットは、心不全での突然死が存在しないことの指標である第三マーカーのレベルを測定する1種以上の試薬を備えることができる。第三マーカーのレベルは、進行性の心不全による死亡のリスクの指標である。第三マーカーは、ナトリウム利尿ペプチドであることができる。ナトリウム利尿ペプチドは、脳性ナトリウム利尿ペプチド又はN-末端プロ脳性ナトリウム利尿ペプチドであることができる。このキットは、第三マーカーに特異的に結合する抗体を含むことができる。この抗体は、モノクローナル抗体である。
【0013】
更なる態様において、哺乳類対象の健康をモニタリングする方法は、該哺乳類対象からの試料中の第一マーカーのレベルを測定し、ここで該第一マーカーは、C反応性蛋白質又は好中球総数であること、及び第一マーカーのレベルを心臓の健康状態と関連付けることを含むことができる。この方法は、心不全での突然死のリスクを評価することを含む、第一マーカーのレベルの心臓の健康状態との関連付けを含むことができる。試料は、血液又は血漿であることができる。この方法は、第一マーカーのレベルを、第一マーカーの閾値レベルと比較することを含む、リスクを評価することを含むことができる。この方法は、第一マーカーのレベルを、心臓の健康状態と関連付けることを含むことができる。これは、第一マーカーのレベルの、心不全での突然死のリスクが存在しないことの指標である第一マーカーのレベルとの比較を含む。この方法は、対象に施された療法の作用をモニタリングすることを含むことができる。この方法は、試料を、第一マーカーに結合する抗体と接触することを含むことができる。抗体は、モノクローナル抗体である。この方法は更に、第二マーカーのレベルを測定し、及び第二マーカーのレベルを心臓の健康状態と関連付けることを含むことができ;この第二マーカーは、第一マーカーとは異なる。第一マーカーは、C反応性蛋白質を含み、及び第二マーカーは、好中球総数又は白血球総数を含むことができる。第二マーカーは、ミエロペルオキシダーゼを含むことができる。患者の健康のモニタリングは、患者における死亡又は状態の増悪のリスクをモニタリングすることを含むことができる。
【0014】
この方法は、心不全での突然死のリスクを評価することを含むことができる。心不全での突然死のリスクの評価は、第二マーカーのレベルを、第二マーカーの閾値レベルと比較することを含むことができる。この方法は、試料を、第二マーカーと結合する抗体と接触することを含むことができる。抗体は、モノクローナル抗体を含むことができる。この方法は更に、心拍数の変動性を測定することを含むことができる。心拍数の変動性は、NN間隔の標準偏差及びトライアンギュラーインデックスにより計算される。NN間隔の標準偏差は、心不全での突然死が存在しないことの指標であるNN間隔の標準偏差値と比較することができる。トライアンギュラーインデックスは、心不全での突然死が存在しないことの指標であるトライアンギュラーインデックス値と比較することができる。
【0015】
更なる態様において、心臓の健康状態をモニタリングするシステムは、試料投入口及び第一のアッセイを含むカートリッジであり、ここで第一のアッセイは第一マーカーを認識するもの;及び、このアッセイにより認識された第一マーカーのレベルを測定するために構成された検出器を含むカートリッジ読取機を備えてもよい。この装置は、患者に出力を提供するように構成することができる。第一のアッセイは、第一マーカーを認識する抗体を含むことができる。該抗体は、C反応性蛋白質を認識することができる。このシステムは、試料投入口及び第二のアッセイを含む第二の試験カートリッジを備えることができ、ここで第二のアッセイは、第二マーカーを認識し;第二マーカーは第一マーカーとは異なる。第二のアッセイは、第二マーカーを認識する抗体を含むことができる。
【0016】
驚くべきことに、CRP及び好中球総数は両方とも、SUDの検出において増加し、これらは心拍数の変動性の測定値と組合せて、心不全におけるSUDの確率のスクリーニングを行う上で十分なように特異性及び積極的予測を改善することができる。
心不全を正確でうまくモニタリング、診断、管理及び治療するための試験及び手技の多くは、複雑で、高価であり、及び病院又はそうでなければ他の保険医療施設においてのみ受けることが可能である。患者にとって自宅又は保険医療施設の外部において心不全の可能性を管理又はモニタリングする方法は、依然うまくいっていない。有利なことに、突然死は、患者由来の試料中のCRP及び/又は好中球総数のレベルのモニタリングにより同定又は追跡することができる。
1又は複数の態様の詳細が、以下の図面及び説明において示される。その他の特徴、目的及び利点も、説明、図面及び「特許請求の範囲」から明らかであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(詳細な説明)
慢性心不全(CHF)管理の進歩にもかかわらず、CHF患者の致死率は依然高い(Hoらの論文、J. Am. Coll. Cardiol.、22: (Suppl):6-13 (1993);Massieらの論文、Curr Opin Cardiol.、11: 221-6 (1996);Mcdonaghらの論文、Lancet、350: 829-33 (1997);Cowieらの論文、Eur. Heart J.、18: 208-25 (1997))。これらの死亡は、予期しない急死(SUD)及び進行性心不全(PHF)により引き起こされた死の異なる様式で生じることは明らかである(Goldmanらの論文、Circulation、87(Suppl): 3124-33 (1993);Hinkleらの論文、Circulation、65: 457-64 (1982))。PHFの死亡は、ニューヨーク心臓協会(NYHA)分類の悪化、比較的低い左心室駆出率、又は低い運動能などの、簡単な臨床測定により予測することができる(Szlachcic らの論文、Am. J. Cardiol.、55: 1037-42 (1985);Manciniらの論文、Circulation、83: 778-86 (1991);Roulらの論文、Eur. Heart J.、16: 1387-98 (1995);Cohnらの論文、N. Engl. J. Med.、311: 819-23 (1984);Cohnらの論文、Circulation、87(Suppl): 5-16 (1993))。
【0018】
対照的に、CHFにおけるSUDは、推測が容易ではない。SUDは、心臓疾患と診断されたことがあるか又はないヒトにおける突然の心機能の不意の喪失である(Nolanらの論文、Circulation、98: 1510-6 (1998);La Rovereらの論文、Circulation、107: 565-70 (2003);Galinerらの論文、Eur. Heart J.、21: 475-481 (2000))。SUDは、症状出現後瞬時に又は短時間で生じることがある。SUDは、大きい健康上の問題であり、米国成人においては病院又は緊急治療室のいずれかに到着する前に、毎年約340,000例が死亡している。
SUDは、急性冠動脈症候群又は初期不整脈のいずれかにより引き起こされ得る。このことは、差し迫った冠動脈事象の測定又は「不整脈惹起性(arrhythmogenicity)」の測定の一部は、SUD直前に増大することがあることを意味する(La Rovereらの論文、Circulation、107: 565-70 (2003);Galinerらの論文、Eur. Heart J.、21: 475-481 (2000))。
【0019】
うっ血性心不全における予期しない急死としても知られている突然死は、主として急性冠動脈症候群により引き起こされることが多く、これは次には「炎症を起こした」アテローム硬化斑の破壊に起因している(Daviesらの論文、N. Engl. J. Med.、310: 1137-40 (1984))。これが真実であるならば、好中球又はC反応性蛋白質のような炎症の個人内徴候は、SUDの直前に増加するであろうと予想することができる。この仮説は、C反応性蛋白質はSUDの前年に測定した場合に増大することを明確に示した、Ridkerとその同僚の象徴的研究(Ridkerらの論文、N. Engl. J. Med.、342: 836-43 (2000))により有望である。従ってSUD事象は、硬化斑の急性破壊部位は安定した硬化斑よりもはるかに多い炎症を有するという事実(van der Walらの論文、Circulation、89: 36-44 (1994))に起因し、及びSUDの数日から数週間前の間に硬化斑の不安定性及び血栓形成が存在するという最新の病理学データ(de Gouveiaらの論文、Eur. Heart J.、23: 1433-40 (2002))により、SUD事象の直前のC反応性蛋白質及び炎症は、更なる短期間の個人内増加により引き起こされる可能性がある。他方で、「不整脈惹起性」がSUDに寄与するならば、携帯型心電図は有用であるが、これまでのところSUDを予測するその能力は変動することが証明されている(Nolanらの論文、Circulation、98: 1510-6 (1998);La Rovereらの論文、Circulation、107: 565-70 (2003);Galinerらの論文、Eur. Heart J.、21: 475-481 (2000))。この変動性は、全ての現在の試験は横断的(cross sectional)なものであり、そこではひとつの試料が、多数の患者から採取され、その結果SUDが発生する前に長い空白の時間が存在することが理由であろう。代わりの試験デザインは、SUD前の個人内変化を調べるために、ECGが、同じ患者から多数回繰返しとられる縦断的試験(longitudinal study)である(Nakagawaらの論文、Br. Heart J.、71: 87-8 (1994))。空白の時間の問題とは別に、横断的試験の別の問題点は、ほとんどのパラメータは、個人内変動よりもより大きい個人間変動を有し、及び高い個人間変動性は、個人のリスクを確定する横断的試験の能力を大幅に制限することである。SUDアプローチとして次第に増悪することがある携帯型心電図(ECG)のふたつの測定値は、心拍数の変動性及び自発的心室性期外収縮活動である(Nakagawaらの論文、Br. Heart J.、71: 87-8 (1994);Bigger T.の論文、Circulation、75(Suppl): 28-35 (1987))。ふたつの場合のひとつの先の報告が、患者においてSUD前に心拍数の変動性が増悪したことを示唆している(Nakagawaらの論文、Br. Heart J.、71: 87-8 (1994))。
【0020】
従って、CHFにおけるSUDに先立ち、炎症(C反応性蛋白質/好中球)の測定値又は不整脈惹起性のある種の心電図(ECG)測定値が個人内で増加するかどうかを調べる研究が行われた。これらは、SUD前の最も可能性のある「引き金」事象である。
哺乳類対象における心不全の突然死の指標となる第一マーカーは、C反応性蛋白質(CRP-SwissProt P02741)である。哺乳類対象における心不全での突然死の指標となる第二マーカーを測定することができる。この第二マーカーは、好中球総数又は白血球総数により測定されても良い。好中球総数又は白血球総数は、例えば血球計により直接的に、又は例えばミエロペルオキシダーゼもしくはエラスターゼなどの蛋白質レベルの測定により間接的に測定することができる。好中球総数は、抗-ミエロペルオキシダーゼ抗体、抗-好中球エラスターゼ抗体又は抗-CD11b抗体を含むことができる抗-好中球抗体を用い間接的に得ることもできる。
【0021】
第二マーカーは、主要な好中球蛋白質であるミエロペルオキシダーゼ(EC 1.11.1.7)であることができる。ヒトMPOのアミノ酸配列は、NCBIデータベースにおいて認めることができる(寄託番号NM_000250、寄託番号AH_002972)。測定することができる別の追加マーカーは、酸化された低密度リポ蛋白質、可溶性接着分子(例えば、E-セレクチン、P-セレクチン、細胞内接着分子-1、又は血管細胞接着分子-1)、Nourin-1、サイトカイン(例えば、インターロイキン-1β、-6、-8、及び-10、又は腫瘍壊死因子-α)、又は急性期反応物質(例えば、フィブリノーゲン、又は血清アミロイドA(SAA))などの、炎症マーカーを含むことができる。
【0022】
哺乳類対象における心不全での突然死が存在しないことの指標となる第三マーカーも測定することができる。このようなマーカーは、天然の心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP-Brennerらの論文、Physiol. Rev.、70: 665 (1990)参照)、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)及びC-型ナトリウム利尿性(CNP-Stingoらの論文、Am. J. Physiol.、263: H1318 (1992)参照)などのナトリウム利尿ペプチド、並びにそれらの変種又は対立遺伝子変種を含む。適当なナトリウム利尿ペプチドは、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)又はN-末端プロ脳性ナトリウム利尿ペプチド(N-BNP)である。別の適当なナトリウム利尿ペプチドは、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)である(Hallの論文、Eur. J. Heart Fail、3: 395-397 (2001))。
これらのマーカーは、患者における心不全の炎症レベルの判定に使用することもできる。炎症レベルは、予期しない急死(SUD)、進行性心不全(PHF)、急性冠動脈症候群(ACS)又は発作などの心臓血管系事象の高リスクに関連付けることができる。
【0023】
このようなマーカーのレベルは、マーカーレベルをそのマーカーの閾値レベルと比較することにより、評価することができる。このような閾値レベルは、小児、青年、高齢者、もしくは人種/民族群のような大きい母集団群、又はそれらの組合せからプールされたデータに従い設定することができる。特定の母集団群について測定され及び設定された閾値レベルは、ひとつの母集団群から別のものへと振替え可能でも適用可能でもない。あるいは、閾値レベルは、個人の追跡から得られたデータから得られた閾値レベルを基にしてもよい。患者の頻繁な試験は、その特定の患者において先に確立された閾値レベルとのよりよい比較を提供し、並びに医師が患者の心臓の健康をより良く判定することを可能にするであろう。マーカーレベルの低下した個人内変動は、より特異的及び個人化された閾値が患者について定義されることを可能にする。
【0024】
マーカーレベルを評価する方法は、個人内変動性の変化の観察、個人において確立されたベースラインレベルからの絶対もしくは相対レベルの変化の観察、又は経時的な陽性又は陰性の傾向の観察を含んでも良い。
試料中のマーカーレベルは、マーカーの全分子として、断片としての、試料中のマーカー量の定量により、又は試料中もしくは試料の派生物中のマーカーの活性の測定により、測定することができる。前述のマーカーの断片は、問題のマーカー独自のものであるアミノ酸配列を有するであろう断片を用いて測定することができる。この断片は、6個のアミノ酸と少ないことができるが、7、8、9、10、11、12、13、14、15個又はそれよりも多いアミノ酸であってよい。
【0025】
概して、このマーカーのアミノ酸残基は、保存的置換において別のアミノ酸残基と交換することができる。保存的置換の例は、例えば、イソロイシン、バリン、ロイシン又はメチオニンなどのある非-極性(すなわち、疎水性)残基の、別の非-極性残基との置換;ある極性(すなわち、親水性)残基の別の極性残基との置換、例えばアルギニンとリシンの間、グルタミンとアスパラギンの間、又はグリシンとセリンの間の置換など;リシン、アルギニン又はヒスチジンなどの、ある塩基性残基の、別の塩基性残基との置換;もしくは、アスパラギン酸又はグルタミン酸などのある酸性残基の、別の酸性残基との置換を含む。ある保存的置換において、アミノ酸残基は、化学的に類似した側鎖を有するアミノ酸残基と交換することができる。化学的類似性を伴う側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当該技術分野において定義されている。これらのファミリーは、塩基性側鎖を持つアミノ酸(例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖を持つアミノ酸(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、未帯電極性側鎖を持つアミノ酸(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖を持つアミノ酸(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β-分枝した側鎖を持つアミノ酸(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)、及び芳香族側鎖を持つアミノ酸(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を含む。
【0026】
保存的置換は、誘導体化されない残基の代わりに、化学的に誘導体化された残基の使用も含んでよい。化学誘導体は、残基の官能基の反応により化学的に誘導体化された残基である。このような化学誘導体の例は、遊離のアミノ基が誘導体化され、例えば、アミン塩酸塩、p-トルエンスルホニル基、カルボベンズオキシ基、t-ブチルオキシカルボニル基、クロロアセチル基又はホルミル基などを形成している分子を含むが、これらに限定されるものではない。遊離のカルボキシル基は誘導体化され、塩、メチル及びエチルエステル、又は他のエステルもしくはヒドラジドを形成することができる。遊離のヒドロキシル基は誘導体化され、O-アシル又はO-アルキル誘導体を形成することができる。化学誘導体として、20種の標準のアミノ酸の1種以上の天然のアミノ酸誘導体を含む、それらのポリペプチドも含まれる。例えば、4-ヒドロキシプロリンは、プロリンと置換することができ;5-ヒドロキシルシン(hydroxylsine)は、ヒスチジンと置換することができ;ホモセリンは、セリンと置換することができ;並びに、オルニチンは、リシンと置換することができる。
【0027】
ポリペプチドのアミノ酸残基は、非保存的置換において別のアミノ酸残基と交換することができる。場合によっては、非保存的置換は、ポリペプチドの関連する特性は変更しないであろう。この関連する特性は、それらの変種及び対立遺伝子変種を含むCRP、MPO、N-BNP、又はBNP又は他の生物学的活性を認識する抗体に結合する能力を含むが、これらに限定されるものではない。
試料中のマーカーレベルは、例えば、免疫クロマトグラフィーフォーマットのようなアッセイを用い、定性的又は定量的に測定することができる。定性的アッセイは、マーカーの存在と非存在を識別することができるか、又は試料中のマーカーレベルの範疇、例えば非存在、低濃度、中濃度もしくは高濃度又はそれらの組合せを識別することができる。定量的アッセイは、試料中のマーカーの数値測定を提供することができる。このアッセイは、マーカーをその特定のマーカーを認識する抗体と接触すること、質量分析によりマーカーを検出すること、細胞を含む試料をそれらの細胞によるマーカー遺伝子の発現(例えば、mRNA又はポリペプチドの)についてアッセイすること、又は測定の組合せを含むことができる。例えばこのアッセイは、試料をマーカーを認識する抗体と接触すること、及び質量分析測定を含むことができる。
【0028】
これらのマーカーは、哺乳類の体から得ることができる、血液、血漿又は他の体液、例えば腸液、尿、全血、唾液、血清、リンパ、胃液、胆汁、汗、涙、並びに脳脊髄液中に検出することができる。体液は、処理されても(例えば、血清)又は処理されなくともよい。哺乳類対象はヒトであってよい。
測定された第一マーカー、例えばCRPのレベルは、心不全の非存在の指標であるCRPレベルと比較することができる。このレベルは、心不全においてSUDと無関係な1種以上の哺乳類対象からのCRPベースラインレベル、またはそのような哺乳類対象のCRPについて予め決定された参照範囲であることができる。この方法において、これらのレベルは、診断又は予後判定を提供するために、心不全においてSUDと無関係な対象の母集団試験から決定された参照レベルと比較することができる。このような対象は、年齢及び/又は性別を合致させることができる。ひとつの態様において、心不全での突然死のリスクの指標であるCRPレベルは、ベースライン値から、約3μg/ml又はそれ以上、例えば5μg/ml以上、10μg/ml以上、15μg/ml以上、20μg/ml以上、25μg/ml以上又は30μg/ml以上大きい。別の態様において、心不全での突然死のリスクの指標である好中球総数は、ベースライン値から約0.5x109/l、1x109/l、2x109/l、3x109/l、4x109/l、5x109/l又はそれ以上大きいことができる。
【0029】
他の実施態様において、進行性心不全による死亡リスクの指標であるBNPレベルは、ベースライン値から約55pg/ml、65pg/ml、75pg/ml、85pg/ml、95pg/ml、又は105pg/mlであることができる。別の実施態様において、進行性心不全による死亡リスクの指標である好中球総数は、ベースライン値から約1.5x109/l、2x109/l、2.5x109/l、3x109/l又はそれよりも大きいことができる。更なる態様において、進行性心不全による死亡リスクの指標であるCRPレベルは、約5μg/ml又はそれよりも大きい、もしくは10μg/ml又はそれよりも大きいことができる。
【0030】
正確な値は、アッセイ様式によって変動し得る。切迫したSUDを有する哺乳類対象に施された療法の作用をモニタリングするために、測定したCRPレベルを、対象の基本レベルと比較することができる。この基本レベルは、その療法の開始前に決定されても良い。この基本レベルからの偏差は、心臓の健康状態の改善又は増悪が存在するかどうか、その結果この療法が有効であるかどうかを示している。増加したCRPレベルは、心不全における進行性の切迫したSUDを示し、及びその逆の場合も同じである。当業者には、哺乳類対象における心不全のSUDのスクリーニング、診断又は予後判定のため、哺乳類対象における心不全のSUDの決定のため、心不全のSUD発症のリスクのある哺乳類対象の同定のため、又は心不全における切迫したSUDを有する哺乳類対象に施された療法の作用のモニタリングのためであるCRPの各レベルは、互いに異なることができることは理解されるであろう。これらのレベルは、本願明細書に説明されたものに類似した方法で容易に決定することができる。
【0031】
測定された第二マーカーのレベルは、心不全におけるSUD非存在の指標である第二マーカーのレベルと比較することができる。このレベルは、1種以上の心不全におけるSUDを伴わない哺乳類対象由来の第二マーカーのレベルであるか、又は心不全におけるSUDを伴わない哺乳類対象における第二マーカーに関する予め決定された参照範囲を伴うことができる。再度正確な値は、アッセイ様式に応じて変動し得る。
本願明細書においてより詳細に説明されるように、CRP、N-BNP、好中球総数、白血球総数、心拍数の変動性の組合せの使用は、これらのマーカーのいずれか単独の使用と比べ、改善された特異性及び積極的予測を提供することができる。この結果、心不全を確認するために実行される心電図の必要性をより少なくし、著しい経費削減をもたらす。マーカーレベルは、存在するマーカーの量を示す濃度、質量、モル数、容量又はいずれか他の測定値の単位で提供することができる。
【0032】
好中球総数又は白血球総数は、標準のフローサイトメトリー、又は国際公開公報第2003078972号に開示されたようなマイクロフルイディスク装置によるか、又は当業者に公知の他の方法により得ることができる。測定された好中球総数は、心不全においてSUDが存在しないことの指標である好中球総数と比較することができる。この好中球総数は、1又は複数の心不全におけるSUDを伴わない哺乳類対象由来の好中球総数であるか、又は心不全におけるSUDを伴わない哺乳類対象における第二マーカーの予め決定された参照範囲と比較することができる。心拍数の変動性は、心電図(ECG)から測定することができ、並びに全NN間隔の標準偏差(SDNN)及びトライアンギュラーインデックス(TI)は、Anonの論文(Circulation、93: 1043-65 (1996))に記載されたような、標準指針に従い分析することができる。
【0033】
第一、第二又は第三マーカーの各レベルは、イムノアッセイを用い、すなわち、試料を、そのマーカーと特異的に結合する抗体と接触し、及び抗体と試料中の少なくとも1種の種の間に生じた結合を測定することにより、測定することができる。このようなアッセイは、競合的又は非競合的イムノアッセイであってよい。このようなアッセイは、均一及び不均一の両方共、当該技術分野において周知であり、ここで検出されるべき検体は、ラテックス又は金粒子、蛍光部分、酵素、電気化学的活性種などの検出可能な種により標識されている抗体などの特異的結合のパートナーとの結合が引き起こされる。あるいは検体は、前述の検出可能な種のいずれかにより標識され、限定量の特異的抗体と競合してもよい。その後検体の存在又は存在する量は、標識物の存在又は濃度の検出により決定される。このようなアッセイは、実験室用分析装置、又は欧州特許第EP291194号に開示されたような側方流動イムノアッセイのような、治療施設又は自宅用(point of care or home)の試験装置により、通常の方法で実行されても良い。
【0034】
ひとつの実施態様において、イムノアッセイは、試験される対象由来の得た試料を、適当な抗体と、マーカーが存在する場合には免疫特異的結合が生じるような条件下で接触し、並びにその抗体による何らかの免疫特異的結合を検出又は量を測定することにより実行される。この抗体は、試料と、少なくとも約10分間、30分間、1時間、3時間、5時間、7時間、10時間、15時間、又は1日接触しても良い。ウェスタンブロット、ラジオイムノアッセイ、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)、「サンドイッチ」イムノアッセイ、免疫沈降アッセイ、沈殿反応、ゲル拡散沈殿反応、免疫拡散アッセイ、凝集アッセイ、補体結合アッセイ、免疫放射線アッセイ、蛍光イムノアッセイ及びプロテインAイムノアッセイのような技術を使用する競合的及び非競合的アッセイシステムを含むが、これらに限定されるものではない、いずれか適当なイムノアッセイを用いることができる。
【0035】
例えば、マーカーは、二工程サンドイッチアッセイにより液体試料中に検出することができる。第一の工程において、捕獲試薬(例えば、抗-マーカー抗体)を用い、マーカーを捕獲する。この捕獲試薬は、任意に固相に固定することができる。第二の工程において、直接又は間接に標識された検出試薬を用い、捕獲されたマーカーを検出する。ひとつの態様において、検出試薬は抗体である。別の実施態様において、検出試薬はレクチンである。
ひとつの実施態様において、側方流動イムノアッセイ装置を、「サンドイッチ」形式で使用することができ、ここで試料中の十分なマーカーの存在は、側方流動アッセイの捕獲ゾーンでの「サンドイッチ」相互作用の形成を生じるであろう。ここで使用される捕獲ゾーンは、MPOの捕獲に適した抗体分子、抗原、核酸、レクチン、及び酵素などの捕獲試薬、並びに本願明細書に説明された他のマーカーを含んでも良い。この装置は、捕獲ゾーンでの捕獲に適した1種以上の発光標識物を、検体の存在により決定される捕獲の程度に組込んでもよい。適当な標識物は、ポリスチレンミクロスフェアに固定された蛍光標識物を含む。ミクロスフェアは、捕獲ゾーンにおいて捕獲を可能にするために、免疫グロブリンで被覆されてもよい。
【0036】
使用することができる他のアッセイは、フロースルー装置を含むが、これに限定されるものではない。
フロースルーアッセイにおいて、ひとつの試薬(通常抗体)は、膜表面上の限定された領域に固定される。次にこの膜は、装置を通し試料容量をポンプ送出するための貯蔵庫として作用する吸着層上に積層される。固定後、非-特異的な相互作用を最小とするために、膜上の蛋白質-結合部位の残りがブロックされる。このアッセイが使用される場合、抗体に特異的なマーカーを含む体液試料が、マトリックスを通して膜及びフィルターに添加され、マーカーが固定された抗体に結合することを可能にする。任意の第二の工程において(第一の反応物が抗体である態様において)、タグを付けた二次抗体(酵素複合体、着色されたラテックス粒子に結合した抗体、又は着色されたコロイドに組込まれた抗体)を添加又は放出し、これは捕獲されたマーカーと反応し、サンドイッチを完了することができる。あるいは、二次抗体は、単独の工程で試料と混合し添加することができる。マーカーが存在する場合、着色された点が、膜の表面に顕出する。
【0037】
本願明細書において使用される用語「抗体」は、免疫グロブリン分子及び免疫グロブリン分子の免疫学的に活性のある部分、すなわち抗原に特異的に結合する抗原結合部位を含む分子を意味する。免疫グロブリン分子は、いずれかのクラス(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD及びIgA)又は免疫グロブリン分子サブクラスであることができる。抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、二重特異性抗体、ヒト化抗体及びキメラ抗体、単鎖抗体、Fab断片及びF(ab')2断片、Fab発現ライブラリーにより産生された断片、抗-イディオタイプ(抗-Id)抗体、並びに前述のいずれかのエピトープ-結合断片を含むが、これらに限定されるものではない。抗体、又は一般的にいずれかの分子は、抗体が優先的に抗原に結合し、並びに例えば、他の分子との約30%未満、好ましくは20%、10%、又は1%の交差反応性を有する場合は、抗原(又は他の分子)に「特異的に結合する」。抗体の一部は、Fv及びFv'部分を含む。
【0038】
本願明細書において考察されたCRP、MPO、BNP、好中球及びその他のマーカーを検出するための抗体は、市販されている。例えば、抗-CRP抗体は、Alpha Diagnostic International社(5415 Lost Lane, San Antonio, TX 78238 USA)及びResearch Diagnostics社(Pleasant Hill Road, Flanders NJ 07836, USA)から入手することができ、抗-MPO及び抗-BNP抗体は、Abcam社(21 Cambridge Science Park, Milton Road, Cambridge CB4 0TP, UK)から入手することができる。BNP及びANPに結合する抗体は、市販されている。市販のBNPに結合する抗体の例は、ウサギ抗-ヒトBNPポリクローナル抗体(Biodesign International社)、ウサギ抗-BNPアミノ酸1-20ポリクローナル抗体(Biodesign International社)、抗-ヒトBNPモノクローナル抗体(Immundiagnostik社)、及びウサギ抗-ヒトBNPアミノ酸1-10ポリクローナル抗体(Immundiagnostik社)がある。市販のANPに結合する抗体の例は、マウス抗-ヒトANPモノクローナル抗体(Biodesign International社)、ウサギ抗-ヒトANPモノクローナル抗体(Biodesign International社)、マウス抗-ヒトANPモノクローナル抗体(Chemicon社)、ウサギ抗-ヒトANPアミノ酸95-103抗体(Immundiagnostik社)、ウサギ抗-ヒトANPアミノ酸99-126抗体(Immundiagnostik社)、ヒツジ抗-ヒトANPアミノ酸99-126抗体(Immundiagnostik社)、マウス抗-ヒトANPアミノ酸99-126モノクローナル抗体(Immundiagnostik社)及びウサギ抗-ヒトa-ANPポリクローナル抗体(United States Biological社)がある。好中球を検出する抗体は、抗-好中球エラスターゼ抗体(Chemicon社)、抗-CD11b(C3bi受容体)抗体、抗-好中球抗体であってよい。
【0039】
本願明細書に説明された方法を実行するために、キットを使用することができる。
哺乳類対象における心不全での突然死をスクリーニング、診断もしくは予後判定するための、心不全での突然死を決定するための、心不全での突然死のリスクのある哺乳類対象を同定するための、又は切迫した心不全での突然死を経験している哺乳類対象に施される療法の作用をモニタリングするためのキットも提供される。このキットは、哺乳類対象から体液試料を採取するための使用説明書、並びに試料中のマーカーレベルを測定し、及びマーカーレベルを心臓の健康状態と関連付けるための1種以上の試薬を含むことができる。
これらの1種以上の試薬は、先に説明されたような、第一マーカーに特異的に結合する抗体を含んでよい。キットは、同じく先に説明されたような、哺乳類対象の心臓の健康状態の指標となる第二マーカーのレベルを測定する1種以上の試薬も含んでよい。キットは更に、第三マーカーのレベルを測定するための1種以上の試薬を含んでもよい。
【0040】
哺乳類対象から体液試料を採取するための使用説明書は、任意であってよい。加えてキットは任意に、下記の1種又は複数種を含んでよい:(1)哺乳類対象における心不全での突然死のスクリーニング、診断もしくは予後判定のため、心不全での突然死を判断するため、心不全での突然死のリスクのある哺乳類対象を同定するため、又は切迫した心不全での突然死を経験している哺乳類対象に施される療法の作用をモニタリングするためのキットの使用に関する使用説明書;(2)キット中に存在する抗体に対する標識された結合パートナー;(3)その上にそのような抗体が固定された固相(例えば試薬細片);並びに、(4)診断、予後判定もしくは治療的用途又はそれらの組合せに関する規制当局の承認を示すラベル又は添付文書である。その抗体又は各抗体に対する標識されない結合パートナーが提供される場合は、その抗体又は各抗体それ自身は検出可能なマーカー、例えば、化学発光部分、酵素部分、蛍光部分又は放射性部分により標識することができる。
【0041】
該装置は、診断用キットに含まれ、これは任意に、下記の1種以上を含むことができる:事象検出、診断、予後判定、スクリーニング、治療的モニタリング又は患者管理のためのこれらの用途のいずれかの組合せに、このキットを使用するための使用説明書;試験を実施するために必要な試薬を含む使い捨ての試験用カートリッジ;又は、マーカー試験の結果を測定し、並びに任意に他のパラメータの手動もしくは自動の入力、パラメータの保存、及び測定した1個又は複数個のマーカーの評価と同時の又はそれとは別のパラメータの評価を可能にする器具もしくは装置である。
【0042】
このキット内に供給された1個又は複数個のカートリッジは、使用者が、最低でも、CRPである第一マーカー、ミエロペルオキシダーゼである第二マーカー、又はナトリウム利尿ペプチドである第三マーカーを測定することを可能にする。好ましくは1個又は複数個の試験用カートリッジは、CRP、ミエロペルオキシダーゼ及び/又はBNPのようなナトリウム利尿ペプチドの逐次又は連続測定を可能にする。組合せカートリッジは、単独の試料から2種又はそれよりも多い異なるマーカーを試験することができる。
【0043】
器具(耐久性のある又は使い捨ての)は、最低でも、マーカー試験の結果を測定し、並びに任意に他のパラメータの手動もしくは自動の入力、該パラメータの保存、及び測定したマーカーと一緒又は個別の該パラメータの評価を可能にする。
【0044】
図Xを参照し、診断用装置100は、ディスプレイ120及び入力領域140を備える。ディスプレイ120は、様々なフォーマット、例えば、JPEG(joint photographic experts group)フォーマット、TIFF(tagged image file)フォーマット、GIF(graphics interchange)フォーマット、又はビットマップで画像を表示するために使用することができる。ディスプレイ120は、テキストメッセージ、ヘルプメッセージ、命令、質問、試験結果、及び患者への様々な情報を表示するために使用することもできる。一部のインプリメンテーションにおいて、ディスプレイ120は、ハイパーテキスト記述言語(HTML)フォーマットをサポートしており、その結果表示されたテキストは、追加の情報、画像、又はフォーマット済みのテキストへのハイパーリンクを含んでも良い。ディスプレイ120は更に、例えば、MPEG(moving picture experts group)フォーマット、Apple's QuickTimeフォーマット、又はDVDフォーマットで保存されたビデオを表示する機構を提供することができる。ディスプレイ120は追加的に、可聴式の命令、音、音楽などを生じる音源(例えば、スピーカー)を備えることができる。
【0045】
入力領域140は、キー160を備えることができる。ひとつの実施態様において、入力領域140は、例えばディスプレイ120がタッチスクリーンであるような場合は、ディスプレイ120上に表示されたシンボルとして実現することができる。患者への命令及び質問は、ディスプレイ120上で患者に提示される。患者は、入力領域を介して質問に反応することができる。
また、装置100は、読取りのために診断試験用カートリッジを受け取る、カートリッジ読取機180も備えることができる。このカートリッジ読取機180は、例えば、試験用カートリッジ400について生じる呈色変化の大きさを基に、マーカーレベルを測定する。装置100は、プローブ接続200も備え、これらはプローブ(例えば、質量、温度、心拍数、心拍数の変動性、呼吸数、血圧、又は血中酸素飽和濃度のプローブ)をこの装置に接続する。
【0046】
装置100は更に、通信ポート220を備える。通信ポート220は、例えば、電話線又はコンピュータネットワークに接続することができる。装置100は、患者の試験結果を、遠隔地から医療提供者に通信することができる。同様に医療提供者は、装置100により通信することができる(例えば、保存された試験結果にアクセスする、装置パラメータを調節する、又は患者へメッセージを送信する)。
ふたつの試験ゾーン420を伴うカートリッジ400が示されている。概して、カートリッジは、1、2、3、4、もしくは5個又はそれよりも多い試験ゾーンを備えることができる。各試験ゾーン420は、マーカーレベルを試験することができる。各試験ゾーン420は、試料投入口440、対照結果ウィンドウ460及び試験結果ウィンドウ480を備える。ひとつの実施態様において、カートリッジ400は、免疫クロマトグラフィー試験用カートリッジである。免疫クロマトグラフィー試験及び試験結果読取機の例は、例えば、米国特許第5,504,013号;第5,622,871号;第6,235,241号;及び、第6,399,398号に開示されており、その各々は全体が本願明細書に参照として組入れられている。
【0047】
装置100を使用し、患者の健康に関する情報を提供する様々なマーカーのレベルを試験及び記録することができる。診断用装置100の様々なインプリメンテーションは、記憶媒体(例えば、ビデオカセットレコーダー(VCR)テープ又はデジタルビデオディスク(DVD);コンパクトディスク(CD);又は、フロッピーディスク)上に保存されたプログラム及び/又はデータにアクセスすることができる。加えて様々なインプリメンテーションは、別のコンピュータシステム上に保存されたプログラム及び/又はアクセスされたデータへ、直結ケーブル接続、コンピュータネットワーク、無線ネットワーク、衛星ネットワークなどを含む通信媒体を通じアクセスすることができる。
診断用装置を制御し及び患者にフィードバックを提供するソフトウェアは、汎用コンピュータ装置、携帯情報端末(PDA)、専用コンピュータ装置、ラップトップコンピュータ、ハンドヘルドコンピュータ、又はネットアプライアンスなどの、いずれかの処理装置上で動作するソフトウェアアプリケーションの形であることができる。
【0048】
診断用装置は、プロセッサー、1個又は複数個の入力装置、1個又は複数個の出力装置、コンピュータで読取り可能な媒体、及びコンピュータ記憶装置を含むハードウェアの立体配置を用い実現されてもよい。このプロセッサーは、汎用マイクロプロセッサー又は特定用途向け集積回路(ASIC)などの、いずれかのコンピュータ処理装置を用い実現されてもよい。このプロセッサーは、機械装置に、センサーデータ及び/又は入力データを受け取らせ、並びにサービス技術者に、クエリー及び結果を表示、さもなければ出力する機械装置を提供するための入力/出力(I/O)装置と共に一体化することができる。入力装置は、例えば、下記の1種又は複数を含んでよい:マウス、キーボード、タッチスクリーン式ディスプレイ、ボタン、センサー、及びカウンターである。
【0049】
ディスプレイ120は、液晶ディスプレイ(LCD)、テレビ、プリンター、及び発光ダイオード(LED)を含む、いずれかの出力技術を用い実現することができる。コンピュータで読取り可能な媒体は、固定された又は取り外し可能な媒体のいずれか上にプログラム及びデータを保存するための機械装置を提供する。コンピュータで読取り可能な媒体は、通常のコンピュータハードディスクドライブ、又は参照のために先に説明されたもののような他の取り外し可能な媒体を用い実現されてもよい。最後に、このシステムは、診断用装置の操作を補助するために、ランダムアクセスメモリー(RAM)のような、コンピュータ記憶装置を使用する。
【0050】
装置100は、医療記録データベースのようなアプリケーション又は患者の治療において使用される他のシステムへのアクセスを提供することができる。ひとつの例において、この装置は、通信ポート220を介し、医療記録データベースに接続する。装置100は、オンラインに進み、現存のデータベースを統合し、及び他のウェブサイトに接続する能力を有しても良い。オンラインアクセスは、患者による医療情報への、及び介護者による患者の健康を反映している最新の試験結果への、遠隔オンラインアクセスも提供する。この装置は、病院、診療所、クリニック、及び患者の自宅において、患者又は付き添い介護者のいずれかにより使用することができる。
【0051】
この装置は、特にマーカーレベルが患者の健康状態の変化を示す場合には、測定されたマーカーレベルに反応するように構成することができる。例えば、装置は、試験結果を保存し、及び経時的マーカーレベルの変化を決定するように構成することができる。経時的な結果の変化は、急性の変化又は慢性の変化であることができる。急性の変化は、短期間にわたるマーカーレベルにおける有意な変化であることができる。変化の大きさ及び期間は、各マーカーについて異なることができる。この装置は、各々の新たな試験結果を、最近の保存された試験結果の値(例えば、先の1、2、3、4、5又はそれよりも多い結果)、又は最近の試験結果の総計した測定値(例えば平均)のいずれかと比較し、急性の変化が生じたかどうかを決定するように構成することができる。ひとつの例において、急性の変化は、試験結果の先の結果からの変化の割合(%)により検出される。
【0052】
慢性の変化も検出することができる。慢性の変化は、長期間にわたり生じるマーカーレベルの変化であることができる。例えば、慢性の変化は、多くの試験間隔が検出される急性の変化を伴わずに進行し、依然マーカーレベルは有意に異なるように生じる。慢性の変化を検出するために、装置は、各々の新たな試験結果を、より早期の試験の保存された結果、又はより早期の試験の総計した測定値と比べることができる。慢性の変化を検出するために、より早期の試験は、例えば、新たな試験結果の4〜12週前に得ることができる。ひとつの例において、総計した測定値は、例えば定期的平均値(rolling average)、例えば4週、8週、又は12週の定期的平均値などであることができる。
【0053】
この装置は、試験結果を、保存された閾値又は範囲と比較するように構成することもできる。閾値は、値の上限もしくは下限又は範囲であることができる。従ってこの装置は、マーカー、又はマーカー群の測定された値が、安全なレベル、危険なレベルであるかどうかを決定するか、又は緊急を指摘することができる。装置は、医療を求めることを患者に指示することが適している場合には、試験の結果を患者に警告することができ、並びにそのように構成することができる。
【0054】
この装置は、マーカーの組合せ、例えばふたつのマーカーの平均値、ふたつのマーカー間のレベルの差、ふたつのマーカーレベルの比、又はふたつもしくはそれよりも多いマーカーがそれらの各閾値を同時に超えたかどうかを追跡するように構成することもできる。装置は、1種又はそれよりも多いマーカーを、患者の徴候及び症状と組合せて追跡するように構成することができる。
この装置は、患者個人専用であることができる。各マーカーに関する閾値及び他のパラメータは、例えば、年齢、性別、又は病態のような患者の状況を基に、(例えば、医師又は他の介護者により)調節することができる。この装置が患者に示す質問及び回答も調節することができる。
この方法を実施する例を以下に示す。
【実施例】
【0055】
(実施例)
(試験群及びデータ収集)
下記判定基準に合致する34名の患者を、本試験のために集めた:18ヶ月以上のCHF、3ヶ月間は臨床上安定;NYHA分類IIからIV;冠動脈疾患(94%)又は特発性拡張型心筋症により引き起こされたCHF;損なわれた左心室駆出(rejection)率が<40%;6ヶ月以内の急性冠動脈事象なし;並びに、洞調律。除外基準は、冠動脈再建の予定;慢性閉塞性肺疾患;有意な腎機能障害;糖尿病;自律神経性ニューロパシー;末梢動脈疾患の制限;ペースメーカー埋込み;bブロッカーによる治療;及び、心房細動である。募集前に、テイサイド地区の倫理委員会及び研究所の委員会が本試験を承認した。患者は全員、本試験への参加について、書面によるインフォームドコンセントを提出した。
【0056】
患者は、自宅待機し、月1回の間隔で来院した。24時間携帯型ECGモニター(Tracker2、Reynolds Medical社、ハートフォード、英国)を装着しキャリブレーションした。血液試料を、20分以上仰臥状態で休息した後採取した。24時間ECG結果は、Reynolds pathfinder 600シリーズワークステーションで処理した。好中球は、本発明者らの通常の血液臨床検査室において標準のフローサイトメトリーにより計数した。貯蔵した血漿を、標準の市販の酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)キット(Immuno-biological Laboratories社、ハンブルグ、独国)による高感度C反応性蛋白質分析に使用した。クラミジア肺炎病原体(Chlamydia pneumoniae)抗体(IgG、IgA、IgM)及び免疫複合体を、全ての試料について既報のように分析した(Tavendaleらの論文、Eur. Heart J.、23: 301-7 (2002))。毎月の試料を全て、好中球、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、及びアルドステロンについて分析した。C反応性蛋白質及びクラミジアは、1個のベースライン試料及び各患者について死亡又は試験終了時の前の最後の3試料についてのみ測定した。
【0057】
全てのテープ(tape)に、標準Holter分析を施し、手作業でアーチファクトを確認した。引き続き、時間区域(time domain)の心拍数の変動性を、正常な形及び事前のサイクル時間の80〜120%の間のサイクル長を有するRR間隔から自動的に解析した。全てのテープを分析し、それらのデータファイルを検証し、個々の患者の臨床状態については盲検とされた試験担当医(AMAS)により編集した。平均して、各患者のデータの97%は、編集後更なる解析のために利用可能であった。SUDは、新たな症状が始まる前にPHFの証拠を伴わない新規症状の1時間以内の死亡とする従来の専門委員会の見解を基に、死亡は、PHF又はSUDとして分類した(Narangらの論文、Eur. Heart J.、17: 1390-403 (1996))。
心拍数の変動性は、標準の指針に従い解析した(Anon、Circulation、93: 1043-65 (1996))。
【0058】
これらの解析は、SPSS(version 10、SPSS社、シカゴ、IL、米国)により行った。データのほとんどは正規分布した。正規分布しない又は正規分布のボーダーラインのデータは、そのまま及び対数変換後に解析した。異なる時点の平均値は、反復測定の分散分析及び線形対比並びに適している場合は一元分散分析、それに続くポストホックBonferroni相関により比較した。p値<0.05は有意であると見なした。好中球、アルドステロン、C反応性蛋白質、BNP、全NN間隔の標準偏差(SDNN)、及びトライアンギュラーインデックスの変動係数は、各々、0.8%、6%、13%、15%、0.3%、及び1.2%であった。
【0059】
その時点(1990年代半ば)で、標準の実践として、β遮断薬で治療された患者はいなかった(表1)。平均(SD)の経過観察期間は、20(5)ヶ月であった。経過観察期間に、患者9名が死亡し、4名がPHFであり(7、12、21、及び24ヶ月)、並びに5名がSUDであった(6、11、15、20、及び21ヶ月)。全てのPHF死亡は病院で発生し、及び全SUDは地域で発生したことは無意味であり、このことはこれらの死亡は正確に分類されたことの検証を補助する(Narangらの論文、Eur. Heart J.、17: 1390-403 (1996))。
【0060】
【表1】

【0061】
*常に全体的左心室拡張及び虚血性心疾患の症状又は徴候の欠如を基にした。
ACE、アンギオテンシン転換酵素;LVEF、左心室駆出率;NYHA、ニューヨーク心臓協会;SDANN、全ての5分毎のNN間隔の平均;SDNNi、全ての5分毎のNN間隔の平均(SD)。
【0062】
C反応性蛋白質及び非-持続性心室頻脈(NSVT)事象がPHF群よりも高いこと(表2)を除き、ベースライン時に有意差は存在しなかった。他方で、いくつかのパラメータの個人内変化は、これら3群間で高度に有意差があった。図1は、死亡(SUD群及び進行性心不全(PHF)群)又は試験終了(生存群)のいずれかの前の、ベースラインから最後の3回の測定値までの変化(平均(SEM))、(トライアンギュラーインデックス(TI)、全NN間隔の標準偏差(SDNN)、及び心室性期外収縮数)を示している。//は、複数の測定を示している。*p<0.05;**p<0.01。死亡した患者(SUD及びPHF)は、平均24時間の心拍数の変動性(トライアンギュラーインデックス及びSDNN)のベースラインと最後の3回の値の間の連続変化において、対照生存群と比較して有意な個人内増悪を有した(図1参照)。
【0063】
図2は、死亡(SUD群及びPHF群)又は試験終了時(生存群)のいずれかの前の、血漿脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、C反応性ペプチド(CRP)、及び好中球のベースラインから最後の3回の測定までの変化(平均(SEM))を示している。//は、複数の測定を示している。*p<0.05;**p<0.01。同様のパターンが、白血球総数、好中球総数、及びC反応性蛋白質において認められ、全てPHF群及びSUD群の両方において死亡前に漸増した(図2参照)。図3、4、5、及び6は、突然死亡した症例の個別のデータを示している。特に図3は、SUD患者5名のベースラインからSUDまでの、個人の好中球変化を示している。各記号は、各患者のSUD前の連続した毎月の値を示している。図4は、SUD患者5名のベースラインからSUDまでの、個人のC反応性蛋白質(CRP)の変化を表している。各記号は、各患者のSUD前の連続した毎月の値を示している。図5は、SUD患者5名のベースラインからSUDまでの、個人の全NN間隔の標準偏差(SDNN)の変化を表している。各記号は、各患者のSUD前の連続した月の値を示している。図6は、SUD患者5名のベースラインからSUDまでの、個人のトライアンギュラーインデックス(TI)の変化を表している。各記号は、各患者のSUD前の連続した毎月の値を示している。
【0064】
ほとんどの症例において、SUD前に明らかな変化が認められ、これは表2の下側部分のデータにより判断されるように、生存群においては認められなかった。BNPは、他とは異なり、CHFにおける突然死の予測は認められなかった。しかしBNPは、進行性心不全における死亡が予測されることが認められた。
【0065】
【表2】

【0066】
病院で死亡したPHF患者は、SUD群及び対照群の両方とは対照的に、24時間平均心室性期外収縮、NSVT事象、及び24時間平均最大心拍数の有意な増加も有した。加えて、通常臨床状態の増悪が検出されるいくつかのパラメータは、同じパターンに従った。これらは、24時間平均最大心拍数、BNP、及びアルドステロンであった。これらのパラメータは全て、PHFで死亡した患者においては漸増したが、SUD群においては変化せず、予想されたように挙動した。クラミジア肺炎病原体の力価又は免疫複合体に関して、有意な変化は認められなかった。
ここで対処する問題点は、「Circulation」の記事に記したように「本発明者らは現時点で、主要な治療的介入を正当化するのに十分な精度を伴う、突然の心停止のリスクのある患者の大半を同定する道具を持たない」ことである(Zipes、Circulation、104: 2506-8 (2001))。
【0067】
特にSUDは、心拍数の変動性の漸進性の個人内減少及び炎症マーカー(好中球及びC反応性蛋白質)の個人内増加が先行するが、BNP、アルドステロン、心拍数、及び期外収縮のような従来の疾患進行性の測定値には何ら変化がない。実際、C反応性蛋白質、好中球、及び心拍数の変動性の変化の診断精度は、極めて良好であり、感度60〜100%及び特異性84〜92%であり、このことはこのような変化は、生存群においては認められることは極めて稀であることを意味する。他方で、SUDではなく、PHF死亡には、心拍数の変動性及び炎症のみで個人内増悪が先行するのではなく、同じく下記の疾患重症度の従来の測定値においても増悪する:BNP、アルドステロン、期外収縮、及びNSVT。クラミジア肺炎病原体の炎症における個人内増加に特異的に関連していることの証拠はない。
【0068】
死亡した患者のPHF群及びSUD群への正確な分類は、明らかに重要である。全てのPHF死亡は、入院中に生じたが、全てのSUDは自宅において生じたということは、本発明者らの分類が正確であることの指摘の一部である。これは、SUD群ではなく、PHF死亡群における疾患重症度の従来の測定値の実質的増加によっても裏付けることができる。本発明者らの心拍数の変動性のデータは、最近の大きいUK-HEART(英国心不全評価及びリスクトライアルの判定)を裏付けており、ここでは低SDNNは、PHFに起因した死亡を予測した(Nolanらの論文、Circulation、98: 1510-6 (1998))。しかし本発明者らの研究とは対照的に、UK-HEARTにおいては、SUD群において心拍数の変動性には特に異常は認められなかったが;しかし、UK-HEARTは、心拍数の変動性測定とその後のSUDの間の時間的空白がそのような関係を検出するには余りにも長いような横断的試験であった。これは、心拍数の変動性とSUDの間の連関が、UK-HEARTにおけるよりも、頻繁な心拍数の変動性のモニタリングを伴う本縦断的試験において、より検出可能である理由を説明している。
【0069】
重要な問題点は、「炎症」の個人内増加及び心拍数の変動性の個人内増悪が関連しているかどうかである。新たな情報は、その可能性があることを示唆している。炎症は、内皮の機能障害を生じ(Bhagatらの論文、Cardiovasc Res.、53: 481-2 (1996);Bhagatらの論文、Circulation、96: 3042-7 (1997))、これは次に冠動脈事象を予測した(Al Suwaidiらの論文、Circulation、101: 948-54 (2000);Schachingerらの論文、Circulation、101: 1899-906 (2000))。内皮の機能障害は、心拍数の変動性により示される自律神経機能を増悪することがわかっている血管の一酸化窒素の低下にも関連している(Chowdharyらの論文、Clin Sci.、97: 5-17 (1999);Spiekerらの論文、J. Am. Coll Cardiol.、36: 213-8 (2000))。この仮説における最後の関連付けは、自律神経(迷走神経)機能障害は恐らく多くの不整脈惹起性の刺激のひとつである(Zuanettiらの論文、Circ Res.、61: 429-35 (1987))ことである。最新データは一般に、CHFにおけるSUDは、炎症が誘導した内皮機能障害に先行することが多い剖検時に同定可能な急性冠動脈事象に関連することが多いが、常ではないことと一致する(Uretskyらの論文、Circulation、102: 611-6 (2000))。
【0070】
差し迫ったSUDは、心拍数の変動性、好中球、又はC反応性蛋白質の逐次測定により同定可能であるので、これらの結果は、CHF患者のリスクの階層化を暗示している。差し迫ったPHF死亡は通常、ベッドサイドで容易に認識されるのに対し、差し迫ったSUDは、ベッドサイドで予測することは困難である。このことは、炎症又は自律神経機能障害の個人内増加はSUD又はPHF死亡を予告するかどうかを確認することは、臨床上比較的容易であることを意味している。心拍数又は神経ホルモンの測定は、疑いが依然存在する場合に、この識別を補助する。これは、冠動脈再建、コートしたステントの挿入もしくは埋込み型除細動器などの侵襲的手法の、又は切迫したSUDの高リスク患者への移植さえもののより良い標的化につながる。これらの測定は、SUDを防止するための標的化された抗炎症治療に関する患者の選択も補助する。これは更に、シクロスポリン又はステロイドなどの極めて「毒性」のある抗炎症薬の短期投与にも関連し、これは患者が切迫したSUDのリスクがあると同定される場合は警告するが、SUDリスクが現実的でない場合は警告しない。実際IMPRESS(冠動脈ステント埋込み後の再狭窄の防止のための免疫抑制療法)試験は、短期間高用量のプレドニソロンは、異なる集団ではなく類似集団において、心臓血管系事象を劇的に低下することができることを示した(Versaciらの論文、J. Am. Coll Cardiol.、40: 1935-42 (2002))。心室性期外収縮データは、増悪する心室性期外収縮及び増大したNSVTは、PHF死亡前のみに生じるが、SUD前には生じない点が興味深い。このことは、心室性期外収縮は、将来の突然死の特異的な原因であるよりもむしろ、疾患進行の結果であることを示唆した先の総説の記事を裏付けている(Packerの論文、Circulation、85: 50-6 (1992))。NSVT事象の数及びSUD群の患者の数は両方とも小さく、このことは、NSVTの結果を信頼できないものにしている。
【0071】
本試験は、CHFにおいてbブロッカー及び埋込み可能な電気的除細動器の使用前に行われたことに言及することは価値があるが、両方とも全体を予防するよりもむしろ死期を遅らせる。これらの同じ個人内変化は、遅延された死亡の前に、依然生じる。まとめると、このデータは、SUDは、好中球、C反応性蛋白質、又は心拍数の変動性の広範な個人間の値の絶対値を用いるよりもむしろ、個人内変化から予測可能であることの可能性を示している。これは、比較的小規模の予備試験であったが、関連した作業は、大規模であった-540個の24時間ECGテープ及びほとんどの検体の540回のアッセイ。しかし、本発明者らの結果の信憑性は、炎症のふたつの独立した測定値(C反応性蛋白質及び好中球)における変化は同じであるという知見により増大している。しかしながら、この興味のある知見を確認するためには、より大規模な試験が必要であろう。毎月の好中球総数は、差し迫ったSUDのリスクが高いCHF患者への新規治療を標的化する安価で有効な方法であることが最終的には証明される(Millerらの論文、J. Heart Lung Transplant、14: 1143-53 (1995))。更に全てのSUDの半数は、少なくともCHFの既応のある患者において発生すると言われているので(Hinkle らの論文、Circulation、65: 457-64 (1982))、これらのデータは、患者のより広範な群に関連しているかもしれない。
【0072】
本発明は、本発明の数種の態様の例証として意図されている実施例において明らかにされた特定の実施態様により範囲が限定されるものではなく、及び機能的に同等であるあらゆる態様は本発明の範囲内である。実際、本願明細書に示され及び説明されたものに加え、本発明の様々な修飾が、当業者に明らかとなり、これらは添付された「特許請求の範囲」内に収まることが意図されている。
本願明細書に引用された各及び全ての参考文献は、各参考文献が個別に本願明細書に参照として組入れられているのと同じ程度に全ての目的のためにその全体が組込まれている。更に、本発明はそれらの好ましい態様を参照し詳細に説明されているが、当業者には、本発明の範囲から逸脱しない限りは、様々な変更を行い、同等物を使用することができることは明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】図1は、死亡(SUD群及び進行性心不全(PHF)群)又は試験最終日のいずれかの前の、トライアンギュラーインデックス(TI)、全NN間隔の標準偏差(SDNN)、及び心室性期外収縮カウントの変化を表す一連のグラフである。
【図2】図2は、死亡(SUD群及びPHF群)又は試験最終日(生存群)のいずれかの前の、血漿中の脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、C反応性ペプチド(CRP)、及び好中球の変化を示す一連のグラフである。
【図3】図3は、SUD患者における好中球変化を示すグラフである。
【図4】図4は、SUD患者におけるC反応性蛋白質(CRP)変化を示すグラフである。
【図5】図5は、SUD患者における個々の全NN間隔の標準偏差(SDNN)の変化を示すグラフである。
【図6】図6は、SUD患者におけるトライアンギュラーインデックス(TI)の変化を示すグラフである。
【図7】図7は、診断装置及び関連した試験用カートリッジを図示している略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳類対象における心不全での突然死のスクリーニング、又は診断、心不全での突然死の判断、心不全での突然死のリスクのある哺乳類対象の同定、又は切迫した心不全での突然死を経験している哺乳類対象へ施された療法の作用のモニタリングのための方法であって:
哺乳類対象由来の試料中の第一マーカーのレベルを測定する工程、ここで第一マーカーは、C反応性蛋白質又は好中球総数である;及び
第一マーカーのレベルを心臓の健康の状態と関連付ける工程を含む、前記方法。
【請求項2】
試料は、血液又は血漿である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
第一マーカーのレベルと心臓の健康状態との関連付けは、心不全での突然死のリスクを評価することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
第一マーカーのレベルと心臓の健康状態との関連付けは、心不全での炎症レベルを判定することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
リスクの評価は、第一マーカーのレベルを、第一マーカーの閾値レベルと比較することを含む、請求項3記載の方法。
【請求項6】
第一マーカーのレベルと心臓の健康状態の関連付けは、対象へ施された療法の効果をモニタリングすることを含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
第一マーカーのレベルと心臓の健康状態との関連付けは、第一マーカーのレベルを、心不全での突然死のリスクが存在しないことの指標である第一マーカーのレベルと比較することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
第一マーカーのレベルと心臓の健康状態との関連付けは、該試料を、第一マーカーに結合する抗体と接触させることを含む、請求項1記載の方法。
【請求項9】
該抗体は、モノクローナル抗体である、請求項8記載の方法。
【請求項10】
更に第二マーカーのレベルを測定し、及び第二マーカーのレベルを心臓の健康状態と関連付ける工程を含み;この第二マーカーが、第一マーカーとは異なる、請求項1記載の方法。
【請求項11】
第二マーカーのレベルと心臓の健康状態との関連付けが、心不全での突然死のリスクを評価することを含む、請求項10記載の方法。
【請求項12】
心不全での突然死のリスクの評価は、第二マーカーのレベルを、第二マーカーの閾値レベルと比較することを含む、請求項11記載の方法。
【請求項13】
第二マーカーのレベルと心臓の健康状態との関連付けが、第二マーカーのレベルを、心不全での突然死のリスクが存在しないことの指標である第二マーカーのレベルと比較することを含む、請求項10記載の方法。
【請求項14】
第一マーカーは、C反応性蛋白質であり、及び第二マーカーは、好中球総数又は白血球総数である、請求項10記載の方法。
【請求項15】
好中球総数が、標準のフローサイトメトリーにより得られる、請求項14記載の方法。
【請求項16】
第二マーカーは、ミエロペルオキシダーゼである、請求項10記載の方法。
【請求項17】
第二マーカーのレベルと心臓の健康状態との関連付けは、該試料を、第二マーカーと結合する抗体と接触させることを含む、請求項10記載の方法。
【請求項18】
該抗体は、モノクローナル抗体である、請求項17記載の方法。
【請求項19】
更に心拍数の変動性を測定する工程を含む、請求項1記載の方法。
【請求項20】
心拍数の変動性は、NN間隔の標準偏差及びトライアンギュラーインデックスにより計算される、請求項19記載の方法。
【請求項21】
NN間隔の標準偏差が、心不全での突然死が存在しないことの指標であるNN間隔の標準偏差と比較される、請求項20記載の方法。
【請求項22】
トライアンギュラーインデックスが、心不全での突然死が存在しないことの指標であるトライアンギュラーインデックス値と比較される、請求項21記載の方法。
【請求項23】
更に、第三マーカーのレベルを測定し、及び第三マーカーのレベルを心臓の健康状態と関連付ける工程を含み、この第三マーカーは、第一マーカー及び第二マーカーとは異なる、請求項1記載の方法。
【請求項24】
第三マーカーのレベルと心臓の健康状態との関連付けは、心不全での突然死のリスクを評価することを含む、請求項23記載の方法。
【請求項25】
心不全での突然死のリスクの評価は、第三マーカーのレベルを、第三マーカーの閾値レベルと比較することを含む、請求項24記載の方法。
【請求項26】
第三マーカーのレベルと心臓の健康状態との関連付けは、第三マーカーのレベルを、心不全での突然死のリスクが存在しないことの指標である第三マーカーのレベルと比較することを含む、請求項23記載の方法。
【請求項27】
第三マーカーのレベルと心臓の健康状態との関連付けは、第三マーカーのレベルを、進行性心不全からの死亡リスクの指標である第三マーカーのレベルと比較することを含む、請求項23記載の方法。
【請求項28】
第三マーカーは、ナトリウム利尿ペプチドである、請求項23記載の方法。
【請求項29】
ナトリウム利尿ペプチドは、脳性ナトリウム利尿ペプチド又はN-末端プロ脳性ナトリウム利尿ペプチドである、請求項28記載の方法。
【請求項30】
第三マーカーのレベルと心臓の健康状態との関連付けは、該試料を、第三マーカーと結合する抗体と接触させることを含む、請求項23記載の方法。
【請求項31】
該抗体は、モノクローナル抗体である、請求項30記載の方法。
【請求項32】
請求項1記載の方法を実行するためのキット。
【請求項33】
哺乳類対象における心不全での突然死のスクリーニング、又は診断、心不全での突然死の判断、心不全での突然死のリスクのある哺乳類対象の同定、又は切迫した心不全での突然死を経験している哺乳類対象へ施された療法の効果のモニタリングのための方法であって:
哺乳類対象由来の試料中の第一マーカーのレベルを測定する工程であって、ここで第一マーカーは、好中球総数である工程;及び
第一マーカーのレベルを心臓の健康の状態と関連付ける工程を含む、前記方法。
【請求項34】
哺乳類対象における心不全での突然死のスクリーニング、診断、もしくは予後判定、心不全での突然死の判断、心不全での突然死のリスクのある哺乳類対象の同定、又は切迫した心不全での突然死を経験している哺乳類対象へ施された療法の効果のモニタリングのためのキットであって:
試料を該哺乳類対象から採取し、及びC反応性蛋白質レベルを心臓の健康状態と関連付けるための使用説明書;
試料中のC反応性蛋白質レベルを測定するための1種以上の試薬を備える、前記キット。
【請求項35】
C反応性蛋白質のレベルと心臓の健康状態との関連付けが、心不全での突然死のリスクを評価することを含む、請求項34記載のキット。
【請求項36】
前記試料が、血液又は血漿である、請求項34記載のキット。
【請求項37】
1種以上の試薬が、第一マーカーと特異的に結合する抗体を含む、請求項34記載のキット。
【請求項38】
該抗体は、モノクローナル抗体である、請求項34記載のキット。
【請求項39】
更に、心臓の健康状態の指標である第二マーカーのレベルを測定するための、1種以上の試薬を含む、請求項34記載のキット。
【請求項40】
第二マーカーは、ミエロペルオキシダーゼである、請求項34記載のキット。
【請求項41】
第二マーカーを測定するための1種以上の試薬は、第二マーカーに特異的に結合する抗体を含む、請求項39記載のキット。
【請求項42】
前記抗体は、モノクローナル抗体である、請求項41記載のキット。
【請求項43】
第二マーカーは、好中球総数又は白血球総数である、請求項39記載のキット。
【請求項44】
更に、心拍数を測定及びモニタリングするために構成された検出器を備える装置を含む、請求項34記載のキット。
【請求項45】
該装置が、患者へ出力を提供するように構成されている、請求項44記載のキット。
【請求項46】
更に心不全での突然死が存在しない指標である第三マーカーのレベルを測定するための1種以上の試薬を含む、請求項34記載のキット。
【請求項47】
第三マーカーのレベルは、進行性心不全による死亡リスクの指標である、請求項46記載のキット。
【請求項48】
第三マーカーは、ナトリウム利尿ペプチドである、請求項46記載のキット。
【請求項49】
ナトリウム利尿ペプチドは、脳性ナトリウム利尿ペプチド又はN-末端プロ脳性ナトリウム利尿ペプチドである、請求項46記載のキット。
【請求項50】
第三マーカーを測定するための1種以上の試薬は、第三マーカーに特異的に結合する抗体を含む、請求項46記載のキット。
【請求項51】
抗体は、モノクローナル抗体である、請求項50記載のキット。
【請求項52】
哺乳類対象由来の試料中の第一マーカーのレベルを測定する工程であり、ここで該第一マーカーは、C反応性蛋白質又は好中球総数である工程、及び第一マーカーのレベルを心臓の健康状態と関連付ける工程を含む、哺乳類対象の健康をモニタリングする方法。
【請求項53】
第一マーカーのレベルと心臓の健康状態との関連付けが、心不全での突然死のリスクを評価することを含む、請求項52記載の方法。
【請求項54】
該試料は、血液又は血漿である、請求項52記載の方法。
【請求項55】
リスクを評価することが、第一マーカーのレベルを、第一マーカーの閾値レベルと比較することを含む、請求項53記載の方法。
【請求項56】
第一マーカーのレベルと心臓の健康状態との関連付けが、第一マーカーのレベルを、心不全での突然死が存在しないことの指標である第一マーカーのレベルと比較することを含む、請求項52記載の方法。
【請求項57】
第一マーカーのレベルと心臓の健康状態との関連付けは、対象に施された療法の効果をモニタリングすることを含む、請求項52記載の方法。
【請求項58】
第一マーカーのレベルと心臓の健康状態との関連付けは、該試料を、第一マーカーに結合する抗体と接触させることを含む、請求項52記載の方法。
【請求項59】
該抗体は、モノクローナル抗体である、請求項58記載の方法。
【請求項60】
更に、第二マーカーのレベルを測定し、及び第二マーカーのレベルを心臓の健康状態と関連付ける工程を含み;この第二マーカーは、第一マーカーとは異なる、請求項52記載の方法。
【請求項61】
第一マーカーは、C反応性蛋白質であり、及び第二マーカーは、好中球総数又は白血球総数である、請求項60記載の方法。
【請求項62】
第二マーカーは、ミエロペルオキシダーゼである、請求項60記載の方法。
【請求項63】
第二マーカーのレベルと心臓の健康状態との関連付けは、心不全での突然死のリスクを評価することを含む、請求項60記載の方法。
【請求項64】
心不全での突然死のリスクの評価は、第二マーカーのレベルを、第二マーカーの閾値レベルと比較することを含む、請求項63記載の方法。
【請求項65】
第二マーカーのレベルと心臓の健康状態との関連付けは、該試料を、第二マーカーと結合する抗体と接触させることを含む、請求項60記載の方法。
【請求項66】
該抗体は、モノクローナル抗体である、請求項65記載の方法。
【請求項67】
更に、心拍数の変動性を測定する工程を含む、請求項52記載の方法。
【請求項68】
心拍数の変動性は、NN間隔の標準偏差及びトライアンギュラーインデックスにより計算される、請求項67記載の方法。
【請求項69】
NN間隔の該標準偏差が、心不全での突然死が存在しない指標であるNN間隔の標準偏差値と比較される、請求項68記載の方法。
【請求項70】
トライアンギュラーインデックスが、心不全での突然死が存在しない指標であるトライアンギュラーインデックス値と比較される、請求項68記載の方法。
【請求項71】
心臓の健康状態をモニタリングするシステムであって:
試料投入口及び第一のアッセイを含むカートリッジであって、ここで第一のアッセイは第一マーカーを認識するものであり;及び
このアッセイにより認識された第一マーカーのレベルを測定するために構成された検出器を含むカートリッジ読取機を備える、前記システム。
【請求項72】
装置は、患者に出力を提供するように構成される、請求項71記載のシステム。
【請求項73】
第一のアッセイは、第一マーカーを認識する抗体を含む、請求項71記載のシステム。
【請求項74】
該抗体は、C反応性蛋白質を認識する、請求項71記載のシステム。
【請求項75】
更に、試料投入口及び第二のアッセイを含む第二の試験カートリッジを備え、ここで第二のアッセイは、第二マーカーを認識し;第二マーカーは第一マーカーとは異なる、請求項71記載のシステム。
【請求項76】
第二のアッセイは、第二マーカーを認識する抗体を含む、請求項75記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−292623(P2006−292623A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−115955(P2005−115955)
【出願日】平成17年4月13日(2005.4.13)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(500277939)ユニバーシティー オブ ダンディー (2)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITY OF DUNDEE
【Fターム(参考)】