説明

心臓弁の機能を改善するためのデバイスおよび方法

【課題】心臓弁の機能を改善するためのデバイスおよび方法を提供すること。
【解決手段】弁輪(20)と複数の弁膜(22、24)とを含む弁組織から構成される心臓弁の機能を改善するための医療用デバイス(40)は、心臓弁の第一の側と接するように構成される、第一のループ形状の支持体(42)と、前記第一のループ形状の支持体に接続されている第一のフランジユニット(50)とを備える。このフランジユニットは、前記第一のループ形状の支持体が前記心臓弁と接しているときに、弁輪(20)に抗して配置されるように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、一般に、種々の奇形および機能不全を有する心臓弁の修復の分野に関する。より具体的には、本発明は、心臓弁修復技術および輪状形成術デバイスに関する処置に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
罹患した僧帽弁および三尖弁は、置換または修復を必要とすることが多い。僧帽弁および三尖弁の弁膜または支持腱索が変性もしくは弱化しているか、または、弁輪が拡張して、弁の漏れ、すなわち、不十分な弁機能に繋がっている可能性がある。弁膜および腱索は、石灰化および肥厚化して、これらを狭窄状態にし得、これは、弁を通る前進性の流れの妨害を伴う。最終的には、弁は、心室の内側の腱索の挿入に頼る。心室の形状が変化する場合、弁の支持は機能不全となり、そして、弁が漏れ得る。
【0003】
僧帽弁および三尖弁の置換および修復は、伝統的に、縫合技術を用いて行われている。
【0004】
弁置換の間、縫合糸は、弁輪、すなわち、弁の弁膜が心臓に付着する点の周囲に場所を決められ、次いで、縫合糸が補綴弁に取り付けられる。補綴弁が位置を下げられ、そして、縫合糸が結ばれると、補綴弁は、弁輪に結び付けられる。外科医は、補綴弁を挿入する前に、弁の弁膜の全体もしくは一部を取り出し得る。
【0005】
弁の修復では、罹患した弁はその場に残され、そして、その機能を回復させるための外科的処置が行われる。頻繁に、輪状形成術用リングが弁輪の大きさを小さくするために使用される。輪状形成術用リングは、弁膜の直径を減らすように機能し、そして、弁膜が、互いに正常に対抗することを可能にし、こうして、弁の機能を回復させる。補綴輪状形成術用リングを弁輪に取り付け、そして、弁輪を落ち着かせるのを支援するために縫合糸が使用される。
【0006】
一般に、輪状形成術用リングおよび置換弁は、弁の弁輪に縫合されなければならず、これは、時間がかかり、実に退屈なものである。さらに、輪状形成術用リングがひどく変位する場合には、縫い目が外科医によって取り除かれ、そして、再縫合の間に、リングが弁の弁輪に対して再度位置決めされなければならない。他の場合には、最適とは言えない輪状形成術は外科医により許容され得ず、リングを再縫合するための手術時間を延長する。
【0007】
心臓外科手術の間、心臓は頻繁に停止され、そして、灌流されないので、弁の置換および修復に使用される時間を短縮することが奨励される。したがって、僧帽弁または三尖弁の位置への補綴物の効率的な取り付けを提供する、改善された方法、処置および/またはデバイスを有することが非常に有用である。
【0008】
例えば、本願と同一出願人に譲渡された特許文献1および特許文献2では、輪状形成術デバイスが開示される。この輪状形成術デバイスは、互いに接続されてコイル状の構成を形成する、第一および第二の支持リングを備える。この第一および第二の支持リングは、弁の弁輪の対向する側と接して、これらの間に弁組織を捕捉するように配置される。この輪状形成術デバイスは、弁の弁輪の反対側の位置にデバイスを回転させることによって、弁に容易に適用され得る。弁の弁輪への適切かつ耐久性のある固定を確実にするために、このようなデバイスは、棘、保持部材、噛合う部分、ファスナー、または、固定要素(これらは全て、デバイス内で一体となっている)によって固定され得る。固定はまた、縫合によってもなされ得る。
【0009】
本願と同一出願人に譲渡された特許文献3では、心臓弁の機能を改善するためのデバイスが開示され、このデバイスは、心臓弁の第一の側と接するように構成された第一のループ形状の支持体と、第一の側とは反対側にある心臓弁の第二の側と接するように構成された第二のループ形状の支持体とを備え、それによって、弁組織の一部分が、これらの第一および第二の支持体の間に捕捉される。第二の支持体の外側境界は、第一の支持体の外側境界よりも大きい。
【0010】
特許文献4では、調節可能な弁形成術用リングが開示され、このリングは、僧帽弁の前尖の基部に沿って左房室開口の周縁の周りを延びるような大きさおよび形状のC字型の枠と;この枠と共に閉じた弁輪を形成する、枠に接続された拡張可能なスリーブであって、この開口の周縁の残りの部分の周りを延びるように適合された、スリーブと;スリーブを通って走る引き締め紐であって、この紐によって、スリーブが収縮され、開口を締め付け、開口の型を変え、そして、適所に固定して、このような締め付けを維持し得る、引き締め紐と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許出願公開第2002/0173841号明細書
【特許文献2】米国特許第6,419,696号明細書
【特許文献3】国際出願公開第2006/091163号
【特許文献4】米国特許第4,042,979号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、上述の文献に開示される補綴デバイスは、より簡便で、より迅速に位置決め可能で、そして/または、さらにより信頼性の置ける、弁修復および弁置換のデバイスおよび方法のためにさらに改善され得る。本発明の特定の目的は、弁の弁輪への容易かつ耐久性のある固定を可能にするデバイスを提供することである。
【0013】
さらに、改善されたデバイスおよび方法によって提供されることが望まれる改善には、例えば、従来技術の補綴デバイスを通過するか、またはその表面下での、血液の逆流の防止もしくは最小化を可能にすることが含まれる。
【0014】
したがって、改善された輪状形成術デバイスおよび医療処置が有益であり、そして、特に、可撓性が増し、費用効率が高く、簡便で、かつ、位置決めが速いことを可能にし、さらに、信頼性および/または患者の安全性が増すことも有益である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
発明の要旨
本発明の目的は、弁修復および弁置換のための改善された医療用デバイスおよび方法を提供することである。本発明の別の目的は、弁の弁輪への容易かつ耐久性のある固定を可能にする、輪状形成術用デバイスを提供することであり得る。
【0016】
したがって、本発明の実施形態は、好ましくは、添付の特許請求の範囲にしたがう医療用デバイスおよび方法を提供することによって、上に同定されたもののような、当該分野における1以上の欠点、不利益または問題を、個々に、または、あらゆる組合せで、軽減するか、緩和するか、または、排除することを試みる。
【0017】
本発明の第一の局面によれば、弁輪と複数の弁膜とを含む弁組織から構成される心臓弁の機能を改善するための医療用デバイスが提供され、このデバイスは、心臓弁の第一の側と接するように構成される第一のループ形状の支持体と、前記第一のループ形状の支持体に接続され、かつ、前記第一のループ形状の支持体が前記心臓弁と接しているときに、前記弁輪に抗して配置されるように構成される、第一のフランジユニットと、を備える。
【0018】
このデバイスは、弁の機能を改善するために、弁の弁輪の形を作り直すことを目的とする輪状形成術を行うために使用され得る。フランジユニットは、デバイスが使用時に弁輪の心房側と接するように位置決めされようと、心室側と接するように位置決めされようと、デバイスを弁輪に抗して固定するときに使用されるべき、十分に画定された表面を提供する。
【0019】
このことは、デバイスが、迅速な様式で弁輪に容易に固定され得ることを示す。心臓外科手術の間、心臓が頻繁に停止され、かつ、灌流されないので、弁の置換および修復に使用される時間を短縮することが奨励されるため、このことは重要である。
【0020】
また、フランジユニットは、前記弁輪に抗するシーリング表面を提供し、心室側から心房側への血液の逆流の防止を可能にし得る。
【0021】
さらに、フランジユニットを提供することで、デバイスの外周と弁輪との間に滑らかな移行部が形成され得ることを意味する。
【0022】
さらに、縫合糸またはクリップのような固定手段を取り付けるための十分に画定された表面が提供され得る。滑らかな移行部ならびに十分に画定された取り付け表面は、内皮の滑らかな形成および増殖のための2つの重要なパラメーターである。
【0023】
さらに、フランジユニットは、補綴弁の運搬または固定のために使用され得る。
【0024】
デバイスは、さらに、前記第一の側とは反対側にある心臓弁の第二の側と接するように構成される、第二のループ形状の支持体をさらに備え、それにより、弁組織の一部が、第一の支持体と第二の支持体との間に捕捉される。第一のループ形状の支持体と第二のループ形状の支持体との間での弁組織のこの捕捉は、弁(生来のものまたは補綴物の両方)の所望の形状が固定され得ることを意味する。さらに、この捕捉は、例えば、縫合糸またはクリップによってデバイスを弁輪に永続的に固定しつつ、デバイスが一時的に正確な位置に維持され得ることを意味する。
【0025】
第一のループ形状の支持体は、第二のループ形状の支持体と連続して形成され、実質的にコイル形状の本体を形成し得る。このことは、デバイスおよびそのコイル形状が、心臓弁の弁膜間の交連において適用され得、そして、一方のループ形状の支持体が、この交連を通して挿入されて、弁の片側に沿って延び、そして、もう一方のループ形状の支持体が、弁の反対側に沿って配置されるように、約360°回転され得ることを意味する。こうして、弁組織は、弁の所望の形状を固定するために支持体間に捕捉される。フランジ手段の伸長に依存して、後者は、デバイスの固定のために、弁輪の片側もしくは両側に取り付け表面を提供し得る。
【0026】
第一のフランジユニットは、第一のループ形状の支持体から第二のループ形状の支持体まで延び得、それによって、フランジユニットが、第一の支持体と第二の支持体との間に捕捉された弁組織の反対側で弁輪に抗して配置されるように構成され得る。このことは、フランジユニットが、弁輪もしくは心臓弁の両方の側にフランジ表面(この表面は、デバイスの固定だけでなく、補綴弁の固定も提供し得る)を形成し得ることを意味する。さらに、フランジユニットは、デバイスの位置に依存して、心室側から心房側への血液の逆流の可能性を減少もしくは妨害することを可能にする、シーリング表面を形成し得る。
【0027】
第二のループ形状の支持体は、第二の支持体に接続された第二のフランジユニットを備え得、フランジユニットが、第二のループ形状の支持体が心臓弁と接しているときに、第一のループ形状の支持体の反対側で弁輪に抗して配置されるように構成され得る。これにより、弁のそばでの漏れを防ぐことが可能となる。
【0028】
第一および第二のフランジユニットのうち少なくとも一方は、弁輪に対し、ループ形状の支持体および補綴弁のうち少なくとも一方の接続部を形成するように適合され得る。これは、迅速な固定を意味し、心臓外科手術の間には、必要とされる時間を短縮することが推奨されるので、この迅速な固定は重要である。
【0029】
第一および第二のフランジユニットのうち少なくとも一方は、その対応するループ形状の支持体の周縁に沿って断続的もしくは連続した伸長部を有し得る。一例として、断続的な伸長部の場合、フランジユニットは、互いに直径に沿って対向する2つの局部的な部分によって形成され得、それにより、デバイスが心臓弁内に位置決めされるとき、これらの2つの部分が、交連と接し、交連に対するシーリング表面を形成する。
【0030】
第一および第二のフランジユニットのうち少なくとも一方は、織布素材から作製され得る。織布素材(fabric material)は、織物素材であり得る。織布は、内皮の内殖または係留を促進する粗い表面を提供するという利点を有する。さらに、織布は、縫合糸またはクリップによって容易に貫通される。また、織布は、フランジユニットが弁輪に容易に合わされることを可能にする。
【0031】
織布素材には、薬剤が含浸され得るかまたは、薬剤を吸収し得、デバイスおよび方法の実施形態をさらに改善する。薬剤は、例えば、抗炎症剤、狭窄予防剤または内皮化促進剤(endotheliazation promoting agent)であり得る。
【0032】
さらに、第一および第二のフランジユニットのうち少なくとも一方は、補強要素を備え得る。補強要素は、医療用デバイスを弁輪に固定したときに、クリップまたは縫合糸が付けられるべき領域の目安および定義を提供する。さらに、補強要素は、外周面に沿ってポケットが形成されるリスクを低減することに寄与する。また、この要素は、織布がフランジ内へと抜け出すことを防ぐ。
【0033】
第一および第二のフランジユニットのうち少なくとも一方は、ループ形状の支持体のうちの一方によって形成される直径に沿った平面から突出するかもしくは外に延び、かつ、この平面の下に、30〜60°(例えば、約40〜50°)の角度α(例えば、図5を参照のこと)を成し得る。フランジユニットが、最初に、直径に沿った平面の下に延びることにより、挿入中の可視性が増強される。いくつかの実施形態では、挿入中に、その固有の可撓性に起因して、フランジユニットが、例えば図5におけるように上向きに折り畳まれ得るか、直径に沿った平面に対してその固定位置を超えて、または、フランジユニットの外縁と共に、直径に沿った平面の上に折り返される場合さえある。フランジユニットの少なくとも一方の固定点は、ループ形状の支持体の少なくとも一方から放射状外向きに、直径に沿った平面に関して固定され得る。
【0034】
フランジユニットは、他の角度で、折り返された部分(すなわち、90°を超える)で、突出する場合もある。これは、その使用もしくは移植の間、またはその前の時点であり得る。角度は、例えば、フランジユニットのいくつかの実施形態の本明細書中に記載される形状記憶作用に対し、経時的に変化し得る。
【0035】
フランジユニットは、いくつかの実施形態では、その弾性の配置によって、挿入の間に形状を変化させるように配置され得る。フランジユニットはまた、例えば、形状記憶素材の分野で公知であるような温度により誘発される作用により、医療用デバイスの挿入の間に、予め画定された形状に戻る形状記憶素材から作製され得る。
【0036】
第一および第二のフランジユニットの少なくとも一方は、その対応するループ形状の支持体から内向きもしくは外向きに放射状に延びる。放射状内向きの伸長部は、弁の弁膜に支持を提供するのに対し、放射状外向きの伸長部は、弁輪に対する支持を提供する。心臓弁の第一の側は心房側であり、そして、第二の側は心室側である。
【0037】
本発明の第二の局面によれば、血液の流れを与えたり妨げたりするために、弁輪と複数の弁膜とを含む弁組織から構成される心臓弁を修復するための方法が提供され、この方法は、少なくとも1つのループ形状の支持体と、このループ形状の支持体に接続されている少なくとも1つのフランジユニットとを備えるデバイスを、心臓弁に挿入する工程と、心臓弁の第一の側と接するようにループ形状の支持体を位置決めする工程と、弁輪と接するようにフランジユニットを位置決めする工程と、フランジユニットを弁輪に取り付けることによって、デバイスを固定する工程と、を包含する。
【0038】
フランジユニットを有するデバイスにより提供される利点は、先に上で考察されている。心臓弁を修復するための本発明の方法は、対応するデバイスを使用し、それによって、少なくとも同様の利益が達成される。
【0039】
フランジユニットは、縫合糸またはクリップによって弁輪に取り付けられ得、これは、十分に確立された手段を用いる迅速かつ容易な固定を可能にする。あるいは、もしくはこれに加え、棘要素または組織接着剤が、弁輪への取り付けに使用され得る。
【0040】
フランジユニットを提供することは、デバイスの外周と弁輪との間に滑らかな移行部が形成され得ることを意味する。さらに、フランジユニットは、クリップまたは縫合糸の取り付けのための十分に画定され、かつ容易に着脱可能な表面を提供する。滑らかな移行部ならびに十分に画定された取り付け表面は、内皮の滑らかな形成および増殖を可能にする。内皮の形成はさらに、内皮化剤(endotheliazation agent)によって改善され得る。
【0041】
フランジユニットは、デバイスを固定する前に弁輪に合わされ得る。フランジユニットを合わせることによって、移行部は、さらに滑らかになり、さらに内皮の増殖を増強し得る。
【0042】
デバイスは、カテーテルを用いることによって心臓弁へと挿入され得、カテーテルが引き抜かれると、デバイスが残される。
【0043】
この方法において、心臓弁の第一の側は心房側であり得る。
【0044】
さらに、別の局面では、本発明は、弁輪および複数の弁膜を含む弁組織から構成される心臓弁の機能を改善するためのデバイスと、人工弁とを備えるキットを提供し、このデバイスは、心臓弁の第一の側と接するように構成された第一のループ形状の支持体と、この第一のループ形状の支持体に接続され、かつ、第一のループ形状の支持体が心臓弁と接しているときに、弁輪に抗して配置されるように構成される第一のフランジユニットとを備える。
【0045】
このデバイスは、弁の機能を改善するために、弁の弁輪の形を作り直すことを目的とする輪状形成術を行うために使用され得る。フランジユニットは、デバイスを弁輪に抗して固定するときに使用されるべき、十分に画定された表面を提供する。このことは、デバイスが、非常に容易に、かつ迅速な様式で弁輪に容易に固定され得ることを示す。心臓外科手術の間、心臓が頻繁に停止され、かつ、灌流されないので、弁の置換および修復に使用される時間を短縮することが奨励されるため、後者は重要である。また、フランジユニットは、弁輪に抗するシーリング表面を提供し、心室側から心房側への血液の逆流の防止を可能にし得る。人工補綴弁を運搬するデバイスにより、外科手術を行う際に必要とされる工程および時間が減少され得る。さらに、このような補綴弁の弁輪に関する位置決めが容易にされる。
【0046】
デバイスはさらに、第一の側とは反対側にある心臓弁の第二の側と接するように構成された第二のループ形状の支持体を備え得、それにより、弁組織の一部が、第一の支持体と第二の支持体との間に捕捉される。第一のループ形状の支持体と第二のループ形状の支持体との間での弁組織のこの捕捉は、弁の所望の形状が固定され得ることを意味する。さらに、この捕捉は、例えば、縫合糸またはクリップによってデバイスを弁輪に永続的に実質的に固定しつつ、デバイスが一時的に正確な位置に維持され得ることを意味する。
【0047】
第一のループ形状の支持体は、第二のループ形状の支持体と連続しており、コイル形状の本体を形成し得る。このことは、デバイスおよびそのコイル形状が、心臓弁の弁膜間の交連において適用され得、そして、一方のループ形状の支持体が、この交連を通して挿入されて、弁の片側に沿って延び、そして、もう一方のループ形状の支持体が、弁の反対側に沿って配置されるように、約360°回転され得ることを意味する。こうして、弁組織は、弁の所望の形状を固定するために支持体間に捕捉される。フランジ手段の伸長に依存して、後者は、デバイスの固定のために、弁輪の片側もしくは両側に取り付け表面を提供し得る。
【0048】
第一のフランジユニットは、第一のループ形状の支持体から第二のループ形状の支持体まで延び得、それによって、フランジユニットが、第一の支持体と第二の支持体との間に捕捉された弁組織の反対側で弁輪に抗して配置されるように構成され得る。このことは、フランジユニットが、心臓弁の両側に表面(この表面は、デバイスの固定だけでなく、補綴弁の固定にも使用され得る)を形成し得ることを意味する。さらに、フランジユニットは、デバイスの位置に依存して、心室側から心房側への血液の逆流の可能性を妨害することを可能にする、シーリング表面を形成し得る。
【0049】
第二のループ形状の支持体は、第二の支持体に接続された第二のフランジユニットを備え得、フランジユニットが、第二のループ形状の支持体が心臓弁と接しているときに、第一のループ形状の支持体の反対側で弁輪に抗して配置されるように構成され得る。これにより、弁のそばでの漏れを防ぐことが可能となる。
【0050】
第一および第二のフランジユニットのうち少なくとも一方は、その対応するループ形状の支持体の周縁に沿って断続的もしくは連続した伸長部を有し得る。一例として、断続的な伸長部の場合、フランジユニットは、互いに直径に沿って対向する2つの局部的な部分によって形成され得、それにより、デバイスが心臓弁内に位置決めされるとき、これらの2つの部分が、交連と接し、交連に対するシーリング表面を形成する。
【0051】
第一および第二のフランジユニットのうち少なくとも一方は、織布素材から作製され得る。織布は、内皮の増殖を促進する粗い表面を提供するという利点を有する。さらに、織布は、縫合糸またはクリップによって容易に貫通される。また、織布は、フランジユニットが弁輪に容易に合わされることを可能にする。
【0052】
さらに、第一および第二のフランジユニットのうち少なくとも一方は、補強要素を備え得る。この要素は、デバイスを弁輪に固定したときに、クリップまたは縫合糸が付けられるべき領域の目安および定義を提供する。さらに、この要素は、外周面に沿ってポケットが形成されるリスクを低減する。また、この要素は、織布がフランジ内へと抜け出すことを防ぐ。
【0053】
第一および第二のフランジユニットのうち少なくとも一方は、ループ形状の支持体のうちの一方によって形成される直径に沿った平面から外に延び、かつ、この平面の下に、30〜60°(例えば、約40〜50°)の角度を成し得る。フランジユニットが、最初に、直径に沿った平面の下に延びることにより、挿入中の可視性が増強される。
【0054】
第一および第二のフランジユニットの少なくとも一方は、その対応するループ形状の支持体から内向きもしくは外向きに放射状に延び得る。
【0055】
人工補綴弁がループ形状の支持体の一方の上に配置され得る。デバイスが心房側から心臓へと挿入されることが意図される場合、人工弁は、好ましくは、弁輪の心房側に位置決めされることが意図される支持体上に配置され、逆の場合も同じである。
【0056】
さらに、別の局面では、本発明は、血液の流れを与えたり妨げたりするために、弁輪と複数の弁膜とを含む弁組織から構成される心臓弁を置換するための方法に関し得、この方法は、人工弁と、少なくとも1つのループ形状の支持体と、ループ形状の支持体に接続されている少なくとも1つのフランジユニットとを備える医療用デバイスを、心臓弁に挿入する工程と、心臓弁の第一の側と接するようにループ形状の支持体を位置決めする工程と、弁輪と接するようにフランジユニットを位置決めする工程と、フランジユニットを弁輪に取り付けることによってデバイスを固定する工程と、を包含する。
【0057】
フランジユニットと人工弁とを有するデバイスにより提供される利点は、先に上で考察されている。心臓弁を置換するための本発明の方法は、対応するデバイスを使用し、それによって、同様の利益が達成される。
【0058】
フランジユニットは、適切な固定ユニット(例えば、縫合糸またはクリップ)によって弁輪に取り付けられ得、これは、十分に確立された手段を用いる迅速な固定を可能にする。
【0059】
フランジユニットは、デバイスを固定する前に弁輪に合わされ得る。フランジを弁輪に合わせることによって、内皮によって覆われるべき表面が減らされ、増殖が増強および加速され得る。
【0060】
デバイスは、カテーテルを用いることによって心臓弁へと挿入され得、カテーテルが引き抜かれると、デバイスが残される。
【0061】
この方法において、心臓弁の第一の側は、好ましくは心房側である。
【0062】
人工弁は、上記ループ形状の支持体のうちの1つの上に配置され得る。
【0063】
本発明のさらなる実施形態は、従属請求項において規定され、従属請求項では、本発明の第二および次の局面についての特徴は、第一の局面についてのものに必要に応じて変更を加えられたものである。
【0064】
本発明のいくつかの実施形態は、心臓弁を修復および/または置換するために使用される時間の短縮を提供する。
【0065】
本発明のいくつかの実施形態はまた、例えば、デバイスの外周と弁輪との間に形成され得る滑らかな移行部によって、血液の逆流の減少もしくは防止を提供する。
【0066】
本発明のいくつかの実施形態は、例えば、縫合糸もしくはクリップのような固定手段を取り付けるための十分に画定された表面によって、より簡便な修復を提供する。
【0067】
本発明のいくつかの実施形態は、内皮の滑らかな形成および増殖を提供する。
【0068】
用語「含む(包含する、備える)/含んでいる(包含している、備えている)(comprises/comprising)」は、本明細書中で使用される場合、記述される特徴、数字、工程または構成要素の存在を特定するものと解釈されるが、1以上の他の特徴、数字、工程、構成要素もしくはこれらの群の存在もしくは追加を排除しないことが強調されるべきである。
(項目1)
弁輪(20)と複数の弁膜(22、24)とを含む弁組織から構成される心臓弁の機能を改善するための医療用デバイス(40)であって、該医療用デバイスは、以下:
該心臓弁の第一の側と接するように構成される、第一のループ形状の支持体(42)と、
該第一のループ形状の支持体に接続され、かつ、該第一のループ形状の支持体が該心臓弁と接しているときに、該弁輪に抗して配置されるように構成される、第一のフランジユニット(50)と
を備える、デバイス。
(項目2)
項目1に記載のデバイスであって、前記第一の側の反対側にある前記心臓弁の第二の側と接するように構成される、第二のループ形状の支持体(44)をさらに備え、該第二の支持体は、前記第一の側の反対にある該心臓弁の第二の側と接し、それにより、前記弁組織の一部が、前記第一の支持体(42)と該第二の支持体(44)との間に捕捉される、デバイス。
(項目3)
前記第一のループ形状の支持体(42)が、前記第二のループ形状の支持体(44)と連続しており、コイル形状の本体(41)を形成している、項目2に記載のデバイス。
(項目4)
前記第一のフランジユニット(50)が、前記第一のループ形状の支持体(42)から前記第二のループ形状の支持体(44)まで延び、それによって、該フランジユニット(50)が、該第一の支持体と該第二の支持体との間に捕捉された前記弁組織の反対側で弁輪に抗して配置されるように構成される、項目2または3に記載のデバイス。
(項目5)
項目2または3に記載のデバイスであって、前記第二のループ形状の支持体(44)が、該第二の支持体に接続された第二のフランジユニット(50)を備え、該フランジユニット(50)が、該第二のループ形状の支持体が前記心臓弁と接しているときに、前記第一のループ形状の支持体の反対側にある側で前記弁輪(20)に抗して配置されるように構成される、デバイス。
(項目6)
項目1〜5のいずれかに記載のデバイスであって、前記第一および第二のフランジユニット(50)のうち少なくとも一方が、前記弁輪(20)に対し、前記ループ形状の支持体(42、44)および補綴弁(64)のうち少なくとも一方の接続部を形成するように適合される、デバイス。
(項目7)
前記第一および第二のフランジユニット(50)のうち少なくとも一方が、その対応するループ形状の支持体(42、44)の周縁に沿って断続的な伸長部を有する、項目1〜6に記載のデバイス。
(項目8)
前記第一および第二のフランジユニット(50)のうち少なくとも一方が、その対応するループ形状の支持体(42、44)の周縁に沿って連続した伸長部を有する、項目1〜6のいずれかに記載のデバイス。
(項目9)
前記第一および第二のフランジユニット(50)のうち少なくとも一方が、織布素材のものである、項目1〜8に記載のデバイス。
(項目10)
前記第一および第二のフランジユニット(50)のうち少なくとも一方が、補強要素を備える、項目1〜9のいずれかに記載のデバイス。
(項目11)
項目2〜10のいずれかに記載のデバイスであって、少なくともその使用もしくは移植の前に、前記第一および第二のフランジユニットのうち少なくとも一方が、前記ループ形状の支持体(42、44)のうちの一方によって形成される直径に沿った平面から外に延び、かつ、該平面の下に、30〜60°、より好ましくは40〜50°の角度を成す、デバイス。
(項目12)
前記第一および第二のフランジユニット(50)のうち少なくとも一方が、その対応するループ形状の支持体(42、44)から内向きもしくは外向きに放射状に延びる、項目1〜11のいずれかに記載のデバイス。
(項目13)
前記心臓弁の前記第一の側が心房側であり、前記第二の側が心室側である、項目1〜12のいずれかに記載のデバイス。
(項目14)
前記デバイス(40)が、人工補綴心臓弁を運ぶように適合される、項目1〜13のいずれかに記載のデバイス。
(項目15)
前記フランジユニット(50)が、その弾性の配置によって、挿入の間に形状を変化させるように配置される、項目1〜14のいずれかに記載のデバイス。
(項目16)
前記フランジユニット(50)が、形状記憶素材を含み、かつ、前記医療用デバイス(40)の挿入の間に予め画定された形状に戻るように配置される、項目1〜15のいずれかに記載のデバイス。
(項目17)
前記フランジユニット(50)が、前記第一の支持体(42)および/または第二の支持体(44)の少なくとも一部分と一体である、項目1〜16のいずれかに記載のデバイス。
(項目18)
前記フランジユニット(50)が、実質的に同軸性の接続部として配置されるように、前記第一の支持体(42)および/または第二の支持体(44)上を通される管形状の可撓性素材(52)から作製される、項目1〜16のいずれかに記載のデバイス。
(項目19)
心臓弁の機能を改善するための、項目1〜18のいずれかに記載の医療用デバイス、および該医療用デバイスに着脱可能もしくは取り付けられる人工補綴心臓弁のキット。
(項目20)
前記人工補綴心臓弁が、前記医療用デバイスのループ形状の支持体またはフランジユニット上に配置される、項目19に記載のキット。
(項目21)
前記人工補綴心臓弁が、前記心臓弁の弁輪の心房側に位置決めされることが意図される前記医療用デバイスの前記ループ形状の支持体もしくはフランジユニット上に配置され得る、項目19に記載のキット。
(項目22)
血液の流れを与えたり妨げたりするために、弁輪(20)と複数の弁膜(22、24)とを含む弁組織から構成される心臓弁を修復するための方法であって、該方法は、以下:
少なくとも1つのループ形状の支持体(42、44)と、該ループ形状の支持体に接続されている少なくとも1つのフランジユニット(50)とを備える医療用デバイス(40)を、心臓弁に挿入する工程と、
該心臓弁の第一の側と接するように該ループ形状の支持体を位置決めする工程と、
該弁輪と接するように該フランジユニットを位置決めする工程と、
該フランジユニットを該弁輪に取り付けることによって、該デバイスを固定する工程とを包含する、方法。
(項目23)
前記フランジユニット(50)が、縫合糸もしくはクリップ(62)によって前記弁輪(20)に取り付けられる、項目22に記載の方法。
(項目24)
前記フランジユニット(50)が、前記デバイス(40)を固定する前に、前記弁輪(20)に合わされる、項目22〜23のいずれかに記載の方法。
(項目25)
前記デバイス(40)が、カテーテルを使用することにより前記心臓弁に挿入され、該カテーテルが引き抜かれると、該デバイスが残される、項目22〜24のいずれかに記載の方法。
(項目26)
前記心臓弁の前記第一の側が心房側である、項目22〜25のいずれかに記載の方法。
(項目27)
血液の流れを与えたり妨げたりするために、弁輪と複数の弁膜とを含む弁組織から構成される心臓弁を置換するための方法であって、該方法は、以下:
人工弁と、少なくとも1つのループ形状の支持体と、該ループ形状の支持体に接続されている少なくとも1つのフランジユニットとを備える医療用デバイスを、心臓弁に挿入する工程と、
該心臓弁の第一の側と接するように該ループ形状の支持体を位置決めする工程と、
該弁輪と接するように該フランジユニットを位置決めする工程と、
該フランジユニットを該弁輪に取り付けることによって、該デバイスを固定する工程とを包含する、方法。
【図面の簡単な説明】
【0069】
本発明の実施形態が可能とするこれらおよび他の局面、特徴および利点は、添付の図面を参照する、本発明の実施形態の以下の説明から容易に認められ、そして、これらか明らかとなる。
【図1】図1は、心臓が断面で示された患者と、僧帽弁を支持するものとして概略的に示された本発明の一実施形態のデバイスとを概略的に示す。
【図1A】図1Aは、僧帽弁を斜視図で示す、左心室の断面図である。
【図2】図2は、本発明の第一の実施形態にしたがうデバイス本体の斜視図である。
【図3】図3は、図2の本体の断面図である。
【図4】図4は、図2に示される本体を備えるデバイスの第一の実施形態の斜視図である。
【図5】図5は、図4のデバイスの断面図である。
【図6】図6は、デバイスの第二の実施形態の斜視図である。
【図7】図7は、デバイスの第三の実施形態の斜視図である。
【図8】図8は、デバイスの第四の実施形態の斜視図である。
【図9a】図9aおよび9bは、デバイスの一実施形態の挿入を示す斜視図である。
【図9b】図9aおよび9bは、デバイスの一実施形態の挿入を示す斜視図である。
【図10】図10は、心臓弁内に挿入されたデバイスの位置実施形態を示す断面図である。
【図11】図11および12は、デバイスを使用することによって型を変えられる前後の心臓弁を示す概略図である。
【図12】図11および12は、デバイスを使用することによって型を変えられる前後の心臓弁を示す概略図である。
【図13】図13は、弁輪に固定されたデバイスを示す断面図である。
【図14a】図14aは、人工補綴心臓弁を備えるデバイスの第一の実施形態を示す断面図である。
【図14b】図14bは、人工弁を備えるデバイスの第二の実施形態を示す断面図である。
【図15】図15は、フランジユニットを運ぶ1つのループ形状の支持体を有する代替的なデバイスの断面図である。
【図16a】図16aおよび16bは、形状変化を伴う実施形態の断面図である。
【図16b】図16aおよび16bは、形状変化を伴う実施形態の断面図である。
【図17】図17は、組織に固定するための棘要素を有するフランジユニットを概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0070】
実施形態の説明
本発明の特定の実施形態が、ここで、添付の図面を参照して記載される。しかし、本発明は、多くの異なる形態で実施され得、そして、本明細書中に示される実施形態に限定されるものとしてみなされるべきではない;むしろ、これらの実施形態は、本開示が、徹底的かつ完全であり、そして、当業者に本発明の範囲を完全に伝えるように提供される。添付の図面に示される実施形態の詳細な説明において使用される専門用語は、本発明を限定するものであることは意図されない。図面において、同様の参照番号は同様の要素を指す。
【0071】
図1は、左心室14および右心室16を含む断面が示された心臓12を持つ患者10を示す。本発明の概念は、例えば、左心室14へと血液を供給する僧帽弁18に適用されるのに適している。僧帽弁18は、図1Aにより良く示されるように、左心室14への血流を選択的に可能にしたり妨げたりする、弁輪20と、一対の弁膜22、24とを備える。用語「弁組織」は、図面を参照して、本開示の全体を通して広範にわたり使用されることが理解される。本発明の原理は、あらゆる弁組織(例えば、弁輪組織、弁膜組織または他の付着した脈管組織)を指すときに、等しく適用可能である。弁膜22、24は、それぞれの乳頭筋30、32から下向きに延びる腱索(chordae tendinae)または腱索(chord)26、28によって接着(coaptation)のために支持される。血液は、僧帽弁18を通って左心室14に入り、そして、その後の心臓12の収縮の間に、大動脈弁34を通して駆出される。本発明は、三尖心臓弁にも適用可能であることが理解される。
【0072】
本発明の第1の実施形態に従うデバイス40に含まれた本体41が、図2および3に示される。本体41は、第1のループ形状の支持体42および第2のループ形状の支持体44を備える。
【0073】
本明細書中で使用される場合、用語「ループ形状の」とは、閉鎖され得る曲線形状として、例えば、円形状、楕円形状もしくはD字形状、または、弁輪の形状に合い得る任意の他の閉鎖形状を持つ、輪の少なくとも一部として構築されるべきである。用語「ループ形状の」はまた、C字形状またはU字形状のような弓状の形状を形成する、開いた曲線形状を含み、これは、支持体が環状の弁形状の大部分に沿って弁組織と接し得るように、少なくとも180°の角度の曲がりを備える。用語「ループ形状の」はまた、コイルの一部を形成するように、それ自体が重なり合った曲線形状を備える。
【0074】
用語「ループ形状の」はまた、先の段落において述べたように、三次元の曲線を備える。
【0075】
支持体42、44の少なくとも一方の少なくとも一部のループ形状はまた、いくつかの実施形態において、患者に合うように構成され得る(be patient configured)。形状は、特に、患者の解剖学的構造に合うように設計され得る。患者の特定のループ形状は、実質的には、例えば、磁気共鳴(MR)またはコンピュータ断層撮影(CT)画像法のような画像法によって獲得された、3Dの患者データから導き出され得る。
【0076】
米国特許第6,419,696号、米国特許第6,730,121号、米国特許第6,964,684号およびWO2006/091163(これらは、本発明と同じ出願人に譲渡され、あらゆる目的のためにその全体が本明細書中に参考として援用される)において、種々の実施形態において心臓弁を修復および置換するためのデバイスが開示される。これらのデバイスは、弁輪の対向する側部と接するようなループ形状の構成で互いに接続された、少なくとも第一および第二の支持リングを備える。置換弁は、ループ形状のデバイスに固定され得る。
【0077】
第一の支持体42は、支持体42、44が、2つのループを持つらせん型または鍵環型の構成の形状の、コイル状の構成をとるように、第二の支持体44と連続しているか、そして/または、一体となっている場合がある。
【0078】
第二の支持体44は、第一の支持体42の外側境界に関してより大きな外側境界または大きさを有し得る。支持体42、44は、一実施形態では、対応する形状を有し得、第二の支持体44は、第一の支持体42よりも大きなスケールである。このことは、第一の支持体42と第二の支持体44との間に弁組織のピンチをつくる際に有益である。
【0079】
弁におけるデバイスの挿入時にコイルの先を進む第二の支持体44の端部45は、一実施形態では、コイルの残りの部分よりも大きなピッチを有し得る。このことは、弁内の位置への回転の間に、コイルの先端45が弁組織との直の接触部から突き出し、それゆえに、コイルが腱索によって捕らえられる危険性が減少することを意味する。
【0080】
本体41は、図3において断面で示される。本体41は、一実施形態では、少なくとも部分的に円い断面形状を有する。他の実施形態では、本体41の断面は、実質的に平らであるか、楕円形である、平らにされているか、そして/または、平らにされた縁部を有し得る。
【0081】
ある実施形態では、対向する表面46は、このように、間に弁組織を捕捉するためのピンチを提供する。円い断面はまた、心臓が正常に作用する間に、自身の動きで弁膜を傷付けず、弁組織のピンチをつくる際にも有益である。
【0082】
第二のループ形状の支持体44は、第一のループ形状の支持体42に対して、半径方向にわずかに変位される。このことは、いくつかの実施形態において、第一のループ形状の支持体42と第二のループ形状の支持体44とが、互いの上に配置されないことを意味する。したがって、第一の支持体42と第二の支持体44との間のピンチは、弁の半径方向において、明確には画定されない。このことは、支持体間のピンチ力が、弁の特定の半径方向の位置へと集中されないことを意味する。結果として、ピンチ力は、心臓が正常に作用する間に弁膜の動きに影響を及ぼさず、ピンチにおける弁膜の破裂の危険性は減少される。
【0083】
支持体は、いくつかの実施形態では、第一の支持体42の外側境界が、第二の支持体44の中心を通る線に対応する直径を有するような様式で相互関係に置かれ得る。このように、支持体42、44は、組織がピンチを通って移動できず、そして、弁の形状が有益に維持されるように、ある程度重なり得る。
【0084】
さらに、支持体42、44の断面は実質的に円く、このことはまた、支持体と弁組織との間に穏やかな接触を与え、弁膜の破裂の危険性をさらに減少する。
【0085】
本体41は、金属(例えば、チタン)またはプラスチックのような剛性素材のコアから形成され得る。任意の適切な医療等級の素材が使用され得る。
【0086】
剛性素材は、コイルのループが、互いから少しの距離だけ離れるように力を加えられ得るが、力が解放されると、互いに向かって収縮して戻るように、受動的なバネ機能を提供し得る。本体41のコアは、より軟らかい層(例えば、織物)によってコーティングされ得る。
【0087】
本体41は、あるいは、形状記憶素材から形成され得る。本体41は、次いで、例えば、特定の温度まで加熱されると、所望のプログラムされた形状をとる。このことは、本体41が、挿入中に送達により適した形態へと圧縮されるかまたは真っ直ぐにされ、そして、心臓弁に挿入される際に、らせん形状をとることを可能にする。また、フランジユニットは、例えば、第一の送達形状、および、その第二の送達後の形状を提供するために、このような形状記憶素材から作製され得る。
【0088】
ここで、図4および5を参照すると、医療用デバイス40の第一の実施形態が開示される。デバイス40は、図2および3を参照して上に記載されるものに従う本体41を備えており、それゆえ、このような本体41は、さらに考察されない。
【0089】
デバイス40は、本体41に、より正確には、第一のループ形状の支持体42に接続されたフランジユニット50を備える。フランジユニット50は、一実施形態では、第一のループ形状の支持体42の円周に沿った、連続した伸長部を有する。
【0090】
いくつかの実施形態では、フランジユニット50は、例えば、図16aに示されるように、本体41の少なくとも一部と一体であり得る。
【0091】
いくつかの実施形態では、フランジユニット50は、第一のループ形状の支持体42の上へ通される管形状の可撓性素材52から作製され、それによって、ループ形状の支持体とフランジユニットとの間の、緩んだ実質的に同軸性の接続部が達成される。接続部はまた、固定されているか、または、剛性であってもよい。可撓性素材は、一例として、ポリエチレン(PE)またはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から作製された、織布または織物の構造であり得る。織布は、内皮の成長および過成長を増強する、粗いか、穴が開いているか、または多孔性の表面を呈するという利点を有する。さらに、織布は、縫合糸またはクリップによって容易に貫通される。さらに、可撓性素材は、フランジユニット50が弁輪合わされることを可能にする。
【0092】
フランジユニット50は、開示される実施形態において、本体から下向きに延びるフランジ表面54を形成する。より正確には、フランジユニット50は、いくつかの実施形態において、第一のループ形状の支持体によって形成される、水平の直径に沿った平面に対して角度αを形成する。角度αは、およそ、直径に沿った平面に対して30〜60°の間(例えば、40〜50°)である。このような角度は、デバイスの挿入中の可視性を改善する。いくつかの実施形態では、デバイスの挿入中に、改善された可視性が提供され得、この際、フランジユニット50は、周囲組織への自身の固定を容易にする位置へと形状を変化する。このように、心臓弁の修復および/または置換のための医療処置は、かなり高速度化され得る。
【0093】
実用的な実施形態において、フランジ表面54は、およそ2〜4mmの範囲(例えば、2.5〜3.5mm)の幅を有する。半径方向外向きのフランジの幅は、デバイスを弁輪に固定する際に、縫合糸またはクリップが位置決めされるべき領域を、外科医に示すことを可能にする。このことは、図13を参照して以下にさらに考察される。
【0094】
最初、心臓弁内への挿入前に、フランジ表面54は、下向きに延びている。心臓弁の心房側に位置決めされると、デバイスは、弁輪と接して配置され、それによって、フランジユニットが、弁輪に合わされ、その角度を、下向きに延びる方向から上向きに延びる方向へと変化させる。この合わせる能力は、(織布)素材の可撓性と、フランジ手段の幅との組み合わせである。
【0095】
その外周上に、フランジユニット50は、補強要素65を備え得、この補強要素65は、図4に概略的に示される。このような補強要素は、一例として、ねじまたはビーズの形状を有し得る。
【0096】
ここで、図6を参照すると、デバイス40の第二の実施形態が開示される。このデバイスは、フランジユニット50が、第一のループ形状の支持体42から第二のループ形状の支持体44へと延びている点で、図4および5に開示されるものとは異なる。フランジユニット50は、一つの片で形成されても、第一の片および第二の片に分離されてもよく、後者の場合、第一の片は、第一のループ形状の支持体に接続され、そして、第二の片は第二のループ形状の支持体に接続される。接続部は、剛い接続部であっても緩い接続部であってもよい。後者は、ループ形状の支持体上に通されるフランジユニットによって達成され得る。
【0097】
フランジユニットは、連続していても、その伸長部に沿って断続的であってもよい。
【0098】
第二の実施形態は、デバイスが弁の修復のために使用される予定であろうと、置換のために使用される予定であろうと、適切である。
【0099】
ここで、図7を参照すると、デバイス40の第三の実施形態が開示される。このデバイス40は、フランジユニット50が、第二のループ形状の支持体44に沿って延びている点で、図4および5に開示されるものとは異なる。心臓弁内に位置決めされると、第二のループ形状の支持体44は、心臓弁の心室側と接することが意図されるのに対して、第一のループ形状の支持体42は、心房側と接することが意図される。フランジユニット50は、連続していても、その伸長部に沿って断続的であってもよい。第三の実施形態は、弁置換において使用される際に適切であり得る。人工物、すなわち、補綴弁は、本体またはフランジ手段のいずれかによって運ばれ得る。
【0100】
ここで、図8を参照すると、デバイス40の第四の実施形態が開示される。このデバイス40は、フランジユニット50が、第二のループ形状の支持体44に沿って延び、そして、共に第二のループ形状の支持体44に接続された2つのフランジ表面54を形成している点で、図4および5に開示されるものとは異なる。これらのフランジ表面54は、デバイスが弁輪と接して心臓弁内に配置されるときに、交連と重なるように、ループ形状の支持体44上に配置される。それによって、2つのフランジ表面が、心室側から心房側への潜在的な血液の漏れを防止するシーリングを形成する。
【0101】
デバイスの上で考察された実施形態において、フランジユニットは、連続しているか、またはその伸長部に沿って断続的であるかのきずれかとして開示されている。フランジユニットは、さらに、その伸長部に沿って変わる不均一な幅を有し得る。一例として、この幅は、デバイスが弁輪と接して心臓弁内に配置されるときに、交連と重なる位置に対応する領域においてより広くあり得る。
【0102】
ここで、図9〜11を参照すると、第一の実施形態に従うデバイスによる、心臓弁を修復するための方法が記載される。
【0103】
第一に、心臓弁へのアクセスは、心停止および開胸を含む従来の技術によって達成される。あるいは、管内カテーテルベースの送達技術が適用され得る。図9aでは、心房側から僧帽弁18へと挿入されている場合のデバイス40が示される。デバイス40は、キャリアの位置決めの遠隔制御のためにステムに接続された、キャリアまたはツール(図示されず)上で運ばれる。第二のループ形状の支持体44の端部56は、図9bに示されるように、弁膜22と弁膜24との間の交連60において、僧帽弁18の開口部に導かれる。端部56は、開口部を通して導かれ、そして、キャリアは360°回転される。こうして、第二の支持体44は、弁18の片側の場所へと回転されるのに対し、第一の支持体42およびフランジユニットは、弁18の反対側に置かれる。この回転移動の間に、フランジユニット50は、支持体42によって形成される直径の沿った平面から下向きに30〜60°の角度を成すその元の方向から、弁輪20によって形成される壁に対応する直径に沿った平面から上向きの角度で延びる方向へと、変位される。フランジユニット50の可撓性によって可能となるこの変位は、フランジユニット50と、弁輪20の心房側との間に密な接触をもたらす。必要に応じて、フランジユニット50は、さらに、弁輪20に合わされ得る。このように、デバイス40は、図10に示されるように、弁18と係合した状態で配置される。
【0104】
さらに、支持体42、44は、弁18の対向する側に置かれて、これらの支持体間に弁組織をピンチし、弁18の形状を維持する。弁膜22、24は、ここで、弁18の形状をリモデリングするように、支持体42、44のピンチを通して互いに向かうように引っ張られ得る。弁膜は、鉗子器機によって、ピンチを通して引っ張られ得る。支持体42、44は、互いから離して固定して、弁膜22、24が滑って戻ることを防止するために、ピンチを通して、互いに向かうように弁膜22、24を引っ張ることを可能にし得る。弁輪20は、このようにして、リモデリングされ得、そして、新たな形状が支持体42、44によって維持される。リモデリングの前後を示す図11および12を参照のこと。図11では、弁膜22、24の閉鎖に欠陥のある領域400が示される。支持体42、44は、ピンチを通して滑ることから弁膜22、24を良好に維持し、そして、その作り直された形状に弁輪20を保持するために、凸凹のある対向する表面46を有し得る。
【0105】
デバイス40は、ここで、支持体42、44と弁組織との間の相対的な位置の固定を強化するために、弁18に固定され得る。図13を参照のこと。この固定は、フランジユニット50およびその外周のフランジ表面54を通して配置される、クリップまたは縫合糸62によってなされ得る。フランジ表面は、織布から作製されることによって、容易に貫通される。クリップまたは縫合糸62は、好ましくは、フランジユニット50の外周方向に配向および位置決めされる。固定点の数は、耐久性のある固定を提供するために、不定である。
【0106】
フランジユニット50は、いくつかの実施形態において、良好な座部を提供し、そして、デバイス40の滑りを防止する。このように、デバイス40は、処置においてより安定に位置決めされ、このことは、特に、挿入後のデバイスの長期にわたる性能にとって有益である。
【0107】
図10に示されるように、第二のループ形状の支持体44は、第一のループ形状の支持体42に対して、半径方向にわずかに変位される。このことは、いくつかの実施形態において、第一のループ形状の支持体42と第二のループ形状の支持体44とが、互いの上に配置されないことを意味する。したがって、第一の支持体42と第二の支持体44との間のピンチは、弁の半径方向において、明確には画定されない。このことは、支持体間のピンチ力が、弁の特定の半径方向の位置へと集中されないことを意味する。結果として、ピンチ力は、心臓が正常に作用する間に弁膜の動きに影響を及ぼさず、ピンチにおける弁膜の破裂の危険性は減少される。支持体は、第一の支持体42の外側境界が、第二の支持体44の中心を通る線に対応する直径を有するような様式で相互関係に置かれる。このように、支持体42、44は、組織がピンチを通って移動できず、そして、弁の形状が維持されるように、ある程度重なる。さらに、支持体42、44の断面は円く、このことはまた、支持体と弁組織との間に穏やかな接触を与え、弁膜の破裂の危険性をさらに減少する。
【0108】
上記方法は、フランジ手段の形状、位置または伸長部とは無関係に適用可能である。さらに、この方法は、デバイスが、心房側から挿入されようと、心室側から挿入されようと、適用可能である。
【0109】
第一の上側のループ形状の支持体上にフランジユニットを有するデバイスは、デバイスが心房側に位置決めされる場合に適切であり、弁輪の心房側に固定表面を提供する。このようなデバイスはまた、人工弁を運ぶ場合に適切である。さらに、第二のループ形状の支持体上にフランジユニットを有するデバイスは、第二のループ形状の支持体が心臓弁の心室側に位置決めされるべき場合に適切である。
【0110】
第一のループ形状の支持体から第二のループ形状の支持体へと延びるフランジユニットを有するデバイスは、デバイスが心臓弁の心房側に位置決めされようと、心室側に位置決めされようと、適切である。
【0111】
図14aおよび図14bを参照すると、デバイスは、心臓弁の置換にも使用され得ることが理解されるべきである。この目的のために、デバイス40は、本体41およびフランジユニット50に加え、人工弁64を備える。フランジユニット50は、図14aに示されるように、第一のループ形状の支持体42によって運ばれ得る。あるいは、図14bに示されるように、フランジユニット50は、第一の支持体42および第二の支持体44から延び得る。図示されないが、支持体42、44の各々が、その独自のフランジユニット50を運び得るか、または、フランジユニットは、第二の支持体44によってのみ運ばれ得ることが理解されるべきである。
【0112】
このデバイスの挿入、位置決めおよび固定の方法は、一般に、心臓弁を修復する際に使用されるものと同じであり、したがって、このような方法はさらに考察されない。
【0113】
本明細書中に記載される好ましい実施形態は、決して限定的なものではなく、そして、添付の特許請求の範囲によって規定される保護範囲内で、多くの代替的な実施形態が可能であることが強調されるべきである。
【0114】
一例として、デバイス40およびその本体41は、第一のループ形状の支持体42および第二のループ形状の支持体44を有するものとして開示されている。このデバイス40は、一方のループ形状の支持体のみがフランジユニット50を運ぶ場合に適用可能である。一つのこのような実施形態は、図15に開示される。
【0115】
さらに、心臓弁へのアクセスは、内視鏡ベース、または、経管カテーテルベースで達成され得る。このような場合、デバイス40は、細い管(内視鏡またはカテーテル)を通して挿入される必要がある。このことは、内視鏡またはカテーテルを通過するために、デバイス40が挿入中に圧縮される必要があることを意味している。デバイス40は、内視鏡を通過した後は、その適切な形状をとる必要がある。したがって、内視鏡またはカテーテルベースのアプローチを用いる場合、本体は、有益なことに、形状記憶素材から形成され得る。このことは、デバイス40が圧縮され、そしてまた、心臓弁に適用されると安定な形状を有することを可能にする。あるいは、心臓弁へのアクセスがカテーテルを通して達成され得る場合、カテーテルは、心臓への血管系を通される。この場合、支持体は、挿入中には可撓性の状態でカテーテルに沿って延び、そして、心臓弁においてカテーテルから押し出されると、対向する側で心臓弁と接するために、予め応力を加えられたコイル形状をとる、形状記憶素材から形成され得る。
【0116】
第一および第二のループ形状の支持体は、コイル形状を形成するように、接続部によって互いに接続され得る。デバイスのこのコイル形状は、挿入中に有益である。というのも、デバイスは、その後、上述のように適所に回転され得るからである。しかし、接続部は、少なくとも一方の支持体から着脱可能である。したがって、デバイスが挿入されると、接続部は、弁の開口部から取り外され、そして、取り除かれ得る。
【0117】
ループ形状の支持体とフランジユニットとは、別々の部品として提供され得る。
【0118】
さらに、フランジ手段または少なくともその羽部分は、その対応するループ形状の支持体に対して不定の角度を成し得ることが理解されるべきである。
【0119】
図16a、16bは、形状変化を伴う実施形態の断面図である。
【0120】
図16aでは、例えば、挿入中(点線)は、外科医の視線から逸れ、そして、身体組織と接した際には、組織への取り付けのために第二の形状(連続した線)へと回転するための、フランジユニット50の形状の変化が示される。
【0121】
図16aでは、フランジユニット50の形状の変化が、二つの段階または方向で示される。第一に、フランジユニットは、内部でのいかなる皺または折れも排除するために、第一の方向に収縮し得る。その後、または同時に、フランジユニット50は、例えば、図16aを参照して記載されるように、第二の方向に形状を変化させ得る。
【0122】
図17は、デバイス40を組織に固定するための棘要素500を有するフランジユニット50概略的に示す断面図である。フランジユニット50は、このように、固定要素のためのキャリアとなり得る。フランジユニット50は、このように、身体内へとより効率的に挿入され得る。
【0123】
いくつかの実施形態では、デバイス40の部品に、異なる素材が使用され得る。例えば、内側のリング42、44は、より可撓性の外側部品(例えば、フランジユニット50)よりも剛性かつ安定な素材から作製され得る。
【0124】
本発明のいくつかの実施形態が本明細書中に記載および例示されてきたが、当業者は、本明細書中に記載される機能を行うため、そして/または、結果および/もしくは1以上の利点を達成するための種々の他の手段および/または構造に容易に想到し、そして、このようなバリエーションおよび/または修正の各々は、本発明の範囲内とみなされる。より一般的には、当業者は、本明細書中に記載されるあらゆるパラメーター、寸法、素材および構成が、例示的であることを意味すること、そして、実際のパラメーター、寸法、素材および/または構成は、本発明の技術が使用される特定の用途に依存することを容易に理解する。
【0125】
当業者は、本明細書中に記載される本発明の特定の実施形態に対する多くの等価物を、認識するか、または、慣用的に過ぎない実験を用いて確認し得る。したがって、上記の実施形態は、一例としてのみ提示されること、そして、添付の特許請求の範囲およびその等価物の範囲内で、本発明が、具体的に記載および特許請求されるものとは違う方法で実施され得ることが理解されるべきである。本発明は、本明細書中に記載される各個々の特徴、システム、物品、素材、キットおよび/または方法に関する。さらに、このような特徴、システム、物品、素材、キットおよび/または方法が互いに相反していない場合、2以上のこのような特徴、システム、物品、素材、キットおよび/または方法の任意の組み合わせが、添付の特許請求の範囲によって限定される本発明の範囲内に包含される。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
輪と複数の弁膜とを含む弁組織から構成される心臓弁の機能を改善するための医療用デバイスであって、該医療用デバイスは、以下:
該心臓弁の第一の側と接するように構成される、第一のループ形状の支持体と
該第一のループ形状の支持体に接続される、第一のフランジユニットと
を備え、該第一のフランジユニットは第一の補強要素を備える、デバイス。
【請求項2】
前記第一のフランジユニットは、前記第一のループ形状の支持体が前記心臓弁と接して配置されているときに、前記弁輪に抗するシーリング表面を提供するように構成されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記第一の補強要素は、ビーズまたはねじである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記第一のフランジユニットが、固定要素または組織接着剤、あるいはその両方を備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記第一のフランジユニットが、補綴弁の固定のために適合されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
請求項1に記載のデバイスであって、前記第一の側の反対側にある前記心臓弁の第二の側と接するように構成される、第二のループ形状の支持体をさらに備え、それにより、前記弁組織の一部が、前記第一の支持体と該第二の支持体との間に捕捉される、デバイス。
【請求項7】
前記第一のループ形状の支持体が、前記第二のループ形状の支持体と連続しており、コイル形状の本体を形成している、請求項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記第一のフランジユニットが、前記第一のループ形状の支持体から前記第二のループ形状の支持体まで延び、それによって、該第一のフランジユニットが、該第一の支持体と該第二の支持体との間に捕捉された前記弁組織の反対側で弁輪に抗して配置されるように構成される、請求項に記載のデバイス。
【請求項9】
請求項に記載のデバイスであって、前記第二のループ形状の支持体が、該第二の支持体に接続された第二のフランジユニットを備え、該第二のフランジユニットが、該第二のループ形状の支持体が前記心臓弁と接しているときに、前記第一のループ形状の支持体の反対側にある側で前記弁輪に抗して配置されるように構成される、デバイス。
【請求項10】
記第二のフランジユニットが第二の補強要素を備える、請求項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記第二の補強要素は、ビーズまたはねじである、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記第二のフランジユニットが、固定要素または組織接着剤、あるいはその両方を備える、請求項9に記載のデバイス。
【請求項13】
前記第一および第二のフランジユニットのうち少なくとも一方が、その対応するループ形状の支持体の周縁に沿って断続的な伸長部を有する、請求項に記載のデバイス。
【請求項14】
前記第一および第二のフランジユニットのうち少なくとも一方が、その対応するループ形状の支持体の周縁に沿って連続した伸長部を有する、請求項に記載のデバイス。
【請求項15】
前記第一および第二のフランジユニットのうち少なくとも一方が、織布素材、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、および形状記憶素材からなる群より選択される素材から作製されている、請求項に記載のデバイス。
【請求項16】
請求項に記載のデバイスであって、少なくとも前記デバイスの移植の前に、前記第一または第二のフランジユニットが、前記第一または第二のループ形状の支持体によって形成される直径に沿った平面から外に延び、かつ、該平面の下に、30〜60°の角度(α)を成す、デバイス。
【請求項17】
前記第一および第二のフランジユニットのうち少なくとも一方が、その対応するループ形状の支持体から内向きもしくは外向きに放射状に延びる、請求項に記載のデバイス。
【請求項18】
前記心臓弁の前記第一の側が心房側であり、前記第二の側が心室側である、請求項に記載のデバイス。
【請求項19】
請求項に記載のデバイスであって、前記第一および第二のフランジユニットのうち少なくとも一方が、前記弁輪に対し、前記第一および第二のループ形状の支持体のうち少なくとも一方と補綴弁との接続部を形成するように適合される、デバイス。
【請求項20】
求項に記載の医療用デバイス、および前記第一のフランジユニット固定されたかまたは固定可能である人工補綴心臓弁を備える、キット。
【請求項21】
請求項9に記載の医療用デバイス、ならびに前記第一および第二のフランジユニットのうちの少なくとも一方に固定されたかまたは固定可能である人工補綴心臓弁を備える、キット。

【図1】
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【図1A】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9a】
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【図9b】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14a】
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【図14b】
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【図15】
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【図16a】
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【図16b】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−192273(P2012−192273A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−159103(P2012−159103)
【出願日】平成24年7月17日(2012.7.17)
【分割の表示】特願2009−535752(P2009−535752)の分割
【原出願日】平成19年11月12日(2007.11.12)
【出願人】(510242679)メドテンティア インターナショナル アェルテーデー オーイュー (1)
【Fターム(参考)】