説明

情報処理システム及びその制御方法、並びにコンピュータプログラム

【課題】情報処理システムが省電力状態であるときに、サブシステムに求められる処理の内容に応じて段階的にサブシステムの省電力状態を制御する。
【解決手段】アプリケーションを実行するメインシステムと、外部装置との通信を制御するサブシステムとを有する情報処理システムであって、メインシステムの電源制御手段は、サブシステムを省電力状態とする場合に取得した情報に従って少なくとも、サブシステムの制御手段、第1のコントローラ、及び、第2のコントローラに対する電源供給を制御する。省電力の形態には制御手段に電源供給を行わず第1のコントローラに電源供給を行う第1の省電力モードと、制御手段及び少なくとも第1のコントローラと前記第2のコントローラとのいずれかに電源供給を行う第2の省電力モードとが含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム及びその制御方法、並びにコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
PC(パーソナルコンピュータ)やその周辺機器では、いわゆるパワーマネジメント機能が実用化されているが、今後市場に出る他の情報処理システムにおいても、広くパワーマネジメント機能を設けることが必要になると考えられる。PCなどで用いられているパワーマネジメント機能に関しては、ACPI(Advanced Configuration and Power Interface)規格が知られている(非特許文献1を参照)。
【0003】
たとえば、ACPIでは、電源モードが次のように定義されている。
S0 フル稼働状態(通常動作状態)
S1 低消費電力状態(CPU/チップセットともに電源オン)
S2 低消費電力状態(CPU/キャッシュは電源オフ、チップセットは電源オン)
S3 スタンバイ状態
S4 休止状態(ハイバネーション)
S5 ソフトウェアによる電源オフ
現在のパワーマネジメント機能は、装置が使用されていない間、機能の一部を停止させて消費電力を低下させ、節電モード、たとえばスリープモードと呼ばれる状態(上記ACPIの場合電源モードS1〜S5のいずれか)に移行させる。また、装置に対するユーザーの操作や、外部装置からのアクセスを契機として通常状態(同S0)に復帰させる。
【0004】
外部の機器と通信するためのインターフェイスに対するアクセスを検出して低消費電力状態から復帰する構成も公知である。たとえば、イーサネット(登録商標)のようなネットワークインターフェイスでは、WOL(Wake−On−LAN)機能が知られている。
【0005】
WOLでは、ネットワークインターフェイスを介して特定のパケットを受信した時に、省電力状態の情報処理システムを復帰させる。このWOLで使用する特定のパケットはいくつか提案されているが、たとえば、AMD社が開発したMagicPacket(登録商標)が知られている。
【0006】
このMagicPacketは、ターゲット装置のMACアドレスからフレームの情報フィールドを生成した特別なフォーマットのイーサネットパケットであり、このパケットにより、目的の機器(だけ)を起動させることができる。MagicPacketに対応したネットワークインターフェイスはそのパケットのパターンに反応するように作られており、自分のMACアドレスを認識すると装置全体を起動させる信号を出力する。
【0007】
WOL機能に関し、シリアルバスインターフェイスを有するコンピュータにおける外部機器よりウェイクアップ動作をさせる技術が提案されている(特許文献1を参照。)。また、WOL実行時における通信部に収容されたサブCPUの状態と電源供給制御に関する技術も提案されている(特許文献2を参照。)。
【0008】
また、WOL機能を無線に拡張したWOWLAN(Wake−On−WirelessLAN)等の技術が提案されている(特許文献3を参照。)。
【非特許文献1】"Advanced Configuration & Power Interface"Revision3.0b October 10,2006 インターネット〈URL:http://www.acpi.info/〉
【特許文献1】特開2000−209220号公報
【特許文献2】特開2005−267099号公報
【特許文献3】特開2005−244329号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
情報処理システムが省電力状態であるときは、情報処理システムに具備されているサブシステムも省電力状態であることが望ましい。しかし、WOL等ネットワークインターフェイスを介して、省電力状態である情報処理システムを通常状態に復帰させる場合、サブシステムへの供給電力を完全にOFFさせることはできない。
【0010】
また、WOWLANを使用する場合、他機器との間で無線通信の接続維持が必要であるために、有線においてWOLを使用する場合とは異なる処理がサブシステムに必要である。さらに、WOLまたはWOWLANを使用時においても、特定のパケットには応答することや、パケット暗号化に必要な鍵交換の処理等、情報処理システムの省電力状態におけるサブシステムの付加的な動作も場合により求められる。
【0011】
そこで、情報処理システムが省電力状態であるときに、サブシステムに求められる処理の内容に応じて段階的にサブシステムの省電力状態を制御できることが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するための本発明は、アプリケーションを実行するメインシステムと、外部装置との通信を制御するサブシステムとを有する情報処理システムであって、
前記メインシステムは、
前記サブシステムから当該サブシステムの省電力の形態に関する情報を取得する取得手段と、
前記メインシステムと前記サブシステムとに対する電源供給を制御する電源制御手段と
を備え、
前記サブシステムは、
前記外部装置と有線通信するための第1のコントローラと、
前記外部装置と無線通信するための第2のコントローラと、
前記サブシステムの制御手段と、
を備え、
前記電源制御手段は、前記サブシステムを省電力状態とする場合に、前記取得手段により取得した前記情報に従って少なくとも、前記制御手段、前記第1のコントローラ、及び、前記第2のコントローラに対する電源供給を制御し、
前記省電力の形態には、前記制御手段に電源供給を行わず前記第1のコントローラに電源供給を行う第1の省電力モードと、前記制御手段及び少なくとも第1のコントローラと前記第2のコントローラとのいずれかに電源供給を行う第2の省電力モードとが含まれることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、WOLまたはWOWLANの使用に応じて、また、情報処理システムが省電力状態であるときに、サブシステムに求められる処理の内容に応じて段階的にサブシステムの省電力状態を制御することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付の図面を参照して発明の実施形態を説明する。以下では、有線規格にIEEE802.3、無線規格にIEEE802.11を例に用いて説明するが、本発明が適用できる範囲はこれに留まるわけではないことを先に述べておく。
【0015】
図1に、本発明にかかる省電力手法を適用できるシステム例を示す。
【0016】
情報処理システム101は、サブシステム103とメインシステム102を収容する情報処理システムである。メインシステム102は、情報処理システム101のアプリケーションを実行するためのシステムである。つまり、情報処理システム101が例えばテレビであれば表示であり、プリンタであれば印刷であり、カメラであれば撮像といったアプリケーションを担う。サブシステム103は、メインシステムでは行わない情報処理システム101の通信に係る処理を担う。サブシステム103は少なくとも2つの通信方式を収容するものとする。図1の例ではサブシステムは、2つの通信方式が収容され、一方の通信方式が無線通信であり、他方の通信方式が有線通信である。
【0017】
無線通信の外部インターフェイスは、例えばアンテナ104であったり、有線通信の外部インターフェイスは、例えばケーブルソケット105 であったりする。各通信インターフェイスは、各通信媒体を介して他機器とネットワークを構築する。無線通信であればアンテナ104から、大気106を介して、無線通信機器108とネットワークを構築する。有線通信であれば、ケーブルソケット105に接続されたケーブル107を介して、他の有線通信機器109と有線ネットワークを構築する。情報処理システム101は、WOLおよびWOWLANを適用できるものとする。
【0018】
すなわち、情報処理システム101が省電力状態である場合には、メインシステム102は、アプリケーションの停止状態に入る。そのとき、サブシステム103は、有線または無線通信を継続して行っている。このときにおいて、外部より有線インターフェイスまたは無線インターフェイスを介して、MagicPacketまたは、それと同等機能をもつウェイクアップパターンを有するパケットを受信したとする。すると、メインシステム102は、アプリケーションの停止状態から、通常動作状態へ移行する。情報処理システム101が省電力状態である場合、サブシステム103も省電力状態を維持しながら、WOLまたはWOWLAN機能を提供することが望ましい。本発明はそのような情報処理システムに適用する省電力制御手法を提供する。
【0019】
<第1の実施形態>
以下に、第1の実施形態について図2を用いて説明する。図2は、情報処理システム101の内部構成につき、メインシステム102とサブシステム103のハードウェア構成の一例をブロック図として表したものである。
【0020】
本実施形態におけるサブシステム103は、以下の構成要素を有する。無線機能部201は、後述するUSBデバイスインターフェイス215などから構成される。サブCPU202は、サブシステム103の処理全体の処理を担うサブCPUであり、詳細については後述する。ローカルメモリ203は、サブシステム103に実装されるメモリであって、サブCPU202が処理を行うプログラムや、通信フレーム送信/受信に必要なバッファメモリとして用意されている。
【0021】
ローカルバス204は、サブCPUが各機能ブロックまたはICにアクセスするときに使用するバスである。信号線205は、後述のIPsecIC220から、サブCPU202へ割り込み信号を送るための信号線であり、イーサネットコントローラIC212が、サブCPU202に割り込み信号をアサートするのに使用される。
【0022】
信号線206は、後述のイーサネットコントローラIC212から、サブCPU202へ割り込み信号を送るための信号線であって、イーサネットコントローラIC212が、サブCPU202に割り込み信号をアサートするのに使用される。信号線207は、後述のUSBホストコントローラIC213から、サブCPU202へ割り込み信号を送るための信号線であって、USBホストコントローラIC213が、サブCPU202に割り込み信号をアサートするのに使用される。
【0023】
信号線208は、サブCPU202から、メインCPU223へ割り込み信号を送るための信号線であって、サブCPU202が、メインCPU223に割り込み信号をアサートするのに使用される。信号線209は、後述のメインCPU223から、サブCPU202へ割り込み信号を送るための信号線であって、メインCPU223が、サブCPU202に割り込み信号をアサートするのに使用される。
【0024】
割り込み処理部210は、メインCPU223とサブCPU202間で使用される割り込み信号に関する処理を行う。例えばメインCPU223またはサブCPU202が割り込み信号をアサートするときに、割り込み種類を割り込み処理部のレジスタに書き込んでおく。割り込み信号を受信したサブCPU202またはメインCPU223は、割り込み種類を割り込み処理部210のレジスタにアクセスすることにより特定する。また、割り込み処理部210は、メインCPU223がローカルバス204を使用したアクセスをしたいとき、またサブCPU202が後述のメインバス226を使用したアクセスをしたいときなどのバス調停機能も有する。
【0025】
バスブリッジ処理部211は、メインバス226とローカルバス204を接続するために利用される。メインバス226とローカルバス204で使用されるプロトコルが異なる場合で、メインCPU223またはサブCPU202から、バスをまたぐアクセスが発生した場合、バスブリッジ処理部211で、プロトコル変換を行う。
【0026】
イーサネット(登録商標)コントローラIC212は、サブCPU202やメインCPU223と、後述の有線インターフェイス219との間の通信を仲介する第1のコントローラである。また、イーサネットコントローラIC212が、有線インターフェイス219へデータを送信したときや、有線インターフェイス219からデータを受信した場合には、サブCPU202へ割り込み信号をアサートする。さらに、イーサネットコントローラIC212には、WOLにおけるMagicPacketの解析機能がついているものとする。ウェイクアップパケットとしてのMagicPacket等のような特定のパケットを検出した場合、後述の電力制御部225に割り込み信号をアサートする機能を有しているものとする。
【0027】
USBホストコントローラIC213は、USBホスト側の機能を持ち、USBのプロトコルに従い、USBホストI/F214を介したデータの送受信処理を行う第2のコントローラである。
【0028】
USBホストインターフェイス214は、USBプロトコルにおけるホスト側としての機能を持つ機能ブロックまたはICにおけるUSBのインターフェイスである。USBデバイスインターフェイス215は、USBプロトコルにおけるデバイス側としての機能を持つ機能ブロックまたはICにおけるUSBのインターフェイスである。
【0029】
USBデバイスコントローラIC216は、USBデバイス側の機能を持ち、USBのプロトコルに従い、USBデバイスI/F215を介したデータの送信受信処理、また後述の無線コントローラIC217とのデータの送受信処理を行う。
【0030】
無線コントローラIC217は、USBデバイスコントローラIC216より受け取ったデータを解析する。もし、そのデータが無線で送出すべきデータであれば、該データを無線LANのプロトコルに従い、符号化・変調を施して、後述の無線インターフェイス218へ送信する。また、無線インターフェイス218を介して受信したデータの復調・復号化処理を行う。復調・復号化処理後のデータ種別を解析し、それがサブCPU202または、メインCPU223で必要としているデータと判断した場合、USBデバイスコントローラIC216に該データを送信する。
【0031】
無線インターフェイス218は、無線コントローラIC217より受け取ったデータを無線送信するため、また外部より無線データを取り込むためのインターフェイスである。有線インターフェイス219は、イーサネットコントローラIC212より受け取ったデータを有線送信するため、また外部より有線データを取り込むためのインターフェイスである。
【0032】
IPsecIC220は、IPネットワークにおける暗号処理を行う信号処理部である。IPsecIC220の制御は、サブCPU202が担う。信号線221は、イーサネットコントローラIC212から、電力制御部225へウェイク信号を送るための信号線である。イーサネットコントローラIC212が、有線インターフェイス219よりMagicPacketを受信した場合に、電力制御部225にウェイク信号をアサートするのに使用される。
【0033】
信号線222は、サブCPU202から、電力制御部225へウェイク信号を送るための信号線である。サブCPU202が、有線インターフェイス219または、無線インターフェイス218より受信したパケットを解析する。そして、解析結果からメインシステムを省電力状態から復帰させる要因を検出した場合、電力制御部225にウェイク信号をアサートする。信号線222は、ウェイク信号アサートするのに使用される。
【0034】
次に、メインシステム102の構成要素について説明する。
【0035】
メインCPU223は、情報処理システム全体のアプリケーション制御を担う。メインメモリ224は、メインCPU223の実行するプログラムを格納し、また、メインCPU223で扱うデータ用バッファメモリとしての役割を担う。電力制御部225は、情報処理システム全体の電力を制御する機能ブロックであり、後述の電源制御部227とクロック制御部228とを有する。
【0036】
電源制御部227は、サブシステム103において予め決められたパートごとに電源供給のON/OFFの制御ができるものであれば、どのような機能が備わっていてもよい。ここでは説明のため、サブシステム103に収容する全てのIC、CPU、メモリ、インターフェイスにおける電源供給のON/OFFの制御を行うことが出来るものとして説明する。
【0037】
クロック制御部228は、サブシステム103に収容される機能ブロックに予め決められたパートにおいてクロック周波数の切り替えの制御ができるものであれば、どのような機能が備わっていてもよい。ここでは説明のため、サブCPU202のクロック周波数を段階的に制御できる機能をもつものとして説明する。
【0038】
電力制御部225は、外部よりウェイク信号を受信すると、予め定められたウェイク時における各IC、機能部、サブCPU202、ローカルメモリ203に対し、所望の電源供給がされるよう電源制御部227に指示する。またサブCPU202の動作クロック周波数をウェイク時における所望の動作クロック周波数にするように、クロック制御部228に指示を与える。なお、通常起動時から、省電力状態に移行する場合は、電力制御部225に対し、サブCPU202が直接制御指示を与えても良いし、メインCPU223がサブCPU202からの要請を受けて電力制御部225に指示を与えても良い。
【0039】
信号線229は、メインシステム102またはサブシステム103とは独立して電力制御部225にウェイクアップ信号を送信するための信号線である。例えばメインシステム102とサブシステム103を収容する情報処理システムにおいて、ユーザーから与えられたボタン押下操作などを検知した場合に、メインシステム102に送信するために利用される。また、サブシステム103を利用した方法とは異なる方法で、ウェイクアップ信号を送信するために使用される。
【0040】
次に、図3を参照して、サブCPU202が有する処理部について説明する。
【0041】
割り込み処理部301は、メインCPU223,イーサネットコントローラIC212,IPsecIC220,USBホストコントローラIC213よりアサートされる割り込み信号を検出し、検出結果より次に実行する処理を決定する。
【0042】
USBホスト処理部302は、ローカルメモリからデータをUSBホストコントローラIC213へ送り、その後USBホストI/F214へ、データの送信を行うよう命令を与える。また、USBホストコントローラからの割り込み信号を受け、USBホストコントローラICからデータを受信し、ローカルメモリへ格納する処理を行う。
【0043】
プロトコル処理部303は、プロトコル処理を行う。ここでは説明のため、OSI参照モデルにおいて、第2層であるデータリンク層から第7層であるアプリケーション層までにおけるプロトコル処理を行うものとする。メインシステム102より与えられたデータに対して、使用している通信方式や通信相手に応じて、所望のプロトコル処理を施し送信する処理を行う。また、イーサネットコントローラIC212または、USBホストコントローラIC213より受信したデータを解析し、その次の処理の決定を行う。例えば、メインシステム102宛のデータであったと解析した場合は、メインシステム102に送信する。
【0044】
有線LAN処理部304は、イーサネットコントローラICに対し、他機器に送信して欲しいデータフレームを送信や、イーサネットコントローラICに対しての制御命令の送信を行う。無線LAN処理部305は、無線LANコントローラICへのコマンドの発効を行う処理を行う。また、プロトコル処理部303より生成されたデータフレームにさらに無線フレームまたは、前記無線LANコントローラICへのコマンドを必要に応じて付与する処理を行う。
【0045】
コマンド解析部306は、メインシステム102から受け取ったデータに、サブCPU202または、サブシステム103に対するコマンドが含まれているか、またコマンド種が何であるかについて解析する。通信パラメータ検出部307は、コマンド解析部306により、解析を行った結果コマンドが通信設定に関するものであった場合、サブシステム103が担う通信に関するパラメータ設定なども含まれているか解析する。設定される通信パラメータには、たとえば通信時の通信媒体、通信相手、通信プロトコル方式、暗号方式、通信速度が挙げられる。
【0046】
通信パラメータ記憶部308は、通信パラメータ検出部307より検出した通信パラメータを記憶しておく。省電力モード記憶部309は、具体的には、通信パラメータと省電力モードが対応付けられたテーブルである。詳細は図7を参照して後述する。
【0047】
省電力モード移行部310は、メインシステム102より省電力状態になることを通知されると、現在の通信状態や通信パラメータに応じたサブシステム103の省電力状態に移行するために、電力制御部へ制御命令を送信する。または、メインCPU223に、サブシステム103を現在の通信状態や通信パラメータに応じた省電力状態に移行するために必要や情報を送信する。情報を受けたメインCPU223は、前記情報を元に、サブシステム103を省電力状態にするための制御命令を電力制御部225に送信する。
【0048】
ウェイクアップ信号送信部311は、下記、ウェイクアップ条件検出部312で、他機器より受信したデータにウェイクアップパターンを検出した場合、電力制御回路227にウェイクアップ信号を送信する。312は、データリンク層から、アプリケーション層までの各層において、ウェイクアップパターンを解析する機能を持つ。つまり、イーサネットコントローラIC212または、USBホストコントローラIC213より受信したデータ中にウェイクアップパターンが含まれているか否か検出する。詳細な説明については後述する。
【0049】
次に、図4を参照して発明の第1の実施形態に対応するメインシステム102、サブシステム103及び他機器426の動作について説明する。図4は、発明の第1の実施形態に対応するメインシステム102、サブシステム103、他機器426の動作の一例を示したシーケンス図である。なお、図4における他機器426とは、図1における無線通信機器108または、有線通信機器109を表す。また、他機器426の詳細な動作説明については、本発明の骨子ではないので割愛する。
【0050】
図4において、当初は、メインシステム102、サブシステム103共に、電源がOFFされている状態もしくは省電力状態に置かれている。そこに、ステップS401で、例えばユーザーのボタン操作が行われることにより、ステップS402でメインシステム102が起動処理に入る。
【0051】
ステップS403及びS404においてメインシステム102及びサブシステム103ともに、システムの通常起動状態となる。
その状態において、ステップS405でメインシステム102より他機器との通信接続に通信方式に使用されるパラメータがサブシステム103に送信される。続くステップS406では、サブシステム103は受信したパラメータを保持する。その後、ステップS407において、メインシステム102からサブシステム103に対し、接続要求が送信される。これに対しステップS408においてサブシステム103は、保持しておいたパラメータを元に、他機器426との接続処理を開始する。
【0052】
ステップS409では、一連の接続開始処理を経て、他機器426とサブシステム103の接続が確立される。ステップS410では、接続が確立したことをサブシステム103が、メインシステム102に通知する。他機器426との接続が確立されたメインシステム102は、ステップS411にてアプリケーションを起動する。このアプリケーションが使用するデータが、他機器426とメインシステム102との間でやり取りされるようになる。その後、ステップS413においてメインシステム102は、要求されたアプリケーションを終了する。アプリケーションを実行する必要が無くなったメインシステム102は、ステップS414において省電力状態に移行する旨をサブシステム103に通知する。
【0053】
通知を受けたサブシステム103は、ステップS415にて、メインシステム102が省電力状態の間にサブシステム103がウェイクアップパターンを含むパケット(起動信号)を受信した場合、メインシステム102を起こす必要があるか否かを判定する。ここで、メインシステム102を起こす必要があるときはウェイクアップモードを動作させるのに必要な電力配分を決定する。それを元に、サブシステム103はメインシステム102が省電力状態時におけるサブシステム103が適用する省電力モードを決定する。ステップS416では、決定した省電力モードをメインシステム102へ通知する。
【0054】
通知を受けたメインシステム102はステップS417にて、メインシステム102を省電力状態にする処理を行うと共に、サブシステム103からの通知を元にサブシステム103を省電力状態にする処理を行う。ステップS418ではメインシステム102が、ステップS419ではサブシステム103が、それぞれ省電力状態となる。ただし、サブシステム103はウェイクアップモードが動作している状態(S420)における省電力状態である。
【0055】
上記状態で、ステップS421において他機器426よりウェイクアップパターン(起動パターン)を含むパケットを受信すると、サブシステム103が動作しているウェイクアップモードに応じた処理部でパケットを解析する。解析結果に応じて、サブシステム103は、ステップS422にてウェイクアップ信号をメインシステム102に送信する。
【0056】
ウェイクアップ信号を受信したメインシステム102は、ステップS423にて省電力状態から通常起動状態に移行するための処理を開始し、その後、ステップS424、S425にてメインシステム102、サブシステム103共に通常起動状態となる。
【0057】
次に、図5及び図6を参照して、発明の第1の実施形態におけるサブシステム103の動作を説明する。図5は、発明の第1の実施形態に対応するサブシステム103の全動作の一例を示すフローチャートである。図6は、発明の第1の実施形態に対応する省電力モード移行時におけるサブシステム103の詳細な処理の一例を示すフローチャートである。まず、図5について説明する。
【0058】
ステップS501は、サブシステム103の動作の開始を表している。ステップS502は、サブシステム103が、省電力状態であるか否かを条件に分岐することを示している。ここで、サブシステム103が省電力状態である場合にはステップS514へ分岐し、サブシステム103が省電力状態では無い場合は、ステップS503へ分岐する。
【0059】
ステップS503は、サブシステム103が完全に電源が供給されていなく、完全に停止している状態か否かを条件に分岐することを示している。ここで、サブシステム103に電力が供給されていなく、完全に停止している状態であるときは、ステップS515へ分岐し、そうでない場合はステップS504へ分岐する。
【0060】
ステップS504は、サブシステム103が省電力状態でも完全停止状態でもない、すなわち通常起動状態において、メインシステム102からサブシステム103が情報を受け取ったか否かを条件に分岐することを示している。ここで、メインシステム102からの情報を受け取ったか否かは、メインCPU223からサブCPU202へ対し割り込み信号が送信されたか否かにより判定することができる。メインシステム102より情報を受け取った場合はステップS505へ分岐し、受け取らなかった場合はステップS511へ分岐する。なお、割込信号が送信された場合は、割り込み処理部301により割り込み処理を実行し、例えばメインシステム102からの情報が格納されている領域へサブCPU202がアクセスして情報を取得する。
【0061】
ステップS505は、サブシステム103がメインシステム102より受け取った情報を解析する処理を表している。具体的には、サブCPU202のコマンド解析部306で、メインシステム102より受け取った情報の中にコマンドが含まれているか否かを解析し、さらにコマンドが含まれている場合には、その処理内容も解析を行う。
【0062】
ステップS506は、メインシステム102から受け取った情報の中に、メインシステム102が省電力状態に移行することに関する情報が含まれているか否かを条件に分岐することを示している。省電力状態への移行に関する情報が含まれていた場合はステップS510へ分岐し、該情報以外であった場合は、ステップS507へ分岐する。
【0063】
ステップS507は、メインシステム102よりサブシステム103が受け取った情報の中に通信設定に関するパラメータ情報が含まれているか否かを条件に分岐することを示している。サブCPU202の通信パラメータ検出部307がその処理を担うものとする。通信パラメータには、様々なものが含まれる。例えば無線通信の確立に使用されるアソシエート情報や、データ通信時に使用される暗号処理のアルゴリズムといったものも含まれる。暗号処理には、無線区間で使用されるWEP,WPA、WPA2といったものや、有線または無線によらず共通で使用されるIPsecといったものまで含まれる。また、メインシステム102が省電力状態から通常動作状態に移行するトリガとなる、マジックパターンの登録情報といったものも含まれる。
【0064】
メインシステム102からの情報に、通信パラメータに関するものが含まれている場合はステップS508へ分岐し、通信パラメータに関するものが含まれていない場合はステップS509へ分岐する。
【0065】
ステップS508は、メインシステム102からサブシステム103に与えられた情報に通信設定に関するパラメータが存在した場合、そのパラメータを保存する処理を示している。サブCPU202の通信パラメータ記憶部308がローカルメモリ203に対して記憶処理を行う。これら通信パラメータの設定情報を元に、メインシステム102とサブシステム103が省電力状態になった時におけるサブシステム103のウェイクアップモードを決定する。
【0066】
ステップS509は、メインシステム102よりサブシステム103が受け取った情報をもとに、サブシステム103が各種処理を実行することを表している。例えば他機器に対して送信して欲しいデータをメインシステム102より受信した場合は、適当なパケットにデータを載せて送信処理を行う。
【0067】
ステップS510は、メインシステム102がステップS510より省電力状態への移行通知があったことに対し、サブシステム103も省電力状態へ移行するために必要な一連の処理を表している。詳細は、図6で説明する。
【0068】
ステップS511は、外部機器から、有線インターフェイス219または無線インターフェイス218より、情報を受け取ったか否かを条件に分岐することを示している。外部機器から情報を受け取った場合はステップS513へ分岐し、情報を受け取っていない場合はステップS512へ分岐する。
【0069】
ステップS512は、サブシステム103が、メインシステム102からも外部機器からも情報を受信していない状態で、アイドル処理を行っていることを示している。
【0070】
ステップS513は、サブシステム103が受け取った外部機器より受け取った情報に応じた処理を行うことを示している。例えば受け取った情報が。メインシステム102が必要としているアプリケーションデータである場合は、メインシステム102へ情報が届いたことを通知する。そして、メインシステム102がアクセスできる場所へデータを格納しておく。
【0071】
ステップS514は、サブシステム103がウェイクアップモードで動作中であるか否かを条件に分岐することを示している。ウェイクアップモードで動作中である場合はステップS516へ分岐し、ウェイクアップモードで動作していない場合はステップS515へ分岐する。
【0072】
ステップS515は、サブシステム103が完全に電力供給がされていない状態であるか、省電力状態であってもウェイクアップモードで動作しておらず、何も処理することが無い状態を示している。従って、メインシステム102より電力供給が行われ、通常起動状態となるまで、動作停止していることになる。
【0073】
ステップS516は、サブシステム103が、外部機器より現在動作しているウェイクアップモードでウェイクアップパターン検出可能なウェイクアップパターンを含むパケットを受信したか否かで分岐することを示している。ウェイクアップパターンを含むパケットを受信した場合はステップS517へ分岐し、ウェイクアップパターンを含むパケットを受信していない場合はステップS518へ分岐する。
【0074】
ステップS517は、サブシステム103が、ウェイクアップパターンを含むパケットを受信した場合において、メインシステム102にウェイクアップ信号を送信する処理を示している。ステップS518は、ウェイクアップモード動作中であるサブシステム103において、ウェイクアップ信号を受信するまで、ウェイクアップモード動作を継続する処理を示している。
【0075】
次に、省電力状態移行時におけるサブシステム103の詳細な動作フローについて図6を用いて説明する。
【0076】
ステップS601は、省電力状態移行時におけるサブシステム103の一連処理の開始を表している。具体的には、メインシステム102よりサブシステム103が受信した情報の中に、メインシステム102が省電力状態に移行することの通知情報が含まれていることを検知したところである。
【0077】
ステップS602は、通信パラメータ記憶部308によって記憶された情報の中に、無線通信構築のための情報が保存されているか否かを条件に分岐することを示している。もし、この情報が記憶されている場合には、外部機器よりウェイクアップパターンを含むパケットが無線を介してサブシステム103に送信される可能性があると判断し、無線通信によるウェイクアップモード動作をONさせることを決定する。無線通信構築のための情報が保存されている場合は、ステップS603へ分岐し、該情報が保存されていない場合は、ステップS604へ分岐する。
【0078】
ステップS603は、有線LANが接続されているか否かを条件に分岐することを示している。サブCPU202は、事前にイーサネットコントローラICより、有効な有線LAN接続の存在の有無を確認しておき、それにより判断を行う。有線LAN接続が使用されていた場合はステップS607へ分岐し、使用していなかった場合はステップS608へ分岐する。
【0079】
ステップS604は、ステップS603と同様である。有線LAN接続が使用されていた場合はステップS606へ分岐し、使用していなかった場合はステップS605へ分岐する。
【0080】
ステップS605は、メインシステム102が省電力状態時、サブシステム103のウェイクアップモード動作を必要とするデフォルト設定があるか否かを条件に分岐することを示している。この条件判断を行っているときは、サブシステム103は有線通信/無線通信の両方とも使用されていない状態である。この状態においてサブシステム103のウェイクアップモードを設定するデフォルト設定が存在する場合はステップS610へ分岐し、存在しない場合はステップS609へ分岐する。
【0081】
ステップS606は、サブシステム103が外部機器と通信を行っていた時に、IPsecIC220を使用していたか否かを条件に分岐することを示している。IPsecIC220を使用していた場合は、ステップS612へ分岐し、使用していない場合には、ステップS611へ分岐する。
【0082】
ステップS607は、ステップS606と同様である。IPsecIC220を使用していた場合はステップS613へ分岐し、使用していない場合にはステップS614へ分岐する。ステップS608も、ステップS606と同様である。IPsecIC220を使用していた場合はステップS615へ分岐し、使用していない場合にはステップS616へ分岐する。
【0083】
ステップS609は、メインシステム102が省電力状態時、サブシステム103は完全停止状態でいることを決定する処理を示している。今、有線/無線ともに外部機器と通信できない状態で、かつメインシステム102が省電力状態時におけるサブシステム103のウェイクアップモードに関するデフォルト設定も無い状態である。従って、サブシステム103は、メインシステム102が省電力状態時において、サブシステム103のウェイクアップモードは使用しないと判断する。
【0084】
ステップS610は、メインシステムが省電力状態時、サブシステム103はデフォルト設定における省電力状態でいることを決定する処理を示している。この場合のデフォルト設定とは、ユーザーからの設定情報を事前に取得しておき、メインシステム102がサブシステム103に通知しておくことで実現できる。デフォルト設定の一つとしては、サブシステム103は有線LANにおける、イーサネットコントローラIC212のマジックパケット検出機能のみ使用するウェイクアップモードで省電力状態に移行するといったものがある。これにより、もしイーサネットケーブルが接続され有効な有線ネットワークが確立した場合、外部機器からのマジックパケット送信でメインシステム102を通常起動状態へ復帰することが可能になる。この場合、サブシステム103は、イーサネットコントローラIC212のみ電源を入れておき、他はすべての電源供給を停止できる。
【0085】
ステップS611は、以下のようにサブシステム103の各ICにおいて電源供給を制御し、サブシステム103の省電力状態に移行することを決定する処理を示す。
【0086】
サブCPU202…OFF
イーサネットコントローラIC212…ON
USBホストコントローラIC213…OFF
IPsecIC220…OFF
この条件下では、有線接続のみが使用されており、またIPsecIC220も使用されていないので、メインシステム102が省電力状態時には、サブシステム103もイーサネットコントローラIC212のみ起動しておく。そして、イーサネットコントローラIC212のマジックパケット検出時のみ、ウェイクアップ動作を実行する。そのときのウェイクアップ信号は、イーサネットコントローラIC212からメインシステム102の電力制御部225へ通知される。
【0087】
ステップS612は、以下のようにサブシステム103の各ICにおいて電源供給を制御し、サブシステム103の省電力状態に移行することを決定する処理を示す。
【0088】
サブCPU202…ON
イーサネットコントローラIC212…ON
USBホストコントローラIC213…OFF
IPsecIC220…ON
この条件下では、有線接続のみが使用されており、またIPsecIC220が使用されていた状態である。そのため、メインシステム102が省電力状態時には、サブシステム103も、イーサネットコントローラIC212、IPsecIC220、またIPsecIC220を制御するサブCPU202を起動しておく。これにより、IPプロトコルにおいて暗号処理がされているパケットもサブCPUにより解析を行うことができる。
【0089】
よってマジックパケットをイーサネットコントローラIC212が受信した場合のみ、ウェイクアップ信号を送信するといったサブシステム103の機能以外にも様々な機能をサブシステム103が提供することができる。例えば特定のプロトコル、例えば、TCPプロトコルや、SNMPプロトコル等IPより上位レイヤにおけるプロトコル受信した場合に、応答を返すといった処理が、IPプロトコルにおける暗号化がなされていても可能となる。
【0090】
これらの処理は、通常ユーザー要求を受けたメインシステム102より、サブCPU202へ要求されるケースが考えられるが、もちろんデフォルト設定に反映させておいても良い。すなわちサブCPU202が起動している状態であれば、あるプロトコルを含むパケットを受信した場合は必ず応答するといったことデフォルトで設定しておいても良い。
【0091】
さらに補足しておくと、発明のサブシステム103におけるサブCPU202を起動しておくことにより、サブシステム103は、様々なウェイクアップモードを提供できる。
【0092】
ここで、ウェイクアップ条件検出部312について説明する。例えば、イーサネットコントローラIC212はマジックパケットの検出機能しか持っていないとする。しかし、ユーザー設定でサブCPU202にウェイクアップパターンを予め登録しておけば、サブCPU202によるウェイクアップパターン解析とウェイクアップ信号送信を行うことにより、ウェイクアップ動作を実現できる。また、プロトコル処理部303において扱うプロトコルに応じて、様々なレイヤにおけるウェイクアップ処理を提供することができる。
【0093】
それは、例えばプリンタなどの機能を有する情報処理システムにおいて、外部機器より印刷開始データを受信することにより、省電力状態であったプリンタが通常起動に復帰するといったことも実現できることを意味する。
【0094】
なお、サブCPU202のウェイクアップパターン検出とは、単純な特定デジタルデータ列をハードウェア処理により検出するもののみではなく、ソフトウェアでの条件判断処理した結果による検出も含むことを述べておく。
【0095】
ステップS613は、以下のようにサブシステム103の各ICにおいて電源供給を制御し、サブシステム103の省電力状態に移行することを決定する処理を示す。
【0096】
サブCPU202…ON
イーサネットコントローラIC212…ON
USBホストコントローラIC213…ON
IPsecIC220…ON
この条件下では、有線接続/無線接続の両方が使用されており、またIPsecIC220も使用されているので、メインシステム102が省電力状態時には、サブシステム103は、上記すべてをONしておく必要がある。これにより、有線/無線両方からのデータを省電力状態時でも扱うことができ、さらにIPプロトコルの暗号解析も可能である。しかし、サブシステム103の省電力効果としては、電源制御のみでは実現できない条件下である。
【0097】
ステップS614は、以下のようにサブシステム103の各ICにおいて電源供給を制御し、サブシステム103の省電力状態に移行することを決定する処理を示す。
【0098】
サブCPU202…ON
イーサネットコントローラIC212…ON
USBホストコントローラIC213…ON
IPsecIC220…OFF
この条件下では、有線接続/無線接続の両方が使用されており、またIPsecIC220が使用されていないので、メインシステム102が省電力状態時には、サブシステム103は、IPSecIC220のみ電源をOFFすることを決定する。これにより、有線/無線両方からのデータを省電力状態時でも扱うことができる。
【0099】
ステップS615は、以下のようにサブシステム103の各ICにおいて電源供給を制御し、サブシステム103の省電力状態に移行することを決定する処理を示す。
【0100】
サブCPU202…ON
イーサネットコントローラIC212…OFF
USBホストコントローラIC213…ON
IPsecIC220…ON
この条件下では、無線接続のみが使用されており、またIPsecIC220が使用されている場合である。従って、メインシステム102が省電力状態時には、サブシステム103は、イーサネットコントローラIC212のみ電源をOFFすることを決定する。有線LANが使用できないので、無線LAN経由で受信したパケットからウェイクアップパターンをサブCPU202が検出し、メインシステム102へウェイクアップ信号を送信するといったウェイクアップモードを使用することになる。
【0101】
ステップS616は、以下のようにサブシステム103の各ICにおいて電源供給を制御し、サブシステム103の省電力状態に移行することを決定する処理を示す。
【0102】
サブCPU202…ON
イーサネットコントローラIC212…OFF
USBホストコントローラIC213…ON
IPsecIC220…OFF
この条件下では、無線接続のみが使用されており、またIPsecIC220が使用されていない場合である。従って、メインシステム102が省電力状態時には、サブシステム103は、イーサネットコントローラIC212とIPsecIC220の電源をOFFすることを決定する。有線LANが使用できないので、無線LAN経由で受信したパケットからウェイクアップパターンをサブCPU202が検出し、メインシステム102へウェイクアップ信号を送信するといったウェイクアップモードを使用することになる。ステップS615との違いは、IPプロトコルにより暗号化されたパケットを解析できない点である。
【0103】
ステップS617は、サブシステム103が決定した、メインシステム102が省電力時にサブシステム103が適用する省電力状態をメインシステム102に通知する処理を示している。電力制御部225に対し直接サブシステム103が制御要求することが可能であれば、直接行っても良い。メインCPU223のみ電力制御部225を制御することが可能である場合は、サブCPU202は、メインCPU223に対し、サブシステム103が適用する省電力状態を通知し、メインCPU223が電力制御部225に要求を送ればよい。
【0104】
ステップS618は、メインシステム102が省電力状態時に、サブシステム103が適用する省電力状態とウェイクアップモードを決定し、メインシステム102に要求を通知するまでの一連の処理が終了したことを示す。
【0105】
以上のように図6のフローチャートを参照して、サブシステム103の詳細な動作を説明してきた。
【0106】
なお、本実施形態における省電力モードは、大きく2通りに分けることができる。第1の省電力モードでは、サブCPU202に電源供給を行わずイーサネットコントローラIC212に電源供給を行うものである。この場合は、省電力状態からの復帰にイーサネットコントローラIC212のWOL機能を利用し、外部との通信に無線接続は使用されず、また、IPsecIC220も利用されない。
【0107】
第2の省電力モードでは、サブCPU202に電源供給を行い、省電力状態からの復帰をサブCPU202が制御する。この場合は、有線接続と、無線接続とのいずれか或いは両方が使用されていても良いし、また、IPsecIC220が利用されてもされなくても良い。
【0108】
ここで、省電力モードの決定を効率化するために、例えば省電力モード記憶部309に図7に示すようなテーブルを記憶させておくことができる。この場合、通信パラメータ記憶部308が記憶する通信パラメータと図7のテーブルの登録内容とを比較することにより、図6で説明した処理を容易に実現できる。図7では、通信パラメータとして、「有線接続のみ」、「無線接続のみ」、「両方」、また3通りの接続形式についてそれぞれ「IPsecIC220」の使用の有無が想定されている。そして、それぞれの条件について、サブCPU202、イーサネットコントローラIC212、USBホストコントローラIC213及びIPsecIC220のON/OFFが登録されている。
【0109】
以上の本実施形態によれば、WOLまたはWOWLANの使用の有無や、サブシステムに求められる処理の内容に応じて段階的にサブシステムの省電力状態を制御することが可能となる。また、サブシステムの無駄な電力消費を抑えても、WOLまたはWOWLANのような有線または無線による復帰要求に基いてシステムを省電力状態から復帰させることができる。
【0110】
[第2の実施形態]
以上に発明の第1の実施形態を説明してきたが、これらは発明の実施の一例にすぎない。本発明は、以下のように実施することも可能である。
【0111】
例えば、サブシステム103がメインシステム102より、メインシステム102の省電力状態への移行通知を受け取る前、または受け取ると同時に、省電力状態時におけるサブシステム103への要求動作を指定しても良い。例として、メインシステム102が省電力状態においても、外部機器から送られてくるパケットにおいて特定のプロトコルには応答するような指示を与えたとする。このように指示を与えて動作させておくことにより、本発明を適用した情報処理システムは、省電力状態においても外部より情報処理システムの探索が可能となる。省電力状態移行時において、メインシステム102より受け取った上記指示を最優先として、サブCPU202はサブシステム103の省電力状態時にも必ず動作させておくといった制御を行っても良い。
【0112】
サブCPU202を常に動作させるような状況下にも、サブCPU202に供給するクロック周波数を制御することにより、サブCPU202の消費電力を低減させて省電力効果を図ることができる。例えば、図7の電源制御とは別に、クロック制御に関するテーブルを省電力モード記憶部309に用意しておくことができる。その例を図8に示す。図8は、通信方式と、通信パラメータ及びサブCPU202における必要処理を指標として要求されるクロック速度について記載されたものである。
【0113】
通信パラメータ及びサブCPU202における必要処理の例としては、IPsecIC220を使用した通信、ICMPプロトコルにおける応答処理、SNMPプロトコル受信時における応答処理を例にあげている。さらに、Sambaプロトコル受信時における応答処理や、無線使用時におけるWEP、WPA、WPA2といった暗号処理や、アソシエート情報を元にした無線接続維持処理なども例に記載する。
【0114】
図8に記載されている数字は、最大クロック周波数で動作させたときを100としたとき、各処理において要求されるクロック周波数について割合で示したものである。サブCPU202の最大クロック周波数が100MHzである場合に、例えば、IPsecIC220を使用した通信を有線接続のみで行う場合は、20MHzのクロック周波数が要求される。さらにICMPパケットの応答処理も行う場合は、先の20に10を加算した、30MHzのクロック周波数が必要であるというように使用される。さらに、ある処理と他の処理の組み合わせに応じてクロック周波数を一意に決定するようなテーブルを用意しておいても良い。決定したクロック周波数に関しては、サブCPU202からメインシステム102に対し、先の説明で述べたICの電源制御情報と同時に送信し、適用するといった方法を用いることが可能である。
【0115】
実際の通信で使用される通信パラメータごとに対応付けしておくことにより、図8以外の通信設定にも柔軟にサブCPU202のクロック制御による省電力制御が実現できる。
【0116】
本発明におけるサブシステムに収容される各通信処理を担うコントローラは、どのように実装されても良い。第1の実施形態ではICとして実装しているが、本実施形態では、例えばサブCPU202と同じチップ内部に実装されても良い。そのときに、チップに供給する電源またはクロックがチップ内部の各ブロックに対して、独立に供給可能であれば本発明を適用できる。
【0117】
また、第1の実施形態に挙げた無線機能部201も同様である。第1の実施形態では、無線機能部201はサブCPU202が実装された基板とは異なる基板で、基板間接続にはUSBインターフェイスを使用している。しかし、サブシステム103の制御を担うサブCPU202と同一基板またはチップ上に実装されても良い。
【0118】
さらに、本発明を適用できる省電力制御手法は、先の説明に述べた、省電力状態におけるICの電源制御以外にも適用できる。例えば、無線機能部201に実装された全ての機能が、USBデバイスI/F215を介して供給されるものである場合について考える。この場合、USBデバイスI/F215への電源供給の有無をサブシステム103が無線通信の使用の有無に応じて判断してメインシステム102へ通知することにより、省電力効果を向上させることができる。
【0119】
以上のように、発明の実施形態によれば、WOLまたはWOWLANを動作させながら、低消費電力モードとなっている情報処理システムにおいて、サブシステムもWOLまたはWOWLANを動作させながら低消費電力状態にできる。よって、情報処理システム全体としての低消費電力効果を向上できる。
【0120】
[その他の実施形態]
なお、本発明は、複数の機器(例えばホストコンピュータ、インタフェイス機器、リーダ、プリンタなど)から構成されるシステムに適用しても、一つの機器からなる装置(例えば、複写機、ファクシミリ装置など)に適用してもよい。
【0121】
また、本発明の目的は、前述した機能を実現するコンピュータプログラムのコードを記録した記憶媒体を、システムに供給し、そのシステムがコンピュータプログラムのコードを読み出し実行することによっても達成される。この場合、記憶媒体から読み出されたコンピュータプログラムのコード自体が前述した実施形態の機能を実現し、そのコンピュータプログラムのコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成する。また、そのプログラムのコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているオペレーティングシステム(OS)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した機能が実現される場合も含まれる。
【0122】
さらに、以下の形態で実現しても構わない。すなわち、記憶媒体から読み出されたコンピュータプログラムコードを、コンピュータに挿入された機能拡張カードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込む。そして、そのコンピュータプログラムのコードの指示に基づき、その機能拡張カードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行って、前述した機能が実現される場合も含まれる。
【0123】
本発明を上記記憶媒体に適用する場合、その記憶媒体には、先に説明したフローチャートに対応するコンピュータプログラムのコードが格納されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】発明の第1の実施形態に対応する情報処理システムの構成の一例を示す図である。
【図2】発明の第1の実施形態に対応するメインシステム102及びサブシステム103のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図3】発明の第1の実施形態に対応するサブCPU202の有する処理機能を説明するための図である。
【図4】発明の第1の実施形態に対応するメインシステム102、サブシステム103、他機器426の動作の一例を示したシーケンス図である。
【図5】発明の第1の実施形態に対応するサブシステム103の全動作の一例を示すフローチャートである。
【図6】発明の第1の実施形態に対応する省電力モード移行時におけるサブシステム103の詳細な処理の一例を示すフローチャートである。
【図7】発明の第2の実施形態に対応する省電力状態時にサブシステム103が適用する電源制御の一例を示す図である。
【図8】発明の第2の実施形態に対応する省電力状態時にサブシステム103が適用するクロック制御の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0125】
101 情報処理システム
102 メインシステム
103 サブシステム
104 アンテナ
105 ケーブルソケット
106 大気
107 接続ケーブル
108 無線通信機器
109 有線通信機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アプリケーションを実行するメインシステムと、外部装置との通信を制御するサブシステムとを有する情報処理システムであって、
前記メインシステムは、
前記サブシステムから当該サブシステムの省電力の形態に関する情報を取得する取得手段と、
前記メインシステムと前記サブシステムとに対する電源供給を制御する電源制御手段と
を備え、
前記サブシステムは、
前記外部装置と有線通信するための第1のコントローラと、
前記外部装置と無線通信するための第2のコントローラと、
前記サブシステムの制御手段と、
を備え、
前記電源制御手段は、前記サブシステムを省電力状態とする場合に、前記取得手段により取得した前記情報に従って少なくとも、前記制御手段、前記第1のコントローラ、及び、前記第2のコントローラに対する電源供給を制御し、
前記省電力の形態には、前記制御手段に電源供給を行わず前記第1のコントローラに電源供給を行う第1の省電力モードと、前記制御手段及び少なくとも第1のコントローラと前記第2のコントローラとのいずれかに電源供給を行う第2の省電力モードとが含まれる
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記サブシステムは、前記外部装置から受信したデータを信号処理する信号処理手段を備え、
前記電源制御手段は、前記サブシステムを省電力状態とする場合に前記信号処理手段に対する電源供給を更に制御し、該信号処理手段に電源供給する場合には、前記制御手段にも電源供給を行い、
前記外部装置から受信したデータの信号処理には暗号処理が含まれることを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記第1の省電力モードにおいて、前記第1のコントローラが前記外部装置から送信された特定のパケットを検知した場合、該第1のコントローラは、前記省電力状態からの復帰を指示する起動信号を前記電源制御手段へ送信することを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記第2の省電力モードにおいて、前記制御手段は前記外部装置から受信したデータに基づき前記省電力状態から復帰すべきか否かを判定し、復帰すべきと判定した場合に復帰を指示する起動信号を前記電源制御手段へ送信することを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記外部装置から受信したデータが、前記省電力状態からの復帰を指示する特定のパケット、または、前記メインシステムのアプリケーションにより利用されるデータである場合に、前記制御手段は前記省電力状態から復帰すべき、と判定することを特徴とする請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記メインシステムは、前記制御手段に供給するクロック周波数を制御するクロック制御手段をさらに備え、
前記電源制御手段が、前記第2の省電力モードにおいて前記制御手段に電源供給を行う場合に、前記クロック制御手段が当該制御手段に対して供給するクロック周波数を制御して該制御手段における消費電力を低減させることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記サブシステムの省電力の形態は、前記メインシステムの省電力状態の復帰要求を、有線通信を介して受け付けるか、または、無線通信を介して受け付けるかに基いて決定されることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の情報処理システム。
【請求項8】
アプリケーションを実行するメインシステムと、外部装置との通信を制御するサブシステムとを有し、
前記サブシステムは、
前記外部装置と有線通信するための第1のコントローラと、
前記外部装置と無線通信するための第2のコントローラと、
前記サブシステムの制御手段と、
を備える情報処理システムの制御方法であって、
前記メインシステムにおいて、
前記サブシステムから当該サブシステムにおける省電力の形態に関する情報を取得し、
前記取得した情報に従って少なくとも、前記制御手段、前記第1のコントローラ、及び、前記第2のコントローラに対する電源供給を制御し、
前記省電力モードには、前記制御手段に電源供給を行わず前記第1のコントローラに電源供給を行う第1の省電力モードと、前記制御手段及び少なくとも第1のコントローラと前記第2のコントローラとのいずれかに電源供給を行う第2の省電力モードとが含まれる
ことを特徴とする情報処理システムの制御方法。
【請求項9】
コンピュータを、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の情報処理システムとして機能させるためのコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−86068(P2010−86068A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−251685(P2008−251685)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】