説明

情報処理装置、情報処理システム、および情報処理方法、並びにコンピュータ・プログラム

【課題】リーダライタからのコマンドを受信して処理を実行する装置のコストダウン、小型化を実現する。
【解決手段】リーダライタとの通信処理を実行する通信処理部と、通信処理部と有線通信を実行するデータ処理部を有する情報処理装置において、通信処理部にメモリと、メモリに対するデータ書き込みおよび読み取り制御を実行する制御部を設定し、制御部がデータ読み取り要求を受信した場合、メモリからのデータ取得および通信デバイスに対する送信処理を実行し、データ書き込み要求を受信した場合、メモリに対するデータ格納と、データ処理部からの要求に応じたメモリからのデータ取得および出力処理を実行する。メモリとしてFIFOメモリを利用して、通信処理部内の処理を簡略化することで、情報処理装置全体のハードウェア資源を削減し装置のコストダウンおよび小型化を実現した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理システム、および情報処理方法、並びにコンピュータ・プログラムに関する。さらに詳細には、通信処理および通信処理に伴うデータ処理を実行する情報処理装置、情報処理システム、および情報処理方法、並びにコンピュータ・プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
IC回路とアンテナを備え非接触通信を可能としたICカードや、ICカード機能を備えた携帯端末が様々な分野で利用されている。ICカードは、リーダライタに対して接触あるいは非接触で無線通信を行う。例えばICカードとリーダライタ間の無線通信によりデータ転送を行い、各デバイスにおいてデータ書き込みや読み取りが行われる。なお、ICカードとリーダライタ間の処理については、例えば特許文献1(特開2006−108886号公報)に記載されている。
【0003】
ICカードとリーダライタの通信においては例えば以下のような処理が行われる。
リーダライタがコマンド(処理要求)パケットをICカードに出力する。
コマンドパケットを受信したICカードがコマンドに応じた処理を行う。
ICカードは、処理の実行後にレスポンスパケットの返信を行う。
このような処理が行われる。
【0004】
ICカード機能を備えた装置としては、例えば携帯電話がすでに存在する。
【0005】
上述の携帯電話装置を含め、従来においてICカードの機能を電子機器に搭載する場合、リーダライタとの非接触通信を行う無線通信インタフェースと、該非接触通信のプロトコル処理や通信にかかるデータを処理するCPUと、該CPUの作業領域となるメモリと、無線通信インタフェースを介した通信データを電子機器に渡す、あるいは電子機器からのデータを受領するための有線通信インタフェースを備えたサブシステムを構成するICチップを搭載することが必要となる。
【0006】
具体的には、例えば図1に示す構成が利用可能である。図1には、電子機器である情報処理装置10と、リーダライタ1を示している。情報処理装置10は、ICカード機能を提供する通信処理部20と装置本体部30を有している。通信処理部20はリーダライタ1との非接触通信を行うサブシステムである。装置本体部30は情報処理装置10の機能に応じたデータ処理を実行する。
【0007】
通信処理部20は、リーダライタ1との無線通信を行うためのアンテナ21、無線通信インタフェース22、通信処理部20内で実行する処理の制御を行うCPU23、装置本体部30との有線通信を行うための有線通信インタフェース24、CPU23における実行プログラムやパラメータ等を格納したプログラムメモリ25、通信データ等を格納する不揮発性メモリ26、CPU23の実行する処理などにおけるワーク領域等に使用するメモリとしてのRAM27を有する。
【0008】
装置本体部30は、通信処理部20との有線通信を行うための有線通信インタフェース31、装置本体部30内で実行する処理の制御を行うCPU32、CPU32における実行プログラムやパラメータ等を格納したプログラムメモリ33、電源断時にも保存の必要な様々なデータを格納する不揮発性メモリ34、CPU32の処理におけるワーク領域等に使用するメモリとしてのRAM35を有する。
【0009】
この図1に示す構成によって、携帯電話、PC(PersonalComputer)など様々な電子機器に対してICカード機能を付加することが可能となり、リーダライタとの通信可能な構成が実現される。すなわち、装置本体部30が、通信処理部20の提供するICカード機能を介して、リーダライタ1と様々なデータを送受信可能な構成が実現される。
【0010】
しかし、図1に示す構成から明らかなように、電子機器にICカード機能を搭載する場合には、情報処理装置10内に構成される通信処理部20として、独自のCPUと、プログラムメモリと、該CPUがアクセス可能なメモリ領域となる不揮発性メモリおよびRAMを備からなるICカード機能を実現するためのサブシステムを別途備える構成となるため、情報処理装置10内の通信処理部20と装置本体部30において重複したハードウェア構成を有することになる。このような構成は、情報処理装置のコストアップを招き、さらに装置の小型化を阻害することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2006−108886号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、例えば上記問題点に鑑みてなされたものであり、様々な電子機器に対してICカード機能を付加する構成において、ハードウェア資源の削減と小型化を実現する情報処理装置、情報処理システム、および情報処理方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の側面は、
外部の通信デバイスとの通信処理を実行する通信処理部と、
前記通信処理部と有線のデータ通信路を介した通信処理およびデータ処理を実行するデータ処理部を有し、
前記通信処理部は、
前記通信デバイスと前記データ処理部間で送受信するデータを一時的に格納するメモリと、
前記メモリに対するデータ書き込みおよび読み取り制御を実行する制御部を有し、
前記制御部は、
前記通信デバイスからデータを受信した際に、該受信したデータに含まれるエラーチェック用コードに基づいて該受信したデータのエラーチェックを実行する構成である情報処理装置にある。
【0014】
さらに、本発明の情報処理装置の一実施態様において、前記通信処理部の制御部は、前記エラーチェックの実行後に、前記データ処理部に対してデータの受信通知の出力処理を実行する構成である。
【0015】
さらに、本発明の情報処理装置の一実施態様において、前記通信処理部の制御部は、前記通信デバイスからデータを受信した際に、さらに該受信データに含まれるコマンド要求の判別を実行する構成である。
【0016】
さらに、本発明の情報処理装置の一実施態様において、前記通信処理部の制御部は、前記通信デバイスから受信したコマンド要求がデータ読み取り要求である場合には、前記メモリからのデータ取得および前記通信デバイスに対する送信処理を実行する構成である。
【0017】
さらに、本発明の情報処理装置の一実施態様において、前記通信処理部の制御部は、前記通信デバイスから受信したコマンド要求がデータ読み取り要求である場合には、前記データ処理部に対するデータの受信通知の出力処理を実行した後、前記データ処理部から要求データを受け取り、該受け取った要求データを前記メモリへ記録し、前記メモリからのデータ取得および前記通信デバイスに対する送信処理を実行する構成である。
【0018】
さらに、本発明の情報処理装置の一実施態様において、前記通信処理部の制御部は、前記通信デバイスからから受信したコマンド要求がデータ書き込み要求である場合には、前記メモリに対するデータ格納を実行して、前記データ処理部からの要求に応じて前記メモリからのデータ取得および前記データ処理部に対する出力処理を実行する構成である。
【0019】
さらに、本発明の情報処理装置の一実施態様において、前記通信処理部の制御部は、前記通信デバイスからから受信したコマンド要求がデータ書き込み要求である場合には、前記メモリに対するデータ格納を実行して、前記データ処理部からの要求に応じて前記メモリからのデータ取得および前記データ処理部に対する出力処理を実行し、前記データ処理部からのデータ書き込み完了通知を受け取った後、前記通信デバイスへのデータ書き込み完了通知の出力処理を実行する構成である。
【0020】
さらに、本発明の情報処理装置の一実施態様において、前記通信デバイスから受信したコマンド要求がデータ読み取り要求である場合には、前記メモリからのデータ取得および前記通信デバイスに対する送信処理を実行し、前記通信デバイスからから受信したコマンド要求がデータ書き込み要求である場合には、前記メモリに対するデータ格納を実行して、前記データ処理部からの要求に応じて前記メモリからのデータ取得および前記データ処理部に対する出力処理を実行する構成である。
【0021】
さらに、本発明の第2の側面は、
情報処理装置において実行する情報処理方法であり、
前記情報処理装置は、外部の通信デバイスとの通信処理を実行する通信処理部と、
前記通信処理部と有線のデータ通信路を介した通信処理およびデータ処理を実行するデータ処理部を有し、
前記通信処理部は、
前記通信デバイスと前記データ処理部間で送受信するデータを一時的に格納するメモリと、
前記メモリに対するデータ書き込みおよび読み取り制御を実行する制御部を有し、
前記制御部は、
前記通信デバイスからデータを受信した際に、該受信したデータに含まれるエラーチェック用コードに基づいて該受信したデータのエラーチェックを実行する情報処理方法にある。
【0022】
さらに、本発明の第3の側面は、
情報処理装置において情報処理を実行させるコンピュータ・プログラムであり、
前記情報処理装置は、外部の通信デバイスとの通信処理を実行する通信処理部と、前記通信処理部と有線のデータ通信路を介した通信処理およびデータ処理を実行するデータ処理部を有し、
前記通信処理部は、
前記通信デバイスと前記データ処理部間で送受信するデータを一時的に格納するメモリと、
前記メモリに対するデータ書き込みおよび読み取り制御を実行する制御部を有し、
前記コンピュータ・プログラムは、
前記制御部に、
前記通信デバイスからデータを受信した際に、該受信したデータに含まれるエラーチェック用コードに基づいて該受信したデータのエラーチェックを実行させるコンピュータ・プログラムにある。
【0023】
なお、本発明のプログラムは、例えば、様々なプログラム・コードを実行可能な汎用コンピュータ・システムに対して、コンピュータ可読な形式で提供する記憶媒体、通信媒体によって提供可能なコンピュータ・プログラムである。このようなプログラムをコンピュータ可読な形式で提供することにより、コンピュータ・システム上でプログラムに応じた処理が実現される。
【0024】
本発明のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する本発明の実施例や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。なお、本明細書においてシステムとは、複数の装置の論理的集合構成であり、各構成の装置が同一筐体内にあるものには限らない。
【発明の効果】
【0025】
本発明の一実施例の構成によれば、リーダライタなどの通信デバイスとの通信処理を実行する通信処理部と、この通信処理部と有線通信を実行するデータ処理部とを有する情報処理装置において、通信処理部に通信デバイスとデータ処理部間で送受信するデータを一時的に格納するメモリと、メモリに対するデータ書き込みおよび読み取り制御を実行する制御部を構成した。制御部は、通信デバイスからの受信コマンドがデータ読み取り要求である場合、メモリからのデータ取得および通信デバイスに対する送信処理を実行し、通信デバイスからからの受信コマンドがデータ書き込み要求である場合、メモリに対するデータ格納と、データ処理部からの要求に応じたメモリからのデータ取得および出力処理を実行する。メモリとしてFIFOメモリを利用して、通信処理部内の処理を簡略化することで、情報処理装置全体のハードウェア資源を削減し装置のコストダウンおよび小型化を実現した。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】情報処理装置内にICカード機能を提供する通信処理部と装置本体部を有する構成とした場合の構成例について説明する図である。
【図2】本発明の一実施例に係る情報処理装置の構成例であり、ICカード機能を提供する通信処理部とデータ処理部を有する情報処理装置の構成例について説明する図である。
【図3】本発明の一実施例に係る情報処理装置がリーダライタからデータ読み取り要求を受信した場合の処理シーケンスの一例について説明する図である。
【図4】本発明の一実施例に係る情報処理装置がリーダライタからデータ読み取り要求を受信した場合の処理シーケンスの一例について説明する図である。
【図5】本発明の一実施例に係る情報処理装置がリーダライタからデータ書き込み要求を受信した場合の処理シーケンスの一例について説明する図である。
【図6】リーダライタの送信するデータ書き込み要求のパケット構成例について説明する図である。
【図7】本発明の一実施例に係る情報処理装置がリーダライタからデータ書き込み要求を受信した場合のメモリに対する書き込みデータの一例について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の情報処理装置、情報処理システム、および情報処理方法、並びにコンピュータ・プログラムの詳細について説明する。
【0028】
本発明は、様々な電子機器に対してICカード機能を付加する構成において、ハードウェア資源の削減と小型化を実現する。本発明の一実施例に係る情報処理装置の構成例について図2を参照して説明する。
【0029】
図2には、先に説明した図1と同様、PCなどの電子機器からなる情報処理装置100と、リーダライタ50を示している。情報処理装置100は、ICカード機能を提供する通信処理部120と装置本体部に相当するデータ処理部130を有している。通信処理部120はリーダライタ50との非接触通信を行う。データ処理部130は情報処理装置100の機能に応じた様々なデータ処理を実行する。
【0030】
通信処理部120は、リーダライタ50との無線通信を行うためのアンテナ121、無線通信インタフェース122、通信処理部120内で実行する処理の制御を行う制御部123、データ処理部130との有線通信を行うための有線通信インタフェース124、通信データのバッファとして利用するメモリ125を有する。メモリ125は例えばFIFO(First In First Out)型のRAMによって構成される。
【0031】
データ処理部130は、通信処理部120との有線通信を行うための有線通信インタフェース131、データ処理部130内で実行する情報処理装置の機能および通信処理部120との通信処理等の制御を行うCPU132、CPU132における実行プログラムやパラメータ等を格納したプログラムメモリ133、電源断時にも保存の必要な様々なデータを格納する不揮発性メモリ134、CPU132の処理におけるワーク領域等に使用するメモリとしてのRAM135を有する。
【0032】
通信処理部120と、データ処理部130の間のデータ転送路は有線接続路として設定されており、例えばSPI(Serial Peripheral Interface)を適用したデータ転送経路として設定される。
【0033】
この図2に示す構成によって、PC、携帯端末など様々な電子機器に対してICカード機能を付加することが可能となり、リーダライタとの通信可能な構成が実現される。すなわち、データ処理部130が、通信処理部120を介してリーダライタ50と様々なデータを送受信可能な構成が実現される。
【0034】
図2に示す本発明の情報処理装置100の構成と、先に図1を参照して説明した情報処理装置10の構成を比較して理解されるように、図2に示す本発明の情報処理装置100の通信処理部120は、図1に示す通信処理部20に比較して簡略化した構成を持つ。
【0035】
図2に示す本発明の情報処理装置100の通信処理部120と、図1に示す通信処理部20との差異は以下の通りである。
(a)通信処理部120は、図1に示す通信処理部20のCPU23より機能の低い制御部123に変更している。
(b)通信処理部120は、図1に示す通信処理部20の有するプログラムメモリを持たない。
(c)通信処理部120は、図1に示す通信処理部20の有する不揮発性メモリを持たない。
(d)通信処理部120は、図1に示す通信処理部20の有するRAMをFIFO型のRAMに変更している。
上記のような差異がある。なお、図2に示す通信処理部120において、プログラムメモリ、不揮発性メモリについては図1に示す通信処理部20の有するメモリ容量より小さい容量のメモリを有する構成としてもよい。
【0036】
このように、図2に示す情報処理装置100の通信処理部120の構成は簡略化されている。通信処理部120の制御部123は、規定シーケンスに従った単純な処理のみを実行する制御ロジックとして設定される。なお、制御部123の実行する具体的な処理の内容については後述する。
【0037】
通信処理部120の制御部123は、例えばリーダライタ50からの受信パケットに対する演算や、送信パケットの生成処理等の複雑な演算を行わず、これらの処理をデータ処理部130のCPU132に代行させる。通信処理部120の制御部123は、例えば、メモリ125を利用したデータ書き込みおよび読み取り処理としてのFIFOコントロールやデータ受送信の方向制御等の制御を行う。このような構成とすることで、回路規模およびコストの低減が実現する。
【0038】
図1に示す構成において、リーダライタ50からのデータリードコマンドは、通信処理部120のメモリ125に対するリード処理と規定する。同様に、リーダライタ50からのデータライトコマンドは、通信処理部120のメモリ125に対するライト処理と規定する。
【0039】
本発明の一実施例の構成では、通信処理部120の制御部123ではリード処理やライト処理の対象となるデータに対応する識別子であるアドレスのデコードは行わない。アドレスは必要に応じてデータ処理部130に送信し、データ処理部130のCPU132で解釈を行う。
【0040】
リーダライタ50からデータ読み出し処理(リード)要求が発行された場合の処理シーケンスについて図3、図4を参照して説明する。
【0041】
図3は、通信処理部120のメモリ125にデータが存在する場合のリード処理シーケンスである。
まず、ステップS101において、リータライタ50が通信処理部に対してデータ読み出し要求を送信する。
次に、ステップS102において、通信処理部120の制御部が、読み出し要求に応じて、メモリ125に格納されたデータを順次取得する。FIFO型メモリであり、先入れ先出し方式に従って、順次取得するのみである。
次に、ステップS103において、通信処理部120は、リーダライタ50に対してメモリ125から取得したデータを送信する。
【0042】
次に、リーダライタ50からのデータ読み出し処理(リード)時に、通信処理部120のメモリ125にデータが存在しない場合のリード処理シーケンスについて図4を参照して説明する。
【0043】
まず、ステップS121において、リーダライタ50が通信処理部に対してデータ読み出し要求を送信する。
次に、ステップS122において、通信処理部120の制御部123が、データ処理部130のCPU132に対して読み出し要求を受信したことを示すコマンド受信の割り込みを送信する。
【0044】
ステップS123において、データ処理部130のCPU132は、通信処理部120の制御部123に対してコマンドの転送を要求し、ステップS124において通信処理部120の制御部123は、リーダライタ50からの受信コマンドをデータ処理部130に有線通信インタフェースを介して転送する。
【0045】
データ処理部130のCPU132は、ステップS125において、通信処理部120の制御部123から転送されたリーダライタ50の出力コマンドを解析する。このコマンド解析において、コマンドに含まれる要求データ識別子(アドレスなど)に基づいて読み取り要求のなされたデータを判別する。CPU132は、判別された読み取り要求データを、データ処理部130内の不揮発性メモリ34から取り出して、有線インタフェースを介して通信処理部120に送信する。
【0046】
通信処理部120の制御部123は、ステップS126において、データ処理部130から受信するデータを順次、メモリ125に格納する。
次に、通信処理部120の制御部は、ステップS127において、メモリ125に格納されたデータを順次取得する。FIFO型メモリであり、先入れ先出し方式に従って、順次取得するのみである。
最後に、ステップS128において、通信処理部120は、リーダライタ50に対してメモリ125から取得したデータを送信する。
【0047】
なお、ステップS128における通信処理部120からリーダライタ50に対するデータ送信処理は、リーダライタ50からの次のリード要求を受信するまで待機した後、実行する設定としてもよい。
【0048】
図3、図4を参照して説明したように、通信処理部120は、リーダライタ50からのデータ読み出し要求を受信した場合、データが通信処理部120内のメモリ125に格納されている場合はデータ処理部130との通信を行わず、メモリ125から順次、データを取得してリーダライタ50に対して送信する。
【0049】
一方、リーダライタ50からのデータ読み出し要求を受信した際に、データが通信処理部120内のメモリ125に格納されていない場合はデータ処理部130との通信を実行して、データ処理部130からデータを受信してメモリ125に書き込んだ後、メモリ125から順次、データを取得してリーダライタ50に対して送信する。
【0050】
次に、リーダライタ50からデータ書き込み処理(ライト)要求が発行された場合の処理シーケンスについて図5を参照して説明する。
【0051】
まず、ステップS131において、リーダライタ50が通信処理部120に対してデータ書き込み要求を送信する。
【0052】
このデータ書き込み要求パケットの構成例を図6に示す。図6に示すように、データ書き込み要求には、コマンドや送受信デバイスの識別情報や、送信データ情報などを含むヘッダ(Head)、書き込みコマンド(Write)、書き込み対象とするデータの識別情報(アドレス)と書き込みデータの複数の組と、CRC(Cyclic Redundancy Check)などのエラーチェックコードを含むフッタ(Footer)によって構成される。
【0053】
通信処理部120の制御部123は、図6に示すデータ書き込みパケットを受信すると、ステップS132において、リーダライタ50からの受信データを順次、メモリ125に格納する。例えば図7(b)の通信処理部120のメモリ(FIFO)125に示すように、データ書き込み要求パケットに含まれるコマンド(Write)、および書き込み対象とするデータの識別情報(アドレス)と書き込みデータの複数の組をパケットのデータ列に従って書き込む。
【0054】
次に、ステップS133において、通信処理部120の制御部123が、データ処理部130のCPU132に対して、リーダライタ50から書き込み要求を受信したことを示すコマンド受信の割り込みを送信する。
【0055】
次に、ステップS134において、データ処理部130のCPU132は、通信処理部120の制御部123に対して、通信処理部120のメモリ(FIFO)125に書き込まれたデータの転送要求を行う。
【0056】
通信処理部120の制御部123は、ステップS135において、メモリ125に格納されたデータを順次取得し、ステップS136において、取得データをデータ処理部130に出力する。この転送データは、図7(b)に示す通信処理部120のメモリ(FIFO)125に書き込まれたデータである。
【0057】
すなわち[コマンド(Write)]、[アドレス0(address0)]、[データ0(Data0)]、[アドレス1(address1)]、[データ1(Data1)]、・・・これらのデータが順次、データ処理部130に出力される。
【0058】
データ処理部130のCPU132は、このデータを順次、取得し、ステップS137において、受信データを不揮発性メモリ134に書き込む処理を実行する。図7(b)のデータ処理部130の不揮発性メモリ134の格納データに示すように、[アドレス0(address0)]、[データ0(Data0)]、[アドレス1(address1)]、[データ1(Data1)]、・・・これらのデータが記録される。なお、アドレスは各データの識別情報としてメモリに記録される。
【0059】
データ処理部130のCPU132は、データ書き込み処理が終了すると、ステップS138において、データ書き込み完了通知を通信処理部120に送信する。
【0060】
最後に、通信処理部120の制御部123は、ステップS139において、リーダライタ50に対して処理完了通知を送信する。
【0061】
なお、ステップS139における通信処理部120からリーダライタ50に対する処理完了通知処理は、リーダライタ50からの処理完了送信要求を受信するまで待機した後、実行する設定としてもよい。
【0062】
なお、通信処理部120のメモリ(FIFO)125のデータ記憶容量は、リーダライタ50の送信する1パケット分のデータを記録可能な容量としておけばよい。1パケット分の記憶容量を確保しておけば、通信処理部120がリーダライタからパケットを受信した場合、全てのパケットデータのメモリに対する書き込みが終了した後に、データ処理部130との通信を開始することが可能となる。
【0063】
上記処理例において、通信処理部120の制御部123の実行する処理は、
(A)リーダライタからのデータ読み出し要求においては、
(a1)リーダライタからの受信パケットのコマンド判別処理、
(a2)データ処理部に対するコマンド受信通知処理
(a3)データ処理部からのコマンド転送要求に応じたコマンド転送処理、
(a4)データ処理部からのデータ受信およびメモリ125に対するデータ書き込み処理、
(a5)メモリ125からのデータ取得およびリーダライタに対する出力処理、
これらの処理となる。
【0064】
また、
(B)リーダライタからのデータ書き込み要求においては、
(b1)リーダライタからの受信パケットのコマンド判別処理、
(b2)リーダライタからの受信データのメモリ125に対する書き込み処理、
(b3)データ処理部に対するコマンド受信通知処理
(b4)データ処理部からのデータ転送要求に応じたメモリ125からのデータ取得およびデータ処理部に対する出力処理
(b5)データ処理部からのデータ書き込み処理完了通知の受信およびリーダライタに対する処理完了通知の送信処理、
これらの処理となる。
【0065】
このように通信処理部120の制御部123は、コマンドに含まれるデータ識別子(アドレス)の解析処理など、実体的なデータ記録や読み取りに際して必要とする高度な処理は全く実行することがない。通信処理部120に接地されたメモリはFIFO型であり、データの書き込み処理に対しては、受信パケットの並びに従って順次データを書き込むのみとなる。また、データ読み出しに際しても、書き込まれた順に読み出して送信するのみとなる。従ってメモリアクセスも極めて単純な処理として実行可能となる。
【0066】
このような構成とすることで、通信処理部120の制御部123の機能を低くすることが可能となり、また、図1を参照して説明した通信処理部内のプログラムメモリや不揮発性メモリも削減または容量を少なくすることが可能となる。
【0067】
上述したように、本発明の一実施例に係る情報処理装置100の通信処理部120は、外部の通信デバイスであるリーダライタ50とデータ処理部130で送受信するデータを一時的に格納するメモリ(FIFO)125を有する。さらに、メモ125リに対するデータ書き込みおよび読み取り制御を実行する制御部123を有する。
【0068】
この制御部123は、リーダライタ50から受信したコマンドパケットがデータ読み取り要求である場合には、メモリ125からのデータ取得およびリーダライタ50に対する送信処理を実行し、リーダライタ50からから受信したコマンドパケットがデータ書き込み要求である場合には、メモリ125に対するデータ格納を実行して、データ処理部130からの要求に応じてメモリ125からのデータ取得およびデータ処理部130に対する出力処理を実行する。
【0069】
また、通信処理部120の制御部123は、リーダライタ50から受信したコマンドパケットがデータ読み取り要求であり、通信処理部120内のメモリ125にデータが格納されていない場合、データ処理部130に対するコマンド受信通知の送信処理と、データ処理部130からの要求に応じたコマンド転送処理を実行する。
【0070】
なお、リーダライタ50から受信したコマンドパケットがデータ書き込み要求である場合に、通信処理部120の制御部123がメモリ125に記録し、データ処理部130に転送するデータは、
(a)受信パケットに含まれるコマンドと、書き込み対象データに対応するデータ識別子とデータ、
(b)受信パケットに含まれる書き込み対象データに対応するデータ識別子とデータ、
上記の(a),(b)のいずれの設定でもよい。
(a)の場合は、コマンド解釈はデータ処理部130のCPU132において実行する。
【0071】
(b)の場合は、コマンド解釈は通信処理部120の制御部123において実行する。この場合、制御部123は、リーダライタ50から受信したコマンドパケットがデータ書き込み要求であるかデータ読み取り要求であるかの判別処理を実行し、データ処理部130に対して受信コマンドの種別を通知する処理を実行する。
【0072】
なお、通信処理部120の制御部123において実行する処理と、データ処理部130のCPUにおいて実行する処理の区分については様々な設定が可能である。
【0073】
具体的には、例えばリーダライタからのコマンドパケットの受信時に、通信処理部120の制御部123が実行する処理態様としては、以下のような設定が可能である。
【0074】
(A)リーダライタからの受信パケットに含まれるヘッダやフッタを読み取り、フッタに格納されたCRCによるパケットのエラーチェックなど受信パケットの完全性を検証するパケット文法チェックを行い、パケット受信通知をデータ処理部に出力する。
(B)上記の(A)のパケット文法チェックに加え、さらにコマンド解釈を行い、コマンド種別を含むパケット受信通知をデータ処理部に出力する。
(C)リーダライタからの受信パケットに対する処理を実行することなく、パケット受信通知のみをデータ処理部に対して実行する。
例えば上記の(A)〜(C)のいずれかの処理態様を行う設定が可能となる。
【0075】
通信処理部120の制御部123は、例えば上記(A)〜(C)のいずれかの処理を実行するように予め設定する。なお、上記(A)〜(C)の設定に応じて、データ処理部130のCPUの処理も変更されることになる。
【0076】
なお、上記(A)〜(C)のいずれの設定においても、通信処理部120の制御部の処理は、一般的なICカードに搭載されたCPUの機能に比較すれば、格段に機能を低下させることが可能となり、ハードウェアのコストダウンが実現され、デバイスの小型化も実現されることになる。
【0077】
通信処理部120の制御部123において、最低限実行することが必要な処理は、リーダライタとの無線通信とデータ処理部との有線通信、メモリ(FIFO)125に対するデータ格納およびデータ読み取り処理ということとなる。
【0078】
パケットに対する処理態様としては、上記のように各種の設定が可能であり、情報処理装置に要求されるコストや装置の大きさ等に応じて、上記の設定のいずれかを適宜選択して設定する構成とすることが好ましい。
【0079】
以上、特定の実施例を参照しながら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が実施例の修正や代用を成し得ることは自明である。すなわち、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、限定的に解釈されるべきではない。本発明の要旨を判断するためには、特許請求の範囲の欄を参酌すべきである。
【0080】
また、明細書中において説明した一連の処理はハードウェア、またはソフトウェア、あるいは両者の複合構成によって実行することが可能である。ソフトウェアによる処理を実行する場合は、処理シーケンスを記録したプログラムを、専用のハードウェアに組み込まれたコンピュータ内のメモリにインストールして実行させるか、あるいは、各種処理が実行可能な汎用コンピュータにプログラムをインストールして実行させることが可能である。例えば、プログラムは記録媒体に予め記録しておくことができる。記録媒体からコンピュータにインストールする他、LAN(Local Area Network)、インターネットといったネットワークを介してプログラムを受信し、内蔵するハードディスク等の記録媒体にインストールすることができる。
【0081】
なお、明細書に記載された各種の処理は、記載に従って時系列に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力あるいは必要に応じて並列的にあるいは個別に実行されてもよい。また、本明細書においてシステムとは、複数の装置の論理的集合構成であり、各構成の装置が同一筐体内にあるものには限らない。
【産業上の利用可能性】
【0082】
以上、説明したように、本発明の一実施例の構成によれば、リーダライタなどの通信デバイスとの通信処理を実行する通信処理部と、この通信処理部と有線通信を実行するデータ処理部とを有する情報処理装置において、通信処理部に通信デバイスとデータ処理部間で送受信するデータを一時的に格納するメモリと、メモリに対するデータ書き込みおよび読み取り制御を実行する制御部を構成した。制御部は、通信デバイスからの受信コマンドがデータ読み取り要求である場合、メモリからのデータ取得および通信デバイスに対する送信処理を実行し、通信デバイスからからの受信コマンドがデータ書き込み要求である場合、メモリに対するデータ格納と、データ処理部からの要求に応じたメモリからのデータ取得および出力処理を実行する。メモリとしてFIFOメモリを利用して、通信処理部内の処理を簡略化することで、情報処理装置全体のハードウェア資源を削減し装置のコストダウンおよび小型化を実現した。
【符号の説明】
【0083】
1 リーダライタ
10 情報処理装置
20 通信処理部
21 アンテナ
22 無線通信インタフェース
23 CPU
24 有線通信インタフェース
25 プログラムメモリ
26 不揮発性メモリ
27 RAM
30 装置本体部
31 有線通信インタフェース
32 CPU
33 プログラムロモリ
34 不揮発性メモリ
35 RAM
50 リーダライタ
100 情報処理装置
120 通信処理部
121 アンテナ
122 無線通信インタフェース
123 制御部
124 有線通信インタフェース
125 メモリ
130 データ処理部
131 有線通信インタフェース
132 CPU
133 プログラムロモリ
134 不揮発性メモリ
135 RAM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の通信デバイスとの通信処理を実行する通信処理部と、
前記通信処理部と有線のデータ通信路を介した通信処理およびデータ処理を実行するデータ処理部を有し、
前記通信処理部は、
前記通信デバイスと前記データ処理部間で送受信するデータを一時的に格納するメモリと、
前記メモリに対するデータ書き込みおよび読み取り制御を実行する制御部を有し、
前記制御部は、
前記通信デバイスからデータを受信した際に、該受信したデータに含まれるエラーチェック用コードに基づいて該受信したデータのエラーチェックを実行する構成である情報処理装置。
【請求項2】
前記通信処理部の制御部は、
前記エラーチェックの実行後に、前記データ処理部に対してデータの受信通知の出力処理を実行する構成である請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記通信処理部の制御部は、
前記通信デバイスからデータを受信した際に、さらに該受信データに含まれるコマンド要求の判別を実行する構成である請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記通信処理部の制御部は、
前記通信デバイスから受信したコマンド要求がデータ読み取り要求である場合には、前記メモリからのデータ取得および前記通信デバイスに対する送信処理を実行する構成である請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記通信処理部の制御部は、
前記通信デバイスから受信したコマンド要求がデータ読み取り要求である場合には、前記データ処理部に対するデータの受信通知の出力処理を実行した後、前記データ処理部から要求データを受け取り、該受け取った要求データを前記メモリへ記録し、前記メモリからのデータ取得および前記通信デバイスに対する送信処理を実行する構成である請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記通信処理部の制御部は、
前記通信デバイスからから受信したコマンド要求がデータ書き込み要求である場合には、前記メモリに対するデータ格納を実行して、前記データ処理部からの要求に応じて前記メモリからのデータ取得および前記データ処理部に対する出力処理を実行する構成である請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記通信処理部の制御部は、
前記通信デバイスからから受信したコマンド要求がデータ書き込み要求である場合には、前記メモリに対するデータ格納を実行して、前記データ処理部からの要求に応じて前記メモリからのデータ取得および前記データ処理部に対する出力処理を実行し、前記データ処理部からのデータ書き込み完了通知を受け取った後、前記通信デバイスへのデータ書き込み完了通知の出力処理を実行する構成である請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記通信デバイスから受信したコマンド要求がデータ読み取り要求である場合には、前記メモリからのデータ取得および前記通信デバイスに対する送信処理を実行し、
前記通信デバイスからから受信したコマンド要求がデータ書き込み要求である場合には、前記メモリに対するデータ格納を実行して、前記データ処理部からの要求に応じて前記メモリからのデータ取得および前記データ処理部に対する出力処理を実行する構成である請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項9】
情報処理装置において実行する情報処理方法であり、
前記情報処理装置は、外部の通信デバイスとの通信処理を実行する通信処理部と、前記通信処理部と有線のデータ通信路を介した通信処理およびデータ処理を実行するデータ処理部を有し、
前記通信処理部は、
前記通信デバイスと前記データ処理部間で送受信するデータを一時的に格納するメモリと、
前記メモリに対するデータ書き込みおよび読み取り制御を実行する制御部を有し、
前記制御部は、
前記通信デバイスからデータを受信した際に、該受信したデータに含まれるエラーチェック用コードに基づいて該受信したデータのエラーチェックを実行する情報処理方法。
【請求項10】
情報処理装置において情報処理を実行させるコンピュータ・プログラムであり、
前記情報処理装置は、外部の通信デバイスとの通信処理を実行する通信処理部と、
前記通信処理部と有線のデータ通信路を介した通信処理およびデータ処理を実行するデータ処理部を有し、
前記通信処理部は、
前記通信デバイスと前記データ処理部間で送受信するデータを一時的に格納するメモリと、
前記メモリに対するデータ書き込みおよび読み取り制御を実行する制御部を有し、
前記コンピュータ・プログラムは、
前記制御部に、
前記通信デバイスからデータを受信した際に、該受信したデータに含まれるエラーチェック用コードに基づいて該受信したデータのエラーチェックを実行させるコンピュータ・プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−8826(P2011−8826A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−221584(P2010−221584)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【分割の表示】特願2008−131824(P2008−131824)の分割
【原出願日】平成20年5月20日(2008.5.20)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】