説明

情報処理システム、情報処理方法

【課題】生体情報に基づいて求めたストレス度などの個人特徴を利用して、属地的な分析を行う枠組みを提供する。
【解決手段】音声通信機能を有する移動端末機において入力された音声の周波数パワー情報と、前記音声が入力されたときに前記移動端末機の音声通信を中継していた基地局装置の位置情報とを取得する取得部と、前記取得した周波数パワー情報と位置情報とを対応づけて記憶する記憶部と、エリアの指定を受け付ける受付部と、前記指定されたエリアに関連する位置情報を特定し、前記記憶部を参照して、前記特定した位置情報に対応する周波数パワー情報を取得し、前記取得した周波数パワー情報のうち閾値以上の周波数の周波数パワー情報に基づいて前記指定されたエリアにおける前記移動端末機の使用ユーザのストレス度を求め、前記指定されたエリアに対応づけて出力する出力部と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、生体情報を利用する情報処理システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、社会生活において受けるストレスが著しく増加していることから、ストレスによって生じる身体や精神上の不調が社会的にも大きな問題となっている。
【0003】
ストレスに対して適切に対処するためには、どの程度のストレス状態にあるかを測定する必要があり、従来より、脈拍、血圧、発汗、心電図、脳波、音声などの、生体から取得した情報(生体情報)を用いてストレス度を測定する技術が開発、提案されている(例えば、非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】“National Institute for Truth Verification”、[online]、[平成21年7月16日検索]、インターネット、<URL:http://www.cvsa1.com/index.htm>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、生体情報に基づいて求めたストレス度などの個人特徴は、その生体情報を取得した個人に対するカウンセリングや個人環境の改善などに用いられている。
【0006】
しかし、ストレスを生じさせる要因には、属人的なものに限られず、属地的なものも多く存在する。
【0007】
また、個人の生体情報に基づいて求められる個人特徴のなかには、ストレス度と同様に、個人的な要因で変動するだけでなく、地域的な要因で変動し得るものがある。
【0008】
そこで、生体情報に基づいて求めたストレス度などの個人特徴を利用して、属地的な分析を行う枠組みを提供することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の情報処理システムは、音声通信機能を有する移動端末機において入力された音声の周波数パワー情報と、前記音声が入力されたときに前記移動端末機の音声通信を中継していた基地局装置の位置情報とを取得する取得部と、前記取得した周波数パワー情報と位置情報とを対応づけて記憶する記憶部と、エリアの指定を受け付ける受付部と、前記記憶部を参照して、前記指定されたエリアに関連する位置情報を特定し、前記特定した位置情報に対応する周波数パワー情報を取得し、前記取得した周波数パワー情報のうち閾値以上の周波数の周波数パワー情報に基づいて前記指定されたエリアにおける前記移動端末機の使用ユーザのストレス度を求め、前記指定されたエリアに対応づけて出力する出力部と、を含む。
【0010】
本開示の情報処理システムは、ユーザの生体情報又はその加工情報と、前記生体情報が生成されたときの前記ユーザの位置情報を取得する取得部と、前記取得した生体情報又はその加工情報と位置情報とを対応づけて記憶する記憶部と、前記記憶部を参照して、所定のエリアに関連する位置情報を特定し、前記特定した位置情報に対応する生体情報又はその加工情報を取得し、前記取得した情報に基づいて前記所定のエリアのユーザに関する個人特徴を求め、前記所定のエリア対応づけて出力する特徴出力部と、を含む。
【0011】
前記取得部は、前記ユーザの生体情報の加工情報として、音声通信機能を有する移動端末機において入力された前記ユーザの音声の周波数パワー情報を取得し、前記ユーザの位置情報として、前記音声が入力されたときの前記移動端末機の位置情報を取得することができる。
【0012】
前記取得部は、前記移動端末機の位置情報として、前記音声が入力されたときに前記移動端末機の音声通信を中継していた基地局装置の位置情報、又は、前記音声が入力されたときを基準とする所定期間内に前記移動端末機のGPS機能により決定された前記移動端末機の位置情報を取得することができる。
【0013】
前記特徴出力部は、所定エリアに関連する位置情報を特定し、前記記憶部を参照して、前記特定した位置情報に対応する周波数パワー情報を取得し、前記取得した周波数パワー情報のうち閾値以上の周波数の周波数パワー情報に基づいて前記所定のエリアにおける前記移動端末機の使用ユーザのストレス度を前記個人特徴として求め、前記所定のエリアに対応づけて出力することができる。
【0014】
前記特徴出力部は、前記所定のエリアを含む範囲の地図又はレイアウト図上に前記所定のエリアに対応づけて前記個人特徴を表示するためのマップ情報を出力することができる。
【0015】
本開示の情報処理方法は、音声通信機能を有する移動端末機において入力された音声の周波数パワー情報と、前記音声が入力されたときに前記移動端末機の音声通信を中継していた基地局装置の位置情報とを取得することと、前記取得した周波数パワー情報と位置情報とを対応づけてメモリに記憶することと、エリアの指定を受け付けることと、前記メモリを参照して、前記指定されたエリアに関連する位置情報を特定し、前記特定した位置情報に対応する周波数パワー情報を取得し、前記取得した周波数パワー情報のうち閾値以上の周波数の周波数パワー情報に基づいて前記指定されたエリアにおける前記移動端末機の使用ユーザのストレス度を求め、前記指定されたエリアに対応づけて出力することと、を含む。
【0016】
本開示の情報処理方法に対応する処理は、コンピュータが有するCPUにより実施することができるが、そのためのプログラムは、CD−ROM、磁気ディスク、半導体メモリ及び通信ネットワークなどの各種の媒体を通じてインストールまたはロードすることができる。
【0017】
なお、本明細書において、「部」とは、ハードウェアにより実現されるユニット、ソフトウェアにより実現されるユニット、両方を用いて実現されるユニットを含む。また1つのユニットが2つ以上のハードウェアを用いて実現されてもよく、2つ以上のユニットが1つのハードウェアにより実現されても良い。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態の情報処理システム1の概略構成を示すブロック図である。
【図2A】本実施形態に係るマップサーバ13のハードウェア構成を示す図である。
【図2B】本実施形態に係るマップサーバ13の機能構成を示す図である。
【図3】本実施形態に係る周波数パワー情報記憶部32のデータ構造例を示す図である。
【図4】本実施形態に係る情報収集フェーズを説明するフローチャートである。
【図5】本実施形態に係るストレス度出力フェーズを説明するフローチャートである
【図6】本実施形態に係るストレス度決定テーブルの例を示す図である。
【図7】本実施形態に係る、地図上又はレイアウト図上にストレス度を表示する例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本開示を実施するための好適な実施形態を、図面を参照しながら説明する。本実施形態においては、ユーザの生体情報及びその加工情報として、移動端末機に入力される音声及びそのパワースペクトル密度を採用し、ユーザに関する個人特徴として、音声の周波数パワー情報に基づき求めたストレス度を採用する場合を例に説明する。
【0020】
図1は、本開示の実施形態であるエリア別ストレス度を出力するための情報処理システム1の概略構成を表わす図である。図1に示すように、情報処理システム1は、複数の移動端末機10、移動端末機10と通信可能に構成される基地局11、基地局11と通信可能に構成されるセンター局(制御局)12、センター局12と通信可能に構成されるマップサーバ13、マップサーバ13と通信可能に構成されるユーザ端末14などを含んでいる。
【0021】
なお、移動端末機10、基地局11、センター局12、ユーザ端末14は、情報処理システム1内の装置、情報処理システム1外の装置のいずれとして設けてもよい。また、図1では、センター局12、マップサーバ13、ユーザ端末14をそれぞれ1つしか示していないが、設計に応じて複数設けることが可能である。また、ユーザ端末14は、移動端末機10の一つであってもよい。
【0022】
移動端末機10、基地局11、センター局12は、原則として、PHS、携帯電話等により構築される従来の移動通信システムのものと同様の機能構成を備える。例えば、移動端末機10は、基地局11を介して他の移動端末機10と音声通信を行う機能などを有し、基地局11は、移動端末機10の音声通信を中継する機能などを有し、センター局12は、無線ネットワーク制御機能(RNC機能)、回線交換機能、パケット交換機能、基地局データベース機能などを有する。このような移動端末機10、基地局11、センター局12は、既存の移動通信システムのものを使用することができる。
【0023】
ただし、本開示のセンター局12は、従来の移動通信システムのセンター局が有する機能に加え、移動端末機10において入力された音声の周波数パワー情報としてパワースペクトル密度[W/Hz]を算出する周波数パワー情報算出部21と、音声のパワースペクトル密度と、該音声が生成されたとき(該音声が移動端末機10に入力されたとき)のユーザの位置情報とをマップサーバ13に送信するデータ送信部22とを有している。
【0024】
マップサーバ13は、移動端末機10において入力される音声のパワースペクトル密度を用いて、エリア別ストレス度を出力する機能などを有する。
【0025】
図2Aは、マップサーバ13のハードウェア構成を示すブロック図である。図2Aに示すように、マップサーバ13は、CPU、メモリ(ROM、RAM)、HDD、ユーザインタフェース、ディスプレイ、通信インタフェース等のハードウェアを備える汎用のコンピュータにより構成することができる。
【0026】
図2Bは、マップサーバ13の機能構成を示すブロック図である。図2Bに示すように、マップサーバ13は、周波数パワー/位置情報取得部31、周波数パワー情報記憶部32、リクエスト受付部33、ストレス度出力部34等の機能手段を含んでいる。ただし、周波数パワー情報記憶部32は、マップサーバ13によって直接又は間接にアクセスできるように構成されていればよく、図ではマップサーバ13の一部として構成しているが、他の情報処理装置(データベースサーバなど)の制御下にあってもよい。
【0027】
なお、マップサーバ13は、通常のWebサーバが有する機能、例えば、通信ネットワークを介してユーザ端末14と通信する機能を有しており、これらの機能は公知の技術を用いて実現される。
【0028】
周波数パワー/位置情報取得部31は、センター局12から、音声のパワースペクトル密度と、音声入力時位置情報とを受信する(取得する)。
【0029】
周波数パワー情報記憶部32は、周波数パワー/位置情報取得部31により取得した音声のパワースペクトル密度と音声入力時位置情報とを対応づけて記憶する。図3に周波数パワー情報記憶部32のデータ構造を模式的に示す。周波数パワー情報記憶部32におけるデータ管理には、例えばリレーショナルデーターベース等の従来のデータベース技術を用いることができる。
【0030】
リクエスト受付部33は、ユーザ端末14から、エリア指定情報を含むストレス度出力リクエストを受信する。
【0031】
ストレス度出力部34は、リクエスト受付部33がストレス度出力リクエストを受信した場合、ストレス度出力リクエストにおいて指定されたエリアに関連する位置情報を特定し、周波数パワー情報記憶部32を参照して、前記特定した位置情報に対応するパワースペクトル密度を取得し、前記取得したパワースペクトル密度のうち、閾値以上の周波数に対応するパワースペクトル密度に基づいて、前記指定されたエリアにおける移動端末機10の使用ユーザのストレス度を求め、前記指定されたエリアに対応づけてユーザ端末14に送信する。
【0032】
ユーザ端末14は、入出力装置を含み、情報処理システム1を利用するユーザからの入力を受け付けるとともに、ユーザに対し情報を出力することができる構成となっている。このようなユーザ端末14としては、一般的なパソコンや携帯端末を用いることができる。
【0033】
以下、図4及び図5に示すフローチャートに基づいて、情報処理システム1を用いて実現される枠組みについて説明する。なお、各工程(符号が付与されていない部分的な工程を含む)は処理内容に矛盾を生じない範囲で、任意に順番を変更して又は並列に実行することができる。
【0034】
(情報収集フェーズ:図4)
情報収集フェーズは、移動端末機10を利用して音声通信が行われる間、恒常的に、又は定期的に、又は所定の条件が成立している場合(例えば、ユーザが音声の周波数パワー情報の収集に同意した場合)に、実行される。
【0035】
情報収集フェーズでは、移動端末機10にユーザの音声が入力されると(S100)、前記入力されたユーザの音声は、移動端末機10において所定の符号化が施された音声情報に変換され、所定のプロトコルに従って基地局11を介してセンター局12に送信される(S101)。
【0036】
センター局12では、音声情報を受信すると(S102)、周波数パワー情報算出部21が、前記受信した音声情報に基づいて、前記音声のパワースペクトル密度を算出する(S103)。
【0037】
例えば、移動端末機10、基地局11、センター局12を用いた移動通信システムが音声符号化方式としてスペクトル符号化又はこれに準ずる方式を用いている場合、伝送される信号に含まれるスペクトル情報から、音声のパワースペクトル密度を算出することができる。また例えば、移動通信システムが波形符号化方式又はこれに準ずる方式を用いている場合、伝送される信号に基づいて音声の波形を求め、これにフーリエ変換処理(例えば、FFT(Fast Fourier Transform))を適用して、音声のパワースペクトル密度を算出することができる。
【0038】
次に、データ送信部22は、前記音声のパワースペクトル密度と、前記音声が生成されたとき(前記音声が移動端末機10に入力されたとき)のユーザの位置情報とを対応づけて、マップサーバ13に送信する(S104)。
【0039】
本実施形態では、ユーザの位置情報として、前記音声が移動端末機10に入力されたときに該移動端末機10の音声通信を中継していた基地局11の位置情報(以下、「音声入力時位置情報」と呼ぶ)を送信する。データ送信部22は、センター局12で受信する音声情報に中継基地局11の識別情報が含まれている場合、基地局データベースに照会して中継基地局11の位置情報(緯度、経度)を取得することができる。
【0040】
なお、データ送信部22は、マップサーバ13からのリクエストに応じて送信するように構成してもよい。
【0041】
マップサーバ13において、周波数パワー/位置情報取得部31が、センター局12から送信された、音声のパワースペクトル密度と音声入力時位置情報との組み合わせを受信する(取得する)と(S105)、組み合わせ中の情報を対応づけて周波数パワー情報記憶部32に登録する(S106)。後述のストレス度出力フェーズにおいて、住所情報によってエリア指定が行われる場合は、従来の逆ジオコーディング機能又はサービスを利用して位置情報(緯度、経度)を位置情報(住所)に変換し、周波数パワー情報記憶部32に登録してもよい。
【0042】
(ストレス度出力フェーズ:図5)
ストレス度出力フェーズは、情報収集フェーズ後、ユーザ端末14においてユーザがエリア指定を入力することで実行される。
【0043】
前記入力がなされた場合、ユーザ端末14からマップサーバ13に、エリア指定情報を含むストレス度出力リクエストが送信される(S200)。
【0044】
エリア指定情報は、ストレス度の分析を行う領域に応じて、都道府県や市町村等の住所情報、公園や事業所などの区域名、建物名、道路名、路線名等の情報、緯度・経度により特定される領域の情報などを含むことができる。マップサーバ13がエリアに関するデータベースを参照できる場合は、そのデータベースで利用できるエリア識別情報を含んでいてもよい。
【0045】
またユーザは同時に複数のエリア指定を入力してもよく、その場合、ストレス度出力リクエストは複数のエリア指定情報を含む。
【0046】
本実施形態では、ユーザの位置情報として基地局11の位置情報を使用するため、基地局11がカバーするゾーン又はセルが、エリア指定できる解像度を規定することになる。従って、例えば一つの建物や事業所に複数の基地局が設置されている場合(複数の基地局によってカバーされている場合)、その一つの建物や事業所に対して各基地局がカバーする範囲ごとにエリアを指定することができる。
【0047】
マップサーバ13において、リクエスト受付部33が、ユーザ端末14から送信されるストレス度出力リクエストを受信すると(S201)、ストレス度出力部34は、ストレス度出力リクエストに含まれるエリア指定情報に基づいて、周波数パワー情報記憶部32に登録されている位置情報のうち、指定されたエリアに関連する基地局11の位置情報を特定する(S202)。
【0048】
例えば、都道府県、市町村などによってエリア指定が行われている場合は、指定されたエリアに含まれる基地局11の位置情報を特定する。また例えば、道路や路線などによってエリア指定が行われている場合は、指定されたエリアから所定の距離範囲に含まれる基地局11の位置情報を特定する。マップサーバ13において各基地局11のゾーン又はセルの情報を取得できる場合は、指定された道路や路線などが通過するゾーン又はセルに対応する基地局11の位置情報を特定してもよい。
【0049】
次に、ストレス度出力部34は、周波数パワー情報記憶部32を参照して、前記特定した位置情報に対応するパワースペクトル密度を取得する(S203)。
【0050】
次に、ストレス度出力部34は、前記取得したパワースペクトル密度に基づいて前記指定されたエリアにおける移動端末機10の使用ユーザのストレス度を求める(S204)。
【0051】
パワースペクトル密度からストレス度を求める方法には、音声ストレス分析や音声感情分析などの種々の従来技術を用いることができるが、本実施形態では、ストレスを感じている人ほど音声のトーンが高くなり音量が大きくなるという知見に基づき、高周波数のパワースペクトル密度が大きいほどストレス度が高いと判断する。
【0052】
具体的には、高周波数のパワースペクトル密度として、前記取得したパワースペクトル密度及び位置情報の組み合わせごとに、閾値以上の周波数に対応するパワースペクトル密度の平均値(平均パワースペクトル密度)を求める。次に、前記取得したパワースペクトル密度及び位置情報の組み合わせが複数ある場合は、それら複数の組み合わせについて平均パワースペクトル密度の平均値を求める。そして、例えば図6に示すようなストレス度決定テーブルを参照し、前記求めた平均値の大小に応じてストレス度を決定する。
【0053】
次に、ストレス度出力部34は、前記指定されたエリアに対応づけて前記求めたストレス度をユーザ端末14に送信する(S205)。
【0054】
ユーザ端末14では、マップサーバ13から送信されるストレス度を受信し、指定エリアに対応づけて例えばディスプレイに表示する(S206)。
【0055】
表示方法としては、例えば、指定エリアを含む所定範囲の地図上に、指定エリアに対応づけてストレス度を数値やグラフで表示したり、指定エリアをストレス度に応じた色、濃淡、記号などで表示することが考えられる。図7に、模式的な日本地図上に各都道府県をエリア指定して4段階の濃淡でストレス度を表示した場合の例を示す。
【0056】
ストレス度出力部34において、必要に応じて既存の地図情報提供サービス又はデータベースを利用して、このような表示を行うためのマップ情報を作成し、ユーザ端末14に送信してもよい。
【0057】
本開示は、以上の実施形態に限定されるべきものではなく、特許請求の範囲に表現された思想および範囲を逸脱することなく、種々の変形、追加、および省略が当業者によって可能である。
【0058】
例えば、マップサーバ13は、複数種類の移動通信ネットワークからそれぞれ、パワースペクトル密度及び音声入力時位置情報の組み合わせを取得してもよい。
【0059】
また例えば、センター局12が有する周波数パワー情報算出部21、データ送信部22の機能の一部又は全部が、他の装置(移動端末機10、基地局11、マップサーバ13など)に実装されていてもよい。同様に、マップサーバ13の機能の一部又は全部が他の装置(移動端末機10、基地局11、センター局12、ユーザ端末14など)に実装されていてもよい。この場合、それらの機能が分散して実装される各装置は互いに通信可能に構成される。またマップサーバ13は、データ送信部22等が実装される装置と通信可能に構成される。
【0060】
また例えば、上記実施形態では、ユーザが指定したエリアについてストレス度を求めているが、本開示はこのような形態に限られるものではない。例えばユーザ端末14からエリア指定情報に代えてマップ範囲や単位エリアの指定情報を含むマップ作成リクエストを送信してもよい。マップ範囲や単位エリアについてデフォルト値を指定する場合は、単にマップ作成リクエストを送信することもできる。マップサーバ13では、ストレス度マップ作成リクエストを受信した場合、指定されたマップ範囲(例えば、日本全国)に含まれる各単位エリア(例えば都道府県)についてストレス度を求め、各単位エリアに対応づけてユーザ端末14に出力する。この場合、マップサーバ13において、指定マップ範囲を含む地図上に各単位エリアのストレス度を表示するためのマップ情報(図7参照)を作成し、ユーザ端末14に送信してもよい。
【0061】
また例えば、上記実施形態では、周波数パワー情報としてパワースペクトル密度を例に説明しているが、エネルギースペクトル密度などの他の周波数パワー情報を用いてストレス度を求めてもよい。
【0062】
また例えば、上記実施形態では、マップサーバ13においてストレス度出力リクエストを受信した際にストレス度を求めているが、マップサーバ13において、ストレス度出力リクエストを受信する前に、パワースペクトル密度に基づいてストレス度(生体情報の加工情報)を求めておき、前記求めたストレス度と音声入力時位置情報との組み合わせを記憶部に登録してもよい。この場合、ストレス度出力フェーズでは、記憶部を参照して指定エリア関連位置情報に対応するストレス度を抽出し、前記抽出したストレス度の平均値(指定エリアのユーザに関する個人特徴)を求める。
【0063】
また例えば、上記実施形態では、ストレス度出力部34において、閾値以上の周波数に対応する平均パワースペクトル密度を求めているが、周波数パワー情報算出部21及びデータ送信部22において、閾値以上の周波数に対応する平均パワースペクトル密度を求め、音声入力時位置情報と組み合わせてマップサーバ13に送信する構成としてもよい。この場合、周波数パワー/位置情報取得部31は、周波数パワー情報として平均パワースペクトル密度を取得し、音声入力時位置情報に対応づけて周波数パワー情報記憶部32に登録する。逆に、センター局12において音声情報を加工せずに、音声情報と音声入力時位置情報との組み合わせをマップサーバ13に送信し、マップサーバ13において音声情報、又は音声情報に基づいて算出したパワースペクトル密度を、音声入力時位置情報に対応づけて記憶部に登録してもよい。
【0064】
また例えば、上述の閾値はストレス度の求め方に応じて予めストレス度出力部34に設定しておくことができるが、情報処理システム1の管理者等によって、又は、ユーザがユーザ端末14から指示することで、閾値を変更できるように構成してもよい。後者の場合、ユーザが閾値を選択することで、ユーザが所望する周波数領域に依存したストレス度を求めることが可能となる。なお、閾値以下の周波数に対応する平均パワースペクトル密度を求めたり、閾値を複数設定して、所定範囲の周波数に対応する平均パワースペクトル密度を求めて、ストレス度を求めてもよい。
【0065】
また例えば、上記実施形態では、ユーザの位置情報として、音声が移動端末機10に入力されたときに該移動端末機10の音声通信を中継していた基地局11の位置情報を用いているが、音声が移動端末機10に入力されたときに該移動端末機10についてホームメモリ局に登録されている位置情報をユーザの位置情報として用いてもよい。又は、音声が移動端末機10に入力されたときに該移動端末機10が2以上の基地局11と無線通信できる場合は、該無線通信の信号(例えば、電波強度)に基づいて移動端末機10の位置を推測し、ユーザの位置情報として用いてもよい。
【0066】
又は、移動端末機10がGPS機能を有する場合は、音声が入力されたときを基準とする所定期間内(例えば、音声入力時から過去1時間以内)に移動端末機10のGPS機能により決定された当該移動端末機10の位置情報をユーザの位置情報として用いてもよい。GPS機能を利用する場合、基地局の位置情報を利用する場合よりも高い位置解像度を得ることができるので、建物内のフロアや部屋などを単位としてエリアを指定し、ストレス度を求めることができる。この場合、建物の平面又は立体レイアウト図上に、指定エリアに対応づけてストレス度を数値やグラフで表示したり、指定エリアをストレス度に応じた色、濃淡、記号などで表示することができる。
【0067】
また例えば、上記実施形態では、移動端末機10に入力されたユーザの音声のパワースペクトル密度を取得しているが、移動端末機10以外のデバイス、例えば固定設置のマイク装置に入力されたユーザ音声のパワースペクトル密度を取得してもよい。この場合、ユーザの位置情報として、当該マイク装置の設置位置の情報を用いることができる。
【0068】
また例えば、上記実施形態では、音声のパワースペクトル密度に基づいてストレス度を求めているが、音声の周波数パワー情報に基づいて他の個人特徴(例えば興奮度)を求めてもよい。例えば遊園地等においてアトラクションに対応するエリアを設定しておき、遊園地等内で交わされる音声の周波数パワー情報と、上述のGPS機能により決定されたユーザの位置情報とを取得し、エリアごとの興奮度を求めて表示することで、遊園地等の関係者はアトラクション別の興奮度の分析を行うことが可能となる。
【0069】
また例えば、上記実施形態では、音声のパワースペクトル密度に基づいてストレス度を求めているが、音声に基づく他の加工情報、例えば、周波数の変調情報に基づいてストレス度を求めてよい。
【0070】
また例えば、上記実施形態では、生体情報として音声を用いているが、音声に加えて又は代えて、他の生体情報を用いてストレス度や他の個人特徴を求めてもよい。例えば、携帯型モニタリング装置から直接又は間接に、ユーザの生体情報(音声、血圧、脈拍、発汗量、心電図、脳波、生体電位、酸素飽和度、体温、呼吸量/回数、歩数など)又はその加工情報と、該生体情報が生成されたときのユーザの位置情報とを取得し、指定されたエリアに対応する生体情報に基づいて、ストレス度、興奮度、健康レベル、運動量などの個人特徴を求め、指定されたエリアに対応づけて出力(表示)するように構成してもよい。
【0071】
なお、以上に説明した実施形態及び種々の変形の技術的特徴は任意に組み合わせて採用することができる。
【符号の説明】
【0072】
1 情報処理システム、
10 移動端末機、
11 基地局、
12 センター局、
13 マップサーバ
14 ユーザ端末、
21 周波数パワー情報算出部、
22 データ送信部、
31 周波数パワー情報/位置情報取得部、
32 周波数パワー情報記憶部、
33 リクエスト受付部、
34 ストレス度出力部




【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声通信機能を有する移動端末機において入力された音声の周波数パワー情報と、前記音声が入力されたときに前記移動端末機の音声通信を中継していた基地局装置の位置情報とを取得する取得部と、
前記取得した周波数パワー情報と位置情報とを対応づけて記憶する記憶部と、
エリアの指定を受け付ける受付部と、
前記記憶部を参照して、前記指定されたエリアに関連する位置情報を特定し、前記特定した位置情報に対応する周波数パワー情報を取得し、前記取得した周波数パワー情報のうち閾値以上の周波数の周波数パワー情報に基づいて前記指定されたエリアにおける前記移動端末機の使用ユーザのストレス度を求め、前記指定されたエリアに対応づけて出力する出力部と、を含む情報処理システム。
【請求項2】
ユーザの生体情報又はその加工情報と、前記生体情報が生成されたときの前記ユーザの位置情報を取得する取得部と、
前記取得した生体情報又はその加工情報と位置情報とを対応づけて記憶する記憶部と、
前記記憶部を参照して、所定のエリアに関連する位置情報を特定し、前記特定した位置情報に対応する生体情報又はその加工情報を取得し、前記取得した情報に基づいて前記所定のエリアのユーザに関する個人特徴を求め、前記所定のエリア対応づけて出力する特徴出力部と、を含む情報処理システム。
【請求項3】
前記取得部は、前記ユーザの生体情報の加工情報として、音声通信機能を有する移動端末機において入力された前記ユーザの音声の周波数パワー情報を取得し、前記ユーザの位置情報として、前記音声が入力されたときの前記移動端末機の位置情報を取得する、請求項2記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記取得部は、前記移動端末機の位置情報として、前記音声が入力されたときに前記移動端末機の音声通信を中継していた基地局装置の位置情報、又は、前記音声が入力されたときを基準とする所定期間内に前記移動端末機のGPS機能により決定された前記移動端末機の位置情報を取得する、請求項3記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記特徴出力部は、所定エリアに関連する位置情報を特定し、前記記憶部を参照して、前記特定した位置情報に対応する周波数パワー情報を取得し、前記取得した周波数パワー情報のうち閾値以上の周波数の周波数パワー情報に基づいて前記所定のエリアにおける前記移動端末機の使用ユーザのストレス度を前記個人特徴として求め、前記所定のエリアに対応づけて出力する、請求項3記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記特徴出力部は、前記所定のエリアを含む範囲の地図又はレイアウト図上に前記所定のエリアに対応づけて前記個人特徴を表示するためのマップ情報を出力する、請求項2記載の情報処理システム。
【請求項7】
音声通信機能を有する移動端末機において入力された音声の周波数パワー情報と、前記音声が入力されたときに前記移動端末機の音声通信を中継していた基地局装置の位置情報とを取得することと、
前記取得した周波数パワー情報と位置情報とを対応づけてメモリに記憶することと、
エリアの指定を受け付けることと、
前記メモリを参照して、前記指定されたエリアに関連する位置情報を特定し、前記特定した位置情報に対応する周波数パワー情報を取得し、前記取得した周波数パワー情報のうち閾値以上の周波数の周波数パワー情報に基づいて前記指定されたエリアにおける前記移動端末機の使用ユーザのストレス度を求め、前記指定されたエリアに対応づけて出力することと、を含む情報処理方法。





【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−24830(P2011−24830A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−174642(P2009−174642)
【出願日】平成21年7月27日(2009.7.27)
【特許番号】特許第4519193号(P4519193)
【特許公報発行日】平成22年8月4日(2010.8.4)
【出願人】(509348786)エンパイア テクノロジー ディベロップメント エルエルシー (117)
【Fターム(参考)】