説明

情報処理システム

【課題】カードを有効化及び無効化する時間を短縮する情報処理システムを提供すること。
【解決手段】管理装置4のプログラム22が、インターネット6を介して携帯電話からカードの有効又は無効の書き換え要求が入力されたとき、テーブル24を検索してカードの状態情報を書き換え要求に基づいて書き換えるように構成されてなる情報処理システム1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFID(Radio Frequency IDentification)技術を利用した情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
マンション等の入室を管理するシステムにおいて、RFIDが組み込まれたカード(以下、単にカードと言う)が入室の鍵として利用されている。例えば、特許文献1では、居室の入口に設置されている読み取り装置でカードを読み取り、予めシステムに登録しておいたカード情報と比較する。比較した結果、カード情報が一致すれば、入室やその他の目的とするシステムの操作を許可する。
【0003】
【特許文献1】特開2004−265158
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、カードの普及に伴ってカードの紛失等の発生が多くなってきている。カードを紛失した場合はカードを無効化する必要があり、一般にはカード所有者が、システム管理センターに電話連絡をし、システム管理者がカードの無効化を行う。しかし、システム管理者が不在の場合、カードの無効化が翌日になるなど時間がかかる場合がある。また、カード所有者が、カードを紛失したと勘違いして一端無効化し、その後訂正して再び有効化する場合はさらに時間がかかることになる。このように、従来は、カードの有効化及び無効化に時間がかかっていた。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、カードを有効化及び無効化する時間を短縮する情報処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の情報処理システムは、演算処理装置と、記憶装置と、ネットワークを介して複数の携帯情報端末と通信可能な通信装置と、これらの装置に接続されたバスと、記憶装置に格納された演算処理装置を動作させるプログラムとを備えてなる管理装置と、ネットワークを介して管理装置と通信可能でありRFID読み取り装置を有する少なくとも1つの端末とを備え、その端末は、読み取ったRFIDの識別情報を管理装置に送信し、RFIDが有効であるときに予め設定されたプログラムを実行するように構成され、記憶装置は、RFIDが有効か無効かを示す状態情報が格納されるテーブルを備えてなる情報処理システムにおいて、管理装置のプログラムは、ネットワークを介して携帯情報端末からRFIDの有効又は無効の書き換え要求が入力されたとき、テーブルを検索して当該RFIDの状態情報を書き換え要求に基づいて書き換えるように構成されてなることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、携帯情報端末、例えば携帯電話を利用して、カード所有者自身がカードの有効化又は無効化を行うことができる。すなわち、カードを紛失したとき、カード所有者が携帯電話により、管理装置にネットワークを介してアクセスし、ブラウザ上からカードの識別情報を入力し、そのカードの状態情報を無効に書き換え、その書き換え要求を管理装置に送信する。これにより、カード所有者がカードを紛失したと気付いたそのときにカードを無効化することができるので、無効化までの時間を短縮することができる。また、テーブルをそれぞれの端末に備え、書き換え要求があった場合は、管理装置のテーブルを書き換えるとともに、端末のテーブルを書き換えるように構成してもよい。これにより、ネットワークに異常発生し、管理装置と端末とが通信不可能になった場合でも、カードによって端末を動作させることができる。
【0008】
この場合において、端末は入室管理装置であり、その入室管理装置は予め設定されたプログラムに基づいてドアを開閉するものであり、テーブルには、RFIDに対応付けて少なくとも1つの入室管理装置の識別情報が格納されてなるように構成することもできる。
【0009】
これにより、マンションなどの入室の鍵として利用されるカードについて、前述した方法で有効化又は無効化することができる。一般に、マンションに入居する際、マンション入居者に渡されるカードの数は決まっており、例えば入居者が二人であってもカードを5枚渡されることがある。よって、5枚のうち使わない3枚を無効化しておくことで安全性が向上する。また、来訪者があった場合、1枚を有効化して渡すことで利便性が向上する。カードの有効化又は無効化を迅速にできる本発明はこのような場合に有用である。
【0010】
また、テーブルを、RFIDに対応付けて携帯情報端末の識別情報が格納され、管理装置のプログラムは、ネットワークを介して携帯情報端末から携帯情報端末の識別情報が入力されたとき、テーブルを検索して当該識別情報と一致する携帯情報端末の識別情報があれば、書き換え要求を取り込むように構成することが望ましい。
【0011】
これにより、カード所有者がインターネットを介して管理装置にアクセスするときに、携帯電話の識別情報、例えば電話番号を入力し、その番号が予め登録された番号と一致すればカードの状態情報を書き換えられるようにすることで個人識別を正確に行うことができるようになり、安全性が向上する。また、個人識別用のID、パスワードを設定することでさらに安全性が向上する。
【0012】
また、携帯情報端末に替えて情報処理端末、例えばパソコンでカードの状態情報の書き換えを行ってもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、カードを有効化及び無効化する時間を短縮する情報処理システムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の情報処理システムの実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は、情報処理システム1のの第1の実施例の構成図であり、図2(a)は、管理装置4の構成、図2(b)は、テーブル24を示す。本実施例では、情報処理システム1はマンションの入室管理システムであり、カード所有者はマンション入居者で、カードは居室に入室するための鍵として利用される。情報処理システム1は、管理センター2の管理装置4と、管理装置4とインターネット6を介して通信可能な入室管理装置8とを備えて構成されている。また、入室管理装置8と同様の機能を持ち、違う場所のドアを開閉する入室管理装置10を備えている。
【0016】
管理装置4は、図2(a)に示すように、演算処理装置12と、記憶装置14と、インターネット6を介して携帯電話16及び入室管理装置8,10と通信可能な通信装置18と、これらの装置に接続されたバス20と、記憶装置14に格納された演算処理装置12を動作させるプログラム22とを備えて構成されている。また、記憶装置14は、図2(b)に示すように、カード所有者の携帯電話16の電話番号と、認証ID及びパスワードと、カードの対象となる入室管理装置と、カード番号と、カードの状態情報とが対応付けて格納されたテーブル24を備える。
【0017】
入室管理装置8は、カードリーダ25と、ドア開閉器26と、データベース27とを備えて構成されている。入室管理装置8は、カードリーダ25でカードを読み取り、そのカード番号を管理装置4に送信し、管理装置4からそのカードが有効であるという情報が送信されえたとき、ドア開閉器26を駆動してドアを開閉するように構成されている。なお、データベース27は、テーブル24と同じデータが格納されている。
【0018】
このように構成される情報処理システム1の動作について、図3のフローチャート及び図4(a)のアクセス画面、図4(b)の登録画面を参照して説明する。まず、カード所有者はマンション入居の際に、管理センター2からカード、管理センター2のホームページアドレス、管理センター2のホームページにアクセスするための認証ID、パスワードが送付される。また、テーブル24には、前述した携帯電話16の電話番号等が予め登録されている。
【0019】
図3のフローチャートのステップ1において、カード紛失に気付いたカード所有者は、携帯電話16を用いてインターネット6を介して管理センター2のホームページにアクセスする。管理装置4のプログラム22は、アクセスに応じてインターネット6を介して携帯電話16の表示画面に図4(a)のようなアクセス画面28を表示する。カード所有者は、携帯電話16の入力装置を用いて、アクセス画面28に認証ID、電話番号、パスワードを入力し、決定ボタン29を押下してそれらの識別情報を管理装置4に送信する。
【0020】
ステップ2において、管理装置4のプログラム22は、それらの識別情報に基づいてテーブル24を検索し、一致する情報があれば認証完了とする。例えば、携帯電話16から、認証ID「ccc」、電話番号「2222」、パスワード「ddd」が送信された場合、カード番号「565656」及び「787878」のカード所有者と認識できる。認証が完了したら、インターネット6を介して携帯電話16の表示画面に図4(b)のように、該当するカード情報と状態情報が表示された登録画面30を表示する。
【0021】
ステップ3において、カード所有者は、登録画面30を見て無効を選択し、登録ボタン31を押下してその登録情報を管理装置4に送信する。
【0022】
ステップ4において、管理装置4のプログラム22は、その登録情報に基づいてテーブル24の該当する箇所の状態情報を書き換える。
【0023】
また、ステップ5において、管理装置4のプログラム22は、書き換えが発生した場合、インターネット6を介して書き換えたカードの状態情報を、カードの対象装置である入室管理装置8に送信する。入室管理装置8は、データベース27の該当する箇所の状態情報を書き換える。例えば、図2(b)の電話番号「3333」、認証ID「eeee」、パスワード「ffff」にて認証し、カード番号「6666」を無効化した場合、対象装置が入室管理装置8及び入室管理装置10になるので、管理装置4のプログラム22は、入室管理装置8及び入室管理装置10にカード番号「6666」と無効化情報を転送する。入室管理装置8及び入室管理装置10は無効化情報に基づいてそれぞれのデータベースを書き換える。
【0024】
以上説明したように、本実施例によれば、携帯電話16を利用して、カード所有者自身がカードの有効化又は無効化を行うことができる。すなわち、カードを紛失したとき、カード所有者が携帯電話16により、管理装置4にインターネット6を介してアクセスし、登録画面30からそのカードの状態情報を無効に書き換え、その書き換え要求を管理装置4に送信する。これにより、カード所有者がカードを紛失したと気付いたそのときにカードを無効化することができるので、無効化までの時間を短縮することができる。また、データベース27をそれぞれの入室管理装置に備え、書き換え要求があった場合は、テーブル24を書き換えるとともに、データベース27を書き換えるように構成したので、異常が発生して管理装置4と入室管理装置8とが通信不可能になった場合でも、カードによって入室管理装置8を動作させることができる。また、テーブル24のデータが失われても、データベース27のデータを用いることで、テーブル24のデータの再生が容易である。
【実施例2】
【0025】
図5を参照して、本発明の情報処理システム1の第2の実施例について説明する。本実施例では、第1の実施例の管理センター2を介さず、入室管理装置8及び入室管理装置10でカードの有効化、無効化を実施する。そのため、予め管理センター2で登録した情報を各入室管理装置に実装し、入室管理装置8及び入室管理装置10は、テーブル24内の対象となるデータのみを各データベースに有する。例えば、入室管理装置8のデータベース27には、図2(b)の対象装置欄の入室管理装置8に該当するデータが格納されている。その他の構成については、第1の実施例と同様である。本実施例によれば、管理センター2を介さずに、カードの有効化、無効化を実施できる。
【0026】
以上、本実施例の情報処理システム1について説明したが、本発明は、これらの実施例に限らず適宜構成を変更して適用することができる。例えば、入室管理装置8にデータベース27を備えたが、無くても構わない。また、アクセス画面28に入力するのは、携帯電話16のシリアル番号等でもよい。
【0027】
また、本発明は鍵としてのカードに限らず、金融機関のキャッシュカード、クレジットカードの場合にも適用できる。例えば、管理装置4を金融機関のカード管理装置とし、入室管理装置8をATM(Automatic Teller Machine)とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】第1の実施例の情報処理システムの構成図である。
【図2】(a)は管理装置の構成図であり、(b)はテーブル24である。
【図3】カードの状態情報を書き換えるフローチャートである。
【図4】(a)はアクセス画面であり、(b)は登録画面である。
【図5】第2の実施例の情報処理システムの構成図である。
【符号の説明】
【0029】
1 情報処理システム
2 管理センター
4 管理装置
6 インターネット
8,10 入室管理装置
24 テーブル
27 データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
演算処理装置と、記憶装置と、ネットワークを介して複数の携帯情報端末と通信可能な通信装置と、これらの装置に接続されたバスと、前記記憶装置に格納された前記演算処理装置を動作させるプログラムとを備えてなる管理装置と、前記ネットワークを介して前記管理装置と通信可能でありRFID読み取り装置を有する少なくとも1つの端末とを備え、該端末は、読み取ったRFIDの識別情報を前記管理装置に送信し、前記RFIDが有効であるときに予め設定されたプログラムを実行するように構成され、前記記憶装置は、前記RFIDが有効か無効かを示す状態情報が格納されるテーブルを備えてなる情報処理システムにおいて、
前記管理装置のプログラムは、前記ネットワークを介して前記携帯情報端末から前記RFIDの有効又は無効の書き換え要求が入力されたとき、前記テーブルを検索して当該RFIDの前記状態情報を前記書き換え要求に基づいて書き換えるように構成されてなることを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
請求項1の情報処理システムにおいて、
前記端末は入室管理装置であり、該入室管理装置は前記予め設定されたプログラムに基づいてドアを開閉するものであり、前記テーブルには、前記RFIDに対応付けて少なくとも1つの前記入室管理装置の識別情報が格納されてなることを特徴とする情報処理システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の情報処理システムにおいて、
前記テーブルには、前記RFIDに対応付けて前記携帯情報端末の識別情報が格納され、前記管理装置のプログラムは、前記ネットワークを介して前記携帯情報端末から前記携帯情報端末の識別情報が入力されたとき、前記テーブルを検索して当該識別情報と一致する前記携帯情報端末の識別情報があれば、前記書き換え要求を取り込むことを特徴とする情報処理システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の情報処理システムにおいて、
前記携帯情報端末に替えて、情報処理端末にしたことを特徴とする情報処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−26942(P2010−26942A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−190212(P2008−190212)
【出願日】平成20年7月23日(2008.7.23)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】