説明

情報処理方法、プログラム、情報処理装置

【課題】作業姿勢の悪さに伴うVDT症候群の症状発生を予防する。
【解決手段】表示装置103の画面の周囲の少なくとも2箇所に配置され、表示装置103の画面に向かう作業者までの距離を検出する複数の距離センサ105と、複数の距離センサ105各々より検出された距離を無線通信により取得するUSBレシーバ109と、取得した距離に基づいて作業者の作業姿勢を判定し、その判定結果に基づいて作業姿勢に関する警告信号を出力する作業姿勢判定プログラム200と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理方法、プログラム、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
VDT(Visual Display Terminals)作業による心身の疲労が問題となっている。厚生労働省によるVDT作業の実態調査(「技術革新と労働に関する実態調査(平成15年度)」)の方でも、VDT作業により心身の疲労感を感じているVDT作業者の割合が今なお多いことが明らかにされている。
【0003】
特許文献1には、ディスプレイに視覚センサを設け、VDT作業者が画面に近づき過ぎると警告を出力するシステムが提案されている。当該システムでは、VDT作業を長時間行うと、つい夢中になって画面に接近し過ぎてしまい、眼疲労や視力低下に繋がるため、それらを予防する対策を実現している。
【特許文献1】特開2003−70768号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、VDT作業に夢中になると、画面に接近し過ぎることはもとより、頭を突き出した形の前傾姿勢(猫背)や背筋をねじ曲げた姿勢となる場合がある。このような悪い作業姿勢のままVDT作業を継続すると、肩凝り、腰痛、偏頭痛等の原因となる。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、VDT作業者の作業姿勢の悪さを検出して警告信号を出力することにより、作業姿勢の悪さに伴うVDT症候群の症状発生を予防することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した課題を解決する主たる本発明は、入力装置と表示装置とを備え、当該表示装置の画面に向かって当該入力装置を操作する作業者に、作業姿勢に関する警告信号を出力する情報処理装置による情報処理方法であって、前記情報処理装置が、前記表示装置の画面の周囲の少なくとも2箇所に配置される距離センサより、前記表示装置の画面から作業者までの距離を取得するステップと、取得した距離に基づいて作業者の作業姿勢を判定するステップと、前記作業姿勢の判定結果に基づいて作業姿勢に関する警告信号を出力するステップと、を実行することを特徴とする。
【0007】
また、上記の情報処理方法であって、前記距離センサは、画面垂直方向上の位置が異なる第1距離センサ並びに第2距離センサを有し、前記作業姿勢を判定するステップは、前記第1距離センサ及び前記第2距離センサ各々より取得された距離の差分が、作業者が画面に対し前傾し過ぎているか否かの境界を示す第1閾値を上回るか否かを判定するステップを有し、前記警告信号を出力するステップは、前記第1閾値を上回る場合に、当該作業者の作業姿勢が画面に対し前傾し過ぎている旨を示す警告信号を出力するステップを有すること、としてもよい。
【0008】
また、上記の情報処理方法であって、前記距離センサは、画面水平方向上の位置が異なる第3距離センサ並びに第4距離センサを有し、前記作業姿勢を判定するステップは、前記第3距離センサ及び前記第4距離センサ各々より取得された距離の差分が、作業者が画面に対し斜め過ぎているか否かの境界を示す第2閾値を上回るか否かを判定するステップを有し、前記警告信号を出力するステップは、前記第2閾値を上回る場合に、当該作業者の作業姿勢が画面に対し斜め過ぎている旨を示す警告信号を出力するステップを有すること、としてもよい。
【0009】
また、上記の情報処理方法であって、前記距離センサより取得された複数の距離のいずれかが、作業者が画面に接近し過ぎているか否かの境界を示す第3閾値を下回るか否かを判定するステップを有し、前記警告信号を出力するステップは、前記第3閾値を下回る場合に、当該作業者の作業姿勢が画面に接近し過ぎている旨を示す警告信号を出力するステップを有すること、としてもよい。
【0010】
また、上記の情報処理方法であって、前記表示装置の画面の周囲に配置される画像センサより、作業者の目を撮影した画像を取得するステップと、取得された作業者の目の画像に基づいて、前記作業者の目線が画面に向かっているか否かを判定するステップと、を有し、前記作業姿勢を判定するステップは、前記作業者の目線が画面に向かっていない場合に、前記作業姿勢の判定を無効化するステップを有すること、としてもよい。
【0011】
また、上記の情報処理方法であって、前記警告信号を出力するステップは、前記警告信号を前記表示装置の画面に表示させるステップを有すること、としてもよい。
【0012】
また、前述した課題を解決するためのその他の主たる本発明は、情報処理装置の表示装置の画面の周囲の少なくとも2箇所に配置される距離センサより、当該表示装置の画面から当該情報処理装置の入力装置を操作する作業者までの距離を取得する機能と、取得した距離に基づいて作業者の作業姿勢を判定する機能と、前記作業姿勢の判定結果に基づいて作業姿勢に関する警告信号を出力する機能と、をコンピュータに実現させるためのプログラムである。
【0013】
また、前述した課題を解決するためのさらにその他の主たる本発明は、入力装置と表示装置とを備え、当該表示装置の画面に向かって当該入力装置を操作する作業者に作業姿勢に関する警告信号を出力する情報処理装置であって、前記表示装置の画面の周囲の少なくとも2箇所に配置される距離センサより、前記表示装置の画面から作業者までの距離を取得する距離取得部と、取得した距離に基づいて作業者の作業姿勢を判定する作業姿勢判定部と、前記作業姿勢の判定結果に基づいて作業姿勢に関する警告信号を出力する警告出力部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、VDT作業者の作業姿勢の悪さを検出して警告を出力することにより、作業姿勢の悪さに伴うVDT症候群の症状発生を予防することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
<<VDT機器の構成>>
VDT機器は、文字や図形等の情報を表示する表示装置と入力装置とを有する情報処理装置であり、デスクトップ型やノート型のパーソナルコンピュータ(以下、パソコンと略称する。)、店舗等で使用するPOS(Point Of Sale)用端末、システム監視用の表示パネル等として利用される。尚、VDT機器を使用して、データの入力、検索、照合等、文章や画像等の作成、編集、修正等、プログラミング、監視等を行う作業はVDT作業と呼ばれている。また、VDT作業を長時間継続することで心身に支障をきたす病気はVDT症候群と呼ばれている。
【0016】
本発明のVDT機器は、上記の構成や機能に加えて、表示装置の画面に向かって入力装置を操作するVDT作業者に対して作業姿勢を注意喚起する構成並びに機能を具備する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係るVDT機器100及び周辺機器の構成を示したブロック図である。
【0018】
VDT機器100は、CPU(Central Processing Unit)101、入力装置102、表示装置103、表示ドライバ104、距離センサ105、画像センサ106、出力装置107、USB(Universal Serial Bus)インタフェース108、USBレシーバ109、メモリ110、ハードディスク111、を有する。
【0019】
CPU101は、VDT機器100全体の制御を司るプロセッサである。尚、CPU101の他に、マイクロコンピュータや、マイクロプロセッサとして実施しても良い。
入力装置102は、VDT作業者がデータの入力等を行う装置であって、キーボード、マウス、テンキー入力機器等で実施される。
表示装置103は、VDT作業者がVDT作業の際に画面に表示された文字や画像等を視覚的に確認するための装置であって、液晶ディスプレイ、液晶パネル、ブラウン管等で実施される。
表示ドライバ104は、表示装置103における文字や画像等の画面表示を制御するドライバである。
【0020】
距離センサ105は、表示装置103の画面の周囲(例えば、画面を取り囲むフレーム)に画面垂直方向上の位置が異なる少なくとも2箇所に配置され、表示装置103の画面に向かうVDT作業者までの距離を検出するセンサである。距離センサ105は、赤外線距離センサ、超音波距離センサ、レーザ距離センサ等で実施される。また、距離センサ105は、Bluetooth(登録商標)やIrDA等の規格に応じた無線通信機能を具備しており、検出した距離を無線通信によってUSBレシーバ109に送信する。
【0021】
画像センサ106は、表示装置103の画面の周囲(例えば、画面を取り囲むフレーム)にVDT作業者の目の画像を撮影するセンサである。画像センサ106は、CCD(Charge Coupled Device)カメラ、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラ等で実施される。また、画像センサ106は、距離センサ105と同様に、Bluetooth(登録商標)やIrDA等の規格に応じた無線通信機能を具備しており、検出した画像を無線通信によってUSBレシーバ109に送信する。
【0022】
尚、距離センサ105並びに画像センサ106は、USB機器であって、USBレシーバ109とUSBケーブルで接続する実施であってもよい。この場合、距離センサ105並びに画像センサ106は、USBレシーバ109よりUSBケーブルを介して電源供給を受けることができる。
【0023】
出力装置107は、表示装置103以外の出力装置であって、スピーカ、プリンタ等として実施される。
【0024】
USBインタフェース108は、VDT機器が備えるUSBポート(不図示)に接続された各種USB機器との間で情報の授受を行う通信インタフェースである。尚、USBポートに接続されたUSB機器は、USBインタフェース108を介して電源供給を受けることができる。
【0025】
USBレシーバ109は、USBインタフェース108に接続されるUSB機器の一つである。USBレシーバ109は、複数の距離センサ105により検出された距離や画像センサ106により検出された画像を無線通信によって受信する機能を具備する。尚、USBレシーバ109は、本願請求項に係る距離取得部に対応する。
【0026】
メモリ110は、VDT機器100の主記憶装置であって、RAM、ROM等で実施される。CPU101は、メモリ102に格納されたデータやプログラムを用いて各種の処理を実行する。
【0027】
ハードディスク111は、VDT機器100の補助記憶装置である。尚、ハードディスク111には、CD媒体やDVD媒体等の記録媒体に格納されたVDT作業姿勢判定プログラム200がインストールされている。VDT作業姿勢判定プログラム200は、画像処理モジュール210、距離検出モジュール220、作業姿勢判定モジュール230を有しており、これらを呼び出すメインルーチンとなっている。
【0028】
画像処理モジュール210は、画像センサ106より送られてくる画像を画像処理するプログラムである。例えば、原画像のピクセル毎に色情報を識別する処理を行う。これにより、VDT作業者の目線(網膜、瞳孔等)の位置が識別可能となる。
【0029】
距離検出モジュール220は、複数の距離センサ105とUSBレシーバ109との間のデータ授受の時間差や表示装置103の姿勢に応じて、複数の距離センサ105より送られてくる複数の距離が対比可能なように補正を施すプログラムである。
【0030】
作業姿勢判定モジュール230は、画像処理モジュール210の処理結果として得られるVDT作業者の目線の位置と、距離検出モジュール220の処理結果として得られるVDT作業者との間の距離と、を総合的に考量して、VDT作業者の作業姿勢が悪いか否かを判定し、作業姿勢が悪い場合にはVDT作業者に向けた警告信号を出力するプログラムである。尚、警告信号の出力は、表示ドライバ104によって作業姿勢が悪い旨の警告メッセージ(警告信号の一例)を表示装置103の画面に表示させることで実施される。
【0031】
尚、VDT作業姿勢判定プログラム200は、ハードディスク111にインストールされる実施に限定されない。VDT作業姿勢判定プログラム200が格納されたCD媒体やDVD媒体等の記録媒体をVDT機器100が備えるCD・DVD再生装置(不図示)から直接再生して実行する実施であってもよい。また、VDT作業姿勢判定プログラム200が実行する機能は、集積回路等のハードウェアとして実施してもよい。
【0032】
また、警告信号の出力は、警告メッセージを画面に表示する実施形態に限定されず、出力装置107としてのスピーカより警告メッセージや警告音を音声出力する実施形態としてもよい。
【0033】
<<距離センサ及び画像センサの取付位置>>
以下では、図2を用いて、図1に示したVDT機器100の一例としてノート型パソコン300を例に挙げ、その表示装置103における距離センサ105及び画像センサ106の取付位置について詳述する。
【0034】
図2に示すノート型パソコン300は、図1に示したVDT機器100との関係で、本体筐体1023の一部を構成するキーボード1021及びポインティングデバイス1022が入力装置102に対応する。
また、液晶パネル1031と液晶パネル1031の周囲を取り囲むフレーム1032とで構成された液晶筐体1033が表示装置103に対応する。尚、図2では、液晶パネル1031の中央位置に、警告メッセージ1035が表示される場合を示している。
また、5つの距離センサ105a〜105eが距離センサ105に対応する。
画像センサ106は、液晶パネル1031に対し紙面上側のフレーム1032の中央部に配置される。
【0035】
距離センサ105aは、液晶パネル1031に対し紙面上側のフレーム1032中央部に配置される。尚、画像センサ106と水平方向上並んだ配置となる。
距離センサ105bは、液晶パネル1031に対し紙面右側のフレーム1032中央部に配置される。
距離センサ105cは、液晶パネル1031に対し紙面左側のフレーム1032中央部に配置される。
距離センサ105dは、液晶パネル1031に対し紙面右側のフレーム1032下部(つまり、右下隅)に配置される。
距離センサ105eは、液晶パネル1031に対し紙面左側のフレーム1032の下部(つまり、左下隅)に配置される。
【0036】
以上の配置により、液晶表示パネル1031の垂直方向上の位置として紙面上側から紙面下側に向けて、距離センサ105a、距離センサ105b及び105c、距離センサ105d及び105eの順に配置される。
【0037】
尚、本願請求項に係る垂直方向上の位置が異なる第1距離センサ並びに第2の距離センサは、距離センサ105a(第1距離センサ)と距離センサ105b(第2距離センサ)との場合、距離センサ105a(第1距離センサ)と距離センサ105b(第2距離センサ)との場合、距離センサ105a(第1距離センサ)と距離センサ105c(第2距離センサ)との場合、距離センサ105b(第1距離センサ)と距離センサ105d(第2距離センサ)との場合、距離センサ105c(第1距離センサ)と距離センサ105e(第2距離センサ)との場合が対応する。
【0038】
また、液晶表示パネル1031の水平方向上の位置として紙面右側から紙面左側に向けて、距離センサ105b及び105d、距離センサ105a、距離センサ105c及び105eの順に配置される。
【0039】
尚、本願請求項に係る水平方向上の位置が異なる第3距離センサ並びに第4の距離センサは、距離センサ105b(第3距離センサ)と距離センサ105c(第4距離センサ)との場合、距離センサ105d(第3距離センサ)と距離センサ105e(第4距離センサ)との場合が対応する。
【0040】
図3は、VDT作業者との各種センサとの位置関係を示した図である。尚、図3に示す例では、本体筐体1023に対し、液晶筐体1033が垂直な位置(同図に示す線XL上の位置)から角度θ分背後に倒れた位置(同図に示す線YL上の位置)に保持される場合とする。
【0041】
画像センサ106は、本体筐体1023が載置される載置台(事務机上等)400と平行な位置(同図に示す水平線HLと平行な位置)に、VDT作業者の目周辺が位置づけられる。当該目周辺の画像を画像Fとして表現する。
【0042】
距離センサ105aは、同図に示す水平線HLと平行な位置に、VDT作業者の頭部中央部が位置づけられる。尚、距離センサ105aからVDT作業者の頭部中央部までの距離を距離L1として表現する。
距離センサ105b(105c)は、同図に示す水平線HLと平行な位置に、VDT作業者の右胸部(左胸部)が位置づけられる。尚、距離センサ105b(105c)からVDT作業者の右胸部(左胸部)までの距離を距離L2(L3)として表現する。
距離センサ105d(105e)は、同図に示す水平線HLと平行な位置に、VDT作業者の右腹部(左腹部)が位置づけられる。尚、距離センサ105d(105e)からVDT作業者の右腹部(左腹部)までの距離を距離L4(L5)として表現する。
【0043】
尚、前述したガイドラインでは、「おおむね40cm以上の視距離が確保できるようにする」旨が記載されている。液晶筐体1033が基準位置(線XL上の位置)の場合に、距離センサ105aからVDT作業者までの距離L1に対して、VDT作業者が画面に接近し過ぎているか否かの境界を示す閾値LA(本願請求項に係る第3閾値)を設定する。本実施形態では、閾値LAとして40〜60cmの範囲内の距離で設定する。
【0044】
また、距離L2、L3の差分(|L2−L3|)、距離L4、L5の差分(|L4−L5|)によって、VDT作業者の背筋の曲がり度合い(背筋の斜め度合い)を識別することができる。そこで、これらの差分に対して、VDT作業者が画面に対し斜め過ぎているか否かの境界を示す閾値LBを設定する。本実施形態では、閾値LBとして30〜100cmの範囲内の距離で設定する。
【0045】
また、距離L1、L2の差分(L2−L1)、距離L1、L3の差分(L3−L1)、距離L2、L4の差分(L4−L2)、距離L3、L5の差分(L5−L3)によって、VDT作業者の前傾姿勢の度合いを識別することができる。そこで、これらの差分に対して、VDT作業者が画面に対し前傾し過ぎているか否かの境界を示す閾値LCを設定する。本実施形態では、閾値LCとして10〜30cmの範囲内の距離で設定する。
【0046】
尚、各センサ(105a〜105e、106)は、液晶筐体1033の角度に関係なく、VDT作業者に対して水平方向を向くように、重力を利用した首振りできる構造が好ましい。
【0047】
また、距離センサ105a〜105eの個数並びに配置は、図2、図3に示した個数並びに配置位置に限られない。例えば、前傾姿勢の度合いを識別するにあたり、距離センサ105は少なくとも2個備えていればよく、例えば、距離センサ105aと対向する位置に距離センサを備え、その他の距離センサ105b〜105dを備えなくても良い。また、背筋の曲がり度合いを識別するにあたり、距離センサ105は少なくとも2個備えていればよく、例えば、距離センサ105b、105cを省略してもよい。
【0048】
<<作業姿勢の注意喚起方法(情報処理方法)>>
図4に示すフローチャートを用いて、図3に示したノート型パソコン300によるVDT作業者の作業姿勢の注意喚起方法の処理の流れを説明する。尚、以下の処理の主体は、特に断らない限り、VDT作業姿勢判定プログラム200を実行するCPU101である。
【0049】
まず、VDT作業者は、液晶筐体1033を開いて、キーボード1022等を操作しながら、液晶筐体1033の液晶パネル1031の表示を確認するVDT作業を実施している。この場合、画像センサ106は、VDT作業者の目周辺の画像Fを撮影し、USBレシーバ109に向けて送信している。同様に、距離センサ105a〜105eは、VDT作業者との間の距離L1〜L5をそれぞれ検出して、USBレシーバ109に向けて送信している。
【0050】
ノート型パソコン300は、VDT作業の開始とともに、ハードディスク111に格納されたVDT作業姿勢判定プログラム200をメモリ110に移行してCPU101による実行を開始する。USBレシーバ109において画像Fや距離L1〜L5が受信されると、ノート型パソコン300は、USBインタフェース108を介して取得し、画像処理モジュール210や距離検出モジュール220を呼び出して実行する。これにより、作業姿勢判定モジュール230が処理可能なフォーマットに画像Fや距離L1〜L5が変換される。そして、CPU101は、作業姿勢判定モジュール230を呼び出して実行する。
【0051】
以上の状況下で、まず、S401では、CPU101が、画像処理モジュール210によって処理された画像Fに基づいて、VDT作業者の視線が液晶パネル1031に向かっているか否かを判定する。例えば、液晶パネル1031に向かっている状態の目の画像を基準として判定する。視線が下を向いたり遠くを向いたり等、視線が液晶パネル1031に向かっていない場合(S401:NO)、作業姿勢に関する警告信号の出力を無効化する。具体的には、S401に戻る。一方、視線が液晶パネル1031に向かっている場合(S401:YES)、S402に進む。
【0052】
S402では、CPU101は、距離検出モジュール220によって処理された距離L1〜L5のいずれかが閾値LAより小さいか否かを判定する(S402)。つまり、VDT作業者が液晶パネル1031に接近し過ぎているか否かの判定を行う。距離L1〜L5の全てが閾値LAより大きい場合(S402:NO)、S403に進み、距離L1〜L5のいずれかが閾値LAより小さい場合(S402:YES)、S409に進む。
【0053】
S403では、CPU101は、距離L2、L3の差分の絶対値|L2−L3|、距離L4、L5の差分の絶対値|L4−L5|を演算する。そして、CPU101は、|L2−L3|、|L4−L5|のいずれかが閾値LBより大きいか否かを判定する。つまり、VDT作業者の作業姿勢が斜め過ぎているか否かの判定を行う。|L2−L3|、|L4−L5|の全てが閾値LBより小さい場合(S403:NO)、S404に進み、|L2−L3|、|L4−L5|のいずれかが閾値LBより大きい場合(S403:NO)、S406に進む。
【0054】
S404では、CPU101は、距離L2、L1の差分L2−L1、距離L3、L1の差分L3−L1、距離L4、L2の差分L4−L2、距離L5、L3の差分L5−L3のいずれかが閾値LCより大きいか否かを判定する。つまり、VDT作業者の作業姿勢が前傾し過ぎているか否かの判定を行う。L2−L1、L3−L1、L4−L2、L5−L3の全てが閾値LCより小さい場合(S404:NO)、接近し過ぎでなく、斜め過ぎでもなく、また前傾し過ぎでもないため、何らの警告信号の出力を行わないで、S401に戻る。一方、L2−L1、L3−L1、L4−L2、L5−L3のいずれかが閾値LCより大きい場合(S404:YES)、接近し過ぎでなく、斜め過ぎでもないが、前傾し過ぎであるため、その旨の警告信号の出力を行う(S405)。そして、S401に戻る。
【0055】
S406では、S404と同様にVDT作業者の作業姿勢が前傾し過ぎているか否かの判定を行う。L2−L1、L3−L1、L4−L2、L5−L3の全てが閾値LCより小さい場合(S406:NO)、接近し過ぎでなく、前傾し過ぎでもないが、斜め過ぎであるため、その旨の警告信号の出力を行う(S407)。そして、S401に戻る。一方、L2−L1、L3−L1、L4−L2、L5−L3のいずれかが閾値LCより大きい場合(S406:YES)、接近し過ぎでないが、斜め過ぎであり、また前傾し過ぎでもあるため、その旨の警告信号の出力を行う(S408)。そして、S401に戻る。
【0056】
S409では、S403と同様にVDT作業者の作業姿勢が斜め過ぎているか否かの判定を行う。|L2−L3|、|L4−L5|の全てが閾値LBより小さい場合(S409:NO)、S410に進み、|L2−L3|、|L4−L5|のいずれかが閾値LBより大きい場合(S409:NO)、S413に進む。
【0057】
S410では、S404と同様に、VDT作業者の作業姿勢が前傾し過ぎているか否かの判定を行う。L2−L1、L3−L1、L4−L2、L5−L3の全てが閾値LCより小さい場合(S410:NO)、前傾し過ぎでないが、斜め過ぎでもないが、接近し過ぎであるため、その旨の警告信号の出力を行う(S411)。そして、S401に戻る。一方、L2−L1、L3−L1、L4−L2、L5−L3のいずれかが閾値LCより大きい場合(S410:YES)、接近し過ぎでなく、斜め過ぎでもないが、前傾し過ぎであるため、その旨の警告信号の出力を行う(S412)。そして、S401に戻る。
【0058】
S413では、S404と同様に、VDT作業者の作業姿勢が前傾し過ぎているか否かの判定を行う。L2−L1、L3−L1、L4−L2、L5−L3の全てが閾値LCより小さい場合(S413:NO)、前傾し過ぎでないが、接近し過ぎであり、また斜め過ぎでもあるため、その旨の警告信号の出力を行う(S414)。そして、S401に戻る。一方、L2−L1、L3−L1、L4−L2、L5−L3のいずれかが閾値LCより大きい場合(S413:YES)、接近し過ぎであり、斜め過ぎでもあり、また前傾し過ぎでもあるため、その旨の警告信号の出力を行う(S415)。そして、S401に戻る。
【0059】
以上、上記の作業姿勢の注意喚起方法によれば、VDT機器100(ノート型パソコン300)は、表示装置103の画面垂直方向上の位置が異なる少なくとも2箇所に配置された距離センサ105より取得した距離に基づいて、VDT作業者の画面に対する前傾姿勢の度合いを検出することができる。また、前傾し過ぎであればその旨を示す警告信号を出力するため、作業姿勢の悪さに伴うVDT症候群の症状(肩凝り、腰痛、偏頭痛等)発生を事前に予防することが可能となる。
【0060】
また、表示装置103の画面垂直方向上の位置が異なる少なくとも1組の距離センサ(例えば、距離センサ105a、105b)より取得した距離に基づいて、VDT作業者の作業姿勢が前傾し過ぎているか否かの判定並びにその旨の警告信号の出力を個別具体的に行うことができる。
【0061】
また、表示装置103の画面水平方向上の位置が異なる少なくとも1組の距離センサ(例えば、距離センサ105b、105c)により検出された距離に基づいて、VDT作業者の作業姿勢が斜め過ぎているか否かの判定並びにその旨の警告信号の出力を個別具体的に行うことができる。
【0062】
さらに、上記の作業姿勢の悪さ(前傾し過ぎ、斜め過ぎ)の判定並びに警告に加えて、複数の距離センサ105により検出された距離に基づいて、VDT作業者の作業姿勢が接近し過ぎているか否かの判定並びにその旨の警告信号の出力を行うことができる。
【0063】
また、表示装置103に備えた画像センサ106によって撮影されたVDT作業者の目の画像に基づいて、VDT作業者の目線が画面に向かっていない場合には、上記の作業姿勢の悪さの判定並びにその旨の警告信号の出力を行う必要がなくなるため、これらを無効化することができる。
【0064】
また、上記の警告信号の出力としては、VDT作業者が実際に作業しているVDT機器100の表示装置103の画面に警告メッセージ1035を表示することにより、VDT作業者に対してより直接的且つより速やかに作業姿勢の悪さの注意喚起をすることができる。
【0065】
以上、本実施の形態について説明したが、前述した実施例は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更/改良され得るととともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の一実施形態に係るVDT機器の構成を示したブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るVDT機器の表示装置における距離センサ並びに画像センサの取付位置を示した図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るVDT作業者と距離センサ並びに画像センサとの位置関係を説明する図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る作業姿勢の注意喚起方法の処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0067】
100 VDT機器
101 CPU
102 入力装置
103 表示装置
105、105a〜105e 距離センサ
106 画像センサ
107 出力装置
108 USBインタフェース
109 USBレシーバ
110 メモリ
111 ハードディスク
200 VDT作業姿勢判定プログラム
210 画像処理モジュール
220 距離検出モジュール
230 作業姿勢判定モジュール
300 ノート型パソコン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力装置と表示装置とを備え、当該表示装置の画面に向かって当該入力装置を操作する作業者に、作業姿勢に関する警告信号を出力する情報処理装置による情報処理方法であって、
前記情報処理装置が、
前記表示装置の画面の周囲の少なくとも2箇所に配置される距離センサより、前記表示装置の画面から作業者までの距離を取得するステップと、
取得した距離に基づいて作業者の作業姿勢を判定するステップと、
前記作業姿勢の判定結果に基づいて作業姿勢に関する警告信号を出力するステップと、
を実行することを特徴とする情報処理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理方法であって、
前記距離センサは、画面垂直方向上の位置が異なる第1距離センサ並びに第2距離センサを有し、
前記作業姿勢を判定するステップは、
前記第1距離センサ及び前記第2距離センサ各々より取得された距離の差分が、作業者が画面に対し前傾し過ぎているか否かの境界を示す第1閾値を上回るか否かを判定するステップを有し、
前記警告信号を出力するステップは、
前記第1閾値を上回る場合に、当該作業者の作業姿勢が画面に対し前傾し過ぎている旨を示す警告信号を出力するステップを有すること、
を特徴とする情報処理方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の情報処理方法であって、
前記距離センサは、画面水平方向上の位置が異なる第3距離センサ並びに第4距離センサを有し、
前記作業姿勢を判定するステップは、
前記第3距離センサ及び前記第4距離センサ各々より取得された距離の差分が、作業者が画面に対し斜め過ぎているか否かの境界を示す第2閾値を上回るか否かを判定するステップを有し、
前記警告信号を出力するステップは、
前記第2閾値を上回る場合に、当該作業者の作業姿勢が画面に対し斜め過ぎている旨を示す警告信号を出力するステップを有すること、
を特徴とする情報処理方法。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の情報処理方法であって、
前記距離センサより取得された複数の距離のいずれかが、作業者が画面に接近し過ぎているか否かの境界を示す第3閾値を下回るか否かを判定するステップを有し、
前記警告信号を出力するステップは、
前記第3閾値を下回る場合に、当該作業者の作業姿勢が画面に接近し過ぎている旨を示す警告信号を出力するステップを有すること、
を特徴とする情報処理方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の情報処理方法であって、
前記表示装置の画面の周囲に配置される画像センサより、作業者の目を撮影した画像を取得するステップと、
取得された作業者の目の画像に基づいて、前記作業者の目線が画面に向かっているか否かを判定するステップと、を有し、
前記作業姿勢を判定するステップは、
前記作業者の目線が画面に向かっていない場合に、前記作業姿勢の判定を無効化するステップを有すること、
を特徴とする情報処理方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の情報処理方法であって、
前記警告信号を出力するステップは、
前記警告信号を前記表示装置の画面に表示させるステップを有すること、を特徴とする情報処理方法。
【請求項7】
情報処理装置の表示装置の画面の周囲の少なくとも2箇所に配置される距離センサより、当該表示装置の画面から当該情報処理装置の入力装置を操作する作業者までの距離を取得する機能と、
取得した距離に基づいて作業者の作業姿勢を判定する機能と、
前記作業姿勢の判定結果に基づいて作業姿勢に関する警告信号を出力する機能と、
をコンピュータに実現させるためのプログラム。
【請求項8】
入力装置と表示装置とを備え、当該表示装置の画面に向かって当該入力装置を操作する作業者に作業姿勢に関する警告信号を出力する情報処理装置であって、
前記表示装置の画面の周囲の少なくとも2箇所に配置される距離センサより、前記表示装置の画面から作業者までの距離を取得する距離取得部と、
取得した距離に基づいて作業者の作業姿勢を判定する作業姿勢判定部と、
前記作業姿勢の判定結果に基づいて作業姿勢に関する警告信号を出力する警告出力部と、
を有することを特徴とする情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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