説明

情報入力端末装置及び情報入力方法及び情報入力プログラム

【課題】負傷者の症状やトリアージの判定に関する情報の入力作業を効率化することを目的とする。
【解決手段】携帯通信端末200において、症状選択部204は、災害現場における負傷者の症状に係る選択肢を表示装置254へ出力して、医師、救急救命士などのトリアージの実施者に負傷者の症状の選択を促す。そして、トリアージの実施者による負傷者の症状の選択を入力装置253から受け付け、選択に係る症状を示す症状データを記憶装置251に記憶する。トリアージ区分決定部205は、症状選択部204により記憶された症状データを記憶装置251から読み取る。そして、症状データが示す症状に基づいて負傷者のトリアージ区分を処理装置252で決定し、負傷者のトリアージ区分を示す区分データを記憶装置251に記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報入力端末装置及び情報入力方法及び情報入力プログラムに関するものである。本発明は、特に、災害救護情報を入力するための情報入力端末装置及び情報入力方法及び情報入力プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、災害・救急医療において負傷者の症状をカルテやトリアージタッグに記述する場合、医師、救急救命士などは手書きにより負傷者の症状を記録するか、ノート型PC(パーソナルコンピュータ)もしくはPDA(登録商標)(Personal・Digital・Assistant)などで負傷者の症状を入力していた。また、災害・救急医療においてトリアージ、即ち、負傷者の救護に関する優先順序付けを行う場合、その判定は医師らの判断に任されていた(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2007−86855号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の方法では、負傷者の症状をカルテやトリアージタッグに記述する場合、(1)一刻を争う緊急事態において、症状の記述に時間がかかりすぎる、(2)症状の記述表現が統一されていないため、負傷者の治療担当部門に正確な症状の伝達ができない、(3)症状の記述がまちまちであるため、事後に必要となる災害などの分析評価において、統計的な集計処理が困難である、といった課題があった。また、トリアージを行う場合、判定の基準が曖昧であったり、個人差があったり、後で判定について問題となることがある、といった課題があった。
【0004】
本発明は、例えば、負傷者の症状やトリアージの判定に関する情報の入力作業を効率化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一の態様に係る情報入力端末装置は、
傷病者の治療又は搬送の優先度を区分化したトリアージ区分を決定する情報入力端末装置であって、
傷病者の症状に係る選択肢を表示装置へ出力して利用者に傷病者の症状の選択を促し、利用者による傷病者の症状の選択を入力装置から受け付け、選択に係る症状を示す症状データを記憶装置に記憶する症状選択部と、
前記症状選択部により記憶された症状データを記憶装置から読み取り、症状データが示す症状に基づいて傷病者のトリアージ区分を処理装置で決定し、傷病者のトリアージ区分を示す区分データを記憶装置に記憶するトリアージ区分決定部と、
前記トリアージ区分決定部により記憶された区分データを記憶装置から読み取り、区分データが示すトリアージ区分を表示装置へ出力するトリアージ区分出力部とを備えることを特徴とする。
【0006】
前記情報入力端末装置は、さらに、
傷病者の属性に係る選択肢を表示装置へ出力して利用者に傷病者の属性の選択を促し、利用者による傷病者の属性の選択を入力装置から受け付け、選択に係る属性を示す属性データを記憶装置に記憶する属性選択部を備え、
前記トリアージ区分決定部は、前記属性選択部により記憶された属性データを記憶装置から読み取り、属性データが示す属性と症状データが示す症状とに基づいて傷病者のトリアージ区分を処理装置で決定することを特徴とする。
【0007】
前記属性選択部は、傷病者の属性に係る選択肢をタッチパネルである表示装置の1つの画面へ出力するとともに、利用者による傷病者の属性の選択を前記タッチパネルである入力装置の前記1つの画面から受け付け、
前記症状選択部は、傷病者の症状に係る選択肢を前記1つの画面へ出力し、利用者による傷病者の症状の選択を前記1つの画面から受け付けることを特徴とする。
【0008】
前記トリアージ区分決定部は、傷病者のトリアージ区分として、少なくともトリアージ区分に応じて規定された色を示す区分データを記憶装置に記憶し、
前記トリアージ区分出力部は、区分データが示す色を表示装置へ出力することを特徴とする。
【0009】
前記情報入力端末装置は、さらに、
傷病者の意識レベルをコード化した意識コードのリストを記憶装置に記憶する意識コード記憶部と、
前記意識コード記憶部により記憶された意識コードのリストを記憶装置から読み取り、意識コードのリストに基づいて傷病者の意識レベルに係る選択肢を表示装置へ出力して利用者に傷病者の意識レベルの選択を促し、利用者による傷病者の意識レベルの選択を入力装置から受け付け、選択に係る意識レベルに対応する意識コードを記憶装置に記憶する意識レベル選択部とを備え、
前記トリアージ区分出力部は、前記意識レベル選択部により記憶された意識コードを記憶装置から読み取り、区分データが示すトリアージ区分とともに意識コードを表示装置へ出力することを特徴とする。
【0010】
前記情報入力端末装置は、さらに、
傷病者の負傷部位ごとの症状をコード化した負傷コードのリストを記憶装置に記憶する負傷コード記憶部と、
人体図を表示装置へ出力して利用者に傷病者の負傷部位の指定を促し、利用者による傷病者の負傷部位の指定を入力装置から受け付け、指定に係る負傷部位を示す負傷部位データを記憶装置に記憶する負傷部位指定部と、
前記負傷コード記憶部により記憶された負傷コードのリストと前記負傷部位指定部により記憶された負傷部位データとを記憶装置から読み取り、負傷コードのリストに基づいて負傷部位データが示す負傷部位の症状に係る選択肢を表示装置へ出力して利用者に傷病者の負傷部位の症状の選択を促し、利用者による傷病者の負傷部位の症状の選択を入力装置から受け付け、選択に係る負傷部位の症状と負傷部位データが示す負傷部位との組み合わせに対応する負傷コードを記憶装置に記憶する負傷選択部とを備え、
前記トリアージ区分出力部は、前記負傷選択部により記憶された負傷コードを記憶装置から読み取り、区分データが示すトリアージ区分とともに負傷コードを表示装置へ出力することを特徴とする。
【0011】
前記情報入力端末装置は、さらに、
傷病者に貼付されたICタグと通信し、傷病者を一意に識別する識別子を前記ICタグから読み取って記憶装置に記憶する識別子読取部と、
複数の傷病者のトリアージ区分を一元管理するデータベースと通信し、前記識別子読取部により記憶された識別子と前記トリアージ区分決定部により記憶された区分データとを対応付けて前記データベースに登録するデータ登録部とを備えることを特徴とする。
【0012】
本発明の一の態様に係る情報入力方法は、
傷病者の治療又は搬送の優先度を区分化したトリアージ区分を決定する情報入力端末装置を用いた情報入力方法であって、
前記情報入力端末装置が、傷病者の症状に係る選択肢を表示装置へ出力して利用者に傷病者の症状の選択を促し、利用者による傷病者の症状の選択を入力装置から受け付け、選択に係る症状を示す症状データを記憶装置に記憶し、
前記情報入力端末装置が、症状データを記憶装置から読み取り、症状データが示す症状に基づいて傷病者のトリアージ区分を処理装置で決定し、傷病者のトリアージ区分を示す区分データを記憶装置に記憶し、
前記情報入力端末装置が、区分データを記憶装置から読み取り、区分データが示すトリアージ区分を表示装置へ出力することを特徴とする。
【0013】
本発明の一の態様に係る情報入力プログラムは、
傷病者の治療又は搬送の優先度を区分化したトリアージ区分を決定する情報入力プログラムであって、
傷病者の症状に係る選択肢を表示装置へ出力して利用者に傷病者の症状の選択を促し、利用者による傷病者の症状の選択を入力装置から受け付け、選択に係る症状を示す症状データを記憶装置に記憶する症状選択処理と、
前記症状選択処理により記憶された症状データを記憶装置から読み取り、症状データが示す症状に基づいて傷病者のトリアージ区分を処理装置で決定し、傷病者のトリアージ区分を示す区分データを記憶装置に記憶するトリアージ区分決定処理と、
前記トリアージ区分決定処理により記憶された区分データを記憶装置から読み取り、区分データが示すトリアージ区分を表示装置へ出力するトリアージ区分出力処理とをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0014】
前記情報入力プログラムは、さらに、
傷病者の属性に係る選択肢を表示装置へ出力して利用者に傷病者の属性の選択を促し、利用者による傷病者の属性の選択を入力装置から受け付け、選択に係る属性を示す属性データを記憶装置に記憶する属性選択処理をコンピュータに実行させ、
前記トリアージ区分決定処理は、前記属性選択処理により記憶された属性データを記憶装置から読み取り、属性データが示す属性と症状データが示す症状とに基づいて傷病者のトリアージ区分を処理装置で決定することを特徴とする。
【0015】
前記属性選択処理は、傷病者の属性に係る選択肢をタッチパネルである表示装置の1つの画面へ出力するとともに、利用者による傷病者の属性の選択を前記タッチパネルである入力装置の前記1つの画面から受け付け、
前記症状選択処理は、傷病者の症状に係る選択肢を前記1つの画面へ出力し、利用者による傷病者の症状の選択を前記1つの画面から受け付けることを特徴とする。
【0016】
前記トリアージ区分決定処理は、傷病者のトリアージ区分として、少なくともトリアージ区分に応じて規定された色を示す区分データを記憶装置に記憶し、
前記トリアージ区分出力処理は、区分データが示す色を表示装置へ出力することを特徴とする。
【0017】
前記情報入力プログラムは、さらに、
傷病者の意識レベルをコード化した意識コードのリストを記憶装置に記憶する意識コード記憶処理と、
前記意識コード記憶処理により記憶された意識コードのリストを記憶装置から読み取り、意識コードのリストに基づいて傷病者の意識レベルに係る選択肢を表示装置へ出力して利用者に傷病者の意識レベルの選択を促し、利用者による傷病者の意識レベルの選択を入力装置から受け付け、選択に係る意識レベルに対応する意識コードを記憶装置に記憶する意識レベル選択処理とをコンピュータに実行させ、
前記トリアージ区分出力処理は、前記意識レベル選択処理により記憶された意識コードを記憶装置から読み取り、区分データが示すトリアージ区分とともに意識コードを表示装置へ出力することを特徴とする。
【0018】
前記情報入力プログラムは、さらに、
傷病者の負傷処理位ごとの症状をコード化した負傷コードのリストを記憶装置に記憶する負傷コード記憶処理と、
人体図を表示装置へ出力して利用者に傷病者の負傷部位の指定を促し、利用者による傷病者の負傷部位の指定を入力装置から受け付け、指定に係る負傷部位を示す負傷部位データを記憶装置に記憶する負傷部位指定処理と、
前記負傷コード記憶処理により記憶された負傷コードのリストと前記負傷部位指定処理により記憶された負傷部位データとを記憶装置から読み取り、負傷コードのリストに基づいて負傷部位データが示す負傷部位の症状に係る選択肢を表示装置へ出力して利用者に傷病者の負傷部位の症状の選択を促し、利用者による傷病者の負傷部位の症状の選択を入力装置から受け付け、選択に係る負傷部位の症状と負傷部位データが示す負傷部位との組み合わせに対応する負傷コードを記憶装置に記憶する負傷選択処理とをコンピュータに実行させ、
前記トリアージ区分出力処理は、前記負傷選択処理により記憶された負傷コードを記憶装置から読み取り、区分データが示すトリアージ区分とともに負傷コードを表示装置へ出力することを特徴とする。
【0019】
前記情報入力プログラムは、さらに、
傷病者に貼付されたICタグと通信し、傷病者を一意に識別する識別子を前記ICタグから読み取って記憶装置に記憶する識別子読取処理と、
複数の傷病者のトリアージ区分を一元管理するデータベースと通信し、前記識別子読取処理により記憶された識別子と前記トリアージ区分決定処理により記憶された区分データとを対応付けて前記データベースに登録するデータ登録処理とをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一の態様によれば、情報入力端末装置において、症状選択部が、傷病者の症状に係る選択肢を表示装置へ出力して利用者に傷病者の症状の選択を促し、利用者による傷病者の症状の選択を入力装置から受け付け、選択に係る症状を示す症状データを記憶装置に記憶し、トリアージ区分決定部が、前記症状選択部により記憶された症状データを記憶装置から読み取り、症状データが示す症状に基づいて傷病者のトリアージ区分を処理装置で決定し、傷病者のトリアージ区分を示す区分データを記憶装置に記憶することにより、傷病者(負傷者)の症状やトリアージ区分(トリアージの判定)に関する情報の入力作業を効率化することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。
【0022】
実施の形態1.
図1は、本実施の形態に係る災害救護支援システム100の構成を示す概念図である。
【0023】
図1において、災害救護支援システム100は、携帯通信端末200、トリアージタッグ300、衛星400、災害医療救護本部用サーバ500、ポータブル端末600、衛星通信設備700を備える。
【0024】
地震などの大規模災害発生時には、災害現場や災害現場付近の救護所101において負傷者の救護活動が行われる。災害救護活動では、重傷者を効率よく迅速に医療機関に収容し一人でも多くの負傷者の命を救うことが求められる。負傷者の情報が電子的に管理されていない場合は、災害医療救護本部102で負傷者や救護組織の状況を正確に把握することは不可能である。そこで、災害救護支援システム100では、地上の通信インフラが破壊されるような大規模な災害が発生しても運用することが可能な衛星400を利用して、携帯通信端末200と災害医療救護本部用サーバ500の間で衛星通信を行う。これにより、全体的な負傷者の状況把握が可能となり、各組織での円滑な救護活動が可能になる。負傷者の情報は、災害救護活動で実施されるトリアージから得られるが、災害救護支援システム100では、この情報の管理を効率よく行うため、トリアージの際にICタグ301(RFID)が貼り付けられたトリアージタッグ300を使用する。
【0025】
トリアージとは、災害発生時など多数の負傷者が同時に発生した場合、負傷者の緊急度や重症度に応じて適切な処置や搬送を行うために負傷者の治療優先順位を決定することをいう。災害医療の目標は、「負傷者の最大多数に対して、最良の結果を生み出す」ことである。つまり、日常の医療行為とは大きく異なり、助け得る負傷者を一人でも失わないようにすることが目標である。この作業を行うための最初のプロセスをトリアージという。具体的には、トリアージは、(1)負傷者の緊急度や重症度を評価(識別区分を決定)し、(2)この識別区分をトリアージタッグ300により第三者に伝達し、(3)搬送や処置において識別区分を順守する、といった手順で行われる。
【0026】
トリアージで使用されるトリアージタッグ300の一例を図2に示す。
【0027】
トリアージタッグ300の表面には、負傷者を一意に識別するためのID(識別子)が記述されるほか、負傷者の属性として、氏名、年齢、性別、住所、電話番号などの個人情報が記述される。また、トリアージの実施日時、トリアージの実施者の氏名、負傷者を搬送した搬送機関の名称、負傷者を収容した医療機関の名称、トリアージの実施場所、トリアージを実施した医療機関の名称、トリアージの実施者の資格(医師、救急救命士、その他のいずれか)、負傷者の傷病名、トリアージ区分(識別区分)などが記述される。トリアージタッグ300の表面は、災害現場用、搬送機関用、収容先の医療機関用の3枚綴りになっており、いずれにも上記の情報が記述される。トリアージタッグ300の裏面には、負傷者の負傷部位、各負傷部位の症状の説明などが記述される。
【0028】
トリアージタッグ300の下端は、トリアージ区分数に応じて色分けされており、それぞれの色の境界にはミシン目がついている。トリアージ区分が決定した場合、該当する色の下の部分を破り取ることで、トリアージ区分が視覚的にわかりやすくなる。トリアージ区分は、以下の4つに分類される。
(1)「死亡」(死亡群):既に死亡している者、あるいは、明らかに即死状態であり、心肺蘇生を施しても蘇生可能性のない者が該当する。対応する色は「黒」、対応する記号は「0」である。
(2)「緊急」(最優先治療群又は重症群):生命を救うため、直ちに処置を必要とする者が該当する。例えば、窒息、多量の出血、ショック症状のある者が該当する。対応する色は「赤」、対応する記号は「I」である。
(3)「準緊急」(待機的治療群又は中等症群):多少治療の時間が遅れても、生命に危険がない者、あるいは、基本的には、バイタルサインが安定している者が該当する。対応する色は「黄」、対応する記号は「II」である。
(4)「非緊急」(保留群又は軽傷群):軽易な傷病で、ほとんど専門医の治療を必要としない者が該当する。対応する色は「緑」、対応する記号は「III」である。
【0029】
トリアージタッグ300には、ICタグ301が貼付されている。このICタグ301は、例えば2キロバイト程度の記憶領域を有し、トリアージタッグ300の表面及び裏面に記述される情報を電子的に記録する。
【0030】
図1において、携帯通信端末200は、傷病者の治療又は搬送の優先度を区分化したトリアージ区分を決定する情報入力端末装置の一例である。ここでは、傷病者とは、特に災害などで大勢が負傷した場合や特定の地域で大勢が伝染病に感染した場合の負傷者や病人のことをいう。前述したように、本実施の形態では、前者、即ち、災害時の負傷者を想定している。
【0031】
災害現場の近くで臨時に設営される救護所101、救急車103や救急ヘリ104などの搬送機関、近隣災害拠点病院105や遠隔災害拠点病院106などの医療機関において、医師、救急救命士などは、携帯通信端末200を利用してトリアージを行う。このとき、携帯通信端末200は、災害救護情報の入力を受け付けたり、災害救護情報をICタグ301から読み取ったり、自動的に生成したりする。また、災害救護情報を記憶したり、画面に出力したり、ICタグ401に書き込んだり、衛星400を介して災害医療救護本部用サーバ500に送信したりする。ここで、災害救護情報とは、主に、トリアージタッグ300の表面及び裏面に記述される情報のことをいう。災害救護情報には、このほか、負傷者に施された応急処置の内容、負傷者の搬送状況、負傷者の収容状況などに関する情報が含まれていてもよい。
【0032】
災害救護情報を災害医療救護本部用サーバ500に送信する際に、携帯通信端末200は衛星400と直接通信を行ってもよいし、衛星通信機能及びそれ以外の比較的安価な無線通信機能を搭載したポータブル端末600を介して衛星400と通信を行ってもよい。後者の場合、携帯通信端末200は高価な衛星通信機能を搭載する必要がなくなる。例えば、携帯通信端末200が無線LAN(ローカルエリアネットワーク)の通信機能を搭載している場合、携帯通信端末200は、災害救護情報を無線LAN経由でポータブル端末600に送信する。そして、ポータブル端末600は、この災害救護情報を衛星400に送信する。衛星400は、この災害救護情報を中継して、災害医療救護本部102に設置された衛星通信設備700に送信する。災害医療救護本部用サーバ500は、衛星通信設備700を介して災害救護情報を受信する。
【0033】
災害医療救護本部用サーバ500は、災害医療救護本部102に設置されるサーバコンピュータであり、複数の携帯通信端末200から衛星400(又は移動通信網やインターネットなどのネットワーク)経由で送信される災害救護情報を収集し、救護データベース501に登録して管理する。救護データベース501は、複数の負傷者のトリアージ区分を一元管理するデータベースの一例である。災害医療救護本部用サーバ500は、この救護データベース501で管理している災害救護情報を、救護所101、搬送機関、医療機関などの救護組織に衛星400やインターネット経由で提供する。これにより、災害医療救護本部102にて、各組織による災害救護活動を効率的に支援することが可能となる。ここで、災害医療救護本部102とは、大規模災害などが発生した場合に、市町村に設置され負傷者や救護組織の全体状況を把握し、救護活動を指揮する組織、又は、その組織が設置された場所のことをいう。
【0034】
図3は、携帯通信端末200の構成を示すブロック図である。
【0035】
図3において、携帯通信端末200は、意識コード記憶部201、識別子読取部202、属性選択部203、症状選択部204、トリアージ区分決定部205、トリアージ区分出力部206、意識レベル選択部207、データ登録部208を備える。各部の動作については、後述する。
【0036】
携帯通信端末200は、記憶装置251、処理装置252、入力装置253、表示装置254などのハードウェア装置を備える。ハードウェア装置は携帯通信端末200の各部によって利用される。例えば、処理装置252は、携帯通信端末200の各部でデータや情報の演算、加工、読み取り、書き込みなどを行うために利用される。記憶装置251は、そのデータや情報を記憶するために利用される。また、入力装置253は、そのデータや情報を入力するために、表示装置254は、そのデータや情報を画面に出力するために利用される。
【0037】
図4は、携帯通信端末200のハードウェア資源の一例を示す図である。
【0038】
図4において、携帯通信端末200は、LCD(液晶ディスプレイ)の画面を有するタッチパネル901、マイク902、スピーカ903、メモリカードスロット904などのハードウェア資源を備え、これらは信号線で接続されている。
【0039】
携帯通信端末200は、プログラムを実行するCPU911(Central・Processing・Unit)(「演算装置」、「マイクロプロセッサ」、「マイクロコンピュータ」、「プロセッサ」ともいう)を備えている。CPU911は、処理装置252の一例である。CPU911は、バス912を介してROM913(Read・Only・Memory)、RAM914(Random・Access・Memory)、通信モジュール905、タグリーダ/ライタモジュール906、タッチパネル901、マイク902、スピーカ903、メモリカードスロット904、フラッシュメモリ920と接続され、これらのハードウェアデバイスを制御する。フラッシュメモリ920の代わりに、磁気ディスク装置などの記憶媒体が用いられてもよい。
【0040】
RAM914は、揮発性メモリの一例である。ROM913、メモリカードスロット904に挿入されるメモリカード、フラッシュメモリ920は、不揮発性メモリの一例である。これらは、記憶装置251の一例である。タッチパネル901、マイク902、通信モジュール905、タグリーダ/ライタモジュール906などは、入力装置253の一例である。また、タッチパネル901などは、表示装置254の一例である。また、タッチパネル901、スピーカ903、通信モジュール905、タグリーダ/ライタモジュール906などは、出力装置の一例である。携帯通信端末200は、入力装置253として、カメラ、キーボード、マウスなどを備えていてもよい。また、出力装置として、プリンタなどを備えていてもよい。
【0041】
通信モジュール905は、衛星400と通信可能な衛星通信機能を備えている。通信モジュール905は、衛星通信機能に限らず、無線LAN、移動通信網を利用可能な通信機能を備えていても構わない。また、タグリーダ/ライタモジュール906は、ICタグ301と通信してICタグ301からデータを読み取ったり、ICタグ301にデータを書き込んだりするためのリーダ/ライタ機能を備えている。
【0042】
フラッシュメモリ920には、オペレーティングシステム921(OS)、ウィンドウシステム922、プログラム群923、ファイル群924が記憶されている。プログラム群923のプログラムは、CPU911、オペレーティングシステム921、ウィンドウシステム922により実行される。プログラム群923には、本実施の形態の説明において「〜部」として説明する機能を実行するプログラムが記憶されている。プログラムは、CPU911により読み出され実行される。また、ファイル群924には、本実施の形態の説明において、「〜データ」、「〜情報」、「〜ID(識別子)」、「〜フラグ」、「〜結果」として説明するデータや情報や信号値や変数値やパラメータが、「〜ファイル」や「〜データベース」や「〜テーブル」の各項目として記憶されている。「〜ファイル」や「〜データベース」や「〜テーブル」は、ディスクやメモリなどの記憶媒体に記憶される。ディスクやメモリなどの記憶媒体に記憶されたデータや情報や信号値や変数値やパラメータは、読み書き回路を介してCPU911によりメインメモリやキャッシュメモリに読み出され、抽出・検索・参照・比較・演算・計算・制御・出力・印刷・表示などのCPU911の処理(動作)に用いられる。抽出・検索・参照・比較・演算・計算・制御・出力・印刷・表示などのCPU911の処理中、データや情報や信号値や変数値やパラメータは、メインメモリやキャッシュメモリやバッファメモリに一時的に記憶される。
【0043】
また、本実施の形態の説明において用いるブロック図やフローチャートの矢印の部分は主としてデータや信号の入出力を示し、データや信号は、RAM914などのメモリ、メモリカードスロット904に挿入されるメモリカード、フラッシュメモリ920などの記録媒体に記録される。また、データや信号は、バス912や信号線やケーブルその他の伝送媒体(無線通信手段を含む)により伝送される。
【0044】
また、本実施の形態の説明において「〜部」として説明するものは、「〜回路」、「〜装置」、「〜機器」であってもよく、また、「〜ステップ」、「〜工程」、「〜手順」、「〜処理」であってもよい。即ち、「〜部」として説明するものは、ROM913に記憶されたファームウェアで実現されていても構わない。あるいは、ソフトウェアのみ、あるいは、素子・デバイス・基板・配線などのハードウェアのみ、あるいは、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせ、さらには、ファームウェアとの組み合わせで実現されていても構わない。ファームウェアとソフトウェアは、プログラムとして、フラッシュメモリ920、磁気ディスク、メモリカードなどの記録媒体に記憶される。このプログラムはCPU911により読み出され、CPU911により実行される。即ち、プログラムは、本実施の形態の説明で述べる「〜部」としてコンピュータを機能させるものである。あるいは、本実施の形態の説明で述べる「〜部」の手順や方法をコンピュータに実行させるものである。
【0045】
以下では、説明をより具体的にするため、携帯通信端末200が図4に例示したハードウェア資源により実現されているものとする。
【0046】
図5は、本実施の形態に係る情報入力方法を示すフローチャートである。
【0047】
図5のフローチャートに示したフローは、携帯通信端末200のCPU911(処理装置252の一例)にて実行されるプログラム(情報入力プログラム)の処理手順に相当する。この処理手順において、情報入力プログラムは、以下で説明するステップS101〜S109の各処理をコンピュータである携帯通信端末200に実行させる。
【0048】
医師、救急救命士などのトリアージの実施者が携帯通信端末200を利用する前(例えば、情報入力プログラムのインストール時や初期設定時)に、携帯通信端末200の意識コード記憶部201は、JCS(Japan・Coma・Scale)コードのリストをフラッシュメモリ920(記憶装置251の一例)に記憶する(ステップS101:意識コード記憶処理)。JCSコードは、負傷者の意識レベルをコード化した意識コードの一例である。JCSコードは、JCSスコアとも呼ばれ、以下のように分類される。
3.刺激しても覚醒しない(deep・coma、coma、semicoma)。
300=全く動かない。
200=手足を少し動かしたり顔をしかめたりする(除脳硬直を含む)。
100=はらいのける動作をする。
2.刺激すると覚醒する(stupor、lethargy、hypersomnia、somnolence、drowsiness)。
30=痛み刺激で辛うじて開眼する。
20=大きな声、または体をゆさぶることにより開眼する。
10=呼びかけで容易に開眼する。
1.覚醒している(confusion、senselessness、delirium)。
3=名前、生年月日がいえない。
2=見当識障害あり。
1=だいたい意識清明だが、今ひとつはっきりしない。
【0049】
JCSコードには、付加情報として、「R」(=不穏)、「I」(=糞尿失禁)、「A」(=自発性喪失)が付される場合がある。JCSコードは、例えば、「200」、「10−RI」、「3−A」などと表される。意識コードとして、JCSコードの代わりに、GCS(Glasgow・Coma・Scale)スコアなどを用いてもよい。
【0050】
トリアージの実施者は、上記のようにJCSコードのリストが予め記憶された携帯通信端末200を各自で携帯する。そして、災害現場、救護所101、医療機関において、携帯通信端末200を利用して負傷者全員に対しトリアージを実施する。このとき、トリアージの実施者は、携帯通信端末200のタッチパネル901(入力装置253及び表示装置254の一例)へ出力される画面を操作して災害救護情報を入力する。以下で説明するように、本実施の形態では、トリアージの実施者が携帯通信端末200の画面上に表示されるボタンなどを指でタップする操作だけで災害救護情報を入力することが可能なため、この携帯通信端末200を利用することで迅速にトリアージを実施することができる。特に、災害現場や救護所101にて実施される1次トリアージでは、トリアージの判定及び判定結果の記述作業を迅速に行うことが要求されるため、このような携帯通信端末200が有用となる。
【0051】
携帯通信端末200の画面遷移の一例を図6に示す。
【0052】
携帯通信端末200のタッチパネル901へ出力される画面には、以下に示すものがある。
(1)ログイン画面801:トリアージの実施者が携帯通信端末200の利用を開始する際に、ログイン操作を行う画面である。
(2)メニュー画面802:携帯通信端末200の機能を選択する画面である。
(3)トリアージ入力画面803:トリアージの判定に係るトリアージ情報を入力する画面である。
(4)JCS入力画面804:JCSコードを入力する画面である。
(5)トリアージ確認画面805:トリアージ情報やJCSコードの入力内容を確認する画面である。
(6)終了画面806:携帯通信端末200の操作を終了する画面である。
【0053】
上記以外に、負傷者の個人情報、負傷者の発見場所、負傷者の写真、負傷者に施された応急処置の内容、負傷者の搬送先(例えば、収容先の医療機関の名称)、負傷者の搬送記録(例えば、搬送機関の名称)、トリアージの実施者に関する情報(例えば、氏名、所属、資格、トリアージの実施場所)などを入力する画面、及び、それらの入力内容を確認する画面があってもよい。
【0054】
トリアージの実施者が携帯通信端末200の電源を入れる(又は情報入力プログラムを起動する)と、携帯通信端末200は、タッチパネル901へログイン画面801を出力する。ログイン画面801には、例えば、パスワードとして4桁の数字を入力するためのテキストフィールド、そのテキストフィールドに入力する数字を0〜9から選択するための10個のボタンなどが表示される。携帯通信端末200は、トリアージの実施者によるパスワードの入力をタッチパネル901から受け付け、そのパスワードと予め設定された正規のパスワードとを比較してトリアージの実施者の認証を行う。認証が成功すると、携帯通信端末200は、タッチパネル901へメニュー画面802を出力する。
【0055】
初期状態のメニュー画面802には、例えば、「ICタグを読み込んでください」というメッセージが表示される。メニュー画面802には、終了画面806に進むためのボタンも表示される。また、メニュー画面802には、トリアージ入力画面803などに進むためのボタンも表示されるが、初期状態ではグレーアウトされており、操作できないものとする。
【0056】
メニュー画面802にて、トリアージの実施者が終了画面806に進むためのボタンをタップした場合、携帯通信端末200は、タッチパネル901へ終了画面806を出力する。終了画面806には、例えば、携帯通信端末200の電源を切る(又は情報入力プログラムを終了する)ためのボタンが表示される。トリアージの実施者がこのボタンをタップした場合、携帯通信端末200の電源が切れる(又は情報入力プログラムが終了する)。
【0057】
一方、初期状態のメニュー画面802に表示されるメッセージに従って、トリアージの実施者が、負傷者に貼付されたICタグ301(より正確にいえば、負傷者に取り付けられたトリアージタッグ300に貼付されたICタグ301)に携帯通信端末200を近づけると、携帯通信端末200の識別子読取部202は、タグリーダ/ライタモジュール906を用いてICタグ301と通信し、負傷者のIDをICタグ301から読み取る。そして、識別子読取部202は、読み取った負傷者のIDをフラッシュメモリ920に記憶する(ステップS102:識別子読取処理)。その後、トリアージ入力画面803に進むためのボタンは、グレーアウトが解除され、操作可能となる。
【0058】
メニュー画面802にて、トリアージの実施者がトリアージ入力画面803に進むためのボタンをタップした場合、携帯通信端末200は、タッチパネル901へトリアージ入力画面803を出力する。
【0059】
トリアージ入力画面803の一例を図7に示す。
【0060】
トリアージ入力画面803には、携帯通信端末200の識別子読取部202により記憶された負傷者のIDのほか、予め設定されたトリアージの実施者の氏名や資格、トリアージの実施場所が表示される。また、携帯通信端末200の属性選択部203は、負傷者の属性(負傷者の属性とは、具体的には、例えば負傷者の年齢や性別、あるいは、以下で例示するように負傷者が小児か成人か、負傷者が妊婦か否か、といったことをいうものとする)に係る選択肢をトリアージ入力画面803へ出力して、トリアージの実施者に負傷者の属性の選択を促す。この例では、属性選択部203は、負傷者の属性として、負傷者が小児(8歳未満)か成人(8歳以上)かを選択させるための2つの「成人小児」ボタン810aをトリアージ入力画面803に表示する。また、携帯通信端末200の症状選択部204は、負傷者の症状に係る選択肢をトリアージ入力画面803へ出力して、トリアージの実施者に負傷者の症状の選択を促す。この例では、症状選択部204は、負傷者の症状として、負傷者が歩行可能かどうかを選択させるための2つの「歩行可否」ボタン810b、負傷者の呼吸の状態を選択させるための3つの「呼吸数」ボタン810c、負傷者の脈の状態を選択させるための3つの「脈拍」ボタン810d、負傷者の爪を5秒間圧迫した後再度爪の充血が見られるまでの時間を選択させるための2つの「爪充血時間」ボタン810eをトリアージ入力画面803に表示する。上記いずれのボタン810a〜eも、選択肢ごとに複数設けられており、そのうちのいずれか1つがタップされると反転表示になる。これにより、どの選択肢が選択されたかが視覚的にわかりやすくなる。
【0061】
図7に示した例では、トリアージの判定方式として、Lou・Romig医師が考案した“Combined・START/JumpSTART・Triage・Algorithm”を想定している。この方式は、START(Simple・Triage・And・Rapid・Treatment)を改良したものであり、負傷者が小児か成人かによって判定基準を異にするという特徴をもつ。この方式をより忠実に実施するため、トリアージ入力画面803にて、「成人小児」ボタン810aで負傷者が「8歳未満」であると選択された場合は「呼吸数」ボタン810cが小児用のボタン810fに変更される。また、「成人小児」ボタン810aで負傷者が「8歳以上」であると選択された場合は「脈拍」ボタン810dがグレーアウトされて操作できない状態になる。
【0062】
携帯通信端末200の属性選択部203は、トリアージの実施者による負傷者の属性の選択をトリアージ入力画面803から受け付け、選択に係る属性を示す属性データをフラッシュメモリ920に記憶する(ステップS103:属性選択処理)。図7に示した例では、属性選択部203は、負傷者が小児か成人かを示す(例えば、トリアージの実施者が2つの「成人小児」ボタン810aのうち、どちらを選択したかを1ビットのフラグで表す)属性データを記憶する。また、携帯通信端末200の症状選択部204は、トリアージの実施者による負傷者の症状の選択をトリアージ入力画面803から受け付け、選択に係る症状を示す症状データをフラッシュメモリ920に記憶する(ステップS104:症状選択処理)。図7に示した例では、症状選択部204は、負傷者が歩行可能かどうかを示す(例えば、トリアージの実施者が2つの「歩行可否」ボタン810bのうち、どちらを選択したかを1ビットのフラグで表す)症状データを記憶する。また、症状選択部204は、負傷者の呼吸数を示す(例えば、トリアージの実施者が3つの「呼吸数」ボタン810c/fのうち、どれを選択したかを2ビットの変数で表す)症状データを記憶する(同様に、「脈拍」ボタン810d、「爪充血時間」ボタン810eについても、トリアージの実施者がどのボタンを選択したかを表す症状データを記憶する)。
【0063】
携帯通信端末200のトリアージ区分決定部205は、属性選択部203により記憶された属性データと症状選択部204により記憶された症状データとをフラッシュメモリ920から読み取る。そして、トリアージ区分決定部205は、読み取った属性データが示す属性と症状データが示す症状とに基づいて、負傷者のトリアージ区分をCPU911で決定する。
【0064】
図7に示した例では、トリアージ区分決定部205は、前述したトリアージの判定方式(説明の簡単化のため、一部変更している)に則って、以下の手順で負傷者のトリアージ区分を決定する。
(1)トリアージ区分決定部205は、症状データを参照して負傷者が歩行可能かどうかを確認する。
(2)上記(1)で負傷者が歩行可能である場合、トリアージ区分決定部205は、トリアージ区分を「非緊急」(対応する色は「緑」、対応する記号は「III」)に決定する。
(3)上記(1)で負傷者が歩行可能でない場合、トリアージ区分決定部205は、症状データを参照して負傷者の呼吸の有無を確認する。
(4)上記(3)で負傷者の呼吸がない場合、トリアージ区分決定部205は、属性データを参照して負傷者が小児か成人かを確認する。
(5)上記(4)で負傷者が成人である場合、トリアージ区分決定部205は、トリアージ区分を「死亡」(対応する色は「黒」、対応する記号は「0」)に決定する。
(6)上記(4)で負傷者が小児である場合、トリアージ区分決定部205は、症状データを参照して負傷者の脈の有無を確認する。
(7)上記(6)で負傷者の脈がない場合、トリアージ区分決定部205は、トリアージ区分を「死亡」(対応する色は「黒」、対応する記号は「0」)に決定する。
(8)上記(6)で負傷者の脈がある場合、トリアージ区分決定部205は、トリアージ区分を「緊急」(対応する色は「赤」、対応する記号は「I」)に決定する。
(9)上記(3)で負傷者の呼吸がある場合、トリアージ区分決定部205は、属性データを参照して負傷者が小児か成人かを確認するとともに、症状データを参照して負傷者の呼吸数を確認する。
(10)上記(9)で負傷者が成人であって負傷者の呼吸数が30未満である場合、又は、負傷者が小児であって負傷者の呼吸数が15未満あるいは45超である場合、トリアージ区分を「緊急」(対応する色は「赤」、対応する記号は「I」)に決定する。
(11)上記(9)で負傷者が成人であって負傷者の呼吸数が30以上である場合、又は、負傷者が小児であって負傷者の呼吸数が15以上かつ45以下である場合、トリアージ区分決定部205は、属性データを参照して負傷者が小児か成人かを確認するとともに、症状データを参照して負傷者の脈の状態及び爪充血時間を確認する。
(12)上記(11)で負傷者が成人であって負傷者の爪充血時間が2秒以上である場合、又は、負傷者が小児であって負傷者の脈が不鮮明である場合、トリアージ区分を「緊急」(対応する色は「赤」、対応する記号は「I」)に決定する。
(13)上記(11)で負傷者が成人であって負傷者の爪充血時間が2秒未満である場合、又は、負傷者が小児であって負傷者の脈が鮮明である場合、トリアージ区分を「準緊急」(対応する色は「黄」、対応する記号は「II」)に決定する。
【0065】
携帯通信端末200のトリアージ区分決定部205は、上記のような手順で決定した負傷者のトリアージ区分を示す区分データをフラッシュメモリ920に記憶する(ステップS105:トリアージ区分決定処理)。このとき、トリアージ区分決定部205は、負傷者のトリアージ区分として、トリアージ区分に応じて規定された色811及び記号812を示す区分データをフラッシュメモリ920に記憶する。
【0066】
携帯通信端末200のトリアージ区分出力部206は、トリアージ区分決定部205により記憶された区分データをフラッシュメモリ920から読み取る。そして、トリアージ区分出力部206は、読み取った区分データが示すトリアージ区分をトリアージ入力画面803へ出力する(ステップS106:トリアージ区分出力処理)。このとき、トリアージ区分出力部206は、区分データが示す色811及び記号812をトリアージ入力画面803へ出力する。
【0067】
トリアージの実施者はトリアージ入力画面803に表示されたボタン810a〜fの選択を自由に変更することができ、その度に携帯通信端末200はステップS103〜S106の処理を実行してトリアージ入力画面803の表示内容を更新する。
【0068】
トリアージ入力画面803には、上記のボタン810a〜f以外にも、JCS入力画面804に進むための「JCS」ボタン810g、JCSコードを直接入力するためのプルダウン形式の選択ボックス813a、JCSコードの付加情報を直接入力するためのプルダウン形式の選択ボックス813b、メニュー画面802に戻るための「キャンセル」ボタン810h、トリアージ確認画面805に進むための「確認」ボタン810iが表示される。トリアージの実施者がJCSを熟知している場合には、上記2つの選択ボックス813a,bを用いてJCSコード及び付加情報を選択することができる。
【0069】
トリアージ入力画面803にて、トリアージの実施者が「JCS」ボタン810gをタップした場合、携帯通信端末200は、タッチパネル901へJCS入力画面804を出力する。
【0070】
JCS入力画面804の一例を図8に示す。
【0071】
携帯通信端末200の意識レベル選択部207は、意識コード記憶部201により記憶された意識コードのリストをフラッシュメモリ920から読み取る。そして、意識レベル選択部207は、読み取った意識コードのリストに基づいて、負傷者の意識レベルに係る選択肢をJCS入力画面804へ出力して、トリアージの実施者に負傷者の意識レベルの選択を促す。この例では、意識レベル選択部207は、負傷者の意識レベルとして、JCSの「3.刺激しても覚醒しない」、「2.刺激すると覚醒する」、「1.覚醒している」のいずれかを選択させるためのボタン810j〜l、JCSコードの付加情報を選択させるための3つのボタン810mをJCS入力画面804に表示する。トリアージの実施者が「3.刺激しても覚醒しない」のボタン810jをタップすると、意識レベル選択部207は、JCSコードの「300」、「200」、「100」のいずれかを選択させるための3つのボタン810nを、各JCSコードの説明とともにJCS入力画面804に表示する。また、トリアージの実施者が「2.刺激すると覚醒する」のボタン810kをタップすると、意識レベル選択部207は、JCSコードの「30」、「20」、「10」のいずれかを選択させるための3つのボタン810oを、各JCSコードの説明とともにJCS入力画面804に表示する。トリアージの実施者が「1.覚醒している」のボタン810lをタップすると、意識レベル選択部207は、JCSコードの「3」、「2」、「1」のいずれかを選択させるための3つのボタン810pを、各JCSコードの説明とともにJCS入力画面804に表示する。
【0072】
携帯通信端末200の意識レベル選択部207は、トリアージの実施者による負傷者の意識レベルの選択をJCS入力画面804から受け付け、選択に係る意識レベルに対応するJCSコードをフラッシュメモリ920に記憶する(ステップS107:意識レベル選択処理)。図8に示した例では、意識レベル選択部207は、トリアージの実施者がJCSコードのボタン810n/o/pとともに表示される説明を参照して選択したボタンに対応するJCSコードを記憶する。具体的には、意識レベル選択部207は、トリアージの実施者がタップしたボタンに応じて、「300」、「200」、「100」、「30」、「20」、「10」、「3」、「2」、「1」のいずれかをフラッシュメモリ920に記憶する。意識レベル選択部207は、ボタン810n〜pがタップされる度に、選択されたJCSコードを表示フィールド814に自動的に表示してもよい。
【0073】
JCS入力画面804には、トリアージ入力画面803に戻るための「入力」ボタン810qも表示される。JCS入力画面804にて、JCSコードの選択が完了していない場合は「入力」ボタン810qがグレーアウトされて操作できない状態になるものとする。
【0074】
JCS入力画面804にて、JCSコードの選択が完了し、トリアージの実施者が「入力」ボタン810qをタップした場合、携帯通信端末200は、タッチパネル901へトリアージ入力画面803を出力する。
【0075】
携帯通信端末200のトリアージ区分出力部206は、意識レベル選択部207により記憶されたJCSコードをフラッシュメモリ920から読み取る。そして、トリアージ区分出力部206は、ステップS106で読み取った区分データが示すトリアージ区分とともに、新たに読み取ったJCSコードをトリアージ入力画面803へ出力する(ステップS108:トリアージ区分出力処理)。
【0076】
トリアージ入力画面803にて、トリアージの実施者が「確認」ボタン810iをタップした場合、携帯通信端末200は、タッチパネル901へトリアージ確認画面805を出力する。
【0077】
トリアージ確認画面805の一例を図9に示す。
【0078】
携帯通信端末200のトリアージ区分出力部206は、トリアージ入力画面803に表示したものと同様の内容をトリアージ確認画面805に表示する。具体的には、トリアージ区分出力部206は、携帯通信端末200の識別子読取部202により記憶された負傷者のID、予め設定されたトリアージの実施者の氏名や資格、トリアージの実施場所、トリアージ区分決定部205により記憶された区分データが示す負傷者のトリアージ区分(色及び記号)、属性選択部203により記憶された属性データが示す負傷者の属性、症状選択部204により記憶された症状データが示す負傷者の症状、意識レベル選択部207により記憶された負傷者のJCSコードをトリアージ確認画面805に表示する。このとき、災害救護情報の一部を構成する区分データ、属性データ、症状データ、JCSコードは、いずれも該当する負傷者のIDに対応付けてフラッシュメモリ920に記憶されているため、トリアージ区分出力部206は、これらのデータを、負傷者のIDをキーとしてフラッシュメモリ920から抽出する。また、トリアージ区分出力部206は、トリアージの実施日時として、現在時刻あるいはトリアージの実施者がトリアージ入力画面803で入力操作を行った時刻をトリアージ確認画面805に表示する。
【0079】
トリアージ確認画面805には、トリアージ入力画面803などで入力された災害救護情報を災害医療救護本部102に送信したり、ICタグ301に書き込んだりするための「記録・送信」ボタン810r、トリアージ入力画面803に戻るための「戻る」ボタン810sも表示される。
【0080】
トリアージ確認画面805にて、トリアージの実施者が「記録・送信」ボタン810rをタップした場合、携帯通信端末200のデータ登録部208は、通信モジュール905を用いて、救護データベース501(より正確にいえば、救護データベース501のデータベースサーバとして機能する災害医療救護本部用サーバ500)と衛星400を介して通信し、識別子読取部202により記憶された負傷者のIDと同じ負傷者に係る災害救護情報のデータとを対応付けて救護データベース501に登録する(ステップS109:データ登録処理)。また、データ登録部208は、タグリーダ/ライタモジュール906を用いてICタグ301と通信し、災害救護情報のデータをICタグ301に書き込む。このとき、ICタグ301に災害救護情報のデータが既に記録されていた場合、データ登録部208は、そのデータを新しいデータで更新する。前述したように、災害救護情報のデータは、トリアージ区分決定部205により記憶された区分データ、意識レベル選択部207により記憶されたJCSコードなどを含むものである。
【0081】
ステップS109の後、携帯通信端末200は、タッチパネル901へ初期状態のメニュー画面802を出力する。負傷者全員に対するトリアージの実施が完了していない場合、トリアージの実施者は、上記と同様に、携帯通信端末200を利用して次の負傷者に対しトリアージを実施する。このように負傷者に対してトリアージが実施される度に、携帯通信端末200は、ステップS102〜S109の処理を実行する。
【0082】
以上のように、本実施の形態では、携帯通信端末200の症状選択部204が、負傷者の症状に係る選択肢をトリアージ入力画面803へ出力して、トリアージの実施者に負傷者の症状の選択を促し、トリアージの実施者による負傷者の症状の選択をトリアージ入力画面803から受け付けることにより、災害現場や救護所101における1次トリアージなどの一刻を争う緊急事態においても、負傷者の症状などの災害救護情報を短時間で入力することが可能となる。
【0083】
また、本実施の形態では、携帯通信端末200の属性選択部203が、負傷者の属性に係る選択肢を、負傷者の症状に係る選択肢と同じトリアージ入力画面803へ出力して、トリアージの実施者に負傷者の属性の選択を促し、トリアージの実施者による負傷者の属性の選択を、負傷者の症状の選択と同じトリアージ入力画面803から受け付けることにより、適切なトリアージを実施するために必要な災害救護情報を短時間で入力することが可能となる。
【0084】
また、本実施の形態では、携帯通信端末200のトリアージ区分決定部205が、属性選択部203により記憶された属性データが示す属性と症状選択部204により記憶された症状データが示す症状とに基づいて、負傷者のトリアージ区分をCPU911で自動的に決定することにより、トリアージの判定の基準が曖昧でなくなり、判定に個人差が出る可能性が低くなる。
【0085】
また、本実施の形態では、携帯通信端末200の意識レベル選択部207が、意識コード記憶部201により記憶された意識コードのリストに基づいて、負傷者の意識レベルに係る選択肢をJCS入力画面804へ出力して、トリアージの実施者に負傷者の意識レベルの選択を促し、トリアージの実施者による負傷者の意識レベルの選択をJCS入力画面804から受け付けることにより、トリアージの実施後にトリアージの判定結果についての妥当性を検討する場合、JCSコードを参照できるため、妥当性の判断が容易になる。
【0086】
また、本実施の形態では、携帯通信端末200のデータ登録部208が、救護データベース501と通信し、識別子読取部202により記憶された負傷者のIDと同じ負傷者に係る災害救護情報のデータとを対応付けて救護データベース501に登録することにより、災害医療救護本部102にて、災害救護情報のデータの集計処理や重症度や緊急度に応じた負傷者の検索処理などを行うことが可能となる。
【0087】
また、本実施の形態では、携帯通信端末200のデータ登録部208が、タグリーダ/ライタモジュール906を用いて、負傷者に貼付されたICタグ301と通信し、災害救護情報のデータをICタグ301に書き込むことにより、搬送機関や医療機関にて、携帯通信端末200を利用してICタグ301から災害救護情報のデータを読み取ることができ、読み取ったデータに基づいて負傷者に対する応急処置や治療の方針を適切に判断することが可能となる。
【0088】
実施の形態2.
本実施の形態について、主に実施の形態1との差異を説明する。
【0089】
図10は、携帯通信端末200の構成を示すブロック図である。
【0090】
図10において、携帯通信端末200は、実施の形態1で図3に示したもののほか、負傷コード記憶部209、負傷部位指定部210、負傷選択部211を備える。各部の動作については、後述する。
【0091】
図11は、本実施の形態に係る情報入力方法を示すフローチャートである。
【0092】
図11のフローチャートに示したフローは、本実施の形態に係る情報入力プログラムの処理手順に相当する。この処理手順において、情報入力プログラムは、実施の形態1で図5に示したステップS101〜S109のほか、以下で説明するステップS201〜S204の各処理をコンピュータである携帯通信端末200に実行させる。
【0093】
トリアージの実施者が携帯通信端末200を利用する前に、携帯通信端末200の意識コード記憶部201は、実施の形態1と同様に、JCSコードのリストをフラッシュメモリ920に記憶する(ステップS101:意識コード記憶処理)。また、負傷コード記憶部209は、AIS(Abbreviated・Injury・Scale)コードのリストをフラッシュメモリ920に記憶する(ステップS201:負傷コード記憶処理)。AISコードは、負傷者の負傷部位ごとの症状をコード化した負傷コードの一例である。AISコードは、以下のように6桁の整数と1桁の小数からなる数値コードとしてAIS−90で規定されている(小数部分のみを指してAISコードという場合もあるが、ここでは6桁の整数部分も含めて全体をAISコードと呼ぶものとする)。
(1)(左から)1桁目:体の部位を表す(1=頭部、2=顔面、3=頚部、4=胸部、5=腹部、6=脊椎、7=上肢、8=下肢、9=特になし)。
(2)2桁目:解剖学的構造の種類を表す(1=全範囲、2=血管、3=神経、4=臓器(筋肉、靱帯を含む)、5=骨格(関節を含む)、6=頭部)。
(3)3桁目及び4桁目:特別な解剖学的構造物あるいは創の性質を2桁で表す。
(4)5桁目及び6桁目:損傷の程度を2桁で表す。
(5)小数部分:重症度を表す(1=Minor(軽症)、2=Moderate(中等症)、3=Serious(重篤;致死的ではない)、4=Severe(重症;生命を脅かす)、5=Critical(臨界;生存は不確実)、6=Maximum(最高;致死的))。
【0094】
AISコードは、例えば、「851104.3」(大腿骨顆部骨折)、「851808.3」(大腿骨頭骨折)、「851810.3」(大腿骨転子間骨折)、「851812.3」(大腿骨頚部骨折)、「851814.3」(大腿骨骨幹部骨折)、「851818.3」(大腿骨転子下骨折)、「851822.3」(大腿骨顆上部骨折)などとなる。
【0095】
トリアージの実施者は、上記のようにJCSコードのリストとAISコードのリストが予め記憶された携帯通信端末200を各自で携帯する。そして、災害現場、救護所101、医療機関において、携帯通信端末200を利用して負傷者全員に対しトリアージを実施する。このとき、トリアージの実施者は、実施の形態1と同様に、携帯通信端末200のタッチパネル901へ出力される画面を操作して災害救護情報を入力する。
【0096】
携帯通信端末200の画面遷移の一例を図12に示す。
【0097】
携帯通信端末200のタッチパネル901へ出力される画面には、実施の形態1で図6などに示したもののほか、以下に示すものがある。
(7)負傷部位入力画面807:負傷者の負傷部位を指定する画面である。
(8)負傷情報入力画面808:負傷部位の負傷に関する情報を入力する画面である。
(9)AIS入力画面809:AISコードを入力する画面である。
【0098】
トリアージの実施者が携帯通信端末200の電源を入れる(又は情報入力プログラムを起動する)と、携帯通信端末200は、タッチパネル901へログイン画面801を出力する。携帯通信端末200は、実施の形態1と同様に、トリアージの実施者によるパスワードの入力をタッチパネル901から受け付け、そのパスワードと予め設定された正規のパスワードとを比較してトリアージの実施者の認証を行う。認証が成功すると、携帯通信端末200は、タッチパネル901へメニュー画面802を出力する。
【0099】
実施の形態1と同様に、初期状態のメニュー画面802に表示されるメッセージに従って、トリアージの実施者が、負傷者に貼付されたICタグ301に携帯通信端末200を近づけると、携帯通信端末200の識別子読取部202は、タグリーダ/ライタモジュール906を用いてICタグ301と通信し、負傷者のIDをICタグ301から読み取る。そして、識別子読取部202は、読み取った負傷者のIDをフラッシュメモリ920に記憶する(ステップS102:識別子読取処理)。その後、メニュー画面802にて、トリアージの実施者がトリアージ入力画面803に進むためのボタンをタップした場合、携帯通信端末200は、タッチパネル901へトリアージ入力画面803を出力する。
【0100】
トリアージ入力画面803の一例を図13に示す。
【0101】
トリアージ入力画面803には、実施の形態1で図7に示したもののほか、負傷部位入力画面807に進むための「症状入力」ボタン810tが表示される。トリアージの実施者が、このボタン810tをタップした場合、携帯通信端末200は、タッチパネル901へ負傷部位入力画面807を出力する。このとき、必須ではないが、トリアージの実施者は、既に負傷者の属性及び症状の選択とJCSコードの入力を済ませているものとする。つまり、携帯通信端末200は、既にステップS108までの処理を実行済であるものとする。
【0102】
負傷部位入力画面807の一例を図14に示す。
【0103】
携帯通信端末200の負傷部位指定部210は、人体図を負傷部位入力画面807へ出力して、トリアージの実施者に負傷者の負傷部位の指定を促す。この例では、負傷部位指定部210は、人体図として、正面と背面の2種類の人体図815a,bを並べて負傷部位入力画面807に表示し、それぞれの人体図815a,bのどの領域をタップすれば体のどこの部位(AISコードの1桁目に相当)を指定できるかを文字や色で示す(図15参照)。トリアージの実施者が任意の領域を指でタップすると、負傷部位指定部210は、その領域に「×」マークを表示する。トリアージの実施者が同じ領域をもう一度タップすると、負傷部位指定部210は、その領域に表示した「×」マークを消去する。また、トリアージの実施者が負傷部位入力画面807に設けられたスライダ816を操作すると、負傷部位指定部210は、人体図815a,bを拡大又は縮小して表示する(図14では、一例として、人体図815aの顔面の部分を拡大した人体図815cを示している)。この例では、3段階に拡大又は縮小することができるものとする。負傷部位指定部210は、人体図815a,bを拡大するごとに、人体図815a,bの領域の設定をより詳細なものにして表示する。つまり、人体図815a,bの拡大率に応じて、負傷部位を(a)大分類、(b)中分類、(c)小分類のいずれか適当な単位で示す(図15参照)。負傷部位指定部210は、人体図815a,bのほかに、負傷部位をプルダウン形式で選択するための選択ボックス813cを負傷部位入力画面807に表示してもよい。
【0104】
携帯通信端末200の負傷部位指定部210は、トリアージの実施者による負傷者の負傷部位の指定を負傷部位入力画面807から受け付け、指定に係る負傷部位を示す負傷部位データをフラッシュメモリ920に記憶する(ステップS202:負傷部位指定処理)。図14、図15に示した例では、負傷部位指定部210は、負傷部位の(a)大分類、(b)中分類、(c)小分類、いずれかを示す(例えば、トリアージの実施者が人体図815a,bで、どの領域を選択したかを、大分類、中分類の場合はAISコードの1桁目で表し、小分類の場合はAISコードの1桁目とともに別途規定した数値で表す)負傷部位データをフラッシュメモリ920に記憶する。
【0105】
負傷部位入力画面807には、負傷情報入力画面808に進むための「次へ」ボタン810u、トリアージ入力画面803に戻るための「終了」ボタン810vも表示される。
【0106】
負傷部位入力画面807にて、トリアージの実施者が「次へ」ボタン810uをタップした場合、携帯通信端末200は、タッチパネル901へ負傷情報入力画面808を出力する。
【0107】
負傷情報入力画面808の一例を図16に示す。
【0108】
携帯通信端末200の負傷選択部211は、負傷コード記憶部209により記憶された負傷コードのリストと負傷部位指定部210により記憶された負傷部位データとをフラッシュメモリ920から読み取る。そして、負傷選択部211は、負傷コードのリストに基づいて、読み取った負傷部位データが示す負傷部位の症状に係る選択肢を負傷情報入力画面808へ出力して、トリアージの実施者に負傷者の負傷部位の症状の選択を促す。この例では、負傷選択部211は、負傷部位の症状として、負傷の種類(AISコードの3桁目及び4桁目に相当)を選択させるための7つの「負傷の種類」ボタン810w、負傷部位の解剖学的構造(AISコードの2桁目に相当)を選択させるためのプルダウン形式の選択ボックス813d、AISコードを選択させるための入力フィールド817を負傷情報入力画面808に表示する。トリアージの実施者が入力フィールド817をタップすると、負傷選択部211は、「負傷の種類」ボタン810w及び選択ボックス813dにおける選択で絞り込まれたAISコードの候補の一覧をAIS入力画面809に表示する。
【0109】
AIS入力画面809の一例を図17に示す。
【0110】
携帯通信端末200の負傷選択部211は、AISコードの候補の一覧として、前述したように負傷情報入力画面808で「負傷の種類」ボタン810w及び選択ボックス813dにおける選択で絞り込まれた範囲のAISコードのテキスト818aを、各AISコードの説明とともにAIS入力画面809に表示する。トリアージの実施者は任意のテキスト818aをタップすることでAISコードを選択することができる。
【0111】
AIS入力画面809には、AISコードの選択を確定して負傷情報入力画面808に戻るための「入力」ボタン810x、AISコードの選択をキャンセルして負傷情報入力画面808に戻るための「戻る」ボタン810yが表示される。また、AIS入力画面809には、コメントがあることを示すテキスト818bが表示される。トリアージの実施者はテキスト818bをタップすることで該当するAISコードについてのコメントを参照できる。
【0112】
AIS入力画面809にて、トリアージの実施者が「入力」ボタン810xをタップした場合、携帯通信端末200は、タッチパネル901へ負傷情報入力画面808を出力する。このとき、負傷情報入力画面808の「AISコード」フィールドには、AIS入力画面809で選択されたAISコードが表示される。
【0113】
携帯通信端末200の負傷選択部211は、トリアージの実施者による負傷者の負傷部位の症状の選択を負傷情報入力画面808から受け付け、選択に係る負傷部位の症状と負傷部位指定部210により記憶された負傷部位データが示す負傷部位との組み合わせに対応するAISコードをフラッシュメモリ920に記憶する(ステップS203:負傷選択処理)。図16、図17に示した例では、負傷選択部211は、トリアージの実施者がAISコードのテキスト818aとともに表示される説明を参照して選択したテキスト818aに対応するAISコードを記憶する。
【0114】
負傷情報入力画面808には、AISコードの選択を最終的に確定して新たな負傷部位入力画面807に進むための「次へ」ボタン810zが表示される。トリアージの実施者が、このボタン810zをタップした場合、携帯通信端末200は、タッチパネル901へ負傷部位入力画面807を出力する。これにより、トリアージの実施者は、負傷者の負傷部位の症状を複数入力することができる。
【0115】
負傷部位入力画面807にて、トリアージの実施者が「終了」ボタン810vをタップした場合、携帯通信端末200は、タッチパネル901へトリアージ入力画面803を出力する。
【0116】
トリアージ入力画面803にて、トリアージの実施者が「確認」ボタン810iをタップした場合、携帯通信端末200は、タッチパネル901へトリアージ確認画面805を出力する。
【0117】
トリアージ確認画面805の一例を図18に示す。
【0118】
携帯通信端末200のトリアージ区分出力部206は、負傷選択部211により記憶されたAISコードをフラッシュメモリ920から読み取る。このとき、災害救護情報の一部を構成するAISコードは、該当する負傷者のIDに対応付けてフラッシュメモリ920に記憶されているため、トリアージ区分出力部206は、AISコードを、負傷者のIDをキーとしてフラッシュメモリ920から抽出する。そして、トリアージ区分出力部206は、実施の形態1で図9に示したものとともに、読み取ったAISコードをトリアージ確認画面805へ出力する(ステップS204:トリアージ区分出力処理)。
【0119】
トリアージ確認画面805には、実施の形態1と同様に、トリアージ入力画面803などで入力された災害救護情報を災害医療救護本部102に送信したり、ICタグ301に書き込んだりするための「記録・送信」ボタン810r、トリアージ入力画面803に戻るための「戻る」ボタン810sも表示される。
【0120】
トリアージ確認画面805にて、トリアージの実施者が「記録・送信」ボタン810rをタップした場合、携帯通信端末200のデータ登録部208は、実施の形態1と同様に、通信モジュール905を用いて、救護データベース501と衛星400を介して通信し、識別子読取部202により記憶された負傷者のIDと同じ負傷者に係る災害救護情報のデータとを対応付けて救護データベース501に登録する(ステップS109:データ登録処理)。また、データ登録部208は、タグリーダ/ライタモジュール906を用いてICタグ301と通信し、災害救護情報のデータをICタグ301に書き込む。このとき、ICタグ301に災害救護情報のデータが既に記録されていた場合、データ登録部208は、そのデータを新しいデータで更新する。前述したように、災害救護情報のデータは、トリアージ区分決定部205により記憶された区分データ、意識レベル選択部207により記憶されたJCSコード、負傷選択部211により記憶されたAISコードなどを含むものである。
【0121】
以上のように、本実施の形態では、携帯通信端末200の負傷選択部211が、トリアージの実施者による負傷者の負傷部位の症状の選択を負傷情報入力画面808から受け付け、選択に係る負傷部位の症状と負傷部位指定部210により記憶された負傷部位データが示す負傷部位との組み合わせに対応するAISコードを記憶することにより、負傷者の治療担当部門などに負傷者の症状について正確な情報の伝達が可能となる。また、事後に必要となる災害などの分析評価において、統計的な集計処理が容易になる。
【0122】
また、本実施の形態では、携帯通信端末200の負傷部位指定部210が、人体図を負傷部位入力画面807へ出力して、トリアージの実施者に負傷者の負傷部位の指定を促すことにより、トリアージの実施者が直感的に負傷部位を指定することが可能となるため、災害救護情報の入力作業を効率化できる。
【0123】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、これらのうち、2つ以上の実施の形態を組み合わせて実施しても構わない。あるいは、これらのうち、1つの実施の形態を部分的に実施しても構わない。あるいは、これらのうち、2つ以上の実施の形態を部分的に組み合わせて実施しても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】実施の形態1に係る災害救護支援システムの構成を示す概念図である。
【図2】実施の形態1に係るトリアージタッグの一例を示す図である。
【図3】実施の形態1に係る情報入力端末装置の構成を示すブロック図である。
【図4】実施の形態1に係る情報入力端末装置のハードウェア資源の一例を示す図である。
【図5】実施の形態1に係る情報入力方法を示すフローチャートである。
【図6】実施の形態1に係る情報入力端末装置の画面遷移の一例を示す図である。
【図7】実施の形態1に係る情報入力端末装置の画面の一例を示す図である。
【図8】実施の形態1に係る情報入力端末装置の画面の一例を示す図である。
【図9】実施の形態1に係る情報入力端末装置の画面の一例を示す図である。
【図10】実施の形態2に係る情報入力端末装置の構成を示すブロック図である。
【図11】実施の形態2に係る情報入力方法を示すフローチャートである。
【図12】実施の形態2に係る情報入力端末装置の画面遷移の一例を示す図である。
【図13】実施の形態2に係る情報入力端末装置の画面の一例を示す図である。
【図14】実施の形態2に係る情報入力端末装置の画面の一例を示す図である。
【図15】実施の形態2に係る情報入力端末装置の画面の一例を示す図である。
【図16】実施の形態2に係る情報入力端末装置の画面の一例を示す図である。
【図17】実施の形態2に係る情報入力端末装置の画面の一例を示す図である。
【図18】実施の形態2に係る情報入力端末装置の画面の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0125】
100 災害救護支援システム、101 救護所、102 災害医療救護本部、103 救急車、104 救急ヘリ、105 近隣災害拠点病院、106 遠隔災害拠点病院、200 携帯通信端末、201 意識コード記憶部、202 識別子読取部、203 属性選択部、204 症状選択部、205 トリアージ区分決定部、206 トリアージ区分出力部、207 意識レベル選択部、208 データ登録部、209 負傷コード記憶部、210 負傷部位指定部、211 負傷選択部、251 記憶装置、252 処理装置、253 入力装置、254 表示装置、300 トリアージタッグ、301 ICタグ、400 衛星、500 災害医療救護本部用サーバ、501 救護データベース、600 ポータブル端末、700 衛星通信設備、801 ログイン画面、802 メニュー画面、803 トリアージ入力画面、804 JCS入力画面、805 トリアージ確認画面、806 終了画面、807 負傷部位入力画面、808 負傷情報入力画面、809 AIS入力画面、810a〜z ボタン、811 色、812 記号、813a〜d 選択ボックス、814 表示フィールド、815a〜c 人体図、816 スライダ、817 入力フィールド、818a,b テキスト、901 タッチパネル、902 マイク、903 スピーカ、904 メモリカードスロット、905 通信モジュール、906 タグリーダ/ライタモジュール、911 CPU、912 バス、913 ROM、914 RAM、920 フラッシュメモリ、921 オペレーティングシステム、922 ウィンドウシステム、923 プログラム群、924 ファイル群。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
傷病者の治療又は搬送の優先度を区分化したトリアージ区分を決定する情報入力端末装置であって、
傷病者の症状に係る選択肢を表示装置へ出力して利用者に傷病者の症状の選択を促し、利用者による傷病者の症状の選択を入力装置から受け付け、選択に係る症状を示す症状データを記憶装置に記憶する症状選択部と、
前記症状選択部により記憶された症状データを記憶装置から読み取り、症状データが示す症状に基づいて傷病者のトリアージ区分を処理装置で決定し、傷病者のトリアージ区分を示す区分データを記憶装置に記憶するトリアージ区分決定部と、
前記トリアージ区分決定部により記憶された区分データを記憶装置から読み取り、区分データが示すトリアージ区分を表示装置へ出力するトリアージ区分出力部とを備えることを特徴とする情報入力端末装置。
【請求項2】
前記情報入力端末装置は、さらに、
傷病者の属性に係る選択肢を表示装置へ出力して利用者に傷病者の属性の選択を促し、利用者による傷病者の属性の選択を入力装置から受け付け、選択に係る属性を示す属性データを記憶装置に記憶する属性選択部を備え、
前記トリアージ区分決定部は、前記属性選択部により記憶された属性データを記憶装置から読み取り、属性データが示す属性と症状データが示す症状とに基づいて傷病者のトリアージ区分を処理装置で決定することを特徴とする請求項1に記載の情報入力端末装置。
【請求項3】
前記属性選択部は、傷病者の属性に係る選択肢をタッチパネルである表示装置の1つの画面へ出力するとともに、利用者による傷病者の属性の選択を前記タッチパネルである入力装置の前記1つの画面から受け付け、
前記症状選択部は、傷病者の症状に係る選択肢を前記1つの画面へ出力し、利用者による傷病者の症状の選択を前記1つの画面から受け付けることを特徴とする請求項2に記載の情報入力端末装置。
【請求項4】
前記トリアージ区分決定部は、傷病者のトリアージ区分として、少なくともトリアージ区分に応じて規定された色を示す区分データを記憶装置に記憶し、
前記トリアージ区分出力部は、区分データが示す色を表示装置へ出力することを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載の情報入力端末装置。
【請求項5】
前記情報入力端末装置は、さらに、
傷病者の意識レベルをコード化した意識コードのリストを記憶装置に記憶する意識コード記憶部と、
前記意識コード記憶部により記憶された意識コードのリストを記憶装置から読み取り、意識コードのリストに基づいて傷病者の意識レベルに係る選択肢を表示装置へ出力して利用者に傷病者の意識レベルの選択を促し、利用者による傷病者の意識レベルの選択を入力装置から受け付け、選択に係る意識レベルに対応する意識コードを記憶装置に記憶する意識レベル選択部とを備え、
前記トリアージ区分出力部は、前記意識レベル選択部により記憶された意識コードを記憶装置から読み取り、区分データが示すトリアージ区分とともに意識コードを表示装置へ出力することを特徴とする請求項1から4までのいずれかに記載の情報入力端末装置。
【請求項6】
前記情報入力端末装置は、さらに、
傷病者の負傷部位ごとの症状をコード化した負傷コードのリストを記憶装置に記憶する負傷コード記憶部と、
人体図を表示装置へ出力して利用者に傷病者の負傷部位の指定を促し、利用者による傷病者の負傷部位の指定を入力装置から受け付け、指定に係る負傷部位を示す負傷部位データを記憶装置に記憶する負傷部位指定部と、
前記負傷コード記憶部により記憶された負傷コードのリストと前記負傷部位指定部により記憶された負傷部位データとを記憶装置から読み取り、負傷コードのリストに基づいて負傷部位データが示す負傷部位の症状に係る選択肢を表示装置へ出力して利用者に傷病者の負傷部位の症状の選択を促し、利用者による傷病者の負傷部位の症状の選択を入力装置から受け付け、選択に係る負傷部位の症状と負傷部位データが示す負傷部位との組み合わせに対応する負傷コードを記憶装置に記憶する負傷選択部とを備え、
前記トリアージ区分出力部は、前記負傷選択部により記憶された負傷コードを記憶装置から読み取り、区分データが示すトリアージ区分とともに負傷コードを表示装置へ出力することを特徴とする請求項1から5までのいずれかに記載の情報入力端末装置。
【請求項7】
前記情報入力端末装置は、さらに、
傷病者に貼付されたICタグと通信し、傷病者を一意に識別する識別子を前記ICタグから読み取って記憶装置に記憶する識別子読取部と、
複数の傷病者のトリアージ区分を一元管理するデータベースと通信し、前記識別子読取部により記憶された識別子と前記トリアージ区分決定部により記憶された区分データとを対応付けて前記データベースに登録するデータ登録部とを備えることを特徴とする請求項1から6までのいずれかに記載の情報入力端末装置。
【請求項8】
傷病者の治療又は搬送の優先度を区分化したトリアージ区分を決定する情報入力端末装置を用いた情報入力方法であって、
前記情報入力端末装置が、傷病者の症状に係る選択肢を表示装置へ出力して利用者に傷病者の症状の選択を促し、利用者による傷病者の症状の選択を入力装置から受け付け、選択に係る症状を示す症状データを記憶装置に記憶し、
前記情報入力端末装置が、症状データを記憶装置から読み取り、症状データが示す症状に基づいて傷病者のトリアージ区分を処理装置で決定し、傷病者のトリアージ区分を示す区分データを記憶装置に記憶し、
前記情報入力端末装置が、区分データを記憶装置から読み取り、区分データが示すトリアージ区分を表示装置へ出力することを特徴とする情報入力方法。
【請求項9】
傷病者の治療又は搬送の優先度を区分化したトリアージ区分を決定する情報入力プログラムであって、
傷病者の症状に係る選択肢を表示装置へ出力して利用者に傷病者の症状の選択を促し、利用者による傷病者の症状の選択を入力装置から受け付け、選択に係る症状を示す症状データを記憶装置に記憶する症状選択処理と、
前記症状選択処理により記憶された症状データを記憶装置から読み取り、症状データが示す症状に基づいて傷病者のトリアージ区分を処理装置で決定し、傷病者のトリアージ区分を示す区分データを記憶装置に記憶するトリアージ区分決定処理と、
前記トリアージ区分決定処理により記憶された区分データを記憶装置から読み取り、区分データが示すトリアージ区分を表示装置へ出力するトリアージ区分出力処理とをコンピュータに実行させることを特徴とする情報入力プログラム。
【請求項10】
前記情報入力プログラムは、さらに、
傷病者の属性に係る選択肢を表示装置へ出力して利用者に傷病者の属性の選択を促し、利用者による傷病者の属性の選択を入力装置から受け付け、選択に係る属性を示す属性データを記憶装置に記憶する属性選択処理をコンピュータに実行させ、
前記トリアージ区分決定処理は、前記属性選択処理により記憶された属性データを記憶装置から読み取り、属性データが示す属性と症状データが示す症状とに基づいて傷病者のトリアージ区分を処理装置で決定することを特徴とする請求項9に記載の情報入力プログラム。
【請求項11】
前記属性選択処理は、傷病者の属性に係る選択肢をタッチパネルである表示装置の1つの画面へ出力するとともに、利用者による傷病者の属性の選択を前記タッチパネルである入力装置の前記1つの画面から受け付け、
前記症状選択処理は、傷病者の症状に係る選択肢を前記1つの画面へ出力し、利用者による傷病者の症状の選択を前記1つの画面から受け付けることを特徴とする請求項10に記載の情報入力プログラム。
【請求項12】
前記トリアージ区分決定処理は、傷病者のトリアージ区分として、少なくともトリアージ区分に応じて規定された色を示す区分データを記憶装置に記憶し、
前記トリアージ区分出力処理は、区分データが示す色を表示装置へ出力することを特徴とする請求項9から11までのいずれかに記載の情報入力プログラム。
【請求項13】
前記情報入力プログラムは、さらに、
傷病者の意識レベルをコード化した意識コードのリストを記憶装置に記憶する意識コード記憶処理と、
前記意識コード記憶処理により記憶された意識コードのリストを記憶装置から読み取り、意識コードのリストに基づいて傷病者の意識レベルに係る選択肢を表示装置へ出力して利用者に傷病者の意識レベルの選択を促し、利用者による傷病者の意識レベルの選択を入力装置から受け付け、選択に係る意識レベルに対応する意識コードを記憶装置に記憶する意識レベル選択処理とをコンピュータに実行させ、
前記トリアージ区分出力処理は、前記意識レベル選択処理により記憶された意識コードを記憶装置から読み取り、区分データが示すトリアージ区分とともに意識コードを表示装置へ出力することを特徴とする請求項9から12までのいずれかに記載の情報入力プログラム。
【請求項14】
前記情報入力プログラムは、さらに、
傷病者の負傷処理位ごとの症状をコード化した負傷コードのリストを記憶装置に記憶する負傷コード記憶処理と、
人体図を表示装置へ出力して利用者に傷病者の負傷部位の指定を促し、利用者による傷病者の負傷部位の指定を入力装置から受け付け、指定に係る負傷部位を示す負傷部位データを記憶装置に記憶する負傷部位指定処理と、
前記負傷コード記憶処理により記憶された負傷コードのリストと前記負傷部位指定処理により記憶された負傷部位データとを記憶装置から読み取り、負傷コードのリストに基づいて負傷部位データが示す負傷部位の症状に係る選択肢を表示装置へ出力して利用者に傷病者の負傷部位の症状の選択を促し、利用者による傷病者の負傷部位の症状の選択を入力装置から受け付け、選択に係る負傷部位の症状と負傷部位データが示す負傷部位との組み合わせに対応する負傷コードを記憶装置に記憶する負傷選択処理とをコンピュータに実行させ、
前記トリアージ区分出力処理は、前記負傷選択処理により記憶された負傷コードを記憶装置から読み取り、区分データが示すトリアージ区分とともに負傷コードを表示装置へ出力することを特徴とする請求項9から13までのいずれかに記載の情報入力プログラム。
【請求項15】
前記情報入力プログラムは、さらに、
傷病者に貼付されたICタグと通信し、傷病者を一意に識別する識別子を前記ICタグから読み取って記憶装置に記憶する識別子読取処理と、
複数の傷病者のトリアージ区分を一元管理するデータベースと通信し、前記識別子読取処理により記憶された識別子と前記トリアージ区分決定処理により記憶された区分データとを対応付けて前記データベースに登録するデータ登録処理とをコンピュータに実行させることを特徴とする請求項9から14までのいずれかに記載の情報入力プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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