説明

情報処理装置、ロック制御方法、プログラム及び記録媒体

【課題】特に通電状態によって活線挿抜を制限する情報処理装置、ロック制御方法、プログラム及び記録媒体を提供する。
【解決手段】電力が供給されているときに、ICカードの挿抜口をロックすることを特徴とする情報処理装置である。具体的には、例えば、バッテリを装着するバッテリ装着手段と、前記ICカードの挿抜口が前記バッテリ装着によりロックされる第1のロック手段と、外部電源プラグ経由で電力が供給されているときに、前記ICカードの挿抜口をロックする第2のロック手段と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、ロック制御方法、プログラム及び記録媒体に関し、特に通電状態によって活線挿抜を制限する情報処理装置、ロック制御方法、プログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
SIM(Subscriber Identity Module)カード等のIC(Integrated Circuit)カードを装着可能な携帯端末装置が知られている。ICカードの接続端子に接触するICカード用端子を形成したコネクタと、バッテリの電源供給用の接続端子に接触するバッテリ用端子を形成したコネクタとが設けられていた。
【0003】
上記のような携帯端末装置では、ICカード用とバッテリ用にコネクタを設けているため、部品点数が多く、コストがかかっていた。そこで、ICカードの接続端子に接触できるICカード用端子と前記バッテリの接続端子に接触するバッテリ用端子とを一体に形成したコネクタを本体部に設け、コスト削減及び小型化を図る携帯端末装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1で提案されている携帯端末装置は、本体部の背面にバッテリ装着部が設けられ、係合爪等によってバッテリを着脱可能に形成されている。バッテリは、バッテリ装着部に対面する側にICカード保持部が凹設されている。ICカード保持部は、ICカードを填め込んで保持できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−312481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ICカードを挿入して使用している装置では、通電中にICカードが抜けると、活線挿抜状態となり、電気的にIC等が破壊されてしまうという問題がある。
【0007】
特許文献1記載のような携帯端末装置では、バッテリに填め込まれたICカードはバッテリ装着部に対面する位置にあり、バッテリがバッテリ装着部に装着された状態ではICカードを抜くことが出来ない。すなわち、バッテリとバッテリ装着部とでICカードをロックした状態と言える。
【0008】
ここで、パーソナルコンピュータ(PC、情報処理装置)を例に取ると、パーソナルコンピュータにおいてもバッテリパックの装着部にSIMカード等のICカードのスロットが設けられている構造が見受けられる。上記携帯端末装置と同様に、バッテリパックがICカードをロックする役割を担っている。
【0009】
しかしながら、PCはバッテリパックを外した状態でAC(Alternating Current)アダプタ(外部電源)により通電しながら使用することもでき、通電中にSIMカードの挿抜を行うことが可能となってしまう。そのため、活線挿抜状態となり、電気的にIC等が破壊されてしまう虞がある。
【0010】
手動ロック付きのコネクタ等も提案されているが(WO00/046744)、手動で行う手間がかかり、ロックをし忘れる可能性もある。
【0011】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、通電状態によって活線挿抜を制限することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る情報処理装置は、電力が供給されているときに、ICカードの挿抜口をロックすることを特徴とする。
【0013】
具体的には、本発明に係る情報処理装置は、バッテリを装着するバッテリ装着手段と、前記ICカードの挿抜口が前記バッテリ装着によりロックされる第1のロック手段と、外部電源プラグ経由で電力が供給されているときに、前記ICカードの挿抜口をロックする第2のロック手段と、を備えることを特徴とする。
【0014】
本発明に係るロック制御方法は、電力が供給されているときに、ICカードの挿抜口をロックすることを特徴とする。
【0015】
本発明に係るロック制御プログラムは、電力が供給されているときに、ICカードの挿抜口をロックすることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る記録媒体は、上記本発明に係るロック制御プログラムの処理を記録するコンピュータ読取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、通電状態によって活線挿抜を制限することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係る情報処理装置のバッテリ装着部に設けられたカードスロットの周辺構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るロック制御部2の構成について説明するための斜視図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係るロック制御部2'の構成について説明するための図である。
【図4】本発明の第3の実施形態に係るロック制御について説明するための斜視図である。
【図5】本発明の第3の実施形態に係るロック制御について説明するための図である。
【図6】図5(a)、図5(b)に示す場合の上面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な実施形態であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0020】
以下に、通電状態によってICカード等の活線挿抜を制限する本発明の実施形態について説明する。ICカードの一例としてSIMカードを用いて説明する。
【0021】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の実施形態に係る情報処理装置のバッテリ装着部に設けられたカードスロットの周辺構成を示す図である。本体部1に、ロック制御部2、ロック棒3、カードスロット4、ACプラグジャック5、ACプラグ6(外部電源プラグ)、バッテリ装着部7が、設けられている。
【0022】
カードスロット4の挿抜口はバッテリ装着部7に設けられ、カードを挿入してからバッテリ装着部7にバッテリ(図示せず)を装着することで、通電中のカード挿抜が制限される。ここで問題となるのが、バッテリを外し、ACプラグ6を挿入しているときに、通電中でもカード挿抜が可能となってしまう点である。
【0023】
そこで、本実施形態では、図1に示すように、カードスロット4の横から挿抜口を塞ぐようスライド可能なロック棒3を設けることで、バッテリが装着されていない場合でもカードの挿抜を防止することが出来る。ここで一例としてロック棒3を用いているが、ICカードの挿抜口を塞がない第1の位置と、ICカードの挿抜口の少なくとも一部を塞いでICカードを挿抜不能にする第2の位置とに移動可能なロック部材であれば良い。
【0024】
ロック棒3はロック制御部2により制御される。ロック制御部2は、ACプラグジャックにACプラグ6が接続されたことを検知した場合に、ロック棒3がカードスロット4の挿抜口を塞ぐよう制御する。
【0025】
ロック制御部2の構成について図2を用いて詳述する。ロック棒3はロック制御部2から突出した構成となっており、内部ではロック棒3にバネ11が設けられている。さらにロック棒3を駆動するモータ(ギア)8が設けられている。モータ8を制御するモータ制御回路9と、電源回路10は、機能構成を示すために簡易的に表現されている。電源回路10は、ACプラグジャック5と接続し、ACプラグ6から電力の供給を受け得る。
【0026】
図2(a)は無通電時の場合について説明するための図である。ACプラグジャック5にACプラグ6が挿入されていない場合、モータ制御回路9はモータ8の制御を行わない。従ってモータは自由回転可能であり、バネ11の作用によりロック棒3はロック制御部2内部に引き込まれ、ロック棒3の先端がカードスロット4の挿抜口を塞ぐことはない(図示せず)。したがって、バッテリが装着されていなければカードの挿抜が可能である。
【0027】
図2(b)は通電時の場合について説明するための図である。ACプラグジャック5にACプラグ6が挿入されている場合、モータ制御部9はモータ8の制御を行い、ロック棒3を押し出す。押し出されたロック棒3の先端がカードスロット4の挿抜口を塞ぐ(図1)ことで、バッテリが装着されていない場合でもカードの挿抜が不可能となる。
【0028】
(第2の実施形態)
次に、ロック棒3の制御を永久磁石によって行う場合について図3を用いて説明する。本実施形態に係るロック制御部2'は、ロック棒を制御する構成として永久磁石14と電磁石12を備える。電磁石12は、電磁石制御回路13により制御される。
【0029】
図3(a)は無通電時の場合について説明するための図である。ACプラグジャック5にACプラグ6が挿入されていない場合、電磁制御回路13は電磁石3の制御を行わない。永久磁石14の作用によりロック棒3がロック制御部2内部に引き込まれ、ロック棒3の先端がカードスロット4の挿抜口を塞ぐことはない(図示せず)。したがって、バッテリが装着されていなければカードの挿抜が可能である。
【0030】
図3(b)は通電時の場合について説明するための図である。ACプラグジャック5にACプラグ6が挿入されている場合、電磁制御回路13は電磁石3の制御を行い、電磁石3によって永久磁石14より強い逆極性の磁界が作られ、ロック棒3を押し出す。押し出されたロック棒3の先端がカードスロット4の挿抜口を塞ぐ(図1)ことで、バッテリが装着されていない場合でもカードの挿抜が不可能となる。
【0031】
(第3の実施形態)
次に、電力を用いずロック棒3の制御を行う場合について図4を用いて説明する。ロック制御による電力消費を押えることが出来る。
【0032】
本実施形態に係るロック制御は、ロック棒3'がACプラグジャック5'から突出した構成となっている。本実施形態では、ACプラグ6がACプラグジャック5'に差し込まれた場合(通電時)に、ロック棒3'がカードスロット4の挿抜口を塞ぐよう押し出される。
【0033】
さらに、図5及び図6を用いて本実施形態について詳述する。図5に示すように、ACプラグジャック5'内部では、ロック棒3'にバネ12が設けられている。
【0034】
図5(a)は無通電時の場合について説明するための図である。ACプラグジャック5'にACプラグ6が挿入されていない場合、バネ12の作用によりロック棒3がACプラグジャック5'内部に引き込まれ、ロック棒3の先端がカードスロット4の挿抜口を塞ぐことはない。したがって、バッテリが装着されていなければカードの挿抜が可能である。
【0035】
図5(b)は通電時の場合について説明するための図である。ACプラグジャック5'にACプラグ6が挿入されている場合、ACプラグ6の先端によりロック棒3が押し出される。押し出されたロック棒3がカードスロット4の挿抜口を塞ぐことで、バッテリが装着されていない場合でもカードの挿抜が不可能となる。
【0036】
図6は、上記図5(a)、図5(b)の場合の上面断面図である。
【0037】
以上各実施形態において説明したように、外部電源プラグ(ACプラグ)経由で電力を供給されているときに、SIMカード等のスロットをロックすることが出来る。従ってユーザは、ACアダプタ・バッテリの両方が未接続の状態時のみ、SIMカードの挿抜を行える。電気的に安全にSIMカードの抜き差しを行える。
【0038】
なお、上記各実施形態における処理を、CPUが実行するためのプログラムは本発明によるプログラムを構成する。このプログラムを記録する記録媒体としては、半導体記憶部や光学的及び/又は磁気的な記憶部等を用いることができる。このようなプログラム及び記録媒体を、前述した各実施形態とは異なる構成のシステム等で用い、そこのCPUで上記プログラムを実行させることにより、本発明と実質的に同じ効果を得ることができる。
【0039】
以上、本発明を好適な実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記のものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0040】
1 本体部
2 ロック制御部
3、3' ロック棒
4 カードスロット
5、5' ACプラグジャック
6 ACプラグ
7 バッテリ装着部
8 モータ(ギア)
9 モータ制御回路
10 電源回路
11 バネ
12 電磁石
13 電磁石制御回路
14 永久磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力が供給されているときに、ICカードの挿抜口をロックすることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
バッテリを装着するバッテリ装着手段と、
前記ICカードの挿抜口が前記バッテリ装着によりロックされる第1のロック手段と、
外部電源プラグ経由で電力が供給されているときに、前記ICカードの挿抜口をロックする第2のロック手段と、
を備えることを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第2のロック手段は、
前記ICカードの挿抜口を塞がない第1の位置と、前記ICカードの挿抜口の少なくとも一部を塞いでICカードを挿抜不能にする第2の位置とに移動可能なロック部材を備え、
前記外部電源プラグ経由で供給される電力によって、前記ロック部材が前記第1の位置から前記第2の位置に移動されることを特徴とする請求項2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第2のロック手段は、
前記ICカードの挿抜口を塞いでロックするロック棒と、前記ロック棒を引き込むバネと、前記ロック棒を押し出すモータを駆動する駆動手段と、を備え、
前記外部電源プラグ経由で電力が供給されているときに、前記モータを駆動して前記ロック棒を押し出すことで前記ICカードの挿抜口をロックすることを特徴とする請求項2又は3記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第2のロック手段は、
前記ICカードの挿抜口を塞いでロックするロック棒と、前記ロック棒を引き込む永久磁石と、前記ロック棒を押し出す電磁石と、を備え、
前記外部電源プラグ経由で電力が供給されているときに、前記電磁石を制御して前記永久磁石より強い、前記ロック棒の逆極性の磁界を作り、前記ロック棒を押し出すことで前記ICカードの挿抜口をロックすることを特徴とする請求項2又は3記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第2のロック手段は、
前記ICカードの挿抜口を塞がない第1の位置と、前記ICカードの挿抜口の少なくとも一部を塞いでICカードを挿抜不能にする第2の位置とに移動可能なロック部材を備え、
電力の供給を受けるために前記外部電源プラグが挿入される電源プラグジャックへの、前記外部電源プラグの挿入によって、前記ロック部材が前記第1の位置から前記第2の位置に移動されることを特徴とする請求項2記載の情報処理装置。
【請求項7】
電力が供給されているときに、ICカードの挿抜口をロックすることを特徴とするロック制御方法。
【請求項8】
電力が供給されているときに、ICカードの挿抜口をロックすることを特徴とするロック制御プログラム。
【請求項9】
請求項8記載のロック制御プログラムの処理を記録するコンピュータ読取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−217110(P2011−217110A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−83227(P2010−83227)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(302069930)NECパーソナルプロダクツ株式会社 (738)
【Fターム(参考)】