説明

情報処理装置、出題傾向設定方法及びプログラム

【課題】ユーザの学習効率を更に向上させることが可能な情報処理装置、出題傾向設定方法及びプログラムを提供すること。
【解決手段】本発明に係る情報処理装置に、複数の問題の中から選択された問題に対するユーザ回答の正誤を判定するユーザ回答判定部と、ユーザ回答の正誤判定結果を利用して、ユーザの正答率及び誤答率を算出するユーザ回答解析部と、算出された前記誤答率に基づいて前記複数の問題それぞれの間の類似度を算出するとともに、算出された当該類似度を利用して前記複数の問題それぞれの評価値を算出する出題条件設定部と、算出された前記評価値と所定期間内又は所定問題数でのユーザの正答率とに基づいて、前記複数の問題の中から出題する問題を選択する問題選択部と、を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、出題傾向設定方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
情報処理技術の発達に伴い、個人がそれぞれのペースで、空き時間を有効に利用して学習することが可能な、いわゆるE−Learningシステムが普及してきている。
【0003】
かかるE−Learningシステムでは、ユーザがある事柄について説明を受ける教科書的なセクションと、理解を深めたり理解度を判定したりするためにユーザが設問を解く問題集的なセクションが存在することが多い。例えば、以下の特許文献1に開示された技術では、ユーザが、類似の問題やテキストを選択する処理の実行を選択すると、出題された問題等に類似したものを検出するシステムについて開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−90117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示された技術では、類似の問題等を解くか否かは、ユーザ自身の判断に依存しており、ユーザは、学習の進め方について自身で考えて、類似の問題等の検出を要請する必要がある。そのため、客観的には類似した問題を解いて理解度を深めるべき状況であったとしても、ユーザが類似した問題の検出を要請しなかった場合には類似した問題が出題される可能性は低く、ユーザは、学習を効率的に進めることができないという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、ユーザの学習効率を更に向上させることが可能な、情報処理装置、出題傾向設定方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、複数の問題の中から選択された問題に対するユーザ回答の正誤を判定するユーザ回答判定部と、前記ユーザ回答判定部によるユーザ回答の正誤判定結果を利用して、ユーザの誤答率を少なくとも算出するユーザ回答解析部と、前記ユーザ回答解析部が算出した前記誤答率に基づいて前記複数の問題それぞれの間の類似度を算出するとともに、算出した当該類似度を利用して前記複数の問題それぞれの評価値を算出する出題条件設定部と、出題条件設定部により算出された前記評価値と、所定期間内又は所定問題数でのユーザの正答率とに基づいて、前記複数の問題の中から出題する問題を選択する問題選択部と、
を備える情報処理装置が提供される。
【0008】
前記問題選択部は、問題の正答率と前記所定期間内又は所定問題数でのユーザの正答率との差の絶対値を問題ごとに算出して、当該絶対値の値が小さいものから順に所定数の問題を選択し、選択した前記所定数の問題の中から、前記評価値の値が大きいものから順に、出題する問題とすることが好ましい。
【0009】
前記ユーザ回答解析部は、各問題について、ユーザが最後に回答した日時と回答回数とが互いに関連づけられた情報をユーザごとに生成し、前記ユーザが最後に回答した日時と回答回数とが互いに関連づけられた情報を利用して、正答数と出題数とが互いに関連づけられた情報を、回答回数及び経過時間ごとに生成することが好ましい。
【0010】
前記出題条件設定部は、回答回数及び経過時間ごとに生成される前記正答数と出題数とが互いに関連づけられた情報を利用して、各問題ごとに正答率閾値を算出し、当該正答率閾値とユーザの正答率とに基づいて、前記評価値を補正してもよい。
【0011】
前記出題条件設定部は、前記正答率閾値と前記正誤判定結果とを利用して、前記ユーザの正答率を補正してもよい。
【0012】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、複数の問題の中から選択された問題に対するユーザ回答の正誤を判定するステップと、得られたユーザ回答の正誤判定結果を利用して、ユーザの誤答率を少なくとも算出するステップと、算出された前記誤答率に基づいて前記複数の問題それぞれの間の類似度を算出するとともに、算出した当該類似度を利用して前記複数の問題それぞれの評価値を算出するステップと、算出された前記評価値と、所定期間内又は所定問題数でのユーザの正答率とに基づいて、前記複数の問題の中から出題する問題を選択するステップと、を含む出題傾向設定方法が提供される。
【0013】
また、上記課題を解決するために、本発明の更に別の観点によれば、コンピュータに、複数の問題の中から選択された問題に対するユーザ回答の正誤を判定するユーザ回答判定機能と、前記ユーザ回答判定機能によるユーザ回答の正誤判定結果を利用して、ユーザの誤答率を少なくとも算出するユーザ回答解析機能と、前記ユーザ回答解析機能により算出された前記誤答率に基づいて前記複数の問題それぞれの間の類似度を算出するとともに、算出した当該類似度を利用して前記複数の問題それぞれの評価値を算出する出題条件設定機能と、出題条件設定機能により算出された前記評価値と、所定期間内又は所定問題数でのユーザの正答率とに基づいて、前記複数の問題の中から出題する問題を選択する問題選択機能と、を実現させるためのプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように本発明によれば、ユーザの学習効率を更に向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る情報処理装置の構成を示したブロック図である。
【図2】同実施形態に係るテキスト選択部の構成を示したブロック図である。
【図3】ユーザの行動パターン(コンテキスト)の一例を示した説明図である。
【図4】行動パターンの検出方法の一例を示した流れ図である。
【図5】行動パターンの検出方法の一例を示した流れ図である。
【図6】行動パターンの検出方法の一例を示した流れ図である。
【図7】行動パターンの検出方法の一例を示した流れ図である。
【図8】行動パターンの検出方法の一例を示した流れ図である。
【図9】行動パターンの検出方法の一例を示した流れ図である。
【図10】行動パターンの検出方法の一例を示した流れ図である。
【図11】ユーザ行動履歴情報の一例を示した説明図である。
【図12】テキストの解析方法について説明するための説明図である。
【図13A】テキストの解析方法について説明するための説明図である。
【図13B】テキストの解析方法について説明するための説明図である。
【図14】テキストの解析方法について説明するための説明図である。
【図15】テキストの解析方法について説明するための説明図である。
【図16】テキストの解析方法について説明するための説明図である。
【図17】テキストデータベースの一例を示した説明図である。
【図18】テキストの解析方法の一例を示した流れ図である。
【図19】同実施形態に係るテキスト選択方法の流れの一例を示した流れ図である。
【図20】同実施形態に係るテキスト選択方法の流れの一例を示した流れ図である。
【図21】本発明の第2の実施形態に係る情報処理装置の構成を示したブロック図である。
【図22】同実施形態に係る出題傾向設定部の構成を示したブロック図である。
【図23】同実施形態に係る正答率テーブルの一例を示した説明図である。
【図24】同実施形態に係る誤答マトリックスの一例を示した説明図である。
【図25】同実施形態に係る最終回答日時・回答回数に関するテーブルの一例を示した説明図である。
【図26】同実施形態に係る忘却率テーブル群の一例を示した説明図である。
【図27】忘却曲線の一例を示した説明図である。
【図28】同実施形態に係る出題傾向の設定方法の一例を説明するための説明図である。
【図29】同実施形態に係る出題傾向の設定方法の一例を説明するための説明図である。
【図30】同実施形態に係る出題傾向設定方法の流れを示した流れ図である。
【図31】本発明の第3の実施形態に係る情報処理装置の構成を示したブロック図である。
【図32】本発明の実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0017】
なお、説明は、以下の順序で行うものとする。
(1)第1の実施形態
(1−1)情報処理装置の構成について
(1−2)情報処理方法の流れについて
(2)第2の実施形態
(2−1)情報処理装置の構成について
(2−2)出題傾向設定方法の流れについて
(3)第3の実施形態
(3−1)情報処理装置の構成について
(4)本発明の実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成について
【0018】
(第1の実施形態)
まず、図1〜図20を参照しながら、本発明の第1の実施形態に係る情報処理装置及びテキスト選択方法について、詳細に説明する。
本実施形態に係る情報処理措置10は、以下で詳細に説明するように、各種のセンサから出力されたセンサ情報を利用して、ユーザの現在の状態やユーザの現在位置等を解析し、ユーザの状態や現在位置にあったテキストを選択する装置である。
【0019】
<情報処理装置の構成について>
まず、図1を参照しながら、本実施形態に係る情報処理装置10の構成について、詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る情報処理装置10の構成を示したブロック図である。
【0020】
本実施形態に係る情報処理装置10は、図1に例示したように、センサ情報取得部101と、テキスト選択部103と、表示制御部105と、ユーザ回答取得部107と、ユーザ回答判定部109と、記憶部111と、を主に備える。
【0021】
センサ情報取得部101は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、通信装置等により実現される。センサ情報取得部101は、ユーザの動きを検知するセンサ(以下、モーションセンサとも称する。)及び現在位置を表す情報を取得するセンサ(以下、位置センサとも称する。)を含む各種のセンサから、これらセンサが出力した情報であるセンサ情報を取得する。ここで、モーションセンサとしては、例えば、3軸加速度センサ(ただし、加速度センサ、重力検知センサ、落下検出センサ等を含む。)や、3軸ジャイロセンサ(ただし、角速度センサ、手振れ補正センサ、地磁気センサ等を含む。)等を挙げることができる。また、位置センサとしては、例えば、GPS(Global Positioning System)から出力されたデータを受信するGPSセンサを挙げることができる。ただし、RFID(Radio Frequency Idetification)、Wi−Fiのアクセスポイント、無線基地局の情報等から現在地の緯度・経度を検出することが可能なため、このような検出手段を位置センサとして利用することも可能である。これらのセンサは、本実施形態に係る情報処理装置10に実装されていてもよいし、情報処理装置10の外部に設けられていてもよい。
【0022】
ユーザが行動すると、まず、上述のモーションセンサにより加速度の変化や重力軸周りの回転等が検知される。モーションセンサは、検知されたこれらの変化や回転等に関する情報を出力し、センサ情報取得部101は、モーションセンサから出力されたこれら変化や回転等に関する情報をセンサ情報として取得する。また、ユーザの行動に伴い、位置センサは、ユーザの居場所(現在位置)を示す位置情報(例えば、緯度・経度)を取得し、取得した位置情報を出力する。センサ情報取得部101は、位置センサから出力された位置情報をセンサ情報として出力する。
【0023】
なお、センサ情報取得部101は、各種センサから出力された情報を取得する際に、取得した情報に日時を示す情報が関連付けられていない場合には、取得した情報に取得日時を示す情報を関連付けてもよい。
【0024】
センサ情報取得部101は、取得した各種のセンサ情報を、テキスト選択部103に出力する。また、センサ情報取得部101は、取得した各種のセンサ情報を、後述する記憶部111等に履歴情報として格納してもよい。
【0025】
テキスト選択部103は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。テキスト選択部103は、センサ情報取得部101から出力されたセンサ情報に基づいて、後述する記憶部111等に格納されている複数のテキストの中から、ユーザに提示するテキストを選択する。
【0026】
テキスト選択部103は、複数のテキストの中から、ユーザに提示するテキストを選択すると、選択したテキストに対応する情報を、後述する表示制御部105に出力する。また、選択したテキストが、例えば、ユーザに対して回答の入力を促す問題文のようなものである場合には、テキスト選択部103は、選択したテキストに関する情報を、後述するユーザ回答判定部109に出力する。
【0027】
なお、テキスト選択部103は、選択したテキストに関する情報を、履歴情報として後述する記憶部111等に格納してもよい。
【0028】
本実施形態に係るテキスト選択部103の詳細な構成については、以下で改めて説明する。
【0029】
表示制御部105は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。表示制御部105は、情報処理装置10が備える表示部(図示せず。)に表示される表示画面の内容の表示制御を行う処理部である。具体的には、表示制御部105は、テキスト選択部103から出力されたテキストに対応する情報を参照して、当該情報に対応するテキスト(文)を、表示部の表示画面に表示する。
【0030】
また、テキスト選択部103により選択されたテキストが、ユーザに対して回答の入力を促す問題文のようなものである場合には、表示制御部105は、後述するユーザ回答判定部109によるユーザ回答の判定結果(回答の正誤)を、表示画面に表示する。
【0031】
ここで、表示制御部105は、表示画面の表示制御を行う際に、後述する記憶部111等に格納されているアイコン等の各種のオブジェクトを利用したり、記憶部111等に格納されている各種のデータベースを参照したりすることができる。
【0032】
ユーザ回答取得部107は、例えば、CPU、ROM、RAM、入力装置等により実現される。ユーザ回答取得部107は、テキスト選択部103により選択されたテキストがユーザに対して回答の入力を促す問題文のようなものである場合に、選択されたテキストに対するユーザの回答を取得する。ユーザの回答は、例えば、キーボードやタッチパネルを操作して直接入力されるものであったり、マウス等を操作して回答に対応するアイコン等のオブジェクトが選択されるものであったりする。ユーザ回答取得部107は、各種の方法で入力されたユーザ回答に対応する情報を取得して、後述するユーザ回答判定部109に出力する。
【0033】
ユーザ回答判定部109は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。ユーザ回答判定部109は、テキスト選択部103により選択されたテキストがユーザに対して回答の入力を促す問題文のようなものである場合に、ユーザ回答取得部107から出力されたユーザ回答の正誤を判定する。
【0034】
具体的には、ユーザ回答判定部109は、選択したテキストに関する情報が通知されると、取得したテキストに関する情報を参照して、選択されたテキスト(問題)の正しい解答に関する情報を、記憶部111等に格納されているデータベースから取得する。その後、ユーザ回答判定部109は、ユーザ回答取得部107から出力されたユーザ回答を、取得した正しい解答と比較して、ユーザ回答が正解であるのか、間違っているのかを判定する。
【0035】
ユーザ回答判定部109は、ユーザ回答の正誤判定が終了すると、判定結果を表示制御部105に出力してもよい。表示制御部105が判定結果を表示画面に表示させることで、情報処理装置10のユーザは、自身の回答が正しいのか、間違っているのかを判断することができる。
【0036】
また、ユーザ回答判定部109は、ユーザ回答の正誤判定が終了すると、正誤判定が終了した旨を表す情報を、テキスト選択部103に出力してもよい。かかる情報をテキスト選択部103に出力することで、テキスト選択部103は、かかる情報の取得を、新たな処理のトリガとすることができる。これにより、テキスト選択部103は、例えば、新たに選択したテキストの表示を、表示制御部105に要請するなど、新たな処理を開始することができる。
【0037】
ユーザ回答判定部109は、ユーザ回答の判定結果に関する履歴を、後述する記憶部111等に格納してもよい。
【0038】
記憶部111は、本実施形態に係る情報処理装置10が備えるストレージ装置の一例である。記憶部111には、テキスト選択部103やユーザ回答判定部109が各種の処理を行う際に利用する様々なデータベースや各種のデータが格納される。
【0039】
また、記憶部111には、各種の履歴情報が記録されていてもよい。さらに、記憶部111には、本実施形態に係る情報処理装置10が、何らかの処理を行う際に保存する必要が生じた様々なパラメータや処理の途中経過等、または、各種のデータベース等が、適宜記録される。
【0040】
この記憶部111は、情報処理装置10が備える各処理部が、自由に読み書きを行うことが可能である。
【0041】
[テキスト選択部の構成について]
次に、図2を参照しながら、本実施形態に係るテキスト選択部103の構成について、詳細に説明する。図2は、本実施形態に係るテキスト選択部103の構成を示したブロック図である。
【0042】
図2に例示したように、本実施形態に係るテキスト選択部103は、条件設定部121、行動パターン検出部123、位置情報解析部125、テキスト解析部127、キーワード変換部129及びテキスト抽出部131を更に備える。
【0043】
条件設定部121は、例えば、CPU、ROM、RAM、入力装置等により実現される。条件設定部121は、後述するテキスト抽出部131が複数のテキストの中からテキストを選択する際の条件を、ユーザ操作に基づいて設定する処理部である。条件設定部121は、キーボード、マウス、タッチパネル、各種ボタン等がユーザにより操作され、テキスト選択の際の条件が入力されると、入力された情報を後述するテキスト抽出部131に出力する。
【0044】
テキストを選択する際の条件は、適宜設定されれば良いが、テキスト選択部103が、例えば、語学学習用の問題文や例文等を複数のテキストの中から選択する場合には、以下のような条件が設定される。
【0045】
・学習したい言語の種類
・学習したい言語の語学レベル
・ユーザの動きや状態(コンテキスト。これについては、以下で詳述する。)
・位置のタイプ(現在位置、頻繁に訪ねる場所、次に訪ねそうな場所等)
・その他
【0046】
このような条件設定がなされることで、ユーザは、自身の希望する状況に適合したテキスト(文)を、自動的に閲覧することが可能となる。
【0047】
行動パターン検出部123は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。行動パターン検出部123は、モーションセンサから出力されたセンサ情報を用いて、ユーザの動きパターンや状態パターンを検出する。行動パターン検出部123により検出可能な動き・状態パターンとしては、例えば、「歩き」「走り」「静止」「跳躍」「電車(搭乗/非搭乗)」「エレベータ(搭乗/非搭乗/上昇/下降)」等がある。なお、行動パターン検出部123による動き・状態パターンの検出方法については、後段において詳述する。ただし、動き・状態パターンの検出方法は、後述する例に限定されず、機械学習を用いる方法も適用できる。なお、行動パターン検出部123により検出された動き・状態パターンは、後述するテキスト抽出部131に入力される。
【0048】
ここで、図3〜図10を参照しながら、行動パターン検出部123の機能について詳細に説明する。図3〜図10は、行動パターン検出部123の機能及び動作を説明するための説明図である。
【0049】
○入出力データの構成
上述の通り、行動パターン検出部123には、モーションセンサから出力されたセンサ情報が入力される。行動パターン検出部123が取得するセンサ情報としては、例えば、加速度の波形データ(以下、加速度データ)がある。なお、かかる加速度データには、x方向の加速度データ(x−acc)、y方向の加速度データ(y−acc)、z方向の加速度データ(z−acc)がある。ここで、x、y、zは、互いに直交する方向を示す。また、ジャイロセンサが搭載されている場合には、センサ情報として3次元的なジャイロデータ(x−gyro,y−gyro,z−gyro)が入力される。なお、温度や気圧等に応じてセンサの感度が変化してしまうため、これらのセンサデータはキャリブレーションが施されたものである方が好ましい。
【0050】
センサ情報が入力されると、行動パターン検出部123は、入力されたセンサ情報に基づいて動き・状態パターンを検出する。行動パターン検出部123により検出可能な動き・状態パターンとしては、例えば、「歩く」「走る」「静止」「一時静止」「跳躍」「姿勢変化」「ターン」「電車(搭乗)」「エレベータ(上昇/下降)」「車(搭乗)」「自転車(搭乗)」等がある(図3を参照)。
【0051】
例えば、歩行状態を検出するアルゴリズムについて着目する。通常、人間が歩くときに検出される加速度データの周波数は、2Hz程度(1秒間に2歩程度)である。そこで、行動パターン検出部123は、加速度データの周波数を解析し、周波数が2Hz付近にある部分を検出する。この処理により検出された部分が動き・状態パターン「歩く」に相当する。また、行動パターン検出部123は、加速度データから「歩く」動き・状態パターンの発生時間や継続時間等を検出することもできる。さらに、行動パターン検出部123は、加速度データの振幅から「歩く」強度を検出することができる。
【0052】
このように、センサ情報を解析して得られる周波数や強度等のデータに基づいて動き・状態パターン毎の特徴量(以下、動き・状態特徴量)を抽出することができる。なお、「歩く」動き・状態パターンの例では加速度データしか利用されていないが、動き・状態パターンの種類によっては、ジャイロデータも利用される。動き・状態特徴量の経時変化を得ると、行動パターン検出部123は、動き・状態特徴量から、逐次、動き・状態パターンを判定し、時系列で変化する動き・状態パターンを出力する。
【0053】
このようにして行動パターン検出部123により得られた動き・状態パターンは、テキスト抽出部131に入力される。
【0054】
なお、行動パターン検出部123は、後述する位置情報解析部125やキーワード変換部127と連携して、ユーザの行動パターンを検知することも可能である。例えば、「歩き」「走り」「跳躍」「静止」等の、数秒から数分程度の比較的短時間にユーザが行う行動パターンと、位置情報解析部125やキーワード変換部127から提供される各種情報に基づいて、行動パターン検出部123は、「食事」「買い物」「仕事」といった、より長時間をかけて行われる行動パターンを特定することが可能である。
【0055】
例えば、位置情報解析部125やキーワード変換部127と連携することにより、ユーザの現在位置が、例えば、レストランの内部であることが特定可能となる。従って、ユーザの現在位置がレストランの店舗内で推移している場合には、ユーザはレストランの店舗内で、例えば歩いたり、静止したりしているものと判断できる。従って、行動パターン検出部123は、かかる行動パターンについては、「食事」という状況を表す行動パターンを特定することができる。また、ユーザの現在位置が、例えば、ある会社が所有するビルやいわゆるビジネス街の内部で推移している場合には、行動パターン検出部123は、ユーザの行動パターンを「仕事」と特定することができる。
【0056】
また、行動パターン検出部123は、日時に関する情報を更に考慮することで、行動パターンを検出する時点が、平日なのか休日なのかを考慮することが可能となり、より正確な行動パターンの検出が可能となる。
【0057】
更に、ユーザの個人情報(例えば自宅の住所や勤務先の住所等)が登録されており、かかる個人情報を利用可能である場合には、このような個人情報を参照することで、より正確な行動パターンの検出が可能となる。
【0058】
上述の「食事」「買い物」「仕事」といったより長期的な行動パターンの検出は、以下で説明する検出アルゴリズムが実施され、検出結果がテキスト抽出部131に出力される前に行われる。
【0059】
ここで、図3に示した動き・状態パターンの一部に関し、より詳細な検出アルゴリズムについて以下で説明する。
【0060】
○一時停止(Pausing)/静止(Still)の認識方法
まず、図4を参照しながら、ユーザが一時停止しているのか、或いは、静止しているのかを認識する方法について説明する。図4は、ユーザが一時停止しているのか、或いは、静止しているのかを認識する方法を示した説明図である。
【0061】
まず、ユーザが行動すると、センサ情報が行動パターン検出部123に入力される。ここでは、3軸方向の加速度データ(x−acc、y−acc、z−acc)が入力される。センサ情報が入力されると、行動パターン検出部123は、センサデータをFIFO形式で記録する(S1001)。所定のデータ分だけ記録されると、行動パターン検出部123は、x−acc、y−acc、z−accの分散値をそれぞれ算出する(S1003)。次いで、行動パターン検出部123は、各分散値のうち、最も大きい分散値である静止判定用最大分散値(det)を抽出する(S1005)。
【0062】
静止判定用最大分散値を抽出すると、行動パターン検出部123は、抽出した静止判定用最大分散値が、静止状態を示す静止認識値Dより小さいか否かを判定する(S1007)。静止判定用最大分散値がDより小さくない場合、行動パターン検出部123は、ユーザが静止していないと判定する。このような判定された場合、ユーザは、何かしらの行動を取っているものと推定される。そのため、行動パターン検出部123は、ユーザが静止していないことを示す情報をテキスト抽出部131に入力する(S1009)。
【0063】
一方、静止判定用最大分散値がDよりも小さい場合、行動パターン検出部123は、上記の最大分散値がDより小さい状態が静止認識時間T1より長く続くか否かを判定する(S1011)。ここで、静止認識時間T1とは、ユーザが静止しているものと見なされる最小の時間を示す。T1より長く続く場合、行動パターン検出部123は、ユーザが静止していると判定し、静止を示す情報をテキスト抽出部131に入力する(S1013)。T1より長く続かない場合、行動パターン検出部123は、ユーザは一時的に静止しているものと判定し、一時的に静止している状態を示す情報をテキスト抽出部131に入力する(S1015)。
【0064】
このように、図4の例に従って判定処理を行うことにより、静止状態、一時静止状態、非静止状態を判別することが可能になる。
【0065】
○歩行(Walking)/走行(Running)の認識方法
次に、図5を参照しながら、ユーザが歩行しているのか、或いは、走行しているのかを認識する方法について説明する。図5は、ユーザが歩行、或いは、走行しているのかを認識する方法を示した説明図である。
【0066】
まず、ユーザが行動すると、センサ情報が行動パターン検出部123に入力される。ここでは3軸方向の加速度データ(x−acc、y−acc、z−acc)が入力される。センサ情報が入力されると、行動パターン検出部123は、バンドパスフィルタ(BPF)を用いて、x−acc、y−acc、z−accから、ユーザが歩行又は走行していると認識される周波数領域外の周波数を除去する(S1101)。次いで、行動パターン検出部123は、BPFを通過したx−acc、y−acc、z−accをFIFO形式で記録する(S1103)。
【0067】
次いで、行動パターン検出部123は、BPFを通過した後で記録されたx−acc、y−acc、z−accを所定のデータ分だけ読み出し、読み出したデータについて自己相関関数(Summary Autocorrelation Function:SACF)を算出する(S1105)。SACFピークの時系列は、歩行や走行の際に生じるユーザの周期的な動きに対応する。しかし、SACFは、歩行や走行に対応する周波数の高調波を含んでしまう。そこで、行動パターン検出部123は、算出した自己相関関数(SACF)に基づいて、増強された自己相関関数(Enhanced SACF:ESACF)を算出する(S1107)。そして、行動パターン検出部123は、ESACFに基づいて自己相関ピークを算出し(S1109)、歩行・走行判定用周波数(freq)を得る。
【0068】
また、行動パターン検出部123は、ステップS1101でBPFを通過させる前のx−acc、y−acc、z−accをFIFO形式で記録する(S1111)。次いで、行動パターン検出部123は、所定のデータ分だけx−acc、y−acc、z−accを読み出して分散値をそれぞれ算出する(S1113)。次いで、行動パターン検出部123は、算出した分散値の中から最も大きい分散値を抽出し、歩行・走行判定用最大分散値(var)として出力する(S1115)。
【0069】
次いで、行動パターン検出部123は、上記の歩行・走行判定用周波数(freq)と歩行・走行判定用最大分散値(var)とを乗算する(S1117)。単位時間当たりの歩数はfreqで表現される。また、動きの大きさはvarで表現される。さらに、歩数と動きの大小とに基づいて歩行であるか、走行であるかを判定することが可能である。そこで、freqとvarとの積が所定の領域の範囲内にあるか否かを判定することにより、ユーザが歩行しているか否かを判定することができる。まず、この判定の精度を高めるため、行動パターン検出部123は、ローパスフィルター(LPF)により、freq/varの積から、歩行/走行が誤認識されやすい周波数領域を除去して歩行・走行判定用データdetを算出する(S1119)。
【0070】
次いで、行動パターン検出部123は、歩行・走行判定用データが、歩行していると認識される下限値である最小歩行認識値Dよりも大きく、かつ、歩行していると認識される上限値である最大歩行認識値Dよりも小さいか否かを判定する(S1121)。Dよりも大きく、Dよりも小さい場合、行動パターン検出部123は、ユーザが歩行していると判定し、歩行を示す情報をテキスト抽出部131に入力する(S1123)。一方、D<det<Dでない場合、行動パターン検出部123は、ステップS1125の処理に進行し、歩行・走行判定データdetが、Dよりも大きいか否かを判定する(S1125)。
【0071】
歩行・走行判定データがDよりも大きい場合、行動パターン検出部123は、ユーザが走行していると判定し、走行を示す情報をテキスト抽出部131に入力する(S1127)。一方、歩行・走行判定データがD以下である場合、行動パターン検出部123は、歩行も走行もしていないと判定し、動き・状態パターンが歩行及び走行ではないことを示す情報をテキスト抽出部131に入力する(S1129)。なお、freqを積分することにより、積分区間に相当する時間の間に歩んだ歩数の情報が得られる。そこで、行動パターン検出部123は、歩数の情報を算出して(S1131)、テキスト抽出部131に入力する(S1133)。
【0072】
このように、図5の例に従って判定処理を行うことにより、歩行状態、走行状態、非歩行・非走行状態を判別することが可能になる。
【0073】
○跳躍(Jumping)の認識方法
次に、図6を参照しながら、ユーザが跳躍しているのか否かを認識する方法について説明する。図6は、ユーザが跳躍しているのか否かを認識する方法を示した説明図である。
【0074】
まず、ユーザが行動すると、センサ情報が行動パターン検出部123に入力される。ここでは3軸方向の加速度データ(x−acc、y−acc、z−acc)が入力される。センサ情報が入力されると、行動パターン検出部123は、x−acc、y−acc、z−accの大きさで表現される跳躍加速度を算出する(S1201)。次いで、行動パターン検出部123は、バンドパスフィルター(BPF)により、ユーザが跳躍していると認識される跳躍認識値領域外の周波数を除去する(S1203)。次いで、行動パターン検出部123は、BPFを通過した値の絶対値を算出し、補正跳躍加速度として出力する(S1205)。このように絶対値をとると、跳躍加速度に比べ、跳躍したときに起きる筐体の揺れや振動等により生じるノイズ成分が除去される。
【0075】
次いで、行動パターン検出部123は、ローパスフィルター(LPF)により、補正跳躍加速度から、跳躍として誤認識されやすい周波数領域を除去する(S1207)。次いで、行動パターン検出部123は、LPFを通過したデータから、跳躍しているか否かを判定するための跳躍状態判定値(det)を算出する。次いで、行動パターン検出部123は、跳躍状態判定値が、跳躍していると認識される下限値である最小跳躍認識値Dよりも大きいか判定する(S1209)。最小跳躍認識値Dよりも大きい場合、行動パターン検出部123は、跳躍していると判定し、跳躍を示す情報をテキスト抽出部131に入力する(S1211)。一方、最小跳躍認識値Dより小さい場合、行動パターン検出部123は、跳躍していないと判定し、跳躍していないことを示す情報をテキスト抽出部131に入力する(S1213)。
【0076】
このように、図6の例に従って判定処理を行うことにより、跳躍状態、非跳躍状態を判別することが可能になる。
【0077】
○姿勢変化(Posture Changing)の認識方法
次に、図7を参照しながら、ユーザが座っているのか、或いは、立っているのかを認識する方法について説明する。図7は、ユーザが座っているのか、或いは、立っているのかを認識する方法を示した説明図である。なお、座っているのか、立っているのかを認識するということは、座っているユーザが立つことの認識、又は、立っているユーザが座ることの認識に他ならない。つまり、ユーザの姿勢変化を認識することである。
【0078】
まず、ユーザが行動すると、センサ情報が行動パターン検出部123に入力される。ここでは3軸方向の加速度データ(x−acc、y−acc、z−acc)が入力される。センサ情報が入力されると、行動パターン検出部123は、x−acc、y−acc、z−accから、ローパスフィルター(LPF)により、ユーザの姿勢変化として誤認識されやすい周波数領域を除去する(S1301)。そして、行動パターン検出部123は、x−acc、y−acc、z−accに基づき、それぞれx−grav、y−grav、z−gravを算出する。x−grav、y−grav、z−gravは、重力がかかる方向を示す重力データである。
【0079】
次いで、行動パターン検出部123は、算出したx−gravの変化を示す値δ(x−grav)、y−gravの変化を示すδ(y−grav)、z−gravの変化を示すδ(z−grav)を算出する(S1303)。次いで、行動パターン検出部123は、δ(x−grav)、δ(y−grav)、δ(z−grav)の大きさを表す姿勢変化値を算出する(S1305)。次いで、行動パターン検出部123は、算出した姿勢変化値から、ローパスフィルター(LPF)により、ユーザの姿勢変化として誤認識されやすい領域を除去し(S1307)、姿勢変化しているか否かを判定する姿勢変化判定値(det)を算出する。
【0080】
次いで、行動パターン検出部123は、姿勢変化判定値が、ユーザが姿勢変化していると認識される下限値である最小姿勢変化認識値Dよりも大きいか否かを判定する(S1309)。姿勢変化判定値がDよりも小さい場合、行動パターン検出部123は、姿勢変化が無いもものと判定し、姿勢変化無しを示す情報をテキスト抽出部131に入力する(S1311)。一方、姿勢変化閾値がDよりも大きい場合、行動パターン検出部123は、ステップS1313の処理に進行し、ユーザが現在立っているのか座っているのかを判定する(S1313)。ユーザが既に立っている場合、行動パターン検出部123は、ユーザが座ったと判定し、着座を示す情報をテキスト抽出部131に入力する(S1315)。一方、ユーザが既に座っている場合、行動パターン検出部123は、ユーザが立ったと判定し、起立を示す情報をテキスト抽出部131に入力する(S1317)。
【0081】
このように、図7の例に従って判定処理を行うことにより、姿勢変化の有無を判別することが可能になる。
【0082】
○エレベータによる上昇/下降の認識方法
次に、図8を参照しながら、ユーザがエレベータに乗っているのか否かを認識する方法について説明する。図8は、ユーザがエレベータに乗っているのか否かを認識する方法を示した説明図である。
【0083】
まず、ユーザが行動すると、センサ情報が行動パターン検出部123に入力される。ここでは3軸方向の加速度データ(x−acc、y−acc、z−acc)が入力される。センサ情報が入力されると、行動パターン検出部123は、x−acc、y−acc、z−accに基づき、ローパスフィルター(LPF)により、重力方向の加速度であると誤認識されやすい周波数領域を除去する(S1401)。次いで、行動パターン検出部123は、LPFを通過したx−acc、y−acc、z−accに基づいて重力方向加速度センサデータ(acc)を算出する(S1403)。
【0084】
また、行動パターン検出部123は、重力の値を調整可能にするために、x−acc、y−acc、z−accの大きさで表現された重力調整データを算出して記録する(S1405、S1407)。次いで、行動パターン検出部123は、所定のデータ分だけ重力調整データを読み出し、その分散値である重力調整分散値(var)を算出する(S1409)。更に、行動パターン検出部123は、所定のデータ分だけ重力調整データを読み出し、その平均値である重力調整平均データを算出する(S1409)。
【0085】
次いで、行動パターン検出部123は、上記の重力調整分散値が、重力の調整を許容する最大の分散値である最大許容重力調整分散値Vよりも小さいか否か判定する(S1411)。上記の重力調整分散値がVより大きい場合、行動パターン検出部123は、重力の値を更新しない(S1413)。一方、上記の重力調整分散値が最大許容重力調整分散値Vよりも小さい場合、行動パターン検出部123は、上記の重力調整平均データが、重力の調整を許容する最小の平均値である最小許容重力平均値Aよりも大きく、かつ、重力の調整を許容する最大の平均値である最大許容重力平均値Aよりも小さいか否かを判定する(S1415)。
【0086】
上記の重力調整平均データがAよりも大きく、Aよりも小さい場合、行動パターン検出部123は、ステップS1419の処理に進行する。一方、それ以外の場合、行動パターン検出部123は、重力の値を更新しない(S1417)。ステップS1419の処理に進行した場合、行動パターン検出部123は、ローパスフィルター(LPF)により、重力であると誤認識されやすい低領域を除去し(S1419)、補正重力調整平均データを算出する。次いで、行動パターン検出部123は、上記の重力方向加速度センサデータと上記の補正重力調整平均データとの差分を算出する(S1421)。次いで、行動パターン検出部123は、算出した差分から、ユーザがエレベータに乗っていると誤認識されやすい周波数領域を除去してエレベータ昇降判定データを算出する(S1423)。
【0087】
次いで、行動パターン検出部123は、エレベータ昇降判定データが所定値Dよりも大きいか否かを判定する(S1425)。エレベータ昇降判定データが所定値Dよりも大きい場合、行動パターン検出部123は、ステップS1427の処理に進行する。一方、エレベータ昇降判定データが所定値Dよりも小さい場合、行動パターン検出部123は、ステップS1433の処理に進行する。ただし、所定値Dは、ユーザがエレベータで上昇を始めたことを認識することが可能な下限値である。
【0088】
ステップS1427の処理に進行した場合、行動パターン検出部123は、エレベータ昇降判定データが最初に所定値Dを上回ったのか否かを判定する(S1427)。最初である場合、行動パターン検出部123は、ステップS1429の処理に進行してエレベータで上昇しているものと判定し、エレベータによる上昇を示す情報をテキスト抽出部131に入力する(S1429)。一方、最初でない場合、行動パターン検出部123は、ステップS1431の処理に進行してエレベータによる下降が終了したものと判定し、エレベータによる下降の終了を示す情報をテキスト抽出部131に入力する(S1431)。
【0089】
ステップS1433の処理に進行した場合、行動パターン検出部123は、エレベータ昇降判定データが所定値Dよりも小さいか否かを判定する(S1433)。ただし、所定値Dは、ユーザがエレベータで下降を始めたことを認識することが可能な上限値である。エレベータ昇降判定データが所定値Dよりも大きい場合、行動パターン検出部123は、ステップステップS1435の処理に進行する。一方、エレベータ昇降判定データが所定値Dよりも小さい場合、行動パターン検出部123は、ステップS1441の処理に進行する。
【0090】
ステップS1435の処理に進行した場合、行動パターン検出部123は、エレベータ昇降判定データが最初に所定値Dを下回ったのか否かを判定する(S1435)。最初である場合、行動パターン検出部123は、ステップS1437の処理に進行してエレベータで下降しているものと判定し、エレベータによる下降を示す情報をテキスト抽出部131に入力する(S1437)。一方、最初でない場合、行動パターン検出部123は、ステップS1439の処理に進行してエレベータによる上昇が終了したものと判定し、エレベータによる上昇の終了を示す情報をテキスト抽出部131に入力する(S1439)。
【0091】
ステップS1441の処理に進行した場合、行動パターン検出部123は、現在、ユーザがエレベータに乗っているか否かを判定する(S1441)。エレベータに乗っている場合、行動パターン検出部123は、ステップS1443の処理に進行してエレベータが加速又は減速の状態にないと判定し、エレベータの加速又は減速がない状態を示す情報をテキスト抽出部131に入力する(S1443)。一方、エレベータに乗っていない場合、行動パターン検出部123は、ステップS1445の処理に進行し、エレベータに乗っていない状態を示す情報をテキスト抽出部131に入力する(S1445)。
【0092】
このように、図8の例に従って判定処理を行うことにより、エレベータによる上昇/下降を判別することが可能になる。
【0093】
○電車に乗っているのか否かの認識方法
次に、図9を参照しながら、ユーザが電車に乗っているのか否かを認識する方法について説明する。図9は、ユーザが電車に乗っているのか否かを認識する方法を示した説明図である。
【0094】
まず、ユーザが行動すると、センサ情報が行動パターン検出部123に入力される。ここでは3軸方向の加速度データ(x−acc、y−acc、z−acc)が入力される。センサ情報が入力されると、行動パターン検出部123は、x−acc、y−acc、z−accに基づき、ユーザが電車に乗っていると誤認識されやすい周波数領域をローパスフィルター(LPF)により除去する(S1501)。次いで、行動パターン検出部123は、上記の周波数領域が除去されたx−acc、y−acc、z−accに基づき、水平方向の加速度データ、及び垂直方向の加速度データを算出する(S1503、S1505)。ただし、水平方向、垂直方向とは、電車の走っている地面に対する水平な方向、垂直な方向を意味する。
【0095】
次いで、行動パターン検出部123は、上記の水平方向の加速度データ、及び垂直方向の加速度データを所定のデータ分だけFIFO形式で記録する(S1507、S1509)。次いで、行動パターン検出部123は、水平方向の加速度データを所定のデータ分だけ読み出し、その分散値である水平方向分散値(h−var)を算出する(S1511)。また、行動パターン検出部123は、垂直方向の加速度データを所定のデータ分だけ読み出し、その分散値である垂直方向分散値(v−var)を算出する(S1513)。水平方向分散値(h−var)は、電車の走行時に検出される水平方向の揺れや振動の度合いを表している。また、垂直方向分散値(v−var)は、電車の走行時に検出される垂直方向の揺れや振動の度合いを表している。
【0096】
次いで、行動パターン検出部123は、垂直方向分散値(v−var)が、最小の許容される垂直方向分散値である最小許容垂直分散値Vより大きく、かつ、最大の許容される垂直方向分散値である最大許容垂直分散値Vより小さいかを判定する(S1515)。垂直方向分散値(v−var)が、V以下又はV以上である場合、行動パターン検出部123は、電車搭乗判定データ(det)を0に設定する(S1517)。一方、垂直方向分散値がVより大きく、かつ、Vより小さい場合、行動パターン検出部123は、ステップS1519の処理に進行する。
【0097】
ステップS1519の処理に進行すると、行動パターン検出部123は、垂直方向分散値と水平方向分散値の何れが小さいかを判定する(S1519)。垂直方向分散値(v−var)の方が小さい場合、行動パターン検出部123は、垂直方向分散値(v−var)を所定データ分だけ積分し、積分値を算出する(S1521)。一方、水平方向分散値(h−var)の方が小さい場合、行動パターン検出部123は、水平方向分散値(h−var)を所定データ分だけ積分し、積分値を算出する(S1523)。そして、ステップS1521、S1523の処理により得られた積分値は、ユーザが電車に乗っているか否かを判定する電車搭乗判定データ(det)に設定される。
【0098】
次いで、行動パターン検出部123は、電車搭乗判定データが、ユーザが電車に搭乗していると認識される下限値である最小電車搭乗認識値Dよりも大きいか否かを判定する(S1525)。電車搭乗判定データがDよりも大きい場合、行動パターン検出部123は、ユーザが電車に乗っていると判定し、電車に乗っている状態を示す情報をテキスト抽出部131に入力する(S1527)。一方、電車搭乗判定データがD以下である場合、行動パターン検出部123は、ユーザが電車に乗っていないと判定し、ユーザが電車に乗っていないことを示す情報をテキスト抽出部131に入力する(S1529)。
【0099】
このように、図9の例に従って判定処理を行うことにより、電車に乗っている状態か否かを判別することが可能になる。電車の加速状態から減速状態までに着目することで、電車に乗車していて電車が駅に停車している場合、電車が停車した場合、電車が駅に着いてユーザが電車から降りて歩き始めた場合等を判別することもできる。これらの判別結果をテキスト抽出部131に通知するように構成されていてもよい。
【0100】
○右折/左折の認識方法
次に、図10を参照しながら、ユーザの右折又は左折を認識する方法について説明する。図10は、ユーザの右折又は左折を認識する方法を示した説明図である。
【0101】
まず、ユーザが行動すると、センサ情報が行動パターン検出部123に入力される。ここでは3軸方向の加速度データ(x−acc、y−acc、z−acc)、及びジャイロデータ(x−gyro、y−gyro、z−gryo)が入力される。センサ情報が入力されると、行動パターン検出部123は、ローパスフィルター(LPF)により、入力されたセンサ情報から、右折又は左折していると誤認識されやすい周波数領域を除去する(S1601)。次いで、行動パターン検出部123は、上記の周波数領域が除去されたx−acc、y−acc、z−acc及びx−gyro、y−gyro、z−gryoに基づいて、重力方向の角速度を算出する(S1603)。
【0102】
次いで、行動パターン検出部123は、算出した角速度から、バンドパスフィルター(BPF)により、右折又は左折していると認識するための曲がり認識領域外の値を除去して補正角速度(det)を算出する(S1605)。次いで、行動パターン検出部123は、補正角速度が、ユーザが右折していると認識するための上限値である最大右折認識値Dよりも小さいか否かを判定する(S1607)。補正角速度がDよりも小さい場合、行動パターン検出部123は、ユーザが右折していると判定し、その判定結果をテキスト抽出部131に入力する(S1609)。一方、補正角速度がD以上の場合、行動パターン検出部123は、ステップS1611の処理に進行する。
【0103】
ステップS1611の処理に進行すると、行動パターン検出部123は、補正角速度が、ユーザが左折していると認識される下限値である最小左折認識値D10よりも大きいか否かを判定する(S1611)。補正角速度がD10より大きい場合、行動パターン検出部123は、ユーザが左折していると判定し、その判定結果をテキスト抽出部131に入力する(S1613)。一方、補正角速度がD10よりも小さい場合、行動パターン検出部123は、ユーザが右折も左折もしていないと判定し、その判定結果をテキスト抽出部131に入力する(S1615)。
【0104】
このように、図10の例に従って判定処理を行うことにより、ユーザの右折/左折を判別することが可能になる。
【0105】
以上、行動パターン検出部123の機能について詳細に説明した。上記の通り、動き・状態パターンは、ユーザの具体的な生活行動を表現したものではない。動き・状態パターンとは、ある瞬間(短時間)におけるユーザの状態を表現したものであるといえる。
【0106】
再び図2に戻って、本実施形態に係るテキスト選択部103の構成について説明する。
位置情報解析部125は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。位置情報解析部125は、センサ情報取得部101により入力された位置情報を、後述するテキスト抽出部131に出力する。また、位置情報解析部125は、センサ情報取得部101から出力された位置情報と、記憶部111に格納されているユーザの行動履歴情報133と、を利用して、位置情報の解析を行う。
【0107】
より詳細には、位置情報解析部125は、入力された位置情報を利用して、ユーザ行動履歴情報の一種である位置情報の履歴を更新する。この際、位置情報解析部125は、入力された位置情報にユーザに固有の識別情報(ユーザID)を関連付けて、位置情報の履歴を更新する。また、入力された位置情報に記載された緯度・経度の組み合わせが、新規な場所を表すものであった場合、位置情報解析部125は、該当する位置情報に、当該位置情報に固有の識別情報(場所ID)を関連付けて記録してもよい。更に、位置情報解析部125は、位置情報に関連付けられている日時に関する情報を参照して、記載されている時刻の含まれる時間帯を特定し、当該時間帯に対応する識別情報(時間帯ID)を関連付けて記録してもよい。
【0108】
また、位置情報解析部125は、入力された位置情報と、位置情報の履歴とを利用して、頻繁に訪れる場所や、現在位置の次に訪れそうな場所について解析を行う。頻繁に訪れる場所に関する解析は、例えば、位置情報の履歴に記載されている各場所について、ユーザがその場所を訪れる頻度を算出し、得られた頻度に基づいてスコアを決定することで行われる。また、現在位置の次に訪れそうな場所に関する解析は、例えば、現在位置から、位置情報の履歴に記載されている各場所へと移動する場合の条件付き確率を算出し、得られた条件付き確率に基づいてスコアを決定することで行われる。これらのスコアは、その値が大きければ大きいほど、対応する事象が確からしいことを示すものである。
【0109】
図11は、本実施形態に係る記憶部111に格納されているユーザ行動履歴情報133の一例を示している。ユーザ行動履歴情報133には、位置情報の履歴や、位置情報解析部125が各種の処理により生成した情報等が格納されている。テキスト選択部103の有する各処理部は、各処理を実施するに際して、このユーザ行動履歴情報133を参照することが可能である。
【0110】
テキスト解析部127は、例えば、CPU、ROM、RAM、通信装置等により実現される。テキスト解析部127は、記憶部111のテキストデータベース(以下、テキストDBと略記する。)135に存在する各種のテキストを解析する。テキスト解析部127による解析により、テキスト(文)に含まれる単語に対して属性が付与されるとともに、テキストそのものに対して、テキストの表す動きや状態(コンテキスト)が付与される。このような解析処理により、各テキストがどのような時に使用されるものであり(コンテキスト)、テキスト中の単語がどのようなことを指しているのか(単語属性)が明らかになる。
【0111】
テキスト解析部127は、まず、テキストDB135に格納されているテキストをそれぞれ取得して、取得したテキストに対して、いわゆる形態素解析を実施する。テキスト解析部127は、形態素解析を実施するにあたり、記憶部111のテキスト解析用データベース(以下、テキスト解析用DBと略記する。)に含まれる各種辞書を利用する。これにより、テキストは、テキストを構成する1または複数の単語へと分解されることとなる。このようにして生成された単語を、本実施形態に係るテキスト選択部103は、キーワードとして扱う。また、テキスト解析部127は、形態素解析に利用する辞書を参照して、各単語に対して、属性を付与する。なお、テキスト解析部127は、テキストを解析するに際して、形態素解析だけでなく、必要に応じて、テキストの構文解析を実施したり、意味解析を実施したりしてもよい。
【0112】
なお、単語によっては、一つの単語に様々な属性が関連付けられている場合がある。例えば、「恵比寿」という単語は、東京に存在する地名であり、日本の神(七福神の一柱)であり、電車の駅の名前でもある。テキスト解析部127は、上述の例のように、ある単語に対して複数の属性を付与しうる場合に、いずれか一つの属性を付与するのではなく、複数の属性を付与する。これにより、テキスト解析部127は、一つの単語を多面的にとらえることが可能となる。
【0113】
また、テキスト解析部127は、テキストを構成する単語に対して属性が付与されると、付与された属性を利用して、テキストのコンテキスト(テキストが表す動きや状態)を付与する。この場合にも、テキスト解析部127は、あるテキストに対して複数のコンテキストが付与しうる場合に、いずれか一つのコンテキストを付与するのではなく、複数のコンテキストを付与する。これにより、テキスト解析部127は、一つの文章のコンテキストを多面的にとらえることが可能となる。
【0114】
テキスト解析部127は、テキストの単語への分解と、それに続く属性及びコンテキストの付与が終了すると、各単語(すなわち、キーワード)と属性との組み合わせに対するスコア付けと、コンテキストに対するスコア付けとを実施する。これにより、各テキストに含まれる単語についてどの属性が確からしいのか、及び、どのコンテキストが確からしいのかが数値化されることとなる。
【0115】
このようなテキスト解析部127によるテキストの解析処理は、任意のタイミングで実行される。例えば、テキスト解析部127は、テキストDB135等に未解析のテキストが追加された際に、上述のようなテキスト解析処理を実施してもよい。また、テキスト解析部127は、所定の周期ごと(例えば、1日に1回など)に、未解析のテキストを抽出し、抽出した未解析のテキストに対して上述のようなテキスト解析処理を実施してもよい。
【0116】
以下、図12〜図16を参照しながら、テキスト解析部127によるテキストの解析処理を具体的に説明する。図12〜図16は、テキスト解析部127によるテキストの解析処理を説明するための説明図である。
【0117】
まず、図12を参照する。図12は、テキスト解析部127により行われるテキスト解析処理の概略を示している。図12に示した例では、「布袋駅には昔ビール工場がありました」というテキスト(文章)に対して、テキスト解析部127がテキスト解析処理を実施する場合について着目している。
【0118】
この場合、テキスト解析部127は、着目している文章に対して形態素解析を実施し、文章を複数の単語に分割する。図12に示した例の場合、着目している文章は、「布袋」「駅」「昔」「ビール」「工場」「ある」といった名詞及び動詞に加え、「には」「ました」といった助詞へと分割されることとなる。テキスト解析部127は、これらのキーワードに対して固有の識別情報(キーワードID)を付与するとともに、参照した辞書等に基づいて、属性を付与する。図12の例では、キーワード「布袋」に対して、「建造物:鉄道:駅」「地名」「固有名詞:日本の神」「飲食物:ビール」という属性が付与されている。図12に示したように、付与される属性は、「駅」のような下位の概念に加えて、「鉄道」「建造物」といった、より上位の概念が関連付けられていてもよい。また、テキスト解析部127は、キーワードと属性との組み合わせに対して、それぞれスコアを算出し、対応する組み合わせに関連付ける。
【0119】
また、テキスト解析部127は、着目している文章について、文章に固有の識別情報(文ID)を付与するとともに、着目している文章に該当すると考えられるコンテキストを付与する。図12に示した例では、着目している文章に対して、「論述」「移動中:徒歩」「移動中:電車」といったコンテキストが付与され、それぞれにスコアが算出されている。図12に示したように、コンテキストについても、「徒歩」「電車」という下位の概念に加えて、「移動中」といった、より上位の概念が関連付けられていてもよい。
【0120】
図13A及び図13Bは、テキストを構成する単語に対して、テキスト中に存在する各単語の属性の頻度に基づいてテキスト全体の属性を推定し、各単語の属性の尤度を決定する方法について図示している。
【0121】
図13Aに示した例では、「布袋駅には昔ビール工場がありました」という文章に着目した場合について示している。テキスト解析部127は、着目している文章に対して形態素解析を行い、文章を「布袋」「駅」「昔」「ビール」「工場」「ある」という形態素へと分割する。また、テキスト解析用DB137等に格納されている辞書を参照することで、「布袋」に対して、「駅」「地名」「神」「飲み物」という4種類の属性を付与し、各単語についても、同様に属性を付与する。
【0122】
ここで、着目している文章全体を考えると、文章中に「駅」及び「飲み物」という属性はそれぞれ2つずつ存在し、他の属性は1つずつ存在する。従って、文章全体として考えると、着目している文は、「駅」「飲み物」の話をしている可能性が高いと判断することができる。従って、テキスト解析部127は、かかる判断結果を踏まえて、キーワードの属性それぞれについて、スコアを算出することができる。図13Aに示した例では、「布袋」というキーワードに対して、「駅(スコア:0.4)」「飲み物(スコア:0.4)」「神(スコア:0.1)」「地名(スコア:0.1)」が付与される。
【0123】
図13Bに示した例では、「布袋は次の駅です」という文章に着目した場合について示している。この文章についても、テキスト解析部127は同様に解析を行い、文章全体として「駅」の話をしている可能性が高いと判断する。従って、テキスト解析部127は、かかる判断結果を踏まえて、キーワードの属性それぞれについて、スコアを算出することができる。図13Bに示した例では、「布袋」というキーワードに対して、「駅(スコア:0.8)」「飲み物(スコア:0.66)」「神(スコア:0.66)」「地名(スコア:0.66)」が付与される。
【0124】
また、図13A及び図13Bに示したように、各属性について算出されるスコアは、着目している文章によって異なる値となる。
【0125】
図14に示した例では、事前に大量の文からなる集合を解析して、文章を構成する単語のクラスタを生成しておいた上で、この単語クラスタを利用して、単語の属性を付与する場合について示している。この場合、テキスト解析部127は、形態素解析の結果得られた複数の単語それぞれについて、単語クラスタ内でどのクラスタに属するかを判断する。例えば、図14に示した「布袋」という単語は、単語「福禄寿」が属する「神」というクラスタと、「カリン」という飲料製品メーカー名が属する「飲み物」というクラスタと、「駅」というクラスタに属している。かかる場合に、テキスト解析部127は、「駅」「飲み物」というクラスタ内の活性が高いと考え、「布袋」の属性として、「駅」「飲み物」を付与することができる。
【0126】
なお、単語に対して属性を付与する方法は、上述の例に限定されるわけではなく、他の任意の方法を利用することが可能である。また、着目している文章の前後に他の文章が存在して、関連する一連の文章群となっている場合には、テキスト解析部127は、関連する文章の解析結果を利用し、単語に対して属性を付与してもよい。
【0127】
続いて、図15及び図16を参照しながら、テキストに対するコンテキストの付与方法について説明する。図15及び図16は、本実施形態に係るテキストへのコンテキストの付与方法を説明するための説明図である。
【0128】
まず、図15を参照する。図15では、文中における属性頻度と、テキスト解析用DB137に格納されている辞書ファイルとを利用して、テキストに対してコンテキストを付与する方法について示している。
【0129】
図15では、「布袋駅には昔ビール工場がありました」という文章について着目している。かかる方法では、テキスト解析部127は、着目しているテキストに対して、何らかの分類カテゴリが設定されている場合には、かかる分類カテゴリを利用する。図15に示した例では、「布袋駅には昔ビール工場がありました」という例文に、「論述」というカテゴリが予め設定されているため、テキスト解析部127は、かかる分類カテゴリ(例文カテゴリ)を利用する。なお、「論述」というカテゴリは、ある物事に対して論述しているテキスト(文章)に対して付与される分類カテゴリである。
【0130】
また、テキスト解析部127は、先に説明した方法により、着目しているテキストに対して形態素解析等を行い、テキスト中に存在する単語(キーワード)に対して、属性を付与する。その上で、テキスト解析用DB137等に格納されている辞書ファイルを参照して、付与された属性に対する上位概念を抽出する。なお、付与されている属性に上位概念が存在しない場合には、付与された属性をそのまま利用する。
【0131】
図15に示した例では、テキストを解析することで、「駅」「地名」「紙」「飲み物」「時間」「工場」「存在」という属性が付与される。テキスト解析部127は、付与された属性と、辞書ファイルとを利用して、上位概念が存在する属性を変更して、「鉄道」「飲食物」「固有名詞」「時間」「建造物」「存在」という属性を抽出する。
【0132】
その後、テキスト解析部127は、テキスト解析用DB137等に格納されている、属性とコンテキストとの対応関係が記載されているマッピングテーブルを利用して、抽出した(上位概念の)属性から、コンテキストを特定する。図15に示した例では、マッピングテーブルを利用して、「鉄道」という上位概念の属性を、「移動中:電車」というコンテキストに対応づける。同様に、「飲食物」という上位概念の属性を、「食事中」というコンテキストに対応づけ、「固有名詞」という上位概念の属性を、「論述」というコンテキストに対応づける。
【0133】
テキスト解析部127は、マッピングテーブルにより対応づけられたコンテキストと、もし存在しているのであれば、着目しているテキストの例文カテゴリとを利用して、着目しているテキストのコンテキストを決定する。例えば図15では、テキスト解析部127は、両者の比較から、「移動中:電車」「食事中」「論述」コンテキストの確率が高いと判断する。
【0134】
これにより、テキスト解析部127は、着目しているテキストの文コンテキストは、「移動中:電車」「食事中」「論述」であると決定する。
【0135】
他方、図16に示した例では、テキスト解析部127は、ユーザが条件設定部121等で設定しているコンテキストを学習しつつ、設定されているコンテキスト条件で使用された文章の履歴を記録しておく。図16に示した例では、ある文章Xは、図中に示したような履歴情報(使用履歴)から明らかなように、「移動中:電車」というコンテキストにおいて多く利用されている。従って、テキスト解析部127は、着目している文章Xは、「移動中:電車」とうコンテキストの確率が高いと判断する。このように、図16に示した例は、コンテキストの履歴を機械学習し、得られた学習結果をフィードバックすることにより、着目している文章の文コンテキストを決定する方法である。
【0136】
なお、かかるフィードバック方式を利用した方法は、他の文コンテキストの付与方法と併用してもよい。
【0137】
なお、テキスト解析部127が解析を実施するテキストは、テキストDB135に記録されているテキストに限定されるわけではない。テキスト解析部127は、例えば、情報処理装置10に接続された外部接続機器やリムーバブル記録媒体に格納されているテキストや、インターネットやホームネットワーク上に存在する各種機器に格納されているテキストを解析することも可能である。
【0138】
テキスト解析部127は、また、キーワード変換部129から各種のキーワードが入力された場合に、入力されたキーワードに対しても解析処理を実施し、キーワードに対して当該キーワードに該当する属性を付与する。キーワードへの属性付与が終了すると、テキスト解析部127は、キーワード変換部129に対して、キーワードに付与された属性を表す情報を出力する。
【0139】
上述のような処理がなされることで、図17に示したようなテキストデータベース135が構築されることとなる。図17に示したように、テキストDB135には、格納されている文章に関する情報や、抽出されたキーワードに関する情報や、テキストに付与されたコンテキストに関する情報や、文章とキーワードとの対応付けに関する情報等が格納されている。
【0140】
例えば、文に関する情報には、テキストDB135に格納されているテキストに関する情報がまとめられている。この情報には、文に固有の識別情報(文ID)と、文のタイプを表す情報と、文そのものを表す情報と、文の難易度を表すレベルに関する情報と、言語の種別を表す識別情報(言語ID)とが記載されている。また、各文には、関連する文を表す識別情報(関連文ID)が関連づけられている。
【0141】
後述するテキスト抽出部131は、かかるテキストDB135を利用することで、ユーザの現在位置や行動パターンに適合したテキストを的確に抽出することが可能となる。
【0142】
キーワード変換部129は、例えば、CPU、ROM、RAM、通信装置等により実現される。キーワード変換部129は、センサ情報取得部101から出力された位置情報を利用して、取得した位置情報を、位置情報が表す場所に関連するキーワードへと変換する。かかるキーワードへの変換は、例えば、テキスト解析用DB137に格納されている各種の辞書やデータベースを利用したり、ネットワーク上の検索エンジンを管理する各種サーバを利用したりすることで、実施することが可能である。キーワード変換部129は、かかるキーワード変換処理を実施することで、緯度・経度からなる位置情報から、住所、地名、近くの建物・道路・店舗等の名称等の各種キーワードを得ることができる。
【0143】
また、キーワード変換部129は、センサ情報取得部101から通知された位置情報だけでなく、位置情報解析部125によって解析及び更新されたユーザ行動履歴情報133を参照して、頻繁に訪れる場所や、現在位置の次に訪れそうな場所についても、キーワード変換処理を実施してもよい。これにより、センサ情報取得部101から通知された位置情報が表す場所から連想されるユーザの訪れそうな場所についても、キーワードを取得することが可能となる。
【0144】
キーワード変換部129は、このようにして得られたキーワードを、テキスト解析部127に出力して、テキスト解析部127に対して、得られたキーワードへの属性の付与を要請する。また、キーワード変換部129は、変換されたキーワードに対して属性が付与されると、属性の付与されたキーワードをテキスト抽出部131に出力する。
【0145】
テキスト抽出部131は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。テキスト抽出部131は、行動パターン検出部123から出力されたコンテキスト、位置情報解析部125から出力された位置情報、キーワード変換部129から出力されたキーワード等に基づいて、テキストDB135に格納されている複数のテキストの中から適切なテキストを抽出する。また、テキストの抽出に際しては、テキスト抽出部131は、条件設定部121により設定された各種条件も考慮する。
【0146】
具体的には、テキスト抽出部131は、入力されたコンテキスト、設定条件、キーワード、属性等に基づいて、テキストDB135に格納されているテキスト(及びテキストに付与されている属性・コンテキスト)とのマッチングを行う。その上で、テキスト抽出部131は、入力された条件等に最も適合したテキストを、ユーザに提示するテキストとして、ユーザに提示する。これにより、ユーザには、ユーザの現在地や状態(コンテキスト)に適合した文章が提示されることとなり、ユーザは、より臨場感のある文章を参照することが可能となる。
【0147】
なお、テキストの抽出の際には、属性は適合しているがキーワードは適合していない、といった文章が抽出される場合もあり得る。その場合、テキスト抽出部131は、抽出したテキスト中に存在するキーワードを、キーワード変換部129から入力された、属性の一致するキーワードに適宜入れ替えることを行っても良い。かかるキーワードの入れ替え処理を行うことで、ユーザに対して、より臨場感のある文章を提示することが可能となる。
【0148】
なお、上述の説明では、位置情報及び位置情報から導き出される情報と、条件設定部121により設定された条件と、行動パターン検出部123により検出されたユーザの状態(コンテキスト)とに基づいてテキストが抽出される場合について説明した。しかしながら、テキスト選択部103が行動パターン検出部123を有していない場合には、位置情報及び位置情報から導き出される情報と、条件設定部121により設定された条件とに基づいて、テキストが抽出されてもよい。
【0149】
以上、本実施形態に係る情報処理装置10の機能の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材や回路を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。また、各構成要素の機能を、CPU等が全て行ってもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用する構成を変更することが可能である。
【0150】
なお、上述のような本実施形態に係る情報処理装置の各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作製し、パーソナルコンピュータ等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリなどである。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信してもよい。
【0151】
<情報処理方法の流れについて>
続いて、図18〜図20を参照しながら、本実施形態に係る情報処理方法の流れについて、簡単に説明する。
【0152】
[テキスト解析方法の流れについて]
まず、図18を参照しながら、テキスト解析部127により実行されるテキスト解析方法の流れについて、簡単に説明する。図18は、本実施形態に係るテキスト解析方法の流れを示した流れ図である。
【0153】
テキスト解析部127は、まず、テキストDB135に格納されている言語別の例文・質問のうちから、未解析の文章を1つ取得する(S101)。続いて、テキスト解析部127は、取得した未解析の文章について形態素解析を実施して、先に説明した方法により、例文・質問に付与するキーワードの属性と、コンテキストとを決定する(S103)。テキスト解析部127は、続いて、決定したキーワード属性及びコンテキストをテキストDB135の対応する箇所に追記する(S105)。
【0154】
その後、テキスト解析部127は、未解析の文章がまだ存在するか否かを判断する(S107)。未解析の文章が未だ存在する場合には、テキスト解析部127は、ステップS101に戻ってテキストの解析処理を継続する。また、未解析の文章が存在しない場合には、テキスト解析部127は、テキストの解析処理を終了する。
【0155】
[テキスト選択方法の流れについて]
次に、図19及び図20を参照しながら、本実施形態に係る情報処理装置10により実行されるテキスト選択方法の流れについて、簡単に説明する。図19及び図20は、本実施形態に係るテキスト選択方法の流れを示した流れ図である。
【0156】
まず、図19を参照する。情報処理装置10のセンサ情報取得部101は、各種センサから出力されたセンサ情報を取得する(S111)。センサ情報取得部101は、取得したセンサ情報を、テキスト選択部103の行動パターン検出部123、位置情報解析部125及びキーワード変換部129に出力する。
【0157】
行動パターン検出部123は、センサ情報取得部101から出力されたセンサ情報(モーションセンサから出力されたセンサ情報)に基づいてユーザの状態を検出し、ユーザのコンテキストを決定する(S113)。コンテキストを決定すると、行動パターン検出部123は、決定したコンテキストを示す情報を、テキスト抽出部131に出力する。
【0158】
また、位置情報解析部125は、センサ情報取得部101から出力されたセンサ情報(位置情報)に基づいて、頻繁に訪れる場所や、次に訪れそうな場所に関する各種の解析を実施する(S115)。その後、位置情報解析部125は、得られた解析結果及び取得した位置情報を、ユーザ行動履歴情報133に反映する(S117)。
【0159】
また、キーワード変換部129は、各種のデータベースやネットワーク上の検索エンジン等を利用して、センサ情報取得部101から出力された位置情報を、住所・地名、近くの建物・道路・店舗等の名称等のキーワードへと変換する(S119)。その後、キーワード変換部129は、変換の結果得られたキーワードをテキスト解析部127に出力する。テキスト解析部127は、キーワード変換部129から出力されたキーワードについて解析を行い(S121)、キーワードに対して属性を付与する。属性の付与が終了すると、テキスト解析部127は、各キーワードに付与された属性を示す情報を、キーワード変換部129に出力する。キーワード変換部129は、各キーワードに付与された属性を示す情報を取得すると、得られたキーワード及びキーワードに付与された属性を示す情報を、テキスト抽出部131に出力する。
【0160】
テキスト抽出部131は、各処理部から出力されたコンテキスト・設定条件・キーワード・属性・位置情報等に基づいて、テキストDB135に格納されている複数の例文・質問の中から、適切な例文や質問を抽出する(S123)。ここで、抽出した例文や質問について、属性やコンテキストは適合しているがキーワードについては適合していない場合には、抽出した例文や質問をキーワードに応じて編集してもよい(S125)。その後、テキスト抽出部131は、抽出した例文や質問を、表示制御部105に出力する(S127)。表示制御部105は、テキスト抽出部131から出力された例文や質問を、情報処理装置10の有するディスプレイ等の表示部に表示する。これにより、情報処理装置10のユーザは、テキスト選択部103により選択された、ユーザの現在地やコンテキストに適合する例文や質問を、閲覧することができる。
【0161】
次に、図20を参照する。図19では、ユーザの現在位置、属性、キーワード、コンテキスト等に応じて例文・質問を抽出する場合について説明したが、図20では、ユーザのコンテキストを利用せずに例文・質問を抽出する場合について説明している。
【0162】
まず、情報処理装置10のセンサ情報取得部101は、各種センサから出力されたセンサ情報を取得する(S131)。センサ情報取得部101は、取得したセンサ情報を、テキスト選択部103の位置情報解析部125及びキーワード変換部129に出力する。
【0163】
位置情報解析部125は、センサ情報取得部101から出力されたセンサ情報(位置情報)に基づいて、頻繁に訪れる場所や、次に訪れそうな場所に関する各種の解析を実施する(S133)。その後、位置情報解析部125は、得られた解析結果及び取得した位置情報を、ユーザ行動履歴情報133に反映する(S135)。
【0164】
また、キーワード変換部129は、各種のデータベースやネットワーク上の検索エンジン等を利用して、センサ情報取得部101から出力された位置情報を、住所・地名、近くの建物・道路・店舗等の名称等のキーワードへと変換する(S137)。その後、キーワード変換部129は、変換の結果得られたキーワードをテキスト解析部127に出力する。テキスト解析部127は、キーワード変換部129から出力されたキーワードについて解析を行い(S139)、キーワードに対して属性を付与する。属性の付与が終了すると、テキスト解析部127は、各キーワードに付与された属性を示す情報を、キーワード変換部129に出力する。キーワード変換部129は、各キーワードに付与された属性を示す情報を取得すると、得られたキーワード及びキーワードに付与された属性を示す情報を、テキスト抽出部131に出力する。
【0165】
テキスト抽出部131は、各処理部から出力された設定条件・キーワード・属性・位置情報等に基づいて、テキストDB135に格納されている複数の例文・質問の中から、適切な例文や質問を抽出する(S141)。ここで、抽出した例文や質問について、属性等は適合しているがキーワードについては適合していない場合には、抽出した例文や質問をキーワードに応じて編集してもよい(S143)。その後、テキスト抽出部131は、抽出した例文や質問を、表示制御部105に出力する(S145)。表示制御部105は、テキスト抽出部131から出力された例文や質問を、情報処理装置10の有するディスプレイ等の表示部に表示する。これにより、情報処理装置10のユーザは、テキスト選択部103により選択された、ユーザの現在地等に適合する例文や質問を、閲覧することができる。
【0166】
このように、本実施形態に係る情報処理装置10は、ユーザの現在地、頻繁に訪れる場所、次に訪れそうな場所といった場所に関する状況や、ユーザのコンテキスト等に適合した、より実際に使用される可能性の高い例文、質問、問題等をユーザに提示可能である。これにより、本実施形態に係る情報処理装置10は、ユーザに興味を起こさせることが可能となり、ユーザの学習のモチベーションを高く維持することができる。その結果、ユーザは、効率的な学習が可能となる。
【0167】
また、本実施形態に係る情報処理装置10では、ユーザの位置情報に応じた文章が自動的に選択される。そのため、本実施形態に係る情報処理装置10を例えば語学学習等に適用することで、例えば旅行先などで、必要な文章が自動的にユーザに提示されることとなる。従って、ユーザは、状況にあった会話用の文章を、複数の文章の中から検索することなく取得することが可能となる。
【0168】
なお、上述の説明では、特に位置情報に着目して説明を行ったが、位置情報に換えて、もしくは位置情報に加えて、時刻に関する情報に着目して、文章の選択を行っても良い。これにより、ユーザが情報処理装置10を操作している時刻に応じて文章が選択されることとなるため、時刻にあった文章が自動的に選択されるようになる。また、時刻情報だけでなく、例えば、現在の天気に関する情報を例えばネットワーク上の検索エンジン等から取得することで、天候にあった文章を自動的に選択するようにすることも可能である。
【0169】
(第2の実施形態)
続いて、図21〜図30を参照しながら、本発明の第2の実施形態に係る情報処理装置及び出題傾向設定方法について、詳細に説明する。
第1の実施形態に係る情報処理装置は、ユーザの位置情報やコンテキスト等に適合したテキストを自動的に選択する機能を有していた。以下で説明する第2の実施形態に係る情報処理装置10は、ユーザの学習レベルにあわせて問題の出題傾向を自動的に設定する機能を有している。以下で説明する本実施形態に係る情報処理装置10を利用することで、ユーザは、効果的に学習を進めることが可能となる。
【0170】
<情報処理装置の構成について>
まず、図21を参照しながら、本実施形態に係る情報処理装置10の構成について、詳細に説明する。図21は、本実施形態に係る情報処理装置10の構成を示したブロック図である。
【0171】
本実施形態に係る情報処理装置10は、図21に示したように、表示制御部105、ユーザ回答取得部107、ユーザ回答判定部109、記憶部111、出題傾向設定部141及び問題選択部143を主に備える。
【0172】
ここで、表示制御部105、ユーザ回答取得部107及び記憶部111は、本発明の第1の実施形態に係る表示制御部105、ユーザ回答取得部107及び記憶部111と同様の構成を備え、同様の効果を奏する。従って、以下では詳細な説明は省略する。
【0173】
ユーザ回答判定部109は、問題選択部143によって出題された問題に関するユーザ回答を判定し、正誤に関する情報を出題傾向設定部141に出力する以外は、第1の実施形態に係るユーザ回答判定部109と同様の構成を備え、同様の効果を奏する。従って、以下では、詳細な説明は省略する。
【0174】
出題傾向設定部141は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。出題傾向設定部141は、ユーザの学習レベル(学習の習熟度合い)に応じて、出題される問題の傾向を自動的に設定する。出題傾向設定部141が設定する出題傾向として、例えば、出題される問題の難易度レベルにとどまらず、ある問題に類似する問題を優先的に出題する、ある程度の期間をおいて未習熟の問題を繰り返し出題する、等といったものを挙げることができる。
【0175】
[出題傾向設定部の詳細な構成について]
ここで、図22を参照しながら、出題傾向設定部141の構成について、更に詳細に説明する。図22は、本実施形態に係る出題傾向設定部141の構成を説明するためのブロック図である。
【0176】
図22に示したように、本実施形態に係る出題傾向設定部141は、ユーザ回答解析部151と、忘却曲線生成部153と、出題条件設定部155と、を更に備える。
【0177】
ユーザ回答解析部151は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。ユーザ回答解析部151は、ユーザ回答判定部109によるユーザ回答の正誤判定結果を利用して、ユーザの正答率及び誤答率を算出する。また、ユーザ回答解析部151は、算出したユーザの正答率を利用して、問題の難易度を算出する。
【0178】
以下、具体的に、ユーザ回答解析部151の機能について説明する。
ユーザ回答解析部151は、ユーザ回答判定部109からユーザ回答の正誤判定結果を取得すると、図23に示したような正答率テーブルを更新するとともに、正誤判定結果に対応する問題の正答率を算出する。
【0179】
正答率テーブルは、図23に示したように、各ユーザに対して、設問に固有の識別情報(設問ID)ごとに、正答数と、出題数とが記載されているものである。この正答率テーブルは、例えば記憶部111の所定の記憶領域に格納されている。例えば、ユーザAの設問ID1に対する正答数は5であり、出題数は20となっている。この場合に、ユーザAが、再度設問ID1に対応する問題を解いた場合を考える。この際、ユーザ回答が正答であった場合には、正答数及び出題数それぞれが1加算され、それぞれ、6、21となり、正答率は、0.29となる。
【0180】
ここで、正答率が低いほど、ユーザは該当する問題を難しく感じていると判断することができる。従って、ユーザ回答解析部151は、算出した正答率の逆数を、問題の難易度を数値化したものとして利用可能である。例えば、正答数及び出題数がそれぞれ5,20である問題は、正答率が0.25であり、難易度が4.00となる。
【0181】
また、ユーザ回答解析部151は、正誤判定結果を用いて、図24に示したような誤答マトリックスを更新する。誤答マトリックスは、図24に示したように、各ユーザに対して、設問IDごとに、誤答数と、出題数とが記載されているものである。この誤答マトリックスは、例えば記憶部111の所定の記憶領域に格納されている。正答数+誤答数=出題数の関係から、ユーザ回答解析部151は、容易に誤答マトリックスを生成することができる。また、ユーザ回答解析部151は、誤答マトリックスを利用して、誤答率を算出する。
【0182】
更に、ユーザ回答解析部151は、正誤判定結果を用いて、図25に示したような最終回答日時及び回答回数に関するテーブルを更新する。このテーブルは、図25に示したように、各ユーザに対して、設問IDごとに、最終回答日時と、回答回数とが記載されているものである。この最終回答日時・回答回数に関するテーブルは、例えば記憶部111の所定の記憶領域に格納されている。この最終回答日時・回答回数に関するテーブルは、後述する忘却曲線生成部153が忘却曲線を生成する際に利用される。
【0183】
また、ユーザ回答解析部151は、これらテーブルの更新が終了すると、図26に示したような、複数の忘却率テーブル(以下、忘却率テーブル群と称する。)を更新する。各忘却率テーブルは、回答回数ごとに設けられるものであり、経過時間ごと(例えば、1日ごと等)に、正答数と出題数とが記録されている。図23〜図25に示したテーブルは、ユーザごとに管理されているものであったが、図26に示した忘却率テーブルは、回答回数を基準として(ユーザの区別なく)生成されるものである。図26に示した忘却率テーブルは、回答回数がq回の場合における、経過時間ごと(1日ごと)の正答数の変化を示している。
【0184】
なお、ユーザ回答解析部151が生成する忘却率テーブル群は、図26に示したような、各回答回数において設問ごとに生成されるものに限定されるわけではなく、設問のまとまり(例えば、中学1年生レベルの英単語等)ごとに生成されるものであってもよい。このように、設問ごとではなく、設問のまとまりごとに忘却率テーブル群を生成することで、より広い視野でユーザ回答の傾向を判断することが可能となる。
【0185】
上述のような、各種テーブルの更新等を含むユーザ回答の解析処理が終了すると、ユーザ回答解析部151は、解析処理が終了した旨を、忘却曲線生成部153及び出題条件設定部155に通知する。忘却曲線生成部153及び出題条件設定部155は、かかる通知を受けて、それぞれの処理部における処理を開始する。
【0186】
忘却曲線生成部153は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。忘却曲線生成部153は、ユーザ回答解析部151が更新した忘却率テーブル群を利用して、正答率の経時変化を表す忘却曲線を生成する。忘却曲線の一例を、図27に示す。図27に示したように、忘却曲線は、横軸に忘れるまでの時間(すなわち、経過時間)をとり、縦軸に、着目している物事を覚えている割合(すなわち、正答率)をとったグラフ図である。ここで、縦軸として用いられる正答率は、例えば、設問ごと(又は、設問のまとまりごと)の正答率の平均である。忘却曲線は、図26に示した忘却率テーブル群を利用して生成されるものであるため、図27に示したように、回答回数ごとに曲線が生成されることとなる。
【0187】
忘却曲線生成部153は、生成した忘却曲線を、例えば記憶部111の所定の記憶領域に格納する。これにより、本実施形態に係る出題傾向設定部141及び問題選択部143は、各処理部における処理を実施する際に、生成された忘却曲線を利用することが可能となる。
【0188】
忘却曲線生成部153は、忘却曲線の生成が終了すると、生成が終了した旨を出題条件設定部155に通知する。
【0189】
なお、データが不足したり、ノイズが多い場合には、忘却曲線生成部153は、生成した忘却曲線をパラメトリックな関数に回帰させてもよい。
【0190】
出題条件設定部155は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。出題条件設定部155は、ユーザ回答解析部151が算出した誤答率に基づいて複数の問題それぞれの間の類似度を算出するとともに、算出した類似度を利用して複数の問題それぞれの評価値を算出する。また、出題条件設定部155は、ユーザ回答解析部151により算出されたユーザの正答率を、上述の忘却率テーブル群を用いて算出した正答率閾値を用いて更新する。
【0191】
以下、具体的に説明する。
出題条件設定部155は、ユーザの正答率と、記憶部111等に格納されている忘却率テーブル群とを利用して、以下に示す何れかの条件に該当する場合に、以下の式101に基づいてユーザの正答率pを更新する。ここで、下記式101において、pは、ユーザの正答率であり、rは、忘却率テーブル群から算出される、正答率閾値である。また、ηは、ユーザの学習の度合を表す係数(学習率)であり、事前に適宜決定されるパラメータである。なお、以下の式101では、更新後の正答率を便宜的にp’と表記している。
【0192】
(条件1):ユーザ回答が誤答であり、かつ、p<rのとき
(条件2):ユーザ回答が正答であり、かつ、p>rのとき
【0193】
【数1】

・・・(式101)
【0194】
ここで、ユーザが本実施形態に係る情報処理装置10を初めて使用する際には、出題条件設定部155は、ユーザの正答率pは、情報処理装置全体の正答率(すなわち、既登録の全ユーザの正答率の平均値等)とする。また、ユーザがある設問をm回回答しており、かつ、m回目の回答を前回の回答時からn日後に行っていた場合、出題条件設定部155は、正答率閾値rを、m回目の忘却率テーブルのn日後の欄に記載されている正答数及び出題数から算出した正答率とする。
【0195】
このようにして更新されるユーザの正答率は、例えば図28に一例を示したように、再出題への期間を設定する際に利用することが可能である。すなわち、本実施形態に係る情報処理装置10では、図28において斜線で示した部分に該当する設問(すなわち、以前回答した時点から、図中に示した期間が経過した、または、経過しつつある設問)が、自動的に選択されるようになる。また、先に述べたように、正答率pは、所定の条件を満たした場合に式101に基づいて更新される(具体的には、誤答である場合には正答率pが増加するように更新され、正答である場合には正答率pが減少するように更新される)。そのため、本実施形態に係る情報処理装置10では、再出題への期間も動的に変更されることとなる。具体的には、図29に示したように、正答率pが高いほど(図中の(a))、設問は期間を置かず再出題され、正答率pが低いほど(図中の(b))、設問は期間をおいて出題される。
【0196】
上記式101に示した正答率の更新は、本実施形態に係る情報処理装置10が出題する設問が、忘却を考慮すべき設問である場合に実施することが好ましい。しかしながら、情報処理装置10が出題する設問が忘却を考慮すべき設問ではない場合には、上述のような正答率の更新は行わなくともよい。
【0197】
また、出題条件設定部155は、ユーザ回答解析部151により更新された誤答マトリックスを利用して、以下の式102により、設問jと設問kとの間の類似度sim(j,k)を算出する。ここで、以下の式102において、M(i,j)は、ユーザiの設問jにおける誤答率であり、誤答マトリックス(もしくは、ユーザiの設問jの正答率)を利用して算出される値である。また、式102におけるパラメータNは、登録されているユーザ数を表している。
【0198】
【数2】

・・・(式102)
【0199】
このように、出題条件設定部155は、設問jと設問kとを共に間違える度合い(誤答共起スコア)を算出する認識フィルタリング(Cognitive Filtering:CF)手法により、類似している問題を数値化して把握できる。
【0200】
続いて、出題条件設定部155は、算出した類似度sim(j,k)と、誤答マトリックスとを利用して、以下の式103により、各設問についてスコアを算出する。ここで、下記式103において、Pは、全設問数を表すパラメータである。
【0201】
【数3】

・・・(式103)
【0202】
また、出題条件設定部155は、出題する設問が忘却を考慮すべき設問である場合には、以下の条件の何れかに該当した際に、以下のようにして評価値を補正してもよい。ここで、下記条件において、pは、ユーザの正答率であり、rは、忘却率テーブル群から算出される正答率閾値である。なお、正答率閾値rは、ユーザが設問kをm回回答しており、かつ、m回目の回答を前回の回答時からn日後に行っていた場合に、m回目の忘却率テーブルのn日後の欄に記載されている正答数及び出題数から算出される正答率である。
【0203】
(条件a):r>pである場合 評価値SCF(k)=0
(条件b):r≦pである場合 評価値SCF(k)=(p−r)×SCF(k)
【0204】
以上のようにして評価値を補正することで、ユーザがまだ覚えていると考えられる状況(条件aが成立する状況)では、評価値が0となるため、該当する設問は出題されないようになる。また、条件bが成立する状況では、ユーザが設問の表す学習内容を忘却している可能性があるため、忘却していそうな設問ほど評価値が高く補正されることとなる。
【0205】
出題条件設定部155は、評価値SCF(k)の算出が終了すると、算出した評価値SCF(k)を、問題選択部143に出力する。
【0206】
以上、図22〜図29を参照しながら、本実施形態に係る出題傾向設定部141の構成について、詳細に説明した。以下では、再び図21に戻って、本実施形態に係る情報処理装置10について説明する。
【0207】
問題選択部143は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。問題選択部143は、出題条件設定部155により算出された評価値と、所定期間内又は所定問題数でのユーザの正答率とに基づいて、複数の問題の中から出題する問題を選択する。
【0208】
具体的には、問題選択部143は、出題条件設定部155から、評価値SCF(k)が通知されると、まず、該当するユーザの直近に回答された問題の正答率を算出する。該当するユーザが直近に回答した問題とは、例えば、現時点から所定期間前(例えば、数日前)までに回答がなされた問題であってもよく、現時点から所定問題数前までに回答がなされた問題であってもよい。かかる正答率の算出は、記憶部111に格納されている、ユーザごとの正誤判定結果の履歴情報と、最終回答日時・回答回数に関するテーブルとを参照することで、実行可能である。
【0209】
次に、問題選択部143は、算出したユーザの直近の正答率と、設問の正答率との差の絶対値を算出する。ここで、設問の正答率は、記憶部111に格納されている正答率テーブルを参照することで、算出することが可能である。
【0210】
その後、問題選択部143は、算出した絶対値を利用して、絶対値の値が小さいものから順に所定件数だけ設問を選択し、選択した設問を、当該設問に関連付けられている評価値SCF(k)順に並べ替える。
【0211】
続いて、問題選択部143は、並べ替えた評価値SCF(k)の値が高いものから順に所定件数選択して、ユーザに回答してもらう設問とする。
【0212】
問題選択部143は、上述のようにしてユーザに回答してもらう設問を選択すると、選択した設問に関する情報を、表示制御部105及びユーザ回答判定部109に出力する。
【0213】
なお、上述の説明では、設問ごとに忘却曲線を生成して、ユーザごとに正答率のラインをパラメータとして設定する場合について説明したが、逆の方法を用いることも可能である。すなわち、ユーザごとに忘却曲線を生成して、問題ごとに正答率のラインをパラメータとして設定してもよい。
【0214】
また、実際の問題集などでは、例えば、問題Bを解くためには問題Aの知識が必要である、といったように、問題間で学習順序が決まっているものが多く存在する。そのため、記憶部111に登録されている複数の問題の間で、上述のような学習順序に関する定義を予め行っておき、着目している問題と関連する問題に関する情報(学習順序に関する情報)を、いわゆるメタデータとして登録しておくことも可能である。このような学習順序に関する情報が利用可能である場合には、例えば、以下のような出題傾向の設定方法を実施することも可能である。
【0215】
すなわち、ユーザが、例えば問題Aについて習熟しており、問題Hという、問題Aよりも難易度の高い問題を目標として設定しているものとする。この場合に、出題傾向設定部141は、問題Aから問題Hへと至る経路を、上記学習順序に関する情報に基づいて設定する。かかる経路は、例えば問題Hを最短で回答できるようになるための最短ルートであってもよく、無理なく学習ができるように、最短ではないものの最も効率のよいルートであってもよい。かかる経路を設定することにより、出題傾向設定部141は、経路に沿って問題を出題していくことで、効率的にユーザが目標としている学習レベルまで、ユーザの学習を手助けすることが可能となる。
【0216】
以上、本実施形態に係る情報処理装置10の機能の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材や回路を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。また、各構成要素の機能を、CPU等が全て行ってもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用する構成を変更することが可能である。
【0217】
なお、上述のような本実施形態に係る情報処理装置の各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作製し、パーソナルコンピュータ等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリなどである。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信してもよい。
【0218】
<出題傾向設定方法の流れについて>
続いて、図30を参照しながら、本実施形態に係る情報処理装置10で実施される、出題傾向設定方法の流れについて、簡単に説明する。図30は、本実施形態に係る出題傾向設定方法の流れを示した流れ図である。
【0219】
まず、出題傾向設定部141は、所定の方法で出題レベルの初期値を設定する(S201)。かかる初期値の例として、例えば、既登録の全ユーザの正答率の平均値等を挙げることができる。
【0220】
次に、問題選択部143は、出題傾向設定部141により設定された出題レベルに基づいて、出題する問題を決定する(S203)。本例では、ステップS201において、例えば既登録の全ユーザの正答率の平均値が初期値として設定されているため、かかる正答率の平均値に基づいて出題レベルが設定され、問題が選択される。
【0221】
このようにして問題が選択され、ディスプレイ等の表示部に表示されると、ユーザは所定の入力装置を介して、回答を入力する。ユーザ回答取得部107は、入力されたユーザ回答を示す情報を取得して、ユーザ回答判定部109に出力する。
【0222】
ユーザ回答判定部109は、ユーザ回答取得部107から出力されたユーザ回答について、正誤判定を実施する(S205)。これにより、ユーザ回答が正しいのか、間違っているのかが特定される。判定結果が確定すると、ユーザ回答判定部109は、得られた判定結果を表示制御部105に出力するとともに、出題傾向設定部141のユーザ回答解析部151及び出題条件設定部155に出力する。
【0223】
ユーザ回答解析部151は、通知されたユーザ回答の正誤判定結果に基づいて、各種テーブルの更新といったユーザ回答の解析処理を実施する(S207)。また、ユーザ回答の解析処理が終了すると、忘却曲線生成部153により忘却曲線の更新も実施される。
【0224】
その後、出題条件設定部155は、ユーザ回答解析部151の解析結果に応じて、正答率、類似度、評価値等の算出を実施することで、出題レベル・出題傾向を変更する(S209)。出題レベル・出題傾向等が変更されると、変更後の出題レベル・出題傾向が、問題選択部143に通知される。
【0225】
ここで、問題選択部143は、出題を継続するか否かを判断する(S211)。ユーザによって出題の停止を要請する操作がなされた場合には、情報処理装置10は、出題を継続せずに、処理を終了する。また、出題を継続する場合には、問題選択部143は、ステップS203に戻って、ステップS209により設定された出題レベル等に基づいて、出題する問題を決定する。
【0226】
このような処理が行われることにより、本実施形態に係る情報処理装置10では、ユーザの学習レベルにあわせて問題の出題傾向が自動的に設定されることとなる。
【0227】
なお、一旦ユーザ回答の解析結果に基づいて出題レベル等が設定されると、次回以降図30に示した処理が実行される場合、ステップS201ではなくステップS203から処理が開始されることが好ましい。これにより、ユーザは、情報処理装置10を利用した学習を中断した場合であっても、前回までの学習結果(すなわち、設定された出題レベル等)が反映された学習を再開することが可能となる。
【0228】
(第3の実施形態)
続いて、図31を参照しながら、本発明の第3の実施形態に係る情報処理装置10について、簡単に説明する。本実施形態に係る情報処理装置10は、第1の実施形態に係る情報処理装置10が有するユーザの位置情報やコンテキスト等に適合したテキストを自動的に選択する機能と、第2の実施形態に係る情報処理装置10が有するユーザの学習レベルにあわせて問題の出題傾向を自動的に設定する機能とを兼ね備えた装置である。
【0229】
本実施形態に係る情報処理装置10は、図31に示したように、センサ情報取得部101と、表示制御部105と、ユーザ回答取得部107と、ユーザ回答判定部109と、記憶部111と、出題傾向設定部161と、テキスト選択部163と、を主に備える。
【0230】
ここで、センサ情報取得部101、表示制御部105、ユーザ回答取得部107及び記憶部111は、本発明の第1の実施形態及び第2の実施形態に係る各処理部と同様の構成を備え、同様の効果を奏する。従って、以下では詳細な説明は省略する。
【0231】
ユーザ回答判定部109は、テキスト選択部163によって出題された問題(質問)に関するユーザ回答を判定し、正誤に関する情報を出題傾向設定部161に出力する以外は、第1の実施形態及び第2の実施形態に係るユーザ回答判定部109と同様の構成を備え、同様の効果を奏する。従って、以下では、詳細な説明は省略する。
【0232】
出題傾向設定部161は、算出した評価値SCF(k)を、テキスト選択部163に出力する以外は、本発明の第2の実施形態に係る出題傾向設定部141と同様の構成を有し、同様の効果を奏するものである。従って、以下では詳細な説明は省略する。
【0233】
テキスト選択部163は、出題傾向設定部161から出力された評価値SCF(k)に基づいて問題に対応するテキストを選択する。その後、テキスト選択部163は、評価値に基づいて選択したテキストの中から、第1の実施形態において説明した方法により、センサ情報取得部101から取得した情報に適合したテキストを選択する。このようにしてユーザに提示するテキストを選択することにより、ユーザの学習レベル、及び、ユーザの位置情報やコンテキスト等に適合したテキストを自動的に選択することが可能となる。
【0234】
以上、本実施形態に係る情報処理装置10の機能の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材や回路を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。また、各構成要素の機能を、CPU等が全て行ってもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用する構成を変更することが可能である。
【0235】
なお、上述のような本実施形態に係る情報処理装置の各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作製し、パーソナルコンピュータ等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリなどである。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信してもよい。
【0236】
(ハードウェア構成について)
次に、図32を参照しながら、本発明の実施形態に係る情報処理装置10のハードウェア構成について、詳細に説明する。図32は、本発明の実施形態に係る情報処理装置10のハードウェア構成を説明するためのブロック図である。
【0237】
情報処理装置10は、主に、CPU901と、ROM903と、RAM905と、を備える。また、情報処理装置10は、更に、ホストバス907、ブリッジ909、外部バス911、インターフェース913、センサ914、入力装置915、出力装置917、ストレージ装置919、ドライブ921、接続ポート923および通信装置925を備える。
【0238】
CPU901は、演算処理装置および制御装置として機能し、ROM903、RAM905、ストレージ装置919、またはリムーバブル記録媒体927に記録された各種プログラムに従って、情報処理装置10内の動作全般またはその一部を制御する。ROM903は、CPU901が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM905は、CPU901が使用するプログラムや、プログラムの実行において適宜変化するパラメータ等を一次記憶する。これらはCPUバス等の内部バスにより構成されるホストバス907により相互に接続されている。
【0239】
ホストバス907は、ブリッジ909を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バス911に接続されている。
【0240】
センサ914は、ユーザの動きを検知するセンサや、現在位置を表す情報を取得するセンサ等の検出手段である。かかるセンサの一例として、加速度センサ、重力検知センサ、落下検出センサ等を含む3軸加速度センサ、角速度センサ、手振れ補正センサ、地磁気センサ等を含む3軸ジャイロセンサ等のモーションセンサや、GPSセンサ等を挙げることができる。また、センサ914は、上述のもの以外にも、温度計、照度計、湿度計などの様々な測定機器を備えていてもよい。
【0241】
入力装置915は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、スイッチおよびレバーなどユーザが操作する操作手段である。また、入力装置915は、例えば、赤外線やその他の電波を利用したリモートコントロール手段(いわゆる、リモコン)であってもよいし、情報処理装置10の操作に対応した携帯電話やPDA等の外部接続機器929であってもよい。さらに、入力装置915は、例えば、上記の操作手段を用いてユーザにより入力された情報に基づいて入力信号を生成し、CPU901に出力する入力制御回路などから構成されている。情報処理装置10のユーザは、この入力装置915を操作することにより、情報処理装置10に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。
【0242】
出力装置917は、取得した情報をユーザに対して視覚的または聴覚的に通知することが可能な装置で構成される。このような装置として、CRTディスプレイ装置、液晶ディスプレイ装置、プラズマディスプレイ装置、ELディスプレイ装置およびランプなどの表示装置や、スピーカおよびヘッドホンなどの音声出力装置や、プリンタ装置、携帯電話、ファクシミリなどがある。出力装置917は、例えば、情報処理装置10が行った各種処理により得られた結果を出力する。具体的には、表示装置は、情報処理装置10が行った各種処理により得られた結果を、テキストまたはイメージで表示する。他方、音声出力装置は、再生された音声データや音響データ等からなるオーディオ信号をアナログ信号に変換して出力する。
【0243】
ストレージ装置919は、情報処理装置10の記憶部の一例として構成されたデータ格納用の装置である。ストレージ装置919は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)等の磁気記憶部デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス、または光磁気記憶デバイス等により構成される。このストレージ装置919は、CPU901が実行するプログラムや各種データ、および外部から取得した各種データなどを格納する。
【0244】
ドライブ921は、記録媒体用リーダライタであり、情報処理装置10に内蔵、あるいは外付けされる。ドライブ921は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体927に記録されている情報を読み出して、RAM905に出力する。また、ドライブ921は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体927に記録を書き込むことも可能である。リムーバブル記録媒体927は、例えば、DVDメディア、HD−DVDメディア、Blu−rayメディア等である。また、リムーバブル記録媒体927は、コンパクトフラッシュ(登録商標)(CompactFlash:CF)、フラッシュメモリ、または、SDメモリカード(Secure Digital memory card)等であってもよい。また、リムーバブル記録媒体927は、例えば、非接触型ICチップを搭載したICカード(Integrated Circuit card)または電子機器等であってもよい。
【0245】
接続ポート923は、機器を情報処理装置10に直接接続するためのポートである。接続ポート923の一例として、USB(Universal Serial Bus)ポート、IEEE1394ポート、SCSI(Small Computer System Interface)ポート等がある。接続ポート923の別の例として、RS−232Cポート、光オーディオ端子、HDMI(High−Definition Multimedia Interface)ポート等がある。この接続ポート923に外部接続機器929を接続することで、情報処理装置10は、外部接続機器929から直接各種データを取得したり、外部接続機器929に各種データを提供したりする。
【0246】
通信装置925は、例えば、通信網931に接続するための通信デバイス等で構成された通信インターフェースである。通信装置925は、例えば、有線または無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)、またはWUSB(Wireless USB)用の通信カード等である。また、通信装置925は、光通信用のルータ、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)用のルータ、または、各種通信用のモデム等であってもよい。この通信装置925は、例えば、インターネットや他の通信機器との間で、例えばTCP/IP等の所定のプロトコルに則して信号等を送受信することができる。また、通信装置925に接続される通信網931は、有線または無線によって接続されたネットワーク等により構成され、例えば、インターネット、家庭内LAN、赤外線通信、ラジオ波通信または衛星通信等であってもよい。
【0247】
以上、本発明の実施形態に係る情報処理装置10の機能を実現可能なハードウェア構成の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用するハードウェア構成を変更することが可能である。
【0248】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0249】
10 情報処理装置
101 センサ情報取得部
103,163 テキスト選択部
105 表示制御部
107 ユーザ回答取得部
109 ユーザ回答判定部
111 記憶部
121 条件設定部
123 行動パターン検出部
125 位置情報解析部
127 テキスト解析部
129 キーワード変換部
131 テキスト抽出部
133 ユーザ行動履歴情報
135 テキストデータベース
137 テキスト解析用データベース
141,161 出題傾向設定部
143 問題選択部
151 ユーザ回答解析部
153 忘却曲線生成部
155 出題条件設定部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の問題の中から選択された問題に対するユーザ回答の正誤を判定するユーザ回答判定部と、
前記ユーザ回答判定部によるユーザ回答の正誤判定結果を利用して、ユーザの誤答率を少なくとも算出するユーザ回答解析部と、
前記ユーザ回答解析部が算出した前記誤答率に基づいて前記複数の問題それぞれの間の類似度を算出するとともに、算出した当該類似度を利用して前記複数の問題それぞれの評価値を算出する出題条件設定部と、
出題条件設定部により算出された前記評価値と、所定期間内又は所定問題数でのユーザの正答率とに基づいて、前記複数の問題の中から出題する問題を選択する問題選択部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記問題選択部は、
問題の正答率と前記所定期間内又は所定問題数でのユーザの正答率との差の絶対値を問題ごとに算出して、当該絶対値の値が小さいものから順に所定数の問題を選択し、
選択した前記所定数の問題の中から、前記評価値の値が大きいものから順に、出題する問題とする、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記ユーザ回答解析部は、
各問題について、ユーザが最後に回答した日時と回答回数とが互いに関連づけられた情報をユーザごとに生成し、
前記ユーザが最後に回答した日時と回答回数とが互いに関連づけられた情報を利用して、正答数と出題数とが互いに関連づけられた情報を、回答回数及び経過時間ごとに生成する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記出題条件設定部は、回答回数及び経過時間ごとに生成される前記正答数と出題数とが互いに関連づけられた情報を利用して、各問題ごとに正答率閾値を算出し、
当該正答率閾値とユーザの正答率とに基づいて、前記評価値を補正する、請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記出題条件設定部は、前記正答率閾値と前記正誤判定結果とを利用して、前記ユーザの正答率を補正する、請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
複数の問題の中から選択された問題に対するユーザ回答の正誤を判定するステップと、
得られたユーザ回答の正誤判定結果を利用して、ユーザの誤答率を少なくとも算出するステップと、
算出された前記誤答率に基づいて前記複数の問題それぞれの間の類似度を算出するとともに、算出した当該類似度を利用して前記複数の問題それぞれの評価値を算出するステップと、
算出された前記評価値と、所定期間内又は所定問題数でのユーザの正答率とに基づいて、前記複数の問題の中から出題する問題を選択するステップと、
を含む、出題傾向設定方法。
【請求項7】
コンピュータに、
複数の問題の中から選択された問題に対するユーザ回答の正誤を判定するユーザ回答判定機能と、
前記ユーザ回答判定機能によるユーザ回答の正誤判定結果を利用して、ユーザの誤答率を少なくとも算出するユーザ回答解析機能と、
前記ユーザ回答解析機能により算出された前記誤答率に基づいて前記複数の問題それぞれの間の類似度を算出するとともに、算出した当該類似度を利用して前記複数の問題それぞれの評価値を算出する出題条件設定機能と、
出題条件設定機能により算出された前記評価値と、所定期間内又は所定問題数でのユーザの正答率とに基づいて、前記複数の問題の中から出題する問題を選択する問題選択機能と、
を実現させるためのプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2011−232445(P2011−232445A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−101041(P2010−101041)
【出願日】平成22年4月26日(2010.4.26)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】