説明

心臓刺激装置

【課題】除細動効果を向上させるとともに、心臓の治療を早期に開始することができる心臓刺激装置を提供する。
【解決手段】第1波形パルスを発生させるための電力を蓄えるコンデンサ21と、第1波形パルスよりも高電圧の第2波形パルスを発生させるための電力を蓄えるコンデンサ22と、コンデンサ21,22と出力端子41,42との間の回路に設けられたSW31〜36と、SW31〜36を制御する制御部30とを備え、制御部30が、第2波形パルスの出力に先立って、第1波形パルスを時間間隔をあけて複数回出力させるとともに、コンデンサ21の放電期間とコンデンサ22の充電期間とが重複するようにSW31〜36を制御する心臓刺激装置1を採用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、心臓刺激装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、心臓の細動除去または電気的除細動のための心臓刺激装置(システム)が知られている(例えば、特許文献1参照)。この心臓刺激装置は、複数の主電極と、電源と、制御回路とを備えており、除細動のための複数種類のパルス(補助パルスおよび主パルス)を発生させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2001−514567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、補助パルスを出力した後に主パルスを出力することで、除細動効果が高められることが記載されている。しかしながら、特許文献1に開示されている心臓刺激装置では、補助パルスとして、主パルスと略同等の大きさのパルスを出力するため、補助パルスのための充電時間がかかり、十分に充電してからでなければ補助パルスを出力することができない。すなわち、特許文献1に開示されている心臓刺激装置は、心臓の治療を早期に開始することができないという不都合がある。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、除細動効果を向上させるとともに、心臓の治療を早期に開始することができる心臓刺激装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明は、心臓を刺激するパルスを発生するパルス発生手段と、前記パルス発生手段により第1のパルスを発生させるための電力を蓄える第1のコンデンサと、前記パルス発生手段により前記第1のパルスよりも高電圧の第2のパルスを発生させるための電力を蓄える第2のコンデンサと、前記第1のコンデンサおよび前記第2のコンデンサのそれぞれに電圧を印加する少なくとも1つの電圧印加手段と、前記パルス発生手段を制御する制御手段とを備え、前記制御手段が、前記第2のパルスの出力に先立って、前記第1のパルスを時間間隔をあけて複数回出力させるとともに、前記第1のコンデンサの放電期間と前記第2のコンデンサの充電期間とが重複するように前記パルス発生手段を制御する心臓刺激装置を採用する。
【0007】
本発明によれば、パルス発生手段により発生されたパルスにより心臓を刺激して、心臓の細動を除去することができる。この場合において、制御手段により、第2のパルスの出力に先立って、第2のパルスよりも低電圧の第1のパルスを時間間隔をあけて複数回出力させるとともに、第1のコンデンサの放電期間(第1のパルスを出力する期間)と第2のコンデンサの充電期間(第2のパルスを発生させるための電力を充電する期間)とが重複するようにパルス発生手段が制御される。
【0008】
このように第1のパルスを複数回出力することで、第1のパルスの電圧を下げても除細動効果を得ることができ、第1のパルスを出力するための第1のコンデンサの充電期間を短くすることができる。これにより、第2のパルスを出力するための第2のコンデンサの充電期間中に、第1のパルスを出力することができ、心臓の治療を早期に開始することができる。また、第2のパルスの出力に先立って第1のパルスを出力することで、除細動に必要な電圧(第2のパルスの電圧)を低下させることができ、効果的に心臓の細動を除去することができる。
【0009】
上記発明において、前記制御手段が、前記第1のパルスを心臓の不応期よりも短い時間間隔で出力するように前記パルス発生手段を制御することとしてもよい。
心臓の不応期とは、心室の興奮直後であって、いかなる刺激にも心臓が反応しない期間をいう。したがって、第1のパルスを心臓の不応期よりも短い時間間隔で出力することで、心臓に対して常時電圧を印加しているのと同様の効果を得ることができるとともに、第1のパルスの出力に伴う消費電力を低減させることができる。
【0010】
上記発明において、前記第1のコンデンサと前記第2のコンデンサに電圧を印加する前記電圧印加手段が共通化されていることとしてもよい。
このようにすることで、共通化された1つの電圧印加手段により、第1のコンデンサおよび第2のコンデンサに電圧を印加して、第1のパルスおよび第2のパルスを発生させることができ、装置の小型化を図ることができる。
【0011】
上記発明において、前記第1のコンデンサを複数有し、前記制御手段が、複数の前記第1のコンデンサの放電期間を異ならせるように前記パルス発生手段を制御することとしてもよい。
このようにすることで、複数のコンデンサのそれぞれについて、充電する時間を長く設定できるため、確実に必要なパルス電圧を発生させることができる。
【0012】
上記発明において、前記制御手段が、複数出力される前記第1のパルス間の停止期間の少なくとも一部の期間に充電するよう前記電圧印加手段を制御してもよい。
このようにすることで、パルスの停止期間中に効率的な充電を行うことができる。
【0013】
上記発明において、前記第1のパルスを出力する第1の出力端子と、前記第2のパルスを出力する第2の出力端子とを備えることとしてもよい。
このようにすることで、第2の出力端子から高電圧の第2のパルスを出力するとともに、第1の出力端子から低電圧の第1のパルスを出力することができる。このように第1のパルスと第2のパルスの出力端子を分けることで、各出力端子に接続される電極を生体内の異なる位置に配置して、各パルスにより異なる位置を刺激することができる。これにより、生体内の適正な位置に対して、第1のパルスおよび第2のパルスによる刺激をそれぞれ行うことができ、効果的に除細動を行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、除細動効果を向上させるとともに、心臓の治療を早期に開始することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る心臓刺激装置の全体構成図である。
【図2】図1の心臓刺激装置の各コンデンサへの充電タイミングとパルス出力タイミングとの関係を示すタイミングチャートである。
【図3】図1の心臓刺激装置のスイッチの動作を示すタイミングチャートである。
【図4】図1の心臓刺激装置の制御部により実行される処理を示すフローチャートである。
【図5】図1の心臓刺激装置において第1波形パルスの出力タイミングを説明する図である。
【図6】第1の変形例に係る心臓刺激装置の全体構成図である。
【図7】第2の変形例に係る心臓刺激装置の全体構成図である。
【図8】第3の変形例に係る心臓刺激装置の全体構成図である。
【図9】図8の心臓刺激装置の各コンデンサへの充電タイミングとパルス出力タイミングとの関係を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一実施形態に係る心臓刺激装置1について、図面を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る心臓刺激装置1は、図1に示されるように、電圧を印加する電源10と、電源10により印加される電圧を変換するトランス11,12と、トランス11からの電圧が印加されることで充電されるコンデンサ(第1のコンデンサ)21と、トランス12からの電圧が印加されることで充電されるコンデンサ(第2のコンデンサ)22と、外部(電極)に接続される出力端子41,42と、コンデンサ21,22と出力端子41,42との間の回路に設けられたスイッチ(パルス生成手段)31〜36と、これらを制御する制御部(制御手段)30とを備えている。
【0017】
出力端子41,42にはリード線(図示略)が接続され、該リード線の他端は心臓に配置された電極(図示略)に接続される。これにより、心臓刺激装置1から発生されるパルスが、心臓に配置された電極に伝達され、該パルスにより心臓を刺激して、心臓の細動を除去するようになっている。
【0018】
コンデンサ21は、トランス11に接続され、トランス11により印加された電圧によって、低電圧の第1波形パルス(第1のパルス)を発生させるための電力を充電するようになっている。また、コンデンサ21は、後述するようにスイッチ(以降では「SW」という。)31〜36のON/OFF動作を行うことで、コンデンサ21に充電された電力を放電させ、出力端子41,42から低電圧の第1波形パルスを出力するようになっている。
【0019】
コンデンサ22は、トランス12に接続され、トランス12により印加された電圧によって、高電圧の第2波形パルス(第2のパルス)を発生させるための電力を充電するようになっている。また、コンデンサ22は、後述するようにSW31〜36のON/OFF動作を行うことで、コンデンサ22に充電された電力を放電させ、出力端子41,42から高電圧の第2波形パルスを出力するようになっている。
ここで、コンデンサ21の容量は、コンデンサ22の容量よりも大きく設定し、複数回のパルス出力による電圧降下を小さくすることとしてもよい。
【0020】
SW31〜36は、コンデンサ21,22と出力端子41,42との間の回路に設けられたスイッチであり、ON/OFF動作を行うことで、各回路のON/OFFを切り替えて、出力端子41,42から心臓を刺激するパルスを出力するようになっている。
【0021】
SW31,32は、コンデンサ22に接続されるとともに、それぞれSW35,36に接続されている。
SW33,34は、コンデンサ21に接続されるとともに、それぞれSW35,36に接続されている。
SW35,36は、それぞれ接地されている。
【0022】
SW31とSW35との間およびSW33とSW35との間には配線43が接続され、配線43の他端は出力端子41に接続されている。
SW32とSW36との間およびSW34とSW36との間には配線44が接続され、配線44の他端は出力端子42に接続されている。
【0023】
制御部30は、SW31〜36のON/OFF動作を制御するとともに、トランス11,12によるコンデンサ21,22への充電を制御するようになっている。具体的には、図2に示すように、制御部30は、コンデンサ22からの第2波形パルスの出力に先立って、コンデンサ21からの第1波形パルスを、時間間隔をあけて複数回出力させるようになっている。また、制御部30は、コンデンサ21の充電期間とコンデンサ22の放電期間とが重複するように、SW31〜36およびトランス11,12を制御するようになっている。
【0024】
すなわち、制御部30は、図2に示すように、コンデンサ22の充電期間中に、コンデンサ21からの第1波形パルスを出力端子41,42に出力し、除細動治療を開始するようになっている。ここで、コンデンサ21に印加する電圧(充電電圧)は、例えば10〜90Vであり、コンデンサ22に印加する電圧(充電電圧)は、例えば70〜500Vである。これら充電電圧が、パルス出力の振幅となる。コンデンサ21への充電は、第1波形パルスの出力を停止している期間に行われ、放電した電荷分を充電するようになっている。図2では、第1波形パルスの出力を停止している期間の全ての期間で充電を行っているが、目的の印加電圧をコンデンサ21へ充電できれば良く、最初の充電期間及び、パルス間の停止期間における一部の期間のみの充電でも良い。
【0025】
ここで、除細動パルスを生成する場合のSW31〜36の具体的な制御について、図3を用いて説明する。
図3は、SW31〜SW36の具体的なON/OFF動作を示すタイミングチャートである。
図3に示すように、コンデンサ21からの第1波形パルスは、SW33〜36を制御して生成する。具体的には、SW33およびSW36をONにして正極パルスを生成し、SW34およびSW35をONにして負極パルスを生成する。
また、コンデンサ22からの第2波形パルスは、SW31〜32およびSW35〜36を制御して生成する。具体的には、SW31およびSW36をONにして正極パルスを生成し、SW32およびSW35をONにして負極パルスを生成する。
【0026】
上記制御を行う本実施形態に係る心臓刺激装置1の作用について、図4に示すフローチャートを用いて説明する。
まず、細動を検出して、除細動パルス生成処理に移行すると、コンデンサ21およびコンデンサ22の充電を開始する(ステップS1)。
次に、コンデンサ21が設定の電圧に達しているかを確認する(ステップS2)。
【0027】
ステップS2において、予め設定された電圧に達している場合には、コンデンサ22の電圧を確認する(ステップS4)。
一方、ステップS2において、コンデンサ21が所定時間内に設定電圧に達しない場合には(ステップS3)、何らかの異常が発生していると判断してエラー警告を行い(ステップS12)、除細動パルス生成処理を終了する。
【0028】
ステップS4において、コンデンサ22が予め設定された電圧に達している場合には、第1波形パルスを出力する(ステップS6)。
一方、ステップS4において、コンデンサ22が所定時間内に設定電圧に達しない場合には(ステップS5)、何らかの異常が発生していると判断してエラー警告を行い(ステップS12)、除細動パルス生成処理を終了する。
【0029】
次に、第1波形パルスを出力後、第2波形パルスの出力タイミングになることを確認する(ステップS7)。
ステップS7において、第2波形パルスの出力タイミングになった場合には、コンデンサ22の充電を終了し(ステップS8)、第1波形パルスの出力を停止して(ステップS9)、第2波形パルスの出力を開始する(ステップS10)。
そして、第2波形パルスの出力を停止し(ステップS11)、除細動パルス生成処理を終了する。
【0030】
以上のように、本実施形態に係る心臓刺激装置1によれば、制御部30により、第2波形パルスの出力に先立って、第2波形パルスよりも低電圧の第1波形パルスを時間間隔をあけて複数回出力させるとともに、コンデンサ21の放電期間(第1波形パルスを出力する期間)とコンデンサ22の充電期間(第2波形パルスを発生させるための電力を充電する期間)とが重複するようにSW31〜36が制御される。
【0031】
このように第1波形パルスを複数回出力することで、第1波形パルスの電圧を下げても除細動効果を得ることができ、第1波形パルスを出力するためのコンデンサ21の充電期間を短くすることができる。これにより、第2波形パルスを出力するためのコンデンサ22の充電期間中に、第1波形パルスを出力することができ、心臓の治療を早期に開始することができる。また、第2波形パルスの出力に先立って第1波形パルスを出力することで、除細動に必要な電圧(第2波形パルスの電圧)を低下させることができ、効果的に除細動を行うことができる。
【0032】
なお、本実施形態に係る心臓刺激装置1において、図5に示すように、低電圧の第1波形パルスを心臓の不応期よりも短い間隔を空けて、連続して出力することとしてもよい。ここで、心臓の不応期とは、心室の興奮直後であって、いかなる刺激にも心臓が反応しない期間をいう。したがって、第1のパルスを心臓の不応期よりも短い間隔を空けて連続して出力することで、心臓に対して常時電圧を印加しているのと同様の効果を得ることができる。
【0033】
具体的には、図5に示すように、例えば、第1波形パルスを10V〜90V程度で1msの期間出力し(Hレベル)、心臓の不応期より短い期間に設定された期間、パルスの出力を停止する(Lレベル)。これにより、心臓に対して常時電圧を印加しているのと同様の効果を得ることができるとともに、第1のパルスの出力に伴う消費電力を停止期間中の分だけ、低減させることができる。なお、第1波形パルスの出力期間は、1msに限定されるものではなく、心臓が応答する期間より長く設定すればよい。
【0034】
[第1の変形例]
本実施形態に係る心臓刺激装置1の第1の変形例として、図6に示すように、コンデンサ21,22に電圧を印加するトランスを共通化することとしてもよい。
本変形例に係る心臓刺激装置2は、図6に示すように、低電圧の第1波形パルスを発生させるためのコンデンサ21および高電圧の第2波形パルスを発生させるためのコンデンサ22の1次側にトランス13が接続されている。このトランス13により、コンデンサ21,22のそれぞれに電圧が印加されるようになっている。
【0035】
また、制御部30は、トランス13に対して、コンデンサ21への充電制御とコンデンサ22への充電制御とを行うようになっている。
本変形例に係る心臓刺激装置2によれば、前述の心臓刺激装置1と同様の効果に加えて、コンデンサ21,22のトランスを共通化することができるため、装置の小型化を図ることができる。
【0036】
[第2の変形例]
本実施形態に係る心臓刺激装置1の第2の変形例として、図7に示すように、外部(電極)に接続される出力端子を2対備えることとしてもよい。
本変形例に係る心臓刺激装置3は、図7に示すように、前述の心臓刺激装置1と同様の構成(図1参照)に加えて、外部(電極)に接続される出力端子45,46と、コンデンサ21,22と出力端子45,46との間の回路に設けられたSW37,38とを備えている。
【0037】
本変形例に係る心臓刺激装置3において、出力端子45,46には、出力端子41,42と同様にリード線(図示略)が接続され、該リード線の他端は心臓に配置された電極(図示略)に接続される。これにより、心臓刺激装置3から発生されるパルスが、心臓に配置された電極に伝達され、該パルスにより心臓を刺激して、心臓の細動を除去するようになっている。
【0038】
SW31〜38は、コンデンサ21,22と出力端子41,42および出力端子45,46との間の回路に設けられたスイッチであり、ON/OFF動作を行うことで、各回路のON/OFFを切り替えて、出力端子41,42および出力端子45,46から心臓を刺激するパルスを出力するようになっている。
【0039】
SW31,32は、コンデンサ22に接続されるとともに、それぞれSW35,36に接続されている。
SW33,34は、コンデンサ21に接続されるとともに、それぞれSW37,38に接続されている。
SW35,36,37,38は、それぞれ接地されている。
【0040】
SW31とSW35との間には配線43が接続され、配線43の他端は出力端子41に接続されている。
SW32とSW36との間には配線44が接続され、配線44の他端は出力端子42に接続されている。
【0041】
SW33とSW37との間には配線47が接続され、配線47の他端は出力端子45に接続されている。
SW34とSW38との間には配線48が接続され、配線48の他端は出力端子46に接続されている。
制御部30は、上記のように接続されたSW31〜38のON/OFF動作を制御するとともに、トランス11,12によるコンデンサ21,22への充電を制御するようになっている。
【0042】
本変形例に係る心臓刺激装置3によれば、出力端子41,42から高電圧の第2波形パルスを出力するとともに、出力端子45,46から低電圧の第1波形パルスを出力することができる。このように第1波形パルスと第2波形パルスの出力端子を分けることで、各出力端子に接続される電極を異なる位置に配置して、各パルスにより異なる位置を刺激することができる。
【0043】
具体的には、例えば、出力端子41,42をRV(右心室)除細動電極に接続し、出力端子45,46をCS(冠静脈)除細動電極やSVC(上大動脈)除細動電極に接続する。このように、本変形例に係る心臓刺激装置3によれば、生体内の適正な位置に第1波形パルスおよび第2波形パルスによる刺激を行うことができ、効果的に除細動を行うことができる。
【0044】
[第3の変形例]
本実施形態に係る心臓刺激装置1の第3の変形例として、図8に示すように、第1波形パルスを生成するために複数のコンデンサを用意して、パルスの出力に対して交互に使用するコンデンサを切り換えることとしてもよい。
【0045】
本変形例に係る心臓刺激装置4は、図8に示すように、前述の心臓刺激装置1と同様の構成(図1参照)に加えて、トランス11およびコンデンサ21に並列して接続されたトランス49およびコンデンサ50と、第1波形パルスを生成するために使用するコンデンサとしてコンデンサ21とコンデンサ50とを切り替えるSW51とを備えている。
【0046】
本変形例に係る心臓刺激装置4において、トランス49を介してコンデンサ50に電荷を蓄積する。SW51は、コンデンサ21とコンデンサ50との接続を切り換えてSW33、SW34に電圧を供給する。
具体的には、図9に示すように、第1波形パルスを出力するにあたり、コンデンサ21は1回目、3回目のパルスの電圧をチャージし、コンデンサ50は2回目、4回目のパルスの電圧をチャージする。
【0047】
そして、制御部30は、コンデンサ21とコンデンサ50にチャージされた電荷が、異なる期間で出力されるようにSW51を制御する。これにより、SW51は、第1波形パルスの1回目、3回目はコンデンサ21にチャージされた電荷を第1波形パルスとして出力し、2回目、4回目はコンデンサ50にチャージされた電荷を第1波形パルスとして出力する。
上記構成を有する本変形例に係る心臓刺激装置4によれば、コンデンサ21とコンデンサ50のそれぞれについて、充電する時間を長く設定できるため、確実に必要なパルス電圧を発生させることが可能となる。
【0048】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、本発明を上記の実施形態および変形例を適宜組み合わせた実施形態に適用してもよい。
【符号の説明】
【0049】
1,2,3,4 心臓刺激装置
10 電源
11,12,13,49 トランス(電圧印加手段)
21,50 コンデンサ(第1のコンデンサ)
22 コンデンサ(第2のコンデンサ)
30 制御部(制御手段)
31〜38,51 スイッチ(パルス生成手段)
41,42 出力端子(第2の出力端子)
45,46 出力端子(第1の出力端子)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓を刺激するパルスを発生するパルス発生手段と、
前記パルス発生手段により第1のパルスを発生させるための電力を蓄える第1のコンデンサと、
前記パルス発生手段により前記第1のパルスよりも高電圧の第2のパルスを発生させるための電力を蓄える第2のコンデンサと、
前記第1のコンデンサおよび前記第2のコンデンサのそれぞれに電圧を印加する少なくとも1つの電圧印加手段と、
前記パルス発生手段を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段が、前記第2のパルスの出力に先立って、前記第1のパルスを時間間隔をあけて複数回出力させるとともに、前記第1のコンデンサの放電期間と前記第2のコンデンサの充電期間とが重複するように前記パルス発生手段を制御する心臓刺激装置。
【請求項2】
前記制御手段が、前記第1のパルスを心臓の不応期よりも短い時間間隔で出力するように前記パルス発生手段を制御する請求項1に記載の心臓刺激装置。
【請求項3】
前記第1のコンデンサと前記第2のコンデンサに電圧を印加する前記電圧印加手段が共通化されている請求項1または2に記載の心臓刺激装置。
【請求項4】
前記第1のコンデンサを複数有し、
前記制御手段が、複数の前記第1のコンデンサの放電期間を異ならせるように前記パルス発生手段を制御する請求項1〜3のいずれかに記載の心臓刺激装置。
【請求項5】
前記制御手段が、複数出力される前記第1のパルス間の停止期間の少なくとも一部の期間に充電するよう前記電圧印化手段を制御する請求項1〜4のいずれかに記載の心臓刺激装置。
【請求項6】
前記第1のパルスを出力する第1の出力端子と、
前記第2のパルスを出力する第2の出力端子とを備える請求項1〜5のいずれかに記載の心臓刺激装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−135457(P2012−135457A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−290152(P2010−290152)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】