説明

情報シート

【課題】 情報シートの特定のエリアに表示された情報を判別不能にして、例えば個人情報等の流出を防止する。
【解決手段】 2枚の紙葉1,2を剥離可能に接着して積層した情報シートにおいて。紙葉1の特定のエリアe内には、このエリアに表示した情報が判別不能になる程度に細分化した複数の紙片7を区画するための切断線6を形成し、この切断線7を分断する連結部8を設けるとともに、上記切断線で区画された紙片は、上記エリア外の紙葉及び隣接する紙片の少なくともいずれかと上記連結部を介して連結する。そして、上記紙葉間の接着力よりも上記連結部の連結力を強くし、上記2枚の紙葉を剥離したとき、上記各紙片がエリア外の紙葉と一体に剥離される構成にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば宛名などの個人情報を表示した部分を細かく分断できるようにして、その個人情報が不用意に外部に流出しないようにした情報シートに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の情報シートとして、例えば特許文献1に記載されたものが従来から知られている。この従来の情報シートは、例えば、情報表示シートを基材シートに剥離可能に接着するとともに、上記情報表示シートには、複数のループ上の切れ目を入れている。
【0003】
そして、情報表示シートを基材シートからはがしたとき、情報表示シートのうち、上記ループ状の切れ目に囲われた部分と、その他の部分とが切れ目を境に分離されるようにしている。
つまり、記載シートから情報表示シートを剥がしたとき、情報表示シートに表示された情報が、切れ目で囲まれたループを単位に細かく分断されて判別不可能になるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−305962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の情報シートは、基材シートから情報表示シートをはがしたとき、その情報表示シートの一部が基材シート側に残るので、例えば、上記基材シート側に情報を表示できない。なぜなら、基材シート側に情報を表示すると、情報表示シートをはがしたときに、その一部が基材シート側に残るので、その残存部分で基材シート側の情報が判別できなくなるからである。
したがって、上記従来の情報シートは、情報表示シートと基材シートとの両方に情報を表示するものには使えないという問題があった。
この発明の目的は、互いにはり合わせる2枚のシートのはり合わせ面に情報を表示できる情報シートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、少なくとも2枚の紙葉を剥離可能に接着して積層した情報シートを前提にする。
上記の情報シートを前提にしつつ、この発明は、上記いずれかの紙葉の特定のエリア内に、このエリアに表示した情報が判別不能になる程度に細分化した複数の紙片を区画するための切断線を形成し、この切断線を分断する連結部を設けるとともに、上記切断線で区画された紙片は、上記エリア外の紙葉及び隣接する紙片の少なくともいずれかと上記連結部を介して連結し、上記紙葉間の接着力よりも上記連結部の連結力を強くし、上記2枚の紙葉を剥離したとき、上記各紙片がエリア外の紙葉と一体に剥離される構成にした点に特徴を有する。
【発明の効果】
【0007】
この発明の情報シートによれば、特定のエリアを細かく分断することなく2枚の紙葉を剥離できるので、細かく分断可能にした上記特定のエリアの表裏それぞれに、必要な情報を表示できる。したがって、情報表示スペースを犠牲にして、情報を細かく分断するエリアを特別に設ける必要がなく、その分、情報表示スペースを実質的に拡大できる。
【0008】
また、情報を細かく分断するために、分断すべき情報を表示するための特別なシートを必要としないので、その分、経済性に優れているとともに、その特別なシートを紙葉に貼り付けるための手間も要らなくなる。
しかも、当該紙葉の特定のエリア内に、宛名などの個人情報を表示しておけば、当該情報シートを廃棄するとき、その宛名部分を細かく分断できる。したがって、当該情報シートを破棄するときにも、上記個人情報が不用意に外部に流出したりしない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は2枚の紙葉をはり合わせた状態の情報シートの正面図である。
【図2】図2は2枚の紙葉をはがして開いた状態を示す斜視図である。
【図3】図3は図1のIII―III線断面図である。
【図4】図4は特定のエリアの拡大図である。
【図5】図5は他の実施形態における特定のエリアを示す部分図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
この実施形態の情報シートSは、少なくとも2枚の紙葉1,2を連続させ、この連続紙に、例えば上記2枚の紙葉1,2単位で繰り返し印刷を施し、この印刷を施した連続紙に熱接着性フィルムからなる粘着層4,5を形成するとともに、上記2枚の紙葉1,2の境界部に折り線3を形成する。
そして、上記2枚の紙葉1,2を折り線3から折り返して、それら紙葉1,2を積層するとともに、この積層した2枚の紙葉1,2に熱を加えながら押圧する。このように熱を加えて押圧することによって、上記粘着層4,5を介して、2枚の紙葉1,2が剥離可能に接着される。
このようにして2枚の紙葉1,2を剥離可能に積層した状態で、この情報シートSは、定型はがきとして郵送可能なサイズになるようにしている。
【0011】
また、上記紙葉1には、郵送時に宛名を表示する特定のエリアeを設けるとともに、このエリアe内には、多数の切断線6で細分化された紙片7が区画されている。しかも、これら紙片7は、上記エリアeの外側における紙葉1及び互いに隣接する紙片の少なくともいずれかと連結部8を介して連結している。つまり、この連結部8は、上記切断線6の連続性を分断するようにして設けたものである。
【0012】
ただし、上記切断線6と連結部8との長さの比率によっては、切断線6がミシン目になったり、長い線になったりするものである。
また、上記切断線6は、紙葉1を貫通してもよいし、紙葉1の厚さ方向に8分目程度切り込んだものでもよい。そして、紙葉1の厚さ方向に8分目程度切り込んだ場合には、紙葉1の厚さ方向に2分目程度残存したところが連結部8となる。
【0013】
また、上記切断線6と連結部8との関係を拡大して示したのが図4である。
この図4からも明らかなように、上記切断線6は、原則的にはエリアeの特定の縁から他の縁まで伸びているが、1本の切断線6が互い違いになりながら、エリアeの縁上に縁上連結部8aが間欠的に連続し、縁よりも内側に縁内連結部8bが間欠的に連続するとともに、上記各縁内連結部8bを介して各紙片7を連続させ、しかも、これら連結部8a、8bをエリアeの縁に沿って集中的に設けている。
【0014】
上記したように紙葉1,2の積層面に粘着層4,5を一様に形成してから、折り線3から折り返してそれら粘着層4,5を接着して積層するが、このときには、上記した紙片7にも粘着層4が形成されている。したがって、紙葉1,2の積層状態では、紙葉1に形成した上記各紙片7のそれぞれも、紙葉2に対して剥離可能に接着された状態を保つ。
【0015】
そして、上記連結部8a,8bの連結力は、紙葉1,2を接着させる粘着層4,5の粘着力よりも強くしている。言い換えると、積層状態にある紙葉1,2を剥離したとき、上記エリアe内のすべての紙片7が連続状態を保ちつつ一方の紙葉1と一体化した状態で紙葉2から剥離されるようにしている。
【0016】
このようにエリアe内の紙片7が連続状態を保って一方の紙葉1と一体化した状態で剥離されるので、このエリアeの情報もバラバラに分断されることなく判読可能な状態を保つ。したがって、エリアeの表裏いずれにも情報を表示することができる。
【0017】
また、積層状態にある紙葉1,2を剥離した後に、上記特定のエリアeの連結部8aを人の手で分断すれば、そのエリアeを紙葉1から切り取ることができるとともに、連結部8bを分断してエリアe内の各紙片7を、一枚の紙片を最小単位にしてそれらをバラバラに細かく分断することができる。
したがって、上記一枚の紙片の最小単位では、文字等の情報が判別できないようにしておけば、上記エリアeに表示した宛名等の個人情報が不用意に流出したりしない。
【0018】
なお、図5は他の実施形態を示すもので、この他の実施形態は、エリアe内にマス目上の切断線6を形成し、所定の箇所に連結部箇所に連結部8を形成したもので、その他は、上記図1〜図4の実施形態と同様である。つまり、上記連結部8の連結力を、粘着層4,5の接着力よりも強くして、積層状態にある紙葉1,2を剥離したとき、エリアe内の各紙片7が紙葉1と一体になって紙葉2からはがれるようにしている。
【0019】
いずれにしても、上記各実施形態によれば、特定のエリアeを細かく分断することなく2枚の紙葉1,2を剥離できるので、細かく分断可能にした上記特定のエリアeの表裏それぞれに、必要な情報を表示できる。したがって、情報表示スペースを犠牲にして、情報を細かく分断するエリアを特別に設ける必要がなく、その分、情報表示スペースを実質的に拡大できる。
【0020】
また、情報を細かく分断するために、分断すべき情報を表示するための特別なシートを必要としないので、その分、経済性に優れているとともに、その特別なシートを紙葉に貼り付けるための手間も省くことができる。
しかも、当該紙葉1の特定のエリアe内に、宛名などの個人情報を表示しておけば、当該情報シートを廃棄するとき、宛名を表示した上記エリアeを細かく分断できる。したがって、当該情報シートを破棄するときにも、上記個人情報が不用意に外部に流出したりしない。
【産業上の利用可能性】
【0021】
複数の紙葉を積層したはがきに最適である。
【符号の説明】
【0022】
1 紙葉
2 紙葉
e エリア
6 切断線
7 紙片
8 連結部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2枚の紙葉を剥離可能に接着して積層した情報シートにおいて、
いずれかの紙葉の特定のエリア内には、このエリアに表示した情報が判別不能になる程度に細分化した複数の紙片を区画するための切断線を形成し、この切断線を分断する連結部を設けるとともに、上記切断線で区画された紙片は、上記エリア外の紙葉及び隣接する紙片の少なくともいずれかと上記連結部を介して連結し、上記紙葉間の接着力よりも上記連結部の連結力を強くし、上記2枚の紙葉を剥離したとき、上記各紙片がエリア外の紙葉と一体に剥離される構成にした情報シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−40722(P2012−40722A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−182438(P2010−182438)
【出願日】平成22年8月17日(2010.8.17)
【出願人】(391022382)日本通信紙株式会社 (9)
【Fターム(参考)】