情報アクセス・システム、および非接触情報記憶装置内の情報にアクセスする方法
【課題】複数の非接触情報記憶装置のRF信号の受信に必要な期間を短くする。
【解決手段】情報アクセス・システムは、所定の領域(2)を同時に通過する複数の受動型非接触情報記憶装置との通信用の複数のアンテナ(ANT)と、複数のアンテナに接続されていて、複数の受動型非接触情報記憶装置(500-506)と通信可能な複数の読取り装置(200-206)と、複数の読取り装置を制御し、複数の読取り装置から受取ったデータを別の装置に送信する制御装置(100)と、を含む。制御装置は、別の装置から受取った制御信号に従って、複数の読取り装置の中の1つの所定の読取り装置を、所定の領域にコマンド信号を送信するよう制御し、複数の読取り装置は、複数の受動型非接触情報記憶装置からの応答信号を複数のアンテナを介して受信して、復号したタグIDを制御装置に供給し、制御装置は、復号タグIDを受取って、受取ったタグID中の冗長タグIDを処理して冗長性のないタグIDを生成する。
【解決手段】情報アクセス・システムは、所定の領域(2)を同時に通過する複数の受動型非接触情報記憶装置との通信用の複数のアンテナ(ANT)と、複数のアンテナに接続されていて、複数の受動型非接触情報記憶装置(500-506)と通信可能な複数の読取り装置(200-206)と、複数の読取り装置を制御し、複数の読取り装置から受取ったデータを別の装置に送信する制御装置(100)と、を含む。制御装置は、別の装置から受取った制御信号に従って、複数の読取り装置の中の1つの所定の読取り装置を、所定の領域にコマンド信号を送信するよう制御し、複数の読取り装置は、複数の受動型非接触情報記憶装置からの応答信号を複数のアンテナを介して受信して、復号したタグIDを制御装置に供給し、制御装置は、復号タグIDを受取って、受取ったタグID中の冗長タグIDを処理して冗長性のないタグIDを生成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばRF IDタグおよび非接触ICカードのような複数の非接触情報記憶装置を読み取るシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、RF IDタグおよび非接触ICカード(スマートカード)が普及しつつある。RF IDタグは、ISO15693標準に準拠した、商品管理システム、在庫管理システムおよび物流システム等に適用可能である。非接触ICカードは、ISO14443標準に準拠した住民基本台帳カード、およびFelica方式の電子乗車券カード、従業員カード、電子マネー等に適用可能である。現在、これらのRF IDタグおよびICカードは、それぞれ非接触読み取りおよび書き込み装置すなわちリーダ/ライタ装置を用いて、それらに対して読み取りおよび書き込みが行われる。
【0003】
いわゆる受動型のRF IDタグおよび非接触ICカードのような受動型の情報記憶装置または媒体はバッテリを含んでおらず、非接触リーダ/ライタ装置からキャリアを送信して電磁誘導により電力を受け取る必要がある。従って、例えばゲートにおいて非接触リーダ/ライタ装置がRFコマンド信号を送信してRF応答信号を受信するとき、遠い位置にあるRF IDタグまたは非接触ICカードはRFコマンド信号を受信できないことがあり、また、非接触リーダ/ライタ装置は、遠い位置にあるRF IDタグまたは非接触ICカードからのRF応答信号の送信電力が弱すぎてそのRF応答信号によって搬送されたIDを検出できないことがある。
【0004】
郡によって2004年10月7日付けで公開された特開2004−282522号公報(特許文献1)には、RF IDタグ送受信回路が記載されている。RF IDタグ送受信回路の復号回路は、複数の受信アンテナを介して受信され、復調された複数の符号化データを用いて、RF IDタグから返信されたデータに対する復号を行う。復号回路による復号は、複数の符号化データに基づいて行われるので、高い回線品質を確保される。
【特許文献1】特開2004−282522号公報
【0005】
佐藤、他によって2005年7月21日付けで公開された特開2005−197797号公報(特許文献2)には、RFタグ読み取り装置用アンテナ・ユニット及びRFタグ読み取り装置が記載されている。RFタグ読み取り装置は、対象物に添付された無線タグ回路素子のIC回路の無線タグ情報にアクセスするアクセス情報を生成する制御回路と、このアクセス情報を無線タグ回路素子のアンテナに送信しアクセスを行う送信アンテナ、および、この送信に応じた返答信号を受信する複数の受信アンテナを備えたアンテナ・ユニットと、を有し、複数の受信アンテナは、互いの間隔を伸縮可能に接続されている。
【特許文献2】特開2005−197797号公報
【0006】
内田によって2002年4月5日付けで公開された特開2002−100920号公報(特許文献3)には、無線情報処理装置が記載されている。無線タグ・リーダ/ライタは無線タグとの間でRF信号の送受信を行う。無線タグ・リーダ/ライタにおいて、受信アンテナは、第1の分割アンテナと第2の分割アンテナとで構成される。第1の分割アンテナは、複数の小アンテナ・コイルを同一面上に千鳥格子状に配設し、これら複数の小アンテナ・コイルを一筆書き形態で接続したものである。第2の分割アンテナは、第1の分割アンテナに相対向して配設され、その配設の際、第1の分割アンテナの各小アンテナコイルとは非対向状態になるよう複数の小アンテナ・コイルを同一面上に千鳥格子状に配設し、これら複数の小アンテナ・コイルを一筆書き形態で接続したものである。それによって、無線通信媒体の衝突回数が減る。
【特許文献3】特開2002−100920号公報
【0007】
流石、他によって1999年5月11日付けで公開された特開平11−126240号公報(特許文献4)には、待ち受け状態では送信部の電源を間欠的にオン状態にしてコマンドデータを送信するリーダ・ライタ・コントローラが記載されている。
【特許文献4】特開平11−126240号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ゲートにおいて、通常、ゲートを通過する複数のRF IDタグに対して読み出しおよび書き込みを行うためにそれぞれのアンテナを有する複数のタグ・リーダ/ライタ装置が用いられる。各アンテナから送信されるRFコマンド信号が干渉しないように、複数のアンテナを時分割的に選択し、それぞれのアンテナで順にRFコマンド信号が送受信される。RF IDタグから送信されるRF応答信号の送信出力の強度は弱いので、アンテナの近くのRF IDタグからのRF応答信号しか受信できない。従って、すべてのアンテナを用いてすべてのRF IDタグとの通信を完了するには、例えば800msecのような長い時間を要する。即ち、複数のRF IDタグを添付または携帯する荷物または人をそのような時間だけゲートに止める必要があり、効率が低い。電磁波伝播環境によっては、最も近いアンテナからの送信および受信でRF IDタグのRF応答信号が受信できないときには、そのRF IDタグのID等の情報は読み取れない。
【0009】
発明者たちは、分散配置された複数のアンテナで同時に複数のRF IDタグからRF応答信号を受信すれば、複数のRF IDタグからのRF応答信号の受信がほぼ同時に並行して短い時間で行われ、複数のRF IDタグからの受信情報を冗長化し受信情報の信頼性を高くすることができる、と認識した。
【0010】
本発明の目的は、複数の非接触情報記憶装置からRF応答信号を受信するのに必要な期間を短くすることである。
【0011】
本発明の別の目的は、複数の非接触情報記憶装置からの受信情報の信頼性を高くすることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の特徴によれば、非接触情報記憶装置内の情報にアクセスするための情報アクセス・システムは、所定の領域を同時に通過する複数の非接触情報記憶装置と通信するための、それぞれ異なる位置に配置された複数のアンテナと、その複数のアンテナにそれぞれ接続されていて、その複数の非接触情報記憶装置と通信可能な複数の読取り装置と、その複数の読取り装置を制御し、その複数の読取り装置から受け取ったデータを別の装置に送信する制御装置と、を含み、その制御装置は、その別の装置から受け取った制御信号に従って、その複数の読取り装置の中の1つの所定の読取り装置をそのアンテナを介してその所定の領域にRF識別情報要求信号を送信するよう制御し、その複数の読取り装置は、その複数の非接触情報記憶装置からのRF応答信号をその複数のアンテナを介して受信して識別情報を生成し、その生成された識別情報をその制御装置に供給するよう構成されており、その制御装置は、その復号された識別情報を受け取って、その受け取った識別情報の中の冗長な識別情報を処理して冗長性のない識別情報を生成し、その冗長性のない識別情報をその別の装置に供給する。
【0013】
本発明の別の特徴によれば、その別の装置から受け取った制御信号に従って、その複数の読取り装置の中の1つの読取り装置を選択し、その選択された1つの読取り装置をそのアンテナを介してその所定の領域にRF識別情報要求信号を送信するよう制御してもよい。
【0014】
また、本発明は、上述のシステムを実現するための方法に関する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、複数の非接触情報記憶装置からRF応答信号を受信するのに必要な期間を短くすることができ、複数の非接触情報記憶装置からの受信情報の信頼性を高くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。図面において、同様の構成要素には同じ参照番号が付されている。
【0017】
図1は、本発明の実施形態による、受動型非接触情報記憶装置としてのRF IDタグ(TAG−A、TAG−B、...TAG−D)500、502、...506と、RF IDタグ500〜506に情報読み取りのコマンド信号の送信を行うそれぞれ非接触リーダおよびライタ装置(R/W)200、202、...206と、リーダ/ライタ装置200〜206との間でデータを送受信しリーダ/ライタ装置200〜206を制御するリーダ/ライタ制御装置100と、リーダ/ライタ制御装置100に制御信号を供給し受け取ったタグID等の情報を利用する上位装置またはホスト装置104を示している。RF IDタグ500〜506は能動型RF IDタグであってもよい。
【0018】
リーダ/ライタ装置200は、データ制御部220と、データ制御部220に結合されていて送信用の符号化データを生成する送信データ符号化部230と、コイル・アンテナ(ANT)と、コイル・アンテナ(ANT)に結合された送信機部(TX)236と、受信機部(RX)238と、受信データ復号部232と、を含んでいる。送信機部236は、送信用の変調部240と、コイル・アンテナ(ANT)に結合された送信電力増幅部250とを有する。受信機部238は、受信用の復調部242と、コイル・アンテナ(ANT)に結合された送信電力増幅部252とを有する。リーダ/ライタ装置202〜206の各々は、リーダ/ライタ装置200と同様の構成を有していても、または送信データ符号化部230および送信機部(TX)236を含まず、RF信号の受信のみを行ってもよい。
【0019】
RF IDタグ500〜506の各々は、コイル・アンテナANTと、RF変調・復調回路514と、パッシブ・タイプの電源回路516と、論理回路520と、メモリ520とを具えている。RF変調・復調回路514は、リーダ/ライタ装置から、受信した読み取りコマンドを搬送するRF信号を受信して復調し、そのコマンドを生成する。論理回路520は、受信した読み取りコマンドに応答して、メモリ520に格納されているRF IDタグ500〜506の識別情報としてのタグIDを読み出す。RF変調・復調回路514は、そのタグIDでキャリアを変調してその変調されたキャリア(RF信号)を送信する。
【0020】
送信機能を有するリーダ/ライタ装置200〜206の各々は、好ましくは、数十cm乃至3mの通信距離の送信電力でRF信号を送信する。RF IDタグ500〜506は、好ましくは、数十cm乃至2mの通信距離の送信電力でRF信号を送信し、最も近い少なくとも1つのアンテナに到達する程度の送信電力を有するが、全てのアンテナANT−A〜ANT−Dに到達するほどの強い送信電力を持っていない。受動型のRF IDタグは、典型的には、能動型のRF IDタグより強い送信電力を有する。但し、RF信号の到達範囲は環境に応じて変化する。
【0021】
図2は、本発明の実施形態による、通過する複数の荷物を囲むように分散配置され、それぞれリーダ/ライタ装置200〜206に接続された複数のアンテナANT−A〜ANT−Dを有するゲート2を示している。それぞれのRF IDタグTAG−A〜TAG−Dを有する複数の荷物がゲート2をほぼ同時に通過する。
【0022】
リーダ/ライタ装置200は、破線で示されているようにゲート2をほぼ同時に通過する全てのRF IDタグTAG−A〜TAG−D(500〜506)が受信できるような強い送信電力で、ID要求コマンドを搬送するRF信号を送信し、RF IDタグTAG−A〜TAG−Dからの可能性あるRF応答信号を受信する。他のリーダ/ライタ装置202〜206は、RF信号を送信せず、RF IDタグTAG−A〜TAG−Dのいずれかからの可能性あるRF応答信号を受信する。
【0023】
図3は、リーダ/ライタ制御装置100とリーダ/ライタ装置R/W−A〜R/W−D(200〜206)の構成および接続を示している。図において、リーダ/ライタ装置200〜206内のデータ制御部220は示されていない。
【0024】
リーダ/ライタ装置(R/W−A)200は、図1に示されているように、データ制御部220と、送信データ符号化部230と、コイル・アンテナANT−Aと、送信機部(TX)236と、受信機部(RX)238と、受信データ復号部232と、を含んでいる。その他のリーダ/ライタ装置(R/W−B〜R/W−D)202〜206の各々は、データ制御部220と、コイル・アンテナANTと、受信機部(RX)238と、受信データ復号部232と、を含んでおり、送信データ符号化部230および送信機部(TX)236を含んでいても使用しないかまたは含んでいなくてもよい。
【0025】
リーダ/ライタ制御装置100は、リーダ/ライタ装置R/W−A(200)のデータ符号化部230にデータ制御部220を介して接続された送信制御部110と、リーダ/ライタ装置(R/W−A〜R/W−D)200〜206のデータ復号部232に接続された冗長IDフィルタ部120とを具えている。冗長IDフィルタ部120は、受信IDを蓄積するためのメモリ122を有する。送信制御部110および冗長IDフィルタ部120等の諸機能を、リーダ/ライタ制御装置100のメモリに格納されたプログラムに従ってプロセッサ102上で実装してもよい。
【0026】
図4は、リーダ/ライタ装置R/W−A〜R/W−D(200〜206)およびRF IDタグTAG−A〜TAG−D(502〜506)の送受信のタイムチャートの例を示している。
【0027】
図4を参照すると、リーダ/ライタ装置R/W−A(200)は、例えば10msecの短い期間にID要求コマンドCMDでキャリアを変調したRF信号を送信し、次いで、それに続く例えば190msecの長い期間にRF IDタグに電磁エネルギを供給するために無変調キャリアを送信する。リーダ/ライタ装置R/W−A(200)は、RF信号と無変調キャリアの送信を、例えば200msecの周期で行う。
【0028】
RF IDタグTAG−A〜TAG−D(500〜506)は、リーダ/ライタ装置R/W−A(200)から受信したID要求コマンドを搬送するRF信号に応答して、乱数によってランダムに決定されたタイムスロットにおいてそれぞれのタグIDでキャリアを変調したRF応答信号を送信し返す。
【0029】
リーダ/ライタ装置R/W−A〜R/W−D(200〜206)の各々の受信機部238は、常に受信可能状態にあるが、それぞれのアンテナANT−A〜ANT−Dから遠い位置にあるまたは電磁波環境の悪い位置にあるRF IDタグTAG−A〜TAG−D(500〜506)の或るものからのRF応答信号をうまく受信してコマンドを復号できるとは限らない。
【0030】
図4において、RF IDタグTAG−A(500)のRF応答信号は、リーダ/ライタ装置R/W−AおよびR/W−D(200、206)によって受信されて、RF応答信号によって搬送されたタグIDが復号されて、そのタグIDが冗長フィルタ部120に供給される。RF IDタグTAG−B(502)のRF応答信号は、リーダ/ライタ装置R/W−B(202)のみによって受信されて、RF応答信号によって搬送されたタグIDが復号されて、そのタグIDが冗長フィルタリング部120に供給される。RF IDタグ(TAG−C)504のRF応答信号は、リーダ/ライタ装置R/W−BおよびR/W−C(202、204)によって受信されて、RF応答信号によって搬送されたタグIDが復号されて、そのタグIDが冗長フィルタリング部120に供給される。RF IDタグ(TAG−A)506のRF応答信号は、リーダ/ライタ装置R/W−AおよびR/W−D(200、206)によって受信されて、RF応答信号によって搬送されたタグIDが復号されて、そのタグIDが冗長フィルタ部120に供給される。タグIDは1つ以上のリーダ/ライタ装置によって受信される可能性が高いので、受信したタグIDの信頼性が高くなる。
【0031】
冗長フィルタ部120は、受け取ったタグIDをメモリ122に蓄積し、蓄積されたタグIDの中で重複するタグIDの中の1つを残して他のタグIDを削除する。この場合、冗長フィルタ部120は、RF IDタグTAG−A、TAG−CおよびTAG−DのタグIDのうちのそれぞれ1つを残して他方を削除する。冗長フィルタ部120はフィルタリングされたタグIDを上位装置104に供給する。
【0032】
図5は、リーダ/ライタ装置200からRF IDタグTAG−A〜TAG−D(500〜506)への読み取りおよび書き込み要求を含む送信コマンドの既知のフォーマットと、RF IDタグTAG−A〜TAG−Dからリーダ/ライタ装置R/W−A〜R/W−Dへの応答データの既知のフォーマットを示している。
【0033】
図2の実施形態によれば、1つの送信サイクルのID要求コマンドの送信によって、ゲート2を通過する全てのRF IDタグTAG−A〜TAG−D(500〜506)のタグIDを、高い信頼性をもって短時間で受信することができる。複数のRF IDタグTAG−A〜TAG−Dからの到達距離の短い応答信号が分散配置された複数のアンテナANT−A〜ANT−Dによって受信されるので、RF IDタグの応答信号の衝突の可能性が低減される。また、RF IDタグの応答信号の衝突があった場合でも、少ない回数の送信サイクルのID要求コマンドで、全てのRF IDタグTAG−A〜TAG−DのタグIDを取得することができる。
【0034】
図6は、本発明の別の実施形態による、通過する複数の荷物を囲むように分散配置され、それぞれリーダ/ライタ装置200〜206が接続された複数のアンテナANT−A〜ANT−Dを有するゲート2を示している。
【0035】
リーダ/ライタ装置200は、破線で示されているようにゲート2の少なくとも一部の領域を通過するRF IDタグが受信できるような送信電力で、ID要求コマンドを搬送するRF信号を送信し、RF IDタグからの可能性あるRF応答信号を受信する。リーダ/ライタ装置204は、破線で示されているようにゲート2の少なくとも残りの一部の領域を通過するRF IDタグが受信できるような送信電力で、ID要求コマンドを搬送するRF信号を送信し、RF IDタグからの可能性あるRF応答信号を受信する。他のリーダ/ライタ装置202および206は、RF信号を送信せず、RF IDタグTAG−A〜TAG−Dのいずれかからの可能性あるRF応答信号を受信する。
【0036】
図7は、リーダ/ライタ制御装置100とリーダ/ライタ装置R/W−A〜R/W−D(200〜206)の構成および接続を示している。n個のリーダ/ライタ装置R/W−A〜R/W−D(200〜206)の中の所定の数j個(1≦j≦n)のリーダ/ライタ装置を、コマンド信号の送信に用いることができる。
【0037】
図6の実施形態によれば、2つのリーダ/ライタ装置R/W−AおよびR/W−C(200、204)の各々は、図1に示されているように、データ制御部220と、送信データ符号化部230と、コイル・アンテナANT−Aと、送信機部236と、受信機部238と、受信データ復号部232と、を含んでいる。その他のリーダ/ライタ装置R/W−BおよびR/W−D(202、206)の各々は、データ制御部220と、コイル・アンテナANTと、受信機部238と、受信データ復号部232と、を含んでおり、この実施形態において、送信データ符号化部230および送信機部236を含んでいても使用しない。代替構成として、リーダ/ライタ装置R/W−BおよびR/W−Dの各々は、送信データ符号化部230および送信機部236を含んでいなくてもよい。
【0038】
リーダ/ライタ制御装置100は、リーダ/ライタ装置R/W−A〜R/W−D(200〜206)のデータ符号化部230にそれぞれのデータ制御部220を介しスイッチSW−A〜SW−Dを介して接続された送信制御部110と、リーダ/ライタ装置R/W−A〜R/W−D(200〜206)のデータ復号部232にそれぞれのデータ制御部220を介して接続された冗長IDフィルタ部120と、スイッチSW−A〜SW−Dのターン・オン/オフを制御するスイッチ制御部130と、を具えている。送信制御部110、冗長IDフィルタ部120およびスイッチ制御部130等の諸機能を、リーダ/ライタ制御装置100のメモリに格納されたプログラムに従ってプロセッサ102上で実装してもよい。
【0039】
この実施形態では、リーダ/ライタ装置R/W−BおよびR/W−D(202、206)の各々は、送信データ符号化部230および送信機部236を使用しないか、またはそれらを含んでいなくてもよい。また、スイッチSW−BおよびSW−Dは設けられていなくてもよい。
【0040】
図8は、リーダ/ライタ装置R/W−A〜R/W−D(200〜206)およびRF IDタグTAG−A〜TAG−D(502〜506)の送受信のタイムチャートの例を示している。
【0041】
図8を参照すると、リーダ/ライタ装置R/W−AおよびR/W−C(200、204)は、RF信号と無変調キャリアの送信を、例えば400msecの周期で時分割的に交互に行う。スイッチSW−BおよびSW−Dは常にターン・オフ状態にある。上位装置104の制御信号に従って、最初に、リーダ/ライタ制御装置100のスイッチ制御部130はスイッチSW−Aをターン・オンし他のスイッチSW−Cをターン・オフし、送信制御部110は送信コマンドをリーダ/ライタ装置R/W−A(200)に供給する。送信コマンドを受け取ったとき、リーダ/ライタ装置R/W−Aは、例えば10msecの短い期間にID要求コマンドCMDでキャリアを変調したRF信号を送信し、次いで、例えば続く190msecの長い期間にRF IDタグに電磁エネルギを供給するために無変調キャリアを送信する。
【0042】
RF IDタグTAG−A、TAG−CおよびTAG−D(500、504、506)は、リーダ/ライタ装置R/W−A(200)から受信したID要求コマンドを搬送するRF信号に応答して、乱数によってランダムに決定されたタイムスロットにおいてそれぞれのタグIDでキャリアを変調したRF応答信号を送信し返す。RF IDタグTAG−Bは、リーダ/ライタ装置R/W−Aから離れた位置にあるので、リーダ/ライタ装置R/W−AからのRF信号を受信しない。
【0043】
その後、上位装置104の制御信号に従って、リーダ/ライタ制御装置100のスイッチ制御部130はスイッチSW−Cをターン・オンし他のスイッチSW−Aをターン・オフし、送信制御部110は送信コマンドをリーダ/ライタ装置R/W−C(204)に供給する。送信コマンドを受け取ったとき、リーダ/ライタ装置R/W−Cは、短い期間にID要求コマンドCMDでキャリアを変調したRF信号を送信し、次いで、それに続く長い期間にRF IDタグに電磁エネルギを供給するために無変調キャリアを送信する。
【0044】
RF IDタグTAG−B〜TAG−D(502〜506)は、リーダ/ライタ装置R/W−C(204)から受信したID要求コマンドを搬送するRF信号に応答して、乱数によってランダムに決定されたタイムスロットにおいてそれぞれのタグIDでキャリアを変調したRF応答信号を送信し返す。RF IDタグTAG−Aは、リーダ/ライタ装置R/W−Cから離れた位置にあるので、リーダ/ライタ装置R/W−CからのRF信号を受信しない。
【0045】
図8において、リーダ/ライタ装置R/W−A(200)によって送信されたID要求コマンドに対して、RF IDタグTAG−A(500)のRF応答信号はリーダ/ライタ装置R/W−A(200)のみによって受信され、TAG−C(503)のRF応答信号はいずれのリーダ/ライタ装置によっても受信されず、RF IDタグ(TAG−D)506のRF応答信号はリーダ/ライタ装置R/W−AおよびR/W−D(200、206)によって受信される。リーダ/ライタ装置R/W−BおよびR/W−DにおいてそれらのRF応答信号によって搬送されたタグIDが復号されて、そのタグIDが冗長フィルタ部120に供給される。
【0046】
リーダ/ライタ装置R/W−C(204)によって送信されたID要求コマンドに対して、RF IDタグ(TAG−B)502のRF応答信号はリーダ/ライタ装置R/W−BおよびR/W−C(202、204)によって受信され、RF IDタグTAG−C(504)のRF応答信号はリーダ/ライタ装置R/W−C(204)のみによって受信され、RF IDタグTAG−D(506)のRF応答信号はリーダ/ライタ装置R/W−D(206)のみによって受信される。リーダ/ライタ装置R/W−A〜R/W−CにおいてそれらのRF応答信号によって搬送されたタグIDが復号されて、そのタグIDが冗長フィルタ部120に供給される。
【0047】
冗長IDフィルタ部120は、受け取ったタグIDをメモリ122に蓄積し、蓄積されたタグIDの中で重複するタグIDの中の1つを残して他のタグIDを削除し、フィルタリングされたタグIDを上位装置に供給する。
【0048】
図9は、リーダ/ライタ制御装置100とリーダ/ライタ装置R/W−A〜R/W−D(200〜206)の代替的な構成および接続を示している。
【0049】
図9において、リーダ/ライタ装置R/W−A〜R/W−D(200〜206)は、送信データ符号化部および送信機部を含んでいない。リーダ/ライタ装置R/W−AおよびR/W−C(200、204)に対して設けられたスイッチSW−AおよびSW−Cと送信制御部110との間に共用の送信データ符号化部230および送信機部236が設けられる。送信データ符号化部230および送信機部236は、リーダ/ライタ装置R/W−AおよびR/W−C(200、206)のアンテナANT−AおよびANT−Cによる送信に用いられる。この場合、リーダ/ライタ装置R/W−BおよびR/W−D(202、204)と送信制御部110の間には、図7におけるスイッチSW−BおよびSW−Dは設けられていない。
【0050】
この実施形態によれば、ゲート2における荷物の通過領域を拡大し、RF IDタグの検出領域を拡大することができる。
【0051】
図10は、本発明のさらに別の実施形態による、通過する複数の荷物を囲むように分散配置され、それぞれリーダ/ライタ装置200〜206が接続された複数のアンテナANT−A〜ANT−Dを有するゲート2を示している。
【0052】
リーダ/ライタ装置200〜206は、破線で示されているようにゲート2の重複する異なるそれぞれの部分領域を通過するRF IDタグが受信できるような送信電力で、ID要求コマンドを搬送するRF信号を送信し、RF IDタグTAG−A〜TAG−DからのRF応答信号を受信する。
【0053】
この実施形態においても、図7のリーダ/ライタ制御装置100とリーダ/ライタ装置(R/W−A〜R/W−D)200〜206の構成および接続が用いられる。
【0054】
図11は、リーダ/ライタ制御装置100とリーダ/ライタ装置(R/W−A〜R/W−D)200〜206の代替的な構成および接続を示している。
【0055】
図11において、リーダ/ライタ装置R/W−A〜R/W−D(200〜206)は、送信データ符号化部および送信機部を含んでいない。リーダ/ライタ装置R/W−AおよびR/W−D(200〜206)に対して設けられたスイッチSW−A〜SW−Dと送信制御部110との間に共用の送信データ符号化部230および送信機部236が設けられる。送信データ符号化部230および送信機部236は、リーダ/ライタ装置R/W−A〜R/W−D(200〜206)による送信に用いられる。
【0056】
図12は、リーダ/ライタ装置R/W−A〜R/W−D(200〜206)およびRF IDタグTAG−A〜TAG−D(502〜506)の送受信のタイムチャートの例を示している。
【0057】
図12を参照すると、リーダ/ライタ装置R/W−A〜R/W−D(200〜206)は、RF信号と無変調キャリアの送信を、例えば800msecの周期で時分割的に循環的に行う。上位装置104からの制御信号に従って、最初に、リーダ/ライタ制御装置100のスイッチ制御部130はスイッチSW−Aをターン・オンし他のスイッチSW−B〜SW−Dをターン・オフし、送信制御部110は送信コマンドをリーダ/ライタ装置R/W−A(200)に供給する。送信コマンドを受け取ったとき、リーダ/ライタ装置R/W−Aは、例えば10msecの短い期間にID要求コマンドCMDでキャリアを変調したRF信号を送信し、次いで、例えば続く190msecの長い期間にRF IDタグに電磁エネルギを供給するために無変調キャリアを送信する。
【0058】
RF IDタグTAG−A、TAG−CおよびTAG−D(500、504、506)は、リーダ/ライタ装置R/W−A(200)から受信したID要求コマンドを搬送するRF信号に応答して、乱数によってランダムに決定されたタイムスロットにおいてそれぞれのタグIDでキャリアを変調したRF応答信号を送信し返す。RF IDタグTAG−Bはリーダ/ライタ装置R/W−AからのRF信号を受信しない。
【0059】
その後、リーダ/ライタ制御装置100のスイッチ制御部130はスイッチSW−Bをターン・オンし他のスイッチSW−A、SW−BおよびSW−Cをターン・オフし、送信制御部110は送信コマンドをリーダ/ライタ装置R/W−B(202)に供給する。送信コマンドを受け取ったとき、リーダ/ライタ装置R/W−Bは、短い期間にID要求コマンドCMDでキャリアを変調したRF信号を送信し、次いで、それに続く長い期間にRF IDタグに電磁エネルギを供給するために無変調キャリアを送信する。
【0060】
RF IDタグTAG−BおよびTAG−C(502、504)は、リーダ/ライタ装置R/W−B(202)から受信したID要求コマンドを搬送するRF信号に応答して、乱数によってランダムに決定されたタイムスロットにおいてそれぞれのタグIDでキャリアを変調したRF応答信号を送信し返す。RF IDタグTAG−AおよびTAG−Dはリーダ/ライタ装置R/W−BからのRF信号を受信しない。
【0061】
その後、リーダ/ライタ制御装置100のスイッチ制御部130はスイッチSW−Cをターン・オンし他のスイッチSW−A、SW−BおよびSW−Dをターン・オフし、送信制御部110は送信コマンドをリーダ/ライタ装置R/W−C(204)に供給する。送信コマンドを受け取ったとき、リーダ/ライタ装置R/W−Cは、短い期間にID要求コマンドCMDでキャリアを変調したRF信号を送信し、次いで、それに続く長い期間にRF IDタグに電磁エネルギを供給するために無変調キャリアを送信する。
【0062】
RF IDタグTAG−B〜TAG−D(502〜506)は、リーダ/ライタ装置R/W−C(204)から受信したID要求コマンドを搬送するRF信号に応答して、乱数によってランダムに決定されたタイムスロットにおいてそれぞれのタグIDでキャリアを変調したRF応答信号を送信し返す。RF IDタグTAG−Aはリーダ/ライタ装置R/W−CからのRF信号を受信しない。
【0063】
その後、リーダ/ライタ制御装置100のスイッチ制御部130はスイッチSW−Dをターン・オンし他のスイッチSW−A〜SW−Cをターン・オフし、送信制御部110は送信コマンドをリーダ/ライタ装置R/W−D(206)に供給する。送信コマンドを受け取ったとき、リーダ/ライタ装置R/W−Dは、短い期間にID要求コマンドCMDでキャリアを変調したRF信号を送信し、次いで、それに続く長い期間にRF IDタグに電磁エネルギを供給するために無変調キャリアを送信する。
【0064】
RF IDタグTAG−AおよびTAG−D(500、506)は、リーダ/ライタ装置R/W−D(206)から受信したID要求コマンドを搬送するRF信号に応答して、乱数によってランダムに決定されたタイムスロットにおいてそれぞれのタグIDでキャリアを変調したRF応答信号を送信し返す。RF IDタグTAG−BおよびTAG−Cはリーダ/ライタ装置R/W−DからのRF信号を受信しない。
【0065】
図12において、リーダ/ライタ装置R/W−A(200)によって送信されたID要求コマンドに対して、RF IDタグTAG−A(500)のRF応答信号はリーダ/ライタ装置R/W−A(200)のみによって受信され、RF IDタグTAG−C(504)のRF応答信号はいずれのリーダ/ライタ装置によっても受信されず、RF IDタグ(TAG−D)506のRF応答信号はリーダ/ライタ装置R/W−D(206)のみによって受信される。リーダ/ライタ装置R/W−AおよびR/W−DにおいてそれらのRF応答信号によって搬送されたタグIDが復号されて、そのタグIDが冗長フィルタ部120に供給される。
【0066】
リーダ/ライタ装置R/W−B(202)によって送信されたID要求コマンドに対して、RF IDタグTAG−B(502)のRF応答信号はリーダ/ライタ装置R/W−B(202)のみによって受信され、RF IDタグTAG−C(504)のRF応答信号はリーダ/ライタ装置R/W−C(204)のみによって受信される。リーダ/ライタ装置R/W−BおよびR/W−CにおいてそれらのRF応答信号によって搬送されたタグIDが復号されて、そのタグIDが冗長フィルタ部120に供給される。
【0067】
リーダ/ライタ装置R/W−C(204)によって送信されたID要求コマンドに対して、RF IDタグTAG−B(502)のRF応答信号はリーダ/ライタ装置R/W−B(202)のみによって受信され、RF IDタグTAG−C(504)のRF応答信号はリーダ/ライタ装置R/W−B(202)のみによって受信され、RF IDタグTAG−D(506)のRF応答信号はいずれのリーダ/ライタ装置によっても受信されない。リーダ/ライタ装置R/W−BおよびR/W−CにおいてそれらのRF応答信号によって搬送されたタグIDが復号されて、そのタグIDが冗長フィルタ部120に供給される。
【0068】
リーダ/ライタ装置R/W−D(206)によって送信されたID要求コマンドに対して、RF IDタグTAG−A(500)のRF応答信号はリーダ/ライタ装置R/W−A(200)のみによって受信され、RF IDタグ(TAG−D)506のRF応答信号はリーダ/ライタ装置R/W−D(206)のみによって受信される。リーダ/ライタ装置R/W−AおよびR/W−DにおいてそれらのRF応答信号によって搬送されたタグIDが復号されて、そのタグIDが冗長フィルタ部120に供給される。
【0069】
冗長IDフィルタ部120は、受け取ったタグIDをメモリ122に蓄積し、蓄積されたタグIDの中で重複するタグIDの中の1つを残して他のタグIDを削除し、フィルタリングされたタグIDを上位装置に供給する。
【0070】
図10の実施形態によれば、電磁波伝播環境の変動に起因するRF IDタグの読み取りエラーを大幅に低減することができる。
【0071】
図13は、図7、9および11のリーダ/ライタ制御装置100によって実行される、リーダ/ライタ装置R/W−A〜R/W−D(200〜206)およびスイッチSW−A〜SW−Dを制御するためのフロー図を示している。その制御は、プロセッサ102によって実行されてもよい。
【0072】
ステップ702において、スイッチ制御部130は、上位装置104よりコマンドの送信に使用すべきアンテナ(ANT−A〜ANT−D)に対応するリーダ/ライタ装置(R/W−A〜R/W−D)の選択を表すコマンド・データを受け取る。ステップ704において、スイッチ制御部130は、そのリーダ/ライタ装置の選択に従ってスイッチSW−A〜SW−Dのいずれかをターン・オンし、送信制御部110は、図7、9または11のリーダ/ライタ装置R/W−A〜R/W−Dの中の対応するものの符号化部230に送信コマンドを供給する。リーダ/ライタ装置R/W−A〜R/W−Dの中の対応するものの送信機部236は、符号化部230からの符号化されたデータでキャリアを変調してRFコマンド信号をアンテナANT−A〜ANT−Dの中の対応するものを介して送信する。
【0073】
ステップ706において、リーダ/ライタ装置R/W−A〜R/W−Dの受信機部238はアンテナANT−A〜ANT−Dを介してRF応答信号を受信して復調し、リーダ/ライタ装置R/W−A〜R/W−Dの復号部232はその復調されたベースバンド応答信号を復号してタグID等のデータを復元し、復元されたデータを冗長IDフィルタ部120に供給する。冗長IDフィルタ部120はそのタグIDを内部のメモリ122に蓄積する。
【0074】
RF IDタグの数が既知でない場合は、ステップ706の後、手順はステップ710に進む。RF IDタグの数が既知の場合、ステップ708において、冗長IDフィルタ部120は、すべてのRF IDタグからIDを受信したかどうかを判定する。すべてのRF IDタグからIDを受信していないと判定された場合は、手順はステップ710に進む。すべてのRF IDタグからIDを受信したと判定された場合は、手順はステップ712に進む。
【0075】
ステップ710において、送信制御部110は、すべてのアンテナANT−AおよびANT−CまたはANT−A〜ANT−D、即ちすべてのリーダ/ライタ装置R/W−AおよびR/W−CまたはR/W−A〜R/W−DでRFコマンド信号を送信したかどうかを判定する。すべてのアンテナでそれを送信したと判定された場合は、手順はステップ712に進む。すべてのアンテナでそれを送信していないと判定された場合は、手順はステップ704に戻る。
【0076】
冗長IDフィルタ部120は、ステップ712においてメモリ122に蓄積されているタグIDから重複するものを削除し、ステップ714においてその冗長性のないタグIDを上位装置104へ供給する。その後、手順はステップ702に戻る。
【0077】
以上の説明では、本発明を受動型RF IDタグに関連して説明したが、これに限定されることなく、本発明が能動型RF IDタグおよび非接触ICカードにも適用できることは、この分野の専門家には理解されるであろう。
【0078】
以上説明した実施形態は典型例として挙げたに過ぎず、その各実施形態の構成要素を組み合わせること、その変形およびバリエーションは当業者にとって明らかであり、当業者であれば本発明の原理および請求の範囲に記載した発明の範囲を逸脱することなく上述の実施形態の種々の変形を行えることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】図1は、本発明の実施形態による、受動型非接触情報記憶装置としてのRF IDタグと、RF IDタグに情報読み取りのコマンド信号の送信を行うそれぞれ非接触リーダまたは非接触リーダおよびライタ装置と、リーダ/ライタ装置との間でデータを送受信しリーダ/ライタ装置を制御するリーダ/ライタ制御部と、を示している。
【図2】図2は、本発明の実施形態による、通過する複数の荷物を囲むように分散配置され、それぞれリーダ/ライタ装置に接続された複数のアンテナを有するゲートを示している。
【図3】図3は、リーダ/ライタ制御装置とリーダ/ライタ装置の構成および接続を示している。
【図4】図4は、リーダ/ライタ装置およびRF IDタグの送受信のタイムチャートの例を示している。
【図5】図5は、リーダ/ライタ装置からRF IDタグへの読み取りおよび書き込み要求を含む送信コマンドの既知のフォーマットと、RF IDタグからリーダ/ライタ装置への応答データの既知のフォーマットを示している。
【図6】図6は、本発明の別の実施形態による、通過する複数の荷物を囲むように分散配置され、それぞれリーダ/ライタ装置が接続された複数のアンテナを有するゲートを示している。
【図7】図7は、リーダ/ライタ制御装置とリーダ/ライタ装置の構成および接続を示している。
【図8】図8は、リーダ/ライタ装置およびRF IDタグの送受信のタイムチャートの例を示している。
【図9】図9は、リーダ/ライタ制御装置とリーダ/ライタ装置の代替的な構成および接続を示している。
【図10】図10は、本発明のさらに別の実施形態による、通過する複数の荷物を囲むように分散配置され、それぞれリーダ/ライタ装置が接続された複数のアンテナを有するゲートを示している。
【図11】リーダ/ライタ制御装置とリーダ/ライタ装置の代替的な構成および接続を示している。
【図12】図12は、リーダ/ライタ装置およびRF IDタグの送受信のタイムチャートの例を示している。
【図13】図13は、図7、9および11のリーダ/ライタ制御装置によって実行される、リーダ/ライタ装置およびスイッチを制御するためのフロー図を示している。
【符号の説明】
【0080】
100 リーダ/ライタ制御装置
110 送信制御部
120 冗長IDフィルタ部
200、202、204、206 リーダ/ライタ装置
ANT−A、ANT−B、ANT−C、ANT−D アンテナ
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばRF IDタグおよび非接触ICカードのような複数の非接触情報記憶装置を読み取るシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、RF IDタグおよび非接触ICカード(スマートカード)が普及しつつある。RF IDタグは、ISO15693標準に準拠した、商品管理システム、在庫管理システムおよび物流システム等に適用可能である。非接触ICカードは、ISO14443標準に準拠した住民基本台帳カード、およびFelica方式の電子乗車券カード、従業員カード、電子マネー等に適用可能である。現在、これらのRF IDタグおよびICカードは、それぞれ非接触読み取りおよび書き込み装置すなわちリーダ/ライタ装置を用いて、それらに対して読み取りおよび書き込みが行われる。
【0003】
いわゆる受動型のRF IDタグおよび非接触ICカードのような受動型の情報記憶装置または媒体はバッテリを含んでおらず、非接触リーダ/ライタ装置からキャリアを送信して電磁誘導により電力を受け取る必要がある。従って、例えばゲートにおいて非接触リーダ/ライタ装置がRFコマンド信号を送信してRF応答信号を受信するとき、遠い位置にあるRF IDタグまたは非接触ICカードはRFコマンド信号を受信できないことがあり、また、非接触リーダ/ライタ装置は、遠い位置にあるRF IDタグまたは非接触ICカードからのRF応答信号の送信電力が弱すぎてそのRF応答信号によって搬送されたIDを検出できないことがある。
【0004】
郡によって2004年10月7日付けで公開された特開2004−282522号公報(特許文献1)には、RF IDタグ送受信回路が記載されている。RF IDタグ送受信回路の復号回路は、複数の受信アンテナを介して受信され、復調された複数の符号化データを用いて、RF IDタグから返信されたデータに対する復号を行う。復号回路による復号は、複数の符号化データに基づいて行われるので、高い回線品質を確保される。
【特許文献1】特開2004−282522号公報
【0005】
佐藤、他によって2005年7月21日付けで公開された特開2005−197797号公報(特許文献2)には、RFタグ読み取り装置用アンテナ・ユニット及びRFタグ読み取り装置が記載されている。RFタグ読み取り装置は、対象物に添付された無線タグ回路素子のIC回路の無線タグ情報にアクセスするアクセス情報を生成する制御回路と、このアクセス情報を無線タグ回路素子のアンテナに送信しアクセスを行う送信アンテナ、および、この送信に応じた返答信号を受信する複数の受信アンテナを備えたアンテナ・ユニットと、を有し、複数の受信アンテナは、互いの間隔を伸縮可能に接続されている。
【特許文献2】特開2005−197797号公報
【0006】
内田によって2002年4月5日付けで公開された特開2002−100920号公報(特許文献3)には、無線情報処理装置が記載されている。無線タグ・リーダ/ライタは無線タグとの間でRF信号の送受信を行う。無線タグ・リーダ/ライタにおいて、受信アンテナは、第1の分割アンテナと第2の分割アンテナとで構成される。第1の分割アンテナは、複数の小アンテナ・コイルを同一面上に千鳥格子状に配設し、これら複数の小アンテナ・コイルを一筆書き形態で接続したものである。第2の分割アンテナは、第1の分割アンテナに相対向して配設され、その配設の際、第1の分割アンテナの各小アンテナコイルとは非対向状態になるよう複数の小アンテナ・コイルを同一面上に千鳥格子状に配設し、これら複数の小アンテナ・コイルを一筆書き形態で接続したものである。それによって、無線通信媒体の衝突回数が減る。
【特許文献3】特開2002−100920号公報
【0007】
流石、他によって1999年5月11日付けで公開された特開平11−126240号公報(特許文献4)には、待ち受け状態では送信部の電源を間欠的にオン状態にしてコマンドデータを送信するリーダ・ライタ・コントローラが記載されている。
【特許文献4】特開平11−126240号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ゲートにおいて、通常、ゲートを通過する複数のRF IDタグに対して読み出しおよび書き込みを行うためにそれぞれのアンテナを有する複数のタグ・リーダ/ライタ装置が用いられる。各アンテナから送信されるRFコマンド信号が干渉しないように、複数のアンテナを時分割的に選択し、それぞれのアンテナで順にRFコマンド信号が送受信される。RF IDタグから送信されるRF応答信号の送信出力の強度は弱いので、アンテナの近くのRF IDタグからのRF応答信号しか受信できない。従って、すべてのアンテナを用いてすべてのRF IDタグとの通信を完了するには、例えば800msecのような長い時間を要する。即ち、複数のRF IDタグを添付または携帯する荷物または人をそのような時間だけゲートに止める必要があり、効率が低い。電磁波伝播環境によっては、最も近いアンテナからの送信および受信でRF IDタグのRF応答信号が受信できないときには、そのRF IDタグのID等の情報は読み取れない。
【0009】
発明者たちは、分散配置された複数のアンテナで同時に複数のRF IDタグからRF応答信号を受信すれば、複数のRF IDタグからのRF応答信号の受信がほぼ同時に並行して短い時間で行われ、複数のRF IDタグからの受信情報を冗長化し受信情報の信頼性を高くすることができる、と認識した。
【0010】
本発明の目的は、複数の非接触情報記憶装置からRF応答信号を受信するのに必要な期間を短くすることである。
【0011】
本発明の別の目的は、複数の非接触情報記憶装置からの受信情報の信頼性を高くすることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の特徴によれば、非接触情報記憶装置内の情報にアクセスするための情報アクセス・システムは、所定の領域を同時に通過する複数の非接触情報記憶装置と通信するための、それぞれ異なる位置に配置された複数のアンテナと、その複数のアンテナにそれぞれ接続されていて、その複数の非接触情報記憶装置と通信可能な複数の読取り装置と、その複数の読取り装置を制御し、その複数の読取り装置から受け取ったデータを別の装置に送信する制御装置と、を含み、その制御装置は、その別の装置から受け取った制御信号に従って、その複数の読取り装置の中の1つの所定の読取り装置をそのアンテナを介してその所定の領域にRF識別情報要求信号を送信するよう制御し、その複数の読取り装置は、その複数の非接触情報記憶装置からのRF応答信号をその複数のアンテナを介して受信して識別情報を生成し、その生成された識別情報をその制御装置に供給するよう構成されており、その制御装置は、その復号された識別情報を受け取って、その受け取った識別情報の中の冗長な識別情報を処理して冗長性のない識別情報を生成し、その冗長性のない識別情報をその別の装置に供給する。
【0013】
本発明の別の特徴によれば、その別の装置から受け取った制御信号に従って、その複数の読取り装置の中の1つの読取り装置を選択し、その選択された1つの読取り装置をそのアンテナを介してその所定の領域にRF識別情報要求信号を送信するよう制御してもよい。
【0014】
また、本発明は、上述のシステムを実現するための方法に関する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、複数の非接触情報記憶装置からRF応答信号を受信するのに必要な期間を短くすることができ、複数の非接触情報記憶装置からの受信情報の信頼性を高くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。図面において、同様の構成要素には同じ参照番号が付されている。
【0017】
図1は、本発明の実施形態による、受動型非接触情報記憶装置としてのRF IDタグ(TAG−A、TAG−B、...TAG−D)500、502、...506と、RF IDタグ500〜506に情報読み取りのコマンド信号の送信を行うそれぞれ非接触リーダおよびライタ装置(R/W)200、202、...206と、リーダ/ライタ装置200〜206との間でデータを送受信しリーダ/ライタ装置200〜206を制御するリーダ/ライタ制御装置100と、リーダ/ライタ制御装置100に制御信号を供給し受け取ったタグID等の情報を利用する上位装置またはホスト装置104を示している。RF IDタグ500〜506は能動型RF IDタグであってもよい。
【0018】
リーダ/ライタ装置200は、データ制御部220と、データ制御部220に結合されていて送信用の符号化データを生成する送信データ符号化部230と、コイル・アンテナ(ANT)と、コイル・アンテナ(ANT)に結合された送信機部(TX)236と、受信機部(RX)238と、受信データ復号部232と、を含んでいる。送信機部236は、送信用の変調部240と、コイル・アンテナ(ANT)に結合された送信電力増幅部250とを有する。受信機部238は、受信用の復調部242と、コイル・アンテナ(ANT)に結合された送信電力増幅部252とを有する。リーダ/ライタ装置202〜206の各々は、リーダ/ライタ装置200と同様の構成を有していても、または送信データ符号化部230および送信機部(TX)236を含まず、RF信号の受信のみを行ってもよい。
【0019】
RF IDタグ500〜506の各々は、コイル・アンテナANTと、RF変調・復調回路514と、パッシブ・タイプの電源回路516と、論理回路520と、メモリ520とを具えている。RF変調・復調回路514は、リーダ/ライタ装置から、受信した読み取りコマンドを搬送するRF信号を受信して復調し、そのコマンドを生成する。論理回路520は、受信した読み取りコマンドに応答して、メモリ520に格納されているRF IDタグ500〜506の識別情報としてのタグIDを読み出す。RF変調・復調回路514は、そのタグIDでキャリアを変調してその変調されたキャリア(RF信号)を送信する。
【0020】
送信機能を有するリーダ/ライタ装置200〜206の各々は、好ましくは、数十cm乃至3mの通信距離の送信電力でRF信号を送信する。RF IDタグ500〜506は、好ましくは、数十cm乃至2mの通信距離の送信電力でRF信号を送信し、最も近い少なくとも1つのアンテナに到達する程度の送信電力を有するが、全てのアンテナANT−A〜ANT−Dに到達するほどの強い送信電力を持っていない。受動型のRF IDタグは、典型的には、能動型のRF IDタグより強い送信電力を有する。但し、RF信号の到達範囲は環境に応じて変化する。
【0021】
図2は、本発明の実施形態による、通過する複数の荷物を囲むように分散配置され、それぞれリーダ/ライタ装置200〜206に接続された複数のアンテナANT−A〜ANT−Dを有するゲート2を示している。それぞれのRF IDタグTAG−A〜TAG−Dを有する複数の荷物がゲート2をほぼ同時に通過する。
【0022】
リーダ/ライタ装置200は、破線で示されているようにゲート2をほぼ同時に通過する全てのRF IDタグTAG−A〜TAG−D(500〜506)が受信できるような強い送信電力で、ID要求コマンドを搬送するRF信号を送信し、RF IDタグTAG−A〜TAG−Dからの可能性あるRF応答信号を受信する。他のリーダ/ライタ装置202〜206は、RF信号を送信せず、RF IDタグTAG−A〜TAG−Dのいずれかからの可能性あるRF応答信号を受信する。
【0023】
図3は、リーダ/ライタ制御装置100とリーダ/ライタ装置R/W−A〜R/W−D(200〜206)の構成および接続を示している。図において、リーダ/ライタ装置200〜206内のデータ制御部220は示されていない。
【0024】
リーダ/ライタ装置(R/W−A)200は、図1に示されているように、データ制御部220と、送信データ符号化部230と、コイル・アンテナANT−Aと、送信機部(TX)236と、受信機部(RX)238と、受信データ復号部232と、を含んでいる。その他のリーダ/ライタ装置(R/W−B〜R/W−D)202〜206の各々は、データ制御部220と、コイル・アンテナANTと、受信機部(RX)238と、受信データ復号部232と、を含んでおり、送信データ符号化部230および送信機部(TX)236を含んでいても使用しないかまたは含んでいなくてもよい。
【0025】
リーダ/ライタ制御装置100は、リーダ/ライタ装置R/W−A(200)のデータ符号化部230にデータ制御部220を介して接続された送信制御部110と、リーダ/ライタ装置(R/W−A〜R/W−D)200〜206のデータ復号部232に接続された冗長IDフィルタ部120とを具えている。冗長IDフィルタ部120は、受信IDを蓄積するためのメモリ122を有する。送信制御部110および冗長IDフィルタ部120等の諸機能を、リーダ/ライタ制御装置100のメモリに格納されたプログラムに従ってプロセッサ102上で実装してもよい。
【0026】
図4は、リーダ/ライタ装置R/W−A〜R/W−D(200〜206)およびRF IDタグTAG−A〜TAG−D(502〜506)の送受信のタイムチャートの例を示している。
【0027】
図4を参照すると、リーダ/ライタ装置R/W−A(200)は、例えば10msecの短い期間にID要求コマンドCMDでキャリアを変調したRF信号を送信し、次いで、それに続く例えば190msecの長い期間にRF IDタグに電磁エネルギを供給するために無変調キャリアを送信する。リーダ/ライタ装置R/W−A(200)は、RF信号と無変調キャリアの送信を、例えば200msecの周期で行う。
【0028】
RF IDタグTAG−A〜TAG−D(500〜506)は、リーダ/ライタ装置R/W−A(200)から受信したID要求コマンドを搬送するRF信号に応答して、乱数によってランダムに決定されたタイムスロットにおいてそれぞれのタグIDでキャリアを変調したRF応答信号を送信し返す。
【0029】
リーダ/ライタ装置R/W−A〜R/W−D(200〜206)の各々の受信機部238は、常に受信可能状態にあるが、それぞれのアンテナANT−A〜ANT−Dから遠い位置にあるまたは電磁波環境の悪い位置にあるRF IDタグTAG−A〜TAG−D(500〜506)の或るものからのRF応答信号をうまく受信してコマンドを復号できるとは限らない。
【0030】
図4において、RF IDタグTAG−A(500)のRF応答信号は、リーダ/ライタ装置R/W−AおよびR/W−D(200、206)によって受信されて、RF応答信号によって搬送されたタグIDが復号されて、そのタグIDが冗長フィルタ部120に供給される。RF IDタグTAG−B(502)のRF応答信号は、リーダ/ライタ装置R/W−B(202)のみによって受信されて、RF応答信号によって搬送されたタグIDが復号されて、そのタグIDが冗長フィルタリング部120に供給される。RF IDタグ(TAG−C)504のRF応答信号は、リーダ/ライタ装置R/W−BおよびR/W−C(202、204)によって受信されて、RF応答信号によって搬送されたタグIDが復号されて、そのタグIDが冗長フィルタリング部120に供給される。RF IDタグ(TAG−A)506のRF応答信号は、リーダ/ライタ装置R/W−AおよびR/W−D(200、206)によって受信されて、RF応答信号によって搬送されたタグIDが復号されて、そのタグIDが冗長フィルタ部120に供給される。タグIDは1つ以上のリーダ/ライタ装置によって受信される可能性が高いので、受信したタグIDの信頼性が高くなる。
【0031】
冗長フィルタ部120は、受け取ったタグIDをメモリ122に蓄積し、蓄積されたタグIDの中で重複するタグIDの中の1つを残して他のタグIDを削除する。この場合、冗長フィルタ部120は、RF IDタグTAG−A、TAG−CおよびTAG−DのタグIDのうちのそれぞれ1つを残して他方を削除する。冗長フィルタ部120はフィルタリングされたタグIDを上位装置104に供給する。
【0032】
図5は、リーダ/ライタ装置200からRF IDタグTAG−A〜TAG−D(500〜506)への読み取りおよび書き込み要求を含む送信コマンドの既知のフォーマットと、RF IDタグTAG−A〜TAG−Dからリーダ/ライタ装置R/W−A〜R/W−Dへの応答データの既知のフォーマットを示している。
【0033】
図2の実施形態によれば、1つの送信サイクルのID要求コマンドの送信によって、ゲート2を通過する全てのRF IDタグTAG−A〜TAG−D(500〜506)のタグIDを、高い信頼性をもって短時間で受信することができる。複数のRF IDタグTAG−A〜TAG−Dからの到達距離の短い応答信号が分散配置された複数のアンテナANT−A〜ANT−Dによって受信されるので、RF IDタグの応答信号の衝突の可能性が低減される。また、RF IDタグの応答信号の衝突があった場合でも、少ない回数の送信サイクルのID要求コマンドで、全てのRF IDタグTAG−A〜TAG−DのタグIDを取得することができる。
【0034】
図6は、本発明の別の実施形態による、通過する複数の荷物を囲むように分散配置され、それぞれリーダ/ライタ装置200〜206が接続された複数のアンテナANT−A〜ANT−Dを有するゲート2を示している。
【0035】
リーダ/ライタ装置200は、破線で示されているようにゲート2の少なくとも一部の領域を通過するRF IDタグが受信できるような送信電力で、ID要求コマンドを搬送するRF信号を送信し、RF IDタグからの可能性あるRF応答信号を受信する。リーダ/ライタ装置204は、破線で示されているようにゲート2の少なくとも残りの一部の領域を通過するRF IDタグが受信できるような送信電力で、ID要求コマンドを搬送するRF信号を送信し、RF IDタグからの可能性あるRF応答信号を受信する。他のリーダ/ライタ装置202および206は、RF信号を送信せず、RF IDタグTAG−A〜TAG−Dのいずれかからの可能性あるRF応答信号を受信する。
【0036】
図7は、リーダ/ライタ制御装置100とリーダ/ライタ装置R/W−A〜R/W−D(200〜206)の構成および接続を示している。n個のリーダ/ライタ装置R/W−A〜R/W−D(200〜206)の中の所定の数j個(1≦j≦n)のリーダ/ライタ装置を、コマンド信号の送信に用いることができる。
【0037】
図6の実施形態によれば、2つのリーダ/ライタ装置R/W−AおよびR/W−C(200、204)の各々は、図1に示されているように、データ制御部220と、送信データ符号化部230と、コイル・アンテナANT−Aと、送信機部236と、受信機部238と、受信データ復号部232と、を含んでいる。その他のリーダ/ライタ装置R/W−BおよびR/W−D(202、206)の各々は、データ制御部220と、コイル・アンテナANTと、受信機部238と、受信データ復号部232と、を含んでおり、この実施形態において、送信データ符号化部230および送信機部236を含んでいても使用しない。代替構成として、リーダ/ライタ装置R/W−BおよびR/W−Dの各々は、送信データ符号化部230および送信機部236を含んでいなくてもよい。
【0038】
リーダ/ライタ制御装置100は、リーダ/ライタ装置R/W−A〜R/W−D(200〜206)のデータ符号化部230にそれぞれのデータ制御部220を介しスイッチSW−A〜SW−Dを介して接続された送信制御部110と、リーダ/ライタ装置R/W−A〜R/W−D(200〜206)のデータ復号部232にそれぞれのデータ制御部220を介して接続された冗長IDフィルタ部120と、スイッチSW−A〜SW−Dのターン・オン/オフを制御するスイッチ制御部130と、を具えている。送信制御部110、冗長IDフィルタ部120およびスイッチ制御部130等の諸機能を、リーダ/ライタ制御装置100のメモリに格納されたプログラムに従ってプロセッサ102上で実装してもよい。
【0039】
この実施形態では、リーダ/ライタ装置R/W−BおよびR/W−D(202、206)の各々は、送信データ符号化部230および送信機部236を使用しないか、またはそれらを含んでいなくてもよい。また、スイッチSW−BおよびSW−Dは設けられていなくてもよい。
【0040】
図8は、リーダ/ライタ装置R/W−A〜R/W−D(200〜206)およびRF IDタグTAG−A〜TAG−D(502〜506)の送受信のタイムチャートの例を示している。
【0041】
図8を参照すると、リーダ/ライタ装置R/W−AおよびR/W−C(200、204)は、RF信号と無変調キャリアの送信を、例えば400msecの周期で時分割的に交互に行う。スイッチSW−BおよびSW−Dは常にターン・オフ状態にある。上位装置104の制御信号に従って、最初に、リーダ/ライタ制御装置100のスイッチ制御部130はスイッチSW−Aをターン・オンし他のスイッチSW−Cをターン・オフし、送信制御部110は送信コマンドをリーダ/ライタ装置R/W−A(200)に供給する。送信コマンドを受け取ったとき、リーダ/ライタ装置R/W−Aは、例えば10msecの短い期間にID要求コマンドCMDでキャリアを変調したRF信号を送信し、次いで、例えば続く190msecの長い期間にRF IDタグに電磁エネルギを供給するために無変調キャリアを送信する。
【0042】
RF IDタグTAG−A、TAG−CおよびTAG−D(500、504、506)は、リーダ/ライタ装置R/W−A(200)から受信したID要求コマンドを搬送するRF信号に応答して、乱数によってランダムに決定されたタイムスロットにおいてそれぞれのタグIDでキャリアを変調したRF応答信号を送信し返す。RF IDタグTAG−Bは、リーダ/ライタ装置R/W−Aから離れた位置にあるので、リーダ/ライタ装置R/W−AからのRF信号を受信しない。
【0043】
その後、上位装置104の制御信号に従って、リーダ/ライタ制御装置100のスイッチ制御部130はスイッチSW−Cをターン・オンし他のスイッチSW−Aをターン・オフし、送信制御部110は送信コマンドをリーダ/ライタ装置R/W−C(204)に供給する。送信コマンドを受け取ったとき、リーダ/ライタ装置R/W−Cは、短い期間にID要求コマンドCMDでキャリアを変調したRF信号を送信し、次いで、それに続く長い期間にRF IDタグに電磁エネルギを供給するために無変調キャリアを送信する。
【0044】
RF IDタグTAG−B〜TAG−D(502〜506)は、リーダ/ライタ装置R/W−C(204)から受信したID要求コマンドを搬送するRF信号に応答して、乱数によってランダムに決定されたタイムスロットにおいてそれぞれのタグIDでキャリアを変調したRF応答信号を送信し返す。RF IDタグTAG−Aは、リーダ/ライタ装置R/W−Cから離れた位置にあるので、リーダ/ライタ装置R/W−CからのRF信号を受信しない。
【0045】
図8において、リーダ/ライタ装置R/W−A(200)によって送信されたID要求コマンドに対して、RF IDタグTAG−A(500)のRF応答信号はリーダ/ライタ装置R/W−A(200)のみによって受信され、TAG−C(503)のRF応答信号はいずれのリーダ/ライタ装置によっても受信されず、RF IDタグ(TAG−D)506のRF応答信号はリーダ/ライタ装置R/W−AおよびR/W−D(200、206)によって受信される。リーダ/ライタ装置R/W−BおよびR/W−DにおいてそれらのRF応答信号によって搬送されたタグIDが復号されて、そのタグIDが冗長フィルタ部120に供給される。
【0046】
リーダ/ライタ装置R/W−C(204)によって送信されたID要求コマンドに対して、RF IDタグ(TAG−B)502のRF応答信号はリーダ/ライタ装置R/W−BおよびR/W−C(202、204)によって受信され、RF IDタグTAG−C(504)のRF応答信号はリーダ/ライタ装置R/W−C(204)のみによって受信され、RF IDタグTAG−D(506)のRF応答信号はリーダ/ライタ装置R/W−D(206)のみによって受信される。リーダ/ライタ装置R/W−A〜R/W−CにおいてそれらのRF応答信号によって搬送されたタグIDが復号されて、そのタグIDが冗長フィルタ部120に供給される。
【0047】
冗長IDフィルタ部120は、受け取ったタグIDをメモリ122に蓄積し、蓄積されたタグIDの中で重複するタグIDの中の1つを残して他のタグIDを削除し、フィルタリングされたタグIDを上位装置に供給する。
【0048】
図9は、リーダ/ライタ制御装置100とリーダ/ライタ装置R/W−A〜R/W−D(200〜206)の代替的な構成および接続を示している。
【0049】
図9において、リーダ/ライタ装置R/W−A〜R/W−D(200〜206)は、送信データ符号化部および送信機部を含んでいない。リーダ/ライタ装置R/W−AおよびR/W−C(200、204)に対して設けられたスイッチSW−AおよびSW−Cと送信制御部110との間に共用の送信データ符号化部230および送信機部236が設けられる。送信データ符号化部230および送信機部236は、リーダ/ライタ装置R/W−AおよびR/W−C(200、206)のアンテナANT−AおよびANT−Cによる送信に用いられる。この場合、リーダ/ライタ装置R/W−BおよびR/W−D(202、204)と送信制御部110の間には、図7におけるスイッチSW−BおよびSW−Dは設けられていない。
【0050】
この実施形態によれば、ゲート2における荷物の通過領域を拡大し、RF IDタグの検出領域を拡大することができる。
【0051】
図10は、本発明のさらに別の実施形態による、通過する複数の荷物を囲むように分散配置され、それぞれリーダ/ライタ装置200〜206が接続された複数のアンテナANT−A〜ANT−Dを有するゲート2を示している。
【0052】
リーダ/ライタ装置200〜206は、破線で示されているようにゲート2の重複する異なるそれぞれの部分領域を通過するRF IDタグが受信できるような送信電力で、ID要求コマンドを搬送するRF信号を送信し、RF IDタグTAG−A〜TAG−DからのRF応答信号を受信する。
【0053】
この実施形態においても、図7のリーダ/ライタ制御装置100とリーダ/ライタ装置(R/W−A〜R/W−D)200〜206の構成および接続が用いられる。
【0054】
図11は、リーダ/ライタ制御装置100とリーダ/ライタ装置(R/W−A〜R/W−D)200〜206の代替的な構成および接続を示している。
【0055】
図11において、リーダ/ライタ装置R/W−A〜R/W−D(200〜206)は、送信データ符号化部および送信機部を含んでいない。リーダ/ライタ装置R/W−AおよびR/W−D(200〜206)に対して設けられたスイッチSW−A〜SW−Dと送信制御部110との間に共用の送信データ符号化部230および送信機部236が設けられる。送信データ符号化部230および送信機部236は、リーダ/ライタ装置R/W−A〜R/W−D(200〜206)による送信に用いられる。
【0056】
図12は、リーダ/ライタ装置R/W−A〜R/W−D(200〜206)およびRF IDタグTAG−A〜TAG−D(502〜506)の送受信のタイムチャートの例を示している。
【0057】
図12を参照すると、リーダ/ライタ装置R/W−A〜R/W−D(200〜206)は、RF信号と無変調キャリアの送信を、例えば800msecの周期で時分割的に循環的に行う。上位装置104からの制御信号に従って、最初に、リーダ/ライタ制御装置100のスイッチ制御部130はスイッチSW−Aをターン・オンし他のスイッチSW−B〜SW−Dをターン・オフし、送信制御部110は送信コマンドをリーダ/ライタ装置R/W−A(200)に供給する。送信コマンドを受け取ったとき、リーダ/ライタ装置R/W−Aは、例えば10msecの短い期間にID要求コマンドCMDでキャリアを変調したRF信号を送信し、次いで、例えば続く190msecの長い期間にRF IDタグに電磁エネルギを供給するために無変調キャリアを送信する。
【0058】
RF IDタグTAG−A、TAG−CおよびTAG−D(500、504、506)は、リーダ/ライタ装置R/W−A(200)から受信したID要求コマンドを搬送するRF信号に応答して、乱数によってランダムに決定されたタイムスロットにおいてそれぞれのタグIDでキャリアを変調したRF応答信号を送信し返す。RF IDタグTAG−Bはリーダ/ライタ装置R/W−AからのRF信号を受信しない。
【0059】
その後、リーダ/ライタ制御装置100のスイッチ制御部130はスイッチSW−Bをターン・オンし他のスイッチSW−A、SW−BおよびSW−Cをターン・オフし、送信制御部110は送信コマンドをリーダ/ライタ装置R/W−B(202)に供給する。送信コマンドを受け取ったとき、リーダ/ライタ装置R/W−Bは、短い期間にID要求コマンドCMDでキャリアを変調したRF信号を送信し、次いで、それに続く長い期間にRF IDタグに電磁エネルギを供給するために無変調キャリアを送信する。
【0060】
RF IDタグTAG−BおよびTAG−C(502、504)は、リーダ/ライタ装置R/W−B(202)から受信したID要求コマンドを搬送するRF信号に応答して、乱数によってランダムに決定されたタイムスロットにおいてそれぞれのタグIDでキャリアを変調したRF応答信号を送信し返す。RF IDタグTAG−AおよびTAG−Dはリーダ/ライタ装置R/W−BからのRF信号を受信しない。
【0061】
その後、リーダ/ライタ制御装置100のスイッチ制御部130はスイッチSW−Cをターン・オンし他のスイッチSW−A、SW−BおよびSW−Dをターン・オフし、送信制御部110は送信コマンドをリーダ/ライタ装置R/W−C(204)に供給する。送信コマンドを受け取ったとき、リーダ/ライタ装置R/W−Cは、短い期間にID要求コマンドCMDでキャリアを変調したRF信号を送信し、次いで、それに続く長い期間にRF IDタグに電磁エネルギを供給するために無変調キャリアを送信する。
【0062】
RF IDタグTAG−B〜TAG−D(502〜506)は、リーダ/ライタ装置R/W−C(204)から受信したID要求コマンドを搬送するRF信号に応答して、乱数によってランダムに決定されたタイムスロットにおいてそれぞれのタグIDでキャリアを変調したRF応答信号を送信し返す。RF IDタグTAG−Aはリーダ/ライタ装置R/W−CからのRF信号を受信しない。
【0063】
その後、リーダ/ライタ制御装置100のスイッチ制御部130はスイッチSW−Dをターン・オンし他のスイッチSW−A〜SW−Cをターン・オフし、送信制御部110は送信コマンドをリーダ/ライタ装置R/W−D(206)に供給する。送信コマンドを受け取ったとき、リーダ/ライタ装置R/W−Dは、短い期間にID要求コマンドCMDでキャリアを変調したRF信号を送信し、次いで、それに続く長い期間にRF IDタグに電磁エネルギを供給するために無変調キャリアを送信する。
【0064】
RF IDタグTAG−AおよびTAG−D(500、506)は、リーダ/ライタ装置R/W−D(206)から受信したID要求コマンドを搬送するRF信号に応答して、乱数によってランダムに決定されたタイムスロットにおいてそれぞれのタグIDでキャリアを変調したRF応答信号を送信し返す。RF IDタグTAG−BおよびTAG−Cはリーダ/ライタ装置R/W−DからのRF信号を受信しない。
【0065】
図12において、リーダ/ライタ装置R/W−A(200)によって送信されたID要求コマンドに対して、RF IDタグTAG−A(500)のRF応答信号はリーダ/ライタ装置R/W−A(200)のみによって受信され、RF IDタグTAG−C(504)のRF応答信号はいずれのリーダ/ライタ装置によっても受信されず、RF IDタグ(TAG−D)506のRF応答信号はリーダ/ライタ装置R/W−D(206)のみによって受信される。リーダ/ライタ装置R/W−AおよびR/W−DにおいてそれらのRF応答信号によって搬送されたタグIDが復号されて、そのタグIDが冗長フィルタ部120に供給される。
【0066】
リーダ/ライタ装置R/W−B(202)によって送信されたID要求コマンドに対して、RF IDタグTAG−B(502)のRF応答信号はリーダ/ライタ装置R/W−B(202)のみによって受信され、RF IDタグTAG−C(504)のRF応答信号はリーダ/ライタ装置R/W−C(204)のみによって受信される。リーダ/ライタ装置R/W−BおよびR/W−CにおいてそれらのRF応答信号によって搬送されたタグIDが復号されて、そのタグIDが冗長フィルタ部120に供給される。
【0067】
リーダ/ライタ装置R/W−C(204)によって送信されたID要求コマンドに対して、RF IDタグTAG−B(502)のRF応答信号はリーダ/ライタ装置R/W−B(202)のみによって受信され、RF IDタグTAG−C(504)のRF応答信号はリーダ/ライタ装置R/W−B(202)のみによって受信され、RF IDタグTAG−D(506)のRF応答信号はいずれのリーダ/ライタ装置によっても受信されない。リーダ/ライタ装置R/W−BおよびR/W−CにおいてそれらのRF応答信号によって搬送されたタグIDが復号されて、そのタグIDが冗長フィルタ部120に供給される。
【0068】
リーダ/ライタ装置R/W−D(206)によって送信されたID要求コマンドに対して、RF IDタグTAG−A(500)のRF応答信号はリーダ/ライタ装置R/W−A(200)のみによって受信され、RF IDタグ(TAG−D)506のRF応答信号はリーダ/ライタ装置R/W−D(206)のみによって受信される。リーダ/ライタ装置R/W−AおよびR/W−DにおいてそれらのRF応答信号によって搬送されたタグIDが復号されて、そのタグIDが冗長フィルタ部120に供給される。
【0069】
冗長IDフィルタ部120は、受け取ったタグIDをメモリ122に蓄積し、蓄積されたタグIDの中で重複するタグIDの中の1つを残して他のタグIDを削除し、フィルタリングされたタグIDを上位装置に供給する。
【0070】
図10の実施形態によれば、電磁波伝播環境の変動に起因するRF IDタグの読み取りエラーを大幅に低減することができる。
【0071】
図13は、図7、9および11のリーダ/ライタ制御装置100によって実行される、リーダ/ライタ装置R/W−A〜R/W−D(200〜206)およびスイッチSW−A〜SW−Dを制御するためのフロー図を示している。その制御は、プロセッサ102によって実行されてもよい。
【0072】
ステップ702において、スイッチ制御部130は、上位装置104よりコマンドの送信に使用すべきアンテナ(ANT−A〜ANT−D)に対応するリーダ/ライタ装置(R/W−A〜R/W−D)の選択を表すコマンド・データを受け取る。ステップ704において、スイッチ制御部130は、そのリーダ/ライタ装置の選択に従ってスイッチSW−A〜SW−Dのいずれかをターン・オンし、送信制御部110は、図7、9または11のリーダ/ライタ装置R/W−A〜R/W−Dの中の対応するものの符号化部230に送信コマンドを供給する。リーダ/ライタ装置R/W−A〜R/W−Dの中の対応するものの送信機部236は、符号化部230からの符号化されたデータでキャリアを変調してRFコマンド信号をアンテナANT−A〜ANT−Dの中の対応するものを介して送信する。
【0073】
ステップ706において、リーダ/ライタ装置R/W−A〜R/W−Dの受信機部238はアンテナANT−A〜ANT−Dを介してRF応答信号を受信して復調し、リーダ/ライタ装置R/W−A〜R/W−Dの復号部232はその復調されたベースバンド応答信号を復号してタグID等のデータを復元し、復元されたデータを冗長IDフィルタ部120に供給する。冗長IDフィルタ部120はそのタグIDを内部のメモリ122に蓄積する。
【0074】
RF IDタグの数が既知でない場合は、ステップ706の後、手順はステップ710に進む。RF IDタグの数が既知の場合、ステップ708において、冗長IDフィルタ部120は、すべてのRF IDタグからIDを受信したかどうかを判定する。すべてのRF IDタグからIDを受信していないと判定された場合は、手順はステップ710に進む。すべてのRF IDタグからIDを受信したと判定された場合は、手順はステップ712に進む。
【0075】
ステップ710において、送信制御部110は、すべてのアンテナANT−AおよびANT−CまたはANT−A〜ANT−D、即ちすべてのリーダ/ライタ装置R/W−AおよびR/W−CまたはR/W−A〜R/W−DでRFコマンド信号を送信したかどうかを判定する。すべてのアンテナでそれを送信したと判定された場合は、手順はステップ712に進む。すべてのアンテナでそれを送信していないと判定された場合は、手順はステップ704に戻る。
【0076】
冗長IDフィルタ部120は、ステップ712においてメモリ122に蓄積されているタグIDから重複するものを削除し、ステップ714においてその冗長性のないタグIDを上位装置104へ供給する。その後、手順はステップ702に戻る。
【0077】
以上の説明では、本発明を受動型RF IDタグに関連して説明したが、これに限定されることなく、本発明が能動型RF IDタグおよび非接触ICカードにも適用できることは、この分野の専門家には理解されるであろう。
【0078】
以上説明した実施形態は典型例として挙げたに過ぎず、その各実施形態の構成要素を組み合わせること、その変形およびバリエーションは当業者にとって明らかであり、当業者であれば本発明の原理および請求の範囲に記載した発明の範囲を逸脱することなく上述の実施形態の種々の変形を行えることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】図1は、本発明の実施形態による、受動型非接触情報記憶装置としてのRF IDタグと、RF IDタグに情報読み取りのコマンド信号の送信を行うそれぞれ非接触リーダまたは非接触リーダおよびライタ装置と、リーダ/ライタ装置との間でデータを送受信しリーダ/ライタ装置を制御するリーダ/ライタ制御部と、を示している。
【図2】図2は、本発明の実施形態による、通過する複数の荷物を囲むように分散配置され、それぞれリーダ/ライタ装置に接続された複数のアンテナを有するゲートを示している。
【図3】図3は、リーダ/ライタ制御装置とリーダ/ライタ装置の構成および接続を示している。
【図4】図4は、リーダ/ライタ装置およびRF IDタグの送受信のタイムチャートの例を示している。
【図5】図5は、リーダ/ライタ装置からRF IDタグへの読み取りおよび書き込み要求を含む送信コマンドの既知のフォーマットと、RF IDタグからリーダ/ライタ装置への応答データの既知のフォーマットを示している。
【図6】図6は、本発明の別の実施形態による、通過する複数の荷物を囲むように分散配置され、それぞれリーダ/ライタ装置が接続された複数のアンテナを有するゲートを示している。
【図7】図7は、リーダ/ライタ制御装置とリーダ/ライタ装置の構成および接続を示している。
【図8】図8は、リーダ/ライタ装置およびRF IDタグの送受信のタイムチャートの例を示している。
【図9】図9は、リーダ/ライタ制御装置とリーダ/ライタ装置の代替的な構成および接続を示している。
【図10】図10は、本発明のさらに別の実施形態による、通過する複数の荷物を囲むように分散配置され、それぞれリーダ/ライタ装置が接続された複数のアンテナを有するゲートを示している。
【図11】リーダ/ライタ制御装置とリーダ/ライタ装置の代替的な構成および接続を示している。
【図12】図12は、リーダ/ライタ装置およびRF IDタグの送受信のタイムチャートの例を示している。
【図13】図13は、図7、9および11のリーダ/ライタ制御装置によって実行される、リーダ/ライタ装置およびスイッチを制御するためのフロー図を示している。
【符号の説明】
【0080】
100 リーダ/ライタ制御装置
110 送信制御部
120 冗長IDフィルタ部
200、202、204、206 リーダ/ライタ装置
ANT−A、ANT−B、ANT−C、ANT−D アンテナ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の領域をほぼ同時に通過する複数の非接触情報記憶装置と通信するための、それぞれ異なる位置に配置された複数のアンテナと、
前記複数のアンテナにそれぞれ接続されていて、前記複数の非接触情報記憶装置と通信可能な複数の読取り装置と、
前記複数の読取り装置を制御し、前記複数の読取り装置から受け取ったデータを別の装置に送信する制御装置と、
を含む、非接触情報記憶装置内の情報にアクセスするための情報アクセス・システムであって、
前記制御装置は、前記別の装置から受け取った制御信号に従って、前記複数の読取り装置の中の1つの所定の読取り装置をそのアンテナを介して前記所定の領域にRF識別情報要求信号を送信するよう制御し、
前記複数の読取り装置は、前記複数の非接触情報記憶装置からのRF応答信号を前記複数のアンテナを介して受信して識別情報を生成し、前記生成された識別情報を前記制御装置に供給するよう構成されており、
前記制御装置は、前記生成された識別情報を受け取って、前記受け取った識別情報の中の冗長な識別情報を処理して冗長性のない識別情報を生成し、前記冗長性のない識別情報を前記別の装置に供給するものであることを特徴とする、
情報アクセス・システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記受け取った識別情報の中の冗長な識別情報を削除して冗長性のない識別情報を生成する識別情報フィルタ手段を有するものであることを特徴とする、請求項1に記載の情報アクセス・システム。
【請求項3】
所定の領域をほぼ同時に通過する複数の非接触情報記憶装置と通信するための、それぞれ異なる位置に配置された複数のアンテナと、
前記複数のアンテナにそれぞれ接続されていて、前記複数の非接触情報記憶装置と通信可能な複数の読取り装置と、
前記複数の読取り装置を制御し、前記複数の読取り装置から受け取ったデータを別の装置に送信する制御装置と、
を含む、非接触情報記憶装置内の情報にアクセスするための情報アクセス・システムであって、
前記制御装置は、前記別の装置から受け取った制御信号に従って、前記複数の読取り装置の中の1つの読取り装置を選択し、前記選択された1つの読取り装置をそのアンテナを介して前記所定の領域にRF識別情報要求信号を送信するよう制御し、
前記複数の読取り装置は、前記複数の非接触情報記憶装置からのRF応答信号を前記複数のアンテナを介して受信して識別情報を生成し、前記生成された識別情報を前記制御装置に供給するよう構成されており、
前記制御装置は、前記識別情報を受け取って、前記受け取った識別情報の中の冗長な識別情報を処理して冗長性のない識別情報を生成し、前記冗長性のない識別情報を前記別の装置に供給するものであることを特徴とする、
情報アクセス・システム。
【請求項4】
前記情報アクセス・システムは、前記複数の読取り装置の中の所定の数の読取り装置と前記制御装置との間に、RF識別情報要求信号を送信する共用の送信機を含み、
前記送信機はスイッチを介して前記所定の数の読取り装置に接続されており、
前記制御装置は、前記所定の数の読取り装置を、時分割的にRF識別情報要求信号を送信するよう制御することを特徴とする、請求項3に記載の情報アクセス・システム。
【請求項5】
所定の領域をほぼ同時に通過する複数の非接触情報記憶装置と通信するための、それぞれ異なる位置に配置された複数のアンテナと、
前記複数のアンテナにそれぞれ接続されていて、前記複数の非接触情報記憶装置と通信可能な複数の読取り装置と、
前記複数の読取り装置を制御し、前記複数の読取り装置から受け取ったデータを別の装置に送信する制御装置と、
を含む情報アクセス・システムにおいて、非接触情報記憶装置内の情報にアクセスする方法であって、
前記別の装置から受け取った制御信号に従って、前記複数の読取り装置の中の1つの所定の読取り装置をそのアンテナを介して前記所定の領域にRF識別情報要求信号を送信するよう制御し、
前記複数の非接触情報記憶装置からのRF応答信号を前記複数の読取り装置によって前記複数のアンテナを介して受信させて識別情報を生成させ、前記生成された識別情報を生成させ、
前記復号された識別情報を受け取って、前記受け取った識別情報の中の冗長な識別情報を処理して冗長性のない識別情報を生成し、前記冗長性のない識別情報を前記別の装置に供給することを特徴とする、
方法。
【請求項1】
所定の領域をほぼ同時に通過する複数の非接触情報記憶装置と通信するための、それぞれ異なる位置に配置された複数のアンテナと、
前記複数のアンテナにそれぞれ接続されていて、前記複数の非接触情報記憶装置と通信可能な複数の読取り装置と、
前記複数の読取り装置を制御し、前記複数の読取り装置から受け取ったデータを別の装置に送信する制御装置と、
を含む、非接触情報記憶装置内の情報にアクセスするための情報アクセス・システムであって、
前記制御装置は、前記別の装置から受け取った制御信号に従って、前記複数の読取り装置の中の1つの所定の読取り装置をそのアンテナを介して前記所定の領域にRF識別情報要求信号を送信するよう制御し、
前記複数の読取り装置は、前記複数の非接触情報記憶装置からのRF応答信号を前記複数のアンテナを介して受信して識別情報を生成し、前記生成された識別情報を前記制御装置に供給するよう構成されており、
前記制御装置は、前記生成された識別情報を受け取って、前記受け取った識別情報の中の冗長な識別情報を処理して冗長性のない識別情報を生成し、前記冗長性のない識別情報を前記別の装置に供給するものであることを特徴とする、
情報アクセス・システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記受け取った識別情報の中の冗長な識別情報を削除して冗長性のない識別情報を生成する識別情報フィルタ手段を有するものであることを特徴とする、請求項1に記載の情報アクセス・システム。
【請求項3】
所定の領域をほぼ同時に通過する複数の非接触情報記憶装置と通信するための、それぞれ異なる位置に配置された複数のアンテナと、
前記複数のアンテナにそれぞれ接続されていて、前記複数の非接触情報記憶装置と通信可能な複数の読取り装置と、
前記複数の読取り装置を制御し、前記複数の読取り装置から受け取ったデータを別の装置に送信する制御装置と、
を含む、非接触情報記憶装置内の情報にアクセスするための情報アクセス・システムであって、
前記制御装置は、前記別の装置から受け取った制御信号に従って、前記複数の読取り装置の中の1つの読取り装置を選択し、前記選択された1つの読取り装置をそのアンテナを介して前記所定の領域にRF識別情報要求信号を送信するよう制御し、
前記複数の読取り装置は、前記複数の非接触情報記憶装置からのRF応答信号を前記複数のアンテナを介して受信して識別情報を生成し、前記生成された識別情報を前記制御装置に供給するよう構成されており、
前記制御装置は、前記識別情報を受け取って、前記受け取った識別情報の中の冗長な識別情報を処理して冗長性のない識別情報を生成し、前記冗長性のない識別情報を前記別の装置に供給するものであることを特徴とする、
情報アクセス・システム。
【請求項4】
前記情報アクセス・システムは、前記複数の読取り装置の中の所定の数の読取り装置と前記制御装置との間に、RF識別情報要求信号を送信する共用の送信機を含み、
前記送信機はスイッチを介して前記所定の数の読取り装置に接続されており、
前記制御装置は、前記所定の数の読取り装置を、時分割的にRF識別情報要求信号を送信するよう制御することを特徴とする、請求項3に記載の情報アクセス・システム。
【請求項5】
所定の領域をほぼ同時に通過する複数の非接触情報記憶装置と通信するための、それぞれ異なる位置に配置された複数のアンテナと、
前記複数のアンテナにそれぞれ接続されていて、前記複数の非接触情報記憶装置と通信可能な複数の読取り装置と、
前記複数の読取り装置を制御し、前記複数の読取り装置から受け取ったデータを別の装置に送信する制御装置と、
を含む情報アクセス・システムにおいて、非接触情報記憶装置内の情報にアクセスする方法であって、
前記別の装置から受け取った制御信号に従って、前記複数の読取り装置の中の1つの所定の読取り装置をそのアンテナを介して前記所定の領域にRF識別情報要求信号を送信するよう制御し、
前記複数の非接触情報記憶装置からのRF応答信号を前記複数の読取り装置によって前記複数のアンテナを介して受信させて識別情報を生成させ、前記生成された識別情報を生成させ、
前記復号された識別情報を受け取って、前記受け取った識別情報の中の冗長な識別情報を処理して冗長性のない識別情報を生成し、前記冗長性のない識別情報を前記別の装置に供給することを特徴とする、
方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−172191(P2007−172191A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−367303(P2005−367303)
【出願日】平成17年12月21日(2005.12.21)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月21日(2005.12.21)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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