説明

情報再生装置、及び情報再生方法

【課題】電力供給源に応じた消費可能な電力に基づいて最適な符号化データの復号方法を選択する情報再生装置及び情報再生方法を提供すること。
【解決手段】本発明にかかる情報再生装置は、符号化されたデータを複数の復号方式のいずれかにより復号して再生するものであって、情報再生装置に電力を供給する電源の種類を検出する電源検出手段と、電源検出手段により検出された電源の種類に基づいて、符号化されたデータの復号方式を選択する復号方式選択手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報再生装置、及び情報再生方法に関し、特に符号化されたデータを複数の復号方式のいずれかにより復号して再生する情報再生装置、及び情報再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、バッテリの残存容量に応じて、あるいは、再生時の通常/省エネルギのモード選択に応じて、デコード処理の速度を制御してコンテンツを再生する圧縮データ復号装置が開示されている。
【0003】
特許文献2には、電池の残容量を検出し、電池の残容量に応じて操作者により指定された再生モードを変更する情報再生装置が開示されている。
【0004】
特許文献3には、電池残量に応じて復号化モードを制御する携帯用マルチメディア通信端末装置が開示されている。特に、当該携帯用マルチメディア通信端末装置では、蓄電池の残留電力量を検出する電池残量検出部を備え、電池残量検出部からの電池残量の通知を受け取った利用者がスイッチを切り換え、符号化モード切り換え部により符号化モードを切り換えることができる。または、電池残量検出部からの電池残量に応じて符号化モード自動切り換え部により符号化モードを切り換えることができる。
【0005】
特許文献4には、AC(Alternating Current)電源か、内部電源かどうかを検出する電源供給検出回路を備え、検出された電源に応じてクロック制御を行う音声信号記録再生装置が開示されている。
【0006】
また、一つの圧縮された音声データを異なる音声伸張方式で伸張して再生することができる音声伸張再生装置の例が特許文献5に開示されている。図5は、特許文献5にかかる音声伸張再生装置の構成を示すブロック図である。図6は、特許文献5にかかる音声伸張再生装置の処理を示すフローチャート図である。
【0007】
特許文献5では、サーボ装置502は、記録媒体であるディスク501から音声コード信号等を読み取り、信号復調装置503及びシステム制御装置504へ送る。そして、信号復調装置503は、当該音声コード信号等を復調し、音声伸長DSP505及びシステム制御装置504へ送る。また、音声伸長DSP505は、図6に示す処理により信号復調装置503からの復調された音声コード信号に対して伸張処理を行い、DAコンバータ506へ送信する。
【0008】
まず、システム制御装置504は、音質選択スイッチ508からの選択情報を読み込む(S601)。そして、システム制御装置504は、当該選択情報が低音質でない場合(S602のNO)、電源電圧供給装置510から高電圧(S606)、クロック供給装置509から高周波クロック信号(S607)、及び、プログラムROM511から高音質再生用の広帯域かつ高精度の伸張処理を行うための第1の演算プログラム(S608)を音声伸長DSP505へ供給する。また、システム制御装置504は、当該選択情報が低音質である場合(S602のYES)、電源電圧供給装置510から低電圧(S603)、クロック供給装置509から低周波クロック信号(S604)、及び、プログラムROM511から低音質再生用の狭帯域かつ低精度の伸張処理を行うための第2の演算プログラム(S605)を音声伸長DSP505へ供給する。その後、音声伸長DSP505は、供給された電源電圧、クロック信号、演算プログラムに従い、伸張演算を行う(S609)。
【0009】
その後、DAコンバータ506は、音声コード信号をディジタル信号からアナログ信号に変換し、音声出力装置507へ送信する。音声出力装置507は、当該アナログ信号を増幅及びフィルタリングした後、外部に出力する。
【特許文献1】特開2001−189659号公報
【特許文献2】特開2002−170323号公報
【特許文献3】特許第3623967号公報
【特許文献4】特開2004−171656号公報
【特許文献5】特開平06−097835号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述した特許文献1乃至5に開示された技術では、電力消費が問題にならない電力供給源である場合にも品質の劣る再生になってしまい、他方で、消費電力の大きい復号方式により復号をした場合、再生時間が短くなってしまうという問題点がある。
【0011】
特許文献1では、バッテリの残存容量に基づいてデコード処理速度の制御をするが、外部電源を含めた電力供給源が考慮されておらず、また、速度の制御のみであるため、復号方法の選択による制御をするものではない。また、特許文献2及び特許文献3では、外部電源を含めた電力供給源が考慮されていない。そのため、電力供給源が外部電源の場合には消費可能な電力が豊富であるにもかかわらず、消費電力が低いが、復号の精度も低い復号方法で再生せざるを得ないこととなる。
【0012】
また、特許文献4では、電力供給源によりクロック制御を行うことができるが、内部電源の場合の電池残量が考慮されておらず、また、速度の制御のみであるため、復号方法の選択による制御をするものではない。そのため、電力供給源が内部電源で電池残量が所定値以上であっても、精度の低い復号方法で再生せざるを得ないこととなる。または、電力供給源が内部電源で電池残量が所定値より少ないであっても、引き続き精度の高い復号方法、つまり、消費電力が多い復号方法で再生し続けることにより、再生可能時間が短くなってしまう恐れがある。
【0013】
さらに、特許文献5では、外部電源及び電池残量を含めた電力供給源が考慮されていない。そのため、電力供給源が外部電源の場合であっても、復号の精度が低い復号方法で再生せざるを得ないこととなる。また、電力供給源が内部電源で電池残量が所定値より少ないであっても、引き続き精度の高い復号方法、つまり、消費電力が多い復号方法で再生せざるをえず、再生可能時間が短くなってしまう恐れがある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明にかかる情報再生装置は、符号化されたデータを複数の復号方式のいずれかにより復号して再生するものである。前記情報再生装置に電力を供給する電源の種類を検出する電源検出手段と、前記電源検出手段により検出された電源の種類に基づいて、前記符号化されたデータの復号方式を選択する復号方式選択手段とを備える。
【0015】
本発明にかかる情報再生方法は、符号化されたデータを複数の復号方式のいずれかにより復号して再生する情報再生装置におけるものであって、前記情報再生装置に電力を供給する電源の種類を検出する電源検出ステップと、前記電源検出ステップにより検出された電源の種類に基づいて、前記符号化されたデータの復号方式を選択する復号方式選択ステップとを備える。
【0016】
上述した本発明の情報再生装置及び情報再生方法によれば、例えば、電力供給源が外部電源の場合は、消費可能な電力が豊富であるため、電力消費率が高くても、精度の高い復号方法を選択して再生し続けることが可能である。
【0017】
また、電力供給源が内部電源であり、特に電池残量が所定値より少ない場合、消費可能な電力に限りがあるため、復号精度よりも再生処理の継続を優先させ、精度が低い復号方法を選択することで、電力消費率を低く抑え、再生時間をできるだけ長くすることができる。
【0018】
また、電力供給源が内部電源であり、電池残量が所定値以上の場合、相対的に中程度の精度である復号方法を選択することで、電力消費率と再生時間をある程度確保した上で最適な復号精度で再生することができる。
【0019】
情報再生装置にとって復号方法は、消費電力に影響を与えるものである。そのため、消費可能な電力を考慮して復号方法を選択することで、情報再生装置への電力の供給状況、すなわち、情報再生装置の利用形態に応じた最適な再生をすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明により、電力供給源に応じた消費可能な電力に基づいて最適な符号化データの復号方法を選択する情報再生装置及び情報再生方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下では、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面において、同一要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略する。
【0022】
発明の実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる音楽再生装置10の構成を示すブロック図である。音楽再生装置10は、一つの音声符号化データに対して消費電力の異なる複数の復号方式により復号し、それぞれの復号方式に対応する音質で再生することができる情報再生装置である。ここで、音声符号化データとは、圧縮処理された音声データ信号であり、符号化及び復号方式としては、例えば、MP3(MPEG Audio Layer-3)等がある。
【0023】
音楽再生装置10は、符号化データ入力部101と、デコード部102と、復号データ出力部103と、システム制御部104と、電力供給源判定部105と、設定入力部106と、表示部107とを備える。
【0024】
符号化データ入力部101は、記録媒体等(不図示)に格納された音声符号化データを読み込み、デコード部102へ出力する。デコード部102は、符号化データ入力部101からの音声符号化データの入力を受け付け、当該音声符号化データをシステム制御部104により指定される復号方式に基づいてデコードし、復号データ出力部103へ出力する。ここで、復号方式としては、低い消費電力で処理可能であるが低精度の復号となる低音質モード、高精度な復号ができるが高い消費電力を必要とする高音質モード、並びに、低音質モード及び高音質モードの中間の程度の消費電力により中間の程度の精度で復号することができる通常音質モードがある。尚、復号方式は、3種類以上あって構わない。
【0025】
復号データ出力部103は、デコード部102により復号されたデータを音声出力装置(不図示)へ出力する。
【0026】
電力供給源判定部105は、音楽再生装置10を動作させる電力の供給源である電力供給源が内部電源であるか外部電源であるかを判定し、判定された電力供給源に関する情報をシステム制御部104へ通知する。また、電力供給源判定部105は、電力供給源が内部電源である場合に、当該内部電源の消費量に関する情報をシステム制御部104へ通知する。内部電源とは、例えば、音楽再生装置10に内蔵の電池(不図示)等であればよく、その場合、消費量に関する情報とは、電池残量であればよい。また、外部電源とは、例えば、AC電源であればよく、その場合、ACアダプタ経由で供給されればよい。
【0027】
設定入力部106は、音楽再生装置10の使用者によって設定された再生モード自動切換情報、電池残量の閾値、及び復号方式の指定値等の入力を受け付け、システム制御部104へ出力する。ここで、再生モード自動切換情報とは、"ON"又は"OFF"で表現される情報である。再生モード自動切換情報に"ON"が設定された場合、音楽再生装置10は、電力供給源判定部105から通知される情報に基づいて音声符号化データの復号方式の選択を行う。また、再生モード自動切換情報に"OFF"が設定された場合、音楽再生装置10は、使用者からの指定値又は初期値に基づいて音声符号化データの復号方式の選択を行う。尚、再生モード自動切換情報、及び電池残量の閾値は、音楽再生装置10内のメモリ(不図示)に初期値が格納されていてもよく、設定入力部106により変更可能としてもよい。
【0028】
表示部107は、設定入力部106により入力された情報や、音楽再生装置10による音声符号化データの再生状況等を表示する。
【0029】
システム制御部104は、上述した符号化データ入力部101、デコード部102、復号データ出力部103、電力供給源判定部105、設定入力部106、及び表示部107を制御する。特に、システム制御部104は、設定入力部106からの入力値、並びに、電力供給源判定部105からの電力供給源に関する情報及び電池残量に基づいて、復号方式を選択し、当該復号方式をデコード部102へ通知する。
【0030】
図2は、本発明の実施の形態1にかかるシステム制御部104による復号方式の選択処理を示すフローチャート図である。まず、システム制御部104は、設定入力部106から受け付けた再生モード自動切換情報が"ON"であるか否かを判定する(S201)。
【0031】
ここで、再生モード自動切換情報が"ON"でない、つまり、"OFF"であると判定された場合、システム制御部104は、指定のモードを復号方式としてデコード部102に通知し、デコードを実行させる(S207)。指定のモードとは、例えば、使用者から設定入力部106を介して入力された復号方式の指定値であるか、予め設定された復号方式の初期値である。
【0032】
また、再生モード自動切換情報が"ON"であると判定された場合、システム制御部104は、電力供給源判定部105から受け付けた電力供給源に関する情報が内部電源であるか否かを判定する(S202)。
【0033】
電力供給源に関する情報が内部電源でない、つまり、外部電源である場合、システム制御部104は、復号方式を高音質モードとしてデコード部102へ通知し、デコードを実行させる(S206)。
【0034】
また、電力供給源に関する情報が内部電源である場合、システム制御部104は、電力供給源判定部105から受け付けた電池残量が、設定入力部106から受け付けた電池残量の閾値より小さいか否かを判定する(S203)。
【0035】
電池残量の閾値より小さいと判定された場合、システム制御部104は、復号方式を低音質モードとしてデコード部102へ通知し、デコードを実行させる(S204)。また、電池残量の閾値以上であると判定された場合、システム制御部104は、復号方式を通常音質モードとしてデコード部102へ通知し、デコードを実行させる(S205)。
【0036】
このように、本発明の実施の形態1にかかる音楽再生装置により、電力供給源に応じた消費可能な電力に基づいて最適な符号化データの復号方法を選択することができる。そのため、電力供給源が外部電源であるために消費可能な電力が豊富な場合、音楽再生装置10における最高の音質で音楽を再生することができる。また、電力供給源が内部電源であるが、電池残量に余裕がある、つまり、消費可能な電力にある程度余裕がある場合、音楽再生装置10における中程度の音質で音楽を再生することができ、不必要な電力の消費や音質の低下を防ぐことができる。さらに、電力供給源が内部電源であり、電池残量に余裕がない場合、音楽再生装置10における最低限の音質で音楽を再生することができ、可能な限り消費電力を抑えつつ、より長い再生時間を提供することができる。
【0037】
発明の実施の形態2.
本発明の実施の形態2では、本発明の実施の形態1にかかる音楽再生装置10の変形例を示す。本発明の実施の形態2にかかる音楽再生装置11は、電力供給状況と音質選択スイッチによる制御を行うことで、使用者の希望する音質と電力供給状況を考慮した最適な再生をすることができるものである。尚、以下では、本発明の実施の形態1との違いを中心に説明し、本発明の実施の形態1と同一の構成、及び処理については、説明を省略する。
【0038】
図3は、本発明の実施の形態2にかかる音楽再生装置の構成を示すブロック図である。図3は、図1との違いとして、システム制御部104及び電力供給源判定部105が、システム制御部104a及び電力供給源判定部105aに置き換わり、設定入力部106が除かれ、音質選択スイッチ108が追加されている。
【0039】
音質選択スイッチ108は、音楽再生装置10の使用者によって設定された出力品質のレベル(以下、入力レベルと呼ぶ)の入力を受け付け、システム制御部104へ出力する。ここで、出力品質のレベルとは、例えば、本発明の実施の形態1で挙げた復号方式である高音質モード、通常音質モード、及び低音質モードを示す情報であればよい。尚、入力レベルは、音楽再生装置11内のメモリ(不図示)に初期値が格納されていてもよく、音質選択スイッチ108により変更可能としてもよい。
【0040】
電力供給源判定部105aは、電力供給源判定部105と同等の機能であればよい。または、電力供給源判定部105aは、内部電源の消費量に関する情報をシステム制御部104aへ通知する機能を有しなくても良い。
【0041】
システム制御部104aは、音質選択スイッチ108からの入力レベル、並びに、電力供給源判定部105aからの電力供給源に関する情報に基づいて、復号方式を選択し、当該復号方式をデコード部102へ通知する。
【0042】
図4は、本発明の実施の形態2にかかるシステム制御部104aによる復号方式の選択処理を示すフローチャート図である。まず、システム制御部104aは、図2のステップS202と同様に、電力供給源判定部105aから受け付けた電力供給源に関する情報が内部電源であるか否かを判定する(S401)。
【0043】
電力供給源に関する情報が内部電源である場合、システム制御部104aは、音質選択スイッチ108から受け付けた入力レベルが低音質モードであるか否かを判定する(S402)。
【0044】
電力供給源に関する情報が内部電源であり、入力レベルが低音質モードである場合、システム制御部104aは、復号方式を低音質モードとしてデコード部102へ通知し、デコードを実行させる(S404)。
【0045】
電力供給源に関する情報が内部電源であり、入力レベルが低音質モードでない場合、システム制御部104aは、復号方式を通常音質モードとしてデコード部102へ通知し、デコードを実行させる(S405)。
【0046】
また、ステップS401において、電力供給源に関する情報が内部電源でない、つまり、外部電源である場合、システム制御部104aは、音質選択スイッチ108から受け付けた入力レベルが高音質モードであるか否かを判定する(S403)。
【0047】
電力供給源に関する情報が外部電源であり、入力レベルが高音質モードでない場合、システム制御部104aは、復号方式を通常音質モードとしてデコード部102へ通知し、デコードを実行させる(S405)。
【0048】
電力供給源に関する情報が外部電源であり、入力レベルが高音質モードである場合、システム制御部104aは、復号方式を高音質モードとしてデコード部102へ通知し、デコードを実行させる(S406)。
【0049】
このように、本発明の実施の形態2にかかる音楽再生装置により、電力供給源に応じた消費可能な電力に加え、使用者の希望する音質に基づいて最適な符号化データの復号方法を選択することができる。そのため、電力供給源と使用者の希望する出力品質又は商品電力のレベルを加味した最適な情報の再生をすることができる。
【0050】
また、本発明の実施の形態2にかかる音楽再生装置により、電力供給源が内部電源であっても、使用者が許容すれば、消費電力を制限しつつより高い精度で再生することができる。他方で、電力供給源が外部電源であっても、使用者が求めれば、より低い消費電力で再生することができる。
【0051】
尚、入力レベルは、出力品質に限定されない。例えば、入力レベルは、省電力モード、及び電力消費の制限のない電力モード等の消費電力のレベルであってもよい。
【0052】
その他の発明の実施の形態.
本発明にかかる情報再生装置は、本発明の実施の形態1及び2のように音楽再生装置に限定されない。例えば、動画再生装置であっても構わない。つまり、一つの符号化データに対して複数の復号方式により異なる情報に再生することが可能な情報再生装置であればよい。
【0053】
尚、発明の実施の形態1における再生モード自動切換情報は、任意の処理で実現されればよい。例えば、図2のステップS207は、図4の処理フローとしてもよい。
【0054】
尚、電力供給源判定部105の判定は外部電源又は内部電源であるかに限定されない。例えば、内蔵電源と、外付けバッテリによる判定であってもよい。
【0055】
本発明は、次のような状況に適用し効果を奏することも可能である。例えば、情報再生装置が携帯型の音楽再生装置の場合、自宅等で音楽再生装置を使用するときは、AC電源からの電力の供給が可能なため消費電力の制約が少ないため、音楽再生装置の復号処理の機能を最大限に活かした最高の音質で音楽を再生することができる。一方、音楽再生装置を携帯して外出しているときは、音楽再生装置における最高の音質を実現するのではなく、音質はある程度犠牲にして消費電力を減らして長時間再生することができる。特に、帰宅にはあと1時間かかるが、音楽再生装置の電池残量が30分程度であるような状況では、さらに音質を下げることで再生時間を延ばすことができる。
【0056】
尚、上述した状況における他の解決手段として、同じ音楽データに対して、異なるビットレートによる複数の符号化データを携帯型の音楽再生装置に保存することが考えられる。しかしながら、携帯型の音楽再生装置は、内蔵メモリ容量の制約が大きいため、実用性の低い解決手段と言える。そのため、本発明のように、音楽再生装置の再生処理プログラムによる復号方式の選択による解決がより効果的と言える。
【0057】
また、本発明の実施の形態1では、装置の使用状況、つまり、電力供給状況に合わせて、自動的に復号方式を選択することができる。そのため、使用者による判断、操作を減らすことができる。
【0058】
また、本発明により、電力供給状況に合わせて音質と消費電力が変更できるため、使用状況ごとに複数の情報再生装置を使い分ける必要がなくなる、つまり、1台の情報再生装置を様々な状況で使うことができるという効果を奏する。
【0059】
使用状況ごとに複数の再生装置を使い分けるとは、例えば、外出先で音楽を聞く場合は携帯型の音楽再生装置を利用し、自宅においてはオーディオセット、自動車においてはカーステレオ機器といった固定型の音楽再生装置を利用することを指す。この場合、音楽データを各音楽再生装置へ移行する操作が必要となり煩雑である。
【0060】
しかしながら、近年のオーディオ機器の発達により、上述した固定型の音楽再生装置に携帯型の音楽再生装置との接続機構、例えば、ドッキングステーションなどにより携帯型の音楽再生装置への電力をACアダプタを介して供給することが可能である。そのため、本発明にかかる音楽再生装置が、上述したドッキングステーションなどに接続された際には、電力供給源が外部電源であると判定され、高音質の再生をすることができる。特に、ドッキングステーションに接続されることにより、アンプや7.1chスピーカなどを介して出力することができるため、高音質の再生を提供することが可能となる。
【0061】
以上のことから、本発明にかかる情報再生装置を様々な状況で、その状況にあった音質及び消費電力で使用することができ、また、情報再生装置間での符号化されたデータの移動などをする手間も省くことができる。
【0062】
さらに、本発明は上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、既に述べた本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる音楽再生装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1にかかる復号方式の選択処理を示すフローチャート図である。
【図3】本発明の実施の形態2にかかる音楽再生装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態2にかかる復号方式の選択処理を示すフローチャート図である。
【図5】関連する技術にかかる音声伸張再生装置の構成を示すブロック図である。
【図6】関連する技術にかかる音声伸張再生装置の処理を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
【0064】
10 音楽再生装置
11 音楽再生装置
101 符号化データ入力部
102 デコード部
103 復号データ出力部
104 システム制御部
104a システム制御部
105 電力供給源判定部
105a 電力供給源判定部
106 設定入力部
107 表示部
108 音質選択スイッチ
501 ディスク
502 サーボ装置
503 信号復調装置
504 システム制御装置
505 音声伸長DSP
506 DAコンバータ
507 音声出力装置
508 音質選択スイッチ
509 クロック供給装置
510 電源電圧供給装置
511 プログラムROM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
符号化されたデータを複数の復号方式のいずれかにより復号して再生する情報再生装置であって、
前記情報再生装置に電力を供給する電源の種類を検出する電源検出手段と、
前記電源検出手段により検出された電源の種類に基づいて、前記符号化されたデータの復号方式を選択する復号方式選択手段とを備える情報再生装置。
【請求項2】
前記情報再生装置は、第1の電源と前記第1の電源よりも大容量の第2の電源のいずれかにより電力が供給され、
前記復号方式選択手段は、前記電源の種類が前記第1の電源である場合、前記電源の種類が前記第2の電源である場合に比べて精度の低い復号方式を選択することを特徴とする請求項1に記載の情報再生装置。
【請求項3】
前記第1の電源は、内部電源であり、
前記第2の電源は、外部電源であることを特徴とする請求項2に記載の情報再生装置。
【請求項4】
前記情報再生装置は、
内部電源と前記内部電源よりも大容量の外部電源のいずれかにより電力が供給され、
前記電源検出手段により検出された電源が前記内部電源であるときに、前記内部電源の残量を検出する残量検出手段をさらに備え、
前記復号方式選択手段は、前記残量検出手段により検出された前記内部電源の残量と前記電源の種類に基づいて、前記符号化されたデータの復号方式を選択することを特徴とする請求項1に記載の情報再生装置。
【請求項5】
前記復号方式選択手段は、前記内部電源の残量が所定値より少ない場合、前記内部電源の残量が所定値より多い場合に比べて精度の低い復号方式を選択することを特徴とする請求項4に記載の情報再生装置。
【請求項6】
出力品質又は消費電力のレベルの入力を受け付ける入力受付手段をさらに備え、
前記復号方式選択手段は、前記入力受付手段により受け付けられた前記入力レベルと前記電源の種類に基づいて、前記符号化されたデータの復号方式を選択することを特徴とする請求項1に記載の情報再生装置。
【請求項7】
前記情報再生装置は、内部電源と前記内部電源よりも大容量の外部電源のいずれかにより電力が供給され、
前記復号方式選択手段は、前記電源の種類が内部電源であり前記入力レベルが高いことを示す場合、前記電源の種類が外部電源であり前記入力レベルが高いことを示す場合に比べて精度の低い中精度の復号方式を選択することを特徴とする請求項6に記載の情報再生装置。
【請求項8】
前記復号方式選択手段は、前記電源の種類が外部電源であり前記入力レベルが低いことを示す場合に前記中精度の復号方式を選択することを特徴とする請求項7に記載の情報再生装置。
【請求項9】
符号化されたデータを複数の復号方式のいずれかにより復号して再生する情報再生装置における情報再生方法であって、
前記情報再生装置に電力を供給する電源の種類を検出する電源検出ステップと、
前記電源検出ステップにより検出された電源の種類に基づいて、前記符号化されたデータの復号方式を選択する復号方式選択ステップとを備える情報再生方法。
【請求項10】
前記復号方式選択ステップは、前記電源の種類が前記情報再生装置に電力を供給する前記第1の電源である場合、前記電源の種類が前記第1の電源よりも大容量の第2の電源である場合に比べて精度の低い復号方式を選択することを特徴とする請求項9に記載の情報再生方法。
【請求項11】
前記電源検出ステップにより検出された電源が前記情報再生装置に電力を供給する内部電源であるときに、前記内部電源の残量を検出する残量検出ステップをさらに備え、
前記復号方式選択ステップは、前記残量検出ステップにより検出された前記内部電源の残量と前記電源の種類に基づいて、前記符号化されたデータの復号方式を選択することを特徴とする請求項9に記載の情報再生方法。
【請求項12】
前記復号方式選択ステップは、前記内部電源の残量が所定値より少ない場合、前記内部電源の残量が所定値より多い場合に比べて精度の低い復号方式を選択することを特徴とする請求項11に記載の情報再生方法。
【請求項13】
出力品質又は消費電力のレベルの入力を受け付ける入力受付ステップをさらに備え、
前記復号方式選択ステップは、前記入力受付ステップにより受け付けられた前記入力レベルと前記電源の種類に基づいて、前記符号化されたデータの復号方式を選択することを特徴とする請求項9に記載の情報再生方法。
【請求項14】
前記復号方式選択ステップは、前記電源の種類が前記情報再生装置に電力を供給する内部電源であり前記入力レベルが高いことを示す場合、前記電源の種類が前記内部電源よりも大容量の外部電源であり前記入力レベルが高いことを示す場合に比べて精度の低い中精度の復号方式を選択することを特徴とする請求項13に記載の情報再生方法。
【請求項15】
前記復号方式選択ステップは、前記電源の種類が外部電源であり前記入力レベルが低いことを示す場合に前記中精度の復号方式を選択することを特徴とする請求項14に記載の情報再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−277280(P2009−277280A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−126593(P2008−126593)
【出願日】平成20年5月14日(2008.5.14)
【出願人】(302062931)NECエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】