情報処理システム、情報処理方法及びプログラム
【課題】単一の営業拠点を対象とした既存の情報処理システムに極力修正を加えることなく、複数の営業拠点への展開に対応できる情報処理システム、情報処理方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】情報処理システム100は、複数の拠点毎の業務データ21について、複数のタスクからなるバッチ処理を実行する。情報処理システム100は、複数の拠点毎の業務データ21を記憶する記憶部2と、複数のタスクのそれぞれにおいて、業務データ21に対する処理を複数の拠点毎に順次実行することにより全ての拠点の業務データを処理し、処理完了後に次のタスクに移行するようループ制御する実行制御部1を備える。
【解決手段】情報処理システム100は、複数の拠点毎の業務データ21について、複数のタスクからなるバッチ処理を実行する。情報処理システム100は、複数の拠点毎の業務データ21を記憶する記憶部2と、複数のタスクのそれぞれにおいて、業務データ21に対する処理を複数の拠点毎に順次実行することにより全ての拠点の業務データを処理し、処理完了後に次のタスクに移行するようループ制御する実行制御部1を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理方法及びプログラムに関し、特に単一の営業拠点を対象とした既存の情報処理システムに極力修正を加えることなく、複数の営業拠点への展開に対応できる情報処理システム、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
事業者は、様々な内部業務を遂行するためのコンピュータシステム(以下情報処理システム)を構築、運用している。例えば、金融機関は、金融商品の取引管理等の内部業務のための情報処理システムを利用している。このような情報処理システムの多くは、例えば複数の営業拠点を有する事業者であればその営業拠点毎に、また複数の企業体から構成される企業グループであればその企業毎に、それぞれ独立して構築、運用されることが殆どであった(以下、簡略に、主に複数の営業拠点を有する事業者を例にとって説明する)。事業者は、新しく営業拠点が増えると、その度に新たなハードウェア、オペレーションシステム及びミドルウェア等の基幹ソフトウェア、並びにデータベース等を調達し、既存の専用アプリケーションソフトウェアを導入するなどして、その営業拠点のための情報処理システムを構築する必要があった。このように、事業者は、営業拠点が増えるたびに、情報処理システムを新規に構築し、一定の初期コストを負担していた。また、事業者は、その都度多くの人的リソースを投入する必要があった。
【0003】
一方、近年の経済活動のグローバル化に伴い、事業者の営業拠点数はますます増加傾向にある。こうした状況の下で、従来の手法により情報処理システムを導入すれば、事業者は、費用や手間の点で過大な負担を強いられる可能性がある。
【0004】
そこで、本出願の発明者は、以下に述べるように、新規営業拠点への情報処理システムの導入にかかる上述の問題について検討を行った。従来の手法による情報処理システム導入の初期コストは、営業拠点の規模の違い、例えば金融商品の取扱量等の相違にもかかわらず、全ての営業拠点について等しく発生してしまう。そこで、営業拠点が増加しても、その都度初期コストを投じる必要がなく、かつ少ない手間で導入することが可能な情報処理システムが求められる。特に、中小規模の営業拠点については、必要とされる情報処理能力が比較的小さいことから、複数の営業拠点で情報処理システムを共有することが望ましい。
【0005】
しかしながら、既存の情報処理システムは、もっぱら1つの営業拠点により利用されることを前提に設計されている。そのため、既存の情報処理システムを、直ちに複数の営業拠点による共同利用に供することはできないという問題がある。
【0006】
こうした問題に対する解決策として、共同利用型のオンライン情報処理システムやパッケージ化されたシステムプロダクト等を導入し、複数の営業拠点がこれを共同で利用することにより、システム投資を抑制する方法が提案されている(特許文献1)。しかしながら、既存営業拠点が既存の情報処理システムを利用するなか、他の営業拠点が特許文献1記載のシステムを新たに導入するならば、営業拠点間で業務フローが異なるなどし、業務遂行上の支障を招く恐れがある。また、全ての営業拠点に特許文献1記載のシステムを導入するとしても、既存情報処理システムのユーザを新たなシステムへ移行させるための新たなコストが発生するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−250809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のように、従来の情報処理システムは複数の営業拠点による利用が困難であり、一方、共同利用型のシステムを新たに導入することは過大な投資を必要とし現実的でないという問題点があった。
【0009】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、単一の営業拠点による利用を前提とする既存の情報処理システムに大幅な修正を加えることなく、複数の営業拠点による利用に対応できる情報処理システム、情報処理方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様にかかる情報処理システムは、複数の拠点毎に発生する業務データを対象として、複数のタスクからなるバッチ処理を実行する情報処理システムであって、前記複数の拠点毎の業務データを記憶する記憶部と、前記複数のタスクのそれぞれにおいて、前記業務データに対する処理を前記複数の拠点毎に順次実行することにより全ての拠点の業務データを処理し、当該処理完了後に次のタスクに移行するようループ制御する実行制御部を備えたものである。
【0011】
また、前記情報処理システムは、前記記憶部は、実行対象として決定された前記複数の拠点を示すリストをさらに記憶し、前記実行制御部は、前記バッチ処理を実行する際、前記記憶部の前記リストに示された前記複数の拠点を対象として前記バッチ処理を実行することが望ましい。
【0012】
さらに、前記情報処理システムは、前記リストを生成するリスト生成部を有し、前記リスト生成部は、所定の処理対象日が営業日である複数の拠点を前記バッチ処理の実行対象として決定するとともに、前記実行対象として決定された複数の拠点を示す前記リストを生成して前記記憶部に記憶し、前記実行制御部は、前記処理対象日にかかる前記バッチ処理を実行する際、前記記憶部の前記リストに示された前記複数の拠点を対象として前記バッチ処理を実行するとよい。
【0013】
また、前記情報処理システムは、前記複数の拠点にかかる業務データが、それぞれ前記複数の拠点のうちいずれの拠点にかかる業務データであるかを示す識別子とともに記録されているデータベースを有し、前記実行制御部は、前記バッチ処理を実行する際、前記識別子に基づいて前記拠点毎の前記業務データを前記データベースから抽出し、前記業務データを対象に前記バッチ処理を実行することが望ましい。
【0014】
本発明の第2の態様にかかる情報処理方法は、複数の拠点毎に発生する業務データを対象として、複数のタスクからなるバッチ処理を実行する情報処理方法であって、前記複数のタスクのそれぞれにおいて、前記業務データに対する処理を前記複数の拠点毎に順次実行することにより全ての拠点の業務データを処理し、当該処理完了後に次のタスクに移行するようループ制御するものである。
【0015】
また、前記情報処理方法は、前記バッチ処理を実行する際、実行対象として決定された前記複数の拠点を示すリストに示された前記複数の拠点を対象として前記バッチ処理を実行することが望ましい。
【0016】
さらに、前記情報処理方法は、所定の処理対象日が営業日である複数の拠点を前記バッチ処理の実行対象として決定するとともに、前記実行対象として決定された複数の拠点を示す前記リストを生成し、前記処理対象日にかかる前記バッチ処理を実行する際、前記リストに示された前記複数の拠点を対象として前記バッチ処理を実行するとよい。
【0017】
また、前記情報処理方法は、前記バッチ処理を実行する際、前記複数の拠点にかかる業務データが、それぞれ前記複数の拠点のうちいずれの拠点にかかる業務データであるかを示す識別子に基づいて前記拠点毎の前記業務データを抽出し、前記業務データを対象に前記バッチ処理を実行することが望ましい。
【0018】
本発明の第3の態様にかかるプログラムは、 複数の拠点毎に発生する業務データを対象として、複数のタスクからなるバッチ処理を実行する情報処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記複数のタスクのそれぞれにおいて、前記業務データに対する処理を前記複数の拠点毎に順次実行することにより全ての拠点の業務データを処理し、当該処理完了後に次のタスクに移行するようループ制御する処理をコンピュータに実行させるものである。
【0019】
また、前記プログラムは、前記バッチ処理を実行する際、実行対象として決定された前記複数の拠点を示すリストに示された前記複数の拠点を対象として前記バッチ処理を実行する処理をコンピュータに実行させることが望ましい。
【0020】
さらに、前記プログラムは所定の処理対象日が営業日である複数の拠点を前記バッチ処理の実行対象として決定するとともに、前記実行対象として決定された複数の拠点を示す前記リストを生成し、前記処理対象日にかかる前記バッチ処理を実行する際、前記リストに示された前記複数の拠点を対象として前記バッチ処理を実行する処理をコンピュータに実行させるとよい。
【0021】
また、前記プログラムは、前記バッチ処理を実行する際、前記複数の拠点にかかる業務データが、それぞれ前記複数の拠点のうちいずれの拠点にかかる業務データであるかを示す識別子に基づいて前記拠点毎の前記業務データを抽出し、前記業務データを対象に前記バッチ処理を実行する処理をコンピュータに実行させることが望ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、単一の営業拠点による利用を前提とする既存の情報処理システムに大幅な修正を加えることなく、複数の営業拠点による利用に対応できる情報処理システム、情報処理方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態1の情報処理システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態1の情報処理システムの処理フローを示す図である。
【図3】従来の情報処理システムの構成を示す図である。
【図4】従来の情報処理システムにおける業務データの内容を示す図である。
【図5】従来の情報処理システムの動作を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態2の情報処理システムの構成を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態2の情報処理システムにおける業務データの内容を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態2の情報処理システムの動作を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態2の情報処理システムの動作を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態3の情報処理システムの構成を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態3の情報処理システムにおける拠点リストの内容を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態4の情報処理システムにおける拠点リストの内容を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0025】
<実施の形態1>
まず、図1を用いて、本発明の実施の形態1にかかる情報処理システム100の構成について説明する。
【0026】
情報処理システム100は、実行制御部1と記憶部2とを有するコンピュータシステムである。情報処理システム100は、例えば複数の営業拠点に配置された端末装置等(図示しない)によるアクセスに応じて所定の情報処理を実行するサーバコンピュータとして構成することができる。サーバコンピュータは、典型的にはCPU、メモリ(ROM、RAM)、ハードディスクを有する。情報処理システム100は、物理的に単一の装置である必要はなく、本実施の形態にかかる情報処理を複数の装置で分散処理する構成としてもよい。
【0027】
記憶部2は、複数の営業拠点の業務データ21を記憶する記憶領域である。業務データ21は、営業拠点別に発生する業務データを集約してなるデータである。営業拠点別の業務データとは、例えば金融機関の営業拠点が取扱う金融商品の取引記録等であり、典型的には、1営業日のうちに1営業拠点において発生した取引記録等である。記憶部2は、典型的には、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ハードディスク等の内部又は外部記憶手段により実現される記憶領域である。また、データベース及びデータベースマネジメントシステム(DBMS)を利用することにより、記憶部2は、例えばテーブルの形でデータを管理することができる。
【0028】
実行制御部1は、この業務データ21に対する所定の情報処理を実行する制御部である。所定の情報処理とは、例えば、業務データ21の日次集計、すなわち所定の日のうちに発生した業務データ21を対象とする集計処理等を内容とする、バッチ処理等である。実行制御部1は、ソフトウェアプログラムに基づいて各種の情報処理を実行する機能を有し、中央演算処理装置(CPU)、読出専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、入出力ポート(I/O)等により実現される。
【0029】
本実施の形態における実行制御部1は、1営業拠点にかかる業務データを処理する機能と、この処理を営業拠点毎に順次実行する機能とを備えている。1営業拠点にかかる業務データを処理する機能は、例えば処理対象の営業拠点を示すパラメータを外部から受取り、その営業拠点について所定の情報処理を実行するソフトウェアモジュール(以下モジュールという)として実装することができる。このモジュールは、1営業拠点で運用することを前提に設計された既存の情報処理システムから流用されるものであってよい。また、処理を営業拠点毎に順次実行する機能とは、処理対象の営業拠点を示すパラメータをこのモジュールに対し順次与える制御、すなわちループ制御を行う機能として実装することができる。
【0030】
つづいて、図2のフローチャートを用いて、本発明の実施の形態1にかかる処理について説明する。
【0031】
図2のフローチャートは、実行制御部1が、複数の営業拠点にかかる業務データを順次処理する際の動作を示している。ステップS101において、実行制御部1はループ制御を行う。すなわち、実行制御部1は、つづくステップS102の処理を、複数の営業拠点すべてについて実行するよう制御を行う。本実施の形態においては、実行制御部1はステップS102にかかる処理を上述のモジュールを用いて実行するため、ループ制御は、実行制御部1がモジュールに対し処理対象の営業拠点を示すパラメータを順次与える制御となる。
【0032】
ステップ102で、実行制御部1は、上述のモジュールを用いて、処理対象の営業拠点の業務データに対する所定の情報処理を行う。具体的には、モジュールは処理対象となる営業拠点をパラメータとして受取り、その営業拠点にかかる業務データの処理を行う。例えば、営業拠点である支店A、Bが情報処理システム100を共同利用している場合、実行制御部1は、まずモジュールに「支店A」を示す情報をパラメータとして与える。続いて、モジュールは、記憶部2から支店Aにかかる業務データを取得し、取得した業務データの処理を実行する。ここでいう処理は典型的には日次集計処理であるが、この場合、モジュールは、支店Aにかかる業務データであって、かつ処理対象日にかかる業務データを、記憶部2から取得する必要がある。つぎに、実行制御部1は、モジュールに「支店B」を示す情報をパラメータとして与え、モジュールは支店Bにかかる処理を行う。すなわち、モジュールは記憶部2から支店Bにかかる業務データを取得し、取得した業務データの日次集計等の処理を実行する。
【0033】
ここで、情報処理システム100は、情報処理システム100を共同利用する営業拠点に関する情報を、拠点マスタ(図示しない)に予め記録しておくこととしてもよい。拠点マスタは、記憶部2が記憶していてもよく、情報処理システム100内部又は外部の任意の記憶領域が記憶していてもよい。この場合、実行制御部1は、ループ制御を行う際、拠点マスタを参照して、ループ制御の実行対象とすべき営業拠点に関する情報を取得することができる。一方、情報処理システム100が拠点マスタを利用しない場合は、実行制御部1が、予め情報処理システム100を共同利用する営業拠点に関する情報を保持しておいてもよい。
【0034】
このように、本実施の形態にかかる情報処理システム100は、1つの情報処理システム100によって、複数の営業拠点にかかる情報処理を実行することができる。しかも、実行制御部1は、単一の営業拠点にかかる業務データを処理するために開発されたモジュール、すなわち既存の情報処理システムのモジュールを用いつつ、複数の営業拠点にかかる業務データを順次処理することができる。このため、ユーザは、既存の情報処理システムと同じ方法で情報処理システム100を利用することができる。また、事業者は、従来技術に比べ少ないコストで情報処理システム100を構築することができる。
【0035】
本実施の形態においては、実行制御部1が、複数の営業拠点にかかる業務データを順次処理するループ制御を行うことにより、単一の営業拠点を対象に設計された既存の情報処理システムに大幅な設計変更を加えることなく、複数の営業拠点による共同利用が可能な情報処理システムを構築することできる。
【0036】
<実施の形態2>
実施の形態2にかかる情報処理システム100は、本発明を、既存の情報処理システム200に適用したものである。
【0037】
はじめに、図3を用いて、本実施の形態にかかる情報処理システム100の前提となる、既存の情報処理システム200(以下、既存システム200)について説明する。既存システム200は、1つの営業拠点にかかる業務データを処理するためのコンピュータシステムである。既存システム200は、サーバコンピュータ等により構成され、例えばLAN、インターネット、公衆網、専用線、移動体通信網等の通信網により、端末5と接続されている。端末5は、営業拠点のオペレータが操作する端末である。端末5は、例えばパーソナルコンピュータ(PC)であり、CPU、ROM、RAM、ハードディスク、ディスプレイ、キーボード、マウス等を有する。さらに、端末5には携帯端末、インターネット接続機能付携帯電話も含まれる。
【0038】
既存システム200は、業務データ41を格納する記憶部4と、業務データ41に対する所定の情報処理を行う実行制御部3とを有している。
【0039】
記憶部4は、業務データ41を記憶する記憶領域である。記憶部4は、実施の形態1の記憶部2と同様の構成であるが、業務データ41をリレーショナルデータベースに格納している。具体的には、記憶部4は、図4に示すようなテーブルに業務データ41を格納する。業務データ41は、例えば営業拠点における金融商品の取引記録等であって、その営業拠点において発生した取引の取引日時及び取引内容等の項目を含む。なお、既存システム200は単一の営業拠点を対象としたシステムであるため、業務データ41には1つの営業拠点にかかるデータのみが記録されている。
【0040】
業務データ41は、端末5、既存システム200又は他のシステム等がこれを記録することが可能である。例えば、端末5が既存システム200に接続し、既存システム200が備える業務データ入力機能(図示しない)を用いて記憶部4に直接入力してもよい。又は、端末5が既存システム200が備える金融商品取引機能(図示しない)を利用する際、既存システム200が、その利用結果としての業務データ41を生成し、記憶部4に記録してもよい。あるいは、端末5が他の取引システム(図示しない)を利用して金融商品取引を行う際、他のシステム等が、その取引結果としての業務データ41を既存システム200の記憶部4に入力してもよい。
【0041】
実行制御部3は、業務データ41に対する所定の情報処理を行う制御部である。所定の情報処理とは、例えば、業務データ41の日次集計、すなわち所定の日のうちに発生した業務データ41を対象とする集計処理等である。実行制御部3は、実施の形態1の実行制御部1と同様の構成であるが、具体的には図5に示すように、複数のタスクの実行を制御することによって業務データ41を処理する。タスクとは、実行制御部3が実行する情報処理の単位であり、実行制御部3は、複数のタスクを連続的に実行することによって業務データ41に対する処理を行う。本実施の形態においては、業務データ41に対する処理は、タスク1、タスク2及びタスク3により構成されるものとする。すなわち、実行制御部3は、まずタスク1を実行し、タスク1が終了すればタスク2を実行し、タスク2が終了すればタスク3を実行して、処理を完了する。
【0042】
実行制御部3は、例えばオペレーティングシステムのタスクスケジューラにより毎日一定の時間に起動され、バッチ処理としてこれらの処理を実行することができる。あるいは、実行制御部3は、端末5の指示により起動されてバッチ処理を行う、いわゆるオンラインバッチ処理を実行するものであってもよい。
【0043】
本出願の発明者は、かかる既存システム200を前提として、これを複数の営業拠点による利用に供するため、実施の形態2にかかる情報処理システム100を開発した。図6を用いて、本実施の形態にかかる情報処理システム100の構成について説明する。なお、特に言及がないかぎり、情報処理システム100は既存システム200と同様に構成されるものとする。
【0044】
情報処理システム100は、複数の営業拠点にかかる業務データを処理するためのコンピュータシステムである。情報処理システム100は、サーバコンピュータ等により構成され、通信網により、端末61、62及び63と接続されている。端末61、62及び63は、それぞれ拠点A、B及びCに配置される端末である。各端末の構成は、既存システム200に接続される端末5と同様である。
【0045】
情報処理システム100は、業務データ21を格納する記憶部2と、業務データ21に対する処理を行う実行制御部1とを有している。
【0046】
記憶部2は、業務データ21を記憶する記憶領域である。図7に示すように、業務データ21は、例えば複数の営業拠点において発生した金融商品取引の日時及び取引内容に加え、その取引を行った営業拠点を示す情報(図7における「拠点」)を含む。情報処理システム100は複数の営業拠点を対象としたシステムであるため、業務データ21には、いずれの営業拠点において発生したデータあるかが判別できるよう、営業拠点を示す情報が付加されている。本実施の形態では、拠点Aにおいて発生したデータには、拠点の項目にAという識別子が記録されるものとする。
【0047】
業務データ41は、既存システム200の場合と同様に、端末61乃至63、情報処理システム100又は他のシステム等がこれを記憶部2に記録することが可能である。但し本実施の形態においては、端末61乃至63、情報処理システム100又は他のシステム等は、業務データの発生した拠点を特定し、これを業務データ41に拠点として記録する必要がある。端末61乃至63、情報処理システム100又は他のシステム等は、例えば、これらの端末又はシステムを利用するためのユーザ識別子、あるいは端末識別子等と、これらが属する拠点とを予め対応付けておき、業務データ生成時に利用されたユーザ識別子又は端末識別子等に基づいて拠点を特定することができる。
【0048】
実行制御部1は、業務データ21に対する所定の情報処理を行う制御部である。所定の情報処理とは、例えば、業務データ21にかかる日次集計処理等である。実行制御部1は、既存システム200の実行制御部3と同様の構成であるが、後述するように、複数のタスクそれぞれについてループ制御を行うことによって、業務データ21を処理することができる。
【0049】
つづいて、図8を用いて、本実施の形態における実行制御部1の動作を説明する。実行制御部1は、タスク1、タスク2及びタスク3を順に実行することによって、業務データ21を処理する。このタスク1、タスク2、タスク3は、既存システム200に含まれているのと同じものか、適宜修正を加えたものを利用することができる。
【0050】
実行制御部1は、これらタスクのそれぞれについてループ制御を行う。すなわち、実行制御部1は、まずタスク1についてループ制御を行い、つづいてタスク2についてループ制御を行い、最後にタスク3についてループ制御を行う。
【0051】
実行制御部1は、はじめにタスク1にかかるループ制御を行う。本実施の形態では、実行制御部1は、まず拠点Aを示すパラメータ「A」をタスク1に与える。タスク1は、受取ったパラメータ「A」に対応する拠点Aにかかる処理を実行する。すなわち、タスク1は、「A」をキーとして業務データ21から拠点Aにかかるデータを抽出し、その抽出データを対象にして所定の処理を行う。なお、拠点Aにかかるデータの抽出は、必ずしもタスク1が行う必要はない。例えば、記憶部2が備えるDBMSの機能により、「A」をキーとして抽出された拠点Aにかかるデータのみからなる仮想的なテーブル(ビュー)を生成しておき、タスク1はそのビューを参照して所定の処理を行うこととしてもよい。
【0052】
実行制御部1は、拠点Aにかかる処理が終了後、拠点Bにかかる処理をタスク1によって実行する。拠点Bにかかる処理の手順は、拠点Aにかかる処理の手順と同様である。同様にして、実行制御部1は、拠点Bにかかる処理が終了後、拠点Cにかかる処理をタスク1によって実行する。これにより、実行制御部1はタスク1にかかるループ制御を完了する。
【0053】
実行制御部1は、つづいてタスク2について同様のループ制御を行う。すなわち、実行制御部1は、拠点A、B及びCを示すパラメータを順次タスク2に与える。タスク2は、受取ったパラメータに対応する拠点にかかる処理を順次実行する。これにより、実行制御部1はタスク2にかかるループ制御を完了する。
【0054】
実行制御部1は、最後にタスク3について同様のループ制御を行う。こうして、実行制御部1はタスク1乃至3にかかるループ制御を完了する。
【0055】
このように、本実施の形態にかかる情報処理システム100は、複数のタスクからなる処理についても、それぞれのタスクについてループ制御を行うことにより、1つの情報処理システム100によって、複数の営業拠点にかかる情報処理を実行することができる。しかも、実行制御部1は、単一の営業拠点にかかる業務データを処理するために開発された複数のタスク、すなわち既存の情報処理システムの複数のタスクを流用しつつ、複数の営業拠点にかかる業務データを順次処理することができる。このため、ユーザは、既存の情報処理システムと同じ方法で情報処理システム100を利用することができる。また、事業者は、従来技術に比べ少ないコストで情報処理システム100を構築することができる。
【0056】
ここで、タスク1、タスク2及びタスク3が相互に依存しない処理である場合は、実行制御部1は上述の手順でこれらタスクを処理することができる。しかしながら、これらタスクに相互依存性がある場合は、上述の手順でタスクを処理すると処理結果が不正確なものとなる可能性がある。ここでいう相互依存性がある場合とは、先行するタスクの処理結果を利用して、後続のタスクが処理を行う場合である。一例として、タスク1が拠点Aにかかる処理結果をメモリ上の所定の領域に変数Pとして保存し、タスク2がこの変数Pの値を参照して次の処理を実行する際に利用する場合がこれにあたる。この場合、タスク1が、拠点A、B及びCを対象とする処理を連続して実行すると、変数Pには、最後に実行された拠点Cにかかる処理結果が保存された状態となる。この状態で、タスク2がまず拠点Aを対象とする処理を実行すると、タスク2は本来拠点Aにかかるタスク1の処理結果に基づく処理を行うべきところ、変数Pに保存された拠点Cにかかるタスク1の処理結果に基づく処理を行ってしまう。このため、タスク2の処理結果は不正確なものとなる。こうした問題は、単一の営業拠点のみを対象として設計された既存システム200のタスクを、複数の営業拠点を対象とする情報処理システム100にそのまま流用する場合に起こりやすい。
【0057】
かかる問題に対処するため、実行制御部1は、図9に示すように、相互依存性のあるタスクをひとまとまりとしてループ制御を行うことが望ましい。すなわち、タスク1及びタスク2が相互に依存するものである場合、実行制御部1は、まず拠点Aを対象として、タスク1及びタスク2を連続して実行する。実行制御部1は、つぎに拠点Bを対象としてタスク1及びタスク2を連続して実行し、最後に拠点Cを対象としてタスク1及びタスク2を連続して実行する。このような構成により、タスク2は、常にタスク1が処理対象とした拠点と同じ拠点を処理対象することとなるため、上述のような不整合の発生を防止することができる。
【0058】
本実施の形態においては、実行制御部1が、複数の営業拠点にかかる業務データが記録された業務データ21から、処理対象とすべき拠点にかかるデータのみを抽出して所定の処理を行うことにより、単一の営業拠点を対象に設計された既存の情報処理システムのデータ構造に大幅な設計変更を加えることなく、複数の営業拠点による共同利用が可能な情報処理システムを構築することできる。
【0059】
<実施の形態3>
図10を用いて、実施の形態3にかかる情報処理システム100の構成について説明する。なお、特に言及がないかぎり、本実施の形態の情報処理システム100は、実施の形態2の情報処理システム100と同様に構成されるものとする。
【0060】
本実施の形態にかかる情報処理システム100は、実施の形態2と同様に、複数の営業拠点にかかる業務データを処理するためのコンピュータシステムである。本実施の形態における情報処理システム100は、記憶部2に拠点リスト22を記憶していること、及び拠点リスト22を生成するリスト生成部7を備えていることに特徴を有する。
【0061】
拠点リスト22は、日付と、その日付に営業を行った営業拠点とを対応付けたリストである。すなわち、拠点リスト22は、ある日の業務データとして、どの営業拠点にかかる業務データが存在するかを示すリストである。情報処理システム100は、複数の拠点により共同利用されるコンピュータシステムであるが、これら複数の拠点は、それぞれ営業日及び休業日が異なる可能性がある。こうした状況は、例えば、これら複数の拠点が複数の国にまたがって存在する場合、祝祭日が国により異なるために発生し得る。つまり、ループ制御の対象となる拠点は、日によって異なることがあり得る。こうした状況は、情報処理システム100が行う処理が、例えば業務データの日次集計等、日付に密接に関連する処理である場合に問題となる。例えば、情報処理システム100が、休業日であるため業務データの存在しない営業拠点を対象に日次集計処理を行おうとすれば、正常な処理ができないばかりか、予期しないエラーが発生してしまう可能性もある。かかる問題に対処するため、本実施の形態では、後述するリスト生成部7が、日毎に拠点リスト22を作成し、実行制御部1が、拠点リスト22に記載された拠点のみを対象としてループ制御を実行する。
【0062】
リスト生成部7は、拠点リスト22を生成する制御部である。リスト生成部7は、日付と、かかる日付が営業日である営業拠点とを対応付けた拠点リスト22を生成する。リスト生成部7は、例えばタスクスケジューラにより毎日一定の時間に起動され、当日が営業日である営業拠点を示す拠点リスト22を生成することができる。あるいは、実行制御部1により起動され、例えば実行制御部1が処理を開始する直前に、同様の拠点リスト22を生成するものであってもよい。
【0063】
ここで、情報システム100は、各営業拠点の営業日に関する情報を、営業日マスタ(図示しない)に予め記録しておくこととしてもよい。営業日マスタは、記憶部2が記憶していてもよく、情報処理システム100内部又は外部の任意の記憶領域が記憶していてもよい。この場合、リスト生成部7は、営業日マスタを参照して拠点リスト22を生成することができる。あるいは、リスト生成部7が、各営業拠点の営業日に関する情報を予め保持していてもよい。一方、情報処理システム100が営業日マスタを利用しない場合は、リスト生成部7が、予め各営業拠点の営業日に関する情報を保持しておいてもよい。
【0064】
図11に、拠点リスト22の具体的な構成例を示す。拠点リスト22は、典型的にはリレーショナルデータベース内の所定のテーブルに作成されるレコードである。拠点リスト22は、日付及び営業拠点を示す情報を項目として含む。日付は営業日であり、営業拠点はかかる日付が営業日である営業拠点を示している。
【0065】
本実施の形態における実行制御部1の動作を示す。実行制御部1は、拠点リスト22を参照して、処理対象の業務データにかかる日が営業日である営業拠点を取得する。例えば、1営業日毎にその日の業務データを処理する、いわゆる日締め処理を行う場合、実行制御部1は、その処理を行う当日が営業日である営業拠点を拠点リスト22から取得する。あるいは、実行制御部1は、外部から入力された特定の日付を処理対象とし、その特定の日付が営業日である営業拠点を拠点リスト22から取得することとしてもよい。つづいて、実行制御部1は、取得した営業拠点を対象として、業務データ21の処理を行う。この処理の内容は実施の形態2と同様である。すなわち、実行制御部1は、取得した営業拠点すべてについて、順次ループ制御を実行する。
【0066】
本実施の形態においては、リスト生成部7が、営業日と営業拠点との関係を示す拠点リスト22を生成し、実行制御部1が、拠点リスト22を参照して、処理対象日が営業日である営業拠点に対して所定の処理を行うことにより、単一の営業拠点を対象に設計された既存の情報処理システムのデータ構造に大幅な設計変更を加えることなく、営業日の異なる複数の営業拠点による共同利用が可能な情報処理システムを構築することできる。
【0067】
<実施の形態4>
つづいて、実施の形態4にかかる情報処理システム100の構成について説明する。なお、特に言及がないかぎり、本実施の形態の情報処理システム100は、実施の形態3の情報処理システム100と同様に構成されるものとする。
【0068】
実施の形態4にかかる情報処理システム100は、図12に示す拠点リスト22を備える点で特徴を有する。本実施の形態の拠点リスト22は、日付及び拠点に加えて、ステータスにかかる情報を含む。ステータスとは、ある拠点にかかる業務データの処理が、どの段階まで進んだかを示す情報である。例えば、実行制御部1は、ある営業日の拠点Aの業務データについてタスク1の実行を完了した場合、その日付及び拠点を示すレコード中のステータスの項目に、タスク1が完了した旨の情報を記録する。
【0069】
拠点リスト22のステータス情報は、災害等により情報処理システム100に障害が発生した場合、復旧を行う際の復旧ポイントとして利用することができる。また、かかる障害の原因を追及するための情報として利用することもできる。
【0070】
また、拠点リスト22のステータス情報は、実行制御部1が、相互依存性のあるタスク間において処理を確実に引継ぐために利用することができる。上述の実施の形態3においては、もし実行制御部1が、あるタスクにかかる処理を正常に完了できなかった場合に、そのタスクの処理結果を利用する後続タスクにおける処理に影響が生じる可能性があった。例えば、タスク1とタスク2とに相互依存性がある場合において、実行制御部1は、タスク1の拠点Aにかかる処理を何らかの理由で正常に終了することができなかったと仮定する。この場合、実行制御部1が、そのまま後続のタスク2の拠点Aにかかる処理を実行するならば、実行制御部1はタスク2の処理においてタスク1の正常な処理結果を利用できないため、タスク2についても正常な処理を実行できない可能性がある。
【0071】
そこで、本実施の形態における実行制御部1は、タスクを実行する際、拠点リスト22のステータスにかかる項目を参照し、そのタスクと相互依存性のある先行タスクが完了しているか否かを確認することが望ましい。もし、先行タスクが完了していない特定の拠点があれば、実行制御部1は、その特定の拠点をループ制御の対象から除外することができる。例えば、タスク1とタスク2とに相互依存性がある場合において、実行制御部1は、タスク2を実行する際、タスク1が正常に完了していることを確認する。具体的には、実行制御部1は、拠点リスト22から、現在処理対象としている営業日及び拠点と関連付けられたステータスを取得する。ここでステータスがタスク1が完了したことを示すものであれば、実行制御部1は、タスク2を実行する。しかしステータスがタスク1が完了したことを示していなければ、実行制御部1は、その拠点にかかるタスク2の処理を実行せず、以後のループ制御の対象からも除外する。このような処理により、実行制御部1は、異常な処理結果の発生を抑制することができる。
【0072】
本実施の形態においては、実行制御部1が、所定の日時及び拠点にかかる処理の実行履歴を示すステータス情報を拠点リスト22に記録することにより、障害発生時の復旧及び原因追究を容易なものとすることができる。また、実行制御部1が、拠点リスト22のステータス情報を参照して、相互依存性のある先行タスクの実行結果に応じ後続タスクの処理を変更することにより、先行タスクの処理に異常が発生したとしても、他の拠点に影響を与えることなく処理を続行することができる。
【0073】
<その他の実施の形態>
実施の形態1乃至4は、予め定められた複数の営業拠点が情報処理システム100を利用するものであった。一方、新たな営業拠点(以下、拠点Pとする)が、稼働中の情報処理システム100に加わることも可能である。一例として、拠点追加手段(図示しない)が、拠点Pを情報処理システム100に参加させる処理を以下に示す。ここで、拠点追加手段は、ソフトウェアプログラムに基づいて各種の情報処理を実行する機能を有する制御手段であって、中央演算処理装置(CPU)、読出専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、入出力ポート(I/O)等により実現することができる。拠点追加手段は、まず、拠点Pに関する情報を情報処理システム100に登録し、拠点Pがループ制御の対象に含まれるようにする。例えば、情報処理システム100が上述の拠点マスタを採用しているならば、拠点Pに関する情報を拠点マスタに追加する。これにより、実行制御部1は、拠点Pをループ制御の対象に含めるようになる。また、拠点追加手段は、情報処理システム100が拠点リスト22を有しているならば、拠点Pの営業日に関する情報を情報処理システム100に登録し、拠点Pを考慮した拠点リスト22の生成がなされるようにする。例えば、情報処理システム100が上述の営業日マスタを採用しているならば、営業日マスタに拠点Pの営業日に関する情報を追加する。これにより、リスト生成部7は、拠点Pの営業日を考慮した拠点リスト22を生成することができるようになる。かかる準備の後、拠点Pの端末、あるいは情報処理システム100又は他のシステム等は、記憶部2に対し、拠点Pにかかる業務データを記録する。これにより、拠点Pが情報処理システム100に追加され、実行制御部1が拠点Pを対象とした処理を行うようになる。
【0074】
また、既存システム200を利用している営業拠点(以下、拠点Qとする)が、稼働中の情報処理システム100に加わることも可能である。一例として、拠点追加手段が、拠点Qを情報処理システム100に参加させる処理を以下に示す。拠点追加手段は、まず、拠点Qに関する情報を情報処理システム100に登録し、拠点Qがループ制御の対象に含まれるようにする。例えば、情報処理システム100が上述の拠点マスタを採用しているならば、拠点Qに関する情報を拠点マスタに追加する。これにより、実行制御部1は、拠点Qをループ制御の対象に含めるようになる。また、拠点追加手段は、情報処理システム100が拠点リスト22を有しているならば、拠点Qの営業日に関する情報を情報処理システム100に登録し、拠点Qを考慮した拠点リスト22の生成がなされるようにする。例えば、情報処理システム100が上述の営業日マスタを採用しているならば、営業日マスタに拠点Qの営業日に関する情報を追加する。もし、既存システム200が拠点Qの営業日に関する情報を既に保持しているならば、拠点追加手段は、その情報を情報処理システム100にインポートすることができる。これにより、リスト生成部7は、拠点Qの営業日を考慮した拠点リスト22を生成することができるようになる。その後、拠点追加手段は、既存システム200の業務データ41を、情報処理システム100の業務データ21中にコピーする。ここで、業務データ41には拠点情報が含まれていないから、拠点追加手段は、かかるコピーの際に、拠点Qを表す拠点情報を補充する。これにより、拠点Qにかかる過去の業務データが、既存システム200から情報処理システム100にインポートされる。以後、拠点Qの端末、あるいは情報処理システム100又は他のシステム等が拠点Qにかかる業務データを記録する際は、記憶部2に対してこれを行う。これにより、情報処理システム100は、拠点Qを対象とした処理を行うことができるようになる。
【0075】
また、上述の実施の形態においては、情報処理システム100の行う処理の一例として、業務データ21の日次処理を示したが、かかる処理は必ずしも日次である必要はなく、所定の期間にわたる業務データ21を、所定の周期で処理するものであってよい。
【0076】
なお、本発明は上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは勿論である。
【0077】
上述の実施の形態においては、ある事業者に複数の営業拠点が存在し、各拠点で同一の情報処理システムを利用するケースを例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、複数の企業体から構成される企業グループ内の企業を対象として実施することも可能である。
【0078】
また、上述の実施の形態では、ハードウェアの構成として説明したが、これに限定されるものではなく、任意の処理を、CPU(Central Processing Unit)にコンピュータプログラムを実行させることにより実現することも可能である。この場合、コンピュータプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non−transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【符号の説明】
【0079】
100 情報処理システム
1 実行制御部
2 記憶部
21 業務データ
22 拠点リスト
200 既存システム
3 実行制御部
4 記憶部
41 業務データ
5 端末
61 端末A
62 端末B
63 端末C
7 リスト生成部
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理方法及びプログラムに関し、特に単一の営業拠点を対象とした既存の情報処理システムに極力修正を加えることなく、複数の営業拠点への展開に対応できる情報処理システム、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
事業者は、様々な内部業務を遂行するためのコンピュータシステム(以下情報処理システム)を構築、運用している。例えば、金融機関は、金融商品の取引管理等の内部業務のための情報処理システムを利用している。このような情報処理システムの多くは、例えば複数の営業拠点を有する事業者であればその営業拠点毎に、また複数の企業体から構成される企業グループであればその企業毎に、それぞれ独立して構築、運用されることが殆どであった(以下、簡略に、主に複数の営業拠点を有する事業者を例にとって説明する)。事業者は、新しく営業拠点が増えると、その度に新たなハードウェア、オペレーションシステム及びミドルウェア等の基幹ソフトウェア、並びにデータベース等を調達し、既存の専用アプリケーションソフトウェアを導入するなどして、その営業拠点のための情報処理システムを構築する必要があった。このように、事業者は、営業拠点が増えるたびに、情報処理システムを新規に構築し、一定の初期コストを負担していた。また、事業者は、その都度多くの人的リソースを投入する必要があった。
【0003】
一方、近年の経済活動のグローバル化に伴い、事業者の営業拠点数はますます増加傾向にある。こうした状況の下で、従来の手法により情報処理システムを導入すれば、事業者は、費用や手間の点で過大な負担を強いられる可能性がある。
【0004】
そこで、本出願の発明者は、以下に述べるように、新規営業拠点への情報処理システムの導入にかかる上述の問題について検討を行った。従来の手法による情報処理システム導入の初期コストは、営業拠点の規模の違い、例えば金融商品の取扱量等の相違にもかかわらず、全ての営業拠点について等しく発生してしまう。そこで、営業拠点が増加しても、その都度初期コストを投じる必要がなく、かつ少ない手間で導入することが可能な情報処理システムが求められる。特に、中小規模の営業拠点については、必要とされる情報処理能力が比較的小さいことから、複数の営業拠点で情報処理システムを共有することが望ましい。
【0005】
しかしながら、既存の情報処理システムは、もっぱら1つの営業拠点により利用されることを前提に設計されている。そのため、既存の情報処理システムを、直ちに複数の営業拠点による共同利用に供することはできないという問題がある。
【0006】
こうした問題に対する解決策として、共同利用型のオンライン情報処理システムやパッケージ化されたシステムプロダクト等を導入し、複数の営業拠点がこれを共同で利用することにより、システム投資を抑制する方法が提案されている(特許文献1)。しかしながら、既存営業拠点が既存の情報処理システムを利用するなか、他の営業拠点が特許文献1記載のシステムを新たに導入するならば、営業拠点間で業務フローが異なるなどし、業務遂行上の支障を招く恐れがある。また、全ての営業拠点に特許文献1記載のシステムを導入するとしても、既存情報処理システムのユーザを新たなシステムへ移行させるための新たなコストが発生するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−250809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のように、従来の情報処理システムは複数の営業拠点による利用が困難であり、一方、共同利用型のシステムを新たに導入することは過大な投資を必要とし現実的でないという問題点があった。
【0009】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、単一の営業拠点による利用を前提とする既存の情報処理システムに大幅な修正を加えることなく、複数の営業拠点による利用に対応できる情報処理システム、情報処理方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様にかかる情報処理システムは、複数の拠点毎に発生する業務データを対象として、複数のタスクからなるバッチ処理を実行する情報処理システムであって、前記複数の拠点毎の業務データを記憶する記憶部と、前記複数のタスクのそれぞれにおいて、前記業務データに対する処理を前記複数の拠点毎に順次実行することにより全ての拠点の業務データを処理し、当該処理完了後に次のタスクに移行するようループ制御する実行制御部を備えたものである。
【0011】
また、前記情報処理システムは、前記記憶部は、実行対象として決定された前記複数の拠点を示すリストをさらに記憶し、前記実行制御部は、前記バッチ処理を実行する際、前記記憶部の前記リストに示された前記複数の拠点を対象として前記バッチ処理を実行することが望ましい。
【0012】
さらに、前記情報処理システムは、前記リストを生成するリスト生成部を有し、前記リスト生成部は、所定の処理対象日が営業日である複数の拠点を前記バッチ処理の実行対象として決定するとともに、前記実行対象として決定された複数の拠点を示す前記リストを生成して前記記憶部に記憶し、前記実行制御部は、前記処理対象日にかかる前記バッチ処理を実行する際、前記記憶部の前記リストに示された前記複数の拠点を対象として前記バッチ処理を実行するとよい。
【0013】
また、前記情報処理システムは、前記複数の拠点にかかる業務データが、それぞれ前記複数の拠点のうちいずれの拠点にかかる業務データであるかを示す識別子とともに記録されているデータベースを有し、前記実行制御部は、前記バッチ処理を実行する際、前記識別子に基づいて前記拠点毎の前記業務データを前記データベースから抽出し、前記業務データを対象に前記バッチ処理を実行することが望ましい。
【0014】
本発明の第2の態様にかかる情報処理方法は、複数の拠点毎に発生する業務データを対象として、複数のタスクからなるバッチ処理を実行する情報処理方法であって、前記複数のタスクのそれぞれにおいて、前記業務データに対する処理を前記複数の拠点毎に順次実行することにより全ての拠点の業務データを処理し、当該処理完了後に次のタスクに移行するようループ制御するものである。
【0015】
また、前記情報処理方法は、前記バッチ処理を実行する際、実行対象として決定された前記複数の拠点を示すリストに示された前記複数の拠点を対象として前記バッチ処理を実行することが望ましい。
【0016】
さらに、前記情報処理方法は、所定の処理対象日が営業日である複数の拠点を前記バッチ処理の実行対象として決定するとともに、前記実行対象として決定された複数の拠点を示す前記リストを生成し、前記処理対象日にかかる前記バッチ処理を実行する際、前記リストに示された前記複数の拠点を対象として前記バッチ処理を実行するとよい。
【0017】
また、前記情報処理方法は、前記バッチ処理を実行する際、前記複数の拠点にかかる業務データが、それぞれ前記複数の拠点のうちいずれの拠点にかかる業務データであるかを示す識別子に基づいて前記拠点毎の前記業務データを抽出し、前記業務データを対象に前記バッチ処理を実行することが望ましい。
【0018】
本発明の第3の態様にかかるプログラムは、 複数の拠点毎に発生する業務データを対象として、複数のタスクからなるバッチ処理を実行する情報処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記複数のタスクのそれぞれにおいて、前記業務データに対する処理を前記複数の拠点毎に順次実行することにより全ての拠点の業務データを処理し、当該処理完了後に次のタスクに移行するようループ制御する処理をコンピュータに実行させるものである。
【0019】
また、前記プログラムは、前記バッチ処理を実行する際、実行対象として決定された前記複数の拠点を示すリストに示された前記複数の拠点を対象として前記バッチ処理を実行する処理をコンピュータに実行させることが望ましい。
【0020】
さらに、前記プログラムは所定の処理対象日が営業日である複数の拠点を前記バッチ処理の実行対象として決定するとともに、前記実行対象として決定された複数の拠点を示す前記リストを生成し、前記処理対象日にかかる前記バッチ処理を実行する際、前記リストに示された前記複数の拠点を対象として前記バッチ処理を実行する処理をコンピュータに実行させるとよい。
【0021】
また、前記プログラムは、前記バッチ処理を実行する際、前記複数の拠点にかかる業務データが、それぞれ前記複数の拠点のうちいずれの拠点にかかる業務データであるかを示す識別子に基づいて前記拠点毎の前記業務データを抽出し、前記業務データを対象に前記バッチ処理を実行する処理をコンピュータに実行させることが望ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、単一の営業拠点による利用を前提とする既存の情報処理システムに大幅な修正を加えることなく、複数の営業拠点による利用に対応できる情報処理システム、情報処理方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態1の情報処理システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態1の情報処理システムの処理フローを示す図である。
【図3】従来の情報処理システムの構成を示す図である。
【図4】従来の情報処理システムにおける業務データの内容を示す図である。
【図5】従来の情報処理システムの動作を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態2の情報処理システムの構成を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態2の情報処理システムにおける業務データの内容を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態2の情報処理システムの動作を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態2の情報処理システムの動作を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態3の情報処理システムの構成を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態3の情報処理システムにおける拠点リストの内容を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態4の情報処理システムにおける拠点リストの内容を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0025】
<実施の形態1>
まず、図1を用いて、本発明の実施の形態1にかかる情報処理システム100の構成について説明する。
【0026】
情報処理システム100は、実行制御部1と記憶部2とを有するコンピュータシステムである。情報処理システム100は、例えば複数の営業拠点に配置された端末装置等(図示しない)によるアクセスに応じて所定の情報処理を実行するサーバコンピュータとして構成することができる。サーバコンピュータは、典型的にはCPU、メモリ(ROM、RAM)、ハードディスクを有する。情報処理システム100は、物理的に単一の装置である必要はなく、本実施の形態にかかる情報処理を複数の装置で分散処理する構成としてもよい。
【0027】
記憶部2は、複数の営業拠点の業務データ21を記憶する記憶領域である。業務データ21は、営業拠点別に発生する業務データを集約してなるデータである。営業拠点別の業務データとは、例えば金融機関の営業拠点が取扱う金融商品の取引記録等であり、典型的には、1営業日のうちに1営業拠点において発生した取引記録等である。記憶部2は、典型的には、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ハードディスク等の内部又は外部記憶手段により実現される記憶領域である。また、データベース及びデータベースマネジメントシステム(DBMS)を利用することにより、記憶部2は、例えばテーブルの形でデータを管理することができる。
【0028】
実行制御部1は、この業務データ21に対する所定の情報処理を実行する制御部である。所定の情報処理とは、例えば、業務データ21の日次集計、すなわち所定の日のうちに発生した業務データ21を対象とする集計処理等を内容とする、バッチ処理等である。実行制御部1は、ソフトウェアプログラムに基づいて各種の情報処理を実行する機能を有し、中央演算処理装置(CPU)、読出専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、入出力ポート(I/O)等により実現される。
【0029】
本実施の形態における実行制御部1は、1営業拠点にかかる業務データを処理する機能と、この処理を営業拠点毎に順次実行する機能とを備えている。1営業拠点にかかる業務データを処理する機能は、例えば処理対象の営業拠点を示すパラメータを外部から受取り、その営業拠点について所定の情報処理を実行するソフトウェアモジュール(以下モジュールという)として実装することができる。このモジュールは、1営業拠点で運用することを前提に設計された既存の情報処理システムから流用されるものであってよい。また、処理を営業拠点毎に順次実行する機能とは、処理対象の営業拠点を示すパラメータをこのモジュールに対し順次与える制御、すなわちループ制御を行う機能として実装することができる。
【0030】
つづいて、図2のフローチャートを用いて、本発明の実施の形態1にかかる処理について説明する。
【0031】
図2のフローチャートは、実行制御部1が、複数の営業拠点にかかる業務データを順次処理する際の動作を示している。ステップS101において、実行制御部1はループ制御を行う。すなわち、実行制御部1は、つづくステップS102の処理を、複数の営業拠点すべてについて実行するよう制御を行う。本実施の形態においては、実行制御部1はステップS102にかかる処理を上述のモジュールを用いて実行するため、ループ制御は、実行制御部1がモジュールに対し処理対象の営業拠点を示すパラメータを順次与える制御となる。
【0032】
ステップ102で、実行制御部1は、上述のモジュールを用いて、処理対象の営業拠点の業務データに対する所定の情報処理を行う。具体的には、モジュールは処理対象となる営業拠点をパラメータとして受取り、その営業拠点にかかる業務データの処理を行う。例えば、営業拠点である支店A、Bが情報処理システム100を共同利用している場合、実行制御部1は、まずモジュールに「支店A」を示す情報をパラメータとして与える。続いて、モジュールは、記憶部2から支店Aにかかる業務データを取得し、取得した業務データの処理を実行する。ここでいう処理は典型的には日次集計処理であるが、この場合、モジュールは、支店Aにかかる業務データであって、かつ処理対象日にかかる業務データを、記憶部2から取得する必要がある。つぎに、実行制御部1は、モジュールに「支店B」を示す情報をパラメータとして与え、モジュールは支店Bにかかる処理を行う。すなわち、モジュールは記憶部2から支店Bにかかる業務データを取得し、取得した業務データの日次集計等の処理を実行する。
【0033】
ここで、情報処理システム100は、情報処理システム100を共同利用する営業拠点に関する情報を、拠点マスタ(図示しない)に予め記録しておくこととしてもよい。拠点マスタは、記憶部2が記憶していてもよく、情報処理システム100内部又は外部の任意の記憶領域が記憶していてもよい。この場合、実行制御部1は、ループ制御を行う際、拠点マスタを参照して、ループ制御の実行対象とすべき営業拠点に関する情報を取得することができる。一方、情報処理システム100が拠点マスタを利用しない場合は、実行制御部1が、予め情報処理システム100を共同利用する営業拠点に関する情報を保持しておいてもよい。
【0034】
このように、本実施の形態にかかる情報処理システム100は、1つの情報処理システム100によって、複数の営業拠点にかかる情報処理を実行することができる。しかも、実行制御部1は、単一の営業拠点にかかる業務データを処理するために開発されたモジュール、すなわち既存の情報処理システムのモジュールを用いつつ、複数の営業拠点にかかる業務データを順次処理することができる。このため、ユーザは、既存の情報処理システムと同じ方法で情報処理システム100を利用することができる。また、事業者は、従来技術に比べ少ないコストで情報処理システム100を構築することができる。
【0035】
本実施の形態においては、実行制御部1が、複数の営業拠点にかかる業務データを順次処理するループ制御を行うことにより、単一の営業拠点を対象に設計された既存の情報処理システムに大幅な設計変更を加えることなく、複数の営業拠点による共同利用が可能な情報処理システムを構築することできる。
【0036】
<実施の形態2>
実施の形態2にかかる情報処理システム100は、本発明を、既存の情報処理システム200に適用したものである。
【0037】
はじめに、図3を用いて、本実施の形態にかかる情報処理システム100の前提となる、既存の情報処理システム200(以下、既存システム200)について説明する。既存システム200は、1つの営業拠点にかかる業務データを処理するためのコンピュータシステムである。既存システム200は、サーバコンピュータ等により構成され、例えばLAN、インターネット、公衆網、専用線、移動体通信網等の通信網により、端末5と接続されている。端末5は、営業拠点のオペレータが操作する端末である。端末5は、例えばパーソナルコンピュータ(PC)であり、CPU、ROM、RAM、ハードディスク、ディスプレイ、キーボード、マウス等を有する。さらに、端末5には携帯端末、インターネット接続機能付携帯電話も含まれる。
【0038】
既存システム200は、業務データ41を格納する記憶部4と、業務データ41に対する所定の情報処理を行う実行制御部3とを有している。
【0039】
記憶部4は、業務データ41を記憶する記憶領域である。記憶部4は、実施の形態1の記憶部2と同様の構成であるが、業務データ41をリレーショナルデータベースに格納している。具体的には、記憶部4は、図4に示すようなテーブルに業務データ41を格納する。業務データ41は、例えば営業拠点における金融商品の取引記録等であって、その営業拠点において発生した取引の取引日時及び取引内容等の項目を含む。なお、既存システム200は単一の営業拠点を対象としたシステムであるため、業務データ41には1つの営業拠点にかかるデータのみが記録されている。
【0040】
業務データ41は、端末5、既存システム200又は他のシステム等がこれを記録することが可能である。例えば、端末5が既存システム200に接続し、既存システム200が備える業務データ入力機能(図示しない)を用いて記憶部4に直接入力してもよい。又は、端末5が既存システム200が備える金融商品取引機能(図示しない)を利用する際、既存システム200が、その利用結果としての業務データ41を生成し、記憶部4に記録してもよい。あるいは、端末5が他の取引システム(図示しない)を利用して金融商品取引を行う際、他のシステム等が、その取引結果としての業務データ41を既存システム200の記憶部4に入力してもよい。
【0041】
実行制御部3は、業務データ41に対する所定の情報処理を行う制御部である。所定の情報処理とは、例えば、業務データ41の日次集計、すなわち所定の日のうちに発生した業務データ41を対象とする集計処理等である。実行制御部3は、実施の形態1の実行制御部1と同様の構成であるが、具体的には図5に示すように、複数のタスクの実行を制御することによって業務データ41を処理する。タスクとは、実行制御部3が実行する情報処理の単位であり、実行制御部3は、複数のタスクを連続的に実行することによって業務データ41に対する処理を行う。本実施の形態においては、業務データ41に対する処理は、タスク1、タスク2及びタスク3により構成されるものとする。すなわち、実行制御部3は、まずタスク1を実行し、タスク1が終了すればタスク2を実行し、タスク2が終了すればタスク3を実行して、処理を完了する。
【0042】
実行制御部3は、例えばオペレーティングシステムのタスクスケジューラにより毎日一定の時間に起動され、バッチ処理としてこれらの処理を実行することができる。あるいは、実行制御部3は、端末5の指示により起動されてバッチ処理を行う、いわゆるオンラインバッチ処理を実行するものであってもよい。
【0043】
本出願の発明者は、かかる既存システム200を前提として、これを複数の営業拠点による利用に供するため、実施の形態2にかかる情報処理システム100を開発した。図6を用いて、本実施の形態にかかる情報処理システム100の構成について説明する。なお、特に言及がないかぎり、情報処理システム100は既存システム200と同様に構成されるものとする。
【0044】
情報処理システム100は、複数の営業拠点にかかる業務データを処理するためのコンピュータシステムである。情報処理システム100は、サーバコンピュータ等により構成され、通信網により、端末61、62及び63と接続されている。端末61、62及び63は、それぞれ拠点A、B及びCに配置される端末である。各端末の構成は、既存システム200に接続される端末5と同様である。
【0045】
情報処理システム100は、業務データ21を格納する記憶部2と、業務データ21に対する処理を行う実行制御部1とを有している。
【0046】
記憶部2は、業務データ21を記憶する記憶領域である。図7に示すように、業務データ21は、例えば複数の営業拠点において発生した金融商品取引の日時及び取引内容に加え、その取引を行った営業拠点を示す情報(図7における「拠点」)を含む。情報処理システム100は複数の営業拠点を対象としたシステムであるため、業務データ21には、いずれの営業拠点において発生したデータあるかが判別できるよう、営業拠点を示す情報が付加されている。本実施の形態では、拠点Aにおいて発生したデータには、拠点の項目にAという識別子が記録されるものとする。
【0047】
業務データ41は、既存システム200の場合と同様に、端末61乃至63、情報処理システム100又は他のシステム等がこれを記憶部2に記録することが可能である。但し本実施の形態においては、端末61乃至63、情報処理システム100又は他のシステム等は、業務データの発生した拠点を特定し、これを業務データ41に拠点として記録する必要がある。端末61乃至63、情報処理システム100又は他のシステム等は、例えば、これらの端末又はシステムを利用するためのユーザ識別子、あるいは端末識別子等と、これらが属する拠点とを予め対応付けておき、業務データ生成時に利用されたユーザ識別子又は端末識別子等に基づいて拠点を特定することができる。
【0048】
実行制御部1は、業務データ21に対する所定の情報処理を行う制御部である。所定の情報処理とは、例えば、業務データ21にかかる日次集計処理等である。実行制御部1は、既存システム200の実行制御部3と同様の構成であるが、後述するように、複数のタスクそれぞれについてループ制御を行うことによって、業務データ21を処理することができる。
【0049】
つづいて、図8を用いて、本実施の形態における実行制御部1の動作を説明する。実行制御部1は、タスク1、タスク2及びタスク3を順に実行することによって、業務データ21を処理する。このタスク1、タスク2、タスク3は、既存システム200に含まれているのと同じものか、適宜修正を加えたものを利用することができる。
【0050】
実行制御部1は、これらタスクのそれぞれについてループ制御を行う。すなわち、実行制御部1は、まずタスク1についてループ制御を行い、つづいてタスク2についてループ制御を行い、最後にタスク3についてループ制御を行う。
【0051】
実行制御部1は、はじめにタスク1にかかるループ制御を行う。本実施の形態では、実行制御部1は、まず拠点Aを示すパラメータ「A」をタスク1に与える。タスク1は、受取ったパラメータ「A」に対応する拠点Aにかかる処理を実行する。すなわち、タスク1は、「A」をキーとして業務データ21から拠点Aにかかるデータを抽出し、その抽出データを対象にして所定の処理を行う。なお、拠点Aにかかるデータの抽出は、必ずしもタスク1が行う必要はない。例えば、記憶部2が備えるDBMSの機能により、「A」をキーとして抽出された拠点Aにかかるデータのみからなる仮想的なテーブル(ビュー)を生成しておき、タスク1はそのビューを参照して所定の処理を行うこととしてもよい。
【0052】
実行制御部1は、拠点Aにかかる処理が終了後、拠点Bにかかる処理をタスク1によって実行する。拠点Bにかかる処理の手順は、拠点Aにかかる処理の手順と同様である。同様にして、実行制御部1は、拠点Bにかかる処理が終了後、拠点Cにかかる処理をタスク1によって実行する。これにより、実行制御部1はタスク1にかかるループ制御を完了する。
【0053】
実行制御部1は、つづいてタスク2について同様のループ制御を行う。すなわち、実行制御部1は、拠点A、B及びCを示すパラメータを順次タスク2に与える。タスク2は、受取ったパラメータに対応する拠点にかかる処理を順次実行する。これにより、実行制御部1はタスク2にかかるループ制御を完了する。
【0054】
実行制御部1は、最後にタスク3について同様のループ制御を行う。こうして、実行制御部1はタスク1乃至3にかかるループ制御を完了する。
【0055】
このように、本実施の形態にかかる情報処理システム100は、複数のタスクからなる処理についても、それぞれのタスクについてループ制御を行うことにより、1つの情報処理システム100によって、複数の営業拠点にかかる情報処理を実行することができる。しかも、実行制御部1は、単一の営業拠点にかかる業務データを処理するために開発された複数のタスク、すなわち既存の情報処理システムの複数のタスクを流用しつつ、複数の営業拠点にかかる業務データを順次処理することができる。このため、ユーザは、既存の情報処理システムと同じ方法で情報処理システム100を利用することができる。また、事業者は、従来技術に比べ少ないコストで情報処理システム100を構築することができる。
【0056】
ここで、タスク1、タスク2及びタスク3が相互に依存しない処理である場合は、実行制御部1は上述の手順でこれらタスクを処理することができる。しかしながら、これらタスクに相互依存性がある場合は、上述の手順でタスクを処理すると処理結果が不正確なものとなる可能性がある。ここでいう相互依存性がある場合とは、先行するタスクの処理結果を利用して、後続のタスクが処理を行う場合である。一例として、タスク1が拠点Aにかかる処理結果をメモリ上の所定の領域に変数Pとして保存し、タスク2がこの変数Pの値を参照して次の処理を実行する際に利用する場合がこれにあたる。この場合、タスク1が、拠点A、B及びCを対象とする処理を連続して実行すると、変数Pには、最後に実行された拠点Cにかかる処理結果が保存された状態となる。この状態で、タスク2がまず拠点Aを対象とする処理を実行すると、タスク2は本来拠点Aにかかるタスク1の処理結果に基づく処理を行うべきところ、変数Pに保存された拠点Cにかかるタスク1の処理結果に基づく処理を行ってしまう。このため、タスク2の処理結果は不正確なものとなる。こうした問題は、単一の営業拠点のみを対象として設計された既存システム200のタスクを、複数の営業拠点を対象とする情報処理システム100にそのまま流用する場合に起こりやすい。
【0057】
かかる問題に対処するため、実行制御部1は、図9に示すように、相互依存性のあるタスクをひとまとまりとしてループ制御を行うことが望ましい。すなわち、タスク1及びタスク2が相互に依存するものである場合、実行制御部1は、まず拠点Aを対象として、タスク1及びタスク2を連続して実行する。実行制御部1は、つぎに拠点Bを対象としてタスク1及びタスク2を連続して実行し、最後に拠点Cを対象としてタスク1及びタスク2を連続して実行する。このような構成により、タスク2は、常にタスク1が処理対象とした拠点と同じ拠点を処理対象することとなるため、上述のような不整合の発生を防止することができる。
【0058】
本実施の形態においては、実行制御部1が、複数の営業拠点にかかる業務データが記録された業務データ21から、処理対象とすべき拠点にかかるデータのみを抽出して所定の処理を行うことにより、単一の営業拠点を対象に設計された既存の情報処理システムのデータ構造に大幅な設計変更を加えることなく、複数の営業拠点による共同利用が可能な情報処理システムを構築することできる。
【0059】
<実施の形態3>
図10を用いて、実施の形態3にかかる情報処理システム100の構成について説明する。なお、特に言及がないかぎり、本実施の形態の情報処理システム100は、実施の形態2の情報処理システム100と同様に構成されるものとする。
【0060】
本実施の形態にかかる情報処理システム100は、実施の形態2と同様に、複数の営業拠点にかかる業務データを処理するためのコンピュータシステムである。本実施の形態における情報処理システム100は、記憶部2に拠点リスト22を記憶していること、及び拠点リスト22を生成するリスト生成部7を備えていることに特徴を有する。
【0061】
拠点リスト22は、日付と、その日付に営業を行った営業拠点とを対応付けたリストである。すなわち、拠点リスト22は、ある日の業務データとして、どの営業拠点にかかる業務データが存在するかを示すリストである。情報処理システム100は、複数の拠点により共同利用されるコンピュータシステムであるが、これら複数の拠点は、それぞれ営業日及び休業日が異なる可能性がある。こうした状況は、例えば、これら複数の拠点が複数の国にまたがって存在する場合、祝祭日が国により異なるために発生し得る。つまり、ループ制御の対象となる拠点は、日によって異なることがあり得る。こうした状況は、情報処理システム100が行う処理が、例えば業務データの日次集計等、日付に密接に関連する処理である場合に問題となる。例えば、情報処理システム100が、休業日であるため業務データの存在しない営業拠点を対象に日次集計処理を行おうとすれば、正常な処理ができないばかりか、予期しないエラーが発生してしまう可能性もある。かかる問題に対処するため、本実施の形態では、後述するリスト生成部7が、日毎に拠点リスト22を作成し、実行制御部1が、拠点リスト22に記載された拠点のみを対象としてループ制御を実行する。
【0062】
リスト生成部7は、拠点リスト22を生成する制御部である。リスト生成部7は、日付と、かかる日付が営業日である営業拠点とを対応付けた拠点リスト22を生成する。リスト生成部7は、例えばタスクスケジューラにより毎日一定の時間に起動され、当日が営業日である営業拠点を示す拠点リスト22を生成することができる。あるいは、実行制御部1により起動され、例えば実行制御部1が処理を開始する直前に、同様の拠点リスト22を生成するものであってもよい。
【0063】
ここで、情報システム100は、各営業拠点の営業日に関する情報を、営業日マスタ(図示しない)に予め記録しておくこととしてもよい。営業日マスタは、記憶部2が記憶していてもよく、情報処理システム100内部又は外部の任意の記憶領域が記憶していてもよい。この場合、リスト生成部7は、営業日マスタを参照して拠点リスト22を生成することができる。あるいは、リスト生成部7が、各営業拠点の営業日に関する情報を予め保持していてもよい。一方、情報処理システム100が営業日マスタを利用しない場合は、リスト生成部7が、予め各営業拠点の営業日に関する情報を保持しておいてもよい。
【0064】
図11に、拠点リスト22の具体的な構成例を示す。拠点リスト22は、典型的にはリレーショナルデータベース内の所定のテーブルに作成されるレコードである。拠点リスト22は、日付及び営業拠点を示す情報を項目として含む。日付は営業日であり、営業拠点はかかる日付が営業日である営業拠点を示している。
【0065】
本実施の形態における実行制御部1の動作を示す。実行制御部1は、拠点リスト22を参照して、処理対象の業務データにかかる日が営業日である営業拠点を取得する。例えば、1営業日毎にその日の業務データを処理する、いわゆる日締め処理を行う場合、実行制御部1は、その処理を行う当日が営業日である営業拠点を拠点リスト22から取得する。あるいは、実行制御部1は、外部から入力された特定の日付を処理対象とし、その特定の日付が営業日である営業拠点を拠点リスト22から取得することとしてもよい。つづいて、実行制御部1は、取得した営業拠点を対象として、業務データ21の処理を行う。この処理の内容は実施の形態2と同様である。すなわち、実行制御部1は、取得した営業拠点すべてについて、順次ループ制御を実行する。
【0066】
本実施の形態においては、リスト生成部7が、営業日と営業拠点との関係を示す拠点リスト22を生成し、実行制御部1が、拠点リスト22を参照して、処理対象日が営業日である営業拠点に対して所定の処理を行うことにより、単一の営業拠点を対象に設計された既存の情報処理システムのデータ構造に大幅な設計変更を加えることなく、営業日の異なる複数の営業拠点による共同利用が可能な情報処理システムを構築することできる。
【0067】
<実施の形態4>
つづいて、実施の形態4にかかる情報処理システム100の構成について説明する。なお、特に言及がないかぎり、本実施の形態の情報処理システム100は、実施の形態3の情報処理システム100と同様に構成されるものとする。
【0068】
実施の形態4にかかる情報処理システム100は、図12に示す拠点リスト22を備える点で特徴を有する。本実施の形態の拠点リスト22は、日付及び拠点に加えて、ステータスにかかる情報を含む。ステータスとは、ある拠点にかかる業務データの処理が、どの段階まで進んだかを示す情報である。例えば、実行制御部1は、ある営業日の拠点Aの業務データについてタスク1の実行を完了した場合、その日付及び拠点を示すレコード中のステータスの項目に、タスク1が完了した旨の情報を記録する。
【0069】
拠点リスト22のステータス情報は、災害等により情報処理システム100に障害が発生した場合、復旧を行う際の復旧ポイントとして利用することができる。また、かかる障害の原因を追及するための情報として利用することもできる。
【0070】
また、拠点リスト22のステータス情報は、実行制御部1が、相互依存性のあるタスク間において処理を確実に引継ぐために利用することができる。上述の実施の形態3においては、もし実行制御部1が、あるタスクにかかる処理を正常に完了できなかった場合に、そのタスクの処理結果を利用する後続タスクにおける処理に影響が生じる可能性があった。例えば、タスク1とタスク2とに相互依存性がある場合において、実行制御部1は、タスク1の拠点Aにかかる処理を何らかの理由で正常に終了することができなかったと仮定する。この場合、実行制御部1が、そのまま後続のタスク2の拠点Aにかかる処理を実行するならば、実行制御部1はタスク2の処理においてタスク1の正常な処理結果を利用できないため、タスク2についても正常な処理を実行できない可能性がある。
【0071】
そこで、本実施の形態における実行制御部1は、タスクを実行する際、拠点リスト22のステータスにかかる項目を参照し、そのタスクと相互依存性のある先行タスクが完了しているか否かを確認することが望ましい。もし、先行タスクが完了していない特定の拠点があれば、実行制御部1は、その特定の拠点をループ制御の対象から除外することができる。例えば、タスク1とタスク2とに相互依存性がある場合において、実行制御部1は、タスク2を実行する際、タスク1が正常に完了していることを確認する。具体的には、実行制御部1は、拠点リスト22から、現在処理対象としている営業日及び拠点と関連付けられたステータスを取得する。ここでステータスがタスク1が完了したことを示すものであれば、実行制御部1は、タスク2を実行する。しかしステータスがタスク1が完了したことを示していなければ、実行制御部1は、その拠点にかかるタスク2の処理を実行せず、以後のループ制御の対象からも除外する。このような処理により、実行制御部1は、異常な処理結果の発生を抑制することができる。
【0072】
本実施の形態においては、実行制御部1が、所定の日時及び拠点にかかる処理の実行履歴を示すステータス情報を拠点リスト22に記録することにより、障害発生時の復旧及び原因追究を容易なものとすることができる。また、実行制御部1が、拠点リスト22のステータス情報を参照して、相互依存性のある先行タスクの実行結果に応じ後続タスクの処理を変更することにより、先行タスクの処理に異常が発生したとしても、他の拠点に影響を与えることなく処理を続行することができる。
【0073】
<その他の実施の形態>
実施の形態1乃至4は、予め定められた複数の営業拠点が情報処理システム100を利用するものであった。一方、新たな営業拠点(以下、拠点Pとする)が、稼働中の情報処理システム100に加わることも可能である。一例として、拠点追加手段(図示しない)が、拠点Pを情報処理システム100に参加させる処理を以下に示す。ここで、拠点追加手段は、ソフトウェアプログラムに基づいて各種の情報処理を実行する機能を有する制御手段であって、中央演算処理装置(CPU)、読出専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、入出力ポート(I/O)等により実現することができる。拠点追加手段は、まず、拠点Pに関する情報を情報処理システム100に登録し、拠点Pがループ制御の対象に含まれるようにする。例えば、情報処理システム100が上述の拠点マスタを採用しているならば、拠点Pに関する情報を拠点マスタに追加する。これにより、実行制御部1は、拠点Pをループ制御の対象に含めるようになる。また、拠点追加手段は、情報処理システム100が拠点リスト22を有しているならば、拠点Pの営業日に関する情報を情報処理システム100に登録し、拠点Pを考慮した拠点リスト22の生成がなされるようにする。例えば、情報処理システム100が上述の営業日マスタを採用しているならば、営業日マスタに拠点Pの営業日に関する情報を追加する。これにより、リスト生成部7は、拠点Pの営業日を考慮した拠点リスト22を生成することができるようになる。かかる準備の後、拠点Pの端末、あるいは情報処理システム100又は他のシステム等は、記憶部2に対し、拠点Pにかかる業務データを記録する。これにより、拠点Pが情報処理システム100に追加され、実行制御部1が拠点Pを対象とした処理を行うようになる。
【0074】
また、既存システム200を利用している営業拠点(以下、拠点Qとする)が、稼働中の情報処理システム100に加わることも可能である。一例として、拠点追加手段が、拠点Qを情報処理システム100に参加させる処理を以下に示す。拠点追加手段は、まず、拠点Qに関する情報を情報処理システム100に登録し、拠点Qがループ制御の対象に含まれるようにする。例えば、情報処理システム100が上述の拠点マスタを採用しているならば、拠点Qに関する情報を拠点マスタに追加する。これにより、実行制御部1は、拠点Qをループ制御の対象に含めるようになる。また、拠点追加手段は、情報処理システム100が拠点リスト22を有しているならば、拠点Qの営業日に関する情報を情報処理システム100に登録し、拠点Qを考慮した拠点リスト22の生成がなされるようにする。例えば、情報処理システム100が上述の営業日マスタを採用しているならば、営業日マスタに拠点Qの営業日に関する情報を追加する。もし、既存システム200が拠点Qの営業日に関する情報を既に保持しているならば、拠点追加手段は、その情報を情報処理システム100にインポートすることができる。これにより、リスト生成部7は、拠点Qの営業日を考慮した拠点リスト22を生成することができるようになる。その後、拠点追加手段は、既存システム200の業務データ41を、情報処理システム100の業務データ21中にコピーする。ここで、業務データ41には拠点情報が含まれていないから、拠点追加手段は、かかるコピーの際に、拠点Qを表す拠点情報を補充する。これにより、拠点Qにかかる過去の業務データが、既存システム200から情報処理システム100にインポートされる。以後、拠点Qの端末、あるいは情報処理システム100又は他のシステム等が拠点Qにかかる業務データを記録する際は、記憶部2に対してこれを行う。これにより、情報処理システム100は、拠点Qを対象とした処理を行うことができるようになる。
【0075】
また、上述の実施の形態においては、情報処理システム100の行う処理の一例として、業務データ21の日次処理を示したが、かかる処理は必ずしも日次である必要はなく、所定の期間にわたる業務データ21を、所定の周期で処理するものであってよい。
【0076】
なお、本発明は上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは勿論である。
【0077】
上述の実施の形態においては、ある事業者に複数の営業拠点が存在し、各拠点で同一の情報処理システムを利用するケースを例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、複数の企業体から構成される企業グループ内の企業を対象として実施することも可能である。
【0078】
また、上述の実施の形態では、ハードウェアの構成として説明したが、これに限定されるものではなく、任意の処理を、CPU(Central Processing Unit)にコンピュータプログラムを実行させることにより実現することも可能である。この場合、コンピュータプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non−transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【符号の説明】
【0079】
100 情報処理システム
1 実行制御部
2 記憶部
21 業務データ
22 拠点リスト
200 既存システム
3 実行制御部
4 記憶部
41 業務データ
5 端末
61 端末A
62 端末B
63 端末C
7 リスト生成部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の拠点毎に発生する業務データを対象として、複数のタスクからなるバッチ処理を実行する情報処理システムであって、
前記複数の拠点毎の業務データを記憶する記憶部と、
前記複数のタスクのそれぞれにおいて、前記業務データに対する処理を前記複数の拠点毎に順次実行することにより全ての拠点の業務データを処理し、当該処理完了後に次のタスクに移行するようループ制御する実行制御部を備えた
情報処理システム。
【請求項2】
前記記憶部は、実行対象として決定された前記複数の拠点を示すリストをさらに記憶し、
前記実行制御部は、前記バッチ処理を実行する際、前記記憶部の前記リストに示された前記複数の拠点を対象として前記バッチ処理を実行する
請求項1記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記リストを生成するリスト生成部を有し、
前記リスト生成部は、所定の処理対象日が営業日である複数の拠点を前記バッチ処理の実行対象として決定するとともに、前記実行対象として決定された複数の拠点を示す前記リストを生成して前記記憶部に記憶し、
前記実行制御部は、前記処理対象日にかかる前記バッチ処理を実行する際、前記記憶部の前記リストに示された前記複数の拠点を対象として前記バッチ処理を実行する
請求項2記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記複数の拠点にかかる業務データが、それぞれ前記複数の拠点のうちいずれの拠点にかかる業務データであるかを示す識別子とともに記録されているデータベースを有し、
前記実行制御部は、前記バッチ処理を実行する際、前記識別子に基づいて前記拠点毎の前記業務データを前記データベースから抽出し、前記業務データを対象に前記バッチ処理を実行する
請求項1乃至3いずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項5】
複数の拠点毎に発生する業務データを対象として、複数のタスクからなるバッチ処理を実行する情報処理方法であって、
前記複数のタスクのそれぞれにおいて、前記業務データに対する処理を前記複数の拠点毎に順次実行することにより全ての拠点の業務データを処理し、当該処理完了後に次のタスクに移行するようループ制御する
情報処理方法。
【請求項6】
前記バッチ処理を実行する際、実行対象として決定された前記複数の拠点を示すリストに示された前記複数の拠点を対象として前記バッチ処理を実行する
請求項5記載の情報処理方法。
【請求項7】
所定の処理対象日が営業日である複数の拠点を前記バッチ処理の実行対象として決定するとともに、前記実行対象として決定された複数の拠点を示す前記リストを生成し、
前記処理対象日にかかる前記バッチ処理を実行する際、前記リストに示された前記複数の拠点を対象として前記バッチ処理を実行する
請求項6記載の情報処理方法。
【請求項8】
前記バッチ処理を実行する際、前記複数の拠点にかかる業務データが、それぞれ前記複数の拠点のうちいずれの拠点にかかる業務データであるかを示す識別子に基づいて前記拠点毎の前記業務データを抽出し、前記業務データを対象に前記バッチ処理を実行する
請求項5乃至7いずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項9】
複数の拠点毎に発生する業務データを対象として、複数のタスクからなるバッチ処理を実行する情報処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記複数のタスクのそれぞれにおいて、前記業務データに対する処理を前記複数の拠点毎に順次実行することにより全ての拠点の業務データを処理し、当該処理完了後に次のタスクに移行するようループ制御する処理をコンピュータに実行させる
プログラム。
【請求項10】
前記バッチ処理を実行する際、実行対象として決定された前記複数の拠点を示すリストに示された前記複数の拠点を対象として前記バッチ処理を実行する処理をコンピュータに実行させる
請求項9記載のプログラム。
【請求項11】
所定の処理対象日が営業日である複数の拠点を前記バッチ処理の実行対象として決定するとともに、前記実行対象として決定された複数の拠点を示す前記リストを生成し、
前記処理対象日にかかる前記バッチ処理を実行する際、前記リストに示された前記複数の拠点を対象として前記バッチ処理を実行する処理をコンピュータに実行させる
請求項10記載のプログラム。
【請求項12】
前記バッチ処理を実行する際、前記複数の拠点にかかる業務データが、それぞれ前記複数の拠点のうちいずれの拠点にかかる業務データであるかを示す識別子に基づいて前記拠点毎の前記業務データを抽出し、前記業務データを対象に前記バッチ処理を実行する処理をコンピュータに実行させる
請求項9乃至11いずれか1項に記載のプログラム。
【請求項1】
複数の拠点毎に発生する業務データを対象として、複数のタスクからなるバッチ処理を実行する情報処理システムであって、
前記複数の拠点毎の業務データを記憶する記憶部と、
前記複数のタスクのそれぞれにおいて、前記業務データに対する処理を前記複数の拠点毎に順次実行することにより全ての拠点の業務データを処理し、当該処理完了後に次のタスクに移行するようループ制御する実行制御部を備えた
情報処理システム。
【請求項2】
前記記憶部は、実行対象として決定された前記複数の拠点を示すリストをさらに記憶し、
前記実行制御部は、前記バッチ処理を実行する際、前記記憶部の前記リストに示された前記複数の拠点を対象として前記バッチ処理を実行する
請求項1記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記リストを生成するリスト生成部を有し、
前記リスト生成部は、所定の処理対象日が営業日である複数の拠点を前記バッチ処理の実行対象として決定するとともに、前記実行対象として決定された複数の拠点を示す前記リストを生成して前記記憶部に記憶し、
前記実行制御部は、前記処理対象日にかかる前記バッチ処理を実行する際、前記記憶部の前記リストに示された前記複数の拠点を対象として前記バッチ処理を実行する
請求項2記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記複数の拠点にかかる業務データが、それぞれ前記複数の拠点のうちいずれの拠点にかかる業務データであるかを示す識別子とともに記録されているデータベースを有し、
前記実行制御部は、前記バッチ処理を実行する際、前記識別子に基づいて前記拠点毎の前記業務データを前記データベースから抽出し、前記業務データを対象に前記バッチ処理を実行する
請求項1乃至3いずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項5】
複数の拠点毎に発生する業務データを対象として、複数のタスクからなるバッチ処理を実行する情報処理方法であって、
前記複数のタスクのそれぞれにおいて、前記業務データに対する処理を前記複数の拠点毎に順次実行することにより全ての拠点の業務データを処理し、当該処理完了後に次のタスクに移行するようループ制御する
情報処理方法。
【請求項6】
前記バッチ処理を実行する際、実行対象として決定された前記複数の拠点を示すリストに示された前記複数の拠点を対象として前記バッチ処理を実行する
請求項5記載の情報処理方法。
【請求項7】
所定の処理対象日が営業日である複数の拠点を前記バッチ処理の実行対象として決定するとともに、前記実行対象として決定された複数の拠点を示す前記リストを生成し、
前記処理対象日にかかる前記バッチ処理を実行する際、前記リストに示された前記複数の拠点を対象として前記バッチ処理を実行する
請求項6記載の情報処理方法。
【請求項8】
前記バッチ処理を実行する際、前記複数の拠点にかかる業務データが、それぞれ前記複数の拠点のうちいずれの拠点にかかる業務データであるかを示す識別子に基づいて前記拠点毎の前記業務データを抽出し、前記業務データを対象に前記バッチ処理を実行する
請求項5乃至7いずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項9】
複数の拠点毎に発生する業務データを対象として、複数のタスクからなるバッチ処理を実行する情報処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記複数のタスクのそれぞれにおいて、前記業務データに対する処理を前記複数の拠点毎に順次実行することにより全ての拠点の業務データを処理し、当該処理完了後に次のタスクに移行するようループ制御する処理をコンピュータに実行させる
プログラム。
【請求項10】
前記バッチ処理を実行する際、実行対象として決定された前記複数の拠点を示すリストに示された前記複数の拠点を対象として前記バッチ処理を実行する処理をコンピュータに実行させる
請求項9記載のプログラム。
【請求項11】
所定の処理対象日が営業日である複数の拠点を前記バッチ処理の実行対象として決定するとともに、前記実行対象として決定された複数の拠点を示す前記リストを生成し、
前記処理対象日にかかる前記バッチ処理を実行する際、前記リストに示された前記複数の拠点を対象として前記バッチ処理を実行する処理をコンピュータに実行させる
請求項10記載のプログラム。
【請求項12】
前記バッチ処理を実行する際、前記複数の拠点にかかる業務データが、それぞれ前記複数の拠点のうちいずれの拠点にかかる業務データであるかを示す識別子に基づいて前記拠点毎の前記業務データを抽出し、前記業務データを対象に前記バッチ処理を実行する処理をコンピュータに実行させる
請求項9乃至11いずれか1項に記載のプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−256262(P2012−256262A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−129737(P2011−129737)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(592131906)みずほ情報総研株式会社 (187)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(592131906)みずほ情報総研株式会社 (187)
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