説明

情報処理装置、およびプログラム

【課題】RFIDタグと読取装置との関係が不安定な状態になった場合であっても、当該不安定な状態による信頼度の低いデータが上位システムに通知されることを防ぐことができる情報処理装置、およびプログラムを提供する。
【解決手段】制御PC200が、商品101に付されたRFIDタグ101aから検出装置103により検出したEPCを収集する収集部501と、収集部501により収集したEPCに従って、検出装置103により検出した各EPCについて、RFIDタグ101aからEPCが連続して検出された度合いを示す安定度602を算出する算出部502と、算出された安定度602が予め定められた下限値より高いEPC601を、商品棚100に陳列された商品101に付されたRFIDタグ101aからのEPCの検出履歴としてAPL202に通知する通知部503と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、お客様の嗜好の傾向や流行の色・デザインを把握して、商品棚への商品の陳列や次期商品計画に活用することを目的として、商品棚の上に陳列された商品に付されたRFID(Radio Frequency Identification)タグを読取装置により常時スキャンして商品棚に陳列された商品の在庫をリアルタイムに確認したり、お客様が商品棚に陳列された商品を手に取ったという行動を、商品棚から商品(RFIDタグ)が離されて読取装置によって読取可能なエリアから外に出たことを以って知ったりすることができる商品棚(スマートシェルフなど)が普及してきている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上述したような商品棚等に用いられるRFIDタグの読取装置は、RFIDタグが読取装置からの電波を安定して受信できない場合や読取装置がRFIDタグからの応答波を安定して受信できない場合など、RFIDタグと読取装置との関係が周辺環境の影響により不安定な状態にある場合、RFIDタグから情報を読み取れたり読み落としたりを繰り返して安定して情報を読み取ることができなくなる場合がある。
【0004】
特に、商品棚が設置される実店舗では、金属フレームの商品棚が設置されていたり、商品棚の周りで人の往来があったりするため、RFIDタグと読取装置との関係が不安定な状態になることを避けることはできない。しかしながら、従来の商品棚においては、RFIDタグと読取装置との関係が不安定な状態が原因でRFIDタグからの情報を読み落としたのか、またはお客様が商品を手に取ったことによりRFIDタグからの情報を読み落としたのかを区別することできないため、前者によるRFIDタグの読み落としが大量に発生すると、本来取得したい後者の情報が埋もれてしまい、その情報を活用することが難しくなる、という課題がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、RFIDタグと読取装置との関係が不安定な状態になった場合であっても、当該不安定な状態による信頼性の低い情報が上位システムに通知されることを防ぐことができる情報処理装置、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、商品棚に陳列された商品に付された無線タグから検出手段により検出した前記商品を示す商品情報を収集する収集手段と、前記収集手段により収集した前記商品情報に従って、前記検出手段により検出した前記各商品情報について、前記商品情報が連続して検出された度合いを示す安定度を算出する算出手段と、前記算出手段により算出された前記安定度が予め定められた下限値より高い前記商品情報を、前記商品情報の検出履歴として上位システムに通知する通知手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、コンピュータを、商品棚に陳列された商品に付された無線タグから検出手段により検出した前記商品を示す商品情報を収集する収集手段と、前記収集手段により収集した前記商品情報に従って、前記検出手段により検出した前記各商品情報について、前記商品情報が連続して検出された度合いを示す安定度を算出する算出手段と、前記算出手段により算出された前記安定度が予め定められた下限値より高い前記商品情報を、前記商品情報の検出履歴として上位システムに通知する通知手段と、として機能させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明にかかる情報処理装置、およびプログラムは、RFIDタグと読取装置との関係が不安定な状態になった場合であっても、当該不安定な状態による信頼性の低い情報が上位システムに通知されることを防ぐことができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、RFIDタグが付された商品が陳列された商品棚を概略的に示した外観斜視図である。
【図2】図2は、本発明の実施の一形態に係るEPC管理システムの全体構成を概略的に示した図である。
【図3】図3は、RFIDデータベースに記憶されたテーブルの一例を示す図である。
【図4】図4は、制御PCのモジュール構成を示す図である。
【図5】図5は、制御PCの各機能部を示す図である。
【図6】図6は、検出履歴テーブルの一例を示す図である。
【図7】図7は、EPCの検出履歴をAPLに通知する処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】図8は、テーブル更新処理1の詳細な流れを示すフローチャートである。
【図9】図9は、テーブル更新処理2の詳細な流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる情報処理装置、およびプログラムの実施の一形態を詳細に説明する。なお、本実施の形態では、この発明にかかる情報処理装置、およびプログラムを、RFID(Radio Frequency Identification)タグ(無線タグ、ICタグともいう)に保持された商品情報(EPC:Electronic Product Code)を管理するEPC管理システムに適用した例を説明するが、以下に説明する実施の一形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
図1は、RFIDタグが付された商品が陳列された商品棚を概略的に示した外観斜視図である。図2は、本発明の実施の一形態に係るEPC管理システムの全体構成を概略的に示した図である。
【0012】
図2に示すように、本実施の形態にかかるEPC管理システム1は、商品棚100、制御PC(Personal Computer)200、RFIDサーバ300、データ参照用PC400などを有し、各機器はLAN(Local Area Network)を介して通信可能に接続されている。
【0013】
商品棚100は、図1および図2に示すように、店舗内で販売される商品101を陳列するための棚であって、商品101に付されたRFIDタグ101aからEPCを検出する検出装置(検出手段)102を備えている。本実施の形態では、検出装置102は、RFIDタグ101aからEPCを定期的に(例えば、3秒間隔で)読み取るRFIDリーダ103と、当該RFIDリーダ103により読み取ったEPCを制御PC200に出力する出力部104と、を備えている。
【0014】
制御PC200は、検出装置102によるEPCの検出履歴をRFIDサーバ300に登録するものである。本実施の形態では、制御PC200のシステム構成は、検出装置102を制御してRFIDタグ101aにより検出したEPCを収集するとともに、収集したEPCの検出履歴を後述するAPL(上位システム)202に通知するデータ収集ミドルウェア201、およびデータ収集ミドルウェア201から通知されたEPCの検出履歴を示すメッセージをRFIDサーバ300に通知して、EPCの検出履歴をRFIDサーバ300に登録するAPL(アプリケーション)202を有している。なお、このメッセージは、EPCglobalで規格化されたALE(Application Layer Event)に相当するものとする。
【0015】
ここで、APL202からRFIDサーバ300に通知されるメッセージは、商品棚100に陳列された商品101のEPC(ID)と、各商品101のEPCが検出された日時(またはEPCが検出されなくなった日時)を表すTimeと、EPCが検出されたこと(またはEPCが検出されなくなったこと)を表すEvent(ADDITIONまたはDELETION)とを含む情報である。APL202は、この情報に相当するメッセージを、データ収集ミドルウェア201から指定された任意のクライアント(RFIDサーバ300)に送信する。なお、複数のクライアントを指定することも可能である。
【0016】
なお、本実施の形態では、APL202がメッセージをRFIDサーバ300に対して通知しているが、これに限定するものではなく、APL202を介さず、データ収集ミドルウェア201がユーザにより指定された任意のクライアント(上位システムとしてのRFIDサーバ300)に対して、メッセージを通知しても良い。または、制御PC200のユーザは、RFIDサーバ300が有するデータベース管理アプリケーション302(後述する)を指定することにより、メッセージを送信するクライアントを指定しても良い。または、制御PC200のユーザは、APL202を指定し、指定されたAPL202がRFIDサーバ300有するRFIDデータベース301(後述する)を更新しても良い。または、制御PC200のユーザは、データベース管理アプリケーション302(後述する)およびAPL202の両方を指定し、指定されたデータベース管理アプリケーション302(後述する)がRFIDデータベース301(後述する)を更新し、指定されたAPL202が独立してデータ収集ミドルウェア201によって収集したデータを活用しても良い。
【0017】
RFIDサーバ300は、制御PC200から通知されたメッセージが示すEPCの検出履歴を管理するものである。本実施の形態では、RFIDサーバ300のシステム構成は、EPCの検出履歴を表すテーブルを記憶するRFIDデータベース301と、制御PC200から通知されたメッセージが示すEPCの検出履歴に従って、RFIDデータベース301に記憶されたテーブルを更新するデータベース管理アプリケーション302を有している。
【0018】
図3は、RFIDデータベースに記憶されたテーブルの一例を示す図である。図3に示すように、RFIDデータベース301に記憶されたテーブルは、商品棚100に陳列された商品101のEPC(ID)と、各商品101のEPCが検出された日時(またはEPCが検出されなくなった日時)を表すTimeと、EPCが検出されたこと(またはEPCが検出されなくなったこと)を表すEvent(ADDITIONまたはDELETION)とを対応付けたものである。
【0019】
データ参照用PC400は、このEPC管理システム1の管理者がRFIDサーバ300のRFIDデータベース301に記憶されたテーブルを参照する際に用いるものである。本実施の形態では、データ参照用PC400のシステム構成は、RFIDデータベース301に記憶されたテーブルから、各IDと対応付けられたADDITIONとDELETIONのペアを抽出し、抽出したペアの数を各IDが示す商品101のピックアップ回数としてカウントし、カウント結果を今後の商品の陳列や次期商品計画に役立てるデータ分析システムAPL401を有している。より具体的には、データ分析システムAPL401は、商品棚100が有する棚別、商品別、色別、デザイン別、サイズ別の商品101のピンクアップ回数のカウント結果を、今後の商品の陳列や次期商品計画に役立てる。
【0020】
次に、図4を用いて、制御PC200のモジュール構成について説明する。図4は、制御PCのモジュール構成を示す図である。
【0021】
制御PC200は、図4に示すように、CPU(Central Processing Unit)、当該CPUとの協働により後述する各機能部を実現するための各種プログラム(例えば、データ収集ミドルウェア201、APL202など)を格納するROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等で構成されるコンピュータ構成の制御部210、処理経過や結果等を表示するCRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等の表示部211、ユーザが制御部210に命令や情報を入力するためのキーボードやマウス等の入力部212、データベースとして機能するとともに各種のプログラムを記憶するHDD(Hard Disk Drive)等の記憶部213、LAN等のネットワーク介して他の機器(例えば、RFIDサーバ300など)と通信により情報を伝達するための通信制御部214等を備えており、これらの各部がバス215により接続されている。
【0022】
このようなコンピュータでは、ユーザが電源を投入するとCPUがROM内のローダーというプログラムを起動させ、記憶部213よりOS(Operating System)というコンピュータのハードウェアとソフトウェアとを管理するプログラムをRAMに読み込み、このOSを起動させる。このようなOSは、ユーザの操作に応じてプログラムを起動したり、情報を読み込んだり、保存を行ったりする。OSのうち代表的なものとしては、Windows(登録商標)等が知られている。これらのOS上で走る動作プログラムをアプリケーションプログラムと呼んでいる。なお、アプリケーションプログラムは、所定のOS上で動作するものに限らず、後述の各種処理の一部の実行をOSに肩代わりさせるものであっても良いし、所定のアプリケーションソフトやOSなどを構成する一群のプログラムファイルの一部として含まれているものであっても良い。
【0023】
パーソナルコンピュータは、OS上で動作するアプリケーションプログラムが起動すると、このアプリケーションプログラムに従い、制御部210が各種の演算処理を実行して各部を統括的に制御する。
【0024】
次に、図5を用いて、制御PC200の機能部について説明する。図5は、制御PCの各機能部を示す図である。
【0025】
制御PC200は、上述した制御部210とROM等の予め記憶されたプログラム(データ収集ミドルウェア201)との協働により実現される機能部として、収集部501、算出部502、通知部503などを備える。
【0026】
収集部501は、検出装置102により検出したEPCを収集するものである。
【0027】
算出部502は、収集部501により収集したEPCに従って、検出装置102により検出した各EPCについて、EPCが連続して検出された度合いを示す安定度を算出するものである。さらに、算出部502は、算出した安定度に従って、記憶部213に記憶されている検出履歴テーブルを更新する。図6は、検出履歴テーブルの一例を示す図である。図6に示すように、検出履歴テーブルは、検出装置102により検出したEPCのうち、安定度602が予め定められた下限値:「0」より高いEPC(ID)601と、当該EPC601の安定度602と、前回のEPCの収集結果を表す継続フラグ603と、を対応付けて記録するものである。なお、継続フラグ603:「0」は、収集部501による前回の収集において、EPCが収集されなかったことを示し、継続フラグ603:「1」は、収集部501による前回の収集において、EPCが収集されたことを示している。
【0028】
より具体的には、算出部502は、検出装置102によるEPCの検出が行われる前に、継続フラグ603を全て「0」にセットする。その後、検出装置102によるEPCの検出が行われ、収集部501によりEPC601が収集されると、算出部502は、2段階のテーブル更新処理1,2を実行する。
【0029】
テーブル更新処理1においては、算出部502は、まず、収集したEPC601が検出履歴テーブルに記録されているか否かを判断する。そして、収集したEPC601が既に検出履歴テーブルに記録されている場合(つまり、収集したEPC601の安定度602が下限値より高い場合)、算出部502は、収集したEPCと対応付けて記録された安定度602を増やした値を、収集したEPC601の安定度601として算出するものである。具体的には、収集したEPC601が既に検出履歴テーブルに記録され、かつ当該収集したEPC601と対応付けて記録された安定度602が予め定められた初期値N(例えば、「5」)未満である場合、算出部502は、当該収集したEPC601と対応付けて記録された安定度602を初期値Nに増やした値を、当該収集したEPC601の安定度602として算出する。さらに、算出部502は、算出した安定度602によって、収集したEPC601と対応付けて記録された安定度602を更新するとともに、当該収集したEPC601と対応付けて記録された継続フラグ603を「1」にする。さらに、収集したEPC601が既に検出履歴テーブルに記録され、かつ当該収集したEPC601と対応付けて記録された安定度602が初期値N以上かつ最大値M未満である場合、算出部502は、当該収集したEPC601と対応付けて記録された安定度602をインクリメントした値を、当該収集したEPC601の安定度602として算出する。さらに、算出部502は、算出した安定度602によって、収集したEPC601と対応付けて記録された安定度602を更新するとともに、当該収集したEPC601と対応付けて記録された継続フラグ603を「1」にする。なお、収集したEPCが既に検出履歴テーブルに記録され、当該収集したEPC601と対応付けて記録された安定度602が予め定められた最大値M(例えば、「10」)である場合、算出部502は、当該収集したEPC601と対応付けて記録された継続フラグ603を「1」にする。
【0030】
さらに、収集したEPC601が検出履歴にテーブルに記録されていない新規に検出されたEPC601である場合(つまり、収集したEPC601の安定度602が下限値以下である場合)、算出部502は、初期値Nを、収集したEPC601の安定度602として算出する。そして、算出部502は、収集したEPC601を、算出した安定度602(初期値N)および継続フラグ603:「1」と対応付けて検出履歴テーブルに記録する。
【0031】
テーブル更新処理2においては、算出部502は、まず、テーブル更新処理1において更新された検出履歴テーブルにおいて継続フラグ603:「0」と対応付けて記録されたEPC601(収集部501により収集されなかったEPC)を検索する。そして、検索したEPC601と対応付けて記録された安定度602が最大値Mの場合、算出部502は、下限値以下の値を、検索したEPC601の安定度602として算出する。さらに、算出部502は、算出した安定度602によって、検索したEPC601と対応付けて記録された安定度602を更新する。
【0032】
また、検索したEPC601と対応付けて記録された安定度602が初期値Nより高くかつ最大値Mより低い場合(過去に連続して検出されている場合)、算出部502は、下限値より高くかつ初期値Nより低い予め定められた最低値Lを、検索したEPC601の安定度602として算出する。さらに、算出部502は、算出した安定度602によって、検索したEPC601と対応付けて記録された安定度602を更新する。
【0033】
また、検索したEPC601と対応付けて記録された安定度602が下限値より高くかつ初期値N以下であるの場合(前回検出されなかった場合若しくは前回のみ検出された場合)、算出部502は、当該検索したEPC601と対応付けて記録された安定度602を1減らした値を、当該検索したEPC601の安定度602として算出する。さらに、算出部502は、算出した安定度602によって、検索したEPC601と対応付けて記録された安定度602を更新する。
【0034】
さらに、算出部502は、以上に示した安定度602の更新の結果、安定度602が予め定められた下限値(「0」)となったEPC601を削除対象リストに登録する。最後に、算出部502は、削除対象リストに登録されたEPC601に関わるレコードを、検出履歴テーブルから削除する。
【0035】
なお、本実施の形態では、安定度602は、最大値M、初期値N、最低値L、下限値の順に小さくなっていることを前提とする。
【0036】
通知部503は、算出部502によりテーブル更新処理1,2が実行された後、検出履歴テーブルにおいて安定度602と対応付けて記録されたEPC601(つまり、算出部502により算出された安定度602が下限値より高いEPC601)を、商品棚100に陳列された商品101に付されたRFIDタグ101aからのEPCの検出履歴としてAPL202に通知するものである。
【0037】
これにより、安定度602が最大値MのRFIDタグ101aのEPC601が検出されなくなった場合には、即時に検出されなくなったことがAPL202に通知される(検出されなくなったRFIDタグ101aのEPC601が通知しない)。つまり、連続して検出されている商品101(つまり、商品棚100の周辺を往来する人の影響などを受けずにEPC601が検出されているRFIDタグ101aが付された商品101)のEPC601が検出されなくなった場合、人の手により商品101が動かされた可能性が高いため、即時に検出されなくなったことがAPL202に通知される。
【0038】
また、安定度602が最大値MでないRFIDタグ101aのEPC601が検出されなくなった場合には、(最低値L+1)回連続してEPC601が検出されなくなった時点でAPL202に検出されなくなったことが通知される(検出されなくなったRFIDタグ101aのEPC601が通知しない)。つまり、人が商品101に触れたりしてないのにも関わらずEPC601が検出されなくなったりするRFIDタグ101aが付された商品101のEPC601が検出されなくなった場合、その度にEPC601が検出されなくなったことを通知すると、実際に人の手に取られていないにも関わらず、APL202にEPC601が検出されなくなったことが通知されることになる。そのため、そのような商品101については、長時間検出されなくなれば、実際に人の手に取られた可能性が高くなるため、その時点でAPL202に検出されなくなったことが通知される。
【0039】
次に、図7を用いて、EPCの検出履歴をAPL202に通知する処理の流れについて詳細に説明する。図7は、EPCの検出履歴をAPLに通知する処理の流れを示すフローチャートである。
【0040】
まず、収集部501は、検出装置102によるEPC(ID)の検出が行われる前に、検出装置102により検出したIDを収集する時間間隔である設定時間n(例えば、200ms)を読み込むとともに(ステップS701)、検出履歴テーブルをオールクリアする(ステップS702)。なお、設定時間nは、ユーザによって入力部212を介して入力され、記憶部213に記憶されているものとする。
【0041】
そして、収集部501は、検出装置102によるIDの検出が開始されると、検出時刻Tに現在時刻をセットするとともに(ステップS703)、検出履歴テーブルに記録済みの全てのEPC601(ID)と対応付けて記録された継続フラグ603を「0」にする(ステップS704)。次いで、収集部501は、検出装置102により検出したIDを収集する(ステップS705)。
【0042】
収集部501によりIDが収集されると、算出部502は、テーブル更新処理1,2を実行する(ステップS706、ステップS707)。なお、テーブル更新処理1,2の詳細な流れについては、後述する。
【0043】
テーブル更新処理1,2が実行されると、通知部503は、検出履歴テーブルにおいて安定度602と対応付けて記録されたEPC601(ID)をAPL202に通知する(ステップS708)。
【0044】
次に、収集部501は、ステップS703でセットした検出時刻Tと現在時刻の差分Xを計算する(ステップS709)。そして、収集部501は、計算した差分Xが設定時間nより大きいか否かを判断する(ステップS710)。そして、計算した差分Xが設定時間nより大きい場合(ステップS710:Yes)、ステップS703に戻る。
【0045】
次に、図8を用いて、テーブル更新処理1の詳細な流れについて説明する。図8は、テーブル更新処理1の詳細な流れを示すフローチャートである。
【0046】
まず、算出部502は、収集部501により取得したEPCをカウントし、カウントした値を、EPCを検出したRFIDタグ101aのタグ数Yに設定するとともに(ステップS801)、検出履歴テーブルに記録するEPCの順番Zを「1」にセットする(ステップS802)。そして、検出履歴テーブルの更新が開始されると、算出部502は、セットされた順番Zがタグ数Yより大きいか否かを判断する(ステップS803)。なお、セットされた順番Zがタグ数Yより大きい場合(ステップS803:Yes)、テーブル更新処理1は終了する。
【0047】
セットされた順番Zがタグ数Y以下の場合(ステップS803:No)、算出部502は、順番ZのEPC(ID)が検出履歴テーブルに記録済みであるか否かを判断する(ステップS804)。順番ZのEPCが検出履歴テーブルに記録されていなかった場合(ステップS804:No)、算出部502は、順番ZのEPCを検出履歴テーブルに新規記録するとともに(ステップS805)、新規記録したEPC601の安定度602として初期値Nを算出するとともに、当該新規記録したEPC601に対応付けて安定度602(初期値N)を検出履歴テーブルにセットする(ステップS806)。さらに、算出部502は、新規記録したEPC601に対応付けて継続フラグ603:「1」をセットする(ステップS807)。その後、算出部502は、順番Zをインクリメントする(ステップS808)。
【0048】
順番ZのEPCが検出履歴テーブルに記録済みであった場合(ステップS804:Yes)、算出部502は、検出履歴テーブルにおいて、順番ZのEPC601と対応付けて記録された安定度602が最大値Mであるか否かを判断する(ステップS809)。そして、順番ZのEPC601と対応付けて記録された安定度602が最大値Mであった場合(ステップS809:Yes)、算出部502は、ステップS807に示す処理へと進む。
【0049】
順番ZのEPC601と対応付けて記録された安定度602が最大値Mでなかった場合(ステップS809:No)、算出部502は、順番ZのEPC601と対応付けて記録された安定度602が初期値Nより小さいか否かを判断する(ステップS810)。そして、順番ZのEPC601と対応付けて記録された安定度602が初期値Nより小さかった場合(ステップS810:Yes)、算出部502は、ステップS806に示す処理へと進む。
【0050】
順番ZのEPC601と対応付けて記録された安定度602が初期値N以上であった場合(ステップS810:No)、算出部502は、順番ZのEPC601と対応付けられた安定度602をインクリメントした値を、当該順番ZのEPC601の安定度602として算出するとともに、当該順番ZのEPC601に対応付けて、算出した安定度602を検出履歴テーブルにセットし(ステップS811)、その後、ステップS807に示す処理へと進む。
【0051】
次に、図9を用いて、テーブル更新処理2の詳細な流れについて説明する。図9は、テーブル更新処理2の詳細な流れを示すフローチャートである。
【0052】
まず、算出部502は、削除対象リストをクリアする(ステップS901)。次いで、算出部502は、検出履歴テーブルに記録されているEPC601の数であるテーブル登録数Jをカウントするとともに(ステップS902)、検出履歴テーブルに記録されているEPC601のうち、削除対象リストに登録するEPC601の順番Kを「1」にセットする(ステップS903)。
【0053】
次いで、算出部502は、セットされた順番Kがテーブル登録数Jより大きいか否かを判断する(ステップS904)。なお、セットされた順番Kがテーブル登録数Jより大きい場合(ステップS904:Yes)、算出部502は、削除対象リストに登録されているEPC601(ID)と対応付けて記録されたレコード(安定度602、継続フラグ603)を検出履歴テーブルから削除し(ステップS913)、テーブル更新処理2を終了する。
【0054】
セットされた順番Kがテーブル登録数J以下の場合(ステップS904:No)、算出部502は、検出履歴テーブルにおいて、順番KのEPC601(ID)と対応付けて記録された継続フラグ603が「0」であるか否かを判断する(ステップS905)。検出履歴テーブルにおいて、順番KのEPC601と対応付けて記録された継続フラグ603が「0」でなかった場合(ステップS905:No)、算出部502は、検出履歴テーブルにおいて、順番KのEPC601と対応付けて記録された安定度602が「0」であるか否かを判断する(ステップS910)。そして、検出履歴テーブルにおいて、順番KのEPC601と対応付けて記録された安定度602が「0」であった場合(ステップS910:Yes)、このEPC601を削除対象リストに登録するとともに(ステップS911)、順番Kをインクリメントする(ステップS912)。
【0055】
一方、検出履歴テーブルにおいて、順番KのEPC601と対応付けて記録された継続フラグ603が「0」であった場合(ステップS905:Yes)、算出部502は、検出履歴テーブルにおいて、順番KのEPC601と対応付けて記録された安定度602が最大値Mであるか否かを判断する(ステップS906)。そして、検出履歴テーブルにおいて、順番KのEPC601と対応付けて記録された安定度602が最大値Mであった場合(ステップS906:Yes)、算出部502は、下限値:「0」を、順番KのEPC601の安定度602として算出し、算出した安定度602によって、検出履歴テーブルにおいて、順番KのEPC601と対応付けて記録された安定度602を更新する(ステップS914)。その後、ステップS910に示す処理へと進む。
【0056】
検出履歴テーブルにおいて、順番KのEPC601と対応付けて記録された安定度602が最大値Mでないと判断した場合(ステップS906:No)、算出部502は、検出履歴テーブルにおいて、順番KのEPC601と対応付けて記録された安定度602が初期値Nより大きいか否かを判断する(ステップS907)。そして、検出履歴テーブルにおいて、順番KのEPC601と対応付けて記録された安定度602が初期値Nより大きいと判断した場合(ステップS907:Yes)、算出部502は、最低値Lを、順番KのEPC601の安定度601として算出し、算出した安定度602によって、検出履歴テーブルにおいて、順番KのEPC601と対応付けて記録された安定度602を更新する(ステップS908)。その後、ステップS910に示す処理に進む。また、検出履歴テーブルにおいて、順番KのEPC601と対応付けて記録された安定度602が初期値N以下である場合(ステップS907:No)、算出部502は、検出履歴テーブルにおいて、順番KのEPC601と対応付けて記録された安定度602を1減らした値を、順番KのEPC601の安定度602として算出し、算出した安定度602によって、検出履歴テーブルにおいて、順番KのEPC601と対応付けて記録された安定度602を更新する(ステップS909)。その後、ステップS910に示す処理へと進む。
【0057】
なお、本実施の形態の制御PC200で実行される各種プログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供されるが、これに限定するものではない。
【0058】
例えば、本実施の形態の制御PC200で実行される各種プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0059】
さらに、本実施の形態の制御PC200で実行される各種プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施の形態の制御PCで実行される各種プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0060】
このように本実施の形態にかかるEPC管理システム1によれば、制御PC200が、商品101に付されたRFIDタグ101aから検出装置103により検出したEPCを収集する収集部501と、収集部501により収集したEPCに従って、検出装置103により検出した各EPCについて、RFIDタグ101aからEPCが連続して検出された度合いを示す安定度602を算出する算出部502と、算出された安定度602が予め定められた下限値より高いEPC601を、商品棚100に陳列された商品101に付されたRFIDタグ101aからのEPCの検出履歴としてAPL202に通知する通知部503と、を備えることにより、安定してEPCを検出することができたRFIDタグ101aから検出したEPCのみがAPL202に通知されるので、RFIDタ101aグと検出装置103との関係が不安定な状態になった場合であっても、当該不安定な状態による信頼性の低い情報(EPCの検出履歴)がAPL202に通知されることを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0061】
101 商品
101a RFIDタグ
102 検出装置
200 制御PC
202 APL
501 収集部
502 算出部
503 通知部
601 EPC
602 安定度
【先行技術文献】
【特許文献】
【0062】
【特許文献1】特開2007−156937号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品棚に陳列された商品に付された無線タグから検出手段により検出した前記商品を示す商品情報を収集する収集手段と、
前記収集手段により収集した前記商品情報に従って、前記検出手段により検出した前記各商品情報について、前記商品情報が連続して検出された度合いを示す安定度を算出する算出手段と、
前記算出手段により算出された前記安定度が予め定められた下限値より高い前記商品情報を、前記商品情報の検出履歴として上位システムに通知する通知手段と、
を備えたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記算出手段は、前記収集手段により収集した前記商品情報の前記安定度が前記下限値以下である場合、前記下限値より高い予め定められた初期値を、前記収集手段により収集した前記商品情報の前記安定度として算出し、前記収集手段により収集した前記商品情報の前記安定度が前記下限値より高い場合、前記収集手段により収集した前記商品情報の前記安定度を増やした値を、前記収集手段により収集した前記商品情報の前記安定度として算出することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記算出手段は、前記収集手段により収集されなかった前記商品情報の前記安定度が前記下限値より高くかつ前記初期値以下である場合、前記安定度を減らした値を、前記収集手段により収集されなかった前記商品情報の前記安定度として算出することを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記算出手段は、前記収集手段により収集されなかった前記商品情報の前記安定度が予め定められた最大値である場合、前記下限値以下の値を、前記収集手段により収集されなかった前記商品情報の前記安定度として算出することを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記算出手段は、前記収集手段により収集されなかった前記商品情報の前記安定度が前記初期値より高くかつ前記最大値より低い場合、前記下限値より高くかつ前記初期値より低い予め定められた最低値を、前記収集手段により収集されなかった前記商品情報の前記安定度として算出することを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
コンピュータを、
商品棚に陳列された商品に付された無線タグから検出手段により検出した前記商品を示す商品情報を収集する収集手段と、
前記収集手段により収集した前記商品情報に従って、前記検出手段により検出した前記各商品情報について、前記商品情報が連続して検出された度合いを示す安定度を算出する算出手段と、
前記算出手段により算出された前記安定度が予め定められた下限値より高い前記商品情報を、前記商品情報の検出履歴として上位システムに通知する通知手段と、
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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