説明

情報処理システム

【課題】 手書き文字から利用者が必要とするコンテンツを利用者が指定する任意のタイミングで再生することができる機能を備えた情報処理システムを提供すること。
【解決手段】 複数の手書き文字から成る文字列が取得対象のコンテンツに対応する特定の単語または熟語に該当するか否かを認識する第1の手段と、特定の単語または熟語に該当した場合に、当該特定の単語または熟語の記述位置にコンテンツ取得の契機となる特定の記述アクションがなされたかを検出する第2の手段と、特定の記述アクションを検出したことを契機に、前記特定の単語または熟語に対応したコンテンツを取得する第3の手段と、取得したコンテンツを視聴可能なように再生処理し、投影表示手段により前記手書き文字入力面に投影表示する第4の手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手書き文字入力面に入力された手書き文字を認識し、その認識結果に応じたコンテンツを取得して前記手書き文字入力面に投影表示する情報処理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、コンテンツ実行指示の方法として紙面に印刷された文字情報を認識し、認識情報に応じた処理を行う技術が存在する。例えば、下記特許文献1では新聞や雑誌等のテレビ番組表をカメラで認識し、テレビ番組に示された「○」「×」を認識し番組の録画予約の実行/削除が指示されることが記載されている。
また、下記特許文献2では手書き入力された文字を認識し、各文字に対応する色情報を関連付けて記憶する文字/色関連テーブルに基づいて各文字に関連付けられた色情報を出力することでユーザの手書き入力された文字が認識可能か否かを判別でき文字認識性能を向上させることができることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−142576号公報
【特許文献2】特開2003−271896号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に記載された技術においては、利用者は特定する「録画」という一つのコンテンツの操作のみが可能であり、他のコンテンツを操作することができなかった。
また、上述した特許文献2に記載された技術においても、利用者のタイミングに関係なく手書き入力された文字を認識し、「色情報を出力する」とういうプログラムが自動的に実行されるため、利用者はプログラムの起動操作を任意のタイミングで行えなかった。
すなわち、上記のいずれの技術においても、利用者が必要とするあらゆるコンテンツまたはコンテンツを再生するプログラムを利用者が指定した任意のタイミングで起動させることが不可能であった。
【0005】
本発明の目的は、手書き文字から利用者が必要とするコンテンツを利用者が指定する任意のタイミングで再生することができる機能を備えた情報処理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を解決するために、本発明は、手書き文字入力面に入力された手書き文字を認識し、その認識結果に応じたコンテンツを取得して前記手書き文字入力面に投影表示する情報処理システムであって、
前記認識した複数の手書き文字から成る文字列が取得対象のコンテンツに対応する特定の単語または熟語に該当するか否かを単語対応コンテンツテーブルに登録した単語または熟語とコンテンツの対応関係に基づき認識する第1の手段と、
前記文字列が特定の単語または熟語に該当した場合に、当該特定の単語または熟語の記述位置にコンテンツ取得の契機となる特定の線または記号から成る記述アクションがなされたかを検出する第2の手段と、
特定の線または記号から成る記述アクションを検出したことを契機に、前記第1の手段が認識した特定の単語または熟語に対応して前記単語対応コンテンツテーブルに登録されているコンテンツを内部または外部のコンテンツ資源から取得する第3の手段と、
取得したコンテンツを視聴可能なように再生処理し、投影表示手段により前記手書き文字入力面に投影表示させる第4の手段と
を備えることを特徴とする。
また、前記第2の手段は、当該特定の単語または熟語の記述位置にコンテンツ取得の契機となる特定の線または記号から成る記述アクションがなされたか否かを、記述アクションを記述態様別に定義したアクション定義テーブルに基づき検出することを特徴とする。
さらに、前記投影表示手段はコンテンツに含まれる音を再生する発音手段を含むものであることを特徴とする。
また、前記第3の手段は、前記第1の手段が認識した特定の単語または熟語に対応して前記単語対応コンテンツテーブルに登録されているプログラムを起動し、この起動されたプログラミングに対応付けられたコンテンツを内部または外部のコンテンツ資源から取得することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ユーザが手書きした文字を認識し、その認識した複数の手書き文字から成る文字列が取得対象のコンテンツに対応する特定の単語または熟語に該当するか否かを単語対応コンテンツテーブルに登録した単語とコンテンツの対応関係に基づき認識し、前記文字列が特定の単語または熟語に該当した場合に、当該特定の単語または熟語の記述位置にコンテンツ取得の契機となる特定の線または記号から成る記述アクションがなされたかを検出し、特定の線または記号から成る記述アクションがなされたことを契機に、前記第1の手段が認識した特定の単語または熟語に対応して前記単語対応コンテンツテーブルに登録されているコンテンツを内部または外部のコンテンツ資源から取得し、当該コンテンツを視聴可能なように再生処理し、投影表示手段により前記手書き文字入力面に投影表示するように構成したため、利用者が指定した任意のタイミングで利用者が必要とする教材などのコンテンツを手書き文字入力画面に投影表示することができ、特に、学校教育などにおいて生徒が教科を理解し易くなるような副教材などを投影表示する場合に極めて有効な効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施の形態を示すシステム構成図である。
【図2】単語対応コンテンツテーブルの登録内容の例を示す図である。
【図3】アクション態様定義テーブルの登録内容の例を示す図である。
【図4】手書き文字を認識した後、単語または熟語として認識したことを強調表示する例を示す図である。
【図5】ユーザによって特定のアクションがなされた場合に単語対応のコンテンツが表示された例を示す図である。
【図6】単語対応のコンテンツの他の例を示す図である。
【図7】情報処理装置の各部の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明に係る情報処理システムの一実施形態を示すシステム構成図である。
図1に示すように、本実施形態は、ユーザ(例えば教師)101がホワイトボード用描画ペン102で手書き文字(例えば、炎色反応とは)を記述するホワイトボード103と、このホワイトボード103の手書き文字入力面に記述された手書き文字を撮影するカメラ104と、カメラ104で撮影した手書き文字を公知のイメージ認識技術によって文字認識し、その認識結果に含まれる単語や熟語に対応して予め登録されたコンテンツを取得する情報処理装置105と、取得したコンテンツを投影表示する投影表示装置106およびスピーカ107と、表示装置108と、外部のコンテンツDB109、コンテンツサーバ110とから構成されている。
ここで、外部のコンテンツDB109、コンテンツサーバ110はインターネットなどのネットワーク112を介してアクセス可能になっているが、コンテンツDB109は情報処理システム105内に内蔵される場合がある。
【0010】
情報処理システム105は、ホワイトボード103の手書き文字入力面に入力された手書き文字を文字/単語辞書1051に登録された情報に基づいて認識し、その認識した複数の手書き文字から成る文字列が取得対象のコンテンツに対応する特定の単語または熟語に該当するか否かを単語対応コンテンツテーブル1052に登録した単語とコンテンツの対応関係に基づき認識する識別部1053と、前記文字列が特定の単語または熟語に該当した場合に、当該特定の単語または熟語の記述位置にコンテンツ取得の契機となる特定の下線または記号から成る記述アクションがなされたかをアクション定義テーブル1054の登録情報に基づいて検出するユーザアクション検出部1055と、特定の線または記号から成る記述アクションがなされたことを契機に、前記識別部1053認識した特定の単語または熟語に対応して前記単語対応コンテンツテーブル1052に登録されているコンテンツを内部または外部のコンテンツ資源109または111から取得するコンテンツ取得部1056と、取得したコンテンツを視聴可能なように再生処理し、投影表示装置106よりホワイトボード103の手書き文字入力面に投影表示すると共に、スピーカ107から発音させるコンテンツ再生出力部1057とを備えて構成されている。
ここで、ホワイトボード103の手書き文字入力面に入力された手書き文字を認識する識別部1053の処理は公知の技術であるため、その詳細な説明は省略する。
【0011】
図2は、単語対応コンテンツテーブル1052の登録内容の一例を示す図であり、特定単語/熟語10521に対して特定のコンテンツである教材10522が登録され、かつ教材を取得した場合の動作10523が登録されている。
例えば「炎色反応」と言う単語に対しては動画Aがコンテンツとして登録され、教師(ユーザ)によって「炎色反応」という単語の下部位置に下線を引くという記述アクションがなされた場合には、このことを検出したタイミングで動画Aを再生させ、動画Aを投影表示するという動作が実行される。
教材の格納場所の指定の仕方としては、ファイル名、URLなどの公知の指定の仕方を用いることが可能である。
【0012】
図3は、アクション態様定義テーブル1054の登録内容の一例を示す図であり、アクションナンバー10541別に、アクション態様10542、現在設定10543が登録されている。
アクション態様10542とは、識別部1053が認識した単語または熟語に対してユーザがどういう記述アクションをしたかを検出するための定義であって、ここでは認識した文字列(単語または熟語)を丸印で囲むといったアクション、認識した文字列(単語または熟語)に下線を引くなどの定義が登録されている。
ユーザアクション検出部1055は、この定義に従い、認識した文字列(単語または熟語)が丸印(長楕円)で囲まれたか、あるいは下線が引かれたかを認識する。この認識処理も公知の技術を用いることができるのでその詳細な説明は省略する。
現在設定10543は、どのアクションナンバーのアクション定義が使用可能になっているかを示すものであり、図3の例ではアクションナンバー1と2が使用可能になっていることを示している。
【0013】
図4は、ホワイトボード103上に描画ペン10で文字401を手書きした場合の動作を説明する図である。
図示のように例えば「炎色反応とは、」という文字401を手書きすると、この手書き文字401は識別部1053によって個々の文字が認識される(図4a)。情報処置装置105に複数の文字列からなる単語または熟語として認識されると、情報処理装置105が単語または熟語として認識したことをユーザに確認させるために識別部1053は認識した文字401を太字に変更し、強調表示する(図4b)。この場合、太字でなく、他の文字種または色を変更して強調表示するようにしてもよい。
【0014】
次に、ユーザが描画ペン102を用いて、認識した単語または熟語の下部に下線403を引くと(図4c)、ユーザアクション検出部1055はこの下線を引くアクションを認識し、単語または熟語に対応したコンテンツを取得して表示するタイミングがユーザによって指示されたものと判定する。そして、その判定結果をコンテンツ取得部1056に通知し、コンテンツ資源109または111からコンテンツを取得させた後、コンテンツ再生出力部1057に再生処理させ、投影表示装置106に投影表示させる。
【0015】
図5は、「アルカリ金属とは」という文字列の認識結果に基づいて取得したコンテンツを吹き出し形式501で表示した例を示すものである。
【0016】
また、図6は「春蛙秋蝉(しゅんあしゅうぜん)とは、」という文字列の認識結果に対し、単語対応コンテンツテーブル1052に登録されたアニメーションのコンテンツを取得し、アニメーション601として投影表示した例を示すものである。
【0017】
図7は、情報処理装置105の各部の処理を示すフローチャートである。
ユーザ101が手書き文字をホワイトボード103上に入力すると(ステップ701)、カメラ104はその手書き文字の画像を識別部1053に送信する。識別部1053は、入力された手書き文字の画像により当該手書き文字が何と言う文字であるかを識別し、さらに複数の文字列が何と言う単語または熟語であるかを文字/単語辞書1051を参照し、公知の文字認識技術によって識別する(ステップ702)。
この識別結果はユーザアクション検出部1055とコンテンツ取得部1056に送信される。
【0018】
ユーザアクション検出部1055は、識別された単語または熟語に対して、アクション定義テーブル1054に定義されたアクション、すなわちユーザによって手書きされた単語または熟語に対し下線を引く、または丸印(長楕円)で囲むといったアクションがなされたかを検出したならば(ステップ703)、このことをコンテンツ識別部1056に通知する。
【0019】
コンテンツ取得部1056は、ユーザの特定アクションを検出したタイミングで識別部1053が認識した単語または熟語に対応して登録されているコンテンツの存在場所(格納位置)またはコンテンツ名(ファイル名)を単語対応コンテンツテーブル1052から取得し、該当するコンテンツをコンテンツ資源109または111から取得する(ステップ704)。そして、取得したコンテンツをコンテン再生出力部1057に送信し、投影表示装置106及びスピーカ107から視聴可能なように再生処理する。再生されたコンテンツは投影表示装置106によってホワイトボード上に表示されると同時に、表示装置108にも表示される(ステップ705)。この場合、コンテンツが楽音や音声などの音を含むものであったときにはスピーカ107から発音されることは言うまでもない。
【0020】
以上のように本実施形態によれば、ユーザが手書きした文字を認識し、その認識した複数の手書き文字から成る文字列が取得対象のコンテンツに対応する特定の単語または熟語に該当するか否かを単語対応コンテンツテーブルに登録した単語とコンテンツの対応関係に基づき認識し、前記文字列が特定の単語または熟語に該当した場合に、当該特定の単語または熟語の記述位置にコンテンツ取得の契機となる特定の線または記号から成る記述アクションがなされたかを検出し、特定の線または記号から成る記述アクションがなされたことを契機に、前記第1の手段が認識した特定の単語または熟語に対応して前記単語対応コンテンツテーブルに登録されているコンテンツを内部または外部のコンテンツ資源から取得し、当該コンテンツを視聴可能なように再生処理し、投影表示手段により前記手書き文字入力面に投影表示するように構成したため、利用者が指定した任意のタイミングで利用者が必要とする教材などのコンテンツを手書き文字入力画面に投影表示することができ、特に、学校教育などにおいて生徒が教科を理解し易くなるような副教材などを投影表示する場合に極めて有効な効果を発揮する。
【0021】
なお、上記実施形態においては、単語/熟語対応のコンテンツをコンテンツ資源から直接取得する例を挙げて説明したが、コンテンツが特定のプログラムを起動することによって間接的に提供される形態になっているものについては、コンテンツを直接取得する代わりに、起動対象のプログラムを起動するように単語対応コンテンツテーブルに登録すればよい。すなわち、コンテンツ取得部は、識別部が認識した特定の単語または熟語に対応して単語対応コンテンツテーブルに登録されているプログラムを起動し、この起動されたプログラムに対応付けられたコンテンツを内部または外部のコンテンツ資源から取得するように構成することができる。
また、ホワイトボードに投影表示する例を挙げて説明したが、白色の壁面に投影表示することも可能である。
【符号の説明】
【0022】
101 ユーザ
102 描画ペン
103 ホワイトボード
104 カメラ
105 情報処理装置
106 投影表示装置
107 スピーカ
108 表示装置
109 コンテンツDB
110 コンテンツサーバ
1051 文字/単語辞書
1052 単語対応コンテンツテーブル
1053 識別部
1054 アクション態様定義テーブル
1055 ユーザアクション認識部
1056 コンテンツ取得部
1057 コンテンツ再生出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
手書き文字入力面に入力された手書き文字を認識し、その認識結果に応じたコンテンツを取得して前記手書き文字入力面に投影表示する情報処理システムであって、
前記認識した複数の手書き文字から成る文字列が取得対象のコンテンツに対応する特定の単語または熟語に該当するか否かを単語対応コンテンツテーブルに登録した単語または熟語とコンテンツの対応関係に基づき認識する第1の手段と、
前記文字列が特定の単語または熟語に該当した場合に、当該特定の単語または熟語の記述位置にコンテンツ取得の契機となる特定の線または記号から成る記述アクションがなされたかを検出する第2の手段と、
特定の線または記号から成る記述アクションを検出したことを契機に、前記第1の手段が認識した特定の単語または熟語に対応して前記単語対応コンテンツテーブルに登録されているコンテンツを内部または外部のコンテンツ資源から取得する第3の手段と、
取得したコンテンツを視聴可能なように再生処理し、投影表示手段により前記手書き文字入力面に投影表示させる第4の手段と
を備えることを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記第2の手段は、当該特定の単語または熟語の記述位置にコンテンツ取得の契機となる特定の線または記号から成る記述アクションがなされたか否かを、記述アクションを記述態様別に定義したアクション定義テーブルに基づき検出することを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記投影表示手段はコンテンツに含まれる音を再生する発音手段を含むものであることを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記第3の手段は、前記第1の手段が認識した特定の単語または熟語に対応して前記単語対応コンテンツテーブルに登録されているプログラムを起動し、この起動されたプログラミングに対応付けられたコンテンツを内部または外部のコンテンツ資源から取得することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の情報処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−105229(P2013−105229A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247116(P2011−247116)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000233055)株式会社日立ソリューションズ (1,610)
【Fターム(参考)】