説明

快適な伸縮性積層体を有する吸収性物品

開口部と、トップシート(20)へ取り付けられた少なくとも1つの弾性材(12)によって形成された、1つ以上の縦方向に伸びる弾性積層体部分(10)とを有するトップシート(20)を含み、前記弾性積層体部分(10)は、前記開口部の少なくとも一部分に沿って伸び、前記弾性積層体部分(10)は、少なくとも弛緩した、部分的に収縮した状態において複数のしわを持つ身体面表面を含み、前記弾性積層体部分(10)が完全に収縮した長さL及び完全に伸張した完全な長さLを有し、前記弾性積層体部分(10)の部分的な伸長がε=0.5であり、a)前記しわが600マイクロメートル未満の平均しわ高さHを有し、並びにb)前記弾性積層体部分(10)が、cmあたり5〜10の平均しわ密度Dを有する、使い捨て吸収性物品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トップシート材料(支持材)、及び弾性材(12)(及び所望により取り付け手段及び/又は取り付けシート及び/又はカバーストリップ(13))によって形成された、ほぼy方向の伸長(伸縮)を持つ1つ以上の弾性積層体部分(1つ又は複数)(10)を含むトップシート(20)を含む使い捨て吸収性物品に関し、前記弾性積層体部分(10)は深刻な圧着痕の危険を低減させるために、非常に低いしわの高さ及び選択された平均しわ密度を有する。弾性積層体部分(1つ又は複数)(10)は好ましくは非常に薄い。そのような弾性積層体部分(10)の支給は、全体としてやはりトップシート(20)及び吸収性物品のための優れた力特性を提供する。全体的に、使用中の圧着痕をほとんど又は全く発生させることなく、排出物の肌からの優れた隔離を提供する、着用が快適な吸収性物品が得られる。
【背景技術】
【0002】
幼児用おむつ、トレーニングパンツ及び成人用失禁衣類などの吸収性物品は、典型的に物品からの排出物の漏れを低減させるために、弾性レッグカフ及び/又はバリアカフを含む。それらはまた、しばしば、着用者が動く時にフィット性及び快適性を改善するために、伸縮性腰バンドを含む。ある種の糞便隔離用のおむつは、ユーザーの肛門とトップシート及び開口部の正確な位置合わせを確実にするために、またその結果、トップシートの下で糞便の最適な受け入れ及び隔離を確実にするために、弾性バンドに沿って大きな開口部をそこに有するトップシートを(また)含む。
【0003】
そのような物品のこれらの伸縮性部分は、典型的には、プラスチックフィルム又は不織布材料などの非弾性シートに積層された弾性材を含み、伸張状態における弾性材をシートに取り付けることによって得られる。従って、その結果得られる積層体は、未伸張の収縮状態において、及び部分的伸張状態において余分なシート材を含み、これによりしわが形成される。
【0004】
おむつのそのような伸縮性部分は、皮膚上の弾性部分の圧力に起因して、及び/又は皮膚を覆うしわの寄った伸縮性部分の擦れに起因して、使用中に不快であり得る。
【0005】
本発明者らはまた、たとえユーザーが伸縮性部分を不快なものとして経験しなくても、伸縮性部分により引き起こされる皮膚の発赤をユーザーにとって不快なものとして世話する人が認識する場合があることを見出した。
【0006】
本発明者らは、使用する際に少なくとも身体に面する面上に、(平均して)非常に小さいz方向寸法(高さ)のしわを有し、選ばれたしわ密度(cmあたりのしわ数)を有する弾性積層体部分(1つ又は複数)の使用によってこの問題が改善できることを発見した。本発明者らは、そのような弾性積層体部分が、非常に素早く消え、より煩わしくない(と感知される)、非常にわずかな軽い圧着痕(しわの窪み)を肌上に残すことを発見した。更に、そのようなわずかな圧着痕がやはり形成される場合、それは肌の炎症のリスクを引き起こすことは少ないと考えられる。本発明者らはまた、弾性積層体部分(1つ又は複数)は少なくとも自由縁領域において非常に薄いのが良いことを発見した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、優れた弾性特性と性能を維持しつつ、同時に圧着痕の問題を大きく低減し、又は全く圧着痕の問題を有さず、並びに使用する際により快適である吸収性物品が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、少なくともトップシート(20)に取り付けられた弾性材(12)、前記開口部の少なくとも一部に沿って伸びる前記弾性積層体部分(1つ又は複数)(10)、少なくとも弛緩し部分的に収縮状態において複数のしわのある身体面表面を含む前記積層体部分(1つ又は複数)(10)によって形成される、開口部及び1つ以上の縦方向に伸びる弾性積層体部分(1つ又は複数)(10)を有するトップシート(20)を含む使い捨て吸収性物品に関し、並びに前記弾性積層体部分(10)が完全に収縮した長さL及び完全に伸張された完全な長さLを有し、
弾性積層体部分(10)の部分的な伸長ε=0.5で
a)前記しわが、600マイクロメートル未満の平均しわ高さHを有し、並びに
b)前記弾性積層体部分(10)が、cmあたり5〜10のしわ、好ましくはcmあたり5〜9のしわ、又はある実施形態では5〜7.5又は更にcmあたり7のしわの平均密度Dを有する。
【0009】
前記弾性積層体部分(10)は、1つの実施形態では、(2.3kPa(0.33psi)、伸長ε=0.5)最高1.3mm、通常最高1.0mmの平均厚さを有する。
【0010】
その物品は、好ましくはおむつ、例えば、成人用失禁衣類、乳児用若しくは幼児用おむつ又はトレーニングパンツである。
【0011】
更に発明者らは、圧着痕が使用の際に濡れている可能性のある親水性弾性材によって生じる場合、その水分が肌の炎症を増加する可能性があるため、圧着痕が肌の炎症をもたらす可能性があることを発見した。このように発明者らは、積層体部分内に使用されるそのような不織布材は疎水性であるようにするのが良いことを発見した。
【0012】
トップシート(20)自体は、y方向に弾性伸縮可ではないことが好ましい場合がある。
【0013】
開口部は、細長いスリット開口部であってもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
「吸収性物品」は、液体を吸収及び/又は収容する着用可能な物品を指し、より具体的には、着用者の体に接して又は近接して配置されて、身体から排出される様々な排出物を吸収し閉じ込める物品を指す。本明細書で使用するとき、用語「おむつ」は、一般に幼児及び失禁症状のある者により胴体下部の周囲で着用される吸収性物品を指す。
【0015】
本明細書で使用するとき、「y方向」の伸長又は伸張は、トップシート(20)又は積層体部分(10)が、全体として平均方向における伸長又は伸張を有することを意味しており、これを本明細書において「y方向」と呼ぶ。これは、トップシート(20)若しくは弾性積層体部分(10)の長手方向軸線の45度以内の方向、又は長手方向軸線に平行な線であってもよい。
【0016】
「完全な十分に伸張した長さ」は、本明細書で説明される前記トップシート(20)又は部分(10)が、y方向にその最大長さまで伸張された時の、前記トップシート(20)又は弾性積層体部分(10)の長さである。
【0017】
「完全に収縮した長さ」は、トップシート(20)又は弾性積層体部分(10)の、それに伸張力が印加されていない時の、例えば、それが弛緩状態であり表面上で平坦な時の、長さである。
【0018】
「z方向」は、y方向に対して垂直で、実質的に弾性積層体部分(10)内のしわの高さの方向であり、本明細書において高さ又は厚さ寸法とも呼ばれる。
【0019】
「x方向」は、x方向及びy方向の両方向に対して垂直である。
【0020】
本明細書で使用するとき、「弾性」とは、品目が、ある方向に力を印加することによって拡張可能であるか又は伸縮可能であり、伸張力が解放された後、その方向にその元の長さの少なくとも80%に、しかしその元の長さの150%未満に、典型的にはほぼその元の大きさに戻ることを意味する。
【0021】
本明細書で使用するとき、「〜に沿って」とは、少なくとも部分的に平行であり、且つ極めて近接しているか又は更に接触していることを意味する。
【0022】
本明細書で使用するとき、トップシート(20)内の開口部とは、トップシート(20)によって完全に包囲されるがトップシート(20)材料は存在しない領域であり、糞便物を受け入れるのに十分に大きく、典型的には、少なくとも2cmの長さ又は幅であるか、又は少なくとも2cmの表面積を有する。
【0023】
本明細書で使用する時、用語「空隙空間」は、糞便物などの排泄物を受け入れて閉じ込める働きをする、少なくとも弛緩状態において存在する物品内の空洞であり、典型的には弛緩状態で少なくとも5cmである。
【0024】
本明細書で使用するとき、「取り付けられた」は「直接取り付けられた」及び「間接的に取り付けられた」を含む。例えば「a」を「c」へ、「c」を「b」へ取り付けることによって、「a」を「b」へ取り付ける。
【0025】
本明細書に値が規定されている特定の特性又は寸法によって規定されている各実施形態には、機能的に同等の特性又は寸法を備えている実施形態が含まれると理解すべきである。例えば0.5cmの寸法は、「約0.5cm」を意味すると理解すべきである。
【0026】
本発明の使い捨て吸収性物品は、生理用ナプキン、パンティライナー、又はおむつ、即ち、成人用失禁衣類若しくは(図1〜5に示すような)幼児用おむつ若しくはトレーニングパンツ若しくはプルアップ式パンツであってもよい。該物品は、本明細書に記載の弾性積層体部分(10)を有するトップシート(20)及び追加の構成要素を含み、典型的には少なくともバックシート(21)、吸収性コア(23)、及びコアカバーシート又はトップシート(20)を有する。
【0027】
本発明の吸収性物品は、少なくとも1つの弾性材(12)及びトップシート材料の一部から形成される少なくとも1つの弾性積層体部分(10)を含むトップシート(20)を含み、例えば図に示すように、それ自体は典型的には弾性伸縮可能ではない支持トップシート材料(13)、少なくともy方向の伸張(伸長)、又はy方向のみの伸張を有する前記弾性積層体部分(10)などである。その物品はまた、例えば、レッグカフ(24)又はバリアカフ(26)又は腰バンド(1つ又は複数)(25)などの、そのような弾性積層体部分(1つ又は複数)(10)を含む他の構成要素を含んでもよい。
【0028】
トップシート(20)の及び弾性積層体部分(1つ又は複数)(10)の最長寸法又は長さは、典型的にはトップシート(20)及び物品のy軸に対して平行であり、これは典型的には弾性積層体部分(10)及びトップシート(20)の平均伸張方向に対して実質的に平行である。例えば、レッグカフ(25)又はバリアカフ(26)もまた前記弾性積層体部分(10)を含むか又はこれから成る場合、レッグカフ(25)又はバリアカフ(26)及び前記積層体部分(10)のy方向は、典型的には物品のy方向及びy軸に対して実質的に平行であるか、又は概して平行である。
【0029】
前記トップシート(20)は、1つを超えるそのような積層体部分(10)を含んでよく、そのそれぞれは同一でもそうでなくてもよい。例えば、トップシートは少なくとも2つの別々の異なる弾性積層体部分(10)を含んでもよく、そのそれぞれは開口部の少なくとも一部に沿って置かれ、例えばそれによって、本明細書で後に述べるように、少なくとも1つの積層体部分(10)は開口部又はその一部の長手方向縁部それぞれに沿って置かれ、伸びる。
【0030】
トップシート(20)は(支持)トップシート材料及び弾性材(1つ又は複数)(12)からなってもよく、又は、例えば取り付け手段、取り付けシート、カバーストリップ(13)などのその他の構成要素を含んでもよい。
【0031】
弾性積層体部分(10)は、トップシート材料(13)又はその一部、弾性材(12)及び所望により接着剤(14)のような追加の構成要素、又はトップシート(20)及び弾性材(12)の間に置かれた取り付けシート、及び/又は弾性材の反対側を覆う追加のカバーストリップ(13)から形成されてもよく、例えば、それによって弾性材は2層のトップシート材料間、又は取り付けシート及びトップシート材料(1つ又は複数)、及び/又はカバーストリップ(13)間に挟まれてもよい。
【0032】
本発明の好ましい使い捨て吸収性物品は、図に示されるように、成人失禁衣類、プルオン又はトレーニング用おむつ及び乳児または幼児のファスナ付きおむつを含むおむつであり、それらは吸収性コア(23)、トップシート(20)の下、吸収性コア(23)の上に置かれた液体透過性コアカバーシート、液体不透過性バックシート(21)、所望により(弾性)サイドパネル(27)、(弾性)レッグカフ(25)、(弾性)バリアカフ(26)、(弾性)腰機構(24)、及び締着装置(28)を含んでもよい。図1に示す物品は、第1腰部区域と、第1腰部区域に対向する第2腰部区域と、第1腰部区域及び第2腰部区域間に位置付けられた股部区域とを有しており、各々は、物品の長さの約1/3である。
【0033】
好ましい実施形態では、バックシート(21)は、液体(例えば、尿)に対して不透過性であり、約0.012mm(0.5ミル)〜約0.051mm(2.0ミル)の厚さを有する熱可塑性フィルムなどの、薄いプラスチックフィルムを含む。バックシートフィルムとしては、インディアナ州テレホート(Terre Haute)のトレデガー・インダストリーズ社(Tredegar Industries Inc.)により製造され、商品名X15306、X10962及びX10964で販売されているものが挙げられる。他の適したバックシート材料としては、物品から蒸気を逃がす一方で、排出物がバックシートを通過することをなおも防ぐ通気性材料を挙げてもよい。代表的な通気性材料は、織布ウェブ、不織布ウェブ、フィルムコーティング不織布ウェブ、微小孔性フィルムなどの複合材料のような材料を含んでもよい。
【0034】
コアカバーシートは、好ましくは、順応性があり、柔らかな感触であり、着用者の皮膚を刺激しない。更に、コアカバーシートの少なくとも一部分は液体透過性であり、吸収性コア(23)により液体を下に吸収させる。適したコアカバーシートは、多孔質発泡体、網状発泡体、有孔のプラスチックフィルム、あるいは天然繊維の織布又は不織布材(例えば、木繊維又は綿繊維)、合成繊維(例えば、ポリエステル又はポリプロピレン繊維)、あるいは天然及び合成繊維の組合わせなど、広範囲の材料から製造されてもよい。コアカバーシートが繊維を包含する場合、その繊維は、スパンボンド、カーディング、湿式載置、メルトブローン、水流交絡、又は当該技術分野において既知の他の方法で加工されてもよい。
【0035】
本明細書に記載のコアカバーシート又はトップシート(20)のいかなる部分も、当該技術分野において既知のローションでコーティングされてもよい。適したローションの例としては、米国特許第5,607,760号、名称「皮膚軟化剤とポリオールポリエステル不動化剤を含有するローション処理されたトップシートを有する使い捨て吸収性物品(Disposable Absorbent Article Having A Lotioned Topsheet Containing an Emollient and a Polyol Polyester Immobilizing Agent)」(ロー(Roe)、1997年3月4日発行)に記載されるものが挙げられる。ローションは、単独で又は以上に記載された疎水性化処理剤のような別の剤と組合わせて作用してもよい。コアカバーシート及び/トップシート(20)は、抗菌剤を含んでも、抗菌剤で処理を施してもよく、このいくつかの例が、PCT公開番号WO95/24173号、名称「臭気制御のためトップシートの中に抗菌剤を含有している吸収性物品(Absorbent Articles Containing Antibacterial Agents in the Topsheet For Odor Control)」(テレサ・ジョンソン(Theresa Johnson)、1995年9月14日公開)に開示されている。
【0036】
吸収性コア(23)は、一般的に圧縮性であり、適合性があり、着用者の皮膚に刺激がなく、並びに尿及び他の特定の身体排出物などの液体を吸収し保持できる、いかなる吸収性材料を含んでもよい。吸収性コアは、多種多様の大きさ及び形状(例えば、方形、砂時計形、「T」字形、非対称など)で製造されてもよく、また使い捨ておむつ及び他の吸収性物品に通常使用される多種多様の液体吸収性材料、例えば、一般にエアフェルトと呼ばれる粉砕木材パルプ、及び好ましくは少なくとも超吸収性ポリマー類若しくは吸収性ゲル材料、又はその他いずれかの既知の吸収性材料又は材料の組合わせを含んでもよい。好ましくは、吸収性コアは超吸収性ポリマー又はいわゆる吸収性ゲル材料の(コアラップ又はカバーシートを除く、コア内の材料の内容の合計を基に)少なくとも80重量%よりなってもよい。
【0037】
その物品はまた、締着装置(28)を含んでもよく、それにより第1腰部区域及び第2腰部区域を、物品の周囲付近で横方向の引っ張りを与えて物品を着用者上に保持するような構成に維持する。締着装置(28)は、好ましくは、テープ状ひも、フック・ループ式締結構成要素、及び/又は両性締結構成要素などの表面締結具を含むが、その他いずれかの既知の締着手段が一般に許容可能である。代替の実施形態では、物品の対向する側面を縫い合わせるか、又は溶着させて、パンツを形成してもよい。これにより、そのおむつは、プルオン型おむつ又はトレーニングパンツとして使用できるようになる。トレーニングパンツは、着用者の脚を脚部開口へ挿入して、着用者の胴体下部周囲の適所へトレーニングパンツを滑らせることによって、着用者上の適所に設置される。
【0038】
その物品はまた、好ましくは弾性的又は非弾性的延伸性であるサイドパネル(27)を含み、弾性又は延伸性サイドパネルにより物品の側部が拡張及び収縮することができるので、最初に物品を着用者に適合的にフィットさせること、及び排出物で満たされてから時間が経過しても着用中にこのフィット性を維持することにより、より快適且つ体型に合ったフィット性を提供してもよい。
【0039】
該物品は、縦方向に伸び横断方向に離れて間隔をあけられた一組のバリアカフ(26)、及び/又は縦方向に伸び横断方向に離れて間隔をあけられたレッグカフ(25)を含んでもよく、それにより液体及び身体からの他の排出物の収容力が改善される。該レッグカフ及び/又はバリアカフはまた、本明細書にて後述されるような弾性積層体部分(10)を含んでもよい。
【0040】
弾性積層体部分(1つ又は複数)(10)を有するトップシート(20)
図1及び図2にも示されるように、トップシート(20)は少なくとも1つの弾性積層体部分(10)を含むが、1つの実施形態では、好ましくは少なくとも2つの別々の弾性積層体部分(10)を含む。
【0041】
積層体部分(10)それぞれは、弛緩/収縮状態で、及び部分的に伸張状態で、後述されるように、0.5εの伸長を含み、ユーザーの身体に面した少なくとも1つの皺を持つ面を有し、並びに使用中に肌と接触してもよい。弾性積層体部分(10)は2つ以上の、弾性材の一方の面に取り付けられた(好ましくは非弾性の)材料シート、及び弾性積層体部分の一方の面上に通常しわを含む積層体部分を含んでもよい。
【0042】
本明細書で述べられる前記しわの特性は、少なくとも弾性積層体部分(10)の身体面表面のしわに適用するが、前記積層体(10)の両面に適用してもよい。
【0043】
ε=(L−L)/L)である0.5εの伸長で、前記しわは、600μm未満の平均のしわの高さ(以下に説明するPRIMOS装置を使った「プリモス」方法によって測定)であり、通常600未満であるが、200μmを超えるか、又は550μm〜300μm、又は最高530、又は更に最高500μmである。本明細書における試験方法によって提出された、弾性積層体部分(10)の一区画の代表的なプリモス測定グラフは、図4に示されている。
【0044】
0.5εの伸長で、本明細書の弾性積層体部分(10)は、以下に説明されるプリモス法で測定した場合に、cmあたり5〜10のしわ数、更に6〜10、又は更に7〜10、又は場合によりcmあた最大9のみのしわ数の、平均しわ密度(cmあたりのしわ数)を有してよい。
【0045】
本発明の弾性積層体部分(10)は、少なくとも0.8又は更により好ましくは少なくとも1.0又は更により好ましくは少なくとも1.2の平均最大伸長εmax((L−L)/L、Lは弾性積層体部分の完全に伸張した長さ)を有し、又はそれは少なくとも1.4であってもよい。これらの値は以下の方法の項で説明される方法によって得ることができる。トップシート(20)は、弾性材がその領域に少なくとも0.5の伸長を提供することなくトップシート材料へ取り付けられる領域(通常0.5〜2cm、又は0.8〜1.5cm)を含んでもよく、並びにその後場合により、しわさえ存在しないことが理解されるべきである。弾性材が存在するが、0.5未満の伸長を有するような領域は、本明細書における弾性積層体部分(10)の一部とは見なされないことが本発明の目的として理解されるべきである。そのような領域は本明細書において「取り付け部分」と呼ばれてもよい。
【0046】
弾性積層体部分(10)のε=0.5の伸長を測定、獲得するために、弾性積層体部分(10)の完全に収縮した長さLは、まず以下のように測定される。
【0047】
弾性積層体部分(10)の付いたトップシート(20)は吸収性物品から取り除かれ、又は可能であれば弾性積層体部分(10)は物品から取り除かれ、どちらにしてもしわ特性及び弾性特性(即ち、使用する際ユーザーの身体に上向きに面する表面の特性)は変更されない。
【0048】
トップシート(20)又は弾性積層体部分(10)を、伸長又は伸張力を加えずに面上にできる限り平らに置く。次いで、トップシート(20)の弾性積層体部分(10)の完全に収縮した長さを測定する。本明細書において、これを積層体の完全に収縮した長さLと呼ぶ。
【0049】
次いで、ε=0.5での積層体部分(10)の長さを計算してもよく、これは1.5Lcとなる
(ε=(L−L)/Lに基づく)。
【0050】
その後、1.5Lで、この伸長0.5を得るために、積層体部分(10)を本明細書において後述される方法によって伸張してもよい。その後、しわの高さ、しわの平均高さ及び偏位、しわ幅、しわ間の距離、しわの平均密度及びその偏位を、後述されるプリモス装置を使って、プリモス法によって計算してもよい。
【0051】
通常、弾性積層体部分(10)は、少なくとも弾性積層体部分(10)の身体面表面上に、比較的又は実質的に均一なしわの高さ(分布)のしわを有する。例えば、10%未満又は好ましくは5%未満のしわが、800μm又はそれ以上、好ましくは10%未満又は更に5%未満のしわが、700又はそれ以上、又は更に650μm又はそれ以上であり、並びに95%又はそれ以上、又は更に全てのしわ(約100%)が600μm未満のしわの高さを有することも更に可能な場合がある。
【0052】
更に、しわ密度が弾性積層体部分を通してほぼ均一であり、例えば、2cmの区画では(長さの方向で、積層体部分に沿って)しわ密度が12を超えることはなく、2cmの区画では(長さの方向で、積層体部分に沿って)しわ密度が3未満、又は4未満ではないことが好ましい場合がある。(好ましくは、積層体部分(10)の各2cm区画では、しわ密度は5〜10であるか、又は上述の好ましい値の何れかであってよい。)
弾性積層体部分(10)の幅は、典型的にはトップシート(20)及び/又は物品の正確な寸法に応じて変化する。
【0053】
例えば、サイズ4のおむつの場合、本明細書のトップシート(20)における弾性積層体部分(10)は、完全な伸張状態において、約3mm〜50mm、好ましくは3mm〜40mm、又は更により好ましくは3mm、又は更に5mm〜20mmの平均幅を有してもよい。
【0054】
本明細書の弾性材(12)は通常非常に薄く、通常最高約200μm、又は更に最高150μm又は更に最高110μm、又は更に最高100μmの厚さ又はキャリパー(例えば、ゲージ)を有し、並びにそれらは、本明細書で定義されるように、少なくとも20μm、より好ましくは少なくとも40μm、又は更に少なくとも60μmである必要がある場合がある。非常に好ましい材料は、約70〜100μmの厚さを有する。
【0055】
適した弾性材には例えば、アイルランドのリメリック(Limerick, Ireland)にあるフルフレックス社(Fulflex)から入手可能な2L−89がある。
【0056】
本明細書のトップシート(20)は、図1及び2に示されるように、少なくとも1つの開口部、又は1つだけのそのような開口部を有し、並びに前記開口部(1つ又は複数)は(単一の)スリット開口部のえきじ形状をしていてもよい。開口部は股領域に、好ましくはトップシート(20)の前側腰部区域の一部(使用する際ユーザーの前側に向かう)に、及びトップシート(20)の後側腰部区域の一部に存在する。好ましくは、トップシート(20)は、トップシート(20)の長手方向軸線及びおむつの長手方向軸線に対して実質的に平行な長手方向寸法(長さ)を有する、スリット開口部を有する。(伸張状態において)トップシート(20)の開口部(1つ又は複数)は、開口部の長さ(又は複数の開口部の全長)の20%〜40%が、又はより好ましくは20%〜30%が、トップシート(20)の横方向軸線からトップシート(20)の前縁部に向かって延び、残りのパーセンテージが、トップシート(20)の後縁部に向かって延びるように構成されることが好ましい。
【0057】
開口部の寸法及び正確な形状は、トップシート(20)及び/又は吸収性物品のサイズに応じて変化してもよい。例えば、好ましい実施形態では、開口部はほぼ平行の長手方向側の縁部の付いたスリット開口部の形状をしており、前側及び/又は後側で、V字型又はU字型縁部によって接続されている。好ましい実施形態では、前側V字形縁部は、後側V字形縁部よりもより大きな角度を有する。好ましくは、前側V字形縁部は、本明細書にて後述され図1及び2から分かるように、20°〜140°、好ましくは45°〜65°、最も好ましくは55°〜60°の角度を有する。
【0058】
スリット開口部の最大長さは、吸収性物品の完全に伸張した全長Lsの、例えば40%〜90%、又はより好ましくは50%〜80%、又は更により好ましくは約60%〜70%であってもよい。
【0059】
好ましくは、特に45cm〜55cm、典型的には48cm〜52cmのトップシート(20)の最大の長さを持つサイズ4のおむつの場合、おむつが完全に伸張状態にある時、単一スリット開口部の長さは、20cm〜40cm、又は更に25cm〜35cm、又は更に28cm〜32cmであり得る。
【0060】
本明細書の開口部の平均幅は、完全な伸張状態で、トップシート(20)の(開口部幅を含む)平均幅の好ましくは5%〜30%、又はより好ましくは10%〜25%であり、例えばサイズ4のおむつの場合、15mm〜60mm、より好ましくは20mm〜40mmである。
【0061】
トップシート(20)は本明細書の1つの実施形態では、少なくとも2つの弾性積層体部分(10)を含み、通常一組の対向する、好ましくは少なくとも部分的に平行な、及び/又は少なくとも部分的に縦方向に伸びる弾性積層体部分(10)(伸縮性のある領域)、又は好ましくは鏡像の弾性積層体部分(10)を形成する。これは、同時係属出願EP−A−1201212に述べられ、並びに図1及び2に示されている。
【0062】
弾性積層体部分(10)は、好ましくは、開口部(1つ又は複数)の長手方向側縁部に沿って、トップシート(20)の前側及び/又は後側横方向縁部に向かって、又はトップシート(20)の前側及び後側横方向縁部まで完全に伸びる。従って弾性積層体部分(10)は、好ましくは開口部よりもより長い。好ましくは弾性積層体部分(10)は、トップシート(20)の全長に渡って、又は使用中に身体の排出物を受け取ることを目的とするトップシート(20)の少なくとも一部分、典型的には腰バンド(の一部)(存在する場合)を形成するトップシート(20)の部分を除いた部位上に置かれる。
【0063】
弾性積層体部分(10)は、好ましくは、中央部分を有して、これが対向する弾性積層体部分(10)の中央部分に対して実質的に平行であるように形作られる。
【0064】
2つの中央部分の各々は、好ましくは対応する弾性積層体部分(10)の完全に伸張された全長Lsの30%〜70%、好ましくは開口部の最大長さの約40%〜80%の長さを有し、これによって、弾性積層体部分(10)の全長が、トップシート(20)の最大長さの約70%〜90%、又は好ましくは約80%〜90%、又は好ましくは約85%であるのが好ましい。
【0065】
2つの対向する弾性積層体部分(10)の前端部分が、(トップシート(20)の平面内で)互いから離れて曲がり、その結果、2つの対向する弾性積層体部分(10)の対向する前端部分の終縁部間の距離が、2つの対向する弾性積層体部分(10)の中央部分間の距離より長く、同様に、2つの対向する弾性積層体部分(10)の対向する後端部分の終縁部間の距離が、2つの弾性積層体部分(10)の中央部分間の距離より長いことが好ましい。
【0066】
本明細書に記載されるように、弾性積層体部分(10)は通常角度がつけられており、それは、長手方向線が弾性積層体部分(10)の中央の直線部分(又は中央部分)を通り且つトップシート(20)の長手方向軸線に対して平行な状態で、10°〜40°の、又は好ましくは17°〜35°の、又は更により好ましくは20°〜35°の前側及び後側の角度を有する。
【0067】
そのような対向する角度付き弾性積層体部分(10)の対が本明細書でX形状を有するものとして参照されており、好ましいX形状が図2に例示されている。
【0068】
弾性積層体部分(10)又は積層体部分(10)の自由長手方向縁部は全体として、(2.3kPa(0.33psi)の圧力及び0.5の伸長で)1.3mm又はそれ以下、1.1mm又はそれ以下、又は1.0mm又はそれ以下、又は0.95mm(950μm)又はそれ以下の平均厚さを有してもよく、それは、本明細書の以下に説明される方法で測定した場合に、0.4mm(400μm)を超える、又は更に例えば0.6mm(600μm)を超えてもよい。
【0069】
ここで弾性積層体部分(10)は、2つの(積層された)層が存在する場合にそれらの組み合わせた坪量が好ましくは34g/m又はそれ以下であるとすれば、それぞれが坪量20g/m又はそれ以下、好ましくは坪量17g/m又はそれ以下の1つ又は2つの(積層された)層を持つ、1つ又は2つの(積層された)層を含んでもよい。
【0070】
通常、少なくとも1つのトップシート材料(13)が積層体部分(10)の一部分を形成し、それゆえ全体として弾性積層体部分(10)の少なくとも1つの層がトップシート材料(13)又はトップシート(20)の一部分であることが好ましい。
【0071】
トップシート(20)はまた、例えば図3に示されるように、特定の領域において、弾性材(例えばいわゆるサンドイッチ構造)をその中に有する2つの(積層された)層で作られてもよい。その後、例えば、トップシート(20)は、例えば坪量20g/m又はそれ以下、又は坪量17g/m又はそれ以下の1つ又は2つの(積層された)層の内の単一の(積層された)層から作られてもよい。
【0072】
トップシート(20)は全体として、積層体部分(10)の厚さ以下の平均厚さを通常有してもよい。
【0073】
本明細書においてトップシート(20)及び弾性積層体部分(10)は、弾性材(12)に積層するのに適したあらゆるシート材を含んでもよい。好ましくは、トップシート(20)及び積層体部分(10)のシート材はそれ自身y方向に弾性的な伸縮性がない。
【0074】
トップシート(20)は、好ましくは、空気透過性である。本明細書における特定の実施では、それは、高いバリア特性を有することが好ましい場合がある。トップシート(20)及び弾性積層体部分(10)は、好ましくは疎水性、及び/又は尿不透過性である。
【0075】
好ましいトップシート(20)及びその弾性積層された部分(1つ又は複数)(10)は、天然繊維(例えば、木繊維又は綿繊維)及び/又は合成繊維の織布及び不織布材を含む。それらは、好ましくは熱可塑性ポリマー繊維を含み、好ましくは、ポリオレフィン類、ポリエステル類、ポリウレタン類、及びポリアミド類を含む群から選択され、最も好ましくは、熱可塑性ポリマーが、ポリオレフィンであり、最も好ましくは、ポリプロピレン又はポリエチレンである。その繊維は、スパンボンドされても、カード加工されても、湿式積層されても、メルトブローンされても、及び/又は水流交絡されても、及び/又は当該技術分野において既知の他の方法で加工されてもよい。好ましくは、トップシート(20)及びその積層体部分(10)は、それ自身がメルトブローン及び毛羽立てられている又はスパンボンド材の層の積層体である1つ以上の不繊布材シートを含む。例えば、トップシートの1シート又は層は少なくとも2層の積層体であってもよく、その内の1つは少なくともメルトブローン(M)層であり、その内の1つは少なくともスパンボンド(S)又は毛羽立てられた(C)層である。
【0076】
好ましい手法は、SM SMS、SMMS、SSMS、SSMSS、SSMMS、CM又はCMC不織布積層体である。
【0077】
最も好ましくは、前記不織布ウェブは、ポリエチレン、ポリプロピレン及び/若しくはポリブチレンポリマー繊維、又はポリエチレン、ポリプロピレン及び/若しくはポリブチレンのコポリマーの繊維(の混合物)から形成され、最も好ましいのは、ポリプロピレンポリマー繊維である。
【0078】
トップシート(20)が、着用者の皮膚及びトップシート(20)間の、又は特に皮膚及び弾性積層体部分(10)間の摩擦を低減させる成分を含むことも好ましい場合がある。ここで積層体部分(10)又はトップシート(20)は、例えばローション、タルク粉体のような微粉体、若しくはワックスを含んでもよい。
【0079】
トップシート(20)又は積層体部分(10)は、その表面エネルギーを低下させるための剤で処理されてもよい。例えば有用な処理剤には、米国特許第5,876,753号(ティモンス(Timmons)ら、1999年3月2日発行)、米国特許第5,888,591号(グリーソン(Gleason)ら、1999年3月30日発行)、米国特許第6,045,877号(グリーソン(Gleason)ら、2000年4月4日発行)に記載されるような、フルオロカーボン類が挙げられる。その他の処理剤として、シリコーンが挙げられる。空気透過性を低下させることなく処理剤を材料に適用する有用な方法は、米国特許特許第5,322,729号及びPCT国際公開特許WO96/03501に見出すことができる。好ましい処理剤は、フルオロカーボン類、シロキサン類、ポリシロキサン類(好ましくは、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、並びにフッ化ビニル及びフッ化ビニリデン、フルオロアクリレート及びフルオロメタクリレートを包含する、フッ素化モノマー類及びフッ素化ポリマー類が挙げられる)から成る群から選択されてもよい。非常に好ましくは、トップシート(20)はポリ(テトラ)フルオロエチレン、フッ素化エチレン−プロピレンコポリマー、及び/又はフッ素化エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマーで提供される。
【0080】
本明細書の弾性積層体部分(10)の付いたトップシート(20)及び/又は積層体部分(1つ又は複数)(10)は通常、以下の弾性特性の1つを有する。
a)1.1N未満又は更に0.6N未満の第1負荷力により1.5Lt、2.1N未満又は更に1.1Nの第1負荷力により3.0Lt、及び3.0N未満又は更に1.5N未満の第1負荷力により4.5Lt、並びに4.5Ltで0.9N超過の第2負荷軽減力、3.0Ltで0.5N超過の第2負荷軽減力、及び1.5Ltで0.1N超過の第2負荷軽減力。
(同時係属出願EP1201212−Aで説明される方法によって入手可能な前記弾性特性であり、Ltはトップシート(20)又は弾性積層体部分(10)のいずれか該当するものの収縮長であり、本明細書ではLと呼ばれる。)
又は:
b)0.6N未満の第1負荷力により0.25L、5N未満又は更に3.5N未満の第1負荷力により0.55L、及び10.0N未満又は更に7.0N未満の第1負荷力により0.8L、並びに0.55Lで0.4N超過の第2負荷軽減力、及び0.80Lで1.4N超過の、又は更に2.0N超過の第2負荷軽減力。
(同時係属出願EP1201212−Aで説明される方法によって入手可能な前記弾性特性であり、Lは、本明細書で指定されているように、弾性積層体部分(10)又はトップシート(20)のいずれか該当するものの完全に伸張した長さである。)
【0081】
好ましくは、トップシート(20)及び/又は弾性積層体部分(10)は、200%の伸長で1.6N以下の第1負荷力、及び200%の伸長で0.5N以上の第2負荷軽減力を有するように、力特性を有する。
【0082】
弾性材(12)は、弾性積層体部分(10)又は通常トップシートを、接着剤結合及び超音波結合を含むあらゆる方法で形成する1つ以上の支持シート又は層又は不織布に取り付けられてよいが、接着剤(14)の使用が好ましい場合がある。接着剤(14)は、本明細書でまた主張されているように、必要なしわ密度及びしわの高さが達成されるように付けることができる。
【0083】
好ましくは、弾性材(12)は、トップシート及び/又は本明細書で言及されているしわの高さ及び密度を得るのに適している特定のパターンの使用により弾性積層体部分内に含まれる他の材料へ取り付けられ、前記パターンは取り付け領域(14)及びその中の非取り付け領域を提供する。これらの例は図5及び6に示されている。
【0084】
好ましくは、弾性積層体部分(10)は、取り付け領域(1つ又は複数)(14)の隣接する横断方向部分間の平均距離は0.3mm〜2.5又は〜2.0mm、又は好ましくは0.6〜1.2mmとなるよう、長さLの完全に伸張した制約されていない状態でほぼ横断方向の取り付け領域(14)を有してもよい。好ましくは、横断方向部分(前記完全な伸張状態での弾性積層体部分(10)内で)平均幅(実質的に伸張の方向で)は0.2mm〜1.2mm、又は好ましくは0.3mm〜0.8mm、又は更に0.5又はそれ以下であってもよい。
【0085】
例えば、取り付け手段としては、接着剤(14)の均一な連続層、接着剤(14)のパターン付きの層、又は一列の別個の線、らせん、「Ω」型の線、又は接着剤(14)の点を含んでよい。接着剤(14)は例えば、間欠的な縞模様、好ましくは弾性積層体部分に沿って(実質的に)横断方向に置かれた直線の縞で、例えば図5に示されるように、弾性積層体部分(10)の長手方向に対してほぼ垂直に付けられる。好ましくは、隣接する接着剤(14)の縞(図5にも示されている、取り付け領域(14))間の平均距離は0.3mm〜2.5又は更に〜2.0mm、又は好ましくは〜1.5mm、又は更に0.6〜1.2mmであってもよい。好ましくは、縞は1.2mm未満、好ましくは0.3〜0.8mm、又は更に0.5mm又はそれ以下の平均幅(伸張のy方向に)を有してもよい。
【0086】
好ましくは、隣接する縞間の平均距離に対する縞の平均幅の比(比R接着剤)は、約4:10〜8:10又は6:10、又は例えば約1:2であってもよい。
【0087】
接着剤(14)はまた、図6に示すようにいわゆるΩパターンで付けられてもよく、Ωの形状の各部分は、平均「基線」から出発しそこへ到着する上向き「レッグ」及び下向き「レッグ」を持つ「ループ」を有する。これによって、Ω線自身は取り付け領域(14)の幅に対して上述のような平均幅を有してよく、隣接する「ループのレッグ又は隣接するループ」間の距離は取り付け領域(14)間の距離に対して上述のようであってよく(その結果各「レッグ」は取り付け領域(14)として見なされる)、又は隣接する「ループ」間の距離は、隣接する取り付け領域(14)間の距離に対して本明細書で上述されているようであってよく、並びにループの平均幅は取り付け領域(14)の平均幅に対して上述のようであってよい(その結果ループは全体として取り付け領域(14)である)。いずれの場合も、R接着剤もまた上記のようであってよい。
【0088】
試験方法
弾性積層体部分(10)を伸長ε=0.5まで伸長する方法。
その完全に伸張した長さL及びεmaxの測定方法。
【0089】
弾性積層体部分(10)は、図1及び2に見られるように、直線でも曲線でもよく、又は1つ以上の角度でお互いに結合した複数の直線部分を含んでもよく、又はそのような構成の組み合わせであってもよい。これは、本明細書において、それぞれ「一直線状」、「曲線状」又は「角度付き」の弾性積層体部分(10)、若しくは例えば、それぞれ「曲線状及び角度付き」の弾性積層体部分(10)などと呼ばれる。
【0090】
以下の各ケースでは、試料(例えば、トップシート又はそのように分離できる場合は、好ましくはその弾性積層部分)は24時間、湿度50%、温度23℃の条件での吸収性物品から得られる。
【0091】
1)弾性積層体部分(10)が一直線状である場合:
弾性積層体部分(10)又はトップシートは全体として、弾性積層体部分(10)Lの収縮の長さを測定するために、上述のように平らな面上で得られ、置かれる。
弾性積層体部分はその後、1.5L(ε=0.5に等しい)まで、又は完全に伸張した長さLまで引き伸ばされ、以下のようにεmaxを測定する。
試料(弾性積層体部分の付いたトップシート又はその弾性積層体部分)を、同じ条件下でその後実施される、以下の伸長/伸張段階の前に24時間、温度25℃、湿度50%で放置する。
マイクロメータねじを用いて、試料の長さの測定を行うことができる。
試験される試料は、2つのピンセット間に縦方向に(伸張の方向に)置くか、又は試料の幅が1cmを超える場合は、1cm幅の2つのクランプ間に各端に1つずつ置く。それによりピンセット/クランプ及び試料の接触領域は多くてもクランプに対し1mm、伸張(長さ)の方向でピンセットに対し0.5mmである。一方のクランプ又はピンセットの始点から他方のクランプ又はピンセットの起点までの間の正確な距離を測定する。これは試料、例えば積層体部分の収縮長である。
一直線状の試料に関して、クランプ又はピンセットは、長さ方向が伸長力の方向であるように、一直線状の試料の長さのy方向に移動される。
試料はこのように、その最大伸長まで伸張されてよく(例えば支持トップシート材料(13)がその最大長まで達したとき)、試料の長さ及びクランプ間の距離を測定し、伸長εmaxを計算する。
あるいは、試料はε=0.5まで伸張されこのように伸張された試料を以下に説明するプリモス方法に付する。
【0092】
2)弾性積層体部分(10)が「角度付き」である場合:
弾性積層体部分(10)に細いマーカーペンで印を付けることによって、いくつかの直線パーツに分ける(すなわち角度の間)、例えば3つの直線パーツなど。試料が準備され、上述のように条件を設定される。
その後、直線パーツはそれぞれ、上述の方法で直線の弾性積層体部分(10)に対しε=0.5又はεmaxまで別々に引き伸ばさる。例えば、試料が2つの角度及び3つの直線パーツを含む場合、3つの力線が測定され、試料は3段階で伸張される。
【0093】
3)弾性積層体部分(10)が曲線状である場合:
曲線状の弾性積層体部分(10)を、細いマーカーペンで2cmの完全な長さの区画及びおそらくはより短い長さの残りの一区画に分割する。試料が準備され、上述のように条件を設定される。
伸長の前に、2cmの各区画の力線(又は2cm未満の1つの区画)が以下のように測定される。各区画は、2cm離間した2つの横方向縁部線を有し、また各横方向縁部線は、中心点を有する。前記2つの横方向縁部線の前記2つの点を通る線を引くことができる。これが「y方向線」すなわち力線であり、これに沿って力を印加し前記区画を伸長する。これを各区画に関して実施する。
その後各区画は、直線の弾性積層体部分(10)に対し上に説明した方法によって、しかしそれ自身の力線に沿って各区画を別々に引き伸ばすことによって、ε=0.5又はその最大伸長εmaxまで、別々に引き伸ばされる。
全ての区画の伸張の後、完全に伸張された完全な長さを各区画に対して、及び弾性積層体部分(10)に対して測定してもよく、L及びεmaxを計算してもよい。
【0094】
4)混合弾性積層体部分(10)
弾性積層体部分(10)が、曲線部分、角度付き部分及び/又は一直線部分の組合わせを含む場合、それに応じて上記の方法の組合わせを適用する。
【0095】
プリモス法:
しわの高さ及び密度、平均及びその偏位の測定
以下に述べるのは、トップシート(20)の積層体部分(10)のしわの高さ及び密度の測定方法である。
【0096】
本明細書で述べている方法によって定義され、得られる0.5の伸長を有する各試料を、製造業者の取扱説明書に従い13×18mmのレンズを用いて、プリモス装置及びそのデータ収集ソフトウェアを用いて検査する。
【0097】
弾性積層体部分(10)が3mm超過の平均幅を有する場合、上記の測定は、その長さに沿って、積層体部分の幅の内側70%上についてのみ行われる。
【0098】
プリモス装置は、図4に示すように、試料の測定された区画ごとのグラフを提供し、しわあたりの正確な値(例えば高さ、幅)を提供し、並びにcmあたりのしわの平均、しわの高さ、偏位などを計算できる。
【0099】
厚さの測定
ε=0.5の伸長を有する、本明細書の弾性積層体部分(10)の厚さ及び平均厚さは、ツイングアルバート−フランク社(Twing Albert-Frank GmbH)から入手可能なFrank16303マイクロメータの使用によって得られる。試験は、温度23℃、湿度50%で実施される。試料は、このキャリパー試験を実施するのに必要とされる0.5の伸長までそれを引き伸ばす前に、これらの条件の下に調整されていたので、試料は上で説明したようなこの湿度及び温度へ既に調整されているはずである。装置は試験前に調整される。プレッシャーフットの低減速度を3mm/秒に設定し、滞留時間を2〜5秒に設定する。
【0100】
アンビルの大きさ(表面積)は弾性積層体部分(10)の大きさによって選び、その後プレッシャーフットの重量を、2.3kPa(0.33psi)の必要圧力が得られるように選ぶ。
【0101】
例えば、直径40mmのアンビルを使用し、本明細書の好ましい弾性積層体部分(10)を測定するために295グラムの合計重量(80グラムのプレッシャーフットに加え、追加の115グラム)を加える。
【0102】
弾性積層体部分の平均厚さを得るため、測定ごとにアンビルによって押された領域がオーバーラップしないよう、弾性積層体部分のいくつかの部分に対し試験を繰り返す。その後、平均を計算してもよい。また、厚さの偏位を計算してもよい。
【0103】
「発明を実施するための最良の形態」で引用したすべての文献は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に対する先行技術であることを容認するものと解釈されるべきではない。この文書における用語のいずれかの意味または定義が、参考として組み込まれる文献における用語のいずれかの意味または定義と対立する範囲については、本文書におけるその用語に与えられた意味または定義を適用するものとする。
【0104】
本発明の特定の実施形態を説明記述してきたが、本発明の精神範囲から逸脱することなく他の様々な変更修正を行えることが当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明の代表的なおむつの斜視図。
【図2】本発明の代表的なおむつの平面図。
【図3】図1に示されるように、弾性積層体部分(10)を持つトップシート(20)の一部の斜視図。
【図4】プリモス装置及びソフトウェアを使用してプリモス法で得られた弾性積層体部分(10)の区画の測定結果を示しており、しわの高さ及びしわの幅(及びそこから得られた密度)を示している。
【図5】本明細書で述べている、弾性材を、トップシート材料又は弾性積層体部分内に含まれるその他の材料に取り付けるのに使われてもよい取り付け領域(14)を持つ代表的な取り付け(接着剤(14))形態を示している。
【図6】本明細書で述べている、弾性材を、トップシート材料又は弾性積層体部分内に含まれるその他の材料に取り付けるのに使われてもよい取り付け領域(14)を持つ代替の取り付け(接着剤(14))形態を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部と、トップシート(20)へ取り付けられた少なくとも1つの弾性材(12)によって形成された、1つ以上の縦方向に伸びる弾性積層体部分(1つ又は複数)(10)とを有するトップシート(20)を含み、
前記弾性積層体部分(10)は、前記開口部の少なくとも一部分に沿って伸び、
前記弾性積層体部分(10)は、少なくとも弛緩した、部分的に収縮した状態において複数の皺を持つ身体面表面を含み、
前記弾性積層体部分(10)が完全に収縮した長さL及び完全に伸張した完全な長さLを有し、
前記弾性積層体部分(10)の部分的な伸長がε=0.5であり、
a)前記しわが600マイクロメートル未満の平均しわ高さHを有し、並びに
b)前記弾性積層体部分(10)が、cmあたり5〜10の平均しわ密度Dを有する、使い捨て吸収性物品。
【請求項2】
前記弾性積層体部分(10)が、(2.3kPa(0.33psi)及びε=0.5の伸長にて)0.4mm〜1.1mm、又は更に〜1mmの平均厚さを有する、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
積層体部分(10)が22g/mm又はそれ以下、好ましくは20g/m、17g/m、又は13g/mの坪量を有する1つ又は2つの不織布積層体シートを含み、好ましくは17g/m又はそれ以下の坪量をそれぞれ持つ1つ又は2つの不織布積層体シートを有する、請求項2に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項4】
前記弾性材(12)は、通常は接着剤を含む取り付け領域(14)の使用によりトップシート(20)へ取り付けられ、前記取り付け領域(14)は、横断方向の取り付け領域のループ部分を持つΩパターンの塗布形状、又は断続的な横断方向の縞の取り付け領域(14)の形状を有し、完全に伸張した状態Lsで、隣接する横断方向の取り付け領域間又は領域部分(14)間の平均距離が0.3〜2.2mm、又は0.6〜1.2mmである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項5】
前記取り付け領域(14)の平均幅が(y方向で、完全に伸張された状態で)0.3mm〜0.8mmであり、好ましくは0.5mm又はそれ以下、及び/又は前記平均幅と前記平均距離の比が4:10〜8:10又は6:10、或いは好ましくは1:2である、請求項4に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項6】
前記トップシート(20)の少なくとも身体面表面及び/又は前記弾性積層体部分(10)が疎水性であり、好ましくは0.0003N/cm(30ダイン/cm)未満、又は更に0.00027N/cm(27ダイン/cm)未満の表面エネルギーを有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項7】
前記トップシート(20)が、200%の伸長で1.6Nまたはそれ以下の第1負荷力、及び200%の伸長で0.5Nまたはそれ以上の第2負荷軽減力を有するような力特性を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項9】
おむつ又は成人用失禁衣類であり、前記開口部が細長いすき間の開口部であり、前記トップシート(20)が、開口部の長手方向縁部に沿って横方向に対向する少なくとも2つの弾性積層体部分(10)を含み、それにより少なくとも1つの弾性積層体部分(10)が開口部の各長手方向縁部に沿って、おむつ又は衣類の前側横断方向及び/又は後側横断方向へ向かって、又はおむつ又は衣類の前側横断方向及び/又は後側横断方向まで伸びる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項10】
開口部と、ほぼ横断方向の(伸張の方向に対し垂直の)取り付け部分を含む取り付け領域(1つ又は複数)(14)でトップシート(20)へ取り付けられた少なくとも1つの弾性材(12)によって形成された、1つ以上の縦方向に伸びる弾性積層体部分(10)とを有するトップシート(20)を含み、
前記積層体部分(1つ又は複数)(10)は、前記開口部の少なくとも一部に沿って伸び、
前記積層体部分(1つ又は複数)(10)は、少なくとも弛緩した、部分的に収縮した状態において複数の皺を持つ身体面表面を含み、
前記弾性積層体部分(10)が完全に収縮した長さL及び完全に伸張した完全な長さLを有し、並びに
a)前記完全に伸張した状態で、取り付け領域(1つ又は複数)(14)の隣接する横断方向部分間の平均距離が0.3〜2.2mm、又は好ましくは0.6〜2.2mm又は〜1.2であり、並びに(ほぼ伸張の方向で)横断方向部分の平均幅(前記完全に伸張した状態で)が0.3mm〜1.2mm、又は〜0.5mmである、及び/又は
b)前記平均幅と前記平均距離の比が4:10〜8:10又は6:10、又は好ましくは約1:2である、使い捨て吸収性物品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2009−521971(P2009−521971A)
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−548054(P2008−548054)
【出願日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際出願番号】PCT/IB2006/055009
【国際公開番号】WO2007/074419
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】