説明

患者へのガス送出を検出するシステム

本発明は、換気療法の分野で使用されるフィードバック及び制御システムにおける改良を提供する。具体的には、患者に供給ガスを送出するシステムが記載され、本システムは、流れるガスの湿度、温度、流量、及び他の特性を検出する装置(11)を収容するのに使用される取り外し可能なカートリッジ又は開放管部分(22)を組み込んでいる。センサから得られた情報を用いて、患者(1)に最適に給湿されたガスを供給するために、給湿装置を制御するコントローラ(9)にフィードバックを供給することができる。本発明の好ましい実施形態で説明されたフィードバック及び制御システムは、呼吸管理全体において、又は換気装置と共に使用することができる点を理解されるであろう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湿度、温度、及び流量の検出に関し、具体的には、これだけではないが、換気の目的における患者の呼吸を補助するよう最適に給湿されたガスの供給、あるいは腹腔鏡、内視鏡、又は眼の手術のような、他の医療処置のためのガスの供給に関する。
【背景技術】
【0002】
患者の呼吸を補助する技術分野において幾つかの方法が知られている。持続性陽圧気道圧、すなわちCPAPは、通常鼻マスクにより患者に加圧空気を投与することを必要とする。これは、いびき及び閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)、すなわち吸息中に上気道が繰り返し潰れることにより特徴付けられる状態の治療に利用されている。陽圧が副木として上気道を開き、該上気道の潰れを防止する。経鼻CPAPを利用したOSAの治療は、効果的且つ安全であることが証明されているが、CPAPは使用が困難であり、大多数の患者は、特に治療の初期段階でかなりの副作用を経験する。
【0003】
上気道の症状は、CPAPを用いた治療に悪影響を及ぼす。粘膜の乾燥は不快であるため、夜中に患者を起こす場合がある。一般に翌日中にリバウンドによる鼻づまりが生じ、これはウィルス感染に類似する。治療しない場合には、上気道の症状がCPAP使用の頻度に悪影響を及ぼす。
【0004】
鼻の抵抗が増大すると、咽頭に送出されるCPAP治療のレベルに影響を及ぼし、治療の効果を低下させる場合がある。個々の圧力はCPAPを使用する患者毎に決められ、この圧力がマスクに設定される。鼻の抵抗の変化は、咽頭に送出される圧力に影響を与え、その変化が十分大きい場合には、いびき又は気道の潰れが再発する可能性がある。
【0005】
このような症状はまた、患者が人工呼吸装置を装着している病院環境においても発生する可能性がある。通常このような状況では、患者は挿管されている。従って、咽喉組織が刺激されて炎症を起こし、患者への苦痛及びさらなる呼吸器系の問題を引き起こす可能性がある。
【0006】
鼻の疾患を抑える薬物投与、又は寝室の暖房を含む幾つかの方法が、こうした上気道症状の治療に用いることができる。最も一般的に使用される方法の1つが、インライン型給湿器を使用した吸気の給湿である。現在のところ2つの型式の給湿器が使用されている。冷間通過式(Cold pass−over)給湿器は、大きな水面に曝すことにより空気を給湿することに基づいている。これは安価であるが、給湿出力は高速流量において低く、25L/分を超える流量で典型的には2〜4mg/Lの絶対湿度である。この出力では粘膜の乾燥を防ぐには不十分である。温水バス式(Heated water bath)給湿器は、より効率的で高速流量においても高レベルの給湿を発生する。この給湿器は上気道粘膜の乾燥を防ぐのに効果的であり、鼻の抵抗の増加を防ぎ、さらに上気道症状を治療する最も信頼性のある手段である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これらアクティブシステムのいずれにも、給湿器を患者に接続する管にある程度の結露(水滴の滴下)が生じることになる。結露の程度は周囲の温度に依存するところが大きく、周囲温度とガス温度との違いが大きいほど結露も多くなる。呼吸管内で大量の水が生成されると、患者に対して重大な不都合を生じ、気体の冷却を促進し、最終的に管を閉塞するか、あるいは患者に放出する可能性がある。また、呼吸ガスが周囲温度と大きく離れた温度で送出されると、患者は不快を感じる場合がある。また過度の結露は、結果として給湿器内の水を効率的に利用できなくなる。
【0008】
病院環境においては、該病院環境内の大気温度は例えばエアコンによって制御されるので、装置によって供給される給湿ガスに必要な温度は、導管内での結露を防止するために周囲温度に十分近い設定温度パラメーター内で制御することができる。しかしながら、それでもなお、ガスが実際に患者に供給されるときには、ガスの温度及び湿度を良好に制御する必要がある。
【0009】
ユーザが自宅で給湿装置を使用する必要がある在宅介護環境においては、周囲温度及びガス温度の範囲は病院環境での範囲をかなり上回る可能性がある。在宅介護環境においては、ユーザは通常、ガス供給導管の端部に接続されたフェースマスクを着用することになり、該ガス供給導管は、呼吸及び睡眠時無呼吸障害の治療用の給湿器及び/又は換気装置あるいはCPAP装置と共に流体連通することができる。さらに、非アクティブ給湿器は、一般に既知の通過式給湿技術を利用して使用される。
【0010】
腹腔鏡又は内視鏡手術の場合のような、手術のために患者の内腔が膨張される医療処置においては、内腔組織を乾燥させないようにするため、及び患者の回復時間を向上させるために、内腔に入るガスは湿度があり且つ体温と同じであることが重要である。
【0011】
Fisher and Paykel Limitedに付与された米国特許第5640951号明細書においては、給湿式呼吸補助装置用の加熱導管が開示されており、これは加熱された導管の端部位置に温度プローブを含む。導管を加熱することによって、導管内の結露に関する問題を解決することができる。しかしながら、供給されるガス温度(及び、従って導管加熱要素21への電力入力)に対して閉ループ制御を実施するために、供給される位置のできるだけ近くで温度を測定する必要がある。この目的のために含まれる温度プローブ及びこれに関連する配線によって、フェースマスク又は挿管される患者への取り付け具が大型になり、従って患者に不快感を与える。また、他の医療処置に関しても、プローブ及びこれに関連する配線は、差し込み口で取り付け具が大型となるため、外科医の妨げとなり、又は差し込み口近傍で圧迫創傷を生じる。
【0012】
Fisher and Paykel Limitedの国際公開WO01/13981号明細書では、給湿器及び加熱導管を含む、患者に対して望ましい湿度レベルで給湿されたガスを送出するよう構成された呼吸補助装置が開示されている。この給湿器はコントローラを含み、ガス流量のパラメーター及び給湿器への必要な電力入力を決定し、必要とされる患者湿度で患者にガスを送出する。第2の実施形態では、導管加熱要素が設けられ、コントローラは、制御回路に正しく接続されているかどうかを判断する。給湿器の加熱プレートは、特定の温度(設定ポイント)に制御されるか、あるいは加熱プレートの出力が、流量及び/又は周囲温度の推定値又は測定値により制御される。導管内の加熱要素は、流量及び周囲温度の測定値又は推定値によりヒータへの出力を制御することによって制御される。これは、プローブ及び外部センサの必要性を排除する。この装置のブロアー又はファンは、CPAP療法の目的で圧力制御される。このシステムでは、患者に供給されるガスの湿度は、特に高速流量においてあまり正確ではない。
【0013】
上述の欠点を克服する幾らかの助けとなり、あるいは少なくとも社会又は産業に有益な選択肢を提供する、患者にガスを供給するシステム及び検出手段を提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
従って、本発明は、患者に供給ガスを送出するためのシステムであり、ガスの流れを与えるガス供給手段と、ガス供給手段からガスを受け取り、ガスを患者に送出する前にあるレベルの湿度まで給湿することができる給湿手段と、ガスを給湿手段から患者まで運ぶ輸送手段と、ガスの流れから湿度、温度、又は他の特性を検出する検出手段と、を備え、検出手段が、給湿手段と輸送手段との間にインラインで取り外し可能に結合されたハウジング内に収容されることを特徴とする。
【0015】
第2の態様において、本発明は、ガスが給湿器によって給湿された後に、ガスの湿度、温度、又は他の特性を検出して、給湿器を制御するコントローラにフィードバックを供給する検出手段であり、カートリッジ又は開放管部分と、センサと、通気可能手段と、を備え、カートリッジ又は開放管部分がセンサに結合され、センサが、通気可能手段により導管の部分を通るガスの流れに曝されていることを特徴とする。
【0016】
さらに別の態様において、本発明は、上述の検出手段を含む患者に供給ガスを送出するシステムである。
【0017】
本発明に関連する当業者であれば、添付の請求項で定義された本発明の範囲から逸脱することなく本発明の構成における多くの変更並びに様々な実施形態及び用途を思いつくであろう。本明細書における開示及び説明は純粋に例証であって、どのような意味においても限定を意図するものではない。
本発明は上記の内容からなり、また以下の実施例を与える構成が想定される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に添付図面を参照しながら発明の1つの好ましい形態を説明する。
本発明は、患者に、より具体的には給湿チャンバーの下流側すなわちシステムのウェット側の温度又は湿度を検出できる検出手段にガスを送出するためのシステムを提供する。この検出手段、又は、例えばセンサ・ハウジング又はカートリッジである検出手段の一部は、取り外して、例えば加圧滅菌器で清浄にするか、あるいは廃棄して取り替えることができる。そのため、2度目又は引き続いて検出手段又はセンサを使用する際に患者間の交差汚染の可能性はない。本発明の検出手段は、フィルタ材料によってウェット側の汚染からセンサを保護することを可能にする。従って、ウェット側の汚染がセンサの性能に影響を及ぼすことが防止される。
【0019】
また、検出手段は、給湿器の後の正確な検出を可能にし、従って、給湿器のフィードバック制御のための効果的な入力の生成、及びより具体的には給湿器を通るガスの加熱並びに給湿を可能にする。
【0020】
本発明の検出手段は、腹腔鏡、眼又は他の外科的処置、気管切開した患者、及び経気管吸入など、特に給湿ガスを供給するシステムにおける様々な用途に使用することができる。
【0021】
本発明は、ガス供給手段すなわちフロードライバー(ブロアー、ファン、圧縮器、又は注入器)、給湿チャンバーを含む給湿手段、次いで加熱送出回路を順次通ってガスが流れるシステムにおける検出手段を提供する。典型的なブロアーと給湿器の組み合わせは、閉塞性睡眠時無呼吸の治療用に設計された、圧力制御装置である。これらはまた典型的には、独立型のブロアーとして、又は簡単な給湿器と組み合わせて使用されるように設計されている。そのため、これらは典型的には、低レベルの給湿、すなわち28〜32mg/Lを送出する。本発明の検出手段は、体温飽和状態のガス、すなわち37℃で1リットル中の水蒸気含有量44mgのガスをある範囲の流量、例えば患者の吸気流量必要量としての供給に使用される流量(すなわちピーク吸気流量)で患者に送出する供給手段及び給湿手段に使用するように意図されている。
【0022】
図1を参照すると、本発明の検出手段を利用することができる給湿陽圧換気システムが示されている。患者1は、給湿ガス輸送手段又は吸気導管3に接続された鼻マスク2を通して給湿及び加圧されたガスを受けている。送出システムはまた、VPAP(可変性気道陽圧)及びBiPAP(2段気道陽圧)、又は他の多くの形態の呼吸療法であってもよい点を理解すべきである。吸気導管3は、所定体積の水6を収容する給湿チャンバー5の出口4に接続されている。吸気導管3は、加熱手段又はヒータ線(図示せず)を含むことができ、これらは導管壁を加熱して導管内での給湿ガスの結露を低減する。給湿チャンバー6は、プラスチック材料で形成されるのが好ましく、給湿器8のヒータプレート7と直接接触する熱伝導率の高い基材(例えばアルミニウム基材)を有していてもよい。給湿器8は、制御手段又は電子コントローラ9を備え、該制御手段又は電子コントローラは、関連するメモリ内に記憶されたコンピュータ・ソフトウェアのコマンドを実行するマイクロプロセッサベースのコントローラを含むことができる。
【0023】
コントローラ9は、ユーザ入力手段又はダイアル10などの発生源から入力を受け取り、該ユーザ入力手段又はダイアルにより、装置のユーザは、例えば患者1に供給されるガスの湿度及び温度の予め定められた要求値(プリセット値)を設定することができる。コントローラはまた、コネクタ12を通して検出手段11から、及びヒータプレート温度センサ13からの入力を受け入れる。ダイアル10を介したユーザ設定による湿度又は温度値入力及び他の入力に応じて、コントローラ9は、いつ(又はどのレベルまで)ヒータプレート7に通電して給湿チャンバー5内の水6を加熱するかを決定する。給湿チャンバー5内の所定体積の水6が加熱されるにつれて、水蒸気が水面上のチャンバーの容積を満たし始め、ガス供給手段又はブロアー15から供給され入口16を通ってチャンバーに入るガス流(例えば空気)と共に給湿チャンバー5の出口4から排出される。
【0024】
ブロアー15は、可変圧力調節手段又は可変速ファン21を備え、ブロアー入口17から空気又は他のガスを吸い込む。可変速ファン21は、コントローラ9からの入力及びダイアル19を介したユーザ設定による予め定められた圧力又はファン速度の要求値(プリセット値)に応じて、電子コントローラ18によって制御される(又は、代替的にコントローラ18の機能はコントローラ9によって実行することができる)。
【0025】
ここで図1及び図9を参照すると、好ましい形態において、検出手段11は、給湿器の出口4と吸気導管3の一方端との間に接続された取り外し可能なカートリッジ又は開放管部分22である。具体的には、カートリッジ又は開放管部分22の一方側が給湿チャンバー5の出口4に接続され、カートリッジ又は開放管部分22の他方側が吸気導管3に接続される。好ましくは、上述の接続は、摩擦継手、バヨネット型継手、スナップ型継手、ネジ式接続、又は導管及び管の技術分野で既知の他の適切な固定手段により行われる。
【0026】
管は適切なプラスチック又は金属材料で作られる。管22の側面にキャビティ23が形成され、好ましい形態では管部分22を通るガス流の濾過を可能にするフィルタ材料で覆われる。フィルタ材料は、管22と一体的に形成することができ、あるいは管を形成した後に、例えば接着又は他の適切な固定手段によって取り付けてもよい。フィルタ材料は、例えばSYMPATEX(商標登録)である均質で平坦なフィルムに形成された親水性ポリエステル・ブロック共重合体などの、半透過性、通気性、又は親水性の材料であることが好ましいが、モノリシックフィルム、微孔性媒体又は静電フィルタでもよく、あるいは他の適切な材料のいずれかとすることができる。
【0027】
フィルタ材料は、キャビティ23を覆って装着されるように構成されており、埃、霧、バクテリア、又はウィルスがガス流からセンサ・ハウジング25内に収容されるセンサ24に直接的に移動するのを防ぐことができるが、清浄な給湿ガスは、キャビティ23及びフィルタ材料を通ってセンサ・ハウジング25内に通ることが可能である。センサ及び/又はハウジングが再利用されることになる場合には、センサ24に対して汚染物質が蓄積することがなく、また、ハウジング及びセンサ24は容易に清浄にされるので、検出手段の2度目及び引き続いて使用することによる患者間の汚染が発生することがない。
【0028】
本発明の幾つかの形態において、センサ24はハウジング25及び導管部分から取り外し可能である。このような場合、ハウジング及び導管部分は低コストの材料で作られており、廃棄することができ、汚染のないセンサは再利用される。
【0029】
センサ・ハウジング25は、キャビティ23を囲むポート26で管部分22に接続されている。ポート26とセンサ・ハウジング25の間の接続は、ハウジング25とポート26との間に気密シールが形成されるようになっている。この接続は、ネジ、スナップ型継手、バヨネット型継手、ゴム−シリコン製スリーブ/ブート継手、又は他の任意の適切な継手により形成することができる。センサ・ハウジング25は、センサ24をハウジング内に濾過されて入ってくる任意のガスに曝すようにしてポート26内に保持する。このハウジング25は、プラスチック類の材料で作られるのが好ましいが、他の任意の適切な材料で作ってもよく、また、センサ24は、ハウジングと一体成形によって取り付けるか、あるいは他の適切な固定又は取り付け手段によってハウジング内に取り付けられる。
【0030】
センサ24から得た測定値は、配線などを通ってコネクタ12およびコントローラ9に送られる。管部分22を通るガスの湿度が継続的に検出され、検出された湿度、温度、及び/又は流量の測定値がコントローラにフィードバックされ、ガスの湿度、温度、及び/又は流量をより正確に制御することができる。これは、コントローラが給湿手段のヒータプレートの温度を調整して、チャンバー内の多少の水を水蒸気化し、及び/又はガスの温度を増減させることができることによる。ガス流については、流量を増大させるために、コントローラはガス供給からの流量を増大又は低減させることができる。
【0031】
本発明の検出手段の他の形態では、キャビティ23は、上述のようなフィルタ材料で覆われておらず、センサ・ハウジング25の端部をこのような材料で覆ってもよい。
【0032】
次に図2を参照すると、本発明の検出装置の別の好ましい形態を図示している。管30はセンサ・ハウジング31が貫通して延びるキャビティを有し、該ハウジングはキャビティ内に気密方式で取り付けられるように構成されている。センサ・ハウジング31の端部は、管30を通るガス流(矢印32)内にあり、該ガス流に曝されている。ガス流に曝された端部は、上述のようなフィルタ材料で形成されている。このように、この形態では、センサ・ハウジング組立体は、一部が流れ管内に収容されており、一部が流れ管の外部環境にある。センサ・ハウジングの他の形態については、図4〜図8に関して以下に説明する。
【0033】
本発明の他の形態は、図3に示すもののように、検出装置の一部を形成するセンサ・ハウジング全体が、(図1に関して上述したのと同様の)管部分34内に収容され、又は懸架され、センサ35はセンサ・ハウジング33内に収容されている。このセンサ・ハウジングは、管内で一体成形アーム37上に保持されているが、ハウジングを導管の内壁にスナップ嵌合するクリップ型継手のような、管内に懸架されたハウジングを保持する他の適切な手段が想定される。センサに配線(図示せず)が取り付けられ、該配線は、配線自体又はピンを介してハウジングの外に延びて、別の配線に接続され、次いでコントローラ9に接続されている。
【0034】
上記の検出手段のいずれかの形態において説明されたようなセンサ・ハウジングは、幾つかの形態のうちの1つとすることができ、図4〜8はこれらの形態の幾つかの例を示している。まず、図4は、センサ・ハウジング40の分解組立図を示している。組み立てられると、センサ41は、センサ・ハウジング40内に位置付けられる。フィルタ材料42がセンサ・ハウジング40の一方端を形成し、管状ハウジング40の他方端は開いたままである。このように、センサ・ハウジング40及びフィルタ材料42は、センサ41を部分的に包み込んでいる。図3の検出手段を通って流れるガスは、図4の開放ハウジングを通じてセンサに接触することができるので、図4の形態のハウジングは、図3の検出手段構成に使用するには好適ではないことに留意しなければならない。
【0035】
図5は、センサ・ハウジングの別の実施例の分解組立図を示している。フィルタ材料52がセンサ・ハウジング50の一方端を形成し、センサ・ハウジングの他方端53が閉じられ、その結果、センサ51はハウジング内に完全に封入されている。ハウジング50及び端部53は共に、プラスチック材料のような、同じ材料で形成される。図6にあるような、別の形態では、ハウジング53の他方端に通気口54がある。通気口54には、ハウジング内の環境条件がハウジングの外部とより迅速に同等になるようにし、外気条件に戻る際のセンサ応答の遅延を最小にする目的がある。この場合も、センサからコントローラまでの接続は、図示されていないが、配線などによって形成されることになる。
【0036】
さらに、図7のような他の形態では、ハウジング72の両端70及び71は、フィルタ材料73から形成することができ、センサ73はハウジング72内に完全に封入されている。
【0037】
最後の実施例として、図8は、ハウジング80、並びにハウジングの両端81及び82がフィルタ材料で作られているハウジング80を示している。このフィルタ素材は、ガスは通すが、結露、ウィルス、バクテリア、あるいはセンサ動作に影響を及ぼし、又はセンサを損傷する可能性のある他の同様の汚染物質を通さない、半透過性又は親水性の材料である。
【0038】
本発明の検出装置の他の形態では、センサ・ハウジング(上述の形態のいずれかの)は、任意選択的に加熱要素を有することができる。センサが結露に曝されると飽和する可能性があり、不正確な検出を始める場合が多い。ハウジング内部及びセンサを加熱することによって、センサの性能又は応答を最適にすることができる。加熱要素は、センサとは物理的に分離した形でセンサ・ハウジング内に収容してもよく、センサを間接的に加熱する。他の形態では、加熱要素は、センサに物理的に取り付けられ、直接センサを加熱することができる。さらに別の形態では、加熱要素はセンサ・ハウジングの外部に取り付けて、センサ・ハウジングの加熱により間接的にセンサを加熱してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の患者にガスを送出するシステム及び検出手段の概略図である。
【図2】本発明の検出手段の第1の形態の斜視図である。
【図3】本発明の検出手段の第2の形態の斜視図である。
【図4】本発明の検出手段のセンサ・ハウジングの第1の形態の分解組立図である。
【図5】本発明の検出手段のセンサ・ハウジングの第2の形態の分解組立図である。
【図6】本発明の検出手段のセンサ・ハウジングの第3の形態の分解組立図である。
【図7】本発明の検出手段のセンサ・ハウジングの第4の形態の分解組立図である。
【図8】本発明の検出手段のセンサ・ハウジングの第5の形態の分解組立図である。
【図9】図1の検出手段の分解組立図である。
【符号の説明】
【0040】
1 患者
2 鼻マスク
3 導管
4 出口
5 チャンバー
8 給湿器
11 検出手段
15 ブロアー
18 コントローラ
21 ファン
22 開放管部分
24 センサ
25 センサ・ハウジング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に供給ガスを送出するためのシステムであって、
ガスの流れを作るガス供給手段と、
前記ガス供給手段から前記ガスを受け取り、前記ガスを前記患者に送出する前にあるレベルの湿度まで給湿することができる給湿手段と、
前記ガスを前記給湿手段から前記患者まで運ぶ輸送手段と、
前記ガスの流れの湿度、温度、又は他の特性を検出する検出手段と、を備え、
前記検出手段が、前記給湿手段と前記輸送手段との間にインラインで取り外し可能に結合されたハウジング内に収容されている、
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記他の特性が、限定ではなく、圧力、酸素レベル、又は流量を含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記検出手段が、センサに結合されたカートリッジ、又は開放管部分を含み、
前記センサが前記カートリッジ又は開放管部分を通る前記ガスの流れに曝されるように構成されている、
請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記センサが、ハウジング内に収容され、前記ハウジングが前記カートリッジ又は開放管部分を貫いて延び、あるいは前記カートリッジ又は開放管部分内にあり、前記ハウジングの少なくとも一部が前記ガスの流れに曝される、
請求項1から3のいずれかに記載のシステム。
【請求項5】
前記カートリッジ又は開放管部分が、前記ハウジングに密封可能に接続されたポートを含む、
請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記ガスの流れに曝された前記ハウジングのポートが、通気可能な材料又はフィルタ材料で覆われている、
請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記ポートが、通気可能な材料又はフィルタ材料で覆われている、
請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記通気可能な材料又はフィルタ材料が、半透過性又は親水性の材料である、
請求項6又は7に記載のシステム。
【請求項9】
前記通気可能な材料又はフィルタ材料が、モノリシックフィルム、微孔性媒体、又は静電フィルタである、
請求項6又は7に記載のシステム。
【請求項10】
前記検出手段が、前記センサを加熱するためのセンサ加熱手段を含む、
請求項1から9のいずれかに記載のシステム。
【請求項11】
前記センサ加熱手段が、前記ハウジング内に収容される、
請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記給湿手段が、所定体積の水を受け入れるように構成された給湿チャンバー及び前記水を加熱する水加熱手段を含み、前記ガスが、ガス入口から入り前記給湿チャンバーを通ってガス出口に出て、前記水を蒸発させ、これにより前記ガスが給湿される、
請求項1から11のいずれかに記載のシステム。
【請求項13】
前記給湿手段が、前記水加熱手段及び前記ガスの流れの湿度又は温度のレベルを制御するコントローラを含む、
請求項1から12のいずれかに記載のシステム。
【請求項14】
前記検出手段が、前記コントローラに接続され、前記ガスの湿度の検出レベルを前記コントローラに伝え、前記コントローラが前記水加熱手段を制御して、前記ガスの検出された湿度レベルを予め定められた湿度レベルまで変化させる、
請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記予め定められた湿度レベルは、前記患者が37℃で1リットルにつき44mgの水蒸気を含む前記ガスを受け入れるレベルである、
請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
使用中、前記カートリッジ又は開放管部分の一方側と前記給湿手段の出口との間、及び前記カートリッジ又は開放管部分の他方側と前記輸送手段との間に接続部が形成されている、
請求項12に記載のシステム。
【請求項17】
前記接続部が、摩擦圧接継手、バヨネット型継手、スナップ型継手、及びネジ型接合のうちの1つである、
請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
ガスが給湿器によって給湿された後、ガスの流れの湿度、温度、又は他の特性を検出して、前記給湿器を制御するコントローラにフィードバックを供給する検出手段であって、
カートリッジ又は開放管部分と、
センサと、
通気可能手段と、を備え、
前記カートリッジ又は開放管部分が前記センサに結合され、前記センサが前記通気可能手段により前記導管部分を通る前記ガスの流れに曝されるようにする、
ことを特徴とする検出手段。
【請求項19】
前記センサを収容するハウジングを含み、前記ハウジングが、前記カートリッジ又は開放管部分を貫いて延び、あるいは前記カートリッジ又は開放管部分内にあり、前記ハウジングの少なくとも一部が前記ガスの流れに曝されている、
請求項18に記載の検出手段。
【請求項20】
前記通気可能手段が、半透過性又は親水性材料である、
請求項18に記載の検出手段。
【請求項21】
前記通気可能手段が、モノリシックフィルム、微孔性媒体、又は静電フィルタである、請求項18に記載の検出手段。
【請求項22】
前記センサが、前記センサの飽和を最小にして最適なセンサ性能をもたらすように取り付けられた加熱要素を有する請求項18に記載の検出手段。
【請求項23】
前記センサ・ハウジングが、前記センサの飽和を最小にして最適なセンサ性能をもたらすように前記ハウジングに取り付けられた加熱要素を有する、
請求項19に記載の検出手段。
【請求項24】
添付図を参照して本明細書で説明されたような、患者に供給ガスを送出するためのシステム。
【請求項25】
添付図を参照して本明細書で説明されたような検出手段。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に供給ガスを送出するためのシステムであって、
ガスの流れを作るガス供給手段(15)と、
前記ガス供給手段(15)から前記ガスを受け取り、前記ガスを前記患者(1)に送出する前にあるレベルの湿度まで給湿することができる給湿手段(8)と、
前記ガスを前記給湿手段(5)から前記患者(1)まで運ぶ輸送手段(3)と、
前記ガスの流れから給湿、温度、又は他の特性を検出し、前記給湿手段(8)と前記輸送手段(3)との間にインラインで取り外し可能に結合されたハウジング(25)内に収容される検出手段(11)と、
通過するガスの流れにセンサ(24)が曝されるように前記ハウジング(25)に取り付けられる通気可能手段(11)と、を備えている、
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記他の特性が、限定ではなく、圧力、酸素レベル、又は流量を含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記検出手段(11)が、センサ(24)に結合されたカートリッジ、又は開放管体部分(22)を含み、前記センサ(24)が前記カートリッジ又は開放管体部分(22)を通る前記ガスの流れに曝されるように構成されている、
請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記センサ(24)が、ハウジング(25)内に収容され、前記ハウジング(25)が前記カートリッジ又は開放管体部分(22)の中に延び、あるいは前記ハウジング(25)が前記カートリッジ又は開放管体部分(22)内にあり、前記ハウジング(25)の少なくとも一部が前記ガスの流れに曝される、
請求項1から3に記載のシステム。
【請求項5】
前記カートリッジ又は開放管体部分(22)が、前記ハウジング(25)に密封可能に接続されたポート(26)を含む、
請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記ガスの流れに曝された前記ハウジング(25)のポート(26)が、通気可能な材料又はフィルタ材料で覆われている、
請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記ポート(26)が、通気可能な材料又はフィルタ材料で覆われている、
請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記通気可能な材料又はフィルタ材料が、半透過性又は親水性の材料である、
請求項6又は7に記載のシステム。
【請求項9】
前記通気可能な材料又はフィルタ材料が、モノリシックフィルム、微孔性媒体、又は静電フィルタである、
請求項6又は7に記載のシステム。
【請求項10】
前記検出手段(11)が、前記センサ(24)を加熱するためのセンサ加熱手段を含む、
請求項1から9のいずれかに記載のシステム。
【請求項11】
前記センサ加熱手段が、前記ハウジング(25)内に収容される、
請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記給湿手段(8)が、所定体積の水を受け入れるように構成された給湿チャンバ(5)及び前記水(6)を加熱する水の加熱手段(7)を含み、前記ガスが、ガス入口(16)から入り前記給湿チャンバ(5)を通ってガス出口(4)に出て、前記水(6)を蒸発させ、これにより前記ガスが給湿される、
請求項1から11のいずれかに記載のシステム。
【請求項13】
前記給湿手段(8)が、前記水加熱手段(7)、及び前記ガスの流れの湿度又は温度のレベルを制御するコントローラ(9)を含む、
請求項1から12のいずれかに記載のシステム。
【請求項14】
前記検出手段(11)が、前記コントローラ(9)に接続され、前記ガスの湿度の検出レベルを前記コントローラ(9)に伝え、前記コントローラ(9)が前記水加熱手段(7)を制御して、前記ガスの検出された湿度レベルを予め定められた湿度レベルまで変化させる、
請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記予め定められた湿度レベルが、前記患者(1)が37℃で1リットルにつき44mgの水蒸気を含む前記ガスを受け入れるレベルである、
請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
使用中、前記カートリッジ又は開放管体部分(22)の一方側と前記給湿手段(8)の前記出口(4)との間、及び前記カートリッジ又は開放管体部分(22)の他方側と前記輸送手段(3)との間で接続部が形成される、
請求項12に記載のシステム。
【請求項17】
前記接続部が、摩擦圧接継手、バヨネット型継手、スナップ型継手、及びネジ型接合のうちの1つである、
請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
ガスが給湿器(8)によって給湿された後、ガスの流れの湿度、温度、又は他の特性を検出して、前記給湿器(8)を制御するコントローラ(9)にフィードバックを供給する検出手段(11)であって、
カートリッジ又は開放管体部分(22)と、
センサ(24)と、
通気可能手段と、を備え、
前記カートリッジ又は開放管体部分(22)が前記センサ(24)に結合され、前記センサ(24)が前記通気可能手段により前記導管部分(22)を通る前記ガスの流れに曝されるようにする、
ことを特徴とする検出手段(11)。
【請求項19】
前記センサ(24)を収容するハウジング(25)を含み、前記ハウジング(25)が、前記カートリッジ又は開放管体部分(22)を貫いて延び、あるいは前記カートリッジ又は開放管体部分(22)内にあり、前記ハウジング(25)の少なくとも一部が前記ガスの流れに曝されている、
請求項18に記載の検出手段(11)。
【請求項20】
前記通気可能手段が、半透過性又は親水性材料である、
請求項18に記載の検出手段(11)。
【請求項21】
前記通気可能手段が、モノリシックフィルム、微孔性媒体、又は静電フィルタである、
請求項18に記載の検出手段(11)。
【請求項22】
前記センサ(24)が、前記センサ(24)の飽和を最小にして最適なセンサ性能をもたらすように取り付けられた加熱要素を有する、
請求項18に記載の検出手段(11)。
【請求項23】
前記センサ・ハウジング(25)が、前記センサ(24)の飽和を最小にして最適なセンサ性能をもたらすように前記ハウジング(25)に取り付けられた加熱要素を有する、
請求項19に記載の検出手段(11)。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公表番号】特表2006−504469(P2006−504469A)
【公表日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−548185(P2004−548185)
【出願日】平成15年10月30日(2003.10.30)
【国際出願番号】PCT/NZ2003/000244
【国際公開番号】WO2004/039444
【国際公開日】平成16年5月13日(2004.5.13)
【出願人】(504298349)フィッシャー アンド ペイケル ヘルスケア リミテッド (41)