説明

心血管疾患のリスク査定方法

【課題】個人または集団の心血管疾患(CVD)のリスク係数をより正確に査定するための血清トリグリセリド値とともにコレステロール系CVDリスクマーカーを含む二頂分析を用いる方法の提供。
【解決手段】好ましくは、たとえばCVDマーカー(たとえば、総コレステロールの対HDL比)が高いリスク係数を与えるならば、これら係数は、血清トリグリセリド濃度と逆相関で調整することができるであろう。たとえば規定のマーカーが約1.5以上の相対危険度に実質的に等しい初期リスク係数を与えるならば、血清トリグリセリド値が高ければ初期リスク係数を減少し、血清トリグリセリド値が低ければ初期リスク係数を上昇させることができる。本発明は、生命保険業界における、または投薬の処方または保留かの決定における、死亡率の相対危険度の正確な査定に特に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コレステロール系CVDリスクマーカーを、共同因子としての血清トリグリセリド値とともに用いる個人および集団の心血管疾患(CVD)リスクの査定方法に広く関する。より具体的には、本発明は、適切な例において、リスク係数が血清トリグリセリド値と逆の相関で調整され、たとえば選択されたCVDマーカーが約1.5以上の相対危険度を与えるとき、該相対危険度は、その血清トリグリセリド値が低ければ上方に調整され、またその血清トリグリセリド値が高ければ下方に調整されるような方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フラミンガム心臓研究は、心血管疾患と脂質との関係を研究した。研究は1948年に始まって以来、心臓血管研究の歴史的な疫学的道標であり続けている。該研究の著者は、コレステロールと心血管系イベントとの段階的な関係を報告した。その後の研究は、LDLまたは低密度コレステロールとの同様の関係を報告した。その一方、高密度コレステロールは、リスクと逆の関係にあることが報告された。その値が低いほど、リスクが高い。1つの付加的要素である血清トリグリセリド値は、リスクをわずかに上昇させることが示された。
【0003】
CVDリスクの次のマーカーとしては、LDL粒子のサイズ、炎症バイオマーカー、凝固因子の変質、喫煙ないし他の環境因子および炭水化物代謝などが挙げられてきた。それぞれの研究は、CVDリスクに寄与する各因子についての理解を高めさせたが、リスクを増幅もしくは低減しうる因子間の相乗関係については、どれもまだかなり混乱している。
【0004】
血清トリグリセリド値は、生命保険審査およびリスク査定の一部として日常的に測定されているが、CVDにとっては単に弱い予測マーカーと考えられてきた。しかしながら、いかなる場合でも、約200mgより高い血清トリグリセリド値の存在は、特に高リスクのコレステロール系CVDリスクマーカー値との組み合わせでは、個人のCVDリスクを高めると考えられてきた。それ故、高いコレステロール系CVDリスクマーカー値と、高い血清トリグリセリド値との間には直線的な比例関係があるというのが、従来の一般常識である。たとえば、グリフィン(Griffin)らの論文(非特許文献1)、ザニボン(Zanibon)らの論文(非特許文献2)、ガードナー(Gardner)らの論文(非特許文献3)を参照。上記の引例はすべて、引用によりその記載が本明細書に記載されているものとする。
【0005】
【非特許文献1】Griffin et al., Atherosclerosis, 106, 241-53(1994)
【非特許文献2】Zanibon et al., Hyperlipidasmia and Cardiovascular Desease, 9, 329-36(1998)
【非特許文献3】Gardner et al., Jour. Amer. Med. Assn., 276, 875-81(1996)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、個人および統計的に有意な集団のCVDリスク係数を正確に査定する新規技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、高い血清トリグリセリド値が、高いCVDリスクを示すコレステロール系CVDリスクマーカー値に逆相関することを見出したことに基づいている。一般的に、本発明の一態様において、個人のための少なくとも1種のコレステロール系CVDマーカーを決定するとともに、該個人の血清トリグリセリド値を決定する工程を含む個人のCVDリスク係数を査定するための方法が提供される。もし該マーカーが、個人について実質的に約1.5以上の相対危険度に匹敵するCVDリスク係数を与えるならば、これらリスク係数は、該個人について、トリグリセリド値に対し逆の関係に調整される。
【0008】
関連する方法において、選択されたCVD関連の評価をCVDマーカー値に適用して個人について初期リスク係数を決定し、次いでそのような初期係数が、血清トリグリセリド値に基づいて調整される。通常、該リスク係数は、血清トリグリセリド値が低ければ(たとえば、約200mg未満)、上方に調整され、血清トリグリセリド値が高ければ(たとえば、約200mg以上)、下方に調整される。
【0009】
最も一般的なCVD関連の評価である相対危険度を本発明の実施に用いることは好ましい。しかしながら、オッズ比、絶対リスク、および寄与リスクなどの他の関連の評価も用いることができる。本発明において有用な典型的なコレステロール系CVDリスクマーカーとしては、総コレステロール、HDL(高密度コレステロール)、LDL、コレステロール粒度分布、総コレステロール(TC)の対HDL比、総コレステロールの対LDL比、HDLの対LDL比、およびそれらの組み合わせなどが挙げられる;しかし、総コレステロールの対HDL比はもっとも好ましいマーカーである。この好ましいマーカーを用いる際には、そのTC:HDL比が約5以上であれば、血清トリグリセリド値に基づく逆相関の調整が好適に用いられる。
【0010】
これら方法は、個人単体のみならず、集団のリスク係数を査定するためにも用いることができる。集団の人口が大きいとき、集団の個人すべてについて、少なくとも1種のコレステロール系CVDマーカーおよび血清トリグリセリド値を決定することが好ましい。次に、少なくとも一部は各人の上記マーカー値に基づいて関連の評価を用い、集団における各人に別々の初期リスク係数を割り当てる。これら最初に割り当てられたリスク係数は、その後、各人のトリグリセリド値に基づいて調整される。この調整工程は、トリグリセリド値の低い各人に割り当てられたリスク係数を増加し、トリグリセリド値の高い各人に割り当てられたリスク係数を低減する工程を含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、具体的に、生命保険業界に適用可能である。要するに、もし個人のコレステロール系CVDリスクマーカー値が、通常、高額の保険料を支払わされる(または保険そのものが拒否される)ことになる保険会社の格付けの原因となるであろう高い値であれば、該個人は、本発明の理論を用いてより正確に格付けされ得る。したがって、もし上記個人の血清トリグリセリド値が比較的高ければ、該個人は、コレステロール系CVDリスクマーカー値のみを考慮して得られるものよりも著しく低く格付けされるであろう。同様に、低トリグリセリド値とともに高CVDリスクマーカーをもつ個人は、現行の査定下よりも高く格付けされるかもしれない。実際、生命保険業界の全てのCVDリスク格付けシステムは、本発明の方法を用いて完全に再公式化し、被保険者を各人それぞれの条件に応じて適切に格付けすることができる。
【0012】
本発明は、CVDに対するリスクにおける患者の治療に関連する有用性をも見出す。さらに、CVDリスクにおける血清トリグリセリド値の効果の知識は、投薬の保留または処方、あるいはエクササイズおよびダイエットの強化などの他の治療法の処方に利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
疫学者は、問題の疾患、反応変数とともに、あらゆる薬剤、宿主、または健康に影響を及ぼすであろう環境因子などの曝露もしくは説明的変数に基づいて、疾病率および死亡率を研究する。その目標は、該疾患反応変数に及ぼす曝露変数の影響の定量化である。これは、一般的に、曝露群の非曝露群に対する罹患比で示される。
【0014】
各種の関連の評価を用いて曝露群と非曝露群とを比較する多くの方法がある。関連の評価は、2以上の変数間の関連を定量化するために使用されるあらゆる数学的または統計的評価である。疫学の分野において、関連の評価は、他の各因子と相対的な疾患頻度を評価するために用いられるどのような数学的または統計的関係でもよく、また、他との対比で、どの程度発病しそうかの示唆である。関連の評価は、健康状態に関連すると見られ、かつ病気発生の確率を高める原因もしくは曝露(たとえば、挙動、遺伝的、環境的もしくは社会的因子、時間、人または場所)と疑われるリスク係数に焦点を合わせる。
【0015】
疫学的な関連の評価は、広くは、絶対的または相対的比較に分けられる。例を挙げれば、疾患率の5年間の研究は、喫煙者での100分の2と、非喫煙者での100分の1の比を得るであろう。(100分の2)−(100分の1)=(100分の1)のような絶対的比較は喫煙者100人あたり1が付加される事例があることを意味する。(100分の2)/(100分の1)=2のような相対的比較は、喫煙者が非喫煙者の2倍のリスクであることを意味する。
【0016】
さまざまな各種関連の評価が疫学で用いられてきた。もっとも一般的なのは、相対危険度RR(リスク比とも称される)およびオッズ比ORである。リスク比は、コホート研究において頻繁に用いられ、リスク係数に関連する相対危険度、たとえばRR= R1/R0(ここでR1は非曝露グループにおける比であるR0に対する曝露グループにおける比)として定義される。たとえば、RRは、ベースラインのリスクR0に加えるリスク乗数であり、RRの1を超える部分は、リスクの高さを示す。たとえば、RR1.0以上は、高まったリスクを示し、RR1.0未満は低減されたリスクを示し、RR2はリスクの100%増加を示す。
【0017】
ORは、オッズの観点で疾患頻度を示す疫学的な関連の評価であり、被曝露集団における疾患のオッズを非曝露集団における疾患のオッズで除すとして定義される。ORは、患者−対照研究において、かなり頻繁に用いられ、対照としての非患者中、有病率の疾患患者の比較を含んでいてもよい。RRおよびORのいずれも、相対的な語における曝露と疾患との間の関連を特徴づけ、いずれも被曝露対象における疾患原因の頻度を非曝露対象における比の倍数として反映する。
【0018】
絶対的または別の関連の評価も疫学で用いられ、通常、寄与リスクおよび人口寄与リスクパーセントと称される。寄与リスクは、被曝露集団中の疾患事例数−非曝露集団中の疾患事例数として定義され、通常、曝露が取り除かれればなくなるであろう被曝露における事例数とみなされる。人口寄与リスクパーセントは、全集団中の疾患事例数−非曝露集団中の疾患事例数を、全個人数中の疾患事例数で除すとして定義される。それは、曝露に寄与する全集団中の疾患の過剰リスク、および集団が完全に非曝露であったときに達成されるであろうリスクにおける低減を評価する。
【0019】
さらに、疫学的な関連の評価は、以下において定義および説明される:南アジア心血管研究の方法論ワークショップ(The South Asian Cardiovascular Research Methodology Workshop)でThomas Songerにより発表され、www.publichealth.pitt.edu/supercourse/SupercoursePPT/1901 1-20001/19091.pptで入手可能な「Basic Epidemiology Measures of Association」;およびSaeed Akhtarにより、www.publichealth.pitt.edu/supercourse/SupercoursePPT/SOOl 1-9001/8861. pptに示される「Epidemiologic Measures of Association」。これら文献のいずれも引用により本明細書に記載されているものとする。
【0020】
本発明実施例において、コレステロール基準のマーカーとしては、総コレステロール、HDL、LDL、コレステロール粒度分布、総コレステロールの対LDL比、HDLの対LDL比、およびそれらの組み合わせなどが挙げられる。おそらく、もっとも一般的に用いられるマーカー、特に、生命保険業界において、CVDリスクとの関連で保険申込者の格付けに用いられるのは、総コレステロールの対HDL比である。血清トリグリセリド値は、現在、直接的比例または付加的な方法として使用され、すなわち、高血清トリグリセリド値(たとえば、約200mg超)は、高コレステロール系CVDリスクマーカーとの組み合わせでは、より高いリスクを割り当てている。
【0021】
本発明は、新規な知見であって、コレステロール系CVDリスクマーカーと血清トリグリセリド値との間の予想外の関係に基づく。上記のとおり、これまで、コレステロール基準の高CVDリスクマーカーと、高い血清トリグリセリド値との組み合わせでは、単なるコレステロール系CVDリスクマーカーに基づくリスク分析に比べ、CVDリスク係数を高めていた。ところが今、コレステロール基準の高CVDリスクマーカーおよび高トリグリセリド値の組み合わせについて従来信じられていた通念は誤りであることがわかった。むしろ、高血清トリグリセリド値とともにコレステロール系CVDリスクマーカーに基づいて高く割り当てられたリスク係数をもつ個人は、実際には、著しく低いCVDリスクをもつ。さらに、低血清トリグリセリド値との組み合わせで、コレステロール系CVDリスクマーカーに基づいて高く割り当てられたリスク係数をもつ個人は、コレステロール系CVDリスクマーカー単独での分析により予想されるよりも高いCVDリスクをもつ。このように、トリグリセリド値とコレステロール系CVDリスクマーカー値との間には、まったく予期できない逆の関係が存在する。
【実施例1】
【0022】
上記の関係は、コレステロール系CVDマーカーと血清トリグリセリド値とについて分析された保険申込者3,324,569名のサンプル集団についての研究により立証される。この研究は、保険申請後に66,722の申込者が死亡した時期の12年間を超える。上記コレステロール系CVDマーカーは、2つの集団間で比較され、相対的死亡率リスクが計算された。
【0023】
まず図1を参照すると、総コレステロールの対HDL比に対する相対危険度のグラフであり、血清トリグリセリド各濃度の効果を示している。注目すべきは、総コレステロール:HDL比が約5以上である個人の相対危険度は、血清トリグリセリド値に逆相関することである。たとえば、血清トリグリセリド値が350mgより高い個人について、その相対危険度は、血清トリグリセリド値が約300mg未満の個人よりも著しく低い。この効果は、具体的に、約200mg未満の最低血清トリグリセリド値で顕著である。また、約1.5の相対危険度において、逆相関トリグリセリド効果はもっとも顕著である。
【0024】
図2は、血清トリグリセリド値の別の群分け、すなわち約100mg未満、約250ないし300mgの間、および350mg超える群で示す以外は図1と同様である。ここでも、血清トリグリセリドの最高値は、低めの血清トリグリセリド値をはるかに下回るリスク係数をもつとして、血清トリグリセリド値の逆相関効果は明らかである。
【0025】
この効果は、実質的に、さまざまなタイプのコレステロール系CVDリスクマーカー全般に一貫している。LDL:HDL比に対する相対危険度を示す図3を参照すると、さまざまな血清トリグリセリド値の効果が示される。LDL:HDL比が約5より高いと、血清トリグリセリド値が最高値の個人の相対危険度は最低である。このデータおいて、該トリグリセリド効果は、トリグリセリド値が約300のときもっとも顕著である。
【0026】
図4は、HDL値が約40未満の個人は、その血清トリグリセリド値が200超であるときには相対危険度が低く、また、その血清トリグリセリド値が200未満のときには相対危険度が高いという、上記同様の関係を示す。さらに、相対危険度値約1.5以上において、トリグリセリド逆相関効果がもっとも顕著となることが観測される。
【0027】
血清トリグリセリド値と、コレステロールの種類および濃度の間には、おそらく、従来正しく評価されていない生体内の代謝関係があり、それは、割り当てられたCVDリスク係数に影響を及ぼし、図1−4に図示される結果をおそらく説明するものでもある。図5は、コレステロール系CVDリスクマーカーを考慮しない単なる高めの血清トリグリセリド値は、相対危険度と血清トリグリセリド値との間に直線比例関係を与えることを示す。つまり、血清トリグリセリド値が高いほど相対危険度は高くなる。だから、高血清トリグリセリド値の存在のみでは、図1−4の結果を説明することはできない。
【0028】
しかしながら、図6は、血清トリグリセリド値が高いほど、もっともCVDリスクを高くする原因と考えられる最小かつ最密のLDL粒子を著しく低減させることを示す。すなわち、その密度を高める原因であるLDLコレステロール粒子は小さいほど、動脈中で、より容易に凝集して、CVDを導くと考えられる。したがって、LDLコレステロールの割合を低下させることはなんでも有益とみなされる。たとえば、血清トリグリセリド値が約200mg超の個人であれば、小さく高密なLDLと、中間サイズの密集した粒子の濃度を顕著に低減される。このことは、さらに、本発明のトリグリセリド現象とは一層逆の説明といえよう。
【0029】
図7は、同様に、LDL:HDL比における高および低血清トリグリセリド値の効果を示す。たとえば、8以上の最高LDL:HDL比で、200mgより高い血清トリグリセリド値の存在は、実質的に、小さい低密度粒子を低減させる。他方、トリグリセリド値が200mg未満で、低密度粒子の割合は逆転する。総コレステロール/HDL比が低い場合、高トリグリセリド値は逆効果である、すなわち、200mg超のトリグリセリド値において、LDL粒子の低減が明らかでない限り、低密度粒子の低減はない。
【0030】
図1−4に例示された結果は、関連の相対危険度評価に基づいており、血清トリグリセリド値の効果は、相対危険度が約1.5以上、特に約2以上において、明確になり始めることを示す。しかしながら、本発明は、関連の評価として相対危険度の使用に限定されるものではなく、前述したようなさまざまな各種関連の評価を利用することができる。各種関連の評価の使用は、通常、本発明の血清トリグリセリド値基準のリスク係数調整に対し、別々の閾値を与える。そのようなものとして、利用可能な各種関連の評価のすべてについて閾値を割り当てることは困難もしくは不可能であろう。一般的な提言ではあるが、選択された有効なコレステロール系CVDリスクマーカーは、実質的に相対危険度分析において得られる値に等しい値を与える、すなわち別々の関連の評価値は、実質的に関連の相対危険度値と同一か、またはそのような相対危険度値と数学的もしくは統計的な関係がある。たとえば、選択されたコレステロール系CVDリスクマーカーは、実質的に相対危険度約1.5以上に等しいリスク係数を与え、その後、本発明の血清トリグリセリド値を用いるリスク係数調整が用いられる。
【0031】
当然、トリグリセリド値と、典型的なコレステロールに基づくコレステロール系CVDリスクマーカーとの間の通常の逆相関をいくつかの方法で表すことができる。これは、参照表の方法で行うことができ、すなわち、規定のCVDリスクマーカー値および血清トリグリセリド値を入力し、調整されるかもしくは最終のリスク係数が割り当てられる。別に、該関係は、CVDリスクマーカー値および血清トリグリセリド値の比として表すことができ、または、CVDリスクマーカーと血清トリグリセリド値との間の適切な関係を示すアルゴリズムが考え出されよう。本発明は、そのような代案をすべて包含する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】生命保険申込後12年以内に死亡した66,722人を含む生命保険申込者3,324,569人の集団についての総コレステロール/HDL比に対する相対危険度のグラフであり、該集団の相対危険度における、総コレステロール/HDLと、各種血清トリグリセリド値との組み合わせ効果を示す。
【0033】
【図2】血清トリグリセリド値が別の群分けを示すこと以外は図1と同様のグラフである。
【0034】
【図3】生命保険申込後12年以内に死亡した66,722人を含む生命保険申込者3,324,569人の集団についてのLDL/HDL比に対する相対危険度のグラフであり、該集団についての相対危険度におけるLDL/HDL比とさまざまな血清トリグリセリド値との組み合わせ効果を示す。
【0035】
【図4】生命保険申込後12年以内に死亡した66,722人を含む生命保険申込者3,324,569人の集団についてのHDL値に対する相対危険度のグラフであり、該集団についての相対危険度におけるHDL値とさまざまな血清トリグリセリド値との組み合わせ効果を示す。
【0036】
【図5】生命保険申込後12年以内に死亡した66,722人を含む生命保険申込者3,324,569人の集団についての、コレステロール系CVDマーカーと無関係の血清トリグリセリド濃度に対する相対危険度のグラフである。
【0037】
【図6】50歳以上の598人の集団について血清トリグリセリド値に対するLDL粒度分布のグラフであり、最低密度で最大粒子(A)、最高密度で最小粒子(B)、および中間の密度とサイズの粒子(AB)の各濃度におけるトリグリセリド値の代謝効果を示す。ここでの“割合(%)”とは、サンプル中の3種のLDL粒子、すなわちA(最大で最低密度)、B(最小で最高密度)およびAB(中間サイズで中間密度)のパーセントである。
【0038】
【図7】図6に説明のデータセットを用いるLDL:HDL比に対する割合(%)のグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に約1.5以上の相対危険度に相当するCVDリスク係数をもつ個人について、少なくとも1種のコレステロール系CVDマーカーと、該個人について血清トリグリセリド値とを決定する工程を含み、前記個人のリスク係数を該トリグリセリド値に対し逆の相関で調整することを含む、改善された個人の心血管疾患(CVD)リスク係数の査定方法。
【請求項2】
前記相対危険度が約2以上である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
選択されたCVD関連の評価を前記CVDマーカーに適用する工程、少なくとも一部は該CVDマーカーに基づいて前記個人の初期リスク係数を決定する工程、および前記血清トリグリセリド値に基づいて該初期リスク係数を調整する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記関連の評価が、相対危険度、オッズ比、絶対リスク、および寄与リスクからなる群より選ばれる請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記関連の評価が相対危険度である請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記トリグリセリド値が約200より高ければ前記リスク係数を低下させ、前記トリグリセリド値が約200未満であれば前記リスク係数を上昇させる工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記コレステロール系CVDマーカーが、総コレステロール、HDL、LDL、コレステロール粒度分布、総コレステロールの対HDL比、総コレステロールの対LDL比、HDLの対LDL比、およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記マーカーが総コレステロールの対HDL比である請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記個人の総コレステロールの対HDL比が約5以上であれば前記リスク係数を調整する工程を含む請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記個人の生命保険料率を、前記調整されたCVDのリスクの査定に基づいて調整する工程を含む請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記調整されたCVDのリスクの査定に基づき、投薬を保留または処方する工程を含む請求項1に記載の方法。
【請求項12】
以下の工程を含む個人の集団の心血管疾患(CVD)リスク係数の査定方法:
該集団の全個人についての少なくとも1種のコレステロール系CVDマーカーと、該集団の全個人についての血清トリグリセリド値とを決定する工程;
少なくとも一部は各人の前記マーカーに基づく関連の評価を用い、前記集団の個人それぞれに別々のリスク係数を割り当てる工程;および
前記集団の各人に割り当てられたリスク係数を、該各人のトリグリセリド値に基づいて調整する工程であって、該調整工程は、トリグリセリド値の低い各人に割り当てられたリスク係数は上昇させ、かつトリグリセリド値の高い各人に割り当てられたリスク係数は低下させる工程を含む。
【請求項13】
前記関連の評価が、相対危険度、オッズ比、絶対リスク、および寄与リスクからなる群より選ばれる請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記関連の評価が相対危険度である請求項13に記載の方法。
【請求項15】
割り当てられたリスク係数の値が実質的に約1.5以上の相対危険度に相当する各人について、前記調整工程を実施する工程を含む請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記相対危険度が約2以上である請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記トリグリセリド値が約200より高ければ前記リスク係数を低下させ、前記トリグリセリド値が約200未満であれば前記リスク係数を上昇させる工程を含む請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記コレステロール系CVDマーカーが、総コレステロール、HDL、LDL、コレステロール粒度分布、総コレステロールの対HDL比、総コレステロールの対LDL比、HDLの対LDL比、およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記マーカーが総コレステロールの対HDL比である請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記個人の総コレステロールの対HDL比が約5以上であれば前記リスク係数を調整する工程を含む請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記集団の各人の生命保険料率を、前記調整されたCVDリスクの査定に基づいて調整する工程を含む請求項12に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−532705(P2009−532705A)
【公表日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−504365(P2009−504365)
【出願日】平成19年3月7日(2007.3.7)
【国際出願番号】PCT/US2007/063491
【国際公開番号】WO2007/114989
【国際公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(508298145)
【Fターム(参考)】