説明

情報処理システム、情報処理装置、クライアント端末、情報処理方法、及びプログラム

【課題】 クライアント端末それぞれの状況に応じてタスクを実行させることができる情報処理システムを提供する
【解決手段】管理サーバは、クライアント端末毎の稼働状況、必要なタスク状況を管理している。また、クライアント端末は、ハートビートを管理サーバに送信し、自機の稼働状態を通知する。管理サーバは、クライアント端末からハートビートの返信情報に、タスクに関するタスク情報を挿入し、クライアント端末に返信する。これにより、クライアント端末は、タスクに関する情報と、自機の状況とを勘案して、実行すべきタスクの要否を判断し、タスクに必要なデータファイルの管理サーバへの取得タイミングを独自に決定し、タスク実行のタイミングも決定できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、複数のクライアントから前記クライアントの識別データを有する要求情報を、所定の期間に受信する受信手段と、前記識別データにより、前記複数のクライアントを識別するテスト手段と、前記所定の期間に、前記要求情報を発信していない前記クライアントに関するアラーム信号を生成するアラーム手段と、前記テスト手段により識別された任意のクライアントへの、応答データを生成する生成手段と、前記任意のクライアントに、前記応答データを送信する送信手段とを具備することを特徴とするデータ配信システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−334898
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
クライアント端末それぞれの状況に応じてタスクを実行させることができる情報処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る情報処理システムは、クライアント端末と、このクライアント端末を管理する管理サーバとを含み、前記クライアント端末は、少なくとも自機の稼働状態を示す情報が含まれた通知データを、前記管理サーバに送信する送信手段を有し、前記管理サーバは、前記クライアント端末からの通知データに対して、返信情報を返信する返信手段と、前記返信情報に、前記クライアント端末のタスクに関するタスク情報を挿入する情報挿入手段とを有する。
【0006】
本発明に係る情報処理装置は、クライアント端末からの通知データに対して、返信情報を返信する返信手段と、前記返信情報に、前記クライアント端末が実行すべきタスクに関するタスク情報を挿入する情報挿入手段とを有する。
【0007】
好適には、前記情報挿入手段は、前記タスク情報として、タスク種別、タスクの実行に要する時間を示す情報、タスクの優先順位、関連する他のタスクを示す情報、配信ファイルの有無、配信ファイルのデータサイズ、及び、タスクに要するデータファイルの版数、の少なくとも一つを挿入する。
【0008】
好適には、前記情報挿入手段は、前記タスク情報として、タスクの実行に必要なデータファイルを要求すべきタイミングを示す情報を挿入する。
【0009】
好適には、クライアント端末が通知データを送信すべき間隔を示すデータ通知間隔を設定する間隔設定手段をさらに有し、前記情報挿入手段は、前記返信情報に、前記間隔設定手段により変更されたデータ通知間隔を挿入する。
【0010】
好適には、タスクの優先順位とデータ通知間隔とに関連付けられて、タスク情報を格納するタスク情報格納手段をさらに有し、前記情報挿入手段は、前記タスク情報格納手段に格納されている前記タスク情報の中から、前記優先順位に応じた順序で、タスク情報と、そのタスクに関連付けられたデータ通知間隔とを挿入する。
【0011】
好適には、前記タスク情報格納手段は、直列的な順序で実行すべき複数のタスクを、関連タスクとして互いに関連付けて格納し、前記情報挿入手段は、前記タスク情報格納手段に関連タスクとして格納された複数のタスクのタスク情報を、連続する複数の通知データに対する返信情報に、順に挿入する。
【0012】
本発明に係るクライアント端末は、少なくとも自機の稼働状態を示す情報が含まれた通知データを、外部装置に送信する送信手段と、前記送信手段により送信された通知データの返信情報に応じて、タスクの実行に必要な前処理を行う前処理手段と、前記前処理手段により前処理が行われた後に、タスクを実行する実行手段とを有する。
【0013】
好適には、前記返信情報には、タスクの種別を示すタスク種別が含まれており、前記前処理手段は、前記タスク種別に基づいて、タスク実行の要否を判断し、前記実行手段は、前記前処理手段によりタスクの実行が必要であると判断された場合に、このタスクを実行する。
【0014】
好適には、前記返信情報には、データファイルを要求するタイミングを指定する情報が含まれており、前記前処理手段は、前記返信情報により指定されたタイミングで、データファイルを取得し、前記実行手段は、前記前処理手段により取得されたデータファイルを用いて、タスクを実行する。
【0015】
好適には、前記返信情報には、次に実行すべきタスクの存在を示す関連タスク情報が含まれており、前記前処理手段は、前記返信情報に含まれる関連タスク情報に応じて、タスクの実行完了を、次に実行すべきタスクの要求情報として外部装置に通知する。
【0016】
好適には、前記送信手段は、送信した通知データに対応する返信情報が既定の期間に受信できなかった場合、通知データの送信間隔を自機のデフォルト値に戻す。
【0017】
好適には、前記返信情報には、タスクの優先順位を示す情報が含まれており、前記前処理手段は、前記実行手段により実行されているタスクの優先順位と、前記返信情報により通知されたタスクの優先順位とを比較し、通知されたタスクの優先順位が実行中のタスクよりも高い場合に、実行中のタスクをキャンセルし、前記前処理手段によりタスクがキャンセルされた旨を、前記外部装置に通知するタスク制御手段をさらに有する。
【0018】
好適には、前記タスク制御手段は、互いに関連付けられた複数のタスクのいずれかが失敗した場合に、実行済みの他の関連付けられたタスクを、実行前の状態に戻し、関連タスクをキャンセルした旨を外部装置に通知する。
【0019】
好適には、前記タスク制御手段は、互いに関連付けられた複数のタスクよりも優先順位の高いタスクが前記返信情報により通知された場合に、実行済みの関連付けられたタスクを、実行前の状態に戻し、関連タスクをキャンセルした旨を外部装置に通知する。
【0020】
好適には、前記送信手段は、タスクの実行中に、通知データを送信するタイミングが到来した場合、タスクの進捗情報を外部装置に通知する。
【0021】
本発明に係る情報処理方法は、クライアント端末が、少なくとも自機の稼働状態を示す情報が含まれた通知データを、管理サーバに送信するステップと、前記管理サーバが、前記クライアント端末から受信した通知データに対する返信情報に、タスクに関するタスク情報を挿入するステップと、前記管理サーバが、前記タスク情報が挿入された返信情報を、前記クライアント端末に返信するステップと、前記クライアント端末が、前記返信情報に挿入されたタスク情報に応じて、タスクの前処理を行うステップとを有する。
【0022】
本発明に係るプログラムは、クライアント端末からのデータ通知に対して返信情報を返信するステップと、前記返信情報に、前記クライアント端末のタスクに関するタスク情報を挿入するステップとをコンピュータに実行させるプログラム。
【0023】
本発明に係るプログラムは、少なくとも自機の稼働状態を示す情報が含まれた通知データを、送信するステップと、送信された前記通知データの返信情報に応じて、タスクの実行に必要な前処理を行うステップと、前処理後に、タスクを実行する実行ステップとをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0024】
クライアント端末それぞれの状況に応じてタスクを実行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】データ通信システム1の概要を説明する図である。
【図2】データ応答プログラム50の機能構成を説明する図である。
【図3】タスク管理部540をより詳細に説明する図である。
【図4】タスク情報管理テーブルを例示する図である。
【図5】データ通知プログラム70の機能構成を説明する図である。
【図6】タスク制御部720をより詳細に説明する図である。
【図7】ハートビート通知への応答処理(S50)を説明するフローチャートである。
【図8】クライアント端末9のハートビート送信処理(S70)を説明するフローチャートである。
【図9】クライアント端末9の優先順位に基づいたタスクの適用処理(S80)を説明するフローチャートである。
【図10】関連タスク適用失敗時のロールバック処理(S90)を説明するフローチャートである。
【図11】クライアント端末のタスク適用状況管理テーブルを例示する図である。
【図12】クライアント端末の関連タスク適用状況管理テーブルを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
図1は、データ通信システム1の概要を説明する図である。
図1に例示するように、本実施形態のデータ通信システム1は、管理サーバ5と、クライアント端末9A〜9Cとを有する。管理サーバ5は、コンピュータ端末であり、サーバ機能を有する。クライアント端末9は、コンピュータ端末であり、ネットワークを介して管理サーバ5と接続されている。クライアント端末9は、例えば、さまざまな地点に配置された情報端末やATM機であり、管理サーバ5により管理される対象である。
例えば、管理サーバ5とクライアント端末9との間には、ファイアウォールなどが設置され、http及びhttpsなどの一部の通信のみが許可されている。
本例のクライアント端末9が、http通信を用いて、ハートビートを管理サーバ5に送信することにより、管理サーバ5は、ファイアウォール越しに、クライアント端末9の稼働状況(死活)を監視する。
【0027】
図2は、データ応答プログラム50の機能構成を説明する図である。
図2に例示するように、データ応答プログラム50は、ハートビート応答部500と、端末情報管理部520と、タスク管理部540とを有する。
データ応答プログラム50は、例えば、CD-ROMなどの記録媒体を介して、管理サーバ5にインストールされたコンピュータプログラムである。
【0028】
ハートビート応答部500は、クライアント端末9からの通知データに対して返信情報を返信する。より具体的には、ハートビート応答部500は、ハートビート通知を受信したクライアント端末の稼働状態を、端末情報管理部520とタスク管理部540とに通知する。また、ハートビート応答部500は、他の構成より通知された情報をハートビート通知の返信情報に挿入して、クライアント端末9へ通知する。
【0029】
端末情報管理部520は、端末情報DB600が保持する端末情報管理テーブルに対して、情報の取得及び更新を行う。端末情報管理テーブルは、クライアント端末9の識別情報(MACアドレスなど)と、その端末の稼働状態とを保持する。より具体的には、端末情報管理部520は、ハートビート応答部500より通知されたクライアント端末9の稼働状態に基づいて、端末情報管理テーブルを更新する。
【0030】
なお、ハートビート応答部500は、本発明の返信手段の一例である。また、ハートビート応答部500、端末情報管理部520及びタスク管理部540の組合せは、本発明の情報挿入手段の一例である。ここで、タスクとは、クライアント端末が実行する処理であり、例えば、自機にインストールされているソフトウェアのアップデート処理、バックアップデータの作成処理などである。
【0031】
図3は、タスク管理部540をより詳細に説明する図である。
図3に例示するように、タスク管理部540は、タスク優先順位管理部542と、ハートビート通知間隔管理部544と、関連タスク定義部546と、タスク適用状況管理部548とから構成される。
タスク管理部540は、タスク情報の取得や更新をタスク情報DB620に対して行う。ここで、タスク情報とは、タスクに関する情報であり、例えば、タスクの属性情報などである。情報の取得及び更新対象は、タスク情報DB620が保持する、タスク情報管理テーブルである。
図4は、タスク情報管理テーブルを例示する図である。
図4に例示するように、タスク情報管理テーブルは、タスク情報ID、タスク種別、タスクの優先順位、関連タスクID、配信ファイルの有無、データサイズ、版数、適用所要時間を保持する。配信ファイルの有無は、タスクの実行に必要なデータファイルをクライアント端末9に送信する必要があるかどうかを示す。本例のタスク情報には、さらに、タスクに必要なデータファイルを要求すべきタイミングと、タスクに紐づくデータ通知間隔とが含まれる。タスク種別は、タスクの種別を示す。タスクの優先順位とは、タスクの実行の優先順位を示す。関連タスクIDとは、互いに関連付けられた他のタスクを識別するための情報であり、例えば、次に実行すべきタスクのIDである。データサイズとは、配信ファイル(すなわち、タスクの実行に要するデータファイル)のデータサイズである。版数とは、配信ファイルの版数である。適用所要時間とは、タスクの実行に要する目安時間である。
【0032】
タスク優先順位管理部542は、予め設定されたタスクの優先順位に従って、クライアント端末9に通知すべきタスクを決定する。具体的には、タスク優先順位管理部542は、クライアント端末9からハートビート応答部500がハートビートを受信すると、このクライアント端末9の情報(IDなど)に基づいて、ハートビート受信時にタスク情報管理テーブルに登録されているタスクの中から、より優先順位の高いタスクを選択する。これにより、クライアント端末9に通知すべきタスクが複数存在していた場合は、優先順位の最も高いタスクの情報がクライアント端末9に通知される。タスク優先順位管理部542は、選択したタスクのタスク情報をハートビートの返信情報に挿入するよう、ハートビート応答部500に指示する。
【0033】
ハートビート通知間隔管理部544は、クライアント端末9が通知データ(具体的には、ハートビート)を送信すべき間隔を示すデータ通知間隔を設定する。例えば、ハートビート通知間隔管理部544は、タスク情報に関連付けられるハートビート通知間隔を、タスク管理テーブルより取得し、取得されたハートビート通知間隔をハートビート応答部500に通知する。また、ハートビート通知間隔管理部544は、管理者の指示に応じて、クライアント端末9のハートビート通知間隔を任意の値に変更できる。
【0034】
関連タスク定義部546は、直列的な順序で実行すべき複数のタスクを関連タスクとして互いに関連付けておき、既定の順序で、関連付けられた複数のタスクをハートビート応答部500に通知する。
【0035】
タスク適用状況管理部548は、クライアント端末毎に、タスクの通知状況(タスク情報が通知済みであるか否か)、及び、タスクの実行状況(タスクの実行中、タスク実行済み、タスクの実行失敗、又は、タスクの実行前)を管理する。具体的には、タスク適用状況管理部548は、クライアント端末毎にタスク適用状況を管理するタスク適用状況管理テーブルと、クライアント端末毎の関連タスク適用状況を管理する関連タスク適用状況管理テーブルとを保持し、ハートビートに含まれる情報(タスクの実行状況など)に基づいて、各テーブルを更新する。タスク適用状況管理テーブルと、関連タスク適用状況管理テーブルとは、端末情報DB600に格納される。
【0036】
図5は、データ通知プログラム70の構成を説明する図である。
図5に例示するように、データ通知プログラム70は、ハートビート送信部700と、タスク制御部720と、ハートビート通知管理部740とを有する。
データ通知プログラム70は、例えば、CD-ROMなどの記録媒体を介して、クライアント端末9A〜9Cにインストールされたコンピュータプログラムである。
なお、本例の通知データとは、クライアント端末が少なくとも稼働中であることをhttp通信で定期的に通知するハートビートである。
【0037】
ハートビート送信部700は、少なくとも自機の稼働状態を示す情報が含まれた通知データを、管理サーバ5に送信する。例えば、ハートビート送信部700は、クライアント端末9自身の稼働状態と、タスク適用状況と、タスクの適用結果とをハートビートのパケットに挿入し、定期的に管理サーバ5に対して送信する。また、ハートビート送信部700は、管理サーバ5から受信したタスク情報(ハートビートの返信情報に含まれる情報)を、タスク制御部720へ通知する。さらに、ハートビート送信部700は、管理サーバ5から、タスクの実行に必要なデータファイルを取得する。なお、ハートビート送信部700は、他のサーバ(例えば、管理サーバ5により指定されたアクセス先)から、タスクの実行に必要なデータファイルを取得してもよい。
【0038】
タスク制御部720は、タスクの実行に必要な前処理を行い、タスクを実行する。タスク制御部720は、図6に例示するように、タスク判断部722と、タスク取得通知部724と、タスク適用部726とを有する。
タスク判断部722は、管理サーバ5より通知された返信情報に含まれるタスク種別に基づいて、タスク実行の要否を判断する。例えば、タスク判断部722は、タスク種別に基づいて、タスクが自身に対して適用可能なタスクかどうかを判断する。さらに、タスク判断部722は、自身の現在の処理状態を取得し、タスク適用が可能な状態かどうかを判断する。現在処理中のタスクが存在した場合は、タスク判断部722は、現在処理中のタスクの優先順位と、管理サーバ5より通知されたタスクの優先順位とを比較し、優先順位によって現在のタスクについて、「続行」又は「キャンセル」をタスク適用部726に指示する。
【0039】
タスク取得通知部724は、データファイルの取得が必要なタスクである場合、管理サーバ5よりタスク情報と共に通知されたデータファイル取得のタイミングを保持する。タスク取得通知部724は、保持しているデータファイル取得のタイミングが到来した場合に、ハートビート送信部700にデータファイルの取得を依頼する。
【0040】
タスク適用部726は、ハートビートの返信情報を介して通知されたタスク情報又は関連タスク情報に応じて、タスクを実行し、実行完了を管理サーバ5へ通知する。例えば、タスク適用部726は、タスクを実行し、実行済みタスクの適用結果と、実行中のタスクの進捗状況とを一時的にファイルもしくはメモリ上で保持しておく。保持すると同時に、タスク適用部726は、タスクの適用結果を管理サーバに送信するようハートビート送信部700に指示する。さらに、タスク適用部726は、関連タスクの実行が途中で失敗した場合は、既に実行済みの関連タスクをタスク実行前の状態に復元する。
【0041】
ハートビート通知管理部740は、管理サーバ5より通知されたハートビート通知間隔を保持する。ハートビート通知管理部740は、ハートビート通知間隔に従って、定期的に、ハートビート送信部700にハートビート通知を依頼する。ハートビート送信部700により、ハートビートの返信情報が受信できなかった場合は、ハートビート通知管理部740は、設定されているハートビートの通知間隔を、クライアント端末が保有している既定の通知間隔(デフォルト値)に変更する。
【0042】
図7は、ハートビート通知への応答処理(S50)である。
図7に例示するように、ステップ500(S500)において、ハートビート応答部500は、クライアント端末9からのハートビート通知を受信する。さらに、ハートビート応答部500は、ハートビート通知を端末情報管理部520と、タスク管理部540とに通知する。
ステップ505(S505)において、端末情報管理部520は、クライアント端末9の識別情報と、その稼働状態とを端末情報DB600に登録する。
ステップ510(S510)において、タスク管理部540は、タスク情報テーブルを参照して、ハートビート通知を受けたクライアント端末9に対して通知すべきタスクが存在するか否かを判断する。
タスクが存在する場合は、ハートビート通知への応答処理(S50)は、S515へ移行する。タスクが存在しない場合は、ハートビート通知への応答処理(S50)は、S535へ移行する。
ステップ515(S515)において、タスク管理部540は、クライアント端末9へ通知するタスク情報をタスク情報テーブルより取得する。
ステップ520(S520)において、タスク管理部540は、タスク情報テーブルを参照して、通知するタスクについて、クライアント端末9にデータファイルを送信する必要があるか否かを判断する。
データファイルの送信が必要である場合は、ハートビート通知への応答処理(S50)は、S525へ移行する。データファイルの送信が不要である場合は、ハートビート通知への応答処理(S50)は、S530へ移行する。
ステップ525(S525)において、タスク管理部540は、タスク情報テーブルよりタスク取得可能となる時間とタスク情報とを取得し、ハートビート応答部500へ通知する。
ステップ530(S530)において、タスク管理部540は、タスク情報テーブルよりタスク情報とタスク適用状況を取得し、ハートビート応答部500へ通知する。
ステップ535(S535)において、ハートビート通知間隔管理部544は、タスクに関連付けられるハートビート通知間隔を決定し、ハートビート応答部500へ通知を依頼する。通知すべきタスクが存在しなかった場合、ハートビート通知間隔管理部544は、ハートビート間隔を変更せず、前回通知したハートビート間隔を再度通知させる。
ハートビート応答部500は、通知された情報をクライアント端末9へ通知する。
【0043】
図8は、クライアント端末9のハートビート送信処理(S70)である。
図8に例示するように、ステップ700(S700)において、ハートビート送信部700は、管理サーバ5からハートビート通知の応答を受信する。
ステップS705(S705)において、受信した情報に、タスク情報が存在していればハートビート送信処理(S70)は、S710へ移行し、存在しなければ、ハートビート送信処理(S70)は終了する。
ステップ710(S710)において、タスク判断部722は、通知されたタスクが自機に適用可能かどうかを判断する。適用可能な場合は、ハートビート送信処理(S70)はS715へ移行し、適用不可な場合は、ハートビート送信処理(S70)は終了する。
ステップ715(S715)において、タスク判断部722は、通知タスクは、データ取得の必要があるかを判断する。必要がある場合は、ハートビート送信処理(S70)は、S720へ移行し、必要がない場合は、ハートビート送信処理(S70)は、S735へ移行する。
ステップ720(S720)において、タスク判断部722は、通知タスクが即時適用可能か判断する。即時適用可能な場合は、ハートビート送信処理(S70)は、S730へ移行する。即時適用不可な場合は、ハートビート送信処理(S70)は、ステップ725へ移行する。
ステップ725(S725)において、タスク取得通知部724は、タスク取得時間が到来するまで待機する。タスク取得時間が到来すると、ハートビート通知への応答処理(S10)は、ステップ730へ移行する。
ステップ730(S730)において、タスク取得通知部724は、ハートビート送信部700に管理サーバ5へのタスクの取得を通知する。
ステップ735(S735)において、タスク適用部726は、通知タスクを適用し、適用結果をハートビート送信部へ通知する。ハートビート送信部700は、タスクの適用結果を管理サーバ5へ通知する。
【0044】
図9は、クライアント端末9の優先順位に基づいたタスクの適用処理(S80)である。
図9に例示するように、ステップ800(S800)において、ハートビート送信部700は、管理サーバ5からハートビート通知の応答としてタスク情報を受信する。
ステップ805(S805)において、タスク判断部722は、適用中のタスクが存在するか確認する。存在した場合は、優先順位に基づいたタスクの適用処理(S80)は、S810へ移行し、存在しない場合は、優先順位に基づいたタスクの適用処理(S80)は、S830へ移行する。
ステップ810(S810)において、タスク判断部722は、通知されたタスクと適用中のタスクの優先順位を比較する。通知タスクの優先順位が高ければ、優先順位に基づいたタスクの適用処理(S80)は、S815へ移行する。通知タスクの優先順位が低ければ、優先順位に基づいたタスクの適用処理(S80)は、S825へ移行する。
ステップ815(S815)において、タスク判断部722は、現在実行中のタスクのキャンセルをタスク適用部726に通知し、タスク適用部726は、適用中のタスクをキャンセルする。
ステップ820(S820)において、タスク適用部726は、キャンセルしたことをハートビート送信部700に通知する。
ステップ825(S825)において、タスク適用部726は、適用中のタスクが完了するまで待機する。待機後、優先順位に基づいたタスクの適用処理(S80)は、ステップ830(S830)へ移行する。
ステップ830(S830)において、タスク取得通知部724は、通知されたタスクデータを取得するようにハートビート送信部700に通知し、タスクデータを取得する。
ステップ835(S835)において、タスク適用部726は、タスクを適用し、適用結果をハートビート送信部700へ通知する。ハートビート送信部700は、管理サーバ5にタスク適用結果を通知する。
【0045】
図10は、関連タスク適用失敗時のロールバック処理(S90)を説明するフローチャートである。
図10に例示するように、ステップ900(S900)においてタスク適用部726が、タスクの適用に失敗すると、タスク適用失敗をタスク判断部722へ通知する。
ステップ905(S905)において、タスク判断部722は、適用失敗したタスクが関連タスクかどうかを判断する。関連タスクの場合は、関連タスク適用失敗時のロールバック処理(S90)は、S910に移行する。関連タスクでない場合は、関連タスク適用失敗時のロールバック処理(S90)は、S920へ移行する。
ステップ910(S910)において、タスク判断部722は、適用済みの関連タスクが存在するかどうかを判断する。存在した場合は、関連タスク適用失敗時のロールバック処理(S90)は、S915へ移行する。存在しなかった場合は、関連タスク適用失敗時のロールバック処理(S90)は、S920移行する。
ステップ915(S915)において、タスク適用部726は、適用済みタスクをロールバックする。
ステップ920(S920)において、タスク適用部726は、適用失敗をハートビート送信部700に通知する。ハートビート送信部700は、通知された情報を管理サーバ5へ送信する。
【0046】
図11は、クライアント端末のタスク適用状況管理テーブルを例示する図である。
図11に例示するように、タスク適用状況管理テーブルは、端末情報DB600に格納される。タスク適用状況管理テーブルは、端末ID、適用タスク情報ID、適用状態、適用状況を保持する。適用状態は、タスク適用中を示す適用中、タスク適用済みを示す適用済み、タスク適用を保留している適用待ち、及び、タスク適用失敗の適用エラーのステータスが存在する。適用を保留している状態とは、対象のクライアント端末に適用予定のタスクが複数存在する場合に、タスクの優先順位を比較した際、優先順位が低く、クライアント端末へのタスクの通知が即時で必要のない状態を示す。
【0047】
図12は、クライアント端末の関連タスク適用状況管理テーブルを例示する図である。
図12に例示するように、関連タスク適用状況管理テーブルは、端末情報DB600に格納される。関連タスク適用状況管理テーブルは、端末ID、関連タスクID、適用状態、関連タスク適用状況を保持する。適用状態は、タスク適用中を示す適用中、タスク適用済みを示す適用済み、タスク適用を保留している適用待ち、及び、タスク適用失敗の適用エラーのステータスが存在する。適用を保留している状態とは、対象のクライアント端末に適用予定のタスクが複数存在する場合に、タスクの優先順位を比較した際、優先順位が低く、クライアント端末へのタスクの通知が即時で必要のない状態を示す。
【0048】
以上説明したように、本実施形態のデータ通信システム1において、クライアント端末9は、ハートビートを用いて、自機の稼働状況を管理サーバ5へ定期的に通知し、管理サーバ5は、ハートビートの返信情報に、タスクに要するデータファイルのデータサイズなどのタスク情報を挿入してクライアント端末9へ通知する。これにより、クライアント端末9は、タスク情報(データサイズ)と自機の情報(リソースの状況など)とに基づいて、タスク実行に要するデータファイルの取得と、タスクの実行とを行う。また、クライアント端末9から定期的に稼働状況を管理サーバ5へ通知するため、ファイアウォールなどにより稼働状態の監視が困難なネットワーク環境においても、管理サーバ5は、クライアント端末の稼働状態を管理できる。さらに、クライアント端末9は、タスク情報として、タスクの種別を取得するため、タスク実行の要否を独自に判断できる。また、クライアント端末9は、タスク情報として、タスクに要する推定処理時間や、タスクに要するデータファイルの配信期間などを取得するため、自機の都合に合わせて、データファイルの取得タイミングや、タスクの実行タイミングなどを決定できる。これらはまた、クライアント端末9と管理サーバ5との間の不要なデータ通信を省き、ネットワーク負荷の軽減に資する。さらに、クライアント端末9は、自機の処理状況に応じてタスクの取得・実行するため、自機によるサービスレベルの向上が期待できる。
【0049】
次に、上記実施形態の変形例を説明する。
本実施形態では、管理サーバ5は、クライアント端末9から管理サーバ5へのタスク取得時間を指定しているが、例えば、タスク取得時間は、特定時間以前、特定時間帯、または、特定時間以降のように指定してもよい。
【符号の説明】
【0050】
1…データ通信システム
5…管理サーバ
9…クライアント端末
50…データ応答プログラム
70…データ送信プログラム
600…端末情報データベース
620…タスク情報データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クライアント端末と、
このクライアント端末を管理する管理サーバと
を含み、
前記クライアント端末は、
少なくとも自機の稼働状態を示す情報が含まれた通知データを、前記管理サーバに送信する送信手段
を有し、
前記管理サーバは、
前記クライアント端末からの通知データに対して、返信情報を返信する返信手段と、
前記返信情報に、前記クライアント端末のタスクに関するタスク情報を挿入する情報挿入手段と
を有する情報処理システム。
【請求項2】
クライアント端末からの通知データに対して、返信情報を返信する返信手段と、
前記返信情報に、前記クライアント端末が実行すべきタスクに関するタスク情報を挿入する情報挿入手段と
を有する情報処理装置。
【請求項3】
前記情報挿入手段は、前記タスク情報として、タスク種別、タスクの実行に要する時間を示す情報、タスクの優先順位、関連する他のタスクを示す情報、配信ファイルの有無、配信ファイルのデータサイズ、及び、タスクに要するデータファイルの版数、の少なくとも一つを挿入する
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記情報挿入手段は、前記タスク情報として、タスクの実行に必要なデータファイルを要求すべきタイミングを示す情報を挿入する
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
クライアント端末が通知データを送信すべき間隔を示すデータ通知間隔を設定する間隔設定手段
をさらに有し、
前記情報挿入手段は、前記返信情報に、前記間隔設定手段により変更されたデータ通知間隔を挿入する
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
タスクの優先順位とデータ通知間隔とに関連付けられて、タスク情報を格納するタスク情報格納手段
をさらに有し、
前記情報挿入手段は、前記タスク情報格納手段に格納されている前記タスク情報の中から、前記優先順位に応じた順序で、タスク情報と、そのタスクに関連付けられたデータ通知間隔とを挿入する
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記タスク情報格納手段は、直列的な順序で実行すべき複数のタスクを、関連タスクとして互いに関連付けて格納し、
前記情報挿入手段は、前記タスク情報格納手段に関連タスクとして格納された複数のタスクのタスク情報を、連続する複数の通知データに対する返信情報に、順に挿入する
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
少なくとも自機の稼働状態を示す情報が含まれた通知データを、外部装置に送信する送信手段と、
前記送信手段により送信された通知データの返信情報に応じて、タスクの実行に必要な前処理を行う前処理手段と、
前記前処理手段により前処理が行われた後に、タスクを実行する実行手段と
を有するクライアント端末。
【請求項9】
前記返信情報には、タスクの種別を示すタスク種別が含まれており、
前記前処理手段は、前記タスク種別に基づいて、タスク実行の要否を判断し、
前記実行手段は、前記前処理手段によりタスクの実行が必要であると判断された場合に、このタスクを実行する
請求項8に記載のクライアント端末。
【請求項10】
前記返信情報には、データファイルを要求するタイミングを指定する情報が含まれており、
前記前処理手段は、前記返信情報により指定されたタイミングで、データファイルを取得し、
前記実行手段は、前記前処理手段により取得されたデータファイルを用いて、タスクを実行する
請求項9に記載のクライアント端末。
【請求項11】
前記返信情報には、次に実行すべきタスクの存在を示す関連タスク情報が含まれており、
前記前処理手段は、前記返信情報に含まれる関連タスク情報に応じて、タスクの実行完了を、次に実行すべきタスクの要求情報として外部装置に通知する
請求項8に記載のクライアント端末。
【請求項12】
前記送信手段は、送信した通知データに対応する返信情報が既定の期間に受信できなかった場合、通知データの送信間隔を自機のデフォルト値に戻す
請求項8に記載のクライアント端末。
【請求項13】
前記返信情報には、タスクの優先順位を示す情報が含まれており、
前記前処理手段は、前記実行手段により実行されているタスクの優先順位と、前記返信情報により通知されたタスクの優先順位とを比較し、通知されたタスクの優先順位が実行中のタスクよりも高い場合に、実行中のタスクをキャンセルし、
前記前処理手段によりタスクがキャンセルされた旨を、前記外部装置に通知するタスク制御手段
をさらに有する請求項8に記載のクライアント端末。
【請求項14】
前記タスク制御手段は、互いに関連付けられた複数のタスクのいずれかが失敗した場合に、実行済みの他の関連付けられたタスクを、実行前の状態に戻し、関連タスクをキャンセルした旨を外部装置に通知する
請求項13に記載のクライアント端末。
【請求項15】
前記タスク制御手段は、互いに関連付けられた複数のタスクよりも優先順位の高いタスクが前記返信情報により通知された場合に、実行済みの関連付けられたタスクを、実行前の状態に戻し、関連タスクをキャンセルした旨を外部装置に通知する
請求項13に記載のクライアント端末。
【請求項16】
前記送信手段は、タスクの実行中に、通知データを送信するタイミングが到来した場合、タスクの進捗情報を外部装置に通知する
請求項8に記載のクライアント端末。
【請求項17】
クライアント端末が、少なくとも自機の稼働状態を示す情報が含まれた通知データを、管理サーバに送信するステップと、
前記管理サーバが、前記クライアント端末から受信した通知データに対する返信情報に、タスクに関するタスク情報を挿入するステップと、
前記管理サーバが、前記タスク情報が挿入された返信情報を、前記クライアント端末に返信するステップと、
前記クライアント端末が、前記返信情報に挿入されたタスク情報に応じて、タスクの前処理を行うステップと
を有する情報処理方法。
【請求項18】
クライアント端末からのデータ通知に対して返信情報を返信するステップと、
前記返信情報に、前記クライアント端末のタスクに関するタスク情報を挿入するステップと
をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項19】
少なくとも自機の稼働状態を示す情報が含まれた通知データを、送信するステップと、
送信された前記通知データの返信情報に応じて、タスクの実行に必要な前処理を行うステップと、
前処理後に、タスクを実行する実行ステップと
をコンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−97548(P2013−97548A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239295(P2011−239295)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000136136)株式会社PFU (354)