説明

情報処理装置、印刷制御プログラム、画像形成装置、画像形成システムおよび記録媒体

【課題】 アプリケーションとプリンタドライバとの間に介在して印刷原稿に地紋等を付加する仮想プリンタドライバを提供すること。
【解決手段】 本発明の情報処理装置110は、アプリケーション手段130と画像形成装置に対応する実プリンタドライバ手段134との間を仲介する仮想プリンタドライバ手段140を備える。本発明の仮想プリンタドライバ手段140は、実プリンタドライバ手段134がパススルー機能をサポートしているか否かを判定する判定手段142と、ユーザ指定に応じて出力原稿に付加する付加画像を生成する画像生成手段144と、実プリンタドライバ手段134がパススルー機能をサポートする場合に、アプリケーション手段130から受信した印刷命令に、付加画像を付加する命令を差し込ませて、実プリンタドライバ手段134がパススルー可能な形式の印刷データに変換する変換手段146とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮想プリンタドライバに関し、より詳細には、アプリケーションとプリンタドライバとの間に介在して印刷原稿に地紋等を付加する仮想プリンタドライバが設けられた情報処理装置、印刷制御プログラム、画像形成装置、画像形成システムおよび記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、レターヘッド、ロゴ、バーコードなどの特殊な記号の付加機能を有さない環境において、アプリケーションと実プリンタドライバとの間に仮想プリンタドライバを介在させ、これら特殊な記号を原稿に付加する技術が知られている。
【0003】
例えば、特開2002−63001号公報(特許文献1)は、アプリケーションの種類や印刷装置の種類に依存せずに、元文書にバーコード、レターヘッド、ロゴ等のユーザ設定仕様による任意選択の印刷要求を差し込むことができるようにすることを目的として、ユーザアプリケーションと最も一般的に選択されるプリンタドライバとの間に位置してユーザアプリケーションから印刷要求を受け取るGDIより、上記印刷要求を受け取ってプリンタドライバに送信する仮想プリンタドライバ部を備える印刷制御インタフェースを開示する。この仮想プリンタドライバ部は、文書に追加されるユーザ設定仕様のビットマップと特殊な記号とを描画する新しい印刷命令を作成して、該印刷命令を指定のプリンタドライバに送信するというものである。
【0004】
一方、近年において情報漏洩が社会問題となり、官公庁や企業にとって、紙文書の不正コピーや改竄を防止することが重要な懸念事項となっており、地紋印刷機能を備えた複合機、レーザプリンタも知られている。この地紋印刷機能によれば、紙文書に「コピー」などのコピー抑止を促す文字や、印刷者の情報、配布先の情報などを隠し文字として埋め込むことで、情報流出を抑止することができる。しかし、地紋印刷機能に対応した機種は限られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような地紋印刷機能を有さない環境において、地紋印刷を行わせるために、上述した仮想プリンタドライバに原稿の背景に地紋模様を埋め込む処理を行わせることも考えられる。しかし、上記特許文献1に開示されるような従来の仮想プリンタドライバでは、仮想プリンタドライバによってバーコード、レターヘッド、ロゴ等が付加された後に実プリンタドライバによる画像処理が施されてしまうという問題があった。
【0006】
この実プリンタドライバによる後段の画像処理は、バーコード、レターヘッド、ロゴではあまり問題にならない。しかし、仮想プリンタドライバにより地紋を付加させた後に実プリンタドライバによって画像処理が行われてしまうと、必ずしも地紋としての機能を発揮する印刷結果が得られないという問題点があった。
【0007】
本発明は、上記従来における少なくとも1つの問題点に鑑みてなされたものであり、本発明は、アプリケーションと実プリンタドライバとの間に介在して印刷原稿に地紋等を付加する仮想プリンタドライバであって、この仮想プリンタドライバによる処理後に実プリンタドライバにより画像処理が行われてしまうことを回避することができる仮想プリンタドライバを備える情報処理装置、その印刷制御プログラム、画像形成装置、画像形成システムおよび記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明では、上記課題を解決するために、本発明の情報処理装置は、アプリケーション手段と画像形成装置に対応する実プリンタドライバ手段との間を仲介する仮想プリンタドライバ手段を備える。本発明の仮想プリンタドライバ手段は、出力先の実プリンタドライバ手段がパススルー機能をサポートしているか否かを判定する判定手段と、ユーザ指定に応じて出力原稿に付加する付加画像を生成する画像生成手段と、実プリンタドライバ手段がパススルー機能をサポートする場合に、アプリケーション手段から受信した印刷命令に付加画像を付加する命令を差し込ませて、実プリンタドライバ手段がパススルー可能な形式の印刷データに変換する変換手段とを備える。
【0009】
さらに本発明では、情報処理装置は、実プリンタドライバ手段を備えることができる。この場合、上記判定手段は、実プリンタドライバ手段に問い合わせを行うことにより、パススルー機能をサポートしているか否かを判定し、上記仮想プリンタドライバ手段は、変換されたパススルー可能な形式の印刷データを実プリンタドライバに送信することができる。この印刷データを受信した実プリンタドライバは、印刷データをそのままパススルーして画像形成装置に送出することができる。
【0010】
また本発明では、情報処理装置は、要求元クライアント端末に対し画像形成装置を振り分ける出力先振分手段と、変換されたパススルー可能な形式の印刷データを、仮想プリンタドライバ手段から受け取って、振り分けられた画像形成装置に対応する実プリンタドライバに送信するデータ送信手段とをさらに備えることができる。この場合、上記判定手段は、振分可能な画像形成装置それぞれに対応する実プリンタドライバそれぞれのパススルー機能のサポートの有無を管理する情報に従って、パススルー機能をサポートしているか否かを判定することができる。
【0011】
また本発明によれば、上述した各手段をコンピュータ上に実現するためのコンピュータ実行可能な印刷制御プログラムが提供される。さらに本発明によれば、上記印刷制御プログラムから送信される印刷データを印刷処理することを特徴とする画像形成装置が提供される。また本発明によれば、上記印刷制御プログラムと、上記画像形成装置とを具備することを特徴とする画像形成システムを提供することができ、さらに、上記印刷制御プログラムを記録する記憶手段と、上記印刷制御プログラムを情報処理装置に送信する送信手段とを具備することを特徴とする画像形成装置、および上記印刷制御プログラムを記録するコンピュータ可読な記録媒体を提供することができる。
【発明の効果】
【0012】
上記構成によれば、実プリンタドライバ手段がパススルー機能をサポートしているか否かを事前に確認し、パススルー機能をサポートする場合に、パススルー形式で印刷データを作成し、実プリンタドライバ手段に印刷データが渡されるため、仮想プリンタドライバ手段が地紋画像等の付加画像を付加した後に実プリンタドライバ手段が画像処理を施してしまうことを好適に回避することができる。ひいては、地紋画像付加後に画像処理が施されてしまうことで必ずしも地紋としての機能を発揮する印刷結果が得られなかったという問題点を可能な限り回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の実施形態によるプリントシステムの概略を示す図。
【図2】第1の実施形態のプリントシステムのクライアント端末上に実現される機能ブロックを示す図。
【図3】第1の実施形態のプリントシステムにおいてクライアント端末が実行する処理を示すフローチャート。
【図4】第1の実施形態のプリントシステムにおいて実行されるプリント処理を示すシーケンス図。
【図5】第1の実施形態のプリントシステムにおいて実行される他のプリント処理を示すシーケンス図。
【図6】第2の実施形態によるプリントシステムの概略を示す図。
【図7】第2の実施形態のプリントシステムにおいて実現される機能ブロックを示す図。
【図8】第2の実施形態のプリントシステムにおいてターミナルサーバが実行する処理を示すフローチャート。
【図9】第2の実施形態のプリントシステムにおいて実行されるプリント処理を示すシーケンス図。
【図10】第2の実施形態のプリントシステムにおいて実行される他のプリント処理を示すシーケンス図。
【図11】出力先振分部が管理するルール定義データのデータ構造を例示する図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を説明するが、本発明の実施形態は、以下の実施形態に限定されるものではない。なお、以下に説明する実施形態では、印刷制御プログラムを備える情報処理装置および画像形成装置を含む画像形成システムの一例として、クライアント端末と、複合機およびレーザプリンタとを含むプリントシステムについて説明する。
【0015】
図1は、第1の実施形態によるプリントシステム100の概略を示す。図1に示す例示的な実施形態におけるプリントシステム100では、オフィスなどに配置される複数のクライアント端末110a,110b,110cがネットワーク102に接続され、複合機120、レーザプリンタ122a,122bと通信している。なお、以下、複合機120およびレーザプリンタ122を包括して、画像形成装置と参照する。
【0016】
ネットワーク102は、例えば、1000Base−TXなどのイーサネット(登録商標)、光ネットワーク、IEEE802.11などの規格の無線ネットワークを含むことができ、フレームまたはTPC/IPプロトコルに基づくパケット通信によってノード間の相互通信を可能とする。またネットワーク102は、LAN(Local Area Network)の他、VPN(Virtual Private Network)などによるセキュア環境下で構築されたインターネットなどの広域ネットワークを含んで構成されていてもよい。あるいは、ネットワーク102は、USB(Universal Serial Bus)、Bluetooth(登録商標)、ワイヤレスUSBなどのネットワークとして構成してもよい。
【0017】
クライアント端末110は、文書作成アプリケーションなどにより作成された電子文書の印刷要求をいずれかの画像形成装置120,122を指定して行うための端末であり、各画像形成装置120,122に対応した各プリンタドライバ(以下、画像形成装置それぞれに対応するプリンタドライバを実プリンタドライバと参照する。)と、実プリンタドライバ−アプリケーション間に介在して種々の機能を提供する仮想プリンタドライバ(詳細は後述する。)とを備える。MFP120およびレーザプリンタ122は、クライアント端末110から送信される印刷要求を処理して印刷物を出力する本実施形態の画像形成装置である。
【0018】
図2は、第1の実施形態のプリントシステムのクライアント端末上に実現される機能ブロックを示す。図2に示すように、クライアント端末110は、アプリケーション130と、グラフィックス・デバイス・ドライバ(以下、GDIと参照する。)132と、実プリンタドライバ134と、スプーラ136と、ポートモニタ138と、仮想プリンタドライバ140とを含んで構成される。
【0019】
上記機能部は、図示しないCPU(Central Processing Unit)がROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)から制御プログラムを読み出し、RAM上に展開することにより、適切なオペレーティング・システム(以下、OSと参照する。)上で動作する。なお、説明する実施形態では、OSとしては、Windows(登録商標)を一例として説明するが、特に限定されるものではなく、UNIX(登録商標)などの他のOSを採用することができる。
【0020】
クライアント端末110上で動作するアプリケーション130は、印刷する電子文書を作成し、編集するためのアプリケーション・プロセスである。GDI132は、OSが標準的に備える描画プログラムであり、アプリケーション130が出力デバイスへ出力するためのインタフェースを提供する。実プリンタドライバ134は、画像形成装置が処理可能なデータ形式(以下RAWデータ形式という。)で印刷データを準備し、スプーラ136およびポートモニタ138を経由させて、画像形成装置120,122に印刷データを送信し、出力させる。
【0021】
スプーラ136は、アプリケーション130からの印刷要求にかかるデータを一旦HDDなどに記憶する。ポートモニタ138は、印刷データの出力先を制御し、準備された印刷データを画像形成装置120,122に送り出す。
【0022】
画像形成装置120,122が処理可能なRAWデータ形式としては、Postscript(登録商標)、PCL、LIPS、ART、RPDLなどの種々のページ記述言語(Page Description Language:PDL)で記述されるデータ形式を挙げることができる。実プリンタドライバ134は、GDI132を介した印刷命令を受信して、画像形成装置120,122が対応するRAWデータ形式で印刷データを生成することができる。
【0023】
また、実プリンタドライバ134の中には、印刷データを受信してそれに処理を施さずにそのまま画像形成装置120,122に向けて送信を行う、いわゆるパススルー機能を有するものがある。パススルー機能を有する実プリンタドライバ134は、パススルーが可能なデータ形式(以下、パススルー形式という。)の印刷データを受信した場合には、画像処理など何も施さずにそのまま画像形成装置120,122に向けて送信を行う。このようなパススルー形式としては、Windows(登録商標)では、Postscript(登録商標)を挙げることができる。
【0024】
仮想プリンタドライバ140は、アプリケーション130および実プリンタドライバ134の間を仲介し、これらが提供できない特定の機能を補助的に提供する。本実施形態の仮想プリンタドライバ140は、地紋画像を付加する機能を有しており、実プリンタドライバ134が地紋印刷機能を有しない場合であっても、印刷原稿に地紋を付加することを可能とする。なお、付加する地紋画像の指定や、出力先の画像形成装置の指定は、例えば、仮想プリンタドライバ140が提供するGUI(Graphical Unser Interface)などを介して設定できるようにすることができる。仮想プリンタドライバ140は、その他、ロゴマーク、レターヘッド、バーコード、ニ次元コードなどの画像を付加する機能を有していてもよい。
【0025】
仮想プリンタドライバ140は、より詳細には、サポート判定部142と、付加画像生成部144と、印刷データ変換部146と、印刷命令伝達部148とを含む。サポート判定部142は、指定された出力先の画像形成装置に対応する実プリンタドライバ134に対し、上記パススルー機能を備えるか否かを問い合わせて確認する。付加画像生成部144は、指定された地紋その他バーコード、時刻表示、ロゴ、レターヘッドの付加画像を生成する。印刷データ変換部146は、実プリンタドライバ134がパススルー機能を備える場合に、アプリケーション130からの印刷命令と上記付加画像とを上記パススルー形式の印刷データに変換する。印刷命令伝達部148は、実プリンタドライバ134がパススルー機能を備えない場合に、アプリケーション130からの印刷命令と上記付加画像とをそのまま印刷命令として実プリンタドライバ134に伝達する。
【0026】
クライアント端末110を利用して印刷を行う場合、利用者は、アプリケーション130を使用して電子文書を作成した後、アプリケーション130上から印刷ダイアログボックスを呼び出し、プリンタドライバを指定して印刷指示を行うことができる。利用者は、本仮想プリンタドライバ140が提供する地紋付加機能を利用して、所望の画像形成装置120,122に出力させようとする場合、仮想プリンタドライバ140が提供するGUIを介して付加画像および実プリンタドライバ(画像形成装置)を選択し、印刷ダイアログボックスを介して本仮想プリンタドライバ140を指定して印刷指示を行うことになる。
【0027】
利用者がアプリケーション130から本仮想プリンタドライバ140を指定して印刷指示を行うと、アプリケーション130は、GDI132を介して仮想プリンタドライバ140に印刷命令を発行する。印刷命令に応答して、仮想プリンタドライバ140のサポート判定部142は、まずGDI132を介して実プリンタドライバ134にパススルー機能をサポートするか否かを確認する。パススルー機能をサポートする場合には、印刷データ変換部146は、付加画像生成部144が生成した付加画像を印刷原稿に付加する印刷命令を差し込ませて、パススルー形式の印刷データに変換する。仮想プリンタドライバ140は、GDI132を介してパススルー形式の印刷データを実プリンタドライバ134に送信する。この場合、実プリンタドライバ134は、受信した印刷データに処理を加えずにスプーラ136に印刷データを渡す。
【0028】
一方、パススルー機能を有しない場合には、印刷命令伝達部148は、付加画像生成部144が生成した付加画像を付加する印刷命令を差し込ませて、GDI132を介して印刷命令として実プリンタドライバ134に伝達する。この場合、実プリンタドライバ134は、受領した印刷命令に従い、出力先の画像形成装置が処理可能なRAWデータ形式の印刷データに変換し、スプーラ136にその印刷データを渡す。
【0029】
以下、図3〜図5に示すフローチャートおよびシーケンス図を参照しながら、第1の実施形態のプリントシステム100で実行されるプリント処理の詳細を説明する。図3は、第1の実施形態のプリントシステム100においてクライアント端末110が実行する処理を示すフローチャートである。図3に示す処理は、例えばアプリケーション130が利用者からの印刷指示を受領したことに応答して、ステップS100から開始する。
【0030】
ステップS101では、仮想プリンタドライバ140は、アプリケーション130からGDI132を介して印刷命令を受信する。ステップS102では、仮想プリンタドライバ140は、GDI132を介して実プリンタドライバ132に対し、パススルー機能のサポートの有無を問い合わせる。ステップS103では、仮想プリンタドライバ140は、実プリンタドライバ134のパススルー機能のサポート有無を判定し、サポートされていると判定された場合(YES)には、ステップS104へ処理を進める。
【0031】
ステップS104では、仮想プリンタドライバ140は、アプリケーション130からの印刷命令を、付加画像を印刷原稿に割り付ける印刷命令を差し込ませながら、パススルー形式の印刷データに変換する。ステップS105では、仮想プリンタドライバ140は、GDI132を介してパススルー形式の印刷データを実プリンタドライバ134に送信する。ステップS106では、実プリンタドライバ134は、受信した印刷データをスプーラ136に渡し、ステップS107では、スプーラ136は、ポートモニタ138を介して画像形成装置に送信し、ステップS108で処理を終了させる。パススルー形式の印刷データを受信した画像形成装置は、その印刷データを解釈し、印刷出力することになる。
【0032】
一方、ステップS103で、パススルー機能がサポートされていないと判定された場合(NO)には、ステップS109へ処理が進められる。ステップS109では、仮想プリンタドライバ140は、アプリケーション130からの印刷命令を、付加画像を印刷原稿に割り付ける印刷命令を差し込ませながら、GDI132を介して実プリンタドライバ134に伝達する。ステップS110では、実プリンタドライバ134は、伝達された印刷命令からRAWデータ形式の印刷データに変換し、ステップS106で、生成した印刷データをスプーラに渡す。ステップS107では、スプーラ136は、ポートモニタ138を介して画像形成装置に送信し、ステップS108で処理を終了させる。RAWデータ形式の印刷データを受信した画像形成装置は、その印刷データを解釈し、印刷出力することになる。
【0033】
図4は、第1の実施形態のプリントシステム100において実行されるプリント処理を示すシーケンス図である。なお、図4に示す例では、複合機120および対応する実プリンタドライバ134がパススルー機能をサポートし、この複合機120に対応する実プリンタドライバ134が選択されているものとする。図4に示す処理は、例えばアプリケーション130が利用者からの印刷指示を受領したことに応答して、ステップS201から開始する。
【0034】
ステップS201では、アプリケーション130は、GDI132に印刷命令を発行する。ステップS202では、GDI132は、受領した印刷命令を仮想プリンタドライバ140に渡す。ステップS203では、仮想プリンタドライバ140は、GDI132に実プリンタドライバ134のパススルー機能のサポートの有無の問い合わせを依頼する。ステップS204では、GDI132は、実プリンタドライバ134に対し、パススルー機能のサポートの有無の問い合わせを行い、受領した照会結果を仮想プリンタドライバ140に返す。パススルー機能のサポートを確認できた仮想プリンタドライバ140は、ステップS205で、付加画像を印刷原稿に割り付ける印刷命令を差し込ませながら、印刷命令からパススルー形式の印刷データに変換し、実プリンタドライバ134への印刷データの送信をGDI132に依頼する。ステップS206では、GDI132は、受け取ったパススルー形式の印刷データを実プリンタドライバ134に送信する。ステップS207では、実プリンタドライバ134は、受信した印刷データをパススルーし、スプーラ136へ渡す。ステップS208では、スプーラ136は、ポートモニタ138に印刷データを渡し、ステップS209では、ポートモニタ138は、渡されたパススルー形式の印刷データを複合機120に送出し、これを受けて複合機120は、印刷出力を行う。
【0035】
図5は、第1の実施形態のプリントシステム100において実行される他のプリント処理を示すシーケンス図である。なお、図5に示す例では、レーザプリンタ122および対応する実プリンタドライバ134がパススルー機能をサポートせず、このレーザプリンタ122に対応する実プリンタドライバ134が選択されているものとする。図5に示す処理は、例えばアプリケーション130が利用者からの印刷指示を受領したことに応答して、ステップS301から開始する。
【0036】
ステップS301では、アプリケーション130は、GDI132に印刷命令を発行し、ステップS302では、GDI132は、印刷命令を仮想プリンタドライバ140に渡す。ステップS303では、仮想プリンタドライバ140は、GDI132にパススルー機能のサポートの有無の問い合わせを依頼し、ステップS304では、GDI132は、実プリンタドライバ134に対し、パススルー機能のサポートの有無の問い合わせを行い、受領した照会結果を仮想プリンタドライバ140に返す。パススルー機能がサポートされていないことを確認した仮想プリンタドライバ140は、ステップS305で、付加画像を印刷原稿に割り付ける印刷命令を差し込ませながら印刷命令をGDI132に再び発行し、ステップS306では、GDI132は、印刷命令を実プリンタドライバ134に送信する。
【0037】
ステップS307では、実プリンタドライバ134は、受領した印刷命令を、出力先のレーザプリンタ122に対応するRAWデータ形式に変換し、印刷データをスプーラ136へ渡す。ステップS308では、スプーラ136は、ポートモニタ138に印刷データを渡し、ステップS309では、ポートモニタ138は、渡されたRAW形式の印刷データを適時にレーザプリンタ122に送出し、これを受けてレーザプリンタ122は、印刷出力を行う。
【0038】
上述した第1の実施形態によれば、実プリンタドライバ134がパススルー機能をサポートしているか否かを事前に確認し、パススルー機能をサポートする場合に、パススルー形式で印刷データを作成しているため、仮想プリンタドライバ140が地紋画像を付加した後に実プリンタドライバ134が画像処理を施してしまうことを好適に回避することができる。すなわち、地紋印刷機能を有さない環境において、仮想プリンタドライバ140により地紋印刷機能を付加しようとする際に、地紋画像付加後に画像処理が施されてしまうことで必ずしも地紋としての機能を発揮する印刷結果が得られなかったという従来の問題点を可能な限り回避し、仮想プリンタドライバ140による高品質な地紋付加機能の提供を可能とする。
【0039】
上述した第1の実施形態は、画像形成装置120,122のホスト端末であるクライアント端末110上で動作する仮想プリンタドライバ140ついて説明してきた。以下、クライアント端末がいわゆるシンクライアントとして実装される第2の実施形態について説明する。以下に説明する第2の実施形態では、ターミナルサーバ上にクライアント端末から利用されるアプリケーションおよび仮想プリンタドライバが構成される。第2の実施形態では、印刷制御プログラムを備える情報処理装置および画像形成装置を含む画像形成システムの一例として、ターミナルサーバと、複合機およびレーザプリンタとを含むプリントシステムについて説明する。
【0040】
図6は、第2の実施形態によるプリントシステム200の概略を示す。図2に示す例示的な実施形態におけるプリントシステム200では、複数のクライアント端末210a〜210dと、複合機220と、レーザプリンタ222a〜222cと、ターミナルサーバ230と、プリントサーバ250とが、例えばイーサネット(登録商標)などのネットワーク202を介して相互に接続されている。
【0041】
第2の実施形態では、仮想プリンタドライバに対し出力先の画像形成装置が関連付けられているのではなく、各クライアント端末210と、各画像形成装置220,222とが予め関連付けが定義されており、ターミナルサーバ230が、クライアント端末210a〜210dから受領した印刷要求について、適切な出力先の画像形成装置220,222を判定し、印刷出力を実行させる。
【0042】
画像形成装置220,222は、クライアント端末210a〜210dに対応して決定することができ、各クライアント端末が設置されたロケーションや、各クライアント端末の近隣のロケーションに配置された画像形成装置に印刷処理を実行させることができる。図6に示した実施形態では、クライアント端末210a−複合機220とがロケーション204を構成し、各クライアント端末と各画像形成装置とが対応付けられてロケーション206、208を構成している。クライアント端末は、ロケーション204〜208に複数存在することもでき、画像形成装置についても各ロケーションに複数存在していてもよく、クライアント端末のみまたは画像形成装置のみのロケーションがあってもよい。
【0043】
ターミナルサーバ230は、文書作成アプリケーションなどのアプリケーション実行環境をクライアント端末210a〜210dに提供し、プリントサーバ250は、画像形成装置220,222に対応する実プリンタドライバを提供する。クライアント端末210は、例えばウェブブラウザを介してアプリケーション環境に接続し、電子文書を作成し、必要に応じて印刷指示を行うことが可能とされる。また、本実施形態のターミナルサーバ230は、実プリンタドライバ−アプリケーション間に介在して種々の機能を提供する仮想プリンタドライバを備える。
【0044】
ターミナルサーバ230は、いずれかのクライアント端末210a〜210dから電子文書の印刷要求を受け取ると、その要求元に関連付けられる画像形成装置220,222の実プリンタドライバのパススルー機能のサポートの有無を判定する。ターミナルサーバ230は、パススルー機能がサポートされていれば、パススルー形式で印刷データを作成し、プリントサーバ250上の対応する実プリンタドライバに送付する。この場合、決定された出力先の画像形成装置220,222に対する実プリンタドライバは、受信した印刷データをそのままパススルーして、画像形成装置220,222に送付し、印刷処理を実行させる。
【0045】
一方、パススルー機能がサポートされていない場合には、ターミナルサーバ230は、プリントサーバ250で処理可能な共通形式の印刷データを作成し、プリントサーバ250上の対応する実プリンタドライバに送付する。この場合、決定された出力先の画像形成装置220,222に対する実プリンタドライバは、受信した共通形式の印刷データからRAW形式の印刷データに変換して、画像形成装置220,222に送付し、印刷処理を実行させる。
【0046】
ターミナルサーバ230は、シングルコア、マルチコアのCPU、ROM、実行空間を提供するRAM、ハードディスク装置などを含み、Windows(登録商標)200XサーバなどのOSによる制御の下、印刷要求の印刷データの出力先を制御する。プリントサーバ250は、ハードウェア構成およびOS構成については、ターミナルサーバ230と同様の構成とすることができる。
【0047】
図7は、第2の実施形態のプリントシステム200において実現される機能ブロックを示す。図7に示すように、ターミナルサーバ230は、アプリケーション232と、GDI234と、データ送信部236と、出力先振分部238と、仮想プリンタドライバ240とを含んで構成される。
【0048】
ターミナルサーバ230上で動作するアプリケーション232は、印刷する電子文書を作成し、編集するためのアプリケーション・プロセスであり、クライアント端末210にアプリケーション実行環境を提供する。一方、実プリンタドライバ252は、本実施形態ではプリントサーバ250上に実現され、画像形成装置が処理可能な形式で印刷データを準備し、スプーラおよびポートモニタを経由させて、画像形成装置220,222に印刷データを送信し、出力させる。なお、ターミナルサーバ230上にも、プリントサーバ250上の実プリンタドライバ252A〜Eに対応する実プリンタドライバ235A〜Eが、ポイント・アンド・プリントでインストールされる。
【0049】
仮想プリンタドライバ240は、アプリケーション232および実プリンタドライバ235の間に配置され、ターミナルサーバ230上に実現される。本実施形態の仮想プリンタドライバ240は、第1の実施形態と同様に、地紋画像を付加する機能を有しており、それぞれの実プリンタドライバ252が地紋印刷機能を有しない場合であっても、印刷原稿に地紋を付加することを可能とする。
【0050】
データ送信部236は、出力先振分部238に対し、例えばクライアント端末210を識別する識別値などで、当該クライアント端末210に対応する出力先の問い合わせを行い、対応付けられる出力先を示す情報を取得する。出力先振分部238は、クライアント端末と画像形成装置との関連付けを定義するルール定義データを参照して、出力先を決定する。
【0051】
図11(A)は、出力先振分部238が管理するルール定義データのデータ構造を例示する。出力先は、クライアント端末のMACアドレス(Media Access Control Address)、IPアドレス(Internet Protocol Address)などの端末固有情報や、ログインユーザ名やユーザ権限などのユーザ固有情報などの種々の固有情報に関連付けて定義される。図11(A)には、ユーザ固有情報により対応付けられている例が示されている。本実施形態のルール定義データは、説明の簡単のため、出力先の画像形成装置の選択を条件付けるものとして説明するが、他の実施形態では、ルール定義データには、出力内容自体の変更を条件付けることもできる。
【0052】
例えば、ユーザ固有情報を用いた出力内容の変更の例としては、管理者ユーザにはカラー印刷を許可し、一般ユーザにはモノクロ印刷に制限するというような規則を挙げることができる。端末固有情報を用いた出力内容の変更の例としては、例えば、所定の拠点に属するクライアント端末には、所定の拠点に属する機密文書の印刷のみを許可するというような規則を挙げることができる。
【0053】
本実施形態の仮想プリンタドライバ240は、より詳細には、サポート判定部242と、付加画像生成部244と、パススルー形式変換部246と、共通形式変換部248とを含む。サポート判定部242は、要求元のクライアント端末に関連付けられる出力先がパススルー機能を備えるか否かを判定する。
【0054】
このパススルー機能のサポートの有無は、種々の手法により判定することができる。説明する実施形態では、データ送信部236が、出力先振分部238に対し要求元クライアントに対応付けられる出力先実プリンタドライバのパススルー機能のサポート情報を問い合わせ、出力先振分部238からターミナルサーバ230上の対応する実プリンタドライバ235に、上記パススルー機能を備えるか否かを問い合わせを行うことにより、サポート情報を取得し、判定することができる。しかしながら、パススルー機能のサポートの有無の判定は、特に限定されるものではない。
【0055】
他の実施形態では、出力先を取得したデータ送信部236からターミナルサーバ230上の実プリンタドライバ235に直接問い合わせを行ってもよい。さらに、ルール定義データ中に、図11(B)に示すような実プリンタドライバそれぞれのパススルー機能のサポートの有無を示す情報を予め記録しておき、これに基づいて判定することもできる。
【0056】
付加画像生成部244は、指定された地紋その他バーコード、時刻表示、ロゴ、レターヘッドの付加画像を生成する。パススルー形式変換部246は、対応する実プリンタドライバ252がパススルー機能を備える場合に、アプリケーション232から受信した印刷命令に、付加画像生成部244が生成した付加画像を割り付ける印刷命令を差し込ませて、上記パススルー形式の印刷データに変換する。
【0057】
共通形式変換部248は、実プリンタドライバ252がパススルー機能を備えない場合に、アプリケーション232から受信した印刷命令に、付加画像生成部244が生成した付加画像を割り付ける印刷命令を差し込ませて、共通形式の印刷データに変換する。この共通形式の印刷データとは、実プリンタドライバ252で処理可能なデータ形式であって、実プリンタドライバ252が、画像形成装置220,222に対応するRAW形式に変換することが可能なデータ形式をいう。共通形式としては、例えばWindows(登録商標)環境では、EMF形式を挙げることができる。
【0058】
パススルー形式変換部246または共通形式変換部248が変換した印刷データは、データ送信部236に渡され、データ送信部236により、ターミナルサーバ230上の実プリンタドライバ235を経由して、プリントサーバ250上の対応する実プリンタドライバ252に送信される。印刷データを受信した実プリンタドライバ252は、パススルー形式であればそのまま、共通形式であればRAW形式の印刷データに変換して、出力先の画像形成装置220,222に向けて送信する。
【0059】
以下、図8〜図10に示すフローチャートおよびシーケンス図を参照しながら、第2の実施形態のプリントシステム200で実行されるプリント処理の詳細を説明する。図8は、第2の実施形態のプリントシステム200においてターミナルサーバ230が実行する処理を示すフローチャートである。図8に示す処理は、例えばアプリケーション232が、クライアント端末210を使用する利用者から印刷指示を受領したことに応答して、ステップS400から開始する。
【0060】
ステップS401では、仮想プリンタドライバ240は、アプリケーション232からGDI234を介して印刷命令を受信する。ステップS402では、仮想プリンタドライバ240は、出力先の実プリンタドライバ252がパススルー機能をサポートしているか否かをデータ送信部236に対し問い合わせる。ステップS403では、データ送信部236は、出力先振分部238に対し、出力先のパススルー機能のサポート情報を問い合わせ、結果を仮想プリンタドライバ240に返す。ステップS404では、仮想プリンタドライバ240は、実プリンタドライバ252のパススルー機能のサポート有無を判定し、サポートされていると判定された場合(YES)には、ステップS405へ処理を進める。
【0061】
ステップS405では、仮想プリンタドライバ240は、アプリケーション232からの印刷命令に、付加画像を印刷原稿に割り付ける印刷命令を差し込ませながら、パススルー形式の印刷データに変換する。ステップS407では、仮想プリンタドライバ240は、パススルー形式の印刷データをデータ送信部236に渡す。ステップS408では、データ送信部236は、出力先振分部238に出力先を問い合わせ、出力先の情報を取得する。ステップS409では、データ送信部236は、リモートのプリントサーバ250上の実プリンタドライバ252へ印刷データをそのまま送信し、ステップS410で、本処理を終了させる。
【0062】
その後、プリントサーバ250上の実プリンタドライバ252は、受信した印刷データをスプーラに渡し、ポートモニタを介して画像形成装置に送信する。パススルー形式の印刷データを受信した画像形成装置は、その印刷データを解釈し、印刷出力することになる。
【0063】
一方、ステップS404で、パススルー機能がサポートされていないと判定された場合(NO)には、ステップS406へ処理が進められる。ステップS406では、仮想プリンタドライバ240は、アプリケーション232からの印刷命令に、付加画像を印刷原稿に割り付ける印刷命令を差し込ませながら、共通形式の印刷データに変換する。ステップS407では、仮想プリンタドライバ240は、共通形式の印刷データをデータ送信部236に渡し、同様にステップS408、ステップS409の処理を経て、ステップS410で本処理を終了させる。
【0064】
その後、プリントサーバ250上の実プリンタドライバ252は、受信した印刷データを、GDIを介して共通形式からRAW形式に変換し、スプーラに渡し、ポートモニタを介して画像形成装置に送信する。RAW形式の印刷データを受信した画像形成装置は、その印刷データを解釈し、印刷出力することになる。
【0065】
図9は、第2の実施形態のプリントシステム200において実行されるプリント処理を示すシーケンス図である。なお、図9に示す例では、複合機220および対応する実プリンタドライバ235,252がパススルー機能をサポートし、出力先振分部238により当該複合機220に出力先が決定されるものとする。図9に示す処理は、例えばアプリケーション232が、クライアント端末の利用者から印刷指示を受領したことに応答して、ステップS501から開始する。
【0066】
ステップS501では、アプリケーション232は、GDI234に印刷命令を発行する。ステップS502では、GDI234は、受領した印刷命令を仮想プリンタドライバ240に渡す。ステップS503では、仮想プリンタドライバ240は、データ送信部236に、出力先の実プリンタドライバ252のパススルー機能のサポートの有無の問い合わせを依頼する。
【0067】
ステップS504では、データ送信部236は、出力先振分部238を介して、出力先の実プリンタドライバ235に、そのパススルー機能のサポートの有無の問い合わせを行い、受領した結果を仮想プリンタドライバ240に返す。パススルー機能のサポートを確認できた仮想プリンタドライバ240は、ステップS505で、付加画像を印刷原稿に割り付ける印刷命令を差し込ませながら、印刷命令からパススルー形式の印刷データに変換し、データ送信部236への印刷データの送信をGDI234に依頼する。ステップS506では、GDI234は、受け取ったパススルー形式の印刷データをデータ送信部236に送信する。
【0068】
ステップS507では、データ送信部236は、出力先振分部238に出力先の問い合わせを行い結果を得る。ステップS508で、データ送信部236は、ターミナルサーバ230上の実プリンタドライバ235を介して、受信した印刷データをプリントサーバ250上の実プリンタドライバ252へ送信する。ステップS509では、実プリンタドライバ252は、印刷データをパススルーし、スプーラへ渡し、ポートモニタを介して複合機220に送出し、これを受けて複合機220は、印刷出力を行う。
【0069】
図10は、第2の実施形態のプリントシステム200において実行される他のプリント処理を示すシーケンス図である。なお、図10に示す例では、レーザプリンタ222および対応する実プリンタドライバ252がパススルー機能をサポートせず、このレーザプリンタ222が出力先として決定されるものとする。図10に示す処理は、例えばアプリケーション232が印刷指示を受領したことに応答して、ステップS601から開始する。
【0070】
ステップS601では、アプリケーション232は、GDI234に印刷命令を発行し、ステップS602では、GDI234は、印刷命令を仮想プリンタドライバ240に渡す。ステップS603では、仮想プリンタドライバ240は、データ送信部236に、出力先の実プリンタドライバ252のパススルー機能のサポートの有無の問い合わせを依頼する。ステップS604では、データ送信部236は、出力先振分部238を介して、出力先の実プリンタドライバ235に、そのパススルー機能のサポートの有無の問い合わせを行い、受領した結果を仮想プリンタドライバ240に返す。
【0071】
パススルー機能がサポートされていないことを確認した仮想プリンタドライバ240は、ステップS605で、付加画像を印刷原稿に割り付ける印刷命令を差し込ませながら、印刷命令から共通形式の印刷データに変換し、データ送信部236への印刷データの送信をGDI234に依頼する。ステップS606では、GDI234は、受け取った共通形式の印刷データをデータ送信部236に送信する。
【0072】
データ送信部236は、ステップS607で、出力先振分部238に出力先の問い合わせを行い、結果を得て、ステップS608で、受信した印刷データをプリントサーバ250上の実プリンタドライバ252へ送信する。ステップS609では、プリントサーバ250上の実プリンタドライバ252は、共通形式の印刷データからRAW形式の印刷データに変換し、スプーラへ渡し、ポートモニタを介してレーザプリンタ222に送出し、これを受けて、レーザプリンタ222は、印刷出力を行う。
【0073】
以上説明した実施形態によれば、アプリケーションと実プリンタドライバとの間に介在して印刷原稿に地紋等を付加する仮想プリンタドライバであって、この仮想プリンタドライバによる処理後に実プリンタドライバにより画像処理が行われてしまうことを回避することができる当該仮想プリンタドライバを備える、情報処理装置、印刷制御プログラム、画像形成装置、画像形成システムおよび記録媒体を提供することができる。
【0074】
本実施形態の上記仮想プリンタドライバは、C、C++、あるいはC#、Java(登録商標)などのオブジェクト指向プログラミング言語などで記述された装置実行可能な印刷制御プログラムにより実現でき、本実施形態のプログラムは、ハードディスク装置、CD−ROM、MO、DVD、フレキシブルディスク、EEPROM、EPROMなどの装置可読な記録媒体に格納して頒布することができ、また他装置が可能な形式でネットワークを介して伝送することができる。また、上記仮想プリンタドライバのプログラムは、プリントサーバまたは画像形成装置からダウンロードして、クライアント端末上にポイント・アンド・プリントでインストールすることもできる。この場合、プリントサーバまたは画像形成装置は、要求に応じて仮想プリンタドライバのプログラムを提供できるように、プログラムを記憶する記憶手段と、プログラムをクライアント端末に送信する送信手段とを備えればよい。
【0075】
これまで本実施形態につき説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0076】
100…プリントシステム、102…ネットワーク、110…クライアント端末、120…複合機、122…レーザプリンタ、130…アプリケーション、132…GDI、134…実プリンタドライバ、136…スプーラ、138…ポートモニタ、140…仮想プリンタドライバ、142…サポート判定部、144…付加画像生成部、146…印刷データ変換部、148…印刷命令伝達部、200…プリントシステム、202…ネットワーク、204,206,208…ロケーション、210…クライアント端末、220…複合機、222…レーザプリンタ、230…ターミナルサーバ、232…アプリケーション、234…GDI、236…データ送信部、238…出力先振分部、240…仮想プリンタドライバ、242…サポート判定部、244…付加画像生成部、246…パススルー形式変換部、248…共通形式変換部、250…プリントサーバ、252…実プリンタドライバ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0077】
【特許文献1】特開2002−63001号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アプリケーション手段と、画像形成装置に対応する実プリンタドライバ手段との間を仲介する仮想プリンタドライバ手段を備える情報処理装置であって、前記仮想プリンタドライバ手段は、
前記実プリンタドライバ手段がパススルー機能をサポートしているか否かを判定する判定手段と、
ユーザ指定に応じて出力原稿に付加する付加画像を生成する画像生成手段と、
前記実プリンタドライバ手段が前記パススルー機能をサポートする場合に、前記アプリケーション手段から受信した印刷命令に、前記付加画像を付加する命令を差し込ませて、前記実プリンタドライバ手段がパススルー可能な形式の印刷データに変換する変換手段と
を含む、情報処理装置。
【請求項2】
前記情報処理装置は、前記実プリンタドライバ手段を備え、
前記判定手段は、前記実プリンタドライバ手段に問い合わせを行うことにより、前記パススルー機能をサポートしているか否かを判定し、前記仮想プリンタドライバ手段は、変換された前記パススルー可能な形式の印刷データを前記実プリンタドライバ手段に渡す、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記情報処理装置は、
要求元クライアント端末に対し画像形成装置を振り分ける出力先振分手段と、
変換された前記パススルー可能な形式の印刷データを、前記仮想プリンタドライバ手段から受け取って、振り分けられた前記画像形成装置に対応する前記実プリンタドライバ手段に送信するデータ送信手段と
をさらに含む、請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記付加画像は、地紋パターンである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記パススルー可能な形式は、PostScript(登録商標)形式である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記仮想プリンタドライバ手段は、前記パススルー機能がサポートされない場合に、受信した前記印刷命令に、前記付加画像を付加する命令を差し込ませて、前記実プリンタドライバ手段に伝達する伝達手段をさらに含む、請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記仮想プリンタドライバ手段は、前記パススルー機能がサポートされない場合に、受信した前記印刷命令に、前記付加画像を付加する命令を差し込ませて、すべての出力先に対応する共通形式の印刷データに変換する手段をさらに含む、請求項1または3に記載の情報処理装置。
【請求項8】
アプリケーション手段と、画像形成装置に対応する実プリンタドライバ手段との間を仲介する仮想プリンタドライバ手段をコンピュータ上に実現するためのコンピュータ実行可能な印刷制御プログラムであって、前記仮想プリンタドライバ手段は、
前記実プリンタドライバ手段がパススルー機能をサポートしているか否かを判定する判定手段と、
ユーザ指定に応じて出力原稿に付加する付加画像を生成する画像生成手段と、
前記実プリンタドライバ手段が前記パススルー機能をサポートする場合に、前記アプリケーション手段から受信した印刷命令に、前記付加画像を付加する命令を差し込ませて、前記実プリンタドライバ手段がパススルー可能な形式の印刷データに変換する変換手段と
を含む、印刷制御プログラム。
【請求項9】
前記判定手段は、前記実プリンタドライバ手段に問い合わせを行うことにより、前記パススルー機能をサポートしているか否かを判定し、前記仮想プリンタドライバ手段は、変換された前記パススルー可能な形式の印刷データを前記実プリンタドライバ手段に渡す、請求項8に記載の印刷制御プログラム。
【請求項10】
前記印刷制御プログラムは、さらに、
要求元クライアント端末に対し画像形成装置を振り分ける出力先振分手段と、
変換された前記パススルー可能な形式の印刷データを、前記仮想プリンタドライバ手段から受け取って、振り分けられた前記画像形成装置に対応する前記実プリンタドライバ手段に送信するデータ送信手段と
をさらに前記コンピュータ上に実現させるためのコードを含む、請求項8または9に記載の印刷制御プログラム。
【請求項11】
前記付加画像は、地紋パターンである、請求項8〜10のいずれか1項に記載の印刷制御プログラム。
【請求項12】
前記パススルー可能な形式は、PostScript(登録商標)形式である、請求項8〜11のいずれか1項に記載の印刷制御プログラム。
【請求項13】
請求項8〜12のいずれか1項に記載の印刷制御プログラムから送信される印刷データを印刷処理することを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
請求項8〜12のいずれか1項に記載の印刷制御プログラムと、
請求項13に記載の画像形成装置と
を具備することを特徴とする画像形成システム。
【請求項15】
請求項8〜12のいずれか1項に記載の印刷制御プログラムを記録する記憶手段と、
前記印刷制御プログラムを情報処理装置に送信する送信手段と
を具備することを特徴とする画像形成装置。
【請求項16】
請求項8〜12のいずれか1項に記載の印刷制御プログラムを記録するコンピュータ可読な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−180971(P2011−180971A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−46572(P2010−46572)
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】